(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156865
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】蓄電デバイス、及び、蓄電デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/105 20210101AFI20241029BHJP
H01M 50/16 20210101ALI20241029BHJP
H01M 50/159 20210101ALI20241029BHJP
H01M 50/566 20210101ALI20241029BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20241029BHJP
H01M 50/557 20210101ALI20241029BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20241029BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20241029BHJP
H01M 50/176 20210101ALI20241029BHJP
H01M 50/545 20210101ALI20241029BHJP
H01G 11/14 20130101ALI20241029BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20241029BHJP
H01G 9/08 20060101ALI20241029BHJP
H01G 9/12 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
H01M50/105
H01M50/16
H01M50/159
H01M50/566
H01M50/548 301
H01M50/557
H01M50/184 C
H01M50/15
H01M50/176
H01M50/545
H01G11/14
H01G11/78
H01G9/08 Z
H01G9/12 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024127615
(22)【出願日】2024-08-02
(62)【分割の表示】P 2024044781の分割
【原出願日】2021-02-05
(31)【優先権主張番号】P 2020019549
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020108399
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 美帆
(72)【発明者】
【氏名】三上 真一
(72)【発明者】
【氏名】仙頭 和佳子
(72)【発明者】
【氏名】中田 清
(72)【発明者】
【氏名】福田 淳
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 敦
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の蓄電デバイスを重ねた場合に隣接する蓄電デバイスに掛かる圧力の分布のムラを抑制可能な蓄電デバイス及び該蓄電デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】蓄電デバイス10は、電極体と、外装体100とを備える。外装体は、電極体を封止する。外装体は、フィルム状の外装部材によって構成されている。外装体は、電極体に巻き付けられた状態で互いに向き合う面同士が接合することによって封止された第1封止部110を含む。第1封止部の付け根部分は、外装体において、第1面130と第2面140との境界に形成されている。第1面の面積は、第2面の面積よりも大きい。第1封止部は、平面視において、第1面と重なっていない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体と、
前記電極体と電気的に接続される電極端子と、
前記電極体を封止する外装体と、を備え、
前記外装体は、
開口部を有するように前記電極体に巻き付けられるフィルム状の外装部材と、
前記電極端子が取り付けられ、前記外装部材の前記開口部に嵌め込まれる蓋体と、含み、
前記蓋体は、前記電極端子が挿入される貫通孔を有する
蓄電デバイス。
【請求項2】
前記蓋体は、樹脂成形品又は金属成形品(ただし、フィルムは除く)である
請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項3】
前記蓋体は、板状の部材である
請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項4】
前記蓋体は、平面視矩形状の有底トレイ状部材(ただし、フィルムは除く)である
請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項5】
前記蓋体は、表面に金属層が露出した部分、又は、金属材料によって構成される部分である金属部を含み、
前記金属部と前記電極体とが溶接される
請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【請求項6】
前記外装体は、前記外装部材が前記電極体に巻き付けられた状態で互いに向き合う面同士が接合することによって封止された第1封止部を含み、
前記第1封止部の付け根部分は、前記外装体において、第1面と第2面との境界に形成されている
請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【請求項7】
蓄電デバイスの外装体として用いられる蓋体であって、
前記蓄電デバイスは、
電極体と、
前記電極体と電気的に接続される電極端子と、
開口部を有するように前記電極体に巻き付けられるフィルム状の外装部材と、
前記電極端子が取り付けられ、前記外装体の前記開口部に嵌め込まれる前記蓋体と、を備え、
前記蓋体は、前記電極端子が挿入される貫通孔を有する
蓋体。
【請求項8】
蓄電デバイスの外装体として用いられる蓋体を含む蓋ユニットであって、
前記蓄電デバイスは、
電極体と、
前記電極体と電気的に接続される電極端子と、
開口部を有するように前記電極体に巻き付けられるフィルム状の外装部材と、
前記電極端子が取り付けられ、前記外装部材の前記開口部に嵌め込まれる前記蓋体と、を備え、
前記蓋ユニットは、
前記電極端子が挿入される貫通孔を有する前記蓋体と、
前記貫通孔に挿入された前記電極端子と、を備える
蓋ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電デバイス、及び、蓄電デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第4509242号(特許文献1)は、二次電池を開示する。この二次電池においては、ラミネートフィルムによって構成された袋体内に電極体が封止されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている二次電池においては、面積の大きい面上にラミネートフィルムのシール部が設けられている。シール部は、フィルムが重なった領域であるため、他の領域と比較して分厚い。シール部が設けられた面上に他の二次電池が積み重ねられると、上方の二次電池がシール部を支点に傾き得る。その結果、下方の二次電池に掛かる圧力の分布のムラが大きくなる。また、シール部が設けられた面が隣接する二次電池に接するように複数の二次電池が横方向に並べられた場合にも、隣接する二次電池から掛かる圧力の分布のムラが大きくなる。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、複数の蓄電デバイスを重ねた場合に隣接する蓄電デバイスに掛かる圧力の分布のムラを抑制可能な蓄電デバイス及び該蓄電デバイスの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある局面に従う蓄電デバイスは、電極体と、外装体とを備える。外装体は、電極体を封止する。外装体は、フィルム状の外装部材によって構成されている。外装体は、外装部材が電極体に巻き付けられた状態で互いに向き合う面同士が接合することによって封止された第1封止部を含む。第1封止部の付け根部分は、外装体において、第1面と第2面との境界に形成されている。第1面の面積は、第2面の面積よりも大きい。第1封止部は、平面視において、前記第1面と重なっていない。
【0007】
この蓄電デバイスにおいては、第1封止部が、平面視において、面積の大きい第1面と重なっていない。すなわち、面積の大きい第1面上には第1封止部が存在しない。したがって、第1面に他の蓄電デバイスが上又は横に並べて配置されたとしても該他の蓄電デバイスは傾かない。その結果、この蓄電デバイスによれば、複数の蓄電デバイスを重ねた場合に隣接する蓄電デバイスに掛かる圧力の分布のムラを抑制することができる。また、この蓄電デバイスにおいては、第1封止部の付け根部分が外装体の第1面と第2面との境界上にある。したがって、この蓄電デバイスによれば、第1封止部を第2面上に納まらせる場合に、第1封止部の付け根部分が第2面上にあるときと比較して、第1封止部における接合幅を広く確保することができる。
【0008】
上記蓄電デバイスにおいて、第1封止部は、第2面に接するように折り曲げられていてもよい。
【0009】
上記蓄電デバイスにおいて、第1封止部は、第2面に接するように折り曲げられた状態で、第2面の略全体を覆ってもよい。
【0010】
この蓄電デバイスによれば、第1封止部が第2面の略全体を覆うことによって、第1封止部における接合幅を広く確保することができる。
【0011】
上記蓄電デバイスは、電極体と電気的に接続された電極端子をさらに備え、外装体は、電極端子を挟んだ状態で封止された第2封止部をさらに含み、電極端子の一部分は、外装体の外側にあり、上記一部分の付け根部分は、蓄電デバイスの厚み方向において、蓄電デバイスの厚みの略半分の位置にあってもよい。
【0012】
この蓄電デバイスにおいては、電極端子のうち外装体の外側にある一部分が、蓄電デバイスの厚み方向において、蓄電デバイスの厚みの略半分の位置にある。したがって、この蓄電デバイスによれば、たとえば、該一部分が蓄電デバイスの厚み方向において上記第1面と略同じ位置にある場合と比較して、電極体に含まれる複数の電極の各々と電極端子との間の距離のうち最も長い距離と最も短い距離との差を小さくすることができる。
【0013】
上記蓄電デバイスにおいて、第1封止部においては、上記面同士の接合力が強い領域と、上記面同士の接合力が弱い領域とが上記境界に沿って並んでいてもよい。
【0014】
上記蓄電デバイスにおいて、第1封止部においては、厚みが薄い領域と、厚みが厚い領域とが上記境界に沿って並んでいてもよい。
【0015】
上記蓄電デバイスにおいて、電極体と電気的に接続された電極端子をさらに備え、第1封止部は、電極端子を挟んだ状態で封止されていてもよい。
【0016】
上記蓄電デバイスにおいて、電極体と電気的に接続された電極端子と、電極端子が取り付けられた蓋体と、をさらに備え、外装体は、蓋体と接合された状態で封止された第2封止部をさらに含んでいてもよい。
【0017】
上記蓄電デバイスにおいて、蓋体は、電極体と面する第1面、及び、第1面と反対側の第2面を含み、第2封止部は、外装体と第2面とが接合される部分を含んでいてもよい。
【0018】
上記蓄電デバイスにおいて、蓋体をさらに備え、外装体は、蓋体と接合された状態で封止された第2封止部をさらに含み、蓋体は、表面に金属層が露出した部分、又は、金属材料によって構成される部分である金属部を含み、金属部と電極体とが溶接されていてもよい。
【0019】
上記蓄電デバイスにおいて、電極体と電気的に接続された電極端子をさらに備え、外装体は、外方に突出する張出部、及び、張出部によって電極端子を挟んだ状態で封止された第2封止部をさらに含んでいてもよい。
【0020】
上記蓄電デバイスにおいて、上記境界に沿う方向は、外装部材の流れ方向に直交する方向であってもよい。
【0021】
この蓄電デバイスにおいては、第1封止部が上記境界に沿って折り曲げられる場合に、上記境界に沿う方向が外装部材の流れ方向に直交する方向である。したがって、この蓄電デバイスによれば、外装部材の流れ方向に直交する方向に折り目が形成されても外装部材は破断しにくいため、第1封止部が折り曲げられることによって第1封止部が破断する可能性を低減することができる。
【0022】
本発明の他の局面に従う蓄電デバイスは、電極体と、電極体と電気的に接続された電極端子と、電極体を封止する外装体とを備える。外装体は、フィルム状の外装部材によって構成されており、平面視において、長辺及び短辺を含む。電極端子は、長辺に沿うように配置される。
【0023】
本発明の他の局面に従う蓄電デバイスは、電極体と、外装体とを備える。外装体は、電極体を封止する。外装体は、外装部材がフィルム状の外装部材によって構成されている。外装体は、電極体に巻き付けられた状態で互いに向き合う面の周縁同士が接合した片部を含む。片部の付け根部分は、外装体において、面と面との境界に形成されている。片部内には、上記互いに向き合う面同士が接合していない空間が形成されている。片部においては、上記境界近傍に、上記互いに向き合う面同士が接合した領域と、上記互いに向き合う面同士が接合していない領域とが並んでいる。
【0024】
外装体内ではガスが発生し得る。この蓄電デバイスにおいては、片部内に空間が形成されており、上記境界近傍に、上記互いに向き合う面同士が接合した領域と、上記互いに向き合う面同士が接合していない領域とが並んでいる。したがって、この蓄電デバイスによれば、片部において外装体の封止状態を解除することによって、片部を介して外装体内のガスを排出することができる。そして、再び外装体を封止することによって、ガス抜き後の蓄電デバイスを製造することができる。
【0025】
本発明の他の局面に従う蓄電デバイスの製造方法は、未完成品から蓄電デバイスを製造する製造方法である。未完成品は、電極体と、外装体とを備える。外装体は、電極体を封止する。外装体は、フィルム状の外装部材によって構成されている。外装体は、外装部材が電極体に巻き付けられた状態で互いに向き合う面の周縁同士が接合した片部を含む。片部の付け根部分は、外装体において、面と面との境界に形成されている。片部内には、上記互いに向き合う面同士が接合していない空間が形成されている。片部においては、上記境界近傍に、上記互いに向き合う面同士が接合した領域と、上記互いに向き合う面同士が接合していない領域とが並んでいる。上記製造方法は、片部において外装体の封止状態を解除して、ガスを前記外装体の外部へ排出するステップと、片部の少なくとも一部分において、上記互いに向き合う面同士を接合することによって外装体を再び封止するステップとを含む。
【0026】
この蓄電デバイスの製造方法によれば、片部を介してガスを排出し、再び外装体を封止することによって、ガス抜き後の蓄電デバイスを製造することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、複数の蓄電デバイスを積み重ねた場合に下方の蓄電デバイスに掛かる圧力の分布のムラを抑制可能な蓄電デバイス及び該蓄電デバイスの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施の形態1に従う蓄電デバイスを模式的に示す斜視図である。
【
図4】実施の形態1に従う蓄電デバイスの製造途中において、電極体に外装部材が巻き付けられた状態を側方から示す図である。
【
図5】実施の形態1に従う蓄電デバイスの製造途中において、電極体に外装部材が巻き付けられた状態を下方から示す図である。
【
図6】
図2のVI-VI断面の一部を模式的に示す図である。
【
図7】第2封止部の形成方法を説明するための図である。
【
図8】実施の形態1に従う蓄電デバイスの製造手順を示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態2に従う蓄電デバイスを模式的に示す平面図である。
【
図10】蓄電デバイスを模式的に示す側面図である。
【
図12】蓋体と電極端子とが一体的に形成された第1の例を示す図である。
【
図13】蓋体と電極端子とが一体的に形成された第2の例を示す図である。
【
図14】実施の形態2に従う蓄電デバイスの製造手順を示すフローチャートである。
【
図15】実施の形態2に従う蓄電デバイスの別の製造手順を示すフローチャートである。
【
図16】実施の形態3において、電極体に外装部材が巻き付けられた状態を側方から示す図である。
【
図17】実施の形態3において、電極体に外装部材が巻き付けられ、外装部材に蓋体が取り付けられた状態を下方から示す図である。
【
図18】実施の形態3に従う蓄電デバイスの製造手順を示すフローチャートである。
【
図19】実施の形態4に従う蓄電デバイスを模式的に示す平面図である。
【
図20】実施の形態4に従う蓄電デバイスを模式的に示す側面図である。
【
図21】変形例において、電極体に外装部材が巻き付けられた状態を側方から示す図である。
【
図22】変形例の蓄電デバイスを模式的に示す斜視図である。
【
図23】変形例の蓋体及び蓋体に取り付けられる電極端子を模式的に示す斜視図である。
【
図24】
図23の蓋体が取り付けられた蓄電デバイスを模式的に示す斜視図である。
【
図25】別の変形例の蓋体を模式的に示す正面図である。
【
図26】さらに別の変形例の蓋体を模式的に示す正面図である。
【
図27】別の変形例の蓄電デバイスを模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0030】
[1.実施の形態1]
<1-1.蓄電デバイスの構成>
図1は、本実施の形態1に従う蓄電デバイス10を模式的に示す斜視図である。
図2は、蓄電デバイス10を模式的に示す平面図である。
図3は、蓄電デバイス10を模式的に示す側面図である。なお、
図2及び
図3の各々において、矢印UD方向は蓄電デバイス10の厚み方向を示し、矢印LR方向は蓄電デバイス10の幅方向を示す。また、矢印FB方向は、蓄電デバイス10の奥行方向を示す。矢印UDLRFBの各々が示す方向は、以後の各図においても共通である。
【0031】
図1、
図2及び
図3を参照して、蓄電デバイス10は、電極体200と、外装体100と、複数(2つ)の電極端子300とを含んでいる。電極体200は、リチウムイオン電池、キャパシタ又は全固体電池等の蓄電部材を構成する電極(正極及び負極)及びセパレータ等を含む。電極体200の形状は、略直方体である。なお、「略直方体」は、完全な直方体の他に、たとえば、外面の一部の形状を修正することによって直方体とみなせるような立体を含む意味である。
【0032】
電極端子300は、電極体200における電力の入出力に用いられる金属端子である。電極端子300の一方の端部は電極体200に含まれる電極(正極又は負極)に電気的に接続されており、他方の端部は外装体100の端縁から外側に突出している。
【0033】
電極端子300を構成する金属材料は、たとえば、アルミニウム、ニッケル、銅等である。たとえば、電極体200がリチウムイオン電池である場合、正極に接続される電極端子300は、通常、アルミニウム等によって構成され、負極に接続される電極端子300は、通常、銅、ニッケル等によって構成される。
【0034】
外装体100は、フィルム状の外装部材101(
図4等)で構成されており、電極体200を封止する。蓄電デバイス10においては、外装部材101を電極体200に巻き付け、開放部分を封止することによって、外装体100が形成されている。
【0035】
たとえば、冷間成形を通じて外装部材101に電極体200を収容する収容部(窪み)を形成する方法がある。しかしながら、このような方法によって深い収容部を形成することは必ずしも容易ではない。冷間成形によって収納部(窪み)を深く(たとえば成形深さ15mm)形成しようとすると外装部材にピンホールやクラックが発生し電池性能の低下を招く可能性が高くなる。一方、外装体100は、外装部材101を電極体200に巻き付けることによって電極体200を封止しているため、電極体200の厚みに拘わらず容易に電極体200を封止することができる。なお、蓄電デバイス10の体積エネルギー密度を向上させるべく電極体200と外装部材101との間のデッドスペースを削減するためには、外装部材101が電極体200の外表面に接するように巻き付けられた状態が好ましい。また、全固体電池においては、電池性能を発揮させるために高い圧力を電池外面から均一に掛けることが必要とされている観点からも電極体200と外装部材101との間の空間を無くすことが必要とされるため、外装部材101が電極体200の外表面に接するように巻き付けられた状態が好ましい。
【0036】
外装部材101は、たとえば、基材層、バリア層及び熱融着性樹脂層をこの順に有する積層体(ラミネートフィルム)である。なお、外装部材101には、これらの層がすべて含まれている必要はなく、たとえば、バリア層が含まれていなくてもよい。すなわち、外装部材101は、フレキシブル性を有し曲げやすい材料で構成されていればよく、たとえば、樹脂フィルムで構成されていてもよい。なお、外装部材101は、ヒートシール可能であることが好ましい。
【0037】
外装部材101に含まれる基材層は、耐熱性を外装部材101に付与し、加工又は流通の際に起こり得るピンホールの発生を抑制するための層である。基材層は、たとえば、延伸ポリエステル樹脂層及び延伸ポリアミド樹脂層の少なくとも一層を含んで構成される。たとえば、基材層が延伸ポリエステル樹脂層及び延伸ポリアミド樹脂層の少なくとも一層を含むことにより、外装部材101の加工時にバリア層を保護し、外装部材101の破断を抑制することができる。また、外装部材101の引張伸びを大きくする観点から、延伸ポリエステル樹脂層は二軸延伸ポリエステル樹脂層であることが好ましく、延伸ポリアミド樹脂層は二軸延伸ポリアミド樹脂層であることが好ましい。さらに、突刺強度又は衝撃強度に優れる点から、延伸ポリエステル樹脂層は二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムであることがより好ましく、延伸ポリアミド樹脂層は二軸延伸ナイロン(ONy)フィルムであることがより好ましい。なお、基材層は、延伸ポリエステル樹脂層及び延伸ポリアミド樹脂層の両層を含んで構成されていてもよい。基材層の厚さは、フィルム強度の点から、たとえば5~300μmであることが好ましく、20~150μmであることがより好ましい。
【0038】
また、外装部材101に含まれるバリア層は、防湿性、延展性等の加工性及びコストの面から、たとえばアルミニウム箔から構成される。アルミニウム箔は、電極体200を包装する際の包装適性及び耐ピンホール性の観点から、鉄を含むことが好ましい。アルミニウム箔中の鉄の含有量としては、0.5~5.0質量%であることが好ましく、0.7~2.0質量%であることがより好ましい。鉄の含有量が0.5質量%以上であることにより、外装部材101の包装適性、優れた耐ピンホール性及び延展性が得られる。また、鉄の含有量が5.0質量%以下であることにより、外装部材101の優れた柔軟性が得られる。
【0039】
バリア層の厚さは、バリア性、耐ピンホール性及び包装適性の点から、たとえば15~100μmであることが好ましく、30~80μmであることがより好ましい。バリア層の厚さが15μm以上であることによって、包装加工により応力がかかっても外装部材101が破断しにくくなる。バリア層の厚さが100μm以下であることにより、外装部材101の質量増加を低減でき、蓄電デバイス10の重量エネルギー密度低下を抑制することができる。
【0040】
また、バリア層がアルミニウム箔の場合は、溶解や腐食の防止などのために、少なくとも基材層と反対側の面に耐腐食性皮膜を備えていることが好ましい。バリア層は、耐腐食性皮膜を両面に備えていてもよい。ここで、耐腐食性皮膜とは、たとえば、ベーマイト処理などの熱水変成処理、化成処理、陽極酸化処理、ニッケルやクロムなどのメッキ処理、コーティング剤を塗工する腐食防止処理をバリア層の表面に行ない、バリア層に耐腐食性(たとえば耐酸性、耐アルカリ性など)を備えさせる薄膜をいう。耐腐食性皮膜は、具体的には、バリア層の耐酸性を向上させる皮膜(耐酸性皮膜)、バリア層の耐アルカリ性を向上させる皮膜(耐アルカリ性皮膜)などを意味している。耐腐食性皮膜を形成する処理としては、1種類を行なってもよいし、2種類以上を組み合わせて行なってもよい。また、1層だけではなく多層化することもできる。さらに、これらの処理のうち、熱水変成処理及び陽極酸化処理は、処理剤によって金属箔表面を溶解させ、耐腐食性に優れる金属化合物を形成させる処理である。なお、これらの処理は、化成処理の定義に包含される場合もある。また、バリア層が耐腐食性皮膜を備えている場合、耐腐食性皮膜を含めてバリア層とする。
【0041】
耐腐食性皮膜は、外装部材101の成形時において、バリア層(たとえば、アルミニウム合金箔)と基材層との間のデラミネーション防止、電解質と水分とによる反応で生成するフッ化水素により、バリア層表面の溶解、腐食、特にバリア層がアルミニウム合金箔である場合にバリア層表面に存在する酸化アルミニウムが溶解、腐食することを防止し、かつ、バリア層表面の接着性(濡れ性)を向上させ、ヒートシール時の基材層とバリア層とのデラミネーション防止、成形時の基材層とバリア層とのデラミネーション防止の効果を示す。
【0042】
また、外装部材101に含まれる熱融着性樹脂層は、外装部材101にヒートシールによる封止性を付与する層である。熱融着性樹脂層としては、ポリオレフィン系樹脂又はポリオレフィン系樹脂を無水マレイン酸等の酸でグラフト変性させた酸変性ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂フィルムが挙げられる。熱融着性樹脂層の厚さは、シール性及び強度の点から、たとえば20~300μmであることが好ましく、40~150μmであることがより好ましい。
【0043】
外装部材101は、熱融着性樹脂層よりも外側に、より好ましくは、バリア層よりも外側に1又は複数の緩衝機能を有する層(以下では、「緩衝層」という)を有していることが好ましい。緩衝層は、基材層の外側に積層されてもよく、基材層が緩衝層の機能を兼ね備えてもよい。外装部材101が複数の緩衝層を有する場合、複数の緩衝層は、隣接していてもよく、基材層又はバリア層等を介して積層されてもよい。
【0044】
緩衝層を構成する材料は、クッション性を有する材料から任意に選択可能である。クッション性を有する材料は、たとえば、ゴム、不織布、又は、発泡シートである。ゴムは、たとえば、天然ゴム、フッ素ゴム、又は、シリコンゴムである。ゴム硬度は、20~90程度であることが好ましい。不織布を構成する材料は、耐熱性に優れる材料であることが好ましい。緩衝層が不織布によって構成される場合、緩衝層の厚さの下限値は、好ましくは、100μm、さらに好ましくは、200μm、さらに好ましくは、1000μmである。緩衝層が不織布によって構成される場合、緩衝層の厚さの上限値は、好ましくは、5000μm、さらに好ましくは、3000μmである。緩衝層の厚さの好ましい範囲は、100μm~5000μm、100μm~3000μm、200μm~3000μm、1000μm~5000μm、又は、1000μm~3000μmである。この中でも、緩衝層の厚さの範囲は、1000μm~3000μmが最も好ましい。
【0045】
緩衝層がゴムによって構成される場合、緩衝層の厚さの下限値は、好ましくは、0.5mmである。緩衝層がゴムによって構成される場合、緩衝層の厚さの上限値は、好ましくは、10mm、さらに好ましくは、5mm、さらに好ましくは、2mmである。緩衝層がゴムによって構成される場合、緩衝層の厚さの好ましい範囲は、0.5mm~10mm、0.5mm~5mm、又は、0.5mm~2mmである。
【0046】
外装部材101が緩衝層を有する場合、緩衝層がクッションとして機能するため、蓄電デバイス10が落下したときの衝撃、又は、蓄電デバイス10の製造時のハンドリングによって、外装部材101が破損することが抑制される。
【0047】
図4は、蓄電デバイス10の製造途中において、電極体200に外装部材101が巻き付けられた状態を側方から示す図である。
図4に示されるように、電極体200の周囲には、外装部材101が巻き付けられている。この場合に、電極体200の最外層は、必ずしも電極である必要はなく、たとえば、保護テープやセパレータであってもよい。電極体200の周囲に外装部材101が巻き付けられた状態で、外装部材101の互いに向き合う面(熱融着性樹脂層)同士がヒートシールされることによって、第1封止部110が形成されている。
【0048】
第1封止部110の付け根部分は、外装体100の辺135上にある。辺135は、第1面130と、第1面130よりも面積が小さい第2面140との境界に形成されている。すなわち、第1封止部110の付け根部分は、第1面130と第2面140との境界に形成されているといえ、第1面130及び第2面140のいずれの上にも存在しないといえる。蓄電デバイス10において、第1封止部110は、辺135を中心として第2面140側に折り曲げられている。蓄電デバイス10においては、第1封止部110が、第2面140に接し、第2面140の略全体を覆っている。なお、「第2面140の略全体」とは、第2面140のうち75%以上の面積を占める領域を意味する。
【0049】
すなわち、蓄電デバイス10においては、面積の大きい第1面130上に第1封止部110が形成されていない。第1面130は、第1面130に第1封止部110のような封止部が接している場合と比較して平坦である。したがって、第1面130上に他の蓄電デバイス10が載置されたとしても該他の蓄電デバイス10は傾かない。その結果、蓄電デバイス10によれば、複数の蓄電デバイス10を積み重ねた場合に下方の蓄電デバイス10に掛かる圧力の分布のムラを抑制することができる。換言すると、複数の蓄電デバイス10を積み重ねてモジュールが形成される場合に、隣接する蓄電デバイス10と隣り合う面(第1面130)上には第1封止部110が配置されないということもできる。また、全固体電池においては、電池性能を発揮させるために高い圧力を電池外面から均一に掛けることが必要とされている観点からもこのような構成が好ましい。
【0050】
また、蓄電デバイス10においては、第1封止部110の付け根部分が外装体100の辺135上にある。したがって、蓄電デバイス10によれば、第1封止部110の付け根部分が第2面140上(たとえば、矢印UD方向において、第2面140の中央部分)にあるときと比較して、第1封止部110における接合領域を広く確保することができる。なお、第1封止部110の接合領域は、必ずしも第1封止部110の全領域である必要はなく、たとえば、第1封止部110の付け根部分近傍のみ等の第1封止部110の一部分であってもよい。
【0051】
また、蓄電デバイス10においては、第2面140の略全体が第1封止部110によって覆われている。すなわち、蓄電デバイス10においては、たとえば、第1封止部110が第2面140の半分以下の領域しか覆わない場合と比較して、第1封止部110の矢印UD方向の長さが長い(
図3参照)。したがって、蓄電デバイス10によれば、第1封止部110における接合領域を広く確保することができる。また、第2面140の略全体が第1封止部110によって覆われているため、仮に第2面140が載置面に接するように蓄電デバイス10が立てて配置されたとしても蓄電デバイス10は安定する。すなわち、蓄電デバイス10は載置面に対して傾きにくい。したがって、このような構成は、たとえば、複数の蓄電デバイス10を横に並べてモジュールを形成する場合に有効である。
【0052】
図5は、蓄電デバイス10の製造途中において、電極体200に外装部材101が巻き付けられた状態を下方から示す図である。
図5に示されるように、蓄電デバイス10においては、辺135に沿う方向が外装部材101のTD(Transverse Direction)であり、辺135に直交する方向が外装部材101のMD(Machine Direction)である。すなわち、辺135に沿う方向は、外装部材101の流れ方向(MD)に直交する方向(TD)である。
【0053】
蓄電デバイス10においては、第1封止部110が辺135に沿って折り曲げられ、辺135に沿う方向が外装部材101の流れ方向に直交する方向である。したがって、蓄電デバイス10によれば、外装部材101の流れ方向に直交する方向に折り目が形成されても外装部材101は破断しにくいため、第1封止部110が折り曲げられることによって第1封止部110が破断する可能性を低減することができる。
【0054】
外装部材101の流れ方向(MD)は、外装部材101に含まれるバリア層の金属箔(アルミニウム合金箔等)の圧延方向(RD)に対応する。外装部材101のTDは金属箔のTDに対応する。金属箔の圧延方向(RD)は圧延目により判別できる。
【0055】
また、外装部材101の熱融着性樹脂層の複数の断面を電子顕微鏡で観察して海島構造を確認し、熱融着性樹脂層の厚み方向に垂直な方向(以下、「熱融着性樹脂層の長さ方向」とも称する。)の島の径の平均が最大であった断面と平行な方向をMDと判断することができる。金属箔の圧延目により外装部材101のMDを特定できない場合に、この方法によりMDを特定することができる。
【0056】
具体的には、熱融着性樹脂層の長さ方向の断面と、当該長さ方向の断面と平行な方向から10度ずつ角度を変更し、長さ方向の断面と垂直な方向までの各断面(合計10の断面)について、それぞれ電子顕微鏡写真で観察して海島構造を確認する。次に、各断面上の個々の島について、熱融着性樹脂層の厚み方向に垂直な方向の両端を結ぶ直線距離によって島の径dを計測する。次に、断面毎に、大きい方から上位20個の島の径dの平均を算出する。そして、島の径dの平均が最も大きかった断面と平行な方向をMDと判断する。
【0057】
図6は、
図2のVI-VI断面の一部を模式的に示す図である。
図6に示されるように、第2封止部120は、外装体100が電極端子300を挟んだ状態で封止されている。
【0058】
図7は、第2封止部120の形成方法を説明するための図である。
図7に示されるように外装部材101が折り畳まれ、外装部材101の互いに向き合う面(熱融着性樹脂層)同士がヒートシールされることによって第2封止部120が形成される。なお、
図7においては省略されているが、外装部材101の互いに向き合う面の間には、電極端子300が位置する。なお、電極端子300と外装部材101との間には、金属及び樹脂の双方と接着する接着性フィルムが配置されてもよい。
【0059】
再び
図6を参照して、電極体200は、複数の電極210(正極及び負極)を含む。各電極210から延びる集電体215は、電極端子300に接続されている。蓄電デバイス10においては、電極端子300のうち外装体100の外側にある一部分が、蓄電デバイス10の厚み方向において、蓄電デバイス10の厚みの略半分の位置にある。すなわち、長さL2は長さL1の略半分である。なお、「蓄電デバイス10の厚みの略半分」とは、蓄電デバイス10の厚みの35%~65%を意味する。
【0060】
したがって、蓄電デバイス10によれば、たとえば、電極端子300が蓄電デバイス10の厚み方向において第1面130と略同じ位置にある場合と比較して、複数の電極210の各々と電極端子300との間の距離のうち最も長い距離と最も短い距離との差を小さくすることができる。
【0061】
<1-2.蓄電デイバスの製造方法>
図8は、蓄電デバイス10の製造手順を示すフローチャートである。
図8に示される工程は、たとえば、蓄電デバイス10の製造装置によって行なわれる。
【0062】
製造装置は、電極体200へ外装部材101を巻き付ける(ステップS100)。製造装置は、外装部材101の互いに向き合う面(熱融着性樹脂層)同士をヒートシールすることによって第1封止部110を形成する(ステップS110)。これにより、
図4、
図5に示される未完成品が出来上がる。
【0063】
製造装置は、第1封止部110が第2面140に接するように第1封止部110を折り曲げる(ステップS120)。製造装置は、電極体200を収納した状態で外装部材101を折り畳み、外装部材101の互いに向き合う面(熱融着性樹脂層)同士をヒートシールすることによって第2封止部120を形成する(ステップS130)。これにより、蓄電デバイス10が完成する。
【0064】
<1-3.特徴>
以上のように、本実施の形態1に従う蓄電デバイス10においては、面積の小さい第2面140側に第1封止部110が折り曲げられている。すなわち、面積の大きい第1面130上には第1封止部110が存在しない。したがって、第1面130上に他の蓄電デバイス10が載置されたとしても該他の蓄電デバイス10は傾かない。その結果、蓄電デバイス10によれば、複数の蓄電デバイス10を積み重ねた場合に下方の蓄電デバイス10に掛かる圧力の分布のムラを抑制することができる。また、全固体電池に使用される場合には、電池性能を発揮させるために高い圧力を電池外面から均一に掛けることが必要とされるため、本発明の包装形態が好ましい。また、蓄電デバイス10においては、第1封止部110の付け根部分が外装体100の辺135上にある。したがって、蓄電デバイス10によれば、第1封止部110を第2面140上に納まらせる場合に、第1封止部110の付け根部分が第2面140上にあるときと比較して、第1封止部110における接合幅を広く確保することができる。
【0065】
[2.実施の形態2]
上記実施の形態1に従う蓄電デバイス10においては、外装部材101を折り畳み、外装部材101の互いに向き合う面同士をヒートシールすることによって第2封止部120が形成された。しかしながら、第2封止部120の形状及び形成方法はこれに限定されない。なお、以下では実施の形態1と異なる部分を中心に説明し、実施の形態1と共通する部分については説明を省略する。
【0066】
<2-1.蓄電デバイスの構成>
図9は、本実施の形態2に従う蓄電デバイス10Xを模式的に示す平面図である。
図10は、蓄電デバイス10Xを模式的に示す側面図である。
図11は、蓋体400を模式的に示す斜視図である。
【0067】
図9、
図10及び
図11を参照して、外装体100Xは、電極体200に巻き付けられた外装部材101の両端の開口部の各々に蓋体400を嵌め込むことによって構成されている。蓋体400が嵌め込まれた状態で、外装部材101と蓋体400とをヒートシールすることによって第2封止部120Xが形成されている。
【0068】
蓋体400は、平面視矩形状の有底トレイ状部材であり、外装部材101をたとえば冷間成形することによって形成されている。なお、蓋体400は、必ずしも外装部材101で構成されている必要はなく、金属成形品であってもよいし、樹脂成形品であってもよい。蓄電デバイス10Xにおいては、蓋体400の底面側が外装体100Xの内側に位置するように蓋体400が配置されている。なお、蓄電デバイス10Xにおいては、必ずしも蓋体400の底面側が外装体100Xの内側に位置していなくてもよい。蓄電デバイス10Xにおいて、蓋体400の底面側が外装体100Xの外側に位置していてもよい。
【0069】
また、電極体200が収納された状態で電極端子300は、蓋体400と外装部材101との間を通って外装体100Xの外部に突出している。すなわち、蓋体400と外装部材101とは、電極端子300を挟んだ状態でヒートシールされている。なお、蓄電デバイス10Xにおいて、電極端子300が外部に突出する位置は、必ずしも蓋体400と外装部材101との間である必要はない。たとえば、電極端子300は、外装体100Xが有する6面のうちいずれかの面に形成された孔から外部に突出していてもよい。この場合には、外装体100Xと電極端子300との間の僅かな隙間が、たとえば、樹脂によって埋められる。
【0070】
また、蓄電デバイス10Xにおいては、蓋体400と電極端子300とが別体として設けられている。しかしながら、蓋体400と電極端子300とは必ずしも別体として設けられなくてもよい。例えば、蓋体400と電極端子300とは一体的に形成されていてもよい。
【0071】
図12は、蓋体400と電極端子300とが一体的に形成された第1の例を示す図である。
図12に示されるように、第1の例においては、蓋体400の側面に電極端子300が予めヒートシールされている。なお、たとえば蓋体400が外装部材101で構成されている場合には、蓋体400と電極端子300との間に、金属及び樹脂の双方と接着する接着性フィルムが配置されてもよい。
【0072】
図13は、蓋体400と電極端子300とが一体的に形成された第2の例を示す図である。
図13に示されるように、第2の例においては、蓋体400の底面部分に形成された孔を電極端子300が貫通している。蓋体400の底面の孔における僅かな隙間は、たとえば、樹脂によって埋められている。
【0073】
また、蓄電デバイス10Xにおいては、第2封止部120X、又は、外装体100Xが有する6面のうちいずれかの面に形成された孔にガス弁が取り付けられていてもよい。ガス弁は、たとえば、逆止弁又は破壊弁で構成され、蓄電デバイス10Xの内部において発生したガスに起因して外装体100Xの内部の圧力が上昇した場合に該圧力を低下させるように構成されている。
【0074】
<2-2.蓄電デバイスの製造方法>
図14は、蓄電デバイス10Xの製造手順を示すフローチャートである。
図14に示される工程は、たとえば、蓄電デバイス10Xの製造装置によって行なわれる。
【0075】
製造装置は、電極体200へ外装部材101を巻き付ける(ステップS200)。製造装置は、外装部材101の互いに向き合う面(熱融着性樹脂層)同士をヒートシールすることによって第1封止部110を形成する(ステップS210)。これにより、
図4、
図5に示される未完成品が出来上がる。
【0076】
製造装置は、第1封止部110が第2面140に接するように第1封止部110を折り曲げる(ステップS220)。製造装置は、ステップS220において出来上がった未完成品に電極体200を収納しその両端の開口部の各々に蓋体400を取り付ける(ステップS230)。製造装置は、外装部材101と蓋体400とをヒートシールすることによって第2封止部120Xを形成する(ステップS240)。これにより、蓄電デバイス10Xが完成する。
【0077】
<2-3.特徴>
本実施の形態2に従う蓄電デバイス10Xにおいても、面積の小さい第2面140側に第1封止部110が折り曲げられている。したがって、蓄電デバイス10Xによれば、複数の蓄電デバイス10Xを積み重ねた場合に下方の蓄電デバイス10Xに掛かる圧力の分布のムラを抑制することができる。
【0078】
<2-4.他の特徴>
なお、本実施の形態2に従う蓄電デバイス10Xにおいて、第1封止部110は、必ずしも面積の小さい第2面140側に折り曲げられていなくてもよい。たとえば、第1封止部110は、面積の大きい第1面130側に折り曲げられていてもよい。また、第1封止部110の付け根部分は、必ずしも外装体100Xの辺135上になくてもよい。第1封止部110の付け根部分は、たとえば、外装体100Xにおける蓋体400以外の面上に位置していてもよい。この場合であっても、本実施の形態2に従う蓄電デバイス10Xには、たとえば、以下のような特徴が含まれている。
【0079】
蓄電デバイス10Xは、電極体(電極体200)と、電極体(電極体200)を封止する外装体(外装体100X)とを備え、外装体(外装体100X)は、電極体(電極体200)に巻き付けられており、両端部に開口が形成された外装部材(外装部材101)と、上記開口を封止する蓋体(蓋体400)とを備える。
【0080】
蓄電デバイス10Xにおいては、実施の形態1のように外装部材101の互いに向き合う面同士がヒートシールされることによって第2封止部120Xが形成されているわけではない(
図7参照)。蓄電デバイス10Xにおいては、電極体200に巻き付けられた外装部材101の開口が蓋体400によって封止されている。すなわち、蓋体400と外装部材101とが重なる部分に第2封止部120Xが形成されている(
図9及び
図10参照)。このような構成によれば、蓋体400の深さL3(
図11)を調整することで、第2封止部120Xの領域を容易に狭くすることができる。
【0081】
また、蓄電デバイス10Xにおいては、外装部材101のうち電極体200の角C1(
図9及び
図10)を覆う位置において、角C1が外装部材101に突き刺さることによる過度な負荷が生じない。上述のように、蓄電デバイス10Xにおいては、実施の形態1のように外装部材101の互いに向き合う面同士がヒートシールされることによって第2封止部120Xが形成されているわけではないためである。
【0082】
また、蓄電デバイス10Xの製造手順は、
図14のフローチャートに示される手順に限定されない。例えば、
図15のフローチャートに示される手順で蓄電デバイス10Xが製造されてもよい。
【0083】
図15は、実施の形態2に従う蓄電デバイス10Xの別の製造手順を示すフローチャートである。
図15に示される工程は、たとえば、蓄電デバイス10Xの製造装置によって行なわれる。製造装置は、電極端子300と蓋体400とが一体となった部材(例えば、
図12,13に示される部材)を電極体200へ取り付ける(ステップS250)。例えば、電極端子300が電極体200へ溶接される。その後、製造装置は、電極体200へ外装部材101を巻き付ける(ステップS260)。製造装置は、外装部材101の互いに向き合う面(熱融着性樹脂層)同士をヒートシールすることによって第1封止部110を形成するとともに、外装部材101と蓋体400とをヒートシールすることによって第2封止部120Xを形成する(ステップS270)。これによって、蓄電デバイス10Xが完成する。蓄電デバイス10Xは、このような手順によって製造されてもよい。
【0084】
[3.実施の形態3]
電池製造工程の電極体に電解液を浸透させるなどを目的として仮封止状態の蓄電デバイスを所定温度環境で所定時間エージングする工程(以下、エージング工程という)を経ることが一般的であり、エージング工程で電極体200からガスが発生し当該ガスを電池外部に排出することが必要となる。上記実施の形態2に従う蓄電デバイス10Xにおいては、エージング工程で発生したガスを蓄電デバイス10Xの製造の最終段階で抜くための機構が設けられていなかった。本実施の形態3に従う蓄電デバイス10Yにおいては、電極体200から発生したガスを蓄電デバイス10Yの製造の最終段階で抜くための機構が設けられている。なお、以下では実施の形態2と異なる部分を中心に説明し、実施の形態2と共通する部分については説明を省略する。
【0085】
<3-1.蓄電デバイスの構成>
図16は、蓄電デバイス10Yの製造途中において、電極体200に外装部材101Yが巻き付けられた状態を側方から示す図である。
図17は、蓄電デバイス10Yの製造途中において、電極体200に外装部材101Yが巻き付けられ、外装部材101Yに蓋体400が取り付けられた状態を下方から示す図である。
【0086】
図16及び
図17に示されるように、電極体200に外装部材101Yが巻き付けられた状態で、片部150が形成されている。片部150は、電極体200に外装部材101Yが巻き付けられた状態で外装部材101Yの互いに向き合う面同士を接合することによって形成されている。より詳細には、片部150は、外装部材101Yが電極体200に巻き付けられた状態で互いに向き合う面の周縁同士を接合(ヒートシール)することによって形成されている。すなわち、片部150においては、周縁に第1封止部154が形成されている。
【0087】
また、片部150においては、外装部材101Yの互いに向き合う面同士が接合していない空間152が形成されている。辺135の近傍においては、外装部材101Yの互いに向き合う面同士が接合した接合領域151と、外装部材101Yの互いに向き合う面同士が接合していない未接合領域153とが交互に並んでいる。すなわち、片部150においては、辺135に沿って、接合領域151のパターンが形成されている。
【0088】
電極体200から発生したガスは、片部150の一部分を切り取る等して、外装体100Yの封止状態を解除することによって、外装体100Yの外部へ排出される。なお、ここで外装体100Yの外部へ排出されるガスは、必ずしも電極体200から発生したガスに限定されず、空気、水蒸気又は硫化水素等の電極体200から発生したガス以外のガスであってもよい。
【0089】
その後、辺135付近を含む部分を帯状にヒートシールすることによって、再び外装体100Yが封止状態となる。これにより、蓄電デバイス10Yが完成する。完成した蓄電デバイス10Yにおいては、辺135の近傍において、外装部材101Yの互い向き合う面同士の接合力が強い領域と、面同士の接合力が弱い領域とが辺135に沿って交互に並んでいる。換言すると、辺135近傍のヒートシールされた部分においては、薄い部分と厚い部分とが辺135に沿って交互に並んでいる。これは、辺135付近が再度ヒートシールされることによって、未接合領域153は一重シールされることになるが、接合領域151は二重シールされることになるためである。
【0090】
<3-2.蓄電デバイスの製造方法>
図18は、蓄電デバイス10Yの製造手順を示すフローチャートである。
図18に示される工程は、たとえば、蓄電デバイス10Yの製造装置によって行なわれる。
【0091】
製造装置は、電極体200へ外装部材101Yを巻き付ける(ステップS300)。製造装置は、外装部材101Yの互いに向き合う面(熱融着性樹脂層)の周縁同士をヒートシールすることによって第1封止部154を形成する(ステップS310)。製造装置は、辺135の近傍の外装部材101Yの互いに向き合う面同士をヒートシールすることによって接合領域151のパターンを形成する(ステップS320)。
【0092】
製造装置は、ステップS320において出来上がった未完成品に電極体200を収納した状態で両端の開口部の各々に蓋体400を取り付ける(ステップS330)。製造装置は、外装部材101Yと蓋体400とをヒートシールすることによって第2封止部120Xを形成する(ステップS340)。その後、エージング工程を経る。
【0093】
製造装置は、片部150を切り取る等することによってエージング工程で発生したガスのガス抜きを行なう(ステップS350)。製造装置は、片部150の接合領域151を含む部分を帯状にヒートシールするとともに端縁部を除去することによって外装体100Yを再封止する(ステップS360)。その後、片部150が第2面140側に折り曲げられることによって、蓄電デバイス10Yが完成する。
【0094】
<3-3.特徴>
本実施の形態3に従う蓄電デバイス10Yにおいても、面積の小さい第2面140側に第1封止部154を含む片部150が折り曲げられている。したがって、蓄電デバイス10Yによれば、複数の蓄電デバイス10Yを積み重ねた場合に下方の蓄電デバイス10Yに掛かる圧力の分布のムラを抑制することができる。全固体電池に使用される場合には、電池性能を発揮させるために高い圧力を電池外面から均一に掛けることが必要とされるため、本発明の包装形態が好ましい。
【0095】
[4.実施の形態4]
上記実施の形態2に従う蓄電デバイス10Xにおいては、電極端子300が外部に突出する位置は、蓋体400と外装部材101との間であった。しかしながら、電極端子300が外部に突出する位置は、これに限定されない。なお、以下では実施の形態2と異なる部分を中心に説明し、実施の形態2と共通する部分については説明を省略する。
【0096】
<4-1.蓄電デバイスの構成>
図19は、本実施の形態4に従う蓄電デバイス10XAを模式的に示す平面図である。
図20は、蓄電デバイス10XAを模式的に示す側面図である。蓄電デバイス10XAの外装体100Xは、平面視において、一対の長辺100XA、及び、一対の短辺100XBを含む。外装体100Xは、電極体200に巻き付けられた外装部材101の長辺100XAに沿う開口部の各々に蓋体400を嵌め込むことによって構成されている。蓋体400が嵌め込まれた状態で、外装部材101と蓋体400とをヒートシールすることによって第2封止部120Xが形成されている。蓋体400には、貫通孔(図示略)が形成される。2つの電極端子300は、蓋体400の貫通孔から外装体100Xの外部に突出する。2つの電極端子300は、外装体100Xの長辺100XAに沿う形状である。貫通孔と電極端子300との僅かな隙間は、例えば樹脂によって埋められる。本実施の形態4では、第1封止部110は、一対の短辺100XBのうちの一方側に形成される。
【0097】
蓄電デバイス10XAの厚み方向(矢印UD方向)において、蓋体400のうちの電極端子300が突出する位置は、任意に選択可能である。本実施の形態4では、
図20に示されるように、電極端子300は、蓄電デバイス10XAの厚み方向において、蓋体400の概ね中央から外装体100Xの外部に突出する。蓄電デバイス10XAの奥行方向(矢印FB方向)における電極端子300の長さは、任意に選択可能である。本実施の形態4では、蓄電デバイス10XAの奥行方向(矢印FB方向)における電極端子300の長さは、電極体200の長さと実質的に同じである。
【0098】
<4-2.特徴>
本実施の形態4に従う蓄電デバイス10XAでは、奥行方向の長さが長い長辺100XAに沿うように電極端子300が配置されているため、より大きな電極端子300を用いることができる。このため、高出力の蓄電デバイス10XAを提供できる。
【0099】
[5.変形例]
以上、実施の形態1-4について説明したが、本発明は、上記実施の形態1-4に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。以下、変形例について説明する。
【0100】
<5-1>
上記実施の形態1-4において、電極体200には1枚の外装部材が巻き付けられた。しかしながら、電極体200に巻き付けられる外装部材は必ずしも1枚である必要はない。たとえば、電極体200には、2枚以上の外装部材が巻き付けられてもよい。
【0101】
図21は、変形例における蓄電デバイスの製造途中において、電極体200に外装部材101Z1,101Z2が巻き付けられた状態を側方から示す図である。
図21に示されるように、電極体200は、外装部材101Z1,101Z2によって周囲を覆われている。外装部材101Z1,101Z2の対向する面同士が接合することによって第1封止部110Zが形成されている。この例では、各第1封止部110Zが、第1面130Z側ではなく、第2面140Z側に折り曲げられる。このような構成であっても、複数の蓄電デバイスを積み重ねた場合に下方の蓄電デバイスに掛かる圧力の分布のムラを抑制可能という効果を奏することができる。全固体電池に使用される場合には、電池性能を発揮させるために高い圧力を電池外面から均一に掛けることが必要とされるため、本発明の包装形態が好ましい。なお、この例において、各第1封止部110Zは必ずしも折り曲げられる必要はない。また、この変形例において、各封止部110Zは、電極端子300の一部を挟んだ状態で封止されてもよい。さらに、この変形例では、各第1封止部110Zは、辺135Zに形成される必要はなく、蓄電デバイスの厚み方向において、第2面140Zの概ね中央から外部に突出していてもよい。
【0102】
<5-2>
また、上記実施の形態1-4において、電極体200は、複数の電極210を積層することによって構成された所謂スタック型であったが、電極体200の形態はこれに限定されない。電極体200は、たとえば、セパレータを介して正極及び負極を巻回することによって構成された所謂巻回式であってもよい。また、電極体200は、所謂巻回式の電極体を複数積層することによって構成されてもよい。
【0103】
<5-3>
また、上記実施の形態1-4において、第2面140は第1面130から略直角に下方に延びる平面とされた。しかしながら、第2面140の形態はこれに限定されない。たとえば、電極体200が巻回式の電極体であり外周に平面と曲面とが形成されている場合を考える。ここで、平面の面積が曲面の面積よりも大きく、第1面130が電極体の平面を覆い、第2面140が電極体の曲面を覆うとする。この場合には、第2面140が曲面で構成されていてもよい。この場合には、第1面130から第2面140が下方に延びだす境界部分が辺135ということになる。
【0104】
<5-4>
また、上記実施の形態3において、接合領域151は4箇所に形成された。しかしながら、接合領域151が形成される箇所の数はこれに限定されない。たとえば、接合領域151は、辺135に沿った両端近傍の2箇所や、辺135の中央近傍の1箇所にのみ形成されてもよいし、5箇所以上に形成されてもよい。
【0105】
<5-5>
また、上記実施の形態1において、電極端子300は、第2封止部120に配置されたが、外装体100において、電極端子300が配置される位置は、これに限定されない。たとえば、
図22に示されるように、電極端子300は、第1封止部110に配置することもできる。換言すれば、第1封止部110は、電極端子300を挟んだ状態で封止される。この変形例では、2つの電極端子300の少なくとも一方は、第2面140側に折り曲げられてもよく、第2面140と反対側に折り曲げられてもよく、又は、辺135から外方に突出するように折り曲げられていなくてもよい。この変形例では、電極端子300と第1封止部110とを容易にシールできるため、外装体100の密封性が高められる。また、外装体100に電極体200を容易に収容できる。なお、この変形例では、たとえば、上記実施の形態2のように外装部材101の両端の開口部の各々に蓋体400が嵌め込まれる。蓋体400が嵌め込まれた状態で、外装部材101と蓋体400とをヒートシールすることによって第2封止部120が形成される。
【0106】
<5-6>
また、上記実施の形態2において、蓋体400の構成は、任意に変更可能である。
図23は、蓋体400の変形例の蓋体500を示す斜視図である。蓋体500は、たとえば、板状であり、電極体200(
図9参照)と面する第1面500A、及び、第1面500Aと反対側の第2面500Bを含む。蓋体500の中央には、第1面500A及び第2面500Bを貫通する孔500Cが形成される。蓋体500を構成する材料は、例えば、樹脂である。この変形例では、電極端子300のうちの蓋体500と接合される部分を含む所定範囲に電極端子300及び蓋体500の双方と接着する接着フィルム530が取り付けられることが好ましい。蓋体500は、第1部分510と第2部分520とに分割された部材によって構成され、第1部分510及び第2部分520が、電極端子300及び接着フィルム530を挟み込むように接合することによって製造してもよい。また、蓋体500は、接着フィルム530が取り付けられた状態の電極端子300に対して蓋体500をインサート成形することによって製造してもよい。また、この変形例では、蓋体500の表面の少なくとも一部に、バリア層が積層されることが好ましい。又は、蓋体500が複数の層を有する場合、任意の層にバリア層を形成してもよい。バリア層を構成する材料は、たとえば、アルミニウムである。なお、この変形例では、接着フィルム530と孔530Cとの間に隙間が生じる場合、この隙間は、たとえば、ホットメルト等の樹脂材料によって埋められることが好ましい。
【0107】
また、この変形例では、
図24に示されるように、外装体100Xは、蓋体500が嵌め込まれた状態で、外装部材101と蓋体500の第2面500Bとを接合することによって第2封止部120Xが形成される。外装部材101と蓋体500の第2面500Bとの接合手段は、たとえば、ヒートシールである。この変形例では、外装部材101が蓋体500のより広い範囲と接合されるため、外装体100Xの密封性が高められる。
【0108】
図25は、上記実施の形態2における蓋体400の別の変形例の蓋体600の正面図である。蓋体600は、表面に金属が露出した部分である金属部610を含み、金属部610と電極体200の電極210とが溶接される。蓋体600は、全体が金属部610のみで構成されてもよく、金属部610が部分的に形成されてもよい。金属部610が部分的に形成される場合、蓋体600は、金属層を含む多層構造の材料によって構成される。蓋体600が金属層を中間層とする多層構造の材料によって構成される場合、金属部610は、金属層が露出するように、金属層以外の層が部分的に除去された部分である。
図25に示される例では、蓋体600の金属部610が電極端子として機能するため、蓋体600と電極210との間のスペースが不要となる。このため、蓄電デバイス10X(
図9参照)を小型に構成できる。
【0109】
図26は、上記実施の形態2における蓋体400の別の変形例の蓋体700の正面図である。蓋体700は、金属材料によって構成される金属部710、及び、金属部710と繋がり、樹脂材料によって構成される非金属部720を含む。金属部710は、電極体200の電極210と溶接される。
図26に示される例では、蓋体700の金属部710が電極端子として機能するため、蓋体700と電極210との間のスペースが不要となる。このため、蓄電デバイス10X(
図9参照)を小型に構成できる。
【0110】
<5-7>
また、上記実施の形態1において第2封止部120は、外装部材101が折り畳まれ、外装部材101の熱融着性樹脂層同士がヒートシールされることによって形成された。しかしながら、第2封止部120の形成方法は、これに限定されない。
図27は、変形例の第2封止部120Yを有する蓄電デバイス10を模式的に示す平面図である。外装部材101は、外装体100の外方に延ばされた張出部101Xを有し、張出部101Xの熱融着性樹脂層同士がヒートシールされることによって第2封止部120Yが形成される。張出部101Xのうちの電極端子300が配置される部分は、張出部101Xの熱融着性樹脂層と電極端子300とがヒートシールされる。この変形例によれば、第2封止部120Yをより強固にヒートシールできるため、外装体100の密封性が高められる。なお、この変形例では、張出部101Xのうちの電極端子300とヒートシールされている部分以外は、必要に応じで切断されてもよい。なお、この変形例は、
図22に示される変形例にも適用できる。
【符号の説明】
【0111】
10,10X,10XA,10Y,10Z 蓄電デバイス、100,100X、100Y 外装体、101,101Y,101Z1,101Z2 外装部材、101X 張出部、110,110Z,154 第1封止部、120,120X,120Y 第2封止部、130,130Z 第1面、135,135Z 辺、140,140Z 第2面、150 片部、151 接合領域、152 空間、153 未接合領域、200 電極体、210 電極、215 集電体、300 電極端子、500A 第1面、500B 第2面、400,500,700 蓋体、610,710 金属部、C1 角。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体と、
前記電極体と電気的に接続される電極端子と、
前記電極体を封止する外装体と、を備え、
前記外装体は、
開口部を有するように前記電極体に巻き付けられるフィルム状の外装部材と、
前記電極端子が取り付けられ、前記外装部材の前記開口部に嵌め込まれる蓋体と、
前記外装部材が前記電極体に巻き付けられた状態で互いに向き合う面同士が接合することによって封止された第1封止部と、を含み、
前記第1封止部の付け根部分は、前記外装体において、第1面と第2面との境界に形成されており、
前記蓋体は、前記電極端子が挿入される貫通孔を有し、
前記第1封止部は、前記第2面側に折り曲げられている
蓄電デバイス。
【請求項2】
前記第1面の面積は、前記第2面の面積よりも大きい
請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項3】
前記第1封止部は、前記第2面側に折り曲げられた状態で、前記第2面の略全体を覆う
請求項1または2に記載の蓄電デバイス。
【請求項4】
前記外装部材は、バリア層を含み、
前記バリア層は、耐腐食性皮膜を有する
請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【請求項5】
前記バリア層は、アルミニウム箔によって構成され、
前記アルミニウム箔中の鉄の含有量は、0.5質量%以上5.0質量%以下の範囲に含まれる
請求項4に記載の蓄電デバイス。
【請求項6】
前記蓋体は、樹脂成形品又は金属成形品(ただし、フィルムは除く)である
請求項1~5のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【請求項7】
前記蓋体は、板状の部材である
請求項1~5のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【請求項8】
前記蓋体は、平面視矩形状の有底トレイ状部材(ただし、フィルムは除く)である
請求項1~5のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【請求項9】
前記蓋体は、表面に金属層が露出した部分、又は、金属材料によって構成される部分である金属部を含み、
前記金属部と前記電極体とが溶接される
請求項1~8のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。