(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156789
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】クランプジョーアセンブリを有する非接触電気的パラメータ測定装置、及び電気的パラメータ測定方法
(51)【国際特許分類】
G01R 1/22 20060101AFI20241029BHJP
G01R 15/12 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G01R1/22 A
G01R15/12 B
G01R15/12 A
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024123536
(22)【出願日】2024-07-30
(62)【分割の表示】P 2020134023の分割
【原出願日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】16/536,118
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509233459
【氏名又は名称】フルークコーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Fluke Corporation
【住所又は居所原語表記】6920 Seaway Boulevard, Everett, Washington 98203 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー イー ウーロンズ
(72)【発明者】
【氏名】ジンジャー エム ウー
(72)【発明者】
【氏名】クリス コリガン
(72)【発明者】
【氏名】インツィー リアン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ガルバニック接続を必要とすることなく、導体内の電気的パラメータを測定するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】装置は、本体と、導体を測定エリアに移動させることができる開放位置と、測定エリア内に導体を固定する閉鎖位置との間を移動可能であるクランプジョーアセンブリと、を含む。クランプジョーアセンブリは、クランプジョーアセンブリのクランプジョーの内側に位置付けられたセンサを含む。ユーザは、アクチュエータに力を加えて、クランプジョーアセンブリを閉鎖位置から開放位置へと移動させてよく、したがって、導体は、測定エリア内に位置付けられ、固定されてよい。クランプジョーアセンブリは、測定エリア内の最適領域内に導体を位置付けるようにユーザをガイドする視覚インジケータを含む。クランプジョーアセンブリは、測定中に最適領域内で導体を自動的に位置決めするサイズ及び寸法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的パラメータ測定装置であって、
本体と、
前記本体に連結されたクランプジョーアセンブリであって、
前記本体に連結された近位端と、前記近位端の反対側の遠位端と、を備える第1のクランプジョーと、
前記本体に連結された近位端と、前記近位端と反対側の遠位端と、を備える第2のクランプジョーであって、前記第2のクランプジョーの前記遠位端は、前記第1のクランプジョーの前記遠位端と非対称であるとともに、被試験導体を受容するフック形状部分を有し、前記第1のクランプジョー及び前記第2のクランプジョーは、閉鎖位置と開放位置との間を互いに関して移動可能であり、前記閉鎖位置において、前記第1のクランプジョー及び前記第2のクランプジョーのそれぞれの前記遠位端は相接して、前記第1のクランプジョー及び前記第2のクランプジョー間に囲まれている測定エリアを画定し、前記開放位置において、前記第1のクランプジョー及び前記第2のクランプジョーのそれぞれの前記遠位端は互いに分離していて、前記被試験導体が通過して前記測定エリアに出入りできるようにする間隙を画定する、第2のクランプジョーと、
前記第1のクランプジョー又は前記第2のクランプジョーの内部に且つ前記フック形状部分の近くに位置付けられ、前記フック形状部分が前記被試験導体を受容したときに前記被試験導体に隣接して位置付けられた少なくとも1つの電圧センサと、を備える、電気的パラメータ測定装置。
【請求項2】
前記第1のクランプジョーは、前記本体に固定して取り付けられる前記第2のクランプジョーに対して枢動運動するように前記本体に枢動可能に取り付けられる、請求項1に記載の電気的パラメータ測定装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの電圧センサは第1の電圧センサ及び第2の電圧センサを備え、前記第1の電圧センサは前記第1のクランプジョーの内側にその遠位端に近接して位置付けられ、前記第2の電圧センサは前記第2のクランプジョーの内側にその遠位端に近接して位置付けられた、請求項1又は2に記載の電気的パラメータ測定装置。
【請求項4】
前記第1のクランプジョー及び前記第2のクランプジョーのうちの少なくとも一方に動作可能に連結されたアクチュエータを更に備え、動作中、ユーザによる作動に応答して、前記アクチュエータは、前記閉鎖位置から前記開放位置へと前記クランプジョーアセンブリを移動させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気的パラメータ測定装置。
【請求項5】
前記アクチュエータは、前記クランプジョーアセンブリを前記閉鎖位置に付勢する、請求項4に記載の電気的パラメータ測定装置。
【請求項6】
少なくとも1つの電流センサを更に備える請求項1から5のいずれか一項に記載の電気的パラメータ測定装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの電圧センサに通信可能に結合された制御回路を更に備え、動作中、前記制御回路は、
前記少なくとも1つの電圧センサによって検出された信号を示すセンサデータを受信し、
前記受信されたセンサデータを処理して、前記被試験導体の少なくとも1つの電気的パラメータを決定する、請求項1から6のいずれか一項に記載の電気的パラメータ測定装置。
【請求項8】
前記制御回路に動作可能に結合された無線通信サブシステムを更に備え、動作中に、前記無線通信サブシステムが、前記少なくとも1つの電気的パラメータを外部システムに無線で送信する、請求項7に記載の電気的パラメータ測定装置。
【請求項9】
動作中、前記少なくとも1つの電気的パラメータを前記電気的パラメータ測定装置のユーザに対して視覚的に提示するディスプレイを更に備える、請求項7又は8に記載の電気的パラメータ測定装置。
【請求項10】
絶縁導体内の電気的パラメータを測定するためのクランプジョーアセンブリであって、
近位端と、前記近位端と反対側の遠位端と、を備える第1のクランプジョーと、
近位端と、前記近位端と反対側の遠位端と、を備える第2のクランプジョーであって、前記第2のクランプジョーの前記遠位端は、前記第1のクランプジョーの前記遠位端と非対称であるとともに、被試験導体を受容するフック形状部分を有し、前記第1のクランプジョー及び前記第2のクランプジョーは、閉鎖位置と開放位置との間を互いに関して移動可能であり、前記閉鎖位置において、前記第1のクランプジョー及び前記第2のクランプジョーのそれぞれの前記遠位端は相接して、前記第1のクランプジョー及び前記第2のクランプジョー間に囲まれている測定エリアを画定し、前記開放位置において、前記第1のクランプジョー及び前記第2のクランプジョーのそれぞれの前記遠位端は互いに分離していて、被試験導体が通過して前記測定エリアに出入りできるようにする間隙を画定する、第2のクランプジョーと、
前記第1のクランプジョー又は前記第2のクランプジョーの内部に且つ前記フック形状部分の近くに位置付けられ、前記フック形状部分が前記被試験導体を受容したときに前記被試験導体に隣接して位置づけられた少なくとも1つの電圧センサと、を備える、クランプジョーアセンブリ。
【請求項11】
少なくとも1つの電流センサを更に備える請求項10に記載のクランプジョーアセンブリ。
【請求項12】
フック形状遠位端を備える第1のクランプジョーと、第2のクランプジョーと、を有するクランプメータを設けることと、
前記第1のクランプジョーの前記フック形状遠位端に被試験導体を受容することと、
前記第1のクランプジョーの前記フック形状遠位端に隣接して位置づけられた電圧センサに基づいて、前記被試験導体の電圧を測定することと、を含む、電気的パラメータ測定方法。
【請求項13】
前記第1のクランプジョーのフック形状遠位端に近接して配置される視覚インジケータを設けること、を更に含む、請求項12に記載の電気的パラメータ測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、電気的パラメータ測定装置、より具体的には、電気的パラメータ測定装置向けのクランプジョーアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
電圧計は、電気回路内の電圧を測定するのに使用される器具である。1つを超える電気的特性を測定する器具は、マルチメータ又はデジタルマルチメータ(DMM)と呼ばれ、サービス用途、トラブルシューティング用途、及びメンテナンス用途に一般に必要とされるいくつかのパラメータを測定するように動作する。そのようなパラメータとしては、典型的には交流(AC)電圧及び電流、直流(DC)電圧及び電流、並びに抵抗又は継続性が挙げられる。電力特性、周波数、容量、及び温度など、他のパラメータも特定の用途の要件を満たすために測定することができる。
【0003】
クランプメータ型電気的パラメータ測定装置は、電流フローを中断することなく、電線内の電流フローを測定することができる電流測定装置である。電気的パラメータ測定装置は、一般に、互いに関して移動可能である、2つのクランプジョーを有する。測定中、2つのクランプジョーの遠位端は、実質的に互いに係合するように相接する。
【0004】
電圧又は電流を測定する従来の装置では、少なくとも2つの測定電極又はプローブを導体とガルバニック接触させることが必要であり得、多くの場合、絶縁電線の絶縁部分を切り離すこと、又はあらかじめ測定用端子を設けることが必要である。プローブを露出した電線又は端子に接触させるステップは、ガルバニック接触のために剥き出しにした電線又は端子が必要であるばかりでなく、ショック又は感電死のリスクのために相対的に危険である可能性がある。「非接触」測定装置は、回路とのガルバニック接触を必要とすることなく、電圧又は電流の存在を検出するために使用されることがある。この測定装置は、被試験電線の直径と比較して比較的大きい測定面積を有し得るため、ユーザは、導体が最良の測定精度をもたらす、測定エリア内の最良位置を把握するのに苦労することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
電気的パラメータ測定装置は、本体と、本体に連結されたクランプジョーアセンブリであって、本体に連結された近位端と、近位端の反対側の遠位端と、を備える第1のクランプジョーと、本体に連結された近位端と、近位端と反対側の遠位端と、を備える第2のクランプジョーであって、第2のクランプジョーの遠位端は、第1のクランプジョーの遠位端と非対称であるとともに、被試験導体を受容するフック形状部分を有し、第1のクランプジョー及び第2のクランプジョーは、閉鎖位置と開放位置との間を互いに関して移動可能であり、閉鎖位置において、第1のクランプジョー及び第2のクランプジョーのそれぞれの遠位端は相接して、第1のクランプジョー及び第2のクランプジョー間に囲まれている測定エリアを画定し、開放位置において、第1のクランプジョー及び第2のクランプジョーのそれぞれの遠位端は互いに分離していて、被試験導体が通過して測定エリアに出入りできるようにする間隙を画定する、第2のクランプジョーと、第1のクランプジョー又は第2のクランプジョーの内部に且つフック形状部分の近くに位置付けられ、フック形状部分が被試験導体を受容したときに被試験導体に隣接して位置付けられた少なくとも1つの電圧センサと、を含む、クランプジョーアセンブリと、を備えるものとして要約され得る。
電気的パラメータ測定装置は、第1のクランプジョー又は第2のクランプジョーの表面上の少なくとも1つの電圧センサに近接して配置された視覚インジケータであって、電気的パラメータ測定装置の操作者をガイドして、被試験導体を視覚インジケータに近接して位置付け、正確な電気的パラメータ測定値を提供するように動作する視覚インジケータを更に備えてもよい。視覚インジケータは、視覚インジケータを取り囲む第1のクランプジョー又は第2のクランプジョーの第2の部分の第2の色とは異なる、第1のクランプジョー又は第2のクランプジョーの表面の第1の部分の第1の色を含んでもよい。
【0007】
第1のクランプジョーは、本体に固定して取り付けられる第2のクランプジョーに対して枢動運動するように、本体に枢動可能に取り付けられてよい。視覚インジケータは、色ベースの視覚インジケータを含んでよい。視覚インジケータは、視覚インジケータを取り囲む第1のクランプジョー又は第2のクランプジョーの一部の色とは異なる、第1のクランプジョー又は第2のクランプジョーの表面の色を含んでよい。視覚インジケータは、テキストベースのインジケータ、グラフィックベースのインジケータ、又は物理的形状のインジケータのうちの1つ以上を含んでよい。少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つの電圧センサ又は少なくとも1つの電流センサを含んでよい。少なくとも1つのセンサは、複数の電圧センサと、第1のクランプジョーの内側にその遠位端に近接して位置付けられた、複数の電圧センサのうちの少なくとも1つの電圧センサと、第2のクランプジョーの内側にその遠位端に近接して位置付けられた、複数の電圧センサのうちの少なくとも1つの電圧センサと、を含んでよい。視覚インジケータは、複数のセンサに近接する第1のクランプジョー及び第2のクランプジョーの遠位端のそれぞれの各表面に配置されてよい。第1のクランプジョー及び第2のクランプジョーのうちの一方の遠位端は、電気的パラメータ測定装置が被試験導体から吊り下げられるときに、導体を受容するフック形状部分を有してよい。
【0008】
電気的パラメータ測定装置は、第1のクランプジョー及び第2のクランプジョーのうちの少なくとも一方に動作可能に連結されたアクチュエータを更に含んでよく、動作中、ユーザによる作動に応答して、アクチュエータは、閉鎖位置から開放位置へとクランプジョーアセンブリを移動させる。
【0009】
アクチュエータは、クランプジョーアセンブリを閉鎖位置に付勢してよい。少なくとも1つのセンサは、非接触電圧センサ、ホール効果センサ、フラックスゲートセンサ、ロゴスキーコイル、異方性磁気抵抗(anisotropic magnetoresistance、AMR)センサ、又は巨大磁気抵抗(giant magnetoresistance、GMR)センサのうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0010】
電気的パラメータ測定装置は、少なくとも1つのセンサに通信可能に結合された制御回路を更に含んでよく、動作中、制御回路は、少なくとも1つのセンサによって検出された信号を示すセンサデータを受信し、受信したセンサデータを処理して、被試験導体の少なくとも1つの電気的パラメータを決定する。
【0011】
電気的パラメータ測定装置は、制御回路に動作可能に結合された無線通信サブシステムを更に含んでよく、動作中、無線通信サブシステムは、決定した電気的パラメータを外部システムに無線で送信する。
【0012】
電気的パラメータ測定装置は、動作中、決定した電気的パラメータを電気的パラメータ測定装置のユーザに対して視覚的に提示するディスプレイを更に含んでよい。
【0013】
絶縁導体内の電気的パラメータを測定するためのクランプジョーアセンブリは、近位端と、近位端と反対側の遠位端と、を備える第1のクランプジョーと、近位端と、近位端と反対側の遠位端と、を備える第2のクランプジョーであって、第2のクランプジョーの遠位端は、第1のクランプジョーの遠位端と非対称であるとともに、被試験導体を受容するフック形状部分を有し、第1のクランプジョー及び第2のクランプジョーは、閉鎖位置と開放位置との間を互いに関して移動可能であり、閉鎖位置において、第1のクランプジョー及び第2のクランプジョーのそれぞれの遠位端は相接して、第1のクランプジョー及び第2のクランプジョー間に囲まれている測定エリアを画定し、開放位置において、第1のクランプジョー及び第2のクランプジョーのそれぞれの遠位端は互いに分離していて、被試験導体が通過して測定エリアに出入りできるようにする間隙を画定する、第2のクランプジョーと、第1のクランプジョー又は第2のクランプジョーの内部に且つフック形状部分の近くに位置付けられ、フック形状部分が被試験導体を受容したときに被試験導体に隣接して位置づけられた少なくとも1つの電圧センサと、を備えるものとして要約され得る。
クランプジョーアセンブリーは、第1のクランプジョー又は第2のクランプジョーの表面上の少なくとも1つの電圧センサに近接して配置された視覚インジケータであって、操作者をガイドして、被試験導体を視覚インジケータに近接して位置付け、電気的パラメータ測定値を提供するように動作する視覚インジケータを備えてもよい。視覚インジケータは、視覚インジケータを取り囲む第1のクランプジョー又は第2のクランプジョーの第2の部分の第2の色とは異なる、第1のクランプジョー又は第2のクランプジョーの表面の第1の部分の第1の色を含んでもよい。
【0014】
視覚インジケータは、色ベースの視覚インジケータを含んでよい。視覚インジケータは、テキストベースのインジケータ、グラフィックベースのインジケータ、又は物理的形状のインジケータのうちの1つ以上を含んでよい。少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つの電圧センサ又は少なくとも1つの電流センサを含んでよい。
【0015】
絶縁導体において電気的パラメータを測定するための装置は、本体と、本体に連結されたクランプジョーアセンブリであって、本体に連結された近位端と、近位端と反対側の遠位端と、を備える第1のクランプジョーと、本体に連結された近位端と、近位端と反対側の遠位端と、を備える第2のクランプジョーであって、第1のクランプジョー及び第2のクランプジョーは、閉鎖位置と開放位置との間を互いに関して移動可能であり、閉鎖位置において、第1のクランプジョー及び第2のクランプジョーのそれぞれの遠位端は相接して、第1のクランプジョーと第2のクランプジョーとの間に囲まれた測定エリアを画定し、開放位置において、第1のクランプジョー及び第2のクランプジョーのそれぞれの遠位端は互いに分離していて、被試験導体が通過して測定エリアに出入りできるようにする間隙を画定する、第2のクランプジョーと、第1のクランプジョーの内部に第1のクランプジョーの遠位端に近接して位置付けられた第1のセンサと、第2のクランプジョーの内部に第2のクランプジョーの遠位端に近接して位置付けられた第2のセンサと、第1のセンサ及び第2のセンサのそれぞれに近接して配置された視覚インジケータであって、装置の操作者をガイドして、被試験導体を視覚インジケータに近接して位置付け、電気的パラメータ測定値を提供するように動作し、視覚インジケータを取り囲む第1のクランプジョー又は第2のクランプジョーの第2の部分の第2の色とは異なる、第1のクランプジョー又は第2のクランプジョーの表面の第1の部分の第1の色を含む、視覚インジケータと、ディスプレイと、第1のセンサ、第2のセンサ、及びディスプレイに通信可能に結合可能である制御回路であって、動作中、第1のセンサ及び第2のセンサによって検出された信号を示すセンサデータを受信し、受信したセンサデータを処理して、絶縁導体の少なくとも1つの電気的パラメータを決定し、ディスプレイに、決定した少なくとも1つの電気的パラメータをユーザに対して提示させる、制御回路と、を含むものとして要約され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図面では、同一の参照番号により類似の要素又は作用が識別される。図面における要素の寸法及び相対位置は、必ずしも縮尺どおりに描かれていない。例えば、種々の要素及び角度の形状は必ずしも縮尺どおりに描かれているわけではなく、これらの要素の一部は、図面の明瞭性を向上させるために任意に拡大されかつ位置付けられていてもよい。なお、図示されるような要素の特定の形状は、必ずしも特定の要素の実際の形状に関する任意の情報を伝えることが意図されているわけではなく、単に図面において認識しやすいように選択されていてもよい。
【
図1】
図1は、非限定的な例示的一実施形態による、1つ以上のセンサを含むクランプジョーアセンブリを含む電気的パラメータ測定装置の絵図であり、このジョーアセンブリは閉鎖位置に位置付けられていて、被試験絶縁導体を取り囲む。
【
図2】
図2は、非限定的な例示的一実施形態による、
図1の電気的パラメータ測定装置の絵図であり、クランプジョーアセンブリが開放されていて、被試験絶縁導体をクランプジョーアセンブリに挿入し、クランプジョーアセンブリから除去できる状態を示す。
【
図3】
図3は、非限定的な例示的一実施形態による、
図1の電気的パラメータ測定装置のクランプジョーアセンブリの拡大図である。
【
図4】
図4は、例示的一実施形態による、電気的パラメータ測定システムの概略ブック図である。
【
図5】
図5は、例示的一実施形態による、遠隔センサとして動作する電気的パラメータ測定システムの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の1つ以上の実施形態は、導体と電気的パラメータセンサプローブとの間のガルバニック接続を必要とすることなく、絶縁又は未加工の非絶縁導体(例えば、絶縁電線)
内の電気的パラメータ(例えば、電圧、電流、電力)を測定するためのシステム及び方法を対象とする。一般に、絶縁導体内の1つ以上の電気的パラメータを測定する非ガルバニック接触(又は「非接触」)電気的パラメータ測定装置が提供される。ガルバニック接続を必要としないそのようなシステムを本明細書では「非接触」という。本明細書で使用するとき、「電気的に結合された」は、特記のない限り、直接及び間接の両方の電気的結合を含む。
【0018】
少なくともいくつかの実施形態では、被試験絶縁導体内の電流及び電圧のうちの少なくとも一方を正確に測定するように動作する非接触電気的パラメータ測定装置が提供される。この電気的パラメータ測定装置は、様々な形状及びサイズを有する導体において電気的パラメータを測定するために使用されるクランプジョーアセンブリ(又は「ジョーアセンブリ」)を含んでよい。少なくともいくつかの実施形態では、この電気的パラメータ測定装置は、本体と、被試験導体が測定エリアに出入できるようにする開放位置と、1つ以上の測定値を得られるように測定エリア内で絶縁導体を固定する閉鎖位置との間を移動可能である、本体に連結されたクランプジョーアセンブリと、を含む。ジョーアセンブリは、クランプジョーアセンブリの一方又は両方のジョーの内部空間内に配置されるなど、連結された1つ以上の非接触センサを含んでよい。1つ以上のセンサは、電圧センサ、電流センサ、これらの両方、又は他のタイプのセンサを含んでよい。動作中、ユーザは、ジョーアセンブリの一方又は両方のジョーを、通常閉鎖位置から開放位置へと移動させるアクチュエータ(例えば、トリガ、スライドスイッチ)に力を加えてよい。次いで、ユーザは、被試験絶縁導体をジョーアセンブリの測定エリア内に位置付けてよく、次いで力を解放するか、又は異なる力(例えば、反対方向の力)をアクチュエータに加えてよく、これにより、1つ以上のジョーを閉鎖位置に戻し、測定エリア内で導体を固定する。
【0019】
ジョーアセンブリ内の測定エリアは、被試験電線の直径と比較して比較的大きくてよく、したがって、ジョーアセンブリは、様々なサイズの導体を収容することができる。更に、ジョーアセンブリのジョーの一方又は両方の内部に配置され、したがって不可視である1つ以上のセンサは、他の領域と比較して、被試験導体により正確な測定値を提供する特定領域が測定エリア内に存在するように位置付けられてよい。したがって、ユーザが測定エリアの特定領域内に導体を位置付けて、最良の測定値を得ることが望ましい場合がある。
【0020】
有利には、少なくともいくつかの実施形態では、ジョーアセンブリのジョーの一方又は両方は、センサの1つ以上に近接する視覚インジケータを含んでよい。視覚インジケータは、ユーザが、視覚インジケータに隣接させて被試験導体を配置し、その結果、導体が最適領域内のセンサに隣接するようにガイドし、それによって測定精度を改善する。視覚インジケータとしては、色ベースのインジケータ、テキストベースのインジケータ、グラフィックベースのインジケータ、物理的形状(例えば、刻み目、隆起部、若しくは他のインジケータ)、又は、最も正確な測定結果を得るために被試験導体を位置付ける場所に関する視覚的ガイドをユーザに提供する、任意の他のタイプのインジケータが挙げられ得る。
【0021】
更に、少なくともいくつかの実施形態では、ジョーアセンブリ及びセンサは、最高精度をもたらす測定エリアの一領域へと、被試験導体を自動的に向かわせる形状及び寸法であってよい。具体的には、垂直導体の場合、ジョーアセンブリは、導体が測定エリア内にあるときに、ユーザがそれらに向けて電気的パラメータ測定装置を引くことができる歪曲形状を有してよく、ジョーアセンブリは、測定エリアの最適領域へと導体を自動的にガイドする。水平導体の場合、電気的パラメータ測定装置の重量のために、電気的パラメータ測定装置が測定エリア内の導体に自然に「吊り下げ」られてよく、そのように位置付けられると、導体は、測定エリアの最適領域内で自動的にセンサに隣接する。
【0022】
測定値が得られると、ユーザは、絶縁導体を測定エリアから除去することができるように、ジョーアセンブリを開放位置へと再び移動させてよい。
図1~
図5を参照して、本開示の実施形態の特定の特徴を以下に詳細に検討する。
【0023】
以下の説明では、種々の開示の実施形態の完全な理解が得られるように、特定の具体的な詳細について記載する。しかしながら、当業者は、これらの具体的な詳細のうちの1つ以上を伴わずに、又は他の方法、構成要素、材料などを伴って実施形態を実践することができることを理解するであろう。その他の場合では、コンピュータシステム、サーバコンピュータ、及び/又は通信ネットワークに関係する周知の構造は、実施形態の説明を必要以上に不明瞭にすることを避けるためにも、詳細には示されていないか又は記載されていない。
【0024】
文脈上その他の意味に解すべき場合を除き、以下の明細書及び特許請求の範囲をとおして、用語「備える(comprising)」とは用語「含む(including)」と同義であり、包括的であり、つまり限定的ではない(すなわち、更なる記載されていない要素又は方法の行為を除外しない)。
【0025】
本明細書の全体をとおして「1つの実施形態(one implementation)」又は「一実施形態(an implementation)」を参照することは、実施形態に関して記述された特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体をとおして種々の場所における「1つの実施形態において(in one implementation)」又は「一実施形態において(in an implementation)」という句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態に言及するものではない。更に、1つ以上の実施形態では、特定の特徴、構造、又は特性は、任意の好適な方法で組み合わせることができる。
【0026】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用する際に、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。用語「又は」は、文脈上、別段の明確な指示がない限り、その意味において「及び/又は」を含んで一般的に用いられる、という点にも留意すべきである。
【0027】
本開示で提供される見出し及び要約書は、便宜のためだけであり、実施形態の範囲又は意味を説明するものではない。
【0028】
図1~
図3は、本開示の一実施形態による、電気的パラメータ測定装置100を示す。
図1は、閉鎖位置にあるときの電気的パラメータ測定装置100の外部構造であり、
図2は、開放位置にあるときの電気的パラメータ測定装置を示し、
図3は、ジョーアセンブリの内部を示すためにジョーのうちの一方の一部が切り取られた、電気的パラメータ測定装置のジョーアセンブリ部分を示す。特定の実施形態では、電気的パラメータ測定装置100が使用されて、導体109内の電圧、電流、電力、又は他の電気的パラメータを測定することができる。
【0029】
図1に示すように、電気的パラメータ測定装置100は、本体102と、クランプジョーアセンブリ104と、を含む。クランプジョーアセンブリ104は、本体102に取り付けられ、本体102から延出する。本体102は、プラスチックなど軽量材料で作製され得る本体ハウジング106を有し、本体ハウジング106は、測定及び制御回路120など電気的パラメータ測定装置100の典型的な電気部品及び機械部品を封入するように適合されている。本体ハウジング106は、クランプジョーアセンブリ104に近い遠位端106aと、反対側の近位端106bと、を含んでよい。
【0030】
本体102は、制御ダイヤル122a、ディスプレイ122b、制御ボタン122c、又は他のユーザインターフェース要素を含み得る入力ユーザインターフェース122を含んでよい。ディスプレイ122bは、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)、発光ダイオード(light-emitting diode、LED)ディスプレイ、有機LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は電子インクディスプレイなど任意の好適なタイプのディスプレイであってよい。本体102は、1つ以上のスピーカー、ブザー、振動装置など1つ以上の音声又は触覚出力部(図示せず)を含んでよい。例示的実施形態では、入力ユーザインターフェース122は、複数のボタン及びダイヤルを含むが、他の実施形態では、ユーザインターフェースは、追加的に又は代替的に、タッチパッド、タッチスクリーン、ホイール、ノブ、ダイヤル、マイクなど1つ以上の他のタイプの入力装置を含んでよい。
【0031】
本体102はまた、電気的パラメータ測定装置100の種々の構成要素に電力を供給するための電池又は電池パックなど電源装置を含んでよい。本体102はまた、センサから信号を受信し、被測定絶縁導体109の1つ以上の電気的パラメータを決定し、(例えば、ディスプレイ122b又は外部システムに)測定データを出力するなど、電気的パラメータ測定装置100の種々の動作を制御する制御回路120を含む。制御回路120は、1つ以上のプロセッサ(例えば、マイクロコントローラ、DSP、ASIC、FPGA)
、1つ以上のタイプのメモリ(例えば、ROM、RAM、フラッシュメモリ、他の非一時的な記憶媒体)、及び/又は1つ以上の他のタイプの処理若しくは制御関連構成要素を含んでよい。
【0032】
少なくともいくつかの実施形態では、本体102は、Bluetooth(登録商標)
モジュール、Wi-Fi(登録商標)モジュール、ZIGBEE(登録商標)モジュール、近距離無線通信(near field communication、NFC)モジュールなどのうちの1つ以上を含み得る無線通信サブシステムを含んでよい。本体102は、無線通信サブシステムを介して、コンピュータ、スマートフォン、タブレット、パーソナルデジタルアシスタントなど外部受信システムと無線通信して、測定結果を外部システムに送信するために、あるいは命令信号又は入力情報を外部システムから受信するように動作してよい。本体102は、追加的に又は代替的に、USBインターフェースなど有線通信サブシステムを含んでよい。
【0033】
少なくともいくつかの実施形態では、複数の異なるタイプのジョーアセンブリ又はセンサプローブが、電気的パラメータ測定装置100の本体102に取り外し可能に結合可能であってよい。複数のジョーアセンブリ又はセンサプローブは、例えば、電気的パラメータ測定装置100に種々の機能性を提供するために、形状、構造、又は機能のうちの少なくとも1つで異なっていてよい。
【0034】
例示的実施形態では、クランプジョーアセンブリ104は、それぞれの近位端108b、110b及び遠位端108a、110aを有する第1のクランプジョー108及び第2のクランプジョー110を含む。第1のクランプジョー108は、外向き表面108cと、内向き表面108dと、を含む。同様に、第2のクランプジョー110は、外向き表面110cと、内向き表面110dと、を含む。第1のクランプジョー108は本体102に枢動可能に取り付けられ、第2のクランプジョー110は本体102に固定して取り付けられる。第1のクランプジョー108は、第2のクランプジョー110に関して回転可能である。特定の他の実施形態では、第1のクランプジョー108は、第2のクランプジョー110に関連して摺動することができるように、本体102に摺動可能に取り付けられてよい。より一般的には、第1のクランプジョー108及び第2のクランプジョー110は、互いに関して移動可能であり、これにより、
図1に示す閉鎖位置と
図2に示す開放位置との間で切り替わることが可能になる。
【0035】
図1に示す閉鎖位置では、第1のクランプジョー108の遠位端108a及び第2のクランプジョー110の遠位端110aは、互いに接触する又は係合するなどのように相接し、第1のクランプジョー108、第2のクランプジョー110、及び本体ハウジング106の遠位端106aの間に囲まれた測定エリア112を画定する。第1のクランプジョー108は、その遠位端108aに近い内部空間にセンサ124aを含み、第2のクランプジョー110は、その遠位端に近い内部空間にセンサ124a及び124bを含む。センサ124a、124b、124c(集合的に、「センサ124」)は、導体とガルバニック接触することなく、測定エリア112内に位置付けられた導体内の電圧、電流、又はこれらの両方を感知するように動作するセンサであってよい。センサ124は破線で示されており、クランプジョー108及び110の内部空間、つまり容積内に配置され、ユーザには不可視であることを示している。
【0036】
少なくともいくつかの実施形態では、センサ124は、被試験導体の正確な位置を特定するために、及び/又は電気的パラメータ測定装置100の測定値を改善するために適用する1つ以上の較正係数を決定するために使用されてよい。例示的実施形態では、センサ124は、比較的小さくてよく(例えば、3×3mm)、線形センサによって提供される線形の変動ではなく、検出された信号の実質的に放射状の変動を提供する。センサ124は、測定エリア112内の被試験導体の位置を最も正確に決定し得る場所に戦略的に位置付けられてよい。
【0037】
第1のクランプジョー108及び第2のクランプジョー110は、追加的に又は代替的に、その内部空間にインダクタンスコイルを有してよい。実例として、
図3は、クランプジョーアセンブリ104の一部を示しており、第2のクランプジョー110の一部が切り取られて、第2のクランプジョーの内部空間内に位置付けられたインダクタンスコイル128を示す。かかる構成では、第1のクランプジョー108及び第2のクランプジョー110が閉鎖位置にあり、被試験導体が、第1のクランプジョー108と第2のクランプジョー110との間の囲まれた測定エリア112を通過するとき、インダクタンスコイル(例えば、インダクタンスコイル128)は、被試験導体内での電流フローの変化を感知して、被試験電流の振幅を示す感知電流を発生させることができる。場合によっては、閉鎖位置において、第1のクランプジョー108の遠位端108a及び第2のクランプジョー110の遠位端110aは相接して、所定の長さ以下のサイズの間隙(すなわち、エアギャップ)をこれらの間に形成する。これらの状況下で、第1のクランプジョー108及び第2のクランプジョー110の内側のインダクタンスコイルは、被試験導体内の電流フローを依然として感知し、必要な比率で感知電流を発生させることができる。更に、
図2に示す開放位置において、第1のクランプジョー108の遠位端108a及び第2のクランプジョー110の遠位端110aは互いに分離しており、これらの間に開口部を画定する。開口部は、少なくとも被試験導体109が通過できるように構成されており、そのため、被試験導体は、測定のために、第1のクランプジョー108と第2のクランプジョー110との間の位置へと移動することができる。
【0038】
少なくともいくつかの実施形態では、本体102は、可撓性の電流プローブ、試験プローブなど1つ以上のタイプの周辺構成要素を受容するように動作する、本体ハウジング106の近位端106bに位置するポート126を含んでよい。
【0039】
センサ124及びインダクタンスコイル128は、非接触電圧センサ、ホール効果素子、変流器、フラックスゲートセンサ、ロゴスキーコイル、異方性磁気抵抗(AMR)センサ、巨大磁気抵抗(GMR)センサ、ガルバニック接触を必要とせずに導体109の電気的パラメータを感知するように動作する他のタイプのセンサ、又はそれらの任意の組み合わせなど様々なタイプのセンサを含んでよい。非接触センサの種々の非限定的な例は、米国特許仮出願第62/421,124号(2016年11月11日出願)、米国特許出願第15/345,256号(2016年11月7日出願)、同第15/413,025号(2017年1月23日出願)、同第15/412,891号(2017年1月23日出願)、同第15/604,320号(2017年5月24日出願)、及び米国特許出願第15/625,745号(2017年6月16日出願)に開示され、それら全体が、本明細書に参考として組み込まれる。
【0040】
第1のクランプジョー108は、本体102に関して回転するなど移動することができる遠位端108aの反対側の近位端108bを有する。近位端108bは、本体102内に位置付けられた内側と、本体102から離れる外側と、を有する。図示の実施形態では、近位端108bの内側は、本体102内に実質的に受容され、一方、近位端108bの外側は本体102の外に位置付けられ、操作者によって動作可能である。作動部分、つまりトリガ114は、一般に、第1のクランプジョー108の近位端108bの外向き表面108cに位置付けられる。
【0041】
具体的には、例示的実施形態では、本体ハウジング106の側面は、第1のクランプジョー108の近位端108bが通過できるようにするハウジング開口部(図示せず)を有する。操作者は、トリガ114を本体102に向けて押すなど、第1のクランプジョー108を操作することができ、これにより、近位端108bの一部又は全体がハウジング開口部を通過して本体102に入るようにさせて、第1のクランプジョー108及び第2のクランプジョー110を
図2に示す開放位置に残す。
【0042】
トリガ114に加えた力を解放することによって、操作者は、第1のクランプジョー108の遠位端108aを枢動点130(
図3)の周りで回転させて第2のクランプジョー110の遠位端110aに向けて戻してよく、その結果、第1のクランプジョーの遠位端108aは、第2のクランプジョー110の遠位端110aに近接し(例えば、隣接し)
、第1のクランプジョー108の近位端108bの一部又は全体は、ハウジング開口部を通って本体102から外へと移動する。このようにして、第1のクランプジョー108及び第2のクランプジョー110は、閉鎖位置へと移動し得る。特定の実施形態では、第1のクランプジョー108は、第1及び第2のクランプジョー108及び110の一方又は両方を閉鎖位置に向けて付勢するように動作する、ばね又は1つ以上の他の構成要素を備え得る付勢サブシステム116によって閉鎖位置へと付勢され得る。少なくともいくつかの実施形態では、電気的パラメータ測定装置100は、閉鎖位置又は開放位置のうちの少なくとも一方において第1及び第2のクランプジョーをロックするように動作するロックサブシステムを含んでよい。
【0043】
有利には、少なくともいくつかの実施形態では、ジョーアセンブリのジョーの一方又は両方は、センサの1つ以上に近接する視覚インジケータを含んでよい。図示の例では、第1のクランプジョー108は、センサ124aに近い遠位端108aに近接する視覚インジケータ118aを含み、第2のクランプジョー110は、センサ124b及び124cに近い遠位端110aに近接する視覚インジケータ118bを含む。視覚インジケータ118a及び118b(集合的に、「視覚インジケータ118」)は、ユーザが、視覚インジケータに隣接して被試験絶縁導体109を配置して、導体が測定エリア112内の最適領域内のセンサ124にも隣接し、それによって測定精度を改善するようにガイドする。
【0044】
視覚インジケータ118は、色ベースのインジケータを含んでよい。例えば、視覚インジケータ118は第1の色であってよく、第1のクランプジョー108及び第2のクランプジョー110は、第1の色とは異なる第2の色であってよい。非限定的な例として、第1及び第2のクランプジョー108は赤色であってよく、視覚インジケータ118はオレンジ色であってよい。他の実施形態では、視覚インジケータ118は、テキストベースのインジケータ(例えば、「電線をここに置いてください」)、グラフィックベースのインジケータ(例えば、矢印、絵柄)、物理形状のインジケータ(例えば、刻み目、隆起した矢印、隆起部)、これらの組み合わせ、又は最も正確な測定結果を得るために被試験導体109を置く位置についてのガイド(例えば、視覚的ガイド)をユーザに提供する、任意の他のタイプのインジケータであってよい。
【0045】
更に、少なくともいくつかの実施形態では、クランプジョーアセンブリ104は、最高精度をもたらす測定エリア112の一領域へと、被試験導体109を自動的に向かわせる形状及び寸法であってよい。この例では、測定エリア内の最適領域は、センサ124の近くであってよい。測定エリア112は、被試験導体の直径よりも著しく大きい場合があるため、測定エリア112内の導体109を位置付ける場所についてユーザをガイドして、最良の測定結果を確保することが望ましい。
図3は、測定エリア112内の、中間サイズの導体109、より小さい電線111、及びより大きい導体113の例を示す。具体的には、図示の例では、垂直導体の場合、クランプジョーアセンブリ104は、導体109が測定エリア112内にあるときに、ユーザがそれらに向けて電気的パラメータ測定装置100を引き寄せることできる歪曲形状、つまり「U」形状又は「V」形状を有してよく、クランプジョーアセンブリ104は、導体109がセンサ124に近くにある、遠位端108a及び110aに近接した測定エリア112の最適領域に導体を自動的にガイドする。水平導体の場合、ユーザは、上述したように、導体の周囲にクランプジョーアセンブリ104をクランプしてよく、電気的パラメータ測定装置100の重量のために、ジョーアセンブリ104によって電気的パラメータ測定装置が導体109に自然に「吊り下げ」られてよい。電気的パラメータ測定装置100が導体109から吊り下げられると、導体は、測定エリア112の最適領域内のセンサ124の近くに自動的に位置付けられて、最も正確な測定値を得る。これは、ユーザが電気的パラメータ測定装置100を「残置(leave behind)」電気的パラメータ測定装置として動作させる予定である場合に特に有利であり得、電気的パラメータ測定装置は、長期間(例えば、数分、数時間、数週、数年)にわたって測定値を取得する。
【0046】
図示するように、この例では、第2のクランプジョー110の遠位端110aは、電気的パラメータ測定装置100がユーザに向けて引き寄せられるか、又は導体から吊り下げられているときに、被試験導体109を受容するフック形状部分を有する。遠位端108a及び110aの非対称形状により、電気的パラメータ測定装置が導体109から吊り下げられているときに、この導体によって加えられる力の大部分が、第2のクランプジョー110のフック部に付与される。これは、遠位端108a及び110aが対称である実施形態に対して有利であり得、かかる実施形態では、導体109が、遠位端の合流点に位置付けられるためであり、これにより、十分な力が導体によって加えられる(例えば、ユーザがかなり大きい力で電気的パラメータ測定装置100を導体に向けて引き寄せる)場合、クランプジョーを互いに分離させることができる。
【0047】
図4は、非接触電圧測定機能及び非接触電流測定機能を提供する非接触測定装置400の概略ブロック図である。非接触測定装置400はまた、電圧及び/又は電流測定値から導出された1つ以上のAC又はDC電気的パラメータ(例えば、電力、エネルギー、周波数、高調波)を決定することもできる。非接触測定装置400は、プロセッサ406にそれぞれ通信可能に結合されている電圧センサ402と、電流センサ404と、を含む。いくつかの実施形態では、電圧センサ402及び電流センサ404のそれぞれは、複数の電圧センサ又は電流センサをそれぞれ含んでよい。いくつかの実施形態では、非接触測定装置400は、電圧センサのみ又は電流センサのみを含んでよい。
【0048】
電圧センサ402及び/又はプロセッサ406は、本明細書で論じる測定装置のいずれかに類似し得る、又は同一であり得る。プロセッサ406は、1つ以上の中央演算処理装置(central processing unit、CPU)、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)など、1つ以上の論理回路処理装置を含んでよい。非接触測定装置400はまた、命令又はデータのうちの少なくとも一方を記憶するプロセッサ406に通信可能に結合されたメモリ408を含んでよい。メモリ408は、1つ以上のソリッドステートメモリ、例えば、フラッシュメモリ又はソリッドステートドライブ(solid state drive、SSD)を含んでよく、1つ以上のソリッドステートメモリは、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール及び他のデータの不揮発性記憶を測定装置400に提供する。図示していないが、非接触測定装置400は、他の非一時的コンピュータ可読媒体又はプロセッサ可読媒体、例えばハードディスクドライブ、光ディスク駆動装置又はメモリカードメディアドライブを採用することができる。
【0049】
非接触測定装置400は、ユーザインターフェース410を含んでよく、ユーザインターフェースは、任意の数の入力部(例えば、ボタン、ダイヤル、スイッチ、タッチスクリーン)と、任意の数の出力部(例えば、ディスプレイ、LED、スピーカー、ブザー)と、を含んでよい。非接触測定装置400はまた、読み出された情報414及び/又は波形416を提示する1つ以上のディスプレイ412を含んでよい。
【0050】
動作中、プロセッサ406は、電圧センサ402及び電流センサ404から信号を受信して、電圧測定値及び電流測定値をそれぞれ取得する。プロセッサ406は、かかる電圧測定値及び電流測定値を利用して、測定値の組み合わせに基づいて、更なるAC電気的パラメータを導出してよい。そのようなパラメータとしては、例えば、電力(真の電力、皮相電力など)、位相(例えば、三相)、周波数、高調波、エネルギーなどを挙げることができる。
【0051】
電圧センサ信号及び電流センサ信号は、共通測定時間間隔中にそれぞれの電圧センサ402及び電流センサ404によって取得されてよく、共通測定時間間隔は、持続時間が比較的短くてよい(例えば、10ミリ秒(ms)、100ms、1秒、10秒)。例えば、電圧センサ402及び電流センサ404は、少なくとも部分的に互いに並行して測定値を取得してよい。別の実施例として、電圧センサ402及び電流センサ404のうち一方は、電圧センサ及び電流センサのうちの他方が測定値を取得したほぼ直後に測定値を取得してよく、したがって、測定値は、ほぼ同時に取得される。いくつかの実施形態では、電圧センサ402及び電流センサ404は、測定値を指定間隔にて(例えば、10ms毎に、100ms毎に、1秒毎に、10秒毎に)同時に又は連続して繰り返し取得するように動作してよい。一般に、電圧センサ402及び電流センサ404は、両方とも、それぞれの測定値を測定時間間隔内に取得する。測定時間間隔は、電圧測定値及び電流測定値の対が互いに対応するように十分に短く、したがって、取得した電流測定値及び電圧測定値を使用して1つ以上のAC電気的パラメータ(例えば、電力、位相)を正確に導出する、又は判定することができる。
【0052】
プロセッサ406は、測定した、又は導出したパラメータのうちの1つ以上の読み出された情報414を提供してよく、1つ以上の特性のグラフ表示を提供してよい。かかるグラフ表示としては、波形、高調波棒グラフなどが挙げられ得る。ディスプレイ412を介して提示し得る例示的な信号特性としては、電圧、電流、周波数、電力パラメータ(例えば、ワット、kVA)、位相、エネルギー、高調波、相順検出などが挙げられる。
【0053】
図5は、非接触電圧測定機能及び/又は非接触電流測定機能を提供する測定装置500の概略ブロック図である。測定装置500は多くの点において
図4の測定装置400と類似している、又は同一であるため、本明細書では、簡潔にするために関連する相違点のみを論じる。
【0054】
この実施形態では、測定装置500は、ディスプレイを含まなくてよく、代わりに、プロセッサベースの外部装置506を介して遠隔操作にて電気機器をモニタする「残置」センサとして使用されてよい。プロセッサベースの外部装置506としては、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、サーバ、クラウドコンピュータなどなど、様々なタイプの装置が挙げられ得る。プロセッサベースの外部装置506は、一定期間(例えば、数分、数時間、数日、数週、数年)にわたって測定装置500によって収集されたデータを提示するディスプレイを含んでよい。
【0055】
1つ以上プロセッサベースの外部装置と通信するために、測定装置500は1つ以上の有線通信インターフェース502及び/又は1つ以上の無線通信インターフェース504を含んでよい。
【0056】
無線通信インターフェース504の非限定的な例としては、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標)Low Energy、Zigbee(登録商標)、6LoWPAN(登録商標)、Optical IR、無線HARTなどが挙げられる。有線通信インターフェース502の非限定的な例としては、USB(登録商標)、イーサネット、PLC、HART、MODBUS、FireWire(登録商標)、Thunderbolt(登録商標)などが挙げられる。
【0057】
プロセッサベースの外部装置506にデータを送信することに加えて、少なくともいくつかの実施形態では、測定装置500は、データ又は命令(例えば、制御命令)のうちの少なくとも一方を1つ以上の有線通信インターフェース502及び/又は1つ以上の無線通信インターフェース504を介してプロセッサベースの外部装置506から受信してよい。
【0058】
前述の詳細な説明では、ブロック図、概略図、及び実施例を使用して、装置及び/又はプロセスの種々の実施形態を説明してきた。このようなブロック図、系統図、及び実施例が1つ以上の機能及び/又は動作を含む限り、このようなブロック図、フロー図、又は実施例内のそれぞれの機能及び/又は動作は、広範囲にわたるハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの実質的に任意の組み合わせにより、個別にかつ/又は集合的に実装することができることが、当業者には理解されるであろう。一実施形態では、特定用途向け集積回路(ASIC)を介して、本発明の主題を実施してよい。しかし、本明細書で開示する実施形態が、全部、又は一部を問わず、1つ以上のコンピュータ上で実行される1つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1つ以上のコンピュータシステム上で実行される1つ以上のプログラムとして)、1つ以上の制御装置(例えば、マイクロコントローラ)上で実行される1つ以上のプログラムとして、1つ以上のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)上で実行される1つ以上のプログラムとして、ファームウェアとして、又はこれらの実質的に任意の組み合わせとして標準的な集積回路内で同等に実装することができ、ソフトウェア及び/又はファームウェアについての回路設計及び/又はコード書き込みであれば、十分に、本開示に照らして当該技術分野における当業者の知識の範囲内になることを当業者は認識するであろう。
【0059】
当業者は、本明細書に記載する方法又はアルゴリズムの多くが付加的な行為を採用することができ、一部の行為を省略することができ、かつ/又は行為を指定された順番と異なる順番で実行することができることを、理解するであろう。
【0060】
更に、当業者は、本明細書で教示する機構が、種々の形態でプログラム製品として流通可能であり、代表的な実施形態が、流通を実際に実行するために使用される特定の形式の信号担持媒体に関係なく等しく適用されることを、認識するであろう。信号担持媒体の例としては、以下のもの、即ち、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、CD-ROM、デジタルテープ、及びコンピュータメモリなどの記録可能な形式の媒体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
上述した種々の実施形態を組み合わせて、更なる実施形態を提供してもよい。本明細書中の特定の教示及び定義と矛盾しない限りにおいて、米国特許仮出願番号第62/421,124号(2016年11月11日出願)、米国特許出願第15/345,256号(2016年11月7日出願)、同第15/413,025号(2017年1月23日出願)、同第15/412,891号(2017年1月23日出願)、同第15/604,320号(2017年5月24日出願)、及び米国特許出願第15/625,745号(2017年6月16日出願)が開示され、それら全体が、本明細書に参考として組み込まれる。実施形態の態様は、種々の特許、出願及び公報のシステム、回路、及び概念を用いて、なお更なる実施形態を提供するように必要に応じて修正することができる。
【0062】
上記の説明を考慮すれば、実施形態へのこれらの変更及びその他の変更を行うことができる。通常、以下の請求項において使用する用語は、明細書及び請求項に開示された特定の実施形態に対する請求項を限定するものと解釈すべきではないが、こうした請求項に権利を与えた等価物の全範囲と共に全ての考えられる実施形態を含むものと解釈すべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって制限されるものではない。
【外国語明細書】