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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156766
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】表面処理層を含む物品
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/30 20060101AFI20241029BHJP
   C07F 7/18 20060101ALI20241029BHJP
   C09K 3/18 20060101ALI20241029BHJP
   C03C 17/42 20060101ALI20241029BHJP
   G02B 1/14 20150101ALN20241029BHJP
【FI】
C03C17/30 A
C07F7/18 W CSP
C07F7/18 L
C09K3/18 104
C03C17/42
G02B1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024121124
(22)【出願日】2024-07-26
(62)【分割の表示】P 2023130956の分割
【原出願日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2022128449
(32)【優先日】2022-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100188802
【弁理士】
【氏名又は名称】澤内 千絵
(72)【発明者】
【氏名】内藤 真人
(72)【発明者】
【氏名】山口 史彦
(72)【発明者】
【氏名】片岡 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】トルティシ,グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】松井 元志
(72)【発明者】
【氏名】半田 晋也
(72)【発明者】
【氏名】野村 孝史
(57)【要約】
【課題】より高い摩擦耐久性を有する表面処理層を備える物品の提供。
【解決手段】ガラスと、下記式(1)[式中:Rは、直鎖のC11-36アルキル基であり、Xは、単結合、又は、-CO-、-COO-、-NR-、-CONR-、-OCONR-、-NR-CO-NR-、-O-もしくは-S-を含む2価の基であり、Rは、水素原子又はC1-6アルキル基であり、RSiは、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基である。]で表される化合物から形成された表面処理層とを含む物品。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスと、下記式(1):
【化1】
[式中:
は、直鎖のC11-36アルキル基であり、
は、単結合、又は、-CO-、-COO-、-NR-、-CONR-、-OCONR-、-NR-CO-NR-、-O-もしくは-S-を含む2価の基であり、
は、水素原子又はC1-6アルキル基であり、
Siは、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基である。]
で表される化合物から形成された表面処理層とを含む物品。
【請求項2】
は、直鎖のC17-36アルキル基である、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
Siは、下記式(S1)、(S2)、(S3)、又は(S4):
【化2】
[式中:
11は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
12は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n1は、1~3の整数であり;
a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1であり;
は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
21は、それぞれ独立して、-Z1’-SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’であり;
22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
23は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
1’は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
21’は、それぞれ独立して、-Z1”-SiR22” q1”23” r1”であり;
22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
23’は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
1”は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
23”は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
b1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
c1は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
m1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
d1は、それぞれ独立して、-Z-CR31 p232 q233 r2であり;
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
31は、それぞれ独立して、-Z2’-CR32’ q2’33’ r2’であり;
32は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
2’は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
32’は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
35は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
e1は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
m2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
g1及びRh1は、それぞれ独立して、-Z-SiR11 n112 3-n1、-Z-SiRa1 k1b1 l1c1 m1、-Z-CRd1 k2e1 l2f1 m2であり;
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
ただし、式(S2)、(S3)、及び(S4)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。]
で表される基である、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記加水分解性基は、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、又は-NCO(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)である、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記ガラスと表面処理層との間に、酸化ケイ素を含む中間層を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記中間層は、アルカリ金属原子を含む、請求項5に記載の物品。
【請求項7】
前記アルカリ金属原子の少なくとも一部がナトリウムである、請求項6に記載の物品。
【請求項8】
前記表面処理層の厚さは、15nm以下である、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記表面処理層は、前記式(1)で表される化合物、及び低分子のシリコーン溶媒を含む表面処理剤で前記ガラスを処理することにより形成される、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
前記表面処理剤は、R71OR72、R73 n86-n8、R747576Si-(O-SiR7778m8-R79、及び(OSiR7778m9
[式中
71~R79は、それぞれ独立して、炭素数1~10個の一価の有機基であり、
m8は、1~6の整数であり、
m9は、4~8の整数であり、
n8は、0~6の整数である。]
で表される化合物から選択される溶媒を含む、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
前記溶媒は、R747576Si-(O-SiR7778m8-R79である、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
前記溶媒は、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、又はデカメチルシクロペンタシロキサンである、請求項10に記載の物品。
【請求項13】
前記表面処理層は、前記表面処理剤を蒸着処理することにより形成される、請求項10に記載の物品。
【請求項14】
光学部材である、請求項1に記載の物品。
【請求項15】
式(1):
【化3】
[式中:
は、直鎖のC11-36アルキル基であり、
は、単結合、又は、-CO-、-COO-、-NR-、-CONR-、-OCONR-、-NR-CO-NR-、-O-もしくは-S-を含む2価の基であり、
は、水素原子又はC1-6アルキル基であり、
Siは、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子を含む基である。]
で表される化合物。
【請求項16】
は、直鎖のC17-36アルキル基である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
Siは、下記式(S1)、(S2)、(S3)、又は(S4):
【化4】
[式中:
11は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
12は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n1は、1~3の整数であり;
a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1であり;
は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
21は、それぞれ独立して、-Z1’-SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’であり;
22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
23は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
1’は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
21’は、それぞれ独立して、-Z1”-SiR22” q1”23” r1”であり;
22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
23’は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
1”は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
23”は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
b1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
c1は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
m1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
d1は、それぞれ独立して、-Z-CR31 p232 q233 r2であり;
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
31は、それぞれ独立して、-Z2’-CR32’ q2’33’ r2’であり;
32は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
2’は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
32’は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
35は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
e1は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
m2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
g1及びRh1は、それぞれ独立して、-Z-SiR11 n112 3-n1、-Z-SiRa1 k1b1 l1c1 m1、-Z-CRd1 k2e1 l2f1 m2であり;
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
ただし、式(S2)、(S3)、及び(S4)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。]
で表される基である、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
前記加水分解性基は、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、又は-NCO(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)である、請求項15に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表面処理層を含む物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種のシラン化合物は、基材の表面処理に用いると、優れた撥水撥油性を提供し得ることが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-44179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、より高い摩擦耐久性を有する表面処理層を備える物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、下記の態様を含む。
[1] ガラスと、下記式(1):
【化1】
[式中:
は、直鎖のC11-36アルキル基であり、
は、単結合、又は、-CO-、-COO-、-NR-、-CONR-、-OCONR-、-NR-CO-NR-、-O-もしくは-S-を含む2価の基であり、
は、水素原子又はC1-6アルキル基であり、
Siは、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基である。]
で表される化合物から形成された表面処理層とを含む物品。
[2] Rは、直鎖のC17-36アルキル基である、上記[1]に記載の物品。
[3] RSiは、下記式(S1)、(S2)、(S3)、又は(S4):
【化2】
[式中:
11は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
12は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n1は、1~3の整数であり;
a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1であり;
は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
21は、それぞれ独立して、-Z1’-SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’であり;
22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
23は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
1’は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
21’は、それぞれ独立して、-Z1”-SiR22” q1”23” r1”であり;
22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
23’は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
1”は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
23”は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
b1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
c1は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
m1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
d1は、それぞれ独立して、-Z-CR31 p232 q233 r2であり;
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
31は、それぞれ独立して、-Z2’-CR32’ q2’33’ r2’であり;
32は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
2’は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
32’は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
35は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
e1は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
m2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
g1及びRh1は、それぞれ独立して、-Z-SiR11 n112 3-n1、-Z-SiRa1 k1b1 l1c1 m1、-Z-CRd1 k2e1 l2f1 m2であり;
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
ただし、式(S2)、(S3)、及び(S4)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。]
で表される基である、上記[1]又は[2]に記載の物品。
[4] 前記加水分解性基は、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、又は-NCO(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)である、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の物品。
[5] 前記ガラスと表面処理層との間に、酸化ケイ素を含む中間層を含む、上記[1]~[4]のいずれか1項に記載の物品。
[6] 前記中間層は、アルカリ金属原子を含む、上記[5]に記載の物品。
[7] 前記アルカリ金属原子の少なくとも一部がナトリウムである、上記[6]に記載の物品。
[8] 前記表面処理層の厚さは、15nm以下である、上記[1]~[7]のいずれか1項に記載の物品。
[9] 前記表面処理層は、前記式(1)で表される化合物、及び低分子のシリコーン溶媒を含む表面処理剤で前記ガラスを処理することにより形成される、上記[1]~[8]のいずれか1項に記載の物品。
[10] 前記表面処理剤は、R71OR72、R73 n86-n8、R747576Si-(O-SiR7778m8-R79、及び(OSiR7778m9
[式中
71~R79は、それぞれ独立して、炭素数1~10個の一価の有機基であり、
m8は、1~6の整数であり、
m9は、4~8の整数であり、
n8は、0~6の整数である。]
で表される化合物から選択される溶媒を含む、上記[9]に記載の物品。
[11] 前記溶媒は、R747576Si-(O-SiR7778m8-R79である、上記[10]に記載の物品。
[12] 前記溶媒は、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、又はデカメチルシクロペンタシロキサンである、上記[10]又は[11]に記載の物品。
[13] 前記表面処理層は、前記表面処理剤を蒸着処理することにより形成される、上記[1]~[12]のいずれか1項に記載の物品。
[14] 光学部材である、上記[1]~[13]のいずれか1項に記載の物品。
[15] 式(1):
【化3】
[式中:
は、直鎖のC11-36アルキル基であり、
は、単結合、又は、-CO-、-COO-、-NR-、-CONR-、-OCONR-、-NR-CO-NR-、-O-もしくは-S-を含む2価の基であり、
は、水素原子又はC1-6アルキル基であり、
Siは、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子を含む基である。]
で表される化合物。
[16] Rは、直鎖のC17-36アルキル基である、上記[15]に記載の化合物。
[17] RSiは、下記式(S1)、(S2)、(S3)、又は(S4):
【化4】
[式中:
11は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
12は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n1は、1~3の整数であり;
a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1であり;
は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
21は、それぞれ独立して、-Z1’-SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’であり;
22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
23は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
1’は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
21’は、それぞれ独立して、-Z1”-SiR22” q1”23” r1”であり;
22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
23’は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
1”は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
23”は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
b1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
c1は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
m1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
d1は、それぞれ独立して、-Z-CR31 p232 q233 r2であり;
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
31は、それぞれ独立して、-Z2’-CR32’ q2’33’ r2’であり;
32は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
2’は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
32’は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
35は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
e1は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
m2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
g1及びRh1は、それぞれ独立して、-Z-SiR11 n112 3-n1、-Z-SiRa1 k1b1 l1c1 m1、-Z-CRd1 k2e1 l2f1 m2であり;
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
ただし、式(S2)、(S3)、及び(S4)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。]
で表される基である、上記[15]又は[16]に記載の化合物。
[18] 前記加水分解性基は、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、又は-NCO(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)である、上記[15]~[17]のいずれか1項に記載の化合物。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、より高い摩擦耐久性を有する表面処理層を備える物品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書において用いられる場合、「1価の有機基」とは、炭素を含有する1価の基を意味する。1価の有機基としては、特に限定されないが、炭化水素基又はその誘導体であり得る。炭化水素基の誘導体とは、炭化水素基の末端又は分子鎖中に、1つ又はそれ以上のN、O、S、Si、アミド、スルホニル、シロキサン、カルボニル、カルボニルオキシ等を有している基を意味する。尚、単に「有機基」と示す場合、1価の有機基を意味する。また、「2価の有機基」とは、炭素を含有する2価の基を意味する。かかる2価の有機基としては、例えば、有機基からさらに1個の水素原子を脱離させた2価の基が挙げられる。3価以上の有機基も同様に、有機基から所定の数の水素原子を脱離させた基を意味する。
【0008】
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」とは、炭素及び水素を含む基であって、炭化水素から水素原子を脱離させた基を意味する。かかる炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、C1-20炭化水素基、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。上記「脂肪族炭化水素基」は、直鎖状、分枝鎖状又は環状のいずれであってもよく、飽和又は不飽和のいずれであってもよい。また、炭化水素基は、1つ又はそれ以上の環構造を含んでいてもよい。炭化水素基は、1つ又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0009】
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、1個又はそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員環のヘテロシクリル基、5~10員環の不飽和ヘテロシクリル基、C6-10アリール基及び5~10員環のヘテロアリール基から選択される1個又はそれ以上の基が挙げられる。
【0010】
本明細書において用いられる場合、「加水分解性基」とは、加水分解反応を受け得る基を意味し、すなわち、加水分解反応により、化合物の主骨格から脱離し得る基を意味する。加水分解性基の例としては、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、又は-NCO(これら式中、Rは、置換または非置換の炭素数1~4のアルキル基を示す)などが挙げられ、好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rの例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
【0011】
本開示の物品は、ガラスと、下記式(1):
【化5】
[式中:
は、直鎖のC11-36アルキル基であり、
は、単結合、又は、-CO-、-COO-、-NR-、-CONR-、-OCONR-、-NR-CO-NR-、-O-もしくは-S-を含む2価の基であり、
は、水素原子又はC1-6アルキル基であり、
Siは、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基である。]
で表される化合物から形成された表面処理層とを含む。
【0012】
本開示の物品に含まれる表面処理層は、高い摩耗耐久性及び指紋拭き取り性の双方を有する。また、上記表面処理層は、使用する表面処理剤の組成にもよるが、さらに、撥水性、撥油性、防汚性、防水性(電子部品等への水の浸入を防止する)、表面滑り性(又は潤滑性、例えば指に対する優れた触感)、耐薬品性などを有し得る。
【0013】
上記表面処理層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは15nm以下、例えば1~15nm、1~13nm、又は1~10nmであり得る。
【0014】
一の態様において、本開示の物品は、ガラスと表面処理層との間に、酸化ケイ素を含む中間層を含んでいてもよい。かかる中間層を設けることにより、ガラスと表面処理層との密着性が向上し、耐久性が向上する。
【0015】
好ましい態様において、上記中間層は、酸化ケイ素に加え、アルカリ金属原子を含んでいてもよい。
【0016】
上記アルカリ金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。上記アルカリ金属原子は、好ましくはナトリウムである。
【0017】
中間層の厚さは、特に限定されないが、1~200nmが好ましく、1~20nmが特に好ましい。中間層の厚さを上記範囲の下限値以上とすることにより、中間層による接着性の向上効果がより大きくなる。
【0018】
中間層におけるアルカリ金属原子濃度は各種表面分析装置、たとえばTOF-SIMS、XPS、XRFなどで測定できる。
【0019】
中間層全体の全原子に占めるアルカリ金属原子の割合は、イオンスパッタリングによるXPS深さ方向分析で得ることができ、XPSによる測定とXPS装置に内蔵されたイオン銃を用いたイオンスパッタリングによる表面のエッチングとを交互に繰り返すことによって行われる。
【0020】
中間層において、表面処理層と接する面からの深さが1nm以下の領域におけるアルカリ金属の濃度の平均値は、イオンスパッタリングによるTOF-SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析法)深さ方向分析により、アルカリ金属原子の濃度の深さ方向プロファイルを得た後、該プロファイルにおけるアルカリ金属原子濃度の平均値を算出することによって求められる。イオンスパッタリングによるTOF-SIMS深さ方向分析は、TOF-SIMSによる測定とTOF-SIMS装置に内蔵されたイオン銃を用いたイオンスパッタリングによる表面のエッチングとを交互に繰り返すことによって行われる。
【0021】
本開示の物品は、特に限定されるものではないが、光学部材であり得る。光学部材の例には、次のものが挙げられる:眼鏡などのレンズ;PDP、LCDなどのディスプレイの前面保護板、反射防止板、偏光板、アンチグレア板;携帯電話、携帯情報端末などの機器のタッチパネルシート;ブルーレイ(Blu-ray(登録商標))ディスク、DVDディスク、CD-R、MOなどの光ディスクのディスク面;光ファイバー;時計の表示面など。
【0022】
また、本開示の物品は、医療機器又は医療材料であってもよい。また、本開示によって得られる表面処理層を有する物品は、自動車内外装部材であってもよい。外装材の例には、次のものが挙げられる:ウィンドウ、ライトカバー、車外カメラカバー。内装材の例には、次のものが挙げられる:インパネカバー、ナビゲーションシステムタッチパネル、加飾内装材。
【0023】
は、直鎖のC11-36アルキル基である。
【0024】
一の態様において、XにおいてRに結合する原子が炭素原子以外の原子である場合、炭素数の下限は、好ましくは16、より好ましくは18、さらに好ましくは19、例えば21、又は23であり得る。炭素数の上限は、好ましくは32、より好ましくは28、例えば26又は23であり得る。Rは、好ましくは直鎖のC18-36アルキル基、より好ましくはC18-23アルキル基であり得る。
【0025】
一の態様において、XにおいてRに結合する原子が炭素原子である場合、Rの炭素数の下限は、好ましくは15、より好ましくは17、さらに好ましくは18、例えば20、又は22であり得る。炭素数の上限は、好ましくは31、より好ましくは27、例えば25又は22であり得る。Rは、好ましくは直鎖のC17-35アルキル基、より好ましくはC17-22アルキル基であり得る。
【0026】
は、主に撥水性等の機能を提供するアルキル部(R)と基材との結合能を提供するシラン部(RSi)とを連結するリンカーと解される。従って、Xは、式(1)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、特に限定されない。
【0027】
は、単結合、又は、-CO-、-COO-、-NR-、-CONR-、-OCONR-、-NR-CO-NR-、-O-もしくは-S-を含む2価の基であり、Rは、水素原子又はC1-6アルキル基である。
【0028】
におけるC1-6アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、上記C1-6アルキル基は、直鎖である。別の態様において、上記C1-6アルキル基は、分枝鎖である。上記C1-6アルキル基は、好ましくはC1-4アルキル基、より好ましくはC1-3アルキル基、さらに好ましくはメチル基又はエチル基、特に好ましくはメチル基である。
【0029】
一の態様において、Rは、水素原子である。
【0030】
一の態様において、Xは、単結合である。
【0031】
別の態様において、Xは、-CO-、-COO-、-NR-、-CONR-、-OCONR-、-NR-CO-NR-、-O-もしくは-S-を含む2価の基である。
【0032】
上記2価の基は、好ましくは下記式:
-X11-X12
[式中:
11は、-CO-、-COO-、-NR-、-CONR-、-OCONR-、-NR-CO-NR-、-O-又は-S-であり、
は、水素原子又はC1-6アルキル基であり、
12は、単結合、又はC1-6アルキレン基である。]
で表される基である。
【0033】
11は、好ましくは-CO-、-CONR-、又は-OCONR-である。Rは、好ましくは水素原子である。
【0034】
一の態様において、X12は、単結合である。
【0035】
別の態様において、X12は、又はC1-6アルキレン基である。
【0036】
12における又はC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、上記C1-6アルキレン基は、直鎖である。別の態様において、上記C1-6アルキレン基は、分枝鎖である。上記C1-6アルキレン基は、好ましくはC1-4アルキレン基、より好ましくはC1-3アルキレン基である。
【0037】
-X11-X12-は、好ましくは-CO-、-CONR-X12-である。Rは、好ましくは水素原子である。X12は、好ましくはC1-6アルキレン基である。
【0038】
Siは、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基である。
【0039】
Siは、好ましくは、下記式(S1)、(S2)、(S3)、又は(S4):
【化6】
[式中:
11は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
12は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n1は、1~3の整数であり;
a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1であり;
は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
21は、それぞれ独立して、-Z1’-SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’であり;
22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
23は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
1’は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
21’は、それぞれ独立して、-Z1”-SiR22” q1”23” r1”であり;
22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
23’は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
1”は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
23”は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
b1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
c1は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
m1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
d1は、それぞれ独立して、-Z-CR31 p232 q233 r2であり;
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
31は、それぞれ独立して、-Z2’-CR32’ q2’33’ r2’であり;
32は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
2’は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
32’は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
35は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
e1は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
m2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
g1及びRh1は、それぞれ独立して、-Z-SiR11 n112 3-n1、-Z-SiRa1 k1b1 l1c1 m1、-Z-CRd1 k2e1 l2f1 m2であり;
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
ただし、式(S2)、(S3)、及び(S4)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。]
で表される基である
【0040】
11は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0041】
11は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0042】
11は、好ましくは、それぞれ独立して、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、又は-NCO(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rは、メチル基であり、別の態様において、Rは、エチル基である。
【0043】
12は、それぞれ独立して、1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0044】
12において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0045】
上記式中、n1は、1~3の整数、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
【0046】
a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1である。
【0047】
は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Zとして記載する構造は、右側が(SiR21 p122 q123 r1)に結合する。
【0048】
好ましい態様において、Zは、2価の有機基である。
【0049】
好ましい態様において、Zは、Zが結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S2)において、(Si-Z-Si)は、シロキサン結合を含まない。
【0050】
は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz1-O-(CHz2-(式中、z1は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz3-フェニレン-(CHz4-(式中、z3は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0051】
好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基又は-(CHz3-フェニレン-(CHz4-、好ましくは-フェニレン-(CHz4-である。
【0052】
別の好ましい態様において、Zは、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Zは、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCH-であり得る。
【0053】
21は、それぞれ独立して、-Z1’-SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’である。
【0054】
1’は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Z1’として記載する構造は、右側が(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)に結合する。
【0055】
好ましい態様において、Z1’は、2価の有機基である。
【0056】
好ましい態様において、Z1’は、Z1’が結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S2)において、(Si-Z1’-Si)は、シロキサン結合を含まない。
【0057】
1’は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz1’-O-(CHz2’-(式中、z1’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz3’-フェニレン-(CHz4’-(式中、z3’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0058】
好ましい態様において、Z1’は、C1-6アルキレン基又は-(CHz3’-フェニレン-(CHz4’-、好ましくは-フェニレン-(CHz4’-である。
【0059】
別の好ましい態様において、Z1’は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z1’は、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Z1’は、-CHCH-であり得る。
【0060】
上記R21’は、それぞれ独立して、-Z1”-SiR22” q1”23” r1”である。
【0061】
上記Z1”は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Z1”として記載する構造は、右側が(SiR22” q1”23” r1”)に結合する。
【0062】
好ましい態様において、Z1”は、2価の有機基である。
【0063】
好ましい態様において、Z1”は、Z1”が結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S2)において、(Si-Z1”-Si)は、シロキサン結合を含まない。
【0064】
1”は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz1”-O-(CHz2”-(式中、z1”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz3”-フェニレン-(CHz4”-(式中、z3”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0065】
好ましい態様において、Z1”は、C1-6アルキレン基又は-(CHz3”-フェニレン-(CHz4”-、好ましくは-フェニレン-(CHz4”-である。Z1”がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0066】
別の好ましい態様において、Z1”は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z1”は、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Z1”は、-CHCH-であり得る。
【0067】
上記R22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0068】
上記R22”は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0069】
上記R22”は、好ましくは、それぞれ独立して、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、又は-NCO(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rは、メチル基であり、別の態様において、Rは、エチル基である。
【0070】
23”は、それぞれ独立して、1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0071】
23”において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0072】
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、上記r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、q1”とr1”の合計は、(SiR22” q1”23” r1”)単位において、3である。
【0073】
q1”は、(SiR22” q1”23” r1”)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0074】
22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0075】
22’は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0076】
22’は、好ましくは、それぞれ独立して、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、又は-NCO(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rは、メチル基であり、別の態様において、Rは、エチル基である。
【0077】
23’は、それぞれ独立して、1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0078】
23’において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0079】
p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p’、q1’及びr1’の合計は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位において、3である。
【0080】
一の態様において、p1’は、0である。
【0081】
一の態様において、p1’は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、又は3であってもよい。好ましい態様において、p1’は、3である。
【0082】
一の態様において、q1’は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
【0083】
一の態様において、p1’は0であり、q1’は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
【0084】
22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0085】
22は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0086】
22は、好ましくは、それぞれ独立して、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、又は-NCO(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rは、メチル基であり、別の態様において、Rは、エチル基である。
【0087】
上記R23は、それぞれ独立して、1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0088】
23において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0089】
上記p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、r1は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p1、q1とr1の合計は、(SiR21 p122 q123 r1)単位において、3である。
【0090】
一の態様において、p1は、0である。
【0091】
一の態様において、p1は、(SiR21 p122 q123 r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、又は3であってもよい。好ましい態様において、p1は、3である。
【0092】
一の態様において、q1は、(SiR21 p122 q123 r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
【0093】
一の態様において、p1は0であり、q1は、(SiR21 p122 q123 r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
【0094】
式中、Rb1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0095】
b1は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0096】
b1は、好ましくは、それぞれ独立して、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、又は-NCO(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rは、メチル基であり、別の態様において、Rは、エチル基である。
【0097】
式中、Rc1は、それぞれ独立して、1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0098】
c1において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0099】
k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、m1は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、k1、l1とm1の合計は、(SiRa1 k1b1 l1c1 m1)単位において、3である。
【0100】
一の態様において、k1は、(SiRa1 k1b1 l1c1 m1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。好ましい態様において、k1は、3である。
【0101】
式(S2)において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
【0102】
好ましい態様において、式(S2)の末端部分において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
【0103】
好ましい態様において、式(S2)で表される基は、-Z-SiR22 q123 r1(式中、q1は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3であり、r1は、0~2の整数である。)、-Z1’-SiR22’ q1’23’ r1’(式中、q1’は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3であり、r1’は、0~2の整数である。)、又は-Z1”-SiR22” q1”23” r1”(式中、q1”は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3であり、r1”は、0~2の整数である。)のいずれか1つを有する。Z、Z1’、Z1”、R22、R23、R22’、R23’、R22”、及びR23”は、上記と同意義である。
【0104】
好ましい態様において、式(S2)において、R21’が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR21’において、q1”は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0105】
好ましい態様において、式(S2)において、R21が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR21において、p1’は、0であり、q1’は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0106】
好ましい態様において、式(S2)において、Ra1が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのRa1において、p1は、0であり、q1は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0107】
好ましい態様において、式(S2)において、k1は2又は3、好ましくは3であり、p1は0であり、q1は2又は3、好ましくは3である。
【0108】
d1は、それぞれ独立して、-Z-CR31 p232 q233 r2である。
【0109】
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Zとして記載する構造は、右側が(CR31 p232 q233 r2)に結合する。
【0110】
好ましい態様において、Zは、2価の有機基である。
【0111】
好ましい態様において、Zは、シロキサン結合を含まない。
【0112】
は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz5-O-(CHz6-(式中、z5は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz7-フェニレン-(CHz8-(式中、z7は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0113】
好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基又は-(CHz7-フェニレン-(CHz8-、好ましくは-フェニレン-(CHz8-である。Zがかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0114】
別の好ましい態様において、上記Zは、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Zは、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCH-であり得る。
【0115】
31は、それぞれ独立して、-Z2’-CR32’ q2’33’ r2’である。
【0116】
2’は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Z2’として記載する構造は、右側が(CR32’ q2’33’ r2’)に結合する。
【0117】
好ましい態様において、Z2’は、シロキサン結合を含まない。
【0118】
2’は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz5’-O-(CHz6’-(式中、z5’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz7’-フェニレン-(CHz8’-(式中、z7’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0119】
好ましい態様において、Z2’は、C1-6アルキレン基又は-(CHz7’-フェニレン-(CHz8’-、好ましくは-フェニレン-(CHz8’-である。Z2’がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0120】
別の好ましい態様において、上記Z2’は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z2’は、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Z2’は、-CHCH-であり得る。
【0121】
32’は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2である。
【0122】
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Zとして記載する構造は、右側が(SiR34 n235 3-n2)に結合する。
【0123】
一の態様において、Zは酸素原子である。
【0124】
一の態様において、Zは2価の有機基である。
【0125】
好ましい態様において、Zは、シロキサン結合を含まない。
【0126】
は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz5”-O-(CHz6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0127】
好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基又は-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-、好ましくは-フェニレン-(CHz8”-である。Zがかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0128】
別の好ましい態様において、上記Zは、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Zは、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCH-であり得る。
【0129】
34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0130】
34は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0131】
34は、好ましくは、それぞれ独立して、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rは、メチル基であり、別の態様において、Rは、エチル基である。
【0132】
35は、それぞれ独立して、1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0133】
35において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0134】
n2は、(SiR34 n235 3-n2)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、式(S3)の末端部分においては、n2が1~3である(SiR34 n235 3-n2)単位が少なくとも2つ存在する。換言すれば、式(S3)の末端部分において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
【0135】
n2は、(SiR34 n235 3-n2)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0136】
33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0137】
33’において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基又は-(C2st1-(O-C2st2(式中、sは、1~6の整数、好ましくは2~4の整数であり、t1は1又は0、好ましくは0であり、t2は、1~20の整数、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~6の整数である。)であり、より好ましくはC1-20アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基、特に好ましくはメチル基である。
【0138】
一の態様において、R33’は、水酸基である。
【0139】
別の態様において、R33’は、1価の有機基、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
【0140】
上記q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、上記r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、q2’とr2’の合計は、(CR32’ q2’33’ r2’)単位において、3である。
【0141】
q2’は、(CR32’ q2’33’ r2’)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0142】
32は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2である。かかる-Z-SiR34 n235 3-n2は、上記R32’における記載と同意義である。
【0143】
33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0144】
33において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基又は-(C2st1-(O-C2st2(式中、sは、1~6の整数、好ましくは2~4の整数であり、t1は1又は0、好ましくは0であり、t2は、1~20の整数、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~6の整数である。)であり、より好ましくはC1-20アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基、特に好ましくはメチル基である。
【0145】
一の態様において、R33は、水酸基である。
【0146】
別の態様において、R33は、1価の有機基、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
【0147】
p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、r2は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p2、q2及びr2の合計は、(CR31 p232 q233 r2)単位において、3である。
【0148】
一の態様において、p2は、0である。
【0149】
一の態様において、p2は、(CR31 p232 q233 r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、又は3であってもよい。好ましい態様において、p2は、3である。
【0150】
一の態様において、q2は、(CR31 p232 q233 r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
【0151】
一の態様において、p2は0であり、q2は、(CR31 p232 q233 r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
【0152】
e1は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2である。かかる-Z-SiR34 n235 3-n2は、上記R32’における記載と同意義である。
【0153】
f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0154】
f1において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基又は-(C2st1-(O-C2st2(式中、sは、1~6の整数、好ましくは2~4の整数であり、t1は1又は0、好ましくは0であり、t2は、1~20の整数、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~6の整数である。)であり、より好ましくはC1-20アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基、特に好ましくはメチル基である。
【0155】
一の態様において、Rf1は、水酸基である。
【0156】
別の態様において、Rf1は、1価の有機基、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
【0157】
k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、m2は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、k2、l2及びm2の合計は、(CRd1 k2e1 l2f1 m2)単位において、3である。
【0158】
一の態様において、n2が1~3、好ましくは2又は3、より好ましくは3である(SiR34 n235 3-n2)単位は、式(S3)の各末端部分において、2個以上、例えば2~27個、好ましくは2~9個、より好ましくは2~6個、さらに好ましくは2~3個、特に好ましくは3個存在する。
【0159】
好ましい態様において、式(S3)において、R32’が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR32’において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0160】
好ましい態様において、式(S3)において、R32が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR32において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0161】
好ましい態様において、式(S3)において、Re1が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのRa1において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0162】
好ましい態様において、式(S3)において、k2は0であり、l2は2又は3、好ましくは3であり、n2は、2又は3、好ましくは3である。
【0163】
g1及びRh1は、それぞれ独立して、-Z-SiR11 n112 3-n1、-Z-SiRa1 k1b1 l1c1 m1、-Z-CRd1 k2e1 l2f1 m2である。ここに、R11、R12、Ra1、Rb2、Rc1、Rd1、Re1、Rf1、n1、k1、l1、m1、k2、l2、及びm2は、上記と同意義である。
【0164】
好ましい態様において、Rg1及びRh1は、それぞれ独立して、-Z-SiR11 n112 3-n1である。
【0165】
上記Zは、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Zとして記載する構造は、右側が(SiR11 n112 3-n1)に結合する。
【0166】
一の態様において、Zは酸素原子である。
【0167】
一の態様において、Zは2価の有機基である。
【0168】
好ましい態様において、Zは、シロキサン結合を含まない。
【0169】
は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz5”-O-(CHz6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0170】
好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基又は-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-、好ましくは-フェニレン-(CHz8”-である。Zがかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0171】
別の好ましい態様において、上記Zは、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Zは、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCH-であり得る。
【0172】
一の態様において、式(S1)、(S2)、(S3)、及び(S4)は、シロキサン結合を含まない。
【0173】
一の態様において、RSiは、式(S2)、(S3)、又は(S4)で表される基である。
【0174】
一の態様において、RSiは、式(S3)、(S4)又は(S5)で表される基である。
【0175】
一の態様において、RSiは、式(S1)で表される基である。好ましい態様において、n1は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0176】
一の態様において、RSiは、式(S2)で表される基である。好ましい態様において、式(S2)は、-SiRa1 c1、又は-SiRa1 であり、Ra1は、-Z-SiR22 q123 r1であり、Zは、C1-6アルキレン基、-(CHz1-O-(CHz2-(式中、z1は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、又は、-(CHz3-フェニレン-(CHz4-(式中、z3は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、好ましくはC1-6アルキレン基であり、q1は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0177】
一の態様において、RSiは、式(S3)で表される基である。好ましい態様において、式(S3)は、-CRe1 f1、又は-CRe1 であり、Re1は、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、Zは、C1-6アルキレン基、-(CHz5”-O-(CHz6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、好ましくはC1-6アルキレン基であり、n2は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0178】
一の態様において、RSiは、式(S4)で表される基である。好ましい態様において、Rg1及びRh1は、-Z-SiR11 n112 3-n1であり、Zは、C1-6アルキレン基、-(CHz5”-O-(CHz6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、好ましくはC1-6アルキレン基であり、n1は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0179】
式(1)で表される化合物は、例えば、下記式(1a)
-X1a-R
[式中:
は、直鎖のC11-36アルキル基であり、
1aは、単結合、又は2価の有機基であり、
は、-R61、-CONR61 、-SiR61 、又は-CR61 であり、
61は、末端に二重結合を有するC2-6アルケニル基である。]
で表される化合物を、
下記式(1b)
HSiR63 64 3-m (1b)
[式中、
63は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
64は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
mは、1~3である。]
で表される化合物と反応させることにより得ることができる。
【0180】
別法として、上記式(1a)で表される化合物を、下記式(1c)
HSiCl64 (3-m) 式(1c)
[式中、
64は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
mは、1~3である。]
で表される化合物と反応させた後、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等)またはアルコキシド類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルカリ金属塩等でアルカリ金属はナトリウムやカリウムであり得る)を反応させて得ることができる。
【0181】
本開示の物品のいける表面処理層は、式(1)で表される化合物をガラス表面に適用することにより形成され得る。式(1)で表される化合物は、表面処理剤としてガラス表面に適用され得る。
【0182】
上記表面処理剤は、式(1)で表される少なくとも1種の化合物を含有する。
【0183】
一の態様において、上記表面処理剤は、式(1)で表される化合物のみを含有する。
【0184】
一の態様において、上記の式(1)で表される化合物の含有量は、表面処理剤全体に対して、好ましくは0.1~50.0質量%、より好ましくは1.0~30.0質量%、さらに好ましくは5.0~25.0質量%、特に好ましくは10.0~20.0質量%であり得る。
【0185】
別の態様において、上記の式(1)で表される化合物の含有量は、表面処理剤全体に対して、好ましくは0.001~30質量%、より好ましくは0.01~10質量%、さらに好ましくは0.05~5質量%、特に好ましくは0.05~2質量%であり得る。
【0186】
一の態様において、上記表面処理剤は、本開示のシラン化合物、及び本開示のシラン化合物の少なくとも一部が縮合した縮合体の少なくとも1つを含有する。
【0187】
上記の態様において、上記縮合体の含有量は、上記シラン化合物と上記縮合体の合計に対して、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下であり得る。ここで、上記縮合体の含有量は、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)におけるピーク位置と面積の存在比から求めることができる。
【0188】
上記表面処理剤は、溶媒、シリコーンオイルとして理解され得る(非反応性の)シリコーン化合物(以下、「シリコーンオイル」と言う)、アミン化合物、アルコール類、触媒、界面活性剤、重合禁止剤、増感剤等を含み得る。
【0189】
一の態様において、本開示の表面処理剤は、R90-OHで表される化合物を含む。
90は1価の有機基であり、好ましくはC1-20アルキル基又はC3-20アルキレン基であり、これらの基は1以上の置換基により置換されていてもよい。置換基としては、例えば、水酸基、-OR91(ここで、R91はC1-10アルキル基、好ましくはC1-3アルキル基、例えばメチル基)を挙げることができる。
【0190】
一の態様において、本開示の表面処理剤は、R71OR72、R73 n86-n8、R747576Si-(O-SiR7778m8-R79、及び(OSiR7778m9
[式中
71~R79は、それぞれ独立して、炭素数1~10個の一価の有機基であり、
m8は、1~6の整数であり、
m9は、3~8の整数であり、
n8は、0~6の整数である。]
で表される化合物から選択される溶媒を含み得る。
【0191】
上記炭素数1~10個の一価の有機基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、さらに環状構造を含んでいてもよい。
【0192】
一の態様において、上記炭素数1~10個の一価の有機基は、酸素原子、窒素原子、又はハロゲン原子を含んでいてもよい。
【0193】
別の態様において、上記炭素数1~10個の一価の有機基は、ハロゲン原子を含まない。
【0194】
好ましい態様において、上記炭素数1~10個の一価の有機基は、ハロゲンにより置換されていてもよい炭化水素基、好ましくはハロゲンにより置換されていない炭化水素基である。
【0195】
一の態様において、上記炭化水素基は、直鎖である。
【0196】
別の態様において、上記炭化水素基は、分枝鎖である。
【0197】
別の態様において、上記炭化水素基は、環状構造を含む。
【0198】
一の態様において、上記溶媒は、R71OR72である。
【0199】
71及びR72は、それぞれ独立して、好ましくは炭素数1~8の炭化水素基、より好ましくはC1-6のアルキル基、又はC5-8のシクロアルキル基であり得る。
【0200】
一の態様において、上記溶媒は、R73 n86-n8である。
【0201】
6-n8は、n8価のベンゼン環である。即ち、R73 n86-n8は、n8個のR73により置換されたベンゼンである。
【0202】
73は、それぞれ独立して、ハロゲン、又はハロゲンにより置換されていてもよいC1-6のアルキル基であり得る。
【0203】
n8は、好ましくは1~3の整数である。
【0204】
一の態様において、上記溶媒は、R747576Si-(O-SiR7778m8-R79である。
【0205】
一の態様において、上記溶媒は、(OSiR7778m9である。(OSiR7778m9は、複数のOSiR7778単位が環状に結合することにより形成される環状シロキサンである。
【0206】
74~R79は、それぞれ独立して、水素原子、又はC1-6のアルキル基、好ましくはC1-6のアルキル基、より好ましくはC1-3のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0207】
m8は、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~5の整数であり、さらに好ましくは1~2であ。
【0208】
m9は、好ましくは3~6の整数、より好ましくは3~5の整数である。
【0209】
一の態様において、上記溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル-2-ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチルセルソルブ、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル等のグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、3-ペンタノール、オクチルアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、tert-アミルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環状エーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート;シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類;ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン等のシロキサン類;1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン、ジメチルスルホキシド、1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC225)、ゼオローラH、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、HFE7100、HFE7200、HFE7300、CFCHOH、CFCFCHOH、(CFCHOH等のフッ素含有溶媒等が挙げられる。あるいはこれらの2種以上の混合溶媒等が挙げられる。なかでも、グリコールエーテル類、アルコール類、エーテルアルコール類、シロキサン類が好ましい。例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサンが好ましい。
【0210】
シリコーンオイルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の一般式(3a):
1a-(SiR3a -O)a1-SiR3a -R1a ・・・(3a)
[式中:
1aは、それぞれ独立して、水素原子又は炭化水素基であり、
3aは、それぞれ独立して、水素原子又は炭化水素基であり、
a1は、2~3000である。]
で表される化合物が挙げられる。
【0211】
3aは、それぞれ独立して、水素原子又は炭化水素基である。かかる炭化水素基は、置換されていてもよい。
【0212】
3aは、それぞれ独立して、好ましくは非置換炭化水素基、又はハロゲン原子により置換されている炭化水素基である。かかるハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子である。
【0213】
3aは、それぞれ独立して、好ましくはハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルキル基又はアリール基、より好ましくはC1-6アルキル基又はアリール基である。
【0214】
上記C1-6アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖
である。C1-6アルキル基は、好ましくはC1-3アルキル基、より好ましくはメチル基である。
【0215】
上記アリール基は、好ましくはフェニル基である。
【0216】
一の態様において、R3aは、それぞれ独立して、C1-6アルキル基、好ましくはC1-3アルキル基、より好ましくはメチル基である。
【0217】
別の態様において、R3aは、フェニル基である。
【0218】
別の態様において、R3aは、メチル基又はフェニル基、好ましくはメチル基である。
【0219】
1aは、それぞれ独立して、水素原子又は炭化水素基であり、R3aと同意義である。
【0220】
1aは、それぞれ独立して、好ましくはハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルキル基又はアリール基、より好ましくはC1-6アルキル基又はアリール基である。
【0221】
一の態様において、R1aは、それぞれ独立して、C1-6アルキル基、好ましくはC1-3アルキル基、より好ましくはメチル基である。
【0222】
別の態様において、R1aは、フェニル基である。
【0223】
別の態様において、R1aは、メチル基又はフェニル基、好ましくはメチル基である。
【0224】
上記a1は、2~1500である。a1は、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは15以上、例えば30以上、又は50以上であり得る。a1は、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下、さらに好ましくは200以下、さらにより好ましくは150以下、例えば100以下、又は80以下であり得る。
【0225】
a1は、好ましくは5~1000、より好ましくは10~500、さらに好ましくは15~200、さらにより好ましくは15~150であり得る。
【0226】
別のシリコーンオイルとしては、下記(3b):
1a-RS2-R3a ・・・(3b)
[式中:
1aは、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
3aは、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
S2は、式(2)の記載と同意義である。]
で表される化合物が挙げられる。
【0227】
上記シリコーンオイルは、500~1000000、好ましくは1000~100000の平均分子量を有していてよい。シリコーンオイルの分子量は、GPCを用いて測定し得る。
【0228】
上記シリコーンオイルとしては、例えば-(SiR3a -O)a1―のa1が30以下の直鎖状又は環状のシリコーンオイルを用い得ることができる。直鎖状のシリコーンオイルは、いわゆるストレートシリコーンオイル及び変性シリコーンオイルであってよい。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイルを、アルキル、アラルキル、ポリエーテル、高級脂肪酸エステル、フルオロアルキル、アミノ、エポキシ、カルボキシル、アルコールなどにより変性したものが挙げられる。環状のシリコーンオイルは、例えば環状ジメチルシロキサンオイルなどが挙げられる。
【0229】
上記シリコーンオイルは、上記表面処理剤に対して、例えば0~50質量%、好ましくは0.001~30質量%、より好ましくは0.1~5質量%含まれ得る。
【0230】
上記表面処理剤中、かかるシリコーンオイルは、上記本開示のシラン化合物の合計100質量部(2種以上の場合にはこれらの合計、以下も同様)に対して、例えば0~300質量部、好ましくは0~100質量部、より好ましくは0~50質量部、更に好ましくは0~10質量部で含まれ得る。
【0231】
シリコーンオイルは、表面処理層の表面滑り性を向上させるのに寄与する。
【0232】
上記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、3-ペンタノール、オクチルアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、tert-アミルアルコールが挙げられる。これらのアルコール類を表面処理剤に添加することにより、表面処理剤の安定性を向上させる。
【0233】
上記触媒としては、酸(例えば酢酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、スルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等)、塩基(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等)、遷移金属(例えばTi、Ni、Sn、Zr、Al、B、Si、Ta、Nb、Mo、W、Cr、Hf、V等)、分子構造内に非共有電子対を有する含硫黄化合物、または含窒素化合物(例えばスルホキシド化合物、脂肪族アミン化合物、芳香族アミン化合物、リン酸アミド化合物、アミド化合物、尿素化合物)等が挙げられる。
【0234】
上記脂肪族アミン化合物としては、例えば、ジエチルアミン、トリエチルアミン等を挙げることができる。上記芳香族アミン化合物としては、例えば、アニリン、ピリジン等を挙げることができる。
【0235】
好ましい態様において、上記遷移金属は、M-R(式中、Mは、遷移金属原子であり、Rは加水分解性基である。)で表される遷移金属化合物として含まれる。遷移金属化合物を、遷移金属と加水分解性基とが結合した化合物とすることにより、より効率的に遷移金属原子を表面処理層に含ませることができ、表面処理層の摩擦耐久性および耐薬品性をさらに向上させることができる。
【0236】
上記加水分解性基とは、上記シラン化合物に関する加水分解性基と同様に、加水分解反応を受け得る基を意味し、すなわち、加水分解反応により、遷移金属原子から脱離し得る基を意味する。加水分解性基の例としては、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rは、置換または非置換のC1-4アルキル基を示す)などが挙げられる。
【0237】
好ましい態様において、上記加水分解性基とは、-ORであり、好ましくはメトキシまたはエトキシである。加水分解性基としてアルコキシ基を用いることにより、より効率的に遷移金属原子を表面処理層に含ませることができ、表面処理層の摩擦耐久性および耐薬品性をさらに向上させることができる。
【0238】
一の態様において、上記加水分解性基は、上記したシラン化合物に含まれる加水分解性基と同じであってもよい。シラン化合物と遷移金属化合物における加水分解性基を同じ基とすることにより、かかる加水分解性基が相互に交換された場合であっても、その影響を小さくすることができる。
【0239】
別の態様において、上記加水分解性基は、上記したシラン化合物に含まれる加水分解性基と異なっていてもよい。シラン化合物と遷移金属化合物における加水分解性基を異なるものとすることにより、加水分解の反応性を制御することができる。
【0240】
一の態様において、上記加水分解性基と、上記シラン化合物に含まれる加水分解性基は、表面処理剤中において、相互に入れ替わっていてもよい。
【0241】
好ましい態様において、上記遷移金属化合物は、Ta(OR(式中、Rは置換または非置換のC1-4アルキル基である。)であり、好ましくはTa(OCHCH、又はSi(OR1-m1m’ m1(式中、Rは置換または非置換のC1-4アルキル基であり、Rm’は、C1-4アルキル基であり、m1は、0又は1である。)、好ましくはテトラエトキシシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、又はジメチルジメトキシシランであり得る。
【0242】
上記触媒は、表面処理剤全体に対して、例えば、0.0002質量%以上含まれ得る。上記触媒は、表面処理剤全体に対して、0.02質量%以上含まれることが好ましく、0.04質量%以上含まれることがより好ましい。上記触媒は、表面処理剤全体に対して、例えば、10質量%以下含まれてもよく、特に1質量%以下含まれる。上記表面処理剤は、上記触媒が、上記のような濃度含むことによって、より耐久性の良好な表面処理層の形成に寄与し得る。
【0243】
上記触媒の含有量は、本開示のシラン化合物に対して0~10質量%が好ましく、0~5質量%がより好ましく、0~1質量%が特に好ましい。
【0244】
触媒は、本開示のシラン化合物の加水分解及び脱水縮合を促進し、上記表面処理剤により形成される層の形成を促進する。
【0245】
他の成分としては、上記以外に、例えば、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン等も挙げられる。
【0246】
上記表面処理剤は、上記した成分に加え、不純物として、例えばPt、Rh、Ru、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、トリフェニルホスフィン、NaCl、KCl、シランの縮合物などを微量含み得る。
【0247】
一の態様において、上記表面処理剤は、乾燥被覆法、好ましくは真空蒸着用である。
【0248】
一の態様において、上記表面処理剤は、湿潤被覆法、好ましくは浸漬コーティング用である。
【0249】
上記表面処理剤は、多孔質物質、例えば多孔質のセラミック材料、金属繊維、例えばスチールウールを綿状に固めたものに含浸させて、ペレットとすることができる。当該ペレットは、例えば、真空蒸着に用いることができる。
【0250】
本開示の物品は、基材(ガラス)の表面に、式(1)で表される化合物を含む表面処理剤の層を形成し、この層を必要に応じて後処理し、これにより、本開示の表面処理剤から層を形成することにより製造することができる。
【0251】
上記表面処理剤の層形成は、上記表面処理剤を基材の表面に対して、該表面を被覆するように適用することによって実施できる。被覆方法は、特に限定されない。例えば、湿潤被覆法及び乾燥被覆法を使用できる。
【0252】
湿潤被覆法の例としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、ワイプコーティング、スキージーコート法、ダイコート、インクジェット、キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法及び類似の方法が挙げられる。
【0253】
乾燥被覆法の例としては、蒸着(通常、真空蒸着)、スパッタリング、CVD及び類似の方法が挙げられる。蒸着法(通常、真空蒸着法)の具体例としては、抵抗加熱、電子ビーム、マイクロ波等を用いた高周波加熱、イオンビーム及び類似の方法が挙げられる。CVD方法の具体例としては、プラズマ-CVD、光学CVD、熱CVD及び類似の方法が挙げられる。
【0254】
更に、常圧プラズマ法による被覆も可能である。
【0255】
湿潤被覆法を使用する場合、表面処理剤は、溶媒で希釈されてから基材表面に適用され得る。表面処理剤の安定性及び溶媒の揮発性の観点から、次の溶媒が好ましく使用される:ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル-2-ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチルセルソルブ、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル等のグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、3-ペンタノール、オクチルアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、tert-アミルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環状エーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート;ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、C13CHCH(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AC-6000)、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン(例えば、日本ゼオン株式会社製のゼオローラ(登録商標)H);ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7000)、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7100)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7200)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7300)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基及びアルキル基は直鎖又は分枝状であってよい)、あるいはCFCHOCFCHF(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AE-3000))、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテルアルコール類;ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン等のシロキサン類など。これらの溶媒は、単独で、又は、2種以上の混合物として用いることができる。なかでも、グリコールエーテル類、アルコール類、エーテルアルコール類、シロキサン類が好ましい。例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサンが特に好ましい。
【0256】
乾燥被覆法を使用する場合、本開示の表面処理剤は、そのまま乾燥被覆法に付してもよく、又は、上記した溶媒で希釈してから乾燥被覆法に付してもよい。
【0257】
表面処理剤の層形成は、層中で本開示の表面処理剤が、加水分解及び脱水縮合のための触媒と共に存在するように実施することが好ましい。簡便には、湿潤被覆法による場合、本開示の表面処理剤を溶媒で希釈した後、基材表面に適用する直前に、本開示の表面処理剤の希釈液に触媒を添加してよい。乾燥被覆法による場合には、触媒添加した本開示の表面処理剤をそのまま蒸着(通常、真空蒸着)処理するか、あるいは鉄や銅などの金属多孔体に、触媒添加した本開示の表面処理剤を含浸させたペレット状物質を用いて蒸着(通常、真空蒸着)処理をしてもよい。
【0258】
触媒には、任意の適切な酸又は塩基、遷移金属(例えばTi、Ni、Sn、Zr、Al、B等)、分子構造内に非共有電子対を有する含硫黄化合物、または含窒素化合物(例えばスルホキシド化合物、脂肪族アミン化合物、芳香族アミン化合物、リン酸アミド化合物、アミド化合物、尿素化合物)等を使用できる。酸触媒としては、例えば、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、スルホン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などを使用できる。また、塩基触媒としては、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン等の有機アミン類などを使用できる。遷移金属、脂肪族アミン化合物、及び芳香族アミン化合物は、上記と同様のものが挙げられる。
【0259】
上記した酸化ケイ素を含む中間層は、酸化ケイ素前駆体を基材の表面に適用することにより形成することができる。中間層がアルカリ金属原子を含む場合、上記中間層は、酸化ケイ素前駆体とアルカリ金属源を含む組成物を基材の表面に適用することにより形成することができる。
【0260】
上記酸化ケイ素前駆体としては、ケイ酸、ケイ酸の部分縮合物、アルカリ金属ケイ酸塩、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシラン化合物、該シラン化合物の部分加水分解縮合物等が挙げられる。ケイ酸やその部分縮合物は脱水縮合させて酸化ケイ素とすることができ、アルカリ金属ケイ酸塩は酸や陽イオン交換樹脂によりケイ酸やその部分縮合物とし、生成したケイ酸やその部分縮合物を脱水縮合させて酸化ケイ素とすることができる。ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシラン化合物における加水分解性基としては、アルコキシ基、塩素原子等が挙げられる。該シラン化合物の加水分解性基を加水分解させて水酸基とし、生成するシラノール化合物を脱水縮合させて酸化ケイ素とすることができる。ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシラン化合物としては、テトラアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン等のアルコキシシランやテトラクロロシラン等が挙げられる。
【0261】
上記アルカリ金属源としては、アルカリ金属水酸化物、水溶性アルカリ金属塩等が挙げられる。水溶性アルカリ金属塩としては、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属塩酸塩、アルカリ金属硝酸塩等が挙げられる。アルカリ金属源としては、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属炭酸塩が好ましい。
【0262】
尚、アルカリ金属ケイ酸塩は酸化ケイ素前駆体かつアルカリ金属源として用いることができる。アルカリ金属ケイ酸塩はケイ酸を経て酸化ケイ素とすることができるが、その際に少量のアルカリ金属が生成する酸化ケイ素中に残留し得る。従って、残留するアルカリ金属原子の量を調整して、所定量のアルカリ金属原子を含む酸化ケイ素を得ることができる。
【0263】
以上、本開示の物品等について詳述した。なお、本開示の物品等は、上記で例示したものに限定されない。
【実施例0264】
以下、本開示について、実施例において説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
【0265】
<合成例>
合成例1
トリコサン酸(2.16g)、2,2-ジアリル-4-ペンテン-1-アミン(5.5g)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(1.85g)、4-ジメチルアミノピリジン(83.2mg)、およびジクロロメタン(21.6g)を混合し、室温で終夜撹拌した。ジクロロメタンで希釈し、塩酸および水で洗浄した後、減圧濃縮することで、CH(CH21CONHCHC(CHCH=CH(1.89g)を得た。
【0266】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.84-0.88 (m,), 1.23-27 (m), 1.57-59 (m), 2.24-2.27 (m), 3.82-3.94 (m) 5.05-5.14 (m), 5.51-5.60 (m), 5.80-5.93 (m)
【0267】
CH(CH21-CONHCHC(CHCH=CH(3g)、トルエン(20mL)、カールシュテッド触媒のキシレン溶液(2%、1.8mL)、アニリン(0.3g)、およびトリメトキシシラン(10.0mL)を混合し、室温で終夜撹拌した後、減圧濃縮することで、CH(CH21-CONHCHC{CHCHCHSi(OCH)}(3.2g、化合物1)を得た。
【0268】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.84-0.88 (m,), 1.23-27 (m), 1.57-59 (m), 2.24-2.27 (m),3.01-3.10(m) 3.82-3.94 (m)
【0269】
合成例2
トリコサン酸(2.16g)、ジアリルアミン(1.47g)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(1.85g)、4-ジメチルアミノピリジン(83.2mg)、およびジクロロメタン(21.6g)を混合し、室温で終夜撹拌した。ジクロロメタンで希釈し、塩酸および水で洗浄した後、減圧濃縮することで、CH(CH21CON(CHCH=CH(1.39g)を得た。
【0270】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.86-0.90 (m), 1.25-1.29 (m), 1.62-1.67 (m), 2.17-2.21 (m), 3.87-3.91 (m), 5.12-5.21 (m), 5.44 (m), 5.79-5.89 (m)
【0271】
CH(CH21-CON(CHCH=CH(2.1g)、トルエン(20mL)、カールシュテッド触媒のキシレン溶液(2%、1.8mL)、アニリン(0.3g)、およびトリメトキシシラン(6.3mL)を混合し、室温で終夜撹拌した後、減圧濃縮することで、CH(CH21-CON{CHCHCHSi(OCH(2.2g、化合物2)を得た。
【0272】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.83-0.92 (m), 1.22-26 (m), 1.56-1.65 (m), 2.20-2.26(m), 3.15-3.27 (m), 3.53-3.67 (m)
【0273】
合成例3
ステアロイルクロライド(5.1g)、ジアリルアミン(3.2g)、およびジクロロメタン(15mL)を混合し、室温で終夜撹拌した。ジクロロメタンで希釈し、塩酸および水で洗浄した後、減圧濃縮することで、C1735-CON(CHCH=CH(4.8g)を得た。
【0274】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.81-0.83 (m), 1.21-24 (m), 1.54-1.60 (m), 2.24-2.27 (m), 3.82-3.94 (m), 5.05-5.23 (m), 5.35 (m), 5.68-5.84 (m)
【0275】
1735-CON(CHCH=CH(3.1g)、トルエン(20mL)、カールシュテッド触媒のキシレン溶液(2%、1.8mL)、アニリン(0.3g)、およびトリメトキシシラン(6.3mL)を混合し、室温で終夜撹拌した後、減圧濃縮することで、C1735-CON{CHCHCHSi(OCH(3.2g、化合物3)を得た。
【0276】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.83-0.92 (m), 1.22-26 (m), 1.56-1.65 (m), 2.20-2.26(m), 3.15-3.27 (m), 3.53-3.67 (m)
【0277】
合成例4
ステアリルアルコール(2.00g)、(3-イソシアナトプロピル)トリメトキシシラン(1.70mL)、ジラウリン酸ジブチルスズ(58.9mg)、およびジクロロメタン(14.8mL)を混合し、室温で終夜撹拌した。その後、減圧濃縮し、ヘキサメチルジシロキサンで洗浄することで、CH(CH17OCONHCHCHCHSi(OCH(3.0g、化合物4)を得た。
【0278】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.61-0.70 (m), 0.85-0.88 (t), 1.21-1.28 (m), 1.56-1.64 (m), 3.10-3.16 (m), 3.47-3.73 (m) , 4.00-4.03 (t)
【0279】
合成例5
ステアリン酸クロリドを5.13g、トルエンを5.7mL、2アリル-ペント-4-エ二ルアミンを2.60g、それぞれ混合したのち、室温で終夜攪拌した。その後、クロロホルムで希釈し、3Nの塩酸で洗浄したあと、減圧濃縮することで中間体A3.98gを得た。
【0280】
中間体A
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.855 (t), 1.086-1.379 (m), 1.574-1.608 (m), 1.680-1.760 (m), 1.987-2.091 (m), 2.133 (t), 3.195(t), 5.013-5.5.163 (m), 5.479 (br), 5.714-5.818 (m)
【0281】
合成例6
中間体Aを3.98g、トルエンを50mL、ピリジンを0.30mL、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を2.3mL、それぞれ加えた後、トリメトキシシランを23mL仕込み、室温で終夜撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有する化合物5(8.55g,)を得た。
【0282】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.025-0.159 (m), 0.629(t), 0.881 (t), 1.183-1.323 (m), 1.374-1.541 (m), 1.662 (quin), 2.154 (t), 3.184 (t), 3.557-3.575 (m), 5.524 (t)
【0283】
化合物5
【0284】
合成例7
ステアリン酸クロリド(5g)、アリルアミン(2.5mL)、およびジクロロメタン(15mL)を混合し、室温で終夜撹拌した。ジクロロメタンで希釈し、塩酸および水で洗浄した後、減圧濃縮することで、C1735-CONHCHCHCH=CH(5.0g)を得た。
【0285】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.85-0.88 (m, 3H), 1.23-27 (m, 28H), 1.60-1.70 (m, 2H), 2.15-2.22 (m, 2H), 3.85-3.89 (m,2H), 5.01-5.15 (m, 2H), 5.78-5.86 (m, 1H).
【0286】
1735-CONHCHCHCH=CH(5g)、トルエン(70mL)、カールシュテッド触媒のキシレン溶液(2%、3.5mL)、アニリン(0.5g)、およびトリメトキシシラン(5.9mL)を混合し、室温で終夜撹拌した後、減圧濃縮することで、C1735-CONH-CHCHCHSi(OCH(化合物6,6.3g)を得た。
【0287】
合成例8
トリコサン酸(2.16g)、アリルアミン(1.47g)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(1.85g)、4-ジメチルアミノピリジン(83.2mg)、およびジクロロメタン(21.6g)を混合し、室温で終夜撹拌した。ジクロロメタンで希釈し、塩酸および水で洗浄した後、減圧濃縮することで、CH(CH21CONHCHCH=CHを1.39g得た。
【0288】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.86-0.90 (m), 1.25-1.29 (m), 1.62-1.67 (m), 2.17-2.21 (m), 3.87-3.91 (m) 3.87-3.91 (m) , 5.12-5.21 (m), 5.44 (m), 5.79-5.89 (m)
【0289】
上記で得られたCH(CH21CONHCHCH=CHを1.0g、トルエンを3.0g、ピリジンを0.1mL、カールシュテッド触媒のキシレン溶液(2%、0.3mL)、それぞれ加えた後、トリメトキシシランを1.0mL仕込み、室温で終夜撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有するCH(CH21CONHCHCHCHSi(OCH(化合物7,1.10g)を得た。
【0290】
化合物7
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.014-0.146 (m), 0.49-0.59 (m), 0.63-0.69 (m), 0.86-0.95 (m), 1.16-1.40 (m), 1.47-1.67 (m) , 2.12-2.17 (m), 3.19-3.27 (m), 3.57-3.64 (m)
【0291】
実施例で使用したデシルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オルトケイ酸テトラエチル及び溶媒のヘキサメチルジシロキサン、エタノール、酢酸エチルは東京化成工業社製から購入して用いた。
【0292】
上記の化合物を、表1に示す溶媒で所定の濃度に希釈し、表面処理剤1~8を得た。
【0293】
<Na入り中間層形成材料の調製>
水酸化ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)の2.2gを、蒸留水24gに溶解して、8.4質量%の水酸化ナトリウム水溶液を得た。この8.4質量%の水酸化ナトリウム水溶液の24gとMSゲル(M.S.GEL D-100-60A(AGCエスアイテック社製))の20gとを混合して、水酸化ナトリウム水溶液をMSゲル中に吸収させた。水酸化ナトリウム水溶液を吸収したMSゲルを25℃で8時間乾燥した後、錠剤成形機(4MPaで1分)で成形し、1,000℃で1時間焼成して成形体1(ペレット)を得た。
【0294】
<表面処理層の形成>
実施例1
表面処理剤1を、化学強化ガラス(コーニング社製、ゴリラガラス、厚さ0.7mm)上に真空蒸着した。具体的には、真空蒸着装置内のモリブデン製ボートに表面処理剤0.1gを充填し、真空蒸着装置内を圧力3.0×10-3Pa以下に排気した。その後、成形体1を用いて電子線蒸着方式により蒸着させて、7nmの厚さのNaを含む二酸化ケイ素膜を形成し、続いて抵抗加熱方式によりボートを加熱することで表面処理層を形成した。その後、オーブンで150℃、2時間の加熱処理を行うことにより、表面処理層を得た。
【0295】
実施例2
表面処理剤を表面処理剤2に変更した以外は実施例1と同様に表面処理層を得た。
【0296】
実施例3
表面処理剤を表面処理剤3に変更した以外は実施例1と同様に表面処理層を得た。
【0297】
実施例4
表面処理剤4を化学強化ガラス(コーニング社製、ゴリラガラス、厚さ0.7mm)上にスピンコート処理した。具体的には、真空蒸着装置にて、二酸化ケイ素を7nmの厚さで蒸着させて二酸化ケイ素膜を形成した基材を、10分間のUVオゾン処理を実施し親水化した後に、表面処理剤4を3000rpmで30秒間スピンコートを行った。その後、オーブンで150℃、2時間の加熱処理を行うことにより、表面処理層を得た。
【0298】
実施例5
表面処理剤を表面処理剤5に変更した以外は実施例4と同様に表面処理層を得た。
【0299】
実施例6
表面処理剤を表面処理剤6に変更した以外は実施例1と同様に表面処理層を得た。
【0300】
実施例7
表面処理剤を表面処理剤7に変更した以外は実施例4と同様に表面処理層を得た。
【0301】
実施例8
表面処理剤を表面処理剤11に変更した以外は実施例1と同様に表面処理層を得た。
【0302】
実施例9
表面処理剤を表面処理剤12に変更した以外は実施例1と同様に表面処理層を得た。
【0303】
実施例10
表面処理剤を表面処理剤13に変更した以外は実施例4と同様に表面処理層を得た。
【0304】
比較例1
表面処理剤を表面処理剤8に変更した以外は実施例4と同様に表面処理層を得た。
【0305】
比較例2
デシルトリクロロシラン(C1021SiCl)3質量部およびイソオクタン(沸点99℃)97質量部を配合して、均一に混合することにより、表面処理剤9を調製した。次いで、表面処理剤9を、ティッシュペーパーに含浸させ、次いで、このティッシュペーパーで、化学強化ガラス(コーニング社製、ゴリラガラス、厚さ0.7mm)を擦ってガラス板の表面に表面処理剤9を塗布した。続いて、5分経過後に、清浄なタオルでガラス板の表面を拭き上げた。その後、ガラス板を、常温で30分放置した。その後、純水を染み込ませたスポンジでガラス板の表面を洗浄し、次いで、水1000gで濯ぐことにより、ガラス板を撥水処理した。
【0306】
比較例3
オクチルトリエトキシシラン2.8質量部(0.01モル部)、オルトケイ酸テトラエチル(テトラエトキシシラン)41.7質量部(0.20モル部)に、溶剤(C)としてのエタノールを84質量部、触媒としての塩酸(0.01mol/L水溶液)60質量部を混合して、室温で24時間撹拌して表面処理剤10を得た。得られた表面処理剤10を、化学強化ガラス(コーニング社製、ゴリラガラス、厚さ0.7mm)上にスピンコータにより、回転数3000rpm、20secの条件でスピンコートした後、乾燥させてコーティング被膜を得た。
【0307】
(耐久性試験)
表面処理層が形成されたサンプル物品を水平配置し、下記の摩擦子を表面処理層の表面
に接触(接触面は直径1cmの円)させ、その上に5Nの荷重を付与し、その後、荷重を
加えた状態で摩擦子を40mm/秒の速度で往復させた。摩擦子を50回往復させ
それぞれ、水の静的接触角(°)を5点測定し、その平均値ごとに下記のように評価した。
◎(優良):水接触角の平均が90°より大きい
○(良好):85°~90°
×(不良):85°以下
【0308】
・摩擦子
下記に示すシリコーンゴム加工品の表面(直径1cm)を、下記に示す組成の人工汗に浸漬したコットンで覆ったものを摩擦子として用いた。
人工汗の組成:
無水リン酸水素二ナトリウム:2g
塩化ナトリウム:20g
85%乳酸:2g
ヒスチジン塩酸塩:5g
蒸留水:1Kg
シリコーンゴム加工品:
タイガースポリマー製、シリコーンゴム栓SR-51を、直径1cm、厚さ1cmの円柱状に加工したもの。
【0309】
<インクふき取り試験>
表面処理層の形成後、表面を拭き上げて評価サンプルとした。評価サンプルの表面層に油性のフェルトペン(マッキー極太黒色:製品名、ゼブラ社製)で線を引いた後、キムワイプを摩耗子として、移動速度:70rpm、荷重:500g/3cmの条件で50回摩耗した後の、油性インク(線)の付着状態を目視で観察し、インク除去性(初期のインク除去性)を以下の基準にしたがって評価した。
◎(優良):油性インクの除去率が90%以上である。
○(良好):油性インクの除去率が60%以上90%未満である。
×(不良):油性インクの除去率が60%未満である。
【0310】
<膜厚測定>
表面処理層の形成後、表面を拭き上げて評価サンプルとした。評価サンプルをJ.A.Woollam社製M-2000Dエリプソメータ―を用い、入射角50°、60°、70°の3角度条件で膜厚を測定した。
【0311】
【表1】
【0312】
【表2】


【産業上の利用可能性】
【0313】
本開示の物品は、種々多様な用途に好適に利用され得る。