(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156777
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】成形された光学フィルム
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20241029BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20241029BHJP
B29C 53/04 20060101ALI20241029BHJP
B29C 51/08 20060101ALI20241029BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20241029BHJP
G02B 5/08 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G02B5/30
G02B5/26
B29C53/04
B29C51/08
G02B5/02 B
G02B5/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024122920
(22)【出願日】2024-07-30
(62)【分割の表示】P 2020564522の分割
【原出願日】2019-05-15
(31)【優先権主張番号】62/673,296
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ソネック,ベンジャミン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】リヒター,ダニエル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】アンバー,グレッグ エー.
(72)【発明者】
【氏名】リ,チャオディ
(72)【発明者】
【氏名】デグロウ,クリストファー エス.
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ,ジャサン ディー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】厚さ変動又はバンドエッジ波長変動が低減された光学フィルムを実現する。
【解決手段】湾曲した光学フィルム100であって、概ねベース平面において広がっており、約500ミクロン未満の厚さと、所定の波長範囲内の非偏光の垂直入射光に対する約70%未満の平均光吸収率とを有する光学フィルム100が記載される。ベース平面に垂直な第1の平面内の光学フィルム100の第1の断面が、実際の第1の長さAL1、投影された第1の長さPL1、及び(AL1-PL1)/PL1である第1の延伸比S1を有する。第1の平面及びベース平面に垂直な第2の平面内の光学フィルム100の第2の断面が、同様に第2の延伸比S2を有する。光学フィルムは、第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿って20%未満の最大厚さ変動を有することができ、S1は少なくとも0.1であり得、S2は少なくとも0.01かつ0.8S1未満であり得る。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
概ねベース平面において広がっており、約500ミクロン未満の平均厚さと、少なくとも450nm~600nmを含む所定の波長範囲内で実質的に非偏光の、実質的に垂直に入射する光に対する約70%未満の平均光吸収率と、を有する湾曲した光学フィルムであって、
前記ベース平面に垂直な第1の平面内の前記光学フィルムの第1の断面が、実際の第1の長さAL1、前記ベース平面上の投影された第1の長さPL1、及び(AL1-PL1)/PL1、S1≧0.1として定義される第1の延伸比S1を有し、
前記第1の平面及び前記ベース平面に垂直な第2の平面内の前記光学フィルムの第2の断面が、実際の第2の長さAL2、前記ベース平面上の投影された第2の長さPL2、及び(AL2-PL2)/PL2、0.01≦S2<0.8S1として定義される第2の延伸比S2を有し、
前記光学フィルムは、前記第1の断面及び前記第2の断面のそれぞれに沿って約20%未満の最大厚さ変動を有する、光学フィルム。
【請求項2】
前記最大厚さ変動は、前記第1の断面及び前記第2の断面のそれぞれに沿って約0.05S1~約0.8S1の範囲である、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記光学フィルムの前記第1の断面は、前記ベース平面に対する最大傾きMと、前記第1の断面の両端部を結ぶ直線からの最大偏差D1と、を有し、0.2×PL1×M≧D1≧0.05×PL1である、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記光学フィルムの前記第1の断面は、前記ベース平面に対して少なくとも1である最大傾きMを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項5】
PL1≧1.5PL2である、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項6】
概ねベース平面において広がっており、約500ミクロン未満の平均厚さと、少なくとも450nm~600nmを含む所定の波長範囲内で実質的に非偏光の、実質的に垂直に入射する光に対する約70%未満の平均光吸収率と、を有する湾曲した光学フィルムであって、
前記ベース平面に垂直な第1の平面内の前記光学フィルムの第1の断面が、実際の第1の長さAL1、前記ベース平面上の投影された第1の長さPL1、及び(AL1-PL1)/PL1として定義される第1の延伸比S1を有し、
前記第1の平面及び前記ベース平面に垂直な第2の平面内の前記光学フィルムの第2の断面が、実際の第2の長さAL2、前記ベース平面上の投影された第2の長さPL2、及び(AL2-PL2)/PL2、0.01<S2<0.7S1として定義される第2の延伸比S2を有し、
前記光学フィルムは、前記第1の断面及び前記第2の断面のそれぞれに沿って約0.05S1~約0.8S1の範囲である最大厚さ変動を有する、光学フィルム。
【請求項7】
前記最大厚さ変動は、前記第1の断面及び前記第2の断面のそれぞれに沿って約20%未満である、請求項6に記載の光学フィルム。
【請求項8】
前記光学フィルムの前記第2の断面は、前記第2の断面の両端部を結ぶ直線からの最大偏差D2を有し、0.1D1<D2<0.7D1である、請求項6又は7に記載の光学フィルム。
【請求項9】
少なくとも互いに直交する方向に沿って延伸及び成形されている、延伸及び成形された光学フィルムであって、少なくとも450nm~600nmを含む所定の波長範囲内で実質的に非偏光の、実質的に垂直に入射する光に対して約70%未満の平均光吸収率を有し、
前記光学フィルムが平坦な表面上に配置されるときに、
前記平坦な表面に垂直な第1の平面内の前記光学フィルムの第1の断面が、前記第1の断面の両端部を結ぶ直線からの最大偏差D1を有し、前記第1の平面は、D1を最大化するように選択されており、
前記第1の平面及び前記平坦な表面に垂直な第2の平面内の前記光学フィルムの第2の断面が、前記第2の断面の両端部を結ぶ直線からの最大偏差D2を有し、前記第2の平面は、0.1D1<D2<0.7D1として、D2を最大化するように選択されており、
前記光学フィルムは、前記第1の断面及び前記第2の断面のそれぞれに沿って約15%未満の最大厚さ変動を有する、光学フィルム。
【請求項10】
直交する第1の方向及び第2の方向に沿って延伸及び成形されている、延伸及び成形された光学フィルムであって、各層が厚さ約500nm未満である、複数のポリマー層を含み、
前記光学フィルムが平坦な表面上に置かれるときに、
前記第1の方向に平行かつ前記平坦な表面に垂直な第1の平面内の前記光学フィルムの第1の断面が、実際の第1の長さAL1、前記平坦な表面上の投影された第1の長さPL1、及び(AL1-PL1)/PL1、S1≧0.15として定義される第1の延伸比S1を有し、
前記第2の方向に平行かつ前記平坦な表面に垂直な第2の平面内の前記光学フィルムの第2の断面が、実際の第2の長さAL2、前記平坦な表面上の投影された第2の長さPL2、及び(AL2-PL2)/PL2、0.01≦S2<S1として定義される第2の延伸比S2を有し、
実質的に垂直に入射する光に対して、前記光学フィルム上の各位置は、バンドエッジ波長を有する対応する反射バンドを有し、前記バンドエッジ波長は、前記第1の断面及び前記第2の断面のそれぞれに沿って15%未満変動する、光学フィルム。
【請求項11】
前記光学フィルムの前記第1の断面は、1つ以上の変曲点を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項12】
少なくとも1つの鞍点を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項13】
延伸及び成形された光学フィルムを形成する方法であって、
約500ミクロン未満の平均厚さと、少なくとも450nm~600nmを含む所定の波長範囲内で実質的に非偏光の、実質的に垂直に入射する光に対する約70%未満の平均光吸収率と、を有する平坦な光学フィルムを提供するステップと、
前記平坦な光学フィルムを、屈曲させるが延伸させないで、周辺領域によって取り囲まれた第1の形状を有する未延伸屈曲中央領域を含む未延伸屈曲光学フィルムを形成するステップと、
前記未延伸屈曲光学フィルムの、前記周辺領域ではなく前記中央領域を、少なくとも互いに直交する第1の方向及び第2の方向に沿って延伸して、延伸及び成形された光学フィルムを得るステップと、を含む方法。
【請求項14】
前記第1の形状の少なくとも一部分が、円筒形又は放物線状である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の形状は、少なくとも2つの離間した実質的に平行な円筒形又は放物線状の部分を含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
光学フィルムは、熱成形プロセスの結果として厚さが変動する成形された光学フィルムに熱成形することができる。
【発明の概要】
【0002】
本説明のいくつかの態様では、概ねベース平面において広がっている湾曲した光学フィルムであって、約500ミクロン未満の平均厚さと、少なくとも450nm~600nmを含む所定の波長範囲内で実質的に非偏光の、実質的に垂直に入射する光に対する約70%未満の平均光吸収率と有する湾曲した光学フィルムが提供される。ベース平面に垂直な第1の平面内の光学フィルムの第1の断面は、実際の第1の長さAL1、ベース平面上の投影された第1の長さPL1、及び(AL1-PL1)/PL1(ここで、S1≧0.1)として定義される第1の延伸比S1を有する。第1の平面及びベース平面に垂直な第2の平面内の光学フィルムの第2の断面は、実際の第2の長さAL2、ベース平面上の投影された第2の長さPL2、及び(AL2-PL2)/PL2として定義される第2の延伸比S2(ここで、0.01≦S2<0.8S1)を有する。光学フィルムは、第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿って約20%未満の最大厚さ変動を有する。いくつかの実施形態では、0.02≦S2<0.8S1である。いくつかの実施形態では、光学フィルムは、第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿って約15%未満の最大厚さ変動を有する。いくつかの実施形態では、光学フィルムは、第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿って、約0.2S1~約0.8S1の範囲の最大厚さ変動を有する。
【0003】
本説明のいくつかの態様では、概ねベース平面において広がっている湾曲した光学フィルムであって、約500ミクロン未満の平均厚さと、少なくとも450nm~600nmを含む所定の波長範囲内で実質的に非偏光の、実質的に垂直に入射する光に対する約70%未満の平均光吸収率と有する湾曲した光学フィルムが提供される。ベース平面に垂直な第1の平面内の光学フィルムの第1の断面は、実際の第1の長さAL1、ベース平面上の投影された第1の長さPL1、及び(AL1-PL1)/PL1として定義される第1の延伸比S1を有する。第1の平面及びベース平面に垂直な第2の平面内の光学フィルムの第2の断面は、実際の第2の長さAL2、ベース平面上の投影された第2の長さPL2、及び(AL2-PL2)/PL2として定義される第2の延伸比S2(ここで、0.01≦S2<0.7S1)を有する。光学フィルムは、第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿って、約0.05S1~約0.8S1の範囲の最大厚さ変動を有する。いくつかの実施形態では、光学フィルムは、第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿って、約0.2S1~約0.8S1の範囲の最大厚さ変動を有する。
【0004】
本明細書のいくつかの態様では、少なくとも互いに直交する方向に沿って延伸及び成形されている、伸張及び成形された光学フィルムであって、少なくとも450nm~600nmを含む所定の波長範囲内で実質的に非偏光の、実質的に垂直に入射する光に対して約70%未満の平均光吸収率を有する光学フィルムが提供される。光学フィルムが平坦な表面上に配置されるとき、平坦な表面に垂直な第1の平面内の光学フィルムの第1の断面は、第1の断面の両端部を結ぶ直線からの最大偏差D1を有し、第1の平面は、D1を最大化するように選択されており、第1の平面及び平坦な表面に垂直な第2の平面内の光学フィルムの第2の断面は、第2の断面の両端部を結ぶ直線からの最大偏差D2を有し、第2の平面は、D2を最大化するように選択されており、0.1D1<D2<0.7D1である。光学フィルムは、第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿って約15%未満の最大厚さ変動を有する。
【0005】
本明細書のいくつかの態様では、直交する第1及び第2の方向に沿って延伸及び成形されており、各層が厚さ約500nm未満である複数のポリマー層を含む光学フィルムが提供される。光学フィルムが平坦な表面上に置かれるとき、第1の方向に平行かつ平坦な表面に垂直な第1の平面内の光学フィルムの第1の断面が、実際の第1の長さAL1、平坦な表面上の投影された第1の長さPL1、及び(AL1-PL1)/PL1(ここで、S1≧0.15)として定義される第1の延伸比S1を有し、第2の方向に平行かつ平坦な表面に垂直な第2の平面内の光学フィルムの第2の断面が、実際の第2の長さAL2、平坦な表面上の投影された第2の長さPL2、及び(AL2-PL2)/PL2として定義される第2の延伸比S2(ここで、0.01≦S2<S1)を有する。実質的に垂直に入射する光に対して、光学フィルム上の各位置は、バンドエッジ波長を有する対応する反射バンドを有し、バンドエッジ波長は、第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿って15%未満変動する。
【0006】
本明細書のいくつかの態様では、延伸及び成形された光学フィルムを形成する方法が提供される。本方法は、約500ミクロン未満の平均厚さと、少なくとも450nm~600nmを含む所定の波長範囲内で実質的に非偏光の、実質的に垂直に入射する光に対して約70%未満の平均光吸収率を有する平坦な光学フィルムを準備することと、平坦な光学フィルムを、屈曲させるが延伸させないで、周辺領域によって取り囲まれた第1の形状を有する未延伸屈曲中央領域を含む未延伸屈曲光学フィルムを形成することと、未延伸屈曲光学フィルムの周辺領域ではなく中央領域を、少なくとも互いに直交する第1の方向及び第2の方向に沿って延伸して、延伸及び成形された光学フィルムを得ることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1B】
図1Aの光学フィルムの第1の平面における概略断面図である。
【
図1C】
図1Aの光学フィルムの第2の平面における概略断面図である。
【
図1D】
図1Aの光学フィルムを形成するように延伸及び成形することができる屈曲光学フィルムの概略斜視図である。
【
図2A】それぞれの直交する第1の平面及び第2の平面における光学フィルムの概略断面図である。
【
図2B】それぞれの直交する第1の平面及び第2の平面における光学フィルムの概略断面図である。
【
図3A】光学フィルムの特性対第1の断面及び第2の断面における位置の概略プロットである。
【
図3B】光学フィルムの特性対第1の断面及び第2の断面における位置の概略プロットである。
【
図8B】未延伸屈曲光学フィルムの概略断面図である。
【
図8C】成形された光学フィルムの概略断面図である。
【
図8D】ライナーを含む平坦な光学フィルムの概略断面図である。
【
図9】未延伸屈曲光学フィルムの概略断面図である。
【
図10】未延伸屈曲光学フィルムの概略断面図である。
【
図11】未延伸屈曲光学フィルムの概略上面図である。
【
図12】延伸及び成形された光学フィルムを形成するための装置の概略分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示される、添付図面が参照される。図面は、必ずしも正確な比率の縮尺ではない。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施可能である点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されないものとする。
【0009】
本明細書のいくつかの実施形態によれば、平坦な光学フィルムを屈曲させるが延伸させないで未延伸の屈曲した光学フィルムを形成し、次いで、この屈曲した光学フィルムの中央領域を延伸して、延伸及び成形された光学フィルムを形成し、その結果、平坦な光学フィルムから直接同じ形状に形成された比較光学フィルムよりも改善された特性を有する光学フィルム、又は光学フィルムを所望の形状に直接延伸することによる従来のプロセスでは達成することができない所望の形状を有する光学フィルムが得られる。例えば、いくつかの実施形態では、延伸及び成形された光学フィルムを形成するための本明細書の方法は、従来のプロセスを用いて同じ形状に形成された光学フィルムと比較して、厚さ変動又はバンドエッジ波長変動が低減された光学フィルムをもたらす。一部の実施形態では、延伸及び成形された光学フィルムを形成するための本明細書の方法は、光学フィルムを当該形状に直接延伸することによる従来のプロセスでは得られない形状を有する光学フィルムをもたらすが、これは、従来のプロセスから生じるひずみは、平坦な光学フィルムの破断時の最大ひずみよりも大きくなるためである。
【0010】
光学フィルムは、例えば、反射型偏光子、吸収型偏光子、ハイブリッド反射/吸収型偏光子、可視光ミラー、赤外線ミラー、又は拡散体などの任意の好適な種類の光学フィルムとすることができる。光学フィルムは、約500ミクロン未満の厚さ(例えば、約10ミクロン~約500ミクロンの範囲の厚さ)を有し得る。光学フィルムは、可視波長範囲(例えば、400nm~700nm)の少なくともいくつかの波長の少なくとも1つの偏光状態に対して比較的低い光吸収率を有し得る。いくつかの実施形態では、光学フィルムは、所定の波長範囲(例えば、少なくとも450nm~600nmを含む)内で実質的に非偏光の、実質的に垂直に入射する光に対して約70%未満の平均光吸収率を有する。
【0011】
図1Aは、概ねベース平面(x’-y’平面)において広がっている湾曲した光学フィルム100の概略斜視図である。いくつかの実施形態では、湾曲した光学フィルム100が、約500ミクロン未満の平均厚さと、少なくとも450nm~600nm(例えば、430nm~650nm)を含む所定の波長範囲内で実質的に非偏光の、実質的に垂直に入射する光に対する約70%未満の平均光吸収率と、を有する。
図1Aのx’-y’-z’軸は、光学フィルム100の中心を中心としている。
図1Aのx’-y’-z’軸に平行なx-y-z軸を使用することもできる。
図1Bは、ベース平面に垂直な第1の平面(x-z平面)における光学フィルム100の第1の断面の概略図である。第1の平面では、光学フィルム100は、実際の第1の長さAL1及びベース平面上の投影された第1の長さPL1を有する。実際の第1の長さAL1は、第1の断面の両端部101と103との間の弧長ds1であり、投影された第1の長さPL1は、ベース平面上に投影された光学フィルム100の第1の断面の両端部101と103との間の長さである。第1の延伸比S1は、(AL1-PL1)/PL1として定義され得る。
図1Cは、第1の平面及びベース平面に垂直な第2の平面(y-z平面)における光学フィルム100の第2の断面の概略図である。第2の平面では、光学フィルム100は、実際の第2の長さAL2及びベース平面上の投影された第2の長さPL2を有する。実際の第2の長さAL2は、第2の断面の両端部102と104との間の弧長ds2であり、投影された第2の長さPL2は、ベース平面上に投影された光学フィルム100の第2の断面の両端部102と104との間の長さである。第2の延伸比S2は、(AL2-PL2)/PL2として定義され得る。
【0012】
図1Aでは、光学フィルム100は平坦な表面110上に置かれている。平坦な表面110は、ベース平面であってもよく、又はベース平面と平行であってもよい。一部の実施形態では、光学フィルム100が平坦な表面110上に配置されるとき、平坦な表面110に垂直な第1の平面(x-z平面、
図1Bを参照)内の光学フィルム100の第1の断面は、第1の断面の両端部101及び103を結ぶ直線105からの最大偏差D1を有し、第1の平面は、D1を最大化するように選択される。換言すれば、この断面の両端部を結ぶ直線からの最大偏差は、平坦な表面110に垂直な平面内のどの断面も、第1の平面内の第1の断面より大きくない。一部の実施形態では、光学フィルム100が平坦な表面110上に配置されるとき、第1の平面及び平坦な表面110に垂直な第2の平面(y-z平面、
図1Bを参照)内の光学フィルム100の第2の断面は、第2の断面の両端部102及び104を結ぶ直線106からの最大偏差D2を有し、第2の平面は、D2を最大化するように選択される。換言すれば、この断面の両端部を結ぶ直線からの最大偏差は、平坦な表面110に垂直かつ第1の平面に垂直な平面内のどの断面も、第2の平面内の第2の断面より大きくない。光学フィルム100の第1の断面は、ベース平面又は平坦な表面110に対して最大傾きMを有する。
図1B及び
図1Cのx-y-z軸は、
図1Aのx’-y’-z’軸に平行であるが、最大変位D1及びD2がそれぞれx-z平面及びy-z平面内で生じるようにシフトされてもよい。
【0013】
実際の第1長さAL1及び第2の長さAL2は、任意の好適な方法で求めることができる。例えば、直線105又は106からの偏差は、例えば、定規で直接測定して、直線からのフィルムの変位をx又はyの関数として求めることができ、次いで、これを使用して測定点間の弧長を求めることができ、これらの測定点は、測定点間に小さい間隔が使用される場合、測定点を合計して弧長の正確な測定値を得ることができる。いくつかの実施形態では、基材(例えば、レンズ)が、光学フィルム上に成形(例えば、射出成形)され、長さPL1、PL2、AL1、及びAL2は、基材に結合された光学フィルムの測定値から求められてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、光学フィルム100は、平坦な光学フィルムを屈曲させるが延伸しないことにより未延伸屈曲光学フィルムを形成し、次いでその屈曲光学フィルムの中央領域(例えば、内部領域130の少なくとも一部分)を延伸して、所望の形状の光学フィルム100を形成することによって形成される。
図1Dは、光学フィルム100を形成するように成形することができる、湾曲しているが未延伸の光学フィルム102の概略斜視図である。平坦な光学フィルムを屈曲させるが延伸させないで未延伸屈曲光学フィルムを形成し、次いで、その屈曲光学フィルムの中央領域を延伸して、所望の形状を有する光学フィルムを形成することは、平坦な光学フィルムから直接所望の形状に延伸された光学フィルムと比較して、物理的特性の変動が低減された光学フィルムをもたらすことができる。物理的特性とは、例えば、フィルム厚さ、バンドエッジ波長、又はブロック偏光状態の光吸収率であってもよい。この文脈において未延伸とは、平坦な光学フィルムが作製された後に未延伸であることを意味する。平坦な光学フィルムは、光学フィルムの作製プロセス中に、事前に(例えば、干渉層を配向するために)延伸され得ることが理解されるであろう。成形された光学フィルムの幾何学的形状は、延伸比S1及びS2(例えば、いくつかの実施形態では、S1≧0.1、0.01≦S2<0.8S1)、及び/又は最大偏差D1及びD2(例えば、いくつかの実施形態では、0.1D1<D2<0.7D1)によって特徴付けることができる。幾何学的形状を特徴付ける他の有用なパラメータとしては、最大傾きM(例えば、いくつかの実施形態では、Mは少なくとも1.5である)、及び様々な長さスケールの相対値(例えば、いくつかの実施形態では、0.4PL1>D1≧0.05PL1)が挙げられる。これらのパラメータの組み合わせを使用して、幾何学的形状を特徴付けることもできる(例えば、いくつかの実施形態では、M≧1.5、0.2×PL1×M≧D1≧0.05×PL1)。いくつかの実施形態では、成形された光学フィルムは、従来の成形プロセスを使用して成形され、同じS1及びS2、並びに/又はD1及びD2、並びに/又はM、並びに/又はPL1/PL2を有する、対応する成形された光学フィルムの物理的特性の変動よりも、物理的特性の変動が小さい。いくつかの実施形態では、従来の成形プロセスは光学フィルムの破損時のひずみよりも大きいひずみをもたらすため、従来の成形プロセスを用いて、同じS1及びS2、並びに/又はD1及びD2、並びに/又はM、並びに/又はPL1/PL2を有する対応する成形光学フィルムを作製することはできない。
【0015】
いくつかの実施形態では、S1≧0.1、又はS1≧0.15、又はS1≧0.2(例えば、0.1、又は0.15、又は0.2~1、又は0.7、又は0.5の範囲のS1)である。いくつかの実施形態では、0.01≦S2<S1、又は0.01≦S2<S1、又は0.01≦S2<0.8S1、又は0.01≦S2<0.7S1、又は0.02≦S2<S1、又は0.02≦S2<0.8S1、又は0.02≦S2<0.7S1である。いくつかの実施形態では、PL1≧1.5PL2、又はPL1≧2PL2、又はPL1≧2.5PL2である。いくつかの実施形態では、0.5PL1>D1、又は0.4PL1>D1、又は0.3PL1>D1、又は0.25PL1>D1である。いくつかの実施形態では、D1≧0.05PL1、又はD1≧0.1PL1、又はD1≧0.15PL1である。例えば、いくつかの実施形態では、0.4PL1>D1≧0.1PL1である。いくつかの実施形態では、0.1D1<D2≦0.7D1である。いくつかの実施形態では、0.2×PL1×M≧D1≧0.05×PL1、又は0.15×PL1×M≧D1≧0.05×PL1、又は0.1×PL1×M≧D1≧0.05×PL1である。一部の実施形態では、Mは、少なくとも1、又は少なくとも1.5、又は少なくとも2、又は少なくとも2.5、又は少なくとも3である。いくつかの実施形態では、S1≧0.1及び0.01≦S2<0.8S1;並びに/又はS1≧0.15及び0.01≦S2<S1;並びに/又は0.01<S2<0.7S1;並びに/又は0.1D1<D2<0.7D1である。いくつかのそのような実施形態では、光学フィルム100は、第1及び第2の断面のそれぞれに沿って、約20%未満、又は約15%未満の最大厚さ変動を有する(例えば、約5%~約20%又は約15%の範囲);又は、第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿って、約0.05S1~約0.8S1の範囲の最大厚さ変動(例えば、S1は、約0.24とすることができ、最大厚さ変動は、約0.12(0.5×0.24)又は、等価的に、約12%とすることができる)、又は約0.05S1~約0.9S1、又は約0.05S1~約0.7S1、又は約0.1S1~約0.8S1、又は約0.2S1~約0.8S1の範囲の最大厚さ変動を有する;又は第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿って、約20%未満又は約15%未満変動するバンドエッジ波長を有する(例えば、約5%~約20%又は約15%の範囲)。例えば、いくつかの実施形態では、S1≧0.1及び0.01≦S2<0.8S1であり、光学フィルム100は、第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿って約20%未満の最大厚さ変動を有する。別の例として、いくつかの実施形態では、0.01<S2<0.7S1であり、光学フィルム100は、第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿って約0.05S1~約0.8S1の範囲の最大厚さ変動(例えば、第1の断面に沿って、約0.2S1~約0.8S1の範囲の最大厚さ変動、及び第2の断面に沿って、約0.05S1~約0.4S1、又は約0.05S1~約0.5S1、又は約0.1S1~約0.5S1、又は約0.2S1~約0.8S1の範囲の最大厚さ変動)を有する。別の例として、いくつかの実施形態では、S1≧0.15及び0.01≦S2<S1であり、実質的に垂直に入射する光に対して、光学フィルム100上の各位置は、バンドエッジ波長を有する対応する反射バンドを有し、ここでバンドエッジ波長は、第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿って約15%未満変動する。いくつかのそのような実施形態では、光学フィルムは、第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿って約0.2S1~約0.8S1の範囲の最大バンドエッジ波長変動を有する。更に別の例として、いくつかの実施形態では、0.1D1<D2<0.7D1であり、光学フィルム100は、第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿って約15%未満の最大厚さ変動を有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、光学フィルム100は、周辺領域135によって取り囲まれた内部領域130を含む。いくつかの実施形態では、周辺領域135は光学フィルム100に含まれない。例えば、周辺領域135は、本明細書の他の箇所で更に説明される光学フィルム100を作製するための形成プロセスに含まれる領域であって、その後、光学フィルムから(例えば、ダイカットなどの切断プロセスによって)除去される領域であってもよい。
図2A~
図2Bは、周辺領域135に対応する周辺領域が含まれていない、直交する第1及び第2の平面それぞれにおける光学フィルム200の概略断面図である。
【0017】
光学フィルム200は、光学フィルム100について記載された幾何学的形状(例えば、S1及びS2、並びに/又はD1及びD2、並びに/又はM、並びに/又はPL1/PL2は、光学フィルム100について記載された範囲のいずれかであり得る)、厚さ、及び/又はバンドエッジ波長属性のいずれかを有し得る。例えば、いくつかの実施形態において、光学フィルム200は、湾曲した光学フィルムであって、概ねベース平面(x-y平面)において広がっており、約500ミクロン未満の平均厚さと、少なくとも450nm~600nmを含む所定の波長範囲内で実質的に非偏光の、実質的に垂直に入射する光に対する約70%未満の平均光吸収率と、を有し、ベース平面に垂直な第1の平面(x-z平面、
図2A参照)内の光学フィルム200の第1の断面が、実際の第1の長さAL1、ベース平面上の投影された第1の長さPL1、及び(AL1-PL1)/PL1、S1≧0.1として定義される第1の延伸比S1を有し、
第1の平面及びベース平面に垂直な第2の平面内の光学フィルム200の第2の断面(y-z平面、
図2B参照)が、実際の第2の長さAL2、ベース平面上の投影された第2の長さPL2、及び(AL2-PL2)/PL2、0.01≦S2<0.8S1として定義される第2の延伸比S2を有し、光学フィルム200が、第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿って約20%未満の最大厚さ変動を有する。別の実施例として、いくつかの実施形態において、光学フィルム200は、湾曲した光学フィルムであって、概ねベース平面(x-y平面)において広がっており、約500ミクロン未満の平均厚さと、少なくとも450nm~600nmを含む所定の波長範囲内で実質的に非偏光の、実質的に垂直に入射する光に対する約70%未満の平均光吸収率と、を有し、ベース平面に垂直な第1の平面(x-z平面、
図2A参照)内の光学フィルム200の第1の断面が、実際の第1の長さAL1、ベース平面上の投影された第1の長さPL1、及び(AL1-PL1)/PL1として定義される第1の延伸比S1を有し、第1の平面及びベース平面に垂直な第2の平面内の光学フィルム200の第2の断面(y-z平面、
図2B参照)が、実際の第2の長さAL2、ベース平面上の投影された第2の長さPL2、及び(AL2-PL2)/PL2、0.01<S2<0.7S1として定義される第2の延伸比S2を有し、光学フィルム200が、第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿って約0.05S1~0.8S1、又は0.2S1~約0.8S1の範囲の最大厚さ変動を有する。別の実施例として、いくつかの実施形態において、光学フィルム200は、延伸及び成形された光学フィルムであって、直交する第1の方向及び第2の方向(x及びy方向)に沿って延伸及び成形されており、複数のポリマー層であって、各層が厚さ約500nm未満である、ポリマー層を含み、光学フィルムが平坦な表面上に置かれるときに、第1の方向(x方向)に平行かつ平坦な表面に垂直な第1の平面(x-z平面、
図2A参照)内の光学フィルム200の第1の断面が、実際の第1の長さAL1、平坦な表面上の投影された第1の長さPL1、及び(AL1-PL1)/PL1として定義される第1の延伸比S1を有し、第2の方向(y方向)に平行かつ平坦な表面に垂直な第2の平面(y-z平面、
図2B参照)内の光学フィルム200の第2の断面が、実際の第2の長さAL2、平坦な表面上の投影された第2の長さPL2、及び(AL2-PL2)/PL2として定義される第2の延伸比S2(ここで、S1≧0.15、かつ0.01≦S2<S1)を有し、実質的に垂直に入射する光に対して、光学フィルム200上の各位置は、バンドエッジ波長を有する対応する反射バンドを有し、バンドエッジ波長は、第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿って15%未満変動する。別の実施例として、いくつかの実施形態において、光学フィルム200は、延伸及び成形された光学フィルムであって、少なくとも互いに直交する方向(x及びy方向)に沿って延伸及び成形されており、少なくとも450nm~600nmを含む所定の波長範囲内で実質的に非偏光の、実質的に垂直に入射する光に対して約70%未満の平均光吸収率を有し、光学フィルム200が平坦な表面上に配置されるときに、平坦な表面に垂直な第1の平面(x-z平面、
図2A参照)内の光学フィルム200の第1の断面が、第1の断面の両端部201及び203を結ぶ直線205からの最大偏差D1を有し、第1の平面が、D1を最大化するように選択され、第1の平面及び平坦な表面に垂直な第2の平面(y-z平面、
図2B参照)内の光学フィルム200の第2の断面が、第2の断面の両端部202及び204を結ぶ直線206からの最大偏差D2を有し、第2の平面が、0.1D1<D2<0.7D1として、D2を最大化するように選択され、ここで光学フィルム200が、第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿って約15%未満の最大厚さ変動を有する。
【0018】
図1A~
図1Cに示される実施形態では、光学フィルム100は、第1の断面内に第1の変曲点120及び第2の変曲点122を含む(
図1Bを参照)。光学フィルム100は、第1の変曲点120より左側の領域で上に凹状であり、第1の変曲点120と第2の変曲点122との間で下に凹状であり、第2の変曲点より右側の領域で上に凹状である。図示した実施形態では、光学フィルム100は、1つ以上の鞍点(saddle points)125を含む。鞍点において、光学フィルム100は、1つの断面(例えば、
図1Bの第1の断面)において下に凹状であり、別の断面(例えば、
図1Cの第2の断面)において上に凹状である。いくつかの実施形態では、1つ以上の鞍点は、複数の鞍点(例えば、y=0付近のx=0に沿った鞍点の連続体)である。第1の断面において、鞍点125は、第1の変曲点120と第2の変曲点122との間に配置される。同様に、
図2A~
図2Bに示される実施形態では、光学フィルム200は、第1の断面において第1の変曲点220及び第2の変曲点222を含み(
図2Aを参照)、1つ以上の鞍点225を含む。第1の断面において、鞍点225は、第1の変曲点220と第2の変曲点222との間に配置される。他の実施形態では、光学フィルムは、第1の断面において変曲点を有さない、かつ/又は1つ以上の鞍点を有さない湾曲した光学フィルムに延伸及び成形されてもよい。鞍点及び/又は変曲点を有し、本明細書の他の箇所に記載される範囲のS1及びS2、並びに/又はD1及びD2、並びに/又はM、並びに/又はPL1/PL2を有する光学フィルムは、従来の形成方法では、光学フィルムを破断せずに形成することができない場合が多い(例えば、S1は、破断時の最大ひずみよりも大きくなることがある)、又は従来の成形方法を使用して作製される場合、許容できないほど大きな変動を有する特性(例えば、厚さ、バンドエッジ波長、光吸収率)をもたらす。
【0019】
光学フィルム100又は200は、少なくとも450nm~600nm、又は少なくとも400nm~600nm、又は少なくとも450nm~650nm、又は少なくとも450nm~700nm、又は少なくとも400nm~700nmを含む所定の波長範囲内で実質的に非偏光の、実質的に垂直に入射する光に対して約70%未満の平均光吸収率を有し得る。実質的に非偏光の光とは、十分に小さい偏光度を有する光であるため、垂直に入射する実質的に非偏光の光の透過率、反射率、及び吸光度は、垂直に入射する非偏光の光の透過率、反射率、及び吸光度と無視できる程度にしか変わらない。偏光の程度は、偏光される光の割合(強度による)である。いくつかの実施形態では、実質的に非偏光として記載される光は、10%未満の偏光度を有する。いくつかの実施形態では、実質的に非偏光として記載される光は、非偏光又は名目上非偏光である。実質的に垂直に入射する光は、垂直入射に十分に近い光であるため、実質的に垂直に入射する非偏光の光の透過率、反射率、及び吸光度は、垂直に入射する非偏光の光の透過率、反射率、及び吸光度と無視できる程度にしか変わらない。実質的に垂直に入射する光は、いくつかの実施形態では、20度以内若しくは10度以内で垂直入射してもよく、又は垂直入射若しくは名目上垂直入射してもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、光学フィルム100又は200は、多層光学フィルム、反射型偏光子、吸収型偏光子、ミラー、赤外線ミラー、又は実質的に透過型の光学フィルム(例えば、拡散体)のうちの1つ以上である。
【0021】
図3Aは、第1の断面における位置に対する光学フィルムの物理的特性の概略プロットである。
図3Bは、第2の断面における位置に対する光学フィルムの物理的特性の概略プロットである。光学フィルムは、本明細書の他の箇所で更に説明されるように、第1の断面における投影された第1の長さPL1と、第2の断面における投影された第2の長さPL2とを有する。物理的特性は、位置に伴って変動し得る光学フィルムの任意の特性であってよい。いくつかの実施形態では、特性は、光学フィルムの厚さである。いくつかの実施形態では、特性は、光学フィルムの反射バンドのバンドエッジ波長である。いくつかの実施形態では、特性は、実質的に偏光されない、ブロック状態で偏光される、又は通過状態で偏光される、実質的に垂直に入射する光に対する光学フィルムの所定の波長範囲における平均吸光度である。いくつかの実施形態では、光学フィルムは、複数の交互になった高屈折率ポリマー層及び低屈折率ポリマー層を含み、バンドエッジ波長は、複数の交互になった高屈折率ポリマー層及び低屈折率ポリマー層の厚さにほぼ比例する。いくつかの実施形態では、光学フィルムは吸収型偏光子であり、ブロック状態透過率の変動は、光学フィルムの厚さ変動に伴って(例えば、非線形的に)変動する。特性は、第1の断面において、Min1からMax1まで、及び第2の断面においてMin2からMax2まで変動する。パーセントとして表した場合の第1の断面に沿った特性の最大変動は、(Max1-Min1)/Max1×100%である、又は、等価的に、分数として表した場合には、(Max1-Min1)/Max1である。パーセントとして表した場合の第2の断面に沿った特性の最大変動は、(Max2-Min2)/Max2×100%である、又は、等価的に、分数として表した場合には、(Max2-Min2)/Max2である。最大変動がパーセント変動を指すか、又は分数変動を指すかは、最大変動の値又は範囲がどのように指定されているかにより明らかになるであろう。例えば、最大変動0.1は、最大分数変動0.1(10%の最大パーセンテージ変動に相当)を指し、15%の最大変動は、15%の最大パーセンテージ変動(最大分数変動0.15に相当する)を指す。いくつかの実施形態では、特性(例えば、厚さ、又はバンドエッジ波長、又は光吸収率)の最大変動は、第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿って、約0.05S1~約0.9S1、又は約0.05S1~約0.8S1、又は約0.05S1~約0.7S1、又は約0.1S1~約0.8S1、又は約0.2S~約0.8S1の範囲である。いくつかの実施形態では、第1の断面に沿った特性(例えば、厚さ、又はバンドエッジ波長、又は光吸収率)の最大変動は、約0.2S1~約0.9S1、又は約0.2S1~約0.8S1、又は約0.05S1~約0.7S1の範囲であり、第2の断面に沿った特性の最大変動は、これらの範囲のうちのいずれか、又は約0.05S1~約0.4S1、又は約0.05S1~約0.5S1の範囲である。いくつかの実施形態では、光学フィルムは、第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿って、約20%未満又は約15%未満の最大厚さ変動及び/又は最大バンドエッジ波長変動を有する。
【0022】
図4は、実質的に垂直に入射する光についての直交する第1及び第2の偏光状態に対する光学フィルムの透過率又は光学フィルムに含まれる複数の交互になった高屈折率ポリマー層及び低屈折率ポリマー層の透過率の概略プロットである。λ1~λ2の所定の波長範囲内の波長にわたる透過率の平均は、第1の偏光状態ではT1であり、第2の偏光状態ではT2である。いくつかの実施形態では、λ1は、約400nm~約450nmの範囲であり、λ2は、約600nm~約700nmの範囲である。
【0023】
図5は、実質的に垂直に入射する光についての直交する第1及び第2の偏光状態に対する光学フィルムの反射率又は光学フィルムに含まれる複数の交互になった高屈折率ポリマー層及び低屈折率ポリマー層の反射率の概略プロットである。λ1~λ2の所定の波長範囲内の波長にわたる反射透過率の平均は、第1の偏光状態ではR1であり、第2の偏光状態ではR2である。
【0024】
図6は、実質的に垂直に入射する光についての直交する第1及び第2の偏光状態に対する光学フィルムの吸光度又は光学フィルムに含まれる複数の交互になった高屈折率ポリマー層及び低屈折率ポリマー層の吸光度の概略プロットである。λ1~λ2の所定の波長範囲内の波長にわたる吸光度の平均は、第1の偏光状態ではA1であり、第2の偏光状態ではA2である。
【0025】
図4~
図6に示す透過率、反射率、及び吸光度は、成形された光学フィルム上の位置についてでもよく、フィルム上の各位置は、位置ごとに変動し得る対応する透過率、反射率、及び吸光度を有し得る。例えば、各位置は、一般に
図5に示されるように、対応する反射バンドを有し得るが、バンドエッジ波長λ0及び/又はλ3は、位置(例えば、
図2A~
図2Bに示す)に伴って変動し得る。平均透過率、反射率、及び吸光度は、所定の波長範囲にわたる単純平均を指す。光学フィルムは、光学フィルム上の少なくとも1つの位置が、指定された範囲内の平均透過率、反射率、及び/又は吸光度を有する場合、光学フィルムは指定された範囲内の平均透過率、反射率、及び/又は吸光度を有すると言うことができる。いくつかの実施形態では、光学フィルムの領域の少なくとも大部分における各位置、又は光学フィルムの全ての領域若しくは実質的に全ての領域における各位置は、指定された平均透過率、反射率、及び/又は吸光度を有し得る。
【0026】
図4及び
図5は、長波長バンドエッジλ3を示し、
図5は、短波長バンドエッジλ0を示す。反射バンドは典型的に、反射率が急に低下する長波長バンドエッジ及び短波長バンドエッジの両方を有する。図示の実施形態では、短波長バンドエッジλ0はλ1未満であり、長波長バンドエッジλ3はλ2よりも大きい。バンドエッジは、実質的に垂直に入射する光に対して求められる。バンドエッジの正確な波長は、いくつかの異なる基準を使用して定義することができる。バンドエッジの波長は、例えば、第2の偏光状態を有する垂直入射光に関する反射率が1/2R2まで低下する波長、又は第2の偏光状態を有する垂直入射光に関する透過率が10%まで増加する波長としてもよい。
【0027】
光学フィルムの透過率は、一般的に、透過光の強度を入射光の強度によって除算したもの(所与の波長、入射方向などの光についてのもの)を指すが、「外部透過率」又は「内部透過率」という用語で表されることもある。光学フィルムの外部透過率が光学フィルムの透過率となるのは、周囲が空気であり、かつ要素の前方の空気/要素界面のフレネル反射に対して、又は要素の後方の要素/空気界面のフレネル反射に対していかなる補正もされない場合である。光学フィルムの内部透過率がそのフィルムの透過率となるのは、その前方表面及び後方表面のフレネル反射が除かれた場合である。前方及び後方のフレネル反射を除くことは、計算によって(例えば、適切な関数を外部透過スペクトルから引き算することによって)、又は実験によってのいずれかで行うことができる。多くのタイプのポリマー及びガラス材料では、フレネル反射は、2つの外部表面の各々で約4~6%(法線入射角又はほぼ法線入射角に対して)であり、これにより、外部透過率が、内部透過率と比べ約10%下方にシフトする。本明細書で内部又は外部を指定せずに透過率に言及する場合、文脈により特に明記しない限り、透過率は、外部透過率を指すものと見なしてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、光学フィルム(例えば、光学フィルム100又は200)は、複数の交互になった高屈折率ポリマー層及び低屈折率ポリマー層を含み、所定の波長範囲内の実質的に垂直に入射する光に対して、複数の交互になった高屈折率ポリマー層及び低屈折率ポリマー層は、第1の偏光状態に対して約70%超である平均光透過率T1と、直交する第2の偏光状態に対して約70%超である平均光反射率R2とを有する。
【0029】
いくつかの実施形態では、光学フィルム(例えば、光学フィルム100又は200)は、複数の交互になった高屈折率ポリマー層及び低屈折率ポリマー層を含み、所定の波長範囲内の実質的に垂直に入射する光に対して、複数の交互になった高屈折率ポリマー層及び低屈折率ポリマー層は、相互に直交する第1及び第2の偏光状態のそれぞれに対して約70%超である平均光反射率R1、R2を有する。例えば、
図5に示される実施形態では、R2は、95%以上とすることができ、R1は、約70%超だがR1未満とすることができる。他の実施形態では、R1とR2は、ほぼ等しい。例えば、いくつかの実施形態では、R1及びR2はそれぞれ、約90%超である。
【0030】
いくつかの実施形態では、光学フィルム(例えば、光学フィルム100又は200)は、少なくとも450nm~600nmを含む所定の波長範囲内で実質的に非偏光の、実質的に垂直に入射する光に対して約70%未満の平均光吸収率を有し、ここで、所定の波長範囲内の実質的に垂直に入射する光に対して、光学フィルムは、第1の偏光状態に対して約70%超の平均光透過率T1と、直交する第2の偏光状態に対して約70%超の平均光吸収率A2とを有する。例えば、光学は、第2の偏光状態に対する光吸収率をもたらす配向された層内に二色性染料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、光学フィルムは、ヨウ素染色されたポリビニルアルコール層を含む吸収型偏光子であるか、又はそれを含む。他の実施形態では、第2の偏光状態に対して約70%超である平均光吸収率を有する光学フィルムは、複数の交互になった高屈折率ポリマー層及び低屈折率ポリマー層を含む。例えば、高屈折率層は、第2の偏光状態に対する光吸収率をもたらす1種以上の二色性染料を含んでもよく、又はスキン層は、第2の偏光状態に対する光吸収率をもたらす1種以上の二色性染料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2の偏光状態に対する光学フィルムの平均光吸収率A2は、第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿って、約20%未満、又は約15%未満、又は約10%未満変動する(例えば、
図1B~
図1C又は
図2A~
図2Bの断面図)。いくつかの実施形態では、所定の波長範囲内の実質的に垂直に入射する光に対して、光学フィルムは、第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿って、約50%未満、又は約40%未満、又は約30%未満変動する第2の偏光状態に対する平均光透過率T2を有する。いくつかの実施形態では、第2の偏光状態を有する所定の波長範囲内の実質的に垂直に入射する光に対して、光学フィルムは、第1の断面及び第2の断面のそれぞれに沿った各位置において、1%未満の平均光透過率T2を有する。
【0031】
いくつかの実施形態では、光学フィルム(例えば、光学フィルム100又は200)は、少なくとも450nm~600nm(例えば、400nm~700nm)を含む所定の波長範囲内で実質的に非偏光の、実質的に垂直に入射する光に対して約70%未満の平均光吸収率を有し、ここで、所定の波長範囲内の実質的に垂直に入射する光に対して、光学フィルムは、直交する第1及び第2の偏光状態それぞれに対して、約50%超、又は約60%超、又は約70%超の平均光透過率を有する。例えば、いくつかの実施形態では、光学フィルムは、例えば、所望の光学的透明度又は光学ヘイズを有する実質的に透明なフィルムであってもよい。いくつかの実施形態では、光学フィルムは、少なくとも450nmから600nmを含む所定の波長範囲内の直交する第1の偏光状態及び第2の偏光状態のそれぞれに対して約50%超、又は約60%超、又は約70%超の平均光透過率を有し、少なくとも450nmから600nmを含む所定の波長範囲と重ならない、別の第2の所定の波長範囲内の直交する第1の偏光状態及び第2の偏光状態のそれぞれに対して約50%超、又は約60%超、又は約70%超の平均光反射率を有する。例えば、光学フィルムは、450nm~600nmの波長範囲では実質的に透明であってもよいが、近赤外波長範囲では反射性であってもよい。近赤外波長は、一般に、約700nm~約2500nmの波長を含む。いくつかの実施形態では、所定の赤外波長範囲は、例えば、少なくとも850nm~900nm(例えば、800nm~950nm)、又は少なくとも800nm~1000nm、又は少なくとも793nm~1064nmを含む。レーザ保護眼鏡に有用な所定の赤外波長範囲は、例えば、少なくとも793nm~1064nmに及び得るが、これは、いくつかの種類のレーザダイオードが、約793nmの波長を生成し、ネオジムをドープしたイットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAG)レーザが、約1064nmの波長を生成するためである。
【0032】
いくつかの実施形態では、光学フィルム(例えば、光学フィルム100又は200)は、複数の交互になった高屈折率ポリマー層及び低屈折率ポリマー層を含み、所定の波長範囲内の実質的に垂直に入射する光に対して、光学フィルムは、直交する第1の偏光状態及び第2の偏光状態のそれぞれに対して約50%超の平均光透過率を有し、ここで、所定の波長範囲と重ならない所定の赤外波長範囲内の実質的に垂直に入射する光に対して、複数の交互になった高屈折率ポリマー層及び低屈折率ポリマー層が、第1及び第2の偏光状態のそれぞれに対して約70%超の平均光反射率を有する。
【0033】
いくつかの実施形態では、光学フィルム(例えば、光学フィルム100又は200)は、複数の交互になった高屈折率ポリマー層及び低屈折率ポリマー層を含む。
図7Aは、光学フィルム3100の概略斜視図であって、光学フィルム3100は、光学フィルム100若しくは200を成形する前の光学フィルム100若しくは200に対応し得るか、又は
図7Aでは光学フィルムの湾曲が見られない光学フィルム100若しくは200の一部に対応し得る。
図7Bは、光学フィルム3100の一部分の概略斜視図である。光学フィルム3100は、合計(N)個の干渉層3102を有する複数のポリマー干渉層3102を含む。
図7Bは、交互になった高屈折率ポリマー層3102a(A層)及び低屈折率ポリマー層3102b(B層)を示す光学フィルム3100の一部分の概略斜視図である。光学フィルム3100は、約500ミクロン未満の平均厚さtを有する。平均厚さとは、光学フィルムの領域にわたる厚さ平均を指す。いくつかの実施形態では、光学フィルムを延伸及び成形する前には、厚さは実質的に均一であるため、光学フィルムの厚さは平均厚さtに実質的に等しい。
【0034】
使用中、入射光3110として描かれる光学フィルム3100の主表面(例えば、フィルム表面3104)に入射する光は、光学フィルム3100の第1の層に入り、複数の干渉層3102を通って伝搬することができ、入射光3110の偏光状態に依存して、光干渉により選択反射又は透過を受ける。入射光3110は、互いに直交する第1の偏光状態(a)及び第2の偏光状態(b)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、光学フィルム3100は、偏光素子であり、第1の偏光状態(a)は、「通過」状態と考えることができ、一方で第2の偏光状態(b)は、「ブロック」状態と考えることができる。いくつかの実施形態では、光学フィルム3100は、延伸軸3120に沿って配向され、直交軸3122に沿っては配向されていない偏光子である。このような実施形態では、軸3122に沿った電界を有する垂直入射光の偏光状態は、第1の偏光状態(a)であり、軸3120に沿った電界を有する垂直入射光の偏光状態は第2の偏光状態(b)である。いくつかの実施形態では、入射光3110が複数の干渉層3102を通って伝搬していくと、第2の偏光状態(b)における光の部分は隣接する干渉層によって反射され、第2の偏光状態(b)が光学フィルム3100によって反射される結果となり、一方で第1の偏光状態(a)における光の一部は、光学フィルム3100をまとまって通過する。
【0035】
いくつかの実施形態では、高屈折率層3102aは、光学フィルム3100によって別様に反射された第2の偏光状態(b)における光の一部又は実質的に全てを吸収する1種以上の二色性染料を含む。好適な二色性染料としては、例えば、三井化学ファイン、(日本)から入手可能なものが挙げられる。高屈折率層内に二色性染料を含む反射型偏光子は、例えば、米国特許出願公開第2016/0306086号(Haagら)に記載されている。いくつかの実施形態では、多層光学フィルムは、例えば、米国特許第6,096,375号(Ouderkirkら)に記載されるように、スキン層内に二色性染料を含む。いくつかの実施形態では、成形された光学フィルムは、例えば、米国特許第7,826,009号(Weberら)に記載されるように、第1の主表面及び第2の主表面を有する吸収要素と、吸収要素の第1の主表面上に配置された第1の反射型偏光子と、吸収要素の第2の主表面上に配置された第2の反射型偏光子と、を含む。第1及び第2の反射型偏光子のそれぞれは、例えば光学フィルム3100に対応し得る。
【0036】
干渉層は、干渉層の反射率及び透過率が光干渉によって合理的に説明できるか、又は光干渉の結果として合理的に正確にモデル化できる場合、主に光干渉によって光を反射及び透過すると説明されてもよい。異なる屈折率を有する干渉層の隣接する対は、対が、光の波長の1/2の合成光学厚さ(ブロック軸に沿った屈折率×物理的厚さ)を有するときに、光干渉によって光を反射する。干渉層は、典型的には、約500nm未満又は約200ナノメートル未満の物理的厚さを有する。いくつかの実施形態では、各ポリマー干渉層は、約45ナノメートル~約200ナノメートルの範囲の平均厚さ(層にわたる物理的厚さの非加重平均)を有する。非干渉層は、干渉によって可視光の反射に寄与するには大きすぎる光学的厚さを有する。非干渉層は典型的に、少なくとも1マイクロメートル又は少なくとも5マイクロメートルの物理的厚さを有する。干渉層3102は、所定の波長範囲において主に光干渉によって光を反射及び透過する複数のポリマー干渉層であり得る。干渉層及び非干渉層を含む光学フィルムの平均厚さは、約500ミクロン未満とすることができる。
【0037】
交互になったポリマー干渉層を含む光学フィルムの作製方法は、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)、同第6,179,948号(Merrillら)、同第6,783,349号(Neavinら)、及び同第9,162,406号(Neavinら)に記載されている。
【0038】
図8A~
図8Cは、平坦な中央領域841及び平坦な周辺領域836を含む平坦な光学フィルム801から開始する、延伸及び成形された光学フィルム800を形成する方法における工程を概略的に示す。いくつかの実施形態では、延伸及び成形された光学フィルム800を形成する方法は、平坦な光学フィルム801を準備するステップと、平坦な光学フィルム801を、屈曲させるが延伸させないで、周辺領域837(例えば、平坦な周辺領域836に相当する)によって取り囲まれた第1の形状を有する未延伸屈曲中央領域842(例えば、平坦な中央領域841又は平坦な中央領域841の一部に相当する)を含む未延伸屈曲光学フィルム802を形成するステップと、、未延伸屈曲光学フィルム802の、周辺領域ではなく中央領域を、少なくとも互いに直交する第1の方向(x方向)及び第2の方向(y方向)に沿って延伸して、延伸及び成形された光学フィルム800を得るステップと、を含む。
図8Aは、平坦な光学フィルム801の概略上面図であり、
図8Bは、未延伸屈曲光学フィルム802の概略断面図であり、
図8Cは、成形された光学フィルム800の概略断面図である。成形された光学フィルム800は、光学フィルム100に相当し得るものであり、例えば、
図1A~
図1Cに示される形状を有してもよい。未延伸屈曲光学フィルム802は、x-z平面に平行な各断面に沿って
図8Bに概略的に示される形状を有し得る。いくつかの実施形態では、平坦な光学フィルム801を、屈曲させるが延伸しないステップは、平坦な光学フィルム801を、第1の方向ではなく第2の方向
に屈曲することを含む。例えば、未延伸屈曲光学フィルム802は、y方向に屈曲されてもよいが、x方向に屈曲されない。
【0039】
いくつかの実施形態では、少なくとも互いに直交する第1及び第2の方向に沿って、未延伸屈曲光学フィルムの、周辺領域ではなく中央領域を延伸するステップは、周辺領域837の少なくとも一部に沿って未延伸屈曲光学フィルム802をクランプし、次いで、湾曲したモールド面に一致するように中央領域842を延伸することを含む。クランプされた領域は、y方向に湾曲し得るが、x方向には湾曲しない。例えば、第1の部分と第2の部分との間に光学フィルムをクランプするように適合された、第1及び第2の部分をそれぞれ含む第1及び第2の固定具を利用することができ、ここで、第1及び第2の部分の形状は、クランプ領域内の延伸及び成形された光学フィルムの周辺領域に一致するように選択される。いくつかの実施形態では、中央領域842を延伸することは、湾曲したモールド面を光学フィルムに押し込み、湾曲したモールド面の形状に一致するようにフィルムを延伸することによって実行される。このような成形プロセスは、例えば、MAAC Machinery Corporation(Carol Stream,IL)製の真空成形機を利用して実施することができる。いくつかの実施形態では、中央領域842を延伸することは、光学フィルムに圧力(例えば、空気圧)を適用して、光学フィルムが湾曲したモールド面に接触するまで光学フィルムを延伸する(例えば、
図12を参照)ことによって実行される。このような加圧プロセスは、Hy-Tech Forming Systems(USA),Inc.(Phoenix,AZ)製の形成機を利用して実行することができる。
【0040】
図12は、延伸及び成形された光学フィルムを形成するための装置1299の概略分解斜視図である。この装置は、上部プラテン1251及び下部プラテン1252を含む。下部プラテンは、延伸及び成形された光学フィルムの所望の形状を有する表面を有する成形型インサート1255を含む。上部プラテン1251と下部プラテン1252との間には、未延伸屈曲光学フィルム1202が示されている。いくつかの実施形態では、延伸及び成形された光学フィルムを形成する方法は、以下のように装置1299を利用する。まず、下部プラテン1252の上面に平坦な光学フィルムを配置する。平坦な光学フィルムは、下部プラテン1252の上面の形状に押し込むことなく弛緩させておくことができる。次に、上部プラテン1251及び下部プラテン1252の周辺領域が、成形型インサート1255を取り囲む周辺領域内の光学フィルムに接触して光学フィルムの周辺領域をクランプするまで、上部プラテン1251を下部プラテン1252に向かって下方に移動させる。上部プラテン1251及び下部プラテン1252が光学フィルムをクランプする前に、光学フィルムは上部プラテン1251及び下部プラテン1252に対して摺動することができる。その結果、光学フィルムは、
図12に示される未延伸屈曲光学フィルム1202の形状を有するように、上部プラテン1251及び下部プラテン1252の周辺部分に一致するように、延伸させないで、屈曲される。いくつかの実施形態では、上部プラテン1251は、上部プラテン1251及び下部プラテン1252が最初に光学フィルム1202をクランプするときに、上部プラテン1251が未延伸屈曲光学フィルム1202の内側部分に接触しないように、凹部領域を有する。いくつかの実施形態では、上部プラテンは加熱される。いくつかの実施形態では、成形型インサート1255は、多孔性(例えば、多孔質アルミニウム)である。いくつかの実施形態では、光学フィルム1202を加熱するために、成形型インサートを介して(例えば、多孔質アルミニウムを介して)空気圧を適用し、光学フィルム1202を上部プラテン1251に押し付ける。次いで、空気圧を解放し、光学フィルムの上方に空気圧を適用して、光学フィルムを成形型インサート1255の湾曲したモールド面に接触するように押し付け、成形型インサート1255は、より低い温度であり得るため、光学フィルムを冷却することができる。この加圧ステップは、光学フィルムを成形型インサート1255の湾曲したモールド面の形状に延伸及び成形する。他の実施形態では、上部プラテン1251は、光学フィルムを下部プラテン1252に向かって機械的に押し付けることができる圧縮成形型に置き換えられる。
【0041】
いくつかの実施形態では、少なくとも互いに直交する第1及び第2の方向に沿って、未延伸屈曲光学フィルム802の、周辺領域ではなく中央領域を延伸するステップは、未延伸屈曲光学フィルム802を、第1の方向(x方向)に沿ってより大きく延伸し、第2の方向(y方向)に沿ってより小さく延伸することを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも互いに直交する第1及び第2の方向に沿って、未延伸屈曲光学フィルム802の、周辺領域ではなく中央領域を延伸するステップは、未延伸屈曲光学フィルムを、第1の方向及び第2の方向に沿って実質的に等しく延伸することを含む。この文脈において、第1及び第2の方向に沿った実質的に等しい延伸とは、第2の方向のひずみの10%以内の第1の方向のひずみに延伸されることを意味すると理解され得る。
【0042】
光学フィルム800は、未延伸屈曲中央領域842に対応する中央領域840を有する。周辺領域835は、使用前に除去することができる、光学フィルムの周辺部に近接する光学フィルム800の部分に相当してもよく、中央領域840は光学フィルム800の残りの部分に相当してもよい。例えば、中央領域840は、光学フィルム200に相当し得る。内側部分830は、形成プロセス中にクランプされない光学フィルムの部分であってもよく、又はそれを含んでもよい。周辺領域835は、内側部分830の一部分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、中央領域840は、周辺領域835によって完全に取り囲まれている。他の実施形態では、周辺領域の一部分が存在しないため、中央領域840が、周辺領域835によって完全に取り囲まれていないこともある。例えば、中央領域840は、光学フィルム800の角部を除く4つの側面のそれぞれで周辺領域835によって取り囲まれてもよい。いくつかの実施形態では、光学フィルム800は、縁部周辺部845によって取り囲まれた内側部分830を含み、ここで、中央領域840は、内側部分830の一部分であり、周辺領域835は、縁部周辺部845の少なくとも一部を含む。いくつかの実施形態では、光学フィルム800は、縁部周辺部845によって取り囲まれた内側部分830を含み、ここで、中央領域840は、内側部分830の一部であり、周辺領域835の少なくとも一部は、内側部分830の一部であり、縁部周辺部845から離れている。
【0043】
いくつかの実施形態では、平坦な光学フィルム801は、約500ミクロン未満の平均厚さを有する。平坦な光学フィルム801は、湾曲した光学フィルムについて本明細書の他の箇所に記載される光学特性のいずれかを有してもよい。例えば、平坦な光学フィルム801は、少なくとも450nm~600nmを含む所定の波長範囲内で実質的に非偏光の、実質的に垂直に入射する光に対して約70%未満の平均光吸収率を有し得る。所定の波長範囲は、本明細書の他の箇所で更に説明される範囲のうちのいずれかであってよく、例えば、少なくとも400nm~600nm、又は少なくとも450nm~650nm、又は少なくとも450nm~700nm、又は少なくとも400nm~700nmであってよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、平坦な光学フィルム801は、1つ以上のライナーを含み、本方法は、未延伸屈曲光学フィルム802の周辺領域ではなく中央領域を延伸した後に、1つ以上のライナーを除去して、延伸及び成形された光学フィルム800を提供するステップを更に含む。例えば、
図8Dは、光学フィルム2801の両主表面上にライナー847及び849を含む平坦な光学フィルム1801の概略断面図である。いくつかの実施形態では、光学フィルム1801は、所望の形状に延伸及び成形され、次いで、ライナー847及び849が除去され、所望の形状に形成された光学フィルム2801が残る。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1の形状の少なくとも一部は、円筒形又は放物線状である。
図9は、第1の形状が円筒形である第1の形状を有する中央領域942を有する未延伸屈曲光学フィルム902の概略断面図である。円筒形状は、シリンダの一部分の形状である。未延伸屈曲光学フィルム902は、y方向に屈曲しているが、x方向には屈曲していない。図示した実施形態では、第1の形状は、シリンダ977の外側表面の一部分の形状である。
図10は、第1の形状が放物線状である第1の形状を有する中央領域1042を有する未延伸屈曲光学フィルム1002の概略断面図である。未延伸屈曲光学フィルム1002は、y方向に屈曲しているが、x方向には屈曲していない。いくつかの実施形態では、第1の形状は、2つ以上の円筒形部分又は放物線状部分を含む。例えば、いくつかの実施形態では、第1の形状は、少なくとも2つの、間隔が空いた実質的に平行な円筒形又は放物線状の部分を含む。
【0046】
図11は、中央領域1142及び周辺領域1137を有する未延伸屈曲光学フィルム1102の概略上面図である。中央領域1142は、間隔が空いた、第1の中央領域1142a及び第2の中央領域1142bを含む。周辺領域1137は、第1の中央領域1142aを取り囲む第1の周辺領域1137aと、第2の中央領域1132bを取り囲む第2の周辺領域1137bとを含む。いくつかの実施形態では、第1の中央領域1142a及び第2の中央領域1142bはそれぞれ、中央領域1142の円筒形部分である。いくつかの実施形態では、第1の中央領域1142a及び第2の中央領域1142bはそれぞれ、中央領域1142の放物線状部分である。いくつかの実施形態では、未延伸屈曲光学フィルム1102は、y方向に屈曲しているが、x方向には屈曲していない。
【実施例0047】
実施例1
反射型偏光子フィルムを以下のように調製した。2つの多層光学パケットを、各パケットがポリエチレンナフタレート(PEN)と低屈折率の等方性層との325個の交互層を含む状態で、共押出しし、この低屈折率の等方性層は、屈折率が約1.57であり、一軸方向で実質的に等方性を維持するように、ポリカーボネートとコポリエステル(PC:coPET)とのブレンドを用いて作製したものである。PC:coPETのモル比は、PC約42.5モル%及びcoPET57.5モル%であり、PC:coPETは、105℃のTgを有した。この等方性材料は、2つの非延伸方向における屈折率を延伸させた後、非延伸方向における複屈折材料の屈折率と実質的に整合したままとなるように選択され、一方で延伸方向において、複屈折層と非複屈折層との間には屈折率の実質的な不整合が存在した。PEN及びPC/coPETポリマーを分離押出成形機から多層共押出しフィードブロックまで供給し、325個の交互になった光学層のパケット、及び積層された光学パケットの外側にcoPENのより厚い保護境界層を加えて全部で652層に組み立てた。一方のパケットのより厚い層は、他方のパケットのより薄い層に隣接し、2つのパケットの層の厚さの範囲はほぼ同じであった。米国特許第6,916,440号(Jacksonら)に記載されるようなパラボリックテンター内でフィルムを実質的に一軸延伸させた。フィルムを約150℃の温度で約6の延伸比まで延伸した。
【0048】
反射型偏光子のシートを、その反射型偏光子シートの隣接する部分から取ったサンプルを使用して、同じサイズ及び形状を有するいくつかのサンプルに切断した。サンプルのうちの1つを使用して、厚さ及びスペクトルを測定して、初期厚さ及びバンドエッジ波長を確立し、他のサンプルは所望の形状に形成した。形成対象の反射型偏光子サンプルの一方の側に保護オレフィンライナーを適用し、このオレフィンライナーと反射型偏光子フィルムサンプルの反対側とに、弱い粘着性を有するポリエステルライナーを適用した。
【0049】
加圧プロセスは、
図12に示す装置を使用して、Hy-Tech Forming Systems(USA),Inc.(Phoenix,AZ)製の成形機内で実施した。フィルムのサンプルを、成形機上で下部プラテン(下部プラテン1252に対応)の上に配置し、この下部プラテンは、多孔質アルミニウム(成形型インサート1255に対応)から機械加工され、80°Fの温度に維持された雌型を含んでいた。フィルムのオレフィンライナーを有する側は、下部プラテンとは反対側を向いていた。反射型偏光子のブロック軸は、光学フィルムの長さ方向(
図1Aのx方向)に沿っていた。次に、350°Fに予熱した上部プラテン(上部プラテン1251に対応)を下部プラテン上に下ろして閉じ、フィルムの縁部を定位置にクランプした。プラテンがフィルムに近付いた際に、フィルムを上部プラテン及び下部プラテンに対して摺動させて、フィルムを屈曲させたが、フィルムは一軸についてのみ屈曲されたので延伸されなかった。フィルムは、本プロセスのこの時点で、概して
図1D及び
図12に示される形状を有していた。次いで、フィルムの底面側に(多孔質アルミニウムを介して)60psiの圧力を適用し、上方の平坦な加熱されたプラテンに対してフィルムを押圧した。この圧力を6秒間維持した。底面側の圧力を解放し、475psiの圧力をフィルムの上側に適用して、フィルムを下の雌型内に膨張させた。圧力を6秒間維持し、その後、形成された部分(形成されたライナーを有する)を機械から除去した。その結果、概ね
図1A~
図1Cに示される形状を有する湾曲した光学フィルムが得られた。
【0050】
図1B~
図1Cの座標系を参照すると、結果として成形されたフィルムは、x方向に沿って、7.63インチの投影長さPL1(
図1B参照)及び9.24インチの実長AL1を有し、また、結果として成形されたフィルムは、y方向に沿って、4.63インチの投影長さPL2(
図1C参照)及び4.68インチの実長AL2を有した。光学フィルムの周辺部分を除去して、
図2A~
図2Bに概略的に示された幾何学的形状を有する光学フィルムを残すことができる。この結果として得られたフィルムは、7.47インチの投影長さPL1(
図2A参照)及び8.96インチの実長AL1を有し、また、y方向に沿って、2.86インチの投影長さPL2(
図2B参照)及び2.90インチの実長AL2を有した。
【0051】
ライナーを除去し、形成されたフィルムサンプル及び平坦なフィルムサンプルについて、厚さ及びバンドエッジ波長を測定した。静電容量計を用いて厚さを測定した。バンドエッジ波長は、以下のようにして求めた。ブロック状態の透過率は、Lambda 950分光光度計(PerkinElmer(Waltham,MA)から入手可能)を使用して、波長の関数として垂直入射で測定した。ブロック状態の透過率が10%に達する波長として右(長)波長バンドエッジを求めた。
【0052】
フィルムの中心においてx’=0、y’=0を有する
図1Aに示される座標系を参照して、厚さ及びバンドエッジ波長を、様々なx’値(水平位置)に対するy’=0(垂直位置0インチ)において求めた。
【0053】
厚さの個別の測定を、様々なy’値に対するいくつかの固定x’値について実行した。
【0054】
表1は、y’=0インチで、-4インチ~+4インチの範囲のx’値(水平位置)の厚さ及びバンドエッジ波長の結果を示す。
【0055】
【0056】
表2~5は、測定されたx’値(水平方向位置)が、それぞれ0インチ、-2インチ、-3インチ、及び-3.5インチであり、y’値(垂直方向位置)が、0インチ~1.25インチの範囲である、結果を示す。
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
実施例2
800~1300nmの波長を有する垂直入射光に対して99%超の反射を有する赤外線反射多層光学フィルムは、層厚の傾きを有するポリ(エチレンナフタレート)(PEN)とポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)との275個の交互になったミクロ層からなる2つのパケットから作製され、各パケットはPENの境界層を有する。この組み合わされた2つのパケット構造の外層は、Sabic IP(Dusseldorf,Germany)製のXYLEX RESINポリカーボネートポリエステル/ブレンドのスキン層を有した。このフィルムは、概して、米国特許第7,271,951 (B2)号(Weberら)に記載の方法に従って調製した。
【0062】
フィルムを延伸し、実施例1に記載のように湾曲形状に成形した。透過率が10%に達する波長として近赤外反射バンドの左(短)波長バンドエッジを求めたことを除いて、実施例1と同様に測定した。
【0063】
表5は、フィルムの中心においてx’=0、y’=0であり、y’=0インチにおいて測定されたx’値(水平方向位置)が-4インチ~+4インチの範囲である
図1Aに示される座標系を使用した結果を示す。
【0064】
【0065】
表6~9は、測定されたx’値(水平方向位置)が、それぞれ0インチ、-2インチ、-3インチ、及び-3.5インチであり、y’値(垂直方向位置)が、0インチ~1.25インチの範囲である、結果を示す。
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
実施例3
二色性染料を含む吸収型偏光子を以下のように作製した。共押出成形された3層フィルムの中心層は、CoPEN 90/10(90%のポリエチレンナフタレート(PEN)単位と10%のポリエチレンテレフタレート(PET)単位とを含むコポリマー)を二色性染料(三井化学ファイン、日本)と共に二軸押出機に、以下の重量パーセント、つまり、PD-104を0.190%、PD-325Hを0.364%、PD-335Hを0.085%、PD-318Hを0.405%で供給したものである。中心層の合計押出速度は、22.7kg/時間であった。外側フィルム層を中心層と共押出した。外側層は、ポリカーボネートとコポリエステル(PC:coPET)とのブレンドから作製した。PC:coPETモル比は、PC約42.5モル%及びcoPET57.5モル%であった。2つの外側層の合計押出速度は、45.4kg/時間であった。共押出した3層フィルムを0.34メートルのダイを介して供給し、6.7フィート/分の速度でキャストシートを形成した。キャストシートを、テンターにおいて、146℃の温度で約6の延伸比で延伸した。
【0071】
フィルムを、光学フィルムの長さ方向(
図1Aのx方向)に沿ったブロック軸を有した、実施例1に記載のように延伸し湾曲した形状に成形し、厚さを実施例1のように求めた。
【0072】
表10は、フィルムの中心においてx’=0、y’=0であり、y’=0インチにおいて測定されたx’値(水平方向位置)が-4インチ~+4インチの範囲である
図1Aに示される座標系を使用した結果を示す。
【0073】
【0074】
実施例4
本実施例における光学フィルムとして、YS America(Torrance,CA)から入手可能な厚さ0.040mmのポリビニルアルコール(PVA)吸収型偏光子フィルムを使用した。他のPVA吸収型偏光子は、同様の結果になることが予想されるであろう。上部プラテンを加圧プロセスにおいて280°Fの温度に予熱したことを除いて、実施例1に記載のように、フィルムを延伸して湾曲形状に成形した。通過軸は、光学フィルムの長さ方向(
図1Aのx方向)に沿っていた。厚さは、実施例1のように求めた。
【0075】
表11は、フィルムの中心においてx’=0、y’=0であり、y’=0インチにおいて測定されたx’値(水平方向位置)が-4インチ~+4インチの範囲である
図1Aに示される座標系を使用した結果を示す。
【0076】
【0077】
特徴部の形状、量、及び物理的性質を表す量に適用される「約」の使用が、本発明の記載に使用され記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「約」は、特定の値の10パーセント以内を意味すると理解されるだろう。特定の値の約として与えられる量は、正確に特定の値であり得る。例えば、本発明の記載に使用され記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、約1の値を有する量は、0.9~1.1の値を有する量かつその値が1であり得ることを意味する。
【0078】
「実質的に平行な(substantially parallel)」の使用が、本明細書に使用され記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「実質的に平行な」は、平行の30度以内を意味することになる。お互いに実質的に平行であるとして記載される方向又は表面は、いくつかの実施形態では、20度以内、又は10度以内の平行であり得るか、又は平行若しくは名目上平行であり得る。
【0079】
前述の参照文献、特許、又は特許出願はいずれも一貫した方法でそれらの全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。
【0080】
図中の要素の説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。具体的な実施形態を本明細書において例示し記述したが、様々な代替及び/又は同等の実施により、図示及び記載した具体的な実施形態を、本開示の範囲を逸脱することなく置き換え可能であることが、当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書において説明した具体的な実施形態のあらゆる適合例又は変形例を包含することを意図する。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ限定されるものとする。
図中の要素の説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。具体的な実施形態を本明細書において例示し記述したが、様々な代替及び/又は同等の実施により、図示及び記載した具体的な実施形態を、本開示の範囲を逸脱することなく置き換え可能であることが、当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書において説明した具体的な実施形態のあらゆる適合例又は変形例を包含することを意図する。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ限定されるものとする。以下、例示的実施形態を示す。
[項目1]
概ねベース平面において広がっており、約500ミクロン未満の平均厚さと、少なくとも450nm~600nmを含む所定の波長範囲内で実質的に非偏光の、実質的に垂直に入射する光に対する約70%未満の平均光吸収率と、を有する湾曲した光学フィルムであって、
前記ベース平面に垂直な第1の平面内の前記光学フィルムの第1の断面が、実際の第1の長さAL1、前記ベース平面上の投影された第1の長さPL1、及び(AL1-PL1)/PL1、S1≧0.1として定義される第1の延伸比S1を有し、
前記第1の平面及び前記ベース平面に垂直な第2の平面内の前記光学フィルムの第2の断面が、実際の第2の長さAL2、前記ベース平面上の投影された第2の長さPL2、及び(AL2-PL2)/PL2、0.01≦S2<0.8S1として定義される第2の延伸比S2を有し、
前記光学フィルムは、前記第1の断面及び前記第2の断面のそれぞれに沿って約20%未満の最大厚さ変動を有する、光学フィルム。
[項目2]
前記最大厚さ変動は、前記第1の断面及び前記第2の断面のそれぞれに沿って約0.05S1~約0.8S1の範囲である、項目1に記載の光学フィルム。
[項目3]
前記光学フィルムの前記第1の断面は、前記ベース平面に対する最大傾きMと、前記第1の断面の両端部を結ぶ直線からの最大偏差D1と、を有し、0.2×PL1×M≧D1≧0.05×PL1である、項目1に記載の光学フィルム。
[項目4]
前記光学フィルムの前記第1の断面は、前記ベース平面に対して少なくとも1である最大傾きMを有する、項目1~3のいずれか一項に記載の光学フィルム。
[項目5]
PL1≧1.5PL2である、項目1~4のいずれか一項に記載の光学フィルム。
[項目6]
概ねベース平面において広がっており、約500ミクロン未満の平均厚さと、少なくとも450nm~600nmを含む所定の波長範囲内で実質的に非偏光の、実質的に垂直に入射する光に対する約70%未満の平均光吸収率と、を有する湾曲した光学フィルムであって、
前記ベース平面に垂直な第1の平面内の前記光学フィルムの第1の断面が、実際の第1の長さAL1、前記ベース平面上の投影された第1の長さPL1、及び(AL1-PL1)/PL1として定義される第1の延伸比S1を有し、
前記第1の平面及び前記ベース平面に垂直な第2の平面内の前記光学フィルムの第2の断面が、実際の第2の長さAL2、前記ベース平面上の投影された第2の長さPL2、及び(AL2-PL2)/PL2、0.01<S2<0.7S1として定義される第2の延伸比S2を有し、
前記光学フィルムは、前記第1の断面及び前記第2の断面のそれぞれに沿って約0.05S1~約0.8S1の範囲である最大厚さ変動を有する、光学フィルム。
[項目7]
前記最大厚さ変動は、前記第1の断面及び前記第2の断面のそれぞれに沿って約20%未満である、項目6に記載の光学フィルム。
[項目8]
前記光学フィルムの前記第2の断面は、前記第2の断面の両端部を結ぶ直線からの最大偏差D2を有し、0.1D1<D2<0.7D1である、項目6又は7に記載の光学フィルム。
[項目9]
少なくとも互いに直交する方向に沿って延伸及び成形されている、延伸及び成形された光学フィルムであって、少なくとも450nm~600nmを含む所定の波長範囲内で実質的に非偏光の、実質的に垂直に入射する光に対して約70%未満の平均光吸収率を有し、
前記光学フィルムが平坦な表面上に配置されるときに、
前記平坦な表面に垂直な第1の平面内の前記光学フィルムの第1の断面が、前記第1の断面の両端部を結ぶ直線からの最大偏差D1を有し、前記第1の平面は、D1を最大化するように選択されており、
前記第1の平面及び前記平坦な表面に垂直な第2の平面内の前記光学フィルムの第2の断面が、前記第2の断面の両端部を結ぶ直線からの最大偏差D2を有し、前記第2の平面は、0.1D1<D2<0.7D1として、D2を最大化するように選択されており、
前記光学フィルムは、前記第1の断面及び前記第2の断面のそれぞれに沿って約15%未満の最大厚さ変動を有する、光学フィルム。
[項目10]
直交する第1の方向及び第2の方向に沿って延伸及び成形されている、延伸及び成形された光学フィルムであって、各層が厚さ約500nm未満である、複数のポリマー層を含み、
前記光学フィルムが平坦な表面上に置かれるときに、
前記第1の方向に平行かつ前記平坦な表面に垂直な第1の平面内の前記光学フィルムの第1の断面が、実際の第1の長さAL1、前記平坦な表面上の投影された第1の長さPL1、及び(AL1-PL1)/PL1、S1≧0.15として定義される第1の延伸比S1を有し、
前記第2の方向に平行かつ前記平坦な表面に垂直な第2の平面内の前記光学フィルムの第2の断面が、実際の第2の長さAL2、前記平坦な表面上の投影された第2の長さPL2、及び(AL2-PL2)/PL2、0.01≦S2<S1として定義される第2の延伸比S2を有し、
実質的に垂直に入射する光に対して、前記光学フィルム上の各位置は、バンドエッジ波長を有する対応する反射バンドを有し、前記バンドエッジ波長は、前記第1の断面及び前記第2の断面のそれぞれに沿って15%未満変動する、光学フィルム。
[項目11]
前記光学フィルムの前記第1の断面は、1つ以上の変曲点を有する、項目1~10のいずれか一項に記載の光学フィルム。
[項目12]
少なくとも1つの鞍点を含む、項目1~11のいずれか一項に記載の光学フィルム。
[項目13]
延伸及び成形された光学フィルムを形成する方法であって、
約500ミクロン未満の平均厚さと、少なくとも450nm~600nmを含む所定の波長範囲内で実質的に非偏光の、実質的に垂直に入射する光に対する約70%未満の平均光吸収率と、を有する平坦な光学フィルムを提供するステップと、
前記平坦な光学フィルムを、屈曲させるが延伸させないで、周辺領域によって取り囲まれた第1の形状を有する未延伸屈曲中央領域を含む未延伸屈曲光学フィルムを形成するステップと、
前記未延伸屈曲光学フィルムの、前記周辺領域ではなく前記中央領域を、少なくとも互いに直交する第1の方向及び第2の方向に沿って延伸して、延伸及び成形された光学フィルムを得るステップと、を含む方法。
[項目14]
前記第1の形状の少なくとも一部分が、円筒形又は放物線状である、項目13に記載の方法。
[項目15]
前記第1の形状は、少なくとも2つの離間した実質的に平行な円筒形又は放物線状の部分を含む、項目13に記載の方法。