(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015685
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】景品獲得ゲーム機
(51)【国際特許分類】
A63F 9/30 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
A63F9/30 501E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117919
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】593061846
【氏名又は名称】有限会社楠野製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】楠野 博美
(57)【要約】
【課題】 遊技の趣向性を向上させた景品獲得ゲーム機を提供する。
【解決手段】 遊技者による駆動部40の操作により景品Pを落下させて獲得する景品獲得ゲーム機1であって、支持部20は、筐体10内に固定される固定部材21と、一端側に被係合部23aを有し他端側が固定部材21に固定される紐状体23と、固定部材21に設けられて被係合部23aが着脱自在に係合する突部24とを備え、被係合部23aを景品Pに挿通して突部24に係合させることにより、景品Pを紐状体23によって吊り下げ支持することができ、移動体30を紐状体23に接触させて押圧することにより、被係合部23aを突部24に沿って摺動させて突部24との係合を解除し、景品Pを紐状体23に沿って自重で落下させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に景品を吊り下げ支持する支持部と、
前記筐体内に移動可能に設けられた移動体と、
前記移動体を駆動する駆動部とを備え、
遊技者による前記駆動部の操作により景品を落下させて獲得する景品獲得ゲーム機であって、
前記支持部は、筐体内に固定される固定部材と、一端側に被係合部を有し他端側が前記固定部材に固定される紐状体と、前記固定部材に設けられて前記被係合部が着脱自在に係合する突部とを備え、前記被係合部を景品に挿通して前記突部に係合させることにより、景品を前記紐状体によって吊り下げ支持することができ、
前記移動体を前記紐状体に接触させて押圧することにより、前記被係合部を前記突部に沿って摺動させて前記突部との係合を解除し、景品を前記紐状体に沿って自重で落下させる景品獲得ゲーム機。
【請求項2】
前記紐状体は、リンクチェーンであり、前記固定部材への固定位置よりも上方で前記被係合部が前記突部に係合する請求項1に記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項3】
前記駆動部は、遊技者の操作により前記移動体を左右方向の所望の位置まで移動させた後、所定時間経過後に前記移動体を前記紐状体に向けて前後方向に移動させる請求項1または2に記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項4】
前記駆動部は、前記移動体が左右方向の中央部に設定された原点に位置する状態から、前記移動体の移動を開始する請求項3に記載の景品獲得ゲーム機。
【請求項5】
前記紐状体は、左右方向および前後方向にそれぞれ複数配置されている請求項1に記載の景品獲得ゲーム機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の移動により景品を落下させて獲得する景品獲得ゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の景品獲得ゲーム機として、特許文献1には、景品を陳列した装置内に伸縮ポールを移動可能に配置し、遊技者の操作により伸縮ポールを上下方向および左右方向の2方向に移動させた後、伸縮ポールの伸長により景品を押圧して展示台から落下させる構成が開示されている。伸縮ポールと景品との間には、複数の穴が形成されたターゲットボードが配置されており、伸長した伸縮ポールがターゲットボードの穴を通過した場合のみ景品を押圧可能にすることで、遊技の難易度の調整が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の景品獲得ゲーム機は、伸長した伸縮ポールが景品を直接押圧するように構成されているので、伸縮ポールがターゲットボードの穴を通過した場合でも、景品の形状や重量、姿勢等によって遊技の難易度が大きく変化し、その調整が困難であるため趣向性が低下するおそれがあった。また、展示台に置かれた景品が、遊技中は静止したままであるため、視覚的な変化に乏しいという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明は、遊技の趣向性を向上させた景品獲得ゲーム機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、筐体と、前記筐体内に景品を吊り下げ支持する支持部と、前記筐体内に移動可能に設けられた移動体と、前記移動体を駆動する駆動部とを備え、遊技者による前記駆動部の操作により景品を落下させて獲得する景品獲得ゲーム機であって、前記支持部は、筐体内に固定される固定部材と、一端側に被係合部を有し他端側が前記固定部材に固定される紐状体と、前記固定部材に設けられて前記被係合部が着脱自在に係合する突部とを備え、前記被係合部を景品に挿通して前記突部に係合させることにより、景品を前記紐状体によって吊り下げ支持することができ、前記移動体を前記紐状体に接触させて押圧することにより、前記被係合部を前記突部に沿って摺動させて前記突部との係合を解除し、景品を前記紐状体に沿って自重で落下させる景品獲得ゲーム機により達成される。
【0007】
この景品獲得ゲーム機において、前記紐状体は、リンクチェーンであることが好ましく、前記固定部材への固定位置よりも上方で前記被係合部が前記突部に係合することが好ましい。
【0008】
前記駆動部は、遊技者の操作により前記移動体を左右方向の所望の位置まで移動させた後、所定時間経過後に前記移動体を前記紐状体に向けて前後方向に 移動させることが好ましい。前記駆動部は、前記移動体が左右方向の中央部に設定された原点に位置する状態から、前記移動体の移動を開始することがより好ましい。
【0009】
前記紐状体は、左右方向および前後方向にそれぞれ複数配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、遊技の趣向性を向上させた景品獲得ゲーム機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る景品獲得ゲーム機の正面図である。
【
図2】
図1に示す景品獲得ゲーム機の要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る景品獲得ゲーム機の正面図である。
図1に示すように、本実施形態の景品獲得ゲーム機1は、筐体10と、筐体10内に景品Pを吊り下げ支持する支持部20と、筐体10内に移動可能に設けられた移動体30と、移動体30を駆動する駆動部40とを備えている。
【0013】
筐体10は、正面および両側面が透明板により囲まれて複数の景品Pが収容される景品収容部11と、景品収容部11の正面下方に配置された操作部12と、景品収容部11で落下した景品Pを取り出すことができる景品取出口13とを備えている。景品収容部11には、LED等の照明装置(図示せず)が設けられている。また、操作部12は、移動体30を左右方向に移動させるための2つのボタン12a,12bが、左右に隣接して配置されている。
【0014】
支持部20は、筐体10内に固定される固定部材21と、一端側にリング状の被係合部23aを有し他端側が固定部材21に固定される紐状体23と、固定部材21に設けられて被係合部23aが着脱自在に係合する突部24とを備えている。
【0015】
固定部材21は、左右方向(X方向)に延びて両端部が筐体10の両側壁に取り付けられた4つのバー材21a,21b,21c,21dを備えている。
図2に要部側面図で示すように、4つのバー材21a,21b,21c,21dは、側面視で前後方向(Y方向)および上下方向(Z方向)のマトリクス状に配置されている。
【0016】
紐状体23は、下方に配置された2つのバー材21b,21dの複数個所(本実施形態ではそれぞれ5か所)から垂下するように、左右方向に略一定の間隔で複数設けられている。本実施形態の紐状体23は、金属製のリンクが複数連結されたリンクチェーンからなり、他端側に設けられた固定用リング23bが、2つのバー材21b,21dの下部にネジ止めされたチェーンクリップ25に固定されている。各紐状体23は、一方のバー材21bに取り付けられた紐状体23の間に、他方のバー材21dに取り付けられた紐状体23が位置するように、平面視で千鳥状に配置されている。
【0017】
突部24は、上方に配置された2つのバー材21a,21cから前方に突出するシャフト状の部材であり、各紐状体23に対応するように複数設けられている。各突部24の位置は、下方に配置された2つのバー材21b,21dに対する各紐状体23の固定位置の直上近傍であり、紐状体23の一端側に設けられたリング状の被係合部23aを、対応する突部24に係合させることができる。バー材21b,21dに対する突部24の取り付けは、例えば、バー材21b,21dの所定位置に貫通孔を前後方向に形成し、前方側から突部24を挿入し、後方側からネジ止めして行うことができる。突部24の大きさは特に限定されないが、被係合部23aが突部24に沿ってスムーズに摺動可能な大きさであることが好ましく、長さが60mm程度、直径が6mm程度を例示することができる。
【0018】
紐状体23の被係合部23aは、景品Pに挿通した後に突部24に係合させることにより、景品Pが紐状体23によって吊り下げ支持される。景品Pに対する紐状体23の挿通箇所は特に限定されないが、例えば、景品Pが環状のストラップSを備えている場合には、このストラップSに紐状体23を挿通することができる。あるいは、景品Pが菓子や玩具等を収容するバケツの場合には、バケツの取手Hの内側に紐状体23を挿通することができる。
【0019】
図1および
図2に示すように、駆動部40は、筐体10の上部に固定されて左右方向(X方向)に延びる固定レール41と、固定レール41に移動可能に取り付けられて前後方向(Y方向)に延びる移動レール42と、移動レール42に移動可能に取り付けられたスライダ43とを備えており、更に、移動レール42およびスライダ43を駆動するモータ等の駆動機構、および、駆動機構等の動作制御を行う制御基板を備えている。スライダ43の移動は、遊技者による操作部12の操作により行うことができ、スライダ43の左右方向および前後方向の現在位置は、ロータリーエンコーダ等でリアルタイムに検出される。
【0020】
移動体30は、前後方向に延びる棒状に形成されており、半球状に膨出する押圧部30aが前部に設けられている。移動体30は、側面視コ字状に形成されたブラケット31を介してスライダ43に固定されており、スライダ43と共に移動して、突部24から垂下する紐状体23を前方に押圧することができる。
【0021】
上記の構成を備える景品獲得ゲーム機1は、移動体30が、左右方向(X方向)の中央部で且つ前後方向(Y方向)の最後方である原点Oに位置する状態から、遊技者が操作部12の左側ボタン12aまたは右側ボタン12bを押圧すると、移動レール42の駆動により、押圧したボタン12a,12bの方向に移動体30が移動する。移動体30が、所望の景品Pを支持する紐状体23に接近したタイミングで、遊技者がボタン12a,12bから手を離すと、駆動部40は、移動体30の左右方向の移動を停止させた後、スライダ42の駆動により移動体30を前後方向に沿って前方に移動させる。移動体30の前方への移動は、移動体30が左右方向への移動を停止後にすぐに開始してもよいが、所定時間(例えば、0.5秒程度)の停止期間を設けることが好ましく、これによって、遊技者が移動体30の左右方向の停止位置を確実に把握することができ、移動体30の動きに遊技者の目を容易に追従させることができる。
【0022】
図3(a)に示すように、移動体30が矢示方向に向けて移動し、押圧部30aが前方で垂下する紐状体23に接触して押圧すると、被係合部23aが突部24に沿って前方に摺動し、被係合部23aと突部24との係合が解除される。これにより、
図3(b)に示すように、景品Pが、垂下する紐状体23に沿って案内されながら、矢示のように自重で落下する。落下した景品Pは、
図1に示す景品取出口13から取り出すことができる。一方、移動体30と紐状体23とが左右方向に若干の位置ずれを生じている場合には、移動体30が紐状体23と接触しても確実に押圧できないため、被係合部23aは、移動することなく突部24との係合状態が維持される。
【0023】
駆動部40は、被係合部23aと突部24との係合を確実に解除できる位置まで、移動体30を所定のストロークで前方に移動させた後、スライダ43および移動レール42の駆動により、移動体30を再び原点Oの位置に戻して遊技を終了させる。こうして、移動体30が原点Oに位置する状態から常に遊技を開始することで、遊技開始の直後から遊技者に緊張感を与えつつ遊技時間を短縮できると共に、遊技者が利き手等に応じて移動体30の左右の移動方向を選択することができるので、遊技者に公平感を与えることができる。
【0024】
本実施形態の景品獲得ゲーム機1は、遊技者の操作により移動する移動体30によって景品Pを直接押圧するのではなく、景品Pを吊り下げ支持する紐状体23を移動体30により押圧するように構成しているため、景品の形状や大きさ、重量等に関わらず、遊技の難易度を一定に維持することができる。なお、遊技の難易度は、移動体30による紐状体23の押圧位置によって変化し、押圧位置が被係合部23aに近いほど容易になる。この押圧位置は、例えば、移動体30を支持するブラケット31とスライダ43との間のシムの枚数等で容易に調整することが可能であり、あるいは、ハンドルの回転等により高さ調整可能に構成することもできる。
【0025】
また、景品Pは、チェーンからなる紐状体23に沿って接触しながら落下することで、景品Pの落下が揺動しながら緩やかに行われるため、景品獲得時の演出効果を高めることができる。また、移動体30と紐状体23とが接触することで紐状体23が揺動するため、仮に景品Pを獲得できなかった場合でも、遊戯中の遊技者の期待感を高めることができる。本実施形態においては、
図2に示すように、移動体30からチェーン等を介して垂下するアクセサリー100を設けており、移動体30の移動に伴うアクセサリー100の揺動によっても、遊技者を楽しませることができる。紐状体23は、本実施形態のように、固定部材21に対する固定位置よりも上方で、被係合部23aが突部24に係合することが好ましく、これによって、紐状体23に沿った景品Pの落下時間を十分確保することができる。
【0026】
紐状体23は、本実施形態のようにリンクチェーンであることが好ましく、これによって、移動体30が紐状体23を容易に押圧できると共に、景品Pが紐状体23に沿って落下する際に、リンク間の連結部で景品Pが周期的に減速されるため、動きの面白さによって演出効果をより高めることができる。また、金属製のチェーンを使用することで、筐体10内のLED等の照明光を効果的に反射するため、これによっても演出効果を高めることができる。但し、紐状体23は、必ずしもチェーンに限定されるものではなく、例えば、ワイヤ、ケーブル、帯紐等を使用することもできる。移動体30の押圧面30aの形状は、本実施形態の半球状に限定されるものではなく、例えば、平面状、凹状、へら状、舌状、櫛状など、紐状体23の材質や形状に合わせて適宜選択することができる。
【0027】
また、遊技者が操作部12の左右のボタン12a,12bのいずれかを1回押すだけで遊技が終了するため、シンプルな操作で遊技の趣向性を高めることができると共に、不特定多数の者が操作部12に接触する機会を低減することができるので、ウイルス等の接触感染症の拡大防止に有効である。
【0028】
景品Pを吊り下げ支持する紐状体23は、本実施形態のように、左右方向および前後方向にそれぞれ複数配置されていることが好ましく、これによって、正面視で景品Pを密集させつつ、各景品Pを確実に落下させることができる。
図4に示すように、前方のバー材21aの突部24に係合する紐状体23を移動体30で押圧する場合には、
図3に示す場合よりも移動体30の移動ストロークを大きくする。この移動ストロークの変更は、駆動部40が、スライダ43の左右方向の位置検出により、最も近い位置にある紐状体23を判別して行うことができる。
【符号の説明】
【0029】
1 景品獲得ゲーム機
10 筐体
20 支持部
21 固定部材
23 紐状体
23a 被係合部
24 突部
30 移動体
40 駆動部