(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156772
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】大腸菌組成物およびその方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/108 20060101AFI20241029BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20241029BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20241029BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20241029BHJP
A61K 31/715 20060101ALI20241029BHJP
C07K 14/34 20060101ALN20241029BHJP
【FI】
A61K39/108
A61K38/16 ZNA
A61P37/04
A61K47/64
A61K31/715
A61K38/16
A61K39/108 ZNA
C07K14/34
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024121820
(22)【出願日】2024-07-29
(62)【分割の表示】P 2021509187の分割
【原出願日】2019-08-20
(31)【優先権主張番号】62/722,370
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/784,940
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/881,361
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
2.BRIJ
3.PLURONIC
4.SPAN
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【弁理士】
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【弁理士】
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ジー.ケイ. ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】アナリサ シビル アンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】ローレント オリヴァー コッロ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンシン グウ
(72)【発明者】
【氏名】ジン―フアン キム
(72)【発明者】
【氏名】スリニヴァス コダリ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン アーノルド ロトゥヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン キース モラン
(72)【発明者】
【氏名】ロサリンド パン
(72)【発明者】
【氏名】アヴァリ クリシュナ プラサド
(72)【発明者】
【氏名】マーク エドワード ラペン
(72)【発明者】
【氏名】サダーム シング
(72)【発明者】
【氏名】リング チュウ
(72)【発明者】
【氏名】スコット エリス ロンバーク
(72)【発明者】
【氏名】カレン キヨコ タカネ
(72)【発明者】
【氏名】ニシス マーチャント
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ チェン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】大腸菌(E.coli)血清型に対する免疫応答を惹起するための組成物およびその使用方法を提供する。
【解決手段】一態様では、本発明は、大腸菌(E.coli)リポ多糖に由来する改変されたO多糖分子およびそのコンジュゲートを含む免疫原性組成物に関する。多価ワクチンを、異なる大腸菌(E.coli)血清型に関する2つ以上の一価免疫原性組成物を組み合わせることによって調製することができる。一実施形態では、改変されたO多糖分子は、wzz遺伝子を含む組換え細菌によって産生される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)表1に示される式O25b(式中、nは31~70の整数である)
からなる大腸菌(E.coli)のO抗原多糖に共有結合した担体タンパク質を含むコンジュゲート、(b)表1に示される式O1A(式中、nは31~50の整数である)からなる大腸菌(E.coli)のO抗原多糖に共有結合した担体タンパク質を含むコンジュゲート、(c)表1に示される式O2(式中、nは31~70の整数である)からなる大腸菌(E.coli)のO抗原多糖に共有結合した担体タンパク質を含むコンジュゲート、および(d)表1に示される式O6:K2、式O6:K13、式O6:K15、または式O6:K54(式中、nは31~60の整数である)からなる大腸菌(E.coli)のO抗原多糖に共有結合した担体タンパク質を含むコンジュゲートを含む組成物。
【請求項2】
表1に示される式O16(式中、nは31~70の整数である)、式O17(式中、nは31~50の整数である)、式O18(式中、nは31~50の整数である)および式O75(式中、nは31~70の整数である)のうちのいずれか1つから選択される構造からなる大腸菌(E.coli)のO抗原多糖に共有結合した担体タンパク質を含むコンジュゲートをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物中のO抗原多糖の総量と比較して最大で25%の遊離糖を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
有効量の請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物を含む、哺乳動物において大腸菌(Escherichia coli)に対する免疫応答を惹起するための薬剤。
【請求項5】
免疫応答が大腸菌(E.coli)に対するオプソニン貪食作用抗体を含む、請求項4に記載の薬剤。
【請求項6】
免疫応答が大腸菌(E.coli)感染から哺乳動物を保護する、請求項4に記載の薬剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2018年8月24日に出願された米国仮特許出願第62/722,370号、2018年12月26日に出願された米国仮特許出願第62/784,940号、および2019年7月31日に出願された米国仮特許出願第62/881,361号の優先権を主張し、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、大腸菌(Escherichia coli)組成物およびその方法に関する。
【背景技術】
【0003】
グラム陰性細菌の細胞壁は、外膜と、外膜の内側にペプチドグリカン層とを含む。外膜は、リン脂質、リポ多糖(LPS)、リポタンパク質および膜タンパク質を含む。リポ多糖は、膜の外層に見出され、リン脂質は、その内層に見出される。
【0004】
LPSは、コアオリゴ糖を、糖モノマー反復単位を含有するO多糖のポリマーに連結するリピドA膜アンカーを含み、短い、長い、または非常に長いO鎖を形成する。コアオリゴ糖は個々の細菌種内でほとんど保存されているが、O多糖は血清型間で可変性であり得る。
【0005】
大腸菌(Escherichia coli(E.coli))は、生命を脅かす細菌敗血症を引き起こすことが知られるグラム陰性細菌である。莢膜(K)およびリポ多糖(LPS)O抗原は両方とも、重要なビルレンス因子である。
【0006】
大腸菌(E.coli)のためのワクチンの基礎としてのO多糖の使用には著しい関心がある。しかしながら、従来の化学的コンジュゲーションまたはバイオコンジュゲーション手法を使用する大腸菌(E.coli)糖コンジュゲートワクチンを開発する以前の試みは、全ての血清型に対するロバストな機能的免疫応答を生成できなかった。したがって、ロバストな機能的免疫応答を生成する大腸菌(E.coli)に対する免疫原性組成物に対する満たされていない必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの必要性およびその他の必要性を満たすために、本発明は、大腸菌(E.coli)血清型に対する免疫応答を惹起するための組成物およびその使用方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態では、本発明は、生体プロセス開発のための改善された特性および高密度の免疫原性エピトープを有する、より長いO抗原リポ多糖(LPS)を発現するように操作された大腸菌(E.coli)株から得られる糖、コンジュゲート、およびそれを含む組成物に関する。例えば、一実施形態では、大腸菌(E.coli)株は、高コピープラスミドからサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)fepE遺伝子を発現するように操作され、これは、異なるO抗原血清型の大腸菌(E.coli)株における長鎖LPSの産生をもたらした。
【0009】
初期の株の開発は、治療困難な、新たな多剤耐性単離物と関連する、血清型O25bのO抗原に焦点を合わせた。wzzB遺伝子を、臨床大腸菌(E.coli)O25b株から欠失させた。サルモネラ菌(Salmonella)fepEプラスミドを用いる形質転換の後、ここで操作された大腸菌(E.coli)O25b株は、長鎖LPSだけを産生した。細菌表面からO抗原を遊離させるための酢酸を用いる化学的抽出の後、得られた長鎖O25b多糖は、従来の精製およびコンジュゲーション技術に適していた。バイオコンジュゲーションにより産生されたO抗原と違って、これらのより長い鎖のO抗原は、殺菌的であり、かつ敗血症をブロックすることができる機能的抗体を惹起する能力を独立に有する、内側および外側コアオリゴ糖を保持する。例示的なO25b糖コンジュゲートは驚くべきことに、非コンジュゲート化多糖よりも、哺乳動物において有意に免疫原性が高かった。
【0010】
したがって、一態様では、本発明は、大腸菌(E.coli)の対応する野生型O多糖と比較して、少なくとも5つの反復単位の増加を含む糖に関する。
【0011】
一実施形態では、組成物は、式O1、式O2、式O3、式O4、式O5、式O6、式O7、式O8、式O9、式O10、式O11、式O12、式O13、式O14、式O15、式O16、式O17、式O18、式O19、式O20、式O21、式O22、式O23、式O24、式O25、式O25b、式O26、式O27、式O28、式O29、式O30、式O32、式O33、式O34、式O35、式O36、式O37、式O38、式O39、式O40、式O41、式O42、式O43、式O44、式O45、式O46、式O48、式O49、式O50、式O51、式O52、式O53、式O54、式O55、式O56、式O57、式O58、式O59、式O60、式O61、式O62、式O62D
1、式O63、式O64、式O65、式O66、式O68、式O69、式O70、式O71、式O73、式O74、式O75、式O76、式O77、式O78、式O79、式O80、式O81、式O82、式O83、式O84、式O85、式O86、式O87、式O88、式O89、式O90、式O91、式O92、式O93、式O95、式O96、式O97、式O98、式O99、式O100、式O101、式O102、式O103、式O104、式O105、式O106、式O107、式O108、式O109、式O110、式O111、式O112、式O113、式O114、式O115、式O116、式O117、式O118、式O119、式O120、式O121、式O123、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O129、式O130、式O131、式O132、式O133、式O134、式O135、式O136、式O137、式O138、式O139、式O140、式O141、式O142、式O143、式O144、式O145、式O146、式O147、式O148、式O149、式O150、式O151、式O152、式O153、式O154、式O155、式O156、式O157、式O158、式O159、式O160、式O161、式O162、式O163、式O164、式O165、式O166、式O167、式O168、式O169、式O170、式O171、式O172、式O173、式O174、式O175、式O176、式O177、式O178、式O179、式O180、式O181、式O182、式O183、式O184、式O185、式O186、および式O187(式中、nは1~1000の整数である)から選択される構造を含む。表1ならびに
図9A~Cおよび
図10A~Bを参照されたい。
【0012】
本明細書で使用される場合、別途明示的に記述しない限り、用語「式中、nは~である」とは、群から選択される式中の「n」を指す。一実施形態では、組成物は、式O1(例えば、式O1A、式O1B、および式O1C)、式O2、式O3、式O4(例えば、式O4:K52および式O4:K6)、式O5(例えば、式O5abおよび式O5ac(株180/C3))、式O6(例えば、式O6:K2;K13;K15および式O6:K54)、式O7、式O8、式O9、式O10、式O11、式O12、式O13、式O14、式O15、式O16、式O17、式O18(例えば、式O18A、式O18ac、式O18A1、式O18B、および式O18B1)、式O19、式O20、式O21、式O22、式O23(例えば、式O23A)、式O24、式O25(例えば、式O25aおよび式O25b)、式O26、式O27、式O28、式O29、式O30、式O32、式O33、式O34、式O35、式O36、式O37、式O38、式O39、式O40、式O41、式O42、式O43、式O44、式O45(例えば、式O45および式O45rel)、式O46、式O48、式O49、式O50、式O51、式O52、式O53、式O54、式O55、式O56、式O57、式O58、式O59、式O60、式O61、式O62、式O62D
1、式O63、式O64、式O65、式O66、式O68、式O69、式O70、式O71、式O73(例えば、式O73(株73-1))、式O74、式O75、式O76、式O77、式O78、式O79、式O80、式O81、式O82、式O83、式O84、式O85、式O86、式O87、式O88、式O89、式O90、式O91、式O92、式O93、式O95、式O96、式O97、式O98、式O99、式O100、式O101、式O102、式O103、式O104、式O105、式O106、式O107、式O108、式O109、式O110、式O111、式O112、式O113、式O114、式O115、式O116、式O117、式O118、式O119、式O120、式O121、式O123、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O129、式O130、式O131、式O132、式O133、式O134、式O135、式O136、式O137、式O138、式O139、式O140、式O141、式O142、式O143、式O144、式O145、式O146、式O147、式O148、式O149、式O150、式O151、式O152、式O153、式O154、式O155、式O156、式O157、式O158、式O159、式O160、式O161、式O162、式O163、式O164、式O165、式O166、式O167、式O168、式O169、式O170、式O171、式O172、式O173、式O174、式O175、式O176、式O177、式O178、式O179、式O180、式O181、式O182、式O183、式O184、式O185、式O186、および式O187(式中、nは1~1000の整数である)から選択される構造を含む。表1ならびに
図9A~Cおよび
図10A~Bを参照されたい。
【0013】
一実施形態では、組成物は、式O1(例えば、式O1A、式O1B、および式O1C)、式O2、式O3、式O4(例えば、式O4:K52および式O4:K6)、式O5(例えば、式O5abおよび式O5ac(株180/C3))、式O6(例えば、式O6:K2;K13;K15および式O6:K54)、式O7、式O10、式O16、式O17、式O18(例えば、式O18A、式O18ac、式O18A1、式O18B、および式O18B1)、式O21、式O23(例えば、式O23A)、式O24、式O25(例えば、式O25aおよび式O25b)、式O26、式O28、式O44、式O45(例えば、式O45および式O45rel)、式O55、式O56、式O58、式O64、式O69、式O73(例えば、式O73(株73-1))、式O75、式O77、式O78、式O86、式O88、式O90、式O98、式O104、式O111、式O113、式O114、式O119、式O121、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O136、式O138、式O141、式O142、式O143、式O147、式O149、式O152、式O157、式O158、式O159、式O164、式O173、式O62D
1、式O22、式O35、式O65、式O66、式O83、式O91、式O105、式O116、式O117、式O139、式O153、式O167、および式O172(式中、nは1~1000の整数である)から選択される構造を含む。表1ならびに
図9A~Cおよび
図10Aを参照されたい。
【0014】
一実施形態では、組成物は、式O1(例えば、式O1A、式O1B、および式O1C)、式O2、式O3、式O4(例えば、式O4:K52および式O4:K6)、式O5(例えば、式O5abおよび式O5ac(株180/C3))、式O6(例えば、式O6:K2;K13;K15および式O6:K54)、式O7、式O10、式O16、式O17、式O18(例えば、式O18A、式O18ac、式O18A1、式O18B、および式O18B1)、式O21、式O23(例えば、式O23A)、式O24、式O25(例えば、式O25aおよび式O25b)、式O26、式O28、式O44、式O45(例えば、式O45および式O45rel)、式O55、式O56、式O58、式O64、式O69、式O73(例えば、式O73(株73-1))、式O75、式O77、式O78、式O86、式O88、式O90、式O98、式O104、式O111、式O113、式O114、式O119、式O121、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O136、式O138、式O141、式O142、式O143、式O147、式O149、式O152、式O157、式O158、式O159、式O164、式O173、および式62D
1(式中、nは1~1000の整数である)から選択される構造を含む。表1および
図9A~Cを参照されたい。
【0015】
一実施形態では、組成物は、式O8、式O9a、式O9、式O20ab、式O20ac、式O52、式O97、および式O101から選択される構造を含まない。別の実施形態では、組成物は、式O8、式O9a、式O9、式20ab、式O20ac、式O52、式O97、および式O101(式中、nは1~10の整数である)から選択される構造を含む。表1および
図10Bを参照されたい。
【0016】
一実施形態では、大腸菌(E.coli)は、O1、O2、O3、O4、O5、O6、O7、O8、O9、O10、O11、O12、O13、O14、O15、O16、O17、O18、O19、O20、O21、O22、O23、O24、O25、O25b、O26、O27、O28、O29、O30、O32、O33、O34、O35、O36、O37、O38、O39、O40、O41、O42、O43、O44、O45、O46、O48、O49、O50、O51、O52、O53、O54、O55、O56、O57、O58、O59、O60、O61、O62、62D1、O63、O64、O65、O66、O68、O69、O70、O71、O73、O74、O75、O76、O77、O78、O79、O80、O81、O82、O83、O84、O85、O86、O87、O88、O89、O90、O91、O92、O93、O95、O96、O97、O98、O99、O100、O101、O102、O103、O104、O105、O106、O107、O108、O109、O110、0111、O112、O113、O114、O115、O116、O117、O118、O119、O120、O121、O123、O124、O125、O126、O127、O128、O129、O130、O131、O132、O133、O134、O135、O136、O137、O138、O139、O140、O141、O142、O143、O144、O145、O146、O147、O148、O149、O150、O151、O152、O153、O154、O155、O156、O157、O158、O159、O160、O161、O162、O163、O164、O165、O166、O167、O168、O169、O170、O171、O172、O173、O174、O175、O176、O177、O178、O179、O180、O181、O182、O183、O184、O185、O186、およびO187のいずれか1つから選択される大腸菌(E.coli)血清型である。
【0017】
一実施形態では、大腸菌(E.coli)は、O1、O2、O3、O4、O5、O6、O7、O8、O9、O10、O11、O12、O13、O14、O15、O16、O17、O18、O19、O20、O21、O22、O23、O24、O25、O25b、O26、O27、O28、O29、O30、O32、O33、O34、O35、O36、O37、O38、O39、O40、O41、O42、O43、O44、O45、O46、O48、O49、O50、O51、O52、O53、O54、O55、O56、O57、O58、O59、O60、O61、O62、62D1、O63、O64、O65、O66、O68、O69、O70、O71、O73、O74、O75、O76、O77、O78、O79、O80、O81、O82、O83、O84、O85、O86、O87、O88、O89、O90、O91、O92、O93、O95、O96、O97、O98、O99、O100、O101、O102、O103、O104、O105、O106、O107、O108、O109、O110、0111、O112、O113、O114、O115、O116、O117、O118、O119、O120、O121、O123、O124、O125、O126、O127、O128、O129、O130、O131、O132、O133、O134、O135、O136、O137、O138、O139、O140、O141、O142、O143、O144、O145、O146、O147、O148、O149、O150、O151、O152、O153、O154、O155、O156、O157、O158、O159、O160、O161、O162、O163、O164、O165、O166、O167、O168、O169、O170、O171、O172、O173、O174、O175、O176、O177、O178、O179、O180、O181、O182、O183、O184、O185、O186、およびO187からなる群から選択される大腸菌(E.coli)血清型である。
【0018】
一実施形態では、糖は、前記糖を生成するグラム陰性細菌中でwzzファミリータンパク質を発現させることによって産生される。一実施形態では、糖は、前記糖を生成するグラム陰性細菌中でwzzファミリータンパク質を発現させる(必ずしも過剰発現させない)ことを含む、培養物中のグラム陰性細菌によって産生されるO多糖の反復単位を増加させることによって産生される。好ましい実施形態では、wzzファミリータンパク質は、wzzB、wzz、wzzSF、wzzST、fepE、wzzfepE、wzz1およびwzz2のいずれか1つから選択される。好ましい実施形態では、発現される(必ずしも過剰発現されない)wzzファミリータンパク質は、wzzB、wzz、wzzSF、wzzST、fepE、wzzfepE、wzz1およびwzz2からなる群から選択される。代替的な実施形態では、糖は、合成される。一実施形態では、糖は、担体タンパク質に共有結合(コンジュゲート)される。好ましくは、担体タンパク質は、CRM197である。
【0019】
一態様では、本発明は、糖および/またはそのコンジュゲートと、薬学的に許容できる希釈剤とを含む組成物に関する。
【0020】
別の態様では、本発明は、対象における免疫応答を誘導するための方法であって、対象に、有効量の組成物を投与することを含む方法に関する。一実施形態では、免疫応答は、抗大腸菌(E.coli)O特異的多糖抗体の誘導を含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1A~Bは、pUCレプリコン、細胞あたり500~700コピー、鎖長調節因子(
図1A)およびP15aレプリコン、細胞あたり10~12コピー、O抗原オペロン(
図1B)プラスミドを描写する。
【
図2】
図2は、K12\W3110\WzzB(配列番号23);O25a\ETEC\ATCC\WzzB(配列番号22);O25a:K5:H1\WzzB(配列番号21);O25b\2401\WzzB(配列番号20);およびO25b\2401\WzzB(配列番号20)を示す、WzzBアミノ酸配列アラインメントである。
【
図3】
図3A~Bは、異種wzzBおよびfepE鎖長調節因子のプラスミドに基づく発現による、血清型O25aおよびO25bにおけるO抗原鎖長のモジュレーションを示す。wzzBノックアウト株O25K5H1(O25a)およびGAR2401(O25b)のプラスミド形質転換体中でのLPS発現の遺伝的相補性が示される。
図3Aの左側に、O25a O25K5HΔwzzBのプラスミド形質転換体のLPSプロファイルを示す;右側には、O25b GAR 2401ΔwzzB形質転換体の同様のプロファイルを示す。O25特異的血清(Statens Serum Institut)を用いて探査した複製ゲルのイムノブロットを、
図3Bに示す。レーン1~7と関連するO25aΔwxxB(ノックアウト)バックグラウンド;レーン8~15と関連するO25b 2401ΔwzzB(ノックアウト)バックグラウンド。
【
図4】
図4は、宿主O25K5H1ΔwzzB中での大腸菌(E.coli)およびサルモネラ菌(Salmonella)fepEプラスミドによりもたらされた長鎖O抗原発現を示す。
【
図5】
図5は、FepEアミノ酸配列アラインメントを示す。O157 FepEアミノ酸配列は、配列番号18である;O25a ETEC ATCC FepEアミノ酸配列は、配列番号17である;O25a:K5:H1 FepEアミノ酸配列は、配列番号16である;O25b2401FepEアミノ酸配列は、配列番号15である;サルモネラ菌(Salmonella)LT2 FepEアミノ酸配列は、配列番号19である。
【
図6】
図6は、サルモネラ菌(Salmonella)fepE発現は、様々な臨床単離物中で長鎖O抗原LPSを生成する。
【
図7】
図7A~Bは、O25b O抗原ノックアウト宿主株中でのO25b長鎖O抗原LPSのプラスミド媒介性アラビノース誘導性発現を示す。SDS PAGEからの結果を
図7Aに示し、O25イムノブロットからの結果を
図7Bに示す。
図7Aと
図7Bの両方において、レーン1は、クローン1、アラビノースなしに由来する;レーン2は、クローン1、0.2%アラビノースに由来する;レーン3は、クローン9、アラビノースなしに由来する;レーン4は、クローン9、0.2%アラビノースに由来する;レーン5は、O55大腸菌(E.coli)LPS標準に由来する;およびレーン6は、O111大腸菌(E.coli)LPS標準に由来する。
【
図8】
図8は、共通の宿主株中での長鎖O抗原LPSのプラスミド媒介性アラビノース誘導性発現を示す。
【
図9】
図9A~Cは、骨格中に4個以下の残基を含む、ポリメラーゼ依存的経路によって合成されるO抗原の構造を示す。
【
図10】
図10Aは、骨格中に5個または6個の残基を含む、ポリメラーゼ依存的経路によって合成されるO抗原の構造を描写する;
図10Bは、ABCトランスポーター依存的経路によって合成されると考えられるO抗原を描写する。
【
図11】
図11は、探索的生体プロセス株中でのO25 O抗原LPSの発現を示す。
【
図12】
図12A~Bは、GAR2831および’2401ΔwzzB/fepE株から精製された短鎖(
図12A、株1、O25b wt2831)および長鎖O25b O抗原(
図12B、株2、O25b 2401ΔwzzB/LT2 FepE)のSECプロファイルおよび特性を示す。
【
図13】(
図13A)ウサギ試験1 VAC-2017-PRL-EC-0723のワクチン接種スケジュールに関する情報;(
図13B)ウサギ試験2 VAC-2018-PRL-EC-077のワクチン接種スケジュール。
【
図14】
図14A~Cは、O25b糖コンジュゲートIgG応答を示す。-●-は、出血前の結果を表す;-■-出血1(第6週);-▲-出血2(第8週);-◆-出血3(第12週)。
図14Aは、ウサギ1-3の結果を描写する(中活性化);
図14Bは、ウサギ2-3の結果を描写する(低活性化);
図14Cは、ウサギ3-1の結果を描写する(高活性化)。
【
図15】
図15A~Fは、O25b長鎖O抗原糖コンジュゲート、すなわち、低活性化O25b-CRM
197コンジュゲート(
図15D~Fにおいて、-●-は、ウサギ2-1に由来する出血前の結果を表し、-■-は、ウサギ2-1に由来する第12週の抗血清の結果を表す)と、非コンジュゲート化多糖、すなわち、遊離O25b多糖(
図15A~Cにおいて、-●-は、ウサギA-1に由来する出血前の結果を表し、-■-は、ウサギA-1に由来する第6週の抗血清の結果を表し、-▲-は、ウサギA-1に由来する第8週の抗血清の結果を表す)とに対するIgG応答を示す。MFIは対数尺度でプロットされ、1000未満のMFI範囲で免疫前抗体と免疫抗体との差異を強調することに留意されたい。
図15Aは、ウサギA-1の結果を描写する(非コンジュゲート化ポリ);
図15Bは、ウサギA-3の結果を描写する(非コンジュゲート化ポリ);
図15Cは、ウサギA-4の結果を描写する(非コンジュゲート化ポリ);
図15Dは、ウサギ2-1の結果を描写する(低活性化);
図15Eは、ウサギ2-2の結果を描写する(低活性化);および
図15Fは、ウサギ2-3の結果を描写する(低活性化)。
【
図16】
図16A~Cは、O25b抗血清を用いて検出された、天然のO25b O抗原と長鎖O25b O抗原の表面発現を示す。
図16Aは、-●-がO25b 2831対PD3抗血清の結果を表し、-■-がO25b 2831 wt対出血前の結果を表し、-▲-がO25b 2831/fepE対PD3抗血清の結果を表し、-▼-がO25b 2831/fepE対出血前の結果を表す、結果を描写する。
図16Bは、-●-がO25b 2401対PD3抗血清の結果を表し、-■-がO25b 2401対出血前の結果を表し、-▲-がO25b 2401/fepE対PD3抗血清の結果を表し、-▼-がO25b 2401/fepE対出血前の結果を表す、結果を描写する。
図16Cは、-●-が大腸菌(E.coli)K12対PD3抗血清の結果を表し、-■-が大腸菌(E.coli)K12対出血前の結果を表す、結果を描写する。
【
図17】
図17は、5つの公知のケモタイプの外側コアオリゴ糖の炭水化物骨格の一般化された構造を示す。全てのグリコースは、別途指摘しない限り、α-アノマー配置にある。生成物がそれぞれの結合の形成を触媒する遺伝子を、破線の矢印で示す。星印は、O抗原の結合が生じるコアオリゴ糖の残基を示す。
【
図18】
図18は、非コンジュゲート化遊離O25b多糖が免疫原性ではないことを示す図である(dLIA)。-●-は4-1に由来する第18週(1週=PD4)の抗血清の結果を表す;-■-は、4-2に由来する第18週(1週=PD4)の抗血清の結果を表す;-▲-は、5-1に由来する第18週(1週=PD4)の抗血清の結果を表す;-▼-は、5-2に由来する第18週(1週=PD4)の抗血清の結果を表す;-*-は、6-1に由来する第18週(1週=PD4)の抗血清の結果を表す;-^-は、6-2に由来する第18週(1週=PD4)の抗血清の結果を表す。
【
図19】
図19A~Cは、BRCウサギO25b RACコンジュゲート免疫血清OPA力価の特異性を示すグラフである。
図19Aは、免疫前血清-●-および免疫後血清第13週-■-のウサギ2-3のOPA力価を示す。
図19Bは、免疫前血清-●-および免疫後血清第19週-■-のウサギ1-2のOPA力価を示す。
図19Cは、ウサギ1-2の第19週のOPA力価特異性を示す。ウサギ1-2の免疫血清のOPA活性は、100μg/mLの精製非コンジュゲート化O25b長鎖O抗原多糖と共に予備インキュベートすることによって遮断される。-■-は、ウサギ1-2の免疫血清第19週の結果を表し、-▼-は、ウサギ1-2の第19週のw/R1長鎖OAgの結果を表す。
【
図20】
図20Aは、例示的な投与スケジュールを示す。
図20Bおよび
図20Cは、非コンジュゲート化O25b長鎖O抗原多糖(
図20B、O25b遊離ポリ(2μg))および誘導されたO25b RAC/DMSO長鎖O抗原糖コンジュゲート(
図20C、O25b-CRM
197 RAC長鎖(2μg))により惹起されたO抗原O25b IgGレベルを描写するグラフを示す。-...-(点線)は、ナイーブなCD1 O25bIgGレベルを表す。
【
図21】
図21A~Bは、用量2後(
図21A)および用量3後(
図21B)の、RAC、eTEC O25b長鎖糖コンジュゲート、および単一末端糖コンジュゲートのOPA免疫原性を描写するグラフである。-○-は、単一末端の短い2μgの結果を表し、-●-は単一末端の長い2μgの結果を表し、-▲-は、RAC/DMSOの長い2μgの結果を表し、-▼-は、eTECの長い2μgの結果を表し、*はバックグラウンド対照(n=20)を表す。†応答率は、ワクチン接種していないベースラインの2倍を超える力価を有するマウスの%である。
【
図22】
図22は、eTEC化学のOPA免疫原性および改変されたレベルの多糖活性化を描写するグラフである。†応答率は、ワクチン接種していないベースラインの2倍を超える力価を有するマウスの%である。
【
図23】
図23Aは、例示的な投与スケジュールを示し、
図23Bは、O25b単離物による致死性チャレンジに由来する大腸菌(E.coli)eTECコンジュゲートの用量で免疫されたマウスの保護を描写するグラフを示す。-◇-は、eTEC長鎖の17%の活性化を表し、-△-は、eTEC長鎖の10%の活性化を表し、-▽-は、eTEC長鎖の4%の活性化を表し、-□-は、O25b多糖を表し、-○-はワクチン接種していない対照を表す。
【
図24】
図24は、単一末端コンジュゲートの例示的調製を示す略図であり、コンジュゲーションプロセスは、チオール官能基の脱マスキング時の、ジスルフィドアミンリンカーによる2-ケト-3-デオキシオクタン酸(KDO)の選択的活性化を含む。次いで、KDOを、
図24に描写されるようにブロモ活性化CRM
197タンパク質にコンジュゲートする(単一末端コンジュゲートの調製)。
【
図25】
図25A~Bは、CRM
197への大腸菌(E.coli)糖コンジュゲートの調製において使用される活性化(
図25A)およびコンジュゲーション(
図25B)プロセスに関する例示的なプロセスフローダイアグラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
配列識別子
配列番号1は、表4に記載される、LT2wzzB_Sのプライマー配列を記載する。
配列番号2は、表4に記載される、LT2wzzB_ASのプライマー配列を記載する。
配列番号3は、表4に記載される、O25bFepE_Sのプライマー配列を記載する。
配列番号4は、表4に記載される、O25bFepE_Aのプライマー配列を記載する。
配列番号5は、表4に記載される、wzzB P1_Sのプライマー配列を記載する。
配列番号6は、表4に記載される、wzzB P2_ASのプライマー配列を記載する。
配列番号7は、表4に記載される、wzzB P3_Sのプライマー配列を記載する。
配列番号8は、表4に記載される、wzzB P4_ASのプライマー配列を記載する。
配列番号9は、表4に記載される、O157 FepE_Sのプライマー配列を記載する。
配列番号10は、表4に記載される、O157 FepE_ASのプライマー配列を記載する。
配列番号11は、表4に記載される、pBAD33_adaptor_Sのプライマー配列を記載する。
配列番号12は、表4に記載される、pBAD33_adaptor_ASのプライマー配列を記載する。
配列番号13は、表4に記載される、JUMPSTART_rのプライマー配列を記載する。
配列番号14は、表4に記載される、gnd_fのプライマー配列を記載する。
配列番号15は、
図5に示されるO25b 2401 FepEアミノ酸配列を記載する。
配列番号16は、
図5に示されるO25a:K5:H1 FepEアミノ酸配列を記載する。
配列番号17は、
図5に示されるO25a ETEC ATCC FepEアミノ酸配列を記載する。
配列番号18は、
図5に示されるO157 FepEアミノ酸配列を記載する。
配列番号19は、
図5に示されるサルモネラ菌(Salmonella)LT2 FepEアミノ酸配列を記載する。
配列番号20は、
図2に示されるO25b 2401 WzzBアミノ酸配列を記載する。
配列番号21は、
図2に示されるO25a:K5:H1 WzzBアミノ酸配列を記載する。
配列番号22は、
図2に示されるO25a ETEC ATCC WzzBアミノ酸配列を記載する。
配列番号23は、
図2に示されるK12 W3110 WzzBアミノ酸配列を記載する。
配列番号24は、
図2に示されるサルモネラ菌(Salmonella)LT2 WzzBアミノ酸配列を記載する。
【0023】
発明の詳細な説明
本発明者らは驚くべきことに、免疫原性コンジュゲートおよびその使用方法の驚くべき発見を含め、異なるWzzタンパク質(例えば、WzzB)の操作の結果得られる大腸菌(E.coli)抗原を発見した。本発明者らはさらに驚くべきことに、例えば、本明細書では(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーと呼ばれる、二価の、ヘテロ二官能性リンカーなどを介して担体タンパク質に共有的にコンジュゲートされたそのような糖を含有する糖コンジュゲートを発見した。本発明者らはまた驚くべきことに、例えば、還元的アミノ化(RAC)などを介して担体タンパク質にコンジュゲートされた糖を含有する糖コンジュゲートを発見した。特に、RACは、非プロトン性溶媒、好ましくは、DMSO(RAC/DMSO)中または水性溶液中で行われる。本発明はさらに、そのような糖コンジュゲートを含む免疫原性組成物、ならびにそのような糖コンジュゲートおよび免疫原性組成物の使用のための方法に関する。さらに、本発明者らは驚くべきことに、一部の実施形態では、中間の、または長いO抗原鎖を有する高分子量糖を含有する糖コンジュゲートが、相対的に短いO抗原鎖を有する糖コンジュゲートと比較して、免疫原性が高いことがあることを発見した。さらに、本発明者らは、一部の実施形態では、例えば、RACまたは単一末端コンジュゲーションまたはeTECを含む方法などにより、担体タンパク質へのコンジュゲーションの前に糖の複数末端活性化によって産生される糖コンジュゲートが、担体タンパク質へのコンジュゲーションの前に糖の単一末端活性化によって産生される糖コンジュゲートよりも免疫原性が高いことがあることを発見した。
【0024】
一実施形態では、糖は、糖のサイズを制御するために、異なるWzzタンパク質(例えば、WzzB)の発現(必ずしも過剰発現ではない)によって産生される。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「糖」は、単一の糖部分または単糖単位ならびに二糖、オリゴ糖、および多糖を形成するように共有結合した2つ以上の単一の糖部分または単糖単位の組合せを指す。糖は、線状または分枝状であってもよい。
【0026】
一実施形態では、糖は、組換えグラム陰性細菌中で産生される。一実施形態では、糖は、組換え大腸菌(E.coli)細胞中で産生される。一実施形態では、糖は、組換えサルモネラ菌(Salmonella)細胞中で産生される。例示的な細菌としては、大腸菌(E.coli)O25K5H1、大腸菌(E.coli)BD559、大腸菌(E.coli)GAR2831、大腸菌(E.coli)GAR865、大腸菌(E.coli)GAR868、大腸菌(E.coli)GAR869、大腸菌(E.coli)GAR872、大腸菌(E.coli)GAR878、大腸菌(E.coli)GAR896、大腸菌(E.coli)GAR1902、大腸菌(E.coli)O25a ETC NR-5、大腸菌(E.coli)O157:H7:K-、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清型ティフィムリウム(Typhimurium)株LT2、大腸菌(E.coli)GAR2401、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清型エンテリティディス(Enteritidis)CVD1943、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清型ティフィムリウム(Typhimurium)株CVD1925、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)血清型パラティフィ(Paratyphi)A CVD1902、およびシゲラ・フレクスネリ(Shigella flexneri)CVD1208Sが挙げられる。一実施形態では、細菌は、大腸菌(E.coli)GAR2401ではない。糖産生に対するこの遺伝的手法は、ワクチン成分としてのO多糖およびO抗原分子の効率的な産生を可能にする。
【0027】
本明細書で使用される用語「wzzタンパク質」とは、例えば、wzzB、wzz、wzzSF、wzzST、fepE、wzzfepE、wzz1およびwzz2などの、鎖長決定因子ポリペプチドを指す。例示的なwzz遺伝子配列に関するGenBank受託番号は、E4991/76についてはAF011910、F186についてはAF011911、M70/1-1についてはAF011912、79/311についてはAF011913、Bi7509-41についてはAF011914、C664-1992についてはAF011915、C258-94についてはAF011916、C722-89についてはAF011917、およびEDL933についてはAF011919である。G7およびBi316-41 wzz遺伝子配列に関するGenBank受託番号は、それぞれ、U39305およびU39306である。例示的なwzz遺伝子配列に関するさらなるGenBank受託番号は、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)亜種エンテリカ血清型ティフィムリウム(Typhimurium)株LT2 FepEについてはNP_459581;大腸菌(E.coli)O157:H7株EDL933 FepEについてはAIG66859;サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)亜種エンテリカ血清型ティフィムリウム(Typhimurium)株LT2 WzzBについてはNP_461024、大腸菌(E.coli)K-12亜株MG1655 WzzBについてはNP_416531、大腸菌(E.coli)K-12亜株MG1655 FepEについてはNP_415119である。好ましい実施形態では、wzzファミリータンパク質は、wzzB、wzz、wzzSF、wzzST、fepE、wzzfepE、wzz1およびwzz2のいずれか1つ、最も好ましくは、wzzB、より好ましくは、fepEである。
【0028】
例示的なwzzB配列としては、
>O25b 2401 WzzB
MRVENNNVSGQNHDPEQIDLIDLLVQLWRGKMTIIISVIVAIALAIGYLAVAKEKWTSTAIITQPDVGQIAGYNNAMNVIYGQAAPKVSDLQETLIGRFSSAFSALAETLDNQEEPEKLTIEPSVKNQQLPLTVSYVGQTAEGAQMKLAQYIQQVDDKVNQELEKDLKDNIALGRKNLQDSLRTQEVVAQEQKDLRIRQIQEALQYANQEQVTKPQVQQTEDVTQDTLFLLGSEALESMIKHEATRPLVFSSNYYQTRQNLLDIESLKVDDLDIHAYRYVMKPTLPIRRDSPKKAITLILAVLLGGMVGAGIVLGRNALRNYNAK(配列番号20)
>O25a:K5:H1 WzzB
MRVENNNVSGQNNDPEQIDLIDLLVQLWRGKMTIIISVIVAIALAIGYLAVAKEKWTSTAIITQPDVGQIAGYNNAMNVIYGQAAPKVSDLQETLIGRFSSAFSALAETLDNQDEPEKLTIEPSVKNQQLPLTVSYVGQTAEGAQMKLAQYIQQVDDKVNQELEKDLKDNIALGRKNLQDSLRTQEVVAQEQKDLRIRQIQEALQYANQAQVTKPQIQQTGEDITQDTLFLLGSEALESMIKHEATRPLVFSPNYYQTRQNLLDIESLKVDDLDIHAYRYVMKPTLPIRRDSPKKAITLILAVLLGGMVGAGIVLGRNALRNYNAK(配列番号21)
>O25a ETEC ATCC WzzB
MRVENNNVSGQNHDPEQIDLIDLLVQLWRGKMTIIISVVVAIALAIGYLAVAKEKWTSTAIITQPDVGQIAGYNNAMNVIYGQAAPKVSDLQETLIGRFSFAFSALAETLDNQKEPEKLTIEPSVKNQQLPLTVSYVGQTAEDAQMKLAQYIQQVDDKVNQELEKDLKDNLALGRKNLQDSLRTQEVVAQEQKDLRIRQIQEALQYANQAQVTKPQIQQTGEDITQDTLFLLGSEALESMIKHEATRPLVFSPNYYQTRQNLLDIENLKVDDLDIHAYRYVMKPTLPIRRDSPKKAITLILAVLLGGMVGAGIVLGRNALRNYNSK(配列番号22)
>K12 W3110 WzzB
MRVENNNVSGQNHDPEQIDLIDLLVQLWRGKMTIIISVIVAIALAIGYLAVAKEKWTSTAIITQPDVGQIAGYNNAMNVIYGQAAPKVSDLQETLIGRFSSAFSALAETLDNQEEREKLTIEPSVKNQQLPLTVSYVGQTAEGAQMKLAQYIQQVDDKVNQELEKDLKDNIALGRKNLQDSLRTQEVVAQEQKDLRIRQIQEALQYANQAQVTKPQIQQTGEDITQDTLFLLGSEALESMIKHEATRPLVFSPNYYQTRQNLLDIESLKVDDLDIHAYRYVMKPMLPIRRDSPKKAITLILAVLLGGMVGAGIVLGRNALRNYNAK(配列番号23)
>サルモネラ菌(Salmonella)LT2 WzzB
MTVDSNTSSGRGNDPEQIDLIELLLQLWRGKMTIIVAVIIAILLAVGYLMIAKEKWTSTAIITQPDAAQVATYTNALNVLYGGNAPKISEVQANFISRFSSAFSALSEVLDNQKEREKLTIEQSVKGQALPLSVSYVSTTAEGAQRRLAEYIQQVDEEVAKELEVDLKDNITLQTKTLQESLETQEVVAQEQKDLRIKQIEEALRYADEAKITQPQIQQTQDVTQDTMFLLGSDALKSMIQNEATRPLVFSPAYYQTKQTLLDIKNLKVTADTVHVYRYVMKPTLPVRRDSPKTAITLVLAVLLGGMIGAGIVLGRNALRSYKPKAL(配列番号24)
が挙げられる。
【0029】
例示的なFepE配列としては、
>O25b GAR2401 FepE
MSSLNIKQGSDAHFPDYPLASPSNNEIDLLNLISVLWRAKKTVMAVVFAFACAGLLISFILPQKWTSAAVVTPPEPVQWQELEKSFTKLRVLDLDIKIDRTEAFNLFIKKFQSVSLLEEYLRSSPYVMDQLKEAKIDELDLHRAIVALSEKMKAVDDNASKKKDEPSLYTSWTLSFTAPTSEEAQTVLSGYIDYISTLVVKESLENVRNKLEIKTQFEKEKLAQDRIKTKNQLDANIQRLNYSLDIANAAGIKKPVYSNGQAVKDDPDFSISLGADGIERKLEIEKAVTDVAELNGELRNRQYLVEQLTKAHVNDVNFTPFKYQLSPSLPVKKDGPGKAIIVILSALIGGMVACGGVLLRYAMASRKQDAMMADHLV(配列番号15)
>O25a:K5:H1 FepE
MSSLNIKQGSEAHFPEYPLASPSNNEIDLLNLIEVLWRAKKTVMAVVFAFACAGLLISFILPQKWTSAAVVTPPEPVQWQELEKTFTKLRVLDLDIKIDRTEAFNLFIKKFQSVSLLEEYLRSSPYVMDQLKEAKIDPLDLHRAIVALSEKMKAVDDNASKKKDESALYTSWTLSFTAPTSEEAQKVLAGYIDYISALVVKESIENVRNKLEIKTQFEKEKLAQDRIKTKNQLDANIQRLNYSLDIANAAGIKKPVYSNGQAVKDDPDFSISLGADGIERKLEIEKAVTDVAELNGELRNRQYLVEQLTKTNINDVNFTPFKYQLRPSLPVKKDGQGKAIIVILSALVGGMVACGGVLLRHAMASRKQDAMMADHLV(配列番号16)
>O25a ETEC ATCC FepE
MSSLNIKQGSDAHFPDYPLASPSNNEIDLLNLISVLWRAKKTVMAVVFAFACAGLLISFILPQKWTSAAVVTPPEPVQWQELEKSFTKLRVLDLDIKIDRTEAFNLFIKKFQSVSLLEEYLRSSPYVMDQLKEAKIDELDLHRAIVALSEKMKAVDDNASKKKDEPSLYTSWTLSFTAPTSEEAQTVLSGYIDYISTLVVKESLENVRNKLEIKTQFEKEKLAQDRIKTKNQLDANIQRLNYSLDIANAAGIKKPVYSNGQAVKDDPDFSISLGADGIERKLEIEKAVTDVAELNGELRNRQYLVEQLTKAHVNDVNFTPFKYQLSPSLPVKKDGPGKAIIVILSALIGGMVACGGVLLRYAMASRKQDAMMADHLV(配列番号17)
>O157 FepE
MSSLNIKQGSDAHFPDYPLASPSNNEIDLLNLISVLWRAKKTVMAVVFAFACAGLLISFILPQKWTSAAVVTPPEPVQWQELEKTFTKLRVLDLDIKIDRTEAFNLFIKKFQSVSLLEEYLRSSPYVMDQLKEAKIDELDLHRAIVALSEKMKAVDDNASKKKDEPSLYTSWTLSFTAPTSEEAQTVLSGYIDYISALVVKESIENVRNKLEIKTQFEKEKLAQDRIKMKNQLDANIQRLNYSLDIANAAGIKKPVYSNGQAVKDDPDFSISLGADGIERKLEIEKAVTDVAELNGELRNRQYLVEQLTKANINDVNFTPFKYQLSPSLPVKKDGPGKAIIVILSALIGGMVACGSVLLRYAMASRKQDAMMADHLV(配列番号18)
>サルモネラ菌(Salmonella)LT2 FepE
MPSLNVKQEKNQSFAGYSLPPANSHEIDLFSLIEVLWQAKRRILATVFAFACVGLLLSFLLPQKWTSQAIVTPAESVQWQGLERTLTALRVLDMEVSVDRGSVFNLFIKKFSSPSLLEEYLRSSPYVMDQLKGAQIDEQDLHRAIVLLSEKMKAVDSNVGKKNETSLFTSWTLSFTAPTREEAQKVLAGYIQYISDIVVKETLENIRNQLEIKTRYEQEKLAMDRVRLKNQLDANIQRLHYSLEIANAAGIKRPVYSNGQAVKDDPDFSISLGADGISRKLEIEKGVTDVAEIDGDLRNRQYHVEQLAAMNVSDVKFTPFKYQLSPSLPVKKDGPGKAIIIILAALIGGMMACGGVLLRHAMVSRKMENALAIDERLV(配列番号19)
が挙げられる。
【0030】
一部の実施形態では、改変された糖(対応する野生型糖と比較して改変されている)を、グラム陰性細菌中でグラム陰性細菌からwzzファミリータンパク質(例えば、fepE)を発現させる(必ずしも過剰発現させない)ことによって、および/または第2のwzz遺伝子(例えば、wzzB)のスイッチを切って(すなわち、抑制して、欠失させて、除去して)、中間の、もしくは長いO抗原鎖を含有する、リポ多糖などの高分子量糖を生成することによって産生させることができる。例えば、改変された糖を、wzz2を発現させ(必ずしも過剰発現させない)、wzz1のスイッチを切ることによって産生させることができる。または、別の方法では、改変された糖を、wzzfepEを発現させ(必ずしも過剰発現させない)、wzzBのスイッチを切ることによって産生させることができる。別の実施形態では、改変された糖を、wzzBを発現させる(必ず祖も過剰発現させない)が、wzzfepEのスイッチを切ることによって産生させることができる。別の実施形態では、改変された糖を、fepEを発現させることによって産生させることができる。好ましくは、wzzファミリータンパク質は、宿主細胞にとって異種である株に由来する。
【0031】
一部の実施形態では、糖は、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、および配列番号19のいずれか1つに対して少なくとも30%、50%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するwzzファミリータンパク質を発現させることによって産生される。一実施形態においては、wzzファミリータンパク質は、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、および配列番号19のいずれか1つから選択される配列を含む。好ましくは、wzzファミリータンパク質は、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、および配列番号19に対して少なくとも30%、50%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、糖は、fepEタンパク質に対して少なくとも30%、50%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質を発現させることによって産生される。
【0032】
一態様では、本発明は、グラム陰性細菌中で、wzzファミリータンパク質、好ましくは、fepEを発現させて、対応する野生型O多糖と比較して、少なくとも1、2、3、4、または5個の反復単位の増加を有する、中間の、または長いO抗原鎖を含有する高分子量糖を生成させることによって産生される糖に関する。一態様では、本発明は、グラム陰性細菌中から、wzzファミリータンパク質(例えば、wzzB)を発現させて(必ずしも過剰発現させない)、対応する野生型O抗原と比較して、少なくとも1、2、3、4、または5個の反復単位の増加を有する、中間の、または長いO抗原鎖を含有する高分子量糖を生成させることによって産生される糖に関する。対応する野生型糖と比較して、反復単位の数が増加したさらなる例示的な糖については、以下のO多糖およびO抗原の記載を参照されたい。望ましい鎖長は、所与のワクチン構築物との関連で改善された、または最大の免疫原性をもたらすものである。
【0033】
別の実施形態では、糖は、表1から選択されるいずれか1つの式を含み、糖中の反復単位数nは、対応する野生型O多糖中の反復単位数よりも、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100個以上の反復単位で多い。好ましくは、糖は、対応する野生型O多糖と比較して、少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50反復単位の増加を含む。例えば、表21を参照されたい。糖の長さを決定する方法は、当業界で公知である。そのような方法としては、実施例5に記載されるような、核磁気共鳴、質量分析、およびサイズ排除クロマトグラフィーが挙げられる。
【0034】
好ましい実施形態では、本発明は、内因性wzz O抗原長調節因子の遺伝子(例えば、wzzB)が欠失し、組換え大腸菌(E.coli)宿主細胞にとって異種のグラム陰性細菌に由来する(第2の)wzz遺伝子(例えば、サルモネラ菌(Salmonella)fepE)で置き換えられ、中間の、または長いO抗原鎖を含有する、リポ多糖などの高分子量糖を生成する、組換え大腸菌(E.coli)宿主細胞中で産生される糖に関する。一部の実施形態では、組換え大腸菌(E.coli)宿主細胞は、サルモネラ菌(Salmonella)、好ましくは、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)に由来するwzz遺伝子を含む。
【0035】
一実施形態では、宿主細胞は、安定に維持されるプラスミドベクターとして、wzzファミリータンパク質の異種遺伝子を含む。別の実施形態では、宿主細胞は、宿主細胞の染色体DNA中の組み込まれた遺伝子として、wzzファミリータンパク質の異種遺伝子を含む。大腸菌(E.coli)宿主細胞中でプラスミドベクターを安定に発現させる方法および大腸菌(E.coli)宿主細胞の染色体中に異種遺伝子を組み込む方法は、当業界で公知である。一実施形態では、宿主細胞は、安定に維持されるプラスミドベクターとして、O抗原の異種遺伝子を含む。別の実施形態では、宿主細胞は、宿主細胞の染色体DNA中の組み込まれた遺伝子として、O抗原の異種遺伝子を含む。大腸菌(E.coli)宿主細胞およびサルモネラ菌(Salmonella)宿主細胞中でプラスミドベクターを安定に発現させる方法は、当業界で公知である。大腸菌(E.coli)宿主細胞およびサルモネラ菌(Salmonella)宿主細胞の染色体中に異種遺伝子を組み込む方法は、当業界で公知である。
【0036】
一態様では、組換え宿主細胞は、炭素源を含む培地中で培養される。大腸菌(E.coli)を培養するための炭素源は、当業界で公知である。例示的な炭素源としては、限定されるものではないが、アラビノース、セロビオース、フルクトース、グルコース、グリセロール、イノシトール、ラクトース、マルトース、マンニトール、マンノース、ラムノース、ラフィノース、ソルビトール、ソルボース、スクロース、トレハロース、ピルベート、スクシネートおよびメチルアミンなどの、糖アルコール、ポリオール、アルドール糖またはケト糖が挙げられる。好ましい実施形態では、培地は、グルコースを含む。一部の実施形態では、培地は、炭素源として、ポリオールまたはアルドール糖、例えば、マンニトール、イノシトール、ソルボース、グリセロール、ソルビトール、ラクトースおよびアラビノースを含む。培養を開始する前に、全ての炭素源を培地に添加するか、または培養中に少しずつ、もしくは連続的に添加してもよい。
【0037】
組換え宿主細胞のための例示的な培養培地は、KH2PO4、K2HPO4、(NH4)2SO4、クエン酸ナトリウム、Na2SO4、アスパラギン酸、グルコース、MgSO4、FeSO4-7H2O、Na2MoO4-2H2O、H3BO3、CoCl2-6H2O、CuCl2-2H2O、MnCl2-4H2O、ZnCl2およびCaCl2-2H2Oのいずれか1つから選択される要素を含む。好ましくは、培地は、KH2PO4、K2HPO4、(NH4)2SO4、クエン酸ナトリウム、Na2SO4、アスパラギン酸、グルコース、MgSO4、FeSO4-7H2O、Na2MoO4-2H2O、H3BO3、CoCl2-6H2O、CuCl2-2H2O、MnCl2-4H2O、ZnCl2およびCaCl2-2H2Oを含む。
【0038】
本明細書で使用される培地は、固体または液体、合成(すなわち、人工)または天然であってよく、組換え宿主細胞の培養のための十分な栄養素を含んでもよい。好ましくは、培地は、液体培地である。
【0039】
一部の実施形態では、培地は、好適な無機塩をさらに含んでもよい。一部の実施形態では、培地は、微量栄養素をさらに含んでもよい。一部の実施形態では、培地は、増殖因子をさらに含んでもよい。一部の実施形態では、培地は、さらなる炭素源をさらに含んでもよい。一部の実施形態では、培地は、好適な無機塩、微量栄養素、増殖因子、および追加炭素源をさらに含んでもよい。大腸菌(E.coli)を培養するのに好適な無機塩、微量栄養素、増殖因子、および補助炭素源は、当業界で公知である。
【0040】
一部の実施形態では、培地は、必要に応じて、ペプトン、N-Zアミン、大豆酵素加水分解物、さらなる酵母抽出物、モルト抽出物、補助炭素源および種々のビタミンなどの、さらなる成分を含んでもよい。一部の実施形態では、培地は、必要に応じて、ペプトン、N-Zアミン、大豆酵素加水分解物、さらなる酵母抽出物、モルト抽出物、補助炭素源および種々のビタミンなどの、そのようなさらなる成分を含まない。
【0041】
好適な補助炭素源の実例としては、限定されるものではないが、グルコース、フルクトース、マンニトール、デンプンまたはデンプン加水分解物、セルロース加水分解物および糖蜜などの他の炭水化物;酢酸、プロピオン酸、乳酸、ギ酸、リンゴ酸、クエン酸、およびフマル酸などの有機酸;ならびにグリセロール、イノシトール、マンニトールおよびソルビトールなどのアルコールが挙げられる。
【0042】
一部の実施形態では、培地は、窒素源をさらに含む。大腸菌(E.coli)を培養するための好適な窒素源は、当業界で公知である。好適な窒素源の実例としては、限定されるものではないが、アンモニアガスおよび水性アンモニアを含むアンモニア;塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウムおよび酢酸アンモニウムなどの無機または有機酸のアンモニウム塩;尿素;硝酸または亜硝酸塩、および純粋な、または未精製の調製物としてのアミノ酸、肉抽出物、ペプトン、魚粉、魚加水分解物、コーン浸出液、カゼイン加水分解物、大豆かす加水分解物、酵母抽出物、ドライイースト、エタノール-酵母蒸留物、大豆粉、綿実粉などを含む、他の窒素含有材料が挙げられる。
【0043】
一部の実施形態では、培地は、無機塩を含む。好適な無機塩の実例としては、限定されるものではないが、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、銅、モリブデン、タングステンおよび他の微量元素、ならびにリン酸の塩が挙げられる。
【0044】
一部の実施形態では、培地は、好適な増殖因子を含む。好適な微量栄養素、増殖因子などの実例としては、限定されるものではないが、純粋な、もしくは部分的に精製された化合物として、または天然材料中に存在するものとしての、コエンザイムA、パントテン酸、ピリドキシン-HCl、ビオチン、チアミン、リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、DL-6,8-チオクト酸、葉酸、ビタミンB12、他のビタミン、システインおよびヒドロキシプロリンなどのアミノ酸、アデニン、ウラシル、グアニン、チミンおよびシトシンなどの塩基、チオ硫酸ナトリウム、p-またはr-アミノ安息香酸、ナイアシンアミド、ニトリロアセテートなどが挙げられる。当業者であれば、当業界で公知の方法および技術に従って、経験的にその量を決定することができる。
【0045】
別の実施形態では、本明細書に記載の改変された糖(対応する野生型糖と比較した場合)は、例えば、in vitroで合成的に生産される。糖の合成的生産または合成は、費用および時間集約的な生産プロセスの回避を容易にし得る。一実施形態では、糖は、例えば、逐次的グリコシル化戦略または逐次的グリコシル化戦略と、好適に保護された単糖中間体からの[3+2]ブロック合成戦略との組合せを使用するなどによって合成される。例えば、チオールグリコシドおよびグリコシルトリクロロアセトイミデート誘導体を、グリコシル化におけるグリコシルドナーとして使用することができる。一実施形態では、in vitroで合成される糖は、上記のwzzファミリータンパク質の操作などの組換え手段によって産生される糖と同一の構造を有する。
【0046】
産生される糖(組換えまたは合成手段による)は、例えば、以下の大腸菌(E.coli)血清型:O1(例えば、O1A、O1B、およびO1C)、O2、O3、O4(例えば、O4:K52およびO4:K6)、O5(例えば、O5abおよびO5ac(180/C3株))、O6(例えば、O6:K2;K13;K15およびO6:K54)、O7、O8、O9、O10、O11、O12、O13、O14、O15、O16、O17、O18(例えば、O18A、O18ac、O18A1、O18B、およびO18B1)、O19、O20、O21、O22、O23(例えば、O23A)、O24、O25(例えば、O25aおよびO25b)、O26、O27、O28、O29、O30、O32、O33、O34、O35、O36、O37、O38、O39、O40、O41、O42、O43、O44、O45(例えば、O45およびO45rel)、O46、O48、O49、O50、O51、O52、O53、O54、O55、O56、O57、O58、O59、O60、O61、O62、62D1、O63、O64、O65、O66、O68、O69、O70、O71、O73(例えば、O73(73-1株))、O74、O75、O76、O77、O78、O79、O80、O81、O82、O83、O84、O85、O86、O87、O88、O89、O90、O91、O92、O93、O95、O96、O97、O98、O99、O100、O101、O102、O103、O104、O105、O106、O107、O108、O109、O110、0111、O112、O113、O114、O115、O116、O117、O118、O119、O120、O121、O123、O124、O125、O126、O127、O128、O129、O130、O131、O132、O133、O134、O135、O136、O137、O138、O139、O140、O141、O142、O143、O144、O145、O146、O147、O148、O149、O150、O151、O152、O153、O154、O155、O156、O157、O158、O159、O160、O161、O162、O163、O164、O165、O166、O167、O168、O169、O170、O171、O172、O173、O174、O175、O176、O177、O178、O179、O180、O181、O182、O183、O184、O185、O186、およびO187のうちのいずれか1つを含む、任意の大腸菌(E.coli)血清型に由来する構造を含む。
【0047】
個々の多糖は、典型的には、例えば、透析、濃縮操作、透析濾過操作、接線流濾過、沈降、溶出、遠心分離、沈降、限外濾過、深層濾過、および/またはカラムクロマトグラフィー(イオン交換クロマトグラフィー、マルチモードイオン交換クロマトグラフィー、DEAE、および疎水性相互作用クロマトグラフィー)などの当業界で公知の方法によって精製される(多糖-タンパク質コンジュゲートの量に関して富化される)。好ましくは、多糖は、接線流濾過を含む方法によって精製される。
【0048】
精製された多糖を活性化(例えば、化学的に活性化)して、それらが反応することができるようにし(例えば、担体タンパク質に直接的に、またはeTECスペーサーなどのリンカーを介して)、次いで、本明細書にさらに記載されるように、本発明の糖コンジュゲートに組み入れることができる。
【0049】
1つの好ましい実施形態では、本発明の糖は、血清型がO25aである、大腸菌(E.coli)血清型に由来する。別の好ましい実施形態では、血清型は、O25bである。別の好ましい実施形態では、血清型は、O1Aである。別の好ましい実施形態では、血清型は、O2である。別の好ましい実施形態では、血清型は、O6である。別の好ましい実施形態では、血清型は、O17である。別の好ましい実施形態では、血清型は、O15である。別の好ましい実施形態では、血清型は、O18Aである。別の好ましい実施形態では、血清型は、O75である。別の好ましい実施形態では、血清型は、O4である。別の好ましい実施形態では、血清型は、O16である。別の好ましい実施形態では、血清型は、O13である。別の好ましい実施形態では、血清型は、O7である。別の好ましい実施形態では、血清型は、O8である。別の好ましい実施形態では、血清型は、O9である。
【0050】
本明細書で使用される場合、上記の血清型のいずれかに対する参照は、当業界で公知であり、対応する血清型にとって独特である、反復単位構造(以下に記載されるようなO単位)を包含する血清型を指す。例えば、用語「O25a」血清型(当業界では血清型「O25」としても公知である)は、表1に示される式O25を包含する血清型を指す。別の例として、用語「O25b」血清型とは、表1に示される式O25bを包含する血清型を指す。
【0051】
本明細書で使用される場合、血清型は、別途特定されない限り、例えば、式「O18」という用語が、式O18A、式O18ac、式18A1、式O18B、および式O18B1を包含すると一般的に指すように、本明細書で一般的に称される。
【0052】
本明細書で使用される場合、用語「O1」とは、それぞれ、表1に示される式O1A、式O1A1、式O1B、および式O1Cのいずれか1つなどの、表1に記載の式名に総称「O1」を含む式の種を包含することを一般的に指す。したがって、「O1血清型」とは、式O1A、式O1A1、式O1B、および式O1Cのいずれか1つを包含する血清型を一般的に指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、用語「O6」とは、それぞれ、表1に示される式O6:K2;K13;K15;およびO6:K54のいずれか1つなどの、表1に記載の式名に総称「O6」を含む式の種を一般的に指す。したがって、「O6血清型」とは、式O6:K2;K13;K15;およびO6:K54のいずれか1つを包含する血清型を一般的に指す。
【0054】
表1に記載の式名中に総称を含む式の種を一般的に指す用語の他の例としては、「O4」、「O5」、「O18」、および「O45」を含む。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「O2」とは、表1に示される式O2を指す。用語「O2 O抗原」とは、表1に示される式O2を包含する糖を指す。
【0056】
本明細書で使用される場合、上記の血清型に由来するO抗原に対する参照は、対応する血清型名と共に標識された式を包含する糖を指す。例えば、用語「O25B O抗原」とは、表1に示される式O25Bを包含する糖を指す。
【0057】
別の例として、用語「O1 O抗原」は、それぞれ表1に示される式O1A、式O1A1、式O1B、および式O1Cなどの、用語「O1」を含む式を包含する糖を一般的に指す。
【0058】
別の例として、用語「O6 O抗原」は、それぞれ表1に示される式O6:K2;式O6:K13;式O6:K15および式O6:K54などの、用語「O6」を含む式を包含する糖を一般的に指す。
【0059】
O多糖
本明細書で使用される場合、用語「O多糖」とは、その構造が全細胞またはリピドAを含まないという条件で、O抗原を含む任意の構造を指す。例えば、一実施形態では、O多糖は、リピドAが結合していないリポ多糖を含む。リピドAを除去するステップは当業界で公知であり、例として、酸を添加する熱処理を含む。例示的なプロセスは、100℃で90分間の1%酢酸による処理を含む。このプロセスは、除去されるリピドAを単離するプロセスと組み合わされる。リピドAを単離するための例示的プロセスとしては、超遠心分離が挙げられる。
【0060】
一実施形態では、O多糖とは、O抗原からなる構造を指し、その場合、O多糖は、O抗原という用語と同義である。1つの好ましい実施形態では、O多糖とは、コア糖を含まない、O抗原の反復単位を含む構造を指す。したがって、一実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R1コア部分を含まない。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R2コア部分を含まない。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R3コア部分を含まない。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R4コア部分を含まない。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)K12コア部分を含まない。別の好ましい実施形態では、O多糖は、O抗原と、コア糖とを含む構造を指す。別の実施形態では、O多糖は、O抗原、コア糖、およびKDO部分を含む構造を指す。
【0061】
LPSから、コアオリゴ糖を含むO多糖を精製する方法は、当業界で公知である。例えば、LPSの精製後、精製されたLPSを、100℃で90分間にわたって1%(v/v)酢酸中で加熱することによって加水分解した後、4℃で5時間にわたって142,000xgで超遠心分離することができる。O多糖を含有する上清を凍結乾燥し、4℃で保存する。ある特定の実施形態では、O多糖の単純な精製を可能にするための莢膜合成遺伝子の欠失が記載される。
【0062】
O多糖を、限定されるものではないが、LPSからリピドAを除去するための弱酸加水分解を含む方法によって単離することができる。他の実施形態は、O多糖調製のための薬剤としてヒドラジンの使用を含んでもよい。LPSの調製を、当業界で公知の方法によって達成することができる。
【0063】
ある特定の実施形態では、Wzzタンパク質(例えば、wzzB)を発現する(必ずしも過剰発現しない)野生型、改変された、または弱毒化されたグラム陰性細菌株から精製されたO多糖が、コンジュゲートワクチンにおける使用のために提供される。好ましい実施形態では、O多糖鎖は、コンジュゲートまたは複合体化ワクチンとしてのワクチン抗原としての使用のためにwzzタンパク質を発現する(必ずしも過剰発現しない)グラム陰性細菌株から精製される。
【0064】
一実施形態では、O多糖は、対応する野生型O多糖と比較して、約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、20倍、21倍、22倍、23倍、24倍、25倍、26倍、27倍、28倍、29倍、30倍、31倍、32倍、33倍、34倍、35倍、36倍、37倍、38倍、39倍、40倍、41倍、42倍、43倍、44倍、45倍、46倍、47倍、48倍、49倍、50倍、51倍、52倍、53倍、54倍、55倍、56倍、57倍、58倍、59倍、60倍、61倍、62倍、63倍、64倍、65倍、66倍、67倍、68倍、69倍、70倍、71倍、72倍、73倍、74倍、75倍、76倍、77倍、78倍、79倍、80倍、81倍、82倍、83倍、84倍、85倍、86倍、87倍、88倍、89倍、90倍、91倍、92倍、93倍、94倍、95倍、96倍、97倍、98倍、99倍、100倍以上増加した分子量を有する。好ましい実施形態では、O多糖は、対応する野生型O多糖と比較して、少なくとも1倍かつ最大でも5倍増加した分子量を有する。別の実施形態では、O多糖は、対応する野生型O多糖と比較して、少なくとも2倍かつ最大でも4倍増加した分子量を有する。対応する野生型O多糖と比較した、O多糖の分子量の増加は、好ましくは、O抗原反復単位数の増加と関連する。一実施形態では、O多糖の分子量の増加は、wzzファミリータンパク質に起因する。
【0065】
一実施形態では、O多糖は、対応する野生型O多糖と比較して、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100kDa以上増加した分子量を有する。一実施形態では、本発明のO多糖は、対応する野生型O多糖と比較して、少なくとも1kDaかつ最大でも200kDa増加した分子量を有する。一実施形態では、分子量は、少なくとも5kDaかつ最大でも200kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも200kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも12kDaかつ最大でも200kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも15kDaかつ最大でも200kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも18kDaかつ最大でも200kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも20kDaかつ最大でも200kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも21kDaかつ最大でも200kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも22kDaかつ最大でも200kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも30kDaかつ最大でも200kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも1kDaかつ最大でも100kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも5kDaかつ最大でも100kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも100kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも12kDaかつ最大でも100kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも15kDaかつ最大でも100kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも20kDaかつ最大でも100kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも1kDaかつ最大でも75kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも5kDaかつ最大でも75kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも75kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも12kDaかつ最大でも75kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも15kDaかつ最大でも75kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも18kDaかつ最大でも75kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも20kDaかつ最大でも75kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも30kDaかつ最大でも75kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも90kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも12kDaかつ最大でも85kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも75kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも70kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも60kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも50kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも49kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも48kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも47kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも10kDaかつ最大でも46kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも20kDaかつ最大でも45kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも20kDaかつ最大でも44kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも20kDaかつ最大でも43kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも20kDaかつ最大でも42kDa増加している。一実施形態では、分子量は、少なくとも20kDaかつ最大でも41kDa増加している。対応する野生型O多糖と比較した、O多糖の分子量のそのような増加は、好ましくは、O抗原反復単位数の増加と関連する。一実施形態では、O多糖の分子量の増加は、wzzファミリータンパク質に起因する。例えば、表21を参照されたい。
【0066】
別の実施形態では、O多糖は、表1から選択されるいずれか1つの式を含み、O多糖中の反復単位数nは、対応する野生型O多糖中の反復単位数よりも、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100個以上の反復単位で多い。好ましくは、糖は、対応する野生型O多糖と比較して、少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50反復単位の増加を含む。例えば、表21を参照されたい。
【0067】
O抗原
O抗原は、グラム陰性細菌の外膜中のリポ多糖(LPS)の一部である。O抗原は、細胞表面上にあり、可変性細胞構成要素である。O抗原の可変性は、グラム陰性細菌の血清型決定のための基礎を提供する。現在の大腸菌(E.coli)血清型決定スキームは、O多糖1~181を含む。
【0068】
O抗原は、オリゴ糖反復単位(O単位)を含み、その野生型構造は、通常、広範囲の糖に由来する2~8個の残基を含有する。例示的な大腸菌(E.coli)O抗原のO単位は、表1に示され、
図9A~Cおよび
図10A~Bも参照されたい。
【0069】
一実施形態では、本発明の糖は、1個のオリゴ糖単位であってもよい。一実施形態では、本発明の糖は、関連する血清型の1つの反復オリゴ糖単位である。そのような実施形態では、糖は、式O8、式O9a、式O9、式O20ab、式O20ac、式O52、式O97、および式O101のいずれか1つから選択される構造を含んでもよい。
【0070】
一実施形態では、本発明の糖は、オリゴ糖であってもよい。オリゴ糖は、少数の反復単位(典型的には、5~15の反復単位)を有し、典型的には、合成的に、または多糖の加水分解によって誘導される。そのような実施形態では、糖は、式O8、式O9a、式O9、式O20ab、式O20ac、式O52、式O97、および式O101のいずれか1つから選択される構造を含んでもよい。
【0071】
好ましくは、本発明の、および本発明の免疫原性組成物中の全ての糖は、多糖である。高分子量の多糖は、抗原性表面上に存在するエピトープのため、ある特定の抗体免疫応答を誘導することができる。高分子量の多糖の単離および精製は、好ましくは、本発明のコンジュゲート、組成物および方法における使用のために企図される。
【0072】
一部の実施形態では、それぞれ個々のO抗原ポリマー中の反復O単位の数(したがって、ポリマー鎖の長さおよび分子量)は、wzz鎖長調節因子、内膜タンパク質に依存する。異なるwzzタンパク質は、異なる範囲のモード長(4~100超の反復単位)をもたらす。用語「モード長」とは、反復O単位の数を指す。グラム陰性細菌は、一方は長く、一方は短い、2つの異なるOAgモード鎖長をもたらす2つの異なるWzzタンパク質を有することが多い。グラム陰性細菌中でのwzzファミリータンパク質(例えば、wzzB)の発現(必ずしも過剰発現ではない)は、ある特定の長さ範囲のO抗原の細菌産生にシフトさせる、もしくは偏らせる、および高収率の高分子量リポ多糖の産生を増強させる、O抗原長の操作を可能にし得る。一実施形態では、本明細書で使用される場合の「短い」モード長とは、少数、例えば、1~20の反復O単位を指す。一実施形態では、本明細書で使用される場合の「長い」モード長とは、20より大きく、最大で40までの反復O単位の数を指す。一実施形態では、本明細書で使用される場合の「非常に長い」モード長とは、40より大きい反復O単位を指す。
【0073】
一実施形態では、産生される糖は、対応する野生型O多糖と比較して、少なくとも10反復単位、15反復単位、20反復単位、25反復単位、30反復単位、35反復単位、40反復単位、45反復単位、50反復単位、55反復単位、60反復単位、65反復単位、70反復単位、75反復単位、80反復単位、85反復単位、90反復単位、95反復単位、または100反復単位の増加を有する。
【0074】
別の実施形態では、本発明の糖は、対応する野生型O多糖と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100以上の反復単位の増加を有する。好ましくは、糖は、対応する野生型O多糖と比較して、少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50反復単位の増加を含む。例えば、表21を参照されたい。糖の長さを決定する方法は、当業界で公知である。そのような方法としては、実施例5に記載されるような、核磁気共鳴、質量分析、およびサイズ排除クロマトグラフィーが挙げられる。
【0075】
糖中の反復単位の数を決定する方法も、当業界で公知である。例えば、多糖の分子量(コア糖またはKDO残基の分子量を含まない)を、反復単位の分子量(すなわち、式内のそれぞれの単糖の分子量の和として理論的に算出することができる、例えば、表1に示される対応する式中の構造の分子量)で除算することによって、反復単位の数(または式中の「n」)を算出することができる。式内のそれぞれの単糖の分子量は、当業界で公知である。例えば、式O25bの反復単位の分子量は、約862Daである。例えば、式O1aの反復単位の分子量は、約845Daである。例えば、式O2の反復単位の分子量は、約829Daである。例えば、式O6の反復単位の分子量は、約893Daである。コンジュゲート中の反復単位の数を決定する場合、担体タンパク質の分子量およびタンパク質:多糖比を考慮に入れる。本明細書で定義される場合、「n」とは、多糖分子中の反復単位の数(表1中で括弧内に示される)を指す。当業界で公知のように、生体高分子中で、反復構造は、例えば、失われる分枝などの、不完全な反復の領域が組み入れられていてもよい。さらに、細菌などの天然供給源から単離および精製された多糖は、サイズおよび分枝において不均一であり得ることが当業界で公知である。そのような場合、nは、集団中の分子のnに関する平均値または中央値を表してもよい。
【0076】
一実施形態では、O多糖は、対応する野生型O多糖と比較して、O抗原の少なくとも1の反復単位の増加を有する。O抗原の反復単位は、表1に示される。一実施形態では、O多糖は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100以上の合計反復単位を含む。好ましくは、糖は、合計で少なくとも3から、最大でも80の反復単位を有する。別の実施形態では、O多糖は、対応する野生型O多糖と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100以上の反復単位の増加を有する。
【0077】
一実施形態では、糖は、O抗原式(例えば、表1に示される式など(
図9A~Cおよび
図10A~Bも参照されたい))のいずれかにおけるnが、少なくとも1、2、3、4、5、10、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、および最大でも200、100、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、または50の整数である、O抗原を含む。任意の最小値と任意の最大値とを組み合わせて、範囲を定義することができる。例示的な範囲としては、例えば、少なくとも1~最大でも1000;少なくとも10~最大でも500;および少なくとも20~最大でも80、好ましくは、最大でも90が挙げられる。1つの好ましい実施形態では、nは、少なくとも31~最大でも90である。好ましい実施形態では、nは、40~90、より好ましくは、60~85である。
【0078】
一実施形態では、糖は、O抗原式のいずれか1つにおけるnが少なくとも1であり、最大でも200である、O抗原を含む。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも5であり、最大でも200である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも10であり、最大でも200である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも25であり、最大でも200である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも50であり、最大でも200である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも75であり、最大でも200である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも100であり、最大でも200である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも125であり、最大でも200である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも150であり、最大でも200である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも175であり、最大でも200である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも1であり、最大でも100である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも5であり、最大でも100である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも10であり、最大でも100である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも25であり、最大でも100である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも50であり、最大でも100である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも75であり、最大でも100である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも1であり、最大でも75である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも5であり、最大でも75である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも10であり、最大でも75である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも20であり、最大でも75である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも25であり、最大でも75である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも30であり、最大でも75である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも40であり、最大でも75である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも50であり、最大でも75である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも30であり、最大でも90である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも35であり、最大でも85である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも35であり、最大でも75である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも35であり、最大でも70である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも35であり、最大でも60である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも35であり、最大でも50である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも35であり、最大でも49である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも35であり、最大でも48である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも35であり、最大でも47である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも35であり、最大でも46である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも36であり、最大でも45である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも37であり、最大でも44である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも38であり、最大でも43である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも39であり、最大でも42である。一実施形態では、O抗原式のいずれか1つにおけるnは、少なくとも39であり、最大でも41である。
【0079】
例えば、一実施形態では、糖におけるnは、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90、最も好ましくは40である。別の実施形態では、nは、少なくとも35~最大でも60である。例えば、一実施形態では、nは、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、および60のいずれか1つ、好ましくは50である。別の好ましい実施形態では、nは、少なくとも55~最大でも75である。例えば、一実施形態では、nは、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、または69、最も好ましくは60である。
【0080】
糖構造を、例えば、1D、1H、および/もしくは13Cを含むNMR、2D TOCSY、DQF-COSY、NOESY、ならびに/またはHMQCなどの、当業界で公知の方法および手段によって決定することができる。
【0081】
一部の実施形態では、コンジュゲーション前の精製された多糖は、5kDa~400kDaの分子量を有する。他のそのような実施形態では、糖は、10kDa~400kDa;5kDa~400kDa;5kDa~300kDa;5kDa~200kDa;5kDa~150kDa;10kDa~100kDa;10kDa~75kDa;10kDa~60kDa;10kDa~40kDa;10kDa~100kDa;10kDa~200kDa;15kDa~150kDa;12kDa~120kDa;12kDa~75kDa;12kDa~50kDa;12~60kDa;35kDa~75kDa;40kDa~60kDa;35kDa~60kDa;20kDa~60kDa;12kDa~20kDa;または20kDa~50kDaの分子量を有する。さらなる実施形態では、多糖は、7kDa~15kDa;8kDa~16kDa;9kDa~25kDa;10kDa~100kDa;10kDa~60kDa;10kDa~70kDa;10kDa~160kDa;15kDa~600kDa;20kDa~1000kDa;20kDa~600kDa;20kDa~400kDa;30kDa~1,000kDa;30kDa~60kDa;30kDa~50kDaまたは5kDa~60kDaの分子量を有する。上記の範囲のいずれかの中の任意の全整数が、本開示の実施形態として企図される。
【0082】
本明細書で使用される場合、多糖または担体タンパク質-多糖コンジュゲートの用語「分子量」とは、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)と組み合わせた、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって算出される分子量を指す。
【0083】
多糖は、通常の精製手順の間にサイズがわずかに減少するようになってもよい。さらに、本明細書に記載のように、多糖を、コンジュゲーションの前にサイジング技術にかけることができる。機械的または化学的サイジングを用いることができる。化学的加水分解を、酢酸を使用して行うことができる。機械的サイジングを、高圧ホモジェナイゼーション剪断を使用して行うことができる。上記の分子量範囲は、コンジュゲーション前(例えば、活性化前)の精製された多糖を指す。
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
コアオリゴ糖
コアオリゴ糖は、野生型大腸菌(E.coli)LPS中のリピドAとO抗原外側領域との間に位置する。より具体的には、コアオリゴ糖は、野生型大腸菌(E.coli)中のO抗原とリピドAとの間に結合を含む多糖の部分である。この結合は、最深部の3-デオキシ-d-マンノ-オクタ-2-ウロソン酸(KDO)残基のヘミケタール機能と、リピドAのGlcNAc残基のヒドロキシル基との間のケトシド結合を含む。コアオリゴ糖領域は、野生型大腸菌(E.coli)株間で高い類似度を示す。それは通常、限られた数の糖を含む。コアオリゴ糖は、内側コア領域と、外側コア領域とを含む。
【0094】
より具体的には、内側コアは、主にL-グリセロ-D-マンノ-ヘプトース(ヘプトース)およびKDO残基から構成される。内側コアは、高度に保存されている。KDO残基は、以下の式KDO:
【0095】
【0096】
コアオリゴ糖の外側領域は、内側コア領域よりも大きな変化を示し、この領域の差異は、大腸菌(E.coli)における5つのケモタイプ:R1、R2、R3、R4、およびK-12を区別する。5つの既知のケモタイプの外側コアオリゴ糖の炭水化物骨格の一般構造を例示する
図17を参照されたい。HepIIは、内側コアオリゴ糖の最後の残基である。外側コアオリゴ糖は全て、(ヘキソース)
3炭水化物骨格および2つの側鎖残基と共に、構造テーマを共有するが、骨格中のヘキソースの順序ならびに側鎖残基の性質、位置、および結合は全て変化し得る。R1およびR4外側コアオリゴ糖の構造は、非常に類似しており、単一のβ結合残基においてのみ異なっている。
【0097】
野生型大腸菌(E.coli)のコアオリゴ糖は、遠位オリゴ糖の構造に基づいて、当業界では5つの異なるケモタイプ:大腸菌(E.coli)R1、大腸菌(E.coli)R2、大腸菌(E.coli)R3、大腸菌(E.coli)R4、および大腸菌(E.coli)K12に分類される。
【0098】
好ましい実施形態では、本明細書に記載の組成物は、O多糖がO抗原に結合したコアオリゴ糖を含む糖コンジュゲートを含む。一実施形態では、組成物は、コア大腸菌(E.coli)ケモタイプ:大腸菌(E.coli)R1、大腸菌(E.coli)R2、大腸菌(E.coli)R3、大腸菌(E.coli)R4、および大腸菌(E.coli)K12の少なくともいずれか1つに対する免疫応答を誘導する。別の実施形態では、組成物は、少なくとも2つのコア大腸菌(E.coli)ケモタイプに対する免疫応答を誘導する。別の実施形態では、組成物は、少なくとも3つのコア大腸菌(E.coli)ケモタイプに対する免疫応答を誘導する。別の実施形態では、組成物は、少なくとも4つのコア大腸菌(E.coli)ケモタイプに対する免疫応答を誘導する。別の実施形態では、組成物は、5つ全部のコア大腸菌(E.coli)ケモタイプに対する免疫応答を誘導する。
【0099】
別の好ましい実施形態では、本明細書に記載の組成物は、O多糖がO抗原に結合したコアオリゴ糖を含まない糖コンジュゲートを含む。一実施形態では、そのような組成物は、O多糖を有する糖コンジュゲートがコアオリゴ糖を含まないにも拘わらず、コア大腸菌(E.coli)ケモタイプ:大腸菌(E.coli)R1、大腸菌(E.coli)R2、大腸菌(E.coli)R3、大腸菌(E.coli)R4、および大腸菌(E.coli)K12の少なくともいずれか1つに対する免疫応答を誘導する。
【0100】
大腸菌(E.coli)血清型は、5つのケモタイプの1つに従って特徴付けることができる。表2は、ケモタイプに従って特徴付けられる例示的な血清型を列挙する。太字の血清型は、示されたコアケモタイプと最も一般的に関連する血清型を表す。したがって、好ましい実施形態では、組成物は、それぞれの対応する大腸菌(E.coli)血清型のいずれか1つに対する免疫応答を含む、コア大腸菌(E.coli)ケモタイプ:大腸菌(E.coli)R1、大腸菌(E.coli)R2、大腸菌(E.coli)R3、大腸菌(E.coli)R4、および大腸菌(E.coli)K12の少なくともいずれか1つに対する免疫応答を誘導する。
【0101】
【0102】
一部の実施形態では、組成物は、例えば、式O25a、式O6、式O2、式O1、式O75、式O4、式O16、式O8、式O18、式O9、式O13、式O20、式O21、式O91、および式O163(式中、nは1~100である)を有する糖から選択される、R1ケモタイプを有する血清型に由来する構造を含む糖を含む。一部の実施形態では、前記組成物中の糖は、例えば、
図17に示される、大腸菌(E.coli)R1コア部分をさらに含む。
【0103】
一部の実施形態では、組成物は、例えば、式O25a、式O6、式O2、式O1、式O75、式O4、式O16、式O18、式O13、式O20、式O21、式O91、および式O163(式中、nは1~100、好ましくは31~100、より好ましくは35~90、最も好ましくは35~65である)を有する糖から選択される、R1ケモタイプを有する血清型に由来する構造を含む糖を含む。一部の実施形態では、前記組成物中の糖は、糖中に大腸菌(E.coli)R1コア部分をさらに含む。
【0104】
一部の実施形態では、組成物は、例えば、式O21、式O44、式O11、式O89、式O162、および式O9(式中、nは1~100、好ましくは31~100、より好ましくは35~90、最も好ましくは35~65である)を有する糖から選択される、R2ケモタイプを有する血清型に由来する構造を含む糖を含む。一部の実施形態では、前記組成物中の糖は、例えば、
図17に示される、大腸菌(E.coli)R2コア部分をさらに含む。
【0105】
一部の実施形態では、組成物は、例えば、式O25b、式O15、式O153、式O21、式O17、式O11、式O159、式O22、式O86、および式O93(式中、nは1~100、好ましくは31~100、より好ましくは35~90、最も好ましくは35~65である)を有する糖から選択される、R3ケモタイプを有する血清型に由来する構造を含む糖を含む。一部の実施形態では、前記組成物中の糖は、例えば、
図17に示される、大腸菌(E.coli)R3コア部分をさらに含む。
【0106】
一部の実施形態では、組成物は、例えば、式O2、式O1、式O86、式O7、式O102、式O160、および式O166(式中、nは1~100、好ましくは31~100、より好ましくは35~90、最も好ましくは35~65である)を有する糖から選択される、R4ケモタイプを有する血清型に由来する構造を含む糖を含む。一部の実施形態では、前記組成物中の糖は、例えば、
図17に示される、大腸菌(E.coli)R4コア部分をさらに含む。
【0107】
一部の実施形態では、組成物は、K-12ケモタイプ(例えば、式O25bを有する糖および式O16(式中、nは1~100、好ましくは31~100、より好ましくは35~90、最も好ましくは35~65である)を有する糖から選択される)を有する血清型に由来する構造を含む糖を含む。一部の実施形態では、前記組成物中の糖は、例えば、
図17に示される、大腸菌(E.coli)K-12コア部分をさらに含む。
【0108】
一部の実施形態では、糖は、コア糖を含む。したがって、一実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R1コア部分をさらに含む。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R2コア部分をさらに含む。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R3コア部分をさらに含む。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R4コア部分をさらに含む。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)K12コア部分をさらに含む。
【0109】
一部の実施形態では、糖は、コア糖を含まない。したがって、一実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R1コア部分を含まない。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R2コア部分を含まない。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R3コア部分を含まない。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)R4コア部分を含まない。別の実施形態では、O多糖は、大腸菌(E.coli)K12コア部分を含まない。
【0110】
コンジュゲート化O抗原
O抗原、または好ましくはO多糖の、タンパク質担体への化学的結合は、O抗原またはO多糖の免疫原性を改善し得る。しかしながら、ポリマーサイズの可変性が、生産に関する現実的課題である。商業的使用では、糖のサイズは、様々なコンジュゲーション合成戦略、製品の均一性、およびコンジュゲートの免疫原性との適合性に影響し得る。O抗原合成経路の操作によるWzzファミリータンパク質鎖長調節因子の発現の制御は、大腸菌(E.coli)を含む種々のグラム陰性細菌株における所望の長さのO抗原鎖の産生を可能にする。
【0111】
一実施形態では、精製された糖は、担体タンパク質と反応することができる活性化された糖を産生するように化学的に活性化される。活性化されたら、それぞれの糖は、担体タンパク質に別々にコンジュゲートされて、コンジュゲート、すなわち、糖コンジュゲートを形成する。本明細書で使用される場合、用語「糖コンジュゲート」とは、担体タンパク質に共有結合した糖を指す。一実施形態では、糖は、担体タンパク質に直接結合する。別の実施形態では、糖は、スペーサー/リンカーを介して担体タンパク質に結合する。
【0112】
O抗原に沿った1つもしくは複数の部位で担体をO抗原に結合させるスキームによって、またはコアオリゴ糖の少なくとも1つの残基を活性化するスキームによって、コンジュゲートを調製することができる。
【0113】
一実施形態では、それぞれの糖は、同じ担体タンパク質にコンジュゲートされる。
【0114】
タンパク質担体が組成物中の2個以上の糖について同じである場合、糖を、担体タンパク質の同じ分子(例えば、2個以上の異なる糖がコンジュゲートされた担体分子)にコンジュゲートすることができる。
【0115】
好ましい実施形態では、糖は、タンパク質担体の異なる分子にそれぞれ個別にコンジュゲートされる(タンパク質担体の各分子は、それにコンジュゲートされた1つの型の糖だけを有する)。前記実施形態では、糖は、担体タンパク質に個別にコンジュゲートされると言われる。
【0116】
糖の化学的活性化およびその後の担体タンパク質へのコンジュゲーションを、本明細書に開示される活性化およびコンジュゲーション方法によって達成することができる。多糖の担体タンパク質へのコンジュゲーション後、糖コンジュゲートは、様々な技術によって精製される(多糖-タンパク質コンジュゲートの量に関して富化される)。これらの技術としては、濃縮/透析濾過操作、沈降/溶出、カラムクロマトグラフィー、および深層濾過が挙げられる。個々の糖コンジュゲートを精製した後、それらを混合して、本発明の免疫原性組成物を製剤化する。
【0117】
活性化。本発明はさらに、多糖がリンカーまたは担体タンパク質へのコンジュゲーションのための反応基を産生する化学試薬で活性化される、本明細書に記載の実施形態のいずれかから産生される活性化された多糖に関する。一部の実施形態では、本発明の糖は、担体タンパク質へのコンジュゲーションの前に活性化される。一部の実施形態では、活性化度は、多糖の分子量を実質的に減少させない。例えば、一部の実施形態では、活性化度は、多糖骨格を切断しない。一部の実施形態では、活性化度は、CRM197などの担体タンパク質中で改変されたリシン残基の数(アミノ酸分析によって決定される)によって測定された場合、コンジュゲーション度に有意に影響しない。例えば、一部の実施形態では、活性化度は、同じ活性化度で参照多糖を有するコンジュゲートの担体タンパク質中で改変されたリシン残基の数と比較して、担体タンパク質中で改変されたリシン残基の数(アミノ酸分析によって決定される)を3倍有意に増加させない。一部の実施形態では、活性化度は、非コンジュゲート化遊離糖のレベルを増加させない。一部の実施形態では、活性化度は、最適な糖/タンパク質比を低下させない。
【0118】
一部の実施形態では、活性化された糖は、活性化された糖の糖反復単位あたりのチオールのモル数が、1~100%、例えば、2~80%、2~50%、3~30%、および4~25%などである、活性化のパーセンテージを有する。活性化度は、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、もしくは90%以上、または約100%である。好ましくは、活性化度は、最大でも50%、より好ましくは最大でも25%である。一実施形態では、活性化度は、最大でも20%である。任意の最小値と任意の最大値とを組み合わせて、範囲を定義することができる。
【0119】
一実施形態では、多糖を、1-シアノ-4-ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロホウ酸(CDAP)を用いて活性化して、シアン酸エステルを形成させる。次いで、活性化された多糖を、担体タンパク質(好ましくは、CRM197または破傷風トキソイド)上のアミノ基に直接的に、またはスペーサー(リンカー)基を介してカップリングさせる。
【0120】
例えば、スペーサーは、マレイミド活性化された担体タンパク質(例えば、N-[γ-マレイミドブチリロキシ]スクシンイミドエステル(GMBS)を使用する)またはハロアセチル化された担体タンパク質(例えば、ヨードアセトイミド、N-スクシンイミジルブロモ酢酸(SBA;SIB)、N-スクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノ安息香酸(SIAB)、スルホスクシンイミジル(4-ヨードアセチル)アミノ安息香酸(スルホ-SIAB)、N-スクシンイミジルヨード酢酸(SIA)、もしくはスクシンイミジル3-[ブロモアセトアミド]プロピオン酸(SBAP)を使用する)との反応後に得られるチオエーテル結合によって担体にカップリングすることができるチオール化された多糖を得るためのシスタミンまたはシステアミンであってよい。一実施形態では、シアン酸エステル(CDAP化学反応によって作製してもよい)を、ヘキサンジアミンまたはアジピン酸ジヒドラジド(ADH)とカップリングし、アミノ誘導体化された糖を、タンパク質担体上のカルボキシル基を介してカルボジイミド(例えば、EDACまたはEDC)化学反応を使用して担体タンパク質(例えば、CRM197)にコンジュゲートする。
【0121】
コンジュゲーションのための他の好適な技術は、カルボジイミド、ヒドラジド、活性エステル、ノルボラン、p-ニトロ安息香酸、N-ヒドロキシスクシンイミド、S-NHS、EDC、TSTUを使用する。コンジュゲーションは、糖の遊離ヒドロキシル基の、CDIとの反応、次いで、カルバメート結合を形成するタンパク質との反応によって形成することができるカルボニルリンカーを含んでもよい。これは、第一ヒドロキシル基へのアノマー末端の還元、第一ヒドロキシル基の任意選択の保護/脱保護、CDIカルバメート中間体を形成する第一ヒドロキシル基とCDIとの反応およびCDIカルバメート中間体と、タンパク質上のアミノ基とのカップリング(CDI化学反応)を含んでもよい。
【0122】
分子量。一部の実施形態では、糖コンジュゲートは、10kDa~2,000kDaの分子量を有する糖を含む。他の実施形態では、糖は、50kDa~1,000kDaの分子量を有する。他の実施形態では、糖は、70kDa~900kDaの分子量を有する。他の実施形態では、糖は、100kDa~800kDaの分子量を有する。他の実施形態では、糖は、200kDa~600kDaの分子量を有する。さらなる実施形態では、糖は、100kDa~1000kDa;100kDa~900kDa;100kDa~800kDa;100kDa~700kDa;100kDa~600kDa;100kDa~500kDa;100kDa~400kDa;100kDa~300kDa;150kDa~1,000kDa;150kDa~900kDa;150kDa~800kDa;150kDa~700kDa;150kDa~600kDa;150kDa~500kDa;150kDa~400kDa;150kDa~300kDa;200kDa~1,000kDa;200kDa~900kDa;200kDa~800kDa;200kDa~700kDa;200kDa~600kDa;200kDa~500kDa;200kDa~400kDa;200kDa~300kDa;250kDa~1,000kDa;250kDa~900kDa;250kDa~800kDa;250kDa~700kDa;250kDa~600kDa;250kDa~500kDa;250kDa~400kDa;250kDa~350kDa;300kDa~1,000kDa;300kDa~900kDa;300kDa~800kDa;300kDa~700kDa;300kDa~600kDa;300kDa~500kDa;300kDa~400kDa;400kDa~1,000kDa;400kDa~900kDa;400kDa~800kDa;400kDa~700kDa;400kDa~600kDa;500kDa~600kDaの分子量を有する。一実施形態では、そのような分子量を有する糖コンジュゲートは、単一末端コンジュゲーションによって生産される。別の実施形態では、そのような分子量を有する糖コンジュゲートは、水性緩衝剤中で調製される還元的アミノ化化学反応(RAC)によって生産される。上記の範囲のいずれかの中の任意の全整数が、本開示の実施形態として企図される。
【0123】
一部の実施形態では、本発明の糖コンジュゲートは、400kDa~15,000kDa;500kDa~10,000kDa;2,000kDa~10,000kDa;3,000kDa~8,000kDa;または3,000kDa~5,000kDaの分子量を有する。他の実施形態では、糖コンジュゲートは、500kDa~10,000kDaの分子量を有する。他の実施形態では、糖コンジュゲートは、1,000kDa~8,000kDaの分子量を有する。さらに他の実施形態では、糖コンジュゲートは、2,000kDa~8,000kDaまたは3,000kDa~7,000kDaの分子量を有する。さらなる実施形態では、本発明の糖コンジュゲートは、200kDa~20,000kDa;200kDa~15,000kDa;200kDa~10,000kDa;200kDa~7,500kDa;200kDa~5,000kDa;200kDa~3,000kDa;200kDa~1,000kDa;500kDa~20,000kDa;500kDa~15,000kDa;500kDa~12,500kDa;500kDa~10,000kDa;500kDa~7,500kDa;500kDa~6,000kDa;500kDa~5,000kDa;500kDa~4,000kDa;500kDa~3,000kDa;500kDa~2,000kDa;500kDa~1,500kDa;500kDa~1,000kDa;750kDa~20,000kDa;750kDa~15,000kDa;750kDa~12,500kDa;750kDa~10,000kDa;750kDa~7,500kDa;750kDa~6,000kDa;750kDa~5,000kDa;750kDa~4,000kDa;750kDa~3,000kDa;750kDa~2,000kDa;750kDa~1,500kDa;1,000kDa~15,000kDa;1,000kDa~12,500kDa;1,000kDa~10,000kDa;1,000kDa~7,500kDa;1,000kDa~6,000kDa;1,000kDa~5,000kDa;1,000kDa~4,000kDa;1,000kDa~2,500kDa;2,000kDa~15,000kDa;2,000kDa~12,500kDa;2,000kDa~10,000kDa;2,000kDa~7,500kDa;2,000kDa~6,000kDa;2,000kDa~5,000kDa;2,000kDa~4,000kDa;または2,000kDa~3,000kDaの分子量を有する。一実施形態では、そのような分子量を有する糖コンジュゲートは、本明細書に記載のeTECコンジュゲーションによって生産される。別の実施形態では、そのような分子量を有する糖コンジュゲートは、還元的アミノ化化学反応(RAC)によって生産される。別の実施形態では、そのような分子量を有する糖コンジュゲートは、DMSO中で調製される還元的アミノ化化学反応(RAC)によって生産される。
【0124】
さらなる実施形態では、本発明の糖コンジュゲートは、1,000kDa~20,000kDa;1,000kDa~15,000kDa;2,000kDa~10,000kDa;2000kDa~7,500kDa;2,000kDa~5,000kDa;3,000kDa~20,000kDa;3,000kDa~15,000kDa;3,000kDa~12,500kDa;4,000kDa~10,000kDa;4,000kDa~7,500kDa;4,000kDa~6,000kDa;または5,000kDa~7,000kDaの分子量を有する。一実施形態では、そのような分子量を有する糖コンジュゲートは、還元的アミノ化化学反応(RAC)によって生産される。別の実施形態では、そのような分子量を有する糖コンジュゲートは、DMSO中で調製される還元的アミノ化化学反応(RAC)によって生産される。別の実施形態では、そのような分子量を有する糖コンジュゲートは、本明細書に記載のeTECコンジュゲーションによって生産される。
【0125】
さらなる実施形態では、本発明の糖コンジュゲートは、5,000kDa~20,000kDa;5,000kDa~15,000kDa;5,000kDa~10,000kDa;5,000kDa~7,500kDa;6,000kDa~20,000kDa;6,000kDa~15,000kDa;6,000kDa~12,500kDa;6,000kDa~10,000kDaまたは6,000kDa~7,500kDaの分子量を有する。
【0126】
糖コンジュゲートの分子量を、SEC-MALLSによって測定することができる。上記の範囲のいずれかの中の任意の全整数が、本開示の実施形態として企図される。本発明の糖コンジュゲートを、糖の担体タンパク質に対する比(重量/重量)によって特徴付けることもできる。一部の実施形態では、糖コンジュゲート中の多糖の担体タンパク質に対する比(w/w)は、0.5~3(例えば、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2.0、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、約2.5、約2.6、約2.7、約2.8、約2.9、または約3.0)である。他の実施形態では、糖の担体タンパク質に対する比(w/w)は、0.5~2.0、0.5~1.5、0.8~1.2、0.5~1.0、1.0~1.5または1.0~2.0である。さらなる実施形態では、糖の担体タンパク質に対する比(w/w)は、0.8~1.2である。好ましい実施形態では、コンジュゲート中の多糖の担体タンパク質に対する比は、0.9~1.1である。一部のそのような実施形態では、担体タンパク質は、CRM197である。
【0127】
また、糖コンジュゲートを、その分子サイズ分布(Kd)によって特徴付けることもできる。サイズ排除クロマトグラフィー媒体(CL-4B)を使用して、コンジュゲートの相対分子サイズ分布を決定することができる。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、コンジュゲートの分子サイズ分布をプロファイリングするために重力送りのカラム中で使用される。媒体中の小孔から排除される大きい分子は、低分子よりも迅速に溶出する。画分収集装置を使用して、カラム溶出液を収集する。画分を、糖アッセイによる比色分析で試験する。Kdの決定のために、分子が完全に排除される画分(V0)、(Kd=0)、および最大保持を示す画分(Vi)、(Kd=1)を確立するために、カラムを較正する。特定の試料特性に達する画分(Ve)を、式Kd=(Ve-V0)/(Vi-V0)によってKdと関連させる。
【0128】
遊離糖。本発明の糖コンジュゲートおよび免疫原性組成物は、担体タンパク質に共有的にコンジュゲートしていないが、それにも拘わらず、糖コンジュゲート組成物中に存在する遊離糖を含んでもよい。遊離糖は、糖コンジュゲートと非共有的に結合していてもよい(すなわち、非共有的に結合する、吸着する、またはその中に、もしくはそれと共に捕捉される)。好ましい実施形態では、糖コンジュゲートは、多糖の総量と比較して、最大でも50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%または15%の遊離多糖を含む。好ましい実施形態では、糖コンジュゲートは、多糖の総量と比較して、約25%未満の遊離多糖を含む。好ましい実施形態では、糖コンジュゲートは、多糖の総量と比較して、最大でも約20%の遊離多糖を含む。好ましい実施形態では、糖コンジュゲートは、多糖の総量と比較して、最大でも約15%の遊離多糖を含む。別の好ましい実施形態では、糖コンジュゲートは、多糖の総量と比較して、最大でも約20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%の遊離多糖を含む。好ましい実施形態では、糖コンジュゲートは、多糖の総量と比較して、約8%未満の遊離多糖を含む。好ましい実施形態では、糖コンジュゲートは、多糖の総量と比較して、最大でも約6%の遊離多糖を含む。好ましい実施形態では、糖コンジュゲートは、多糖の総量と比較して、最大でも約5%の遊離多糖を含む。例えば、表12、表13、表14、表15、表16、表17、および表18を参照されたい。
【0129】
共有結合。他の実施形態では、コンジュゲートは、5~10糖反復単位毎に;2~7糖反復単位毎に;3~8糖反復単位毎に;4~9糖反復単位毎に;6~11糖反復単位毎に;7~12糖反復単位毎に;8~13糖反復単位毎に;9~14糖反復単位毎に;10~15糖反復単位毎に;2~6糖反復単位毎に;3~7糖反復単位毎に;4~8糖反復単位毎に;6~10糖反復単位毎に;7~11糖反復単位毎に;8~12糖反復単位毎に;9~13糖反復単位毎に;10~14糖反復単位毎に;10~20糖反復単位毎に;4~25糖反復単位毎に、または2~25糖反復単位毎に、担体タンパク質と糖との間に少なくとも1個の共有結合を含む。よくある実施形態では、担体タンパク質は、CRM197である。別の実施形態では、担体タンパク質と糖との間の少なくとも1個の結合は、多糖の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25糖反復単位毎に存在する。一実施形態では、担体タンパク質は、CRM197である。上記の範囲のいずれかの中の任意の全整数が、本開示の実施形態として企図される。
【0130】
リシン残基。本発明の糖コンジュゲートを特徴付ける別の方法は、コンジュゲート化リシンの範囲(コンジュゲーション度)として特徴付けることができる糖にコンジュゲートされるようになる担体タンパク質(例えば、CRM197)中のリシン残基の数による。多糖への共有結合に起因する、担体タンパク質のリシン改変に関する証拠を、当業者には公知の日常的な方法を使用するアミノ酸分析によって取得することができる。コンジュゲーションは、コンジュゲート材料を生成するために使用される担体タンパク質出発材料と比較して、回収されるリシン残基数の減少をもたらす。好ましい実施形態では、本発明の糖コンジュゲートのコンジュゲーション度は、2~15、2~13、2~10、2~8、2~6、2~5、2~4、3~15、3~13、3~10、3~8、3~6、3~5、3~4、5~15、5~10、8~15、8~12、10~15または10~12である。一実施形態では、本発明の糖コンジュゲートのコンジュゲーション度は、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14または約15である。好ましい実施形態では、本発明の糖コンジュゲートのコンジュゲーション度は、4~7である。一部のそのような実施形態では、担体タンパク質は、CRM197である。
【0131】
糖鎖の担体タンパク質上のリシンへの結合の頻度は、本発明の糖コンジュゲートを特徴付けるための別のパラメーターである。例えば、一部の実施形態では、担体タンパク質と、多糖との間の少なくとも1つの共有結合は、多糖の4糖反復単位毎に存在する。別の実施形態では、担体タンパク質と多糖との間の共有結合は、多糖の10糖反復単位毎に少なくとも1回存在する。別の実施形態では、担体タンパク質と多糖との間の共有結合は、多糖の15糖反復単位毎に少なくとも1回存在する。別の実施形態では、担体タンパク質と多糖との間の共有結合は、多糖の25糖反復単位毎に少なくとも1回存在する。Oアセチル化。一部の実施形態では、本発明の糖は、Oアセチル化されている。一部の実施形態では、糖コンジュゲートは、10~100%、20~100%、30~100%、40~100%、50~100%、60~100%、70~100%、75~100%、80~100%、90~100%、50~90%、60~90%、70~90%または80~90%のOアセチル化度を有する糖を含む。他の実施形態では、Oアセチル化度は、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、もしくは90%以上、または約100%である。Oアセチル化の%とは、100%に対する所与の糖のパーセンテージを意味する(それぞれの反復単位はそのアセチル化された構造と比較して完全にアセチル化されている)。
【0132】
一部の実施形態では、糖コンジュゲートを、還元的アミノ化によって調製する。一部の実施形態では、糖コンジュゲートは、糖が担体タンパク質に直接的に共有結合された、単一末端結合コンジュゲート化糖である。一部の実施形態では、糖コンジュゲートは、(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーを介して担体タンパク質に共有結合されている。
【0133】
還元的アミノ化。一実施形態では、糖は、還元的アミノ化(米国特許出願公開第2006/0228380号、第2007/0231340号、第2007/0184071号および第2007/0184072号、WO2006/110381、WO2008/079653、およびWO2008/143709などに記載されている)によって担体タンパク質にコンジュゲートされる。
【0134】
還元的アミノ化は、(1)糖の酸化、(2)コンジュゲートを形成させるための活性化された糖および担体タンパク質の還元を含む。酸化の前に、糖を加水分解してもよい。機械的または化学的加水分解を用いることができる。化学的加水分解を、酢酸を使用して行うことができる。
【0135】
酸化ステップは、過ヨウ素酸塩との反応を含んでもよい。本明細書で使用される用語「過ヨウ素酸塩」とは、過ヨウ素酸塩と、過ヨウ素酸との両方を指す。この用語はまた、メタ過ヨウ素酸塩(IO4
-)とオルト過ヨウ素酸塩(IO6
5-)の両方および過ヨウ素酸の様々な塩(例えば、過ヨウ素酸ナトリウムおよび過ヨウ素酸カリウム)も含む。一実施形態では、多糖は、メタ過ヨウ素酸塩の存在下、好ましくは、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)の存在下で酸化される。別の実施形態では、多糖は、オルト過ヨウ素酸塩の存在下、好ましくは、過ヨウ素酸の存在下で酸化される。
【0136】
一実施形態では、酸化剤は、第一ヒドロキシルを選択的に酸化するための酸化剤の存在下の、ピペリジン-N-オキシまたはピロリジン-N-オキシ化合物などの安定なニトロキシルまたはニトロキシドラジカル化合物である。前記反応において、実際の酸化剤は、触媒サイクルにおける、N-オキソアンモニウム塩である。ある態様では、前記安定なニトロキシルまたはニトロキシドラジカル化合物は、ピペリジン-N-オキシまたはピロリジン-N-オキシ化合物である。ある態様では、前記安定なニトロキシルまたはニトロキシドラジカル化合物は、TEMPO(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ)またはPROXYL(2,2,5,5-テトラメチル-1-ピロリジニルオキシ)部分を担持する。ある態様では、前記安定なニトロキシルラジカル化合物は、TEMPOまたはその誘導体である。ある態様では、前記酸化剤は、N-ハロ部分を担持する分子である。ある態様では、前記酸化剤は、N-クロロスクシンイミド、N-ブロモスクシンイミド、N-ヨードスクシンイミド、ジクロロイソシアヌル酸、1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、ジブロモイソシアヌル酸、1,3,5-トリブロモ-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、ジヨードイソシアヌル酸および1,3,5-トリヨード-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオンのいずれか1つから選択される。好ましくは、前記酸化剤は、N-クロロスクシンイミドである。
【0137】
糖の酸化ステップの後、糖は活性化されると言われ、本明細書の以下で「活性化された」と称される。活性化された糖および担体タンパク質を、独立に(個別凍結乾燥)または一緒に(同時凍結乾燥)、凍結乾燥(凍結-乾燥)することができる。一実施形態では、活性化された糖および担体タンパク質は、同時凍結乾燥される。別の実施形態では、活性化された多糖および担体タンパク質は、独立に凍結乾燥される。
【0138】
一実施形態では、凍結乾燥は、非還元糖の存在下で行い、あり得る非還元糖としては、スクロース、トレハロース、ラフィノース、スタキオース、メレジトース、デキストラン、マンニトール、ラクチトールおよびパラチニットが挙げられる。
【0139】
コンジュゲーションプロセスの次のステップは、還元剤を使用した、コンジュゲートを形成させるための活性化された糖および担体タンパク質の還元(いわゆる還元的アミノ化)である。好適な還元剤としては、BronstedまたはLewis酸の存在下のシアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素ナトリウムもしくは水素化ホウ素亜鉛などのシアノ水素化ホウ素、ピリジンボラン、2-ピコリンボラン、2,6-ジボラン-メタノール、ジメチルアミン-ボラン、t-BuMe’PrN-BH3、ベンジルアミン-BH3または5-エチル-2-メチルピリジンボラン(PEMB)、ボラン-ピリジン、またはホウ化水素交換樹脂などのアミンボランが挙げられる。一実施形態では、還元剤は、シアノ水素化ホウ素ナトリウムである。
【0140】
ある実施形態では、還元反応は、水性溶媒(例えば、pH6.0~8.5、7.0~8.0または7.0~7.5の、PBS、MES、HEPES、Bis-トリス、ADA、PIPES、MOPSO、BES、MOPS、DIPSO、MOBS、HEPPSO、POPSO、TEA、EPPS、ビシンまたはHEPBから選択される)中で実行され、別の実施形態では、反応は非プロトン性溶媒中で実行される。ある実施形態では、還元反応は、DMSO(ジメチルスルホキシド)またはDMF(ジメチルホルムアミド)溶媒中で実行される。DMSOまたはDMF溶媒を使用して、凍結乾燥された活性化された糖および担体タンパク質を復元することができる。
【0141】
還元反応の終わりに、コンジュゲート中に残存する未反応のアルデヒド基があってもよく、これらのものを、好適なキャッピング剤を使用してキャップすることができる。一実施形態では、このキャッピング剤は、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)である。コンジュゲーション(還元反応および必要に応じて、キャッピング)の後、糖コンジュゲートを、当業者には公知の様々な技術によって精製する(多糖-タンパク質コンジュゲートの量に関して富化する)ことができる。これらの技術としては、透析、濃縮/透析濾過操作、接線流濾過沈降/溶出、カラムクロマトグラフィー(DEAEまたは疎水性相互作用クロマトグラフィー)、および深層濾過が挙げられる。糖コンジュゲートを、透析濾過および/またはイオン交換クロマトグラフィーおよび/またはサイズ排除クロマトグラフィーによって精製することができる。ある実施形態では、糖コンジュゲートは、透析濾過またはイオン交換クロマトグラフィーまたはサイズ排除クロマトグラフィーによって精製される。一実施形態では、糖コンジュゲートは、滅菌濾過される。
【0142】
好ましい実施形態では、O25B、O1、O2、およびO6のいずれか1つから選択される大腸菌(E.coli)血清型に由来する糖コンジュゲートが、還元的アミノ化によって調製される。好ましい実施形態では、大腸菌(E.coli)血清型O25B、O1、O2、およびO6に由来する糖コンジュゲートが、還元的アミノ化によって調製される。
【0143】
一態様では、本発明は、担体タンパク質、例えば、
【0144】
【化2】
(式中、nは、1より大きい任意の整数であるか、または1に等しい)によって表される、式O25Bの糖に結合した、CRM
197を含むコンジュゲートに関する。好ましい実施形態では、nは、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、および最大でも200、100、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、または50の整数である。任意の最小値と任意の最大値とを組み合わせて、範囲を定義することができる。例示的な範囲としては、例えば、少なくとも1~最大でも1000;少なくとも10~最大でも500;および少なくとも20~最大でも80が挙げられる。1つの好ましい実施形態では、nは少なくとも31~最大でも90、より好ましくは40~90、最も好ましくは60~85である。
【0145】
別の態様では、本発明は、表1(
図9A~Cおよび
図10A~Bも参照されたい)に示される以下の構造のいずれか1つ(式中、nは1より大きい整数であるか、または1に等しい)を有する糖に結合した、担体タンパク質、例えば、CRM
197を含むコンジュゲートに関する。
【0146】
理論またはメカニズムによって束縛されるものではないが、一部の実施形態では、安定なコンジュゲートは、抗原の重要な免疫原性エピトープの構造的完全性の保持とのバランスを保つレベルの抗原改変を必要とすると考えられる。
【0147】
アルデヒドの活性化および形成。一部の実施形態では、本発明の糖は、活性化され、アルデヒドの形成をもたらす。糖が活性化されるそのような実施形態では、活性化のパーセンテージ(%)(または酸化度(DO))とは、活性化された多糖のアルデヒドのモルあたりの糖反復単位のモルを指す。例えば、一部の実施形態では、糖は、多糖の反復単位上の隣接ジオールの過ヨウ素酸塩酸化によって活性化され、アルデヒドの形成をもたらす。糖反復単位に対する過ヨウ素酸ナトリウムのモル当量(meq)および酸化中の温度を変化させることにより、酸化度(DO)のレベルの変化が得られる。
【0148】
糖およびアルデヒド濃度は、典型的には、比色アッセイによって決定される。代替試薬は、TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシルラジカル)-N-クロロスクシンイミド(NCS)混合物であり、第一アルコール基からのアルデヒドの形成をもたらす。
【0149】
一部の実施形態では、活性化された糖は、活性化された糖のアルデヒドのモルあたりの糖反復単位のモルが、例えば、2~80、2~50、3~30、および4~25などの、1~100である酸化度を有する。活性化度は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、もしくは90以上、または約100である。好ましくは、酸化度(DO)は、少なくとも5、かつ最大でも50、より好ましくは、少なくとも10、かつ最大でも25である。一実施形態では、活性化度は、少なくとも10、かつ最大でも25である。任意の最小値と任意の最大値とを組み合わせて、範囲を定義することができる。酸化度の値は、活性化のパーセンテージ(%)として表すことができる。例えば、一実施形態では、10のDO値は、活性化された糖中の合計10の糖反復単位のうち、1の活性化された糖反復単位を指し、その場合、10のDO値は、10%の活性化と表すことができる。
【0150】
一部の実施形態では、還元的アミノ化化学反応によって調製されたコンジュゲートは、担体タンパク質と糖とを含み、糖は、式O1(例えば、式O1A、式O1B、および式O1C)、式O2、式O3、式O4(例えば、式O4:K52および式O4:K6)、式O5(例えば、式O5abおよび式O5ac(株180/C3))、式O6(例えば、式O6:K2;K13;K15および式O6:K54)、式O7、式O8、式O9、式O10、式O11、式O12、式O13、式O14、式O15、式O16、式O17、式O18(例えば、式O18A、式O18ac、式O18A1、式O18B、および式O18B1)、式O19、式O20、式O21、式O22、式O23(例えば、式O23A)、式O24、式O25(例えば、式O25aおよび式O25b)、式O26、式O27、式O28、式O29、式O30、式O32、式O33、式O34、式O35、式O36、式O37、式O38、式O39、式O40、式O41、式O42、式O43、式O44、式O45(例えば、式O45および式O45rel)、式O46、式O48、式O49、式O50、式O51、式O52、式O53、式O54、式O55、式O56、式O57、式O58、式O59、式O60、式O61、式O62、式O62D1、式O63、式O64、式O65、式O66、式O68、式O69、式O70、式O71、式O73(例えば、式O73(株73-1))、式O74、式O75、式O76、式O77、式O78、式O79、式O80、式O81、式O82、式O83、式O84、式O85、式O86、式O87、式O88、式O89、式O90、式O91、式O92、式O93、式O95、式O96、式O97、式O98、式O99、式O100、式O101、式O102、式O103、式O104、式O105、式O106、式O107、式O108、式O109、式O110、式O111、式O112、式O113、式O114、式O115、式O116、式O117、式O118、式O119、式O120、式O121、式O123、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O129、式O130、式O131、式O132、式O133、式O134、式O135、式O136、式O137、式O138、式O139、式O140、式O141、式O142、式O143、式O144、式O145、式O146、式O147、式O148、式O149、式O150、式O151、式O152、式O153、式O154、式O155、式O156、式O157、式O158、式O159、式O160、式O161、式O162、式O163、式O164、式O165、式O166、式O167、式O168、式O169、式O170、式O171、式O172、式O173、式O174、式O175、式O176、式O177、式O178、式O179、式O180、式O181、式O182、式O183、式O184、式O185、式O186、および式O187のいずれか1つから選択される構造を含む。一部の実施形態では、コンジュゲート中の糖は、nが1~1000、5~1000、好ましくは31~100、より好ましくは35~90、最も好ましくは35~65の整数である式を含む。
【0151】
単一末端結合コンジュゲート。一部の実施形態では、コンジュゲートは、糖が、糖の一方の末端で担体タンパク質に共有結合した、単一末端結合コンジュゲート化糖である。一部の実施形態では、単一末端結合コンジュゲート化多糖は、末端糖を有する。例えば、コンジュゲートは、多糖の一方の末端(末端糖残基)が担体タンパク質に共有結合する場合、単一末端結合している。一部の実施形態では、コンジュゲートは、多糖の末端糖残基がリンカーを介して担体タンパク質に共有結合する場合、単一末端結合している。そのようなリンカーは、例えば、シスタミンリンカー(A1)、3,3’-ジチオビス(プロパン酸ジヒドラジド)リンカー(A4)、および2,2’-ジチオ-N,N’-ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(2-(アミノオキシ)アセタミド)リンカー(A6)を含んでもよい。
【0152】
一部の実施形態では、糖は、3-デオキシ-d-マンノ-オクタ-2-ウロソン酸(KDO)残基を介して担体タンパク質にコンジュゲートされ、単一末端結合コンジュゲートを形成する。例えば、実施例18、実施例19、実施例20、および
図24を参照されたい。
【0153】
一部の実施形態では、コンジュゲートは、好ましくはバイオコンジュゲートではない。用語「バイオコンジュゲート」とは、宿主細胞バックグラウンドで調製された、タンパク質(例えば、担体タンパク質)と、抗原、例えば、O抗原(例えば、O25B)とのコンジュゲートを指し、ここで、宿主細胞機構が、抗原をタンパク質に結合する(例えば、N結合)。糖コンジュゲートは、宿主細胞中でのコンジュゲートの調製を必要としない手段、例えば、タンパク質と糖との化学的結合によるコンジュゲーションによって調製されたバイオコンジュゲート、ならびに糖抗原(例えば、オリゴ糖および多糖)-タンパク質コンジュゲートを含む。
【0154】
チオール活性化された糖。一部の実施形態では、本発明の糖は、チオール活性化されている。糖がチオール活性化されているそのような実施形態では、活性化のパーセンテージ(%)は、活性化された多糖の糖反復単位あたりのチオールのモルを指す。糖およびチオール濃度は、典型的には、スルフヒドリルの定量化のためのエルマンアッセイによって決定される。例えば、一部の実施形態では、糖は、ジスルフィドアミンリンカーを用いた2-ケト-3-デオキシオクタン酸(KDO)の活性化を含む。例えば、実施例18および
図24を参照されたい。一部の実施形態では、糖は、二価のヘテロ二官能性リンカー(本明細書では「スペーサー」とも称される)を介して担体タンパク質に共有結合されている。リンカーは、好ましくは、糖と担体タンパク質との間のチオエーテル結合を提供し、本明細書では「チオエーテル糖コンジュゲート」と称される糖コンジュゲートをもたらす。一部の実施形態では、リンカーは、例えば、(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)などの、カルバメートおよびアミド結合をさらに提供する。例えば、実施例13を参照されたい。
【0155】
一部の実施形態では、単一末端結合コンジュゲートは、担体タンパク質と糖とを含み、糖は、式O1(例えば、式O1A、式O1B、および式O1C)、式O2、式O3、式O4(例えば、式O4:K52および式O4:K6)、式O5(例えば、式O5abおよび式O5ac(株180/C3))、式O6(例えば、式O6:K2;K13;K15および式O6:K54)、式O7、式O8、式O9、式O10、式O11、式O12、式O13、式O14、式O15、式O16、式O17、式O18(例えば、式O18A、式O18ac、式O18A1、式O18B、および式O18B1)、式O19、式O20、式O21、式O22、式O23(例えば、式O23A)、式O24、式O25(例えば、式O25aおよび式O25b)、式O26、式O27、式O28、式O29、式O30、式O32、式O33、式O34、式O35、式O36、式O37、式O38、式O39、式O40、式O41、式O42、式O43、式O44、式O45(例えば、式O45および式O45rel)、式O46、式O48、式O49、式O50、式O51、式O52、式O53、式O54、式O55、式O56、式O57、式O58、式O59、式O60、式O61、式O62、式O62D1、式O63、式O64、式O65、式O66、式O68、式O69、式O70、式O71、式O73(例えば、式O73(株73-1))、式O74、式O75、式O76、式O77、式O78、式O79、式O80、式O81、式O82、式O83、式O84、式O85、式O86、式O87、式O88、式O89、式O90、式O91、式O92、式O93、式O95、式O96、式O97、式O98、式O99、式O100、式O101、式O102、式O103、式O104、式O105、式O106、式O107、式O108、式O109、式O110、式O111、式O112、式O113、式O114、式O115、式O116、式O117、式O118、式O119、式O120、式O121、式O123、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O129、式O130、式O131、式O132、式O133、式O134、式O135、式O136、式O137、式O138、式O139、式O140、式O141、式O142、式O143、式O144、式O145、式O146、式O147、式O148、式O149、式O150、式O151、式O152、式O153、式O154、式O155、式O156、式O157、式O158、式O159、式O160、式O161、式O162、式O163、式O164、式O165、式O166、式O167、式O168、式O169、式O170、式O171、式O172、式O173、式O174、式O175、式O176、式O177、式O178、式O179、式O180、式O181、式O182、式O183、式O184、式O185、式O186、および式O187のいずれか1つから選択される構造を含む。一部の実施形態では、コンジュゲート中の糖は、nが1~1000、5~1000、好ましくは31~100、より好ましくは35~90、最も好ましくは35~65の整数である式を含む。
【0156】
例えば、一実施形態では、単一末端結合コンジュゲートは、担体タンパク質と、式O8、式O9a、式O9、式O20ab、式O20ac、式O52、式O97、および式O101(式中、nは1~10の整数である)から選択される構造を有する糖とを含む。
【0157】
eTECコンジュゲート
一態様では、本発明は一般に、(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサー(例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9517274号および国際特許出願公開WO2014027302に記載されている)を介して担体タンパク質に共有的にコンジュゲートされた上記の大腸菌(E.coli)に由来する糖を含む糖コンジュゲート、そのような糖コンジュゲートを含む免疫原性組成物、ならびにそのような糖コンジュゲートおよび免疫原性組成物の調製および使用のための方法に関する。前記糖コンジュゲートは、1つまたは複数のeTECスペーサーを介して担体タンパク質に共有的にコンジュゲートされた糖であって、糖が、カルバメート結合によってeTECスペーサーに共有的にコンジュゲートされ、担体タンパク質が、アミド結合によってeTECスペーサーに共有的にコンジュゲートされている、糖を含む。eTECスペーサーは、7個の線状原子(すなわち、-C(O)NH(CH2)2SCH2C(O)-)を含み、糖と担体タンパク質との間に安定なチオエーテルおよびアミド結合を提供する。
【0158】
本発明のeTEC結合糖コンジュゲートを、一般式(I):
【0159】
【化3】
(式中、eTECスペーサーを含む原子は中央の囲みに含まれる)によって表すことができる。
【0160】
本発明の前記糖コンジュゲートにおいて、糖は、多糖またはオリゴ糖であってもよい。
【0161】
本発明の糖コンジュゲート中に組み入れられる担体タンパク質は、本明細書にさらに記載されるように、または当業者には公知のように、そのような目的にとって一般的に好適な担体タンパク質群から選択される。特定の実施形態では、担体タンパク質は、CRM197である。
【0162】
別の態様では、本発明は、eTECスペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされた本明細書に記載の糖を含む糖コンジュゲートを作製する方法であって、a)有機溶媒中で糖と炭酸誘導体とを反応させて、活性化された糖を生産するステップ;b)活性化された糖と、シスタミンもしくはシステアミンまたはその塩とを反応させて、チオール化された糖を生産するステップ;c)チオール化された糖と、還元剤とを反応させて、1つまたは複数の遊離スルフヒドリル残基を含む、活性化されたチオール化された糖を生産するステップ;d)活性化されたチオール化された糖と、1つまたは複数のα-ハロアセタミド基を含む活性化された担体タンパク質とを反応させて、チオール化された糖-担体タンパク質コンジュゲートを生産するステップ;ならびにe)チオール化された糖-担体タンパク質コンジュゲートと、(i)活性化された担体タンパク質の非コンジュゲート化α-ハロアセタミド基をキャッピングすることができる第1のキャッピング試薬;および/または(ii)活性化されたチオール化された糖の非コンジュゲート化遊離スルフヒドリル残基をキャッピングすることができる第2のキャッピング試薬とを反応させるステップを含み、それによって、eTEC結合糖コンジュゲートが生産される、方法を提供する。
【0163】
よくある実施形態では、炭酸誘導体は、1,1’-カルボニル-ジ-(1,2,4-トリアゾール)(CDT)または1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)である。好ましくは、炭酸誘導体はCDTであり、有機溶媒はジメチルスルホキシド(DMSO)などの極性非プロトン性溶媒である。好ましい実施形態では、チオール化された糖は、活性化された糖と、二官能性対称性チオアルキルアミン試薬、シスタミンまたはその塩との反応によって生産される。あるいは、チオール化された糖を、活性化された糖と、システアミンまたはその塩との反応によって形成させることもできる。本発明の方法によって生産されるeTEC結合糖コンジュゲートを、一般式(I)によって表すことができる。
【0164】
よくある実施形態では、第1のキャッピング試薬は、担体タンパク質のリシン残基上の非コンジュゲート化α-ハロアセタミド基と反応して、チオエーテル結合によって活性化されたリシン残基に共有結合するS-カルボキシメチルシステイン(CMC)残基を形成する、N-アセチル-L-システインである。
【0165】
他の実施形態では、第2のキャッピング試薬は、活性化されたチオール化された糖の非コンジュゲート化遊離スルフヒドリル基と反応して、キャッピングされたチオアセタミドを提供するヨードアセタミド(IAA)である。ステップe)は、第1のキャッピング試薬と第2のキャッピング試薬との両方を用いてキャッピングすることを含むことが多い。ある特定の実施形態では、ステップe)は、第1のキャッピング試薬としてのN-アセチル-L-システインおよび第2のキャッピング試薬としてのIAAを用いてキャッピングすることを含む。
【0166】
一部の実施形態では、キャッピングステップe)は、第1および/または第2のキャッピング試薬との反応後に、還元剤、例えば、DTT、TCEP、またはメルカプトエタノールとの反応をさらに含む。
【0167】
本発明のeTEC結合糖コンジュゲートおよび免疫原性組成物は、遊離スルフヒドリル残基を含んでもよい。一部の例では、本明細書に提供される方法によって形成される活性化されたチオール化された糖は、複数の遊離スルフヒドリル残基を含み、その一部は、コンジュゲーションステップ中に担体タンパク質への共有的コンジュゲーションを受けない場合がある。そのような残留する遊離スルフヒドリル残基は、アチオール反応キャッピング試薬、例えば、ヨードアセタミド(IAA)との反応によってキャッピングされ、潜在的に反応性の官能基をキャッピングする。他のチオール反応性キャッピング試薬、例えば、マレイミド含有試薬なども企図される。
【0168】
さらに、本発明のeTEC結合糖コンジュゲートおよび免疫原性組成物は、残留する非コンジュゲート化担体タンパク質を含んでもよく、キャッピングプロセスステップ中に改変を受けた活性化された担体タンパク質を含んでもよい。
【0169】
一部の実施形態では、ステップd)は、活性化されたチオール化された糖と、活性化された担体タンパク質とを反応させる前に、1つまたは複数のα-ハロアセタミド基を含む活性化された担体タンパク質を提供することをさらに含む。よくある実施形態では、活性化された担体タンパク質は、1つまたは複数のα-ブロモアセタミド基を含む。
【0170】
別の態様では、本発明は、本明細書に開示される方法のいずれかに従って生産されたeTECスペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされた本明細書に記載の糖を含むeTEC結合糖コンジュゲートを提供する。
【0171】
一部の実施形態では、担体タンパク質は、CRM197であり、CRM197と多糖との間のeTECスペーサーを介する共有結合は、多糖の4、10、15または25糖反復単位あたり少なくとも1回存在する。
【0172】
本発明の態様のそれぞれ、特に、本明細書に記載の方法および組成物の特定の実施形態について、eTEC結合糖コンジュゲートは、大腸菌(E.coli)に由来する糖などの、本明細書に記載の糖を含む。
【0173】
別の態様では、本発明は、対象における細菌感染、疾患または状態を防止する、処置する、または改善する方法であって、対象に、免疫学的に有効な量の本発明の免疫原性組成物を投与することを含み、前記免疫原性組成物が、本明細書に記載の糖を含むeTEC結合糖コンジュゲートを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)に由来する。
【0174】
一部の実施形態では、eTEC結合糖コンジュゲートは、担体タンパク質と、式O1(例えば、式O1A、式O1B、および式O1C)、式O2、式O3、式O4(例えば、式O4:K52および式O4:K6)、式O5(例えば、式O5abおよび式O5ac(株180/C3))、式O6(例えば、式O6:K2;K13;K15および式O6:K54)、式O7、式O8、式O9、式O10、式O11、式O12、式O13、式O14、式O15、式O16、式O17、式O18(例えば、式O18A、式O18ac、式O18A1、式O18B、および式O18B1)、式O19、式O20、式O21、式O22、式O23(例えば、式O23A)、式O24、式O25(例えば、式O25aおよび式O25b)、式O26、式O27、式O28、式O29、式O30、式O32、式O33、式O34、式O35、式O36、式O37、式O38、式O39、式O40、式O41、式O42、式O43、式O44、式O45(例えば、式O45および式O45rel)、式O46、式O48、式O49、式O50、式O51、式O52、式O53、式O54、式O55、式O56、式O57、式O58、式O59、式O60、式O61、式O62、式O62D1、式O63、式O64、式O65、式O66、式O68、式O69、式O70、式O71、式O73(例えば、式O73(株73-1))、式O74、式O75、式O76、式O77、式O78、式O79、式O80、式O81、式O82、式O83、式O84、式O85、式O86、式O87、式O88、式O89、式O90、式O91、式O92、式O93、式O95、式O96、式O97、式O98、式O99、式O100、式O101、式O102、式O103、式O104、式O105、式O106、式O107、式O108、式O109、式O110、式O111、式O112、式O113、式O114、式O115、式O116、式O117、式O118、式O119、式O120、式O121、式O123、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O129、式O130、式O131、式O132、式O133、式O134、式O135、式O136、式O137、式O138、式O139、式O140、式O141、式O142、式O143、式O144、式O145、式O146、式O147、式O148、式O149、式O150、式O151、式O152、式O153、式O154、式O155、式O156、式O157、式O158、式O159、式O160、式O161、式O162、式O163、式O164、式O165、式O166、式O167、式O168、式O169、式O170、式O171、式O172、式O173、式O174、式O175、式O176、式O177、式O178、式O179、式O180、式O181、式O182、式O183、式O184、式O185、式O186、および式O187のいずれか1つから選択される構造を含む糖とを含む。一部の実施形態では、コンジュゲート中の糖は、nが1~1000、5~1000、好ましくは31~100、より好ましくは35~90、最も好ましくは35~65の整数である式を含む。
【0175】
糖にコンジュゲートされるようになる担体タンパク質中のリシン残基の数を、コンジュゲートされるリシンの範囲として特徴付けることができる。例えば、免疫原性組成物の一部の実施形態では、CRM197は、糖に共有結合した39のうちの4~16個のリシン残基を含んでもよい。このパラメーターを表現するための別の方法は、CRM197リシンの約10%~約41%が糖に共有結合しているというものである。他の実施形態では、CRM197は、糖に共有結合した39のうちの2~20個のリシン残基を含んでもよい。このパラメーターを表現するための別の方法は、CRM197リシンの約5%~約50%が糖に共有結合しているというものである。
【0176】
よくある実施形態では、担体タンパク質は、CRM197であり、CRM197と多糖との間のeTECスペーサーを介する共有結合は、多糖の4、10、15または25糖反復単位あたり少なくとも1回存在する。
【0177】
他の実施形態では、コンジュゲートは、5~10糖反復単位毎に;2~7糖反復単位毎に;3~8糖反復単位毎に;4~9糖反復単位毎に;6~11糖反復単位毎に;7~12糖反復単位毎に;8~13糖反復単位毎に;9~14糖反復単位毎に;10~15糖反復単位毎に;2~6糖反復単位毎に;3~7糖反復単位毎に;4~8糖反復単位毎に;6~10糖反復単位毎に;7~11糖反復単位毎に;8~12糖反復単位毎に;9~13糖反復単位毎に;10~14糖反復単位毎に;10~20糖反復単位毎に;または4~25糖反復単位毎に、担体タンパク質と糖との間に少なくとも1個の共有結合を含む。
【0178】
別の実施形態では、担体タンパク質と糖との間の少なくとも1個の結合は、多糖の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25糖反復単位毎に存在する。
【0179】
担体タンパク質
本発明の糖コンジュゲートの成分は、糖がコンジュゲートされている担体タンパク質である。用語「タンパク質担体」または「担体タンパク質」または「担体」は、本明細書では互換的に使用することができる。担体タンパク質は、標準的なコンジュゲーション手順に適しているべきである。
【0180】
コンジュゲートの1つの成分は、O多糖がコンジュゲートされている担体タンパク質である。一実施形態では、コンジュゲートは、O多糖のコアオリゴ糖にコンジュゲートされた担体タンパク質を含む(
図17を参照されたい)。一実施形態では、コンジュゲートは、O多糖のO抗原にコンジュゲートされた担体タンパク質を含む。
【0181】
用語「タンパク質担体」または「担体タンパク質」または「担体」は、本明細書では互換的に使用することができる。担体タンパク質は、標準的なコンジュゲーション手順に適しているべきである。
【0182】
好ましい実施形態では、コンジュゲートの担体タンパク質は、TT、DT、DT変異体(CRM197など)、ヘモフィルス・インフルエンザ(H.influenzae)タンパク質D、PhtX、PhtD、PhtDE融合物(特に、WO01/98334およびWO03/54007に記載のもの)、解毒されたニューモリシン、PorB、N19タンパク質、PspA、OMPC、クロストリジウム・ディフィシレ(C.difficile)の毒素AまたはBおよびPsaAのいずれか1つから独立に選択される。ある実施形態では、本発明のコンジュゲートの担体タンパク質は、DT(ジフテリアトキソイド)である。別の実施形態では、本発明のコンジュゲートの担体タンパク質は、TT(破傷風トキソイド)である。別の実施形態では、本発明のコンジュゲートの担体タンパク質は、PD(ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)タンパク質D-例えば、EP0594610Bを参照されたい)である。
【0183】
好ましい実施形態では、糖は、CRM197タンパク質にコンジュゲートされる。CRM197タンパク質は、ジフテリア毒素の非毒性形態であるが、ジフテリア毒素と免疫学的に識別不可能である。CRM197は、毒素産生コリネファージベータのニトロソグアニジン突然変異誘発によって作出された非毒素産生ファージβ197tox-によって感染したクロストリジウム・ディフィシレ(C.difficile)によって産生される。CRM197タンパク質は、ジフテリア毒素と同じ分子量を有するが、構造遺伝子中の単一の塩基変化(グアニンからアデニンへの)によってそれと異なる。この単一の塩基変化は、成熟タンパク質中のアミノ酸置換(グルタミン酸からグリシンへの)を引き起こし、ジフテリア毒素の有毒性を除去する。CRM197タンパク質は、糖のための安全かつ有効なT細胞依存的担体である。
【0184】
したがって、一部の実施形態では、本発明のコンジュゲートは、糖がCRM197に共有結合している、担体タンパク質としてCRM197を含む。
【0185】
好ましい実施形態では、糖コンジュゲートの担体タンパク質は、DT(ジフテリア毒素)、TT(破傷風トキソイド)またはTTの断片C、CRM197(ジフテリア毒素の非毒性的であるが、抗原的に同一のバリアント)、他のDT変異体(CRM176、CRM228、CRM45(Uchidaら、J.Biol.Chem.218:3838~3844、1973)、CRM9、CRM45、CRM102、CRM103またはCRM107;ならびにNichollsおよびYoule in Genetically Engineered Toxins、Ed:Frankel、Maecel Dekker Inc.1992により記載された他の突然変異;Glu-148からAsp、GlnもしくはSerおよび/またはAla158からGlyへの欠失または突然変異ならびに米国特許第4,709,017号および第4,950,740号に開示された他の突然変異;Lys516、Lys526、Phe530および/またはLys534の少なくとも1つまたは複数の残基の突然変異ならびに米国特許第5,917,017号もしくは第6,455,673号に開示された他の突然変異;または米国特許第5,843,711号に開示された断片)、一部の様式で解毒されたply、例えば、dPLY-GMBS(WO04081515、PCT/EP2005/010258)またはdPLY-ホルモル、PhtA、PhtB、PhtD、PhtEを含むPhtX(PhtA、PhtB、PhtDまたはPhtEの配列は、WO00/37105もしくはWO00/39299に開示されている)およびPhtタンパク質の融合物、例えば、PhtDE融合物、PhtBE融合物、PhtA-E(WO01/98334、WO03/54007、WO2009/000826)を含む、肺炎球菌ニューモリシン(Kuoら(1995)Infect lmmun 63:2706~13)、OMPC(通常、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清群Bから抽出される髄膜炎菌外膜タンパク質-EP0372501)、PorB(髄膜炎菌(N.meningitidis)由来)、PD(ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)タンパク質D;例えば、EP0594610Bを参照されたい)、またはその免疫学的機能等価物、合成ペプチド(EP0378881、EP0427347)、熱ショックタンパク質(WO93/17712、WO94/03208)、百日咳タンパク質(WO98/58668、EP0471177)、サイトカイン、リンホカイン、増殖因子またはホルモン(WO91/01146)、様々な病原体由来抗原に由来する複数のヒトCD4+T細胞エピトープを含む人工タンパク質(Falugiら(2001)Eur J Immunol 31:3816~3824)、例えば、N19タンパク質(Baraldoiら(2004)Infect lmmun 72:4884~7)、肺炎球菌表面タンパク質PspA(WO02/091998)、鉄取込みタンパク質(WO01/72337)、クロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium difficile)の毒素AまたはB(WO00/61761)、トランスフェリン結合タンパク質、肺炎球菌接着タンパク質(PsaA)、組換え緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)外毒素A(特に、その非毒性変異体(グルタミン酸553に置換を担持する外毒素Aなど(Uchida Cameron DM、RJ Collier.1987、J.Bacteriol.169:4967~4971))からなる群から選択される。オブアルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)またはツベルクリンの精製されたタンパク質誘導体(PPD)などの他のタンパク質も、担体タンパク質として使用することができる。他の好適な担体タンパク質としては、コレラトキソイド(例えば、国際特許出願WO2004/083251に記載されている)、大腸菌(E.coli)LT、大腸菌(E.coli)ST、および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に由来する外毒素Aなどの不活化細菌毒素が挙げられる。
【0186】
一部の実施形態では、担体タンパク質は、例えば、CRM197、ジフテリア毒素断片B(DTFB)、DTFB C8、ジフテリアトキソイド(DT)、破傷風トキソイド(TT)、TTの断片C、百日咳トキソイド、コレラトキソイド、または緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に由来する外毒素A;緑膿菌(P.aeruginosa)の解毒された外毒素A(EPA)、マルトース結合タンパク質(MBP)、フラゲリン、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の解毒された溶血素A、クランピング因子A、クランピング因子B、コレラ毒素Bサブユニット(CTB)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)ニューモリシンおよびその解毒されたバリアント、カンピロバクター・ジェジュニ(C.jejuni)AcrA、ならびにカンピロバクター・ジェジュニ(C.jejuni)天然糖タンパク質のいずれか1つから選択される。一実施形態では、担体タンパク質は、解毒されたシュードモナス(Pseudomonas)外毒素(EPA)である。別の実施形態では、担体タンパク質は、解毒されたシュードモナス(Pseudomonas)外毒素(EPA)ではない。一実施形態では、担体タンパク質は、フラゲリンである。別の実施形態では、担体タンパク質は、フラゲリンではない。
【0187】
好ましい実施形態では、糖コンジュゲートの担体タンパク質は、TT、DT、DT変異体(CRM197など)、ヘモフィルス・インフルエンザ(H.influenzae)タンパク質D、PhtX、PhtD、PhtDE融合物(特に、WO01/98334およびWO03/54007に記載のもの)、解毒されたニューモリシン、PorB、N19タンパク質、PspA、OMPC、クロストリジウム・ディフィシレ(C.difficile)の毒素AまたはBおよびPsaAからなる群から独立に選択される。ある実施形態では、本発明の糖コンジュゲートの担体タンパク質は、DT(ジフテリアトキソイド)である。別の実施形態では、本発明の糖コンジュゲートの担体タンパク質は、TT(破傷風トキソイド)である。別の実施形態では、本発明の糖コンジュゲートの担体タンパク質は、PD(ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)タンパク質D-例えば、EP0594610Bを参照されたい)である。
【0188】
好ましい実施形態では、本発明の莢膜糖は、CRM197タンパク質にコンジュゲートされる。CRM197タンパク質は、ジフテリア毒素の非毒性形態であるが、ジフテリア毒素と免疫学的に識別不可能である。CRM197は、毒素産生コリネファージベータ(Uchida、T.ら、1971、Nature New Biology 233:8~11)のニトロソグアニジン突然変異誘発によって創出された非毒素産生ファージβ197tox-により感染したコリネバクテリウム・ジフテリア(C.diphtheriae)によって産生される。CRM197タンパク質は、ジフテリア毒素と同じ分子量を有するが、構造遺伝子中の単一の塩基変化(グアニンからアデニンへの)によってそれと異なる。この単一の塩基変化は、成熟タンパク質中のアミノ酸置換(グルタミン酸からグリシンへの)を引き起こし、ジフテリア毒素の有毒性を除去する。CRM197タンパク質は、糖のための安全かつ有効なT細胞依存的担体である。CRM197およびその産生に関するさらなる詳細は、例えば、米国特許第5,614,382号に見出すことができる。
【0189】
したがって、よくある実施形態では、本発明の糖コンジュゲートは、莢膜多糖がCRM197に共有結合している、担体タンパク質としてCRM197を含む。
【0190】
組成物およびワクチン
本発明者らはさらに、少なくとも1つの上記の糖を含む組成物および少なくとも1つの上記コンジュゲートを含む組成物を発見した。1つの好ましい実施形態では、組成物は、免疫原性組成物である。別の実施形態では、組成物は、ワクチンである。
【0191】
一態様では、免疫原性組成物は、本明細書に開示される糖のいずれかを含む。好ましい態様では、免疫原性組成物は、本明細書に開示されるコンジュゲートのいずれか1つを含む。
【0192】
一実施形態では、免疫原性組成物は、大腸菌(E.coli)血清型O25、好ましくは、血清型O25bに由来する少なくとも1つの糖コンジュゲートを含む。一実施形態では、免疫原性組成物は、大腸菌(E.coli)血清型O1、好ましくは、血清型O1aに由来する少なくとも1つの糖コンジュゲートを含む。一実施形態では、免疫原性組成物は、大腸菌(E.coli)血清型O2に由来する少なくとも1つの糖コンジュゲートを含む。一実施形態では、免疫原性組成物は、大腸菌(E.coli)血清型O6に由来する少なくとも1つの糖コンジュゲートを含む。
【0193】
一実施形態では、免疫原性組成物は、以下の大腸菌(E.coli)血清型O25、O1、O2、およびO6、好ましくはO25b、O1a、O2、およびO6のいずれか1つから選択される少なくとも1つの糖コンジュゲートを含む。一実施形態では、免疫原性組成物は、以下の大腸菌(E.coli)血清型O25、O1、O2、およびO6、好ましくはO25b、O1a、O2、およびO6のいずれか1つから選択される少なくとも2つの糖コンジュゲートを含む。一実施形態では、免疫原性組成物は、以下の大腸菌(E.coli)血清型O25、O1、O2、およびO6、好ましくはO25b、O1a、O2、およびO6のいずれか1つから選択される少なくとも3つの糖コンジュゲートを含む。一実施形態では、免疫原性組成物は、以下の大腸菌(E.coli)血清型O25、O1、O2、およびO6、好ましくはO25b、O1a、O2、およびO6のそれぞれに由来する糖コンジュゲートを含む。
【0194】
好ましい実施形態では、上記免疫原性組成物のいずれかの糖コンジュゲートを、個別にCRM197にコンジュゲートする。
【0195】
したがって、組成物は、少なくとも1種の大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。好ましい実施形態では、組成物は、1種より多い大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。例えば、組成物は、2種の異なる大腸菌(E.coli)血清型(または「v」、価数)から12種の異なる血清型(12v)までのO抗原を含んでもよい。一実施形態では、組成物は、3種の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、4種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、5種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、6種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、7種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、8種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、9種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、10種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、11種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、12種の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、13種の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、14種の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、15種の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、16種の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、17種の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、18種の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、19種の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、20種の異なる血清型に由来するO抗原を含む。
【0196】
好ましくは、大腸菌(E.coli)糖の数は、1種の血清型(または「v」、価数)から26種の異なる血清型(26v)までの範囲であってよい。一実施形態では、1種の血清型が存在する。一実施形態では、2種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、3種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、4種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、5種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、6種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、7種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、8種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、9種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、10種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、11種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、12種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、13種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、14種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、15種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、16種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、17種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、18種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、19種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、20種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、21種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、22種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、23種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、24種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、25種の異なる血清型が存在する。一実施形態では、26種の異なる血清型が存在する。糖を担体タンパク質にコンジュゲートして、本明細書に記載の糖コンジュゲートを形成させる。
【0197】
一態様では、組成物は、O抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、少なくとも1種の大腸菌(E.coli)血清群に由来するO抗原を含む糖コンジュゲートを含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、1種より多い大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、3種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、4種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、5種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、6種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、7種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、8種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、9種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、10種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、11種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、12種の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、13種の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、14種の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、15種の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、16種の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、17種の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、18種の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、19種の異なる血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO抗原が担体タンパク質にコンジュゲートされた、20種の異なる血清型に由来するO抗原を含む。
【0198】
別の態様では、組成物は、少なくとも1種の大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。好ましい実施形態では、組成物は、1種より多い大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。例えば、組成物は、2種の異なる大腸菌(E.coli)血清型から12種の異なる大腸菌(E.coli)血清型までのO多糖を含んでもよい。一実施形態では、組成物は、3種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、4種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、5種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、6種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、7種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、8種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、9種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、10種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、11種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、12種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、13種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、14種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、15種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、16種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、17種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、18種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、19種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、20種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。
【0199】
好ましい実施形態では、組成物は、O多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、少なくとも1種の大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。好ましい実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、1種より多い大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。例えば、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、2種の異なる大腸菌(E.coli)血清型から12種の異なる大腸菌(E.coli)血清型までのO多糖を含んでもよい。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、3種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、4種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、5種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、6種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、7種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、8種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、9種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、10種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、11種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、12種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、13種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、14種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、15種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、16種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、17種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、18種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、19種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされた、20種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。
【0200】
最も好ましい実施形態では、組成物は、O多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、少なくとも1種の大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。好ましい実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、1種より多い大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。例えば、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、2種の異なる大腸菌(E.coli)血清型から12種の異なる大腸菌(E.coli)血清型までのO多糖を含んでもよい。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、3種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、4種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、5種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、6種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、7種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、8種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、9種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、10種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、11種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、12種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、13種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、14種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、15種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、16種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、17種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、18種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、19種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖が担体タンパク質にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、20種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。好ましい実施形態では、担体タンパク質は、CRM197である。
【0201】
別の好ましい実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O25a(式中、nは少なくとも40である)と、コア糖とを含むO多糖を含む。好ましい実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O25b(式中、nは少なくとも40である)と、コア糖とを含むO多糖をさらに含む。別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O1a(式中、nは少なくとも40である)と、コア糖とを含むO多糖をさらに含む。別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O2(式中、nは少なくとも40である)と、コア糖とを含むO多糖をさらに含む。別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O6(式中、nは少なくとも40である)と、コア糖とを含むO多糖をさらに含む。
【0202】
別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O17(式中、nは少なくとも40である)と、コア糖とを含むO多糖をさらに含む。別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O15(式中、nは少なくとも40である)と、コア糖とを含むO多糖をさらに含む。別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O18A(式中、nは少なくとも40である)と、コア糖とを含むO多糖をさらに含む。別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O75(式中、nは少なくとも40である)と、コア糖とを含むO多糖をさらに含む。別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O4(式中、nは少なくとも40である)と、コア糖とを含むO多糖をさらに含む。別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O16(式中、nは少なくとも40である)と、コア糖とを含むO多糖をさらに含む。別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O13(式中、nは少なくとも40である)と、コア糖とを含むO多糖をさらに含む。別の実施形態では、組成物は、CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O7(式中、nは少なくとも40である)と、コア糖とを含むO多糖をさらに含む。
【0203】
別の実施形態では、組成物は、CRM
197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O8(式中、nは少なくとも40である)と、コア糖とを含むO多糖をさらに含む。別の実施形態では、O多糖は、式O8(式中、nは1~20、好ましくは2~5、より好ましくは3である)を含む。式O8は、例えば、
図10Bに示される。別の実施形態では、組成物は、CRM
197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O9(式中、nは少なくとも40である)と、コア糖とを含むO多糖をさらに含む。別の実施形態では、O多糖は、式O9(式中、nは1~20、好ましくは4~8、より好ましくは5である)を含む。式O9は、例えば、
図10Bに示される。別の実施形態では、O多糖は、式O9a(式中、nは1~20、好ましくは4~8、より好ましくは5である)を含む。式O9aは、例えば、
図10Bに示される。
【0204】
一部の実施形態では、O多糖は、式O20ab、式O20ac、式O52、式O97、および式O101(式中、nは1~20、好ましくは4~8、より好ましくは5である)のいずれか1つから選択される。例えば、
図10Bを参照されたい。
【0205】
上記のように、組成物は、コンジュゲート化O多糖(抗原)の任意の組合せを含んでもよい。1つの例示的な実施形態では、組成物は、式O25bを含む多糖、式O1Aを含む多糖、式O2を含む多糖、および式O6を含む多糖を含む。より具体的には、そのような組成物は、(i)CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O25b(式中、nは少なくとも40である)とコア糖とを含むO多糖;(ii)CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O1a(式中、nは少なくとも40である)とコア糖とを含むO多糖;(iii)CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O2(式中、nは少なくとも40である)とコア糖とを含むO多糖;および(iv)CRM197にコンジュゲートされたO多糖であって、式O6(式中、nは少なくとも40である)とコア糖とを含むO多糖を含む。
【0206】
一実施形態では、組成物は、血清型がO25aではない、任意の大腸菌(E.coli)血清型に由来する少なくとも1つのO多糖を含む。例えば、一実施形態では、組成物は、式O25aを含む糖を含まない。そのような組成物は、例えば、式O25bを含むO多糖、式O1Aを含むO多糖、式O2を含むO多糖、および式O6を含むO多糖を含んでもよい。
【0207】
一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、2種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、3種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、4種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、5種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、6種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、7種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、8種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、9種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、10種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、11種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、12種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、13種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、14種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、15種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、16種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、17種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、18種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、19種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのO多糖がCRM197にコンジュゲートされ、O多糖がO抗原とコア糖とを含む、20種の異なる血清型に由来するO多糖を含む。
【0208】
一態様では、本発明は、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートを含む組成物であって、糖が式O25b(式中、nは15±2である)を含む、組成物に関する。一態様では、本発明は、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートを含む組成物であって、糖が式O25b(式中、nは17±2である)を含む、組成物に関する。一態様では、本発明は、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートを含む組成物であって、糖が式O25b(式中、nは55±2である)を含む、組成物に関する。別の態様では、本発明は、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートを含む組成物であって、糖が式O25b(式中、nは51±2である)を含む、組成物に関する。一実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)R1コア糖部分をさらに含む。別の実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)K12コア糖部分をさらに含む。別の実施形態では、糖は、KDO部分をさらに含む。好ましくは、担体タンパク質は、CRM197である。一実施形態では、コンジュゲートは、単一末端結合コンジュゲーションによって調製される。一実施形態では、コンジュゲートは、好ましくはDMSO緩衝剤中での還元的アミノ化化学反応によって調製される。一実施形態では、糖は、(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされる。好ましくは、組成物は、薬学的に許容できる希釈剤をさらに含む。
【0209】
一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいてIgG抗体を惹起し、前記抗体は、ELISAアッセイによって決定される場合、少なくとも0.2pg/ml、0.3pg/ml、0.35pg/ml、0.4pg/mlまたは0.5pg/mlの濃度で大腸菌(E.coli)血清型O25B多糖に結合することができる。したがって、本発明の免疫原性組成物を用いた免疫前および免疫後の血清のOPA活性の比較を行い、血清型O25Bに対するそれらの応答について比較して、応答者の増加の可能性を評価することができる。一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいてIgG抗体を惹起し、前記抗体は、in vitroオプソニン貪食作用アッセイによって決定される場合、大腸菌(E.coli)血清型O25Bを殺傷することができる。一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいて機能的抗体を惹起し、前記抗体は、in vitroオプソニン貪食作用アッセイによって決定される場合、大腸菌(E.coli)血清型O25Bを殺傷することができる。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O25Bに対する応答者(すなわち、in vitro
OPAによって決定された場合、少なくとも1:8の力価を有する血清を有する個体)の割合を増大させる。一実施形態では、免疫原性組成物は、in vitroオプソニン貪食作用殺傷アッセイによって決定された場合、少なくとも50%の対象において大腸菌(E.coli)血清型O25Bに対する少なくとも1:8の力価を惹起する。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、in vitroオプソニン貪食作用殺傷アッセイによって決定された場合、少なくとも60%、70%、80%、または少なくとも90%の対象において大腸菌(E.coli)血清型O25Bに対する少なくとも1:8の力価を惹起する。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O25Bに対する応答者(すなわち、in vitro
OPAによって決定された場合、少なくとも1:8の力価を有する血清を有する個体)の割合を有意に増大させる。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O25Bに対するヒト対象のOPA力価を有意に増大させる。
【0210】
一態様では、本発明は、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートを含む組成物であって、糖が式O1a(式中、nは39±2である)を含む、組成物に関する。別の態様では、本発明は、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートを含む組成物であって、糖が式O1a(式中、nは13±2である)を含む、組成物に関する。一実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)R1コア糖部分をさらに含む。一実施形態では、糖は、KDO部分をさらに含む。好ましくは、担体タンパク質は、CRM197である。一実施形態では、コンジュゲートは、単一末端結合コンジュゲーションによって調製される。一実施形態では、コンジュゲートは、好ましくはDMSO緩衝剤中での還元的アミノ化化学反応によって調製される。一実施形態では、糖は、(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされる。好ましくは、組成物は、薬学的に許容できる希釈剤をさらに含む。
【0211】
一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいてIgG抗体を惹起し、前記抗体は、ELISAアッセイによって決定される場合、少なくとも0.2pg/ml、0.3pg/ml、0.35pg/ml、0.4pg/mlまたは0.5pg/mlの濃度で大腸菌(E.coli)血清型O1A多糖に結合することができる。したがって、本発明の免疫原性組成物を用いた免疫前および免疫後の血清のOPA活性の比較を行い、血清型O1Aに対するそれらの応答について比較して、応答者の増加の可能性を評価することができる。一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいてIgG抗体を惹起し、前記抗体は、in vitroオプソニン貪食作用アッセイによって決定される場合、大腸菌(E.coli)血清型O1Aを殺傷することができる。一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいて機能的抗体を惹起し、前記抗体は、in vitroオプソニン貪食作用アッセイによって決定される場合、大腸菌(E.coli)血清型O1Aを殺傷することができる。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O1Aに対する応答者(すなわち、in vitro
OPAによって決定された場合、少なくとも1:8の力価を有する血清を有する個体)の割合を増大させる。一実施形態では、免疫原性組成物は、in vitroオプソニン貪食作用殺傷アッセイによって決定された場合、少なくとも50%の対象において大腸菌(E.coli)血清型O1Aに対する少なくとも1:8の力価を惹起する。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、in vitroオプソニン貪食作用殺傷アッセイによって決定された場合、少なくとも60%、70%、80%、または少なくとも90%の対象において大腸菌(E.coli)血清型O1Aに対する少なくとも1:8の力価を惹起する。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O1Aに対する応答者(すなわち、in vitro
OPAによって決定された場合、少なくとも1:8の力価を有する血清を有する個体)の割合を有意に増大させる。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O1Aに対するヒト対象のOPA力価を有意に増大させる。
【0212】
一態様では、本発明は、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートを含む組成物であって、糖が式O2(式中、nは43±2である)を含む、組成物に関する。別の態様では、本発明は、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートを含む組成物であって、糖が式O2(式中、nは47±2である)を含む、組成物に関する。別の態様では、本発明は、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートを含む組成物であって、糖が式O2(式中、nは17±2である)を含む、組成物に関する。別の態様では、本発明は、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートを含む組成物であって、糖が式O2(式中、nは18±2である)を含む、組成物に関する。一実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)R1コア糖部分をさらに含む。別の実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)R4コア糖部分をさらに含む。別の実施形態では、糖は、KDO部分をさらに含む。好ましくは、担体タンパク質は、CRM197である。一実施形態では、コンジュゲートは、単一末端結合コンジュゲーションによって調製される。一実施形態では、コンジュゲートは、好ましくはDMSO緩衝剤中での還元的アミノ化化学反応によって調製される。一実施形態では、糖は、(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされる。好ましくは、組成物は、薬学的に許容できる希釈剤をさらに含む。
【0213】
一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいてIgG抗体を惹起し、前記抗体は、ELISAアッセイによって決定される場合、少なくとも0.2pg/ml、0.3pg/ml、0.35pg/ml、0.4pg/mlまたは0.5pg/mlの濃度で大腸菌(E.coli)血清型O2多糖に結合することができる。したがって、本発明の免疫原性組成物を用いた免疫前および免疫後の血清のOPA活性の比較を行い、血清型O2に対するそれらの応答について比較して、応答者の増加の可能性を評価することができる。一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいてIgG抗体を惹起し、前記抗体は、in vitroオプソニン貪食作用アッセイによって決定される場合、大腸菌(E.coli)血清型O2を殺傷することができる。一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいて機能的抗体を惹起し、前記抗体は、in vitroオプソニン貪食作用アッセイによって決定される場合、大腸菌(E.coli)血清型O2を殺傷することができる。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O2に対する応答者(すなわち、in vitro
OPAによって決定された場合、少なくとも1:8の力価を有する血清を有する個体)の割合を増大させる。一実施形態では、免疫原性組成物は、in vitroオプソニン貪食作用殺傷アッセイによって決定された場合、少なくとも50%の対象において大腸菌(E.coli)血清型O2に対する少なくとも1:8の力価を惹起する。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、in vitroオプソニン貪食作用殺傷アッセイによって決定された場合、少なくとも60%、70%、80%、または少なくとも90%の対象において大腸菌(E.coli)血清型O2に対する少なくとも1:8の力価を惹起する。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O2に対する応答者(すなわち、in vitro
OPAによって決定された場合、少なくとも1:8の力価を有する血清を有する個体)の割合を有意に増大させる。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O2に対するヒト対象のOPA力価を有意に増大させる。
【0214】
一態様では、本発明は、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートを含む組成物であって、糖が式O6(式中、nは42±2である)を含む、組成物に関する。別の態様では、本発明は、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートを含む組成物であって、糖が式O6(式中、nは50±2である)を含む、組成物に関する。別の態様では、本発明は、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートを含む組成物であって、糖が式O6(式中、nは17±2である)を含む、組成物に関する。別の態様では、本発明は、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートを含む組成物であって、糖が式O6(式中、nは18±2である)を含む、組成物に関する。一実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)R1コア糖部分をさらに含む。一実施形態では、糖は、KDO部分をさらに含む。好ましくは、担体タンパク質は、CRM197である。一実施形態では、コンジュゲートは、単一末端結合コンジュゲーションによって調製される。一実施形態では、コンジュゲートは、好ましくはDMSO緩衝剤中での還元的アミノ化化学反応によって調製される。一実施形態では、糖は、(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされる。好ましくは、組成物は、薬学的に許容できる希釈剤をさらに含む。
【0215】
一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいてIgG抗体を惹起し、前記抗体は、ELISAアッセイによって決定される場合、少なくとも0.2pg/ml、0.3pg/ml、0.35pg/ml、0.4pg/mlまたは0.5pg/mlの濃度で大腸菌(E.coli)血清型O6多糖に結合することができる。したがって、本発明の免疫原性組成物を用いた免疫前および免疫後の血清のOPA活性の比較を行い、血清型O6に対するそれらの応答について比較して、応答者の増加の可能性を評価することができる。一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいてIgG抗体を惹起し、前記抗体は、in vitroオプソニン貪食作用アッセイによって決定される場合、大腸菌(E.coli)血清型O6を殺傷することができる。一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいて機能的抗体を惹起し、前記抗体は、in vitroオプソニン貪食作用アッセイによって決定される場合、大腸菌(E.coli)血清型O6を殺傷することができる。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O6に対する応答者(すなわち、in vitro
OPAによって決定された場合、少なくとも1:8の力価を有する血清を有する個体)の割合を増大させる。一実施形態では、免疫原性組成物は、in vitroオプソニン貪食作用殺傷アッセイによって決定された場合、少なくとも50%の対象において大腸菌(E.coli)血清型O6に対する少なくとも1:8の力価を惹起する。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、in vitroオプソニン貪食作用殺傷アッセイによって決定された場合、少なくとも60%、70%、80%、または少なくとも90%の対象において大腸菌(E.coli)血清型O6に対する少なくとも1:8の力価を惹起する。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O6に対する応答者(すなわち、in vitro
OPAによって決定された場合、少なくとも1:8の力価を有する血清を有する個体)の割合を有意に増大させる。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O6に対するヒト対象のOPA力価を有意に増大させる。
【0216】
一態様では、組成物は、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートであって、糖が式O1(例えば、式O1A、式O1B、および式O1C)、式O2、式O3、式O4(例えば、式O4:K52および式O4:K6)、式O5(例えば、式O5abおよび式O5ac(株180/C3))、式O6(例えば、式O6:K2;K13;K15および式O6:K54)、式O7、式O8、式O9、式O10、式O11、式O12、式O13、式O14、式O15、式O16、式O17、式O18(例えば、式O18A、式O18ac、式O18A1、式O18B、および式O18B1)、式O19、式O20、式O21、式O22、式O23(例えば、式O23A)、式O24、式O25(例えば、式O25aおよび式O25b)、式O26、式O27、式O28、式O29、式O30、式O32、式O33、式O34、式O35、式O36、式O37、式O38、式O39、式O40、式O41、式O42、式O43、式O44、式O45(例えば、式O45および式O45rel)、式O46、式O48、式O49、式O50、式O51、式O52、式O53、式O54、式O55、式O56、式O57、式O58、式O59、式O60、式O61、式O62、式O62D1、式O63、式O64、式O65、式O66、式O68、式O69、式O70、式O71、式O73(例えば、式O73(株73-1))、式O74、式O75、式O76、式O77、式O78、式O79、式O80、式O81、式O82、式O83、式O84、式O85、式O86、式O87、式O88、式O89、式O90、式O91、式O92、式O93、式O95、式O96、式O97、式O98、式O99、式O100、式O101、式O102、式O103、式O104、式O105、式O106、式O107、式O108、式O109、式O110、式O111、式O112、式O113、式O114、式O115、式O116、式O117、式O118、式O119、式O120、式O121、式O123、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O129、式O130、式O131、式O132、式O133、式O134、式O135、式O136、式O137、式O138、式O139、式O140、式O141、式O142、式O143、式O144、式O145、式O146、式O147、式O148、式O149、式O150、式O151、式O152、式O153、式O154、式O155、式O156、式O157、式O158、式O159、式O160、式O161、式O162、式O163、式O164、式O165、式O166、式O167、式O168、式O169、式O170、式O171、式O172、式O173、式O174、式O175、式O176、式O177、式O178、式O179、式O180、式O181、式O182、式O183、式O184、式O185、式O186、および式O187(式中、nは1~100の整数である)のいずれか1つから選択される構造を含む、コンジュゲートを含む。一実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)R1コア糖部分をさらに含む。一実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)R2コア糖部分をさらに含む。一実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)R3コア糖部分をさらに含む。別の実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)R4コア糖部分をさらに含む。一実施形態では、糖は、大腸菌(E.coli)K12コア糖部分をさらに含む。別の実施形態では、糖は、KDO部分をさらに含む。好ましくは、担体タンパク質は、CRM197である。一実施形態では、コンジュゲートは、単一末端結合コンジュゲーションによって調製される。一実施形態では、コンジュゲートは、好ましくはDMSO緩衝剤中での還元的アミノ化化学反応によって調製される。一実施形態では、糖は、(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされる。好ましくは、組成物は、薬学的に許容できる希釈剤をさらに含む。一実施形態では、組成物は、それぞれのコンジュゲートが担体タンパク質に共有結合した糖を含み、糖が前記式のいずれか1つから選択される構造を含む、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29のさらなるコンジュゲートから、最大でも30のさらなるコンジュゲートをさらに含む。
【0217】
組成物の投与量
各用量中の糖コンジュゲートの量は、典型的なワクチンにおいて有意で有害な副作用なしに免疫保護応答を誘導する量として選択される。そのような量は、どの特定の免疫原が用いられ、およびそれがどのように提供されるかに応じて変化するであろう。
【0218】
免疫原性組成物中の特定の糖コンジュゲートの量を、そのコンジュゲート(コンジュゲート化および非コンジュゲート化)に関する全多糖に基づいて算出することができる。例えば、20%遊離多糖を含む糖コンジュゲートは、100gの多糖用量中に約80gのコンジュゲート化多糖と、約20gの非コンジュゲート化多糖を有するであろう。糖コンジュゲートの量は、大腸菌(E.coli)血清型に応じて変化し得る。糖濃度は、ウロン酸アッセイによって決定することができる。
【0219】
免疫原性組成物中の異なる多糖成分の「免疫原性量」は異なっていてもよく、それぞれ、約1.0g、約2.0g、約3.0g、約4.0g、約5.0g、約6.0g、約7.0g、約8.0g、約9.0g、約10.0g、約15.0g、約20.0g、約30.0g、約40.0pg、約50.0pg、約60.0pg、約70.0pg、約80.0pg、約90.0pg、または約100.0gの任意の特定の多糖抗原を含んでもよい。一般に、それぞれの用量は、所与の血清型について、0.1g~100g、特に、0.5g~20g、より特には、1g~10g、さらにより特には、2g~5gの多糖を含むであろう。上記の範囲のいずれかの中の任意の全整数が、本開示の実施形態として企図される。一実施形態では、それぞれの用量は、所与の血清型について、1g、2g、3g、4g、5g、6g、7g、8g、9g、10g、15gまたは20gの多糖を含むであろう。
【0220】
担体タンパク質量。一般に、それぞれの用量は、5g~150gの担体タンパク質、特に、10g~100gの担体タンパク質、より特には、15g~100gの担体タンパク質、より特には、25~75gの担体タンパク質、より特には、30g~70gの担体タンパク質、より特には、30~60gの担体タンパク質、より特には、30g~50gの担体タンパク質、さらにより特には、40~60gの担体タンパク質を含むであろう。一実施形態では、前記担体タンパク質は、CRM197である。一実施形態では、それぞれの用量は、約25g、約26g、約27g、約28g、約29g、約30g、約31g、約32g、約33g、約34g、約35g、約36g、約37g、約38g、約39g、約40g、約41g、約42g、約43g、約44g、約45g、約46g、約47g、約48g、約49g、約50g、約51g、約52g、約53g、約54g、約55g、約56g、約57g、約58g、約59g、約60g、約61g、約62g、約63g、約64g、約65g、約66g、約67g、68g、約69g、約70g、約71g、約72g、約73g、約74gまたは約75gの担体タンパク質を含むであろう。一実施形態では、前記担体タンパク質は、CRM197である。
【0221】
アジュバント
一部の実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、少なくとも1、2または3つのアジュバントをさらに含んでもよい。用語「アジュバント」とは、抗原に対する免疫応答を増強する化合物または混合物を指す。抗原は、主に送達系として、主に免疫モジュレーターとして作用するか、または両方の強力な特徴を有してもよい。好適なアジュバントとしては、ヒトを含む哺乳動物中での使用にとって好適なものが挙げられる。
【0222】
ヒトにおいて使用することができる公知の好適な送達系型アジュバントの例としては、限定されるものではないが、ミョウバン(例えば、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウム)、リン酸カルシウム、リポソーム、MF59(4.3%w/vスクアレン、0.5%w/vポリソルベート80(Tween80)、0.5%w/vソルビタントリオレエート(Span85))などの水中油エマルジョン、モンタニドなどの油中水エマルジョン、およびポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)(PLG)マイクロ粒子またはナノ粒子が挙げられる。
【0223】
ある実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、アジュバントとしてアルミニウム塩(ミョウバン)(例えば、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウム)を含む。好ましい実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、アジュバントとしてリン酸アルミニウムまたは水酸化アルミニウムを含む。ある実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、リン酸アルミニウムの形態で、0.1mg/mL~1mg/mLまたは0.2mg/mL~0.3mg/mLのアルミニウム元素を含む。ある実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、リン酸アルミニウムの形態で約0.25mg/mLのアルミニウム元素を含む。ヒトにおいて使用することができる公知の好適な免疫調節型アジュバントの例としては、限定されるものではないが、アクイラ(Aquilla)樹皮からのサポニン抽出物(QS21、QuilA)、MPL(モノホスホリルリピドA)、3DMPL(3-O-脱アシル化MPL)またはGLA-AQなどのTLR4アゴニスト、LT/CT突然変異体、種々のインターロイキン(例えば、IL-2、IL-12)またはGM-CSFなどのサイトカイン、AS01などが挙げられる。
【0224】
ヒトにおいて使用することができる送達特性と免疫調節特性との両方を示す公知の好適な免疫調節型アジュバントの例としては、限定されるものではないが、ISCOMS(例えば、Sjolanderら(1998)J.Leukocyte Biol.64:713;WO90/03184、WO96/11711、WO00/48630、WO98/36772、WO00/41720、WO2006/134423およびWO2007/026190を参照されたい)またはTLR4アゴニストと水中油エマルジョンとの組合せであるGLA-EMが挙げられる。
【0225】
限定されるものではないが、動物実験などの獣医学的適用のために、当業者であれば、Freundの完全アジュバント(CFA)、Freundの不完全アジュバント(IFA)、Emulsigen、N-アセチル-ムラミル-L-トレオニル-D-イソグルタミン(thr-MDP)、N-アセチル-ノル-ムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(CGP 11637、ノル-MDPと称される)、N-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミニル-L-アラニン-2-(1’-2’-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリルオキシ)-エチルアミン(CGP19835A、MTP-PEと称される)、および2%スクアレン/Tween80エマルジョン中に細菌から抽出される3つの成分、モノホスホリルリピドA、トレハロースジミコレートおよび細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS)を含有する、RIBIを使用することができる。
【0226】
本明細書に開示される免疫原性組成物の有効性を増強するためのさらなる例示的なアジュバントとしては、限定されるものではないが、(1)例えば、(a)10%スクアラン、0.4%Tween80、5%プルロニック遮断ポリマーL121、およびマイクロメートル以下のエマルジョンにマイクロ流体化された、またはより大きい粒径のエマルジョンを生成するためにボルテックスされたthr-MDPを含有するSAF、ならびに(b)2%スクアレン、0.2%Tween80、およびモノホスホリルリピドA(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)、好ましくは、MPL+CWS(DETOX(商標))などの1つまたは複数の細菌細胞壁成分を含有するRIBI(商標)アジュバント系(RAS)(Ribi Immunochem、Hamilton、Mont.)などの、水中油エマルジョン製剤(ムラミルペプチド(以下を参照されたい)または細菌細胞壁成分などの他の特定の免疫刺激剤を含む、または含まない);(2)QS21、STIMULON(商標)(Cambridge Bioscience、Worcester、Mass.)、ABISCO(登録商標)(Isconova、Sweden)、または使用することができるISCOMATRIX(登録商標)(Commonwealth Serum Laboratories、Australia)もしくはISCOM(免疫刺激複合体)などの、それから生成される粒子(ISCOMはさらなる洗剤を含まなくてもよい(例えば、WO00/07621))などのサポニンアジュバント;(3)完全Freundアジュバント(CFA)および不完全Freundアジュバント(IFA);(4)インターロイキン(例えば、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12(例えば、WO99/44636))、インターフェロン(例えば、ガンマインターフェロン)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)などのサイトカイン;(5)モノホスホリルリピドA(MPL)または3-O-脱アシル化MPL(3dMPL)(例えば、GB2220211、EP0689454を参照されたい)(例えば、WO00/56358を参照されたい);(6)3dMPLと、例えば、QS21および/または水中油エマルジョンとの組合せ(例えば、EP0835318、EP0735898、EP0761231を参照されたい);(7)ポリオキシエチレンエーテルまたはポリオキシエチレンエステル(例えば、WO99/52549を参照されたい);(8)オクトキシノールと組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(例えば、WO01/21207)またはオクトキシノールなどの少なくとも1つのさらなる非イオン性界面活性剤と組み合わせたポリオキシエチレンアルキルエーテルもしくはエステル界面活性剤(例えば、WO01/21152);(9)サポニンおよび免疫刺激オリゴヌクレオチド(例えば、CpGオリゴヌクレオチド)(例えば、WO00/62800);(10)免疫刺激剤および金属塩の粒子(例えば、WO00/23105を参照されたい);(11)サポニンおよび水中油エマルジョン(例えば、WO99/11241);(12)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IM2(場合により、+ステロール)(例えば、WO98/57659);(13)組成物の効能を増強するための免疫刺激剤として作用する他の物質が挙げられる。ムラミルペプチドとしては、N-アセチル-ムラミル-L-トレオニル-D-イソグルタミン(thr-MDP)、N-25アセチル-ノルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン(ノル-MDP)、N-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミニル-L-アラニン-2-(1’-2’-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリルオキシ)-エチルアミン(MTP-PE)などが挙げられる。
【0227】
本発明の実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、アジュバントとしてCpGオリゴヌクレオチドを含む。本明細書で使用される場合、CpGオリゴヌクレオチドとは、免疫刺激CpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)を指し、したがって、これらの用語は、別途指摘しない限り、互換的に使用される。免疫刺激CpGオリゴデオキシヌクレオチドは、場合により、ある特定の好ましい塩基の文脈内で、非メチル化シトシン-グアニンジヌクレオチドである、1つまたは複数の免疫刺激CpGモチーフを含有する。CpG免疫刺激モチーフのメチル化状態は一般に、ジヌクレオチド中のシトシン残基を指す。少なくとも1つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含有する免疫刺激オリゴヌクレオチドは、3’グアニンにリン酸結合によって連結された5’非メチル化シトシンを含有し、Toll様受容体9(TLR-9)への結合によって免疫系を活性化するオリゴヌクレオチドである。別の実施形態では、免疫刺激オリゴヌクレオチドは、TLR9を介して免疫系を活性化するが、あたかもCpGモチーフが非メチル化されたかのように強力ではない、1つまたは複数のメチル化CpGジヌクレオチドを含有してもよい。CpG免疫刺激オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のパリンドロームを含んでもよく、次いで、CpGジヌクレオチドを包含してもよい。CpGオリゴヌクレオチドは、米国特許第6,194,388号;第6,207,646号;第6,214,806号;第6,218,371号;第6,239,116号;および第6,339,068号を含む、いくつかの発行された特許、公開特許出願、および他の刊行物に記載されている。
【0228】
本発明のある実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、WO2010/125480の3頁、22行目~12頁、36行目に記載されたCpGオリゴヌクレオチドのいずれかを含む。
【0229】
様々なクラスのCpG免疫刺激オリゴヌクレオチドが同定されている。これらのものは、A、B、CおよびPクラスと呼ばれ、WO2010/125480の3頁、22行目~12頁、36行目により詳細に記載されている。本発明の方法は、これらの様々なクラスのCpG免疫刺激オリゴヌクレオチドの使用を包含する。
【0230】
製剤
本発明の免疫原性組成物を、液体形態(すなわち、溶液もしくは懸濁液)または凍結乾燥形態で製剤化することができる。有利には、液体製剤を、その包装形態から直接投与することができ、かくして、それらは、そうでなければ凍結乾燥された本発明の組成物にとって必要とされる水性媒体中での復元を必要とすることがなく、注射にとって理想的である。
【0231】
本発明の免疫原性組成物の製剤化を、当業界で認識された方法を使用して達成することができる。例えば、個々のコンジュゲートを、生理的に許容できるビヒクルと共に製剤化して、組成物を調製することができる。そのようなビヒクルの例としては、限定されるものではないが、水、緩衝塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)およびデキストロース溶液が挙げられる。
【0232】
本開示は、本明細書に開示される糖コンジュゲートの組合せのいずれかと、薬学的に許容できる賦形剤、担体、または希釈剤とを含む免疫原性組成物を提供する。
【0233】
ある特定の実施形態では、免疫原性組成物製剤は、薬学的に許容できる希釈剤、賦形剤または薬学的に許容できる担体を含む。一実施形態では、薬学的に許容できる希釈剤としては、滅菌水、注射用水、滅菌等張塩水または生物学的緩衝剤が挙げられる。多糖-タンパク質コンジュゲートおよび/またはタンパク質免疫原を、従来の様式で、そのような希釈剤または担体と混合する。本明細書で使用される場合、薬学的に許容できる「担体」という用語は、ヒトまたは他の脊椎動物宿主への投与と適合する、溶媒、分散媒体、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張性および吸収遅延剤などを含むことが意図される。適切な担体は、当業者には明らかであり、大部分は投与経路に依存するであろう。
【0234】
例えば、免疫原性組成物製剤中に存在してもよい賦形剤としては、保存剤、化学安定剤および懸濁剤または分散剤が挙げられる。典型的には、安定剤、保存剤などは、標的レシピエント(例えば、ヒト対象)における効能について最良の製剤を決定するために最適化される。保存剤の例としては、クロロブタノール、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、二酸化硫黄、没食子酸プロピル、パラベン、エチルバニリン、グリセリン、フェノール、およびパラクロロフェノールが挙げられる。安定化成分の例としては、カザミノ酸、スクロース、ゼラチン、フェノールレッド、N-Zアミン、リン酸二水素カリウム、ラクトース、ラクトアルブミン加水分解物、および粉乳が挙げられる。
【0235】
ある実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、液体形態、好ましくは、水性液体形態にある。
【0236】
本開示の免疫原性組成物は、緩衝剤、塩、二価陽イオン、非イオン性洗剤、糖などの凍結防止剤、およびフリーラジカルスカベンジャーもしくはキレート剤などの酸化防止剤のうちの1つもしくは複数、またはそれらの任意の複数の組合せを含んでもよい。
【0237】
ある実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、緩衝剤を含む。ある実施形態では、前記緩衝剤は、約3.5~約7.5のpKaを有する。一部の実施形態では、緩衝剤は、リン酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤またはクエン酸緩衝剤である。ある特定の実施形態では、緩衝剤は、1mM~10mMの最終濃度のコハク酸緩衝剤である。1つの特定の実施形態では、コハク酸緩衝剤の最終濃度は、約5mMである。
【0238】
ある実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、塩を含む。一部の実施形態では、塩は、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムおよびその組合せのいずれか1つから選択される。一部の実施形態では、塩は、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムおよびその組合せからなる群から選択される。1つの特定の実施形態では、塩は、塩化ナトリウムである。1つの特定の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、150mMの塩化ナトリウムを含む。
【0239】
ある実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、界面活性剤を含む。一部の実施形態では、組成物は、限定されるものではないが、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤を含む。ある実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート20(TWEEN(商標)20)、ポリソルベート40(TWEEN(商標)40)、ポリソルベート60(TWEEN(商標)60)、ポリソルベート65(TWEEN(商標)65)、ポリソルベート80(TWEEN(商標)80)、ポリソルベート85(TWEEN(商標)85)、TRITON(商標)N-101、TRITON(商標)X-100、オクトキシノール40、ノノキシノール-9、トリエタノールアミン、トリエタノールアミンポリペプチドオレエート、ポリオキシエチレン-660ヒドロキシステアレート(PEG-15、Solutol H15)、ポリオキシエチレン-35-リシノレエート(CREMOPHOR(登録商標)EL)、大豆レシチンおよびポロキサマーのいずれか1つから選択される。ある実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート20(TWEEN(商標)20)、ポリソルベート40(TWEEN(商標)40)、ポリソルベート60(TWEEN(商標)60)、ポリソルベート65(TWEEN(商標)65)、ポリソルベート80(TWEEN(商標)80)、ポリソルベート85(TWEEN(商標)85)、TRITON(商標)N-101、TRITON(商標)X-100、オクトキシノール40、ノノキシノール-9、トリエタノールアミン、トリエタノールアミンポリペプチドオレエート、ポリオキシエチレン-660ヒドロキシステアレート(PEG-15、Solutol H15)、ポリオキシエチレン-35-リシノレエート(CREMOPHOR(登録商標)EL)、大豆レシチンおよびポロキサマーからなる群から選択される。一部の実施形態では、組成物は、限定されるものではないが、BRIJ58、BRIJ35、TRITON X-100、TRITON X-114、NP40、SPAN85、およびプルロニックシリーズの非イオン性界面活性剤、例えば、PLURONIC121などの、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのいずれか1つをさらに含む。1つの特定の実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート80である。一部の前記実施形態では、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は、少なくとも0.0001重量%~10重量%(w/w)ポリソルベート80である。一部の前記実施形態では、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は、少なくとも0.001重量%~1重量%(w/w)ポリソルベート80である。一部の前記実施形態では、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は、少なくとも0.01重量%~1重量%(w/w)ポリソルベート80である。他の実施形態では、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は、0.01重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%または0.1重量%(w/w)ポリソルベート80である。別の実施形態では、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は、1重量%(w/w)ポリソルベート80である。
【0240】
ある特定の実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、5.5~7.5のpH、より好ましくは、5.6~7.0のpH、さらにより好ましくは、5.8~6.0のpHを有する。
【0241】
一実施形態では、本発明は、本明細書に開示される免疫原性組成物のいずれかを充填した容器を提供する。一実施形態では、容器は、バイアル、シリンジ、フラスコ、発酵器、バイオリアクター、バッグ、ジャー、アンプル、カートリッジおよび使い捨てペンのいずれか1つから選択される。一実施形態では、容器は、バイアル、シリンジ、フラスコ、発酵器、バイオリアクター、バッグ、ジャー、アンプル、カートリッジおよび使い捨てペンからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、容器はシリコン処理される。ある実施形態では、本発明の容器は、ガラス、金属(例えば、スチール、ステンレススチール、アルミニウムなど)および/またはポリマー(例えば、熱可塑性物質、エラストマー、熱可塑性物質-エラストマー)製である。ある実施形態では、本発明の容器は、ガラス製である。
【0242】
一実施形態では、本発明は、本明細書に開示される免疫原性組成物のいずれかを充填したシリンジを提供する。ある特定の実施形態では、シリンジは、シリコン処理される、および/またはガラス製である。
【0243】
注射のための本発明の免疫原性組成物の典型的な用量は、0.1mL~2mLの容量、より好ましくは、0.2mL~1mL、さらにより好ましくは、約0.5mLの容量を有する。
したがって、上記で定義された容器またはシリンジは、0.1mL~2mLの容量、より好ましくは0.2mL~1mL、さらにより好ましくは約0.5mLの容量の本明細書に定義される免疫原性組成物のいずれかを充填される。
【0244】
本発明の組成物を、非経口的、経粘膜的、経皮的、筋肉内的、静脈内的、皮内的、鼻内的、皮下的、腹腔内的などの1つまたは複数の公知の方法によって対象に投与し、それに応じて製剤化することができる。
【0245】
一実施形態では、本発明の組成物は、液体調製物の表皮注射、筋肉内注射、静脈内、動脈内、皮下注射、または呼吸器内粘膜注射により投与される。本発明の組成物を、単回用量バイアル、複数用量バイアルとして、または予め充填されたシリンジとして製剤化することができる。
【0246】
別の実施形態では、本発明の組成物は、経口投与され、かくして、経口投与にとって好適な形態で、すなわち、固体または液体調製物として製剤化される。固体経口製剤としては、錠剤、カプセル剤、ピル剤、顆粒剤、ペレット剤などが挙げられる。液体経口製剤としては、溶液、懸濁液、分散液、エマルジョン、油などが挙げられる。液体製剤のための薬学的に許容できる担体は、水性または非水性溶液、懸濁液、エマルジョンまたは油である。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルである。
【0247】
水性担体としては、塩水および緩衝化媒体を含む、水、アルコール性/水性溶液、エマルジョンまたは懸濁液が挙げられる。油の例は、動物、植物、または合成起源のもの、例えば、ピーナッツ油、大豆油、オリーブ油、ヒマワリ油、魚肝油、別の海産油、またはミルクもしくは卵に由来する脂質である。
【0248】
医薬組成物は、等張性、低張性または高張性であってもよい。輸注または注射のための医薬組成物は、好ましくは、それが投与される時に本質的に等張性である。保存のために、医薬組成物は、好ましくは等張性または高張性であってよい。医薬組成物が保存のために高張性である場合、それを、投与前に等張性溶液となるように希釈してもよい。等張剤は、塩などのイオン性等張剤または炭水化物などの非イオン性等張剤であってもよい。イオン性等張剤の例としては、限定されるものではないが、NaCl、CaCl3、KClおよびMgCl2が挙げられる。非イオン性等張剤の例としては、限定されるものではないが、スクロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトールおよびグリセロールが挙げられる。
【0249】
また、少なくとも1つの薬学的に許容できる添加剤が緩衝剤であることも好ましい。一部の目的について、例えば、医薬組成物が輸注または注射のためのものである場合、組成物が5~9、例えば、6~8などの4~10の範囲のpHに溶液を緩衝化することができる緩衝剤を含むことが望ましいことが多い。緩衝剤は、例えば、Tris、酢酸、グルタミン酸、乳酸、マレイン酸、酒石酸、リン酸、クエン酸、炭酸、グリシン酸、L-ヒスチジン、グリシン、コハク酸およびトリエタノールアミン緩衝剤のいずれか1つから選択することができる。緩衝剤はさらに、例えば、特に、医薬製剤が非経口的使用のためのものである場合、非経口的使用のためのUSP適合性緩衝剤から選択することができる。例えば、緩衝剤を、酢酸、安息香酸、グルコン酸、グリセリン酸および乳酸などの一塩基酸;アコニット酸、アジピン酸、アスコルビン酸、カルボン酸、グルタミン酸、リンゴ酸、コハク酸および酒石酸などの二塩基酸、クエン酸およびリン酸などの多塩基酸;ならびにアンモニア、ジエタノールアミン、グリシン、トリエタノールアミン、およびTrisなどの塩基のいずれか1つから選択することができる。非経口ビヒクル(皮下、静脈内、動脈内、または筋肉内注射のための)としては、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸加リンゲルおよび固定油が挙げられる。静脈内ビヒクルとしては、液体および栄養素補給剤、電解質補給剤、例えば、リンゲルデキストロースなどに基づくものが挙げられる。例は、界面活性剤および他の薬学的に許容できるアジュバントを添加した、または添加しない、水および油などの滅菌液体である。一般に、水、塩水、水性デキストロースおよび関連する糖溶液、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどのグリコール、ポリソルベート80(PS-80)、ポリソルベート20(PS-20)、およびポロキサマー188(PI88)が、特に、注射溶液のための好ましい液体担体である。油の例は、動物、植物、または合成起源のもの、例えば、ピーナッツ油、大豆油、オリーブ油、ヒマワリ油、魚肝油、別の海産油、またはミルクもしくは卵に由来する脂質である。
【0250】
製剤は、界面活性剤をさらに含んでもよい。好ましい界面活性剤としては、限定されるものではないが、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(一般的にはTWEENと呼ばれる)、特に、PS-20およびPS-80;直鎖状EO/POブロックコポリマーなどの、DOWFAX(商標)の商標名の下で販売されている、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、および/またはブチレンオキシド(BO)のコポリマー;反復エトキシ(オキシ-1,2-エタンジイル)基の数が変化してもよい、オクトキシノール(オクトキシノール-9(TRITON X-100、またはt-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)が特に興味深い);(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA-630/NP-40);ホスファチジルコリンなどのリン脂質(レシチン);TERGITOL(商標)NPシリーズなどのノニルフェノールエトキシレート;ラウリル、セチル、ステアリルおよびオレイルアルコールに由来するポリオキシエチレン脂肪エーテル(BRIJ界面活性剤として知られる)、例えば、トリエチレングリコールモノラウリルエーテル(BRIJ30);ならびにソルビタントリオレエート(SPAN85)およびソルビタンモノラウレートなどの、ソルビタンエステル(SPANとして一般に知られる)が挙げられる。エマルジョン中に含有させるための好ましい界面活性剤は、PS-20またはPS-80である。界面活性剤の混合物、例えば、PS-80/SPAN85混合物を使用することができる。ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(PS-80)などのポリオキシエチレンソルビタンエステルと、t-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(TRITON X-100)などのオクトキシノールとの組合せも好適である。別の有用な組合せは、ラウレス9+ポリオキシエチレンソルビタンエステルおよび/またはオクトキシノールを含む。
【0251】
製剤はまた、pH緩衝化塩水溶液を含んでもよい。緩衝剤は、例えば、Tris、酢酸、グルタミン酸、乳酸、マレイン酸、酒石酸、リン酸、クエン酸、炭酸、グリシン酸、L-ヒスチジン、グリシン、コハク酸、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-l-ピペラジンエタンスルホン酸)、MOPS(3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸)、MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸)およびトリエタノールアミン緩衝剤のいずれか1つから選択することができる。緩衝剤は、4~10、5.2~7.5、または5.8~7.0の範囲のpHに溶液を緩衝化することができる。ある特定の態様では、緩衝剤は、リン酸、コハク酸、L-ヒスチジン、MES、MOPS、HEPES、酢酸またはクエン酸緩衝剤のいずれか1つから選択される。緩衝剤はさらに、例えば、特に、医薬製剤が非経口的使用のためのものである場合、非経口的使用のためのUSP適合性緩衝剤から選択することができる。緩衝剤の濃度は、1mM~50mMまたは5mM~50mMの範囲であろう。ある特定の態様では、緩衝剤は、5mM~50mMの最終濃度のL-ヒスチジン緩衝剤、または1mM~10mMの最終濃度のコハク酸緩衝剤である。ある特定の態様では、L-ヒスチジンは、20mM±2mMの最終濃度にある。
【0252】
塩水溶液(すなわち、NaClを含む溶液)が好ましいが、製剤化にとって好適な他の塩としては、限定されるものではないが、CaCl3、KClおよびMgCl2ならびにそれらの組合せが挙げられる。限定されるものではないが、スクロース、トレハロース、マンニトール、ソルビトールおよびグリセロールなどの非イオン性等張剤を、塩の代わりに使用することができる。好適な塩範囲としては、限定されるものではないが、25mM~500mMまたは40mM~170mMが挙げられる。一態様では、塩水は、場合により、20mM~170mMの濃度で存在するNaClである。好ましい実施形態では、製剤は、塩化ナトリウムを含むL-ヒスチジン緩衝剤を含む。
【0253】
別の実施形態では、医薬組成物は、制御放出系において送達される。例えば、薬剤を、静脈内輸注、経皮パッチ、リポソーム、または他の投与様式を使用して投与することができる。別の実施形態では、例えば、ミクロスフェアまたはインプラント中のポリマー材料が使用される。
【0254】
活性
一実施形態では、本明細書に記載の糖は、オプソニン活性を誘導することができる。別の実施形態では、本明細書に記載の糖は、オプソニンおよび食作用活性(例えば、オプソニン貪食作用活性)を誘導することができる。
【0255】
本発明者らは驚くべきことに、対応する野生型糖と比較して反復単位が増加した糖が、野生型糖と比較して、哺乳動物において免疫応答の増加を誘導することを発見した。本発明者らはまた驚くべきことに、担体タンパク質と、対応する野生型糖と比較して反復単位が増加した糖とを含むコンジュゲートを含む組成物が、担体タンパク質と、対応する野生型糖とを含むコンジュゲートを含む組成物を投与した哺乳動物と比較して、哺乳動物における免疫応答の増加を誘導することも発見した。メカニズムまたは理論によって束縛されないが、反復単位が増加した糖は、保存されたエピトープが増加していてもよく、免疫応答の増加をもたらし得る。
【0256】
オプソニン活性またはオプソニン化とは、オプソニン(例えば、抗体または補体因子)が抗原(例えば、本明細書に記載の糖またはそのコンジュゲート)に結合し、抗原の食細胞または貪食細胞(例えば、マクロファージ、樹状細胞、および多形核白血球(PMNL)への結合を容易にするプロセスを指す。例えば、莢膜の存在のため典型的には貪食されない被包性細菌などの一部の細菌は、オプソニン抗体でコーティングされた場合、食細胞によって認識される可能性が高くなる。一実施形態では、糖は、例えば、オプソニンである抗体などの免疫応答を誘導する。一実施形態では、オプソニン活性は、グラム陰性細菌、好ましくは、エシェリキア(Echerichia)種、より好ましくは、大腸菌(E.coli)の少なくとも1つの株に対するものである。
【0257】
食作用活性または貪食作用とは、貪食細胞が材料を飲み込み、その材料をその細胞質中に封入するプロセスを指す。一実施形態では、糖は、例えば、貪食を容易にする抗体などの免疫応答を誘導する。一実施形態では、食作用活性は、グラム陰性細菌、好ましくは、エシェリキア(Echerichia)種、より好ましくは、大腸菌(E.coli)の少なくとも1つの株に対するものである。例えば、本明細書に記載の単離された糖に対して生じたウサギ抗体は、示されるように、例えば、in vitro貪食アッセイにより、補体の存在下で糖を発現する株のオプソニン貪食作用を特異的に媒介することができてもよい。
【0258】
さらに別の実施形態では、本明細書に記載の糖は、殺菌性免疫応答を誘導することができる。一実施形態では、殺菌活性は、グラム陰性細菌、好ましくは、エシェリキア(Echerichia)種、より好ましくは、大腸菌(E.coli)の少なくとも1つの株に対するものである。
【0259】
オプソニン化、貪食作用、および/または殺菌活性を測定するための方法は、当業界で公知であり、例えば、in vivoで細菌量の減少を測定すること(例えば、エシェリキア(Echerichia)をチャレンジした哺乳動物中の菌血症レベルを測定すること)、および/またはin vitroで細菌細胞殺傷を測定すること(例えば、in vitroオプソニン貪食作用アッセイ)などによる。一実施形態では、糖は、例えば、熱で殺傷したグラム陰性細菌に対して生じた抗血清と比較するなど、適切な対照と比較して、オプソニン、貪食、および/または殺菌活性を誘導することができる。
【0260】
機能的抗体および補体の存在下で貪食エフェクター細胞による大腸菌(E.coli)細胞の殺傷を測定するオプソニン貪食作用アッセイは、例えば、大腸菌(E.coli)血清型O25Bなどの、特定の大腸菌(E.coli)血清型に対する大腸菌(E.coli)ワクチンの有効性を評価するための代替手段であってもよい。大腸菌(E.coli)細胞、試験しようとする熱不活化ヒト血清、分化したHL-60細胞(貪食細胞)および外因性補体供給源(例えば、子ウサギ補体)の混合物を一緒にインキュベートすることによって、in vitroオプソニン貪食作用アッセイを行うことができる。オプソニン貪食作用がインキュベーション中に進行し、抗体および補体でコーティングされた細菌細胞はオプソニン貪食作用時に殺傷される。オプソニン貪食作用からの逃れる生存細菌のコロニー形成単位(cfu)は、アッセイ混合物を塗布することによって決定される。OPA力価は、試験血清を含まない対照ウェルと比較して細菌数の50%の減少をもたらす希釈率の逆数と定義される。OPA力価は、この50%殺傷カットオフを間に含む2つの希釈率から内挿される。
【0261】
1:8以上の終点力価は、これらの殺傷型OPAにおける陽性の結果であると考えられる。
【0262】
一部の実施形態では、対象は、例えば、大腸菌(E.coli)への自然の曝露(例えば、成人対象の場合)のため、ワクチン接種前に血清型特異的OPA力価を有し得る。
【0263】
したがって、本発明の免疫原性組成物を用いた免疫前および免疫後の血清のOPA活性の比較を行い、例えば、大腸菌(E.coli)血清型O25Bなどの特定の大腸菌(E.coli)血清型とその応答について比較して、応答者の増加の可能性を評価することができる。
【0264】
一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、応答者(すなわち、in vitro OPAによって決定された場合、少なくとも1:8の力価を有する血清を有する個体)の割合を有意に増大させる。
【0265】
本発明の免疫原性組成物を用いた免疫前および免疫後の血清のOPA活性の比較を、OPA力価の増加の可能性を比較することによって行うこともできる。
【0266】
したがって、本発明の免疫原性組成物を用いた免疫前および免疫後の血清のOPA活性の比較を行い、例えば、大腸菌(E.coli)血清型O25Bなどの特定の大腸菌(E.coli)血清型とその応答について比較して、OPA力価の増加の可能性を評価することができる。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、ヒト対象のOPA力価を有意に増大させることができる。
【0267】
一態様では、組成物は、少なくとも1種の大腸菌(E.coli)血清型に対する免疫応答を誘導する。大腸菌(E.coli)血清型は、例えば、以下の大腸菌(E.coli)血清型:O1(例えば、O1A、O1B、およびO1C)、O2、O3、O4(例えば、O4:K52およびO4:K6)、O5(例えば、O5abおよびO5ac(180/C3株))、O6(例えば、O6:K2;K13;K15およびO6:K54)、O7、O8、O9、O10、O11、O12、O13、O14、O15、O16、O17、O18(例えば、O18A、O18ac、O18A1、O18B、およびO18B1)、O19、O20、O21、O22、O23(例えば、O23A)、O24、O25(例えば、O25aおよびO25b)、O26、O27、O28、O29、O30、O32、O33、O34、O35、O36、O37、O38、O39、O40、O41、O42、O43、O44、O45(例えば、O45およびO45rel)、O46、O48、O49、O50、O51、O52、O53、O54、O55、O56、O57、O58、O59、O60、O61、O62、62D1、O63、O64、O65、O66、O68、O69、O70、O71、O73(例えば、O73(73-1株))、O74、O75、O76、O77、O78、O79、O80、O81、O82、O83、O84、O85、O86、O87、O88、O89、O90、O91、O92、O93、O95、O96、O97、O98、O99、O100、O101、O102、O103、O104、O105、O106、O107、O108、O109、O110、0111、O112、O113、O114、O115、O116、O117、O118、O119、O120、O121、O123、O124、O125、O126、O127、O128、O129、O130、O131、O132、O133、O134、O135、O136、O137、O138、O139、O140、O141、O142、O143、O144、O145、O146、O147、O148、O149、O150、O151、O152、O153、O154、O155、O156、O157、O158、O159、O160、O161、O162、O163、O164、O165、O166、O167、O168、O169、O170、O171、O172、O173、O174、O175、O176、O177、O178、O179、O180、O181、O182、O183、O184、O185、O186、およびO187のうちのいずれか1つを含む、任意の血清型であってもよい。一実施形態では、血清型は、O25aである。別の実施形態では、血清型は、O25bである。別の実施形態では、血清型は、O1Aである。別の実施形態では、血清型は、O2である。別の実施形態では、血清型は、O6である。別の実施形態では、血清型は、O6である。別の実施形態では、血清型は、O17である。別の実施形態では、血清型は、O15である。別の実施形態では、血清型は、O18Aである。別の実施形態では、血清型は、O75である。別の実施形態では、血清型は、O4である。別の実施形態では、血清型は、O16である。別の実施形態では、血清型は、O13である。別の実施形態では、血清型は、O7である。別の実施形態では、血清型は、O8である。
【0268】
好ましい実施形態では、組成物は、少なくとも2種の大腸菌(E.coli)血清型に対する免疫応答を誘導する。別の実施形態では、組成物は、少なくとも3種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に対する免疫応答を誘導する。一実施形態では、組成物は、少なくとも4種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に対する免疫応答を誘導する。一実施形態では、組成物は、5種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に由来するO抗原を含む。一実施形態では、組成物は、少なくとも6種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に対する免疫応答を誘導する。一実施形態では、組成物は、少なくとも7種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に対する免疫応答を誘導する。一実施形態では、組成物は、少なくとも8種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に対する免疫応答を誘導する。一実施形態では、組成物は、少なくとも9種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に対する免疫応答を誘導する。一実施形態では、組成物は、少なくとも10種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に対する免疫応答を誘導する。一実施形態では、組成物は、少なくとも11種の異なる大腸菌(E.coli)血清型に対する免疫応答を誘導する。一実施形態では、組成物は、少なくとも12種の異なる血清型に対する免疫応答を誘導する。一実施形態では、組成物は、少なくとも13種の異なる血清型に対する免疫応答を誘導する。一実施形態では、組成物は、少なくとも14種の異なる血清型に対する免疫応答を誘導する。一実施形態では、組成物は、少なくとも15種の異なる血清型に対する免疫応答を誘導する。一実施形態では、組成物は、少なくとも16種の異なる血清型に対する免疫応答を誘導する。一実施形態では、組成物は、少なくとも17種の異なる血清型に対する免疫応答を誘導する。一実施形態では、組成物は、少なくとも18種の異なる血清型に対する免疫応答を誘導する。一実施形態では、組成物は、少なくとも19種の異なる血清型に対する免疫応答を誘導する。一実施形態では、組成物は、少なくとも20種の異なる血清型に対する免疫応答を誘導する。
【0269】
一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、ヒトにおいてIgG抗体を惹起し、前記抗体は、例えば、ELISAアッセイによって決定された場合、大腸菌(E.coli)血清型O25B糖などの特定の大腸菌(E.coli)血清型糖に結合することができる。好ましくは、増強された免疫応答は、IgG1および/またはIgG2aおよび/またはIgMの産生の増加を含んでもよい。
【0270】
ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)法では、ワクチン接種された対象の血清に由来する抗体を、固相支持体に吸着された多糖と共にインキュベートする。結合した抗体は、酵素コンジュゲート化二次検出抗体を使用して検出される。ELISAは、ヒト血清中に存在する型特異的IgG抗大腸菌(E.coli)多糖抗体を測定する。ヒト血清の希釈液を型特異的多糖被覆マイクロタイタープレートに添加する場合、その多糖に特異的な抗体は、マイクロタイタープレートに結合する。プレートに結合した抗体は、ヤギ抗ヒトIgGアルカリホスファターゼ標識抗体、次いで、p-ニトロフェニルホスフェート基質を使用して検出される。着色した最終生成物の光密度は、血清中に存在する抗O抗原多糖抗体の量に比例する。
【0271】
一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、大腸菌(E.coli)血清型O25B、O1、O2、およびO6に対するヒト対象のOPA力価を有意に増大させる。
【0272】
一部の実施形態では、本発明の組成物は、例えば、初回投薬の約30日後、好ましくは初回投薬の約60日後などの初回投薬後に、少なくとも1,000、好ましくは少なくとも5,000かつ最大でも200,000の幾何平均力価(GMT)レベルまで、哺乳動物における大腸菌(E.coli)に対する抗体の産生を増加させるのに有効である。好ましい実施形態では、組成物は、初期投薬後に、少なくとも1,000、好ましくは少なくとも5,000かつ最大でも200,000の幾何平均力価(GMT)レベルまで、哺乳動物における大腸菌(E.coli)血清型O25Bに対する抗体の産生を増加させるのに有効である。
【0273】
一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいてIgG抗体を惹起し、前記抗体は、組成物中の糖の反復単位に対応する大腸菌(E.coli)血清型に結合することができる。例えば、組成物は、ELISAアッセイによって決定された場合、少なくとも0.2pg/ml、0.3pg/ml、0.35pg/ml、0.4pg/mlまたは0.5pg/mlの濃度でIgG抗体を惹起することができる。したがって、本発明の免疫原性組成物を用いた免疫前および免疫後の血清のOPA活性の比較を行い、それぞれの血清型に対するそれらの応答について比較して、応答者の増加の可能性を評価することができる。一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいてIgG抗体を惹起し、前記抗体は、in vitroオプソニン貪食作用アッセイによって決定された場合、組成物中の糖の反復単位に対応する大腸菌(E.coli)血清型を殺傷することができる。一実施形態では、免疫原性組成物は、ヒトにおいて機能的抗体を惹起し、前記抗体は、in vitroオプソニン貪食作用アッセイによって決定された場合、組成物中の糖の反復単位に対応する大腸菌(E.coli)血清型を殺傷することができる。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、組成物中の糖の反復単位に対応する大腸菌(E.coli)血清型に対する応答者(すなわち、in vitro OPAによって決定された場合、少なくとも1:8の力価を有する血清を有する個体)の割合を増加させる。一実施形態では、免疫原性組成物は、in vitroオプソニン貪食作用殺傷アッセイによって決定された場合、少なくとも50%の対象において組成物中の糖の反復単位に対応する大腸菌(E.coli)血清型に対する少なくとも1:8の力価を惹起する。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、in vitroオプソニン貪食作用殺傷アッセイによって決定された場合、少なくとも60%、70%、80%、または少なくとも90%の対象において組成物中の糖の反復単位に対応する大腸菌(E.coli)血清型に対する少なくとも1:8の力価を惹起する。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、組成物中の糖の反復単位に対応する大腸菌(E.coli)血清型に対する応答者(すなわち、in vitro OPAによって決定された場合、少なくとも1:8の力価を有する血清を有する個体)の割合を有意に増加させる。一実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、免疫前の集団と比較して、組成物中の糖の反復単位に対応する大腸菌(E.coli)血清型に対するヒト対象のOPA力価を有意に増加させる。
【0274】
方法
別の態様では、本発明は、対象に、有効量の本明細書に記載の組成物(例えば、免疫原性組成物)を投与することを含む、対象、例えば、ヒト対象の感染を防止する方法に関する。
【0275】
別の態様では、本発明は、対象に、有効量の本明細書に記載の組成物(例えば、免疫原性組成物)を投与することを含む、対象、例えば、ヒト対象の感染を処置する方法に関する。
【0276】
別の態様では、本発明は、対象に、有効量の本明細書に記載の組成物(例えば、免疫原性組成物)を投与することを含む、対象、例えば、ヒト対象における免疫応答を誘導する方法に関する。
【0277】
別の態様では、本発明は、対象に、有効量の本明細書に記載の組成物(例えば、免疫原性組成物)を投与することを含む、対象、例えば、ヒト対象におけるオプソニン貪食作用抗体の産生を誘導する方法に関する。
【0278】
本明細書で使用される場合、本明細書に記載の組成物を対象に投与する文脈における用語「有効量」とは、予防および/または治療効果を有する組成物の量を指す。ある特定の実施形態では、「有効量」とは、以下の効果:(i)大腸菌(E.coli)感染もしくはそれと関連する症状の重症度を低減させるか、もしくは改善する;(ii)大腸菌(E.coli)感染もしくはそれと関連する症状の持続期間を低減させる;(iii)大腸菌(E.coli)感染もしくはそれと関連する症状の進行を防止する;(iv)大腸菌(E.coli)感染もしくはそれと関連する症状の退縮を引き起こす;(v)大腸菌(E.coli)感染もしくはそれと関連する症状の発達もしくは開始を防止する;(vi)大腸菌(E.coli)感染もしくはそれと関連する症状の再発を防止する;(vii)大腸菌(E.coli)感染と関連する臓器不全を低減する;(viii)大腸菌(E.coli)感染を有する対象の入院を減少させる;(ix)大腸菌(E.coli)感染を有する対象の入院の長さを減少させる;(x)大腸菌(E.coli)感染を有する対象の生存を増加させる;(xi)対象における大腸菌(E.coli)感染を除去する;(xii)対象における大腸菌(E.coli)複製を阻害する、もしくは低減する;および/または(xiii)別の療法の予防もしくは治療効果を増強もしくは改善する、のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ以上を達成するのに十分である組成物の量を指す。
【0279】
ある実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、薬剤としての使用のためのものである。本明細書に記載の免疫原性組成物を、対象における細菌感染、疾患または状態を防止する、処置する、または改善するための様々な治療または予防方法において使用することができる。特に、本明細書に記載の免疫原性組成物を使用して、対象における大腸菌(E.coli)感染、疾患または状態を防止、処置または改善することができる。
【0280】
かくして、一態様では、本発明は、対象における大腸菌(E.coli)と関連する感染、疾患または状態を防止、処置または改善する方法であって、対象に、免疫学的に有効量の本発明の免疫原性組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0281】
一態様では、本発明は、対象における大腸菌(E.coli)と関連する感染、疾患または状態を防止、処置または改善する方法であって、対象に、免疫学的に有効量の本発明の免疫原性組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0282】
一態様では、本発明は、対象における大腸菌(E.coli)に対する免疫応答を誘導する方法であって、対象に、免疫学的に有効量の本発明の免疫原性組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0283】
一態様では、本発明の免疫原性組成物は、対象における大腸菌(E.coli)によって引き起こされる感染、疾患または状態を防止、処置または改善するための方法における使用のためのものである。別の態様では、本発明の組成物は、大腸菌(E.coli)によって引き起こされる感染、疾患または状態に対して哺乳動物を保護するための方法における使用のためのものである。
【0284】
一実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物はいずれも、大腸菌(E.coli)による感染に対して対象を免疫する方法における使用のためのものである。
【0285】
一態様では、本発明は、対象における大腸菌(E.coli)によって引き起こされる感染、疾患または状態を防止、処置または改善するための薬剤の製造のための本明細書に開示される免疫原性組成物の使用を対象とする。
【0286】
ある実施形態では、本発明は、大腸菌(E.coli)による感染に対して対象を免疫するための薬剤の製造のための、本明細書に開示される免疫原性組成物の使用を対象とする。
【0287】
ある実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、ワクチンとしての使用のためのものである。より特には、本明細書に記載の免疫原性組成物を使用して、対象における大腸菌(E.coli)感染を防止することができる。かくして、一態様では、本発明は、対象における大腸菌(E.coli)による感染を防止する方法であって、対象に、免疫学的に有効量の本発明の免疫原性組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0288】
一部のそのような実施形態では、感染は、尿路感染、胆嚢炎、胆管炎、下痢、溶血性尿毒症症候群、新生児髄膜炎、尿性敗血症、腹腔内感染、髄膜炎、合併肺炎、創傷感染、前立腺生検後関連感染、新生児/幼児敗血症、好中球減少性発熱、肺炎、菌血症、および敗血症、ならびに他の血流感染のいずれか1つから選択される。例えば、新生児髄膜炎と関連する大腸菌(E.coli)血清型としては、血清型O1、O6、O7、O16、O18およびO83が挙げられる。したがって、一実施形態では、組成物は、式O1、式O6、式O7、式O16、式O18、式O83のいずれか1つから選択される構造を有する糖を含むコンジュゲート、ならびにそのコンジュゲートの任意の組合せを含む。別の例として、菌血症と関連する大腸菌(E.coli)血清型としては、血清型O1、O2、O6、O15およびO75が挙げられる。したがって、別の実施形態では、組成物は、式O1、O2、O6、O16およびO75のいずれか1つから選択される構造を有する糖を含む少なくとも1つのコンジュゲート、ならびにそのコンジュゲートの任意の組合せを含む。さらなる例として、O1:K1:H7またはO2:K1:H4、O2:K1:H5、O2:K1:H6、およびO2:K1:H7などの大腸菌(E.coli)O1およびO2株が、ヒトおよび動物における尿路感染、敗血症、および新生児髄膜炎の原因病原体として同定された。O1とO2血清群は両方とも、ヒト患者において菌血症および敗血症を引き起こす多くの株を構成する。したがって、一実施形態では、組成物は、式O1を有する糖を含むコンジュゲートと、式O2を有する糖を含むコンジュゲートとを含む。
【0289】
したがって、これらの使用および方法によって哺乳動物において免疫応答を生じさせることによって、ExPECおよび非ExPEC株を含む大腸菌(E.coli)感染に対して哺乳動物を保護することができる。本発明は、EPEC、EAEC、EIEC、ETECおよびDAEC病原型などの腸病原型を含む、病原性大腸菌(E.coli)に対する幅広い保護を提供するのに特に有用である。かくして、限定されるものではないが、腹膜炎、腎盂腎炎、膀胱炎、心内膜炎、前立腺炎、尿路感染(UTI)、髄膜炎(特に、新生児髄膜炎)、敗血症(またはSIRS)、脱水症、肺炎、下痢(乳幼児、旅行者、急性、持続性など)、細菌性赤痢、溶血性尿毒症症候群(HUS)、心膜炎、細菌尿などを含む疾患に対して哺乳動物を保護することができる。
【0290】
一態様では、ワクチン接種される対象は、ヒト、ネコ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ウシまたはイヌなどの哺乳動物である。好ましくは、ワクチン接種される対象は、ヒトである。ワクチンが予防的使用のためのものである場合、ヒトは、好ましくは小児(例えば、幼児もしくは乳児)またはティーンエイジャーまたは成人である;ワクチンが治療的使用のためのものである場合、ヒトは、好ましくはティーンエイジャーまたは成人である。小児について意図されるワクチンを、例えば、安全性、用量、免疫原性などを評価するために、成人に投与してもよい。
【0291】
本発明のワクチンを使用して、小児と成人との両方を処置することができる。かくして、ヒト患者は、1歳未満、1~5歳、5~15歳、15~55歳、または少なくとも55歳であってもよい。ワクチンを受けるための好ましい患者は、高齢者(例えば、50歳以上、60歳以上、好ましくは65歳以上)、若者(例えば、5歳以下)、入院患者、医療従事者、軍関係者、妊娠女性、慢性疾患者、または免疫不全患者である。ワクチンは、これらの群についてのみ適しているわけではないが、集団中でより一般的に使用することができる。
【0292】
本発明のワクチンは、外科手術を予想している患者、または他の入院患者にとって特に有用である。それらはまた、カテーテルを挿入される患者においても有用である。それらはまた、思春期の女性(例えば、11~18歳)および慢性尿路感染を有する患者においても有用である。
【0293】
ある実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物を、筋肉内、腹腔内、皮内または皮下経路によって投与する。ある実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物を、筋肉内、腹腔内、皮内または皮下注射によって投与する。ある実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物を、筋肉内または皮下注射によって投与する。
【0294】
ある実施形態では、本発明は、(i)対象に、免疫学的に有効量の本明細書に定義される免疫原性組成物のいずれかを注射するステップ;(ii)前記対象から血清試料を収集するステップ;(iii)in vitroオプソニン貪食作用殺傷アッセイ(OPA)によって大腸菌(E.coli)血清型O25Bに対するオプソニン貪食作用殺傷活性について前記血清試料を試験するステップを含む方法を対象とする。
【0295】
対象
本明細書に開示されるように、本明細書に記載の免疫原性組成物を、対象における細菌感染、疾患または状態を防止する、処置する、または改善するための様々な治療または予防方法において使用することができる。
【0296】
好ましい実施形態では、前記対象は、ヒトである。最も好ましい実施形態では、前記対象は、新生児(すなわち、3カ月齢より下)、乳児(すなわち、3カ月齢から1歳まで)または幼児(すなわち、1歳から4歳まで)である。
【0297】
ある実施形態では、本明細書に開示される免疫原性組成物は、ワクチンとしての使用のためのものである。
【0298】
ある実施形態では、ワクチン接種される対象は、1歳未満であってよい。例えば、ワクチン接種される対象は、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11または約12カ月齢であってもよい。ある実施形態では、ワクチン接種される対象は、約2、4または6カ月齢である。別の実施形態では、ワクチン接種される対象は、2歳未満である。例えば、ワクチン接種される対象は、約12~約15カ月齢であってもよい。一部の場合、わずか1用量の本発明による免疫原性組成物が必要とされるが、一部の環境下では、第2、第3または第4の用量を投与してもよい。
【0299】
ある実施形態では、ワクチン接種される対象は、18歳未満であってよい。例えば、ワクチン接種される対象は、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、または約17歳であってもよい。例えば、ワクチン接種される対象は、約10~約18歳であってもよい。一部の場合、わずか1用量の本発明による免疫原性組成物が必要とされるが、一部の環境下では、第2、第3または第4の用量を投与してもよい。
【0300】
別の実施形態では、ワクチン接種される対象は、18歳以上のヒトであってもよい。例えば、ワクチン接種される対象は、約18~約50歳であってもよい。一部の場合、わずか1用量の本発明による免疫原性組成物が必要とされるが、一部の環境下では、第2、第3または第4の用量を投与してもよい。
【0301】
本発明のある実施形態では、ワクチン接種される対象は、50歳以上のヒト、より好ましくは55歳以上のヒトである。ある実施形態では、ワクチン接種される対象は、65歳以上、70歳以上、75歳以上または80歳以上のヒトである。ある実施形態では、ワクチン接種される対象は、免疫障害のある個体、ヒトである。免疫障害のある個体は一般に、感染性因子によるチャレンジに対して正常な体液性または細胞性防御を上昇させる能力の減弱または低減を示す人と定義される。
【0302】
本発明のある実施形態では、ワクチン接種される免疫障害のある対象は、免疫系を害し、尿路感染に対して保護する、またはそれを処置するには不十分な抗体応答をもたらす疾患または状態に罹患している。
【0303】
ある実施形態では、前記疾患は、原発性免疫不全障害である。好ましくは、前記原発性免疫不全障害は、複合TおよびB細胞免疫不全、抗体不全、明確に定義された症候群、免疫脱調節疾患、食細胞傷害、先天性免疫不全、自己炎症障害、および補体欠損症のいずれか1つから選択される。
【0304】
本発明の特定の実施形態では、ワクチン接種される免疫障害のある対象は、HIV感染、後天性免疫不全症候群(AIDS)、がん、慢性心臓または肺障害、鬱血性心不全、糖尿病、慢性肝疾患、アルコール依存症、肝硬変、髄液漏、心筋症、慢性気管支炎、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、脾臓機能障害(鎌状赤血球病など)、脾臓機能の欠如(無脾症)、血液悪性腫瘍、白血病、多発性骨髄腫、ホジキン病、リンパ腫、腎不全、ネフローゼ症候群および喘息のいずれか1つから選択される疾患に罹患している。
【0305】
本発明のある実施形態では、ワクチン接種される対象は、栄養不良に罹患している。
【0306】
本発明のある実施形態では、ワクチン接種される対象は、感染に対する身体の抵抗性を低下させる薬物または処置をとっている。
【0307】
本発明のある実施形態では、ワクチン接種される対象は、喫煙者である。
【0308】
本発明のある実施形態では、ワクチン接種される対象は、1リットルあたり5x109細胞未満、または1リットルあたり4x109細胞未満、または1リットルあたり3x109細胞未満、または1リットルあたり2x109細胞未満、または1リットルあたり1x109細胞未満、または1リットルあたり0.5x109細胞未満、または1リットルあたり0.3x109細胞未満、または1リットルあたり0.1x109細胞未満の白血球細胞数(白血球数)を有する。
【0309】
白血球細胞数(白血球数):血液中の白血球細胞(WBC)の数。WBCは通常、CBC(完全血球算定)の一部として測定される。WBCは、血液中で感染と闘う細胞であり、赤血球として知られる赤(酸素運搬)血球細胞とは異なる。好中球(多形核白血球;PMN)、バンド細胞(わずかに未熟な好中球)、T型リンパ球(T細胞)、B型リンパ球(B細胞)、単球、好酸球、および好塩基球を含む、様々な型の白血球細胞が存在する。全ての型の白血球細胞が、白血球細胞数に反映される。白血球細胞数の正常範囲は通常、血液1立方ミリメートルあたり4,300~10,800細胞である。これも白血球数と呼ばれ、1リットルあたり4.3~10.8x109細胞として国際単位で表すことができる。
【0310】
ある実施形態では、ワクチン接種される対象は、好中球減少症に罹患している。例えば、ワクチン接種される対象は、1リットルあたり2x109細胞未満、または1リットルあたり1x109細胞未満、または1リットルあたり0.5x109細胞未満、または1リットルあたり0.1x109細胞未満、または1リットルあたり0.05x109細胞未満の好中球数を有してもよい。
【0311】
低い白血球細胞数または「好中球減少症」は、循環血液中の異常に低レベルの好中球を特徴とする状態である。好中球は、感染を防止し、感染と闘うのを助ける特定の種類の白血球細胞である。がん患者が好中球減少症を経験する最も一般的な理由は、化学療法の副作用としてである。化学療法誘導性好中球減少症は、患者の感染リスクを増大させ、がん処置を中断させる。
【0312】
ある実施形態では、ワクチン接種される対象は、500/mm3未満のCD4+細胞数、または300/mm3未満のCD4+細胞数、または200/mm3未満のCD4+細胞数、100/mm3未満のCD4+細胞数、75/mm3未満のCD4+細胞数、または50/mm3未満のCD4+細胞数を有する。
【0313】
CD4細胞試験は、通常、1mm3中の細胞数として報告される。正常なCD4数は、500~1600であり、CD8数は、375~1100である。CD4数は、HIVを有する人々においては劇的に低下する。
【0314】
本発明のある実施形態では、本明細書に開示される任意の免疫障害のある対象は、ヒト男性またはヒト女性である。
【0315】
レジメン
一部の場合、わずか1用量の本発明による免疫原性組成物が有効であり、より高い免疫欠損の状態などの他の環境下では、第2、第3または第4の用量を投与してもよい。初回ワクチン接種の後、対象は、十分に間隔を空けた1回または数回の追加免疫を受けてもよい。
【0316】
ある実施形態では、本発明による免疫原性組成物のワクチン接種のスケジュールは、単回用量である。別の実施形態では、前記単回用量スケジュールは、少なくとも2歳の健康な人のためのものである。
【0317】
ある実施形態では、本発明による免疫原性組成物のワクチン接種のスケジュールは、複数回用量スケジュールである。別の実施形態では、前記複数回用量スケジュールは、約1カ月から約2カ月の間隔で隔てられた一連の2用量を含む。ある実施形態では、前記複数回用量スケジュールは、約1カ月の間隔で隔てられた一連の2用量、または約2カ月の間隔で隔てられた一連の2用量を含む。
【0318】
別の実施形態では、前記複数回用量スケジュールは、約1カ月から約2カ月の間隔で隔てられた一連の3用量を含む。別の実施形態では、前記複数回用量スケジュールは、約1カ月の間隔で隔てられた一連の3用量、または約2カ月の間隔で隔てられた一連の3用量を含む。
【0319】
別の実施形態では、前記複数回用量スケジュールは、約1カ月から約2カ月の間隔で隔てられた一連の3用量、次いで、第1の用量の約10カ月から約13カ月後の第4の用量を含む。別の実施形態では、前記複数回用量スケジュールは、約1カ月の間隔で隔てられた一連の3用量、次いで、第1の用量の約10カ月から約13カ月後の第4の用量、または約2カ月の間隔で隔てられた一連の3用量、次いで、第1の用量の約10カ月から約13カ月後の第4の用量を含む。
【0320】
ある実施形態では、複数回用量スケジュールは、第1の年齢での少なくとも1用量(例えば、1、2または3用量)、次いで、少なくとも1回の幼児用量を含む。
【0321】
ある実施形態では、複数回用量スケジュールは、2カ月齢で開始する、約1カ月から約2カ月の間隔で隔てられた一連の2または3用量(例えば、用量間は28~56日)、次いで、12~18カ月齢での幼児用量を含む。ある実施形態では、複数回用量スケジュールは、2カ月齢で開始する、約1カ月から約2カ月の間隔で隔てられた一連の3用量(例えば、用量間は28~56日)、次いで、12~15カ月齢での幼児用量を含む。別の実施形態では、前記複数回用量スケジュールは、2カ月齢で開始する、約2カ月の間隔で隔てられた一連の2用量、次いで、12~18カ月齢での幼児用量を含む。
【0322】
ある実施形態では、複数回用量スケジュールは、2、4、6、および12~15カ月齢での4用量連続のワクチンを含む。
【0323】
ある実施形態では、初回用量は、0日目に与えられ、1回または複数回の追加用量は、約2~約24週の範囲の間隔で、好ましくは4~8週の投薬間隔で与えられる。
【0324】
ある実施形態では、初回用量は0日目に与えられ、追加用量は約3カ月後に与えられる。
【0325】
キットおよびプロセス
ある実施形態では、本発明は、本明細書に開示される免疫原性組成物と情報リーフレットとを含むキットを対象とする。
【0326】
ある実施形態では、前記情報リーフレットは、大腸菌(E.coli)に対する機能的抗体を惹起する組成物の能力を含む。
【0327】
ある実施形態では、前記情報リーフレットは、ヒト集団において大腸菌(E.coli)血清型O25Bに対するOPA力価を惹起する組成物の能力を含む。ある実施形態では、前記情報リーフレットは、ヒト集団において大腸菌(E.coli)血清型O1に対するOPA力価を惹起する組成物の能力を含む。ある実施形態では、前記情報リーフレットは、ヒト集団において大腸菌(E.coli)血清型O2に対するOPA力価を惹起する組成物の能力を含む。ある実施形態では、前記情報リーフレットは、ヒト集団において大腸菌(E.coli)血清型O6に対するOPA力価を惹起する組成物の能力を含む。
【0328】
ある実施形態では、本発明は、免疫原性組成物と情報リーフレットとを含むキットを生産するためのプロセスであって、(i)本開示の免疫原性組成物を生産するステップおよび(ii)同キット中で、前記免疫原性組成物と情報リーフレットとを組み合わせるステップを含み、前記情報リーフレットが、大腸菌(E.coli)に対する機能的抗体を惹起する前記組成物の能力を記載する、プロセスを対象とする。
【0329】
ある実施形態では、本発明は、免疫原性組成物と情報リーフレットとを含むキットを生産するためのプロセスであって、(i)本開示の免疫原性組成物を生産するステップおよび(ii)同キット中で、前記免疫原性組成物と情報リーフレットとを組み合わせるステップを含み、前記情報リーフレットが、ヒト集団において大腸菌(E.coli)に対する抗O抗原抗体を惹起する組成物の能力を記載する、プロセスを対象とする。
【0330】
ある実施形態では、本発明は、免疫原性組成物と情報リーフレットとを含むキットを生産するためのプロセスであって、(i)本開示の免疫原性組成物を生産するステップおよび(ii)同キット中で、前記免疫原性組成物と情報リーフレットとを組み合わせるステップを含み、前記情報リーフレットが、ヒト集団において大腸菌(E.coli)に対するOPA力価を惹起する組成物の能力を記載する、プロセスを対象とする。
【0331】
ある実施形態では、本発明は、免疫原性組成物と情報リーフレットとを含むキットを生産するためのプロセスであって、(i)本開示の免疫原性組成物を生産するステップ;(ii)大腸菌(E.coli)に対する機能的抗体を惹起する前記組成物の能力を記載する情報リーフレットを印刷するステップ;(iii)同キット中で、前記免疫原性組成物と前記情報リーフレットとを組み合わせるステップを含むプロセスを対象とする。
【0332】
ある実施形態では、本発明は、免疫原性組成物と情報リーフレットとを含むキットを生産するためのプロセスであって、(i)本開示の免疫原性組成物を生産するステップ;(ii)ヒト集団において大腸菌(E.coli)に対するOPA力価を惹起する組成物の能力を記載する情報リーフレットを印刷するステップ;(iii)同キット中で、前記免疫原性組成物と前記情報リーフレットとを組み合わせるステップを含むプロセスを対象とする。
【実施例0333】
本発明をより良く理解するために、以下の実施例を記載する。これらの実施例は、例示に過ぎず、いかなる様式でも本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。以下の実施例は、本発明の一部の実施形態を例示するものである。
【0334】
(実施例1)
大腸菌(E.coli)およびサルモネラ・エンテリカ(S.enterica)株
臨床株および派生株を、表3に列挙する。さらなる参照株は、O25K5H1、臨床O25a血清型株;およびサルモネラ・エンテリカ(S.enterica)血清型ティフィムリウム(Typhimurium)株LT2を含んでいた。
【0335】
標的オープンリーディングフレームを除去するが、短いscar配列を残す大腸菌(E.coli)株の遺伝子ノックアウトを構築した。
【0336】
簡単にするために、加水分解されたO抗原鎖およびコア糖を、O多糖(OPS)の次に示す。
【0337】
【0338】
(実施例2)
wzzB、fepEおよびO抗原遺伝子クラスタークローニングのためのオリゴヌクレオチドプライマー
【0339】
【0340】
(実施例3)
プラスミド
プラスミドベクターおよびサブクローンを、表5に列挙する。種々の大腸菌(E.coli)およびサルモネラ菌(Salmonella)wzzBおよびfepE遺伝子を担持するPCR断片を、精製ゲノムDNAから増幅し、Invitrogen PCR(登録商標)Blunt cloning kitに提供される高コピー数プラスミド中にサブクローニングした(
図1)。このプラスミドは、pUCレプリコンに基づく。プライマーP3およびP4を使用して、その天然プロモーターと共に大腸菌(E.coli)wzzB遺伝子を増幅したが、それらは、それぞれ、UDP-グルコース-6-デヒドロゲナーゼおよびホスホリボシルアデニンヌクレオチドヒドロラーゼをコードする近位および遠位遺伝子中の領域に結合するように設計される(Genbank MG1655 NC_000913.3に注釈されている)。サルモネラ菌(Salmonella)fepE遺伝子およびプロモーターを含有するPCR断片を、以前に記載されたプライマーを使用して増幅した。同様の大腸菌(E.coli)fepEプライマーを、利用可能なGenbankゲノム配列または内部で生成された全ゲノムデータ(GAR2401およびO25K5H1の場合)に基づいて設計した。低コピー数プラスミドpBAD33を使用して、アラビノースプロモーターの制御下でO抗原生合成遺伝子を発現させた。プラスミドを最初に改変して、5’プロモーターおよび3’6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ(gnd)遺伝子と相同なユニバーサルプライマーを使用して増幅された長いPCR断片のクローニング(Gibson法による)を容易にした(表5)。O25b生合成オペロンを含有するpBAD33サブクローンを、
図1に例示する。
【0341】
【0342】
(実施例4)
O抗原精製
発酵ブロスを、酢酸で処理して、1~2%の最終濃度(4.1の最終pH)にした。OAgの抽出および脱脂を、酸処理したブロスを100℃に2時間加熱することによって達成した。酸加水分解の終わりに、バッチを周囲温度に冷却し、14%NH4OHを添加して、6.1の最終pHにした。中和されたブロスを遠心分離し、遠心分離液を収集した。遠心分離液に、リン酸ナトリウム中のCaCl2を添加し、得られたスラリーを室温で30minインキュベートした。遠心分離によって固体を除去し、10kDa膜を使用して遠心分離液を12倍に濃縮した後、水に対して2回透析濾過した。次いで、OAgを保持する保持液を、カーボンフィルターを使用して精製した。カーボン濾液を、4.0M硫酸アンモニウムを用いて1:1(v/v)に希釈した。最終硫酸アンモニウム濃度は2Mであった。硫酸アンモニウム処理したカーボン濾液を、泳動緩衝剤として2M硫酸アンモニウムを含む膜を使用してさらに精製した。OAgは流出液中に収集された。長いOAgについては、HIC濾液を濃縮した後、5kDa膜を使用して水(20倍透析容量)に対して緩衝剤交換した。短い(天然)OAg多糖については、MWCOをさらに低減させて、収率を増強した。
【0343】
(実施例5)
O25b長鎖O抗原のCRM197へのコンジュゲーション
第1のセットの長鎖O25b多糖-CRM197コンジュゲートを、過ヨウ素酸塩酸化、次いで、還元的アミノ化化学反応(RAC)を使用するコンジュゲーションを使用して生産した(表7)。コンジュゲートは、酸化レベルを変化させることによって3つの活性化レベル(低、中および高)で変化する。還元剤としてシアノ水素化ホウ素ナトリウムを使用して、凍結乾燥された活性化された多糖と、DMSO媒体中で復元された凍結乾燥されたCRM197とを反応させることによって、コンジュゲートを生産した。コンジュゲーション反応を23℃で24hにわたって実行した後、水素化ホウ素ナトリウムを使用して3hにわたってキャッピングした。コンジュゲーションクエンチングステップの後、5mMコハク酸塩/0.9%NaCl、pH6.0を使用して、100K MWCOの再生セルロース膜を用いる限外濾過/透析濾過によって、コンジュゲートを精製した。コンジュゲートの最終濾過を、0.22μm膜を使用して実施した。
【0344】
別途明示的に指摘されない限り、以下の実施例を通して開示されるコンジュゲートは、コア糖部分を含む。
【0345】
1.1.異種ポリメラーゼ鎖長調節因子によって提供される長鎖O抗原発現
初期の大腸菌(E.coli)株構築は、O25血清型に焦点を当てた。目標は、異種wzzBまたはfepE遺伝子がO25 wzzBノックアウト株においてより長い鎖長を提供するかどうかを見るためにそれらを過剰発現させることであった。最初に、血液単離物をPCRによってスクリーニングして、O25aおよびO25bサブタイプの株を同定した。次に、株を、アンピシリンに対する感受性についてスクリーニングした。wzzB欠失が導入された1つのアンピシリン感受性O25b単離物GAR2401が同定された。同様に、wzzB欠失を、O25a株O25K5H1中で行った。これらの突然変異の遺伝的相補性について、GAR2401およびO25K5H1に由来するwzzB遺伝子を、高コピーPCR-BluntIIクローニングベクター中にサブクローニングし、エレクトロポレーションによって両株に導入した。大腸菌(E.coli)K-12およびサルモネラ・エンテリカ(S.enterica)血清型ティフィムリウム(Typhimurium)LT2に由来するさらなるwzzB遺伝子;同様に、大腸菌(E.coli)O25K5H1、GAR2401、O25a ETEC、NR-5、O157:H7:K-およびサルモネラ・エンテリカ(S.enterica)血清型ティフィムリウム(Typhimurium)LT2に由来するfepE遺伝子をクローニングし、導入した。
【0346】
wzzBノックアウト株O25K5H1(O25a)およびGAR2401(O25b)のプラスミド形質転換体中でのLPS発現の遺伝的相補性が
図2に示される。細菌を、LB培地中で一晩増殖させ、LPSをフェノールで抽出し、SDS PAGE(4~12%アクリルアミド)により分解し、染色した。ゲルの各ウェルに、同数の細菌細胞(約2OD
600単位)から抽出されたLPSを載せた。LPSのサイズを、内部天然大腸菌(E.coli)LPS標準から、および広い鎖長分布を示す(1つの反復単位によって異なる)試料のサブセットから認識できるラダーを計測することによって見積もった。
図3のパネルAの左側に、O25a O25K5HΔwzzBのプラスミド形質転換体のLPSプロファイルを示す;右側には、O25b GAR2401ΔwzzB形質転換体の同様のプロファイルを示す。O25特異的血清を用いて精査した複製ゲルのイムノブロットを、
図3のパネルBに示す。
【0347】
この実験の結果は、相同なwzzB遺伝子の大腸菌(E.coli)O25aΔwzzB宿主への導入が、サルモネラ菌(Salmonella)LT2 wzzBと同様、短いO25 LPS(10~20x)の発現を回復させることを示す。GAR2401に由来するO25b wzzB遺伝子の導入は回復させないが、これは、この株に由来するWzzB酵素が欠損していることを示唆している。大腸菌(E.coli)WzzBアミノ酸配列の比較は、A210EおよびP253S置換が原因であり得ることを示唆する。重要なことには、O25a O25K5H1に由来するサルモネラ菌(Salmonella)LT2 fepEおよび大腸菌(E.coli)fepEは、非常に長い(VL)OAg LPSを発現する能力をもたらし、サルモネラ菌(Salmonella)LT2 fepEでは、大腸菌(E.coli)fepEによってもたらされるものをサイズにおいて超えるOAgが生じる。
【0348】
同様のパターンの発現が、GAR2401ΔwzzB形質転換体について観察された:大腸菌(E.coli)O25aまたはK12株wzzBは、短いLPSを産生する能力を回復させた。サルモネラ菌(Salmonella)LT2 fepEは最も長いLPSを生成し、大腸菌(E.coli)fepEはそれよりわずかに短いLPSを生成したが、サルモネラ菌(Salmonella)LT2 wzzBは中間サイズの長いLPS(L)をもたらした。非常に長いLPSを産生する他の大腸菌(E.coli)fepE遺伝子の能力を、大腸菌(E.coli)O25aΔwzzBの形質転換体を用いる別の実験において評価した。GAR2401、O25a ETEC株およびO157シゲラ(Shigella)毒素産生株に由来するfepE遺伝子も、サルモネラ菌(Salmonella)LT2 fepEについて生成されたLPSの長さほどではないが、非常に長いLPSを産生する能力をもたらした(
図4)。FepEアミノ酸配列のアラインメントを、
図5に示す。
【0349】
サルモネラ菌(Salmonella)LT2 fepEが、評価されたポリメラーゼ調節因子の最も長いLPSを生成する血清型O25aおよびO25b株において確立されたら、本発明者らは次に、それが他の大腸菌(E.coli)血清型においても非常に長いLPSを産生するかどうかを決定しようとした。血清型O1、O2、O6、O15およびO75の野生型菌血症単離物に、サルモネラ菌(Salmonella)fepEプラスミドおよび抽出されたLPSを形質転換した。
図6に示される結果は、サルモネラ菌(Salmonella)fepEが血液感染と関連する他の一般的な血清型において非常に長いLPSを作る能力をもたらすことができることを確認するものである。結果はまた、サルモネラ菌(Salmonella)fepEのプラスミドに基づく発現が、これらの株において内因性wzzBによって通常示される鎖長の制御を無効化するようであることも示す。
【0350】
1.2.一般的な大腸菌(E.coli)宿主株におけるO抗原のプラスミドに基づく発現
生体プロセス発達の観点から、複数の株の代わりに一般的な大腸菌(E.coli)宿主において異なる血清型のO抗原を産生する能力は、個々の抗原の製造を大きく単純化するであろう。この目的のために、異なる血清型に由来するO抗原遺伝子クラスターをPCRによって増幅し、アラビノース調節性プロモーターの制御下で低コピー数プラスミド(pBAD33)中にクローニングした。このプラスミドは、異なる(p15a)レプリコンおよび異なる選択マーカー(クロラムフェニコール対カナマイシン)を担持するため、大腸菌(E.coli)中のサルモネラ菌(Salmonella)LT2 fepEプラスミドと適合する(同時に存在し得る)。最初の実験において、pBAD33 O25bオペロンプラスミドサブクローンを、サルモネラ菌(Salmonella)LT2 fepEプラスミドと共に、GAR2401ΔwzzB中に同時トランスフェクトし、形質転換体を、0.2%アラビノースの存在下または非存在下で増殖させた。
図7に示される結果は、非常に長いO抗原LPSがアラビノース依存的様式で産生されることを示した。
【0351】
他の血清型からクローニングされたO抗原遺伝子クラスターも同様に評価し、その結果を
図8に示した。サルモネラ菌(Salmonella)LT2 fepEとpBAD33-OAgプラスミドとの同時発現により、O1、O2(4つのクローンのうちの2つについて)、O16、O21およびO75血清型に対応する検出可能な長鎖LPSが得られた。未知の理由から、pBAD33-O6プラスミドは、試験した4つ全部の単離物において検出可能なLPSをもたらすことができなかった。発現レベルは可変性であったが、結果は、一般的な宿主中での長鎖O抗原の発現が実現可能であることを示している。しかしながら、一部の場合、例えば、プラスミドプロモーター配列の改変による、発現を改善するためのさらなる最適化が必要であり得る。
【0352】
サルモネラ菌(Salmonella)LT2 fepEプラスミドを含む、または含まない異なる血清型O25大腸菌(E.coli)株に由来するLPSのプロファイルを、
図11に示す。2つの株を、O抗原の発酵、抽出および精製について試験した:天然の短いO25b OAgの産生については、GAR2831;および長いO25b OAgの産生については、GAR2401ΔwzzB/fepE。
図11のSDS-PAGEゲルに示される対応する短い、および長い形態のLPSは赤色で強調される。多糖を、酢酸を用いて発酵した細菌から直接抽出し、精製した。精製された短い、および長い、または非常に長いO25b多糖のサイズ排除クロマトグラフィープロファイルを、
図12に示す。2つのロットの短い多糖(GAR2831由来)の特性を、単一の非常に長い多糖調製物(GAR2401ΔwzzB/fepE株由来)と比較する。長いO抗原の分子量は、短いO抗原のそれよりも3.3倍大きく、反復単位数は約65(非常に長い)と約20であると見積もられた。表6を参照されたい。
【0353】
【0354】
非常に長いO25b O抗原多糖を、従来の還元的アミノ化プロセスを使用して、ジフテリアトキソイドCRM197にコンジュゲートさせた。3つの異なるロットの糖コンジュゲートを、変化する過ヨウ素酸塩活性化度で調製した:中(5.5%)、低(4.4%)および高(8.3%)。得られる調製物および非コンジュゲート化多糖は、内毒素夾雑物を含まないことが示された(表7)。
【0355】
4匹のウサギの群(New Zealand Whiteのメス)に、
図13Aに示されるスケジュールに従って、10mcgの糖コンジュゲートおよび20mcgのQS21アジュバントをそれぞれワクチン接種し、血清を採取した(VAC-2017-PRL-EC-0723)。10mcg用量は、細菌糖コンジュゲートの評価においてウサギに慣用的に投与される範囲の下端であることは注目に値する(20~50mcgがより典型的である)。また、1群のウサギには、別の試験(VAC-2017-PRL-GB-0698)において、同じ用量(10mcgの多糖+20mcgのQS21アジュバント)および同一の投与スケジュールを使用して、非コンジュゲート化多糖をワクチン接種した。
【0356】
カルボキシビーズを、非コンジュゲート化O25bの長い多糖を予め結合させたメチル化ヒト血清アルブミンで被覆したLUMINEXアッセイにおいて、3つのO25b糖コンジュゲート調製物に対するウサギ抗体応答を評価した。血清試料中のO25b特異的IgG抗体の存在を、フィコエリトリン(PE)標識抗IgG二次抗体を用いて検出した。最良に応答するウサギ(4匹の各群に由来する1匹)において第0週(免疫前)、第6週(用量2後、PD2)、第8週(用量3後、PD3)および第12週(用量4後、PD4)で採取した血清中で観察された免疫応答のプロファイルを、
図14に示す。12匹のウサギのいずれにおいても、有意な免疫前血清IgG力価は検出されなかった。対照的に、O25b抗原特異的抗体応答が、3つ全部の群におけるウサギに由来するワクチン接種後血清において検出され、低活性化糖コンジュゲート群の応答は、中または高活性化糖コンジュゲート群よりもわずかに高い傾向があった。最大応答は、用量3後の時点までに観察された。低活性化群の1匹のウサギおよび高活性化群の1匹のウサギは、ワクチン接種に応答することができなった(非応答動物)。
【0357】
長いO25b OAg多糖の免疫原性に対するCRM
197担体タンパク質コンジュゲーションの影響を評価するために、非コンジュゲート化多糖をワクチン接種したウサギに由来する血清中の抗体の存在を、低活性化CRM
197糖コンジュゲートをワクチン接種したウサギに由来する血清と比較した(
図15)。意外なことに、遊離多糖は免疫原性ではなく、免疫血清および免疫前血清においてIgG応答を実質的に惹起しなかった(パネルA)。対照的に、ある血清希釈率範囲(1:100~1:6400)にわたって、O25b OAg-CRM
197をワクチン接種した4匹のウサギのうちの3匹に由来するPD4血清中で、免疫前血清レベルより約10倍高いO25b OAg特異的IgG平均蛍光強度値(MFI)が観察された。これらの結果は、10mcgの用量レベルでO25b OAg多糖に対するIgG抗体を生成するための担体タンパク質コンジュゲーションの必要性を示している。
【0358】
TSAプレート上で増殖させた細菌を、PBS中に懸濁し、2.0のOD600に調整し、PBS中の4%パラホルムアルデヒド中で固定した。4%BSA/PBS中で1hブロックした後、細菌を、2%BSA/PBS中の免疫前およびPD3免疫血清の連続希釈液と共にインキュベートし、結合したIgGを、PE標識二次F(ab)抗体を用いて検出した。
【0359】
O25b OAg-CRM197によって惹起されたO25b抗体の特異性を、インタクトな細菌を用いるフローサイトメトリー実験において示した。IgGの全細胞への結合を、Accuriフローサイトメーター中でPEコンジュゲート化F(ab’)2断片ヤギ抗ウサギIgGを用いて検出した。
【0360】
図16に示されるように、免疫前のウサギ抗体は、野生型血清型O25b単離物GAR2831およびGAR2401またはK-12大腸菌(E.coli)株に結合することができなかったが、マッチさせたPD3抗体は濃度依存的様式でO25b細菌を染色した。OAgを発現する能力を欠く陰性対照K-12株は、その表面上の露出した内側コアオリゴ糖エピトープの存在に十中八九起因して、PD3抗体の非常に弱い結合しか示さなかった。サルモネラ菌(Salmonella)fepEプラスミドの、野生型O25b単離物への導入により、より長いOAg多糖によって提供されるより高い密度の免疫原性エピトープと一致して、有意に増強された染色が得られた。
【0361】
結論:記載された結果は、サルモネラ菌(Salmonella)fepEがサルモネラ菌(Salmonella)種における非常に長いO抗原多糖の決定因子であるだけでなく、異なるO抗原血清型の大腸菌(E.coli)株に対して、非常に長いOAgを作る能力をもたらすことができることを示している。精製および適切な担体タンパク質への化学的コンジュゲーションを容易にすることによって、ならびにより高い分子量の複合体の形成を介して免疫原性を潜在的に増強することによって、生体プロセス発達に関する特性が改善されたO抗原ワクチン多糖を生産するために、この特性を活用することができる。
【0362】
(実施例6)
初期ウサギ試験は第1のポリクローナル抗体試薬およびRAC O25b OAg-CRM197に対するIgG応答を生成した
長鎖O25b多糖-CRM197コンジュゲートを、過ヨウ素酸塩酸化、次いで、還元的アミノ化化学反応(RAC)を使用するコンジュゲーションを使用して生産した(表7)。表17も参照されたい。
【0363】
【0364】
ウサギ試験1(VAC-2017-PRL-EC-0723)(実施例5にも上記されている)では、10μgのL-、M-またはH-活性化RAC(+QS21)を用いる5匹のウサギ/群が、
図13Aに示されるスケジュールに従って組成物を受けた。非コンジュゲート化遊離O25b多糖は、追跡ウサギ試験(VAC-2017-PRL-GB-0698)において免疫原性ではないことが観察された(
図18を参照されたい)。
【0365】
ウサギ試験2(VAC-2018-PRL-EC-077)では、L-RAC(AlOH
3、QS21、またはアジュバントなし)を用いる2匹のウサギ/群が、
図13Bに示されるスケジュールに従って組成物を受けた。
【0366】
ウサギ4-1、4-2、5-1、5-2、6-1、および6-2は、実施例5に記載された非常に長い非コンジュゲート化O25b多糖を受け、第18週の血清を試験した。
【0367】
より具体的には、50μgの非コンジュゲート化O25b、100μgのAlOH3アジュバントを含む組成物を、ウサギ4-1に投与した。50μgの非コンジュゲート化O25b、100μgのAlOH3アジュバントを含む組成物を、ウサギ4-2に投与した。50μgの非コンジュゲート化O25b、50μgのQS-21アジュバントを含む組成物を、ウサギ5-1に投与した。50μgの非コンジュゲート化O25b、50μgのQS-21アジュバントを含む組成物を、ウサギ5-2に投与した。50μgの非コンジュゲート化O25bを含み、アジュバントを含まない組成物を、ウサギ6-1に投与した。50μgの非コンジュゲート化O25bを含み、アジュバントを含まない組成物を、ウサギ6-2に投与した。
【0368】
(実施例7)
O25b RACコンジュゲートを用いたウサギ試験:dLIA血清希釈力価
試験1(VAC-2017-PRL-EC-0723)に由来する最良に応答するウサギに対する、ウサギ試験2(VAC-2018-PRL-EC-077)のO25b dLIA血清希釈力価。これらの実験のために、O25b長鎖O抗原のポリリシンコンジュゲートを、以前に記載されたメチル化血清アルブミン長鎖O抗原混合物の代わりにLuminexカルボキシビーズ上に受動的に吸着させる、改変された直接結合Luminexアッセイを実行した。ポリリシン-O25bコンジュゲートの使用は、アッセイの感度およびIgG濃度依存的応答の質を改善し、曲線適合の使用(4パラメーター非線形式)によって血清希釈率の決定を可能にした。第1の試験に由来する最も高い力価のウサギに由来する血清中のO25bIgG力価を、表8中の第2の試験のウサギに由来する血清と比較する。
【0369】
【0370】
第2のウサギ試験におけるより高用量(50/20μg対10μg)は、IgG力価を改善しなかった。
【0371】
2カ月の休止は、IgG応答を促進する(より短い間隔については観察されなかった)。
【0372】
ミョウバンは、QS21またはアジュバントなしと比較して、ウサギにおけるIgG応答を増強するようである。
【0373】
子ウサギ補体(BRC)および好中球の供給源としてのHL60細胞を用いるオプソニン貪食作用アッセイ(OPA)を確立して、O抗原糖コンジュゲートの機能的免疫原性を測定した。大腸菌(E.coli)GAR2831の予め凍結された細菌ストックを、37℃でLuriaブロス(LB)培地中で増殖させた。細胞をペレット化し、20%グリセロールを添加したPBS中、1mlあたり1OD600単位の濃度で懸濁し、凍結した。予め滴定し解凍した細菌を、1%ゼラチンを含むHBSS(ハンクス平衡塩溶液)中で0.5x105CFU/mlに希釈し、10μL(103CFU)を、U底組織培養マイクロプレート中、20μLの連続希釈した血清と混合し、混合物を、5%CO2インキュベーター中、37℃で30min、700rpm(BELLCO Shaker)で振とうした。10μlの2.5%補体(子ウサギ血清、PEL-FREEZ 31061-3、HBG中で予め希釈)および20μLのHL-60細胞(0.75x107/ml)および40μLのHBGをU底組織培養マイクロプレートに添加し、混合物を5%CO2インキュベーター中、37℃で45min、700rpm(BELLCO Shaker)で振とうした。続いて、それぞれ100μLの反応液のうちの10μLを、100μLの水を加え、減圧濾過し、150μLの50%LBを加えることによって調製された、予め湿らせたMILLIPORE MULTISCREENHTS HVフィルタープレートの対応するウェルに移した。フィルタープレートを減圧濾過し、5%CO2インキュベーター中、37℃で一晩インキュベートした。次の日、IMMUNOSPOT(登録商標)分析装置およびIMMUNOCAPTUREソフトウェアを使用して、COOMASSIE色素および脱染溶液を用いて固定、染色、および脱染した後、コロニーを数えた。OPA活性の特異性を確立するために、免疫血清を、100μg/mLの精製された長鎖O25b O抗原と共に予備インキュベートした後、OPA反応における他のアッセイ成分と混合した。OPAアッセイは、HL60細胞または補体に対する観察される殺傷の依存性を証明するために、これらの成分を含まない対照反応を含む。
【0374】
両方のウサギ試験に由来する代表的なウサギに由来するマッチさせた免疫前およびワクチン接種後の血清試料を、アッセイにおいて評価し、血清希釈力価を決定した(表9、
図19A~B)。非コンジュゲート化O25b長鎖O抗原多糖と共に予備インキュベートすることにより、OPAの特異性を示す殺菌活性が遮断された(
図19C)。表9はOPA力価を示す。
【0375】
ウサギ2-3に、以下のように投薬した:ウサギ2-3の投薬:10/10/10/10μgのRACコンジュゲート+QS21、用量4後(PD)に出血させた。ウサギ1-2に、以下のように投薬した:50/20/20/20μgのRACコンジュゲート+Al(OH)3、PD4に出血させた。
【0376】
【0377】
(実施例8)
非コンジュゲート化O25b長鎖O抗原多糖および誘導されたO25b RAC/DMSO長鎖O抗原糖コンジュゲートにより惹起されるO抗原O25b IgGレベル
10匹のCD-1マウスの群に、皮下注射により、0.2または2.0μg/動物のO25b RAC/DMSO長鎖O抗原糖コンジュゲートを、第0、5および13週で投与し、免疫原性試験のために第3週(用量1後、PD1)、第6週(用量2後、PD2)および第13週(用量3後、PD3)の時点で採血した。抗原特異的IgGのレベルを、内部標準としてのO25b特異的マウスmAbを用いる定量的Luminexアッセイ(実施例7の詳細を参照されたい)によって決定した。ベースラインIgGレベル(点線)を、20匹の無作為に選択されたワクチン非接種マウスからプールされた血清中で決定した。遊離非コンジュゲート化O25b長鎖O抗原多糖免疫原は、任意の時点でベースラインレベルを超えるIgGを誘導しなかった。対照的に、IgG応答は、O25b-CRM197 RAC長鎖コンジュゲート糖コンジュゲートの2回投与後に観察された:ロバストで均一なIgG応答が、PD3までに観察され、PD2で中間レベルおよびより変動性のIgGレベルが観察された。GMT IgG値(ng/ml)は95%CIエラーバーと共に示される。
図20を参照されたい。
【0378】
(実施例9)
O25b子ウサギ補体(BRC)OPAの特異性
A~B)ウサギ2~3および1~2に由来するO25b RAC/DMSO長鎖O抗原免疫後血清(マッチさせた免疫前対照血清ではなく)は、殺菌性OPA活性を示す。C)ウサギ1~2に由来する免疫血清のOPA活性を、100μg/mLの長鎖O抗原O25b多糖と共に予備インキュベートすることによって遮断した。GAR2831細菌株を、37℃で1h、HL60、2.5%BRCおよび血清の連続希釈液と共にインキュベートし、フィルタープレート上のマイクロコロニーを計測することにより(CFU)、生存する細菌を数えた。
図19を参照されたい。
【0379】
(実施例10)
RACおよびeTEC O25b長鎖糖コンジュゲートは、単一末端糖コンジュゲートよりも免疫原性が高い
カルバペネム耐性フルオロキノロン(fluoroquinlone)耐性MDR株Atlas187913を用いたBRC OPAアッセイ。20匹のCD-1マウスの群に、
図21に示されるのと同じスケジュールに従って2μgの糖コンジュゲートをワクチン接種し、用量2後(PD2)(パネルA)および用量3後(PD3)(パネルB)の時点でOPA応答を決定した。バーは、95%CIを含むGMTを示す。ワクチン非接種ベースラインを超える応答動物率が示される。異なる群に由来する対数変換データを評価して、Welchの補正を行った対応のないt検定(Graphpad Prism)を使用して、差異が統計的に有意であるかどうかを評価した。結果を、表10にまとめる。
図21を参照されたい。2μgのeTEC O1a長鎖糖コンジュゲートをワクチン接種したマウスにおいては、PD2およびPD3でのO1aに対するOPA力価(データは示さない)は、表10に示される、それぞれ、PD2およびPD3でのO25bに対するOPA力価よりも高いことが観察された。
【0380】
【0381】
(実施例11)
多糖活性化のレベルを改変することによってeTEC化学のOPA免疫原性を改善することができる
カルバペネム耐性フルオロキノロン耐性MDR株Atlas187913を用いたBRC OPAアッセイ。20匹のCD-1マウスの群に、0.2μgまたは2μgの示された長鎖O25b eTEC糖コンジュゲートをワクチン接種し、OPA応答をPD2の時点で決定した。4%活性化と17%活性化の群に由来する集約された対数変換データを評価して、Welchの補正を行った対応のないt検定(Graphpad Prism)を使用して、OPA応答の差異が統計的に有意であることを確認した。個々の群に関するGMTおよび応答動物率を、表11にまとめる。
図22を参照されたい。
【0382】
【0383】
(実施例12)
負荷試験は、長鎖大腸菌(E.coli)O25b eTECコンジュゲートが3つの用量後に保護を惹起することを示す
示されたスケジュールに従って2μgの用量で免疫された20匹のCD-1マウスの群に、1x10
9個のGAR2831株の細菌をIPによりチャレンジした。その後の生存を、6日間にわたってモニタリングした。4%、10%または17%のレベルで活性化されたeTEC糖コンジュゲートをワクチン接種したマウスの群は、致死的感染から保護されたが、ワクチン非接種対照マウスまたは2μgの非コンジュゲート化O25b長鎖多糖をワクチン接種したマウスは保護されなかった。
図23を参照されたい。
【0384】
(実施例13)
eTEC結合糖コンジュゲートの調製のためのプロセス
糖の活性化およびシスタミン二塩酸塩を用いたチオール化。糖を、無水ジメチルスルホキシド(DMSO)中で復元する。溶液の水分含量を、Karl Fischer(KF)分析によって決定し、0.1~1.0%、典型的には0.5%の水分含量に達するように調整する。
【0385】
活性化を開始させるために、1,1’-カルボニル-ジ-1,2,4-トリアゾール(CDT)または1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)の溶液を、DMSO中、100mg/mLの濃度で新鮮に調製する。様々な量のCDT/CDI(1~10モル当量)を用いて糖を活性化し、rtまたは35℃で1~5時間、反応を進行させる。活性化反応溶液中の残留CDI/CDTをクエンチするために、水を添加した。添加される水の量を決定し、最終水分含量が総水分量の2~3%となるように計算を実施する。反応をrtで0.5時間進行させた。50mg/mLの濃度の無水DMSO中でシスタミン二塩酸塩を新鮮に調製する。活性化された糖を、1~2モル当量のシスタミン二塩酸塩と反応させる。あるいは、活性化された糖を、1~2モル当量のシスタミン塩酸塩と反応させる。チオール化反応をrtで5~20時間進行させて、チオール化された糖を生産する。チオール化レベルは、添加されるCDT/CDIの量によって決定される。
【0386】
活性化されたチオール化された糖の還元および精製。チオール化された糖の反応混合物に、3~6モル当量のトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の溶液を添加し、rtで3~5時間進行させる。次いで、反応混合物を、予め冷やした10mMリン酸二水素ナトリウムに添加することによって5~10倍に希釈し、5μmフィルターを通して濾過する。チオール化された糖の透析濾過を、30~40倍透析容量の予め冷やした10mMリン酸二水素ナトリウムに対して実施する。活性化されたチオール化された糖の保持液のアリコートを取り出し、糖濃度およびチオール含量を決定する(Ellmanアッセイ)。
【0387】
ブロモアセチル化された担体タンパク質の活性化および精製。担体タンパク質の遊離アミノ基を、ブロモ酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(BAANS)、ブロモアセチルブロミド、または別の好適な試薬などのブロモアセチル化剤との反応によってブロモアセチル化する。
【0388】
担体タンパク質(0.1Mリン酸ナトリウム中、pH8.0±0.2)を、最初に活性化の前にpH約7で、8±3℃で保持する。タンパク質溶液に、ジメチルスルホキシド(DMSO)ストック溶液(20mg/mL)としてブロモ酢酸のN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(BAANS)を、0.25~0.5のBAANS:タンパク質(w/w)の比で添加する。反応物を、30~60分間にわたって5±3℃で穏やかに混合する。得られるブロモアセチル化(活性化)されたタンパク質を、例えば、10mMリン酸(pH7.0)緩衝剤を使用して、10kDaのMWCOの膜を使用する限外濾過/透析濾過によって精製する。精製後、ブロモアセチル化された担体タンパク質のタンパク質濃度を、Lowryのタンパク質アッセイによって見積もる。
【0389】
活性化の程度を、伝導率検出が抑制されたイオン交換液体クロマトグラフィー(イオンクロマトグラフィー)によるトータルブロミドアッセイによって決定する。活性化されたブロモアセチル化されたタンパク質上の結合した臭化物を、アッセイ試料調製物中のタンパク質から切断し、存在し得る遊離臭化物と共に定量する。タンパク質上の残存する共有結合した臭化物を、試料をアルカリ性2-メルカプトエタノール中で加熱することによってイオン性臭化物に変換することによって遊離させる。
【0390】
ブロモアセチル化されたCRM197の活性化および精製。10mMリン酸緩衝化0.9%NaCl pH7(PBS)を用いてCRM197を5mg/mLに希釈した後、1Mストック溶液を使用して0.1M NaHCO3 pH7.0にした。20mg/mLのDMSOのBAANSストック溶液を使用して、BAANSを、CRM197:BAANS比1:0.35(w:w)で添加した。反応混合物を3℃~11℃で30min~1時間にわたってインキュベートした後、10K MWCO膜および10mMリン酸ナトリウム/0.9%NaCl、pH7.0を使用する限外濾過/透析濾過によって精製した。精製された活性化されたCRM197を、Lowryアッセイによってアッセイして、タンパク質濃度を決定した後、PBSで5mg/mLに希釈した。凍結保護剤としてスクロースを5%wt/volとなるように添加し、活性化されたタンパク質を凍結し、コンジュゲーションに必要となるまで-25℃で保存した。
【0391】
CRM197のリシン残基のブロモアセチル化は非常に一貫しており、利用可能な39個のリシンから15~25個のリシンの活性化が得られた。この反応は、高収率の活性化されたタンパク質を生産した。
【0392】
活性化されたチオール化された糖の、ブロモアセチル化された担体タンパク質へのコンジュゲーション。続いて、ブロモアセチル化された担体タンパク質および活性化されたチオール化された糖を添加する。糖/タンパク質インプット比は0.8±0.2である。反応pHを、1M NaOH溶液を用いて9.0±0.1に調整する。コンジュゲーション反応を、5℃で20±4時間にわたって進行させる。
【0393】
残存する反応性官能基のキャッピング。担体タンパク質上の未反応のブロモアセチル化された残基を、5℃で3~5時間、キャッピング試薬としての2モル当量のN-アセチル-L-システインと反応させることによってクエンチする。残存する遊離スルフヒドリル基を、5℃で20~24時間、4モル当量のヨードアセトアミド(IAA)でキャッピングする。
【0394】
eTEC結合糖コンジュゲートの精製。コンジュゲーション反応(IAAキャッピング後)混合物を、0.45μmフィルターを通して濾過する。糖コンジュゲートの限外濾過/透析濾過を、5mMコハク酸塩-0.9%塩水、pH6.0に対して実施する。次いで、糖コンジュゲート保持液を、0.2μmフィルターを通して濾過する。糖コンジュゲートのアリコートを、アッセイのために取り出す。残りの糖コンジュゲートを、5℃で保存する。表14、表15、表16、表17、および表18を参照されたい。
【0395】
(実施例14)
大腸菌(E.coli)-O25B ETECコンジュゲートの調製
活性化プロセス-大腸菌(E.coli)-O25bリポ多糖の活性化。凍結乾燥された大腸菌(E.coli)-O25b多糖を、無水ジメチルスルホキシド(DMSO)中で復元した。凍結乾燥されたO25b/DMSO溶液の水分含量を、Karl Fischer(KF)分析によって決定した。O25b/DMSO溶液にWFIを添加することによって水分含量を調整して、0.5%の水分含量を達成した。
【0396】
活性化を開始させるために、1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)を、DMSO溶液中、100mg/mLとして新鮮に調製した。チオール化ステップの前に、大腸菌(E.coli)-O25b多糖を、様々な量のCDIで活性化した。CDI活性化を、rtまたは35℃で1~3時間にわたって実行した。活性化反応溶液中の残留CDIをクエンチするために、水を添加した。添加される水の量を決定し、最終水分含量が総水分量の2~3%となるように計算を実施する。反応をrtで0.5時間進行させた。
【0397】
活性化された大腸菌(E.coli)-O25b多糖のチオール化。シスタミン二塩酸塩を、無水DMSO中で新鮮に調製し、1~2モル当量のシスタミン二塩酸塩を、活性化された多糖の反応溶液に添加した。反応をrtで20±4時間進行させた。
【0398】
活性化されたチオール化された大腸菌(E.coli)-O25b多糖の還元および精製。チオール化された糖の反応混合物に、3~6モル当量のトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)の溶液を添加し、rtで3~5時間進行させた。次いで、反応混合物を、予め冷やした10mMリン酸二水素ナトリウムに添加することによって5~10倍に希釈し、5μmフィルターを通して濾過した。チオール化された糖の透析濾過を、5K MWCOの限外濾過膜カセットを用いて40倍透析容量の予め冷やした10mMリン酸二水素ナトリウムに対して実施した。チオール化されたO25b多糖保持液を、糖濃度アッセイとチオール(Ellman)アッセイとの両方のために取り出した。活性化プロセスのフローダイアグラムを、
図25Aに提供する。
【0399】
コンジュゲーションプロセス-チオール化された大腸菌(E.coli)-O25b多糖の、ブロモアセチル化されたCRM197へのコンジュゲーション。実施例13に記載されたように、ブロモアセチル化によってCRM197担体タンパク質を別々に活性化した後、コンジュゲーション反応のために活性化された大腸菌(E.coli)-O25b多糖と反応させた。ブロモアセチル化されたCRM197と、チオール化されたO25b多糖とを、反応容器中で一緒に混合した。糖/タンパク質インプット比は0.8±0.2であった。反応pHを、8.0~10.0に調整した。コンジュゲーション反応を、5℃で20±4時間にわたって進行させた。
【0400】
ブロモアセチル化されたCRM197およびチオール化された大腸菌(E.coli)-O25b多糖上の反応基のキャッピング。CRM197タンパク質上の未反応のブロモアセチル化された残基を、5℃で3~5時間、2モル当量のN-アセチル-L-システインと反応させることによってキャッピングした後、5℃で20~24時間、4モル当量のヨードアセトアミド(IAA)を用いて、チオール化されたO25b-多糖の残存する遊離スルフヒドリル基をキャッピングした。
【0401】
eTEC結合大腸菌(E.coli)-O25b糖コンジュゲートの精製。コンジュゲーション溶液を、0.45μmまたは5μmのフィルターを通して濾過した。O25b糖コンジュゲートの透析濾過を、100K MWCOの限外濾過膜カセットを用いて実行した。5mMコハク酸塩-0.9%塩水、pH6.0に対して透析濾過を実施した。次いで、大腸菌(E.coli)-O25b糖コンジュゲート100K保持液を、0.22μmフィルターを通して濾過し、5℃で保存した。
【0402】
コンジュゲーションプロセスのフローダイアグラムを、
図25Bに提供する。
【0403】
結果
いくつかのバッチの大腸菌(E.coli)-O25b eTEC糖コンジュゲートに関する反応パラメーターおよび特性評価データを、表12に示す。シスタミン二塩酸塩を用いるCDI活性化-チオール化は、41~92%の糖収率および5%未満から14%の遊離糖を有する糖コンジュゲートを生成した。表14、表15、表16、表17、および表18も参照されたい。
【0404】
【0405】
(実施例15)
大腸菌(E.coli)O抗原多糖-CRM197 eTECコンジュゲートの調製のための手順(大腸菌(E.coli)血清型O25b、O1a、O2、およびO6に由来するO抗原に適用される)
多糖の活性化
大腸菌(E.coli)O抗原多糖を、無水ジメチルスルホキシド(DMSO)中で復元する。活性化を開始させるために、様々な量の1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)(1~10モル当量)を多糖溶液に添加し、rtまたは35℃で1~5時間、反応を進行させる。次いで、水(2~3%、v/v)を添加して、活性化反応溶液中の残留CDIをクエンチした。反応をrtで0.5時間進行させた後、1~2モル当量のシスタミン二塩酸塩を添加する。反応をrtで5~20時間進行させた後、3~6モル当量のトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)で処理して、チオール化された糖を生産する。チオール化レベルは、添加されるCDIの量によって決定される。
【0406】
次いで、反応混合物を、予め冷やした10mMリン酸二水素ナトリウムに添加することによって5~10倍に希釈し、5μmフィルターを通して濾過する。チオール化された糖の透析濾過を、30~40倍透析容量の予め冷やした10mMリン酸二水素ナトリウムに対して実施する。活性化されたチオール化された糖の保持液のアリコートを取り出し、糖濃度およびチオール含量を決定する(Ellmanアッセイ)。
【0407】
担体タンパク質(CRM197)の活性化
CRM197(0.1Mリン酸ナトリウム中、pH8.0±0.2)を、最初に活性化の前にpH約8で、8±3℃で保持する。タンパク質溶液に、ジメチルスルホキシド(DMSO)ストック溶液(20mg/mL)としてブロモ酢酸のN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(BAANS)を、0.25~0.5のBAANS:タンパク質(w/w)の比で添加する。反応物を、30~60分間にわたって5±3℃で穏やかに混合する。得られるブロモアセチル化(活性化)されたタンパク質を、例えば、10mMリン酸(pH7.0)緩衝剤を使用して、10kDaのMWCOの膜を使用する限外濾過/透析濾過によって精製する。精製後、ブロモアセチル化された担体タンパク質のタンパク質濃度を、Lowryのタンパク質アッセイによって見積もる。
【0408】
コンジュゲーション
続いて、活性化されたCRM197および活性化された大腸菌(E.coli)O抗原多糖を、リアクターに添加し、混合する。糖/タンパク質インプット比は1±0.2である。反応pHを、1M NaOH溶液を用いて9.0±0.1に調整する。コンジュゲーション反応を、5℃で20±4時間にわたって進行させる。担体タンパク質上の未反応のブロモアセチル化された残基を、5℃で3~5時間、キャッピング試薬としての2モル当量のN-アセチル-L-システインと反応させることによってクエンチする。残存する遊離スルフヒドリル基を、5℃で20~24時間、4モル当量のヨードアセトアミド(IAA)でキャッピングする。次いで、反応混合物を、5mMコハク酸塩-0.9%塩水、pH6.0に対して実施される限外濾過/透析濾過を使用して精製する。次いで、精製されたコンジュゲートを、0.2μmフィルターを通して濾過する。表14、表15、表16、表17、および表18を参照されたい。
【0409】
(実施例16)
一般的手順-還元的アミノ化化学反応(RAC)によるO抗原(大腸菌(E.coli)血清型O1、O2、O6、25b由来)多糖のコンジュゲーション
ジメチルスルホキシド中でのコンジュゲーション(RAC/DMSO)
多糖の活性化
計算された量の500mMリン酸ナトリウム緩衝剤(pH6.0)および注射用水(WFI)の連続添加によって100mMリン酸ナトリウム緩衝剤(pH6.0±0.2)中で多糖酸化を実行して、2.0g/Lの最終多糖濃度を得た。必要に応じて、反応pHを、近似的に、pH6.0に調整した。pH調整後、反応温度を4℃に冷却した。酸化を、約0.09~0.13モル当量の過ヨウ素酸ナトリウムの添加によって開始させた。酸化反応を、近似的に、20±4hにわたって5±3℃で実施した。
【0410】
活性化された多糖の濃度および透析濾過を、5K MWCO限外濾過カセットを使用して実行した。透析濾過を、20倍透析容量のWFIに対して実施した。次いで、精製された活性化された多糖を5±3℃で保存した。精製された活性化された糖を、特に、(i)比色アッセイによる糖濃度;(ii)比色アッセイによるアルデヒド濃度;(iii)酸化度;および(iv)SEC-MALLSによる分子量によって特性評価する。
【0411】
活性化された多糖と、スクロース賦形剤との混合、および凍結乾燥
活性化された多糖を、スクロースと、活性化された多糖1グラムあたり25グラムのスクロースの比で混合した。次いで、混ぜ合わせた混合物のボトルを凍結乾燥した。凍結乾燥の後、凍結乾燥された活性化された多糖を含有するボトルを、-20±5℃で保存した。計算された量のCRM197タンパク質をシェル凍結し、別々に凍結乾燥した。凍結乾燥されたCRM197を、-20±5℃で保存した。
【0412】
凍結乾燥された活性化された多糖および担体タンパク質の復元
凍結乾燥された活性化された多糖を、無水ジメチルスルホキシド(DMSO)中で復元した。多糖の完全な溶解時に、復元のために等量の無水DMSOを、凍結乾燥されたCRM197に添加した。
【0413】
コンジュゲーションおよびキャッピング
復元された活性化された多糖を、反応容器中で復元されたCRM197と混ぜ合わせた後、完全に混合して、シアノ水素化ホウ素ナトリウムとのコンジュゲーションを開始する前に透明な溶液を得た。反応溶液中の最終多糖濃度は、約1g/Lであった。反応混合物に0.5~2.0モル当量のシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加し、23±2℃で20~48hインキュベートすることによって、コンジュゲーションを開始させた。2モル当量の水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を添加することによってコンジュゲーション反応を終結させて、未反応のアルデヒドをキャッピングした。このキャッピング反応は、23±2℃で3±1hにわたって継続した。
【0414】
コンジュゲートの精製
100~300KのMWCOの膜を使用する接線流濾過による精製に備えて、コンジュゲート溶液を、冷やした5mMコハク酸塩-0.9%塩水(pH6.0)で1:10に希釈した。
【0415】
希釈されたコンジュゲート溶液を、5μmフィルターに通過させ、媒体として5mMコハク酸塩/0.9%塩水(pH6.0)を使用して透析濾過を実施した。透析濾過が完了した後、コンジュゲート保持液を、0.22μmフィルターを通して移した。コンジュゲートを、5mMコハク酸塩/0.9%塩水(pH6)を用いて、約0.5mg/mLの標的糖濃度までさらに希釈した。あるいは、100~300KのMWCOの膜を使用する接線流濾過によって20mMヒスチジン-0.9%塩水(pH6.5)を使用して、コンジュゲートを精製する。最後の0.22μm濾過ステップを完了させて、免疫原性コンジュゲートを取得した。表14、表15、表16、表17、および表18を参照されたい。
【0416】
(実施例17)
大腸菌(E.coli)血清型O25B、O1A、O2、およびO6から適用される、水性緩衝剤(RAC/水性)中でのコンジュゲーション
多糖の活性化および透析濾過を、DMSOに基づくコンジュゲーションについてのものと同じ様式で実施した。
【0417】
濾過した活性化された糖を、血清型に応じて、0.4~2w/wの範囲の多糖のタンパク質に対する質量比でCRM197と混合した。このインプット比を選択して、得られるコンジュゲート中の多糖のCRM197に対する比を制御した。
【0418】
次いで、混ぜ合わせた混合物を凍結乾燥した。コンジュゲーション時に、多糖とタンパク質との混合物を、血清型に応じて5~25g/Lの範囲の多糖濃度で0.1Mリン酸ナトリウム緩衝剤中に溶解し、血清型に応じてpHを6.0~8.0に調整した。0.5~2.0モル当量のシアノ水素化ホウ素ナトリウムを反応混合物に添加し、23±2℃で20~48hにわたってインキュベートすることにより、コンジュゲーションを開始させた。1~2モル当量の水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を添加することによってコンジュゲーション反応を終結させて、未反応のアルデヒドをキャッピングした。
【0419】
あるいは、濾過した活性化された糖および計算された量のCRM197タンパク質をシェル凍結し、別々に凍結乾燥した後、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝剤中への溶解時に混合した後、上記のようにコンジュゲーションを進行させることができる。
【0420】
【0421】
(実施例18)
大腸菌(E.coli)O抗原多糖-CRM
197単一末端コンジュゲートの調製のための手順
グラム陰性細菌の外膜の一般的な成分であるリポ多糖(LPS)は、リピドA、コア領域、およびO抗原(O特異的多糖またはO多糖とも呼ばれる)を含む。異なる血清型のO抗原反復単位は、その組成、構造および血清学的特徴において異なる。本発明で使用されるO抗原は、その鎖末端に2-ケト-3-デオキシオクタン酸(KDO)と呼ばれる糖単位を含有するコアドメインに結合される。多糖鎖の無作為活性化(例えば、過ヨウ素酸ナトリウム、またはカルボジイミドを用いる活性化)に基づく一部のコンジュゲーション法とは異なる。本発明は、チオール官能基のアンマスク時に、ジスルフィドアミンリンカーを用いたKDOの選択的活性化を含むコンジュゲーションプロセスを開示し、次いで、それは
図24(単一末端コンジュゲートの調製)に描写されるようにブロモ活性化されたCRM
197タンパク質にコンジュゲートされる。
【0422】
シスタミンリンカー(A1)に基づくコンジュゲーション
O抗原多糖およびシスタミン(50~250モル当量のKDO)を、リン酸緩衝剤中で混合し、pHを6.0~7.0に調整した。混合物に、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3)(5~30モル当量のKDO)を添加し、混合物を37℃で48~72hにわたって撹拌した。室温に冷却し、等量のリン酸緩衝剤で希釈する際に、混合物をトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)で処理した(1.2モル当量のシスタミンを添加した)。次いで、10mMリン酸二水素ナトリウム溶液に対して5KDa MWCO膜を使用する透析濾過によって混合物を精製して、O抗原多糖を含有するチオールを提供した。チオール含量を、Ellmanアッセイによって決定することができる。
【0423】
次いで、上記のチオール活性化されたO抗原多糖と、ブロモ活性化されたCRM197タンパク質とを、0.5~2.0の比で混合することによって、コンジュゲーションを進行させた。反応混合物のpHを、1M NaOH溶液を用いて8.0~10.0に調整する。コンジュゲーション反応を、5℃で24±4時間にわたって進行させた。担体タンパク質上の未反応のブロモ残基を、5℃で3~5時間、2モル当量のN-アセチル-L-システインと反応させることによってクエンチした。次いで、3モル当量のヨードアセトアミドを添加した後(N-アセチル-L-システインの添加と関連する)、残存する遊離スルフヒドリル基をキャッピングした。このキャッピング反応を5℃でさらに3~5時間進行させ、両方のキャッピングステップのpHを、1M NaOHの添加によって8.0~10.0に維持した。得られるコンジュゲートを、5mMコハク酸塩-0.9%塩水、pH6.0に対して30KDa MWCO膜を使用する限外濾過/透析濾過後に取得した。表14、表15、表16、表17、および表18を参照されたい。
【0424】
(実施例19)
3,3’-ジチオビス(プロパン酸ジヒドラジド)リンカー(A4)に基づくコンジュゲーション
O抗原多糖と、3,3’-ジチオビス(プロパン酸ジヒドラジド)(5~50モル当量のKDO)とを、酢酸緩衝剤中で混合し、pHを4.5~5.5に調整した。混合物に、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3)(5~30モル当量のKDO)を添加し、混合物を23~37℃で24~72h撹拌した。次いで、混合物を、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)で処理した(1.2モル当量の3,3’-ジチオビス(プロパン酸ジヒドラジド)リンカーを添加した)。次いで、10mMリン酸二水素ナトリウム溶液に対して5KDa MWCO膜を使用する透析濾過によって混合物を精製して、O抗原多糖を含有するチオールを提供した。チオール含量を、Ellmanアッセイによって決定することができる。
【0425】
次いで、上記のチオール活性化されたO抗原多糖と、ブロモ活性化されたCRM197タンパク質とを、0.5~2.0の比で混合することによって、コンジュゲーションを進行させた。反応混合物のpHを、1M NaOH溶液を用いて8.0~10.0に調整する。コンジュゲーション反応を、5℃で24±4時間にわたって進行させた。担体タンパク質上の未反応のブロモ残基を、5℃で3~5時間、2モル当量のN-アセチル-L-システインと反応させることによってクエンチした。次いで、3モル当量のヨードアセトアミドを添加した後(N-アセチル-L-システインの添加と関連する)、残存する遊離スルフヒドリル基をキャッピングした。このキャッピング反応を5℃でさらに3~5時間進行させ、両方のキャッピングステップのpHを、1M NaOHの添加によって8.0~10.0に維持した。得られるコンジュゲートを、5mMコハク酸塩-0.9%塩水、pH6.0に対して30KDa MWCO膜を使用する限外濾過/透析濾過後に取得した。
【0426】
(実施例20)
2,2’-ジチオ-N,N’-ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(2-(アミノオキシ)アセトアミド)リンカー(A6)に基づくコンジュゲーション
O抗原多糖と、2,2’-ジチオ-N,N’-ビス(エタン-2,1-ジイル)ビス(2-(アミノオキシ)アセトアミド)(5~50モル当量のKDO)とを酢酸緩衝剤中で混合し、pHを4.5~5.5に調整した。次いで、混合物を23~37℃で24~72h撹拌した後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH3)(5~30モル当量のKDO)を添加し、混合物をさらに3~24h撹拌した。次いで、混合物を、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)(1.2モル当量のリンカーを添加した)で処理した。次いで、10mMリン酸二水素ナトリウム溶液に対して5KDa MWCO膜を使用する透析濾過によって混合物を精製して、O抗原多糖を含有するチオールを提供した。チオール含量を、Ellmanアッセイによって決定することができる。
【0427】
次いで、上記のチオール活性化されたO抗原多糖と、ブロモ活性化されたCRM197タンパク質とを、0.5~2.0の比で混合することによって、コンジュゲーションを進行させた。反応混合物のpHを、1M NaOH溶液を用いて8.0~10.0に調整する。コンジュゲーション反応を、5℃で24±4時間にわたって進行させた。5℃で3~5時間、2モル当量のN-アセチル-L-システインと反応させることによって、担体タンパク質上の未反応のブロモ残基をクエンチした。次いで、3モル当量のヨードアセトアミドを添加した後(N-アセチル-L-システインの添加と関連する)、残存する遊離スルフヒドリル基をキャッピングした。このキャッピング反応を5℃でさらに3~5時間進行させ、両方のキャッピングステップのpHを、1M NaOHの添加によって8.0~10.0に維持した。得られるコンジュゲートを、5mMコハク酸塩-0.9%塩水、pH6.0に対して30KDa MWCO膜を使用する限外濾過/透析濾過後に取得した。
【0428】
(実施例21)
ブロモ活性化されたCRM197の調製
CRM197を、0.1Mリン酸ナトリウム溶液、pH8.0±0.2中で調製し、5±3℃に冷却した。タンパク質溶液に、ジメチルスルホキシド(DMSO)ストック溶液(20mg/mL)としてブロモ酢酸のN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(BAANS)を、0.25~0.5のBAANS:タンパク質(w/w)の比で添加する。反応物を、30~60分間にわたって5±3℃で穏やかに混合する。得られるブロモアセチル化(活性化)されたタンパク質を、例えば、10mMリン酸(pH7.0)緩衝剤を使用して、10kDaのMWCOの膜を使用する限外濾過/透析濾過によって精製する。精製後、ブロモアセチル化された担体タンパク質のタンパク質濃度を、Lowryのタンパク質アッセイによって見積もる。
【0429】
【0430】
【0431】
【0432】
【0433】
【0434】
(実施例22)
大腸菌(E.coli)O-Ag-TTコンジュゲートの調製
凍結乾燥した大腸菌(E.coli)血清型O25b長鎖多糖、ロット番号709766-30(約6.92mg/mL、MW:約39kDa)、50mgを、破傷風トキソイド(TT)コンジュゲーションのために使用した。
【0435】
大腸菌(E.coli)血清型O1a長鎖多糖710958-142-3(約6.3mg/mL、MW:約44.3kDa)(50mg、7.94mL)を凍結乾燥した。
【0436】
大腸菌(E.coli)血清型O6長鎖多糖710758-121-1(約16.8mg/mL、MW:約44kDa)(50mg、2.98mL)を凍結乾燥した。
【0437】
上記の凍結乾燥した多糖のそれぞれをWFI中に溶解して、約5~10mg/mLにし、0.5mL(1mLアセトニトリル中の100mgの1-シアノ-4-ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロホウ酸(CDAP)溶液)を添加し、RTで撹拌した。トリエチルアミン(TEA)0.2M(2mL)を添加し、RTで撹拌した。
【0438】
破傷風トキソイド(TT)の調製:TT(100mg、47ml)を約20mLに濃縮し、濾過チューブを使用して塩水で2回洗浄した(2x50mL)。その後、それをHEPESおよび塩水で希釈して、最終HEPES濃度を約0.25Mにした。
【0439】
TTを上記のように調製し、反応液のpHを約9.1~9.2に調整した。反応混合物をRTで撹拌した。
【0440】
20~24h後、反応をグリシン(0.5mL)でクエンチした。その後、それを、MWCO再生セルロース膜を使用して濃縮し、塩水に対して透析濾過を実施した。濾過し、分析した。表19を参照されたい。
【0441】
【0442】
(実施例23)
O抗原の発酵、精製、およびコンジュゲーションのさらなる結果
以下に記載される例示的なプロセスは一般に、全ての大腸菌(E.coli)血清型に適用可能である。それぞれの多糖の生産は、バッチ式生産発酵、次いで、下流の精製前の化学的不活化を含んでいた。
【0443】
株および保存。短鎖O抗原の生合成のために用いられた株は、大腸菌(E.coli)の臨床野生型株であった。長鎖O抗原を、天然wzzb遺伝子の欠失を有するようにWanner-Datsenko法によって操作された短鎖生産株の派生株を用いて生産し、サルモネラ菌(Salmonella)に由来する「長鎖」伸長機能fepEによって補完した。T7プロモーター領域が欠失された、高コピーcolE1ベース「トポ」ベクターまたはcolE1ベースベクターpET30aの低コピー派生株上のその天然プロモーターから、fepE機能を発現させた。
【0444】
無動物LBまたは最少培地中で細胞を少なくとも3.0のOD600まで増殖させることによって、細胞バンクを調製した。次いで、ブロスを新鮮な媒体中に希釈し、80%グリセロールと混合して、2.0OD600/mLを有する20%グリセロール最終濃度を得た。
【0445】
種培養および発酵のために使用される培地。用いられる種および発酵培地は、以下の製剤を共有する:KH2PO4、K2HPO4、(NH4)2SO4、クエン酸ナトリウム、Na2SO4、アスパラギン酸、グルコース、MgSO4、FeSO4-7H2O、Na2MoO4-2H2O、H3BO3、CoCl2-6H2O、CuCl2-2H2O、MnCl2-4H2O、ZnCl2およびCaCl2-2H2O。
【0446】
種および発酵条件。種を、単一の種バイアルから0.1%で接種した。種フラスコを37℃で16~18時間インキュベートし、典型的には10~20OD600/mLを達成した。
【0447】
発酵を、10Lステンレススチール製定置蒸気滅菌発酵器中で実施した。
【0448】
発酵培地の接種は、典型的には、10OD600の種から1:1000であった。10g/Lのバッチ式グルコース上で増殖が進行する期間であるバッチ期は、典型的には8時間続く。グルコース消耗時に、溶解酸素の突然の上昇があり、その時点でグルコースを発酵液に供給した。次いで、発酵は典型的には16~18時間進行し、120を超えるOD600/mLの収穫を得る。
【0449】
血清型O1a、O2、O6およびO25bに関する短鎖/長鎖O抗原生産の初期評価。O1a、O2、O6およびO25bのための野生型株を、バッチ様式で補給最小培地中でOD600=15~20まで発酵させた。酸素消費の突然の減少をもたらすグルコース消耗時に、増殖制限グルコース供給を、グルコース溶液から16~18時間にわたって適用した。124~145OD600単位/mLの細胞密度に達した。続いて、収穫ブロスのpHを約3.8に調整し、2時間にわたって95℃に加熱した。次いで、加水分解されたブロスを25℃に冷却し、pH6.0にし、遠心分離して固体を除去した。次いで、得られた上清を、O抗原の定量化のためにSEC-HPLCカラムに印加した。2240~4180mg/Lの範囲の生産性が得られた。これらのバッチに由来する精製された短鎖O抗原の分子量は、10~15kDaの範囲であることがわかった。また、O2およびO6加水分解物のSECクロマトグラフィーが、O1aおよびO25b加水分解物中では明らかでない異なる別々の夾雑多糖を示すこともわかった。
【0450】
長鎖型のO1a、O2、O6およびO25b O抗原に、高コピーのカナマイシン選択性トポプラスミド上に異種性の相補的fepE遺伝子を担持する、wzzb欠失型のそれぞれの株の発酵によってアクセスした。発酵を、カナマイシン選択ではあるが、短鎖に関して実施した。124~177のOD600/mLで観察された最終細胞密度は、3500~9850mg/LのO抗原生産性と関連していた。長鎖O抗原の相補性に基づく合成は、親短鎖株におけるものと少なくとも同程度の生産性があり、場合によっては、より高い生産性があった。精製されたO抗原多糖の分子量は、33~49kDaであったか、または対応する短鎖のサイズの約3倍であった。
【0451】
O2およびO6に関する長鎖加水分解物は、長鎖抗原の場合、主要なO抗原ピーク上で肩として観察される、夾雑多糖ピークの証拠を示す;O1およびO25bは、短鎖親に関してより容易に認められるように、夾雑多糖の生産の証拠を示さないことがわかった。
【0452】
増殖速度抑制は、fepEがないトポレプリコンの存在と関連することがわかった。さらに、Δwzzb突然変異自体は増殖速度に対して有害な効果を有しなかったが、これは、増殖速度の乱れがプラスミドベクターによって伝達されたことを示している。
【0453】
O11、O13、O16、O21およびO75 O抗原の生産のための株の評価。血清型O11、O13、O16、O21およびO75の複数の野生型株を、SEC-HPLCによって、発酵において望ましくない多糖を産生するそれらの傾向について評価した。O11、O13、O16、O21およびO75に関する株を、存在しない夾雑多糖として、ならびに1000mg/Lを超えるO抗原を産生するその能力について、およびΔwzzb形質の導入のためのWanner-Datsenko組換えを可能にする抗生物質感受性プロファイルのディスプレイについて選択した。
【0454】
一般に、カナマイシン耐性であることがわかっているO11、O13、O16、O21およびO75 wzzb株へのfepEの導入を可能にする、クロラムフェニコール選択型のトポ-fepEおよびpET-fepEを構築した。得られるトポ-fepEおよびpET-fepE担持株を、クロラムフェニコール選択を用いて発酵させ、酸加水分解されたブロスに由来する上清をSEC-HPLCによって評価した。高コピー(トポ)と低コピー(pET)の両方のfepE構築物は、それぞれに関して、親野生型と同等である生産性でO抗原の合成を指示した。潜在的に干渉する多糖の発現は観察されなかった。
【0455】
wzzbプラスミド担持株に関する増殖速度の評価により、O11、O13およびO21が、pET-fepEによってではなく、トポ-fepEの存在によって遅延されることを示された;O16およびO75株は、レプリコンの選択とは無関係に許容し得る増殖速度を示した。
【0456】
【0457】
多糖のための精製プロセスは、O抗原を遊離させるための酸加水分解を含んでいた。発酵リアクター中の血清型特異的大腸菌(E.coli)培養物の粗懸濁液を酢酸で直接処理して、3.5±0.5の最終pHにし、酸性化されたブロスを少なくとも1時間にわたって95±5℃の温度に加熱した。この処理は、オリゴ糖およびリピドAの近位末端で、KDO間の不安定な結合を切断し、かくして、O-Ag鎖を遊離させる。遊離したO-Agを含有する酸性化されたブロスを20±10℃に冷却した後、NH4OHを使用してpH7±1.0に中和した。このプロセスは、いくつかの遠心分離、濾過、および濃縮/透析濾過操作ステップをさらに含んでいた。
【0458】
【0459】
【0460】
以下の項目は、本発明のさらなる実施形態を説明する。
【0461】
C1.式O1(例えば、式O1A、式O1B、および式O1C)、式O2、式O3、式O4(例えば、式O4:K52および式O4:K6)、式O5(例えば、式O5abおよび式O5ac(株180/C3))、式O6(例えば、式O6:K2;K13;K15および式O6:K54)、式O7、式O8、式O9、式O10、式O11、式O12、式O13、式O14、式O15、式O16、式O17、式O18(例えば、式O18A、式O18ac、式O18A1、式O18B、および式O18B1)、式O19、式O20、式O21、式O22、式O23(例えば、式O23A)、式O24、式O25(例えば、式O25aおよび式O25b)、式O26、式O27、式O28、式O29、式O30、式O32、式O33、式O34、式O35、式O36、式O37、式O38、式O39、式O40、式O41、式O42、式O43、式O44、式O45(例えば、式O45および式O45rel)、式O46、式O48、式O49、式O50、式O51、式O52、式O53、式O54、式O55、式O56、式O57、式O58、式O59、式O60、式O61、式O62、式O62D1、式O63、式O64、式O65、式O66、式O68、式O69、式O70、式O71、式O73(例えば、式O73(株73-1))、式O74、式O75、式O76、式O77、式O78、式O79、式O80、式O81、式O82、式O83、式O84、式O85、式O86、式O87、式O88、式O89、式O90、式O91、式O92、式O93、式O95、式O96、式O97、式O98、式O99、式O100、式O101、式O102、式O103、式O104、式O105、式O106、式O107、式O108、式O109、式O110、式O111、式O112、式O113、式O114、式O115、式O116、式O117、式O118、式O119、式O120、式O121、式O123、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O129、式O130、式O131、式O132、式O133、式O134、式O135、式O136、式O137、式O138、式O139、式O140、式O141、式O142、式O143、式O144、式O145、式O146、式O147、式O148、式O149、式O150、式O151、式O152、式O153、式O154、式O155、式O156、式O157、式O158、式O159、式O160、式O161、式O162、式O163、式O164、式O165、式O166、式O167、式O168、式O169、式O170、式O171、式O172、式O173、式O174、式O175、式O176、式O177、式O178、式O179、式O180、式O181、式O182、式O183、式O184、式O185、式O186、および式O187(式中、nは1~100の整数である)のいずれか1つから選択される構造を含む糖。
【0462】
C2.式O1(例えば、式O1A、式O1B、および式O1C)、式O2、式O3、式O4(例えば、式O4:K52および式O4:K6)、式O5(例えば、式O5abおよび式O5ac(株180/C3))、式O6(例えば、式O6:K2;K13;K15および式O6:K54)、式O7、式O10、式O16、式O17、式O18(例えば、式O18A、式O18ac、式O18A1、式O18B、および式O18B1)、式O21、式O23(例えば、式O23A)、式O24、式O25(例えば、式O25aおよび式O25b)、式O26、式O28、式O44、式O45(例えば、式O45および式O45rel)、式O55、式O56、式O58、式O64、式O69、式O73(例えば、式O73(株73-1))、式O75、式O77、式O78、式O86、式O88、式O90、式O98、式O104、式O111、式O113、式O114、式O119、式O121、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O136、式O138、式O141、式O142、式O143、式O147、式O149、式O152、式O157、式O158、式O159、式O164、式O173、式O62D1、式O22、式O35、式O65、式O66、式O83、式O91、式O105、式O116、式O117、式O139、式O153、式O167、および式O172(式中、nは20~100の整数である)から選択される構造を含む、項目C1に記載の糖。
【0463】
C3.式O1(例えば、式O1A、式O1B、および式O1C)、式O2、式O3、式O4(例えば、式O4:K52および式O4:K6)、式O5(例えば、式O5abおよび式O5ac(株180/C3))、式O6(例えば、式O6:K2;K13;K15および式O6:K54)、式O7、式O10、式O16、式O17、式O18(例えば、式O18A、式O18ac、式O18A1、式O18B、および式O18B1)、式O21、式O23(例えば、式O23A)、式O24、式O25(例えば、式O25aおよび式O25b)、式O26、式O28、式O44、式O45(例えば、式O45および式O45rel)、式O55、式O56、式O58、式O64、式O69、式O73(例えば、式O73(株73-1))、式O75、式O77、式O78、式O86、式O88、式O90、式O98、式O104、式O111、式O113、式O114、式O119、式O121、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O136、式O138、式O141、式O142、式O143、式O147、式O149、式O152、式O157、式O158、式O159、式O164、式O173、および式62D1(式中、nは20~100の整数である)から選択される構造を含む、項目C2に記載の糖。
【0464】
C4.式O1(例えば、式O1A、式O1B、および式O1C)、式O2、式O6(例えば、式O6:K2;K13;K15および式O6:K54)、式O15、式O16、式O21、式O25(例えば、式O25aおよび式O25b)、および式O75から選択される構造を含む、項目C2に記載の糖。
【0465】
C5.式O8、式O9a、式O9、式20ab、式O20ac、式O52、式O97、および式O101から選択される構造を含まない、項目C1に記載の糖。
【0466】
C6.式O12から選択される構造を含まない、項目C1に記載の糖。
【0467】
C7.前記糖を生成するグラム陰性細菌中でwzzファミリータンパク質を発現させることによって生産される、項目C4に記載の糖。
【0468】
C8.wzzファミリータンパク質が、wzzB、wzz、wzzSF、wzzST、fepE、wzzfepE、wzz1およびwzz2からなる群から選択される、項目C7に記載の糖。
【0469】
C9.wzzファミリータンパク質がwzzBである、項目C7に記載の糖。
【0470】
C10.wzzファミリータンパク質がfepEである、項目C7に記載の糖。
【0471】
C11.wzzファミリータンパク質がwzzBおよびfepEである、項目C7に記載の糖。
【0472】
C12.wzzファミリータンパク質がサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)に由来する、項目C7に記載の糖。
【0473】
C13.wzzファミリータンパク質が、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、および配列番号19のいずれか1つから選択される配列を含む、項目C7に記載の糖。
【0474】
C14.wzzファミリータンパク質が、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、および配列番号19のいずれか1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む、項目C7に記載の糖。
【0475】
C15.wzzファミリータンパク質が、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、および配列番号19のいずれか1つから選択される配列を含む、項目C7に記載の糖。
【0476】
C16.糖が合成的に合成される、項目C1に記載の糖。
【0477】
C17.大腸菌(E.coli)R1部分をさらに含む、項目C1からC16のいずれか一項に記載の糖。
【0478】
C18.大腸菌(E.coli)R2部分をさらに含む、項目C1からC16のいずれか一項に記載の糖。
【0479】
C19.大腸菌(E.coli)R3部分をさらに含む、項目C1からC16のいずれか一項に記載の糖。
【0480】
C20.大腸菌(E.coli)R4部分をさらに含む、項目C1からC16のいずれか一項に記載の糖。
【0481】
C21.大腸菌(E.coli)K-12部分をさらに含む、項目C1からC16のいずれか一項に記載の糖。
【0482】
C22.3-デオキシ-d-マンノ-オクタ-2-ウロソン酸(KDO)部分をさらに含む、項目C1からC21のいずれか一項に記載の糖。
【0483】
C23.大腸菌(E.coli)R1部分をさらに含まない、項目C1からC16のいずれか一項に記載の糖。
【0484】
C24.大腸菌(E.coli)R2部分をさらに含まない、項目C1からC16のいずれか一項に記載の糖。
【0485】
C25.大腸菌(E.coli)R3部分をさらに含まない、項目C1からC16のいずれか一項に記載の糖。
【0486】
C26.大腸菌(E.coli)R4部分をさらに含まない、項目C1からC16のいずれか一項に記載の糖。
【0487】
C27.大腸菌(E.coli)K-12部分をさらに含まない、項目C1からC16のいずれか一項に記載の糖。
【0488】
C28.3-デオキシ-d-マンノ-オクタ-2-ウロソン酸(KDO)部分をさらに含まない、項目C1からC21のいずれか一項に記載の糖。
【0489】
C29.リピドAを含まない、項目C1からC22のいずれか一項に記載の糖。
【0490】
C30.多糖が10kDa~2,000kDa、または50kDa~2,000kDaの分子量を有する、項目C1からC29のいずれか一項に記載の糖。
【0491】
C31.20~40kDaの平均分子量を有する、項目C1からC30のいずれか一項に記載の糖。
【0492】
C32.40,000~60,000kDaの平均分子量を有する、項目C1からC31のいずれか一項に記載の糖。
【0493】
C33.nが31~90の整数である、項目C1からC32のいずれか一項に記載の糖。
【0494】
C34.糖が大腸菌(E.coli)に由来する、担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲート。
【0495】
C35.担体タンパク質に共有結合した、項目C1から項目C33のいずれか一項に記載の糖を含むコンジュゲート。
【0496】
C36.担体タンパク質が、例えば、CRM197、ジフテリア毒素断片B(DTFB)、DTFB C8、ジフテリアトキソイド(DT)、破傷風トキソイド(TT)、TTの断片C、百日咳トキソイド、コレラトキソイド、または緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に由来する外毒素A;緑膿菌(P.aeruginosa)の解毒された外毒素A(EPA)、マルトース結合タンパク質(MBP)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の解毒された溶血素A、クランピング因子A、クランピング因子B、コレラ毒素Bサブユニット(CTB)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)ニューモリシンおよびその解毒されたバリアント、カンピロバクター・ジェジュニ(C.jejuni)AcrA、ならびにカンピロバクター・ジェジュニ(C.jejuni)天然糖タンパク質のいずれか1つから選択される、項目C34から項目C35のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【0497】
C37.担体タンパク質がCRM197である、項目C34から項目C36のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【0498】
C38.担体タンパク質が破傷風トキソイド(TT)である、項目C34から項目C36のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【0499】
C39.還元的アミノ化によって調製されている、項目C34から項目C38のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【0500】
C40.CDAP化学反応によって調製されている、項目C34から項目C38のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【0501】
C41.単一末端結合コンジュゲート化糖である、項目C34から項目C38のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【0502】
C42.(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされている、項目C34から項目C38のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【0503】
C43.糖が(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされ、糖がカルバメート結合を介してeTECスペーサーに共有結合され、担体タンパク質がアミド結合を介してeTECスペーサーに共有結合されている、項目C42に記載のコンジュゲート。
【0504】
C44.CRM197が、eTECスペーサーを介して多糖に共有結合した2~20個、または4~16個のリシン残基を含む、項目C42から項目C43のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【0505】
C45.糖:担体タンパク質比(w/w)が0.2~4である、項目C34から項目C44のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【0506】
C46.糖のタンパク質に対する比が少なくとも0.5であり、最大でも2である、項目C34から項目C44のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【0507】
C47.糖のタンパク質に対する比が0.4~1.7である、項目C34から項目C44のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【0508】
C48.糖が、3-デオキシ-d-マンノ-オクタ-2-ウロソン酸(KDO)残基を介して担体タンパク質にコンジュゲートされている、項目C41から項目C47のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【0509】
C49.担体タンパク質に共有結合した糖を含むコンジュゲートであって、糖が、式O8、式O9a、式O9、式O20ab、式O20ac、式O52、式O97、および式O101(式中、nは1~10の整数である)から選択される構造を含む、コンジュゲート。
【0510】
C50.項目C1から項目C33のいずれか一項に記載の糖と、薬学的に許容できる希釈剤とを含む組成物。
【0511】
C51.項目C34から項目C49のいずれか一項に記載のコンジュゲートと、薬学的に許容できる希釈剤とを含む組成物。
【0512】
C52.組成物中の糖の総量と比較して最大でも約25%の遊離糖を含む、項目C51に記載の組成物。
【0513】
C53.アジュバントをさらに含む、項目C50から項目C51のいずれか一項に記載の組成物。
【0514】
C54.アルミニウムをさらに含む、項目C50からC51のいずれか一項に記載の組成物。
【0515】
C55.QS-21をさらに含む、項目C50から項目C51のいずれか一項に記載の組成物。
【0516】
C56.CpGオリゴヌクレオチドをさらに含む、項目C50から項目C51のいずれか一項に記載の組成物。
【0517】
C57.アジュバントを含まない、項目C50から項目C51のいずれか一項に記載の組成物。
【0518】
C58.多糖がカルバメート結合を介してeTECスペーサーに共有結合され、担体タンパク質がアミド結合を介してeTECスペーサーに共有結合されている、(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされた、大腸菌(E.coli)に由来する糖を含む組成物。
【0519】
C59.糖が大腸菌(E.coli)に由来するO抗原である、項目C58に記載の組成物。
【0520】
C60.薬学的に許容できる賦形剤、担体または希釈剤をさらに含む、項目C58に記載の組成物。
【0521】
C61.糖が大腸菌(E.coli)に由来するO抗原である、項目C58に記載の組成物。
【0522】
C62.多糖がカルバメート結合を介してeTECスペーサーに共有結合され、担体タンパク質がアミド結合を介してeTECスペーサーに共有結合されている、(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされた、項目C1から項目C16のいずれか一項に記載の糖を含む組成物。
【0523】
C63.(i)担体タンパク質に共有的にカップリングした大腸菌(E.coli)O25B抗原のコンジュゲート、(ii)担体タンパク質に共有的にカップリングした大腸菌(E.coli)O1A抗原のコンジュゲート、(iii)担体タンパク質に共有的にカップリングした大腸菌(E.coli)O2抗原のコンジュゲート、および(iv)担体タンパク質に共有的にカップリングしたO6抗原のコンジュゲートを含む組成物であって、大腸菌(E.coli)O25B抗原が式O25B(式中、nは30より大きい整数である)の構造を含む、組成物。
【0524】
C64.O1A抗原、O6抗原、およびO2抗原がそれぞれ以下の式を含む、項目C63に記載の組成物。
【0525】
C65.担体タンパク質が、CRM197、ジフテリア毒素断片B(DTFB)、DTFB C8、ジフテリアトキソイド(DT)、破傷風トキソイド(TT)、TTの断片C、百日咳トキソイド、コレラトキソイド、または緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に由来する外毒素A;緑膿菌(P.aeruginosa)の解毒された外毒素A(EPA)、マルトース結合タンパク質(MBP)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の解毒された溶血素A、クランピング因子A、クランピング因子B、コレラ毒素Bサブユニット(CTB)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)ニューモリシンおよびその解毒されたバリアント、カンピロバクター・ジェジュニ(C.jejuni)AcrA、ならびにカンピロバクター・ジェジュニ(C.jejuni)天然糖タンパク質のいずれか1つから選択される、項目C63に記載の組成物。
【0526】
C66.a)有機溶媒中で、糖と、1,1’-カルボニル-ジ-(1,2,4-トリアゾール)(CDT)または1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)とを反応させて、活性化された糖を生産するステップ;b)活性化された糖と、シスタミンもしくはシステアミンまたはその塩とを反応させて、チオール化された糖を生産するステップ;c)チオール化された糖と、還元剤とを反応させて、1つまたは複数の遊離スルフヒドリル残基を含む活性化されたチオール化された糖を生産するステップ;d)活性化されたチオール化された糖と、1つまたは複数のα-ハロアセトアミド基を含む活性化された担体タンパク質とを反応させて、チオール化された糖-担体タンパク質コンジュゲートを生産するステップ;ならびにe)チオール化された糖-担体タンパク質コンジュゲートと、(i)活性化された担体タンパク質の非コンジュゲート化α-ハロアセトアミド基をキャッピングすることができる第1のキャッピング試薬;および/または(ii)非コンジュゲート化遊離スルフヒドリル残基をキャッピングすることができる第2のキャッピング試薬とを反応させるステップを含み、それによって、eTEC結合糖コンジュゲートが生産され、糖が大腸菌(E.coli)に由来する、(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされた糖を含むコンジュゲートを作製する方法。
【0527】
C67.糖が項目C1から項目C33のいずれか一項に記載の糖を含む、項目C66に記載の方法。
【0528】
C68.キャッピングステップe)が、チオール化された糖-担体タンパク質コンジュゲートと、(i)第1のキャッピング試薬としてのN-アセチル-L-システイン、および/または(ii)第2のキャッピング試薬としてのヨードアセトアミドとを反応させることを含む、項目C66から項目C67のいずれか一項に記載の方法。
【0529】
C69.トリアゾールまたはイミダゾールとの反応によって糖を混合して、混合された糖を提供するステップをさらに含み、ステップa)の前に、混合された糖がシェル凍結され、凍結乾燥され、有機溶媒中で復元される、項目C66から項目C68のいずれか一項に記載の方法。
【0530】
C70.ステップc)で生産されたチオール化された多糖の精製をさらに含み、精製ステップが透析濾過を含む、項目C66から項目C69のいずれか一項に記載の方法。
【0531】
C71.透析濾過によるeTEC結合糖コンジュゲートの精製をさらに含む、項目C66から項目C70のいずれか一項に記載の方法。
【0532】
C72.ステップa)における有機溶媒が、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、アセトニトリル、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(DMPU)およびヘキサメチルホスホラミド(HMPA)のいずれか1つ、またはその混合物から選択される極性非プロトン性溶媒である、項目C66から項目C71のいずれか一項に記載の方法。
【0533】
C73.KH2PO4、K2HPO4、(NH4)2SO4、クエン酸ナトリウム、Na2SO4、アスパラギン酸、グルコース、MgSO4、FeSO4-7H2O、Na2MoO4-2H2O、H3BO3、CoCl2-6H2O、CuCl2-2H2O、MnCl2-4H2O、ZnCl2およびCaCl2-2H2Oを含む培地。
【0534】
C74.大腸菌(E.coli)を培養するために使用される、項目C73に記載の培地。
【0535】
C75.培地中で組換え大腸菌(E.coli)を培養すること;前記培地中で前記細胞を培養することによって前記糖を生産することを含み、それによって、前記細胞が前記糖を産生する、項目C1からC33のいずれか一項に記載の糖を生産するための方法。
【0536】
C76.培地が、KH2PO4、K2HPO4、(NH4)2SO4、クエン酸ナトリウム、Na2SO4、アスパラギン酸、グルコース、MgSO4、FeSO4-7H2O、Na2MoO4-2H2O、H3BO3、CoCl2-6H2O、CuCl2-2H2O、MnCl2-4H2O、ZnCl2およびCaCl2-2H2Oのいずれか1つから選択される要素を含む、項目C75に記載の方法。
【0537】
C77.培地が大豆加水分解物を含む、項目C75に記載の方法。
【0538】
C78.培地が酵母抽出物を含む、項目C75に記載の方法。
【0539】
C79.培地が大豆加水分解物および酵母抽出物をさらに含まない、項目C75に記載の方法。
【0540】
C80.大腸菌(E.coli)細胞が、wzzB、wzz、wzzSF、wzzST、fepE、wzzfepE、wzz1およびwzz2のいずれか1つから選択される異種wzzファミリータンパク質を含む、項目C75に記載の方法。
【0541】
C81.大腸菌(E.coli)細胞が、wzzB、wzz、wzzSF、wzzST、fepE、wzzfepE、wzz1およびwzz2のいずれか1つから選択されるサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)wzzファミリータンパク質を含む、項目C75に記載の方法。
【0542】
C82.wzzファミリータンパク質が、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、および配列番号19のいずれか1つから選択される配列を含む、項目C81に記載の方法。
【0543】
C83.培養が、120OD600/mLを超える収率をもたらす、項目C75に記載の方法。
【0544】
C84.糖を精製することをさらに含む、項目C75に記載の方法。
【0545】
C85.精製ステップが、以下のいずれか1つ:透析、濃縮操作、透析濾過操作、接線流濾過、沈降、溶出、遠心分離、沈降、限外濾過、深層濾過、およびカラムクロマトグラフィー(イオン交換クロマトグラフィー、マルチモードイオン交換クロマトグラフィー、DEAE、および疎水性相互作用クロマトグラフィー)を含む、項目C75に記載の方法。
【0546】
C86.対象に項目C50から項目C62のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、哺乳動物において免疫応答を誘導するための方法。
【0547】
C87.免疫応答が抗大腸菌(E.coli)O特異的多糖血清抗体の誘導を含む、項目C73に記載の方法。
【0548】
C88.免疫応答が抗大腸菌(E.coli)IgG抗体の誘導を含む、項目C73に記載の方法。
【0549】
C89.免疫応答が大腸菌(E.coli)に対する殺菌活性の誘導を含む、項目C73に記載の方法。
【0550】
C90.免疫応答が大腸菌(E.coli)に対するオプソニン貪食作用抗体の誘導を含む、項目C73に記載の方法。
【0551】
C91.免疫応答が初回投与後に少なくとも1,000~200,000の幾何平均力価(GMT)レベルを含む、項目C73に記載の方法。
【0552】
C92.組成物が、式O25(式中、nは40~100の整数である)を含む糖を含み、免疫応答が、初回投与後に少なくとも1,000~200,000の幾何平均力価(GMT)レベルを含む、項目C73に記載の方法。
【0553】
C93.哺乳動物が、尿路感染、胆嚢炎、胆管炎、下痢、溶血性尿毒症症候群、新生児髄膜炎、尿性敗血症、腹腔内感染、髄膜炎、合併肺炎、創傷感染、前立腺生検後関連感染、新生児/幼児敗血症、好中球減少性発熱、および他の血流感染;肺炎、菌血症、および敗血症から選択される状態のいずれか1つのリスクがある、項目C73に記載の方法。
【0554】
C94.哺乳動物が、尿路感染、胆嚢炎、胆管炎、下痢、溶血性尿毒症症候群、新生児髄膜炎、尿性敗血症、腹腔内感染、髄膜炎、合併肺炎、創傷感染、前立腺生検後関連感染、新生児/幼児敗血症、好中球減少性発熱、および他の血流感染;肺炎、菌血症、および敗血症から選択される状態のいずれか1つを有する、項目C73に記載の方法。
【0555】
C95.(i)腸外病原性大腸菌(Escherichia coli)に対する、対象における免疫応答を誘導するため、(ii)腸外病原性大腸菌(Escherichia coli)に対する、対象における免疫応答を誘導するため、または(iii)腸外病原性大腸菌(Escherichia coli)に特異的である、対象におけるオプソニン貪食作用抗体の産生を誘導するための方法であって、対象に、有効量の項目C50から項目C65のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む方法。
【0556】
C96.対象が尿路感染を発症するリスクがある、項目C95に記載の方法。
【0557】
C97.対象が菌血症を発症するリスクがある、項目C95に記載の方法。
【0558】
C98.対象が敗血症を発症するリスクがある、項目C95に記載の方法。
【0559】
C99.(i)担体タンパク質に共有的にカップリングした大腸菌(E.coli)O25B抗原のコンジュゲート、(ii)担体タンパク質に共有的にカップリングした大腸菌(E.coli)O1A抗原のコンジュゲート、(iii)担体タンパク質に共有的にカップリングした大腸菌(E.coli)O2抗原のコンジュゲート、および(iv)担体タンパク質に共有的にカップリングしたO6抗原のコンジュゲートを含む組成物であって、大腸菌(E.coli)O25B抗原が式O25B(式中、nは30より大きい整数である)の構造を含む、組成物。
【0560】
C100.O1A抗原、O6抗原、およびO2抗原がそれぞれ以下の式を含む、項目C1に記載の組成物。
【0561】
C101.担体タンパク質が、緑膿菌(P.aeruginosa)の解毒された外毒素A(EPA)、CRM197、マルトース結合タンパク質(MBP)、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、黄色ブドウ球菌(S.aureus)の解毒された溶血素A、クランピング因子A、クランピング因子B、コレラ毒素Bサブユニット(CTB)、コレラ毒素、コレラ毒素の解毒されたバリアント、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)ニューモリシンおよびその解毒されたバリアント、カンピロバクター・ジェジュニ(C.jejuni)AcrA、ならびにカンピロバクター・ジェジュニ(C.jejuni)天然糖タンパク質からなる群から選択される、項目C1に記載の組成物。
【0562】
C102.(i)腸外病原性大腸菌(Escherichia coli)に対する、対象における免疫応答を誘導するため、(ii)腸外病原性大腸菌(Escherichia coli)に対する、対象における免疫応答を誘導するため、または(iii)腸外病原性大腸菌(Escherichia coli)に特異的である、対象におけるオプソニン貪食作用抗体の産生を誘導するための方法であって、対象に、有効量の項目C51に記載の組成物を投与することを含む方法。
【0563】
C103.対象が尿路感染を発症するリスクがある、項目C102に記載の方法。
【0564】
C104.対象が菌血症を発症するリスクがある、項目C102に記載の方法。
【0565】
C105.対象が敗血症を発症するリスクがある、項目C102に記載の方法。
【0566】
C106.大腸菌(E.coli)の対応する野生型O多糖と比較して、少なくとも5個の反復単位の増加を含む糖。
【0567】
C107.糖が式O25aを含み、大腸菌(E.coli)が大腸菌(E.coli)血清型O25aである、項目C106に記載の糖。
【0568】
C108.糖が式O25bを含み、大腸菌(E.coli)が大腸菌(E.coli)血清型O25bである、項目C106に記載の糖。
【0569】
C109.糖が式O2を含み、大腸菌(E.coli)が大腸菌(E.coli)血清型O2である、項目C106に記載の糖。
【0570】
C110.糖が式O6を含み、大腸菌(E.coli)が大腸菌(E.coli)血清型O6である、項目C106に記載の糖。
【0571】
C111.糖が式O1を含み、大腸菌(E.coli)が大腸菌(E.coli)血清型O1である、項目C106に記載の糖。
【0572】
C112.糖が式O17を含み、大腸菌(E.coli)が大腸菌(E.coli)血清型O17である、項目C106に記載の糖。
【0573】
C113.式O1、式O2、式O3、式O4、式O5、式O6、式O7、式O8、式O9、式O10、式O11、式O12、式O13、式O14、式O15、式O16、式O17、式O18、式O19、式O20、式O21、式O22、式O23、式O24、式O25、式O25b、式O26、式O27、式O28、式O29、式O30、式O32、式O33、式O34、式O35、式O36、式O37、式O38、式O39、式O40、式O41、式O42、式O43、式O44、式O45、式O46、式O48、式O49、式O50、式O51、式O52、式O53、式O54、式O55、式O56、式O57、式O58、式O59、式O60、式O61、式O62、式O63、式O64、式O65、式O66、式O68、式O69、式O70、式O71、式O73、式O74、式O75、式O76、式O77、式O78、式O79、式O80、式O81、式O82、式O83、式O84、式O85、式O86、式O87、式O88、式O89、式O90、式O91、式O92、式O93、式O95、式O96、式O97、式O98、式O99、式O100、式O101、式O102、式O103、式O104、式O105、式O106、式O107、式O108、式O109、式O110、式O111、式O112、式O113、式O114、式O115、式O116、式O117、式O118、式O119、式O120、式O121、式O123、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O129、式O130、式O131、式O132、式O133、式O134、式O135、式O136、式O137、式O138、式O139、式O140、式O141、式O142、式O143、式O144、式O145、式O146、式O147、式O148、式O149、式O150、式O151、式O152、式O153、式O154、式O155、式O156、式O157、式O158、式O159、式O160、式O161、式O162、式O163、式O164、式O165、式O166、式O167、式O168、式O169、式O170、式O171、式O172、式O173、式O174、式O175、式O176、式O177、式O178、式O179、式O180、式O181、式O182、式O183、式O184、式O185、式O186、および式O187(式中、nは5~1000の整数である)から選択される構造を含む、項目C106に記載の糖。
【0574】
C114.大腸菌(E.coli)が、O1、O2、O3、O4、O5、O6、O7、O8、O9、O10、O11、O12、O13、O14、O15、O16、O17、O18、O19、O20、O21、O22、O23、O24、O25、O25b、O26、O27、O28、O29、O30、O32、O33、O34、O35、O36、O37、O38、O39、O40、O41、O42、O43、O44、O45、O46、O48、O49、O50、O51、O52、O53、O54、O55、O56、O57、O58、O59、O60、O61、O62、O63、O64、O65、O66、O68、O69、O70、O71、O73、O74、O75、O76、O77、O78、O79、O80、O81、O82、O83、O84、O85、O86、O87、O88、O89、O90、O91、O92、O93、O95、O96、O97、O98、O99、O100、O101、O102、O103、O104、O105、O106、O107、O108、O109、O110、0111、O112、O113、O114、O115、O116、O117、O118、O119、O120、O121、O123、O124、O125、O126、O127、O128、O129、O130、O131、O132、O133、O134、O135、O136、O137、O138、O139、O140、O141、O142、O143、O144、O145、O146、O147、O148、O149、O150、O151、O152、O153、O154、O155、O156、O157、O158、O159、O160、O161、O162、O163、O164、O165、O166、O167、O168、O169、O170、O171、O172、O173、O174、O175、O176、O177、O178、O179、O180、O181、O182、O183、O184、O185、O186、およびO187からなる群から選択される大腸菌(E.coli)血清型である、項目C106に記載の糖。
【0575】
C115.糖が、前記糖を生成するグラム陰性細菌中でwzzファミリータンパク質を過剰発現させることを含む、培養物中のグラム陰性細菌によって産生されるO多糖の反復単位を増加させることによって生産される、項目C106に記載の糖。
【0576】
C116.過剰発現されるwzzファミリータンパク質が、wzzB、wzz、wzzSF、wzzST、fepE、wzzfepE、wzz1およびwzz2からなる群から選択される、項目C115に記載の糖。
【0577】
C117.過剰発現されるwzzファミリータンパク質がwzzBである、項目C115に記載の糖。
【0578】
C118.過剰発現されるwzzファミリータンパク質がfepEである、項目C115に記載の糖。
【0579】
C119.過剰発現されるwzzファミリータンパク質がwzzBおよびfepEである、項目C115に記載の糖。
【0580】
C120.合成的に合成される、項目C106に記載の糖。
【0581】
C121.担体タンパク質の共有結合されている、項目C106に記載の糖を含むコンジュゲート。
【0582】
C122.担体タンパク質がCRM197である、項目C121に記載のコンジュゲート。
【0583】
C123.糖が、式O1、式O2、式O3、式O4、式O5、式O6、式O7、式O8、式O9、式O10、式O11、式O12、式O13、式O14、式O15、式O16、式O17、式O18、式O19、式O20、式O21、式O22、式O23、式O24、式O25、式O25b、式O26、式O27、式O28、式O29、式O30、式O32、式O33、式O34、式O35、式O36、式O37、式O38、式O39、式O40、式O41、式O42、式O43、式O44、式O45、式O46、式O48、式O49、式O50、式O51、式O52、式O53、式O54、式O55、式O56、式O57、式O58、式O59、式O60、式O61、式O62、式O63、式O64、式O65、式O66、式O68、式O69、式O70、式O71、式O73、式O74、式O75、式O76、式O77、式O78、式O79、式O80、式O81、式O82、式O83、式O84、式O85、式O86、式O87、式O88、式O89、式O90、式O91、式O92、式O93、式O95、式O96、式O97、式O98、式O99、式O100、式O101、式O102、式O103、式O104、式O105、式O106、式O107、式O108、式O109、式O110、式O111、式O112、式O113、式O114、式O115、式O116、式O117、式O118、式O119、式O120、式O121、式O123、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O129、式O130、式O131、式O132、式O133、式O134、式O135、式O136、式O137、式O138、式O139、式O140、式O141、式O142、式O143、式O144、式O145、式O146、式O147、式O148、式O149、式O150、式O151、式O152、式O153、式O154、式O155、式O156、式O157、式O158、式O159、式O160、式O161、式O162、式O163、式O164、式O165、式O166、式O167、式O168、式O169、式O170、式O171、式O172、式O173、式O174、式O175、式O176、式O177、式O178、式O179、式O180、式O181、式O182、式O183、式O184、式O185、式O186、および式O187(式中、nは5~1000の整数である)から選択される構造を含む、項目C121に記載のコンジュゲート。
【0584】
C124.前記糖が、対応する野生型O多糖と比較して、少なくとも5個の反復単位の増加を含む、項目C121に記載のコンジュゲート。
【0585】
C125.薬学的に許容できる希釈剤をさらに含む、項目1に記載の糖を含む組成物。
【0586】
C126.アジュバントをさらに含む、項目C125に記載の組成物。
【0587】
C127.アルミニウムをさらに含む、項目C125に記載の組成物。
【0588】
C128.QS-21をさらに含む、項目C125に記載の組成物。
【0589】
C129.アジュバントを含まない、項目C125に記載の組成物。
【0590】
C130.対象に、項目C125に記載の組成物を投与することを含む、対象における免疫応答を誘導するための方法。
【0591】
C131.薬学的に許容できる希釈剤をさらに含む、項目C121に記載のコンジュゲートを含む組成物。
【0592】
C132.対象に、項目C131に記載の組成物を投与することを含む、対象における免疫応答を誘導するための方法。
【0593】
C133.免疫応答が抗大腸菌(E.coli)O特異的多糖血清抗体の誘導を含む、項目C130またはC132に記載の方法。
【0594】
C134.抗大腸菌(E.coli)O特異的多糖血清抗体がIgG抗体である、項目C133に記載の方法。
【0595】
C135.抗大腸菌(E.coli)O特異的多糖血清抗体が、大腸菌(E.coli)に対する殺菌活性を有するIgG抗体である、項目C133に記載の方法。
【0596】
C136.多糖がカルバメート結合を介してeTECスペーサーに共有結合され、担体タンパク質がアミド結合を介してeTECスペーサーに共有結合されている、(2-((2-オキソエチル)チオ)エチル)カルバメート(eTEC)スペーサーを介して担体タンパク質にコンジュゲートされた、大腸菌(E.coli)に由来する糖を含む免疫原性組成物。
【0597】
C137.薬学的に許容できる賦形剤、担体または希釈剤をさらに含む、項目C136に記載の免疫原性組成物。
【0598】
C138.糖が大腸菌(E.coli)に由来するO抗原である、項目C136に記載の免疫原性組成物。
【0599】
C139.糖が、式O1、式O2、式O3、式O4、式O5、式O6、式O7、式O8、式O9、式O10、式O11、式O12、式O13、式O14、式O15、式O16、式O17、式O18、式O19、式O20、式O21、式O22、式O23、式O24、式O25、式O25b、式O26、式O27、式O28、式O29、式O30、式O32、式O33、式O34、式O35、式O36、式O37、式O38、式O39、式O40、式O41、式O42、式O43、式O44、式O45、式O46、式O48、式O49、式O50、式O51、式O52、式O53、式O54、式O55、式O56、式O57、式O58、式O59、式O60、式O61、式O62、式O63、式O64、式O65、式O66、式O68、式O69、式O70、式O71、式O73、式O74、式O75、式O76、式O77、式O78、式O79、式O80、式O81、式O82、式O83、式O84、式O85、式O86、式O87、式O88、式O89、式O90、式O91、式O92、式O93、式O95、式O96、式O97、式O98、式O99、式O100、式O101、式O102、式O103、式O104、式O105、式O106、式O107、式O108、式O109、式O110、式O111、式O112、式O113、式O114、式O115、式O116、式O117、式O118、式O119、式O120、式O121、式O123、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O129、式O130、式O131、式O132、式O133、式O134、式O135、式O136、式O137、式O138、式O139、式O140、式O141、式O142、式O143、式O144、式O145、式O146、式O147、式O148、式O149、式O150、式O151、式O152、式O153、式O154、式O155、式O156、式O157、式O158、式O159、式O160、式O161、式O162、式O163、式O164、式O165、式O166、式O167、式O168、式O169、式O170、式O171、式O172、式O173、式O174、式O175、式O176、式O177、式O178、式O179、式O180、式O181、式O182、式O183、式O184、式O185、式O186、および式O187(式中、nは5~1000の整数である)から選択される構造を含む、項目C136に記載の免疫原性組成物。
【0600】
C140.糖が75~100%のOアセチル化度を有する、項目C136に記載の免疫原性組成物。
【0601】
C141.担体タンパク質がCRM197である、項目C136に記載の免疫原性組成物。
【0602】
C142.CRM197が、eTECスペーサーを介して多糖に共有結合された2~20個のリシン残基を含む、項目C141に記載の免疫原性組成物。
【0603】
C143.CRM197が、eTECスペーサーを介して多糖に共有結合された4~16個のリシン残基を含む、項目C141に記載の免疫原性組成物。
【0604】
C144.さらなる抗原をさらに含む、項目C136に記載の免疫原性組成物。
【0605】
C145.アジュバントをさらに含む、項目C136に記載の免疫原性組成物。
【0606】
C146.アジュバントが、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムおよび水酸化アルミニウムからなる群から選択されるアルミニウムに基づくアジュバントである、項目C145に記載の免疫原性組成物。
【0607】
C147.アジュバントを含まない、項目C136に記載の免疫原性組成物。
【0608】
C148.担体タンパク質にコンジュゲートされた大腸菌(E.coli)に由来する糖を含む糖コンジュゲートを含む免疫原性組成物であって、糖コンジュゲートが還元的アミノ化を使用して調製されている、免疫原性組成物。
【0609】
C149.薬学的に許容できる賦形剤、担体または希釈剤をさらに含む、項目C148に記載の免疫原性組成物。
【0610】
C150.糖が大腸菌(E.coli)に由来するO抗原である、項目C148に記載の免疫原性組成物。
【0611】
C151.糖が、式O1、式O2、式O3、式O4、式O5、式O6、式O7、式O8、式O9、式O10、式O11、式O12、式O13、式O14、式O15、式O16、式O17、式O18、式O19、式O20、式O21、式O22、式O23、式O24、式O25、式O25b、式O26、式O27、式O28、式O29、式O30、式O32、式O33、式O34、式O35、式O36、式O37、式O38、式O39、式O40、式O41、式O42、式O43、式O44、式O45、式O46、式O48、式O49、式O50、式O51、式O52、式O53、式O54、式O55、式O56、式O57、式O58、式O59、式O60、式O61、式O62、式O63、式O64、式O65、式O66、式O68、式O69、式O70、式O71、式O73、式O74、式O75、式O76、式O77、式O78、式O79、式O80、式O81、式O82、式O83、式O84、式O85、式O86、式O87、式O88、式O89、式O90、式O91、式O92、式O93、式O95、式O96、式O97、式O98、式O99、式O100、式O101、式O102、式O103、式O104、式O105、式O106、式O107、式O108、式O109、式O110、式O111、式O112、式O113、式O114、式O115、式O116、式O117、式O118、式O119、式O120、式O121、式O123、式O124、式O125、式O126、式O127、式O128、式O129、式O130、式O131、式O132、式O133、式O134、式O135、式O136、式O137、式O138、式O139、式O140、式O141、式O142、式O143、式O144、式O145、式O146、式O147、式O148、式O149、式O150、式O151、式O152、式O153、式O154、式O155、式O156、式O157、式O158、式O159、式O160、式O161、式O162、式O163、式O164、式O165、式O166、式O167、式O168、式O169、式O170、式O171、式O172、式O173、式O174、式O175、式O176、式O177、式O178、式O179、式O180、式O181、式O182、式O183、式O184、式O185、式O186、および式O187(式中、nは5~1000の整数である)から選択される構造を含む、項目C148に記載の免疫原性組成物。
【0612】
C152.糖が75~100%のOアセチル化度を有する、項目C148に記載の免疫原性組成物。
【0613】
C153.担体タンパク質がCRM197である、項目C148に記載の免疫原性組成物。
【0614】
C154.さらなる抗原をさらに含む、項目C148に記載の免疫原性組成物。
【0615】
C155.アジュバントをさらに含む、項目C148に記載の免疫原性組成物。
【0616】
C156.アジュバントが、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムおよび水酸化アルミニウムからなる群から選択されるアルミニウムに基づくアジュバントである、項目C155に記載の免疫原性組成物。
【0617】
C157.アジュバントを含まない、項目C148に記載の免疫原性組成物。
【0618】
C158.対象に、項目C136からC157のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、対象における免疫応答を誘導するための方法。
【0619】
C159.免疫応答が抗大腸菌(E.coli)O特異的多糖血清抗体の誘導を含む、項目C158に記載の方法。
【0620】
C160.抗大腸菌(E.coli)O特異的多糖血清抗体がIgG抗体である、項目C133に記載の方法。
【0621】
C161.抗大腸菌(E.coli)O特異的多糖血清抗体が、大腸菌(E.coli)に対する殺菌活性を有するIgG抗体である、項目C133に記載の方法。