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特開2024-156770血液サンプル最適化システム及び血液汚染物質隔離デバイス及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156770
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】血液サンプル最適化システム及び血液汚染物質隔離デバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/154 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
A61B5/154 200
【審査請求】有
【請求項の数】30
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024121200
(22)【出願日】2024-07-26
(62)【分割の表示】P 2023133585の分割
【原出願日】2017-12-27
(31)【優先権主張番号】62/439,426
(32)【優先日】2016-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518026730
【氏名又は名称】クリン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】ロジャーズ、 ボビー イー.
(72)【発明者】
【氏名】カン、 ジーノ
(72)【発明者】
【氏名】ストループ、 デビッド カール
(72)【発明者】
【氏名】コクラン、 ジョナス ディーン
(72)【発明者】
【氏名】デプタラ、 アーサー
(72)【発明者】
【氏名】デトロフ、 ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ポーグ、 ロニー
(72)【発明者】
【氏名】マコフスキ、 ブライアン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】血液培養の汚染、細胞の溶解、及び静脈崩壊を低減するためのシステム及び方法を提示する
【解決手段】採取される血液サンプル中の汚染物質を低減又は排除し、その結果、採取される血液サンプルの血液培養又は他の検査における偽陽性の判断を減少又は排除する血液サンプル最適化システム及び方法が記載されている。血液サンプル最適化システムは、患者針とサンプル針との間に配置された血液隔離デバイスを含むことができる。血液隔離デバイスは、汚染されている可能性のある最初のアリコートの血液を隔離するための隔離チャンバを含むことができ、最初のアリコートの血液が隔離チャンバ内に隔離された後に隔離チャンバを迂回して患者針とサンプル針との間で非汚染血液を運ぶサンプリング流路をさらに含むことができる。
【選択図】図30B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液隔離デバイスであって、
入口ポートと、
出口ポートと、
分岐点を介して前記入口ポートと接続された隔離チャンバと、
前記分岐点を介して前記入口ポートと接続された近位端と、前記出口ポートと接続され
た遠位端とを有するサンプリング流路と
を含み、
前記隔離チャンバは空気透過性血液バリアを含む通気口を有し、
前記通気口は前記空気透過性血液バリアを少なくとも部分的に囲みかつ1つ以上の空気
孔を含む外壁によって画定され、
前記通気口は、前記外壁を少なくとも部分的に覆うキャップと、空気が前記隔離チャン
バに入るのを阻止する前記空気透過性の血液バリアに隣接する一方向シールとをさらに含
み、
前記隔離チャンバ、前記サンプリング流路及び前記分岐点は、血液の第1の部分が前記
隔離チャンバ内への隔離のために前記空気透過性血液バリアに向かって前記隔離チャンバ
に流れ込み、血液の第2の部分が前記隔離チャンバ及び前記隔離チャンバ内に隔離された
血液の第1の部分を迂回し、前記出口ポートに向かって前記サンプリング流路に導かれる
ように寸法設定されかつ構成される、血液隔離デバイス。
【請求項2】
前記入口ポート、前記出口ポート、前記隔離チャンバ、及び前記サンプリング流路を収
容し画定するハウジングをさらに含む、請求項1に記載の血液隔離デバイス。
【請求項3】
前記通気口は、前記外壁内にあって前記空気透過性血液バリアを含む内壁をさらに含む
、請求項1に記載の血液隔離デバイス。
【請求項4】
前記一方向シールは、前記通気口の内壁を覆って前記外壁内に配置される、請求項1に
記載の血液隔離デバイス。
【請求項5】
前記キャップは、前記空気透過性血液バリアに面する内面を含み、
前記キャップの内面は支点を含み、空気が前記隔離チャンバから漏れ出ること可能にす
るために、前記支点に対して前記シールを前記空気透過性血液バリアから柔軟に開封する
ことができる、請求項4に記載の血液隔離デバイス。
【請求項6】
前記空気透過性血液バリアは、血液と接触すると前記通気口を封止する封止材料を含む
、請求項1に記載の血液隔離デバイス。
【請求項7】
前記空気透過性血液バリアは、第1の層と第2の層とを有するフィルタを含み、前記フ
ィルタの第2の層は血液をはじくための疎水性材料を有する、請求項1に記載の血液隔離
デバイス。
【請求項8】
血液隔離及びサンプリングシステムであって、
近位端に患者針を、遠位端にサンプル採取デバイスを有する採血経路と、
前記採血経路の近位端と遠位端との間で前記採血経路に取り付けられた血液隔離デバイ
スと
を含み、
前記血液隔離デバイスは、
前記患者針の方を向いて前記採血経路と連結された入口ポートと、
前記サンプル採取デバイスの方を向いて前記採血経路と連結された出口ポートと、
分岐点を介して前記入口ポートと接続された隔離チャンバと、
前記分岐点を介して前記入口ポートと接続された近位端と、前記出口ポートと接続され
た遠位端とを有するサンプリング流路と
を含み、
前記隔離チャンバは空気透過性血液バリアを含む通気口を有し、
前記通気口は前記空気透過性血液バリアを少なくとも部分的に囲みかつ1つ以上の空気
孔を含む外壁によって画定され、
前記通気口は、前記外壁を少なくとも部分的に覆うキャップと、空気が前記隔離チャン
バに入るのを阻止する前記空気透過性血液バリアに隣接する一方向シールとをさらに含み

前記隔離チャンバ、前記サンプリング流路及び前記分岐点は、血液の第1の部分が前記
隔離チャンバ内への隔離のために前記空気透過性血液バリアに向かって前記隔離チャンバ
に流れ込み、血液の第2の部分が前記隔離チャンバ及び前記隔離チャンバ内に隔離された
血液の第1の部分を迂回し、前記出口ポートに向かって前記サンプリング流路に導かれる
ように寸法設定されかつ構成される、血液隔離及びサンプリングシステム。
【請求項9】
前記血液隔離デバイスは、前記入口ポート、前記出口ポート、前記隔離チャンバ、及び
前記サンプリング流路を収容し画定するハウジングをさらに含む、請求項8に記載の血液
隔離システム。
【請求項10】
前記血液隔離デバイスの通気口は、前記外壁内にあって前記空気透過性血液バリアを含
む内壁をさらに含む、請求項8に記載の血液隔離システム。
【請求項11】
前記通気口の一方向シールは、前記通気口の内壁を覆って前記外壁内に配置される、請
求項8に記載の血液隔離システム。
【請求項12】
前記キャップは、前記空気透過性血液バリアに面する内面を含み、
前記キャップの内面は支点を含み、空気が前記隔離チャンバから漏れ出ること可能にす
るために、前記支点に対して前記シールを前記空気透過性血液バリアから柔軟に開封する
ことができる、請求項11に記載の血液隔離システム。
【請求項13】
前記血液隔離デバイスの空気透過性血液バリアは、血液と接触すると前記通気口を封止
する封止材料を含む、請求項8に記載の血液隔離システム。
【請求項14】
前記血液隔離デバイスの空気透過性血液バリアは、第1の層と第2の層とを有するフィ
ルタを含み、前記フィルタの第2の層は、血液をはじくための疎水性材料を有する、請求
項8に記載の血液隔離システム。
【請求項15】
血液隔離デバイスであって、
入口ポートと、
出口ポートと、
分岐点を介して前記入口ポートと接続された隔離チャンバと、
前記分岐点を介して前記入口ポートと接続された近位端と、前記出口ポートと接続され
た遠位端とを有するサンプリング流路と
を含み、
前記隔離チャンバは空気透過性血液バリアを含む通気口を有し、
前記通気口は前記空気透過性血液バリアを少なくとも部分的に囲みかつ1つ以上の空気
孔を含む外壁によって画定され、
前記通気口は、前記外壁を少なくとも部分的に覆うキャップと、空気が前記隔離チャン
バに入るのを阻止する前記空気透過性血液バリアと隣接する一方向シールとをさらに含み

前記隔離チャンバ、前記サンプリング流路及び前記分岐点は、血液の第1の部分が前記
隔離チャンバに流れ込んで前記隔離チャンバを満たし、前記通気口を通して前記隔離チャ
ンバ内の空気を追い出すように、及び、血液の第2の部分が前記隔離チャンバ及び前記隔
離チャンバ内に隔離された血液の第1の部分を迂回し、前記出口ポートに向かって前記サ
ンプリング流路に導かれるように寸法設定されかつ構成される、血液隔離デバイス。
【請求項16】
前記入口ポート、前記出口ポート、前記隔離チャンバ、及び前記サンプリング流路を収
容し画定するハウジングをさらに含む、請求項15に記載の血液隔離デバイス。
【請求項17】
前記通気口は、前記外壁内にあって前記空気透過性血液バリアを含む内壁をさらに含む
、請求項15に記載の血液隔離デバイス。
【請求項18】
前記一方向シールは、前記通気口の内壁を覆って前記外壁内に配置される、請求項15
に記載の血液隔離デバイス。
【請求項19】
前記キャップは、前記空気透過性血液バリアに面する内面を含み、
前記キャップの内面は支点を含み、空気が前記隔離チャンバから漏れ出ること可能にす
るために、前記支点に対して前記シールを前記空気透過性血液バリアから柔軟に開封する
ことができる、請求項18に記載の血液隔離デバイス。
【請求項20】
前記空気透過性血液バリアは、血液と接触すると前記通気口を封止する封止材料を含む
、請求項15に記載の血液隔離デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
菌血症は、血液中に微生物が存在することである。一方、敗血症は、発熱、頻脈、頻呼
吸及び低血圧などの臨床症状及び臨床兆候がある場合の菌血症である。菌血症及び敗血症
は、高い死亡率、入院発生率及び入院期間と関連する費用の増加とを伴う。多くの菌血症
、敗血症、真菌血症及び他の病原体が実際に病院又は他の医療施設内で発生し、カテーテ
ル及び静脈穿刺がこれらの病原体の潜在的なキャリアとしての汚染源である。
【0002】
血液培養は、患者の血液中の菌血症及び敗血症に関連する微生物病原体を検出するのに
使用される標準検査である。血液培養という用語は、血液が1つ以上の血液培養ボトル又
は容器に接種される、末梢部位又は中心ライン又は動脈ラインからの1回の静脈穿刺を指
す。1つのボトルが1つの血液培養と見なされ、2つ以上がセットと見なされる。複数の
セットは複数の静脈穿刺から得られ、患者の異なる部位に関連する。
【0003】
これらの方法は、敗血症を管理する上で重要な要素である微生物同定及び感受性検査を
可能にするが、迅速な結果が得られないことと厄介な病原体に対する感度が低いことが、
改良されたシステムの開発及び補助的な分子検査又はプロテオミクス検査につながってい
る。
【0004】
血液培養を行うための血液サンプルの採取は、現代の患者ケアの重要な要素であり、正
確な診断を提供することによって患者の結果に良い影響を与えることも、不必要な抗菌療
法を長引かせ、入院期間を長くし、コストを増加させることによって結果に悪影響を与え
ることもある。
【0005】
血液培養の採取の1つの結果は、汚染である。血液培養の汚染は、偽陽性の培養結果及
び/又は医療関連コストの著しい増加につながる可能性がある。血液培養の汚染の原因は
、不適切な皮膚消毒、不適切な採取管の消毒、最初の採血の汚染を含み、これらは結果を
歪める可能性がある。
【0006】
血液培養採取キットは、一般に、BD、スミス、ビー・ブラウンなどの会社によって提
供される「バタフライ」セット、輸液セット、又は他のタイプの静脈穿刺デバイスと、好
気性血液培養ボトル及び嫌気性血液培養ボトルとで構成される。様々な異なるボトルも検
査要件に応じて利用可能である。これらのボトルは、好気性生物と嫌気性生物の両方の回
収を最適化するように特別に設計されている。従来のキットでは、使用されるボトルは一
般に「バキュテナー(登録商標)」として知られており、これは、所定の量の血液などの
液体の採取を容易にするべく管の内部に真空を作り出すために排気される蓋を備える滅菌
ガラス管又は滅菌プラスチック管から形成される採血管である。
【0007】
偽陽性の血液培養は、一般的に、不十分なサンプリング技術の結果である。それらは、
必要でないときに抗生物質を使用させ、病院費及び患者の不安を増大させる。血液培養は
、皮膚内への針刺しから採取され、その後で血液のサンプルを取り込むためにバキュテナ
ー(登録商標)が取り付けられる。汚染は、穿刺部位及びその周辺の皮膚領域の不適切又
は不完全な消毒によって生じ得る。それはまた、挿入中の針による皮膚のくりぬきから、
くりぬかれた皮膚細胞と関連する汚染物質とがサンプル中に引き込まれることで生じるこ
ともある。
【0008】
皮下注射針を通る血流は層流であり、このため、皮下注射針に圧力降下が加えられると
きに流管にわたって流速勾配が発生する。血液を強く吸引するか又は非常に小さな皮下注
射針を使用すると、溶解及び赤血球からのカリウムの放出が起こり、それにより血液サン
プルが異常になる可能性がある。
【0009】
他の例では、一部の患者は繊細な静脈を有し、繊細な静脈は、特に患者の状態に対して
あまりにも急速に引き出される注射器のプランジャによって加えられるような圧力低下又
は真空の下で崩壊し得る。このような状態は事前に知ることが不可能であるため、このよ
うな静脈崩壊は危険であり、制御することは非常に困難である。
【0010】
血液培養の汚染率を低下させるために、例えば、無菌採取技術に関するスタッフの訓練
、汚染率に関するフィードバック、及び血液培養採取キットの導入など、様々な戦略が実
施されている。皮膚消毒は汚染の心配を減らすことができるが、20%以上の皮膚の微生
物は真皮の深部に位置し、消毒の影響を受けない。ボトル接種の前に針を交換することは
、汚染率を低下させることなく針刺し損傷を受ける危険性を高めるので推奨されない。
【0011】
血液培養の汚染を低減するための一部の従来のシステム及び技術は、中心静脈カテーテ
ル、静脈穿刺及び他の血管アクセスシステムから採取された最初のアリコートの血液を捨
てることを含む。しかしながら、これらのシステムは、ユーザーが血管内デバイスを機械
的に操作することを必要とするか又は確実にすることが困難な複雑な一連のステップを踏
むこと必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本明細書は、血液培養の汚染、細胞の溶解、及び静脈崩壊を低減するためのシステム及
び方法を提示する。一部の実施では、システム及び方法は、ユーザーの消毒のばらつきを
なくし、また皮膚細胞が血液培養サンプルに入り込む危険性をなくすこともできる。本明
細書に開示されたシステム及び方法は、汚染物質のない血液サンプルを採取するためにバ
キュテナー(登録商標)又は他の採血デバイス(すなわち、注射器)をいつ取り付けるべ
きかを潜在的に示す以外は、既存の臨床プロセスの変更を必要としない。
【0013】
本明細書に開示されたシステム及び方法の一部の実施では、採血は、患者自身の血圧の
使用によって受動的に成し遂げられ、それによって静脈崩壊の危険性を低減し、現行の実
務を超える更なるユーザーのステップを排除する。システム及び方法は、短経路の直接刺
し又はバタフライ静脈穿刺システムに適合するように適用されることができる。カテーテ
ルを通して採取されたサンプルと共に使用されることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一態様では、血液隔離デバイスが提示されている。血液隔離デバイスは、入口ポートと
出口ポートとを含む。血液隔離デバイスは、入口ポートと接続される隔離チャンバであっ
て、空気透過性血液バリアを含む通気口を有する隔離チャンバをさらに含む。血液隔離デ
バイスは、入口ポートと接続される近位端と、出口ポートと接続される遠位端とを有する
、サンプリング流路をさらに含む。
【0015】
別の態様では、採血経路と接続される血液隔離デバイスが記載されている。採血経路は
、患者針とサンプル採取デバイスとを有する。血液隔離デバイスは、患者針と接続される
入口ポートと、入口ポートと接続される隔離チャンバであって、空気透過性血液バリアを
含む通気口を有する隔離チャンバとを含む。血液隔離デバイスは、入口ポートと接続され
る近位端を有するサンプリング流路と、サンプリング流路の遠位端及びサンプル採取デバ
イスと接続される出口ポートとをさらに含む。
【0016】
さらに別の態様では、採血システムと接続される血液隔離デバイスが記載されている。
採血システムは、患者から血液サンプルを取り出せるようにするための患者針と、密封さ
れかつ真空採血管を受け入れるように適合されたサンプル針とを含む。血液隔離デバイス
は、患者からの血液サンプルを受け入れるために患者針と接続される入口ポートを含む。
血液隔離デバイスは、入口ポートと接続されかつ空気透過性血液バリアを含む通気口を有
する隔離チャンバであって、サンプル針が真空採血管によって開封されるより前に血液サ
ンプルの最初の部分を受け入れかつ隔離する隔離チャンバをさらに含む。血液隔離デバイ
スは、入口ポートと接続される近位端を有するサンプリング流路であって、真空採血管に
よってサンプル針が開封されると血液サンプルの後続の部分を運ぶサンプリング流路をさ
らに含む。血液隔離デバイスは、血液サンプルの後続の部分をサンプル針に運ぶためにサ
ンプリング流路の遠位端と接続される出口ポートをさらに含む。
【0017】
さらに別の態様では、血液サンプル最適化システムが開示され、記載されている。血液
サンプル最適化システムは、患者の血液の1つ以上のサンプルを取り出せるようにしかつ
得るための採血システムと、静脈穿刺プロセスによって汚染されている恐れがありかつ患
者の血液中の病原体の偽陽性同定をもたらす可能性がある患者の血液の1つ以上のサンプ
ルの最初の部分を受け入れかつ隔離するための血液隔離デバイスとを含む。
【0018】
採血システムは、患者の血液のサンプルを取り出せるようにするために患者の静脈穿刺
用に構成された患者針と、血液サンプルを運ぶために患者針と接続される採血経路と、血
液サンプルの後続の部分を採取しかつ収容するために真空採血容器を受け入れるように構
成されたサンプル針とを含む。
【0019】
さらに別の態様では、血液隔離デバイスが開示され、記載されている。一部の実施では
、血液隔離デバイスは、入口ポートと、入口ポートと接続される出口ポートと、入口ポー
トと接続される隔離チャンバとを含むことができる。隔離チャンバは、空気透過性血液バ
リアを含む通気口を有することができる。
【0020】
一態様における血液隔離デバイスは、入口ポートと、出口ポートと、分岐点を介して入
口ポートと接続された隔離チャンバと、分岐点を介して入口ポートと接続された近位端と
出口ポートと接続された遠位端とを有するサンプリング流路とを含むことができ、隔離チ
ャンバは空気透過性血液バリアを含む通気口を有し、通気口は空気透過性血液バリアを少
なくとも部分的に囲みかつ1つ以上の空気孔を含む外壁によって画定され、通気口は、壁
を少なくとも部分的に覆うキャップと、隔離チャンバに空気が入るのを阻止する空気透過
性血液バリアに隣接する一方向シールとをさらに含む。特定の関連する態様では、隔離チ
ャンバ、サンプリング流路及び分岐点は、血液の第1の部分が隔離チャンバへの隔離のた
めに空気透過性血液バリアに向かって隔離チャンバに流れ込み、血液の第2の部分が隔離
チャンバ及び隔離チャンバ内に隔離された血液の第1の部分を迂回し、出口ポートに向か
ってサンプリング流路に導かれるように寸法設定されかつ構成される。
【0021】
別の態様では、サンプリング流路及び分岐点は、血液の第1の部分が隔離チャンバに流
入して隔離チャンバを満たし、通気口を通して隔離チャンバ内の空気を追い出し、血液の
第2の部分が隔離チャンバ及び隔離チャンバ内に隔離された血液の第1の部分を迂回し、
出口ポートに向かってサンプリング流路に導かれるように寸法設定されかつ構成される。
【0022】
特定の態様における血液隔離及びサンプリングシステム隔離デバイスは、近位端に患者
針を、遠位端にサンプル採取デバイスを有する採血経路と、採血経路の近位端と遠位端と
の間で採血経路に取り付けられた血液隔離デバイスとを含むことができる。一態様におけ
る血液隔離デバイスは、患者針の方を向いて採血経路に連結された入口ポートと、サンプ
ル採取デバイスの方を向いて採血経路に連結された出口ポートと、分岐点を介して入口ポ
ートと接続された隔離チャンバと、分岐点を介して入口ポートと接続された近位端と出口
ポートと接続された遠位端とを有するサンプリング流路とを含むことができ、隔離チャン
バは空気透過性血液バリアを含む通気口を有し、通気口は、空気透過性血液バリアを少な
くとも部分的に囲みかつ1つ以上の空気孔を含む外壁によって画定され、通気口は、壁を
少なくとも部分的に覆うキャップと、空気が隔離チャンバに入るのを阻止する空気透過性
血液バリアに隣接する一方向シールとをさらに含む。特定の関連する態様では、隔離チャ
ンバ、サンプリング流路及び分岐点は、血液の第1の部分が隔離チャンバへの隔離のため
に空気透過性血液バリアに向かって隔離チャンバに流れ込み、血液の第2の部分が隔離チ
ャンバ及び隔離チャンバ内に隔離された血液の第1の部分を迂回し、出口ポートに向かっ
てサンプリング流路に導かれるように寸法設定されかつ構成されることができる。
【0023】
血液隔離デバイスは、患者針とサンプル針との間で採血経路に沿って接続され、血液の
サンプルを受け入れるための入口ポートを含む。血液隔離デバイスは、血液サンプルの最
初の量を受け入れるために入口ポートと接続される隔離チャンバであって、血液サンプル
の最初の量の少なくとも最初の部分を隔離するために空気透過性血液バリアを含む通気口
を有する隔離チャンバをさらに含む。血液隔離デバイスは、入口ポートと接続される近位
端を有するサンプリング流路であって、隔離チャンバが血液サンプルの最初の量の少なく
とも最初の部分を隔離すると血液サンプルの後続の量を真空採血容器に運ぶサンプリング
流路をさらに含む。血液隔離デバイスは、サンプリング流路の遠位端と接続される出口ポ
ートであって、血液サンプルの後続の量を出力する出口ポートをさらに含む。
【0024】
1つ以上の実施形態の詳細が、添付の図面及び以下の説明に記載されている。他の特徴
及び利点は、明細書及び図面並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下、これら及び他の態様について、以下の図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1】血液サンプル最適化システムを示す。
【0027】
図2】代替的な実施に従う血液サンプル最適化システムを示す。
【0028】
図3】別の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システムを示す。
【0029】
図4】別の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システムを示す。
【0030】
図5】別の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システムを示す。
【0031】
図6】代替的な実施に従う血液サンプル最適化システムを示す。
【0032】
図7】血液培養の質を最適化するための方法のフローチャートである。
【0033】
図8A】一部の実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
図8B】一部の実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
図8C】一部の実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
図8D】一部の実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
図8E】一部の実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
【0034】
図9】血液隔離システムに用いる経路スプリッタを示す。
【0035】
図10A】代替的な実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
図10B】代替的な実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
図10C】代替的な実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
図10D】代替的な実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
【0036】
図11A】他の代替的な実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
図11B】他の代替的な実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
図11C】他の代替的な実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
図11D】他の代替的な実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
図11E】他の代替的な実施に従う非汚染採血用の血液隔離システムを示す。
【0037】
図12図12A~12Dは、さらに他の代替的な実施に従う血液隔離デバイスを 含む血液サンプル最適化システムを示す。
【0038】
図13A】さらに別の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システム1300を示す。
図13B】さらに別の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システム1300を示す。
図13C】さらに別の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システム1300を示す。
図13D】さらに別の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システム1300を示す。
【0039】
図14A】患者の血液サンプルに対して実施される血液培養又は検査における偽陽性を低減するために最初のアリコート又はサンプルの汚染物質を隔離する採血システムのさらに別の実施を示す。
図14B】患者の血液サンプルに対して実施される血液培養又は検査における偽陽性を低減するために最初のアリコート又はサンプルの汚染物質を隔離する採血システムのさらに別の実施を示す。
図14C】患者の血液サンプルに対して実施される血液培養又は検査における偽陽性を低減するために最初のアリコート又はサンプルの汚染物質を隔離する採血システムのさらに別の実施を示す。
図14D】患者の血液サンプルに対して実施される血液培養又は検査における偽陽性を低減するために最初のアリコート又はサンプルの汚染物質を隔離する採血システムのさらに別の実施を示す。
図14E】患者の血液サンプルに対して実施される血液培養又は検査における偽陽性を低減するために最初のアリコート又はサンプルの汚染物質を隔離する採血システムのさらに別の実施を示す。
【0040】
図15A】さらに別の実施に従う血液隔離デバイス及びそれを使用する方法を示す。
図15B】さらに別の実施に従う血液隔離デバイス及びそれを使用する方法を示す。
図15C】さらに別の実施に従う血液隔離デバイス及びそれを使用する方法を示す。
図15D】さらに別の実施に従う血液隔離デバイス及びそれを使用する方法を示す。
図15E】さらに別の実施に従う血液隔離デバイス及びそれを使用する方法を示す。
図15F】さらに別の実施に従う血液隔離デバイス及びそれを使用する方法を示す。
図15G】さらに別の実施に従う血液隔離デバイス及びそれを使用する方法を示す。
【0041】
図16A】さらに別の実施に従う血液隔離デバイスを示す。
図16B】さらに別の実施に従う血液隔離デバイスを示す。
図16C】さらに別の実施に従う血液隔離デバイスを示す。
図16D】さらに別の実施に従う血液隔離デバイスを示す。
【0042】
図17図17A~17Eは、血液隔離デバイス用のハウジングの下部部材を示す。
【0043】
図18図18A~18Fは、血液隔離デバイス用のハウジングの上部部材を示す。
【0044】
図19A】下部部材と嵌合する上部部材を有する血液隔離デバイスを示す。
図19B】下部部材と嵌合する上部部材を有する血液隔離デバイスを示す。
【0045】
図20】血液隔離デバイスを含む血液サンプル最適化システムを示す。
【0046】
図21】ウィッキング材料チャンバを使用する通気口付きでない血液隔離デバイスを示す。
【0047】
図22A】血液隔離デバイスの隔離チャンバ内の血液を隔離するためのフィルタの 材料構成を示す。
図22B】血液隔離デバイスの隔離チャンバ内の血液を隔離するためのフィルタの 材料構成を示す。
【0048】
図23A】採血デバイスによる真空力を使用する血液隔離デバイスの別の実施を示す。
図23B】採血デバイスによる真空力を使用する血液隔離デバイスの別の実施を示す。
図23C】採血デバイスによる真空力を使用する血液隔離デバイスの別の実施を示す。
図23D】採血デバイスによる真空力を使用する血液隔離デバイスの別の実施を示す。
図23E】採血デバイスによる真空力を使用する血液隔離デバイスの別の実施を示す。
【0049】
図24A】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図24B】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図24C】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図24D】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
【0050】
図25A】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図25B】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図25C】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図25D】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
【0051】
図26A】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図26B】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図26C】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図26D】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図26E】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
【0052】
図27A】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図27B】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図27C】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図27D】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
【0053】
図28A】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図28B】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図28C】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図28D】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図28E】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図28F】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
【0054】
図29A】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図29B】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図29C】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
【0055】
図30A】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図30B】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図30C】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図30D】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図30E】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図30F】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
図30G】血液最適化システム及び血液隔離デバイスの他の実施を示す。
【0056】
様々な図面における同様の符号は同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本明細書は、採取される血液サンプル中の汚染物質を低減又は排除し、その結果、採取
される血液サンプルの血液培養又は他の検査における偽陽性の判断を減少又は排除する血
液サンプル最適化システム及び方法を記載している。一部の実施では、血液サンプル最適
化システムは、患者の血流への血管アクセスのための患者針と、バキュテナー(登録商標
)のような真空採血容器又は真空採血管などの採血容器か又は他のサンプリングデバイス
に血液サンプルを供給するためのサンプル針と、患者針とサンプル針との間に位置する血
液隔離デバイスとを含む。血液隔離デバイスは、汚染されている可能性のある最初のアリ
コートの血液を隔離するための隔離チャンバを含み、最初のアリコートの血液が隔離チャ
ンバ内に隔離された後に患者針とサンプル針との間の汚染されていない可能性のある血液
を運ぶために隔離チャンバを迂回するサンプリング流路をさらに含むことができる。
【0058】
図1は、一部の実施に従う血液サンプル最適化システムを示す。システムは、患者の皮
膚を穿刺してその中の患者の静脈及び静脈内の血液にアクセスするための患者針1を含む
。システムは、再密封可能なブーツ10、ルアー作動弁、又は別の採取インターフェース
又はデバイス内に収容されかつ再密封可能なブーツ10、ルアー作動弁、又は別の採取イ
ンターフェース又はデバイスによって当初は密封されていることができる、サンプル針(
すなわち、バキュテナー(登録商標)などと共に使用するための再密封可能に密封された
針)5をさらに含む。再密封可能なブーツ10は、患者の血液を採取するためのバキュテ
ナー(登録商標)ボトル(図示せず)を用いることによって、サンプル針5のそばに又は
サンプル針5の周りに押し付けることができる。システムは、サンプル針5に通じる低容
量チャンバ30をさらに含むことができるが、ハウジング50によって形成される隔離チ
ャンバ55に通じる穴又は1つ以上の流路45も含む。
【0059】
隔離チャンバ55は、隔離チャンバ55の容積に応じて、所定の又は測定された量であ
ることができる、患者の血液の最初のアリコートを受け入れかつ保持するためのチャンバ
、流路、通路、ロック、又は他の構造である。最初の採血は、一般的に、後続の採血に比
べて菌血症及び敗血症を引き起こす微生物又は他の病原体を含有しているか又はより含有
の影響を受けやすい。隔離チャンバ55は、硬いハウジング内に収容されるか、ハウジン
グ自体に形成され又はハウジング自体によって画定された容器であることができ、或いは
チューブ又は内腔として実現されることができる。隔離チャンバ55は、どのように形成
されかつ実施されるかにかかわらず、所定の容積を有することができる。一部の実施では
、所定の容積は、患者針の容積に基づくこと、すなわち、患者針の容積よりも少ない容積
から任意の容積から患者針の容積の20倍以上大きい容積までの範囲であることができる
。隔離チャンバ55の所定の容積は、隔離されかつ処分される血液の量を節約又は最小化
するように設定されることもできる。
【0060】
隔離チャンバ55は、チャンバハウジング50内に形成、包含、又は収容されることが
でき、プラスチック、ゴム、鋼、アルミニウム又は他の適切な材料で作られることができ
る。例えば、隔離チャンバ55は、可撓性チューブ又は他のエラストマー材料から形成さ
れることができる。隔離チャンバ55は、空気が隔離チャンバ55から出ることを可能に
する空気透過性血液バリア20をさらに含む。本明細書で使用される「空気透過性血液バ
リア」という用語は、空気透過性だが実質的に血液不透過性の物質、材料又は構造体を意
味する。代表的な例は、疎水性膜及び疎水性コーティング、疎水性膜又は疎水性コーティ
ングと組み合わせた親水性膜又は親水性コーティング、メッシュ、フィルタ、機械的弁、
抗菌性材料、又は隔離チャンバ55が血液で満たされるときに隔離チャンバ55から空気
を追い出すことができる他の任意の手段を含むことができる。様々な例示的な実施形態に
おいて、空気透過性血液バリアは、空気が液体と接触するまで通過することを可能にする
1つ以上の材料によって形成されることができ、このような材料は、空気及び/又は液体
の通過を防止又は阻止するために完全に又は部分的に密封される。言い換えれば、液体と
の接触より前に、材料は空気透過性のバリアを形成している。液体との接触後、材料は、
空気及び/又は液体の更なる通過を実質的に又は完全に防止する。
【0061】
穴又は流路45は、任意の所望の長さ、断面形状又はサイズであることができ、かつ/
又は任意の所望の角度又は向きで低容量チャンバ30から離れるように形成されることが
できる。穴又は流路45はまた、最初のアリコートの血液サンプルを隔離チャンバ55内
に保持する一方向フラップ又は一方向弁60を含むことができる。一部の特定の実施では
、穴又は流路45は、低容量チャンバ30から隔離チャンバ55への一方向の血液の流れ
のための「ダックビル」弁又はフラッパ弁60などを含むことができる。空気透過性血液
バリア20は、空気が出ることを可能にするが血液と接触すると密封する材料で構成する
こともでき、それによって外気が隔離チャンバ55に入ることを許容しない。この密封は
弁を不要にする。
【0062】
弁60は、任意のタイプの弁又は開閉機構であることができる。チャンバ30は、実質
的に残留血液を保持しないように設計されており、特定の容積又は割合の血液を隔離チャ
ンバ55に保持し又は通過させるように設計することができる。同様に、隔離チャンバ5
5は、抗菌コーティングのような任意のタイプのコーティング、又は隔離された最初の採
血の成分の同定及び/又は診断を支援するコーティングも含むことができる。
【0063】
ハウジング50及び40は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)又は他の
熱可塑性材料又はポリマー材料などのプラスチック、ゴム、鋼、又はアルミニウムを含む
任意の適切な材料から形成されることができる。空気透過性血液バリア20は、最初の採
血による血液と接触すると又は空気の追い出しが停止されたときに、又は事象と隔離チャ
ンバ55内の血液との任意の組み合わせの場合に活性化される、色提供物質又は他の信号
伝達機構を含むことができる。空気透過性バリアはまた、外部流体源、しぶき等によるフ
ィルタの不注意による又は早過ぎる密封を阻止又は防止する疎水性膜又はカバーなどの外
層を含むことができる。隔離チャンバ55はまた、チャンバが充填されたことをユーザー
が視覚的に確認することを可能にするために半透明又は透明であることができる。
【0064】
図2は、一部の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システムを示す。図2に示す実
施では、隔離チャンバ55又は廃棄チャンバが患者針1を取り囲み、端部が開放されたカ
フ又はハウジングが廃棄チャンバと接続され、サンプル針ハウジングベース及びハウジン
グを取り囲んでいる。患者針1とサンプル針5とは、ブーツ56によって互いと接続され
ており、ブーツ56は、それを貫通する連続的な採血流路を形成している。ブーツ56は
、採血流路から隔離チャンバ55に通じる単一の穴又は流路を含む。デバイスは、他の実
施では、複数の穴又は流路を含むことができる。各穴又は流路は、一方向弁を含むことが
でき、所定の量の血流のために寸法設定されかつ適合されることができる。
【0065】
隔離チャンバ55は、空気透過性血液バリアを含む。フィルタは、所定容積の血液が隔
離チャンバ55に集められたときに、それぞれ、感知及び/又は指示するためのセンサ又
はインジケータをさらに含むことができる。その指示は、バキュテナー(登録商標)など
の真空採血管又はボトルをサンプル針5に取り付けるようにユーザーに警告する。隔離チ
ャンバ55用のハウジングは、任意のサイズ又は形状であることができ、ハウジング内の
内部空間又は容積を画定するために任意のタイプの材料を含むことができる。内部空間は
、最初は空気のみで満たされているが、汚染除去剤、凝固剤などの薬剤又は物質でコーテ
ィングされることもできる。真空採血管がサンプル針5に取り付けられると、血液は自動
的に患者針1に、採血流路及びサンプル針5を通ってボトルに流入する。サンプル針5は
、採血ボトルがサンプル針に取り付けられていないときにサンプル針を密封する再密封可
能なブーツ、コーティング又は膜によって覆われている。
【0066】
図3は、一部の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システムを示す。図示の実施で
は、サンプル針5は、再密封可能なブーツ又は膜によって取り囲まれ、さらに患者針1と
接続される。サンプル針及び患者針を通って血液流路が形成される。サンプル針と患者針
との間の接続は、主血液流路から隔離チャンバ104へと導く流路、ポート又は開口部を
含む「T」又は「Y」コネクタ102を含む。
【0067】
T又はYコネクタ102は、フラップ又は一方向弁を含み、所定の流量の血液のために
寸法設定されかつ適合された穴を有する。隔離チャンバ104は、チューブから形成され
又は硬いハウジングによって形成されることができ、最初は空気で満たされている。隔離
チャンバ104は、自動的に、すなわち、患者自身の血圧による圧力下で患者から流出す
る血液を受け入れる。隔離チャンバ104は、好ましくは隔離チャンバ104を形成しか
つ近位端がT又はYコネクタ102に接続されたチューブの遠位端に、空気透過性血液バ
リア106を含む。T又はYコネクタ102は、最も効率的な血流のために任意の所望の
角度で分岐することができ、最初のアリコートの血液と主要な採血サンプルとの混合を最
小限に抑え又は排除するために、開口部及び流路と主血液流路との間の接合部分を最小化
するように形成されることができる。
【0068】
一部の代替的な実施では、サンプル針は、図4に示すように、その反対側の端部がT又
はYコネクタ102と接続している任意の長さのチューブに取り付けられることができる
。隔離チャンバ104は、最初のアリコートに所定量の血液サンプルを含む限り、任意の
形状又は容積であることができる。T又はYコネクタ102はまた、主血液流路に対して
平行な開口部又は流路を含むことができる。空気透過性血液バリアは、所定量の血液が隔
離チャンバに集められたとき、又は放出される空気が特定の閾値、すなわちゼロに達した
ときを示すインジケータ107又は他の機構をさらに含むことができる。チューブはまた
、挟んでチューブを通る流体の流れを防止するのに使用することができるクリップ109
を含むことができる。
【0069】
ひとたび空気透過性血液バリア及び一次チャンバが密封されると、最初のアリコートの
血液が隔離チャンバ104に閉じ込められ、サンプルを得るためにバキュテナー(登録商
標)ボトルのような真空採血管がサンプル針5に取り付けられる。採血管は取り外すこと
ができ、サンプル針5は再密封される。更なる採血又はサンプルのために、任意の数の後
続の採血管を取り付けることができる。全ての採血が完了すると、最初のアリコートの血
液が隔離チャンバ104に閉じ込められたまま、システムを廃棄することができる。
【0070】
図5は、一部の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システムを示す。図示の実施で
は、サンプル針5が患者針とチューブによって接続されている。「T」又は「Y」コネク
タ120が、チューブに沿って任意の所望の位置に追加され、実質的に上記のように、隔
離チャンバ204に通じる開口部、ポート又は流路を含む。
【0071】
図6は、一次採取流路として形成された隔離チャンバ304が最初のアリコートの血液
を受け入れ、採血流路に隣接して設けられている、一部の代替的な実施に従う血液サンプ
ル最適化システムを示す。隔離チャンバ304は、採血流路、患者針1及び/又はサンプ
ル針5を取り囲むことができる。一次採取流路は、T又はYコネクタ120、又は他のタ
イプの開口部又は流路を含むことができる。隔離チャンバ304は空気透過性血液バリア
を含み、空気透過性血液バリアは、上記のように、血液などの流体が接触したことのイン
ジケータを含むこともできる。
【0072】
一部の実施では、患者針1又はサンプル針5のいずれか又は両方をルアーロック雄コネ
クタ又はルアーロック雌コネクタで置き換えることができる。しかしながら、様々な実施
で、血液サンプル最適化システムのサンプル針端部にあるコネクタは、周囲空気圧で加圧
されかつ空気透過性血液バリアの空気出口を含む隔離チャンバへ最初のアリコートの血液
をそらすことを可能にするために最初に密封される。このようにして、システムは受動的
かつ自動的に患者自身の血圧を用いて隔離チャンバの周囲空気圧に打ち勝ち、空気透過性
血液バリアを通して空気を押し出し、隔離チャンバ内の空気を血液に置き換える。
【0073】
図7は、血液培養の質を最適化するための例示的な方法のフローチャートである。70
2において、臨床医が患者の静脈に針を挿入する。704において、血液が隔離チャンバ
に流れ込み、空気透過性血液バリアを通して隔離チャンバ内の空気を隔離チャンバから押
し出す。一部の実施では、隔離チャンバの容積は、0.1立方センチメートル(cc)未
満から5立方センチメートル(cc)以上である。隔離チャンバは、血液サンプルの第2
部分及び他の後続の部分又は後続の採取よりも汚染しやすい血液サンプルの第1部分を採
取するように寸法設定されかつ適合されている。隔離チャンバは空気透過性血液バリアを
有し、この血液バリアを通して空気を患者の静脈から押し出された血液で追い出すことが
できるので、このような血液は、血液サンプルを受け入れかつ保管するためのバキュテナ
ー(登録商標)又は他のボトルに引き込まれるか又は他の方法で入る前に、必然的にかつ
自動的に隔離チャンバに流入する。
【0074】
隔離チャンバがいっぱいになると、血液は、血液が通過するのを阻止又は防止する空気
透過性血液バリアに集まるか、さもなければ接触する。706において、血液が空気透過
性血液バリアの全内部表面積と接触すると、空気透過性血液バリアは閉じられ、空気はも
はや流出又は流入しない。708において、臨床医は、バキュテナー(登録商標)などの
真空採血管を取り付けることができることを示すインジケータを提供されるか又は満杯の
チャンバを見ることができる。インジケータは、一次チャンバがいっぱいであるか否かを
確認するための一次チャンバの可視性、例えば、色を変える血液バリア、又は他のインジ
ケータを含むことができる。隔離チャンバの充填時間は、実質的に瞬間的であり得るので
、このようなインジケータは、存在する場合、隔離チャンバが満たされているというだけ
である可能性がある。
【0075】
真空採血管が取り付けられる前、針、サンプリング流路、及び隔離チャンバの間の連通
は、隔離チャンバの血液バリアの密封によって制限され、従って隔離によって空気がシス
テムに再び入ることを可能にしない。連通経路の密封は、機械的にねじること又は他の動
作、小さな穴又は曲がりくねった経路によって達成され、別個の弁又は機械的な動作又は
臨床医による操作の必要性をなくす。710において、真空採血管を取り外すと、自己密
封式の膜がサンプル針を密封し、712において、更なる後続の真空採血管を取り付ける
ことができる。714において、サンプルが採取されると、デバイスが患者から取り外さ
れ、廃棄される。
【0076】
図8A~8Eは、一部の実施に従う、非汚染採血用の例示的な血液サンプル最適化シス
テム800を示す。血液サンプル最適化システム800は、チューブ、患者針(又は両方
)、又は他の血管又は静脈アクセスデバイスに接続されることができる入口ポート802
と、隔離チャンバチューブ806への第1出口とサンプル採取チューブ808への第2出
口とを有する経路スプリッタ804とを含む。隔離チャンバチューブ806及びサンプル
採取チューブ808の一方又は両方は、チューブから形成されることができる。一部の実
施では、隔離チャンバチューブ806は、特定の量の当初血液サンプルを収容するように
寸法設定される。サンプル採取チューブ808は、ひとたび隔離チャンバチューブ806
が満たされると、血液サンプルを受け入れる。サンプル採取チューブ808は、バキュテ
ナー(登録商標)ベース又はハウジング810、又は他の血液サンプル採取デバイスに接
続されることができる。
【0077】
血液隔離システム800は血液隔離デバイス812をさらに含み、血液隔離デバイス8
12は、図8B~8Dにより詳細に示すようにハウジング818を含み、ハウジング81
8は、非汚染サンプル採取チューブ808用の経路を画定するか又はいずれかの端部が非
汚染サンプル採取チューブ808と接続されるサンプリング流路820を含む。サンプリ
ング流路820は、非汚染サンプル採取チューブ808に沿った位置でハウジング818
をより良好に固定しかつ安定させるように、ハウジング818を通って曲線状であること
ができる。
【0078】
血液隔離デバイス812は、隔離チャンバチューブ806又は他のチャンバと接続され
る隔離チャンバ822をさらに含む。隔離チャンバ822は、空気透過性血液バリア82
4で終端している。空気透過性血液バリア824はまた、血液サンプル(すなわち、非汚
染血液サンプル)の正式な採取を開始することができるインジケータとして、血液との完
全な接触時に異なる色に変わる着色剤を含むことができる。小さい光、音発生機構などの
他のインジケータを使用することができる。一部の実施では、空気透過性血液バリアは、
隔離チャンバ822の方向から直角に配置されているが、ハウジング818に使用される
空間及び材料を節約するために任意の距離又は向きに配置されることができる。ハウジン
グ818及びその内容物は、任意の剛性材料又は半剛性材料又は一連の材料から形成され
ることができる。
【0079】
図9は、例えば、図8A~8Eに示すような血液隔離システムに用いる経路スプリッタ
900を示す。経路スプリッタ900は、入口ポート902と、主管路出口ポート904
と、隔離流路出口ポート906とを含む。入口ポート902は、同様に患者針システムに
接続される主チューブに、又は直接患者針に接続されることができる。主管路出口ポート
904は、バキュテナー(登録商標)ベース又はハウジングなどの採血システムへの主管
路チューブに、又は直接そのような採血システムに接続されることができる。隔離流路出
口ポート906は、測定された量又は所定の閾値まで血液の第1サンプルを受け入れかつ
隔離するための隔離チューブに接続されることができる。代わりに、隔離流路出口ポート
906は、隔離チャンバに接続されることができる。隔離流路出口ポート906は、好ま
しくは、主管路出口ポート904から20~70度の角度に曲げられ、一方、主管路出口
ポート904は、好ましくは、入口ポート902と一直線である。本明細書に記載された
機構及び技術に従って、所定の量の最初の血液サンプルが隔離チューブ又は隔離チャンバ
内に隔離されると、後続の血液サンプルは、入口ポート902に流入し、障害物なしで主
管路出口ポート904から直接流出する。
【0080】
図10A~10Dは、別の実施に従う血液隔離デバイス1000を示す。血液隔離デバ
イス1000は、入口ポート1002と、主出口ポート1004と、隔離流路ポート10
06とを含む。入口ポート1002は、患者針又は関連するチューブと接続されることが
できる。主出口ポート1004は、バキュテナー(登録商標)、関連するチューブ、又は
ルアー作動弁などの血液サンプル採取デバイスに接続されることができる。隔離流路ポー
ト1006は、主出口ポート1004から隔離チャンバ1008へと分離する。一部の実
施では、隔離チャンバ1008は、ハウジング又は他の容器1001内に螺旋流路として
形成される。
【0081】
隔離チャンバ1008は、実質的に上記のように、遠位端が空気透過性血液バリア10
10に接続される。隔離チャンバ1008内の空気は、空気透過性血液バリア1010を
通して、隔離流路ポート1006内に案内される最初のアリコートの血液によって追い出
される。ひとたび隔離チャンバ1008が満たされると、主出口ポート1004を通して
更なる採血を行うことができ、これらのサンプルは汚染されていない。
【0082】
図11A~11Eは、他の代替的な実施に従う血液隔離デバイス1100を示す。血液
隔離デバイス1100は、上述の入口ポートと同様の入口ポート1102と、主出口ポー
ト1104と、主出口ポート1104及び入口ポート1102から分離する隔離流路ポー
ト1106とを含む。隔離流路ポートは、隔離チャンバ1108に接続されている。図1
1A~11Eに示す実施では、血液隔離デバイスは、隔離チャンバ1108として機能す
る流路を内部に有するベース部材1101を含む。流路は、ベース部材1101を通る曲
がりくねった経路として形成されることができ、一方、ベース部材1101は、患者の四
肢に載るように成形されかつ形成される。
【0083】
隔離チャンバ1108の一部は、血液隔離インジケータ1109として機能するように
、空気透過性血液バリア1110に出る直前に、ベース部材から又はベース部材の上面付
近に突出することができる。インジケータ1109は、透明な材料、又は血液と接触する
と変色する材料で形成されることができる。
【0084】
一部の実施では、血液隔離デバイス1100は、常時閉じている針、バキュテナー(登
録商標)シールド又は他の採取デバイスなどの採血デバイス1120を含むことができる
。採血デバイス1120は、効率及び利便性のために血液隔離デバイス1100と共に製
造及び販売されることができ、それにより患者針の挿入プロセスによって汚染される恐れ
がある最初のアリコートの血液を隔離することができる。従って、採血デバイス1120
は、非汚染血液サンプルを採取して偽陽性の検査のリスクを低減しかつ非汚染サンプルを
確実にすることができる。
【0085】
図12A~12Dは、さらに他の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システム12
00を示す。システム1200は、バキュテナー(登録商標)又は他の採取及びサンプリ
ングデバイスのような採血デバイス1204に取り付けるための血液隔離デバイス120
2を含む。血液隔離デバイス1202は、バキュテナー(登録商標)容器又はバイアルが
採血デバイス1204の採取針に取り付けられる前に最初のアリコート又は量の血液を受
け入れ、かつその最初のアリコート又は量を血液隔離デバイス1202の隔離流路内に隔
離するように構成されかつ配置されている。
【0086】
一部の実施では、血液隔離デバイス1202は、入口ポート1212と、主出口ポート
と、隔離流路ポートとを含むことができる。入口ポート1212は、患者針又は関連する
チューブに接続されることができる。主出口ポート1214は、真空採血容器又はバキュ
テナー(登録商標)などの他の採取デバイス、関連するチューブ、ルアーコネクタ、注射
器、ルアー作動弁などとの接続を可能にするために、常時閉じている針又はデバイスに接
続されることができる。隔離流路ポートは、主出口ポートから隔離チャンバ1218へと
分離する。
【0087】
一部の実施では、隔離チャンバ1218は、隔離デバイス1202の本体内の流路とし
て形成される。隔離チャンバ1218は、U字形流路、S字形流路、螺旋流路、又は任意
の他の曲がりくねった流路などの曲がりくねった流路であることができる。隔離デバイス
1202は、ハウジング又は他の収容体と、その中に形成された1つ以上の流路とを含む
ことができる。図12A及び12Bに示すように、隔離デバイス1202は、本体120
6とキャップ1208とを含む。本体1206には1つ以上の空洞又は流路が形成され、
空洞又は流路にはキャップ1208から延びる1つ以上のアーム1210がさらに形成さ
れ、1つ以上のアーム1210は、本体1206の空洞又は流路に隣接して一次採取ポー
ト及び主出口ポートを形成している。
【0088】
図13A~13Dは、さらに他の代替的な実施に従う血液サンプル最適化システム13
00を示す。システム1300は、バキュテナー(登録商標)などの採血デバイス130
4又は他の体液採取及びサンプリングデバイスに取り付けるための血液隔離デバイス13
02を含む。血液隔離デバイス1302は、バキュテナー(登録商標)容器又はバイアル
が採血デバイス1304の採取針に取り付けられる前に最初のアリコート又は量の血液を
受け入れ、かつその最初のアリコート又は量の血液又は他の体液を血液隔離デバイス13
02の隔離流路内に隔離するように構成されかつ配置されている。
【0089】
血液隔離デバイス1302は、入口ポート1314と、主出口ポート1312と、隔離
流路ポート1316とを有するハウジング1301を含む。入口ポート1314は、患者
針又は関連するチューブに接続されることができる。主出口ポート1312は、真空採血
容器又はバキュテナー(登録商標)などの他の採取デバイス、関連するチューブ、ルアー
コネクタ、注射器、ルアー作動弁などとの接続を可能にするために、常時閉じている針又
はデバイスに接続されることができる。隔離流路ポート1316は、主入口ポート131
4から隔離チャンバ1318へと分離する。
【0090】
図13A~13Dに示す実施では、隔離チャンバ1318は、ハウジング1301内の
空洞又はチャンバとして形成されるか又はハウジング1301を画定する壁によって形成
される。隔離チャンバ1318は、U字形流路、S字形流路、螺旋流路などの曲がりくね
った流路、又はハウジング1301とキャップ1307との協働及び接続によって画定さ
れる任意の他の曲がりくねった流路であることができ、キャップ1307は、隔離チャン
バ1318内の曲がりくねった流路のための1つ以上の壁又はディレクタを提供する突出
部1305を含むことができる。キャップ1307からの突出部1305は、真っ直ぐで
あるか湾曲していることができ、突出部1305に埋め込まれた様々な流路、開口部又は
溝を有することができ、キャップ1307から任意の角度又は向きで延びることができる
。隔離チャンバ1318の形成を完了するためにキャップ1307がハウジング1301
と接続されると、突出部1305は曲がりくねった流路の少なくとも一部を形成し、隔離
チャンバ1318内に曲がりくねった流路によって形成される隔離流路に最初のアリコー
ト又は量の血液又は他の体液を隔離する。
【0091】
隔離チャンバ1318は、実質的に上記のように空気透過性血液バリア1310を含む
。隔離チャンバ1318内の空気は、患者の血圧によって隔離チャンバ1318内に供給
される最初のアリコートの血液によって空気透過性血液バリア1310を通して追い出さ
れる。隔離チャンバ1318が満たされ、隔離チャンバ1318内の空気が追い出される
と、バキュテナー(登録商標)のような血液サンプル採取デバイスによって提供されるよ
うな真空又は他の圧力のような力が次のアリコート又は量の血液又は体液を引き抜くため
に提供されるまで、患者の血圧は、血液隔離デバイス1302、特に、出口ポート131
2に更なる血液を追い込み又は供給するのには不十分である。主出口ポート1312を通
して更なる採血を行うことができ、あらゆる汚染物質が最初のアリコートの血液と共に隔
離チャンバ1318内に隔離されているので、これらのサンプルは汚染されない。
【0092】
図14A~14Eは、患者の血液サンプルに対して実施される血液培養又は検査におけ
る偽陽性を低減するために最初のアリコート又はサンプルの汚染物質を隔離する採血シス
テム1400のさらに別の実施を示す。採血システム1400は、血液サンプル採取デバ
イス1403と患者針(図示せず)との間に接続されることができる血液隔離デバイス1
401を含む。血液サンプル採取デバイス1403は、バキュテナー(登録商標)などで
あることができる。血液隔離デバイス1401は、血液サンプルへのアクセス及び血液サ
ンプルの採取のために患者の血管系に挿入される患者針と接続されることができる入口ポ
ート1402を含む。入口ポート1402は、同様に患者針と接続されるチューブ又は他
の導管と接続されることもできる。
【0093】
入口ポート1402は、血液隔離デバイス1401への開口部を画定し、この開口部は
、患者針と接続されるチューブもしくは他の導管又は患者針自体と同じ断面寸法であるこ
とができる。例えば、開口部は、約0.045インチ(1.143mm)の直径を有する
円形であることができるが、0.01インチ(0.254mm)以下から0.2インチ(
5.08mm)以上の直径を有することができる。血液隔離デバイス1401は、血液隔
離デバイス1401から及び血液サンプル採取デバイス1403への開口部を画定する出
口ポート1404をさらに含む。出口ポート1404は、同様に血液隔離デバイス140
3と接続されるチューブ又は他の導管と接続されることもできる。出口ポート1404は
、チューブなどを含むがそれらに限定されない様々なデバイスの取り付け用の、ねじ付き
キャップ、ルアーコネクタ(雄型又は雌型)、ねじが切られていない締め代又は接着継手
などのコネクタデバイスをさらに含むことができる。
【0094】
血液隔離デバイス1401は、入口ポート1402と出口ポート1404との間にサン
プリング流路1406をさらに含み、サンプリング流路1406は、最初のアリコートの
血液が隔離されると血液サンプル経路として機能する。サンプリング流路1406は、任
意のサイズ、形状又は構成の流路又は導管であることができる。一部の実施では、サンプ
リング流路1406は、入口ポート1402の開口部と実質的に同様の断面積を有する。
他の実施では、サンプリング流路1406は、入口ポート1402から出口ポート140
4まで徐々に広がることができる。
【0095】
血液隔離デバイス1401は隔離チャンバ1408をさらに含み、隔離チャンバ140
8は、入口ポート1402と出口ポート1404との間の任意の位置でサンプリング流路
1406に接続されかつサンプリング流路1406から分離又は方向転換されるが、好ま
しくは入口ポート1402の近くのサンプリング流路1406の近位端に接続されかつ近
位端から分離又は方向転換される。隔離チャンバ1408は、最初は大気圧に維持され、
サンプリング流路1406からの方向転換点と反対側の隔離チャンバ1408の遠位端又
はその近傍に空気出口1412を含む。空気出口1412は、空気透過性血液バリア14
12を含む。図14Bに示すように、空気透過性血液バリア1412は、保護カバー14
16で覆われていることができる。保護カバー1416は、患者自身の血圧によって隔離
チャンバ1408内に強制的に血液が供給されることによって空気が隔離チャンバから追
い出されるときに空気が空気透過性血液バリア1412から出ることを依然として可能に
しながら、ユーザーが彼らの指又は他の外部器具で空気透過性血液バリア1412に触れ
るのを妨げるように寸法設定されかつ構成されることができる。また、保護カバー141
6は、空気透過性血液バリアが周囲の流体又は飛沫に偶発的に曝されるのを阻止又は防止
するように構成されることができる。これは、保護カバーに疎水性膜を追加することを含
むがそれに限定されない、様々な機械的方法で行うことができる。
【0096】
図14C及び14Dに示すように、サンプリング流路1406は、赤血球を溶解する可
能性を最小限に抑えるために、より小さい直径からより大きい直径になる円筒形又は円錐
台形であることができる。同様に、サンプリング流路1406は、赤血球を溶解する可能
性がある急カーブ又は鋭角が最小限の量で又はなしで形成される。サンプリング流路14
06は、迂回経路1409を通して入口ポート1402の近くで隔離チャンバ1408へ
と分離する。迂回経路1409は、任意の断面形状又はサイズを有することができるが、
好ましくは、入口ポート1402の少なくとも一部の断面形状と同様である。
【0097】
一部の実施では、サンプリング流路1406及び隔離チャンバ1408は、ハウジング
1414に形成された溝、流路、ロック又は他の経路によって形成される。ハウジング1
414は、プラスチック、金属又は他の剛性又は半剛性材料で作られることができる。ハ
ウジング1414は、上部部材と密封可能に嵌合する下部部材を有することができる。下
部部材及び上部部材の一方又は両方は、サンプリング流路1406及び隔離チャンバ14
08、並びに迂回経路1409、入口ポート1402、及び出口ポート1404を含むこ
とができる。一部の他の実施では、迂回経路1409、入口ポート1402、及び/又は
出口ポート1404のうちの1つ以上が、ハウジング1414のいずれかの端部に接続さ
れるキャップ部材によって少なくとも部分的に形成されることができる。一部の実施では
、上部部材及び下部部材、並びにキャップ部材は、レーザー溶接、ヒートシール、接着、
スナップ止め、ねじ止め、ボルト止めなどによって互いに連結されることができる。他の
実施では、迂回経路1409及び/又は隔離チャンバ1408の内面の一部又は全部が、
汚染除去剤、凝固剤などの薬剤又は物質でコーティング又は充填されることができる。例
えば、隔離チャンバ1408が満たされて最初のアリコートの血液が迂回経路1409に
戻るとき、隔離された血液の最後の量が凝固し、隔離チャンバ1408とサンプリング流
路1406との間に障壁を作り出すように、迂回経路1409に凝固剤を提供することが
できる。
【0098】
図15A~15Gは、血液隔離デバイス1500を示す。血液隔離デバイス1500は
、真空採血容器又はバキュテナー(登録商標)などの他の採取デバイス、関連するチュー
ブ、ルアーコネクタ、注射器、ルアー作動弁などとの接続を可能にするために常時閉じて
いる針又はデバイスに接続されることができる。
【0099】
血液隔離デバイス1500は、血液サンプルへのアクセス及び血液サンプルの採取のた
めに患者の血管系に挿入される患者針と接続されることができる入口ポート1502を含
む。入口ポート1502は、同様に患者針と接続されるチューブ又は他の導管と接続され
ることもできる。入口ポート1502は、血液隔離デバイス1500への開口部を画定し
、この開口部は、患者針と接続されるチューブもしくは他の導管又は患者針自体と同じ断
面寸法であることができる。例えば、開口部は、約0.045インチ(1.143mm)
の直径を有する円形であることができるが、0.01インチ(0.254mm)以下から
0.2インチ(5.08mm)以上の直径を有することができる。
【0100】
入口ポート1502はまた、ねじ切り又はルアーフィッティングなどのような密封又は
流体密封のコネクタ又は接続部を含むことができる。一部の実施では、患者針に結合され
ているチューブ又は他の導管は、部品同士の共成形、接着、レーザー溶接、又は熱接合な
どによって、入口ポート1502と一体化されることができる。これによって、血液隔離
デバイス1500は、患者針と共に単一ユニットとして製造及び販売され、採血又はサン
プリングの際に患者針を血液隔離デバイス1500に接続する必要性をなくすことができ
る。
【0101】
血液隔離デバイス1500は、血液隔離デバイス1500から及び血液サンプル採取デ
バイスへの開口部を画定する出口ポート1504をさらに含む。出口ポート1504は、
同様に血液隔離デバイスと接続されるチューブ又は他の導管と接続されることもでき、ね
じ切り又はルアーフィッティングなどの密封又は流体密封コネクタ又は接続部を含むこと
ができる。したがって、上記のように、血液隔離デバイス1500は、患者針及び/又は
チューブ及び血液サンプル採取デバイスと共に単一ユニットとして製造及び販売され、採
血又はサンプリングの際に患者針及び血液サンプル採取デバイスを血液隔離デバイス15
00に接続する必要性をなくすことができる。
【0102】
血液隔離デバイス1500は、入口ポート1502と出口ポート1504との間にサン
プリング流路1506をさらに含み、サンプリング流路1506は、最初のアリコートの
血液が隔離されると血液サンプル経路として機能する。サンプリング流路1506は、任
意のサイズ、形状、又は構成の流路又は導管であることができる。一部の実施では、サン
プリング流路1506は、入口ポート1502の開口部と実質的に同様の断面積を有する
。他の実施では、サンプリング流路1506は、入口ポート1502から出口ポート15
04まで徐々に広がることができる。
【0103】
血液隔離デバイス1500は隔離チャンバ1508をさらに含み、隔離チャンバ150
8は、入口ポート1502と出口ポート1504との間の任意の位置でサンプリング流路
1506に接続されかつサンプリング流路1506から分離又は方向転換されるが、好ま
しくは入口ポート1502の近くのサンプリング流路1506の近位端に接続されかつ近
位端から分離又は方向転換される。一部の実施では、迂回路はY字分岐点を含む。隔離チ
ャンバ1508は、好ましくは大気圧に維持され、隔離チャンバ1508の遠位端又はそ
の近傍に通気口1510を含む。通気口1510は、空気透過性血液バリア1512を含
む。図15Cは、隔離チャンバ1508が患者からの血液の最初のアリコート又はサンプ
ルで満たされた血液隔離デバイス1500を示す。
【0104】
空気透過性血液バリア1512は、保護カバー1516で覆われていることができる。
保護カバー1516は、患者自身の血圧によって隔離チャンバ1508内に強制的に血液
が供給されることによって空気が隔離チャンバから追い出されるときに空気が空気透過性
血液バリア1512から出ることを依然として可能にしながら、ユーザーが彼らの指又は
他の外部器具で空気透過性血液バリア1512に触れるのを妨げるように寸法設定されか
つ構成されることができる。保護カバー1516は、フィルタが周囲の流体又は飛沫に偶
発的に曝されるのを阻止又は防止するように構成されることができる。これは、保護カバ
ーに疎水性膜を追加することを含むがそれに限定されない、様々な機械的方法で行うこと
ができる。
【0105】
図15Bは、血液隔離デバイス1500の出口ポート1504及び通気口1510を含
むハウジング1501の上面からの血液隔離デバイス1500の斜視図であり、サンプル
採取デバイスが起動される前、サンプリング流路1506が空である間に最初のアリコー
トの血液が隔離チャンバ1508を満たすことを示す。図15Gは、血液隔離デバイス1
500の出口ポート1504及びハウジング1501の底面からの血液隔離デバイス15
00の斜視図であり、サンプル採取デバイスが起動される前、サンプリング流路1506
が空である間に最初のアリコートの血液が隔離チャンバ1508を満たすことを示す。図
15Cは、血液隔離デバイス1500の入口ポート1502及び通気口1510を含むハ
ウジング1501の上面からの血液隔離デバイス1500の別の斜視図であり、隔離され
た血液が実質的に隔離チャンバ1508内にとどまっている間に血液がサンプリング流路
1506を通って採取されることを示す。
【0106】
図15Dは、一部の実施に従う血液隔離デバイス1500の断面図であり、サンプリン
グ流路1506及び隔離チャンバ1508を画定するハウジング1501を示す。図15
E及び15Fは、本明細書に記載される1つ以上の実施に従う血液隔離デバイス用のハウ
ジングの様々なフォームファクタを示す。
【0107】
隔離チャンバ1508は、サンプリング流路1506よりも大きい断面積を有すること
ができ、断面積又は長さは、所定の又は特定の血液量が隔離又はロックされるように構成
されることができる。サンプリング流路1506は、患者針のチューブ又は採血デバイス
のチューブのいずれか又は両方のためのチューブに適合するように寸法設定されることが
できる。
【0108】
ハウジング1501は、複数の部品又は単一の一体部品から形成されることができる。
一部の実施では、図15Dに示すように、ハウジング1501は、互いに嵌合する上部部
材1520と下部部材1522とを含み、それらの一方又は両方は、例えば、射出成形プ
ロセスによって又はエッチング、切削、穿孔などによって予め形成された溝、流路、ロッ
ク、導管又は他の経路を有する。上部部材1520は、レーザー溶接、熱接合、超音波溶
接、接着、ねじ、リベット、ボルトなどを使用することなどの任意の嵌合又は接続機構に
よって、又はラッチ、溝、舌状部、ピン、フランジなどの他の嵌合機構によって、下部部
材1522と接続されることができる。
【0109】
図15Dに示すような一部の実施では、上部部材1520は、溝、流路、ロック、導管
又は他の経路を含むことができ、一方、下部部材1522は、上部部材1520の溝、流
路、ロック又は他の経路のうちの少なくとも1つに嵌合するように寸法設定されかつ適合
された突出部1524を含むことができる。突出部1524は、例えば、サンプリング流
路1506及び/又は隔離チャンバ1508のいずれかの形成を完了させるために、部分
的な溝又は部分的な流路などの表面特徴を提供することができる。一部の実施では、突出
部1524は、対応する溝、流路、ロック又は他の経路内によりぴったりと嵌合するため
に、1つ以上の傾斜した側面又は面を形成されることができる。さらに他の実施では、上
部部材1520と下部部材の両方が、溝、流路、ロック又は他の経路、並びに1つ以上の
突出部1524を含むことができる。
【0110】
一部の実施では、サンプリング流路1506及び隔離チャンバ1508は、ハウジング
1501に形成された溝、流路、ロック又は他の経路によって形成される。ハウジング1
501は、ゴム、プラスチック、金属又は他の材料を含む任意の適切な材料で作られるこ
とができる。ハウジング1501は、透明もしくは半透明の材料から、又は不透明もしく
は非半透明の材料から形成されることができる。他の実施では、ハウジング1501は、
大部分が不透明又は非透明であることができるが、サンプリング流路1506及び/又は
隔離チャンバ1508に直接隣接するハウジング表面は、透明又は半透明であり、最初に
隔離チャンバ1508が必要な又は所望の程度まで満たされているという視覚的な合図又
はサイン、及び/又は、次に汚染されていない血液サンプルがサンプリング流路1506
を通して採取される間、隔離された血液が隔離されたままであるという視覚的な合図又は
サインを施術者に与える。隔離の他の視覚的な合図又はサインは、以下に限定されるもの
ではないが、血液の接触、浸透、又は部分的な浸透で空気透過性血液バリア1512が異
なる色に変わること、隔離チャンバに沿った又は隔離チャンバに隣接する任意の位置にあ
る色分けされたタブ又はインジケータ、可聴信号、振動信号、又は他の信号を含むことが
できる。
【0111】
患者の皮膚から多数の病原体を集める可能性がある患者の患者針(図示せず)による静
脈穿刺の後、患者自身の血圧が隔離チャンバ1508内の大気圧に打ち勝って空気透過性
血液バリア1512を通して隔離チャンバ1508内の空気を追い出すときに、これらの
病原体を有する患者の血液の最初の量が、血液隔離デバイス1500入口ポート1502
に入り、最も抵抗の少ない経路をたどることによって隔離チャンバ1508に流入する。
患者の血圧は、密封されたサンプリング流路1506内で高まっている空気圧に打ち勝つ
のに十分ではない。最終的に、所定の容積を有する隔離チャンバ1508は、空気透過性
血液バリア1512を通して空気を追い出す血液で満たされる。血液が空気透過性血液バ
リアに衝突すると、血液は空気透過性血液バリア1512の材料と相互作用して、通気口
1510を完全に又は部分的に密封する。施術者がいまやバキュテナー(登録商標)カプ
セル又は他の血液サンプル採取デバイスを利用してサンプリングのために患者の血液の次
の量を得ることができるという信号又は表示が提供されることができる。隔離チャンバ1
508内の血液は、このとき隔離チャンバ内で事実上隔離されている。
【0112】
血液隔離経路1508を満たした後、バキュテナー(登録商標)又は他の血液サンプル
採取デバイスの使用より前に、患者の血圧は、サンプリング流路1506内の空気の圧縮
を引き起こし、場合によっては少量の血液が隔離チャンバ1508への方向転換点を過ぎ
てサンプリング流路1506に移動し、サンプリング流路1506を通して採取される汚
染されていない血液を待ち行列に入れる。
【0113】
場合によっては、図15Hに示すように、入口ポート1532は、取り外し可能な患者
針に接続するための雄型ルアーコネクタを含むことができ、出口ポート11534は、注
射器と接続するための雌型ルアーコネクタを含むことができる。入口ポート及び出口ポー
トのこの実施は、バキュテナー(登録商標)型デバイスの患者の静脈をつぶす傾向を回避
するために、本明細書に記載の任意のデバイスと共に使用されることができる。この実施
では、臨床医は、調整された方法で注射器を使用して血液サンプルを採取することができ
る。動作中、注射器は出口ポート1004に取り付けられ、針は入口ポート1002に取
り付けられる。静脈穿刺は、針を用いて、臨床医が注射器を引っ張ることなく行われる。
血液の最初のアリコートが隔離チャンバを満たし、その後、注射器を使用して、隔離チャ
ンバ内に隔離された血液を迂回して、採取流路を通して血液のサンプルを採取することが
できる。
【0114】
図16~19は、血液隔離デバイスのさらに別の実施を示す。図16A~16Dは、バ
キュテナー(登録商標)(図示せず)のような真空採血容器などの血液サンプル採取デバ
イスと患者針(図示せず)及び/又は関連するチューブとの間に接続されることができる
血液隔離デバイス1600を示す。図17は、血液隔離デバイスの下部部材を示し、図1
8は、血液隔離デバイスの上部部材を示し、上部部材及び下部部材は、以下でより詳しく
説明するように、相互に嵌合して、入口ポート、出口ポート、隔離チャンバ及びサンプリ
ング流路を形成することができる。図19A及び19Bは、互いに嵌合する上部部材及び
下部部材を示す。図16~19は本明細書に記載される血液隔離デバイスを構成する1つ
の例示的な方法を示しており、他の形態の構成も可能であることを理解されたい。
【0115】
図16A~16Dを参照すると、血液隔離デバイス1600は、血液サンプルへのアク
セス及び血液サンプルの採取のために患者の血管系に挿入される患者針と接続されること
ができる入口ポート1602を含む。入口ポート1602は、同様に患者針と接続される
チューブ又は他の導管と接続されることもできる。入口ポート1602は、血液隔離デバ
イス1600への開口部を画定し、この開口部は、患者針と接続されるチューブもしくは
他の導管又は患者針自体と同じ断面寸法であることができる。例えば、開口部は、約0.
045インチ(1.143mm)の直径を有する円形であることができるが、0.01イ
ンチ(0.254mm)以下から0.2インチ(5.08mm)以上の直径を有すること
ができる。
【0116】
入口ポート1602はまた、ねじ切り又はルアーフィッティングなどのような密封又は
流体密封コネクタ又は接続部を含むことができる。一部の実施では、患者針に結合されて
いるチューブ又は他の導管は、部品同士の共成形、接着、レーザー溶接、又は熱接合など
によって、入口ポート1602と一体化されることができる。これによって、血液隔離デ
バイス1600は、患者針及び/又はチューブと共に単一ユニットとして製造及び販売さ
れ、採血又はサンプリングの際に患者針を血液隔離デバイス1600に接続する必要性を
なくすことができる。
【0117】
血液隔離デバイス1600は、血液隔離デバイス1600から及び血液サンプル採取デ
バイスへの開口部を画定する出口ポート1604をさらに含む。出口ポート1604は、
同様に血液隔離デバイスと接続されるチューブ又は他の導管と接続されることもでき、ね
じ切り又はルアーフィッティングなどの密封又は流体密封コネクタ又は接続部を含むこと
もできる。したがって、上記のように、血液隔離デバイス1600は、患者針及び/又は
チューブ及び血液サンプル採取デバイスと共に単一ユニットとして製造及び販売され、採
血又はサンプリングの際に患者針及び血液サンプル採取デバイスを血液隔離デバイス16
00に接続する必要性をなくすことができる。
【0118】
血液隔離デバイス1600は、入口ポート1602と出口ポート1604との間のサン
プリング流路1606と、入口ポート1602と出口ポート1604との間の任意の位置
でサンプリング流路1606に接続されかつサンプリング流路1606から分離又は方向
転換される隔離チャンバ1608とをさらに含む。サンプリング流路1606は、ひとた
び最初のアリコートの血液が隔離チャンバ1608内に隔離されると、採血経路として機
能する。サンプリング流路1606は、任意のサイズ、形状又は構成の流路又は導管であ
ることができる。一部の実施では、サンプリング流路1606は、入口ポート1602の
開口部と実質的に同様の断面積を有する。他の実施では、サンプリング流路1606は、
入口ポート1602から出口ポート1604まで徐々に広がることができる。隔離チャン
バ1608は、図17及び19により詳しく示すように、血液がサンプリング流路160
6のより小さい直径に入るのに対して、まずリザーバに入ろうとするように、隔離流路の
経路に向かって大きいリザーバを形成するべくより大きい断面を有することができる。
【0119】
一部の例示的な実施では、サンプリング流路1606と隔離チャンバ1608との間の
方向転換は、ダイバータ分岐点1607によるものである。ダイバータ分岐点1607は
、実質的にY字形、T字形、又はU字形であることができる。一部の好ましい例示的な実
施では、図17A~17Bに示すように、ダイバータ分岐点1607は、入口ポート16
02からの流れが優先的に隔離チャンバ1608に向けられるように構成される。隔離チ
ャンバ1608は、最初の血液流を隔離チャンバ1608の方へ及び隔離チャンバ160
8内に向けるための湾曲部又は傾斜路を含むか又は形成することもできる。
【0120】
隔離チャンバ1608は、好ましくは大気圧に維持され、隔離チャンバ1608の遠位
端又はその近傍に通気口1610を含む。通気口1610は、上記のように空気透過性血
液バリア1612を含むことができる。
【0121】
血液隔離デバイス1600は、複数の部品又は単一の一体部品から形成されることがで
きるハウジング1601を含むことができる。一部の実施では、図17A~17E及び図
18A~18Fに示すように、ハウジング1601は、互いに嵌合する上部部材1620
と下部部材1622とを含む。血液隔離デバイス1600は、上部部材1620が下部部
材1622に機械的に取り付けられたときに、両者の間の接合部分がガスケット又は密封
部材によって密封されるように、ガスケット又は他の密封部材(図示せず)を含むことも
できる。図17A~17Eは、血液隔離デバイス1600用のハウジングの下部部材16
22を示す。下部部材1622は、サンプリング流路1606、隔離チャンバ1608、
及びダイバータ分岐点1607を形成するために、射出成形プロセスによって又はエッチ
ング、切削、穿孔などによって下部部材1622に予め形成された溝、流路、ロック、導
管又は他の経路を含むことができる。
【0122】
隔離チャンバ1608は、血液がサンプリング流路1606のより小さい直径に入るの
に対して、まず隔離チャンバ内に優先的に移動するように、サンプリング流路1606よ
りも大きい断面を有することができる。
【0123】
図18A~18Fは、レーザー溶接、熱接合、接着、ねじ、リベット、ボルトなどを使
用することなどの任意の嵌合又は接続機構によって、又はラッチ、溝、舌状部、ピン、フ
ランジなどの他の嵌合機構によって、下部部材1622と接続可能な上部部材1620を
示す。上部部材1620は、サンプリング流路1606、隔離チャンバ1608、及びダ
イバータ分岐点1607を形成するために、溝、流路、ロック、導管又は他の経路の一部
又はすべてを含むことができる。さらに他の実施では、上部部材1620と下部部材16
22の両方が、溝、流路、ロック又は他の経路を含むことができる。
【0124】
一部の実施では、サンプリング流路1606及び隔離チャンバ1608は、ハウジング
1601に形成された溝、流路、ロック又は他の経路によって形成される。ハウジング1
601は、ゴム、プラスチック、金属又は任意の他の適切な材料で作られることができる
。ハウジング1601は、透明もしくは半透明の材料から、又は不透明もしくは非半透明
の材料から形成されることができる。他の実施では、ハウジング1601は、大部分が不
透明又は非半透明であることができるが、サンプリング流路1606及び/又は隔離チャ
ンバ1608に直接隣接するハウジング表面は、透明又は半透明であることができ、最初
に隔離チャンバ1608が必要な又は所望の程度まで満たされているという視覚的な合図
又はサイン、及び/又は、次に汚染されていない血液サンプルがサンプリング流路160
6を通して採取される間、隔離された血液が隔離されたままであるという視覚的な合図又
はサインを施術者に与える。隔離の他の視覚的な合図又はサインは、以下に限定されるも
のではないが、血液の接触、浸透、又は部分的な浸透で空気透過性血液バリア1612が
異なる色に変わること、隔離チャンバに沿った又は隔離チャンバに隣接する任意の位置に
ある色分けされたタブ又はインジケータ、可聴信号、振動信号、又は他の信号を含むこと
ができる。
【0125】
図18A~18Fに示すように、空気透過性血液バリア1612は、保護部材1616
で覆われているか又は保護部材1616によって包囲されていることができる。保護部材
1616は、空気が隔離チャンバ1608から追い出されるときに空気が空気透過性血液
バリア1612から出ることを依然として可能にしながら、ユーザーが彼らの指又は他の
外部器具で空気透過性血液バリア1612に触れるのを妨げるように寸法設定されかつ構
成されることができる。一部の実施では、保護部材1616は、上部部材1620の上面
から上に空気透過性血液バリア1612の周りに延びる突出部を含む。保護部材1616
は、フィルタが周囲の流体又は飛沫に偶発的に曝されるのを阻止又は防止するように構成
されることができる。これは、保護カバーに疎水性膜を追加することを含むがそれに限定
されない、様々な機械的方法で行うことができる。
【0126】
使用時、血液隔離デバイス1600は、サンプリング流路1606と隔離チャンバ16
08とを含む。両方の経路が最初は大気圧の空気で満たされているが、サンプリング流路
1606は、バキュテナー(登録商標)又は他のこのような密封された採血デバイスによ
って最初は密封されている出口ポート1604に向けられ、隔離チャンバ1608は、空
気透過性血液バリア1612を含む大気への通気口1610で終端している。
【0127】
患者の皮膚から多数の病原体を集める可能性がある患者針(図示せず)による静脈穿刺
の後、これらの病原体を有する患者の血液の最初の量が、血液隔離デバイス1600の入
口ポート1602を通過する。この汚染されている可能性のある血液の最初の量は、最も
抵抗の少ない経路を見出すことによって、隔離チャンバ1608に優先的に流入する。患
者自身の血圧は、通気口付きの隔離チャンバ1608内の大気圧に打ち勝ち、空気透過性
血液バリア1612を通して隔離チャンバ1608内の空気を追い出すが、密封されたサ
ンプリング流路1606内で高まっている空気圧に打ち勝つには不十分である。様々な例
示的な実施形態では、隔離チャンバ1608及びサンプリング流路1606は、患者の血
圧によって生じた力が、血液隔離デバイスの向きに関わらず、重力の影響に打ち勝つのに
十分であるように構成されることができる。
【0128】
最終的に、隔離チャンバ1608は、空気透過性血液バリア1612を通して空気を追
い出す血液で満たされる。ひとたび血液が空気透過性血液バリアと接触すると、血液は空
気透過性血液バリア1612の材料と相互作用して通気口1610を完全に又は部分的に
密封する。施術者がいまやバキュテナー(登録商標)又は他の採血デバイスを利用するこ
とができるという信号又は表示を提供することができる。
【0129】
血液隔離経路1608を満たした後、バキュテナー(登録商標)又は他の血液サンプル
採取デバイスの使用より前に、患者の血圧は、サンプリング流路1606内の空気の圧縮
を引き起こし、場合によっては少量の血液が方向転換点を過ぎてサンプリング流路160
6に移動し、サンプリング流路1606を通して採取される汚染されていない血液を待ち
行列に入れる。
【0130】
図19Aは、血液隔離デバイス1600の側面図であり、図19Bは、血液隔離デバイ
ス1600の断面図であり、下部部材1622と嵌合する上部部材1620を示す。
【0131】
図20は、患者の血流への血管アクセスのための患者針2002と、1つ以上の血液サ
ンプルの採取を容易にする血液サンプル採取デバイス2004と、患者針2002と血液
サンプル採取デバイス2004との間の流体接続を提供する導管2006とを含む血液サ
ンプル最適化システム2000を示す。一部の実施では、血液サンプル採取デバイス20
04は、密封された真空容器がその上に配置される密封された採取針を含む保護シールド
を含み、真空容器はひとたび採取針によって穿孔されると、患者針2002から導管20
06を通して真空圧力又は真空力で血液サンプルを吸い込む。
【0132】
血液サンプル最適化システム2000は、本明細書で説明するように、患者針2002
と血液サンプル採取デバイス2004との間の導管2006上の任意の点に位置する血液
隔離デバイス2008をさらに含む。
【0133】
図21は、ウィッキング材料チャンバを使用する通気口付きでない血液隔離デバイス2
100を示す。血液隔離デバイス2100は、ウィッキング材料で満たされた隔離チャン
バ2102によって少なくとも部分的に囲まれ又は隣接されるサンプリング流路2104
を有するハウジング2101を含む。最初のアリコートの血液が患者針からサンプリング
流路2104に引き込まれ、サンプリング流路2104において隔離チャンバ2102の
ウィッキング材料の中に直ちに逃がされる。ウィッキング材料及び/又は隔離チャンバ2
102は、後続の又はそれ以降の採血がウィッキング材料を通り過ぎ、サンプリング流路
2104を通って直接バキュテナー(登録商標)などのサンプリングデバイスに流れるよ
うに、所定量の血液を受け入れかつ保持するように寸法設定されかつ適合されている。ウ
ィッキング材料は、固化剤、汚染除去剤、又は他の添加剤などの物質を含むことができる
【0134】
本明細書に記載されるように、空気透過性血液バリアは、多種多様な異なる構造及び材
料を用いて作られることができる。図22A及び22Bに示すように、血液隔離デバイス
2200の空気透過性血液バリア2202は、少なくとも一部のビーズが親水性になるよ
うに処理されたポリマービーズマトリックス2204を含むことができる。空気透過性血
液バリア2202は、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はセルロースガムなどの
自己密封材料2206、又は他の密封材料をさらに含む。空気透過性血液バリア2202
は、血液などの流体との接触前又は部分接触中の空気の流れを可能にする空隙2208を
さらに含むことができる。図22Bに示すように、流体と接触すると、自己密封材料22
06が膨張して空隙2208を閉鎖し、空隙2208を通る空気の流れを閉塞し、完全に
又は部分的に密封する。
【0135】
図23A及び23Bは、患者針と接続するための入口ポート2302と、血液サンプル
採取デバイスと接続するための出口ポート2304と、隔離チャンバ2306と、隔離す
るべき汚染されている可能性のある血液の最初のアリコートまで隔離チャンバが満たされ
ると隔離チャンバ2306を迂回するサンプリング流路2308とを有する血液隔離デバ
イス2300のさらに別の実施を示している。隔離チャンバ2306は、入口ポート23
02から最も遠い隔離チャンバ2306の遠位端に疎水性プラグ2312を含む。バキュ
テナー(登録商標)などからのような、出口ポート2304から加えられる真空力又は他
の吸引力は、血液を入口ポート2302内に、そして隔離チャンバ2306内に直接吸い
込み、そこで最初のアリコートの血液が疎水性プラグ2312に接触し、最初のアリコー
トの血液を隔離チャンバ2306に戻して隔離チャンバ2306に隔離する。少量の血液
が、最初は弁2308によって閉鎖されているサンプリング流路2308に入ることがで
きる。弁2308が解放されると、真空の更なる力又は他の力の下で、後続の量の血液が
入口ポート2302に流れ、隔離チャンバ2306を迂回し、サンプリング流路2308
を通り抜けて出口ポート2304に向かって流れ、採取デバイスに送られる。
【0136】
サンプリング流路2308は、任意の適切な幾何学的形状を有することができ、プラス
チックチューブ又は任意の他の適切な材料から形成されることができる。弁2308は、
最初のアリコートの血液が隔離チャンバ2306内に隔離される前にサンプリング流路を
挟み、脇へそらし、曲げ、又は他の方法で閉じるためにクリップ又は他の封入デバイスで
あることができる。例えば、弁2308は、サンプリング流路2308内のフラップ、ド
ア又は閉鎖可能な窓又は障壁として形成されることもできる。
【0137】
図23C~23Eは、血液隔離デバイス2300’の代替的な実施を示しており、血液
隔離デバイス2300’において、隔離チャンバ2320は、患者針と接続するための入
口ポート2316とバキュテナー(登録商標)、注射器などの血液サンプル採取デバイス
と接続する出口ポート2318との間で主採取流路2322から分岐している。隔離チャ
ンバ2320は、例えば、材料の疎水性プラグ、又は1つ以上の層で形成されたフィルタ
などの空気透過性で血液不透過性の血液バリア2324を含む。弁2324が採取流路2
322を開閉し、デバイス2300’を上記と同様に使用することができる。
【0138】
図24A~24Dは、患者の血流への血管アクセスのための患者針2402と、血液検
査又は血液培養のための1つ以上の血液サンプルの採取を容易にする血液サンプル採取デ
バイス2404と、患者針2402と血液サンプル採取デバイス2404との間の流体接
続を提供する導管2406とを含む血液サンプル最適化システム2400を示す。一部の
実施では、血液サンプル採取デバイス2404は、密封された真空容器がその上に配置さ
れる密封された採取針を含む保護シールドを含み、真空容器はひとたび採取針によって穿
孔されると、患者針2402から導管2006を通して真空圧力又は真空力で血液サンプ
ルを吸い込む。
【0139】
血液サンプル最適化システム2400は、患者針2402と血液サンプル採取デバイス
2404との間の導管2406上の任意の点に位置する血液隔離デバイス2408をさら
に含む。血液隔離デバイス2408の位置は、血液隔離デバイス2408と患者針240
2との間の導管の長さ、及びその長さが提供する関連する容積に基づくことができる。
【0140】
血液隔離デバイス2408は、患者針2402の方を向いて導管2406に接続される
入口ポート2412と、血液サンプル採取デバイス2404の方を向いて導管2406に
接続される出口ポート2414と、ハウジング2416とを含む。ハウジング2416は
図24A~24Dには実質的に円筒形であるように示されているが、任意の形状である
ことができ、ハウジング2416の両端に位置するように示されているが、ハウジングの
どこにでも位置することができる入口ポート2412と出口ポート2414とを含む。
【0141】
血液隔離デバイス2408は、入口ポート2412と接続される血液隔離チャンバ24
18をさらに含む。血液隔離チャンバ2418は、内側チャンバハウジング2419によ
って画定され、内側チャンバハウジング2419は、最初のアリコートの血液を受け入れ
て隔離する第1の位置から、血液が内側チャンバハウジング2419の周りで内側チャン
バハウジング2419の外側表面とハウジング2416の内側表面とによって画定される
血液サンプル流路2422を通って迂回しかつ/又は流れることを可能にするために内部
チャンバハウジング2419の近位端にある1つ以上の開口部2424を露出させる第2
の位置まで移動可能である。血液隔離チャンバ2418は、血液隔離チャンバ2418の
遠位端に空気透過性血液バリア2420を含む。
【0142】
動作中、1つ以上の開口部2424が閉じられ、血液隔離チャンバ2418が患者針か
らの直接経路にあるように、内部チャンバハウジング2419は入口ポート2412に向
かう第1の位置にある。患者の静脈穿刺、及び注射器もしくはバキュテナー(登録商標)
又は他の採血デバイス2404による採血の際に、最初のアリコートの血液は血液隔離チ
ャンバ2418に流れ込む。最初のアリコートの血液が血液隔離チャンバに流れ込むと、
血液は血液隔離チャンバ内の空気に取って代わり、最終的に血液は血液バリア2420に
接触し、内側チャンバハウジングを第2の位置に押しやる。内側チャンバハウジング24
19及び/又はハウジング2416は、血液隔離チャンバ2418が満たされ、ロック機
構に打ち勝つ力をもたらし、内側チャンバハウジング2419の第2の位置への移動を可
能にするまで、内側チャンバハウジング2419を第1の位置に維持するために、1つ以
上の小さなタブ、溝、戻り止め、隆起部、隆起線などのロック機構を含むことができる。
ひとたび第2の位置になると、最初のアリコートの血液は血液隔離チャンバ2418に隔
離され、1つ以上の開口部2424が開かれて、血液隔離チャンバ2418を迂回しかつ
/又は血液隔離チャンバ2418の周りを流れる入口ポート2412から採血流路242
2への経路を生じる。
【0143】
上記のように、ハウジング2416及び/又は内側チャンバハウジング2419は、円
筒形及び同心円として形成されることができるが、正方形、長方形、楕円形、長円形、又
は他の断面形状などの任意の形状であることができる。内側チャンバハウジング2419
の遠位端の外面は、それらの間に間隙を有する1つ以上の外向きに突出するタング(突起
部)2421を有することができる。タング2421は、ハウジング2416の内面に接
触して、それらの間に採血流路2422を画定するのを助け、そして内側チャンバハウジ
ング2419を第2の位置に停止させるのを助ける。タング2421間の間隙は、血液が
採血流路2422を通って出口ポート2414に流れることを可能にする。内側チャンバ
ハウジング2419が第2の位置にあり、血液隔離チャンバ2418が血液の第1のアリ
コートで満たされているとき、さらなる血液サンプルが、入口ポート2412を通って、
1つ以上の開口部2424を通って、採血流路を通って、タング2421間の間隙を通っ
て、最終的に出口ポート2414を通って自動的に流れ、採血デバイス2404によって
集められる。
【0144】
図25A~25Dは、実質的に図15、16、17、18及び19に記載したように形
成されるが、ユーザー又は他の物体が血液隔離チャンバ2520からの空気抜き機構に触
れ又は空気抜き機構を塞ぐのを阻止するように形成される、血液最適化システム2500
及び血液隔離デバイス2502を示す。最初に血液隔離チャンバ2520内の空気が、患
者の血圧が血液隔離チャンバ2520内の周囲空気圧に打ち勝つ静脈穿刺の際に最初のア
リコートの血液によって追い出される。空気抜き機構は、空気が逃げることを可能にする
が血液が血液隔離チャンバ2520から出るのを阻止する多孔質材料又は材料のセットな
どの空気透過性血液バリア2506を含む。
【0145】
空気抜き機構は、空気透過性血液バリア2506を少なくとも部分的に囲むか又は取り
囲む内壁2516と、内壁2516から離間した外壁2504とを含む。外壁2504は
、外壁2504内に形成された1つ以上の空気孔2514を有することができる。外壁2
504は、キャップ、プラグ、カバーなどのような蓋2510を外壁2504に取り付け
、内壁2516の頂部からわずかな距離だけ移動させることができるように、内壁251
6よりも上方に高く延びている。シリコンウエハー又は他のエラストマー材料の形態のシ
ール2508が、外壁2504内に嵌合して空気透過性血液バリア2506を覆い、内壁
2516の頂部に当接する。シール2508は、空気透過性血液バリア2506を覆って
密封し、空気が空気透過性血液バリア2506を通って血液隔離チャンバ2520に入る
のを阻止する。蓋2510の下側の支点2512が、シール2508が血液隔離チャンバ
2520から押し出された空気によって押されたときに内壁2516の頂部から柔軟に外
れることを可能にし、空気が外壁2504の1つ以上の空気孔2514を通って空気透過
性血液バリア2506から出ることを可能にする。
【0146】
図26A~26Eは、患者の血流への血管アクセスのための患者針2602と、血液検
査又は血液培養のための1つ以上の血液サンプルの採取を容易にする血液サンプル採取デ
バイス2604と、患者針2602と血液サンプル採取デバイス2604との間の流体接
続を提供する導管2606とを含む血液サンプル最適化システム2600を示す。導管2
606は可撓性チューブを含むことができる。好ましい実施では、血液サンプル採取デバ
イス2604は、密封された真空容器がその上に配置される密封された採取針を含む保護
シールド2605を含み、真空容器はひとたび採取針によって穿孔されると、患者針26
02から導管2006を通して真空圧力又は真空力で血液サンプルを吸い込む。
【0147】
血液サンプル最適化システム2600は、患者針2602と血液サンプル採取デバイス
2604との間の導管2606上の任意の点に位置する血液隔離デバイス2608をさら
に含む。血液隔離デバイス2608の位置は、血液隔離デバイス2608と患者針260
2との間の導管の長さ、及びその長さが提供する関連する容積に基づくことができる。
【0148】
血液隔離デバイス2608は、患者針2602の方を向いて導管2606に接続される
入口ポート2612と、血液サンプル採取デバイス2604の方を向いて導管2606に
接続される出口ポート2614とを含む。血液隔離デバイス2608は、いずれも円筒形
であり、同心円状に接続されている、外側ハウジング2616及び内側ハウジング261
7を含む。外側ハウジング2616は、外壁2618と、採血流路2622を画定する内
側導管2620とを含み、導管2606を通して採血デバイス2604に血液を運ぶ。内
側ハウジング2617は、外側ハウジングの内側導管2620と外壁2618との間にぴ
ったりと嵌まり、外側ハウジング2616に対して回転可能である。外側ハウジング26
16と内側ハウジング2617との間の嵌合は、ハウジングを特定の位置に維持する摩擦
嵌めであることができる。内側ハウジング2617は、血液隔離チャンバ2624、好ま
しくは外側ハウジング2616の内側導管2620の外側表面の周りのらせん形又は旋回
形の流路を画定し、図26Eに示すように、空気透過性血液バリアを有する空気孔262
8で終端している。
【0149】
血液隔離チャンバ2624は、図26Cに示すように、血液隔離デバイスが第1の状態
にあるとき、内側導管2620に形成された迂回路分岐点2624を介して採血流路26
22と接続されている。採取針2604上の保護シールド2606は空気又は血液用の障
害物を提供し、患者の血圧が血液隔離チャネル2624内の周囲空気圧に打ち勝って血液
隔離チャネル2624から空気孔2628を通して空気を追い出すときに、最初のアリコ
ートの血液を血液隔離チャンバ2624へ向けることを可能にする。
【0150】
図26Dに示されるように、内側ハウジング2617を外側ハウジング2616に対し
て又はその逆に第2の状態へ回転させると、血液隔離チャンバ2624は迂回路分岐点2
624から遮断され、採血流路2622によって、患者針から導管2606を通って採取
針2604までの直接経路が可能になる。外側ハウジング2616及び/又は内側ハウジ
ング2617は、第1の状態から第2の状態への相対回転を容易にするために、それらの
表面の一部に形成された隆起線又は溝を含むことができる。
【0151】
図27A~27Dは、実質的に少なくとも図15、16、17、18、19及び25を
参照して説明したように形成されるが、ユーザー又は他の物体が血液隔離チャンバ272
0からの空気抜き機構に触れ又は空気抜き機構を塞ぐのを阻止するように形成される、血
液最適化システム2700及び血液隔離デバイス2702を示す。最初に血液隔離チャン
バ2720内の空気が、患者の血圧が血液隔離チャンバ2720内の周囲空気圧に打ち勝
つ静脈穿刺の際に最初のアリコートの血液によって追い出される。空気抜き機構は、空気
が逃げることを可能にするが血液が血液隔離チャンバ2720から出るのを阻止する多孔
質材料又は材料のセットなどの空気透過性血液バリア2706を含む。
【0152】
空気抜き機構は、空気透過性血液バリア2706を少なくとも部分的に囲むか又は取り
囲む内壁2716と、内壁2716から離間した外壁2704とを含む。キャップ272
2が、好ましくは空気抜き機構の内壁2716と外壁2704との間に嵌合し、内壁27
16又は外壁2704又はそれらの両方に摩擦接触する下部キャップ壁2728を有する
ことによって、空気抜き機構に配置される。キャップ2722は、下方に延びるプラグ2
726の周りでキャップ2722の上面を通って延びる、1つ以上の通気孔2724又は
スリット、開口部、穴などをさらに含む。プラグ2726は、内壁2716によって画定
された空間内にぴったりと嵌まるように寸法設定されかつ適合されている。
【0153】
図27Cに示すように、第1の位置において、キャップ2722は、血液隔離チャンバ
2720からの空気が空気透過性血液バリア2706を通って及び1つ以上の通気孔27
24を通って出ることを可能にするために空気抜き機構から延ばされている。ひとたび血
液隔離チャンバ2720からの空気が追い出されると、すなわち、血液隔離チャンバ27
20が患者からの潜在的に汚染された血液の最初のアリコートで満たされると、キャップ
2722は、図27Dに示すように、第2の位置において空気抜き機構上に押し下げられ
ることができ、その結果、プラグ2726は、空気透過性血液バリア2706上の内壁2
716内に嵌合し、空気抜き機構を密閉する。第1の位置又は第2の位置のいずれにおい
ても、キャップ2722は、空気透過性血液バリア2706を外気から又はユーザーが触
れないように保護する。
【0154】
図28A~28Fは、実質的に少なくとも図15、16、17、18、19、25及び
26を参照して説明したように形成されるが、多層フィルタと、一部の実施では、空気透
過性血液バリア用の閉じ込められた反応物質を有するフィルタとを利用する、血液最適化
システム2800及び血液隔離デバイス2802を示す。図28C及び28Dに示すよう
に、空気透過性血液バリア2803は、空気が両方の層を通過できるようにしながら血液
をはじくために、空気透過性だが血液不透過性の材料の第1の層2804と、疎水性材料
などの反応物質を含む第2の層2806とを含む。図28E及び28Fに示すように、空
気透過性血液バリア2803は、第1の層2804と同じ空気透過性だが血液不透過性の
材料から形成される第3の層2808などの任意の数の層を含むことができ、一方、第2
の層2806は、閉じ込められ又は埋め込まれた血液反応物質を含む。
【0155】
図29A~29Cは、実質的に少なくとも図15、16、17、18、19、25及び
26を参照して説明したように形成されるが、血液隔離チャンバ 2904が少なくとも
部分的に血液吸収材料2906で満たされている、血液最適化システム2900及び血液
隔離デバイス2902を示す。血液吸収材料2906は、患者の静脈穿刺の際に及びバキ
ュテナー(登録商標)又は注射器などの採血デバイスを使用する前に、隔離される血液を
さらに吸い込むためのウィッキング材料として働くことができる。
【0156】
図30A~30Gは、実質的に少なくとも図15、16、17、18、19、25及び
26を参照して説明したように形成される、血液最適化システム3000及び血液隔離デ
バイス3002を示す。血液隔離デバイス3000は、血液サンプルへのアクセス及び血
液サンプルの取り出しのために患者の血管系に挿入される患者針と接続されることができ
る入口ポート3002を含む。入口ポート3002は、同様に患者針と接続されるチュー
ブ又は他の導管と接続されることもできる。入口ポート3002は、血液隔離デバイス3
000への開口部を画定し、この開口部は、患者針と接続されるチューブもしくは他の導
管又は患者針自体と同じ断面寸法であることができる。例えば、開口部は、約0.045
インチ(1.143mm)の直径を有する円形であることができるが、0.01インチ(
0.254mm)以下から0.2インチ(5.08mm)以上の直径を有することができ
る。
【0157】
入口ポート3002はまた、ねじ切り又はルアーフィッティングなどのような、密封又
は流体密封コネクタ又は接続部を含み得る。一部の実施では、患者針に結合されているチ
ューブ又は他の導管は、部品同士の共成形、接着、レーザー溶接、又は熱接合などによっ
て、入口ポート3002と一体化されることができる。これによって、血液隔離デバイス
3000は、患者針及び/又はチューブと共に単一ユニットとして製造及び販売され、採
血又はサンプリングの際に患者針を血液隔離デバイス3000に接続する必要性をなくす
ことができる。
【0158】
血液隔離デバイス3000は、血液隔離デバイス3000から及び血液サンプル採取デ
バイスへの開口部を画定する出口ポート3004をさらに含む。出口ポート3004は、
同様に血液隔離デバイスと接続されるチューブ又は他の導管と接続されることもでき、ね
じ切り又はルアーフィッティングなどの密封又は流体密封コネクタ又は接続部を含むこと
ができる。したがって、上記のように、血液隔離デバイス3000は、患者針及び/又は
チューブ及び血液サンプル採取デバイスと共に単一ユニットとして製造及び販売され、採
血又はサンプリングの際に患者針及び血液サンプル採取デバイスを血液隔離デバイス30
00に接続する必要性をなくすことができる。
【0159】
血液隔離デバイス3000は、入口ポート3002と出口ポート3004との間のサン
プリング流路3006と、入口ポート3002と出口ポート3004との間の任意の位置
でサンプリング流路3006に接続されかつサンプリング流路3006から分離又は方向
転換される隔離チャンバ3008とをさらに含む。サンプリング流路3006は、ひとた
び最初のアリコートの血液が隔離チャンバ3008内に隔離されると、採血経路として機
能する。サンプリング流路3006は、任意のサイズ、形状又は構成の流路又は導管であ
ることができる。一部の実施では、サンプリング流路3006は、入口ポート1402の
開口部と実質的に同様の断面積を有する。他の実施では、サンプリング流路3006は、
入口ポート3002から出口ポート3004まで徐々に広がることができる。隔離チャン
バ3008は、血液がサンプリング流路3006のより小さい直径に入るのに対して、ま
ずリザーバに入ろうとするように、隔離流路の経路に向かって大きいリザーバを形成する
べくより大きい断面を有することができる。
【0160】
一部の例示的な実施では、サンプリング流路3006と隔離チャンバ3008との間の
方向転換は、ダイバータ分岐点3007によるものである。ダイバータ分岐点3007は
、実質的にY字形、T字形、又はU字形であることができる。一部の好ましい例示的な実
施では、図17A~17Bに示すように、ダイバータ分岐点3007は、入口ポート30
02からの流れが優先的に隔離チャンバ3008に向けられるように構成される。隔離チ
ャンバ3008は、最初の血液流を隔離チャンバ3008の方へ及び隔離チャンバ300
8内に向けるための湾曲部又は傾斜路を含むか又は形成することもできる。
【0161】
隔離チャンバ3008は、好ましくは大気圧に維持され、隔離チャンバ3008の遠位
端又はその近傍に通気口3010を含む。通気口3010は、上記のように空気透過性血
液バリア3012を含むことができる。
【0162】
血液隔離デバイス3000は、複数の部品又は単一の一体部品から形成されることがで
きるハウジング3001を含むことができる。一部の実施では、図30Fに示すように、
ハウジング3001は、互いに嵌合する上部部材3020と下部部材3022とを含む。
血液隔離デバイス3000は、上部部材3020が下部部材3022に機械的に取り付け
られたときに、両者の間の接合部分がガスケット又は密封部材によって密封されるように
、ガスケット又は他の密封部材(図示せず)を含むこともできる。下部部材3022は、
サンプリング流路3006、隔離チャンバ3008、及びダイバータ分岐点3007を形
成するために、射出成形プロセスによって又はエッチング、切削、穿孔などによって下部
部材3022に予め形成された溝、流路、ロック、導管又は他の経路を含むことができる
【0163】
隔離チャンバ3008は、血液がサンプリング流路3006のより小さい直径に入るの
に対して、まず隔離チャンバ内に優先的に移動するように、サンプリング流路3006よ
りも大きい断面を有することができる。
【0164】
一部の実施では、サンプリング流路3006及び隔離チャンバ3008は、ハウジング
3001に形成された溝、流路、ロック又は他の経路によって形成される。ハウジング3
001は、ゴム、プラスチック、金属又は任意の他の適切な材料で作られることができる
。ハウジング3001は、透明もしくは半透明の材料から、又は不透明もしくは非半透明
の材料から形成されることができる。他の実施では、ハウジング3001は、大部分が不
透明又は非半透明であることができるが、サンプリング流路3006及び/又は隔離チャ
ンバ3008に直接隣接するハウジング表面は、透明又は半透明であることができ、最初
に隔離チャンバ3008が必要な又は所望の程度まで満たされているという視覚的な合図
又はサイン、及び/又は、次に汚染されていない血液サンプルがサンプリング流路300
6を通して採取される間、隔離された血液が隔離されたままであるという視覚的な合図又
はサインを施術者に与える。隔離の他の視覚的な合図又はサインは、以下に限定されるも
のではないが、血液の接触、浸透、又は部分的な浸透で空気透過性血液バリア3012が
異なる色に変わること、隔離チャンバに沿った又は隔離チャンバに隣接する任意の位置に
ある色分けされたタブ又はインジケータ、可聴信号、振動信号、又は他の信号を含むこと
ができる。
【0165】
空気透過性血液バリア3012は、キャップ3032で覆われるか又はキャップ303
2によって囲まれることができる。キャップ3032は、空気が隔離チャンバ3008か
ら追い出されるときに空気が空気透過性血液バリア3012から出ることを依然として可
能にしながら、ユーザーが彼らの指又は他の外部器具で空気透過性血液バリア3012に
触れるのを妨げるように寸法設定されかつ構成されることができる。キャップ3032は
、フィルタが周囲の流体又は飛沫に偶発的に曝されるのを阻止又は防止するように構成さ
れることができる。これは、保護カバーに疎水性膜を追加することを含むがそれに限定さ
れない、様々な機械的方法で行うことができる。
【0166】
空気抜き機構は、空気透過性血液バリア3012を少なくとも部分的に囲むか又は取り
囲む壁3030を含む。壁3030は、壁3030内に形成された1つ以上の空気孔を有
することができる。キャップ3032は壁3030を覆い、スナップ留め、接着、又は他
の方法で所定の位置に取り付けることができる。シリコンウエハー又は他のエラストマー
材料の形態のシール3017が、壁3030内に嵌合して空気透過性血液バリア3012
を覆い、壁3030の頂部に当接する。シール3017は、空気透過性血液バリア301
2を覆って密封し、空気が空気透過性血液バリア3012を通って血液隔離チャンバ30
08に入るのを阻止する。キャップ3032の下側の支点3012が、シール3008が
血液隔離チャンバ3008から押し出された空気によって押されたときに内壁3016の
頂部から柔軟に外れることを可能にし、空気が壁3030及び/又はキャップ3032内
の1つ以上の空気孔を通って空気透過性血液バリア3012から出ることを可能にする。
【0167】
使用時、血液隔離デバイス3000は、サンプリング流路3006と隔離チャンバ30
08とを含む。両方の経路が最初は大気圧の空気で満たされているが、サンプリング流路
3006は、バキュテナー(登録商標)又は他のこのような密封された採血デバイスによ
って最初は密封されている出口ポート3004に向けられ、隔離チャンバ3008は、空
気透過性血液バリア3012を含む大気への通気口3010で終端している。
【0168】
患者の皮膚から多数の病原体を集める可能性がある患者針(図示せず)による静脈穿刺
の後、これらの病原体を有する患者の血液の最初の量が、血液隔離デバイス3000の入
口ポート3002を通過する。この汚染されている可能性のある血液の最初の量は、最も
抵抗の少ない経路を見出すことによって、隔離チャンバ3008に優先的に流入する。患
者自身の血圧は、通気口付きの隔離チャンバ3008内の大気圧に打ち勝ち、空気透過性
血液バリア3012を通して隔離チャンバ3008内の空気を追い出すが、密封されたサ
ンプリング流路3006内で高まっている空気圧に打ち勝つには不十分である。様々な例
示的な実施形態では、隔離チャンバ3008及びサンプリング流路3006は、患者の血
圧によって生じた力が、血液隔離デバイスの向きに関わらず、重力の影響に打ち勝つのに
十分であるように構成されることができる。
【0169】
最終的に、隔離チャンバ3008は、空気透過性血液バリア3012を通して空気を追
い出す血液で満たされる。ひとたび血液が空気透過性血液バリアと接触すると、血液は空
気透過性血液バリア3012の材料と相互作用して通気口3010を完全に又は部分的に
密封する。施術者がいまやバキュテナー(登録商標)又は他の採血デバイスを利用するこ
とができるという信号又は表示を提供することができる。
【0170】
血液隔離経路3008を満たした後、バキュテナー(登録商標)又は他の血液サンプル
採取デバイスの使用より前に、患者の血圧は、サンプリング流路3006内の空気の圧縮
を引き起こし、場合によっては少量の血液が方向転換点を過ぎてサンプリング流路300
6に移動し、サンプリング流路3006を通して採取される汚染されていない血液を待ち
行列に入れる。
【0171】
さらに別の態様では、本明細書に記載の実施のいずれかの血液隔離チャンバ及び/又は
採血流路又は他のコンポーネントは、視覚的に識別可能な警告を提供するか、又は患者の
血管内への静脈内カテーテル用の導入器のフラッシュ室との動作可能な流体連通に適した
コンポーネントをもたらし得る。デバイス及び方法は、患者からの血液が連通した血漿に
反応する検査コンポーネントと連通して視覚的に変化したときに視覚的に識別可能な警告
を提供する。血液又は血漿との反応は、血液の内容物、物質、又はその閾値の高レベルも
しくは低レベルについて試験するように構成され、結果に応じて外観が視覚的に変化する
ように構成された、血液又は血漿内に配置される1つ以上の試薬に応じて発生する。
【0172】
さらに他の態様では、血液隔離チャンバ及び/又は採血流路は、隔離プロセス及び/又
はサンプリングプロセス中に、血液の特定の体積流量を提供するように寸法設定されかつ
適合されることができる。
【0173】
様々な実施形態を上記で詳細に説明してきたが、他の変更も可能である。他の実施形態
は、添付の特許請求の範囲内に含まれ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F
図15G
図16A
図16B
図16C
図16D
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図18A
図18B
図18C
図18D
図18E
図18F
図19A
図19B
図20
図21
図22A
図22B
図23A
図23B
図23C
図23D
図23E
図24A
図24B
図24C
図24D
図25A
図25B
図25C
図25D
図26A
図26B
図26C
図26D
図26E
図27A
図27B
図27C
図27D
図28A
図28B
図28C
図28D
図28E
図28F
図29A
図29B
図29C
図30A
図30B
図30C
図30D
図30E
図30F
図30G
【手続補正書】
【提出日】2024-08-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液サンプルを受け入れるための入口ポートと、
出口ポートと、
前記入口ポートに接続され、血液サンプル採取デバイスからの前記出口ポートから加えられる吸引力を受けたときに前記血液サンプルの最初の部分を採取するように構成されたチャンバと、
前記入口ポートに接続され、前記血液サンプルの後続の部分を前記出口ポートに運ぶように構成されたサンプリング流路と、
前記血液サンプルが前記サンプリング流路に流れることを可能とするように、第1の位置から第2の位置に移動可能に構成された可動部と
を備えるデバイス。
【請求項2】
前記第1の位置において、前記チャンバ内で前記血液サンプルの前記最初の部分の採取が可能になる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記可動部は、前記血液サンプルの前記最初の部分が前記チャンバ内に流入した後に、前記第1の位置から前記第2の位置に移動するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
ロック機構をさらに備え、当該ロック機構は、前記チャンバが前記血液サンプルの前記最初の部分で満たされるまで、前記可動部を前記第1の位置に維持するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記可動部は内側チャンバハウジングである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
血液不透過性膜が、前記チャンバが前記血液サンプルの前記最初の部分を採取することを容易にするように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
血液不透過性膜が、前記出口ポートから加えられる前記吸引力の印加に続いて、前記血液サンプルの前記最初の部分を前記チャンバ内に逆流させる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記血液不透過性膜とは別にハウジングをさらに備える、請求項6に記載のデバイス。
【請求項9】
前記出口ポートで前記吸引力が加えられると、前記血液サンプルの前記最初の部分が前記チャンバに吸い込まれ、血液不透過性の材料に接触するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
最初は前記サンプリング流路を閉鎖するように構成された弁をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記血液サンプルの前記最初の部分が前記チャンバに流入するまで、最初は前記サンプリング流路を閉鎖するように構成され、解放されると、後続の量の前記血液サンプルが前記チャンバを迂回して前記サンプリング流路を通って前記出口ポートに向かって流れるようにさらに構成された弁をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記弁は、前記血液サンプルの前記最初の部分が前記チャンバ内に採取される前に、前記サンプリング流路を挟み、分流させ、曲げ、または他の方法で閉鎖するように構成される、請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
患者針とサンプル採取デバイスとをさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記チャンバは、汚染されやすい前記血液サンプルの前記最初の部分を採取し、また、隔離される血液の量を最小化するのに十分な容積を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記チャンバは、1.5立方センチメートル未満の容積を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
血液を受け入れるための入口ポートと、
出口ポートと、
前記入口ポートに接続され、前記出口ポートから加えられる吸引力を受けたときに前記血液の最初の部分を採取するように構成されたチャンバと、
前記入口ポートに接続され、前記血液の後続の部分を前記出口ポートに運ぶように構成されたサンプリング流路と、
前記入口ポートが前記チャンバと流体連通している第1の位置から、前記入口ポートから前記出口ポートまでの経路を形成する第2の位置に移動可能な可動部と
を備えるデバイス。
【請求項17】
前記第1の位置において、前記チャンバ内で前記血液の前記最初の部分の採取が可能になる、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記可動部は、前記血液の前記最初の部分が前記チャンバ内に流入した後に、前記第1の位置から前記第2の位置に移動するように構成される、請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
ロック機構をさらに備え、当該ロック機構は、前記チャンバが前記血液の前記最初の部分で満たされるまで、前記可動部を前記第1の位置に維持するように構成される、請求項16に記載のデバイス。
【請求項20】
前記可動部は内側チャンバハウジングである、請求項16に記載のデバイス。
【請求項21】
血液不透過性膜が、前記チャンバが前記血液の前記最初の部分を採取することを容易にするように構成される、請求項16に記載のデバイス。
【請求項22】
血液不透過性膜が、前記出口ポートから加えられる前記吸引力の印加に続いて、前記血液の前記最初の部分を前記チャンバ内に逆流させる、請求項16に記載のデバイス。
【請求項23】
前記血液不透過性膜とは別にハウジングをさらに備える、請求項21に記載のデバイス。
【請求項24】
前記出口ポートで前記吸引力が加えられると、前記血液の前記最初の部分が前記チャンバに吸い込まれ、血液不透過性の材料に接触するように構成される、請求項16に記載のデバイス。
【請求項25】
最初は前記サンプリング流路を閉鎖するように構成された弁をさらに備える、請求項16に記載のデバイス。
【請求項26】
前記血液の前記最初の部分が前記チャンバに流入するまで、最初は前記サンプリング流路を閉鎖するように構成され、解放されると、後続の量の前記血液が前記チャンバを迂回して前記サンプリング流路を通って前記出口ポートに向かって流れるようにさらに構成された弁をさらに備える、請求項16に記載のデバイス。
【請求項27】
前記弁は、前記血液の前記最初の部分が前記チャンバ内に採取される前に、前記サンプリング流路を挟み、分流させ、曲げ、または他の方法で閉鎖するように構成される、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
患者針とサンプル採取デバイスとをさらに含む、請求項16に記載のデバイス。
【請求項29】
前記チャンバは、汚染されやすい前記血液の前記最初の部分を採取し、また、隔離される血液の量を最小化するのに十分な容積を有する、請求項16に記載のデバイス。
【請求項30】
前記チャンバは、1.5立方センチメートル未満の容積を有する、請求項16に記載のデバイス。
【外国語明細書】