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  • 特開-ラッチ錠 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001568
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】ラッチ錠
(51)【国際特許分類】
   E05C 1/12 20060101AFI20231227BHJP
   E05B 65/06 20060101ALI20231227BHJP
   E05C 1/14 20060101ALN20231227BHJP
【FI】
E05C1/12
E05B65/06 C
E05C1/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100302
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000130433
【氏名又は名称】株式会社ゴール
(74)【代理人】
【識別番号】100085316
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 三雄
(74)【代理人】
【識別番号】100171572
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100213425
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 正憲
(74)【代理人】
【識別番号】100221707
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100104259
【弁理士】
【氏名又は名称】寒川 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100224915
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 茉友
(72)【発明者】
【氏名】松下 憲司
(72)【発明者】
【氏名】田村 孝榮
(57)【要約】      (修正有)
【課題】反転ラッチは、ラッチ本体内に後退した状態から、バネの力によって突出する際にラッチケースの内面との間で衝突音を発し、不快な騒音として認識されることがある。
【解決手段】錠ケース2の前端壁3に設けられた開口4から進退可能な反転ラッチ7と、前記反転ラッチ7の後端に当接してなるバネ受け9と、前記バネ受け9に接続されて前記反転ラッチ7を前方に付勢してなるラッチバネ10と、前記ラッチバネ10の付勢力に対する抵抗力を発揮する移動体を備えるダンパー11と、前記移動体と係脱自在に接続可能であると共に、前記バネ受け9に連結されてなるスライダー16と、を備え、前記スライダー16は、前記バネ受け9が後退する際には前記ダンパー11から離脱し、また、前記ラッチバネ10が前記バネ受け9を前進させる際には前記ダンパー11と接続することにより前記抵抗力を前記バネ受け9に伝達することを特徴とするラッチ錠。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠ケースの前端壁に設けられた開口から進退可能な反転ラッチと、
前記反転ラッチの後端に当接してなるバネ受けと、
前記バネ受けに接続されて前記反転ラッチを前方に付勢してなるラッチバネと、
前記ラッチバネの付勢力に対する抵抗力を発揮する移動体を備えるダンパーと、
前記移動体と係脱自在に接続可能であると共に、前記バネ受けに連結されてなるスライダーと、を備え、
前記スライダーは、前記バネ受けが後退する際には前記ダンパーから離脱し、また、前記ラッチバネが前記バネ受けを前進させる際には前記ダンパーと接続することにより前記抵抗力を前記バネ受けに伝達する
ことを特徴とするラッチ錠。
【請求項2】
前記バネ受けは、前記反転ラッチの回動動作によって後方に押圧されて後退すると共に前記バネを押し縮める
ことを特徴とする請求項1に記載のラッチ錠。
【請求項3】
前記開口の内面が樹脂で構成されてなる
ことを特徴とする請求項1に記載のラッチ錠。
【請求項4】
前記反転ラッチが挿し入れられるラッチ受けの外縁端が樹脂で構成されてなる
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載のラッチ錠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反転ラッチを備えるラッチ錠に関する。
【背景技術】
【0002】
反転ラッチを備えるラッチ錠は、反転ラッチの施解錠状態をプッシュプルハンドルなどの操作によって切り替えることができる扉錠である。反転ラッチは、扉を開閉しようとする際には戸枠に押し当てられながらラッチ錠本体の内部に後退することで戸の開閉を可能であるとともに、施錠状態においては反転ラッチの後退機構がロックされて、不意に扉が開くことがないように閉扉することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-123488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、反転ラッチは、戸枠などに押し当てられてラッチ本体内に後退した状態から押し当て力が解放されると、前方に向かって付勢力を有するバネの力によって突出する際にラッチケースの内面との間で強く衝突することにより衝突音を発し、その音が不快な騒音として認識されることがある。
【0005】
このような、衝突音を軽減するために、例えば特許文献1などにおいて反転ラッチが進出する際の速度を低減させる機構を設けることも提案されているが、反転ラッチの特徴的機能である反転動作に対しても、従来よりも大きい抵抗を生じさせるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、上記課題を解決する手段として本発明に係るラッチ錠は、錠ケースの前端壁に設けられた開口から進退可能な反転ラッチと、前記反転ラッチの後端に当接してなるバネ受けと、前記バネ受けに接続されて前記反転ラッチを前方に付勢してなるラッチバネと、前記ラッチバネの付勢力に対する抵抗力を発揮する移動体を備えるダンパーと、前記移動体と係脱自在に接続可能であると共に、前記バネ受けに連結されてなるスライダーと、を備え、前記スライダーは、前記バネ受けが後退する際には前記ダンパーから離脱し、また、前記ラッチバネが前記バネ受けを前進させる際には前記ダンパーと接続することにより前記抵抗力を前記バネ受けに伝達することを特徴とする。
【0007】
ここで、反転ラッチと共にバネ受けが後方に移動する際には、スライダーとダンパーとの接続は切れて互いに離脱しており、ダンパーによる前記抵抗力に相当する力は反転ラッチの後方への移動には特段の影響がない。
【0008】
また、記バネ受けは、前記反転ラッチの回動動作によって後方に押圧されて後退すると共に前記バネを押し縮めるものであっても好ましい。このとき、バネ受けを後方に押圧するものは、回転動作によって斜め前方を向く面が前端面と側面とで反転する反転ラッチの後端面であることが好ましい。
【0009】
ここで、反転ラッチが回動動作してバネ受けを後方に移動させる際には、スライダーとダンパーとの接続は切れて互いに離脱しており、ダンパーによる前記抵抗力に相当する力はバネ受けの後方への移動には特段の影響がない。
【0010】
ここで、ダンパーとスライダーとの位置関係は特に制限されるものではない。例えば、ダンパーがラッチケースの後面から後方に突設して設けられ、移動体がダンパー本体から後方に向かって引き出される向きに配置されていてもよい。この場合には、スライダーはダンパーの移動体の後端を前方から抱え込み、前記移動体を後方から前方に向かってダンパー本体内へ押し込むと共に、スライダーが後方へ移動する場合にはスライダーが移動体から離脱する関係にあることが好ましい。なお、スライダーが移動体の後端を前方へ押し込むことができる関係であれば、ダンパー本体はラッチケースの後端よりも前方に配置されていてもよい。
【0011】
また、ダンパーとスライダーとの位置関係の他の例として、ダンパーがラッチケースの後方に配置され、移動体がダンパー本体から前方に向かって引き出される向きに配置されていてもよい。この場合、スライダーが前方に向かって移動する際に、移動体を後方から掛け止めてスライダーと共に前方に引き出すと共に、スライダーが後方へ移動する際には前記掛け止め関係から離脱する位置関係にあってもよい。
【0012】
さらに、前記開口の内周面が樹脂で構成されてなることが好ましい。開口の内周面は、開口から前方へ突出しようとする反転ラッチの係止部が係止されることによって、反転ラッチの過度の突出を止めることができる。この場合において、開口の内周面が樹脂で形成されてなれば、反転ラッチを係止する際の衝突音を、開口の内周面が金属である場合よりも軽減することができる。
【0013】
さらにまた、前記反転ラッチが挿し入れられるラッチ受けの外縁端が樹脂で構成されてなることとしても好ましい。戸枠の受けの外縁端が樹脂で構成されてなれば、戸が閉まる際に反転ラッチの先端面が前記外縁端に当接する際に生じる衝突音を、前記外縁端が金属である場合よりも軽減することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、錠ケースの開口から突出する際に反転ラッチの衝突から生じる騒音を低減することができる。
【0015】
さらに、本発明によれば、反転ラッチを回動運動させる際にはダンパーによる抵抗力を受けることなく回動運動させることができ、これにより、ダンパーによる負荷を受けることなく、戸の開閉操作を行うことができる。
【0016】
さらにまた、本発明によれば、反転ラッチを開口から後退させる際にもダンパーによる抵抗力を受けることなく反転ラッチを後退させることができ、これにより、ダンパーによる負荷を受けることなく、戸の開閉操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ラッチ錠1のロッキングピース26が閉じた状態を示す全体の概要図であり、(a)は縦断面図を示し、(b)は水平断面図を平面方向から見た図である。
図2】ラッチ錠1のロッキングピース26が開いた状態を示す全体の概要図であり、(a)は縦断面図を示し、(b)は水平断面図を平面方向から見た図である。
図3】バネ受け9の(a)後面、(b)平面、及び(c)側面を示す図である。
図4】反転ラッチ7の後端面8aに組み合わされたバネ受け9、及び反転ラッチ7に対してロッキングピース26が閉じている様子を示す後方から見た斜視図である。
図5】スライダー16がバネ受け9に組み合わされた様子の、(a)前面、(b)平面、及び(c)側面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施の形態を、図を参照しながら詳しく説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
本発明に係るラッチ錠1は、錠ケース2の前端壁3に設けられた開口4の内側面から錠ケース2の内部方向に延在してなるラッチケース6に沿って進退可能に設けられてなる反転ラッチ7を有する。
【0020】
反転ラッチ7の後端には、図4に示すように、当該後端面8aに当接してなるバネ受け9が配置されてなる、反転ラッチ7は、バネ受け9の後方に開口してなるバネ挿し入れ部9aとラッチケース6の後端内面との間に設けられてなるラッチバネ10によって前方に対して付勢されてなる。また、反転ラッチ7が開口4から突出した状態において、反転ラッチ7の後端面8aは前後方向に対して垂直面となるように形成されてなる。なお、このときバネ受け9の前端面も反転ラッチ7の後端面8aと面同士で当接してなることでラッチバネ10の付勢力をバネ受け9を介して反転ラッチ7に対して均一に伝達することができるため好ましい。
【0021】
錠ケース2の後端外面には、図1(a)、(b)に示すように、ダンパー11が設置されてなる。ダンパー11は、ダンパー本体であるシリンダー12とシリンダー12の後端から突出してなる移動体であるロッド13とを備えてなる。ロッド13は、前後方向にシリンダー12から出入りする棒状の移動体である。ロッド13の動作に対しては、シリンダー12の内部に充填されたオイルなどによって抵抗力を生じる。本実施例においては、ロッド13の後端部はロッド13の径方向外方に拡径された当接板13aに形成されてなり、スライダー16の押圧壁17からの押圧力を互いに当接する面全体で受けることができるように構成されてなる。
【0022】
なお、本実施の形態において、ダンパー11はシリンダー12の周囲が樹脂14で覆われて保護されてなり、樹脂14が錠ケース2の内側からネジ15によって固定されることによって、シリンダー12が錠ケース2の後端外面に固定されて設置されている。
【0023】
なお、本実施の形態において、ダンパー11のロッド13は、前方に対する押圧力を受けていない場合には、シリンダー12から後方に長く突出した状態となり静止する。この状態の具体例としては、図2(a),(b)における二点鎖線で示された位置にあるロッド13であり、以下これを待機状態ということがある。また、ロッド13は、後方から前方に向かって押圧力を受けると、シリンダー12の内部に向かって押圧力に対する抵抗力を発揮しながら移動する。本実施例においては、ロッド13が発揮する抵抗力は、ラッチバネ10の付勢力よりも小さく、反転ラッチ7はラッチバネ10の付勢力が働くと、ダンパー11の抵抗力を受けつつも前方に移動して開口4から突出することができる。
【0024】
スライダー16は、図1(a)に示すように、ロッド13の後方に配置された押圧壁17から前方に延在してバネ受け9に連結されてなる腕部18を有する。腕部18は、図5に示すように、その前端に設けられた爪19がバネ受け9の側面に形成された係止溝20(図3図4を参照)に挿し込まれることによってバネ受け9と連結されてなる。
【0025】
本実施の形態において、スライダー16がラッチバネ10の付勢力によってバネ受け9と共に前進すると、押圧壁17の内面がロッド13の後端に当接することによってスライダー16とダンパー11とが接続し、図1の矢印に沿って二点鎖線から実線の位置に移動するロッド13に示されるように、押圧壁17がロッド13をシリンダー12の内部に押し込むことができる。このとき、スライダー16はダンパー11の抵抗力をバネ受け9に伝達する。
【0026】
ダンパー11の抵抗力をスライダー16から受けたバネ受け9は、ラッチバネ10の付勢力によって前進しつつも、前記付勢力のみによって前進する速度よりも遅い速度で反転ラッチ7を前方へ押し出すため、反転ラッチ7の係止爪21が開口4の内面5に突き当たって反転ラッチ7の前進が止まる際に生じる音を従来よりも低減することができる。
【0027】
一方、スライダー16が後退する際には、図2(a),(b)の実線のロッド13及び実線の押圧壁17の位置関係によって示されるとおり、押圧壁17がロッド13から離脱することによって、ダンパー11との接続が切れた状態で後退する。その後ロッド13は、図2(a),(b)の矢印に示すように、シリンダー12の内部で生じる抵抗力を受けながら押圧壁17を追うようにゆっくりと後方へ突出する。これにより、ダンパー11による負荷を受けることなく、戸の開閉操作を行うことができる。ロッド13は一定の位置で押圧壁17に当接すると止まる。また、スライダー16が十分に後退した場合には、ロッド13は待機状態となることによって止まる。待機状態のロッド13とスライダー16とは、当接した状態でもよいし、押圧壁17との間に隙間がある状態であってもよい。
【0028】
また、本実施の形態において、反転ラッチ7が回動運動する際には、図2(b)に示すように、反転ラッチ7の後端面8aも前後軸方向に対して斜め後方に傾斜する向きに回動することでバネ受け9を後方に押し戻す。このとき、スライダー16が後退する際にスライダー16がダンパー11から離脱することにより、ダンパー11による抵抗力を受けることなく反転ラッチ7を回動運動させることができる。これにより、ラッチ受け43の枠縁部44に反転ラッチ7の側面8cを押し当てながら反転ラッチ7を回動運動させて扉24の開扉操作を行う際にも、ダンパー11による負荷を受けずに開扉することができる。
【0029】
本実施の形態においては、図1(a),(b)に示すように、錠ケース2、ダンパー11、及びスライダー16を覆う錠カバー22が設けられてなる。錠カバー22は、外部からの衝撃などからスライダー16の動作機構が阻害されないように保護する。また、錠ケース2の前端壁3の上下の延出部を扉24に固定してラッチ錠1を取り付けることができる。
【0030】
図4に示すように、反転ラッチ7の上下に突設されてなる係止爪21には、前後方向に沿って形成された溝であるロック溝25が設けられてなる。
【0031】
また、図1(a)に示すように、ラッチケース6の後側からロッキングピース26を構成する上側片27と下側片28とが、それぞれ湾曲した上下一対の板状体に形成されてラッチケース6の上面と下面とにかけて延在してなる。そして、上側片27及び下側片28の先端は、それぞれロック溝25に係合可能な板状の係合片29,29に形成されてなる。
【0032】
上側片27は、ラッチケース6の上端後方位置において錠ケース2に対して回動可能に支軸30によって軸支されてなる。また下側片28は、ラッチケース6の下端後方位置において錠ケース2に対して回動可能に支軸31によって軸支されてなる。
【0033】
さらに、上側片27及び下側片28はラッチケース6の後側において互いに重なり合ってなり、互いに重複する位置に連結孔32が形成されてなる。連結孔32には連結ピン33が挿通されてなり、連結ピン33によって上側片27と下側片28とが互いに回動可能に枢着されてなる。また連結ピン33は前後に移動可能であり、当該連結ピン33の移動によって上側片27及び下側片28を同時に回動させることで、図2に示すように、ロッキングピース26の開閉状態を切り替えることができる。
【0034】
また、図1(a)に示すように、ロッキングピース26の後方には上下に長尺に形成されてなる解放板34が配置されてなる。解放板34は、下端部において支軸35によって錠ケース2に対して回動可能に軸支されてなる。ロッキングピース26を構成する下側片28は、支軸31から後方に延出してなる連結板部に形成されてなる長孔23が形成されてなる。連結板部は長孔23がと解放板34と重なるように配置されてなり、下側片28と解放板34とは、支軸31と支軸35との間において、それぞれの下半部が互いに回動可能に長孔23に挿通された連結ピン36によって連結されてなる。解放板34における支軸35から上方に延出してなる保持腕部37の前端は正面方向に屈曲したハンドルテコ当接部38に形成されてなる。支軸35を巻回して錠ケース2の後端内側面とハンドルテコ当接部38との間を拡開する方向に付勢してなるバネ39が設けられてなることにより、解放板34はバネ39により前方へ移動させる力を受けている。バネ39によって解放板34が前方に移動すると、連結ピン36が下方に移動することにより、下側片28が時計方向に回動し、連結ピン33を後方へ移動させる。連結ピン33が後方へ移動するとロッキングピース26が開く。なお、連結ピン36が解放板34の動作によって上下に移動すると共に前後にも僅かに移動するが、連結ピン36が長孔23に挿通されてなることによって、連結ピン36の移動が許容される。
【0035】
また、本実施の形態においては、ロッキングピース26を構成する上側片27の後端が正面方向に屈曲したハンドルテコ当接部40を備えてなる。また、支軸30を巻回して錠ケース2の上端内側面とハンドルテコ当接部40との間を拡開する方向に付勢してなるバネ41が設けられてなることにより、ロッキングピース26はバネ41により連結ピン33を後方へ移動させる力を受けている。連結ピン33が後方へ移動すると、図2(a)に示すように、ロッキングピース26が開き、反転ラッチ7がラッチケース6内において回動自在な状態となる。
【0036】
扉24が閉扉されている状態では、図2(a)、(b)に示すように、反転ラッチ7は戸枠42に設けられたラッチ受け43に挿し入れられる。扉24を開扉する際には、図2(a)に示すように、プッシュプルハンドルHを操作することによって、プッシュプルハンドルHから錠ケース2の内部に向かって挿入されてなるハンドルテコ45a若しくはハンドルテコ45bが、ハンドルテコ当接部38、または40を移動させて反転ラッチ7を回動自在な状態とすると共に、扉24の開扉動作を開始させる。
【0037】
扉24が開扉を始めると、図2(b)に示すように、反転ラッチ7の側面8cがラッチ受け43の枠縁部44に当接しながら反転して側面8cが斜め前方を向く。一方、反転ラッチ7の後端面8aは斜め後方に向きながら、バネ受け9を後方へ僅かに押し込む。後方へ押し込まれたバネ受け9は、ラッチバネ10を押し縮める。さらに、扉24が開くと、反転ラッチ7は、枠縁部44によってラッチケース6内に押し込まれる。この時、スライダー16がダンパー11から離脱して後方へ移動することにより、ダンパー11による抵抗力を受けることなく、反転ラッチ7の回動、及びラッチケース6内への移動を行うことができる。
【0038】
反転ラッチ7がラッチ受け43を越えて、扉24が開扉されると、まず、押し縮められたラッチバネ10からの付勢力を前方に受けるバネ受け9が、反転ラッチ7の斜め後方を向いた後端面8aを前方方向に押圧して反転ラッチ7を反回転させることにより、図4の二点鎖線に示す反転状態から図4の実線に示す通常状態に戻す。このとき、反転ラッチ7の反回転によってバネ受け9に連結されてなるスライダー16も合わせて前方に向かって移動する。前方へ移動しようとするスライダー16の押圧壁17は、図1(a),(b)に示すように、ロッド13に当接しながら移動しようとするため、ダンパー11から抵抗力を受ける。
【0039】
ダンパー11の抵抗力をスライダー16から受けたバネ受け9は、ラッチバネ10の付勢力によって前進しつつも、前記付勢力のみによって前進する速度よりも遅い速度で反転ラッチ7を前方へ押し出すため、反転ラッチ7が反回転する速度を減速させる。これにより、反転ラッチ7が通常状態に戻った際にラッチケース6の内側面と反転ラッチ7の側面8cとが当たる際に生じる音を低減することができる。
【0040】
また、開扉された扉24のプッシュプルハンドルHから手が離されることでロッキングピース26が閉じて、係合片29がラッチケース6の上壁及び下壁を貫通して設けられてなるスリット6a,6aを通してラッチケース6内に進入する。そして、反転ラッチ7は、反回転して通常状態に戻ると係合片29がロック溝25に嵌まり込んで反転ラッチの回動動作を制限する。
【0041】
反回転して通常状態に戻った反転ラッチ7は、バネ受け9と共にラッチバネ10の付勢力によって、さらに前方へ押し出される。このとき、バネ受け9に連結されてなるスライダー16も合わせて前方に向かって移動する。前方へ移動しようとするスライダー16の押圧壁17は、図1(a),(b)に示すように、ロッド13に当接しながら移動しようとする際に、ダンパー11から抵抗力を受ける。
【0042】
ダンパー11の抵抗力をスライダー16から受けたバネ受け9は、ラッチバネ10の付勢力によって前進しつつも、前記付勢力のみによって前進する速度よりも遅い速度で反転ラッチ7を前方へ押し出すため、反転ラッチ7の係止爪21が開口4の内面5に突き当たって反転ラッチ7の前進が止まる際に生じる音を従来よりも低減することができる。また、開口4の内面5を金属ではなく樹脂材で形成することで、反転ラッチ7の係止爪21と、開口4の内面5との衝突音をさらに低減させることができる。
【0043】
開扉された扉24は、その後再び戸枠42に向かって閉扉動作を行うが、このとき、開口4から突出した反転ラッチ7の斜め前方を向いた前端面8bとラッチ受け43の枠縁部44の外縁端44aとが押し当たることで反転ラッチ7が通常状態のままラッチケース6内に押し込まれる。なお、この時ロッキングピース26は閉じており、係合片29は係止爪21のロック溝25に嵌め込まれて反転ラッチ7の回動は制限されている。一方で、ロック溝25は前後方向には解放されてなるため、反転ラッチ7は、ロック溝25に係合片29を沿わせながら後方に移動してラッチケース6内に後退することができる。
【0044】
このとき、枠縁部44の外縁端44aが樹脂で構成されてなることで、閉扉動作を行う際に、開口4から突出した反転ラッチ7とラッチ受け43との衝突音を軽減することができる。
【0045】
扉24が閉扉すると、反転ラッチ7はラッチバネ10による付勢力を受けてラッチ受け43内に挿し入れられるが、この時も、スライダー16によるダンパー11の抵抗力によって反転ラッチ7はゆっくりと開口4から突出するため、係止爪21と開口4の内面5との衝突音は低減される。
【符号の説明】
【0046】
1 ラッチ錠
2 錠ケース
3 前端壁
4 開口
6 ラッチケース
7 反転ラッチ
9 バネ受け
10 ラッチバネ
11 ダンパー
16 スライダー
24 扉
26 ロッキングピース
42 戸枠
43 ラッチ受け
H プッシュプルハンドル
図1
図2
図3
図4
図5