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特開2024-156840インターフェロンラムダによるデルタ型肝炎ウイルス感染の処置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156840
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】インターフェロンラムダによるデルタ型肝炎ウイルス感染の処置
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/21 20060101AFI20241029BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20241029BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20241029BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20241029BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241029BHJP
   C07K 14/555 20060101ALN20241029BHJP
【FI】
A61K38/21 ZNA
A61P1/16
A61K47/60
A61P31/12
A61P31/14
A61K45/00
A61K38/21
C07K14/555
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024125792
(22)【出願日】2024-08-01
(62)【分割の表示】P 2022140259の分割
【原出願日】2017-02-17
(31)【優先権主張番号】62/297,759
(32)【優先日】2016-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516326575
【氏名又は名称】アイガー・バイオファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Eiger Biopharmaceuticals, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアルド・ブルーノ・マーティンズ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ヒト患者におけるデルタ型肝炎ウイルス(HDV)感染を処置する方法を提供する。
【解決手段】本方法は、治療有効量のインターフェロンラムダを患者に少なくとも4週間投与することを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト患者のデルタ型肝炎ウイルス(HDV)感染を処置する方法であって、前記患者に治療有効量のインターフェロンラムダを少なくとも4週間投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記患者が、肝硬変を伴うまたは伴わない代償性肝疾患を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者が、肝硬変を伴う代償性肝疾患を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記インターフェロンラムダが、ペグ化されたものである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記インターフェロンラムダが、ペグ化インターフェロンラムダ-1aである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記インターフェロンラムダが1週間当たり120μgの用量で投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記インターフェロンラムダが1週間当たり180μgの用量で投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記インターフェロンラムダが皮下投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記インターフェロンラムダが少なくとも6ヶ月間投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記インターフェロンラムダが少なくとも48週間投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記処置過程が、血清1mL当たり100コピー未満または血清1mL当たり100IU未満のHDVウイルス量をもたらす、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
処置終了後、少なくとも12週間、前記HDVウイルス量が血清1mL当たり100コピー未満または血清1mL当たり100IU未満のままである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
処置終了後、少なくとも24週間、前記HDVウイルス量が血清1mL当たり100コピー未満または血清1mL当たり100IU未満のままである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記処置過程が、検出レベル未満のHDVウイルス量をもたらす、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
処置終了後、少なくとも12週間、前記HDVウイルス量が検出レベル未満のままである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
処置終了後、少なくとも24週間、前記HDVウイルス量が検出レベル未満のままである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記処置の開始前に、前記患者が、正常値上限(ULN)を上回る血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを有し、前記処置過程が、前記患者の血清ALTレベルにおいて前記ULN以内のレベルへの改善を生じる、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記処置過程が、処置の開始時の患者のベースラインHBVウイルス量と比較して、前記患者においてHBVウイルス量の減少を生じる、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記処置過程が、前記患者の肝機能の改善を生じる、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記肝機能の改善が、血清アルブミン、ビリルビン、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、プロトロンビン、アルファ2-マクログロブリン、アポリポタンパク質A1、ハプトグロビン、ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)からなる群から選択される1つ以上の血清マーカーの改善である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記肝機能の改善が肝線維症の改善である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、患者に別の抗ウイルス剤または抗HDV剤を投与することをさらに含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
インターフェロンラムダが唯一のもしくは第1の抗ウイルス処置である、または唯一のもしくは第1の抗HDV処置である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2016年2月19日に出願された米国仮特許出願第62/297,759号明細書の優先権を主張し、その内容の全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、デルタ型肝炎ウイルス(HDV)感染により生じるウイルス性肝炎を処置するための方法を提供し、化学、薬化学、医学、分子生物学および薬理学の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
デルタ型肝炎ウイルス(HDV)は、慢性ウイルス性肝炎の最も重篤な形態を引き起こし、有効な薬物療法がない。HDVは、常にB型肝炎ウイルス(HBV)との同時感染として呈される。慢性HDVおよびHBV同時感染は、既存のHBV関連肝障害を悪化させ、肝硬変、肝代償不全および肝細胞癌をもたらす。Negro,Cold Spring Harb Perspect Med,2014,4:a021550;Hoener zu Siederdissen,Visc Med,2016,32:86-94;Lau,Hepatology,1999,30:546-549を参照。HDVとHBVの両方に同時感染した患者は、HBVに単独で感染した患者と比較して、肝疾患の合併症で死亡する可能性がより高い。Alavian et al.,J Res Med Sci,2012,17:967-974を参照。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インターフェロンアルファ療法は、HDVの処置として説明されてきた。しかしながら、インターフェロンアルファ療法による持続的なウイルス学的応答は、約30%の患者においてのみ達成され、少数の患者だけがHDV感染をクリアする。Giersch and Dandri,Journal of Clinical and Translational Hepatology,2015,3:220-229;Bahcecioglu et al.,Hepat Mon., 2015,15(e):e24366を参照。インターフェロンアルファは、多くの異なる細胞型によって広く発現されるインターフェロンアルファ受容体を介したシグナル伝達によってその効果を伝える。インターフェロンアルファとは対照的に、インターフェロンラムダは、異なる種類の受容体である、制限された細胞発現パターンを有するインターフェロンラムダ受容体を介してシグナル伝達する。インターフェロンラムダはまた、インターフェロン受容体の発現の差異に一部起因して、インターフェロンアルファとは異なる抗ウイルス活性を示す。HBVの処置のためのペグ化インターフェロンアルファおよびペグ化インターフェロンラムダの比較研究(Chan et al.,J.Hepatology,2016,64:1011-1019)において、ペグ化インターフェロンラムダは、処置の中間点(24週間)において、ペグ化インターフェロンアルファと比較してウイルス血症においてより顕著な減少を生じるが、処置期間の終わりまでには、ペグ化インターフェロンアルファおよびペグ化インターフェロンラムダ処置の間に差異はなく、処置後には、ペグ化インターフェロンラムダ処置群において、より大きなウイルス学的リバウンドがあることが見出された。ペグ化インターフェロンアルファを4週間投与したHBV/HDV同時感染マウスはHDV-RNAレベルの2.2log減少を示したが、ペグ化インターフェロンラムダを4週間投与したマウスはHDV-RNAレベルの1.5log減少を示した(Giersch et al.,2013)。今日まで、HDVの処置のための長期ペグ化インターフェロンラムダ療法の有効性は説明されていない。引き続きHDV感染を処置する薬剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、ヒト患者におけるデルタ型肝炎ウイルス(HDV)感染を処置する方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法は、治療有効量のインターフェロンラムダを患者に少なくとも4週間投与することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、治療有効量のインターフェロンラムダ-1aを患者に少なくとも4週間投与することを含む。いくつかの実施形態において、方法は、治療有効量のペグ化インターフェロンラムダ(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ-1a)を少なくとも4週間患者に投与することを含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ、例えば、ペグ化インターフェロンラムダ-1a)は皮下投与される。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ、例えば、ペグ化インターフェロンラムダ-1a)は、皮下注射で毎週投与される。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ、例えば、ペグ化インターフェロンラムダ-1a)は、120μg/週の用量で投与される。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ、例えば、ペグ化インターフェロンラムダ-1a)は、180μg/週の用量で投与される。
【0007】
いくつかの実施形態において、処置を受ける患者は、肝硬変を伴うかまたは伴わない代償性肝疾患を有する。いくつかの実施形態において、処置を受ける患者は、肝硬変を伴う代償性肝疾患を有する。
【0008】
いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ、例えば、ペグ化インターフェロンラムダ-1a)は、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも120日間、少なくとも150日間、もしくは少なくとも180日間;または少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも16週間、少なくとも20週間、もしくは少なくとも24週間に及ぶ治療過程において患者に投与される。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ、例えば、ペグ化インターフェロンラムダ-1a)は、少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも1年、少なくとも18ヶ月、少なくとも2年、またはそれより長い期間、患者に投与される。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ、例えば、ペグ化インターフェロンラムダ-1a)は、少なくとも48週間、少なくとも60週間、少なくとも72週間、少なくとも84週間、または少なくとも96週間投与される。
【0009】
いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ(例えば、インターフェロンラムダ-1a)は、慢性HDV感染を有する患者に1週間当たり120μgの用量で少なくとも12週間、皮下注射で投与される。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ(例えば、インターフェロンラムダ-1a)は、慢性HDV感染を有する患者に1週間当たり120μgの用量で少なくとも24週間、皮下注射で投与される。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ(例えば、インターフェロンラムダ-1a)は、慢性HDV感染を有する患者に1週間当たり120μgの用量で48週間、皮下注射で投与される。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ(例えば、インターフェロンラムダ-1a)は、慢性HDV感染を有する患者に1週間当たり120μgの用量で96週間、皮下注射で投与される。いくつかの実施形態において、慢性HDV感染を有する患者は、代償性肝疾患を有する。
【0010】
いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ、例えば、ペグ化インターフェロンラムダ-1a)は、慢性HDV感染を有する患者に1週間当たり120μgの用量で少なくとも12週間、皮下注射で投与される。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ、例えば、ペグ化インターフェロンラムダ-1a)は、慢性HDV感染を有する患者に1週間当たり120μgの用量で少なくとも24週間、皮下注射で投与される。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ、例えば、ペグ化インターフェロンラムダ-1a)は、慢性HDV感染を有する患者に1週間当たり120μgの用量で48週間、皮下注射で投与される。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ、例えば、ペグ化インターフェロンラムダ-1a)は、慢性HDV感染を有する患者に1週間当たり120μgの用量で96週間、皮下注射で投与される。いくつかの実施形態において、慢性HDV感染を有する患者は、代償性肝疾患を有する。
【0011】
いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ(例えば、インターフェロンラムダ-1a)は、慢性HDV感染を有する患者に1週間当たり180μgの用量で少なくとも12週間、皮下注射で投与される。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ(例えば、インターフェロンラムダ-1a)は、慢性HDV感染を有する患者に1週間当たり180μgの用量で少なくとも24週間、皮下注射で投与される。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ(例えば、インターフェロンラムダ-1a)は、慢性HDV感染を有する患者に1週間当たり180μgの用量で48週間、皮下注射で投与される。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ(例えば、インターフェロンラムダ-1a)は、慢性HDV感染を有する患者に1週間当たり180μgの用量で96週間、皮下注射で投与される。いくつかの実施形態において、慢性HDV感染を有する患者は、代償性肝疾患を有する。
【0012】
いくつかの実施形態において、ペグ化インターフェロンラムダ(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ-1a)は、慢性HDV感染を有する患者に1週間当たり180μgの用量で少なくとも12週間、皮下注射で投与される。いくつかの実施形態において、ペグ化インターフェロンラムダ(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ-1a)は、慢性HDV感染を有する患者に1週間当たり180μgの用量で少なくとも24週間、皮下注射で投与される。いくつかの実施形態において、ペグ化インターフェロンラムダ(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ-1a)は、慢性HDV感染を有する患者に1週間当たり180μgの用量で48週間、皮下注射で投与される。いくつかの実施形態において、ペグ化インターフェロンラムダ(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ-1a)は、慢性HDV感染を有する患者に1週間当たり180μgの用量で96週間、皮下注射で投与される。いくつかの実施形態において、慢性HDV感染を有する患者は、代償性肝疾患を有する。
【0013】
いくつかの実施形態において、処置過程は、血清1mL当たり100コピー未満または血清1mL当たり100IU未満のHDVウイルス量をもたらす。いくつかの実施形態において、処置終了後、少なくとも12週間、HDVウイルス量は血清1mL当たり100コピー未満または血清1mL当たり100IU未満のままである。いくつかの実施形態において、処置終了後、少なくとも24週間、HDVウイルス量は血清1mL当たり100コピー未満または血清1mL当たり100IU未満のままである。
【0014】
いくつかの実施形態において、処置過程は、検出レベル未満のHDVウイルス量をもたらす。いくつかの実施形態において、処置終了後、少なくとも12週間、HDVウイルス量は検出レベル未満のままである。いくつかの実施形態において、処置終了後、少なくとも24週間、HDVウイルス量は検出レベル未満のままである。
【0015】
いくつかの実施形態において、処置過程は、患者の肝機能の改善をもたらす。いくつかの実施形態において、肝機能の改善は、血清アルブミン、ビリルビン、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、プロトロンビン、アルファ2-マクログロブリン、アポリポタンパク質A1、ハプトグロビン、ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)からなる群から選択される1つ以上の血清マーカーの改善である。いくつかの実施形態において、肝機能の改善は、肝線維症の改善である。
【0016】
いくつかの実施形態において、方法は、患者に、さらなる抗ウイルス治療剤を共治療として投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ療法は、患者に行われる唯一のまたは第1の抗ウイルス治療である。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ、例えば、ペグ化インターフェロンラムダ-1a)療法は、患者に行われる唯一のまたは第1の抗HDV治療である。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ、例えば、ペグ化インターフェロンラムダ-1a)療法は、患者に行われる唯一のまたは第1の抗ウイルス治療である。いくつかの実施形態において、患者は、インターフェロンラムダ(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ、例えば、ペグ化インターフェロンラムダ-1a)に加えて、1つ以上の抗ウイルスまたは抗HDV治療薬を受ける。
【0017】
本発明のこれらの態様および実施形態ならびに他の態様および実施形態は、以下により詳細に記載される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
I.定義
本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためであり、限定することを意図するものではない。他に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的用語は、この発明が属する技術分野の当業者によって通常理解される意味と同じ意味を有する。この明細書および後に続く特許請求の範囲において、反対の意図が明らかでない限り以下の意味を有すると定義されるべき多くの用語につき言及する。いくつかの場合において、通常理解される意味を有する用語が明確性および/または即時参照のために本明細書で定義され、本明細書においてそのような定義が包含されることは、本技術分野において一般的に理解される用語の定義に対する本質的な違いを表すものとして解釈されるべきでない。
【0019】
本明細書に記載のものと同様または同等の任意の方法および物質が本発明の実施または試験において用いられ得るが、好ましい方法、デバイスおよび物質がここに記述される。本明細書で引用される全ての技術文献および特許文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書のいかなる記載も、本発明が先行発明によってそのような開示に先行する権利を有しないことを認めるものとして解釈されるべきでない。
【0020】
範囲を含む全ての数字表示、例えばpH、温度、時間、濃度および分子量は、必要に応じて、0.1または1.0の増分で(+)または(-)変化する近似値である。必ずしも明示的に示されていなくても、全ての数字表示は前に用語「約」が付くと解されるべきである。
【0021】
単数形「a」、「an」および「the」は、他に文脈により明らかに指示されない限り、複数の対象を含む。したがって、例えば「化合物」への言及は、複数の化合物を含む。
【0022】
用語「投与」は、本開示の化合物、組成物または薬剤を、ヒトなどの宿主に導入することを指す。本発明の文脈において、薬剤の投与の1つの好ましい投与経路は、皮下投与である。他の経路は、静脈内投与および経口投与である。
【0023】
用語「ベースライン」は、他に明記されていないか、または文脈から明らかでない限り、治療過程の前に行われた(例えば、ウイルス量、患者の状態、ALTレベルの)測定値を指す。
【0024】
用語「含む」は、化合物、組成物および方法が列挙される要素を含むが、他の要素を除外しないことを意味することが意図される。「から本質的になる」は、化合物、組成物および方法を定義するために用いられる場合、特許請求の範囲に係る発明の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響するであろう他の要素を除外することを意味するものとする。これらの移行句のそれぞれにより定義される実施形態は、本発明の範囲内である。
【0025】
用語「処置過程」および「治療過程」は、本明細書では交換可能に使用され、患者が診断された後、例えば、HDVに感染し、医学的介入を必要とする場合の医療介入を指す。医療介入には、一定期間、典型的には、HDV感染患者につき、少なくとも1ヶ月、典型的には数ヶ月、または何ヶ月も、または数年もの間の薬物の投与が含まれるが、これに限定されない。
【0026】
ヒト血清または血漿試料の「HDV RNAウイルス量」または「ウイルス量」という用語は、所与の量のヒト血清または血漿試料におけるHDV RNAの量を指す。HDV RNAは、一般に、定量的リアルタイム逆転写-ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)アッセイによって検出される。そのようなアッセイでは、アッセイ中に生成されるシグナル量は、試料中のHDV RNA量に比例する。試験試料からのシグナルは、定量化されたデルタ型肝炎RNA標準の希釈系列のシグナルと比較され、ゲノムコピーのコピー数が計算される。例えば、Kodani et al.,2013,J.Virol.Methods,193(2),531;Karatayli et al.,2014,J.Clin.Virol,60(1),11を参照。HDV RNAウイルス量は、1mL血清(または血漿)あたりのRNAコピー、または1mL血清(または血漿)あたりの国際単位(IU)を用いて報告され得る。Chudy et al.,2013,核酸増幅技術(NAT)ベースのアッセイのためのD型肝炎ウイルスRNAにつき世界保健機構の国際規格を確立するための共同研究」 WHO Expert Committee on Biological Standardization WHO/BS/2013.2227を参照。市販のアッセイは、ARUP Laboratories(Salt Lake City,UT)から入手可能である。ARUP HDV RNAアッセイの検出限界は31IU/mLと報告されている。Analytik Jena AG(ドイツ)は、抗ウイルス治療への反応を評価するために、WHO標準規格でCE-IVD認定を取得したRoboGene(登録商標)HDV RNA定量キット2.0を提供している。RoboGene(登録商標)アッセイの検出限界は6IU/mLであると報告されている。特定の単位のない「ウイルス量」(例えば、「ウイルス量が100未満」)とは、別段の指示がない限り、または文脈から明らかでない限り、血清1mL当たりのHDV RNAのコピーを指す。特に明記されていない限り、「検出レベル未満」への言及は15IU/mL未満を意味する。
【0027】
HDVレベルは、一般的に、ウイルス学の通常の慣習に従って、log10単位を用いて提示される。HDV RNAレベルは、「1mL当たりのRNAコピー」または「1mL当たりの国際単位(IU)」の単位で提示することができる。Chudy et al.,2013,核酸増幅技術(NAT)ベースのアッセイのためのD型肝炎ウイルスRNAにつき世界保健機構の国際規格を確立するための共同研究」 WHO Expert Committee on Biological Standardization WHO/BS/2013.2227を参照。両方の単位が本明細書で用いられる。本明細書で用いられる場合、「1mL当たりHDV RNAコピー」(例えば、実施例に示すように、特に明記されず、臨床試験結果に関連する議論を含まない場合)の記載は、明細書の記載または基礎の目的のために、「HDV RNAコピー/mLまたは[あるいは]HDVIU/mL」として読まれるべきである。特定の量の1mL当たりのHDV RNAコピーが記載される場合、明細書の記載およびサポートのために、HDV RNAコピー/mLの量をIU/mLの量に変換するため1.2の乗数を適用することができる。例えば、“1mL当たり120HDV RNAコピー”は、“120コピー/mLまたは100IU/mL”と読まれるべきである。
【0028】
HDV RNAレベルの変化は、ウイルス学の通常の慣習に従う「log減少」として表すことができる。例えば、ウイルス量における1log減少(すなわち、-1log)(例えば、7logから6log)は、10倍の減少であり、ウイルス量における2log減少(すなわち、-2log)である例えば、7logから5logまで)は、100倍の減少である。4logRNAコピー/mLから3logRNAコピー/mLへの減少は、4logIU/mLから3logIU/mLへの減少と同等である。
【0029】
ヒト(宿主)に関して用語「HDV感染」は、宿主がHDV感染を患っているという事実を指す。典型的に、HDV感染ヒト宿主は、宿主血清もしくは血漿1mL当たり少なくとも約2logHDV RNAコピー、または宿主血清もしくは血漿1mL当たりHDV-RNAの10コピー、多くの場合、宿主血清もしくは血漿1mL当たり少なくとも約3logHDV RNAコピー、または宿主血清もしくは血漿1mL当たりHDV-RNAの10コピー、また、多くの場合、特にいずれの治療も受けていない患者について、宿主血清もしくは血漿1mL当たり少なくとも約4logHDV RNAコピー、または宿主血清もしくは血漿1mL当たりHDV-RNAの10コピー、例えば、宿主血清もしくは血漿1mL当たり約4logHDV RNAコピー~宿主血清もしくは血漿1mL当たり8logHDV RNAコピー、または宿主血清もしくは血漿1mL当たりHDV-RNAの10~10コピーなどのHDV RNAウイルス量を有する。本明細書で用いられる場合、ヒト宿主に関する用語「慢性HDV感染」は、陽性HDV抗体(Ab)試験により記述されるように、および/またはqRT-PCRにより検出可能なように、少なくとも6ヶ月間、ヒト宿主において持続したHDV感染を指す。HDVの診断および病因は、例えば、Wedemeyer et al.,Nat.Rev.Gastroenterol.Hepatol,2010,7:31-40に記載される。
【0030】
用語「定量下限」は、所定の信頼限界内の特定のアッセイによって確実に定量化され得る分析物(例えば、ウイルス力価)の物質の最低濃度を指す。
【0031】
用語「患者」、「宿主」または「対象」は、互換的に用いられ、以前にHDVに感染し、ウイルスがクリアされた患者を含む、HDVに感染したヒトを指す。
【0032】
用語「医薬組成物」は、対象への投与に適した組成物を包含することを意味する。一般的に「医薬組成物」は無菌で、対象内で所望しない反応を誘発し得る汚染物質を有しない(例えば、医薬組成物中の一または複数の化合物が医薬品グレードである)ことが好ましい。医薬組成物は、経口、静脈内、口腔、直腸、非経口、腹腔内、皮内、気管内、筋肉内、皮下、吸入などを含む多くの異なる投与経路により、それを必要とする対象または患者へ投与するために設計され得る。
【0033】
用語「治療上有効量」は、本明細書で用いられる場合、疾患、障害または病態をある程度処置する、例えば処置されている疾患すなわち感染の症状の1つ以上を緩和する、投与される薬剤(例えば、化合物、阻害剤、または薬物)の実施形態の量、および/または処置されている対象が発症しているかまたは発症する危険性がある疾患すなわち感染の症状の1つ以上をある程度防止する量を指す。
【0034】
用語「処置」、「処置すること」および「処置する」は、疾患、障害もしくは病態の薬理学的および/もしくは生理的影響、ならびに/またはその症状を低下させるかまたは改善するために、薬剤を用いて疾患、障害または病態に対処することとして定義される。「処置」は、本明細書で用いられる場合、ヒト対象における疾患の任意の処置におよび、(a)疾患に罹患しやすいと判定されたが疾患に感染したとしてまだ診断されていない対象において疾患の発生の危険性を低下させること、(b)疾患の発現を妨害すること、および/または(c)疾患を緩和すること、すなわち疾患の退縮を引き起こすことおよび/または1つ以上の疾患症状を緩和すること、を包含する。「処置」はまた、疾患または病態の不存在下でも薬理効果を提供する抑制剤の送達を包含することを意味する。例えば「処置」は、対象において強化された効果または望ましい効果(例えば、ウイルス量の減少、疾患症状の低下など)を提供する剤の送達を包含する。
【0035】
HDV RNAレベルに関して使用される「検出できない」または「検出レベル未満」という用語は、使用されるアッセイ方法によってHDV RNAコピーが検出されないことを意味する。いくつかの実施形態において、アッセイは定量的RT-PCRである。
【0036】
II.処置方法
一態様において、HDV感染患者がインターフェロンラムダの投与によって処置されるHDV感染の処置方法が提供される。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダのペグ化形態が投与される。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ療法(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ療法)を受けている患者はまた、抗ウイルスヌクレオチドまたはヌクレオシド類似体(例えば、抗HBVヌクレオチドまたはヌクレオシド類似体)で処置される。
【0037】
別の態様において、HBV感染患者がインターフェロンラムダの投与によって処置されるHBVの処置方法が提供される。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダのペグ化形態が投与される。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ療法(例えば、ペグ化インターフェロンラムダ療法)を受けているHBV感染患者はまた、抗ウイルスヌクレオチドまたはヌクレオシド類似体(例えば、抗HBVヌクレオチドまたはヌクレオシド類似体)で処置される。いくつかの実施形態において、HBVに感染した患者は、HDVと同時感染していない。
【0038】
インターフェロンラムダ療法
インターフェロンは、ウイルス複製および細胞増殖を阻害し、免疫応答を調節するポリペプチドである。それらが介してシグナル伝達する受容体のタイプに基づいて、ヒトインターフェロンは3つの主要な型(I型、II型、およびIII型)に分類されてきた。全てのI型IFNは、IFNAR1およびIFNAR2鎖からなるIFN-アルファ受容体(IFNAR)として知られる特定の細胞表面受容体複合体に結合する。ヒトに存在するI型インターフェロンは、IFN-アルファ、IFN-ベータ、IFN-イプシロンおよびIFN-オメガである。II型IFNは、IFNGR1およびIFNGR2鎖からなるIFN-ガンマ受容体(IFNGR)に結合する。ヒトにおけるII型インターフェロンは、IFN-ガンマである。III型インターフェロン群は、IFN-ラムダ1、IFN-ラムダ2およびIFN-ラムダ3と呼ばれる(それぞれIL29、IL28AおよびIL28Bとも呼ばれる)、3つのIFN-ラムダ分子からなる。これらのIFNは、IL10R2(CRF2-4とも呼ばれる)およびIFNLR1(CRF2-12とも呼ばれる)からなる受容体複合体を介してシグナル伝達する。
【0039】
本明細書で使用される「インターフェロン-ラムダ」または「IFN-λ」という用語は、天然IFN-λ;合成IFN-λ;誘導体化IFN-λ(例えば、PEG化IFN-λ、グリコシル化IFN-λなど);および天然または合成IFN-λの類似体を含む。いくつかの実施形態において、IFN-λは、血清半減期などの一定の特性を変更するために誘導体化された(例えば天然ペプチドと比較して化学的に修飾された)IFN-λの誘導体を包含する。すなわち、用語「IFN-λ」は、ポリエチレングリコールで誘導体化されたIFN-λ(「PEG化IFN-λ」)などを含む。PEG化IFN-λ(例えば、PEG化IFN-λ-1a)およびその作製方法は、例えば、米国特許第6,927,040号明細書、同第7,038,032号明細書、同第7,135,170号明細書、同第7,157,559号明細書および同第8,980,245号明細書;ならびに国際公開第2005/097165号パンフレット、同第2007/012033号パンフレット、同第2007/013944号パンフレットおよび同第2007/041713号パンフレットに記載され;当該文献全ては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、PEG化IFN-λ-1aは、米国特許第7,157,559号明細書に記載される構造を有し、当該文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される治療方法における使用のためのインターフェロンは、ペグ化IFN-λ1(例えば、ペグ化IFN-λ-1a)、ペグ化IFN-λ-2またはペグ化IFN-λ-3である。
【0041】
いくつかの実施形態において、ペグ化IFN-λ1は、以下に示すアミノ酸配列を有する(線は、鎖内ジスルフィド結合を示す):
【化1】
【0042】
患者集団
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のインターフェロンラムダ療法で処置される患者は、慢性HDV感染を有する患者である。いくつかの実施形態において、処置される患者は、陽性HDV抗体(Ab)試験および/またはqRT-PCRによる検出可能なHDV RNAにより記録される、少なくとも6ヶ月の持続性の慢性HDV感染を有する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の治療方法で処置される患者は、新たに診断されたか、そうでなければ6ヶ月以上にわたってその患者において存在しなかったと考えられる、急性HDV感染を有する患者である。HDVの診断および病因は、例えば、Wedemeyer et al.,Nat.Rev.Gastroenterol.Hepatol,2010,7:31-40に記載される。HDVは、様々なサブタイプで存在することが知られている。本明細書に記載の方法は、HDVサブタイプにかかわらず、全てのHDV患者を処置するのに適している。いくつかの実施形態において、患者は成人(18歳以上)である。
【0043】
いくつかの実施形態において、処置される患者は、血清または血漿1mL当たり少なくとも10HDV RNAコピーまたは血清または血漿1mL当たり少なくとも10IU、例えば血清または血漿1mL当たり少なくとも10HDV RNAコピーまたは少なくとも10IU、血清または血漿1mL当たり少なくとも10HDV RNAコピーまたは少なくとも10IU、血清または血漿1mL当たり少なくとも10HDV RNAコピーまたは少なくとも10IU、血清または血漿1mL当たり少なくとも10HDV RNAコピーまたは少なくとも10IU、血清または血漿1mL当たり少なくとも10HDV RNAコピーまたは少なくとも10IU、血清または血漿1mL当たり少なくとも10HDV RNAコピーまたは少なくとも10IU、のベースラインウイルス量を有する。いくつかの実施形態において、HDVウイルス量は、患者からの血清試料を用いて測定される。いくつかの実施形態において、HDVウイルス量は、患者からの血漿試料を用いて測定される。いくつかの実施形態において、ウイルス量は、定量的RT-PCRによって測定される。血清または血漿中のHDV RNAの定量のためのqRT-PCRアッセイは、例えば上記のように、当技術分野で公知である。
【0044】
いくつかの実施形態において、処置される患者は、肝機能障害の1つ以上の症状を示す。いくつかの実施形態において、患者は、健康な対照(例えば、HDVまたはHBVに感染していない対象)の正常なパラメータの外にある1つ以上の肝機能パラメータを示す。いくつかの実施形態において、肝機能パラメータは、血清アルブミン、ビリルビン、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、およびプロトロンビン活性からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、患者は、正常上限(ULN)の少なくとも2倍(例えば、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍またはそれ以上)の血清ALTレベルを有する。肝臓機能パラメータは当該技術分野において記載されている。例えば、Limdi et al.,Postgrad Med J,2003,79:307-312を参照。これらの肝機能パラメータを測定する方法は、当技術分野で公知であり、また、市販されている。
【0045】
いくつかの実施形態において、患者は、肝硬変を伴うまたは伴わない、代償性肝疾患(例えば、Child-Turcotte-Pugh分類システムに従って分類されたもの)を有する。Child-Turcotte-Pugh分類システムは、肝疾患の重篤度を分類するために使用され、血清アルブミンレベル、ビリルビンレベル、プロトロンビン時間レベルの国際標準比、腹水形成および脳症を評価することによって決定されることが、当業者に認識されるであろう。いくつかの実施形態において、患者は、Child-Turcotte-Pughスコア5~6(クラスA)を有する。いくつかの実施形態において、患者は、肝硬変を伴う代償性肝疾患を有する。いくつかの実施形態において、患者は、肝硬変を伴わない代償性肝疾患を有する。
【0046】
いくつかの実施形態において、患者は、処置前6ヶ月以内に肝生検によって決定される慢性肝炎と診断される。いくつかの実施形態において、患者は、スクリーニング前6ヶ月以内に肝生検に基づく慢性肝炎のエビデンスを有する。いくつかの実施形態において、患者は、処置前24週間以内および/または処置開始時に、正常値上限(ULN)を上回る血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを有する。様々な実施形態において、患者は、1つ以上の、独立して選択された実施例1における適格基準を満たす。
【0047】
処置期間および処置エンドポイント
患者は、所定の期間、不特定の期間、またはエンドポイントに達するまで、インターフェロンラムダ治療を受け得る。処置は、少なくとも2~3ヶ月間毎日連続的に継続され得る。いくつかの実施形態において、治療は、少なくとも30日間、少なくとも60日間、少なくとも90日間、少なくとも120日間、少なくとも150日間、または少なくとも180日間である。いくつかの実施形態において、治療は、少なくとも6ヶ月間、少なくとも7ヶ月間、少なくとも8ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも10ヶ月間、少なくとも11ヶ月間、少なくとも1年間、少なくとも15ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、または少なくとも2年間継続される。いくつかの実施形態において、治療は、少なくとも6週間、12週間、18週間、24週間、30週間、36週間、42週間、48週間、60週間、72週間、84週間、または96週間である。他の実施形態において、処置は、患者の残りの人生の間、または有意義な治療上の利益を提供する十分に低いレベルでウイルスを維持することにおいて投与がもはや有効でなくなるまで、継続される。
【0048】
本発明の方法によれば、一部のHDV患者は、ウイルスを検出できないレベルまでクリアすることによって本明細書に記載の治療に応答し、その後、HDVレベルが検出可能なレベルに戻らない限り、および戻るまで、処置が中断され得る。他の患者は、ウイルス量の減少および症状の改善を経験するが、ウイルスを検出できないレベルまでクリアすることはなく、限定された期間(例えば、約1年間または約2年間)、または治療上の利益を提供する限り、「長期治療」にとどまる。
【0049】
いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ療法による処置は、8週間の治療後に測定した場合、患者において、少なくとも1.5logHDV RNAコピー/mL血清のHDVウイルス量の減少を生じる。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ療法による処置は、8週間の治療後に測定した場合、患者において、少なくとも2.0logHDV RNAコピー/mL血清のHDVウイルス量の減少を生じる。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ療法による処置は、8週間の治療後に測定した場合、患者において、少なくとも2.5logHDV RNAコピー/mL血清のHDVウイルス量の減少を生じる。
【0050】
いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ療法による処置は、処置過程がまだ進行している間の一定期間(例えば、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年またはそれより長い期間)持続するHDVウイルス量の持続的な減少(例えば、血清1mL当たり少なくとも1.5log HDV RNAコピー、血清1mL当たり少なくとも2.0log HDV RNAコピー、もしくは血清1mL当たり少なくとも2.5log HDV RNAコピーへの低下、またはHDV RNAの検出できないレベルへの低下)をもたらす。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ療法による処置は、処置過程が終了した後の一定期間(例えば、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年またはそれより長い期間)持続するHDVウイルス量の持続的な減少をもたらす。いくつかの実施形態において、治療過程は、1,000コピー/mL未満のHDV RNAレベル(例えば、血清HDV RNAレベルまたは血漿HDV RNAレベル)を生じる。いくつかの実施形態において、HDV RNAレベルは、少なくとも1ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも1年またはそれ以上の間、1,000コピー/mL未満のままである。いくつかの実施形態において、治療過程は、100コピー/mL未満のHDV RNAレベル(例えば、血清HDV RNAレベルまたは血漿HDV RNAレベル)を生じる。いくつかの実施形態において、HDV RNAレベルは、少なくとも1ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも1年またはそれ以上の間、100コピー/mL未満のままである。1ヶ月間(または別の特定の期間)、初期測定値(例えば、100コピー/mLまたは100IU/mL)を「未満のままである」という語句は、初期測定値の測定後少なくとも1ヶ月間(または別の特定の期間)、行われたウイルス量測定値が初期値より高くないことを意味する。いくつかの実施形態において、患者は、特定の期間、インターフェロンラムダ療法を受けない。いくつかの実施形態において、患者は、特定の期間、いかなる抗HDV治療も受けない。
【0051】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の治療は、HDV RNAレベルが3logHDV RNAコピー/mL未満(1,000コピー/mL未満)となるまで、または時にHDV RNAレベルが2logHDV RNAコピー/mL未満(100コピー/mL未満)もしくは検出レベル未満となるまで、一定期間継続される。いくつかの場合において、治療は、ウイルス量が許容可能な低いレベル(例えば、検出できないレベル)に低下した後一定期間(1~3ヶ月以上など)継続され得る。いくつかの実施形態において、HDVウイルス量が検出できないレベルに低下するまで、治療は継続される。
【0052】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法に従って処置された患者は、処置過程の間に検出できないレベルへのHDVウイルス量の減少を示し、処置終了後少なくとも12週間、検出できないレベルへのHDVウイルス量の減少を維持する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法に従って処置された患者は、処置過程の間に検出できないレベルへのHDVウイルス量の減少を示し、処置終了後少なくとも24週間、検出できないレベルへのHDVウイルス量の減少を維持する。
【0053】
いくつかの実施形態において、患者のHDV力価は、処置過程の間、ベースライン未満へ低下する前に、ベースラインから上昇する。いくつかの実施形態では、患者のHDVレベルは、ベースラインの150%超、またはベースラインの200%超に上昇する。いくつかの実施形態において、力価の上昇は、治療開始後2週間以内に起こる。いくつかの実施形態において、患者の上昇したHDV力価は、治療開始の2週間以内、または3週間以内にベースライン未満へ低下する。
【0054】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法に従って処置された患者は、1つ以上の肝機能パラメータの改善を示す。いくつかの実施形態において、肝機能の改善は、血清アルブミン、ビリルビン、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、プロトロンビン、アルファ2-マクログロブリン、アポリポタンパク質A1、ハプトグロビン、ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)などの1つ以上の血清マーカー(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれを超えるマーカー)の改善である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法に従って処置された患者は、肝臓線維症の改善(例えば、組織学的分析、過渡的超音波エラストグラフィ(例えば、FibroScan)または磁気共鳴エラストグラフィによる生検によって評価される)を示す。いくつかの実施形態において、処置は、治療開始前と比較して、患者の肝機能パラメータの1つ以上において、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、またはそれを超える改善(例えば、血清マーカーの改善または肝線維症の改善)を生じる。いくつかの実施形態において、処置は、HDVまたはHBVに感染していない健康なコントロール対象のレベルまでの、1つ以上の肝機能パラメータの改善(例えば、血清マーカーの改善または肝線維症の改善)を生じる。いくつかの実施形態において、患者は、血清ALTレベルの正常値上限内のレベルへの改善を示す。
【0055】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法に従って処置された患者は、処置開始時のベースラインレベルと比較して、および/または患者のHDVウイルス量を減少させるのに有効な処置を受けていない同様の感染患者と比較して、HBVウイルス量の減少を示す。いくつかの実施形態において、処置は、HBVウイルス量の少なくとも1log減少を生じる。
【0056】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法に従って処置された患者は、実施例1に記載される1つ以上のパラメータの改善を示す。いくつかの実施形態において、本発明の方法に従って処置された患者は、HDVおよび/またはHBVウイルス量の減少を示す。処置前に、患者のHDVおよび/またはHBVウイルス量を測定し、ベースラインウイルス量を決定する。一定の処置期間後(例えば、12週間の処置後)、患者のウイルス量はベースラインと比較して減少する。いくつかの実施形態において、一定の処置期間後(例えば、12週間の処置後)、患者のウイルス量は、ベースラインと比較して、非常に低いレベルまでまたは検出できないレベルまでなど、実質的に減少する。いくつかの実施形態において、処置は、HBVウイルス量の少なくとも2log減少を生じる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法に従って処置された患者は、HBsAgレベルの減少またはHBsAg抗原のクリアランスの改善を示す。処置前に、患者のHBsAgレベルを測定し、ベースラインを決定する。ある処置期間後(例えば、12週間の処置後)、患者のHBsAgレベルはベースラインと比較して減少する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法に従って処置された患者は、抗HBs抗体の存在を示す。
【0057】
用量漸増および用量減少
いくつかの実施形態において、HDV感染について処置された患者は、処置過程の間にインターフェロンラムダ療法の投薬レジメンの調整を受ける。いくつかの実施形態において、患者は、インターフェロンラムダの漸増投与レジメンを受け、ここで、1つ以上の後の用量は、1つ以上の先の用量より高い用量である。いくつかの実施形態において、漸増投与レジメンは、薬物に対する患者の耐性を高め、副作用を最小限に抑えることができる。いくつかの実施形態において、用量漸増は、第1の処置期間に120μg/週の用量でインターフェロンラムダを投与し、その後第2の処置期間に180μg/週の用量でインターフェロンラムダを投与することを含む。いくつかの実施形態において、第1の処置期間の期間の長さは、第2の処置期間の期間の長さと同じである。いくつかの実施形態において、第1の処置期間および第2の処置期間は、異なる長さの期間である。いくつかの実施形態において、用量漸増は、1つ以上の追加の処置期間のための、インターフェロンラムダの1つ以上の追加の用量を投与することをさらに含む。
【0058】
いくつかの実施形態において、患者は、インターフェロンラムダの用量減少を受け、1つ以上の後の用量は、1つ以上の先の用量より低い用量である。いくつかの実施形態において、許容できない副作用を患者が示す場合、用量の減少が処方される。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ療法は、第1の処置期間に180μg/週の用量でインターフェロンラムダを投与し、その後第2の処置期間に120μg/週の用量でインターフェロンラムダを投与することを含む。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ療法は、第1の処置期間に120μg/週の用量でインターフェロンラムダを投与し、その後第2の処置期間に80μg/週の用量でインターフェロンラムダを投与することを含む。いくつかの実施形態において、第1の処置期間の期間の長さは、第2の処置期間の期間の長さと同じである。いくつかの実施形態において、第1の処置期間および第2の処置期間は、異なる長さの期間である。
【0059】
製剤および投与
インターフェロンラムダは、任意の治療上適切な用量で投与され得る。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダは、80μg(mcg)QWの用量で投与される。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダは、120mcgQWの用量で投与される。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダは、180mcgQWの用量で投与される。
【0060】
インターフェロンラムダは、任意の治療上適切な経路による投与のために製剤化され得る。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダは、静脈内または皮下投与による投与のために製剤化される。全身および局所投与経路を含む薬物送達に適切な他の経路が用いられ得る。
【0061】
特定の実施形態において、インターフェロンラムダは、皮下注射によって投与され、これには、大腿または腹部への注射が含まれるが、これに限定されない。本発明は、植物または他の同様の油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸のエステルまたはプロピレングリコールなどの水性または非水性溶媒中に、および所望により、可溶化剤、等張化剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤および防腐剤などの従来の添加剤と共に、溶解、懸濁または乳化させることにより、インターフェロンラムダが本発明による注射用調製物へ製剤化され得る、医薬製剤を提供する。注射または静脈内投与のための単位剤形は、組成物中に、滅菌水、生理食塩水または別の薬理学的に許容される担体中の溶液として含み得る。インターフェロンラムダの単位用量形態のための活性医薬成分の適切な量は本明細書で提供される。
【0062】
いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ(例えば、インターフェロンラムダ1aなどのインターフェロンラムダ1)またはその類似体は、次の特許公報の1つに記載されるように製剤化および/または投与および/または改変され、参照により本明細書に組み込まれる:米国特許第6,927,040号明細書、同第7,038,032号明細書、同第7,135,170号明細書、同第7,157,559号明細書、および同第8,980,245号明細書、米国特許出願公開第2009/0326204号明細書、同第2010/0222266号明細書、同第2011/0172170号明細書、または同第2012/0036590号明細書。
【実施例0063】
III.実施例
以下の例は、特許請求の範囲に係る発明を例示するために提供されるものであって、限定するものではない。
【0064】
実施例1.ペグ化インターフェロンラムダによるHDV患者を処置するためのプロトコル概要
この実施例は、慢性HDV感染患者におけるペグ化インターフェロンラムダ単独治療の安全性、忍容性、および薬力学を評価するためのフェーズ2臨床試験プロトコルを記述する。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
【表5】
【0070】
48週間の処置期間全体にわたって合計試験薬物用量の少なくとも80%を受け、1日目(ベースライン)および処置の終わり(48週)のHDVウイルス量データが入手可能である患者のコホートからの少なくとも1人の患者は、試験来院では、プロトコルに記載されている1つ以上のエンドポイントの改善が示される。いくつかの実施形態において、患者は、ベースラインと比較して、治療終了時にHDVウイルス量の減少を示す。いくつかの実施形態において、患者は、ベースラインと比較して、治療終了時にHBVウイルス量の減少を示す。いくつかの実施形態において、インターフェロンラムダ療法は、処置終了後12週間で測定されたように、HDVウイルスを実質的に、例えば検出できないレベルまで、減少させる。いくつかの実施形態において、患者は、ベースラインと比較して、治療終了時にHBsAgレベルの減少を示す。いくつかの実施形態において、患者は、HBsAg抗原の改善されたクリアランスを示す。
【0071】
実施例2.ペグ化インターフェロンラムダ単独治療によるHDVの治療
この試験では、慢性HDV感染症の患者に、48週間、毎週の皮下注射として、120mcgまたは180mcgのペグ化インターフェロンラムダ1-aのいずれかの処置を無作為に割り当てる。現在までに、1人の登録患者が8週間の処置に達している(患者1)。インターフェロンラムダ療法の結果として、8週間の処置にわたる患者のベースラインからのHDV RNAレベルの変化を以下の表2に要約する。
【0072】
【表6】
【0073】
表2に示すように、HDV RNAレベルの初期増加後、患者のHDVウイルス量は、アッセイの定量下限未満(<15IU/mL)のレベルまで低下した。
【0074】
本明細書で引用される全ての刊行物および特許は、個々の刊行物または特許が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように参照により本明細書に組み込まれ、そして、刊行物と共に引用される方法および/または材料を開示および説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0075】
本発明は一定の態様、実施形態および任意選択による特徴により具体的に開示されるが、当業者であれば、そのような態様、実施形態および任意選択による特徴の改変、改良および変形が当業者によって行われることができ、そのような改変、改良および変形は、本開示の範囲内であると考えられることが理解されるべきである。
【0076】
本発明は、本明細書に広く一般的に記載されている。一般的な開示の範囲内である、より狭い種および亜属のグループもそれぞれ、本発明の一部を形成する。また、本発明の特徴または態様がマーカッシュグループに関して記載される場合、当業者は、本発明はまた、それにより、マーカッシュグループの任意の個別の構成要素、または構成要素の下位グループに関する、と認識するであろう。
【0077】
【表7】
【表8】
【0078】
さらに、本発明は次の態様を包含する。
1. ヒト患者のデルタ型肝炎ウイルス(HDV)感染を処置する方法であって、前記患者に治療有効量のインターフェロンラムダを少なくとも4週間投与することを含む、方法。
【0079】
2. 前記患者が、肝硬変を伴うまたは伴わない代償性肝疾患を有する、項1に記載の方法。
【0080】
3. 前記患者が、肝硬変を伴う代償性肝疾患を有する、項2に記載の方法。
【0081】
4. 前記インターフェロンラムダが、ペグ化されたものである、項1に記載の方法。
【0082】
5. 前記インターフェロンラムダが、ペグ化インターフェロンラムダ-1aである、項4に記載の方法。
【0083】
6. 前記インターフェロンラムダが1週間当たり120μgの用量で投与される、項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【0084】
7. 前記インターフェロンラムダが1週間当たり180μgの用量で投与される、項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【0085】
8. 前記インターフェロンラムダが皮下投与される、項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【0086】
9. 前記インターフェロンラムダが少なくとも6ヶ月間投与される、項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【0087】
10. 前記インターフェロンラムダが少なくとも48週間投与される、項9に記載の方法。
【0088】
11. 前記処置過程が、血清1mL当たり100コピー未満または血清1mL当たり100IU未満のHDVウイルス量をもたらす、項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【0089】
12. 処置終了後、少なくとも12週間、前記HDVウイルス量が血清1mL当たり100コピー未満または血清1mL当たり100IU未満のままである、項11に記載の方法。
【0090】
13. 処置終了後、少なくとも24週間、前記HDVウイルス量が血清1mL当たり100コピー未満または血清1mL当たり100IU未満のままである、項12に記載の方法。
【0091】
14. 前記処置過程が、検出レベル未満のHDVウイルス量をもたらす、項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【0092】
15. 処置終了後、少なくとも12週間、前記HDVウイルス量が検出レベル未満のままである、項14に記載の方法。
【0093】
16. 処置終了後、少なくとも24週間、前記HDVウイルス量が検出レベル未満のままである、項15に記載の方法。
【0094】
17. 前記処置の開始前に、前記患者が、正常値上限(ULN)を上回る血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを有し、前記処置過程が、前記患者の血清ALTレベルにおいて前記ULN以内のレベルへの改善を生じる、項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【0095】
18. 前記処置過程が、処置の開始時の患者のベースラインHBVウイルス量と比較して、前記患者においてHBVウイルス量の減少を生じる、項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【0096】
19. 前記処置過程が、前記患者の肝機能の改善を生じる、項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【0097】
20. 前記肝機能の改善が、血清アルブミン、ビリルビン、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、プロトロンビン、アルファ2-マクログロブリン、アポリポタンパク質A1、ハプトグロビン、ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)からなる群から選択される1つ以上の血清マーカーの改善である、項19に記載の方法。
【0098】
21. 前記肝機能の改善が肝線維症の改善である、項19に記載の方法。
【0099】
22. 前記方法が、患者に別の抗ウイルス剤または抗HDV剤を投与することをさらに含む、項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【0100】
23. インターフェロンラムダが唯一のもしくは第1の抗ウイルス処置である、または唯一のもしくは第1の抗HDV処置である、項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【配列表】
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【手続補正書】
【提出日】2024-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載する発明。