(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156853
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】CD3およびCD20に対する二重特異性抗体を含む薬学的組成物、ならびにそれらの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20241029BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241029BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241029BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241029BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20241029BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20241029BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20241029BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20241029BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
A61K39/395 M ZNA
A61K39/395 N
A61P35/00
A61K9/08
A61K47/26
A61K47/12
C07K16/46
C07K16/28
C12N15/13
C12N15/62 Z
A61K39/395 M
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024126188
(22)【出願日】2024-08-01
(62)【分割の表示】P 2022509006の分割
【原出願日】2020-08-14
(31)【優先権主張番号】19191964.6
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】507316398
【氏名又は名称】ジェンマブ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルビャアン イェスパ
(72)【発明者】
【氏名】ハーロウ リーネ エス.
(72)【発明者】
【氏名】クラウスン ヤコプ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】イェンスン メデ エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】スィマンダ クレスチャン
(72)【発明者】
【氏名】パス イェスパ
(72)【発明者】
【氏名】マスン ピーダ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】レン シャン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルボム マリーア エー. シー.
(72)【発明者】
【氏名】ビェアアゴー ボレデ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、CD3およびCD20に対する二重特異性抗体の薬学的組成物および単位剤形、ならびにそれらの使用を提供する。
【解決手段】新規なCD3xCD20二重特異性抗体を含む組成物は、CD20を発現する細胞の特異的な標的化およびT細胞媒介性殺滅が望ましい治療状況で有用である。製剤は、IV投与および皮下投与の両方に有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a. 0.5~120 mg/mLの、ヒトCD3およびヒトCD20に結合する二重特異性抗体、
b. 20~40 mM 酢酸塩、
c. 140~260 mM ソルビトール、
d. 界面活性剤
を含む、またはそれらからなる、薬学的組成物であって、
ここで、該組成物のpHが5~6であり、該二重特異性抗体が、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 1
VH-CDR2: SEQ ID NO: 2
VH-CDR3: SEQ ID NO: 3
VL-CDR1: SEQ ID NO: 4
VL-CDR2: GTN、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 5
を含む、ヒトCD3に結合する第1結合領域と、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 8
VH-CDR2: SEQ ID NO: 9
VH-CDR3: SEQ ID NO: 10
VL-CDR1: SEQ ID NO: 11
VL-CDR2: DAS、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 12
を含む、ヒトCD20に結合する第2結合領域と
を含む、薬学的組成物。
【請求項2】
c.が、140~160 mMのソルビトールの範囲である、請求項1記載の薬学的組成物。
【請求項3】
CD3に結合する二重特異性抗体の第1結合領域が、SEQ ID: 6および7のVHおよびVL配列と
少なくとも90%の配列同一性、たとえば、SEQ ID: 6および7のVHおよびVL配列と少なくと
も95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVH配列およびVL配列を含
む、請求項1または2記載の薬学的組成物。
【請求項4】
CD20に結合する二重特異性抗体の第2結合領域が、SEQ ID: 13および14のVHおよびVL配
列と少なくとも90%の配列同一性、たとえば、SEQ ID: 13および14のVHおよびVL配列と少
なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVH配列およびVL配
列を含む、請求項1~3のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項5】
二重特異性抗体がIgG1抗体である、請求項1~4のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項6】
二重特異性抗体が、SEQ ID No 22および23の軽鎖定常領域などの、ラムダ軽鎖定常領域
およびカッパ軽鎖定常領域から選択される第1および第2軽鎖定常領域を含む第1および第2
軽鎖を含む、請求項1~5のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項7】
二重特異性抗体が、第1および第2重鎖を含むFc領域を含み、前記Fc領域は、野生型IgG1
Fc領域を含む二重特異性抗体と比べて低下したエフェクター機能を有するよう修飾され
ている、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項8】
二重特異性抗体が、野生型IgG1のFc領域を有する二重特異性抗体と比べて、C1qの前記
抗体への結合が少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なく
とも97%、または100%低下するよう修飾されているFc領域を含み、ここでC1q結合はELISA
により決定される、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項9】
二重特異性抗体が、それぞれが少なくともヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域を含む
第1および第2重鎖を含み、前記第1重鎖では、ヒトIgG1重鎖におけるT366、L368、K370、D
399、F405、Y407、およびK409からなる群より選択される位置に対応する位置のアミノ酸
の少なくとも1つが置換されており、前記第2重鎖では、ヒトIgG1重鎖におけるT366、L368
、K370、D399、F405、Y407、およびK409からなる群より選択される位置に対応する位置の
アミノ酸の少なくとも1つが置換されており、前記第1重鎖と前記第2重鎖は同じ位置では
置換されていない、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項10】
(i)ヒトIgG1重鎖におけるF405に対応する位置のアミノ酸が、前記第1重鎖においてLで
あり、ヒトIgG1重鎖におけるK409に対応する位置のアミノ酸が、前記第2重鎖においてRで
ある、または(ii)ヒトIgG1重鎖におけるK409に対応する位置のアミノ酸が、前記第1重鎖
においてRであり、ヒトIgG1重鎖におけるF405に対応する位置のアミノ酸が、前記第2重鎖
においてLである、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項11】
二重特異性抗体の第1重鎖および第2重鎖の両方の、ヒトIgG1重鎖における位置L234およ
びL235に対応する位置が、それぞれFおよびEである、前記請求項のいずれか一項記載の薬
学的組成物。
【請求項12】
二重特異性抗体の第1重鎖および第2重鎖の両方の、ヒトIgG1重鎖における位置L234、L2
35、およびD265に対応する位置が、それぞれF、E、およびAである、前記請求項のいずれ
か一項記載の薬学的組成物。
【請求項13】
二重特異性抗体の第1定常重鎖および第2定常重鎖の両方の、ヒトIgG1重鎖における位置
L234、L235、およびD265に対応する位置が、それぞれF、E、およびAであり、かつ第1定常
重鎖の、ヒトIgG1重鎖におけるF405に対応する位置が、Lであり、第2定常重鎖の、ヒトIg
G1重鎖におけるK409に対応する位置が、Rである、前記請求項のいずれか一項記載の薬学
的組成物。
【請求項14】
第1および第2定常重鎖が、SEQ ID NO:16のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有
するアミノ酸配列を含む、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項15】
第1および第2定常重鎖が、それぞれSEQ ID No: 19および20のアミノ酸配列を含む、前
記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項16】
二重特異性抗体が、それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および軽鎖を有
するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖および軽
鎖を有するCD20結合アームを含む、請求項1~14のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項17】
二重特異性抗体が、エプコリタマブ、またはそのバイオシミラーである、請求項1~14
のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項18】
a.が、0.5~120 mg/mL、たとえば1.0~60 mg/mL、またはたとえば5~30 mg/mL、たとえ
ば5 mg/mL、または6 mg/mL、または7 mg/ml、または8 mg/ml、または9 mg/ml、または10
mg/ml、または11 mg/ml、または12 mg/ml、または13 mg/ml、または14 mg/ml、または15
mg/ml、または16 mg/ml、または17 mg/ml、または18 mg/ml、または19 mg/ml、または20
mg/ml、または21 mg/ml、または22 mg/ml、または23 mg/ml、または24 mg/ml、または25
mg/ml、または26 mg/ml、または27 mg/ml、または28 mg/ml、または29 mg/ml、30 mg/ml
、31 mg/ml、32 mg/ml、33 mg/ml、34 mg/ml、35 mg/ml、36 mg/ml、37 mg/ml、38 mg/ml
、39 mg/ml、40 mg/ml、41 mg/ml、42 mg/ml、43 mg/ml、44 mg/ml、45 mg/ml、46 mg/ml
、47 mg/ml、48 mg/ml、49 mg/ml、50 mg/ml、51 mg/ml、52 mg/ml、53 mg/ml、54 mg/ml
、55 mg/ml、56 mg/ml、57 mg/ml、58 mg/ml、59 mg/ml、またはたとえば60 mg/mlである
、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項19】
b.が、25~35 mM、たとえば25 mM、26 mM、27 mM、28 mM、29 mM、30 mM、31 mM、32 m
M、33mM、34 mM、または35 mM、好ましくは30 mMである、前記請求項のいずれか一項記載
の薬学的組成物。
【請求項20】
c.が、145~155 mM、たとえば145 mM、146 mM、147 mM、148 mM、149 mM、150 mM、151
mM、152 mM、153 mM、154 mM、155 mM、好ましくは150 mMである、前記請求項のいずれ
か一項記載の薬学的組成物。
【請求項21】
pHが、5.3~5.6、たとえば5.4~5.6、たとえば約5.5である、前記請求項のいずれか一
項記載の薬学的組成物。
【請求項22】
界面活性剤が、グリセロールモノオレアート、塩化ベンゼトニウム、ナトリウムドクサ
ート、リン脂質、ポリエチレンアルキルエーテル、ラウリル硫酸ナトリウム、およびトリ
カプリリン、塩化ベンズアルコニウム、シトリミド、塩化セチルピリジニウム、およびリ
ン脂質、アルファトコフェロール、グリセロールモノオレアート、ミリスチルアルコール
、リン脂質、ポロキサマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン
ひまし油誘導体、ポリオキシエチレンソルビンタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン
ステラレート、ポリオキシルヒドロキシステアラート、ポリオキシルグリセリド、ポリソ
ルベート、プロピレングリコールジラウラート、プロピレングリコールモノラウラート、
ソルビタンエステルスクロースパルミタート、スクロースステアラート、トリカプリリン
、およびTPGSを含む群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項23】
界面活性剤がポリソルベートである、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項24】
界面活性剤が、ポリソルベート20または80、たとえばポリソルベート80である、前記請
求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項25】
界面活性剤が、約0.005%~0.4% w/v、たとえば約0.01~0.1% w/v、たとえば約0.01~0.
09% w/v、たとえば約0.01~0.06% w/v、たとえば約0.01~0.05% w/v、たとえば0.02% w/v
、または0.03% w/v、または0.04% w/v、または0.05% w/v、好ましくは0.04% w/vの濃度で
含まれる、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項26】
前記組成物が、5.3~5.8、または5.4~5.7、たとえば約5.5のpHを有し、かつ、
a. 0.5~120 mg/mLの二重特異性抗体
b. 20~40 mM 酢酸塩
c. 140~260 mM ソルビトール
d. 0.005%~0.4% w/vの界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート2
0またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含む、またはそれらからなる、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項27】
c.が、140~160 mM ソルビトールである、請求項26記載の薬学的組成物。
【請求項28】
前記組成物が、5.4~5.6、たとえば約5.5のpHを有し、かつ、
a. 0.5~120 mg/mLの二重特異性抗体
b. 28~32 mM 酢酸塩
c. 145~155 mM ソルビトール
d. 0.02~0.05% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含む、またはそれらからなる、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項29】
a.が5~60 mg/mLである、請求項26~28のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項30】
a.が12~24 mg/mL、たとえば12 mg/mLまたは24 mg/mLである、請求項29記載の薬学的組
成物。
【請求項31】
a.が2~8 mg/mLである、請求項1~28のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項32】
a.が30~90 mg/mLである、請求項1~28のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項33】
a.が5 mg/mLである、請求項1~28のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項34】
a.が60 mg/mLである、請求項1~28のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項35】
前記組成物が、約5.5のpHを有し、かつ、
e. 0.5~120 mg/mLの二重特異性抗体
f. 30 mM 酢酸塩
g. 150 mM ソルビトール
h. 0.04% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20または
ポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含む、またはそれらからなる、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項36】
前記組成物が、約5.5のpHを有し、かつ、
i. 0.5~120 mg/mLの二重特異性抗体
j. 30 mM 酢酸塩
k. 250 mM ソルビトール
l. 0.04% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20または
ポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含む、またはそれらからなる、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項37】
a.が2~8 mg/mLである、請求項35または請求項36記載の薬学的組成物。
【請求項38】
a.が30~90 mg/mLである、請求項35または請求項36記載の薬学的組成物。
【請求項39】
a.が10~50 mg/mLである、請求項35または請求項36記載の薬学的組成物。
【請求項40】
a.が12~24 mg/mL、たとえば12 mg/mLまたは24 mg/mLである、請求項35または請求項36
記載の薬学的組成物。
【請求項41】
a.が5 mg/mLである、請求項35または請求項36記載の薬学的組成物。
【請求項42】
a.が60 mg/mLである、請求項35または請求項36記載の薬学的組成物。
【請求項43】
前記組成物がヒアルロニダーゼを含まない、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組
成物。
【請求項44】
前記組成物が20 mM未満のNaClを含む、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物
。
【請求項45】
前記組成物が60 mM未満のアルギニンを含む、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的
組成物。
【請求項46】
前記組成物が皮下用組成物である、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項47】
前記組成物が静脈内用組成物である、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項48】
前記組成物が癌の治療に使用される、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項49】
前記組成物が皮下投与に使用される、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項50】
前記組成物が静脈内投与に使用される、請求項1~45のいずれか一項記載の薬学的組成
物。
【請求項51】
単位剤形の状態である、請求項1~50のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項52】
前記組成物が、2~8℃、たとえば5℃の貯蔵温度における、少なくとも6カ月間、たとえ
ば少なくとも9カ月間、または少なくとも12カ月間にわたる薬学的使用のために、安定で
ある、前記請求項のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項53】
皮下投与のためである、請求項1~46のいずれか一項記載の薬学的組成物の使用。
【請求項54】
静脈内投与のためである、請求項1~45のいずれか一項記載の薬学的組成物の使用。
【請求項55】
癌の治療のためである、請求項53または54のいずれか一項記載の使用。
【請求項56】
その必要がある対象に、請求項1~52のいずれか一項記載の薬学的組成物を、癌を治療
するのに十分な時間にわたり投与する段階を含む、対象の癌を治療する方法。
【請求項57】
前記組成物が皮下投与または静脈内投与される、請求項56記載の方法。
【請求項58】
癌がB細胞悪性腫瘍である、請求項56または57のいずれか一項記載の方法。
【請求項59】
単位剤形であって、
a.
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 1
VH-CDR2: SEQ ID NO: 2
VH-CDR3: SEQ ID NO: 3
VL-CDR1: SEQ ID NO: 4
VL-CDR2: GTN、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 5
を含む、ヒトCD3に結合する第1結合領域と、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 8
VH-CDR2: SEQ ID NO: 9
VH-CDR3: SEQ ID NO: 10
VL-CDR1: SEQ ID NO: 11
VL-CDR2: DAS、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 12
を含む、ヒトCD20に結合する第2結合領域と
を含む、5 μg~120 mgの量の二重特異性抗体、
b. 1:5~1:10の比の酢酸バッファーとソルビトールであって、ここで前記単位剤形のオス
モル濃度は200~600であり、pHは5.4~5.6である、酢酸バッファーとソルビトール、なら
びに
c. 界面活性剤
を含む、またはそれらからなる、前記単位剤形。
【請求項60】
a.
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 1
VH-CDR2: SEQ ID NO: 2
VH-CDR3: SEQ ID NO: 3
VL-CDR1: SEQ ID NO: 4
VL-CDR2: GTN、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 5
を含む、ヒトCD3に結合する第1結合領域と、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 8
VH-CDR2: SEQ ID NO: 9
VH-CDR3: SEQ ID NO: 10
VL-CDR1: SEQ ID NO: 11
VL-CDR2: DAS、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 12
を含む、ヒトCD20に結合する第2結合領域と
を含む、5 μg~120 mgの量の二重特異性抗体、
b. 約5.5のpHで約30 mMの濃度の酢酸塩
c. 約150 mMの濃度のソルビトール、ならびに
d. 約0.04% w/v ポリソルベート80
を含む、またはそれらからなる、請求項59記載の単位剤形。
【請求項61】
a.
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 1
VH-CDR2: SEQ ID NO: 2
VH-CDR3: SEQ ID NO: 3
VL-CDR1: SEQ ID NO: 4
VL-CDR2: GTN、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 5
を含む、ヒトCD3に結合する第1結合領域と、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 8
VH-CDR2: SEQ ID NO: 9
VH-CDR3: SEQ ID NO: 10
VL-CDR1: SEQ ID NO: 11
VL-CDR2: DAS、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 12
を含む、ヒトCD20に結合する第2結合領域と
を含む、5 μg~120 mgの量の二重特異性抗体、
b. 約5.5のpHで約30 mMの濃度の酢酸塩
c. 約250 mMの濃度のソルビトール、ならびに
d. 約0.04% w/v ポリソルベート80
を含む、またはそれらからなる、請求項59記載の単位剤形。
【請求項62】
ヒトCD3に結合する二重特異性抗体の第1結合領域が、SEQ ID: 6および7のVHおよびVL配
列を含み、ヒトCD20に結合する二重特異性抗体の第2結合領域が、SEQ ID: 13および14のV
HおよびVL配列を含む、請求項59~61のいずれか一項記載の単位剤形。
【請求項63】
二重特異性抗体が、それぞれSEQ ID NO: 19および20の第1および第2定常領域重鎖を含
む、請求項62記載の単位剤形。
【請求項64】
二重特異性抗体が、それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および軽鎖を有
するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖および軽
鎖を有するCD20結合アームを含む、請求項62記載の単位剤形。
【請求項65】
二重特異性抗体が、エプコリタマブ、またはそのバイオシミラーである、請求項62記載
の単位剤形。
【請求項66】
二重特異性抗体の量が40 μg~80 mgである、請求項59~65のいずれか一項記載の単位
剤形。
【請求項67】
二重特異性抗体の量が、40 μg~60 mg、たとえば40 μg、50 μg、100 μg、150、160
μg、170 μg、180 μg、190 μg、200 μg、250 μg、300 μg、350 μg、400 μg、45
0 μg、500 μg、600 μg、700 μg、800 μg、900 μg、1 mg、2 mg、3 mg、4 mg、5 mg
、6 mg、7 mg、8 mg、9 mg、10 mg、11 mg、12 mg、13 mg、14 mg、15 mg、16 mg、17 mg
、18 mg、19 mg、20 mg、21 mg、22 mg、23 mg、24 mg、25 mg、26 mg、27 mg、28 mg、2
9 mg、30 mg、31 mg、32 mg、33 mg、34 mg、35 mg、36 mg、37 mg、38 mg、39 mg、40 m
g、41 mg、42 mg、43 mg、44 mg、45 mg、46 mg、47 mg、48 mg、49 mg、50 mg、51 mg、
52 mg、53 mg、54 mg、55 mg、56 mg、57 mg、58 mg、59 mg、またはたとえば60 mgであ
る、請求項59~66のいずれか一項記載の単位剤形。
【請求項68】
総体積が、0.5 mL~2 mL、たとえば1 mLである、請求項59~67のいずれか一項記載の単
位剤形。
【請求項69】
皮下投与用である、請求項68記載の単位剤形。
【請求項70】
投与される単位剤形の体積が、約1.0 ml、または0.8 mLである、請求項69記載の単位剤
形。
【請求項71】
総体積が20 mL~200 mLであり、前記単位剤形がI.V.投与用である、請求項59~68のい
ずれか一項記載の単位剤形。
【請求項72】
その必要がある対象に、請求項59~71のいずれか一項記載の単位剤形を、癌を治療する
のに十分な時間にわたり投与する段階を含む、対象の癌を治療する方法。
【請求項73】
癌の治療に使用される、請求項59~71のいずれか一項記載の単位剤形。
【請求項74】
請求項59~72のいずれか一項記載の単位剤形を含む、容器。
【請求項75】
a. 請求項1~52のいずれか一項記載の薬学的組成物
b. 単位剤形のためのレセプタクル
c. 希釈のためおよび/または使用のための指示書
を含む、キット・オブ・パーツ。
【請求項76】
a. 請求項1~52のいずれか一項記載の薬学的組成物
b. 希釈剤
c. 単位剤形のためのレセプタクル
d. 希釈のためおよび/または使用のための指示書
を含む、キット・オブ・パーツ。
【請求項77】
a. 請求項1~52のいずれか一項記載の薬学的組成物
b. 酢酸塩、ソルビトール、およびポリソルベート80を含む、希釈剤
c. 単位剤形のためのレセプタクル
d. 希釈のためおよび/または使用のための指示書
を含む、キット・オブ・パーツ。
【請求項78】
酢酸塩とソルビトールとポリソルベート80の濃度の比が、希釈剤および薬学的組成物に
おいて同一である、請求項77記載のキット・オブ・パーツ。
【請求項79】
a.薬学的組成物が、
i. 5~60 mg/mLの二重特異性抗体
ii. 30 mM 酢酸バッファー
iii. 150 mM ソルビトール
iv. 0.04% w/v ポリソルベート80
を含み、
v. pHは5.5である、
b. 単位剤形のためのレセプタクル、ならびに
c. 希釈のためおよび/または使用のための指示書
、請求項75~78のいずれか一項記載のキット・オブ・パーツ。
【請求項80】
a.
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 1
VH-CDR2: SEQ ID NO: 2
VH-CDR3: SEQ ID NO: 3
VL-CDR1: SEQ ID NO: 4
VL-CDR2: GTN、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 5
を含む、ヒトCD3に結合する第1結合領域と、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 8
VH-CDR2: SEQ ID NO: 9
VH-CDR3: SEQ ID NO: 10
VL-CDR1: SEQ ID NO: 11
VL-CDR2: DAS、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 12
を含む、ヒトCD20に結合する第2結合領域と
を含む、0.5~120 mg/mLの二重特異性抗体
b. 3.53 mg/mLの酢酸ナトリウム三水和物
c. 0.24 mg/mLの酢酸
d. 27.3 mg/mLのソルビトール
e. 0.4 mg ポリソルベート80
を注射用水中で混合する工程、ならびに
水酸化ナトリウムを添加することによりpHを5.5に調節する工程
を含む、請求項1~47のいずれか一項に定められる薬学的組成物を調製する方法。
【請求項81】
a.が5 mg/mLである、請求項80記載の方法。
【請求項82】
a.が12 mg/mLである、請求項80記載の方法。
【請求項83】
a.が24 mg/mLである、請求項80記載の方法。
【請求項84】
a.が48 mg/mLである、請求項80記載の方法。
【請求項85】
a.が60 mg/mLである、請求項80記載の方法。
【請求項86】
a. 請求項80~85のいずれか一項記載の方法の工程により薬学的組成物を調製する工程
、または請求項1~45のいずれか一項に定められる薬学的組成物を準備する工程;
b. 希釈剤を準備する工程
c. 薬学的組成物と希釈剤とを所望の二重特異性抗体濃度まで混合する工程
を含む、請求項59~71のいずれか一項に定められる単位剤形を調製する方法。
【請求項87】
a. 請求項80~85のいずれか一項記載の方法の工程により薬学的組成物を調製する工程
、または請求項1~45のいずれか一項に定められる薬学的組成物を準備する工程;
b. 置換物(substituent)に関して、工程a.で調製されたまたは準備された薬学的組成
物と同じまたは同様の濃度を有する希釈剤を準備する工程
c. 薬学的組成物と希釈剤とを所望の二重特異性抗体濃度まで混合する工程
を含む、請求項59~71のいずれか一項に定められる単位剤形を調製する方法。
【請求項88】
請求項80~87のいずれか一項に定められる方法のいずれかにより得ることができる、薬
学的組成物または単位剤形。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、CD3およびCD20に対する二重特異性抗体の薬学的組成物および単位剤形、な
らびにそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
CD3は長年にわたり知られており、したがって多くの局面において関心対象となってい
る。具体的には、CD3、または一部がCD3であるT細胞受容体複合体に対し作り出された抗
体が知られている。
【0003】
標的化抗体療法を改善する有望なアプローチは、細胞傷害性細胞を、抗原を発現してい
る癌細胞に特異的に送達することによる。T細胞を用いて腫瘍細胞を効率よく死滅させる
というこの概念は、Staerz, et. al., 1985, Nature 314:628-631(非特許文献1)に記載
されている。ところが初期の臨床試験は、主に二重特異性抗体の有効性の低さ、重大な有
害作用(サイトカインストーム)、および免疫原性のせいで、むしろ期待外れであった(
Muller and Kontermann, 2010, BioDrugs 24: 89-98(非特許文献2))。二重特異性抗体
の設計および適用の進歩により、初めのサイトカインストームの障壁が一部克服され、用
量を制限する毒性なしに臨床的有効性が高まった(Garber, 2014, Nat. Rev. Drug Disco
v. 13: 799-801(非特許文献3);Lum and Thakur, 2011, BioDrugs 25: 365-379(非特許
文献4))。カツマキソマブに関して記載されたような初めのサイトカインストームの障
壁の克服に重要だったのは(Berek et al. 2014, Int. J. Gynecol. Cancer 24(9): 1583
-1589(非特許文献5); Mau-Sorensen et al. 2015, Cancer Chemother. Pharmacol. 75:
1065-1073(非特許文献6))、Fcドメインの不存在またはサイレンシングであった。
【0004】
CD20分子(ヒトBリンパ球限定分化抗原またはBp35とも呼ばれる)は、プレBおよび成熟
Bリンパ球上に存在する、分子量およそ35kDの疎水性膜貫通型タンパク質である(Valenti
ne et al. (1989) J. Biol. Chem. 264(19):11282-11287(非特許文献7);およびEinfiel
d et al., (1988) EMBO J. 7(3):711-717(非特許文献8))。CD20は、末梢血またはリン
パ器官に由来するB細胞の90%超の表面に見られ、プレB細胞の発生初期に発現して形質細
胞の分化まで留まる。CD20は、正常B細胞だけでなく悪性B細胞にも存在する。具体的には
、CD20は、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)の90%超に発現する(Anderson et al. (1984
) Blood 63(6):1424-1433(非特許文献9))が、造血幹細胞、プロB細胞、正常な形質細
胞、またはほかの正常な組織には見られない(Tedder et al. (1985) J. Immunol. 135(2
):973-979(非特許文献10))。
【0005】
CD20を標的化することにより癌のみならず自己免疫疾患および免疫疾患も治療する方法
が、当技術分野において公知である。たとえば、キメラCD20抗体リツキシマブが、非ホジ
キンリンパ腫(NHL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、および小リンパ球性リンパ腫(SLL
)などの癌の治療のために使用されている、または使用するよう提案されている。ヒトモ
ノクローナルCD20抗体オファツムマブが、数ある中でもとりわけ様々なCLL適応症、濾胞
性リンパ腫(FL)、視神経脊髄炎(NMO)、びまん性および再発寛解型多発性硬化症(RRM
S)の治療のために使用されている、または使用するよう提案されている。
【0006】
CD3およびCD20の両方に結合する二重特異性抗体が、先行技術から知られている。
【0007】
WO 2011028952(特許文献1)は、とくに、XencorのXmAb二重特異性Fcドメイン技術を用
いてのCD3xCD20二重特異性分子の生成について記載している。
【0008】
WO 2014047231(特許文献2)は、Regeneron PharmaceuticalsのFcΔAdp技術を用いて生
成されたREGN1979およびほかのCD3xCD20二重特異性抗体を記載している。
【0009】
Sun et al.(2015, Science Translational Medicine 7, 287ra70(非特許文献11))
は、「ノブズ・イントゥ・ホールズ(knobs-into-holes)」技術を用いて構築された、B
細胞を標的とする抗CD20/CD3 T細胞依存性二重特異性抗体を記載している。
【0010】
参照により本明細書に組み入れられるWO 2016/110576(特許文献3)は、二重特異性CD3
xCD20抗体を提供しており、本発明は、WO 2016/110576(特許文献3)のCD3xCD20抗体の安
定な薬学的製剤に関する。CD3およびCD20の両方に結合する二重特異性抗体は、CD20を発
現する細胞の特異的な標的化およびT細胞媒介性殺滅が望ましい治療状況で有用であり得
、そのような二重特異性抗体は、NHL、CLL、およびほかのB細胞性腫瘍の治療可能性につ
いて研究されている。臨床試験において開発途上である先行技術のCD3xCD20二重特異性抗
体は、静脈内(IV)経路を介して投与されている。そのような投与経路は、高すぎるサイ
トカイン放出レベルと関連づけられ得るCD3xCD20二重特異性抗体の高いCmaxを招きかねな
い。というのは、CD20を発現している標的細胞とT細胞とが二重特異性抗体により架橋さ
れると、サイトカインの放出、たとえば炎症性サイトカイン、たとえばIL-6、TNF-アルフ
ァ、またはIL-8の放出を招くためで、その結果、熱、悪心、嘔吐、および悪寒のような有
害作用が生じる。したがって、二重特異性抗体の独特な抗腫瘍活性にもかかわらず、それ
らの免疫作用機序は望ましくない「副」作用、すなわちたとえば「初回投与サイトカイン
応答または症候群」として知られる望ましくない炎症反応の誘導を引き起こす。そのよう
な状況下では、患者を、たとえば鎮痛剤、解熱剤、および/または非ステロイド系抗炎症
薬との併用治療または前投薬に供する必要がある。このように、人間または動物への投与
後のT細胞リダイレクト二重特異性抗体の全身性サイトカイン放出プロファイルを改変す
る、または軽減するという、満たされていない需要がある。したがって、さらなる抗体製
剤、ならびにCD3およびCD20に結合する二重特異性抗体の薬学的組成物に対する需要があ
り、そのような組成物は、ほかと違って、全身性サイトカイン放出の副作用を回避または
軽減するが、それと同時に、CD20を発現する腫瘍細胞の高効率なT細胞媒介性殺滅を提供
するよう、投与され得る。本発明の目的は、WO 2016/110576(特許文献3)に開示されるC
D3xCD20二重特異性抗体の単純かつ安定な薬学的製剤を提供することであり、該二重特異
性CD3xCD20抗体およびそのような製剤は、約0.5 mg/mLという抗体濃度から、約60 mg/mL
、または120 mg/mL、またはさらには150 mg/mLという高い抗体濃度まで、広範囲にわたり
安定である。本発明のさらなる目的は、CD3xCD20二重特異性抗体の薬学的製剤を提供する
ことであって、該製剤は、少なくとも3カ月間、または少なくとも6カ月間もしくは少なく
とも12カ月間などそれよりも長い期間にわたり安定である。さらに、本発明の目的は、2
℃~25℃などの温度範囲で安定な製剤を提供することである。さらなる目的は、IV投与お
よび皮下投与の両方に好適な、二重特異性CD3xCD20抗体の薬学的製剤を提供することであ
る。IV投与と比べてSC投与のほうが輸注/注射の時間がはるかに短いので、多くの場合、
薬学的製剤が皮下投与されるほうが患者にとって便利であり得る。本発明のさらなる目的
は、SC注射部位で良好に耐容される、二重特異性CD3xCD20抗体の薬学的製剤を提供するこ
とである。さらなる目的は、皮下投与されて、患者体内で軽減したサイトカイン放出プロ
ファイルを与えることができるが、それと同時に、CD20を発現する腫瘍細胞の高効率なT
細胞媒介性殺滅を提供することができる、薬学的組成物を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO 2011028952
【特許文献2】WO 2014047231
【特許文献3】WO 2016/110576
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Staerz, et. al., 1985, Nature 314:628-631
【非特許文献2】Muller and Kontermann, 2010, BioDrugs 24: 89-98
【非特許文献3】Garber, 2014, Nat. Rev. Drug Discov. 13: 799-801
【非特許文献4】Lum and Thakur, 2011, BioDrugs 25: 365-379
【非特許文献5】Berek et al. 2014, Int. J. Gynecol. Cancer 24(9): 1583-1589
【非特許文献6】Mau-Sorensen et al. 2015, Cancer Chemother. Pharmacol. 75: 1065-1073
【非特許文献7】Valentine et al. (1989) J. Biol. Chem. 264(19):11282-11287
【非特許文献8】Einfield et al., (1988) EMBO J. 7(3):711-717
【非特許文献9】Anderson et al. (1984) Blood 63(6):1424-1433
【非特許文献10】Tedder et al. (1985) J. Immunol. 135(2):973-979
【非特許文献11】Sun et al. 2015, Science Translational Medicine 7, 287ra70
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、CD3抗体に由来する第1抗原結合領域およびCD20抗体に由来する第2抗
原結合領域を含む、新規な二重特異性抗体の薬学的組成物を提供することである。
【0014】
新規なCD3xCD20二重特異性抗体を含む組成物は、CD20を発現する細胞の特異的な標的化
およびT細胞媒介性殺滅が望ましい治療状況で有用である。製剤は、IV投与および皮下投
与の両方に有用である。
【0015】
したがって、主要な局面では、本発明は、
a. 50~120 mg/mLの、ヒトCD3およびヒトCD20に結合する二重特異性抗体、
b. 20~40 mM 酢酸塩、
c. 140~160 mM ソルビトール、
d. 界面活性剤
を含む薬学的組成物に関し、
ここで、組成物のpHは5~6であり、二重特異性抗体は、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 1
VH-CDR2: SEQ ID NO: 2
VH-CDR3: SEQ ID NO: 3
VL-CDR1: SEQ ID NO: 4
VL-CDR2: GTN、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 5
を含む、ヒトCD3に結合する第1結合領域と、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 8
VH-CDR2: SEQ ID NO: 9
VH-CDR3: SEQ ID NO: 10
VL-CDR1: SEQ ID NO: 11
VL-CDR2: DAS、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 12
を含む、ヒトCD20に結合する第2結合領域と
を含む。
【0016】
さらなる局面では、本発明は、皮下投与のための本発明の薬学的組成物の使用に関する
。
【0017】
さらなる局面では、本発明は、静脈内投与のための本発明の薬学的組成物の使用に関す
る。
【0018】
さらなる局面では、本発明は、癌の治療のための本発明の薬学的組成物の使用に関する
。
【0019】
さらなる局面では、本発明は、対象の癌を治療する方法に関し、該方法は、その必要が
ある対象に、本発明の薬学的組成物を、癌を治療するのに十分な時間にわたり投与する段
階を含む。
【0020】
またさらなる局面では、本発明は単位剤形に関し、該単位剤形は、
a.
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 1
VH-CDR2: SEQ ID NO: 2
VH-CDR3: SEQ ID NO: 3
VL-CDR1: SEQ ID NO: 4
VL-CDR2: GTN、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 5
を含む、ヒトCD3に結合する第1結合領域と、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 8
VH-CDR2: SEQ ID NO: 9
VH-CDR3: SEQ ID NO: 10
VL-CDR1: SEQ ID NO: 11
VL-CDR2: DAS、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 12
を含む、ヒトCD20に結合する第2結合領域と
を含む、約5 μg~約50 mgの量の二重特異性抗体、
b. 1:5~1:10の比の酢酸バッファーとソルビトールであって、ここで単位剤形のオスモル
濃度は約210~約250であり、pHは5~6、たとえば約5.5である、酢酸バッファーとソルビ
トール、ならびに
c. 界面活性剤
を含む。
【0021】
さらに別の局面では、本発明は、
a.
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 1
VH-CDR2: SEQ ID NO: 2
VH-CDR3: SEQ ID NO: 3
VL-CDR1: SEQ ID NO: 4
VL-CDR2: GTN、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 5
を含む、ヒトCD3に結合する第1結合領域と、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 8
VH-CDR2: SEQ ID NO: 9
VH-CDR3: SEQ ID NO: 10
VL-CDR1: SEQ ID NO: 11
VL-CDR2: DAS、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 12
を含む、ヒトCD20に結合する第2結合領域と
を含む、約5 μg~約50 mgの量の二重特異性抗体、
b. 約5.5のpHで約30 mMの濃度の酢酸バッファー、
c. 約150 mMの濃度のソルビトール、
d. 約0.04% w/v ポリソルベート80
を含む、単位剤形に関する。
【0022】
さらに別の局面では、本発明は、
a. 約0.5 mg~約120 mg/mLの量のエプコリタマブ、またはそのバイオシミラー、
b. 約5.5のpHで約30 mMの濃度の酢酸バッファー、
c. 約150 mMの濃度のソルビトール、
d. 約0.04% w/v ポリソルベート80
を含む、またはそれらからなる、薬学的組成物に関する。
【0023】
さらに別の局面では、本発明は、
a. 約0.5 μg~約120 mgの量のエプコリタマブ、またはそのバイオシミラー、
b. 約5.5のpHで約30 mMの濃度の酢酸バッファー、
c. 約250 mMの濃度のソルビトール、
d. 約0.04% w/v ポリソルベート80
を含む、またはそれらからなる、単位剤形に関する。
【0024】
これらの、ならびにほかの局面および態様は、以下のセクションでより詳細に記載する
。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】異なる製剤中Duobody-CD3xCD20の可溶性スクリーニング。Duobody-CD3xCD20を図示のバッファー中で製剤化し、遠心濃縮器を用いて時間調節したスピン間隔で連続的に濃縮した。20、50、60、および90分のスピン間隔後に各製剤の濃度を測定した。
【
図2】図示の製剤中Duobody-CD3xCD20(120~150 mg/mL)の粘性。図示の製剤中の濃縮Duobody-CD3xCD20試料(120~150 mg/mL)の粘性(cP)を、Wells-Brookfield Cone/Plate流量計を用いて、異なるずり速度で測定した。
【
図3-1】DuoBody-CD3xCD20の単回IV投与(0.1または1 mg/kg)または単回SC投与(0.1または1 mg/kg)のいずれかを受けたカニクイザルの群ごとの平均血中サイトカインレベル。
【
図4】DuoBody-CD3xCD20の4x反復IV投与がカニクイザルの末梢血中B細胞に及ぼす影響。(A)DuoBody-CD3xCD20の4回の毎週IV投与(0.01、0.1、および1 mg/kg)の後のカニクイザルの末梢血中の経時的な用量群ごとの平均B細胞数(CD4-CD8-CD16-CD19+ 細胞)。(B)投与前のB細胞数に対するパーセンテージとしての用量群ごとの平均B細胞数。B細胞数を絶対細胞数として示す(細胞/μL)。
【
図5】DuoBody-CD3xCD20の単回SC投与がカニクイザルの末梢血中B細胞に及ぼす影響。(A)DuoBody-CD3xCD20の単回SC投与(0.01、0.1、1、10、または20 mg/kg)後のカニクイザルの末梢血中の経時的な用量群ごとの平均B細胞数。(B)投与前のB細胞数に対するパーセンテージとしての用量群ごとの平均B細胞数。B細胞数を絶対細胞数として示す(細胞/μL)。
【
図6】DuoBody-CD3xCD20のプライミング用量およびそれに続く標的用量のIV輸注がカニクイザルの末梢血中B細胞に及ぼす影響。プライミング用量(0.01 mg/kg)としてのIV輸注、およびその翌日の1標的用量(1 mg/kg; IV)を投与されたカニクイザルの末梢血中の経時的な平均B細胞数(CD4-CD8-CD16-CD19+ 細胞)。B細胞数を絶対細胞数として示す(細胞/μL)。
【
図7】DuoBody-CD3xCD20の4x反復IV投与がカニクイザルのリンパ節中B細胞に及ぼす影響。(A)DuoBody-CD3xCD20の4回の毎週IV投与(0.01、0.1、または1 mg/kg)後のカニクイザルのリンパ節における経時的な用量群ごとの平均B頻度(全リンパ球集団に対するパーセンテージとしてのCD4-CD8-CD16-CD19+ 細胞)。(B)投与前のB細胞頻度に対するパーセンテージとしての用量群ごとの平均B細胞頻度。
【
図8】DuoBody-CD3xCD20の単回SC投与がカニクイザルのリンパ節中B細胞に及ぼす影響。(A)DuoBody-CD3xCD20の単回SC投与(0.01、0.1、1、10、または20 mg/kg)後のカニクイザルのリンパ節における経時的な用量群ごとの平均B細胞頻度(全リンパ球集団に対するパーセンテージとしてのCD4-CD8-CD16-CD19+ 細胞)。(B)投与前のB細胞頻度に対するパーセンテージとしての用量群ごとの平均B細胞頻度。
【
図9】DuoBody-CD3xCD20のプライミング用量およびそれに続く標的用量のIV輸注がカニクイザルのリンパ節中B細胞に及ぼす影響。プライミング用量(0.01 mg/kg)としてのIV輸注、およびその翌日の1標的用量(1 mg/kg; IV)を投与されたカニクイザルのリンパ節における経時的な平均B細胞頻度(全リンパ球集団に対するパーセンテージとしてのCD4-CD8-CD16-CD19+ 細胞)。
【
図10】DuoBody-CD3xCD20でのIV治療後のカニクイザルの脾臓およびリンパ節におけるB細胞の枯渇および回復。上のパネル:カニクイザル1を、1日目にプライミング用量として0.01 mg/kgのDuoBody-CD3xCD20で、そして2日目に1 mg/kgの標的用量で治療した。該動物をスケジュールにしたがい29日目に安楽死させた。剖検の時点で末梢血B細胞数は回復していなかった。下のパネル:カニクイザル2を、DuoBody-Cd3xCD20の4回の毎週1 mg/kgの投与で治療した。末梢血中B細胞の回復が観測された後、該動物を148日目に安楽死させた。リンパ節および脾臓の凍結切片を、CD19特異性抗体を用いて染色してB細胞を検出した(褐色染色)。ヘマトキシリンを用いて細胞核を検出した(青色染色)。
【
図11】DuoBody-CD3xCD20の5x反復IV投与が雄のカニクイザルの末梢血中B細胞に及ぼす影響。(A)生理食塩水の、または0.01、0.1、もしくは1 mg/kgのDuoBody-CD3xCD20の5回の毎週IV投与後の雄のカニクイザルの末梢血中の経時的な用量群ごとの平均B細胞数(CD45
+CD4
-CD8
-CD16
-CD19
+ 細胞)。(B)投与前のB細胞数に対するパーセンテージとしての用量群ごとの平均B細胞数。B細胞の数をゲーティングしたリンパ球に対する%として示す。
【
図12】DuoBody-CD3xCD20の5x反復IV投与が雌のカニクイザルの末梢血中B細胞に及ぼす影響。(A)生理食塩水の、または0.01、0.1、もしくは1 mg/kgのDuoBody-CD3xCD20の5回の毎週IV投与後の雌のカニクイザルの末梢血中の経時的な用量群ごとの平均B細胞数(CD45
+CD4
-CD8
-CD16
-CD19
+ 細胞)。(B)投与前のB細胞数に対するパーセンテージとしての用量群ごとの平均B細胞数。B細胞の数をゲーティングしたリンパ球に対する%として示す。
【
図13】DuoBody-CD3xCD20の単回IV輸注が雄のカニクイザルの末梢血中B細胞に及ぼす影響。(A)DuoBody-CD3xCD20の0.1または1 mg/kgの単回IV輸注後の雄のカニクイザルの末梢血中の経時的な用量群ごとの平均B細胞数(CD45+CD4-CD8-CD16-CD19+ 細胞)。(B)投与前のB細胞数に対するパーセンテージとしての用量群ごとの平均B細胞数。B細胞の数をゲーティングしたリンパ球に対する%として示す。
【
図14】DuoBody-CD3xCD20の単回IV輸注が雌のカニクイザルの末梢血中B細胞に及ぼす影響。(A)DuoBody-CD3xCD20の0.1または1 mg/kgの単回IV輸注後の雌のカニクイザルの末梢血中の経時的な用量群ごとの平均B細胞数(CD45+CD4-CD8-CD16-CD19+ 細胞)。(B)投与前のB細胞数に対するパーセンテージとしての用量群ごとの平均B細胞数。B細胞の数をゲーティングしたリンパ球に対する%として示す。
【
図15】DuoBody-CD3xCD20のSC注射が雄のカニクイザルの末梢血中B細胞に及ぼす影響。(A)DuoBody-CD3xCD20の0.1、1、または10 mg/kgのSC注射後の雄のカニクイザルの末梢血中の経時的な用量群ごとの平均B細胞数(CD45+CD4-CD8-CD16-CD19+ 細胞)。(B)投与前のB細胞数に対するパーセンテージとしての用量群ごとの平均B細胞数。B細胞の数をゲーティングしたリンパ球に対する%として示す。
【
図16】DuoBody-CD3xCD20のSC注射が雌のカニクイザルの末梢血中B細胞に及ぼす影響。(A)DuoBody-CD3xCD20の0.1、1、または10 mg/kgのSC注射後の雌のカニクイザルの末梢血中の経時的な用量群ごとの平均B細胞数(CD45+CD4-CD8-CD16-CD19+ 細胞)。(B)投与前のB細胞数に対するパーセンテージとしての用量群ごとの平均B細胞数。B細胞の数をゲーティングしたリンパ球に対する%として示す。
【
図17-1】(A)DuoBody-CD3xCD20のIV投与後のカニクイザルにおける個別の血漿濃度プロファイル。(B)DuoBody-CD3xCD20のSC投与後のカニクイザルにおける個別の血漿濃度プロファイル。DuoBody-CD3xCD20の血漿濃度プロファイルは、0.01、0.1、1、10、または20 mg/kgの用量レベルのDuoBody-CD3xCD20のSC単回注射後に測定した。(C)IV輸注またはSC注射いずれかの後のカニクイザルにおける群平均血漿濃度プロファイル。
【
図18A】40℃で8週間貯蔵した試料のHMWPおよび純度(メインピーク)データのデザインフィットであって、NaClおよびpHの要因のレベルは結果に対し顕著な影響を有する。
図18Aでは、pHをNaCl濃度およびSEC HMW(%)に対しプロットし、図示のとおり、低NaCl(たとえば0)かつ高pH(たとえば5.3~5.5)で最適な結果(低いHMW%)が得られた。同様に、
図18Bでは、pHをNaCl濃度およびSEQ純度(%)に対しプロットし、図示のとおり、低NaCl(たとえば0)かつ高pH(たとえば5.3~5.5)で最適な結果(高いSEQ純度%)が得られた。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳細な説明
定義
「免疫グロブリン」という用語は、構造的に関連のある糖タンパク質のクラスを指し、
それらは1対の軽(L)低分子量鎖および1対の重(H)鎖の2対のポリペプチド鎖からなり
、4つの鎖はすべて、ジスルフィド結合により互いにつながっている。免疫グロブリンの
構造は、特徴がはっきりしている。たとえば、Fundamental Immunology Ch. 7(Paul, W.
, ed., 2nd ed. Raven Press, N.Y. (1989))を参照されたい。簡単に説明すると、各重
鎖は、典型的には、重鎖可変領域(本明細書ではVHまたはVHと略す)および重鎖定常領域
(本明細書ではCHまたはCHと略す)で構成される。重鎖定常領域は、典型的には、CH1、C
H2、およびCH3の3つのドメインで構成される。ヒンジ領域は、重鎖のCH1ドメインとCH2ド
メインとの間の領域であり、非常にフレキシブルである。ヒンジ領域におけるジスルフィ
ド結合は、IgG分子の2本の重鎖間の相互作用の一部である。各軽鎖は、典型的には、軽鎖
可変領域(本明細書ではVLまたはVLと略す)および軽鎖定常領域(本明細書ではCLまたは
CLと略す)で構成される。軽鎖定常領域は、典型的には、CLという1つのドメインで構成
される。VH領域およびVL領域は、超可変性の領域(すなわち超可変領域であり、配列およ
び/または構造が限定されるループの形態が超可変であり得る)にさらに分割され得、そ
れらは相補性決定領域(CDR)とも呼ばれ、間にフレームワーク領域(FR)と呼ばれる、
より保存された領域が挟まれている。各VHおよびVLは、典型的には、3つのCDRと4つのFR
とで構成されており、それらはアミノ末端からカルボキシ末端に向けて、FR1、CDR1、FR2
、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順に並んでいる(Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196, 901-
917 (1987)も参照)。別途指定しないかぎり、または文脈上矛盾しないかぎり、本明細書
ではCDR配列をIMGTのルールにしたがい識別する(Brochet X., Nucl Acids Res. 2008;36
: W503-508およびLefranc MP., Nucleic Acids Research 1999;27:209-212;インターネッ
トのhttpアドレスhttp://www.imgt.org/も参照)。別途指定しないかぎり、または文脈上
矛盾しないかぎり、本発明における定常領域のアミノ酸の位置への言及は、EUナンバリン
グにしたがう(Edelman et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 1969 May;63(1):78-85; Ka
bat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition. 1991
NIH Publication No. 91-3242)。たとえば、本明細書におけるSEQ ID NO: 15は、EUナ
ンバリングにしたがい、IgG1重鎖定常領域のアミノ酸の位置118~447を示す。
【0027】
本明細書で使用する場合、「位置...に対応するアミノ酸」という用語は、ヒトIgG1重
鎖におけるアミノ酸の位置番号を指す。ほかの免疫グロブリンにおける対応するアミノ酸
位置は、ヒトIgG1とのアライメントにより見出すことができる。したがって、ある配列に
おけるアミノ酸またはセグメントで、別の配列におけるアミノ酸またはセグメント「に対
応する」のは、ALIGN、ClustalWなどの、またはそれらと類似の標準的な配列アライメン
トプログラムにより、典型的にはデフォルトの設定で、他方のアミノ酸またはセグメント
と整列し、かつヒトIgG1重鎖と少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、または
少なくとも95%の同一性を有するものである。いかにして配列または配列内セグメントを
整列させ、それによって本発明のアミノ酸位置に対応する配列内位置を決定するかは、当
技術分野において周知と考えられる。
【0028】
本発明の文脈における「抗体」(Ab)という用語は、免疫グロブリン分子、免疫グロブ
リン分子の断片、またはそのいずれかの誘導体を指し、それは典型的な生理条件下で抗原
に特異的に結合する能力があり、その半減期は、少なくとも約30分、少なくとも約45分、
少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少な
くとも約12時間、約24時間もしくはそれ以上、約48時間もしくはそれ以上、約3、4、5、6
、7日間もしくはそれ以上その他、または任意のほかの関連のある機能的に画定される期
間(たとえば、抗原に結合する抗体に関連した生理的応答を誘導し、促進し、増強し、か
つ/もしくは調整するのに十分な時間、ならびに/または抗体がエフェクター活性を動員
するのに十分な時間)などの、かなりの時間に及ぶ。免疫グロブリン分子の重鎖および軽
鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。本明細書で使用する場合、「
抗体結合領域」という用語は、抗原と相互作用する領域を指し、VH領域およびVL領域の両
方を含む。本明細書で使用する場合、抗体という用語は、一特異性抗体だけでなく、2つ
以上の、たとえば3つ以上などの複数の異なる抗原結合領域を含む多特異性抗体も含む。
抗体(Ab)の定常領域は、様々な免疫系の細胞(たとえばエフェクター細胞)および古典
的補体活性化経路における第1の成分であるC1qなどの補体系の成分を含め、宿主の組織ま
たは因子と、免疫グロブリンとの結合を媒介することができる。上述したように、本明細
書では、抗体という用語は、別途指定しないかぎり、または文脈上明らかに矛盾しないか
ぎり、抗原結合断片である、すなわち抗原に特異的に結合する能力を保持している、抗体
の断片を含む。抗体の抗原結合機能が全長抗体の断片によって実施され得ることが示され
ている。「抗体」という用語に包含される抗原結合断片の例としては、(i)Fab’もしく
はFab断片、VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる一価断片、またはWO 2007059782(G
enmab)に記載される一価抗体;(ii)F(ab')2断片、ヒンジ領域でジスルフィド架橋に
より連結された2つのFab断片を含む二価断片;(iii)VHおよびCH1ドメインから本質的に
なる、Fd断片;(iv)抗体の1本のアームのVLおよびVHドメインから本質的になる、Fv断片
、(v)VHドメインから本質的になり、ドメイン抗体とも呼ばれる(Holt et al; Trends
Biotechnol. 2003 Nov;21(11):484-90)、dAb断片(Ward et al., Nature 341, 544-546
(1989));(vi)ラクダ科動物抗体(camelid)またはナノボディ(Revets et al; Expert
Opin Biol Ther. 2005 Jan;5(1):111-24)、ならびに(vii)単離された相補性決定領域
(CDR)が挙げられる。さらに、Fv断片の2つのドメイン、VLおよびVHは、別々の遺伝子に
よりコードされているが、組換え法を用いて、それらをVL領域とVH領域とが対で一価分子
を形成する1本のタンパク質鎖にすることができる合成リンカーにより結合してもよい(
一本鎖抗体または一本鎖Fv(scFv)として公知であり、たとえばBird et al., Science 2
42, 423-426 (1988)およびHuston et al., PNAS USA 85, 5879-5883 (1988)を参照)。そ
のような一本鎖抗体は、別途記載しないかぎり、または文脈上明示されないかぎり、抗体
という用語に包含される。そのような断片は、抗体の意味のなかに一般に含まれるが、そ
れらはまとめて、また個別にも、本発明の独特な特徴であり、異なる生物学的特性および
有用性を示す。本発明の文脈におけるこれらの、およびほかの有用な抗体断片、ならびに
そのような断片の二重特異性フォーマットについて、本明細書においてさらに論じる。抗
体という用語はまた、別途指定しないかぎり、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体
(mAb)、抗体様ポリペプチド、キメラ抗体およびヒト化抗体、ならびに酵素的切断、ペ
プチド合成、および組換え法などの任意の公知の技法により提供される、抗原に特異的に
結合する能力を保持した抗体断片(抗原結合断片)を含むことも理解すべきである。生成
された抗体は、任意のアイソタイプをもつことができる。本明細書で使用する場合、「ア
イソタイプ」という用語は、重鎖定常領域遺伝子によりコードされる免疫グロブリンのク
ラス(たとえばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA、IgE、またはIgM)を指す。本明細書
において特定のアイソタイプ、たとえばIgG1に言及する場合、この用語は、特定のアイソ
タイプ配列、たとえば特定のIgG1配列に限定されるのではなく、その抗体が配列において
ほかのアイソタイプよりもそのアイソタイプ、たとえばIgG1と近いことを指すのに用いら
れる。したがって、たとえば本発明のIgG1抗体は、定常領域における多様性を含め、天然
のIgG1抗体の配列バリアントであり得る。
【0029】
本明細書で使用する場合、「モノクローナル抗体」という用語は、一分子組成の抗体分
子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する1つの結合
特異性および親和性を示す。したがって、「ヒトモノクローナル抗体」という用語は、1
つの結合特異性を示す、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常
領域を有する抗体を指す。ヒトモノクローナル抗体は、ヒト重鎖導入遺伝子および軽鎖導
入遺伝子を含むゲノムを有する遺伝子導入または染色体導入非ヒト動物、たとえば遺伝子
導入マウスから得られたB細胞と不死化細胞との融合体を含む、ハイブリドーマにより生
成され得る。
【0030】
本発明の文脈における「二重特異性抗体」または「bs」または「bsAb」という用語は、
異なる抗体配列により定められる2つの異なる抗原結合領域を有する抗体を指す。二重特
異性抗体は、任意のフォーマットであり得る。
【0031】
本明細書で使用する場合、「半分子」、「Fabアーム」、および「アーム」という用語
は、1つの重鎖-軽鎖対を指す。
【0032】
二重特異性抗体が、第1抗体「に由来する」半分子抗体、および第2抗体「に由来する」
半分子抗体を含む、と記載されている場合、「に由来する」という用語は、該二重特異性
抗体が、該第1抗体および該第2抗体のそれぞれからの該半分子を任意の公知の方法により
組み換えることにより、結果としてその二重特異性抗体に生成されたことを示す。この文
脈では、「組み換え」は、何ら特定の組換え法により限定される意図はなく、したがって
、たとえば半分子交換(「制御されたFabアーム交換」としても知られる)による組み換
えのほか、核酸レベルの組み換え、および/または同一細胞における2つの半分子の同時
発現による組み換えを含め、本明細書において以下に記載される二重特異性抗体を生産す
るすべての方法を含む。
【0033】
「一価抗体」という用語は、本発明の文脈では、抗体分子が1分子の抗原に結合する能
力があること、したがって抗原または細胞を架橋する能力はないことを意味する。
【0034】
抗体の文脈で使用する場合、「全長」という用語は、抗体が断片ではなく、特定のアイ
ソタイプのその天然アイソタイプに通常見られる全ドメイン、たとえばIgG1抗体のVH、CH
1、CH2、CH3、ヒンジ、VL、およびCLドメインを含むことを示す。
【0035】
本明細書で使用する場合、文脈上矛盾しないかぎり、「Fc領域」という用語は、1つの
免疫グロブリンの2つの重鎖のFc配列からなる抗体領域を指し、該Fc配列は、少なくとも
ヒンジ領域、CH2ドメイン、およびCH3ドメインを含む。
【0036】
本明細書で使用する場合、「第1のCH3領域と第2のCH3領域とのヘテロ二量体相互作用」
という用語は、第1-CH3/第2-CH3ヘテロ二量体タンパク質における第1のCH3領域と第2のC
H3領域との相互作用を指す。
【0037】
本明細書で使用する場合、「第1のCH3領域と第2のCH3領域とのホモ二量体相互作用」と
いう用語は、第1-CH3/第1-CH3ホモ二量体タンパク質における第1のCH3領域と別の第1のCH
3領域との相互作用、および第2-CH3/第2-CH3ホモ二量体タンパク質における第2のCH3領域
と別の第2のCH3領域との相互作用を指す。
【0038】
本明細書で使用する場合、抗体が所定の抗原と結合する文脈における「結合」という用
語は、典型的には、たとえばBioLayerインターフェロメトリー(BLI)技術により、抗体
をリガンドとして、抗原を分析物として用いて、Octet HTX機器で決定した場合に、約10-
6 Mもしくはそれ以下、たとえば10-7 Mもしくはそれ以下、たとえば約10-8 Mもしくはそ
れ以下、たとえば約10-9 Mもしくはそれ以下、約10-10 Mもしくはそれ以下、または約10-
11 M、もしくはそれより低いKDに対応する親和性での結合であり、該抗体は、それが所定
の抗原でも近縁抗原でもない非特異抗原(たとえばBSA、カゼイン)と結合するKDよりも
、少なくとも10倍低い、たとえば少なくとも100倍低い、たとえば少なくとも1,000倍低い
、たとえば少なくとも1万倍低い、たとえば少なくとも10万倍低いKDに対応する親和性で
、所定の抗原に結合する。結合のKDがより低い量は抗体のKD次第なので、結合のKDが非常
に低ければ、抗原に対する結合のKDが非特異抗原との結合のKDよりも低い量は、少なくと
も1万倍であり得る(つまり、該抗体は非常に特異的である)。本明細書で使用する場合
、「KD」(M)という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離平衡定数を指す。本明細書
で使用する場合、親和性とKDとは反比例しており、つまり、より高い親和性はより低いKD
を指すものとし、より低い親和性はより高いKDを指すものとする。
【0039】
好ましい態様では、本発明の抗体は単離されている。本明細書で使用する場合、「単離
抗体」は、異なる抗原特異性を有するほかの抗体を実質的に含まない抗体を指すものとす
る。好ましい態様では、CD20およびCD3に特異的に結合する単離二重特異性抗体は、それ
に加えて、CD20またはCD3に特異的に結合する一特異性抗体を実質的に含まない。
【0040】
本明細書で使用する場合、「CD3」という用語は、T細胞共受容体タンパク質複合体の一
部であって、4つの別個の鎖で構成されている、ヒト表面抗原分類3タンパク質を指す。CD
3はほかの種にも見られるので、「CD3」という用語は、文脈上矛盾しないかぎり、ヒトCD
3に限定されない。哺乳類では、この複合体は、CD3γ(ガンマ)鎖(ヒトCD3γ鎖UniProt
KB/Swiss-Prot No P09693、またはカニクイザルCD3γ UniProtKB/Swiss-Prot No Q95LI7
)、CD3δ(デルタ)鎖(ヒトCD3δ UniProtKB/Swiss-Prot No P04234、またはカニクイ
ザルCD3δ UniProtKB/Swiss-Prot No Q95LI8)、2つのCD3ε(イプシロン)鎖(ヒトCD3
ε UniProtKB/Swiss-Prot No P07766;カニクイザルCD3ε UniProtKB/Swiss-Prot No Q95L
I5;またはアカゲザルCD3ε UniProtKB/Swiss-Prot No G7NCB9)、およびCD3ζ-鎖(ゼー
タ)鎖(ヒトCD3ζ UniProtKB/Swiss-Prot No P20963、カニクイザルCD3ζ UniProtKB/Sw
iss-Prot No Q09TK0)を含有する。これらの鎖は、T細胞受容体(TCR)として知られる分
子と会合して、Tリンパ球において活性化シグナルを生成する。TCR分子とCD3分子とがと
もにTCR複合体を構成する。
【0041】
「CD3抗体」または「抗CD3抗体」は、抗原CD3、とくにヒトCD3ε(イプシロン)に特異
的に結合する抗体である。
【0042】
「ヒトCD20」または「CD20」という用語は、ヒトCD20(UniProtKB/Swiss-Prot No P118
36)を指し、腫瘍細胞を含め細胞により自然に発現される、あるいはCD20遺伝子またはcD
NAが形質移入された細胞上に発現する、CD20の任意のバリアント、アイソフォーム、およ
び種ホモログを含む。種ホモログとしては、アカゲザルCD20(マカカ・ムラッタ(macaca
mulatta);UniProtKB/Swiss-Prot No H9YXP1)およびカニクイザルCD20(マカカ・ファ
シクラリス(macaca fascicularis); UniProtKB No G7PQ03)が挙げられる。
【0043】
「CD20抗体」または「抗CD20抗体」は、抗原CD20、とくにヒトCD20に特異的に結合する
抗体である。
【0044】
「CD3xCD20抗体」、「抗CD3xCD20抗体」、「CD20xCD3抗体」、または「抗CD20xCD3抗体
」は二重特異性抗体であり、2つの異なる抗原結合領域を含み、片方は抗原CD20に特異的
に結合し、もう片方はCD3に特異的に結合する。
【0045】
本明細書で使用する場合、「DuoBody-CD3xCD20」という用語は、IgG1二重特異性CD3xCD
20抗体を指し、ここでCD3結合Fabアームは、それぞれSEQ ID No 6および7に定められるVH
およびVL配列、SEQ ID NO:22に定められる定常軽鎖配列、ならびにSEQ ID NO:19(FEAL)
に定められる定常重鎖配列を含み、ここでCD20結合Fabアームは、それぞれSEQ ID:13およ
び14のVHおよびVL配列、SEQ ID NO:23に定められる定常軽鎖配列、ならびにSEQ ID NO:20
(FEAR)に定められる定常重鎖配列を含む。この二重特異性抗体は、WO 2016/110576に記
載されるように調製してもよい。
【0046】
好ましい態様では、本発明の二重特異性抗体は単離されている。本明細書で使用する場
合、「単離二重特異性抗体」は、異なる抗原特異性を有するほかの抗体を実質的に含まな
い二重特異性抗体を指すものとする(たとえば、CD20およびCD3に特異的に結合する単離
二重特異性抗体は、CD20またはCD3に特異的に結合する一特異性抗体を実質的に含まない
)。
【0047】
本発明は、各例の抗体のVL領域、VH領域、または1つもしくは複数のCDRの機能性バリア
ントを含む抗体も提供する。抗体の文脈で用いられるVL、VH、またはCDRの機能性バリア
ントは、抗体が、「リファレンス」または「親」抗体の親和性および/または特異性/選
択性の少なくとも実体的な割合(少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそ
れ以上)をなおも保持することを可能にし、いくつかの場合では、そのような抗体は、親
抗体よりも高い親和性、選択性、および/または特異性で会合し得る。
【0048】
そのような機能性バリアントは、典型的には、親抗体との顕著な配列同一性を保持して
いる。2つの配列間の同一性パーセントは、これらの配列に共通する同一位置の数の関数
であり(すなわち、相同性% = 同一位置数/全位置数 x 100)、2つの配列の最適なアラ
イメントのために導入する必要のあるギャップの数、および各ギャップの長さを考慮に入
れている。2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の間の同一性パーセントは、たとえば
、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み入れられたE. Meyers and W. Miller, Compu
t. Appl. Biosci 4, 11-17 (1988)のアルゴリズムにより、PAM120残基重み表(weight re
sidue table)を用いて、ギャップ長さペナルティは12、ギャップペナルティは4で、決定
してもよい。それに加えて、2つのアミノ酸配列の間の同一性パーセントは、Needleman a
nd Wunsch, J. Mol. Biol. 48, 444-453 (1970)のアルゴリズムを用いて決定してもよい
。
【0049】
例示的なバリアントは、親抗体配列のVHおよび/またはVLおよび/またはCDR領域と、
主に保存的置換が異なるものを含み、たとえば、バリアントにおける置換の10、たとえば
9、8、7、6、5、4、3、2、または1が、保存的アミノ酸残基の置き換えである。
【0050】
本発明の文脈では、保存的置換は、下の表に表されるアミノ酸のクラス内の置換により
定義され得る:
保存的置換についてのアミノ酸残基のクラス
【0051】
本発明の文脈では、別途示さないかぎり、変異を記載するのに以下の表記法を用いる;
i)所与の位置におけるアミノ酸の置換は、たとえばK409Rと記され、それは位置409のリジ
ンがアルギニンで置換されていることを意味し、ii)特定のバリアントについては、任意
のアミノ酸残基を示すコード、XaaおよびXを含め、特定の3文字または1文字のコードが用
いられる。したがって、位置409のリジンのアルギニンでの置換はK409Rと記述され、位置
409のリジンの任意のアミノ酸残基での置換はK409Xと記述される。位置409のリジンの欠
失の場合、それはK409*によって示される。
【0052】
本発明の文脈では、「競合」(または「ブロッキング」または「クロスブロッキング」
)は、特定の分子が特定の結合相手と結合する傾向が、該結合相手に結合する別の分子の
存在下で著しく低下することを指す。2つ以上の抗CD20抗体によるCD20との結合の競合は
、任意の好適な技法により決定され得る。
【0053】
「エピトープ」という用語は、抗体に特異的に結合する能力のあるタンパク質決定基を
意味する。エピトープは、通常はアミノ酸または糖側鎖などの分子が表面で群化したもの
からなり、通常は特異な三次元構造特徴、ならびに特異な電荷特徴を有する。立体構造エ
ピトープと非立体構造エピトープとは、変性溶媒の存在下、前者への結合は失われるが、
後者への結合は失われないことで区別される。エピトープは、結合に直接関係するアミノ
酸残基、および結合に直接関係しないほかのアミノ酸残基、たとえば特異的抗原結合ペプ
チドにより効果的に妨害される、または覆われるアミノ酸残基(換言すると、アミノ酸残
基が特異的抗原結合ペプチドのフットプリント内にある)を含み得る。
【0054】
本明細書で使用する場合、「キメラ抗体」という用語は、可変領域が非ヒト種に由来(
たとえばげっ歯類に由来)し、定常領域がヒトなどの異なる種に由来する抗体を指す。治
療用途のキメラモノクローナル抗体は、抗体の免疫原性を低下させるよう開発される。キ
メラ抗体の文脈で使用される場合、「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、
免疫グロブリンの重鎖および軽鎖両方のCDRおよびフレームワーク領域を含む領域を指す
。キメラ抗体は、Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning: A laboratory Manual, N
ew York: Cold Spring Harbor Laboratory Press, Ch. 15に記載される標準的なDNA技法
を用いて生成してもよい。キメラ抗体は、遺伝子的または酵素的改変組換え抗体であって
もよい。キメラ抗体の生成は当業者の知識の範囲内であり、したがって、本発明のキメラ
抗体の生成は、本明細書に記載される以外の方法で実施してもよい。
【0055】
本明細書で使用する場合、「ヒト化抗体」という用語は、遺伝子改変非ヒト抗体を指し
、該抗体は、ヒト抗体定常ドメイン、およびヒト可変ドメインとの高レベルの配列相同性
を含むよう修飾された非ヒト可変ドメインを含む。これは、ともに抗原結合部位を形成し
ている6つの非ヒト抗体相補性決定領域(CDR)を、相同ヒトアクセプターフレームワーク
領域(FR)に接ぐことにより、実現することができる(WO 92/22653およびEP 0629240を
参照)。親抗体の結合親和性および特異性を完全に再構成するために、親抗体(すなわち
非ヒト抗体)由来のフレームワーク残基をヒトフレームワーク領域へと置換すること(逆
変異)が必要であり得る。構造的相同性モデリングが、抗体の結合特性にとって重要なフ
レームワーク領域内のアミノ酸残基を特定するのに役立ち得る。したがって、ヒト化抗体
は、非ヒトCDR配列、非ヒトアミノ酸配列に1つまたは複数のアミノ酸逆変異を含んでいて
もよい主としてヒトであるフレームワーク領域、および完全ヒト定常領域を含み得る。任
意選択により、必ずしも逆変異ではない追加のアミノ酸修飾を用いて、親和性および生化
学的特性などの好ましい特徴をもつヒト化抗体を得てもよい。
【0056】
本明細書で使用する場合、「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配
列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体を指す。ヒト抗体は、ヒト生殖系列免
疫グロブリン配列によりコードされていないアミノ酸残基を含み得る(たとえばインビト
ロのランダムもしくは部位特異的変異誘発により、またはインビボの体細胞変異により、
変異が導入されている)。しかし、本明細書で使用する場合、「ヒト抗体」という用語は
、マウスなどの別の哺乳類種の生殖系列に由来するCDR配列をヒトフレームワーク配列に
接いである抗体を含む意図はない。本発明のヒトモノクローナル抗体は、従来のモノクロ
ーナル抗体法、たとえばKohler and Milstein, Nature 256: 495 (1975)の標準的な体細
胞ハイブリダイゼーション法を含め、様々な技法により生産することができる。原則とし
て、体細胞ハイブリダイゼーション手順が好ましいが、ほかのモノクローナル抗体生産法
、たとえばウイルスもしくは癌によるBリンパ球形質転換、またはヒト抗体遺伝子のライ
ブラリーを用いるファージディスプレイ法を使用することができる。ヒトモノクローナル
抗体を分泌するハイブリドーマを調製するための好適な動物系は、マウス系である。マウ
スにおけるハイブリドーマの生産は、すっかり定着した手順である。免疫化のプロトコル
、および免疫化脾細胞を単離して融合させる技法は、当技術分野において公知である。融
合相手(たとえばマウスの骨髄腫細胞)および融合手順も知られている。したがって、ヒ
トモノクローナル抗体は、マウスまたはラットの系ではなくヒトの免疫系の一部を担持し
ている、遺伝子導入または染色体導入マウスまたはラットを用いて生成することができる
。したがって、一態様では、動物の免疫グロブリン配列の代わりにヒトの生殖系列免疫グ
ロブリン配列を担持しているマウスまたはラットなどの遺伝子導入動物からヒト抗体を得
る。そのような態様では、抗体は動物に導入されたヒト生殖系列免疫グロブリン配列から
生じるが、最終的な抗体配列は、このヒト生殖系列免疫グロブリン配列が、体細胞超変異
、および内在性の動物抗体機構による親和性成熟により、さらに修飾された結果である。
たとえばMendez et al. 1997 Nat Genet. 15(2):146-56を参照されたい。「還元条件」ま
たは「還元環境」という用語は、基質、ここでは抗体のヒンジ領域におけるシステイン残
基が、酸化ではなく還元されやすい条件または環境を指す。
【0057】
本明細書で使用する場合、「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)という用語
は、発現ベクター、たとえば本発明の抗体をコードする発現ベクターが導入されている細
胞を指すものとする。組換え宿主細胞としては、たとえば、CHO、CHO-S、HEK、HEK293、H
EK-293F、Expi293F、PER.C6、またはNS0細胞などのトランスフェクトーマ、およびリンパ
球細胞が挙げられる。
【0058】
「治療」という用語は、症状または疾患状態を緩和する、寛解させる、抑止する、また
は根絶する(治す)という目的での有効量の本発明の治療活性抗体の投与を指す。
【0059】
「有効量」または「治療有効量」という用語は、所望の治療効果を実現するのに、投薬
量および必要な期間が有効である量を指す。抗体の治療有効量は、個人の疾患状態、年齢
、性別、および体重、ならびに抗体が個人の体内で所望の応答を誘発する能力などの要因
によって変わり得る。治療有効量はまた、抗体または抗体部分のあらゆる毒性または有害
効果を、治療上有益な効果が凌ぐ量である。
【0060】
本明細書で使用する場合、「バッファー」という用語は、薬学的に許容されるバッファ
ーを示す。「バッファー」という用語は、溶液のpH値を、たとえば許容される範囲に維持
する剤を包含し、限定ではないが、酢酸塩、ヒスチジン、トリス(登録商標)(トリス(
ヒドロキシメチル)アミノメタン)、クエン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩等が挙げ
られる。概して、本明細書で使用する場合、「バッファー」は、pH約5~約6の範囲、好ま
しくはpH約5.5にとって好適なpKaおよび緩衝能力を有する。
【0061】
本明細書で使用する場合、「界面活性剤」は、典型的には、薬学的製剤に用いられて、
表面への薬物の吸着、または凝集を防止する化合物である。さらに、界面活性剤は、2つ
の液体間のまたは液体と固体との間の表面張力(界面張力)を低下させる。たとえば、あ
る例示的な界面活性剤は、非常に低い濃度(たとえば5% w/vまたはそれ以下、たとえば3%
w/vまたはそれ以下、たとえば1% w/vまたはそれ以下、たとえば0.4% w/vまたはそれ以下
、たとえば0.1% w/v未満またはそれ以下、たとえば0.04% w/v)で存在する場合、表面張
力を著しく低下させることができる。界面活性剤は両親媒性であり、つまり、普通は親水
基および疎水基または親油基の両方で構成されており、したがって水溶液中でミセルまた
は類似の自己組織化構造を形成する能力がある。薬学的使用のための既知の界面活性剤と
しては、グリセロールモノオレアート、塩化ベンゼトニウム、ナトリウムドクサート、リ
ン脂質、ポリエチレンアルキルエーテル、ラウリル硫酸ナトリウム、およびトリカプリリ
ン(tricaprylin)(陰イオン性界面活性剤);塩化ベンズアルコニウム、シトリミド(ci
trimide)、塩化セチルピリジニウム、およびリン脂質(陽イオン性界面活性剤);ならび
にアルファトコフェロール、グリセロールモノオレアート、ミリスチルアルコール、リン
脂質、ポロキサマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンひまし
油誘導体、ポリオキシエチレンソルビンタン(sorbintan)脂肪酸エステル、ポリオキシ
エチレンステラレート(sterarates)、ポリオキシルヒドロキシステアラート、ポリオキ
シルグリセリド、ポリソルベート、たとえばポリソルベート20またはポリソルベート80、
プロピレングリコールジラウラート、プロピレングリコールモノラウラート、ソルビタン
エステルスクロースパルミタート、スクロースステアラート、トリカプリリン、およびTP
GS(非イオン性および双イオン性界面活性剤)が挙げられる。
【0062】
本明細書における関心対象の「希釈剤」は、薬学的に許容され(ヒトに投与しても安全
かつ非毒性)、かつ薬学的組成物の希釈物の調製に有用なものである。好ましくは、その
ような本発明の組成物の希釈物は、抗体の濃度のみを希釈し、バッファーおよび安定剤は
希釈しない。したがって、好ましい態様では、希釈剤は、本発明の薬学的組成物に存在す
るのと同濃度のバッファーおよび安定剤を含む。さらなる例示的な希釈剤としては、滅菌
水、注射用静菌水(BWFI)、好ましくは酢酸バッファーであるpH緩衝液、滅菌生理食塩水
、リンゲル液、またはデキストロース溶液が挙げられる。好ましい態様では、希釈剤は、
酢酸バッファーおよびソルビトールを含む、またはそれらから本質的になる。
【0063】
「薬学的組成物」および「薬学的製剤」という用語は、本明細書では互いに交換可能に
用いられる。
【0064】
本発明の具体的な態様
主要な局面では、本発明は、
a. 0.5~120 mg/mLの、ヒトCD3およびヒトCD20に結合する二重特異性抗体、
b. 20~40 mM 酢酸塩、
c. 140~160 mM ソルビトール、
d. 界面活性剤
を含む、またはそれらから本質的になる、薬学的組成物に関し、ここで、組成物のpHは5
~6であり、二重特異性抗体は、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 1
VH-CDR2: SEQ ID NO: 2
VH-CDR3: SEQ ID NO: 3
VL-CDR1: SEQ ID NO: 4
VL-CDR2: GTN、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 5
を含む、ヒトCD3に結合する第1結合領域と、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 8
VH-CDR2: SEQ ID NO: 9
VH-CDR3: SEQ ID NO: 10
VL-CDR1: SEQ ID NO: 11
VL-CDR2: DAS、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 12
を含む、ヒトCD20に結合する第2結合領域と
を含む。
【0065】
別の主要な局面では、本発明は、
a. 約0.50~約120 mg/mLの、ヒトCD3およびヒトCD20に結合する二重特異性抗体、
b. 約20~約40 mM 酢酸塩、
c. 約140~約160 mM ソルビトール
d. 約0.03~0.05% w/v ポリソルベート80
を含む薬学的組成物を提供し、
ここで、組成物のpHは約5~約6であり、二重特異性抗体は、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 1、
VH-CDR2: SEQ ID NO: 2、
VH-CDR3: SEQ ID NO: 3、
VL-CDR1: SEQ ID NO: 4、
VL-CDR2: GTN、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 5
を含む、ヒトCD3に結合する第1結合領域と、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 8、
VH-CDR2: SEQ ID NO: 9、
VH-CDR3: SEQ ID NO: 10、
VL-CDR1: SEQ ID NO: 11、
VL-CDR2: DAS、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 12
を含む、ヒトCD20に結合する第2結合領域と
を含む。
【0066】
別の局面では、本発明は、
a. 約0.50~約120 mg/mLの、ヒトCD3およびヒトCD20に結合する二重特異性抗体、
b. 約20~約40 mM 酢酸塩、
c. 約140~約160 mM ソルビトール
d. 約0.03~0.05% w/v ポリソルベート80
から本質的になる、薬学的組成物を提供し、
ここで、組成物のpHは約5~約6であり、二重特異性抗体は、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 1、
VH-CDR2: SEQ ID NO: 2、
VH-CDR3: SEQ ID NO: 3、
VL-CDR1: SEQ ID NO: 4、
VL-CDR2: GTN、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 5
を含む、ヒトCD3に結合する第1結合領域と、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 8、
VH-CDR2: SEQ ID NO: 9、
VH-CDR3: SEQ ID NO: 10、
VL-CDR1: SEQ ID NO: 11、
VL-CDR2: DAS、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 12
を含む、ヒトCD20に結合する第2結合領域と
を含む。
【0067】
別の局面では、本発明は、
a. 約0.50~約120 mg/mLの、ヒトCD3およびヒトCD20に結合する二重特異性抗体、
b. 約20~約40 mM 酢酸塩、
c. 約140~約160 mM ソルビトール
d. 約0.03~0.05% w/v ポリソルベート80
からなる薬学的組成物を提供し、
ここで、組成物のpHは約5~約6であり、二重特異性抗体は、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 1、
VH-CDR2: SEQ ID NO: 2、
VH-CDR3: SEQ ID NO: 3、
VL-CDR1: SEQ ID NO: 4、
VL-CDR2: GTN、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 5
を含む、ヒトCD3に結合する第1結合領域と、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 8、
VH-CDR2: SEQ ID NO: 9、
VH-CDR3: SEQ ID NO: 10、
VL-CDR1: SEQ ID NO: 11、
VL-CDR2: DAS、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 12
を含む、ヒトCD20に結合する第2結合領域と
を含む。
【0068】
これによって、単純であるが安定な薬学的組成物が提供される。本発明のメリットは、
組成物がIV投与およびSC投与の両方に好適であることである。さらなるメリットは、組成
物が安定であること、およびとくに二重特異性抗体が広範な抗体濃度にわたり安定である
ことであり、したがって、この製剤を、組成物中の抗体の濃度が約4 μg/mLもの低濃度か
ら120 mg/mLもの高濃度、またはそれよりも高い濃度まで様々である臨床試験の第I相用量
漸増試験に用いてもよく、またこの組成物を、臨床試験のその後の段階に、そして最終的
に市販される製剤にさえ用いてもよい。そのような製剤が、そのような広範な抗体濃度に
わたり、2℃から25℃まで様々な、またはそれよりも高い温度でも安定であるとは驚くべ
きことである。本発明の組成物は、2℃~8℃で貯蔵した場合、少なくとも3カ月間、たと
えば少なくとも6カ月間、または少なくとも9カ月間もしくは少なくとも12カ月間、安定で
ある。
【0069】
本発明の組成物の一態様では、CD3に結合する二重特異性抗体の第1結合領域は、SEQ ID
NO: 6および7のVHおよびVL配列を含む。
【0070】
本発明の組成物のさらなる態様では、CD20に結合する二重特異性抗体の第2結合領域は
、SEQ ID: 13および14のVHおよびVL配列を含む。
【0071】
本発明の薬学的組成物のさらなる態様では、二重特異性抗体は、DuoBody-CD3xCD20であ
る。
【0072】
本発明の組成物の好ましい態様では、二重特異性抗体は、IgG1抗体である。しかし、二
重特異性抗体は、代わりに、IgG2、IgG3、もしくはIgG4抗体アイソタイプ、またはIgG1、
IgG2、IgG3、もしくはIgG4の組み合わせであってもよい。たとえば、第1重鎖がIgG1アイ
ソタイプであって第2重鎖がIgG4アイソタイプであってもよい。
【0073】
本発明の組成物のさらなる態様では、二重特異性抗体は、第1重鎖および第2重鎖を含む
Fc領域を含み、該Fc領域は、野生型IgG1のFc領域を含む二重特異性抗体と比べて低下した
エフェクター機能を有するよう修飾されている。これによって、該二重特異性抗体は、ヒ
トFc-ガンマ受容体およびヒト補体成分C1qに結合する低下した能力を有することになり、
その結果、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞性食作用(ADCP)、およ
び補体依存性細胞傷害(CDC)などのFc媒介性エフェクター機能を誘導する能力も低下し
ている。したがって、低下したエフェクター機能を有する本発明の二重特異性抗体は、CD
20発現細胞の存在下でのみT細胞を活性化させる。換言すると、そのような二重特異性抗
体は、抗体媒介性のFcR依存性CD3架橋、およびそれに続く非標的依存性T細胞活性化を誘
導しない。
【0074】
本発明の薬学的組成物の別の態様では、二重特異性抗体は、野生型IgG1のFc領域を有す
る二重特異性抗体と比べて、C1qの該抗体との結合が少なくとも70%、少なくとも80%、少
なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、または100%低下するよう修飾されているF
c領域を含み、ここでC1q結合はELISAにより決定される。
【0075】
本明細書に記載される二重特異性抗体は、たとえばWO 2011/131746およびLabrijn AF e
t al., (2013) PNAS 110(13): 5145-5150に記載されるように、DuoBody(登録商標)技術
プラットフォーム(Genmab A/S)にしたがい生成することができる。DuoBody技術を用い
て、2つの重鎖および2つの軽鎖を含む第1の一特異性抗体の半分と、2つの重鎖および2つ
の軽鎖を含む第2の一特異性抗体の半分とを組み合わせることができる。得られたヘテロ
二量体は、第1抗体に由来する1つの重鎖および1つの軽鎖が第2抗体に由来する1つの重鎖
および1つの軽鎖と対になったものを含んでいる。第1の一特異性抗体および第2の一特異
性抗体が、CD3およびCD20などの別々の抗原上の別々のエピトープを認識する場合、得ら
れたヘテロ二量体はCD3およびCD20に対する二重特異性抗体である。
【0076】
DuoBody技術は、各一特異性抗体が、CH3ドメインに1つの点変異を有する重鎖定常領域
を含むことを要する。点変異のおかげで、得られた二重特異性抗体のCH3ドメイン同士の
相互作用が、両方の一特異性抗体のCH3ドメイン同士の相互作用よりも強くなる。各一特
異性抗体における1つの点変異は、たとえばWO 2011/131746に記載されているように、EU
インデックスのナンバリングにより、重鎖定常領域のCH3ドメインの残基366、368、370、
399、405、407、または409に存在する。さらに、1つの点変異は、一方の一特異性抗体で
は、他方の一特異性抗体と比べて異なる残基に存在している。たとえば、一方の一特異性
抗体は変異F405L(すなわち残基405のフェニルアラニンからロイシンへの変異)を含み得
るが、他方の一特異性抗体は変異K409R(すなわち残基409のリジンからアルギニンの変異
)を含み得る。一特異性抗体の重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタ
イプ(たとえばヒトIgG1アイソタイプ)であり得、DuoBody技術により生産された二重特
異性抗体はFc媒介性エフェクター機能を保持している場合もあるし、または本明細書に記
載されるようにFc領域をさらに変異させてFc媒介性エフェクター機能を低下させてもよい
。
【0077】
Fc領域は、C末端にリジンを有し得る。このリジンの起源は、これらのFc領域が由来す
るヒトに見られる天然の配列である。細胞培養により組換え抗体を生産する間に、この末
端リジンを内在性カルボキシペプチダーゼによるタンパク質分解により切断させることが
でき、その結果、同じ配列を有するが、C末端リジンをもたない定常領域が得られる。抗
体を製造する目的では、リジンなしの抗体が生産されるように、この末端リジンをコード
するDNAを配列から省くことができる。末端リジンをコードする核酸配列から生産された
抗体もコードしない核酸配列から生産された抗体も、配列および機能は実質的に同じであ
るが、それは、たとえばCHOベースの生産系で生産された抗体を用いる場合、末端リジン
のプロセシングの度合いが典型的には高いためである(Dick, L.W. et al. Biotechnol.
Bioeng. 2008;100: 1132-1143)。
【0078】
したがって、本発明の薬学的組成物の別の態様では、二重特異性抗体は、それぞれが少
なくともヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域を含む第1および第2重鎖を含み、該第1重
鎖では、ヒトIgG1重鎖におけるT366、L368、K370、D399、F405、Y407、およびK409からな
る群より選択される位置に対応する位置のアミノ酸の少なくとも1つが置換されており、
該第2重鎖では、ヒトIgG1重鎖におけるT366、L368、K370、D399、F405、Y407、およびK40
9(EUナンバリングシステムによる)からなる群より選択される位置に対応する位置のア
ミノ酸の少なくとも1つが置換されており、該第1重鎖と該第2重鎖は同じ位置では置換さ
れていない。
【0079】
本発明の薬学的組成物のさらに別の態様では、(i)ヒトIgG1重鎖におけるF405に対応
する位置のアミノ酸が、該二重特異性抗体の第1重鎖においてLで置換されており、ヒトIg
G1重鎖におけるK409に対応する位置のアミノ酸が、該二重特異性抗体の第2重鎖においてR
で置換されており、または(ii)ヒトIgG1重鎖におけるK409に対応する位置のアミノ酸が
、該第1重鎖においてRであり、ヒトIgG1重鎖におけるF405に対応する位置のアミノ酸が、
該第2重鎖においてLである。
【0080】
一態様では、薬学的組成物の二重特異性抗体は、該二重特異性抗体の第1定常重鎖およ
び第2定常重鎖両方において、ヒトIgG1重鎖における位置L234およびL235に対応する位置
(EUインデックス・ナンバリング)で、L234がFで置換され(L234F)、L235がEで置換さ
れる(L235E)ように、さらに置換されていてもよい。これにより、抗体のFc媒介性エフ
ェクター機能が低下する。
【0081】
さらなる態様では、薬学的組成物の二重特異性抗体は、該二重特異性抗体の第1定常重
鎖および第2定常重鎖両方において、ヒトIgG1におけるD265に対応する位置で、D265がAで
置換される(D265A)ように、さらに置換されていてもよい。
【0082】
別の態様では、薬学的組成物の二重特異性抗体は、該二重特異性抗体の第1定常重鎖お
よび第2定常重鎖両方に、3つの置換L234F+L235E+D265Aを含む。
【0083】
別の態様では、薬学的組成物の二重特異性抗体は、該二重特異性抗体の第1定常重鎖お
よび第2定常重鎖両方に、3つの置換L234F+L235E+D265Aを含み、第1定常重鎖がF405L置換
をさらに含み、第2定常重鎖がK409R置換をさらに含む、またはその逆である。これにより
、第1定常重鎖は置換L234F+L235E+D265A+F405Lを含み(本明細書では「FEAL」変異とも記
載される)、第2定常重鎖は置換L234F+L235E+D265A+K409Rを含み(本明細書では「FEAR」
変異とも記載される)、または第1定常重鎖は置換L234F+L235E+D265A+K409Rを含み、第2
定常重鎖は置換L234F+L235E+D265A+F405Lを含む。好ましい態様では、二重特異性抗体の
第1定常重鎖および第2定常重鎖はIgG1アイソタイプのものであるが、それぞれ置換L234F+
L235E+D265A+F405LおよびL234F+L235E+D265A+K409Rを含む。したがって、本発明の一態様
では、薬学的組成物の二重特異性抗体は、SEQ ID NO: 19の第1重鎖定常領域およびSEQ ID
NO: 20の第2重鎖定常領域を含む、またはSEQ ID NO: 20の第1重鎖定常領域およびSEQ ID
NO: 19の第2重鎖定常領域を含む。別の態様では、二重特異性抗体は、それぞれSEQ ID N
O 19および20のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性、たとえば少なくとも91%、た
とえば少なくとも92%、たとえば少なくとも93%、たとえば少なくとも94%、たとえば少な
くとも95%、たとえば少なくとも96%、たとえば少なくとも97%、たとえば少なくとも98%、
たとえば少なくとも99%の配列同一性を有するが、上述のFEARおよびFEALアミノ酸を含む
、重鎖定常領域を含む。
【0084】
組成物の二重特異性抗体の第1軽鎖および第2軽鎖は、好ましくは、第1軽鎖定常領域お
よび第2軽鎖定常領域をさらに含む。軽鎖定常領域は、ラムダサブタイプのものであって
もカッパサブタイプのものであってもよい。本発明の好ましい態様では、CD3結合アーム
の軽鎖の定常領域はラムダサブタイプのものであり、CD20結合アームの軽鎖の定常領域は
カッパサブタイプのものである。一態様では、CD3結合アームの軽鎖(VL+CL)は、SEQ ID
NO: 24の配列を有し、CD20結合アームの軽鎖は、SEQ ID NO: 25の配列を有する。
【0085】
さらなる非常に好ましい態様では、本明細書に記載される薬学的組成物、方法、使用、
および単位剤形における二重特異性CD3xCD20抗体は、それぞれSEQ ID NO. 26および24に
定められる重鎖および軽鎖を有する、ヒトCD3に結合する結合領域を含む第1結合アーム、
ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖および軽鎖を有する、ヒトCD2
0に結合する結合領域を含む第2結合アームを含む。これらの鎖は、SEQ ID NO. 19、20、2
2、および23などに対応する定常領域を有する、SEQ ID NO. 1~14に挙げられるCDR、VH、
およびVL配列を含む。本明細書に記載される薬学的組成物、方法、使用、および単位剤形
では、そのような抗体のバリアントも想定され得る。さらなる態様では、本発明の二重特
異性抗体は、エプコリタマブ(CAS 2134641-34-0)、またはそのバイオシミラーである。
【0086】
薬学的組成物の二重特異性抗体の濃度は、約0.5 mg/mL~約200 mg/mLであり得る。本発
明の一態様では、二重特異性抗体の濃度は約0.5~約120 mg/mLである。本発明の別の態様
では、二重特異性抗体の濃度は約1~約110 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特
異性抗体の濃度は約1~約60 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃
度は約5~約30 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は約10~約3
0 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は約12~約24 mg/mLであ
る。本発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は約5 mg/mLである。本発明の別の態
様では、二重特異性抗体の濃度は約6 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特異性
抗体の濃度は約7 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は約8 mg/
mLである。本発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は約9 mg/mLである。本発明の
別の態様では、二重特異性抗体の濃度は約10 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重
特異性抗体の濃度は約11 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は
約12 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は約13 mg/mLである。
本発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は約14 mg/mLである。本発明の別の態様で
は、二重特異性抗体の濃度は約15 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特異性抗体
の濃度は約16 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は約17 mg/mL
である。本発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は約18 mg/mLである。本発明の別
の態様では、二重特異性抗体の濃度は約19 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特
異性抗体の濃度は約20 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は約
21 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は約22 mg/mLである。本
発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は約23 mg/mLである。本発明の別の態様では
、二重特異性抗体の濃度は約24 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特異性抗体の
濃度は約25 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は約26 mg/mLで
ある。本発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は約27 mg/mLである。本発明の別の
態様では、二重特異性抗体の濃度は約28 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特異
性抗体の濃度は約29 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は約30
mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は約35 mg/mLである。本発
明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は約40 mg/mLである。本発明の別の態様では、
二重特異性抗体の濃度は約45 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃
度は約48 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は約50 mg/mLであ
る。本発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は約55 mg/mLである。本発明の別の態
様では、二重特異性抗体の濃度は約60 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特異性
抗体の濃度は約65 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は約70 m
g/mLである。
【0087】
本発明のさらなる一態様では、薬学的組成物中の二重特異性抗体の濃度は、50~120 mg
/mLである。本発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は50~110 mg/mLである。本発
明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は50~100 mg/mLである。本発明の別の態様で
は、二重特異性抗体の濃度は50~90 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特異性抗
体の濃度は50~80 mg/mLである。本発明の別の態様では、二重特異性抗体の濃度は50~70
mg/mLである。本発明の別の態様では、薬学的組成物中の二重特異性抗体の濃度は60 mg/
mLである。本発明の別の態様では、薬学的組成物中の二重特異性抗体の濃度は70 mg/mLで
ある。本発明の別の態様では、薬学的組成物中の二重特異性抗体の濃度は80 mg/mLである
。本発明の別の態様では、薬学的組成物中の二重特異性抗体の濃度は90 mg/mLである。本
発明の別の態様では、薬学的組成物中の二重特異性抗体の濃度は100 mg/mLである。本発
明の別の態様では、薬学的組成物中の二重特異性抗体の濃度は110 mg/mLである。本発明
の別の態様では、薬学的組成物中の二重特異性抗体の濃度は120 mg/mLである。本発明の
別の態様では、薬学的組成物中の二重特異性抗体の濃度は130 mg/mLである。本発明の別
の態様では、薬学的組成物中の二重特異性抗体の濃度は140 mg/mLである。本発明の別の
態様では、薬学的組成物中の二重特異性抗体の濃度は150 mg/mLである。
【0088】
本発明の薬学的組成物は、pHを二重特異性抗体の治療有効性および安定性を最適化する
範囲内に制御するために用いられる、酢酸バッファーを含む。酢酸バッファーは、注射用
水中で酢酸ナトリウム三水和物を酢酸と混合することにより生産してもよい。pHは、水酸
化ナトリウムを添加することにより調節してもよい。一態様では、酢酸バッファーは、20
mM~40 mMの濃度で存在する。本発明の一態様では、組成物中の酢酸バッファーの濃度は
20 mMである。本発明の別の態様では、組成物中の酢酸バッファーの濃度は25 mMである。
本発明の別の態様では、組成物中の酢酸バッファーの濃度は26 mMである。本発明の別の
態様では、組成物中の酢酸バッファーの濃度は27 mMである。本発明の別の態様では、組
成物中の酢酸バッファーの濃度は28 mMである。本発明の別の態様では、組成物中の酢酸
バッファーの濃度は29 mMである。本発明の別の態様では、組成物中の酢酸バッファーの
濃度は30 mMである。本発明の別の態様では、組成物中の酢酸バッファーの濃度は31 mMで
ある。本発明の別の態様では、組成物中の酢酸バッファーの濃度は32 mMである。本発明
の別の態様では、組成物中の酢酸バッファーの濃度は33 mMである。本発明の別の態様で
は、組成物中の酢酸バッファーの濃度は34 mMである。本発明の別の態様では、組成物中
の酢酸バッファーの濃度は35 mMである。本発明の別の態様では、組成物中の酢酸バッフ
ァーの濃度は40 mMである。本発明の一態様では、薬学的組成物は、さらなるバッファー
を含み得る。別の態様では、薬学的組成物は、さらなるバッファーを含まない。本発明の
発明者らは、酢酸バッファーが、ヒスチジンバッファーと比べて、二重特異性抗体の安定
化に驚くほどよく適していることを見出した。本発明の二重特異性抗体は、30 mM、pH 5.
5のヒスチジンバッファー中、8週間40℃での貯蔵後に14.2%の高分子量の粒子を形成した
が、30 mM、pH 5.5の酢酸バッファー中、8週間40℃での貯蔵後は高分子量の粒子が5.8%し
か形成されなかったことが見出された(実施例3を参照)。
【0089】
本発明の一態様では、薬学的組成物のpHは、5~6の範囲である。薬学的組成物がそのた
めに好適なバッファーを含むのが好ましいことが理解される。本発明の別の態様では、薬
学的組成物のpHは5.2~5.8の範囲である。別の態様では、薬学的組成物のpHは5.3~5.5の
範囲である。本発明の別の態様では、薬学的組成物のpHは5.4~5.6の範囲である。本発明
の別の態様では、薬学的組成物のpHは約5.5である。別の態様では、薬学的組成物のpHは
約5.4である。
【0090】
本発明の薬学的組成物は、「安定剤」としてポリオールをさらに含んでもよく、それは
アミノ酸側鎖の荷電基と相互作用することができ、それによって分子間および分子内の相
互作用のポテンシャルを減じることができる。好ましくは、本発明の薬学的組成物は、「
安定剤」としてソルビトールをさらに含んでもよく、それはアミノ酸側鎖の荷電基と相互
作用することができ、それによって分子間および分子内の相互作用のポテンシャルを減じ
ることができる。一態様では、ソルビトールは、薬学的組成物中、100 mM~250 mMの濃度
で存在する。一態様では、ソルビトールは、薬学的組成物中、150 mM~250 mMの濃度で存
在する。別の態様では、ソルビトールは、130 mM~200 mMの濃度で存在する。別の態様で
は、ソルビトールは、140 mM~160 mMの濃度で存在する。一態様では、ソルビトールは、
薬学的組成物中、140 mMの濃度で存在する。一態様では、ソルビトールは、薬学的組成物
中、145 mMの濃度で存在する。一態様では、ソルビトールは、薬学的組成物中、146 mMの
濃度で存在する。一態様では、ソルビトールは、薬学的組成物中、147 mMの濃度で存在す
る。一態様では、ソルビトールは、薬学的組成物中、148 mMの濃度で存在する。一態様で
は、ソルビトールは、薬学的組成物中、149 mMの濃度で存在する。一態様では、ソルビト
ールは、薬学的組成物中、150 mMの濃度で存在する。一態様では、ソルビトールは、薬学
的組成物中、151 mMの濃度で存在する。一態様では、ソルビトールは、薬学的組成物中、
152 mMの濃度で存在する。一態様では、ソルビトールは、薬学的組成物中、153 mMの濃度
で存在する。一態様では、ソルビトールは、薬学的組成物中、154 mMの濃度で存在する。
一態様では、ソルビトールは、薬学的組成物中、155 mMの濃度で存在する。一態様では、
ソルビトールは、薬学的組成物中、160 mMの濃度で存在する。一態様では、ソルビトール
は、薬学的組成物中、170 mMの濃度で存在する。一態様では、ソルビトールは、薬学的組
成物中、180 mMの濃度で存在する。一態様では、ソルビトールは、薬学的組成物中、190
mMの濃度で存在する。一態様では、ソルビトールは、薬学的組成物中、200 mMの濃度で存
在する。一態様では、ソルビトールは、薬学的組成物中、210 mMの濃度で存在する。一態
様では、ソルビトールは、薬学的組成物中、220 mMの濃度で存在する。一態様では、ソル
ビトールは、薬学的組成物中、230 mMの濃度で存在する。一態様では、ソルビトールは、
薬学的組成物中、240 mMの濃度で存在する。一態様では、ソルビトールは、薬学的組成物
中、250 mMの濃度で存在する。
【0091】
上述したように、本発明の薬学的組成物は、「安定剤」としてポリオールをさらに含ん
でもよく、それはアミノ酸側鎖の荷電基と相互作用することができ、それによって分子間
および分子内の相互作用のポテンシャルを減じることができる。一態様では、ポリオール
は、薬学的組成物中、100 mM~300 mMの濃度で存在する。一態様では、ポリオールは、薬
学的組成物中、140 mM~260 mMの濃度で存在する。別の態様では、ポリオールは、130 mM
~200 mMの濃度で存在する。別の態様では、ポリオールは、140 mM~160 mMの濃度で存在
する。別の態様では、ポリオールは、240 mM~260 mMの濃度で存在する。
【0092】
一態様では、薬学的組成物のオスモル濃度(mOsm/kg)は200 mOsm/kgである。別の態様
では、薬学的組成物のオスモル濃度は、210 mOsm/kgである。別の態様では、薬学的組成
物のオスモル濃度は、220 mOsm/kgである。別の態様では、薬学的組成物のオスモル濃度
は、230 mOsm/kgである。別の態様では、薬学的組成物のオスモル濃度は、240 mOsm/kgで
ある。別の態様では、薬学的組成物のオスモル濃度は、250 mOsm/kgである。別の態様で
は、薬学的組成物のオスモル濃度は、260 mOsm/kgである。別の態様では、薬学的組成物
のオスモル濃度は、270 mOsm/kgである。別の態様では、薬学的組成物のオスモル濃度は
、280 mOsm/kgである。別の態様では、薬学的組成物のオスモル濃度は、290 mOsm/kgであ
る。別の態様では、薬学的組成物のオスモル濃度は、300 mOsm/kgである。別の態様では
、薬学的組成物のオスモル濃度は、310 mOsm/kgである。別の態様では、薬学的組成物の
オスモル濃度は、320 mOsm/kgである。別の態様では、薬学的組成物のオスモル濃度は、3
30 mOsm/kgである。別の態様では、薬学的組成物のオスモル濃度は、340 mOsm/kgである
。別の態様では、薬学的組成物のオスモル濃度は、350 mOsm/kgである。別の態様では、
薬学的組成物のオスモル濃度は、360 mOsm/kgである。別の態様では、薬学的組成物のオ
スモル濃度は、370 mOsm/kgである。別の態様では、薬学的組成物のオスモル濃度は、380
mOsm/kgである。
【0093】
たとえば600 mOsm/kg未満のオスモル濃度を有することが好ましいかもしれず、それは
、そのようなオスモル濃度が皮下投与で良好に耐容されるとして広く受け入れられている
からである。したがって、別の態様では、薬学的組成物のオスモル濃度(mOsm/kg)は、2
00~600 mOsm/kgの範囲であり、より好ましくは200~450 mOsm/kgの範囲である。一態様
では、220~380 mOsm/kgの範囲のオスモル濃度が選択される。
【0094】
本発明の一態様では、薬学的組成物中の酢酸バッファー対ソルビトールの濃度比は、1:
5~1:10である。本発明の一態様では、酢酸バッファー対ソルビトールの濃度比は、1:5で
ある。本発明の別の態様では、酢酸バッファー対ソルビトールの濃度比は、1:6である。
本発明の別の態様では、酢酸バッファー対ソルビトールの濃度比は、1:7である。本発明
の別の態様では、酢酸バッファー対ソルビトールの濃度比は、1:8である。本発明の別の
態様では、酢酸バッファー対ソルビトールの濃度比は、1:9である。本発明の別の態様で
は、酢酸バッファー対ソルビトールの濃度比は、1:10である。
【0095】
本発明の薬学的組成物は、界面活性剤をさらに含む。一態様では、界面活性剤は、グリ
セロールモノオレアート、塩化ベンゼトニウム、ナトリウムドクサート、リン脂質、ポリ
エチレンアルキルエーテル、ラウリル硫酸ナトリウム、およびトリカプリリン、塩化ベン
ズアルコニウム、シトリミド、塩化セチルピリジニウム、リン脂質、アルファトコフェロ
ール、グリセロールモノオレアート、ミリスチルアルコール、リン脂質、ポロキサマー、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油誘導体、ポリオキシ
エチレンソルビンタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステラレート、ポリオキシル
ヒドロキシステアラート、ポリオキシルグリセリド、ポリソルベート、プロピレングリコ
ールジラウラート、プロピレングリコールモノラウラート、ソルビタンエステルスクロー
スパルミタート、スクロースステアラート、トリカプリリン、およびTPGSを含む群より選
択される。
【0096】
好ましい態様では、界面活性剤はポリソルベートである。一態様では、界面活性剤はポ
リソルベート20である。別の好ましい態様では、ポリソルベート80である。
【0097】
本発明の一態様では、界面活性剤は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。本発明の
一態様では、界面活性剤は、約0.01~0.1% w/vの濃度で含まれる。本発明の一態様では、
界面活性剤は、約0.01~0.09% w/vの濃度で含まれる。本発明の一態様では、界面活性剤
は、約0.01~0.06% w/vの濃度で含まれる。本発明の一態様では、界面活性剤は、約0.01
~0.05% w/vの濃度で含まれる。本発明の一態様では、界面活性剤は、約0.01% w/vの濃度
で含まれる。本発明の一態様では、界面活性剤は、約0.02% w/vの濃度で含まれる。本発
明の一態様では、界面活性剤は、約0.03% w/vの濃度で含まれる。本発明の一態様では、
界面活性剤は、約0.04% w/vの濃度で含まれる。本発明の一態様では、界面活性剤は、約0
.05% w/vの濃度で含まれる。本発明の一態様では、界面活性剤は、濃度0.04% w/vのポリ
ソルベート80である。本発明者らは、界面活性剤を含有すると、二重特異性抗体の物理的
安定性が向上し、かつ可視粒子のレベルが著しく下がることを見出した。このことは、よ
り小さいバッジよりもより大きいバッジの製剤にとってより重要であることが見出された
。
【0098】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
a. 0.5~120 mg/mLの二重特異性抗体
b. 20~40 mM 酢酸塩
c. 140~160 mM ソルビトール
d. 0.005%~0.4% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含む。
【0099】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
a. 0.5~120 mg/mLの二重特異性抗体
b. 20~40 mM 酢酸塩
c. 140~160 mM ソルビトール
d. 0.005%~0.4% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
から本質的になる。
【0100】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
a. 0.5~120 mg/mLの二重特異性抗体
b. 20~40 mM 酢酸塩
c. 140~160 mM ソルビトール
d. 0.005%~0.4% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなる。
【0101】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
a. 5~60 mg/mLの二重特異性抗体
b. 28~32 mM 酢酸塩
c. 145~155 mM ソルビトール
d. 0.02~0.05% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含み、
ここで二重特異性抗体のCD3結合Fabアームは、それぞれSEQ ID No 6および7に定められる
VHおよびVL配列、ならびにSEQ ID NO: 19(FEAL)に定められる定常重鎖配列を含み、CD2
0結合Fabアームは、それぞれSEQ ID :13および14のVHおよびVL配列、ならびにSEQ ID NO:
20(FEAR)に定められる定常重鎖配列を含む。
【0102】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
a. 5~60 mg/mLの二重特異性抗体
b. 28~32 mM 酢酸塩
c. 145~155 mM ソルビトール
d. 0.02~0.05% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
から本質的になり、
ここで二重特異性抗体のCD3結合Fabアームは、それぞれSEQ ID No 6および7に定められる
VHおよびVL配列、ならびにSEQ ID NO: 19(FEAL)に定められる定常重鎖配列を含み、CD2
0結合Fabアームは、それぞれSEQ ID :13および14のVHおよびVL配列、ならびにSEQ ID NO:
20(FEAR)に定められる定常重鎖配列を含む。
【0103】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
a. 10~50 mg/mLの二重特異性抗体
b. 28~32 mM 酢酸塩
c. 145~155 mM ソルビトール
d. 0.02~0.05% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
から本質的になり、
ここで二重特異性抗体のCD3結合Fabアームは、それぞれSEQ ID No 6および7に定められる
VHおよびVL配列、ならびにSEQ ID NO: 19(FEAL)に定められる定常重鎖配列を含み、CD2
0結合Fabアームは、それぞれSEQ ID :13および14のVHおよびVL配列、ならびにSEQ ID NO:
20(FEAR)に定められる定常重鎖配列を含む。
【0104】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
a. 12~24 mg/mLの二重特異性抗体
b. 28~32 mM 酢酸塩
c. 145~155 mM ソルビトール
d. 0.02~0.05% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
から本質的になり、
ここで二重特異性抗体のCD3結合Fabアームは、それぞれSEQ ID No 6および7に定められる
VHおよびVL配列、ならびにSEQ ID NO: 19(FEAL)に定められる定常重鎖配列を含み、CD2
0結合Fabアームは、それぞれSEQ ID :13および14のVHおよびVL配列、ならびにSEQ ID NO:
20(FEAR)に定められる定常重鎖配列を含む。
【0105】
本発明の別の態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
a. 5~60 mg/mL、たとえば10~50 mg/mL、たとえば12~24 mg/mLの二重特異性抗体
b. 30 mM 酢酸バッファー
c. 150 mM ソルビトール
d. 0.04% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20または
ポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
から本質的になり、
ここで二重特異性抗体のCD3結合Fabアームは、それぞれSEQ ID No 6および7に定められる
VHおよびVL配列、ならびにSEQ ID NO: 19(FEAL)に定められる定常重鎖配列を含み、CD2
0結合Fabアームは、それぞれSEQ ID :13および14のVHおよびVL配列、ならびにSEQ ID NO:
20(FEAR)に定められる定常重鎖配列を含む。
【0106】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
e. 5~60 mg/mLの二重特異性抗体
f. 28~32 mM 酢酸塩
g. 145~155 mM ソルビトール
h. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなり、
ここで二重特異性抗体のCD3結合Fabアームは、それぞれSEQ ID No 6および7に定められる
VHおよびVL配列、ならびにSEQ ID NO: 19(FEAL)に定められる定常重鎖配列を含み、CD2
0結合Fabアームは、それぞれSEQ ID :13および14のVHおよびVL配列、ならびにSEQ ID NO:
20(FEAR)に定められる定常重鎖配列を含む。
【0107】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
e. 10~50 mg/mLの二重特異性抗体
f. 28~32 mM 酢酸塩
g. 145~155 mM ソルビトール
h. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなり、
ここで二重特異性抗体のCD3結合Fabアームは、それぞれSEQ ID No 6および7に定められる
VHおよびVL配列、ならびにSEQ ID NO: 19(FEAL)に定められる定常重鎖配列を含み、CD2
0結合Fabアームは、それぞれSEQ ID :13および14のVHおよびVL配列、ならびにSEQ ID NO:
20(FEAR)に定められる定常重鎖配列を含む。
【0108】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
e. 12~24 mg/mLの二重特異性抗体
f. 28~32 mM 酢酸塩
g. 145~155 mM ソルビトール
h. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなり、
ここで二重特異性抗体のCD3結合Fabアームは、それぞれSEQ ID No 6および7に定められる
VHおよびVL配列、ならびにSEQ ID NO: 19(FEAL)に定められる定常重鎖配列を含み、CD2
0結合Fabアームは、それぞれSEQ ID :13および14のVHおよびVL配列、ならびにSEQ ID NO:
20(FEAR)に定められる定常重鎖配列を含む。
【0109】
本発明の別の態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
e. 5~60 mg/mL、たとえば10~50 mg/mL、たとえば12~24 mg/mLの二重特異性抗体
f. 30 mM 酢酸バッファー
g. 150 mM ソルビトール
h. 0.04% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20または
ポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなり、
ここで二重特異性抗体のCD3結合Fabアームは、それぞれSEQ ID No 6および7に定められる
VHおよびVL配列、ならびにSEQ ID NO: 19(FEAL)に定められる定常重鎖配列を含み、CD2
0結合Fabアームは、それぞれSEQ ID :13および14のVHおよびVL配列、ならびにSEQ ID NO:
20(FEAR)に定められる定常重鎖配列を含む。
【0110】
一態様では、薬学的組成物は、30 mM 酢酸塩、150 mM ソルビトール、pH 5.5、および0
.04% w/v ポリソルベート80中で製剤化された濃縮薬剤(DuoBodyCD3xCD20)である。該濃
縮物は、投与前に希釈剤で希釈して、2 μg/mL~24 mg/mLの二重特異性抗体濃度としても
よい。該濃縮物は、投与前日に希釈剤で希釈して、2 μg/mL~24 mg/mLの二重特異性抗体
濃度としてもよい。該濃縮物は、投与当日の投与前に希釈剤で希釈して、2 μg/mL~24 m
g/mLの二重特異性抗体濃度としてもよい。該濃縮物は、投与直前に希釈剤で希釈して、2
μg/mL~24 mg/mLの二重特異性抗体濃度としてもよい。一態様では、希釈剤製剤は、30 m
M 酢酸塩、150 mM ソルビトール、pH 5.5、および0.04% w/v ポリソルベート80である。
本明細書に記載される、ほかの好適な薬学的に許容される希釈剤を想定してもよい。
【0111】
別の態様では、希釈剤は市販の希釈剤である。非常に好ましい希釈剤は、注射に好適な
水中0.9% NaCl(w/v)などの塩化ナトリウム溶液である。そのような希釈剤は、本明細書
に定義されるような薬学的組成物に含まれるCD3xCD20二重特異性抗体の希釈に非常に有用
である。たとえば、注射に好適な水中0.9% 塩化ナトリウム溶液(w/v)を用いて、本発明
の薬学的溶液に含まれるエプコリタマブを希釈することができる。
【0112】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
a. 0.5~120 mg/mLの二重特異性抗体
b. 28~32 mM 酢酸塩
c. 145~155 mM ソルビトール
d. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含み、
ここで二重特異性抗体は、それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および軽鎖
を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖およ
び軽鎖を有するCD20結合アームを含む。
【0113】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
a. 0.5~120 mg/mLの二重特異性抗体
b. 28~32 mM 酢酸塩
c. 145~155 mM ソルビトール
d. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
から本質的になり、
ここで二重特異性抗体は、それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および軽鎖
を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖およ
び軽鎖を有するCD20結合アームを含む。
【0114】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
e. 0.5~120 mg/mLの二重特異性抗体
f. 28~32 mM 酢酸塩
g. 145~155 mM ソルビトール
h. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなり、
ここで二重特異性抗体は、それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および軽鎖
を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖およ
び軽鎖を有するCD20結合アームを含む。
【0115】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
a. 2~8 mg/mLの二重特異性抗体
b. 28~32 mM 酢酸塩
c. 145~155 mM ソルビトール
d. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
含み、
ここで二重特異性抗体は、それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および軽鎖
を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖およ
び軽鎖を有するCD20結合アームを含む。
【0116】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
a. 2~8 mg/mLの二重特異性抗体
b. 28~32 mM 酢酸塩
c. 145~155 mM ソルビトール
d. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなり、
ここで二重特異性抗体は、それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および軽鎖
を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖およ
び軽鎖を有するCD20結合アームを含む。
【0117】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
a. 40~80 mg/mLの二重特異性抗体
b. 28~32 mM 酢酸塩
c. 145~155 mM ソルビトール
d. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含み、
ここで二重特異性抗体は、それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および軽鎖
を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖およ
び軽鎖を有するCD20結合アームを含む。
【0118】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
a. 40~80 mg/mLの二重特異性抗体
b. 28~32 mM 酢酸塩
c. 145~155 mM ソルビトール
d. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなり、
ここで二重特異性抗体は、それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および軽鎖
を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖およ
び軽鎖を有するCD20結合アームを含む。
【0119】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
a. 0.5~120 mg/mLのエプコリタマブ
b. 28~32 mM 酢酸塩
c. 145~155 mM ソルビトール
d. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含む。
【0120】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
a. 0.5~120 mg/mLのエプコリタマブ
b. 28~32 mM 酢酸塩
c. 145~155 mM ソルビトール
d. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなる。
【0121】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
a. 2~8 mg/mLのエプコリタマブ
b. 28~32 mM 酢酸塩
c. 145~155 mM ソルビトール
d. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含む。
【0122】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
a. 2~8 mg/mLのエプコリタマブ
b. 28~32 mM 酢酸塩
c. 145~155 mM ソルビトール
d. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなる。
【0123】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
a. 40~80 mg/mLのエプコリタマブ
b. 28~32 mM 酢酸塩
c. 145~155 mM ソルビトール
d. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含む。
【0124】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
a. 40~80 mg/mLのエプコリタマブ
b. 28~32 mM 酢酸塩
c. 145~155 mM ソルビトール
d. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなる。
【0125】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
a. 5、48、または60 mg/mLのエプコリタマブ
b. 28~32 mM 酢酸塩
c. 145~155 mM ソルビトール
d. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなる。
【0126】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
i. 0.5~120 mg/mLの二重特異性抗体
j. 28~32 mM 酢酸塩
k. 145~155 mM ソルビトール
l. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなり、
ここで二重特異性抗体は、それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および軽鎖
を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖およ
び軽鎖を有するCD20結合アームを含む。
【0127】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
e. 2~8 mg/mLの二重特異性抗体
f. 28~32 mM 酢酸塩
g. 145~155 mM ソルビトール
h. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含み、
ここで二重特異性抗体は、それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および軽鎖
を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖およ
び軽鎖を有するCD20結合アームを含む。
【0128】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
e. 2~8 mg/mLの二重特異性抗体
f. 28~32 mM 酢酸塩
g. 145~155 mM ソルビトール
h. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなり、
ここで二重特異性抗体は、それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および軽鎖
を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖およ
び軽鎖を有するCD20結合アームを含む。
【0129】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
e. 40~80 mg/mLの二重特異性抗体
f. 28~32 mM 酢酸塩
g. 145~155 mM ソルビトール
h. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含み、
ここで二重特異性抗体は、それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および軽鎖
を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖およ
び軽鎖を有するCD20結合アームを含む。
【0130】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
e. 40~80 mg/mLの二重特異性抗体
f. 28~32 mM 酢酸塩
g. 145~155 mM ソルビトール
h. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなり、
ここで二重特異性抗体は、それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および軽鎖
を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖およ
び軽鎖を有するCD20結合アームを含む。
【0131】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
e. 0.5~120 mg/mLのエプコリタマブ
f. 28~32 mM 酢酸塩
g. 145~155 mM ソルビトール
h. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含む。
【0132】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
e. 0.5~120 mg/mLのエプコリタマブ
f. 28~32 mM 酢酸塩
g. 145~155 mM ソルビトール
h. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなる。
【0133】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
e. 2~8 mg/mLのエプコリタマブ
f. 28~32 mM 酢酸塩
g. 145~155 mM ソルビトール
h. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含む。
【0134】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
e. 2~8 mg/mLのエプコリタマブ
f. 28~32 mM 酢酸塩
g. 145~155 mM ソルビトール
h. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなる。
【0135】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
e. 40~80 mg/mLのエプコリタマブ
f. 28~32 mM 酢酸塩
g. 145~155 mM ソルビトール
h. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含む。
【0136】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
e. 40~80 mg/mLのエプコリタマブ
f. 28~32 mM 酢酸塩
g. 145~155 mM ソルビトール
h. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなる。
【0137】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
e. 5、48、または60 mg/mLのエプコリタマブ
f. 28~32 mM 酢酸塩
g. 145~155 mM ソルビトール
h. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなる。
【0138】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
m. 0.5~120 mg/mLの二重特異性抗体
n. 28~32 mM 酢酸塩
o. 140~260 mM ソルビトール
p. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなり、
ここで二重特異性抗体は、それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および軽鎖
を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖およ
び軽鎖を有するCD20結合アームを含む。
【0139】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
i. 2~8 mg/mLの二重特異性抗体
j. 28~32 mM 酢酸塩
k. 140~260 mM ソルビトール
l. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含み、
ここで二重特異性抗体は、それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および軽鎖
を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖およ
び軽鎖を有するCD20結合アームを含む。
【0140】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
i. 2~8 mg/mLの二重特異性抗体
j. 28~32 mM 酢酸塩
k. 140~260 mM ソルビトール
l. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなり、
ここで二重特異性抗体は、それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および軽鎖
を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖およ
び軽鎖を有するCD20結合アームを含む。
【0141】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
i. 40~80 mg/mLの二重特異性抗体
j. 28~32 mM 酢酸塩
k. 140~260 mM ソルビトール
l. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含み、
ここで二重特異性抗体は、それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および軽鎖
を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖およ
び軽鎖を有するCD20結合アームを含む。
【0142】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
i. 40~80 mg/mLの二重特異性抗体
j. 28~32 mM 酢酸塩
k. 140~260 mM ソルビトール
l. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなり、
ここで二重特異性抗体は、それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および軽鎖
を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖およ
び軽鎖を有するCD20結合アームを含む。
【0143】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
i. 0.5~120 mg/mLのエプコリタマブ
j. 28~32 mM 酢酸塩
k. 140~260 mM ソルビトール
l. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含む。
【0144】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
i. 0.5~120 mg/mLのエプコリタマブ
j. 28~32 mM 酢酸塩
k. 140~260 mM ソルビトール
l. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなる。
【0145】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
i. 2~8 mg/mLのエプコリタマブ
j. 28~32 mM 酢酸塩
k. 140~260 mM ソルビトール
l. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含む。
【0146】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
i. 2~8 mg/mLのエプコリタマブ
j. 28~32 mM 酢酸塩
k. 140~260 mM ソルビトール
l. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなる。
【0147】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
i. 40~80 mg/mLのエプコリタマブ
j. 28~32 mM 酢酸塩
k. 140~260 mM ソルビトール
l. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含む。
【0148】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
i. 40~80 mg/mLのエプコリタマブ
j. 28~32 mM 酢酸塩
k. 140~260 mM ソルビトール
l. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなる。
【0149】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、約5.5のpHを有し、かつ
i. 5、48、または60 mg/mLのエプコリタマブ
j. 28~32 mM 酢酸塩
k. 140~260 mM ソルビトール
l. 0.02~0.06% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
からなる。
【0150】
一態様では、薬学的組成物を、本明細書に記載されるように、たとえば30 mM 酢酸塩、
150 mM ソルビトール、pH 5.5、および0.04% w/v ポリソルベート80中で製剤化し、投与
前に希釈剤で希釈して二重特異性抗体を所望の濃度にしもよい。たとえば、抗体を、2 μ
g/mL~24 mg/mLの範囲の二重特異性抗体濃度まで希釈してもよい。たとえば、30 mM 酢酸
塩、150 mM ソルビトール、pH 5.5、および0.04% w/v ポリソルベート80中で製剤化され
た薬剤は、エプコリタマブなどのかつ本明細書に定義されるような二重特異性抗体を濃度
2~8 mg/mLの範囲で有し得、それを投与前に適切な希釈剤を用いて濃度100 μg/mL~2 mg
/mLの範囲まで希釈してもよい。一態様では、希釈剤製剤は、30 mM 酢酸塩、150 mM ソル
ビトール、pH 5.5、および0.04% w/v ポリソルベート80である。一態様では、希釈剤製剤
は、30 mM 酢酸塩、250 mM ソルビトール、pH 5.5、および0.04% w/v ポリソルベート80
である。別の態様では、希釈剤は、薬学的に許容される希釈剤である。さらなる態様では
、薬学的に許容される希釈剤は、0.9% w/v 塩化ナトリウム水溶液である。好ましくは、
抗体を選択濃度まで希釈し、そうすることで患者への好適な体積の投与、たとえば皮下投
与を可能にすることは、投与の数日前に行われる。一態様では、希釈物が投与の前日に調
製される。別の態様では、抗体製品の希釈物が、投与当日に調製される。
【0151】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID
NO: 2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ I
D NO: 4のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、GTNを含むVL-CDR2、およびSEQ ID NO: 5を含むア
ミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO: 8のア
ミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID NO: 9のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 10
のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ ID NO: 11のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、DASを含む
VL-CDR2、およびSEQ ID NO: 12を含むアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD20結合
ドメインを含む、約5~約60 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.0~約6.5のpHを有する約2
0~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、ならびに(iv)界面活性剤、
を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.005%~0.4% w
/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3~約5.6のpHを有する。
【0152】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID
NO: 2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ I
D NO: 4のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、GTNを含むVL-CDR2、およびSEQ ID NO: 5を含むア
ミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO: 8のア
ミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID NO: 9のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 10
のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ ID NO: 11のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、DASを含む
VL-CDR2、およびSEQ ID NO: 12を含むアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD20結合
ドメインを含む、約5~約60 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.3~約5.6のpHを有する約2
0~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、ならびに(iv)界面活性
剤、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.005%~0.
4% w/vの濃度で含まれる。
【0153】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID
NO: 2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ I
D NO: 4のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、GTNを含むVL-CDR2、およびSEQ ID NO: 5を含むア
ミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO: 8のア
ミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID NO: 9のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 10
のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ ID NO: 11のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、DASを含む
VL-CDR2、およびSEQ ID NO: 12を含むアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD20結合
ドメインを含む、約5~約60 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.3~約5.6のpHを有する約2
0~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、ならびに(iv)ポリソル
ベート80、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.00
5%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0154】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID
NO: 2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ I
D NO: 4のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、GTNを含むVL-CDR2、およびSEQ ID NO: 5を含むア
ミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO: 8のア
ミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID NO: 9のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 10
のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ ID NO: 11のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、DASを含む
VL-CDR2、およびSEQ ID NO: 12を含むアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD20結合
ドメインを含む、約5~約60 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.3~約5.6のpHを有する約2
0~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、ならびに(iv)界面活
性剤、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.005%~
0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0155】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID
NO: 2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ I
D NO: 4のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、GTNを含むVL-CDR2、およびSEQ ID NO: 5を含むア
ミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO: 8のア
ミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID NO: 9のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 10
のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ ID NO: 11のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、DASを含む
VL-CDR2、およびSEQ ID NO: 12を含むアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD20結合
ドメインを含む、約5~約60 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.0~約6.5のpHを有する約2
0~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、ならびに(iv)ポリソルベー
ト80、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.005%~
0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3~約5.6のpHを有
する。
【0156】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID
NO: 2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ I
D NO: 4のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、GTNを含むVL-CDR2、およびSEQ ID NO: 5を含むア
ミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO: 8のア
ミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID NO: 9のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 10
のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ ID NO: 11のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、DASを含む
VL-CDR2、およびSEQ ID NO: 12を含むアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD20結合
ドメインを含む、約5~約60 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.0~約6.5のpHを有する約2
0~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、ならびに(iv)界面活性剤
、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.005%~0.4%
w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3~約5.6のpHを有する
。
【0157】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID
NO: 2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ I
D NO: 4のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、GTNを含むVL-CDR2、およびSEQ ID NO: 5を含むア
ミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO: 8のア
ミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID NO: 9のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 10
のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ ID NO: 11のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、DASを含む
VL-CDR2、およびSEQ ID NO: 12を含むアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD20結合
ドメインを含む、約5~約60 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.0~約6.5のpHを有する約2
0~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、ならびに(iv)界面活性剤
、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.005%~0.4%
w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3~約5.6のpHを有する
。
【0158】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID
NO: 2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ I
D NO: 4のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、GTNを含むVL-CDR2、およびSEQ ID NO: 5を含むア
ミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO: 8のア
ミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID NO: 9のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 10
のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ ID NO: 11のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、DASを含む
VL-CDR2、およびSEQ ID NO: 12を含むアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD20結合
ドメインを含む、約5~約60 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.3~約5.6のpHを有する約2
0~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、ならびに(iv)ポリソ
ルベート80、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.
005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0159】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 6のアミノ酸配列を含むVH-、およびSEQ I
D NO: 7のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO:
13のアミノ酸配列を含むVH、およびSEQ ID NO: 14のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトC
D20結合ドメインを含む、約5~約60 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.0~約6.5のpHを有
する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、ならびに(iv)界面
活性剤、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.005%
~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3~約5.6のpHを
有する。
【0160】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 6のアミノ酸配列を含むVH-、およびSEQ I
D NO: 7のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO:
13のアミノ酸配列を含むVH、およびSEQ ID NO: 14のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトC
D20結合ドメインを含む、約5~約60 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.3~約5.6のpHを有
する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、ならびに(iv)
界面活性剤、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.
005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0161】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 6のアミノ酸配列を含むVH-、およびSEQ I
D NO: 7のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO:
13のアミノ酸配列を含むVH、およびSEQ ID NO: 14のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトC
D20結合ドメインを含む、約5~約60 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.3~約5.6のpHを有
する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、ならびに(iv)
ポリソルベート80、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は
、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0162】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 6のアミノ酸配列を含むVH-、およびSEQ I
D NO: 7のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO:
13のアミノ酸配列を含むVH、およびSEQ ID NO: 14のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトC
D20結合ドメインを含む、約5~約60 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.3~約5.6のpHを有
する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、ならびに(iv
)界面活性剤、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0
.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0163】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 6のアミノ酸配列を含むVH-、およびSEQ I
D NO: 7のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO:
13のアミノ酸配列を含むVH、およびSEQ ID NO: 14のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトC
D20結合ドメインを含む、約5~約60 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.0~約6.5のpHを有
する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、ならびに(iv)ポリ
ソルベート80、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約
0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3~約5.6
のpHを有する。
【0164】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 6のアミノ酸配列を含むVH-、およびSEQ I
D NO: 7のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO:
13のアミノ酸配列を含むVH、およびSEQ ID NO: 14のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトC
D20結合ドメインを含む、約5~約60 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.0~約6.5のpHを有
する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、ならびに(iv)界
面活性剤、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.00
5%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3~約5.6のpH
を有する。
【0165】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 6のアミノ酸配列を含むVH-、およびSEQ I
D NO: 7のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO:
13のアミノ酸配列を含むVH、およびSEQ ID NO: 14のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトC
D20結合ドメインを含む、約5~約60 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.0~約6.5のpHを有
する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、ならびに(iv)ポ
リソルベート80、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、
約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3~約5
.6のpHを有する。
【0166】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 6のアミノ酸配列を含むVH-、およびSEQ I
D NO: 7のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO:
13のアミノ酸配列を含むVH、およびSEQ ID NO: 14のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトC
D20結合ドメインを含む、約5~約60 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.3~約5.6のpHを有
する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、ならびに(iv
)ポリソルベート80、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤
は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0167】
別の態様では、本発明は、(i)それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および
軽鎖を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖
および軽鎖を有するCD20結合アームを含む、約5~約 60mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5
.3~約6.5のpHを有する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、
ならびに(iv)界面活性剤、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活
性剤は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約
5.3~約5.6のpHを有する。
【0168】
別の態様では、本発明は、(i)それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および
軽鎖を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖
および軽鎖を有するCD20結合アームを含む、約5~約60 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5
.3~約5.6のpHを有する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオー
ル、ならびに(iv)界面活性剤、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界
面活性剤は、約0.005%~0.4%w/vの濃度で含まれる。
【0169】
別の態様では、本発明は、(i)それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および
軽鎖を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖
および軽鎖を有するCD20結合アームを含む、約5~約60 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5
.3~約5.6のpHを有する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオー
ル、ならびに(iv)ポリソルベート80、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様で
は、界面活性剤は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0170】
別の態様では、本発明は、(i)それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および
軽鎖を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖
および軽鎖を有するCD20結合アームを含む、約5~約60 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5
.3~約5.6のpHを有する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビト
ール、ならびに(iv)界面活性剤、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、
界面活性剤は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0171】
別の態様では、本発明は、(i)それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および
軽鎖を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖
および軽鎖を有するCD20結合アームを含む、約5~約60 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5
.3~約6.5のpHを有する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、
ならびに(iv)ポリソルベート80、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、
界面活性剤は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファー
は、約5.3~約5.6のpHを有する。
【0172】
別の態様では、本発明は、(i)それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および
軽鎖を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖
および軽鎖を有するCD20結合アームを含む、約5~約60 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5
.3~約6.5のpHを有する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール
、ならびに(iv)界面活性剤、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面
活性剤は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、
約5.3~約5.6のpHを有する。
【0173】
別の態様では、本発明は、(i)それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および
軽鎖を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖
および軽鎖を有するCD20結合アームを含む、約5~約60 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5
.3~約6.5のpHを有する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール
、ならびに(iv)ポリソルベート80、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では
、界面活性剤は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファ
ーは、約5.3~約5.6のpHを有する。
【0174】
別の態様では、本発明は、(i)それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および
軽鎖を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖
および軽鎖を有するCD20結合アームを含む、約5~約60 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5
.3~約5.6のpHを有する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビト
ール、ならびに(iv)ポリソルベート80、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様
では、界面活性剤は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0175】
別の態様では、本発明は、(i)約5~約60 mg/mLのエプコリタマブ、(ii)約5.3~約6.5の
pHを有する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、および(iv)
界面活性剤を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.00
5%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3~約5.6のpH
を有する。
【0176】
別の態様では、本発明は、(i)約5~約60 mg/mLのエプコリタマブ、(ii)約5.3~約5.6の
pHを有する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、および(
iv)界面活性剤を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0
.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0177】
別の態様では、本発明は、(i)約5~約60 mg/mLのエプコリタマブ、(ii)約5.3~約5.6の
pHを有する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、および(
iv)ポリソルベート80を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤
は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0178】
別の態様では、本発明は、(i)約5~約60 mg/mLのエプコリタマブ、(ii)約5.3~約5.6の
pHを有する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、およ
び(iv)界面活性剤を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、
約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0179】
別の態様では、本発明は、(i)約5~約60 mg/mLのエプコリタマブ、(ii)約5.3~約6.5の
pHを有する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、および(iv)
ポリソルベート80を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、
約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3~約5
.6のpHを有する。
【0180】
別の態様では、本発明は、(i)約5~約60 mg/mLのエプコリタマブ、(ii)約5.3~約6.5の
pHを有する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、および(iv
)界面活性剤を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.0
05%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3~約5.6のp
Hを有する。
【0181】
別の態様では、本発明は、(i)約5~約60 mg/mLのエプコリタマブ、(ii)約5.3~約6.5の
pHを有する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、および(iv
)ポリソルベート80を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は
、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3~
約5.6のpHを有する。
【0182】
別の態様では、本発明は、(i)約5~約60 mg/mLのエプコリタマブ、(ii)約5.3~約5.6の
pHを有する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、およ
び(iv)ポリソルベート80を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性
剤は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0183】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID
NO: 2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ I
D NO: 4のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、GTNを含むVL-CDR2、およびSEQ ID NO: 5を含むア
ミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO: 8のア
ミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID NO: 9のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 10
のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ ID NO: 11のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、DASを含む
VL-CDR2、およびSEQ ID NO: 12を含むアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD20結合
ドメインを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.0~約6.5のpHを有する
約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、ならびに(iv)界面活性
剤、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.005%~0.
4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3~約5.6のpHを有す
る。
【0184】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID
NO: 2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ I
D NO: 4のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、GTNを含むVL-CDR2、およびSEQ ID NO: 5を含むア
ミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO: 8のア
ミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID NO: 9のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 10
のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ ID NO: 11のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、DASを含む
VL-CDR2、およびSEQ ID NO: 12を含むアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD20結合
ドメインを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.3~約5.6のpHを有する
約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、ならびに(iv)界面
活性剤、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.005%
~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0185】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID
NO: 2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ I
D NO: 4のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、GTNを含むVL-CDR2、およびSEQ ID NO: 5を含むア
ミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO: 8のア
ミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID NO: 9のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 10
のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ ID NO: 11のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、DASを含む
VL-CDR2、およびSEQ ID NO: 12を含むアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD20結合
ドメインを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.3~約5.6のpHを有する
約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、ならびに(iv)ポリ
ソルベート80、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約
0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0186】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID
NO: 2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ I
D NO: 4のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、GTNを含むVL-CDR2、およびSEQ ID NO: 5を含むア
ミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO: 8のア
ミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID NO: 9のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 10
のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ ID NO: 11のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、DASを含む
VL-CDR2、およびSEQ ID NO: 12を含むアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD20結合
ドメインを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.3~約5.6のpHを有する
約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、ならびに(iv)界
面活性剤、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.00
5%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0187】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID
NO: 2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ I
D NO: 4のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、GTNを含むVL-CDR2、およびSEQ ID NO: 5を含むア
ミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO: 8のア
ミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID NO: 9のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 10
のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ ID NO: 11のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、DASを含む
VL-CDR2、およびSEQ ID NO: 12を含むアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD20結合
ドメインを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.0~約6.5のpHを有する
約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、ならびに(iv)ポリソル
ベート80、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.00
5%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3~約5.6のpH
を有する。
【0188】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID
NO: 2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ I
D NO: 4のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、GTNを含むVL-CDR2、およびSEQ ID NO: 5を含むア
ミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO: 8のア
ミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID NO: 9のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 10
のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ ID NO: 11のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、DASを含む
VL-CDR2、およびSEQ ID NO: 12を含むアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD20結合
ドメインを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.0~約6.5のpHを有する
約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、ならびに(iv)界面活
性剤、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.005%~
0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3~約5.6のpHを有
する。
【0189】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID
NO: 2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ I
D NO: 4のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、GTNを含むVL-CDR2、およびSEQ ID NO: 5を含むア
ミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO: 8のア
ミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID NO: 9のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 10
のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ ID NO: 11のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、DASを含む
VL-CDR2、およびSEQ ID NO: 12を含むアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD20結合
ドメインを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.0~約6.5のpHを有する
約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、ならびに(iv)界面活
性剤、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.005%~
0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3~約5.6のpHを有
する。
【0190】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID
NO: 2のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ I
D NO: 4のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、GTNを含むVL-CDR2、およびSEQ ID NO: 5を含むア
ミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2) SEQ ID NO: 8のア
ミノ酸配列を含むVH-CDR1、SEQ ID NO: 9のアミノ酸配列を含むVH-CDR2、SEQ ID NO: 10
のアミノ酸配列を含むVH-CDR3、SEQ ID NO: 11のアミノ酸配列を含むVL-CDR1、DASを含む
VL-CDR2、およびSEQ ID NO: 12を含むアミノ酸配列を含むVL-CDR3を含む、ヒトCD20結合
ドメインを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.3~約5.6のpHを有する
約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、ならびに(iv)ポ
リソルベート80、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、
約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0191】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 6のアミノ酸配列を含むVH-、およびSEQ I
D NO: 7のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO:
13のアミノ酸配列を含むVH、およびSEQ ID NO: 14のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトC
D20結合ドメインを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.0~約6.5のpH
を有する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、ならびに(iv)
界面活性剤、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.
005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3~約5.6の
pHを有する。
【0192】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 6のアミノ酸配列を含むVH-、およびSEQ I
D NO: 7のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO:
13のアミノ酸配列を含むVH、およびSEQ ID NO: 14のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトC
D20結合ドメインを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.3~約5.6のpH
を有する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、ならびに(
iv)界面活性剤、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、
約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0193】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 6のアミノ酸配列を含むVH-、およびSEQ I
D NO: 7のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO:
13のアミノ酸配列を含むVH、およびSEQ ID NO: 14のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトC
D20結合ドメインを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.3~約5.6のpH
を有する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、ならびに(
iv)ポリソルベート80、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性
剤は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0194】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 6のアミノ酸配列を含むVH-、およびSEQ I
D NO: 7のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO:
13のアミノ酸配列を含むVH、およびSEQ ID NO: 14のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトC
D20結合ドメインを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.3~約5.6のpH
を有する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、ならび
に(iv)界面活性剤、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は
、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0195】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 6のアミノ酸配列を含むVH-、およびSEQ I
D NO: 7のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO:
13のアミノ酸配列を含むVH、およびSEQ ID NO: 14のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトC
D20結合ドメインを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.0~約6.5のpH
を有する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、ならびに(iv)
ポリソルベート80、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は
、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3~
約5.6のpHを有する。
【0196】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 6のアミノ酸配列を含むVH-、およびSEQ I
D NO: 7のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO:
13のアミノ酸配列を含むVH、およびSEQ ID NO: 14のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトC
D20結合ドメインを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.0~約6.5のpH
を有する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、ならびに(iv
)界面活性剤、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0
.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3~約5.6
のpHを有する。
【0197】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 6のアミノ酸配列を含むVH-、およびSEQ I
D NO: 7のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO:
13のアミノ酸配列を含むVH、およびSEQ ID NO: 14のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトC
D20結合ドメインを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.0~約6.5のpH
を有する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、ならびに(iv
)ポリソルベート80、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤
は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3
~約5.6のpHを有する。
【0198】
別の態様では、本発明は、(i)(1)SEQ ID NO: 6のアミノ酸配列を含むVH-、およびSEQ I
D NO: 7のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトCD3結合ドメイン、ならびに(2)SEQ ID NO:
13のアミノ酸配列を含むVH、およびSEQ ID NO: 14のアミノ酸配列を含むVLを含む、ヒトC
D20結合ドメインを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)約5.3~約5.6のpH
を有する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、ならび
に(iv)ポリソルベート80、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活
性剤は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0199】
別の態様では、本発明は、(i)それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および
軽鎖を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖
および軽鎖を有するCD20結合アームを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)
約5.3~約6.5のpHを有する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオー
ル、ならびに(iv)界面活性剤、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界
面活性剤は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは
、約5.3~約5.6のpHを有する。
【0200】
別の態様では、本発明は、(i)それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および
軽鎖を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖
および軽鎖を有するCD20結合アームを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)
約5.3~約5.6のpHを有する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのポリ
オール、ならびに(iv)界面活性剤、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では
、界面活性剤は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0201】
別の態様では、本発明は、(i)それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および
軽鎖を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖
および軽鎖を有するCD20結合アームを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)
約5.3~約5.6のpHを有する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのポリ
オール、ならびに(iv)ポリソルベート80、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態
様では、界面活性剤は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0202】
別の態様では、本発明は、(i)それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および
軽鎖を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖
および軽鎖を有するCD20結合アームを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)
約5.3~約5.6のpHを有する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのソル
ビトール、ならびに(iv)界面活性剤、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様で
は、界面活性剤は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0203】
別の態様では、本発明は、(i)それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および
軽鎖を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖
および軽鎖を有するCD20結合アームを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)
約5.3~約6.5のpHを有する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオー
ル、ならびに(iv)ポリソルベート80、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様で
は、界面活性剤は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッフ
ァーは、約5.3~約5.6のpHを有する。
【0204】
別の態様では、本発明は、(i)それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および
軽鎖を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖
および軽鎖を有するCD20結合アームを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)
約5.3~約6.5のpHを有する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビト
ール、ならびに(iv)界面活性剤、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、
界面活性剤は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファー
は、約5.3~約5.6のpHを有する。
【0205】
別の態様では、本発明は、(i)それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および
軽鎖を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖
および軽鎖を有するCD20結合アームを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)
約5.3~約6.5のpHを有する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビト
ール、ならびに(iv)ポリソルベート80、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様
では、界面活性剤は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッ
ファーは、約5.3~約5.6のpHを有する。
【0206】
別の態様では、本発明は、(i)それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および
軽鎖を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖
および軽鎖を有するCD20結合アームを含む、約0.5~約120 mg/mLの二重特異性抗体、(ii)
約5.3~約5.6のpHを有する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのソル
ビトール、ならびに(iv)ポリソルベート80、を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの
態様では、界面活性剤は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0207】
別の態様では、本発明は、(i)約0.5~約120 mg/mL エプコリタマブ、(ii)約5.3~約6.5
のpHを有する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、および(iv
)界面活性剤を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0.0
05%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3~約5.6のp
Hを有する。
【0208】
別の態様では、本発明は、(i)約0.5~約120 mg/mL エプコリタマブ、(ii)約5.3~約5.6
のpHを有する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、およ
び(iv)界面活性剤を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、
約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0209】
別の態様では、本発明は、(i)約0.5~約120 mg/mL エプコリタマブ、(ii)約5.3~約5.6
のpHを有する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、およ
び(iv)ポリソルベート80を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性
剤は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0210】
別の態様では、本発明は、(i)約0.5~約120 mg/mL エプコリタマブ、(ii)約5.3~約5.6
のpHを有する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、お
よび(iv)界面活性剤を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は
、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0211】
別の態様では、本発明は、(i)約0.5~約120 mg/mL エプコリタマブ、(ii)約5.3~約6.5
のpHを有する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのポリオール、および(iv
)ポリソルベート80を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は
、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3~
約5.6のpHを有する。
【0212】
別の態様では、本発明は、(i)約0.5~約120 mg/mL エプコリタマブ、(ii)約5.3~約6.5
のpHを有する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、および(
iv)界面活性剤を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤は、約0
.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3~約5.6
のpHを有する。
【0213】
別の態様では、本発明は、(i)約0.5~約120 mg/mL エプコリタマブ、(ii)約5.3~約6.5
のpHを有する約20~40 mMのバッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、および(
iv)ポリソルベート80を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活性剤
は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。いくつかの態様では、バッファーは、約5.3
~約5.6のpHを有する。
【0214】
別の態様では、本発明は、(i)約0.5~約120 mg/mL エプコリタマブ、(ii)約5.3~約5.6
のpHを有する約20~40 mMの酢酸バッファー、(iii)約140~約250 mMのソルビトール、お
よび(iv)ポリソルベート80を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様では、界面活
性剤は、約0.005%~0.4% w/vの濃度で含まれる。
【0215】
組成物は好ましくは、2~8℃、たとえば5℃の貯蔵温度における、少なくとも6カ月間、
たとえば少なくとも9カ月間、または少なくとも12カ月間にわたる薬学的使用のために、
安定である。一態様では、薬学的組成物は、2~8℃、たとえば5℃の貯蔵温度における、1
2カ月間にわたる薬学的使用のために、安定である。一態様では、薬学的組成物は、2~8
℃、たとえば5℃の貯蔵温度における、18カ月間にわたる薬学的使用のために、安定であ
る。一態様では、薬学的組成物は、2~8℃、たとえば5℃の貯蔵温度における、24カ月間
にわたる薬学的使用のために、安定である。一態様では、薬学的組成物は、2~8℃、たと
えば5℃の貯蔵温度における、30カ月間にわたる薬学的使用のために、安定である。一態
様では、薬学的組成物は、2~8℃、たとえば5℃の貯蔵温度における、36カ月間にわたる
薬学的使用のために、安定である。
【0216】
別の態様では、薬学的組成物は、ヒアルロニダーゼを含まない。
【0217】
好ましい態様では、薬学的組成物は大量の塩化ナトリウムを含まない。製剤は、好まし
くは、製剤に添加される塩化ナトリウムを大量に含んではならないことが理解される。た
とえば、好ましい酢酸バッファーなどのバッファーのpHを、任意選択によりNaOHおよび/
またはHCl溶液を用いて調節してもよく、ここでNaOH溶液の添加はpHの設定に概ね事足り
る。薬学的組成物は、好ましくは、20 mM未満の塩化ナトリウムを含み得る。したがって
、本明細書に記載される二重特異性抗体、酢酸バッファー、ソルビトール、界面活性剤、
およびpHを含む薬学的組成物は、少量すなわち20 mM未満の塩化ナトリウムをさらに含み
得、ここでより好ましくは、塩化ナトリウムは薬学的組成物に添加されない。
【0218】
別の態様では、薬学的組成物は、さらにアルギニンを含み得る。したがって、本明細書
に記載される二重特異性抗体、酢酸バッファー、ソルビトール、界面活性剤、およびpHを
含む薬学的組成物は、少量すなわち60 mM未満のアルギニンをさらに含み得る。
【0219】
したがって、アルギニンは、組成物中、たとえば最高約60 mM/mlまで含まれ得る。たと
えば、アルギニンは、約20 mMの濃度で含まれ得る。
【0220】
好ましい態様では、薬学的組成物は、皮下用組成物であり、または皮下投与に使用され
る薬学的組成物である。しかし本発明の薬学的組成物は、静脈内投与もしてもよい。した
がって、一態様では、薬学的組成物は、静脈内用組成物であり、または薬学的組成物は静
脈内投与に使用されるものである。本発明のメリットは、薬学的組成物が皮下投与および
静脈内投与の両方に好適であることである。
【0221】
本発明の一態様では、薬学的組成物は、癌の治療に使用されるものである。本発明の一
態様では、薬学的組成物は、B細胞悪性腫瘍の治療に使用されるものである。
【0222】
別の態様では、本発明の薬学的組成物は、T細胞媒介性免疫応答、炎症、および微小環
境リモデリングを誘導するために用いられ得る。
【0223】
特定の態様では、薬学的組成物は、様々なCD20関連の疾患をインビボで治療し、予防し
、または診断するために使用されるものである。CD20関連の疾患の例としては、数ある中
でもとりわけB細胞性リンパ腫、たとえば非ホジキンリンパ腫(NHL)B細胞性白血病、お
よび免疫疾患、たとえば自己免疫疾患、たとえば以下に列記するものが挙げられる。
【0224】
一態様では、本発明の薬学的組成物は、NHLまたはB細胞性白血病の治療に使用されるも
のである。
【0225】
一態様では、本発明の薬学的組成物は、CD20抗体抵抗性NHLまたはB細胞性白血病、たと
えばリツキシマブまたはオファツムマブ抵抗性NHLまたはB細胞性白血病、たとえばリツキ
シマブ抵抗性の高悪性ではないB細胞性リンパ腫の治療に使用されるものである。
【0226】
一態様では、本発明の薬学的組成物は、急性リンパ性白血病(ALL)、たとえば再発また
は難治性ALLの治療に使用されるものである。
【0227】
一態様では、本発明の薬学的組成物は、CLL、たとえば再発または難治性CLLの治療に使
用されるものである。
【0228】
一態様では、本発明の薬学的組成物は、FL、たとえば再発または難治性FLの治療に使用
されるものである。
【0229】
本発明は、対象の癌を治療する方法をさらに提供し、該方法は、その必要がある対象に
、上述の薬学的組成物を、癌を治療するのに十分な時間にわたり投与する段階を含む。
【0230】
本発明は、対象の癌を治療する方法をさらに提供し、該方法は、その必要がある対象に
、上述の薬学的組成物を、癌を治療するのに十分な時間にわたり皮下投与する段階を含む
。
【0231】
本発明は、対象の癌を治療する方法をさらに提供し、該方法は、その必要がある対象に
、上述の薬学的組成物を、癌を治療するのに十分な時間にわたり静脈内投与する段階を含
む。本発明の一態様では、この方法で治療する癌は、NHL、CLL、ALL、FLなどのB細胞悪性
腫瘍、またはCD20抗体抵抗性NHL、またはB細胞性白血病、たとえばリツキシマブまたはオ
ファツムマブ抵抗性NHLまたはB細胞性白血病、たとえばリツキシマブ抵抗性の高悪性では
ないB細胞性リンパ腫である。
【0232】
一態様では、本発明の薬学的組成物は、単位剤形の状態である。一態様では、本発明の
単位用量は、液体単位用量である。
【0233】
本発明の一態様では、単位剤形が、
a.
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 1
VH-CDR2: SEQ ID NO: 2
VH-CDR3: SEQ ID NO: 3
VL-CDR1: SEQ ID NO: 4
VL-CDR2: GTN、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 5
を含む、ヒトCD3に結合する第1結合領域と、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 8
VH-CDR2: SEQ ID NO: 9
VH-CDR3: SEQ ID NO: 10
VL-CDR1: SEQ ID NO: 11
VL-CDR2: DAS、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 12
を含む、ヒトCD20に結合する第2結合領域と
を含む、約5 μg~約50 mgの量の二重特異性抗体、
b. 酢酸バッファー、およびソルビトール、および界面活性剤であって、pHは約5.5、
を含む。
【0234】
単位剤形の一態様では、酢酸バッファーとソルビトールとが、濃度比1:5~1:10、たと
えば濃度比1:6、1:7、1:8、または1:9で含まれる。
【0235】
さらなる態様では、単位剤形のオスモル濃度は、約210~約250、たとえば220、230、24
0、または250 mOsm/kgである。さらなる態様では、単位剤形のオスモル濃度は、約200~
約600、より好ましくは約220~約380である。したがって、オスモル濃度は、220~600、
または220~380 mM、たとえば約220、約230、約240、約250、約260、約270、約280、約29
0、約300、約310、約320、約330、約340、約350、約360、約370、または約380 mOsm/kgか
ら選択され得る。
【0236】
さらなる態様では、本発明は、
a.
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 1
VH-CDR2: SEQ ID NO: 2
VH-CDR3: SEQ ID NO: 3
VL-CDR1: SEQ ID NO: 4
VL-CDR2: GTN、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 5
を含む、ヒトCD3に結合する第1結合領域と、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 8
VH-CDR2: SEQ ID NO: 9
VH-CDR3: SEQ ID NO: 10
VL-CDR1: SEQ ID NO: 11
VL-CDR2: DAS、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 12
を含む、ヒトCD20に結合する第2結合領域と
を含む、約5 μg~約50 mgの量の二重特異性抗体、
b. 約30 mMの濃度の酢酸バッファー、
c. 約150 mMの濃度、約5.5のpHのソルビトール、ならびに
d. 約0.04% w/v ポリソルベート80
を含む、単位剤形に関する。
【0237】
単位剤形の組成物は、本明細書に定義される薬学的組成物と同じであり得る。
【0238】
上述の単位剤形の一態様では、二重特異性抗体の量は、約40 μg~約40 mg、たとえば5
0 μg~40 mgである。
【0239】
単位剤形の一態様では、二重特異性抗体の量は、約40 μg~約30 mgである。単位剤形
の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約150 μgである。単位剤形の別の態様では、
二重特異性抗体の量は、約200 μgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の
量は、約250 μgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約300 μgで
ある。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約350 μgである。単位剤形の
別の態様では、二重特異性抗体の量は、約400 μgである。単位剤形の別の態様では、二
重特異性抗体の量は、約450 μgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量
は、約500 μgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約600 μgであ
る。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約700 μgである。単位剤形の別
の態様では、二重特異性抗体の量は、約800 μgである。単位剤形の別の態様では、二重
特異性抗体の量は、約900 μgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は
、約1 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約2 mgである。単位
剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約3 mgである。単位剤形の別の態様では、
二重特異性抗体の量は、約4 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は
、約5 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約6 mgである。単位
剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約7 mgである。単位剤形の別の態様では、
二重特異性抗体の量は、約8 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は
、約9 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約10 mgである。単
位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約11 mgである。単位剤形の別の態様で
は、二重特異性抗体の量は、約12 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体
の量は、約13 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約14 mgであ
る。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約15 mgである。単位剤形の別の
態様では、二重特異性抗体の量は、約16 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異
性抗体の量は、約17 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約18
mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約19 mgである。単位剤形
の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約20 mgである。単位剤形の別の態様では、二
重特異性抗体の量は、約21 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は
、約22 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約23 mgである。単
位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約24 mgである。単位剤形の別の態様で
は、二重特異性抗体の量は、約25 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体
の量は、約26 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約27 mgであ
る。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約28 mgである。単位剤形の別の
態様では、二重特異性抗体の量は、約29 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異
性抗体の量は、約30 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、31 mg
である。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約32 mgである。単位剤形の
別の態様では、二重特異性抗体の量は、約33 mgである。単位剤形の別の態様では、二重
特異性抗体の量は、約34 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、
約35 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約36 mgである。単位
剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約37 mgである。単位剤形の別の態様では
、二重特異性抗体の量は、約38 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の
量は、約39 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約40 mgである
。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約41 mgである。単位剤形の別の態
様では、二重特異性抗体の量は、約42 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性
抗体の量は、約43 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約44 mg
である。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約45 mgである。単位剤形の
別の態様では、二重特異性抗体の量は、約46 mgである。単位剤形の別の態様では、二重
特異性抗体の量は、約47 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、
約48 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約49 mgである。単位
剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約50 mgである。単位剤形の別の態様では
、二重特異性抗体の量は、約51 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の
量は、約52 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約53 mgである
。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約54 mgである。単位剤形の別の態
様では、二重特異性抗体の量は、約55 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性
抗体の量は、約56 mgである。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約57 mg
である。単位剤形の別の態様では、二重特異性抗体の量は、約58 mgである。単位剤形の
別の態様では、二重特異性抗体の量は、約59 mgである。単位剤形の別の態様では、二重
特異性抗体の量は、約60 mgである。
【0240】
本発明の単位剤形の一態様では、ヒトCD3に結合する二重特異性抗体の第1結合領域がSE
Q ID: 6および7のVHおよびVL配列を含み、ヒトCD20に結合する二重特異性抗体の第2結合
領域がSEQ ID:13および14のVHおよびVL配列を含む。本発明の単位剤形の好ましい態様で
は、二重特異性抗体は、上述のDuoBody-CD3xCD20である。好ましい態様では、本発明の単
位剤形において、二重特異性抗体が、それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖
および軽鎖を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められ
る重鎖および軽鎖を有するCD20結合アームを含む。さらに好ましい態様では、本発明の単
位剤形において、二重特異性抗体は、エプコリタマブ、またはそのバイオシミラーである
。
【0241】
別の態様では、本発明の単位剤形の総体積は、約0.3 mL~約3 mL、たとえば0.3 mL~3
mLである。別の態様では、本発明の単位剤形の総体積は、0.5 mLである。別の態様では、
本発明の単位剤形の総体積は、0.8 mLである。別の態様では、本発明の単位剤形の総体積
は、1 mLである。別の態様では、本発明の単位剤形の総体積は、1.2 mLである。別の態様
では、本発明の単位剤形の総体積は、1.5 mLである。別の態様では、本発明の単位剤形の
総体積は、1.7 mLである。別の態様では、本発明の単位剤形の総体積は、2 mLである。別
の態様では、本発明の単位剤形の総体積は、2.5 mLである。そのような単位剤形は、皮下
投与に好適である。一態様では、単位剤形からのs.c.注射に好ましい体積は、約1 mLであ
る。別の好ましい態様では、単位剤形からのs.c.注射の体積は、約0.8 mLである。
【0242】
単位剤形がI.V.投与用である態様では、体積は典型的には、10 mL~500 mLなど、より
大きい。一態様では、単位剤形の体積は、20 mLである。一態様では、単位剤形の体積は
、50 mLである。一態様では、単位剤形の体積は、80 mLである。一態様では、単位剤形の
体積は、100 mLである。一態様では、単位剤形の体積は、150 mLである。一態様では、単
位剤形の体積は、200 mLである。一態様では、単位剤形の体積は、250 mLである。一態様
では、単位剤形の体積は、300 mLである。一態様では、単位剤形の体積は、350 mLである
。一態様では、単位剤形の体積は、400 mLである。一態様では、単位剤形の体積は、450
mLである。一態様では、単位剤形の体積は、500 mLである。
【0243】
単位剤形は、本発明の薬学的組成物をたとえば酢酸バッファーおよびソルビトールから
なる、かつpHが5.5である希釈剤などの好適な希釈剤で希釈することにより、調製され得
る。市販の薬学的に許容される希釈剤が好ましい。二重特異性抗体の濃度だけが希釈の影
響を受けるように、希釈剤が薬学的組成物中と同じ界面活性剤、バッファー、およびソル
ビトールの濃度を有することが好ましいかもしれない。あるいは、実施例のセクションに
示すように、注射に好適な水中0.9% w/vの塩化ナトリウム溶液などの希釈剤を使用しても
よい。
【0244】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載される単位剤形を含む容器またはレセプタク
ルをさらに提供する。
【0245】
さらに、本発明は、対象の癌を治療する方法を提供し、該方法は、その必要がある対象
に、本明細書に記載される単位剤形を、癌を治療するのに十分な時間にわたり投与する段
階を含む。一態様では、本発明は、対象の癌を治療する方法に関し、該方法は、その必要
がある対象に、単位剤形を皮下投与する段階を含む。一態様では、本発明は、対象の癌を
治療する方法に関し、該方法は、その必要がある対象に、単位剤形を静脈内投与する段階
を含む。
【0246】
別の態様では本発明は、癌の治療に使用される上述の単位剤形に関する。別の態様では
、単位剤形は皮下投与用である。別の態様では、単位剤形は静脈内投与用である。
【0247】
本発明は、
a. 本明細書に記載される薬学的組成物
b. 酢酸塩、ソルビトール、およびポリソルベート80を含む、希釈剤
c. 単位剤形のためのレセプタクル
d. 希釈のためおよび/または使用のための指示書
を含む、キット・オブ・パーツにも関する。
【0248】
酢酸塩対ソルビトールの濃度比が、希釈剤および薬学的組成物において等しいことが好
ましい。
【0249】
本発明の一態様では、キット・オブ・パーツは、
i.
i. 5~60 mg/mLのDuoBody-CD3xCD20などの二重特異性抗体
ii. 30 mM 酢酸バッファー
iii. 150 mM ソルビトール
iv. 0.04% w/v ポリソルベート80
を含み、
v. pHは5.5である、
薬学的組成物、
ii.
a. 30 mM 酢酸バッファー
b. 150 mM ソルビトール
c. 0.04% w/v ポリソルベート80
を含む、希釈剤、
iii. 単位剤形のためのレセプタクル、ならびに
iv. 希釈のためおよび/または使用のための指示書
を含む。
【0250】
本発明の一態様では、キット・オブ・パーツは、
i.
i. 5~60 mg/mLのエプコリタマブまたはそのバイオシミラーなどの二重特異性抗体、
ii. 30 mM 酢酸バッファー
iii. 150 mM ソルビトール
iv. 0.04% w/v ポリソルベート80
を含み、
v. pHは5.5である、
薬学的組成物、
ii. 単位剤形のためのレセプタクル、ならびに
iii. 希釈のためおよび/または使用のための指示書
を含む。
【0251】
本発明の一態様では、キット・オブ・パーツは、
i.
i. 5~60 mg/mLのエプコリタマブまたはそのバイオシミラーなどの二重特異性抗体、
ii. 30 mM 酢酸バッファー
iii. 250 mM ソルビトール
iv. 0.04% w/v ポリソルベート80
を含み、
v. pHは5.5である、
薬学的組成物、
ii. を含む、希釈剤、
iii. 単位剤形のためのレセプタクル、ならびに
iv. 希釈のためおよび/または使用のための指示書
を含む。
【0252】
一態様では、本発明は、本明細書に記載される薬学的組成物を調製する方法にさらに関
し、該方法は、
a.
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 1
VH-CDR2: SEQ ID NO: 2
VH-CDR3: SEQ ID NO: 3
VL-CDR1: SEQ ID NO: 4
VL-CDR2: GTN、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 5
を含む、ヒトCD3に結合する第1結合領域と、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 8
VH-CDR2: SEQ ID NO: 9
VH-CDR3: SEQ ID NO: 10
VL-CDR1: SEQ ID NO: 11
VL-CDR2: DAS、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 12
を含む、ヒトCD20に結合する第2結合領域と
を含む、5~120 mg/mLの二重特異性抗体
b. 3.53 mg/mLの酢酸ナトリウム三水和物
c. 0.24 mg/mLの酢酸または0.32 mg/mLの75%酢酸溶液
d. 27.3 mg/mLのソルビトール
e. 0.4 mg ポリソルベート80
を注射用水中で混合する工程、ならびに
水酸化ナトリウムを添加することによりpHを5.5に調節する工程
を含む。
【0253】
本発明の薬学的組成物を調製する方法の一態様では、a.は、5 mg/mLである。本発明の
薬学的組成物を調製する方法の一態様では、a.は、10 mg/mLである。本発明の薬学的組成
物を調製する方法の別の態様では、a.は、12 mg/mLである。本発明の薬学的組成物を調製
する方法の別の態様では、a.は、15 mg/mLである。本発明の薬学的組成物を調製する方法
の別の態様では、a.は、20 mg/mLである。本発明の薬学的組成物を調製する方法の別の態
様では、a.は、24 mg/mLである。本発明の薬学的組成物を調製する方法の別の態様では、
a.は、30 mg/mLである。本発明の薬学的組成物を調製する方法の別の態様では、a.は、40
mg/mLである。本発明の薬学的組成物を調製する方法の別の態様では、a.は、48 mg/mLで
ある。本発明の薬学的組成物を調製する方法の別の態様では、a.は、50 mg/mLである。本
発明の薬学的組成物を調製する方法の別の態様では、a.は、60 mg/mLである。本発明の薬
学的組成物を調製する方法の別の態様では、a.は、120 mg/mLである。本発明の薬学的組
成物を調製する方法の別の態様では、a.は、200 mg/mLである。
【0254】
本発明はさらに、本明細書に記載される単位剤形を調製する方法に関し、該方法は、
a.
i.
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 1、
VH-CDR2: SEQ ID NO: 2、
VH-CDR3: SEQ ID NO: 3、
VL-CDR1: SEQ ID NO: 4、
VL-CDR2: GTN、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 5
を含む、ヒトCD3に結合する第1結合領域と、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 8、
VH-CDR2: SEQ ID NO: 9、
VH-CDR3: SEQ ID NO: 10、
VL-CDR1: SEQ ID NO: 11、
VL-CDR2: DAS、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 12
を含む、ヒトCD20に結合する第2結合領域と
を含む、5~120 mg/mL、たとえば12 mgまたは24 mgの二重特異性抗体
ii. 3.53 mg/mLの酢酸ナトリウム三水和物
iii. 0.32 mg/mLの75%酢酸溶液
iv. 27.3 mg/mLのソルビトール
v. 0.04% w/v ポリソルベート80
を注射用水中で混合し、そして
vi. 水酸化ナトリウムを添加することによりpHを5.5に調節する、方法
により、薬学的組成物を調製する工程、
b.
i. 3.53 mg/mLの酢酸ナトリウム三水和物
ii. 0.32 mg/mLの75%酢酸溶液
iii. 27.3 mg/mLのソルビトール
iv. 0.04% w/v ポリソルベート80
を含む希釈剤を注射用水中で調製し、そして
v. 水酸化ナトリウムを添加してpHを5.5に調節する、
希釈剤を調製する工程、
c. 薬学的組成物と希釈剤とを単位剤形の所望の二重特異性抗体濃度まで混合する工程
を含む。
【0255】
さらなる態様では、本発明は、上述の方法により得られる、薬学的組成物または単位剤
形に関する。
【0256】
態様
1.
a. 0.5~120 mg/mLの、ヒトCD3およびヒトCD20に結合する二重特異性抗体、
b. 20~40 mM 酢酸塩、
c. 140~160 mM ソルビトール、
d. 界面活性剤
を含む、またはそれらから本質的になる、薬学的組成物であって、
ここで、該組成物のpHは5~6であり、該二重特異性抗体は、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 1
VH-CDR2: SEQ ID NO: 2
VH-CDR3: SEQ ID NO: 3
VL-CDR1: SEQ ID NO: 4
VL-CDR2: GTN、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 5
を含む、ヒトCD3に結合する第1結合領域と、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 8
VH-CDR2: SEQ ID NO: 9
VH-CDR3: SEQ ID NO: 10
VL-CDR1: SEQ ID NO: 11
VL-CDR2: DAS、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 12
を含む、ヒトCD20に結合する第2結合領域と
を含む。
【0257】
2. CD3に結合する二重特異性抗体の第1結合領域が、SEQ ID: 6および7のVHおよびVL配
列と少なくとも90%の配列同一性、たとえば、SEQ ID: 6および7のVHおよびVL配列と少な
くとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVH配列およびVL配列
を含む、態様1の薬学的組成物。
【0258】
3. CD20に結合する二重特異性抗体の第2結合領域が、SEQ ID: 13および14のVHおよびVL
配列と少なくとも90%の配列同一性、たとえば、SEQ ID: 13および14のVHおよびVL配列と
少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するVH配列およびVL
配列を含む、態様1または2の薬学的組成物。
【0259】
4. 二重特異性抗体がIgG1抗体である、態様1~3のいずれか1つの薬学的組成物。
【0260】
5. 二重特異性抗体が、SEQ ID No 22および23の軽鎖定常領域などの、ラムダ軽鎖定常
領域およびカッパ軽鎖定常領域から選択される第1および第2軽鎖定常領域を含む第1およ
び第2軽鎖を含む、態様1~4のいずれか1つの薬学的組成物。
【0261】
6. 二重特異性抗体が、第1重鎖および第2重鎖を含むFc領域を含み、該Fc領域は、野生
型IgG1 Fc領域を含む二重特異性抗体と比べて低下したエフェクター機能を有するよう修
飾されている、上記の態様のいずれか1つの薬学的組成物。
【0262】
7. 二重特異性抗体が、野生型IgG1のFc領域を有する二重特異性抗体と比べて、C1qの該
抗体への結合が少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なく
とも97%、または100%低下するよう修飾されているFc領域を含み、ここでC1q結合はELISA
により決定される、上記の態様のいずれか1つの薬学的組成物。
【0263】
8. 二重特異性抗体が、それぞれが少なくともヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域を
含む第1および第2重鎖を含み、該第1重鎖では、ヒトIgG1重鎖におけるT366、L368、K370
、D399、F405、Y407、およびK409からなる群より選択される位置に対応する位置のアミノ
酸の少なくとも1つが置換されており、該第2重鎖では、ヒトIgG1重鎖におけるT366、L368
、K370、D399、F405、Y407、およびK409からなる群より選択される位置に対応する位置の
アミノ酸の少なくとも1つが置換されており、該第1重鎖と該第2重鎖は同じ位置では置換
されていない、上記の態様のいずれか1つの薬学的組成物。
【0264】
9. (i)ヒトIgG1重鎖におけるF405に対応する位置のアミノ酸が、該第1重鎖においてLで
あり、ヒトIgG1重鎖におけるK409に対応する位置のアミノ酸が、該第2重鎖においてRであ
る、または(ii)ヒトIgG1重鎖におけるK409に対応する位置のアミノ酸が、該第1重鎖にお
いてRであり、ヒトIgG1重鎖におけるF405に対応する位置のアミノ酸が、該第2重鎖におい
てLである、上記の態様のいずれか1つの薬学的組成物。
【0265】
10. 二重特異性抗体の第1重鎖および第2重鎖の両方の、ヒトIgG1重鎖における位置L234
およびL235に対応する位置が、それぞれFおよびEである、上記の態様のいずれか1つの薬
学的組成物。
【0266】
11. 二重特異性抗体の第1重鎖および第2重鎖の両方の、ヒトIgG1重鎖における位置L234
、L235、およびD265に対応する位置が、それぞれF、E、およびAである、上記の態様のい
ずれか1つの薬学的組成物。
【0267】
12. 二重特異性抗体の第1定常重鎖および第2定常重鎖の両方の、ヒトIgG1重鎖における
位置L234、L235、およびD265に対応する位置が、それぞれF、E、およびAであり、かつ第1
定常重鎖の、ヒトIgG1重鎖におけるF405に対応する位置が、Lであり、第2定常重鎖の、ヒ
トIgG1重鎖におけるK409に対応する位置が、Rである、上記の態様のいずれか1つの薬学的
組成物。
【0268】
13. 第1および第2定常重鎖が、SEQ ID NO:16のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性
を有するアミノ酸配列を含む、上記の態様のいずれか1つの薬学的組成物。
【0269】
14. 第1および第2定常重鎖が、それぞれSEQ ID No: 19および20のアミノ酸配列を含む
、上記の態様のいずれか1つの薬学的組成物。
【0270】
15. 二重特異性抗体が、それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および軽鎖
を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖およ
び軽鎖を有するCD20結合アームを含む、態様1~13のいずれか1つの薬学的組成物。
【0271】
16. 二重特異性抗体が、エプコリタマブ、またはそのバイオシミラーである、態様1~1
3のいずれか1つの薬学的組成物。
【0272】
17. a.が、0.5~120 mg/mL、たとえば1.0~60 mg/mL、またはたとえば5~30 mg/mL、た
とえば5 mg/mL、または6 mg/mL、または7 mg/ml、または8 mg/ml、または9 mg/ml、また
は10 mg/ml、または11 mg/ml、または12 mg/ml、または13 mg/ml、または14 mg/ml、また
は15 mg/ml、または16 mg/ml、または17 mg/ml、または18 mg/ml、または19 mg/ml、また
は20 mg/ml、または21 mg/ml、または22 mg/ml、または23 mg/ml、または24 mg/ml、また
は25 mg/ml、または26 mg/ml、または27 mg/ml、または28 mg/ml、または29 mg/mlまたは
たとえば30 mg/mlである、上記の態様のいずれか1つの薬学的組成物。
【0273】
18. b.が、25~35 mM、たとえば25 mM、26 mM、27 mM、28 mM、29 mM、30 mM、31 mM、
32 mM、33mM、34 mM、または35 mM、好ましくは30 mMである、上記の態様のいずれか1つ
の薬学的組成物。
【0274】
19. c.が、145~155 mM、たとえば145 mM、146 mM、147 mM、148 mM、149 mM、150 mM
、151 mM、152 mM、153 mM、154 mM、155 mM、好ましくは150 mMである、上記の態様のい
ずれか1つの薬学的組成物。
【0275】
20. pHが、5.3~5.6、たとえば5.4~5.6、たとえば約5.5である、上記の態様のいずれ
か1つの薬学的組成物。
【0276】
21. 界面活性剤が、グリセロールモノオレアート、塩化ベンゼトニウム、ナトリウムド
クサート、リン脂質、ポリエチレンアルキルエーテル、ラウリル硫酸ナトリウム、および
トリカプリリン(tricaprylin)、塩化ベンズアルコニウム、シトリミド(citrimide)、
塩化セチルピリジニウム、およびリン脂質、アルファトコフェロール、グリセロールモノ
オレアート、ミリスチルアルコール、リン脂質、ポロキサマー、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油誘導体、ポリオキシエチレンソルビンタン(
sorbintan)脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステラレート(sterarates)、ポリオ
キシルヒドロキシステアラート、ポリオキシルグリセリド、ポリソルベート、プロピレン
グリコールジラウラート、プロピレングリコールモノラウラート、ソルビタンエステルス
クロースパルミタート、スクロースステアラート、トリカプリリン、およびTPGSを含む群
より選択される、上記の態様のいずれか1つの薬学的組成物。
【0277】
22. 界面活性剤がポリソルベートである、上記の態様のいずれか1つの薬学的組成物。
【0278】
23. 界面活性剤が、ポリソルベート20または80、たとえばポリソルベート80である、上
記の態様のいずれか1つの薬学的組成物。
【0279】
24. 界面活性剤が、約0.005%~0.4% w/v、たとえば約0.01~0.1% w/v、たとえば約0.01
~0.09% w/v、たとえば約0.01~0.06% w/v、たとえば約0.01~0.05% w/v、たとえば0.02%
w/v、または0.03% w/v、または0.04% w/v、または0.05% w/v、好ましくは0.04% w/vの濃
度で含まれる、上記の態様のいずれか1つの薬学的組成物。
【0280】
25. 組成物が、5.4~5.6、たとえば約5.5のpHを有し、かつ、
a. 0.5~120 mg/mLの二重特異性抗体
b. 20~40 mM 酢酸塩
c. 140~160 mM ソルビトール
d. 0.005%~0.4% w/vの界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート2
0またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含む、またはそれらから本質的になる、上記の態様のいずれか1つの薬学的組成物。
【0281】
26. 組成物が、5.4~5.6、たとえば約5.5のpHを有し、かつ、
a. 5~60 mg/mLの二重特異性抗体
b. 28~32 mM 酢酸塩
c. 145~155 mM ソルビトール
d. 0.02~0.05% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20
またはポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含む、またはそれらから本質的になる、上記の態様のいずれか1つの薬学的組成物。
【0282】
27. a.が10~50 mg/mLである、態様25または26の薬学的組成物。
【0283】
28. a.が12~24 mg/mL、たとえば12 mg/mLまたは24 mg/mLである、態様25または26の薬
学的組成物。
【0284】
29. 組成物が、約5.5のpHを有し、かつ、
a. 5~60 mg/mLの二重特異性抗体
b. 30 mM 酢酸塩
c. 150 mM ソルビトール
d. 0.04% w/v 界面活性剤、好ましいポリソルベート、たとえばポリソルベート20または
ポリソルベート80、たとえばポリソルベート80
を含む、またはそれらから本質的になる、上記の態様のいずれか1つの薬学的組成物。
【0285】
30. a.が10~50 mg/mLである、態様29の薬学的組成物。
【0286】
31. a.が12~24 mg/mL、たとえば12 mg/mL、または24 mg/mLである、態様29または30の
薬学的組成物。
【0287】
32. 組成物がヒアルロニダーゼを含まない、上記の態様のいずれか1つの薬学的組成物
。
【0288】
33. 組成物が皮下用組成物である、上記の態様のいずれか1つの薬学的組成物。
【0289】
34. 組成物が静脈内用組成物である、上記の態様のいずれか1つの薬学的組成物。
【0290】
35. 組成物が癌の治療に使用される、上記の態様のいずれか1つの薬学的組成物。
【0291】
36. 組成物が皮下投与に使用される、上記の態様のいずれか1つの薬学的組成物。
【0292】
37. 組成物が静脈内投与に使用される、上記態様1~32のいずれか1つの薬学的組成物。
【0293】
38. 単位剤形の状態である、上記態様1~37のいずれか1つの薬学的組成物。
【0294】
39. 組成物が、2~8℃、たとえば5℃の貯蔵温度における、少なくとも6カ月間、たとえ
ば少なくとも9カ月間、または少なくとも12カ月間にわたる薬学的使用のために、安定で
ある、上記の態様のいずれか1つの薬学的組成物。
【0295】
40. 皮下投与のための、態様1~33のいずれか1つの薬学的組成物の使用。
【0296】
41. 静脈内投与のための、態様1~32のいずれか1つの薬学的組成物の使用。
【0297】
42. 癌の治療のためである、態様40または41のいずれか1つの使用。
【0298】
43. その必要がある対象に、態様1~39のいずれか1つの薬学的組成物を、癌を治療する
のに十分な時間にわたり投与する段階を含む、対象の癌を治療する方法。
【0299】
44. 組成物が皮下投与または静脈内投与される、態様43の方法。
【0300】
45. 癌がB細胞悪性腫瘍である、態様43または44のいずれか1つの方法。
【0301】
46. 単位剤形であって、
a.
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 1
VH-CDR2: SEQ ID NO: 2
VH-CDR3: SEQ ID NO: 3
VL-CDR1: SEQ ID NO: 4
VL-CDR2: GTN、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 5
を含む、ヒトCD3に結合する第1結合領域と、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 8
VH-CDR2: SEQ ID NO: 9
VH-CDR3: SEQ ID NO: 10
VL-CDR1: SEQ ID NO: 11
VL-CDR2: DAS、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 12
を含む、ヒトCD20に結合する第2結合領域と
を含む、5 μg~50 mgの量の二重特異性抗体、
b. 1:5~1:10の比の酢酸バッファーとソルビトールであって、ここで単位剤形のオスモル
濃度は210~250であり、pHは5.4~5.6である、酢酸バッファーとソルビトール、ならびに
c. 界面活性剤
を含む、またはそれらから本質的になる、単位剤形。
【0302】
47.
a.
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 1
VH-CDR2: SEQ ID NO: 2
VH-CDR3: SEQ ID NO: 3
VL-CDR1: SEQ ID NO: 4
VL-CDR2: GTN、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 5
を含む、ヒトCD3に結合する第1結合領域と、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 8
VH-CDR2: SEQ ID NO: 9
VH-CDR3: SEQ ID NO: 10
VL-CDR1: SEQ ID NO: 11
VL-CDR2: DAS、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 12
を含む、ヒトCD20に結合する第2結合領域と
を含む、5 μg~50 mgの量の二重特異性抗体、
b. 約5.5のpHで約30 mMの濃度の酢酸塩
c. 約150 mMの濃度のソルビトール、ならびに
d. 約0.04% w/v ポリソルベート80
を含む、またはそれらから本質的になる、態様44の単位剤形。
【0303】
48. ヒトCD3に結合する二重特異性抗体の第1結合領域が、SEQ ID: 6および7のVHおよび
VL配列を含み、ヒトCD20に結合する二重特異性抗体の第2結合領域が、SEQ ID: 13および1
4のVHおよびVL配列を含む、態様46または47のいずれか1つの単位剤形。
【0304】
49. 二重特異性抗体が、それぞれSEQ ID NO: 19および20の第1および第2定常領域重鎖
を含む、態様48の単位剤形。
【0305】
50. 二重特異性抗体が、それぞれSEQ ID NO. 26および24に定められる重鎖および軽鎖
を有するCD3結合アーム、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に定められる重鎖およ
び軽鎖を有するCD20結合アームを含む、態様48の単位剤形。
【0306】
51. 二重特異性抗体が、エプコリタマブ、またはそのバイオシミラーである、態様48の
単位剤形。
【0307】
52. 二重特異性抗体の量が40 μg~40 mgである、態様46~51のいずれか1つの単位剤形
。
【0308】
53. 二重特異性抗体の量が、40 μg~30 mg、たとえば 40 μg、50 μg、150 μg、200
μg、250 μg、300 μg、350 μg、400 μg、450 μg、500 μg、600 μg、700 μg、80
0 μg、900 μg、1 mg、2 mg、3 mg、4 mg、5 mg、6 mg、7 mg、8 mg、9 mg、10 mg、11
mg、12 mg、13 mg、14 mg、15 mg、16 mg、17 mg、18 mg、19 mg、20 mg、21 mg、22 mg
、23 mg、24 mg、25 mg、26 mg、27 mg、28 mg、29 mg、たとえば30 mgである、態様46~
52のいずれか1つの単位剤形。
【0309】
54. 総体積が、0.5 mL~2 mL、たとえば1 mLである、態様46~53のいずれか1つの単位
剤形。
【0310】
55. 皮下投与用である、態様54の単位剤形。
【0311】
56. 総体積が20 mL~200 mLであり、単位剤形がI.V.投与用である、態様46~53のいず
れか1つの単位剤形。
【0312】
57. その必要がある対象に、態様46~56のいずれか1つの単位剤形を、癌を治療するの
に十分な時間にわたり投与する段階を含む、対象の癌を治療する方法。
【0313】
58. 癌の治療に使用される、態様46~56のいずれか1つの単位剤形。
【0314】
59. 態様46~56のいずれか1つの単位剤形を含む、容器。
【0315】
60.
a. 態様1~32のいずれか1つの薬学的組成物
b. 酢酸塩、ソルビトール、およびポリソルベート80を含む、希釈剤
c. 単位剤形のためのレセプタクル
d. 希釈のためおよび/または使用のための指示書
を含む、キット・オブ・パーツ。
【0316】
61.
a. 態様1~32のいずれか1つの薬学的組成物
b. 単位剤形のためのレセプタクル
c. 希釈のためおよび/または使用のための指示書
を含む、キット・オブ・パーツ。
【0317】
62. 酢酸塩とソルビトールとポリソルベート80の濃度の比が、希釈剤および薬学的組成
物において同一である、態様60のキット・オブ・パーツ。
【0318】
63.
a. 薬学的組成物が、
i. 5~60 mg/mLの二重特異性抗体
ii. 30 mM 酢酸バッファー
iii. 150 mM ソルビトール
iv. 0.04% w/v ポリソルベート80
を含み、
v. pHは5.5である、
b. 希釈剤が、キット・オブ・パーツに含まれる場合は、
i. 30 mM 酢酸バッファー
ii. 150 mM ソルビトール
iii. 0.04% w/v ポリソルベート80
を含み、
c. 単位剤形のためのレセプタクル、ならびに
d. 希釈のためおよび/または使用のための指示書
、態様60~62のいずれか1つのキット・オブ・パーツ。
【0319】
64.
a.
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 1
VH-CDR2: SEQ ID NO: 2
VH-CDR3: SEQ ID NO: 3
VL-CDR1: SEQ ID NO: 4
VL-CDR2: GTN、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 5
を含む、ヒトCD3に結合する第1結合領域と、
以下のCDR配列:
VH-CDR1: SEQ ID NO: 8
VH-CDR2: SEQ ID NO: 9
VH-CDR3: SEQ ID NO: 10
VL-CDR1: SEQ ID NO: 11
VL-CDR2: DAS、および
VL-CDR3: SEQ ID NO: 12
を含む、ヒトCD20に結合する第2結合領域と
を含む、5~120 mg/mLの二重特異性抗体
b. 3.53 mg/mLの酢酸ナトリウム三水和物
c. 0.24 mg/mLの酢酸
d. 27.3 mg/mLのソルビトール
e. 0.4 mg ポリソルベート80
を注射用水中で混合する工程、ならびに
水酸化ナトリウムを添加することによりpHを5.5に調節する工程
を含む、態様1~32のいずれか1つに定められる薬学的組成物を調製する方法。
【0320】
65. a.が12 mg/mLである、態様64の方法。
【0321】
66. a.が24 mg/mLである、態様64の方法。
【0322】
67.
a. 態様64~66のいずれか1つの方法により、薬学的組成物を調製する工程
b.
i. 3.53 mg/mLの酢酸ナトリウム三水和物
ii. 0.32 mg/mLの75%酢酸溶液
iii. 27.3 mg/mLのソルビトール
iv. 0.4 mg ポリソルベート80
v. pHを5.5に調節するための水酸化ナトリウム
を含む希釈剤を注射用水中で調製する工程
c. 薬学的組成物と希釈剤とを単位剤形の所望の二重特異性抗体濃度まで混合する工程
を含む、態様46~56のいずれか1つに定められる単位剤形を調製する方法。
【0323】
68. 態様64~67のいずれか1つに定められる方法により得ることができる、薬学的組成
物または単位剤形。
【0324】
【実施例0325】
本発明の薬学的組成物は、表2に掲載される構成要素を混合することにより、調製され
得る。
【0326】
(表2)本発明のDuoBody-CD3xCD20薬学的組成物の組成
#75%酢酸溶液
【0327】
実施例1:異なる製剤中のDuoBody-CD3xCD20の安定性
略語
【0328】
材料
別途記述しないかぎり、DuoBody-CD3xCD20を2 mg/mLで製剤化した。
【0329】
方法
蛍光/静的光散乱による熱安定性
立体構造およびコロイドの安定性を、UNit装置(Unchained Labs)で、蛍光/静的光散
乱(SLS)測定の併用により決定した。この測定は、増加する熱ストレスを利用してタン
パク質のアンフォールドおよび凝集を誘導し、それによって立体構造およびコロイドの安
定性を査定する。増加した熱ストレスによりもたらされるアンフォールド状態の遷移は、
タンパク質のアンフォールド後の周辺環境の変化による、タンパク質のTrp(およびTyr)
残基の自家蛍光の変化により検出される。埋没トリプトファン残基が露出すると、最大発
光波長がより長い波長に移る。重心平均(BCM)、つまり蛍光発光スペクトルが等しく分
かれる波長がプロットされ、温度に伴うタンパク質の立体構造の変化が示される。蛍光分
析は、アンフォールド開始温度(Tonset)および融解温度(Tm)の値を提供し、それらは
いずれもBCM曲線から生成される。Tonsetは、タンパク質がアンフォールドし始める計算
温度を提供する。Tm値は、タンパク質のフォールド状態からアンフォールド状態までの遷
移中間点である。
【0330】
UNitによる測定は、タンパク質のコロイド安定性を決定するためのSLS測定値も提供し
た。溶液中の分子により散乱するレーザー光を試料に照射した。静的光散乱の強度は、溶
液中の種の平均分子量に比例する。したがって、この分析は、温度傾斜に伴うタンパク質
の凝集に対し高感度である。小さめの凝集を検出するため266 nmで、ならびに大きめの凝
集種を検出するため473 nmで、静的光散乱を測定した。これらのデータから、タンパク質
が凝集し始める温度である、凝集開始温度(Tagg)を決定した。これらのデータは、カウ
ント強度の大きな変化により、最もよく分析される。つまり、より高いカウントは、タン
パク質凝集物の形成によって、より多くの光が散乱したことを示す。増加する温度傾斜の
間の、SLSカウントデータの103スケールの変化は、典型的には、顕著なタンパク質凝集の
せいと考えられ、SLSカウントの微小な変化は、部分的な凝集のせいと考えられ、温度傾
斜の間SLSカウントが変化しないことは、タンパク質凝集が無視できる程度であることの
指標である。
【0331】
外観
外観を視覚評価により決定した。
【0332】
pH
pHをMettler Toledo SevenMulti pH計を用いて測定した。
【0333】
粘性
粘性をWells-Brookfield Cone/Plate流量計を用いて測定した。
【0334】
オスモル濃度
オスモル濃度を浸透圧計を用いて測定した。
【0335】
吸光度A280によるタンパク質濃度
タンパク質濃度を、Agilent UV/Vis分光光度計(モデル8453)を用いて、UV/Vis分光法
(280 nmの吸光度測定(A280))により決定した。
【0336】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)
サイズ排除クロマトグラフィーを、Agilent 1100および1200 HPLCシステムで、TOSOH、
TSK-ゲルG3000SWxL(7.8 × 300 mm)カラム(Sigma, cat. no. 08541)を用いて、実施
した。
【0337】
画像化キャピラリ等電点分離法(Imaged Capillary Isoelectric Focusing)(icIEF)
PrinCE Autosamplerを備えるiCE 3 Analyzerを用いて画像化キャピラリ等電点分離法を
実施した。
【0338】
還元条件および非還元条件(reduced and non-reduced)のマイクロチップキャピラリ電
気泳動法 - ドデシル硫酸ナトリウム
メーカーの説明書にしたがいLabchip GXII装置を用いてマイクロチップキャピラリ電気
泳動法(還元条件および非還元条件の両方)を実施した。
【0339】
動的光散乱(DLS)
Wyatt DynaPro Plate Readerを用いて動的光散乱分析を実施した。DLS分析は、室温で
のタンパク質のサイズおよび凝集を査定した。DLS分析のために、散乱光の時間自己相関
関数を決定し、データの単一指数キュムラントフィッティングに基づき溶液中の分子の平
均サイズを計算する。報告すべき値は、多分散性、および流体力学的半径である。モノマ
ーの単分布で構成されるタンパク質試料の場合、該試料は単分散とみなされるが、複数の
粒度集団を含有する試料の場合、該試料は多分散とみなされる。多分散性指数のパーセン
テージ(%Pd)は、粒度分布の幅の尺度であり、%Pdが高いほど、粒子の分布幅が広い。し
たがって、%Pdが高い試料は、典型的には、(大きい)凝集物を含有することがわかる。
非球状タンパク質粒子の流体力学的半径は、該粒子と同じ並進拡散速度を有する球の半径
である。拡散速度は、粒子の分子量、表面構造のほか、製剤中のイオンの濃度および種類
による。単分散サイズ分布におけるより大きい流体力学的半径は、溶液中の大きい凝集物
ではなく、より高次のオリゴマー(たとえばテトラマー)の存在のせいと考えることがで
きる。
【0340】
可溶性スクリーニング
DuoBody-CD3xCD20の可溶性を決定するために、遠心濃縮器を用いて、該材料をまずは低
い出発濃度で、選択されたバッファー中で製剤化した。溶液を、20、50、60、および90分
の時間調節したスピンにより連続的に、>120 mg/mLの標的濃度まで濃縮した。各スピン後
にタンパク質濃度を測定した。
【0341】
結果
1. ベースライン生物物理学的および賦形剤スクリーニング
初期の生物物理学的スクリーニングを実施して、さらに詳細なスクリーニングへと進む
ためのバッファー/pH/賦形剤の組み合わせを選択した。ベースライン生物物理学的およ
び賦形剤スクリーニングは、蛍光/SLSおよびDLSによる、広範なバッファー/pH/賦形剤
の組み合わせにおけるDuoBody-CD3xCD20(2 mg/mL)の熱安定性スクリーニングを含んだ
。初期スクリーンに用いたバッファーおよびそれらのpH値のリストを表3に掲載する。
【0342】
表3は、初期バッファースクリーンから得られたデータを示しており、該スクリーンで
は、30 mM 酢酸塩および30 mM ヒスチジンのバッファーを、賦形剤(150 mM NaCl、150 m
M アルギニン、150 mM ソルビトール、または150 mM スクロース)ありまたはなしのいず
れかで試験した。蛍光/SLS測定を用いて熱安定性を査定し、DLSを用いてDuoBody-CD3xCD
20(2 mg/mL)の室温での凝集を決定した。蛍光/SLS分析は、融解温度(Tm)、アンフォ
ールド開始(Tonset)、およびTaggを提供した。DLS分析は、タンパク質の多分散性およ
び流体力学的半径に関する情報を提供した。
【0343】
熱安定性分析では、TonsetおよびTmは、酢酸塩製剤(それぞれ53~58℃および60~62.5
℃の範囲)のほうが、対応するヒスチジン製剤(それぞれ53~55℃および59~61℃の範囲
)と比べてわずかに高い。より高いTonset値およびTm値は、タンパク質の熱安定性がより
優れていることの指標である。異なる賦形剤間のTonsetおよびTmの差は小さいが、アルギ
ニンの存在下では安定性がわずかに低めであり、ソルビトールまたはスクロースでは安定
性がわずかに高めであることが指摘され得る。SLSによるTaggの決定は、酢酸塩製剤およ
びヒスチジン製剤の両方で、NaClまたはアルギニン添加の結果、ソルビトールもしくはス
クロースありの、または賦形剤なしの製剤と比べて、Taggが低くなる(59~60℃)ことを
示した。ソルビトールまたはスクロースありの酢酸塩製剤では66℃で部分的な凝集が観測
されたが、これらの賦形剤ありのヒスチジンバッファーでは凝集は観測されなかった。
【0344】
室温でのDLSによると、分子の凝集のふるまいに対し、スクロースの存在下で、より大
きい平均半径およびマルチモーダルな稠性に例示される負の効果が示された。また、ソル
ビトールは、平均半径および%Pdの少々の増加を誘導するようである。
【0345】
初期スクリーニングから得られたデータに基づき、DuoBody-CD3xCD20は、賦形剤なしの
、酢酸塩 pH 5.5バッファー、ヒスチジン pH 6.0バッファー、およびヒスチジン pH 6.5
バッファー中で安定でありかつ単分散すると結論づけられた。ソルビトールおよびスクロ
ースは、熱安定性をわずかに増加させた。NaClおよびアルギニンは、熱安定性を減少させ
た。初期スクリーニングのDLSの結果に基づき、さらなる可溶性のスクリーニングのため
の賦形剤として、スクロースは除外した。さらなる可溶性試験のために、賦形剤(150 mM
NaCl、150 mM アルギニン、または150 mM ソルビトール)ありまたはなしの、酢酸塩 pH
5.5製剤、ヒスチジン pH 6.0製剤、およびヒスチジン pH 6.5製剤を選択した。
【0346】
(表3)表示の製剤中DuoBody-CD3xCD20(2 mg/mL)の初期ベースライン生物物理学的
および賦形剤スクリーンの結果
熱スキャン
DLS
【0347】
2. 可溶性スクリーニング
ベースライン生物物理学的スクリーニング試験の第2段階は、各賦形剤と組み合わせた
、初期ベースライン生物物理学的スクリーニングから選択されたpH/バッファーの組み合
わせの可溶性スクリーニングを含んだ。この第2スクリーニング試験で用いたバッファー
のリストは、表4に見ることができる。
【0348】
賦形剤の存在下での可溶性を決定するために、選択されたバッファー中で材料を製剤化
し、遠心濃縮器を用いて時間調節したスピン間隔で連続的に濃縮した。
図1は、20、50、6
0、および90分のスピン間隔後の各製剤の濃度を示す。ソルビトールありおよびなしの酢
酸塩製剤が、150 mg/mLまで最速で濃縮された(50分)。ソルビトールありおよびなしの
ヒスチジン製剤は速く濃縮された(50分)が、濃度はもっと低かった(120 mg/mL)。ほ
かの全製剤は、120 mg/mLまでの濃縮が可能であったものの、酢酸塩製剤と比べてこの濃
度に達するのが遅かった(60~90分)。
【0349】
濃縮試料(終濃度120~150 mg/mL)を、蛍光/SLSおよびDLS(表4)および粘性(
図2)
についてさらに分析した。
【0350】
表4は、賦形剤なし、およびソルビトールありの製剤が、最も高いTmを有したことを示
す。賦形剤なし、およびソルビトールありの製剤のTagg値は、NaClおよびArgありの製剤
における測定値と比べて遷移が鮮明ではなかったため、解明が困難であった。
【0351】
RTでのDLSのデータは、表3の低濃度と比べて、DuoBody-CD3xCD20のより高い濃度の%Pd
の全体的な増加を示す(>15%を多分散とみなす)。平均流体力学的半径のばらつきは、濃
縮材料の粘性の影響かもしれず、それは製剤の適切な順位付けを妨害する。
【0352】
図2は、ソルビトールありおよびなしの異なる製剤の粘性(cP)を示す。酢酸塩製剤は
、7.9~12.1 cPの範囲の粘性を示した。一方、ソルビトールなしのヒスチジン製剤は、酢
酸塩製剤よりも粘性が高かった(28.4~79.9 cPの範囲)。ソルビトールの添加はヒスチ
ジン製剤の粘性を減少させた(18~30 cPの範囲)が、ソルビトールは酢酸塩製剤の粘性
には影響がなかった。
【0353】
(表4)濃縮試料(表示の製剤中DuoBody-CD3xCD20 [120~150 mg/mL])の結果
熱スキャン
DLS
【0354】
さらに、ソルビトールありまたはなしの酢酸塩 pH 5.5、ソルビトールありのヒスチジ
ンバッファー pH 6.0、およびソルビトールありのヒスチジン pH 6.5中の濃縮試料のオス
モル濃度を浸透圧計を用いて測定した。結果を表5に示す。
【0355】
ソルビトールなしの酢酸塩 pH 5.5のオスモル濃度は、70~80 mOsm/kgの範囲であった
。ソルビトールありの酢酸塩製剤およびヒスチジン製剤のオスモル濃度は、220~230 mOs
m/kgの範囲であり、これは正常血漿のオスモル濃度(275~295 mOsm/kg; Rasouli 2016 C
lin Biochem 49 (12):936-41)により近い。
【0356】
(表5)表示の製剤中DuoBody-CD3xCD20(120~150 mg/mL)のオスモル濃度
【0357】
上記の結果に基づき、150 mM ソルビトールありの30 mM 酢酸塩 pH 5.5が、DuoBody-CD
3xCD20の好都合な製剤であることが見出された。それは、ソルビトールありの酢酸塩が、
ヒスチジン製剤に匹敵する熱安定性を示しながら、高濃度(150 mg/mL)で最も効率よく可
溶性を支持し、かつ最も粘性が低い製剤であったからである。
【0358】
3. リアルタイムおよび加速度安定性
30 mM 酢酸塩、150 mM ソルビトール、pH 5.5中DuoBody-CD3xCD20のリアルタイムの安
定性を、記載のアッセイ(外観、pH、UV [A280]、SEC、icIEF、CE-SDS [還元条件および
非還元条件])を用いて、0~12カ月の範囲の異なる時点で評価した。
【0359】
表6は、5±3℃で0、2、3、または6カ月間貯蔵したDuoBody-CD3xCD20(5 mg/mL)試料の
安定性試験の結果を示す。
【0360】
表7は、25±℃で0、1、2、3、または6カ月間貯蔵したDuoBody-CD3xCD20(5 mg/mL)試
料の安定性試験の結果を示す。
【0361】
表8は、5±3℃で0、2、3、6、9、または12カ月間貯蔵したDuoBody-CD3xCD20(60 mg/mL
)試料の安定性試験の結果を示す。
【0362】
表9は、25±3℃で0、1、2、3、または6カ月間貯蔵したDuoBody-CD3xCD20(60 mg/mL)
試料の安定性試験の結果を示す。
【0363】
それぞれ5±3℃および25±3℃で12カ月間および6カ月間貯蔵した後、濃度5 mg/mLおよ
び60 mg/mLの全試料が、全試験法により、安定であった。5±3℃で貯蔵した試料は、6カ
月間または12カ月間の時点で、どの試験法でも試験開始時と比べて何ら顕著な変化を示さ
なかった。予想どおりのマイナーな純度プロファイルの変化が、加速安定性試験中に、UV
分光測定、icIEF、還元CE-SDS、およびSEC試験により、25±3℃で観測された。
【0364】
(表6)5±3℃でのDuoBody-CD3xCD20(5 mg/mL)の安定性試験のデータ例
【0365】
(表7)25±3℃でのDuoBody-CD3xCD20(5 mg/mL)の安定性試験のデータ例
【0366】
(表8)5±3℃でのDuoBody-CD3xCD20(60 mg/mL)の安定性試験のデータ例
【0367】
(表9)25±3℃でのDuoBody-CD3xCD20(60 mg/mL)の安定性試験のデータ例
【0368】
4. 結論
様々な製剤中のDuoBody-CD3xCD20の分析試験から得られた結果によると、30 mM 酢酸塩
、150 mM ソルビトール、pH 5.5が、この分子にとって最適な製剤であった。本発明者ら
は、DuoBody-CD3xCD20(30 mM 酢酸塩、150 mM ソルビトール、pH 5.5中)が、5および60
mg/mLで、5±3℃で最高12カ月まで安定であることを示した。さらに、25±3℃での加速
安定性試験では、5および60 mg/mLのDuoBody-CD3xCD20(30 mM 酢酸塩、150 mM ソルビト
ール、pH 5.5中)は、最高6カ月まで、マイナーな予想どおりの変化しか観測されなかっ
た。
【0369】
実施例2:界面活性剤ありおよびなしのDuoBody-CD3xCD20(5 mg/ml)の製剤の安定性試験
5 mg/mLのDuoBody-CD3xCD20を製剤化したが、その方法は、実施例1に記載されるとおり
である。製剤にさらにストレスをかけるために、本発明者らは、製剤の凍結融解試験を実
施した。試料を-75℃のチャンバーで少なくとも2時間凍結させ、2時間かけてRT(23℃)
で融解させた。この手順を5回繰り返した。この凍結融解試験によって、30 mM 酢酸塩、1
50 mM ソルビトール、pH 5.5中5 mg/mlのDuoBody-CD3xCD20を含む製剤中、視認により、
いくらかの微粒子が現れた。本発明者らがこの製剤に0.04% w/v ポリソルベート80を添加
すると、5回の凍結融解サイクルの後、微粒子はほんのわずかしか視認されなかった。さ
らなる試料を、2~8℃、25℃、および40℃で、2、4、8、および12週間後に比較した。こ
れらの試験の結果を表10に示す。この結果から、0.04% w/vのポリソルベート80の添加に
より可視粒子のレベルが下がり、それによって抗体の物理的安定性が向上したことがわか
る。マイクロフロー画像法により分析した顕微鏡でなければ見えない粒子でも、同様の結
果が見られた(データ記載せず)。これらのデータは、本発明の二重特異性抗体の製剤へ
の界面活性剤の添加を支持するものである。
【0370】
(表10)界面活性剤ありおよびなしのDuoBody-CD3xCD20(5 mg/mL)製剤の安定性試
験のデータ例
【0371】
実施例3:界面活性剤、ソルビトール、およびヒスチジンバッファーあり、または界面活性
剤、ソルビトール、および酢酸バッファーありのDuoBody-CD3xCD20(5 mg/ml)の製剤の
安定性試験
当業界でより使用されている製剤と似たヒスチジン-ソルビトール製剤を試験し、本発
明の好ましい製剤と比べた。本発明者らは、ストレス条件(40℃)での8週間および12週
間のインキュベーション後にサイズ排除クロマトグラフィーにより分析した場合、ヒスチ
ジン製剤が本明細書の酢酸塩ベースの製剤と比べて劣ることを見出した。表11を参照され
たい。このことは、これらの条件下で、高分子量種のパーセンテージ(% HMW)が、酢酸
塩製剤と比べてヒスチジン製剤中で大きく増加していることからわかる。
【0372】
(表11)界面活性剤あり、ただし異なるバッファー中のDuoBody-CD3xCD20(5 mg/mL
)製剤の安定性試験のデータ例
【0373】
実施例4: 静脈内(IV)および皮下(SC)投与経路を介しDuoBody-CD3xCD20で治療したカ
ニクイザルの血液中サイトカインの分析
雌のカニクイザルにおけるDuoBody-CD3xCD20の用量範囲発見(DRF)試験、ならびに雌
および雄のカニクイザルにおけるDuoBody-CD3xCD20のGLP毒性試験の動物から、t = 0(投
与前)、2、4、6、および12、および24時間の血液試料を採取した。試料(0.25 mL)をK2
EDTAの入ったチューブに移し、血漿を得るために3000 rpm(およそ1500 g)で10分間、4
℃で遠心操作により処理した。血漿を透明な0.5 mL ポリプロピレン製チューブに移し、-
80℃で分析時まで貯蔵した。
【0374】
BioPlex 200リーダー(BioRad)で使用されるMilliplex MAP NHP Cytokine Magnetic B
ead Panel(Millipore Cat. No. PRCYTOMAG-40K)を、メーカーのプロトコルにしたがい
用いて試料を分析し、IL-1β、IL-2、IL-6、IL-4、IL-8、IL-10、IL-12p40、IL-15、IFN
γ、TNFα、およびMCP-1の濃度を測定した。
【0375】
図3は、GLP毒性試験で本発明の薬学的組成物中DuoBody-CD3xCD20の単回IV投与(0.1も
しくは1 mg/kg)または単回SC投与(0.1もしくは1 mg/kg)のいずれかを受けた動物の血
液中の平均サイトカインレベルをグループごとに示す。
【0376】
DuoBody-CD3xCD20の投与は、サイトカインIL-1β、IL-4、IL-12p40、およびIL-15をほ
んの低レベル(150 pg/mL未満)しか誘導しなかった(
図3A)。
【0377】
サイトカインIL-2、IL-6、IL-8、IL-10、IFNγ、TNFα、およびMCP-1は、DuoBody-CD3x
CD20のIV投与後のほうがより鮮明に誘導され、投与後2~12時間でピークに達した(
図3B
)。その後、サイトカインレベルはベースラインに戻った。これらのサイトカインはいず
れも、ピークレベルが、SC投与(0.1および1 mg/kg)を受けた動物の血液中で、対応する
IV投与のレベルよりも低かった。IL-8およびIFN-γの場合、SC投与後のピークレベルがIV
投与と比べて低下するとともに遅延もしていた。
【0378】
同様の発見はDRF試験でも見られたが、ただし、この(より小規模の)試験では、IV投
与動物とSC投与動物との間にIFNγレベルの差はなかった。
【0379】
実施例5: カニクイザルにおけるDuoBody-CD3xCD20の4x反復IV輸注、プライミング用量あ
りの単回IV投与、または単回SC注射の後のB細胞枯渇の評価(用量範囲発見試験)
雌のカニクイザルが、本発明の製剤(30 mM 酢酸塩、150 mM ソルビトール、pH 5.5)
中DuoBody-CD3xCD20を、4回の毎週IV輸注(0.01、0.1、もしくは1 mg/kg)、IVプライミ
ング用量(0.01 mg/kg)に続いての1 mg/kgのIV標的用量、または単回SC注射(0.01、0.1
、1、10、もしくは20 mg/kg)のいずれかを介し、以下の概要のとおり受けた。
(表内の日は、実際の試験日を反映している。)
【0380】
本試験は、英国内務省が管轄する実験その他の科学的目的に使用される脊椎動物の保護
に関する欧州協定(欧州評議会)にしたがい、Charles River Laboratories(英国トラネ
ント)で実施された。
【0381】
研究目的で繁殖されたモーリシャス原産のカニクイザル、マカカ・ファシクラリスを、
Bioculture (Mauritius) Limited(モーリシャス島のリヴィエール・デ・アンギュ)また
はNoveprim(モーリシャス島のマエブール)から入手した。動物は、仲間どうし複数で収
容し、質の高い環境を与えた。
【0382】
試料採取
滅菌皮下針および滅菌シリンジを用いて大腿静脈から全血試料(およそ0.5 mL)を採取
した。フローサイトメトリーによる免疫表現型調査のために、血液をヘパリンナトリウム
の入ったチューブに移し、48時間以内の分析時まで室温で貯蔵した。
【0383】
動物に全身麻酔をかけて、標準的な無菌外科的手技を用いてリンパ節上を切開すること
により、浅在性リンパ節から生検(およそ20 mg)を採取した。生検は、ロズウェルパー
ク記念研究所(RPMI)で採取し、24時間以内に処理するまで濡れた氷中に貯蔵した。自動
で機械的に組織を分解するMedimachine Systemを用いて単細胞懸濁液を調製した(Becton
Dickinson;詳細は、全CRL試験報告を参照されたい)。得られた細胞を、2 mL ダルベッ
コリン酸緩衝食塩水(PBS; Gibco, cat. No. 14190)に再懸濁させた。
【0384】
剖検時、リンパ節および脾臓からの試料を一定の向きでコルク板に載せ、それぞれアル
ミニウム箔に包み、個別に標識し、液体窒素中で瞬間冷凍し、-80℃を維持するよう設定
した冷凍庫で貯蔵して、免疫組織化学による評価を待った。
【0385】
フローサイトメトリー
丸底試験管(Falcon, cat. No. 352052)内で直接標識抗体(以下を参照)の混合物を
調製した。抗体混合物は、CD19+ B細胞も分析できるように選択した。
【0386】
末梢血の免疫表現型調査のために、50 μLの抗凝固処理した全血を抗体混合物に添加し
、光から保護してRTで20分間インキュベートした。赤血球(RBC)を、1xRBC溶解バッファ
ー(eBioscience, cat. No. 00-4300-54)を用いて、RTで10分間で(またはRBC溶解が完
了するまで)溶解させた。チューブを、300~500 g、RTで5分間、遠心機にかけた。上清
を捨て、細胞ペレットを0.5 mL PBS(Gibco, cat. No. 10010)に再懸濁させた。分析前
に、各チューブに50 μLのFlow Countビーズ(Beckman Coulter, cat. No. 7546053)を
添加した。
【0387】
リンパ節細胞の免疫表現型調査のために、50 μLの細胞懸濁液を抗体混合物に添加し、
光から保護して氷中で15分間インキュベートした。インキュベート後、各チューブに0.5
mL ダルベッコPBSを添加した。
【0388】
デュアルレーザー5カラーBeckman Coulter FC500またはBD LSR Fortessa X-20フローサ
イトメーターを用いて試料を分析した。CD4-CD8-CD15-CD19+ イベントをB細胞として分類
した。
【0389】
次の抗体混合物を用いた:
1 FITC: フルオレセインイソチオシアネート; PE: フィコエリスチン(phycoerythin);
ECD: 電子結合色素; BV: ブリリアント・バイオレット; V: バイオレット; Cy: シアニン
色素; APC: アロフィコシアニン(allohphycocyanin) * 試験の途中で供給元が抗体カタ
ログ番号を変更した。
【0390】
免疫組織化学
剖検時に採取した、凍結させたリンパ節および脾臓を薄片にし、免疫組織化学の標準的
手順を用いて抗CD19抗体(Abcam, cat. No. ab134114)で染色した。
【0391】
結果
反復IV投与も単回SC投与も、ならびにプライミング用量ありのIV投与も、末梢血および
リンパ節からのB細胞の用量依存的枯渇をもたらした(
図4~9)。0.01 mg/kgでは、最初
の2回のIV投与は、(ほぼ)検出不能なレベルにまでB細胞の枯渇を誘導した。3回目およ
び4回目の投与は、B細胞の部分的な枯渇~枯渇無しをもたらした。この反復投与後の効果
不足は、抗薬物抗体が形成したせいであり得る。0.1または1 mg/kgでの反復IV投与は、完
全なB細胞枯渇を誘導し、(部分的な)回復の開始は21日後(0.1 mg/kg)、または42~11
9日後(1 mg/kg)であった。本発明の薬学的組成物(30 mM 酢酸塩、150 mM ソルビトー
ル、pH 5.5)中DuoBody-CD3xCD20の単回SC注射は、すべての用量レベルで、循環血および
リンパ節からB細胞を検出不能レベルにまで枯渇させた。B細胞の回復は全群で観測され、
より低い用量では数週間でベースラインに戻り、より高い用量では投与後70日ほどで戻っ
た。プライミング用量(0.01 mg/kg)およびその翌日の1 mg/kgの標的用量のIV投与は、
末梢血およびリンパ節からB細胞を完全に枯渇させ、それが予定された剖検日(29日目)
まで持続した。この試験では、リンパ節および脾臓からのB細胞の枯渇が免疫組織化学に
より確認された(
図10)。
【0392】
実施例6: カニクイザルにおけるDuoBody-CD3xCD20の5x反復IV輸注および単回SC注射の後
のB細胞枯渇(GLP毒性試験)
雄および雌のカニクイザルが、本発明の薬学的組成物中DuoBody-CD3xCD20を、5回の毎
週IV輸注(0.01、0.1、もしくは1 mg/kg)を介し、単回IV輸注(0.1もしくは1 mg/kg)を
介し、またはSC注射(0.1、1、もしくは10 mg/kg)を介し、以下の概要のとおり受けた。
5回の毎週の生理食塩水IV輸注を受ける対照群も含まれた。
1qwx5 = 週一度のIVを5回(1、8、15、22、および29日目); 終了: 36日目(主試験);
終了: 71日目(回復)。
IV SD = 単回IV投与(1日目); 終了は36日目。
SC 2x SD = 同じ動物の異なる注射部位に1日目および29日目にDuoBody-CD3xCD20およびそ
のSCビヒクル(30 mM 酢酸バッファー、150 mM ソルビトール pH 5.5)のSC投与; 終了は
33日目。
【0393】
本試験は、英国内務省が管轄する実験その他の科学的目的に使用される脊椎動物の保護
に関する欧州協定(欧州評議会)にしたがい、Charles River Laboratories(英国トラネ
ント)で実施された。
【0394】
研究目的で繁殖されたモーリシャス原産のカニクイザル、マカカ・ファシクラリスを、
LCL-Cynologics(モーリシャス島のポートルイス)から入手した。動物は、仲間どうし複
数で収容し、質の高い環境を与えた。
【0395】
前記に記載のようにして、全血試料およびリンパ節生検を採取した。
【0396】
B細胞の定量化は、以下を除き、前記に記載のようにしてフローサイトメトリーにより
実施した。
・末梢血の免疫表現型調査のために、50 μLの抗凝固処理した全血を抗体混合物に添加し
、光から保護して+4℃で30分間インキュベートし、
・データ取得の際はTruCountチューブ(BD Biosiences)を用いた。
・CD45+CD4-CD8-CD15-CD19+ イベントをB細胞として分類した。
・次の抗体混合物を用いた:
1 FITC: フルオレセインイソチオシアネート; PE:フィコエリスチン(phycoerythin); E
CD: 電子結合色素; BV: ブリリアント・バイオレット; V: バイオレット; Cy: シアニン
色素; APC: アロフィコシアニン(allohphycocyanin)
* この試験の途中、供給元の事情により、CD45 V500が一時的にCD45 BV711で差し替えら
れた。CD45 V500は供給元の事情が解決した後復活した。これらは異なるフィルター上で
検出されたので、CD25 BV711を一時的にCD25 V510で代用した。
【0397】
結果
結果を
図11~16に示す。生理食塩水のIV輸注は、末梢血中のB細胞数を部分的に減少さ
せたが、B細胞数は最後の輸注後3週間以内にベースラインまで戻った。DuoBody-CD3xCD20
の5回の毎週IV輸注は、用量依存性のB細胞の枯渇を誘導し、低用量群では部分的枯渇であ
り、高用量群では長期間持続する完全枯渇であった。0.1または1 mg/kgの単回IV輸注は、
末梢血からB細胞を完全に枯渇させ、試験した最高用量では剖検日(36日目)まで枯渇が
持続した。DuoBody-CD3xCD20のSC投与は、試験した全用量で、末梢血からのB細胞の完全
な枯渇をもたらした。最低用量では、B細胞レベルが部分的に回復したが、1および10 mg/
kg群では、B細胞の完全な枯渇が剖検日(33日目)まで存続した。
【0398】
実施例7: カニクイザルにおけるDuoBody-CD3xCD20の薬物動態: 静脈内(IV)および皮
下(SC)投与経路
材料および方法
30 mM 酢酸バッファー、150 mM ソルビトール、およびpH 5.5中で製剤化されたDuoBody
-CD3xCD20の薬物動態(PK)特性を、カニクイザルにおいて、毒性試験で静脈内(IV)お
よび皮下(SC)投与経路の両方を評価して決定した。血液試料は、雌のカニクイザルにお
けるDuoBody-CD3xCD20の用量範囲発見(DRF)試験ならびにカニクイザルにおけるDuoBody
-CD3xCD20のGLP毒性試験の動物から得た。これらの試験の設計および詳細は、実施例4に
記載されている。単回IV輸注またはSC注射を受けた動物でPK評価を行った。DuoBody-CD3x
CD20の血漿濃度を決定するために、全動物から血液試料(それぞれおよそ0.5 mL)を得た
。DRF試験のカニクイザルの血漿中DuoBody-CD3xCD20の濃度を、Imperacer(登録商標)イ
ムノPCRアッセイを用いて決定した。GLP毒性試験のカニクイザルの血漿中DuoBody-CD3xCD
20の濃度を、単一分子計測(SMC)法を用いて決定した。これらの評価の詳細を、以下の
セクションに提供する。
【0399】
DuoBody-CD3xCD20のPKのImperacer(登録商標)イムノPCR
DRF試験のカニクイザルの血漿中DuoBody-CD3xCD20の濃度を、高度な超高感度のイムノ
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法であって、抗体-DNAコンジュゲート、および続いてDNAマ
ーカーの指数関数的増幅を利用してタンパク質を検出する、Imperacer(登録商標)法を
用いて決定した。簡単に説明すると、8ポイント検量線の100%カニクイザル血漿中で調製
されたDuoBody-CD3xCD20、品質管理(QC)試料、および(希釈)カニクイザル被検試料を
、Imperacer(登録商標)コンジュゲートCHI-SAB1 A1(ドイツ国ドルトムントのChimera
Biotec GmbH, Cat no. 11-272)を含有する試料希釈バッファーSDB6000で希釈した。試料
を、DuoBody-CD3xCD20が結合できるCD3のHisタグ付き細胞外ドメイン(CD3ECDHis; オラ
ンダ国ユトレヒトのGenmab)でコーティングされた96ウェルELISAプレートに加えた。プ
レートを洗って、PCRマスターミックス(Molzym, Cat no. C-022)を加え、試料をImpera
cer(登録商標)RT-PCRリーダー(Agilent Technologies/Chimeraの対応型(Enabled)RT
Cycler MX 3000P/ MX 3005P)に移した。固定化DuoBody-CD3xCD20は、Imperacer(登録
商標)検出用コンジュゲートに含まれるDNAマーカーのPCR増幅中に検出することができる
。PCRマスターミックス中の配列特異的蛍光プローブのプロセシングにより、当初存在す
るDNAマーカー量と直接関連があり、かつΔCtシグナルとして報告される蛍光シグナルの
増加が生じる。リアルタイムPCRのシグナル生成が終了すると、測定された蛍光データを
装置のソフトウェア(MXPro; Chimera Biotec GmbH)で処理し、数学ソフトウェア(Micr
osoft Excel、XLfit分析プラグイン)で分析した。結合したDuoBody-CD3xCD20の濃度を、
非線形シグモイド4パラメーター回帰を用いてΔCtシグナルを対数スパイク(log spiked
)DuoBody-CD3xCD20濃度に対しプロットすることにより作成した標準曲線から決定した。
このアッセイは、ドルトムントのChimera Biotec GmbHで構築され、実施されたものであ
る。LLOQは、1.0 pg/mL 純粋血漿であった。
【0400】
DuoBody-CD3xCD20 PK単一分子計測(SMC)方法
GLP毒性試験のカニクイザルの血漿中DuoBody-CD3xCD20の濃度を単一分子計測(SMC)法
を用いて決定した。SMCイムノアッセイは、カニクイザル血漿中DuoBody-CD3xCD20分子を
測定することができる、蛍光サンドイッチ法のイムノアッセイ技法である。
【0401】
簡単に説明すると、キャリブレーター、QC、および被検試料を使用前に濾過し、磁気ビ
ーズを、DuoBody-CD3xCD20のCD3アームに対する抗イディオタイプ抗体(UM-IgG1mm-3005-
101-3-1-MP; Genmab、オランダ国ユトレヒト)で、メーカーのプロトコルにしたがい標識
した(Merck Millipore, Cat no. 03-0077-02)。濾過した試料を、コーティングした磁
気粒子、および蛍光色素(fluoroschrome)に結合させた、DuoBody-CD3xCD20のCD20アー
ムに対する抗イディオタイプ抗体(UM-IgG1mm-3001-2F2-Sab1.1(-FL); Genmab、オランダ
国ユトレヒト)といっしょにインキュベートした。インキュベート後、粒子を洗って未結
合コンジュゲートを除去した。次に、分析物およびコンジュゲートが結合した磁気粒子を
清潔なプレートに移し、残ったバッファーを吸引した。磁気粒子から分析物およびコンジ
ュゲートをメーカー(Merck Millipore)のプロトコルにしたがい溶離用バッファーで解
離させ、溶離物を中和用バッファーを含む384ウェルプレートに移した。試料を、Erenna
(登録商標)単一分子計測システム(Merck/Millipore)によりキャピラリ内に引き込み
、レーザー照射した。蛍光標識分子が発光し、閾値を超えるシグナルが検出イベントとし
てカウントされる。それに加えて、各イベントの光(イベント光子)の量および全部の光
(全光子)の量を測定した。
【0402】
この方法は、オランダ国アッセンのPRA Health Sciences Bioanalytical Laboratory(
PRA)で検証され、実施された。検証の際、LLOQは0.100 ng/mL 純粋血漿と決定され、定
量上限(ULOQ)は50 ng/mL 純粋血漿と決定された。
【0403】
結果
用量範囲発見試験: プライミング用量ありの単回IV投与
1日目に0.01 mg/kgのDuoBody-CD3xCD20のプライミング用量を受け、続いて2日目に1 mg
/kgのDuoBody-CD3xCD20の標的用量を受けたカニクイザル(n = 雌2匹)の、DuoBody-CD3x
CD20の血漿濃度プロファイルを測定した。プライミング用量および標的用量はいずれも、
IV輸注として10 mL/kgの投与量を30分かけて投与した。0.01 mg/kgのIVプライミング用量
(1日目)の後の1 mg/kg標的用量としてのDuoBody-CD3xCD20のIV投与(2日目)後、この1
mg/kg用量の輸注の終わりに直ちにCmaxに達した。反復IV輸注群では、初回投与後に同じ
オーダーのCL値(10.7~13.7 mL/日/kg)およびVD値(56.1~64.9 mL/kg)が観測された
。
【0404】
ImperacerイムノPCR法から生成された個々の血漿濃度プロファイルを
図17Aに示し、群
平均PKパラメーターを表12に示す。PKパラメーターは、1 mg/kg用量についてのみ計算し
た。
【0405】
(表12)IV単回投与: DRF試験におけるDuoBody-CD3xCD20の平均PKパラメーター
【0406】
用量範囲発見試験: 単回SC投与
0.01、0.1、1、10、または20 mg/kgの用量レベルのDuoBody-CD3xCD20のSC単回注射後の
、DuoBody-CD3xCD20の血漿濃度プロファイルを測定した(n = 雌2匹/群)。SC注射は、1
mL/kgの投与量で投与した。SC投与の後、投与から0.5~7日にC
maxに達した。nC
maxまた
はAUC
0-∞のいずれかによると、1 mg/kgの用量までは超比例的な曝露の増加が観測された
。1 mg/kg~20 mg/kgでは、用量が増すにつれて比例的な曝露の増加が観測された。Imper
acer(登録商標)イムノPCR法から生成された個々の血漿濃度プロファイルを
図17Bに示し
、群平均PKパラメーターを表13に示す。
【0407】
絶対的SCバイオアベイラビリティ(F)を、1 mg/kgのSC投与後のAUCinf、および1 mg/k
gの初回IV投与後のAUC0-∞を用いて、IVバイオアベイラビリティのパーセンテージとして
計算したところ、111%となり、この用量での完璧(100%)なSCバイオアベイラビリティが
示された。
【0408】
(表13)SC単回投与: DRF試験におけるDuoBody-CD3xCD20の平均PKパラメーター
【0409】
GLP毒性試験: 単回IV投与
0.1または1 mg/kgの用量レベルのDuoBody-CD3xCD20の単回IV輸注後の、DuoBody-CD3xCD
20の血漿濃度プロファイルを測定した(サル3匹/性別/群)。SMC法から生成された群平
均血漿濃度プロファイルを
図17Cに示し、群平均薬物動態パラメーターを表14に示す。Duo
Body-CD3xCD20への全身性曝露(平均C
maxおよびAUC
(0-t)に基づく)は、雄および雌にお
いて、用量が増すにつれて増加した。用量正規化見積りによると、DuoBody-CD3xCD20への
全身性曝露は、雄でも雌でも、0.1~1 mg/kgの用量範囲で、用量比例よりも概ね大きく増
加した。中央値T
maxは、一貫して0.5時間(輸注期の終了時)であった。用量が増すにつ
れてCL、VD、およびVSSが減少する傾向が見られた。T
1/2は、高いほうの1 mg/kgの用量で
、適切に誘導されたと考えられ(平均値は雄が98時間、雌が125時間)、雌雄とも排出相
は最長840時間と特徴づけられたが、これに比べて0.1 mg/kgでは168時間または336時間で
あった。全身性曝露は、0.1および1 mg/kgで雌雄が概ね同等であったが、0.1 mg/kgで投
与した雄の平均AUC
(0-t)は雌よりも高かった。これはおそらく、ほかの全動物よりもおよ
そ7倍高い全曝露量を示した1匹の動物のアーチファクトである。この動物によるばらつき
を考慮に入れると、C
maxおよびAUC
(0-t)の雌/雄比は、0.8~1.3の範囲であった(0.1 mg
/kgではAUC
(0-t)は0.3)。
【0410】
(表14)IV単回投与: GLP毒性試験におけるDuoBody-CD3xCD20の平均PKパラメーター
【0411】
単回SC投与
0.1、1、または10 mg/kgの用量レベルのDuoBody-CD3xCD20の単回SC注射後の、DuoBody-
CD3xCD20の血漿濃度プロファイルを測定した(サル3匹/性別/群)。SC注射は、0.2 mL/
kgの投与量で投与した。SMC法から生成された群平均血漿濃度プロファイルを
図17Cに示し
、群平均薬物動態パラメーターを表15に示す。DuoBody-CD3xCD20への全身性曝露(平均C
m
axおよびAUC
(0-t)に基づく)は、雄および雌において、SC投与が増すにつれて増加した。
用量正規化見積りによると、C
maxは、雄および雌において、0.1~1 mg/kgでは概ね用量比
例式に増加し、1~10 mg/kgでは用量比例式よりも大きく増加したが、用量正規化AUC
(0-t
)は、0.1~10 mg/kgで、用量比例式よりも大きく増加した。全体的に、SC投与後の増加は
、雄および雌において0.1~10 mg/kgで用量比例式よりも大きかった。中央値T
maxは、雄
では一貫して72時間であり、雌では用量範囲全体でT
maxに一貫した傾向は見られなかった
が、それは個々のT
max値間のばらつきがより大きかったためである。T
1/2は高用量で最長
であり、排出相は雄および雌において最も適切に特徴づけられたと考えられた。全身性曝
露は、0.1 mg/kgでは雌よりも雄のほうが概ね高く、1および10 mg/kgでは雌雄が同等であ
り; C
maxおよびAUC
(0-t)の雌/雄比は、0.1 mg/kgではそれぞれ0.5および0.4であり、1 m
g/kgでは両パラメーターとも0.8であり、10 mg/kgでは両パラメーターとも1.0であった。
【0412】
(表15)SC単回投与: GLP毒性試験におけるDuoBody-CD3xCD20の平均PKパラメーター
【0413】
まとめると、DuoBody-CD3xCD20のIV輸注後、血漿濃度は30分間の投与期の終わりまで増
加し、それから概ね二相式に減少した。SC投与後は、より長時間の増加が投与後およそ72
時間のピークまで観測され、最長で投与後168時間まで比較的安定したレベルに保持され
た。その後、濃度は4週間のサンプリング期の終わりまで単相式に減少した。等しい用量
では、IV投与後の最大血漿濃度は、SC投与後の最大血漿濃度よりも著しく高かった。
【0414】
実施例8
それぞれSEQ ID NO. 26および24に示す重鎖および軽鎖配列を有する、ヒト化IgG1λ、C
D3ε特異性抗体であるIgG1-CD3-FEAL、ならびにそれぞれSEQ ID NO. 27および25に示す重
鎖および軽鎖配列を有するIgG1-CD20-FEARという2つの親抗体を、別個の生物学的中間体
として製造した。該親抗体は、標準的な懸濁細胞培養および精製の技術を用いて、哺乳類
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株において生産した。次に、制御されたFabアー
ム交換(cFAE)法により、CD3xCD20 抗体を製造した(Labrijn et al. 2013, Labrijn et
al. 2014, Gramer et al. 2013)。ポリッシング/精製の後、最終産物を100%に近い純
度で得た。抗体濃度は、280 nmの吸光度で、理論消衰係数ε = 1.597 mL・mg-1cm-1を用
いて測定した。この二重特異性抗体産物には、エプコリタマブという国際一般名がつけら
れた。
【0415】
エプコリタマブ製剤試験
さらなる製剤試験をエプコリタマブについて実施した。エプコリタマブ製剤は、各製剤
のバッファー交換により調製した。その後、各製剤を滅菌濾過し、バイアルに入れ、該バ
イアルにストッパーをつけて蓋をした。本試験は、pH(4.8、5.2、5.5)、ソルビトール
濃度(150 mM、200 mM、250 mM)、塩化ナトリウム濃度(0 mM、35 mM、70 mM)、および
L-アルギニン濃度(0 mM、35 mM、70 mM)を含め、製剤パラメータースペースの31のバリ
エーションを含み、ここでエプコリタマブの濃度60 mg/mLおよびポリソルベート80(PS80
)の濃度0.04%(w/v)は不変とした。試験した製剤を表16に掲載する。追加の分析も、選
択した5つの製剤を用いて、エプコリタマブの濃度は48 mg/mLで実施した(データ記載せ
ず)。
【0416】
【0417】
試料をそれぞれ5±3℃および40±2℃/75% RH(相対湿度)で、最長8週間貯蔵した。分
析の前に、選択した製剤をさらに凍結/融解(F/T)サイクルまたは撹拌条件に供した。
実施した分析試験には、外観(色、清澄度、および微粒子)、pH、濁度、タンパク質成分
、DLS、SEC-HPLC、icIEF、還元条件および非還元条件CGE-SDS、ならびにオスモル濃度が
含まれた。上記の製剤のオスモル濃度は、約230~約530の範囲であった。試験した製剤は
すべて、ヒトへの皮下投与に好適であると考えられた。一部の製剤のオスモル濃度を以下
の表17に掲載する。以下の外観、pH、SEC-HPLC、およびicIEFの結果は、要約されている
。ほかの試験パラメーターの結果は、使用したほかの試験方法の結論を裏付けるものであ
った。
【0418】
【0419】
外観の結果
試験した製剤はすべて、かすかに黄色い透明な液体であり、またはかすかに乳光を放ち
、かつ可視微粒子はなかった。最長8週間の貯蔵後、何ら変化は観測されなかった。表18
は、選択された製剤の外観の結果を示し、ここではアルギニンおよびソルビトールのレベ
ルが変えられている。
【0420】
(表18)外観の結果
Form.(製剤); Cond.(条件); SY(かすかに黄色); SO(かすかに乳光); CL(透明な
液体); F(可視微粒子なし)
【0421】
pHの結果
試験した製剤はすべて、目標のpHであった、またはそれに近かった。最長8週間貯蔵し
た後、何ら変化は観測されなかった。最長8週間40℃で貯蔵した全試料の結果を、表19に
見ることができる。
【0422】
(表19)40℃で最長8週間貯蔵した試料のpHの結果
【0423】
HPLC-SECの結果
モノマーの減少および高分子量(HMW)の増加が、40℃で最長8週間貯蔵した後の全試料
で観測された。表20は、選択された製剤のHPLC-SECの結果を示し、ここではアルギニンお
よびソルビトールのレベルが変えられている。ソルビトールのレベルは、結果にとくに影
響を与えていない。
図18に示すように、増加したNaClのレベル、および低下したpHが、モ
ノマーの減少およびHMWの増加をもたらしている。
【0424】
(表20)選択された製剤および貯蔵条件のSECの結果
【0425】
icIEFの結果
予想通り、メインピークの低下および酸性バリアントの増加を、40℃で最長8週間貯蔵
した後の全試料で観測することができる。表21は、いくつかの選択された製剤のicIEFの
結果を示し、ここではアルギニンおよびソルビトールのレベルが変えられている。ソルビ
トールのレベルは、結果にとくに影響を与えていない。アルギニンのレベルは、酸性バリ
アントに対し、わずかな正の影響を有し得る。
【0426】
(表21)選択された製剤および貯蔵条件のicIEFの結果
【0427】
結論
ソルビトールの150~250 mMの変化は、抗体の安定性プロファイルに対しとくに影響が
なかった。低下したpH、および塩化ナトリウムの追加は、抗体の安定性プロファイルに対
し負の影響を有すると思われた。
【0428】
このように、本実験のデータによると、抗体のために、両端を含めて150~250 mMの範
囲のソルビトールを含み、30 mM 酢酸塩、0.04% ポリソルベート80、および5.3~5.5の範
囲のpHを含む製剤が考えられる。たとえば、250 mM、30 mM 酢酸塩、0.04% ポリソルベー
ト80、および5.3~5.5の範囲のpHを含む製剤が考えられ得る。それに加えて、少量のアル
ギニンなどのさらなる置換物(substituent)が、製剤に関し有害作用を有することなく
、製剤に(たとえば最大約58 mMまで)含まれてもよいと思われる。
【0429】
結論としては、得られた結果は、30 mM 酢酸塩、150 mM ソルビトール、0.04% ポリソ
ルベート80、pH 5.5の製剤が、エプコリタマブの少なくとも60 mg/mLまでの範囲の、かつ
60 mg/mLを含む濃度における、最適な製剤であることを裏付けている。オスモル濃度をよ
り生理的に なレベルにまで増加させるために、任意選択により、さらなる量の置換物を
含めることを考えてもよい。
【0430】
実施例9
希釈剤
5 mg/mLのエプコリタマブ薬学的組成物を、希釈物の調製に用いた。適合性試験は、製
品に特化した希釈剤を5 μg/mLまでの希釈に使用できることを示した。
【0431】
市販の希釈剤、すなわち注射に好適な水中0.9% NaCl w/vも試験した。この市販の希釈
剤は、少なくとも約80 μg/mLまでの希釈に適合することが示された。
【0432】
試験には、最長24時間の貯蔵も含まれた。データによると、試験した条件下では、回収
率または安定性プロファイルに何ら影響がなかった。