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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015677
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】電子制御装置、電子錠、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20240130BHJP
   E05B 47/00 20060101ALI20240130BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20240130BHJP
   H04B 5/48 20240101ALN20240130BHJP
【FI】
E05B49/00 K
E05B47/00 K
E05B47/00 U
H02J50/20
H04B5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117907
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】陳 春
(72)【発明者】
【氏名】大橋 裕司
(72)【発明者】
【氏名】三浦 康豊
【テーマコード(参考)】
2E250
5K012
【Fターム(参考)】
2E250AA01
2E250BB65
2E250CC10
2E250FF23
2E250FF36
5K012AC07
5K012AC08
5K012AC10
5K012AE13
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で電気的に機構部の制御を行うこと。
【解決手段】電子制御装置は、近距離無線通信による電磁波の受信に応じて誘導起電力が発生する第1アンテナと、近距離無線通信による電磁波の受信に応じて誘導起電力が発生するとともに、近距離無線通信により少なくとも制御情報を受信する第2アンテナと、第1アンテナで発生する誘導起電力に基づいて供給される電力によって駆動される機構部と、第2アンテナで発生する誘導起電力に基づいて供給される電力によって動作し、第2アンテナで受信された制御情報に基づいて機構部の駆動制御を行う制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離無線通信による電磁波の受信に応じて誘導起電力が発生する第1アンテナと、
前記近距離無線通信による電磁波の受信に応じて誘導起電力が発生するとともに、前記近距離無線通信により少なくとも制御情報を受信する第2アンテナと、
前記第1アンテナで発生する誘導起電力に基づいて供給される電力によって駆動される機構部と、
前記第2アンテナで発生する誘導起電力に基づいて供給される電力によって動作し、前記第2アンテナで受信された制御情報に基づいて前記機構部の駆動制御を行う制御部と、
を備える電子制御装置。
【請求項2】
前記機構部は、電子錠を解錠するために設けられており、
前記制御部は、前記第2アンテナで受信された制御情報に基づいて前記電子錠を解錠させるように前記機構部を駆動させる、
請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第2アンテナで受信された制御情報に含まれる認証情報に基づいて認証を行い、認証に成功した場合に前記電子錠を解錠させるように前記機構部を駆動させる、
請求項2に記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記機構部は、電子錠を施錠するために設けられており、
前記制御部は、前記第2アンテナで受信された制御情報に基づいて前記電子錠を施錠させるように前記機構部を駆動させる、
請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項5】
前記近距離無線通信による電磁波は、携帯端末から送信される、
請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電子制御装置、
を備える電子錠。
【請求項7】
電子制御装置における制御方法であって、
第1アンテナが、近距離無線通信による電磁波の受信に応じて発生する誘導起電力に基づいて機構部を駆動する電力を供給するステップと、
第2アンテナが、前記近距離無線通信による電磁波の受信に応じて発生する誘導起電力に基づいて制御部を動作させる電力を供給するステップと、
前記第2アンテナが、近距離無線通信により少なくとも制御情報を受信するステップと、
制御部が、前記第2アンテナで発生する誘導起電力に基づいて供給される電力によって動作し、前記第2アンテナで受信された制御情報に基づいて前記機構部の駆動制御を行うステップと、
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御装置、電子錠、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池式の電子錠(デジタル錠)の場合、電池が消耗したときには電池交換が必要となり手間がかかる。特に、人の立ち入りが困難な場所に電子錠(デジタル錠)が設けられている場合には電池交換を容易に行うことができないため、電池残量の不足によって電子錠を解錠できなくなる懸念がある。また、電子錠の電源を外部電源から得ることも考えられるが、外部からの電力供給が困難な場所に電子錠が設けられている場合も同様に、電子錠を解錠できなくなる懸念がある。
【0003】
上記のような場合を想定し、電子錠を解除する鍵側に電池を搭載して電子錠に接続することで電力を供給する方式が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-183612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方式では、電子錠に接続可能な専用の鍵が必要であり、この専用の鍵の準備(製造、購入など)が不可欠である。そのため、機密性の高い保管庫などには使用できたとしても、一般のオフィスまたは家庭での使用を考えると、専用の鍵を準備するためのコストが高く、また紛失によるリスクも高い。そのため、簡易な構成で電気的に機構部の制御(例えば、電子錠の解錠)を行うことが可能な方式の実現が望まれている。
【0006】
本発明は、上記した課題に鑑みてなされたもので、簡易な構成で電気的に機構部の制御を行うことが可能な電子制御装置、電子錠、及び制御方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る電子制御装置は、近距離無線通信による電磁波の受信に応じて誘導起電力が発生する第1アンテナと、前記近距離無線通信による電磁波の受信に応じて誘導起電力が発生するとともに、前記近距離無線通信により少なくとも制御情報を受信する第2アンテナと、前記第1アンテナで発生する誘導起電力に基づいて供給される電力によって駆動される機構部と、前記第2アンテナで発生する誘導起電力に基づいて供給される電力によって動作し、前記第2アンテナで受信された制御情報に基づいて前記機構部の駆動制御を行う制御部と、を備える。
【0008】
また、本発明の一態様に係る電子錠は、上記電子制御装置を備える。
【0009】
また、本発明の一態様に係る電子制御装置における制御方法は、第1アンテナが、近距離無線通信による電磁波の受信に応じて発生する誘導起電力に基づいて機構部を駆動する電力を供給するステップと、第2アンテナが、前記近距離無線通信による電磁波の受信に応じて発生する誘導起電力に基づいて制御部を動作させる電力を供給するステップと、前記第2アンテナが、近距離無線通信により少なくとも制御情報を受信するステップと、制御部が、前記第2アンテナで発生する誘導起電力に基づいて供給される電力によって動作し、前記第2アンテナで受信された制御情報に基づいて前記機構部の駆動制御を行うステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の上記態様によれば、簡易な構成で電気的に機構部の制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る電子制御装置の概略構成の一例を示すブロック図。
図2】実施形態に係る電子錠の施錠解錠機構の一例を示す図。
図3】実施形態に係る解錠処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る電子制御装置は、例えば、電子錠に搭載されており、電子錠の解錠を制御する。この電子錠は、自前の電源を有しておらず、NFC(Near Field Communication)通信機能付きの携帯端末からのNFC通信用の電磁波を電源として駆動し、当該携帯端末に対して認証を行い、認証に成功すれば解錠する。
【0013】
まず、図1を参照して本実施形態に係る電子制御装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る電子制御装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0014】
図示する電子制御装置10は、第1アンテナ11と、第2アンテナ12と、整流回路13と、アクチュエータ14と、制御回路15と、制御マイコン16とを備えている。電子制御装置10は、NFC通信機能付きの携帯端末20からNFC通信用の電磁波を受信することが可能である。携帯端末20は、例えばスマートフォンである。
【0015】
第1アンテナ11及び第2アンテナ12は、携帯端末20からNFC通信用の電磁波を受信する。NFCは、13.56MHzの周波数を用いた近距離無線通信規格である。なお、本実施形態では、NFC通信を利用する例を説明するが、UHF帯(860~960MHz)やSHF帯(2.45GHz)の電磁波を伝送する近距離無線通信を用いてもよい。
【0016】
第1アンテナ11は、携帯端末20からNFC通信による電磁波の受信に応じて誘導起電力を発生する。アクチュエータ14は、例えばDCモータなどを適用することができる。第1アンテナ11で発生する誘導起電力は、アクチュエータ14に給電するための電力である。第1アンテナ11で発生した誘導起電力は、整流回路13によって交流電流から直流電流に変換されアクチュエータ14に供給される。
【0017】
第2アンテナ12は、携帯端末20からNFC通信による電磁波の受信に応じて誘導起電力を発生するとともに、上記NFC通信により少なくとも制御情報を受信する。第2アンテナ12で発生する誘導起電力は、制御マイコン16に給電するための電力である。
【0018】
また、第2アンテナ12で受信された制御情報は、制御マイコン16に送信される。例えば、制御情報には、認証情報が含まれる。認証情報は、予め登録されているID又は鍵値などである。また、ID又は鍵値は、PIN(Personal Identification Number)コード等でも良い。電子制御装置10(電子錠)と携帯端末20とが同一の認証情報を持つことで、電子錠を解錠する際に携帯端末20からNFC通信により認証情報を送信し、電子制御装置10側で認証情報が一致すれば認証成功として電子錠を解錠する。
【0019】
制御マイコン16(制御部の一例)は、第2アンテナ12で発生する誘導起電力に基づいて供給される電力によって動作するマイクロコントローラである。例えば、制御マイコン16は、セキュリティ機能を有するセキュア・マイクロコントローラである。制御マイコン16は、第2アンテナ12で受信された制御情報に基づいてアクチュエータ14の駆動を制御するための制御信号を出力する。制御マイコン16は、NFC通信により第2アンテナ12を介して認証情報を受信すると、予め登録されている認証情報と照合する認証処理を実行し、認証情報が一致すれば認証成功として電子錠を解錠するための解錠信号を出力し、電子錠を解錠させるようにアクチュエータ14を駆動させる。なお、認証処理は、携帯端末20側で行われてもよい。
【0020】
アクチュエータ14は、第1アンテナ11で発生する誘導起電力に基づいて供給される電力によって駆動される。制御回路15は、制御マイコン16の制御によってアクチュエータ14への給電を制御する。例えば、制御回路15は、アクチュエータ14への給電をオン・オフさせるトランジスタを含んで構成されている。制御回路15は、制御マイコン16からの解錠信号に基づいて、第1アンテナ11で発生する誘導起電力に基づいて供給される電力をアクチュエータ14へ供給させ、アクチュエータ14を駆動する。このアクチュエータ14が駆動されることにより、電子錠が解錠される。
【0021】
図2は、本実施形態に係る電子制御装置を備える電子錠の施錠解錠機構の一例を示す図である。図示する電子錠1は、図1に示す電子制御装置10と、施錠解錠機構2とを備えている。施錠解錠機構2は、収容部4が設けられている受け側機構部3と、収容部4に嵌合可能なデッドボルト5とを備えている。例えば、電子錠1がドアに取り付けられている場合、ドア枠側に受け側機構部3が設けられ、ドア側にデッドボルト5と電子制御装置10とが設けられる。
【0022】
デッドボルト5が受け側機構部3へ伸びて収容部4と嵌合している状態が、電子錠1が施錠されている状態である。デッドボルト5は、電子制御装置10のアクチュエータ14が駆動されることにより、施錠されている状態から図2に示す矢印の方向へ移動する。これにより、収容部4との嵌合状態が解消され、電子錠1が解錠される。
【0023】
なお、施錠の場合には、例えばデッドボルト5に設けられているバネ6などのオートロック機構により、ドアが閉じられたときに自動的に施錠される。例えば、解錠の際には、アクチュエータ14が駆動されることによりバネ6が2に示す矢印の方向へ移動するにつれてバネ6が縮まり、施錠の際には、アクチュエータ14が停止しており、バネ6の復元力によってデッドボルト5が受け側機構部3へ伸びて収容部4と嵌合し、自動的に施錠される。
【0024】
なお、オートロック機構は、バネ6を用いた機構に限定されず、ゴム又はその他の弾性体を用いた機構、気体又は液体などを用いたシリンダー構造により復元力を持たせた機構、ドアが閉じる際に機械的にデッドボルト5が伸びるように作用する部材を備えた機構など、任意の機構を適用できる。
【0025】
次に、上述した電子制御装置10が携帯端末20からのNFC通信により電子錠1を解錠する解錠処理の動作について説明する。
図3は、本実施形態に係る解錠処理の一例を示すフローチャートである。
【0026】
第1アンテナ11及び第2アンテナ12は、携帯端末20からNFC通信による電磁波を受信する(ステップS101)。第1アンテナ11は、NFC通信による電磁波の受信に応じて誘導起電力が発生し、アクチュエータ14を駆動するための電力を供給する(ステップS111)。
【0027】
一方、第2アンテナ12は、NFC通信による電磁波の受信に応じて誘導起電力が発生し、制御マイコン16に電力を供給する(ステップS121)。なお、ステップS111とステップS121は、処理の順は無く、第1アンテナ11及び第2アンテナ12のそれぞれが電磁波を受信することに応じて電力の給電を開始する。
【0028】
制御回路15は、第1アンテナ11からアクチュエータ14を駆動するための電力が供給されると、制御マイコン16から解錠信号を取得しない間は(ステップS113:NO)、アクチュエータ14を駆動せず(即ち、電子錠1を解除せず)に待機する。
【0029】
また、第2アンテナ12は、NFC通信による電磁波の受信に応じて制御情報(例えば、認証情報)を受信し、制御マイコン16に送信する(ステップS123)。
【0030】
制御マイコン16は、ステップS121で第2アンテナ12から電力が供給されると動作を開始し、ステップS123で第2アンテナ12から送信された制御情報(例えば、認証情報)に基づいて認証処理を実行する(ステップS125)。
【0031】
制御マイコン16は、認証処理により認証できない場合(ステップS125:NO)、ステップS123の処理に戻る。一方、制御マイコン16は、認証処理により認証成功した場合(ステップS125:YES)、電子錠1を解錠するための解錠信号を出力する(ステップS127)。
【0032】
制御回路15は、制御マイコン16から解錠信号を取得すると(ステップS113:YES)、第1アンテナ11から供給された電力をアクチュエータ14へ給電して駆動することにより、電子錠1を解錠する(ステップS131)。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係る電子制御装置10は、第1アンテナ11と、第2アンテナ12と、アクチュエータ14(機構部の一例)と、制御マイコン16(制御部の一例)とを備えている。第1アンテナ11は、NFC通信(近距離無線通信の一例)による電磁波の受信に応じて誘導起電力が発生する。第2アンテナ12は、NFC通信による電磁波の受信に応じて誘導起電力が発生するとともに、NFC通信により少なくとも制御情報(例えば、認証情報)を受信する。アクチュエータ14は、第1アンテナ11で発生する誘導起電力に基づいて供給される電力によって駆動される。制御マイコン16は、第2アンテナ12で発生する誘導起電力に基づいて供給される電力によって動作し、第2アンテナ12で受信された制御情報(例えば、認証情報)に基づいてアクチュエータ14の駆動制御を行う。
【0034】
これにより、電子制御装置10は、第1アンテナ11と第2アンテナ12とを備えることにより、NFC通信などの近距離無線通信による電磁波に応じてアクチュエータ14を駆動する電力と制御マイコン16を動作させる電力とを発生させ、アクチュエータ14の駆動を制御することができる。よって、電子制御装置10は、電池を搭載することなく、簡易な構成で電気的にアクチュエータ14の制御を行うことができる。
【0035】
なお、本実施形態において、第1アンテナ11と第2アンテナ12との2つのアンテナを設けているのは、アクチュエータ14に供給する電力と、制御マイコン16に供給する電力とを分けるためである。例えば、アクチュエータ14と制御マイコン16とに供給する電力を1つのアンテナで共用した場合、アクチュエータ14を駆動させるのに必要な大きな電力を出力すると、制御マイコン16へ供給する電力が過剰となってしまい、制御マイコン16の過電流防止機能が働き、正常に動作できなくなる懸念がある。一方、制御マイコン16の過電流防止機能が働かない電力に抑えると、アクチュエータ14を駆動させるのに必要な電力が確保できない懸念がある。そのため、本実施形態に係る電子制御装置10は、第1アンテナ11と第2アンテナ12との2つのアンテナを搭載し、アクチュエータ14に供給する電力用のアンテナと、制御マイコン16に供給する電力用のアンテナとに分けている。
【0036】
例えば、アクチュエータ14は、電子錠1を解錠するために設けられている。制御マイコン16は、第2アンテナ12で受信された制御情報(例えば、認証情報)に基づいて電子錠1を解錠させるようにアクチュエータ14を駆動させる。
【0037】
これにより、電子制御装置10は、第1アンテナ11と第2アンテナ12とを備えることにより、NFC通信などの近距離無線通信による電磁波に応じてアクチュエータ14を駆動する電力と制御マイコン16を動作させる電力とを発生させ、電子錠1を解錠するためのアクチュエータ14の駆動を制御することができる。よって、電子制御装置10は、電子錠1側に電池を搭載することなく、簡易な構成で電気的にアクチュエータ14を制御して電子錠1を解錠することができる。
【0038】
また、制御マイコン16は、第2アンテナ12で受信された制御情報に含まれる認証情報に基づいて認証を行い、認証に成功した場合に電子錠1を解錠させるようにアクチュエータ14を駆動させる。
【0039】
これにより、電子制御装置10は、簡易な構成で安全に電子錠1を解錠することができる。
【0040】
また、NFC通信による電磁波は、携帯端末20から送信される。
【0041】
これにより、電子制御装置10は、専用の鍵を準備する必要が無く、一般的な携帯端末20(例えば、スマートフォン)を鍵として用いて電子錠1を解錠することができるため、コスト及び紛失のリスクを低減することができる。
【0042】
電子錠1は、上記の電子制御装置10を備える。
【0043】
これにより、電子錠1は、第1アンテナ11と第2アンテナ12とを備えることにより、NFC通信などの近距離無線通信による電磁波に応じてアクチュエータ14を駆動する電力と制御マイコン16を動作させる電力とを発生させ、解錠するためのアクチュエータ14の駆動を制御することができる。よって、電子錠1は、電池を搭載することなく、簡易な構成で電気的にアクチュエータ14を制御して解錠することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る電子制御装置10における制御方法は、第1アンテナ11が、NFC通信(近距離無線通信の一例)による電磁波の受信に応じて発生する誘導起電力に基づいてアクチュエータ14(機構部の一例)を駆動する電力を供給するステップと、第2アンテナ12が、NFC通信による電磁波の受信に応じて発生する誘導起電力に基づいて制御マイコン16(制御部の一例)を動作させる電力を供給するステップと、第2アンテナ12が、NFC通信により少なくとも制御情報(例えば、認証情報)を受信するステップと、制御マイコン16が、第2アンテナ12で発生する誘導起電力に基づいて供給される電力によって動作し、第2アンテナ12で受信された制御情報(例えば、認証情報)に基づいてアクチュエータ14の駆動制御を行うステップと、を含む。
【0045】
これにより、電子制御装置10は、第1アンテナ11と第2アンテナ12とを備えることにより、NFC通信などの近距離無線通信による電磁波に応じてアクチュエータ14を駆動する電力と制御マイコン16を動作させる電力とを発生させ、アクチュエータ14の駆動を制御することができる。よって、電子制御装置10は、電池を搭載することなく、簡易な構成で電気的にアクチュエータ14の制御を行うことができる。
【0046】
なお、本実施形態では、電子錠1の施錠はオートロック機構によるものである例を説明したが、電子錠1の施錠も電気的制御されてもよい。例えば、アクチュエータ14は、電子錠1を解錠するために設けられているだけでなく、施錠するためにも設けられてもよい。そして、制御マイコン16は、第2アンテナ12で受信された制御情報に基づいて電子錠1を施錠させるようにアクチュエータ14を駆動させてもよい。
【0047】
つまり、電子制御装置10は、NFC通信などの近距離無線通信により、電子錠1を解錠するだけでなく、施錠することが可能であってもよい。或いは、電子制御装置10は、電子錠1の解錠には対応せず、NFC通信などの近距離無線通信により、電子錠1を施錠する構成としてもよい。
【0048】
これにより、電子制御装置10は、第1アンテナ11と第2アンテナ12とを備えることにより、NFC通信などの近距離無線通信による電磁波に応じてアクチュエータ14を駆動する電力と制御マイコン16を動作させる電力とを発生させ、電子錠1を施錠するためのアクチュエータ14の駆動を制御することができる。よって、電子制御装置10は、簡易な構成で電気的にアクチュエータ14を制御して電子錠1を施錠することができる。
【0049】
なお、電子制御装置10が電子錠1の解錠と施錠の両方に対応している場合、携帯端末20から受信する制御情報には、認証情報に加えて、解錠を指示する情報と施錠を指示する情報とのいずれかが含まれてもよい。また、制御情報には、解錠を指示する情報及び施錠を指示する情報は含まれなくてもよく、電子制御装置10は、電子錠1が施錠されている状態では解錠させるように制御し、解錠されている状態では施錠させるように制御してもよい。
【0050】
なお、電子制御装置10の制御対象となる機構部の一例としてのアクチュエータ14は、DCモータに限定されるものではない。例えば、アクチュエータ14は、ソレノイドまたは圧電素子を用いたアクチュエータなど電力を機械的な動力に変換する任意の機構部を制御対象として適用することができる。
【0051】
また、本実施形態に係る電子錠1は、ドア用の錠に限らず、南京錠、オフィスのロッカー、宅配ボックスなど多くの用途に適用できる。
【0052】
このように、本実施形態に係る電子制御装置10及び電子制御装置10を備える電子錠1は、携帯端末20(例えば、スマートフォン)を鍵として、電池を搭載することなく解錠(或いは、施錠)が可能なバッテリーレススマートロック(電子錠)を実現することができる。電子錠1をバッテリーレス化することで、電子錠1の大きさや重量、価格を抑えることが可能である。また、鍵として携帯端末20(例えば、スマートフォン)のNFC機能を利用することで、専用の鍵が不要となり、オフィスや家庭などでの利用及び普及がしやすくなる。
【0053】
なお、本実施形態に係る携帯端末20は、スマートフォンに限定されるものではなく、NFC通信機能付きのタブレット端末、携帯電話、携帯型ゲーム機、携帯型音楽プレーヤ、ハンディターミナルなどであってもよい。また、前述したようにNFC通信に限定されるものではなく、電子制御装置10が第1アンテナ11及び第2アンテナ12が誘導起電力を発生可能であって制御情報を取得できるものであれば任意の無線通信規格を利用した通信を用いることができる。
【0054】
なお、本実施形態に係る電子制御装置10は、電子錠1に搭載された構成を例として説明したが、電子錠1以外に搭載されてもよい。例えば、電子制御装置10の機構部(例えば、アクチュエータ14)は、電子錠1のデッドボルト5を動作させるのに代えて、他の機構部品を動作させるものであってもよい。例えば、電子制御装置10の機構部(例えば、アクチュエータ14)は、施設などの入り口(ゲート)を開閉する機構部品を動作させてもよい。
【0055】
以上、この発明の各実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、上述の実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 電子錠、2 施錠解錠機構、3 受け側機構部、4 収容部、5 デッドボルト、6 バネ、10 電子制御装置、11 第1アンテナ、12 第2アンテナ、13 整流回路、14 アクチュエータ、15 制御回路、16 制御マイコン
図1
図2
図3