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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015686
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】木製部材の接合構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20240130BHJP
   F16B 12/12 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
E04B1/58 503L
F16B12/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117921
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】田中 初太郎
(72)【発明者】
【氏名】貞広 修
(72)【発明者】
【氏名】牧住 敏幸
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 秀行
(72)【発明者】
【氏名】久米 建一
(72)【発明者】
【氏名】中島 忠大
(72)【発明者】
【氏名】田村 拓也
(72)【発明者】
【氏名】津畑 慎哉
(72)【発明者】
【氏名】西山 恒平
(72)【発明者】
【氏名】金坂 太一
【テーマコード(参考)】
2E125
3J024
【Fターム(参考)】
2E125AA12
2E125AB12
2E125AC23
2E125AG03
2E125AG12
2E125AG21
2E125AG23
2E125AG26
2E125AG34
2E125AG38
2E125BB08
2E125BE07
2E125BE08
2E125BF01
2E125BF06
2E125CA79
3J024AA43
3J024BB03
3J024CA13
3J024CA15
(57)【要約】
【課題】強度を向上させることができる木製部材の接合構造を提供する。
【解決手段】木製部材の接合構造100は、木製の第1部材1に対して、木製の第2部材2が第1方向の両側に接合された木製部材の接合構造であって、第1部材1のおける第2方向の一方側を向く第1面から第2方向の一方側に突出する第1凸部133と、第2部材2における第2方向の他方側を向く第2面から第2方向の一方側に凹み、第1凸部133と嵌合する第1凹部213と、第1部材1における第2方向の一方側を向く第3面から第2方向の他方側に凹む第2凹部112と、第2部材2における第2方向の他方側を向く第4面から第2方向の他方側に突出し、第2凹部112と嵌合する第2凸部233と、第1部材1と第2部材2との間に形成される隙間と、隙間に嵌合されて、第1部材1と第2部材2とを、相対的に、前記第2方向に離間する方向への移動を拘束する第1栓部材4と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木製の第1部材に対して、木製の第2部材が第1方向の両側に接合された木製部材の接合構造であって、
前記第1部材のおける前記第1方向と直交する第2方向の一方側を向く第1面から前記第2方向の一方側に突出する第1凸部と、
前記第2部材における前記第2方向の他方側を向く第2面から前記第2方向の一方側に凹み、前記第1凸部と嵌合する第1凹部と、
前記第1部材における前記第2方向の一方側を向く第3面から前記第2方向の他方側に凹む第2凹部と、
前記第2部材における前記第2方向の他方側を向く第4面から前記第2方向の他方側に突出し、前記第2凹部と嵌合する第2凸部と、
前記第1部材と前記第2部材との間に形成される隙間と、
前記隙間に嵌合されて、前記第1部材と前記第2部材とを、相対的に、前記第2方向に離間する方向への移動を拘束する第1栓部材と、を備える木製部材の接合構造。
【請求項2】
前記第1部材及び前記第2部材に、前記第1方向に連通するように形成された連通孔と、
前記連通孔に嵌合された第2栓部材と、を備える請求項1に記載の木製部材の接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木製部材の接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今のCO排出削減などを目的として、木活用が推進されている。木部材どうしの接合部に金物を使用することが知られているが、金物を使用すると美観を損ねたり、鋼材使用によるCO排出量が増加したりする等の課題である。
【0003】
日本の伝統的な木造では、下記の特許文献1に示される金輪継ぎのように、鋼材を使用しない継手が知られていて、優れた美観と強度を呈するという特徴がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3752671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のような継手では、建物に必要である十分な強度を得られないことがあるという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、強度を向上させることができる木製部材の接合構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る木製部材の接合構造は、木製の第1部材に対して、木製の第2部材が第1方向の両側に接合された木製部材の接合構造であって、前記第1部材のおける前記第1方向と直交する第2方向の一方側を向く第1面から前記第2方向の一方側に突出する第1凸部と、前記第2部材における前記第2方向の他方側を向く第2面から前記第2方向の一方側に凹み、前記第1凸部と嵌合する第1凹部と、前記第1部材における前記第2方向の一方側を向く第3面から前記第2方向の他方側に凹む第2凹部と、前記第2部材における前記第2方向の他方側を向く第4面から前記第2方向の他方側に突出し、前記第2凹部と嵌合する第2凸部と、前記第1部材と前記第2部材との間に形成される隙間と、前記隙間に嵌合されて、前記第1部材と前記第2部材とを、相対的に、前記第2方向に離間する方向への移動を拘束する第1栓部材と、を備える。
【0008】
このように構成された木製部材の接合構造では、第1部材の第1凸部と第2部材の第1凹部とが嵌合しているため、第1部材と第2部材とは、相対的に、第1方向及び第2方向に近接する方向への移動が拘束される。第1部材の第2凹部と第2部材の第2凸部とが嵌合しているため、第1部材と第2部材とは、相対的に、第1方向及び第2方向に近接する方向への移動が拘束される。第1部材と第2部材との間に形成された隙間に第1栓部材が嵌合されているため、第1部材と第2部材とが、相対的に、第2方向に離間する方向への移動が拘束される。よって、第1方向及び第2方向の移動が規制された状態で、第1部材と第2部材とは接合される。第1部材に対して第1方向の両側に第2部材が接合されているため、第1部材における第1方向の両側の面が第2部材との接合面となり、第2部材が1つの場合よりも接合面の面積が増えるため、第1部材と第2部材との接合強度を向上させることができる。
【0009】
また、本発明に係る木製部材の接合構造は、前記第1部材及び前記第2部材に、前記第1方向に連通するように形成された連通孔と、前記連通孔に嵌合された第2栓部材と、を備えていてもよい。
【0010】
このように構成された木製部材の接合構造では、第1部材と第2部材に形成された第1方向に連通する連通孔に、第2栓部材が嵌合されている。つまり、第1方向と交差する方向の移動が規制された状態で、第1部材と第2部材とは接合される。よって。第1部材と第2部材とが接合された状態での剛性及び強度を向上させることができるとともに、最大荷重到達後の荷重低下を緩やかにして、靭性を高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る木製部材の接合構造よれば、強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一実施形態に係る木製部材の接合構造を示す斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る木製部材の接合構造を示す分解斜視図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る木製部材の接合構造を示す上面図である。
図4】本発明の第一実施形態に係る木製部材の接合構造を示す正面図である。
図5図3のV部拡大図である。
図6】本発明の第二実施形態に係る木製部材の接合構造を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第一実施形態に係る木製部材の接合構造について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る木製部材の接合構造を示す斜視図である。図2は、本発明の第一実施形態に係る木製部材の接合構造を示す分解斜視図である。図3は、本発明の第一実施形態に係る木製部材の接合構造を示す上面図である。
図1から図3に示す木製部材の接合構造100は、例えば木造建築物の柱間に架設されるものである。木製部材の接合構造100は、木製の第1部材1に対して、一対の木製の第2部材2が接合されたものである。第2部材2は、第1部材1に対して第1方向(図に示す矢印Yの方向)の両側に配置されている。第1方向に直交し水平面に沿う方向を、第2方向(図に示す矢印Xの方向)と称する。第2部材2の第2方向の両端部に、第1部材1が接合されている。
【0014】
各構成部材において、第1方向では、中心に向かう側を内側と称し、中心から離れる側を外側と称する場合がある。第2方向では、第2部材2の中心に向かう側(第2方向の一方側)を内側と称し、中心から離れる側(第2方向の他方側)を外側と称する場合がある。
【0015】
図2に示すように、木製部材の接合構造100は、第1部材1の第1嵌合凹部(第2凹部)112と、第1嵌合凸部(第1凸部)133と、第2部材2の第2嵌合凹部(第1凹部)213と、第2嵌合凸部(第2凸部)233と、隙間S(図5参照)と、第1栓部材4と、を備えている。
【0016】
図4は、木製部材の接合構造100を示す正面図である。
図4に示すように、第1部材1は、第2方向の内側に向かうにしたがって、次第に上方に向かうように延びている。
【0017】
図1に示すように、第1部材1は、第1方向に対称の形状をしている。第1部材1は、第1本体部11と、第1中間膨出部12と、第1先端膨出部13と、を有している。
【0018】
第1本体部11は、板状に形成されている。図1では、第1本体部11の一部を示しているが、第1本体部11は、第2方向に長い略直方体をしている。
【0019】
第1中間膨出部12は、第1本体部11の第2方向の端部から、第2方向の内側に向かって突出している。第1先端膨出部13は、第1中間膨出部12の第2方向の端部から、第2方向の内側に向かって突出している。
【0020】
図5は、図3のV部拡大図である。
図5に示すように、第1本体部11は、第1基端当接面(第3面)111と、第1嵌合凹部112と、を有している。
【0021】
第1基端当接面111は、第1本体部11の第2方向の内側を向く面である。第1基端当接面111は、第1方向に沿って配置されている。
【0022】
第1嵌合凹部112は、第1基端当接面111の第1方向の内側に配置されている。第1嵌合凹部112は、第1基端当接面111から第2方向の外側に凹むように形成されている。
【0023】
第1中間膨出部12は、第1中間傾斜面121と、第1延出面122と、を有している。
【0024】
第1中間傾斜面121は、第1嵌合凹部112の第1方向の内側から第2方向の内側に向かって延びている。第1中間傾斜面121は、第2方向の内側に向かうにしたがって、次第に第1方向に内側に向かうように、第2方向に沿う鉛直面よりもわずかに傾斜している。
【0025】
第1延出面122は、第1中間傾斜面121の第2方向の内側の端部から第1方向の外側に延出している。第1延出面122は、第1方向に沿って配置されている。
【0026】
第1先端膨出部13は、第1先端傾斜面131と、第1先端当接面(第1面)132と、第1嵌合凸部133と、を有している。
【0027】
第1先端傾斜面131は、第1延出面122の第1方向の外側の端部から第2方向の内側に向かって延びている。第1先端傾斜面131は、第2方向の内側に向かうにしたがって、次第に第1方向に内側に向かうように、第2方向に沿う鉛直面よりもわずかに傾斜している。第1先端傾斜面131は、第1中間傾斜面121よりも第1方向の外側に配置されている。
【0028】
第1先端当接面132は、第1先端膨出部13の第2方向の内側に形成されている。第1先端当接面132は、第1先端膨出部13の第1方向の略中央に位置している。第1先端当接面132は、第1方向に沿って配置されている。
【0029】
第1嵌合凸部133は、第1先端当接面132の第1方向の外側に配置されている。第1嵌合凸部133は、第1先端当接面132から第2方向の内側に突出するように形成されている。第1嵌合凸部133の第1方向の外側の端部は、第1先端傾斜面131に連続している。
【0030】
図4に示すように、第2部材2は、第2方向の内側に向かうにしたがって、次第に上方に向かう形状をしている。
【0031】
図1に示すように、一対の第2部材2が、第1方向の両側に配置されている。一対の第2部材2は、第1方向に対称となるように配置されている。各第2部材2は、第2方向の中央で対称となる形状をしている。第2部材2は、第2本体部21と、第2中間延出部22と、第2先端延出部23と、を有している。
【0032】
第2本体部21は、板状に形成されている。第2本体部21は、上方に凸となる略山型をしている。
【0033】
第2中間延出部22は、第1本体部11の第2方向の端部から、第2方向の外側に向かって突出している。第2先端延出部23は、第2中間延出部22の第2方向の端部から、第2方向の外側に向かって突出している。
【0034】
図5に示すように、第2本体部21は、第2中央当接面(第2面)211、第2基端当接面212と、第2嵌合凹部213と、を有している。
【0035】
第2中央当接面211は、第2本体部21の第1方向の内側を向く面である。第2中央当接面211は、第2方向に沿って配置されている。
【0036】
第2基端当接面212は、第2中央当接面211の第2方向の外側の端部から第1方向の外側に向かって延びている。第2基端当接面212は、第1方向に沿って配置されている。第2基端当接面212と第1部材1の第1先端当接面132とは、当接している。
【0037】
第2嵌合凹部213は、第2基端当接面212の第1方向の外側に配置されている。第2嵌合凹部213は、第2基端当接面212から第2方向の内側に凹むように形成されている。第1部材1の第1嵌合凸部133は、第2嵌合凹部213に嵌合している。これによって、第1部材1と第2部材2とは、相対的に、第1方向及び第2方向に近接する方向への移動が拘束されている。
【0038】
第2中間延出部22は、第2中間傾斜面221と、第2延出面222と、を有している。
【0039】
第2中間傾斜面221は、第2嵌合凹部213の第1方向の外側から第2方向の外側に向かって延びている。第2中間傾斜面221は、第2方向の外側に向かうにしたがって、次第に第1方向に外側に向かうように、第2方向に沿う鉛直面よりもわずかに傾斜している。第2中間傾斜面221と第1部材1の第1先端傾斜面131とは、当接している。
【0040】
第2延出面222は、第2中間傾斜面221の第2方向の外側の端部から第1方向の内側に延出している。第2延出面222は、第1方向に沿って配置されている。第2延出面222は、第1部材1の第1延出面122の第2方向の外側に離間して配置されている。
【0041】
第2先端延出部23は、第2先端傾斜面231と、第2先端当接面(第4面)232と、第2嵌合凸部233と、を有している。
【0042】
第2先端傾斜面231は、第2延出面222の第1方向の内側の端部から第2方向の外側に向かって延びている。第2先端傾斜面231は、第2方向の外側に向かうにしたがって、次第に第1方向に外側に向かうように、第2方向に沿う鉛直面よりもわずかに傾斜している。第2先端傾斜面231は、第2中間傾斜面221よりも第1方向の内側に配置されている。第2先端傾斜面231と第1部材1の第1中間傾斜面121とは、当接している。
【0043】
第2先端当接面232は、第2先端延出部23の第2方向の外側を向く面である。第2先端当接面232は、第1方向に沿って配置されている。第2先端当接面232と第1部材1の第1基端当接面111とは、当接している。
【0044】
第2嵌合凸部233は、第2先端当接面232の第1方向の内側に配置されている。第2嵌合凸部233は、第2先端当接面232から第2方向の外側に突出するように形成されている。第2嵌合凸部233の第1方向の内側の端部は、第2先端傾斜面231に連続している。第2嵌合凸部233は、第1部材1の第1嵌合凹部112に嵌合している。これによって、第1部材1と第2部材2とは、相対的に、第1方向及び第2方向に近接する方向への移動が拘束されている。
【0045】
第2部材2の第2中間傾斜面221の第2方向の外側の部分221a、第2部材2の第2延出面222、第1部材1の第1中間傾斜面121の第2方向の内側の部分121a及び第1部材1の第1延出面122によって、隙間Sが形成されている。隙間Sには、上下方向に長い直方体状をする木製の第1栓部材4(図2参照)が嵌合されている。これによって、第1部材1と第2部材2とが、相対的に、第2方向に離間する方向への移動が拘束されている。
【0046】
このように構成された木製部材の接合構造100では、第1部材1の第1嵌合凸部133と第2部材2の第2嵌合凹部213とが嵌合しているため、第1部材1と第2部材2とは、相対的に、第1方向及び第2方向に近接する方向への移動が拘束される。第1部材1の第1嵌合凹部112と第2部材2の第2嵌合凸部233とが嵌合しているため、第1部材1と第2部材2とは、相対的に、第1方向及び第2方向に近接する方向への移動が拘束される。第1部材1と第2部材2との間に形成された隙間Sに第1栓部材4が嵌合されているため、第1部材1と第2部材2とが、相対的に、第2方向に離間する方向への移動が拘束される。よって、第1方向及び第2方向の移動が規制された状態で、第1部材1と第2部材2とは接合される。第1部材1に対して第1方向の両側に第2部材2が接合されているため、第1部材1における第1方向の両側の面が第2部材2との接合面(当接面)となり、第2部材2が1つの場合よりも接合面の面積が増えるため、第1部材1と第2部材2との接合強度を向上させることができる。
なお、接合面とは、第1部材1の第1基端当接面111と第2部材2の第2先端当接面232、第1部材1の第1中間傾斜面121と第2部材2の第2先端傾斜面231、第1部材1の第1先端傾斜面131と第2部材2の第2中間傾斜面221、第1部材1の第1先端当接面132と第2部材2の第2基端当接面212である。
【0047】
また、鋼材を使用しないため、美観を向上させることができるとともに、COの排出量を削減することができる。
【0048】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態に係る木製部材の接合構造について、主に図6を用いて説明する。なお、以下に示す実施形態では、上述の第一実施形態と同一又は同様な部材及び部分には同一の符号を用いて説明を省略し、実施形態と異なる構成について説明する。
【0049】
図6は、本発明の第二実施形態に係る木製部材の接合構造を示す分解斜視図である。
図6に示すように、第2部材2の第2中間延出部22Aには、第1方向に貫通する複数の連通孔224が形成されている。連通孔224は、上下方向に離間して5箇所に形成されている。第1部材1の第1先端膨出部13Aには、連通孔224と連通するように連通孔(不図示)が形成されている。第2部材2の連通孔224及び第1部材1の連通孔には、第1方向に延びる円柱状の木製の第2栓部材5が嵌合されている。なお、連通孔224の個数は適宜設定可能である。
【0050】
第2部材2の第2先端延出部23Aには、第1方向に貫通する複数の連通孔234が形成されている。連通孔234は、上下方向に離間して5箇所に形成されている。第1部材1の第1中間膨出部12Aには、連通孔234と連通するように連通孔(不図示)が形成されている。第2部材2の連通孔234及び第1部材1の連通孔には、第1方向に延びる円柱状の第2栓部材5が嵌合されている。なお、連通孔234の個数は適宜設定可能である。
【0051】
このように構成された木製部材の接合構造100Aでは、第1部材1の第1嵌合凸部133と第2部材2の第2嵌合凹部213とが嵌合しているため、第1部材1と第2部材2とは、相対的に、第1方向及び第2方向に近接する方向への移動が拘束される。第1部材1の第1嵌合凹部112と第2部材2の第2凸部とが嵌合しているため、第1部材1と第2部材2とは、相対的に、第1方向及び第2方向に近接する方向への移動が拘束される。第1部材1と第2部材2との間に形成された隙間Sに第1栓部材4が嵌合されているため、第1部材1と第2部材2とが、相対的に、第2方向に離間する方向への移動が拘束される。よって、第1方向及び第2方向の移動が規制された状態で、第1部材1と第2部材2とは接合される。第1部材1に対して第1方向の両側に第2部材2が接合されているため、第1部材1における第1方向の両側の面が第2部材2との接合面(当接面)となり、第2部材2が1つの場合よりも接合面の面積が増えるため、第1部材1と第2部材2との接合強度を向上させることができる。
【0052】
また、第1部材1と第2部材2に形成された第1方向に連通する連通孔224,234に、第2栓部材5が嵌合されている。つまり、第1方向と交差する方向の移動が規制された状態で、第1部材1と第2部材2とは接合される。よって。第1部材1と第2部材2とが接合された状態での剛性及び強度を向上させることができるとともに、最大荷重到達後の荷重低下を緩やかにして、靭性を高めることができる。
【0053】
なお、上述した実施の形態において示した組立手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0054】
2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標として「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」がある。本実施形態に係る木製部材の接合構造100は、このSDGsの17の目標のうち、例えば「15.陸の豊かさを守ろう」の目標などの達成に貢献し得る。
【符号の説明】
【0055】
1 第1部材
2 第2部材
4 第1栓部材
5 第2栓部材
100,100A 木製部材の接合構造
111 第1基端当接面(第3面)
112 第1嵌合凹部(第2凹部)
132 第1先端当接面(第1面)
133 第1嵌合凸部(第1凸部)
211 第2中央当接面(第2面)
213 第2嵌合凹部(第1凹部)
224,234 連通孔
232 第2先端当接面(第4面)
233 第2嵌合凸部(第2凸部)
S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6