(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156793
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】干渉測定デバイス
(51)【国際特許分類】
G01B 11/27 20060101AFI20241029BHJP
G01B 11/06 20060101ALI20241029BHJP
G01B 11/26 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
G01B11/27 G
G01B11/06 G
G01B11/26 G
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024124134
(22)【出願日】2024-07-31
(62)【分割の表示】P 2022562659の分割
【原出願日】2021-04-14
(31)【優先権主張番号】20169784.4
(32)【優先日】2020-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】597023868
【氏名又は名称】テイラー・ホブソン・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TAYLOR HOBSON LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ティロ・マイ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・アム・ヴェーク
(57)【要約】 (修正有)
【課題】2つの反対の表面を有する光学要素の表面またはプロファイルを測定するための干渉測定デバイスおよび測定方法を提供する。
【解決手段】測定方法は:光学要素10の表面11のうちの1つに少なくとも3つの測定点31、32、33を画成する工程と、測定ヘッド60からの測定ビーム61を測定点へ誘導し、それぞれ測定点31で反射された測定ビーム部分62を検出することによって、各測定点の位置を測定する工程と、少なくとも3つの測定位置に基づいて、基準軸51に対する測定面11の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つを判定する工程とを含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学要素(10)の表面(20、30)またはプロファイル(P)を測定する方法であって、光学要素(10)は、第1の表面(20)および該第1の表面(20)とは反対側の第2の表面(30)を含み、該方法は:
光学要素(10)の測定面(11)上で少なくとも第1の測定点(21、31)、第2の測定点(22、32)、および第3の測定点(23、33)を画成する工程であって、測定面(20、30)は、第1の表面(20)および第2の表面(30)のうちの一方である、工程と、
測定ヘッド(60)からの測定ビーム(61)を第1の測定点(21、31)へ誘導し、第1の測定点(21、31)で反射された測定ビーム部分(62)を検出することによって、第1の測定点(21、31)の第1の位置を測定する工程と、
その後、それぞれ測定ビーム(61)を第2の測定点(22、32)および第3の測定点(23、33)へ誘導し、第2の測定点(22、32)および第3の測定点(23、33)で反射された測定ビーム部分(62)を検出することによって、少なくとも第2の測定点(22、32)の第2の位置および第3の測定点(23、33)の第3の位置を測定する工程と、
少なくとも第1の位置、第2の位置、および第3の位置に基づいて、基準軸(51)に対する測定面(11)の偏心(D)および傾斜(T)のうちの少なくとも1つを判定する工程とを含む、前記方法。
【請求項2】
第1の位置、第2の位置、および第3の位置のうちの少なくとも1つを測定する工程は、第1の測定点(21、31)、第2の測定点(22、32)、および第3の測定点(23、33)のうちの少なくとも1つに測定ビーム(61)を集束させ、それぞれ第1の測定点(21、31)、第2の測定点(22、32)、および第3の測定点(23、33)のうちの少なくとも1つで再帰反射されたそれぞれの測定ビーム部分(62)を検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
光学要素(10)の第1の表面(20)および第2の表面(30)のうちの一方は、測定ヘッド(60)の方を向いており、測定ヘッド(60)から離れる方を向いている第1の表面(20)および第2の表面(30)のうちの他方は、測定面(11)であり、第1の位置、第2の位置、および第3の位置は、第1の標的点(26、36)、第2の標的点(27、37)、および第3の標的点(28、38)に測定ビーム(61)を誘導することによって測定され、第1、第2、および第3の標的点(26、27、28、36、37、38)は、第1の表面(20)および第2の表面(30)のうち測定ヘッド(60)の方を向いている表面上に配置され、測定ビーム(61)は、光学要素(10)の媒体(63)を通って伝播する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第1の表面(20)および第2の表面(30)のうち測定ヘッド(60)の方を向いている表面上の第1、第2、および第3の標的点(26、27、28、36、37、38)の位置は:
光学要素(10)の媒体(63)の屈折率、
第1、第2、または第3の標的点(26、27、28、36、37、38)に対する測定ビーム(61)の入射角、ならびに
第1、第2、または第3の測定点(21、22、23、31、32、33)および/または標的点(26、27、28、36、37、38)の領域における第1の表面(20)および第2の表面(30)のうちの少なくとも一方の局所的な表面プロファイルに基づいて判定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
測定面(11)上に第1の測定経路(25、35)および第2の測定経路(29、39
)が画成され、第1、第2、および第3の測定点のうちの少なくとも2つ(21、22、31、32)は、第1の測定経路(25、35)上に配置され、第1、第2、および第3の測定点のうちの少なくとも1つ(23、33)は、第2の測定経路(29、39)上に配置される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
第1の測定経路(25、35)および第2の測定経路(29、39)のうちの少なくとも一方は、閉じた測定経路である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第1の測定経路(25、35)および第2の測定経路(29、39)は、光学要素(10)の光学軸(c)または基準軸(51)に対して同心円状である、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
光学要素(10)は、測定台(50)上に配置されたマウント(40)に取り付けられ、測定台(50)は、回転軸(53)の周りを回転可能であり、回転軸(53)に対するマウント(40)の径方向位置(r)および向き(a、b)のうちの少なくとも1つは、光学要素(10)の偏心(D)および傾斜(T)のうちの少なくとも1つを最小にするように調整される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
第1の測定手順で、第1の表面(20)および第2の表面(30)のうちの一方の偏心(D)および傾斜(T)のうちの少なくとも1つが判定され、第2の測定手順で、第1の表面(20)および第2の表面(30)のうちの他方の偏心(D)および傾斜(T)のうちの少なくとも1つが判定される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
光学軸(c)に沿った光学要素(10)の厚さの測定をさらに含み、厚さ測定は:
光学要素(10)の光学軸(c)に沿ってまたは光学軸(c)に平行に測定ヘッド(60)を位置合わせすることと、
光学軸(c)に沿ってまたは光学軸(c)に平行に測定ビーム(61)を誘導することと、
光学軸(c)に沿ってまたは光学軸(c)に平行に集束させた測定ビーム(61)を動かすことと、
集束させた測定ビーム(61)の焦点区域(68)と第1の表面(20)および/または第2の表面(30)との一致を検出することとを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
光学要素(10)の表面(20、30)またはプロファイルを測定するための干渉測定デバイス(1)であって:
測定ビーム(61)を放出するように構成された光源(2)と、
光学要素(10)を固定するためのマウント(40)と、
光源(2)に接続された測定ヘッド(60)であって、光学要素(10)の測定面(11)へ測定ビーム(61)を誘導するように構成され、測定面(11)から反射された測定ビーム部分(62)を受けるようにさらに構成され、
測定面(11)の少なくとも所定の第1の測定点(21、31)、所定の第2の測定点(22、32)、および所定の第3の測定点(23、33)へ測定ビーム(61)を誘導するようにマウント(40)に対して可動である測定ヘッドと、
該測定ヘッド(60)に接続された検出器(4)であって、少なくとも第1の測定点(21、31)、第2の測定点(22、32)、および第3の測定点(23、33)で反射された測定ビーム部分(62)を検出するように構成された検出器と、
該検出器(4)に接続された信号分析器(5)であって、第1の測定点(21、31)の第1の位置、第2の測定点(22、32)の第2の位置、および少なくとも第3の測定点(23、33)の第3の位置を判定するように構成され、少なくとも第1の位置、第2
の位置、および第3の位置に基づいて、基準軸(51)に対する測定面(11)の偏心(D)および傾斜(T)のうちの少なくとも1つを判定するようにさらに構成された信号分析器とを含む、前記測定デバイス。
【請求項12】
マウント(40)は、基準軸(51)を画成する回転測定台(50)上に配置されており、基準軸(51)に対するマウント(40)の径方向位置(r)およびマウント(40)の向き(a、b)のうちの少なくとも1つが調整可能である、請求項11に記載の測定デバイス。
【請求項13】
測定面(11)の偏心(D)および傾斜(T)のうちの少なくとも1つに基づいて、基準軸(51)に対するマウント(40)の径方向位置(r)およびマウント(40)の向き(a、b)のうちの少なくとも1つを調整するように動作可能なコントローラ(6)をさらに含む、請求項12に記載の測定デバイス。
【請求項14】
マウント(40)に対して測定ヘッド(60)を動かしかつ/または位置合わせするように動作可能な測定ヘッドコントローラ(66)をさらに含み、測定ヘッド(60)から離れる方を向いている測定面(11)の少なくとも第1の測定点(21、31)、第2の測定点(22、32)、および第3の測定点(23、33)の位置を測定するために、測定ヘッドコントローラ(66)は、光学要素(10)の第1の表面(20)および第2の表面(30)のうち測定面(11)とは反対側で測定ヘッド(60)の方を向いている表面の少なくとも第1の標的点(26、36)、第2の標的点(27、37)、および第3の標的点(28、38)を判定するように構成され、第1、第2、および第3の標的点(26、27、28、36、37、38)の各々は、第1、第2、および第3の測定点(21、22、23、31、32、33)のうちの1つに相関し、したがって第1の標的点(26、36)、第2の標的点(27、37)、および第3の標的点(28、38)で光学要素(10)の媒体(63)に入る測定ビーム(61)は、それぞれ第1の測定点(21、31)、第2の測定点(22、32)、および第3の測定点(23、33)で内部に再帰反射される、請求項11~13のいずれか1項に記載の測定デバイス。
【請求項15】
請求項11~14のいずれか1項に記載の測定デバイス(1)のプロセッサ(8、9)によって実行されると、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法の工程をプロセッサ(8、9)に実施させる命令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、干渉測定デバイスの分野に関し、詳細には、物体の表面からの電磁放射の反射によって物体の表面、距離、および/またはプロファイルを測定するためのファイバで実装された干渉測定デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
レンズなどの光学要素の光学表面の品質管理および精密測定は、特に大量生産される光学要素にとって、ますます重要になっている。これは特に、たとえば小型カメラ、撮像、および/または表示システムで使用することができるかなり小さいサイズの光学要素に当てはまることがある。
【0003】
たとえば、特許文献1は、キャリア上に取り付けられた物体の少なくとも1つの表面セクションの測定のための装置を開示している。この装置は、キャリアに対して固定可能な基準物体と、基準物体に対して少なくとも第1の方向に可動のホルダとを含む。
【0004】
互いに対して回転可能に取り付けられた基準体および距離センサが、ホルダ上に配置される。距離測定デバイスが、物体の表面上の第1の点までの第1の距離を判定し、物体上の第1の点に対応する基準体上の第2の点までの第2の距離を判定するように構成される。このため、距離測定デバイスは、第1および第2の距離センサを含み、第1および第2の距離センサのうちの一方は物体の方を向き、他方は基準体の方を向く。そのような装置によって、非常に精密かつ非接触に物体の表面を光学的に精査または走査することができる。
【0005】
厚さを測定する場合、特に物体の厚さプロファイルを測定し、光学表面のウェッジまたは傾斜を判定する場合、特許文献2は、上面および下面を有する物体ホルダを使用する別の装置を開示しており、物体ホルダは、キャリア上に第1および第2の向きで配置されるように選択的に適用される。物体の厚さを測定し、物体の両側に設けられた表面プロファイルを相互に割り当てる場合、物体ホルダが第1の向きで位置する状態で、物体の第1の表面または上面を測定または走査する必要がある。その後、物体ホルダが第2の向きにある状態で、物体を測定または走査しなければならない。
【0006】
距離測定デバイスに対して物体ホルダを配置し、ならびに物体が取り付けられた状態で物体ホルダの向きを変えるには、それぞれの測定デバイスの手動調整および/または較正が必要になることがあり、これはかなり複雑で時間のかかることがある。
【0007】
たとえば測定予定の物体およびその物体に対するそれぞれのマウントが、光学要素または物体の表面の走査中に回転を受ける回転測定台上に設けられたとき、そのような較正および調整は特に重要なものとなることがある。通常、そのような測定方式の場合、測定予定の光学要素の光学軸が測定台の回転軸と位置合わせされる必要がある。
【0008】
特に干渉法に基づく表面測定または距離測定の場合、測定ヘッドと測定予定の光学要素の表面との間の距離が所定の測定範囲内に留まる必要がある。光学干渉に基づく測定方法の場合、それぞれの距離測定に対する測定範囲、したがって明瞭な面積は所与であり、測定ビームの波長によって判定される。たとえば異なる波長の複数の測定ビームを同時に使用することによって、測定範囲、したがって明瞭な範囲を拡張することができる。しかし通常、測定の空間分解能を増大させると、それぞれ測定範囲、したがって明瞭な範囲が低減するという規則が当てはまる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】DE102011011065B4
【特許文献2】米国特許出願第2017/0082521(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本開示の目的は、表面を測定する改善された方法を提供すること、改善された測定デバイス、たとえば光学要素の表面またはプロファイルを測定するための干渉測定デバイスを提供することである。この測定デバイスおよび方法は、干渉測定デバイスの効果的かつ迅速な測定ならびに較正および調整を提供するはずである。さらに、この方法および測定デバイスは、測定デバイスに対する光学要素の支承部または取付具を修正する必要なく、光学要素の少なくとも一面または両面の偏心、厚さ、および/または傾斜のかなり精密かつ迅速な測定を提供するはずである。
【0011】
本開示の別の目的は、そのような測定方法を実行してそれぞれの干渉測定デバイスを制御するためのそれぞれのコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一態様では、光学要素の表面および/またはプロファイルを測定する方法が提供される。光学要素は、第1の表面および第2の表面を含む。第1および第2の表面は、光学要素の両側に設けられる。第1の表面を光学要素の頂面とすることができ、第2の表面を底面とすることができる。光学要素は、任意のタイプの光学レンズとすることができる。
【0013】
第1の工程で、この方法は、光学要素の測定面に少なくとも第1の測定点、第2の測定点、および第3の測定点を画成することを含む。測定面は、第1の表面および第2の表面のうちの一方である。測定点は、所定の測定点である。測定点は、様々な基準に従って選択および/または画成することができる。光学要素の表面またはプロファイルを測定する本方法の場合、それぞれ第1、第2、および第3の測定点は、少なくとも光学要素の表面またはプロファイルを測定する方法中に測定面に画成され、少なくとも事実上固定されたままとなる。
【0014】
概して、光学要素の形状および/またはプロファイルは、少なくとも最小精度で知られている。その限りにおいて、光学要素の表面および/またはプロファイルは定量的に知られている。本方法では、表面および/またはプロファイルは最大精度まで精密に測定されなければならず、これは当然ながら、知られている最小精度より高い。最小精度は、光学要素の製造者によって提供することができる。最大精度は、光学要素の表面またはプロファイルの製造公差および/または欠陥を明らかにすることができる。典型的な例では、最小精度はマイクロメートルの範囲内である。最大精度は、わずか数ナノメートルの範囲内、たとえば50nm未満、20nm未満、または10nm未満とすることができる。
【0015】
本方法は、品質管理を提供する働きをし、したがって光学要素の表面および/またはプロファイルを最大精度で測定するように構成される。
【0016】
測定面に少なくとも第1、第2、および第3の測定点を画成した後、測定ヘッドからの測定ビームを第1の測定点へ誘導することによって、第1の測定点の第1の位置が測定される。第1の測定点で反射、典型的には再帰反射された測定ビーム部分が検出される。反射測定ビーム部分を検出することによって、第1の測定点の位置を判定または計算することができる。測定面の第1の測定点の第1の位置を測定するために、典型的には非接触の
光学測定手順が適用される。測定手順は、ランタイム分析、および/または反射測定ビーム部分と基準ビームとの間の相対位相の分析を含むことができる。
【0017】
典型的には、測定ヘッドは、測定ビームを第1の測定点へ誘導し、測定点で反射された測定ビーム部分を検出するように構成される。典型的には、測定ヘッドは、第1の測定点またはその周囲の領域において、測定面の表面法線に沿って位置合わせされる。典型的には、測定ビームは、測定面に直交して第1の測定点に誘導される。したがって、第1の測定点で反射された測定ビーム部分は再び測定ヘッドに入る。
【0018】
表面法線から第1の測定点への測定ビームの向きのずれは、測定ヘッドの所定の許容角度まで許容可能である。典型的には、許容角度は、第1の測定点の表面法線から15°または10°または5°以下だけずれる。
【0019】
その後、少なくとも第2の測定点の第2の位置および第3の測定点の第3の位置が続いて測定される。それぞれ第1および第2の測定点の測定は、上述した第1の測定点の測定と同様に行われる。ここで、測定ビームは第2の測定点へ誘導され、第2の測定点で反射されたそれぞれの測定ビーム部分が、典型的には測定ヘッドによって検出される。
【0020】
同様に、測定ビームは少なくとも第3の測定点へ誘導され、第3の測定点で反射されたそれぞれの測定ビーム部分が、典型的には測定ヘッドによって検出される。
【0021】
少なくとも第1の位置、少なくとも第2の位置、および少なくとも第3の位置に基づいて、基準軸に対する測定面の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つが判定される。
【0022】
基準軸は、測定デバイスの測定台によって画成することができ、表面および/またはプロファイル測定のために、光学要素が測定台に位置することができる。基準軸は、測定面の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つを判定するための表面走査またはプロファイル走査中に光学要素を回転させることができる回転軸とすることができる。
【0023】
原則的に、少なくとも第1の位置、少なくとも第2の位置、および少なくとも第3の位置は、光学要素が基準軸と一直線になった場合、たとえば0の傾斜角度および/または0の偏心の場合に少なくとも第1、第2、および第3の測定点が配置されるはずのそれぞれの基準位置と比較することができる。
【0024】
典型的には、実際に測定される測定点の第1、第2、および第3の位置を数値的に分析することができ、測定面の偏心および傾斜を変数として有する数学モデルに適合させることができる。数値的計算によって、たとえば第1の位置、第2の位置、および第3の位置をそれぞれ第1の基準位置、第2の基準位置、および第3の基準位置に適合させることによって、基準軸またはたとえば第1、第2、および第3の基準点によって画成されるそれぞれの基準面に対する測定面の偏心および/または傾斜を判定することができる。
【0025】
概して、少なくとも第1、第2、および第3の測定点に基づいて、測定された表面または測定されたプロファイルを導出することもできる。測定された表面またはプロファイルは、それぞれの基準面または基準プロファイルの数学モデルに比較または適合させることができる。
【0026】
このようにして、単に測定面の第1の位置、第2の位置、および第3の位置を測定することによって、測定面の偏心および傾斜を定性的および/または定量的に判定することができる。
【0027】
概して、測定点の数は、測定面のタイプによって画成される。概して、第1、第2、および第3の測定点は、共通の直線上に位置してはならない。第1の測定点および第2の測定点を通って線を引くことができるが、そのとき第3の測定点は、そのような線からずれて配置されなければならない。測定面が球面である場合、第1の測定点、第2の測定点、および第3の測定点によって、測定面を明確に特徴付けることができる。
【0028】
測定面が非球面である場合、少なくとも5つの測定点を画成および測定しなければならない。光学要素がいわゆる自由形状の表面を測定面として含む場合、少なくとも6つの測定点が必要とされ、測定面の偏心および/または傾斜を明確に判定または計算するには、これらの測定点を上述した方法によって画成し、その後測定しなければならない。測定点の数は、それぞれの測定面の画成に必要とされる自由度数に依存する。
【0029】
典型的な例では、上述した方法によって判定される偏心および傾斜を直接使用して、1つの同じ測定デバイスによって後続の高精度の表面測定またはプロファイル測定を行うために光学要素を調整および/または位置合わせすることができる。このようにして、光学要素の測定面の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つを判定する上述した方法を直接使用して、測定デバイスの測定ヘッドに対して光学要素を位置合わせすることができる。
【0030】
偏心および傾斜のうちの少なくとも1つを判定することによって、この方法は、偏心の方向および程度ならびに傾斜の方向および程度に関する定量的フィードバックを提供することができる。測定面の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つを精密に判定することによって、測定ヘッドまたは基準軸に対する光学要素の完全に自動化された調整もしくは較正でさえ提供することができ、または一部自動化された調整もしくは較正を提供することができる。これにより、測定デバイス、たとえば干渉測定デバイスによって高精度の表面および/またはプロファイル測定を行うために光学要素を精密に位置合わせおよび較正するための支出および労力を低減させることが可能になる。
【0031】
別の例によれば、第1の位置、第2の位置、および第3の位置のうちの少なくとも1つを測定することは、第1の測定点、第2の測定点、および第3の測定点のうちの少なくとも1つに測定ビームを集束させ、それぞれ第1の測定点、第2の測定点、および第3の測定点のうちの少なくとも1つで再帰反射されたそれぞれの測定ビーム部分を検出することを含む。測定ビームを第1の測定点に集束させることによって、反射測定ビーム部分に対する測定ヘッドの許容角度を増大させることができる。
【0032】
さらに、測定ビームをそれぞれの測定点に集束させることで、それぞれの測定点で反射される光の量が増大する。ここでは、反射測定ビーム部分の検出のための信号対雑音比を増大させることができる。
【0033】
さらなる例によれば、光学要素の第1の表面および第2の表面のうちの一方は、測定ヘッドの方を向く。第1の表面および第2の表面のうちの他方は、測定ヘッドから離れる方を向く。この他方の表面は、光学要素が機械的に支持された測定台の方を向くことができる。ここでは、測定ヘッドから離れて測定台の方を向くことができる第2の表面が測定面である。第1の位置、第2の位置、および第3の位置は、第1の表面および第2の表面のうち測定ヘッドの方を向いている表面上に配置された第1の標的点に測定ビームを誘導することによって測定される。ここでは、測定ビームは、光学要素の媒体を通って伝播し、第1の測定点に当たる。測定ビームは、第1の測定点で少なくとも部分的に反射される。典型的には、測定ビームは媒体を通って第1の標的点の方へ再帰反射され、第1の標的点から再び測定ヘッドへ伝播する。
【0034】
同様に、この方法はまた、光学要素の媒体を通って第2の測定点および第3の測定点の
位置を測定することに進む。第2の測定点の位置を測定するために、測定ビームは、第1の表面および第2の表面のうち測定ヘッドの方を向いている表面上に配置された第2の標的点へ誘導される。同様に、第3の測定点の位置を測定するために、測定ビームは、第1および第2の表面のうち測定ヘッドの方を向いている表面上の第3の標的点へ誘導される。
【0035】
第1の標的点は第1の測定点に直接相関する。第2の標的点は第2の測定点に直接相関し、第3の標的点は第3の測定点に直接相関する。3つ以上の測定点が提供される場合、測定面とは反対側の表面上にそれぞれの数の標的点も提供される。
【0036】
概して、測定点は、第1および第2の表面の共通の表面上に提供される。また、標的点は、光学要素の第1および第2の表面の共通の表面上に提供される。標的点は常に、測定点が配置された表面とは反対側の表面上に提供される。
【0037】
たとえば第1の表面上の少なくとも第1、第2、および第3の標的点へ測定ビームを誘導することによって、第2の表面上の測定点の位置を測定し、したがって判定することができる。これには、測定台上の光学要素の向きを、たとえば測定ヘッドの方へ変える必要なく、測定ヘッドから離れる方を向いている測定面上に提供された測定点を直接測定することができるという利益がある。
【0038】
光学要素の表面および/またはプロファイルを測定する本方法を使用して、測定ヘッドの方を向いている表面を測定し、ならびに測定ヘッドから離れる方を向いている表面を測定することができる。このようにして、光学要素の媒体を介した測定を提供することができる。これにより、その後基準軸に対する偏心および/または傾斜に関して第1の表面および第2の表面の両方を測定することが可能になる。そのような後続の測定は、共通の座標系または基準系で行うことができる。したがって、第1の表面の傾斜および/または偏心は、第2の表面の傾斜および/または偏心に直接相関することができる。
【0039】
したがって、第1の測定手順で、光学要素の第1の表面上に配置された第1、第2、および第3の測定点の少なくとも第1、第2、および第3の位置を測定することによって、光学要素の第1の表面の偏心および傾斜を測定することができる。その後、光学要素を測定台に対して動かすことなく、測定面を第2の表面に切り換えることができる。第2の測定手順中、その後第1の表面上の少なくとも第1、第2、および第3の標的点へ測定ビームを誘導し、第2の表面上に配置された第1、第2、および第3の測定点からそれぞれの反射ビーム部分を検出することによって、第2の表面の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つを判定することができる。このようにして、光学要素の第2の表面の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つを判定することができる。
【0040】
概して、基準軸に対する第1の測定面の偏心および傾斜を判定することができる。第1の表面および第2の表面の後続の測定手順間で光学要素が測定台に対して動かされないため、同じ基準軸に対する光学要素の第2の表面の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つを判定することができる。このようにして、光学要素の第1の表面の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つは、それぞれ光学要素の第2の表面の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つに直接相関することができる。
【0041】
第2の表面の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つに対する第1の表面の偏心および/または傾斜の相互マッピングまたは割当てのために、光学要素は測定台上で静止していることができる。このようにして、第1の表面が測定面になる第1の測定手順と、第2の表面が測定面になる第2の測定手順との間で光学要素の向きを変える必要はない。
【0042】
さらなる例によれば、第1の表面および第2の表面のうち測定ヘッドの方を向いている表面上の第1、第2、および第3の標的点の位置が、光学要素の媒体の屈折率、第1、第2、または第3の標的点に対する測定ビームの入射角、ならびに第1、第2、もしくは第3の測定点の領域および/または第1、第2、もしくは第3の標的点の領域における第1の表面および第2の表面のうちの少なくとも1つの局所的な表面プロファイルのうちの少なくとも1つに基づいて判定される。
【0043】
さらに、第1の測定点に対する第1の標的点の相互マッピングまたは割当てはまた、光学要素の厚さまたは厚さプロファイルに基づいて判定される。これはまた、第1の測定点および第1の標的点の領域における第1の表面と第2の表面との間の距離に依存することができる。同じことが、第2の標的点に対する第2の測定点の相互マッピング、ならびに第3の標的点に対する第3の測定点の相互マッピングおよび割当てにも有効である。
【0044】
典型的には、少なくとも第1、第2、および第3の測定点は測定面上で画成され、測定面はたとえば、測定デバイスの測定台の方を向いている下面である第2の表面に一致する。このとき、対応する少なくとも第1、第2、および第3の標的点は、第2の表面とは反対側の第1の表面上に配置される。
【0045】
この方法は概して、第1の測定点の位置を測定することを提供する。このため、光学要素の概略的な構造および形状ならびに屈折率は、少なくとも所定の最小精度で知られている。光学要素の局所的なプロファイルおよび形状に基づいて、第1の表面上の第1の標的点の位置が判定および/または計算される。第1の測定点の位置を測定するには、第1の標的点で屈折を受ける測定ビームが、第1の測定点で反射、たとえば再帰反射される必要がある。
【0046】
光学要素の光学媒体を通って第1の測定点で効果的な再帰反射を有するために、第1の標的点から第1の測定点の方へ伝播する測定ビームの反射部分が、実質的に直交して第2の表面に当たり、それによって第1の測定点から再び第1の標的点へ伝播する測定ビームの反射ビーム部分が、測定ビームに空間的に重複する必要がある。
【0047】
光学要素の材料の屈折率が周辺空気の屈折率とは異なるため、第1の標的点における測定ビームの屈折も考慮しなければならない。屈折度は、第1の標的点の領域における表面プロファイルならびに光学要素の媒体の屈折率に強く依存する。いくつかの例では、測定ヘッドの径方向位置でさえ所定であり、かつ/または固定される。基準軸に対する測定ヘッドの所与の径方向位置に対して、明確な1対の標的点および入射角のみを常に提供することができ、標的点に当たる測定ビームは、標的点で反射され、標的点で媒体に入り、媒体を通って所定の第1の測定点の方へ伝播し、第1の測定点で再帰反射される。
【0048】
光学要素の全体的な形状およびプロファイルが少なくとも必要とされる最小精度で知られており、光学要素の媒体の屈折率が知られているため、少なくとも第1、第2、および第3の測定点のうちの所定の各測定点に対して、光学要素の反対側の表面で、それぞれ1つの明確な第1、第2、および第3の標的点を常に計算および/または判定することができる。
【0049】
光学ヘッドから離れる方を向いている測定面上で少なくとも第1、第2、および第3の測定点の位置を測定することはまた、知られている屈折率を有する光学要素の媒体を通って測定ビームおよび反射ビーム部分を伝播することを含むことができる。さらに、位置測定のために、測定ビームおよび反射ビーム部分が光学ヘッドから媒体を通って測定点の方へ伝播して光学ヘッドに戻る光ビーム経路が考慮される。
【0050】
さらなる例によれば、第1の測定経路および第2の測定経路が、測定面上に画成される。これは、第1の表面ならびに第2の表面の両方に当てはまることができ、それぞれ第1および/または第2の表面が測定面として選択される。第1、第2、および第3の測定点のうちの少なくとも2つが、第1の測定経路上に配置される。第1、第2、および第3の測定点のうちの少なくとも1つが、第2の測定経路上に配置される。
【0051】
測定経路を画成することによって、それぞれの測定経路上に位置する多数のそれぞれの測定点を画成することができる。このようにして、測定面の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つの判定の精度を改善することができる。実際に測定される測定点が多ければ多いほど、それぞれの測定面の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つの計算または判定をより精密に行うことができる。
【0052】
いくつかの例では、光学要素は径方向の対称性を有する。光学要素は光学軸を含むことができる。光学要素の表面および/またはプロファイルを測定する方法の場合、少なくとも第1、第2、および第3の測定点のうちの少なくとも2つが、互いに異なる光学要素の光学軸まで径方向距離をあけて配置されることが特に有益である。
【0053】
したがって、少なくとも3つの測定点のうちの少なくとも1つを、光学要素の光学軸または光学要素の径方向中心点まで第1の径方向距離をあけて配置することができる。3つの測定点のうちの別の1つは、光学要素の光学軸または光学中心点まで第2の径方向距離をあけて配置される。このようにして、光学要素の光学軸または中心軸から異なる径方向距離をあけて配置された少なくとも2つの測定点を使用することによって、少なくとも第1、第2、および第3の測定点の位置を測定することに基づいて、測定面の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つを判定することができる。
【0054】
さらなる例によれば、第1の測定経路および第2の測定経路のうちの少なくとも1つは、閉じた測定経路である。この測定経路は、円または楕円、たとえば長円形の測定経路を含むことができる。閉じた測定経路は、光学要素が回転測定台に取り付けられている一方で、測定ヘッドが測定台の回転軸まで可変の径方向距離をあけて位置することができるときに特に有益である。
【0055】
閉じた測定経路では、少なくとも第1、第2、および第3の測定点の測定が、測定経路の任意の位置で開始することができる。測定ビームは、測定ビームが測定経路上の最初の位置に戻るまで、光学要素と測定ヘッドとの間の相対的な動きによって測定経路に沿って誘導される。
【0056】
別の例によれば、第1の測定経路および第2の測定経路は、光学要素の光学軸またはたとえば測定デバイスの測定台によって画成される基準軸に対して同心円状である。
【0057】
たとえばレンズなどの円形または円板形の光学要素の場合、同心円状の測定経路、たとえば少なくとも第1、第2、および第3の測定点が配置される同心円状の測定リングをかなり容易に画成することができる。
【0058】
概して、第1および第2の測定経路の形状ならびに相対的な位置の画成は、光学要素の特有の形状またはプロファイルに従って選択または計算することができる。
【0059】
別の例によれば、光学要素は、マウントに取り付けられる。マウントは、測定台上に配置される。測定台は、回転軸の周りを回転可能である。回転軸に対するマウントの径方向位置および向きのうちの少なくとも1つが、本方法によって判定される光学要素の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つを最小にするように調整可能であり、調整される。
【0060】
いくつかの例では、測定台の回転軸は、基準軸に実質的に一致し、または基準軸を画成する。他の例では、基準軸は、測定台の回転軸からずれて配置される。
【0061】
マウントは、典型的には、回転軸に対して径方向に可動である。さらに、マウントは、少なくとも回転軸に対する傾斜軸に対して傾斜可能であり、または旋回させることができる。典型的には、マウントは、たとえば回転軸または基準軸に直交する平面内に位置する少なくとも2つの傾斜可能な軸に対して傾斜可能または旋回可能とすることができる。
【0062】
マウントは、基準軸に対する光学要素の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つを最小にするように、少なくとも1つの電気駆動によって調整することができる。この例では、この方法は、マウントに対して、したがってマウントに取り付けられた光学要素に対して、一種の自動調整を提供する。
【0063】
別の例によれば、第1の測定手順で、第1の表面および第2の表面のうちの一方の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つが判定され、第2の測定手順で、第1の表面および第2の表面のうちの他方の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つが判定される。第1の測定手順と第2の測定手順との間で、光学要素および/またはマウントは測定台上で静止したままである。光学要素、したがって光学要素のためのマウントは、基準軸に対して静止していることができる。
【0064】
このようにして、第1の測定手順中に判定される偏心および/または傾斜を、第2の測定手順中に取得される偏心および/または傾斜に直接相関および/またはマッピングすることができる。
【0065】
別の例によれば、光学要素の表面および/またはプロファイルを測定する方法は、光学要素の光学軸に沿って光学要素の厚さを測定することを含む。厚さを測定することは、光学要素の光学軸に沿ってまたは光学軸に平行に測定ヘッドを位置合わせすることと、光学軸に沿ってまたは光学軸に平行に測定ビームを誘導することと、光学軸に沿ってまたは光学軸に平行に集束させた測定ビームを動かすことと、最後に集束させた測定ビームの焦点区域と第1の表面および/または第2の表面との一致を検出することとを含む。
【0066】
概して、光学要素の厚さを測定するために、測定ビームは、第1の表面上に配置された測定点の表面法線に沿って誘導される。測定ビームの一部分が、光学要素を通って伝送され、第1の表面とは反対側の第2の表面上に配置された対応する第2の測定点で反射される。ここでは、第2の点の表面法線および第1の点の表面法線は実質的に平行である。概して、厚さを測定するために、集束させた測定ビームは、長手方向または軸方向に、したがって測定ビームの方向に沿って動かされ、または走査される。
【0067】
このため、測定ヘッドの測定範囲を、光学要素の予期される厚さより実質的に短い測定範囲まで低減させることができる。集束させた測定ビームが第1の表面および第2の表面のうちの一方に一致したとき、反射測定ビーム部分の強度が最大になる。その後測定ビームを動かすことによって、たとえば光学要素の媒体を通って光学軸に沿ってまたは光学軸に平行に測定ビームを走査することによって、反射ビーム強度のさらなる最大を検出することができる。反射ビーム部分の局所的な最大を検出することができる光学軸に沿った測定ヘッドのそれらの位置は、光学軸に沿って集束させたビームと第1の表面および第2の表面のうちの一方との一致を示す。
【0068】
集束させた測定ビームが第1の表面に一致する光学軸に沿ったまたは光学軸に平行の測定ヘッドの位置が、集束させた測定ビームが第2の表面に一致する光学軸に沿ったまたは
光学軸に平行の測定ビームの第2の位置と比較される。光学要素の厚さの計算のために、測定ヘッドのそれぞれ第1および第2の位置が互いに比較または減算される。ここでは、光学要素の媒体の屈折率がさらに考慮される。
【0069】
光学要素の第1の表面または第2の表面から反射される反射測定ビーム部分を区別するために、測定ヘッドの測定範囲は、光学要素の厚さより小さくするべきである。干渉測定デバイスによって、測定ビームのコヒーレンス長は、光学軸cに沿った第1の表面と第2の表面との間の距離より短くまたは小さくするべきである。これは、適当な光源を使用することによって、ならびに干渉測定デバイスの信号ビームの光路および/または基準ビームの光路内の光学遅延要素を使用することによって取得することができる。たとえば、レーザまたはスーパールミネッセントダイオードを光源として使用することができる。
【0070】
光学要素の厚さの測定は、上述した測定面のそれぞれ第1、第2、および第3の測定点の第1、第2、および第3の位置の上述した測定なしでも行うことができる。それにもかかわらず、厚さの測定は、光学要素が適切に位置合わせされており、基準軸に対して最小の偏心または最小の傾斜を示すときに特に有益である。
【0071】
したがって、別の態様では、本開示は、光学軸(c)に沿って光学要素の厚さを測定する方法に関し、厚さ測定は、光学要素の光学軸に沿って測定ヘッドを位置合わせすることと、光学軸に沿ってまたは光学軸に平行に測定ヘッドからの測定ビームを誘導することと、光学軸に沿ってまたは光学軸に平行に集束させた測定ビームを動かしまたは走査することとを含む。
【0072】
集束させた測定ビームを動かしまたは走査する間に、集束させた測定ビームの焦点区域と光学要素の第1の表面および/または第2の表面との一致が検出される。光学軸に沿った測定ヘッドの位置および動きが追跡および制御される。
【0073】
集束させた測定ビームの焦点区域が第1の表面に一致する測定ヘッドの第1の位置と、集束させた測定ビームの焦点区域が第2の表面に一致する測定ヘッドの第2の位置との間の距離は、光学軸に沿ったまたは光学軸に平行な方向における光学要素の厚さを直接示す。
【0074】
第1の位置と第2の位置との間の距離は、光学要素の媒体の屈折率を考慮してさらに正規化または補償される。
【0075】
光学要素の厚さの測定は、光学軸に沿って、したがって光学要素の中心軸に沿って行うことができる。光学要素の厚さの測定はまた、光学軸に平行な方向に沿って行うこともできる。ここでは、測定ビームは、光学軸に平行に位置合わせされているが、光学軸から径方向または横方向にずれて配置されている。このようにして、光学軸の中心を外れて光学要素の厚さを測定することもできる。概して、それぞれ第1の表面および第2の表面上の相互に関係するまたは相互に対応する多数の点で、光学要素の厚さを測定することができる。このようにして、光学要素の厚さプロファイルも取得することができる。
【0076】
概して、厚さを測定する方法は、少なくとも第1、第2、および第3の測定点の上述した測定なしでも、またはそのような想定にかかわらず実装することができる。この方法はまた、光学要素の測定面の偏心または傾斜の事前判定なしで行うことができる。
【0077】
光学要素の表面またはプロファイルを測定する方法のさらなる例では、判定された傾斜および/または偏心に基づいて、光学要素は、干渉測定デバイスに対して、特に測定ヘッドに対して調整される。このようにして、基準軸、したがって測定ヘッドに対する光学要
素の傾斜および/または偏心の除去または少なくとも実質的な低減を達成することができる。その後、傾斜および偏心のうちの少なくとも1つ除去または少なくとも低減した後、測定面の高精度トポロジ測定を行うことができる。
【0078】
いくつかの例では、高精度トポロジ測定は、干渉測定デバイスの測定ヘッドを横断方向および長手方向に動かしながら、基準軸を回転軸として光学要素を回転させることによって行うことができ、長手方向は回転軸に沿ってまたは回転軸に平行に延び、横断方向は長手方向に直交して延びる。ここでは、測定面上の多数の測定点で光学要素の測定面を走査または精査することができる。
【0079】
加えて、測定ヘッドは、測定ビーム部分が測定面上の測定点から測定ヘッドの方へ反射されるように、光学要素の測定面上のそれぞれの測定点に向けることができ、またはそれぞれの測定点と位置合わせすることができる。典型的には、測定ビームは、測定面の測定点の領域において、表面法線に対して実質的に平行にまたは表面法線に沿って誘導される。
【0080】
高精度トポロジ測定の好適な例は、米国特許出願第2017/0082521(A1)号またはDE102011011065A1により詳細に記載されている。
【0081】
表面を測定する本方法では、好ましくは傾斜および偏心のうちの少なくとも1つを判定した後、好ましくは傾斜および/または偏心を除去しまたは最小にするように基準軸に対して光学要素を位置合わせさせた後、光学要素の高精度トポロジ測定を行うことができる。ここでは、高精度トポロジ測定を受ける測定面は、第1の表面および第2の表面のうちの一方とすることができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、第1の表面は、測定ヘッドの方を向いている光学要素の頂面とすることができる。いくつかの実施形態では、第2の表面は、測定ヘッドから離れる方を向いている光学要素の底面とすることができる。ここでは、光学要素を介して高精度トポロジ測定を行うことができる。測定ヘッドから発する測定ビームは、第1の測定面上の第1の標的点に当たることができる。次いで測定ビームは、光学媒体を通って伝播することができ、光学要素の第2の表面上の第1の測定点で反射することができる。ここから、典型的には第1の測定点で反射された測定ビーム部分は、光学要素を通って第1の標的点の方へ戻り、再び測定ヘッドに向かい、かつ/または測定ヘッドに入る。
【0083】
ここで、戻った測定ビーム部分の光位相は、たとえば測定ヘッドによってまたは測定ヘッド内で生成される基準ビームの光位相と相関および/もしくは比較することができ、または相関および/もしくは比較される。このようにして、光学要素を保持するように構成されたマウントに対して光学要素の配置を変え、向きを変え、または動かす必要なく、第1の表面および/または第2の表面のトポロジを干渉精度で測定することができる。
【0084】
したがって、第1の工程で、第1の表面の傾斜および偏心のうちの少なくとも1つを判定することができる。第2の工程で、基準軸および/または測定ヘッドに対する光学要素のそれぞれの調整によって、第1の表面の傾斜および偏心を実質的に除去することができる。さらなる工程で、第1の表面の高精度トポロジ測定を行うことができる。
【0085】
その後、または上記の工程の代替シーケンスにおいて、少なくとも1つの方法で、光学要素の第2の表面の傾斜および偏心のうちの少なくとも1つもまた、光学要素を介したそれぞれの測定によって判定することができる。ここでは、さらなる工程で、それぞれの基準軸および/または測定ヘッドに対する光学要素のそれぞれの調整によって、第2の表面の傾斜および偏心を実質的に除去することができる。
【0086】
さらなる工程で、光学要素を通って測定ビームを伝播することによって、第2の表面の高精度トポロジ測定を行うことができる。したがって、第1の表面から光学要素を通って走査することによって、光学要素の第2の表面の高精度測定を提供することができる。実際には、測定ヘッドに対する光学要素の向きを変えることなく、第1の表面および反対側に配置された第2の表面の高精度トポロジ測定を行うことができる。
【0087】
別の態様では、本開示は、光学要素の表面および/またはプロファイルを測定する測定デバイスに関する。測定デバイスは、光学要素のそれぞれの表面を走査するように構成された非接触の光学測定デバイスとして実装することができる。いくつかの例では、測定デバイスは、光学要素の表面へ測定ビームを誘導し、光学要素の表面から反射されたビーム部分を検出するように構成された干渉測定デバイスである。
【0088】
測定デバイスは、測定ビームを生成して光学要素の測定面へ誘導するように構成された光源を含む。測定デバイスは、光学要素を固定するためのマウントをさらに含む。測定デバイスは、光源に接続された測定ヘッドをさらに含む。測定ヘッドは、測定ビームを光学要素の測定面へ誘導するように構成される。測定ヘッドは、測定面から反射された測定ビーム部分を受けるようにさらに構成することができる。
【0089】
測定ヘッドは、測定ビームを測定面の少なくとも所定の第1の測定点、少なくとも第2の所定の測定点、および少なくとも所定の第3の測定点へ誘導するように、マウントに対してさらに可動である。
【0090】
測定デバイスは、測定ヘッドに接続された検出器をさらに含み、検出器は、少なくとも第1の測定点、少なくとも第2の測定点、および少なくとも第3の測定点で反射されたそれぞれの測定ビーム部分を検出するように構成される。
【0091】
測定デバイスは、検出器に接続された信号分析器をさらに含み、信号分析器は、第1の測定点の第1の位置、第2の測定点の第2の位置を判定し、少なくとも第3の測定点の第3の位置を判定するように構成される。信号分析器は、基準軸に対する測定面の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つを判定するようにさらに構成される。この判定は、測定面のそれぞれ第1、第2、および第3の測定点の少なくとも第1の位置、第2の位置、および第3の位置に基づいて行われる。
【0092】
典型的には、測定デバイスは、光学要素の表面および/またはプロファイルを測定する上述した方法を行うように特に構成される。その限りにおいて、この方法に関連して上述したあらゆる構成、例、および作用は本測定デバイスにも等しく当てはまり、逆も同様である。
【0093】
測定面の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つを測定または判定するために、信号分析器は、それぞれ第1、第2、および第3の測定点の測定された第1、第2、および第3の位置に基づいて、数値適合手順を行うように構成される。測定された位置は、プロファイルおよび幾何形状が少なくとも最小精度に知られている光学要素の所定の位置と比較される。光学要素の所定の基準幾何形状に対する測定された第1、第2、および第3の位置の数値適合に基づいて、基準軸に対するそれぞれの測定面の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つを判定することができる。
【0094】
測定面の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つの判定は、基準軸に対する偏心および/または傾斜の程度を含みかつ/または提供する。このようにして、信号分析器によって判定される偏心および傾斜のうちの少なくとも1つをさらに使用して、基準軸に対して光
学要素を適切に位置合わせまたは調整することができる。この調整または較正は、手動または自動で行うことができる。手動で行されるとき、第1、第2、および第3の測定点を測定し、それぞれ第1、第2、および第3の位置を導出する手順全体を1回または複数回繰り返して、光学要素の測定面のそれぞれの偏心および傾斜を繰り返し取得することができる。
【0095】
いくつかの例では、たとえば偏心および/または傾斜を最小に低減させることによる光学要素の調整、したがって基準軸に向かう光学要素の測定面の位置合わせはまた、自動的および/または確定的に行うことができる。偏心および/または傾斜の程度またはサイズを精密に測定することによって、干渉測定デバイス、たとえば測定デバイスのコントローラは、基準軸に対する測定面の偏心および/または傾斜を除去しまたは少なくとも低減させるように、光学要素のマウントの位置および/または向きを自動で調整することができる。
【0096】
さらなる例によれば、マウントは、回転可能な測定台、したがって回転測定台上に配置される。回転測定台は、基準軸を画成することができる。基準軸に対するマウントの径方向位置およびマウントの向きのうちの少なくとも1つが調整可能である。マウントの径方向位置の調整および/またはマウントの向きの調整は、手動で行うことができる。いくつかの例では、回転測定台および/またはマウントは、少なくとも1つまたはいくつかの電気機械的アクチュエータを備えることができ、それによって基準軸に対するマウントの径方向位置および/または向きを自動で調整することができる。このようにして、マウント、したがってマウントに取り付けられた光学要素のかなり精密かつ迅速な位置合わせを提供することができる。
【0097】
別の例によれば、測定デバイスは、測定面の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つに基づいて、基準軸に対するマウントの径方向位置およびマウントの向きのうちの少なくとも1つを調整するように動作可能なコントローラを含む。ここでは、コントローラは、マウントおよび/または光学要素を基準軸に対して所定の位置および/または向きへ動かしまたは配向するように、回転測定台またはそれぞれのマウントのアクチュエータのうちの少なくとも1つの動作または作動を制御するように特に構成および適用される。このようにして、基準軸に対する光学要素の半自動化された測定に基づく偏心調整および傾斜調整を提供することができる。
【0098】
典型的には、さらなる例では、基準軸に対するマウントの径方向位置およびマウントの向きのうちの少なくとも1つの調整中のコントローラの動作を、測定ヘッドによって監視または制御することができる。したがって、マウントの径方向位置および向きのうちの少なくとも1つの調整中、測定ヘッドを使用して、マウントおよびマウントに取り付けられた光学要素のうちの少なくとも1つの位置を制御することができる。このようにして、マウントの調整または較正中にコントローラのさらなる制御を提供するために、フィードバックループを提供することができる。
【0099】
実際には、基準軸に対するマウントおよび/または光学要素のかなり精密かつ迅速な位置合わせおよび/または位置決めを提供することができる。これは、多数の光学要素の表面またはプロファイルを順次測定するためにサイクル時間またはクロックサイクルを低減させるのに特に有益である。マウントの半自動化された位置合わせおよび調整により、光学要素のプロファイルおよび/または表面の後続の高精度測定を提供することができる。
【0100】
さらに、調整のための低減されたサイクル時間またはクロックサイクルは、大量生産される光学要素の品質管理のために測定デバイスを使用するのに有益である。
【0101】
別の例によれば、測定デバイスは、測定ヘッドコントローラをさらに含む。測定ヘッドコントローラは、マウントおよび/または基準軸に対して測定ヘッドを動かしかつ/または位置合わせするように動作可能である。測定ヘッドから離れる方を向いている測定面の少なくとも第1の測定点、少なくとも第2の測定点、および少なくとも第3の測定点までの距離を測定するために、測定ヘッドコントローラは、光学要素の第1の表面および第2の表面のうち測定面とは反対側に配置されて測定ヘッドの方を向いている表面の少なくとも第1の標的点、第2の標的点、および第3の標的点を判定するように構成される。
【0102】
第1、第2、および第3の標的点の各々は、第1、第2、および第3の測定点のうちの1つに相関し、したがって第1の標的点、第2の標的点、および第3の標的点で光学要素の媒体に入る測定ビームが、それぞれ第1の測定点、第2の測定点、および第3の測定点で内部に再帰反射される。
【0103】
典型的には、第1の標的点は第1の測定点に直接相関する。第2の標的点は第2の測定点に相関し、少なくとも第3の標的点は第3の測定点に相関する。第1の標的点、第2の標的点、および少なくとも第3の標的点を判定した後、測定ヘッドコントローラは、相関する第1の測定点、第2の測定点、および少なくとも第3の測定点の位置の測定を提供するために、測定ヘッドから発する測定ビームがそれぞれ第1の標的点、第2の標的点、および少なくとも第3の標的点へ誘導されるように、測定ヘッドを誘導または配向するように構成される。
【0104】
さらなる例では、測定デバイスはまた、基準軸に対して光学要素を位置合わせした後、光学要素の表面および/またはプロファイルの高精度走査を行うように構成される。
【0105】
光学要素の表面および/またはプロファイルの走査または測定中、測定ヘッドコントローラは、測定ビームが光学要素の測定面に実質的に直交して誘導されるように、光学要素に対して動かされる。
【0106】
別の態様によれば、本開示はさらに、上述した測定デバイスのプロセッサによって実行されると、上述した方法の工程をプロセッサに実施させる命令を含むコンピュータプログラムに関する。その限りにおいて、光学要素の表面および/またはプロファイル測定する方法ならびに測定デバイスに関連して上述したすべての構成、作用、および利益はコンピュータプログラムにも等しく当てはまり、逆も同様である。
【0107】
コンピュータプログラムは、測定デバイスの信号分析器のプロセッサ内および/または測定ヘッドコントローラのプロセッサ内に実装することができる。コンピュータプログラムは、分散型コンピュータプログラムとすることができる。コンピュータプログラムのいくつかの部材は、信号分析器のプロセッサ内に実装または配備することができる。コンピュータプログラムの他の部材は、測定ヘッドコントローラのプロセッサ内に実装または配備することができる。
【0108】
以下、光学要素の表面および/またはプロファイルを測定する方法ならびにそのような表面またはプロファイルを測定する干渉測定デバイスの多数の例について、図面を参照することによってより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【
図1】光学要素の表面またはプロファイルを測定して基準軸に対する光学要素の偏心を判定することを概略的に示す図である。
【
図3】基準軸と比較して光学要素が偏心および傾斜している、
図1に類似したさらなる例を示す図である。
【
図5】光学要素の測定面上の少なくとも第1、第2、および第3の測定点を測定する一例の側面図である。
【
図7】光学要素の底面上に提供された少なくとも3つの測定点の位置が光学要素の上から測定される、さらなる例を示す側面図である。
【
図9】光学要素の厚さを測定する方法および測定デバイスの一例を示す図である。
【
図10】
図9の例に対する光学軸に沿った測定ヘッドの信号強度と長手方向変位の関係を示す図である。
【
図11】測定ビームの焦点区域が第1の表面に一致する、
図9の例の第1の構成を示す図である。
【
図12】集束させた測定ビームの焦点区域が第2の表面に一致する、
図11の例を示す図である。
【
図13】第1の表面の高精度表面またはプロファイル走査中の測定デバイスの構成を示す図である。
【
図14】
図5の構成と比較して光学要素がひっくり返された、光学要素の第2の表面上の少なくとも第1、第2、および第3の測定点の測定を示す図である。
【
図15】
図14の構成における第2の表面の高精度表面測定またはプロファイル測定を示す図である。
【
図16】
図14および
図15による光学要素の構成において第2の表面を通って第1の表面上の少なくとも第1、第2、および第3の測定点を測定することを概略的に示す図である。
【
図18】回転測定台上に配置された光学要素のための調整可能なマウントの一例を示す図である。
【
図20】
図19の干渉測定デバイスのいくつかの細部を示す拡大図である。
【
図21】光学要素の表面またはプロファイルを測定する方法の流れ図である。
【
図22】測定面の偏心および傾斜を取得するための数値適合手順を概略的に示す図である。
【
図23】外縁領域内の光学要素の厚さを測定する別の例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0110】
図1に、基準軸51に対する光学要素10の偏心Dおよび傾斜のうちの少なくとも1つを測定する方法の簡略化された例が示されている。基準軸51を画成する回転測定台50が設けられる。基準軸51は、回転軸53に一致することができる。測定台50の上に、光学要素10、たとえばレンズのためのマウント40が設けられる。マウント40は、基準軸51または回転軸53を回転軸として、測定台50上で回転可能である。光学要素10がさらに設けられる。光学要素10は測定面11を有する。簡単に示すことだけを目的として、光学要素10は円筒形の物体であり、測定面11として円筒形の側壁を有する。
【0111】
光学要素10は光学軸cを含む。測定デバイス1は、少なくとも1つの測定ヘッド60を含む。測定ヘッド60は、基準軸51を回転軸としてマウント40を光学要素10とともに動かすように測定台50が回転し始めると、測定面11までの距離を測定するように構成される。測定台50は、回転軸として基準軸51に対してマウント40および光学要素10を回転させる。
図1に示すように、光学要素10の光学軸cは、基準軸51から径方向偏心Dに配置される。
【0112】
図1で、測定ヘッド60を上部位置から下部位置60’へ動かすことができる。次いで、光学要素10の傾斜Tまたは偏心Dを測定するために、測定ヘッド60は、光学軸cに沿った第1の位置60および光学軸に沿った第2の位置60’において、測定面11までの距離を判定する。
【0113】
図2に、測定ヘッド60によって測定される測定面11までの距離Dが、回転測定台50の回転角φにわたってグラフ70として示されている。測定ヘッド60’の測定距離が、グラフ70’によって表されている。幾何学的中心、したがって光学軸cが、基準軸51または回転軸53から径方向オフセットDをあけて配置されるため、グラフ70、70’による距離は、回転角φにわたって起伏を示す。光学要素10のc軸または中心軸が回転軸53に平行であり、測定面11が円筒形であり、光学軸cの長さに沿って一定の直径を含むため、グラフ70、70’の勾配および振幅は実質的に等しい。グラフ70、70’の振幅は、光学軸cおよび基準軸51の偏心Dの直接的な尺度である。
【0114】
この状況は、光学要素が基準軸51または回転軸53に対して斜めになりまたは傾斜すると変化する。それに応じて、
図3および
図4に示すように、測定ヘッド60の位置で測定されるグラフ70の起伏の振幅は、測定ヘッド60’のさらなる位置で測定されるグラフ70’の起伏または振幅とは異なる。
【0115】
グラフ70、70’の振幅および/または起伏の変動から、基準軸51に対する光学軸cの偏心Dおよび傾斜角Tのうちの少なくとも1つを判定することができる。
【0116】
概して、光学要素10の幾何形状が少なくとも最小精度で知られており、光学要素10の測定面11上の測定点によって明瞭であるとき、基準軸51に対する測定面11の傾斜ならびに測定面の偏心を数値分析によって取得することができる。これは、たとえば測定面11上の専用の測定点の実際に測定された位置を光学要素10の周知および所定の基準点に適合させることによって取得することができる。
【0117】
より包括的かつ概略的な事例における偏心および/または傾斜の判定が、
図5および
図6に示されている。
【0118】
図5の側面図および
図6の上面図に、3つの専用かつ所定の測定点21、22、23が示されている。測定点21、22、23はすべて、光学要素10の中心軸または光学軸cから特定の径方向オフセットを有する。光学要素10は、第1の表面20と、反対側に配置された第2の表面30とを含む。示されている実施形態では、光学要素10は、上面20および下面30を有する光学レンズを含むことができる。光学要素10は、電磁放射を通す光学媒体63から作られる。
【0119】
現在測定面11であると見なされている第1の表面20上に、3つの専用の測定点21、22、23が設けられる。これらの点21、22、23は固定される。これらの点21、22、23は、測定面11上に事実上画成することができる。これらの点21、22、23は、光学要素10の数学モデルで画成することができる。これらの点21、22、23は、全体的な幾何形状を考慮して、たとえばそれぞれ第1の表面20および/または第2の表面30のうちの一方の円周方向の境界を考慮して、識別または画成することができる。
【0120】
第1の表面20、したがって測定面11が球面であるとき、測定面11上に少なくとも3つの測定点21、22、23を画成すれば概して十分である。次いで測定ヘッド60を使用して、第1の測定点21の第1の位置、第2の測定点22の第2の位置、および第3の測定点23の第3の位置を測定する。
【0121】
それぞれの位置測定は、測定ヘッド60からの測定ビーム61をたとえば第1の測定点21へ誘導することによって取得される。測定ビーム61のうち第1の測定点21で反射されるビーム部分62が、測定ヘッド60によって捕捉され、検出される。第1の位置の測定は、測定ヘッド60と第1の測定点21との間の距離を測定することを含むことができる。
【0122】
測定デバイス1が干渉測定デバイスとして実装されるとき、測定ヘッド60は、基準ビームと比較した反射測定ビーム部分の経路差を判定するように構成することができる。反射測定ビーム部分と基準ビームとの間の位相シフトは、測定ヘッド60と第1の測定点21との間の距離を示すことができる。たとえば測定デバイス1の全体座標系における測定ヘッド60の位置および/または向きは、精密に知られている。
【0123】
したがって、測定ヘッド60と第1の測定点21との間の距離を測定することで、測定デバイス1の全体座標系における第1の測定点21の位置を判定することが可能になる。
【0124】
同様に、第2の測定点22の第2の位置および第3の測定点23の第3の位置も取得可能である。このため、測定ヘッド60は、
図5に示すように、位置60’の方へそれぞれの動きを受ける。加えて、光学要素10は、基準軸51に対する回転を受けることができる。
【0125】
少なくとも第1、第2、および第3の測定点21、22、23の少なくとも第1の位置、第2の位置、および第3の位置を測定した後、典型的には数値適合動作によって、光学要素の基準面に対するそれぞれの測定面11の向きおよび位置を計算および判定することができる。数値適合動作は、コンピュータプログラムによって実装される。ここでは、プログラムは、光学要素10の構造的詳細および/または幾何学的データを備える。光学要素10の幾何学的データは、基準軸51と完全に位置合わせされた基準光学要素として、コンピュータプログラム内に記憶することができる。次に、測定ヘッド60、60’によって実際に測定された少なくとも第1、第2、および第3の位置を、基準光学要素または基準測定面の数値モデルに適合させることによって、それぞれの基準面または基準軸と比較した測定面11の偏心および/または傾斜角を数値的に判定することができる。
【0126】
図22に、基準面11’に対する数値適合に基づく測定面11の偏心Dおよび傾斜Tの判定が視覚化されている。ここでは、測定面11上の第1、第2、および第3の測定点21、22、23に対する光学要素10の軸方向位置が概略的に示されている。少なくとも3つの測定点21、22、23の位置測定に基づいて、光学要素10の全体的な形状および幾何形状は少なくとも最小精度に知られているため、数値適合手順によって測定面11の向きおよび位置を特徴付けおよび判定することができる。
【0127】
基準光学要素10’の基準面11’が破線でさらに示されている。基準光学要素10’は、後続の高精度表面測定手順のために、完全に位置合わせされた場合の光学要素10の位置および向きを表す。少なくとも第1、第2、および第3の測定点21、22、23の第1、第2、および第3の位置は、偏心Dおよび傾斜角Tを変数として有する数学モデルで数値的に適合される。少なくとも第1、第2、および第3の測定点21、22、23の測定位置は、基準面11’からのずれを最小にするように数値的に適合される。これにより、それぞれの傾斜角Tおよびそれぞれの径方向偏心Dの数値的判定が得られる。
【0128】
このようにして、光学要素10の測定面11上の専用かつ所定の第1、第2、および第3の測定点21、22、23の少なくとも第1、第2、および第3の位置を精査することによって、基準軸51と比較した測定面11の偏心Dおよび/または傾斜を判定すること
ができる。球形の測定面11にとって、3つの分離された測定点21、22、23のみを使用することで十分である。測定面11が非球形を含む場合、測定面上に少なくとも5つの専用かつ所定の測定点が必要とされる。測定面の自由形状の表面の場合、少なくとも6つの専用かつ/または所定の測定点21、22、23が必要とされる。
【0129】
この例では、測定面11上に第1の測定経路25および第2の測定経路29を提供することができる。ここに示されている例では、測定経路25、29はどちらも閉じた測定経路である。第1の測定経路25は、測定面11上に円または楕円を含むことができる。第2の測定経路29もまた、円または楕円を含むことができる。さらに示すように、第1および第2の測定点21、22は、第1の測定経路25上に配置される。第3の測定点23のみが、第2の測定経路29上に配置される。
【0130】
測定面11上に少なくとも第1および第2の測定経路25、29を選択または画成し、少なくとも2つの測定経路25、29上で多数の測定点を使用することによって、比較的多数の測定点の位置を判定することができる。測定ヘッド60は、第1の測定経路25および/または第2の測定経路29に沿って走査することができ、したがって測定面11上でそれぞれの数の測定点の位置を判定することができる。概して、取得される測定点の位置が多ければ多いほど、基準軸51と比較した測定面の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つを判定するための適合手順をより精密に行うことができる。
【0131】
図7および
図8の例では、光学要素10の底面図に示すように、光学要素10の第2の表面30が測定面11として画成され、また測定面11には、第1の測定点31、第2の測定点32、および第3の測定点33が提供される。ここでも、第1および第2の測定点31、32は第1の測定経路35上に配置される。第3の測定点33は第2の測定経路39上に配置される。
【0132】
ここに示す例では、第1および第2の測定経路25、35、29、39は同心円状である。しかし、第1および第2の測定経路25、35、29、39はまた、非同心円状とすることができ、または互いに対して斜めにすることができる。測定経路25、29、35、39が互いに交差することも考えられる。
【0133】
第1、第2、および第3の測定点31、32、33の位置を測定するために、測定ヘッド60は依然として光学要素の第1の表面20の側に配置される。
図7に示すように、第1、第2、および第3の測定点31、32、33の位置測定は、光学要素10の媒体63を通って行われる。第1の測定点31の第1の位置、第2の測定点32の第2の位置、および第3の測定点33の第3の位置を精密に測定するために、反対側に、したがって光学要素10の第1の表面20上に、それぞれ第1、第2、および第3の標的点26、27、28が画成される。第1の標的点26は第1の測定点31に直接相関する。第2の標的点27は第2の測定点32に直接相関し、第3の標的点28は第3の測定点33に直接相関する。
【0134】
多数の測定点31、32、33の位置を測定し、したがって測定ヘッド60、60’と測定点31、32、33との間の距離を測定することは、媒体63を通って測定ビーム61を伝播させることを含むため、それぞれの標的点26、27、28は、第1の標的点26へ誘導された測定ビーム61が第1の標的点で屈折し、測定ビームの屈折部分61’が第2の表面30で第1の測定点31において再帰反射されるように計算および/または判定される。次いで、媒体63を通って伝播する再帰反射測定ビーム部分62’は、第1の表面20で再び屈折を受け、反射測定ビーム部分62として、測定ビーム61とは反対の方向で測定ヘッド60に再び入る。
【0135】
標的点26、27、28の選択および判定は、媒体63の屈折率、それぞれの標的点26、27、28における測定ビーム61の入射角に基づいて行われる。さらに、また標的点の選択および判定では、測定点31、32、33および/または標的点26、27、28の領域の勾配または表面プロファイル、ならびに光学要素10の厚さまたはプロファイルを考慮することができる。
【0136】
いくつかの例では、また第1の表面、たとえば測定ヘッド60の方を向いている表面上の標的点26、27、28の判定または計算では、測定ヘッド60、60’の位置または向きのうちの少なくとも1つを考慮することができる。
【0137】
さらに、測定ヘッド60、60’と、光学要素10のうち測定ヘッド60、60’から離れる方を向いている表面30上の測定点31、32、33との間の光路長を判定するために、光路の幾何形状ならびにビームが媒体63を通って伝播する屈折率および経路長が考慮される。
【0138】
媒体63の屈折率ならびに光学要素10の幾何形状およびプロファイルが最小精度に知られているため、少なくとも基準軸51に対するそれぞれの測定面11の偏心Dおよび/または傾斜の十分に精密な判定のために、測定点31、32、33の位置を判定することができる。
【0139】
光学要素10の第1の表面に一致する測定面11上の多数の測定点21、22、23を測定することで、基準軸に対する第1の表面20の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つを判定することが可能になる。この判定または測定が、第1の測定手順を構成することができる。光学要素10の第2の表面30の第1、第2、および第3の測定点31、32、33を測定することが、第2の測定手順を構成する。
図5に示す第1の測定手順から
図7に示す第2の測定手順に切り換えるとき、マウント40および/または測定台50上の光学要素10の位置は修正されないままとすることができる。
【0140】
その限りにおいて、一方が光学要素の第1の表面20を測定面11として使用し、他方が光学要素10の第2の表面30を測定面11として使用する、順次行われる測定手順はどちらも、互いに直接、したがって固有に相関する。第1の測定手順によって取得される第1の表面20の偏心および傾斜は、第2の測定手順によって取得される第2の表面30の偏心および傾斜に直接相関およびマッピングすることができる。光学要素10の反対側に配置された表面20、30の偏心および傾斜を判定するために、マウント40および/または光学要素10をひっくり返したりねじったりする必要はなくなる。
【0141】
したがって、連続する測定手順間で光学要素10またはマウント40の向きを変えたりひっくり返したりする必要なく、光学要素10の反対側に配置された表面20、30の幾何学的データおよび特性の直接マッピングおよび割当てを取得することができる。
【0142】
図9~
図12のシーケンスに、光学要素10の厚さの測定が概略的に示されている。このため、測定ビーム61を放出する測定ヘッド60は、光学要素10の光学軸cに沿って位置合わせされる。この位置合わせは、基準軸51に対する光学要素10の偏心Dおよび傾斜Tを判定した後に行うことができる。測定ビーム61は、光学軸cに沿って集束させられる。
【0143】
次に、集束させた測定ビーム61が光学軸に沿うように、測定ヘッド60を動かすことができる。
図10に示すように、集束させた測定ビーム61の焦点区域68が光学要素10の第1の表面20に一致するとき、測定ヘッド60によって検出および/または捕捉される反射ビーム部分の強度または信号強度が、
図10に示すように最大M1になる。この
最大M1は、測定ヘッド60が第1の測定位置z1にあるときに取得される。
【0144】
測定ヘッド60’が光学軸に沿って、たとえば
図11に示す位置から
図12に示す位置の方へ動かされると、測定ビーム61’の焦点の焦点区域68が光学要素の第2の表面30に近づく。焦点区域68’または焦点が第2の表面30に一致するとき、すなわち焦点区域68が光学軸cおよび第2の表面30の交点と交差するとき、捕捉および反射された測定ビームの第2の最大M2が生じる。この最大M2は、測定ヘッド60’が第2の軸方向位置z2にあるときに取得される。
【0145】
位置z1およびz2間の差または距離は、光学軸cに沿って光学要素10の厚さを直接示す。厚さを精密に判定するために、媒体63の屈折率も考慮される。
【0146】
図23に、光学軸またはc軸から軸外にあるが光学軸に平行な光学要素10の厚さを測定する別の例が示されている。ここで測定ビーム61は、光学要素10の縁部72へ誘導される。ここで縁部72は、光学要素、たとえば光学レンズの径方向外縁部である。縁部72内の第1の表面20および第2の表面30は、互いに実質的に平行に延びる。ここで測定ビーム61は、光学軸cに平行に縁部72内の第1の表面20上の第1の測定点74へ誘導される。測定ビーム61の少なくとも一部分61’は、媒体63を通って伝送され、縁部72内の第2の表面30上で反対側に配置された第2の測定点75で再帰反射される。そこから反射測定ビーム部分62’および62は測定ヘッド60の方へ戻って測定ヘッド60に入る。
【0147】
図9~
図12に関連して上述したように、測定ヘッド60の位置は、それぞれ第1の測定点74および/または第2の測定点75で反射された光強度の局所的な最大を検出するために、測定ビームの伝播方向に沿って、典型的には光学軸cに沿って、または光学軸に平行に、変更されまたは動かされる。
【0148】
このようにして、光学要素の厚さを判定または測定する方法は、光学軸cに沿った測定に限定されるものではない。上述した測定は、光学要素の任意の領域に適用することができ、第1の表面上の第1の点の表面法線は、反対側に配置された第2の表面上の第2の点の表面法線に実質的に平行に延びる。典型的には、この要件は通常、光学レンズによってc軸の領域内で実現される。
【0149】
基準軸51、たとえば測定台50の回転軸53に対する測定面11の偏心Dおよび/または傾斜Tを判定した後、
図13に示す多数の位置60、60’、および60”によって示すように、測定面11にわたって測定ヘッド60を走査することによって、測定面11、たとえば第1の表面20を精密に測定することができる。表面のこの測定は、全体を参照によって本明細書に組み入れる米国特許出願第2017/0082521(A1)号またはDE102011011065A1に記載されている測定手順に密接に整合する。
【0150】
図14に示す例は、第2の表面30が測定ヘッド60の方へ上向きになるように光学要素10がひっくり返されていることを除いて、
図5に示す例にある程度同等である。ここでは、測定面11は第2の表面30に一致し、第2の表面30上に配置されている第1、第2、および第3の測定点31、32、33は、
図5を参照して上述した方法と同様に測定および精査される。
【0151】
ここでもまた、第2の表面30の測定面11の傾斜Tおよび偏心Dのうちの少なくとも1つを判定した後、
図13に関連して上述したように、第2の光学表面30の高精度の表面走査またはプロファイル走査を行うことができる。
【0152】
図16に示すように、第2の表面30上に標的点36、37、38を画成することも可能であり、想定される。このようにして、第1の表面20上に提供された、ここでは測定ヘッド60から離れる方を向いている測定点21、22、23を測定することができる。したがって、上向きの第2の表面30上に対応する第1、第2、および第3の標的点36、37、38を画成することによって、光学要素の媒体63を通って、第1の表面20の第1、第2、および第3の測定点21、22、23の位置を測定することができる。このようにして、測定精度を向上させることができる。
【0153】
図5に示す測定手順によって、第1の表面20の偏心および傾斜のうちの少なくとも1つを直接判定することができる。
図16の構成で、反対側に配置された第2の表面30上の標的点36、37、38の画成によって、媒体63を通って、第1の表面20の偏心および/または傾斜を測定することができる。
図5の測定手順によって取得される第1の表面20の偏心および/または傾斜の判定は、
図16に示す光学要素10の構成で測定手順によって取得される偏心および/または傾斜の測定と比較および相関することができる。このようにして、第1の表面20および第2の表面30の両方の偏心および傾斜を2重の2つの異なる方法で測定することができ、したがって光学要素10のそれぞれの表面20、30の偏心および/または傾斜の判定の精度を向上させることができる。
【0154】
図17に、測定デバイス1の一例がブロック図で示されている。測定デバイス1は、光源2、光カプラ3、検出器4、および測定ヘッド60を含む。測定ヘッド60は、光ファイバ7を通って光源2に光学的に連結される。光源2によって生成される測定ビーム61は、光カプラ3および光ファイバ7を介して測定ヘッド60へ誘導することができる。測定デバイス1が干渉測定デバイスとして実装されるとき、測定ビーム61は、光学要素10へ誘導される信号ビームと基準ビームとに分割される。いくつかの例が、たとえばDE102011011065B4または米国特許出願第2017/0082521(A1)号のうちの少なくとも1つにより詳細に記載されている。
【0155】
基準ビームは、測定ヘッド60内に配置されたファイバ退出面で生成することができる。光学要素10の表面20、30から反射される測定ビーム部分62は、測定ヘッド60によって捕捉され、光ファイバ7内で光カプラ3の方へ基準ビームとともに伝播する。典型的な例では、光カプラ3は光サーキュレータを含む。
【0156】
測定ヘッド60から光カプラ3の方へ伝播する光は、検出器4の方へ向きを変える。検出器4は、基準ビームと光学要素10の表面20、30のうちの一方で反射された捕捉測定ビーム部分62との干渉によって生成される干渉パターンを検出するために、電荷結合デバイス(CCD)のアレイまたはマトリックスなどの多数の感光要素を含む。検出器4は、反射信号ビームと基準ビームとの間の相対位相を分解および/または判定するために、信号分析器5に接続される。
【0157】
典型的には、信号分析器5は、測定ヘッド60によって取得および/または捕捉される反射信号ビームと基準ビームとの間の相対位相、したがって光路差を計算または判定するために、プロセッサ8を含む。光路差に基づいて、光学要素10の表面20、30上の選択された点までの距離を判定することができる。測定デバイス1の全体座標系に対する測定ヘッドの厳密な位置をさらに知ることによって、光学要素10の表面20、30上のそれぞれの測定点の位置を取得することができる。
【0158】
前述のように、たとえばレンズの形態の光学要素10が、マウント40上に取り付けられる。マウント40は、回転測定台50上に回転可能に支持される。測定台50は、基準軸51を画成する。基準軸51は、測定台50によって画成される回転軸53に一致することができる。
【0159】
測定デバイス1は、測定ヘッドコントローラ66をさらに含む。測定ヘッドコントローラ66は、少なくともプロセッサ9を含む。測定ヘッドコントローラは、典型的には、測定ヘッド60の位置ならびに向きを制御および管理する。信号分析器5および検出器4は、測定デバイス1のコントローラ6の一体部材として実装することができる。このようにして、測定ヘッドコントローラ66もまた、コントローラ6の部材、たとえば一体部材として実装することができる。ここに示すプロセッサ8、9はまた、コントローラ6の単一の処理ユニットに一体化することができる。
【0160】
測定ヘッドコントローラ66はまた、別個のコントローラとして実装することができる。コントローラ6は、測定ヘッドコントローラ66を制御しまたは測定ヘッドコントローラ66と通信するように構成される。このようにして、コントローラ6は、光学要素10の表面20、30上で走査予定の測定点を判定し、それぞれの測定点から捕捉される測定ビーム部分62を表面20、30上のそれぞれの測定点へ割り当てるように構成される。
【0161】
いくつかの例では、マウント40は、コントローラ6によって制御可能とすることができる。したがって、コントローラ6は、マウント40、したがって光学要素10を基準軸51に対して配向しまたは動かすように構成することができる。このようにして、コントローラ6は、基準軸51に対する光学要素10の偏心および/または傾斜を自動で調整するように構成することができる。この例は、円筒座標に基づいて説明している。マウント40は回転軸53に対して、したがって基準軸51に対して回転可能であるため、マウント40は、静止測定台50に対して径方向に変位可能である。マウント40はまた、少なくとも第1の傾斜軸aおよび第2の傾斜軸bに対して傾斜可能とすることができる。傾斜軸a、bは、基準軸51または回転軸53に直交する平面内に延びることができる。傾斜軸a、bは、マウント40に対して静止したものとすることができる。いくつかの例では、傾斜軸a、bは再構成可能とすることができる。したがって、位置および/または向きが変動することができる。
【0162】
図18~
図20の例で、マウント40は、測定台50に固定可能なベース41を含む。ベース41の上面に、中間部材42が配置されて位置付けられる。中間部材42の上面43に、上部部材44が設けられる。中間部材42は、ベース41の上面にやや緩く嵌められる。中間部材42は、ベース41の上面に摩擦係合することができる。中間部材42の下面または底面は、平面形状とすることができ、ベース41の相補形の平面形状の上面と表面接触することができる。
【0163】
このようにして、基準軸51または回転軸53が中間部材42およびベース41の平面形状の表面に実質的に直交して延びるため、中間部材42は、径方向rに沿ってベース41に対して変位可能である。中間部材42は、アクチュエータ47を通って径方向に変位可能である。アクチュエータ47は、中間部材42に径方向の力を印加するように構成された一種の機械パルス生成器またはパルシングデバイスを含むことができる。このようにして、中間部材42は、ベース41に対して径方向のシフトを受けるようになることができる。
【0164】
中間部材42の上面43はドーム形状である。上部部材44の下面45は、相補形のドーム形状である。したがって、上面43は凹面形状を含むことができ、上部部材44の下面45は、対応するまたは相補形の凸面形状を含むことができる。中間部材42および上部部材44の凸面および凹面形状の上面および下面の役割を入れ替えることもできる。典型的には、ドーム状の表面43、45は、回転軸51に対して両横断方向に凸面および凹面形状を含む。
【0165】
上部部材44に選択的に係合するように構成された別のアクチュエータ48がさらに設けられる。また、アクチュエータ48は、上部部材44の外縁または側面に運動力を繰り返し印加するように構成されたパルス生成器またはパルシングデバイスを含むことができる。このようにして、相互に対応するドーム形状の表面45、43により、ドーム形状の表面45が対応するドーム状の表面43を摺動するとき、上部部材44を中間部材42に対して傾斜させることができる。ドーム形状の表面43、45は摩擦係合しており、重力の影響を受けて、回転軸51に対して回転を受けたときでも、相互の向きを維持する。
【0166】
測定面11の偏心Dおよび/または傾斜Tが判定された後、コントローラ6は、基準軸51に対するマウント40の位置合わせまたは位置付けを調整するように構成することができる。それに応じて、コントローラ6は、
図13または
図15に示す後続の高精度表面走査プロセスのために光学要素10を位置合わせして位置付けるように、アクチュエータ47、48を制御および起動することができる。アクチュエータ47、48の動作中、測定ヘッド60によって光学要素10の位置および/または向きを監視することができる。このようにして、マウント40の動きまたは位置合わせ中に測定ヘッド60によって提供される距離または位置測定は、フィードバックループを構成する。これは、高精度の表面走査手順のためのマウントの高精度の自動化された調整または較正にとって特に有益である。
【0167】
図20に、マウント40の実際的な実装が示されている。ここに示すように、上部部材44には、その外側縁および/または上側縁に沿って、面取り49が設けられる。アクチュエータ48は、上部部材44に運動量を印加するように構成され、面取り49に実質的に直交して衝突しまたは当たるように、面取り49に対して位置合わせされる。さらなるアクチュエータ47が、水平に位置合わせされ、したがって径方向向きの運動量を中間部材42に印加するように構成される。
【0168】
図19には、測定デバイス1の一例が示されている。測定デバイス1は、たとえばDE102011011065B4または米国特許出願第2017/0082521(A1)号により詳細に説明および記載されているデバイスに密接に相関する。測定デバイス1は、静止ベース81を含む。ベース81の反対側の側面には、上向きの脚部83が延びる。脚部83の上端は、横断物84によって連結される。横断物84および脚部83は、ベース81に取り付けられた枠82を構成する。回転測定台50は、ベース81の底部に配置される。ベース81は、上方を指すまたは上方へ延びる裏面85をさらに含むことができる。この裏面85に、ホルダ90および距離測定デバイス92が設けられる。ホルダ90は、少なくとも2つの長手方向に対して、たとえば水平方向(x)および垂直方向(z)に沿って可動である。ホルダ90はまた、回転台50に対して第2の水平方向のy方向に沿って可動とすることができる。xおよびy方向は、回転軸53または基準軸51に直交する径方向平面を構成することができる。
【0169】
ホルダ90には、支承部91がさらに設けられる。支承部91は、ホルダ90に回転可能に取り付けられる。典型的には、支承部91は、y方向に沿って延びる回転軸を含みまたは画成することができる。ホルダ90上には、基準体95がさらに設けられる。基準体95は、距離測定デバイス92の方を向いている基準面96を含む。距離測定デバイス92は、少なくとも1つの距離センサ93を含む。距離センサ93は、マウント40、したがってマウント40上に配置された光学要素10の方を向いている。光学要素10は、支持体46上に位置することができる。支持体46は、マウント40の上部部材44上に位置することができる。いくつかの例では、支持体46は、光学要素10を固定および/または確実に保持することを可能にする水圧拡張チャックを含む。
【0170】
第1の基準面86の方を向いている少なくとも第1の基準センサ88によって、測定デ
バイス1の全体座標系における距離測定デバイス92の位置を精密に判定することができる。基準面86は垂直に、したがってz方向に沿って延び、上向きの脚部83のうちの一方に取り付けられる。第2の基準センサ89が、横断物84に設けられた別の基準面87の方を向くことができる。基準面87は水平に、たとえばx方向に沿って延びる。
【0171】
基準センサ88、89は、ホルダ90上に位置して固定される。基準センサ88、89は、xz平面内のホルダ90の位置を判定するように構成される。どちらの基準センサ88、89も、距離センサとして実装することができる。基準センサ88、89は、それぞれの較正された基準面86、87までの距離をそれぞれ判定するように構成される。
【0172】
距離測定デバイス92は、ホルダ90上に回転可能に取り付けられており、実質的にy方向に沿って延びる回転軸に対して旋回可能である。距離測定デバイス92は、マウント40、したがって光学要素10の方を向いている第1の距離センサ93を含む。距離測定デバイス92は、ホルダ90に固定された基準体95の基準面96の方を向いている第2の距離センサ94をさらに含む。
【0173】
ここに示す例では、第1の距離センサ93および第2の距離センサ94は、反対の方向、たとえば直径に沿って反対の方向に延びる。第2の距離センサ94は、基準面96から距離測定デバイス92までの距離を判定するように構成される。このようにして、ホルダ90に対する距離測定デバイス92の回転によって生じ得る距離測定デバイス92のあらゆる位置変化を精密に補償および追跡することができる。
【0174】
測定デバイス1の動作および光学要素10の表面20、30またはプロファイルを測定する方法の多数の工程について、
図21の流れ図にさらに説明する。第1の工程100で、光学要素10の測定面11上に、多数、たとえば少なくとも3つの測定点21、22、23が画成される。測定面11のタイプに応じて、所定の測定点の総数は変動することができる。典型的な例では、比較的多数の測定点21、22、23が画成され、たとえば
図5および
図6に示すように、少なくとも2つの測定経路25、29上に配置される。
【0175】
その後、工程102で、測定ヘッド60が光学要素10に対して動かされて、測定経路25、29に沿って走査する。少なくとも、測定デバイス1は、多数の測定点21、22、23の第1、第2、および第3の位置が取得されるように動作する。工程102で取得した位置測定に基づいて、後続の工程104で、基準軸51に対する測定面11の偏心Dおよび傾斜Tのうちの少なくとも1つが判定される。
【0176】
判定された傾斜Tおよび/または偏心Dに基づいて、工程106で光学要素10が調整される。
【0177】
精密な調整、したがって傾斜Tおよび/または偏心Dの除去または実質的な低減は、工程108で行われる測定面11の後続の高精度トポロジ測定にとって特に有益である。光学要素10のトポロジ測定または表面測定は、典型的には、たとえば
図13または
図15に概略的に示すように、回転測定台50によって光学要素10を回転させ、測定面20、30のうちの少なくとも1つの少なくとも一部分または全体にわたって走査することによって行われる。測定面の高精度トポロジ測定中、または測定面の高精度トポロジ測定のために、測定ヘッド60およびそれぞれの測定ビーム61は、測定ヘッド60の方を向いている表面20、30に特に集束させられる。
【0178】
たとえば
図13に示すように、トポロジ測定が行われた後、
図9に示すように、測定ヘッド60を光学要素10の光学軸cに沿って位置合わせすることができる。その後、
図9~
図12によって示すように、工程110で、光学軸cに沿って測定ヘッド60を動かし
て厚さ測定を行うことができる。
【0179】
厚さ測定を行うために、測定ヘッドの測定範囲は、光学要素10の厚さより小さくするべきである。干渉測定デバイスによって、測定ビームのコヒーレンス長は、光学軸cに沿った第1の表面20と第2の表面30との間の距離より短くまたは小さくするべきである。これは、適当な光源2を使用することによって、ならびに干渉測定デバイス1の信号ビームの光路および/または基準ビームの光路内の光学遅延要素を使用することによって取得することができる。
【符号の説明】
【0180】
1 測定デバイス
2 光源
3 光カプラ
4 検出器
5 信号分析器
6 コントローラ
7 光ファイバ
8 プロセッサ
9 プロセッサ
10 光学要素
11 測定面
20 表面
21 測定点
22 測定点
23 測定点
25 測定経路
26 標的点
27 標的点
28 標的点
29 測定経路
30 表面
31 測定点
32 測定点
33 測定点
35 測定経路
36 標的点
37 標的点
38 標的点
39 測定経路
40 マウント
41 ベース
42 中間部材
43 ドーム状の表面
44 上部部材
45 ドーム状の表面
46 支持体
47 アクチュエータ
48 アクチュエータ
49 面取り
50 測定台
51 基準軸
53 回転軸
60 測定ヘッド
61 測定ビーム
62 測定ビーム部分
63 媒体
66 測定ヘッドコントローラ
68 焦点区域
70 グラフ
72 縁部
74 測定点
75 測定点
81 ベース
82 枠
83 脚部
84 横断物
85 裏面
86 基準面
87 基準面
88 基準センサ
89 基準センサ
90 ホルダ
91 支承部
92 距離測定デバイス
93 距離センサ
94 距離センサ
95 基準体
96 基準面
【手続補正書】
【提出日】2024-07-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0143
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0143】
次に、集束させた測定ビーム61が光学軸に沿うように、測定ヘッド60を動かすことができる。
図11に示すように、集束させた測定ビーム61の焦点区域68が光学要素10の第1の表面20に一致するとき、測定ヘッド60によって検出および/または捕捉される反射ビーム部分の強度または信号強度が、
図10に示すように最大M1になる。この最大M1は、測定ヘッド60が第1の測定位置z1にあるときに取得される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学要素(10)の表面(20、30)またはプロファイル(P)を測定する方法であって、光学要素(10)は、第1の表面(20)および該第1の表面(20)とは反対側の第2の表面(30)を含み、該方法は:
光学要素(10)の測定面(11)上で少なくとも第1の測定点(21、31)、第2の測定点(22、32)、および第3の測定点(23、33)を画成する工程であって、測定面(20、30)は、第1の表面(20)および第2の表面(30)のうちの一方である、工程と、
測定ヘッド(60)からの測定ビーム(61)を第1の測定点(21、31)へ誘導し、第1の測定点(21、31)で反射された測定ビーム部分(62)を検出することによって、第1の測定点(21、31)の第1の位置を測定する工程と、
その後、それぞれ測定ビーム(61)を第2の測定点(22、32)および第3の測定点(23、33)へ誘導し、第2の測定点(22、32)および第3の測定点(23、33)で反射された測定ビーム部分(62)を検出することによって、少なくとも第2の測定点(22、32)の第2の位置および第3の測定点(23、33)の第3の位置を測定する工程と、
少なくとも第1の位置、第2の位置、および第3の位置に基づいて、測定デバイスの測定台によって画成される基準軸(51)に対する測定面(11)の偏心(D)および傾斜(T)のうちの少なくとも1つを判定する工程
とを含む、前記方法。
【請求項2】
第1の位置、第2の位置、および第3の位置のうちの少なくとも1つを測定する工程は、第1の測定点(21、31)、第2の測定点(22、32)、および第3の測定点(23、33)のうちの少なくとも1つに測定ビーム(61)を集束させ、それぞれ第1の測定点(21、31)、第2の測定点(22、32)、および第3の測定点(23、33)のうちの少なくとも1つで再帰反射されたそれぞれの測定ビーム部分(62)を検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
光学要素(10)の第1の表面(20)および第2の表面(30)のうちの一方は、測定ヘッド(60)の方を向いており、測定ヘッド(60)から離れる方を向いている第1の表面(20)および第2の表面(30)のうちの他方は、測定面(11)であり、第1の位置、第2の位置、および第3の位置は、第1の標的点(26、36)、第2の標的点(27、37)、および第3の標的点(28、38)に測定ビーム(61)を誘導することによって測定され、第1、第2、および第3の標的点(26、27、28、36、37、38)は、第1の表面(20)および第2の表面(30)のうち測定ヘッド(60)の方を向いている表面上に配置され、測定ビーム(61)は、光学要素(10)の媒体(63)を通って伝播する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第1の表面(20)および第2の表面(30)のうち測定ヘッド(60)の方を向いている表面上の第1、第2、および第3の標的点(26、27、28、36、37、38)の位置は:
光学要素(10)の媒体(63)の屈折率、
第1、第2、または第3の標的点(26、27、28、36、37、38)に対する測定ビーム(61)の入射角、ならびに
第1、第2、または第3の測定点(21、22、23、31、32、33)および/または標的点(26、27、28、36、37、38)の領域における第1の表面(20)および第2の表面(30)のうちの少なくとも一方の局所的な表面プロファイルに基づいて判定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
測定面(11)上に第1の測定経路(25、35)および第2の測定経路(29、39)が画成され、第1、第2、および第3の測定点のうちの少なくとも2つ(21、22、31、32)は、第1の測定経路(25、35)上に配置され、第1、第2、および第3の測定点のうちの少なくとも1つ(23、33)は、第2の測定経路(29、39)上に配置される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
第1の測定経路(25、35)および第2の測定経路(29、39)のうちの少なくとも一方は、閉じた測定経路である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第1の測定経路(25、35)および第2の測定経路(29、39)は、光学要素(10)の光学軸(c)または基準軸(51)に対して同心円状である、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
光学要素(10)は、測定台(50)上に配置されたマウント(40)に取り付けられ、測定台(50)は、回転軸(53)の周りを回転可能であり、回転軸(53)に対するマウント(40)の径方向位置(r)および向き(a、b)のうちの少なくとも1つは、光学要素(10)の偏心(D)および傾斜(T)のうちの少なくとも1つを最小にするように調整される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
第1の測定手順で、第1の表面(20)および第2の表面(30)のうちの一方の偏心
(D)および傾斜(T)のうちの少なくとも1つが判定され、第2の測定手順で、第1の表面(20)および第2の表面(30)のうちの他方の偏心(D)および傾斜(T)のうちの少なくとも1つが判定される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
光学要素(10)の表面(20、30)またはプロファイルを測定するための干渉測定デバイス(1)であって:
測定ビーム(61)を放出するように構成された光源(2)と、
光学要素(10)を固定するためのマウント(40)と、
光源(2)に接続された測定ヘッド(60)であって、光学要素(10)の測定面(11)へ測定ビーム(61)を誘導するように構成され、測定面(11)から反射された測定ビーム部分(62)を受けるようにさらに構成され、
測定面(11)の少なくとも所定の第1の測定点(21、31)、所定の第2の測定点(22、32)、および所定の第3の測定点(23、33)へ測定ビーム(61)を誘導するようにマウント(40)に対して可動である測定ヘッドと、
該測定ヘッド(60)に接続された検出器(4)であって、少なくとも第1の測定点(21、31)、第2の測定点(22、32)、および第3の測定点(23、33)で反射された測定ビーム部分(62)を検出するように構成された検出器と、
該検出器(4)に接続された信号分析器(5)であって、第1の測定点(21、31)の第1の位置、第2の測定点(22、32)の第2の位置、および少なくとも第3の測定点(23、33)の第3の位置を判定するように構成され、少なくとも第1の位置、第2の位置、および第3の位置に基づいて、測定デバイスの測定台によって画成される基準軸(51)に対する測定面(11)の偏心(D)および傾斜(T)のうちの少なくとも1つを判定するように、さらに構成された信号分析器
とを含む、前記測定デバイス。
【請求項11】
マウント(40)は、基準軸(51)を画成する回転測定台(50)である測定台上に配置されており、基準軸(51)に対するマウント(40)の径方向位置(r)およびマウント(40)の向き(a、b)のうちの少なくとも1つが調整可能である、請求項10に記載の測定デバイス。
【請求項12】
測定面(11)の偏心(D)および傾斜(T)のうちの少なくとも1つに基づいて、基準軸(51)に対するマウント(40)の径方向位置(r)およびマウント(40)の向き(a、b)のうちの少なくとも1つを調整するように動作可能なコントローラ(6)をさらに含む、請求項11に記載の測定デバイス。
【請求項13】
マウント(40)に対して測定ヘッド(60)を動かしかつ/または位置合わせするように動作可能な測定ヘッドコントローラ(66)をさらに含み、測定ヘッド(60)から離れる方を向いている測定面(11)の少なくとも第1の測定点(21、31)、第2の測定点(22、32)、および第3の測定点(23、33)の位置を測定するために、測定ヘッドコントローラ(66)は、光学要素(10)の第1の表面(20)および第2の表面(30)のうち測定面(11)とは反対側で測定ヘッド(60)の方を向いている表面の少なくとも第1の標的点(26、36)、第2の標的点(27、37)、および第3の標的点(28、38)を判定するように構成され、第1、第2、および第3の標的点(26、27、28、36、37、38)の各々は、第1、第2、および第3の測定点(21、22、23、31、32、33)のうちの1つに相関し、したがって第1の標的点(26、36)、第2の標的点(27、37)、および第3の標的点(28、38)で光学要素(10)の媒体(63)に入る測定ビーム(61)は、それぞれ第1の測定点(21、31)、第2の測定点(22、32)、および第3の測定点(23、33)で内部に再帰反射される、請求項10~12のいずれか1項に記載の測定デバイス。
【請求項14】
請求項10~13のいずれか1項に記載の測定デバイス(1)のプロセッサ(8、9)によって実行されると、
光学要素(10)の測定面(11)上で少なくとも第1の測定点(21、31)、第2の測定点(22、32)、および第3の測定点(23、33)を画成する工程であって、測定面(20、30)は、第1の表面(20)および第2の表面(30)のうちの一方である、工程と、
測定ヘッド(60)からの測定ビーム(61)を第1の測定点(21、31)へ誘導し、第1の測定点(21、31)で反射された測定ビーム部分(62)を検出することによって、第1の測定点(21、31)の第1の位置を測定する工程と、
その後、それぞれ測定ビーム(61)を第2の測定点(22、32)および第3の測定点(23、33)へ誘導し、第2の測定点(22、32)および第3の測定点(23、33)で反射された測定ビーム部分(62)を検出することによって、少なくとも第2の測定点(22、32)の第2の位置および第3の測定点(23、33)の第3の位置を測定する工程と、
少なくとも第1の位置、第2の位置、および第3の位置に基づいて、測定デバイスの測定台によって画成される基準軸(51)に対する測定面(11)の偏心(D)および傾斜(T)のうちの少なくとも1つを判定する工程
をプロセッサ(8、9)に実施させる命令を含むコンピュータプログラム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【外国語明細書】