(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156869
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】がん治療の組み合わせ
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20241029BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241029BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241029BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20241029BHJP
A61K 31/5383 20060101ALI20241029BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20241029BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20241029BHJP
A61K 31/52 20060101ALI20241029BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241029BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241029BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20241029BHJP
C07K 16/40 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
A61K45/06 ZNA
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61K31/519
A61K31/5383
A61K31/4985
A61K31/505
A61K31/52
A61K39/395 N
A61P35/02
C07K16/28
C07K16/40
A61K45/06
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024127673
(22)【出願日】2024-08-02
(62)【分割の表示】P 2022108844の分割
【原出願日】2017-06-27
(31)【優先権主張番号】62/355,171
(32)【優先日】2016-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507127440
【氏名又は名称】ザ・リージエンツ・オブ・ザ・ユニバーシテイー・オブ・カリフオルニア
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ジェイ・キップス
(72)【発明者】
【氏名】リーグワン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ビン・ツゥイ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】がんの治療のための組成物及び方法を提供する。
【解決手段】この方法は、治療が必要な被験体に、治療に有効な量のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)アンタゴニストとROR-1アンタゴニストとを投与することを含む。さらに、BTKアンタゴニストと、ROR-1アンタゴニストと、薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物が提供される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストがイブルチニブであり、ROR-1アンタゴニストがシルムツズマブである。
【選択図】
図17C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする被験体においてがんを治療する方法であって、前記方法が、前記被験体に、治療に有効な量のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)アンタゴニストとチロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR-1)アンタゴニストとを投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記BTKアンタゴニストが低分子である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記BTKアンタゴニストが、イブルチニブ、イデラリシブ、フォスタマチニブ、アカラブルチニブ、ONO/GS-4059、BGB-3111又はCC-292(AVL-292)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記BTKアンタゴニストがイブルチニブである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ROR-1アンタゴニストが、抗体又は低分子である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ROR-1アンタゴニストが、抗ROR-1抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記抗体が、ヒト化重鎖可変領域と、ヒト化軽鎖可変領域とを含み、
前記ヒト化重鎖可変領域が、配列番号1、配列番号2及び配列番号3に示される配列を含み、
前記ヒト化軽鎖可変領域が、配列番号4、配列番号5及び配列番号6に示される配列を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記抗体がシルムツズマブである、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記抗体が、ヒト化重鎖可変領域と、ヒト化軽鎖可変領域とを含み、
前記ヒト化重鎖可変領域が、配列番号7、配列番号8及び配列番号9に示される配列を含み、
前記ヒト化軽鎖可変領域が、配列番号10、配列番号11及び配列番号12に示される配列を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記BTKアンタゴニストと前記ROR-1アンタゴニストが、組み合わせた相乗的な量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記BTKアンタゴニストと前記ROR-1アンタゴニストが、同時に投与されるか、又は順次投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ROR-1アンタゴニストが、第1の時間点に投与され、前記BTKアンタゴニストが、第2の時間点に投与され、前記第1の時間点が、前記第2の時間点より前である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記BTKアンタゴニストと前記ROR-1アンタゴニストが、投与の前に混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記BTKアンタゴニストが、約1mg/kg、2mg/kg、5mg/kg、10mg/kg又は15mg/kgの量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記BTKアンタゴニストが、約5mg/kgの量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記BTKアンタゴニストが、約420mgの量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ROR-1アンタゴニストが、約1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、5mg/kg又は10mg/kgの量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ROR-1アンタゴニストが、約2mg/kgの量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記BTKアンタゴニストが、約5mg/kgの量で投与され、前記ROR-1アンタゴニストが、約2mg/kgで投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記BTKアンタゴニストが、約5mg/kgの量で投与され、前記ROR-1アンタゴニストが、約1mg/kgで投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記BTKアンタゴニストが、毎日、少なくとも14日間にわたって投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記BTKアンタゴニストが、毎日、約28日間にわたって投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記ROR-1アンタゴニストが、約28日間にわたって1回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記BTKアンタゴニストが静脈内投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記ROR-1アンタゴニストが静脈内投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記被験体が哺乳動物である、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記被験体がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記がんが、リンパ腫、白血病、骨髄腫、AML、B-ALL、T-ALL、腎細胞癌腫、結腸がん、結腸直腸がん、乳がん、扁平上皮細胞がん、メラノーマ、胃がん、脳がん、肺がん、膵臓がん、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣がん、甲状腺がん、頭頸部がん、子宮がん、腺がん又は副腎癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記がんが、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、周辺細胞B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫又はB細胞白血病である、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
BTKアンタゴニストと、ROR-1アンタゴニストと、薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項31】
医薬組成物であって、BTKアンタゴニストと、抗ROR-1抗体と、薬学的に許容される賦形剤とを含み、前記BTKアンタゴニストと前記抗ROR-1抗体が、組み合わせた相乗的な量で存在し、前記組み合わせた相乗的な量が、治療を必要とする被験体においてがんを治療するのに有効である、医薬組成物。
【請求項32】
前記BTKアンタゴニストが低分子である、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記BTKアンタゴニストが、イブルチニブ、イデラリシブ、フォスタマチニブ、アカラブルチニブ、ONO/GS-4059、BGB-3111又はCC-292(AVL-292)である、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記BTKアンタゴニストがイブルチニブである、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記ROR-1アンタゴニストが抗体又は低分子である、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記ROR-1アンタゴニストが抗ROR-1抗体である、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記抗体が、ヒト化重鎖可変領域と、ヒト化軽鎖可変領域とを含み、
前記ヒト化重鎖可変領域が、配列番号1、配列番号2及び配列番号3に示される配列を含み、
前記ヒト化軽鎖可変領域が、配列番号4、配列番号5及び配列番号6に示される配列を含む、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記抗体がシルムツズマブである、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記抗体が、ヒト化重鎖可変領域と、ヒト化軽鎖可変領域とを含み、
前記ヒト化重鎖可変領域が、配列番号7、配列番号8及び配列番号9に示される配列を含み、
前記ヒト化軽鎖可変領域が、配列番号10、配列番号11及び配列番号12に示される配列を含む、請求項35に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、この全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、2016年6月27日に出願された米国仮出願第62/355,171号に対する優先権を主張する。
【0002】
ASCIIファイルとして提出された「配列表」、表又はコンピュータプログラムのリスト添付書類の参照
2017年6月19日に作成されたファイル48537-582001WO SL_ST25.TXTに記載された配列表(10,919バイト、機械フォーマットIBM-PC、MS-Windowsオペレーティングシステム)は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、National Institutes of Healthによって付与された付与番号CA081534に基づく政府の援助を用いてなされた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
BCR(B細胞受容体)シグナル伝達によるシグナル伝達は、疾患、例えば、慢性リンパ性白血病(CLL)の発病及び/又は進行において、役割を果たすと考えられる。さらに、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)を阻害する、イブルチニブ及びアカラブルチニブ(4-{8-アミノ-3-[(2S)-1-(2-ブチノイル)-2-ピロリジニル]イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル}-N-(2-ピリジニル)ベンズアミド)を含むリンパ系悪性腫瘍及び白血病悪性腫瘍におけるB細胞受容体(BCR)シグナル伝達を標的とする薬剤は、顕著な臨床的活性を示す。B細胞シグナル伝達経路を妨害することによって、BTK治療は、劇的なリンパ節応答を伴うが、疾患の根絶及び高リスク疾患の再発は、課題のままである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書には、当技術分野におけるこれらの問題及び他の問題に対する解決策が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で提供される組成物及び方法は、特に、白血病の治療に有用である。例えば、驚くべきことに、慢性リンパ性白血病(CLL)を治療するために抗ROR-1抗体とBCR阻害剤との組み合わせを使用するための、効果的な方法が、提供される。
【0007】
ある態様では、治療を必要とする被験体においてがんを治療する方法であって、被験体に、治療に有効な量のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)アンタゴニストとチロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR-1)アンタゴニストとを投与することを含む、方法が提供される。
【0008】
ある態様では、BTKアンタゴニストと、ROR-1アンタゴニストと、薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物が提供される。
【0009】
ある態様では、医薬組成物であって、BTKアンタゴニストと、抗ROR-1抗体と、薬学的に許容される賦形剤とを含み、BTKアンタゴニストと抗ROR-1抗体とが、組み合わせた相乗的な量で存在し、組み合わせた相乗的な量が、治療を必要とする被験体においてがんを治療するのに有効である、医薬組成物が提供される。
【0010】
ある態様では、治療を必要とする被験体においてがんを治療する方法が提供される。この方法は、被験体に、治療に有効な量のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)アンタゴニストと抗ROR-1抗体とを投与することを含む。
【0011】
別の態様では、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)アンタゴニストと、抗ROR-1抗体と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】
図1A~1D。UC-961は、イブルチニブ処理されたCLL細胞において、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化を阻害する。(
図1A)各レーンの上部に示されるように、Wnt5aを用いて又は用いずにインキュベートし、UC-961又はイブルチニブで処理されたCLL細胞において、活性型Rac1が測定された。(
図1B)未処理CLL細胞又はUC-961(10μg/ml)及び/又はイブルチニブ(0.5μM)で処理したCLL細胞における、Wnt5aによって誘発されるRac1の活性化。5つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=5)。(
図1C)イブルチニブ治療された患者(n=5)からCLL細胞を集めた。各レーンの上部に示されるとおりWnt5a又はUC-961を用いて又は用いずに、in vitroで処理されたこれらのCLL細胞において、活性型Rac1が測定された。(
図1D)イブルチニブで治療した患者から集められ、Wnt5a及び/又はUC-961で処理したCLL細胞において、Rac1活性化が測定された。5つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=5)。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性化されたGTPaseのバンドIODの比率である。各群について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
**P<0.01;
***P<0.001;
****P<0.0001。
【
図1B】
図1A~1D。UC-961は、イブルチニブ処理されたCLL細胞において、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化を阻害する。(
図1A)各レーンの上部に示されるように、Wnt5aを用いて、又は用いずにインキュベートし、UC-961又はイブルチニブで処理されたCLL細胞において、活性型Rac1が測定された。(
図1B)未処理CLL細胞又はUC-961(10μg/ml)及び/又はイブルチニブ(0.5μM)で処理したCLL細胞における、Wnt5aによって誘発されるRac1の活性化。5つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=5)。(
図1C)イブルチニブ治療された患者(n=5)からCLL細胞を集めた。各レーンの上部に示されるとおりWnt5a又はUC-961を用いて又は用いずに、in vitroで処理されたこれらのCLL細胞において、活性型Rac1が測定された。(
図1D)イブルチニブで治療した患者から集められ、Wnt5a及び/又はUC-961で処理したCLL細胞において、Rac1活性化が測定された。5つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=5)。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性化されたGTPaseのバンドIODの比率である。各群について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
**P<0.01;
***P<0.001;
****P<0.0001。
【
図1C】
図1A~1D。UC-961は、イブルチニブ処理されたCLL細胞において、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化を阻害する。(
図1A)各レーンの上部に示されるように、Wnt5aを用いて、又は用いずにインキュベートし、UC-961又はイブルチニブで処理されたCLL細胞において、活性型Rac1が測定された。(
図1B)未処理CLL細胞又はUC-961(10μg/ml)及び/又はイブルチニブ(0.5μM)で処理したCLL細胞における、Wnt5aによって誘発されるRac1の活性化。5つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=5)。(
図1C)イブルチニブ治療された患者(n=5)からCLL細胞を集めた。各レーンの上部に示されるとおりWnt5a又はUC-961を用いて又は用いずに、in vitroで処理されたこれらのCLL細胞において、活性型Rac1が測定された。(
図1D)イブルチニブで治療した患者から集められ、Wnt5a及び/又はUC-961で処理したCLL細胞において、Rac1活性化が測定された。5つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=5)。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性化されたGTPaseのバンドIODの比率である。各群について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
**P<0.01;
***P<0.001;
****P<0.0001。
【
図1D】
図1A~1D。UC-961は、イブルチニブ処理されたCLL細胞において、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化を阻害する。(
図1A)各レーンの上部に示されるように、Wnt5aを用いて、又は用いずにインキュベートし、UC-961又はイブルチニブで処理されたCLL細胞において、活性型Rac1が測定された。(
図1B)未処理CLL細胞又はUC-961(10μg/ml)及び/又はイブルチニブ(0.5μM)で処理したCLL細胞における、Wnt5aによって誘発されるRac1の活性化。5つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=5)。(
図1C)イブルチニブ治療された患者(n=5)からCLL細胞を集めた。各レーンの上部に示されるとおりWnt5a又はUC-961を用いて又は用いずに、in vitroで処理されたこれらのCLL細胞において、活性型Rac1が測定された。(
図1D)イブルチニブで治療した患者から集められ、Wnt5a及び/又はUC-961で処理したCLL細胞において、Rac1活性化が測定された。5つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=5)。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性化されたGTPaseのバンドIODの比率である。各群について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
**P<0.01;
***P<0.001;
****P<0.0001。
【
図2A】
図2A~2B。UC-961は、イブルチニブ処理されたCLL細胞において、Wnt5aによって高められる増殖を阻害する。(
図2A)Wnt5aを用いて又は用いない、UC-961又はイブルチニブで処理された、CFSE標識CLL細胞(n=6)の、CD154によって誘発される増殖。細胞分裂率と共に、1つの代表的なCLLサンプルを示している。(
図2B)バーは、底部に示す各培養条件について異なる6患者それぞれからの、減少したCFSE蛍光を有する、CLL細胞の平均割合を示す。データは平均±SEMとして示され、テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05;
**P<0.01。
【
図2B】
図2A~2B。UC-961は、イブルチニブ処理されたCLL細胞において、Wnt5aによって高められる増殖を阻害する。(
図2A)Wnt5aを用いて、又は用いない、UC-961又はイブルチニブで処理された、CFSE標識CLL細胞(n=6)の、CD154によって誘発される増殖。細胞分裂率と共に、1つの代表的なCLLサンプルを示している。(
図2B)バーは、底部に示す各培養条件について異なる6患者それぞれからの、減少したCFSE蛍光を有する、CLL細胞の平均割合を示す。データは平均±SEMとして示され、テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05;
**P<0.01。
【
図3】
図3。CLL患者に由来する異種移植マウスにおけるUC-961とイブルチニブとの相加阻害効果。記載の処理の1日前に、CLL細胞をRag2
-/-γ
c
-/-マウスの腹膜腔に注射した。細胞注射から7日後に腹膜洗浄液を集め、CD5、CD19及びCD45に特異的なmAbを用いた染色後の細胞数計測及びフローサイトメトリー分析によって残留CLLを決定した。グラフの各バーは、処理を行わなかったマウスから集めた細胞に対して正規化された、処理後のマウスから集めた残留CLL細胞のパーセントを表す。示したデータは、異なる3患者に由来する、各群において5匹のマウスを用いた、平均±SEMである。P値は、テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算された。
【
図4A】
図4A~4D。UC-961は、イブルチニブ処理されたROR-1×TCL1白血病細胞において、Wnt5aによって高められる増殖を阻害する。(
図4A)各レーンの上部に示されるように、Wnt5aを用いて又は用いずにインキュベートし、そしてUC-961(10μg/ml)及び/又はイブルチニブ(0.5μM)で処理された、ROR-1×TCL1白血病細胞において、活性型Rac1が測定された。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性化されたGTPaseのバンドIODの比率である。(
図4B)未処理ROR-1×TCL1白血病細胞又はUC-961(10μg/ml)及び/又はイブルチニブ(0.5μM)で処理したROR-1×TCL1白血病細胞においてWnt5aによって誘発された、Rac1の活性化が測定された。5つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=5)。(
図4C)Wnt5aを用いて又は用いずに、UC-961又はイブルチニブで処理された、CFSE標識ROR-1×TCL1白血病細胞(n=6)のCD154によって誘発される増殖。1つの代表的なROR-1×TCL1白血病細胞サンプルを、細胞分裂率と共に示している。(
図4D)バーは、底部に示す各培養条件について異なる5匹のマウスそれぞれからの、減少したCFSE蛍光を有するROR-1×TCL1白血病細胞の平均割合を示す。データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
**P<0.01;
***P<0.001;
****P<0.0001。
【
図4B】
図4A~4D。UC-961は、イブルチニブ処理されたROR-1×TCL1白血病細胞において、Wnt5aによって高められる増殖を阻害する。(
図4A)各レーンの上部に示されるように、Wnt5aを用いて、又は用いずにインキュベートし、そしてUC-961(10μg/ml)及び/又はイブルチニブ(0.5μM)で処理された、ROR-1×TCL1白血病細胞において、活性型Rac1が測定された。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性化されたGTPaseのバンドIODの比率である。(
図4B)未処理ROR-1×TCL1白血病細胞又はUC-961(10μg/ml)及び/又はイブルチニブ(0.5μM)で処理したROR-1×TCL1白血病細胞においてWnt5aによって誘発された、Rac1の活性化が測定された。5つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=5)。(
図4C)Wnt5aを用いて又は用いずに、UC-961又はイブルチニブで処理された、CFSE標識ROR-1×TCL1白血病細胞(n=6)のCD154によって誘発される増殖。1つの代表的なROR-1×TCL1白血病細胞サンプルを、細胞分裂率と共に示している。(
図4D)バーは、底部に示す各培養条件について異なる5匹のマウスそれぞれからの、減少したCFSE蛍光を有するROR-1×TCL1白血病細胞の平均割合を示す。データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
**P<0.01;
***P<0.001;
****P<0.0001。
【
図4C】
図4A~4D。UC-961は、イブルチニブ処理されたROR-1×TCL1白血病細胞において、Wnt5aによって高められる増殖を阻害する。(
図4A)各レーンの上部に示されるように、Wnt5aを用いて、又は用いずにインキュベートし、そしてUC-961(10μg/ml)及び/又はイブルチニブ(0.5μM)で処理されたROR-1×TCL1白血病細胞において、活性型Rac1が測定された。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性化されたGTPaseのバンドIODの比率である。(
図4B)未処理ROR-1×TCL1白血病細胞又はUC-961(10μg/ml)及び/又はイブルチニブ(0.5μM)で処理したROR-1×TCL1白血病細胞においてWnt5aによって誘発された、Rac1の活性化が測定された。5つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=5)。(
図4C)Wnt5aを用いて又は用いずに、UC-961又はイブルチニブで処理された、CFSE標識ROR-1×TCL1白血病細胞(n=6)のCD154によって誘発される増殖。1つの代表的なROR-1×TCL1白血病細胞サンプルを、細胞分裂率と共に示している。(
図4D)バーは、底部に示す各培養条件について異なる5匹のマウスそれぞれからの、減少したCFSE蛍光を有するROR-1×TCL1白血病細胞の平均割合を示す。データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
**P<0.01;
***P<0.001;
****P<0.0001。
【
図4D】
図4A~4D。UC-961は、イブルチニブ処理されたROR-1×TCL1白血病細胞において、Wnt5aによって高められる増殖を阻害する。(
図4A)各レーンの上部に示されるように、Wnt5aを用いて、又は用いずにインキュベートし、そしてUC-961(10μg/ml)及び/又はイブルチニブ(0.5μM)で処理されたROR-1×TCL1白血病細胞において、活性型Rac1が測定された。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性化されたGTPaseのバンドIODの比率である。(
図4B)未処理ROR-1×TCL1白血病細胞又はUC-961(10μg/ml)及び/又はイブルチニブ(0.5μM)で処理したROR-1×TCL1白血病細胞においてWnt5aによって誘発された、Rac1の活性化が測定された。5つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=5)。(
図4C)Wnt5aを用いて又は用いずに、UC-961又はイブルチニブで処理された、CFSE標識ROR-1×TCL1白血病細胞(n=6)のCD154によって誘発される増殖。1つの代表的なROR-1×TCL1白血病細胞サンプルを、細胞分裂率と共に示している。(
図4D)バーは、底部に示す各培養条件について異なる5匹のマウスそれぞれからの、減少したCFSE蛍光を有するROR-1×TCL1白血病細胞の平均割合を示す。データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
**P<0.01;
***P<0.001;
****P<0.0001。
【
図5A】
図5A~5C。ROR-1×TCL1白血病異種移植マウスにおけるUC-961及びイブルチニブの相加阻害効果。(
図5A)2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞の静脈内注入を受けてから25日後に集めた、Rag2
-/-γ
c
-/-マウスの代表的な脾臓が示されている。(
図5B)UC-961とイブルチニブとの組み合わせは、Rag2
-/-γ
c
-/-マウスにおけるROR-1×TCL1白血病細胞の生着を阻害する。Rag2
-/-γ
c
-/-マウスに2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞を移植し、次いで、1日目に1mg/kgのUC-961を1回静脈注射するか、又は5mg/kgのイブルチニブを毎日投与した。B220(横座表)及びヒトROR-1(縦座標)に特異的な蛍光色素を用いて細胞を染色した後に光散乱特徴によって決定した、上部に示した処理を受けた代表的なマウス(n=5)から養子細胞移植25日後に集めた脾臓リンパ球の蛍光を示す、等高線図。各等高線図の右上にあるパーセントは、白血病細胞のCD5
+B220
lowROR-1
+表現型を有する血液単核細胞の割合を示す。(
図5C)1mg/kgのUC-961の注射を1回受けたか、又は5mg/kgのイブルチニブの注射を毎日受けた、2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞を養子細胞移植してから25日目のレシピエントRag2
-/-γ
c
-/-マウスの脾臓における、ROR-1×TCL1白血病細胞の、フローサイトメトリー分析及び細胞数計測によって決定した合計数。それぞれの形状は、個々のマウスにおいて見出される白血病細胞の数を表す。各動物群(n=5)について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
***P<0.001。
【
図5B】
図5A~5C。ROR-1×TCL1白血病異種移植マウスにおけるUC-961及びイブルチニブの相加阻害効果。(
図5A)2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞の静脈内注入を受けてから25日後に集めた、Rag2
-/-γ
c
-/-マウスの代表的な脾臓が示されている。(
図5B)UC-961とイブルチニブとの組み合わせは、Rag2
-/-γ
c
-/-マウスにおけるROR-1×TCL1白血病細胞の生着を阻害する。Rag2
-/-γ
c
-/-マウスに2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞を移植し、次いで、1日目に1mg/kgのUC-961を1回静脈注射するか、又は5mg/kgのイブルチニブを毎日投与した。B220(横座表)及びヒトROR-1(縦座標)に特異的な蛍光色素を用いて細胞を染色した後に光散乱特徴によって決定した、上部に示した処理を受けた代表的なマウス(n=5)から養子細胞移植25日後に集めた脾臓リンパ球の蛍光を示す、等高線図。各等高線図の右上にあるパーセントは、白血病細胞のCD5
+B220
lowROR-1
+表現型を有する血液単核細胞の割合を示す。(
図5C)1mg/kgのUC-961の注射を1回受けたか、又は5mg/kgのイブルチニブの注射を毎日受けた、2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞を養子細胞移植してから25日目のレシピエントRag2
-/-γ
c
-/-マウスの脾臓における、ROR-1×TCL1白血病細胞の、フローサイトメトリー分析及び細胞数計測によって決定した合計数。それぞれの形状は、個々のマウスにおいて見出される白血病細胞の数を表す。各動物群(n=5)について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
***P<0.001。
【
図5C】
図5A~5C。ROR-1×TCL1白血病異種移植マウスにおけるUC-961及びイブルチニブの相加阻害効果。(
図5A)2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞の静脈内注入を受けてから25日後に集めた、Rag2
-/-γ
c
-/-マウスの代表的な脾臓が示されている。(
図5B)UC-961とイブルチニブとの組み合わせは、Rag2
-/-γ
c
-/-マウスにおけるROR-1×TCL1白血病細胞の生着を阻害する。Rag2
-/-γ
c
-/-マウスに2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞を移植し、次いで、1日目に1mg/kgのUC-961を1回静脈注射するか、又は5mg/kgのイブルチニブを毎日投与した。B220(横座表)及びヒトROR-1(縦座標)に特異的な蛍光色素を用いて細胞を染色した後に光散乱特徴によって決定した、上部に示した処理を受けた代表的なマウス(n=5)から養子細胞移植25日後に集めた脾臓リンパ球の蛍光を示す、等高線図。各等高線図の右上にあるパーセントは、白血病細胞のCD5
+B220
lowROR-1
+表現型を有する血液単核細胞の割合を示す。(
図5C)1mg/kgのUC-961の注射を1回受けたか、又は5mg/kgのイブルチニブの注射を毎日受けた、2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞を養子細胞移植してから25日目のレシピエントRag2
-/-γ
c
-/-マウスの脾臓における、ROR-1×TCL1白血病細胞の、フローサイトメトリー分析及び細胞数計測によって決定した合計数。それぞれの形状は、個々のマウスにおいて見出される白血病細胞の数を表す。各動物群(n=5)について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
***P<0.001。
【
図6A】
図6A~6D.イブルチニブは、BCRシグナル伝達を阻害するが、Wnt5a/ROR-1シグナル伝達を阻害しない。(
図6A)各レーンの上部に示されるように、0、0.25、0.5又は1.0μMの濃度のWnt5a又はイブルチニブと共に、又はこれらなしでインキュベートしたCLL細胞において、活性型Rac1が測定された。(
図6B)CLL細胞を、イブルチニブの濃度を上げつつ1時間処理し、次いで、BTK活性部位の占有率についてアッセイした。(
図6C)異なる用量のイブルチニブを用い又は用いずに処理した後のCLL細胞における、抗μによって誘発されるカルシウム動員。細胞内カルシウムにおける相対的な平均蛍光強度を時間の関数としてプロットする。「IgM」と記載した矢印は、抗μが細胞に添加された時間を示す。(
図6D)DiOC6及びPIで染色することによる細胞生存率の決定。それぞれ水平軸及び垂直軸に関し、白血病細胞の強度における緑色(DiOC6)及び赤色(PI)の相対的な蛍光強度を規定する、代表的な患者に由来するCLL細胞のドットマップが示されている。生細胞数(DiOC6
+PI
-)は、異なる用量のイブルチニブを用いて処理した後のCLL細胞について決定した。各ドットマップに生細胞のパーセントを示している。
【
図6B】
図6A~6D.イブルチニブは、BCRシグナル伝達を阻害するが、Wnt5a/ROR-1シグナル伝達を阻害しない。(
図6A)各レーンの上部に示されるように、0、0.25、0.5又は1.0μMの濃度のWnt5a又はイブルチニブと共に、又はこれらなしでインキュベートしたCLL細胞において、活性型Rac1が測定された。(
図6B)CLL細胞を、イブルチニブの濃度を上げつつ1時間処理し、次いで、BTK活性部位の占有率についてアッセイした。(
図6C)異なる用量のイブルチニブを用い又は用いずに処理した後のCLL細胞における、抗μによって誘発されるカルシウム動員。細胞内カルシウムにおける相対的な平均蛍光強度を時間の関数としてプロットする。「IgM」と記載した矢印は、抗μが細胞に添加された時間を示す。(
図6D)DiOC6及びPIで染色することによる細胞生存率の決定。それぞれ水平軸及び垂直軸に関し、白血病細胞の強度における緑色(DiOC6)及び赤色(PI)の相対的な蛍光強度を規定する、代表的な患者に由来するCLL細胞のドットマップが示されている。生細胞数(DiOC6
+PI
-)は、異なる用量のイブルチニブを用いて処理した後のCLL細胞について決定した。各ドットマップに生細胞のパーセントを示している。
【
図6C】
図6A~6D.イブルチニブは、BCRシグナル伝達を阻害するが、Wnt5a/ROR-1シグナル伝達を阻害しない。(
図6A)各レーンの上部に示されるように、0、0.25、0.5又は1.0μMの濃度のWnt5a又はイブルチニブと共に、又はこれらなしでインキュベートしたCLL細胞において、活性型Rac1が測定された。(
図6B)CLL細胞を、イブルチニブの濃度を上げつつ1時間処理し、次いで、BTK活性部位の占有率についてアッセイした。(
図6C)異なる用量のイブルチニブを用い又は用いずに処理した後のCLL細胞における、抗μによって誘発されるカルシウム動員。細胞内カルシウムにおける相対的な平均蛍光強度を時間の関数としてプロットする。「IgM」と記載した矢印は、抗μが細胞に添加された時間を示す。(
図6D)DiOC6及びPIで染色することによる細胞生存率の決定。それぞれ水平軸及び垂直軸に関し、白血病細胞の強度における緑色(DiOC6)及び赤色(PI)の相対的な蛍光強度を規定する、代表的な患者に由来するCLL細胞のドットマップが示されている。生細胞数(DiOC6
+PI
-)は、異なる用量のイブルチニブを用いて処理した後のCLL細胞について決定した。各ドットマップに生細胞のパーセントを示している。
【
図6D】
図6A~6D.イブルチニブは、BCRシグナル伝達を阻害するが、Wnt5a/ROR-1シグナル伝達を阻害しない。(
図6A)各レーンの上部に示されるように、0、0.25、0.5又は1.0μMの濃度のWnt5a又はイブルチニブと共に、又はこれらなしでインキュベートしたCLL細胞において、活性型Rac1が測定された。(
図6B)CLL細胞を、イブルチニブの濃度を上げつつ1時間処理し、次いで、BTK活性部位の占有率についてアッセイした。(
図6C)異なる用量のイブルチニブを用い又は用いずに処理した後のCLL細胞における、抗μによって誘発されるカルシウム動員。細胞内カルシウムにおける相対的な平均蛍光強度を時間の関数としてプロットする。「IgM」と記載した矢印は、抗μが細胞に添加された時間を示す。(
図6D)DiOC6及びPIで染色することによる細胞生存率の決定。それぞれ水平軸及び垂直軸に関し、白血病細胞の強度における緑色(DiOC6)及び赤色(PI)の相対的な蛍光強度を規定する、代表的な患者に由来するCLL細胞のドットマップが示されている。生細胞数(DiOC6
+PI
-)は、異なる用量のイブルチニブを用いて処理した後のCLL細胞について決定した。各ドットマップに生細胞のパーセントを示している。
【
図7A】
図7A~7E。Wnt5aは、イブルチニブで処理されたCLL細胞において、Rac1活性化を誘発する。(
図7A)CD154を用いずに、Wnt5aによって誘発されたCLL増殖についてのCFSEアッセイ。IL-4/10存在下、外因性Wnt5aなしで(左パネル)又はこれと共に(右パネル)、野生型HeLa細胞と5日間共培養した、CFSE標識されたCLL細胞(n=6)の蛍光。1つの代表的なCLLサンプルに対するアッセイの結果を、各パネルの左下に示されている細胞の分裂率と共に示している。(
図7B)CD154を用いずに、Wnt5aによって誘発されたROR-1×TCL1白血病細胞増殖についてのCFSEアッセイ。IL-4/10存在下、外因性Wnt5aなしで(左パネル)又はこれと共に(右パネル)、HeLa細胞と5日間共培養した、CFSE標識されたCLL細胞(n=6)の蛍光。1つの代表的なCLLサンプルに対するアッセイの結果を、各パネルの左下に示されている細胞の分裂率と共に示している。(
図7C)Wnt5aで30分間処理した、血清を枯渇させたTCL1白血病細胞においてRac1活性化を測定した。全細胞溶解物をパラレルゲル上で泳動し、全Rac1を調べた。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに関して正規化された、全GTPaseに対する活性型GTPaseのバンドIODの比率である。(
図7D)Wnt5a及び/又はCD154によって誘発されるTCL1白血病細胞増殖についてのCFSEアッセイ。IL-4/10存在下、外因性Wnt5aなしで又はこれと共に、野生型HeLa細胞又はHeLa
CD154細胞と5日間共培養した、CFSE標識されたTCL1白血病細胞(n=3)の蛍光。1つの代表的なTCL1白血病サンプルに対するアッセイの結果を、各パネルの左下に示されている細胞の分裂率と共に示している。(
図7E)底部に示す条件下でのTCL1白血病細胞(n=3)からのCLL細胞の平均分裂割合。各群について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用い、p値を計算した。ns:有意ではない。
【
図7B】
図7A~7E。Wnt5aは、イブルチニブで処理されたCLL細胞において、Rac1活性化を誘発する。(
図7A)CD154を用いずに、Wnt5aによって誘発されたCLL増殖についてのCFSEアッセイ。IL-4/10存在下、外因性Wnt5aなしで(左パネル)又はこれと共に(右パネル)、野生型HeLa細胞と5日間共培養した、CFSE標識されたCLL細胞(n=6)の蛍光。1つの代表的なCLLサンプルに対するアッセイの結果を、各パネルの左下に示されている細胞の分裂率と共に示している。(
図7B)CD154を用いずに、Wnt5aによって誘発されたROR-1×TCL1白血病細胞増殖についてのCFSEアッセイ。IL-4/10存在下、外因性Wnt5aなしで(左パネル)又はこれと共に(右パネル)、HeLa細胞と5日間共培養した、CFSE標識されたCLL細胞(n=6)の蛍光。1つの代表的なCLLサンプルに対するアッセイの結果を、各パネルの左下に示されている細胞の分裂率と共に示している。(
図7C)Wnt5aで30分間処理した、血清を枯渇させたTCL1白血病細胞においてRac1活性化を測定した。全細胞溶解物をパラレルゲル上で泳動し、全Rac1を調べた。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに関して正規化された、全GTPaseに対する活性型GTPaseのバンドIODの比率である。(
図7D)Wnt5a及び/又はCD154によって誘発されるTCL1白血病細胞増殖についてのCFSEアッセイ。IL-4/10存在下、外因性Wnt5aなしで又はこれと共に、野生型HeLa細胞又はHeLa
CD154細胞と5日間共培養した、CFSE標識されたTCL1白血病細胞(n=3)の蛍光。1つの代表的なTCL1白血病サンプルに対するアッセイの結果を、各パネルの左下に示されている細胞の分裂率と共に示している。(
図7E)底部に示す条件下でのTCL1白血病細胞(n=3)からのCLL細胞の平均分裂割合。各群について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用い、p値を計算した。ns:有意ではない。
【
図7C】
図7A~7E。Wnt5aは、イブルチニブで処理されたCLL細胞において、Rac1活性化を誘発する。(
図7A)CD154を用いずに、Wnt5aによって誘発されたCLL増殖についてのCFSEアッセイ。IL-4/10存在下、外因性Wnt5aなしで(左パネル)又はこれと共に(右パネル)、野生型HeLa細胞と5日間共培養した、CFSE標識されたCLL細胞(n=6)の蛍光。1つの代表的なCLLサンプルに対するアッセイの結果を、各パネルの左下に示されている細胞の分裂率と共に示している。(
図7B)CD154を用いずに、Wnt5aによって誘発されたROR-1×TCL1白血病細胞増殖についてのCFSEアッセイ。IL-4/10存在下、外因性Wnt5aなしで(左パネル)又はこれと共に(右パネル)、HeLa細胞と5日間共培養した、CFSE標識されたCLL細胞(n=6)の蛍光。1つの代表的なCLLサンプルに対するアッセイの結果を、各パネルの左下に示されている細胞の分裂率と共に示している。(
図7C)Wnt5aで30分間処理した、血清を枯渇させたTCL1白血病細胞においてRac1活性化を測定した。全細胞溶解物をパラレルゲル上で泳動し、全Rac1を調べた。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに関して正規化された、全GTPaseに対する活性型GTPaseのバンドIODの比率である。(
図7D)Wnt5a及び/又はCD154によって誘発されるTCL1白血病細胞増殖についてのCFSEアッセイ。IL-4/10存在下、外因性Wnt5aなしで又はこれと共に、野生型HeLa細胞又はHeLa
CD154細胞と5日間共培養した、CFSE標識されたTCL1白血病細胞(n=3)の蛍光。1つの代表的なTCL1白血病サンプルに対するアッセイの結果を、各パネルの左下に示されている細胞の分裂率と共に示している。(
図7E)底部に示す条件下でのTCL1白血病細胞(n=3)からのCLL細胞の平均分裂割合。各群について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用い、p値を計算した。ns:有意ではない。
【
図7D】
図7A~7E。Wnt5aは、イブルチニブで処理されたCLL細胞において、Rac1活性化を誘発する。(
図7A)CD154を用いずに、Wnt5aによって誘発されたCLL増殖についてのCFSEアッセイ。IL-4/10存在下、外因性Wnt5aなしで(左パネル)又はこれと共に(右パネル)、野生型HeLa細胞と5日間共培養した、CFSE標識されたCLL細胞(n=6)の蛍光。1つの代表的なCLLサンプルに対するアッセイの結果を、各パネルの左下に示されている細胞の分裂率と共に示している。(
図7B)CD154を用いずに、Wnt5aによって誘発されたROR-1×TCL1白血病細胞増殖についてのCFSEアッセイ。IL-4/10存在下、外因性Wnt5aなしで(左パネル)又はこれと共に(右パネル)、HeLa細胞と5日間共培養した、CFSE標識されたCLL細胞(n=6)の蛍光。1つの代表的なCLLサンプルに対するアッセイの結果を、各パネルの左下に示されている細胞の分裂率と共に示している。(
図7C)Wnt5aで30分間処理した、血清を枯渇させたTCL1白血病細胞においてRac1活性化を測定した。全細胞溶解物をパラレルゲル上で泳動し、全Rac1を調べた。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに関して正規化された、全GTPaseに対する活性型GTPaseのバンドIODの比率である。(
図7D)Wnt5a及び/又はCD154によって誘発されるTCL1白血病細胞増殖についてのCFSEアッセイ。IL-4/10存在下、外因性Wnt5aなしで又はこれと共に、野生型HeLa細胞又はHeLa
CD154細胞と5日間共培養した、CFSE標識されたTCL1白血病細胞(n=3)の蛍光。1つの代表的なTCL1白血病サンプルに対するアッセイの結果を、各パネルの左下に示されている細胞の分裂率と共に示している。(
図7E)底部に示す条件下でのTCL1白血病細胞(n=3)からのCLL細胞の平均分裂割合。各群について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用い、p値を計算した。ns:有意ではない。
【
図7E】
図7A~7E。Wnt5aは、イブルチニブで処理されたCLL細胞において、Rac1活性化を誘発する。(
図7A)CD154を用いずに、Wnt5aによって誘発されたCLL増殖についてのCFSEアッセイ。IL-4/10存在下、外因性Wnt5aなしで(左パネル)又はこれと共に(右パネル)、野生型HeLa細胞と5日間共培養した、CFSE標識されたCLL細胞(n=6)の蛍光。1つの代表的なCLLサンプルに対するアッセイの結果を、各パネルの左下に示されている細胞の分裂率と共に示している。(
図7B)CD154を用いずに、Wnt5aによって誘発されたROR-1×TCL1白血病細胞増殖についてのCFSEアッセイ。IL-4/10存在下、外因性Wnt5aなしで(左パネル)又はこれと共に(右パネル)、HeLa細胞と5日間共培養した、CFSE標識されたCLL細胞(n=6)の蛍光。1つの代表的なCLLサンプルに対するアッセイの結果を、各パネルの左下に示されている細胞の分裂率と共に示している。(
図7C)Wnt5aで30分間処理した、血清を枯渇させたTCL1白血病細胞においてRac1活性化を測定した。全細胞溶解物をパラレルゲル上で泳動し、全Rac1を調べた。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに関して正規化された、全GTPaseに対する活性化されたGTPaseのバンドIODの比率である。(
図7D)Wnt5a及び/又はCD154によって誘発されるTCL1白血病細胞増殖についてのCFSEアッセイ。IL-4/10存在下、外因性Wnt5aなしで又はこれと共に、野生型HeLa細胞又はHeLa
CD154細胞と5日間共培養した、CFSE標識されたTCL1白血病細胞(n=3)の蛍光。1つの代表的なTCL1白血病サンプルに対するアッセイの結果を、各パネルの左下に示されている細胞の分裂率と共に示している。(
図7E)底部に示す条件下でのTCL1白血病細胞(n=3)からのCLL細胞の平均分裂割合。各群について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用い、p値を計算した。ns:有意ではない。
【
図8A】
図8A~8B。ROR-1×TCL1白血病異種移植マウスにおけるUC-961又はイブルチニブの用量依存性阻害効果。(
図8A)ROR-1×TCL1白血病異種移植マウスにおけるイブルチニブの用量依存性阻害効果。(
図8B)ROR-1×TCL1白血病異種移植マウスにおけるUC-961の用量依存性阻害効果。それぞれの形状は、個々のマウスにおいて見出される白血病細胞の数を表す。各動物群(n=6)について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05;
***P<0.001。
【
図8B】
図8A~8B。ROR-1×TCL1白血病異種移植マウスにおけるUC-961又はイブルチニブの用量依存性阻害効果。(
図8A)ROR-1×TCL1白血病異種移植マウスにおけるイブルチニブの用量依存性阻害効果。(
図8B)ROR-1×TCL1白血病異種移植マウスにおけるUC-961の用量依存性阻害効果。それぞれの形状は、個々のマウスにおいて見出される白血病細胞の数を表す。各動物群(n=6)について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05;
***P<0.001。
【
図9】
図9。ROR-1は、BCRシグナル伝達阻害剤によって誘発された。
【
図10】
図10。ニッチ依存性動物モデルにおけるCLL細胞除去に対する、イブルチニブと合わせた抗ROR-1抗体の相加効果。
【
図11】
図11。ROR-1xTCL1マウス白血病に対する、イブルチニブと合わせた抗ROR-1抗体の相加効果。
【
図12A】
図12A~12F。シルムツズマブは、イブルチニブ処理CLL細胞において、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化を阻害する。(
図12A)各レーンの上部に示されるとおり、新しく単離したイブルチニブ処理CLL細胞、又は外因性Wnt5a(200ng/ml)なしで又はこれと共に無血清培地で培養した、単離イブルチニブ処理CLL細胞において、活性型Rac1を測定した。(
図12B)新しく単離したイブルチニブ処理CLL細胞、又は外因性Wnt5a(200ng/ml)と共に又はこれなしで無血清培地で培養した、単離イブルチニブ処理CLL細胞において、活性型Rac1を測定した。4つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=4)。(
図12C)イブルチニブ治療された患者(n=4)からCLL細胞を集めた。免疫ブロットの各レーンの上に示されるとおり、Wnt5a(200ng/ml)又はシルムツズマブ(10μg/ml)と共に又はこれらなしで処理されたCLL細胞において、活性型Rac1を測定した(
図12D)。イブルチニブを用いた治療を受けている患者から集め、Wnt5a(200ng/ml)及び/又はシルムツズマブ(10μg/ml)で処理したCLL細胞において、Rac1活性化を測定した。5つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=5)。(
図12E)各レーンの上部に示されるように、Wnt5aと共に又はこれなしでインキュベートし、シルムツズマブ(10μg/ml)又はイブルチニブ(0.5μM)で処理したCLL細胞において、活性型Rac1が測定された。(
図12F)未処理CLL細胞又はシルムツズマブ及び/又はイブルチニブ処理CLL細胞における、Wnt5aによって誘発されるRac1の活性化。5つの独立した実験で観察された、平均Rac1活性化が示される(n=5)。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性型GTPaseのバンドIODの比率である。各群について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
**P<0.01;
***P<0.001;
****P<0.0001。
【
図12B】
図12A~12F。シルムツズマブは、イブルチニブ治療されたCLL細胞において、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化を阻害する。(
図12A)各レーンの上部に示されるとおり、新しく単離したイブルチニブ処理CLL細胞、又は外因性Wnt5a(200ng/ml)なしで又はこれと共に無血清培地で培養した、単離イブルチニブ処理CLL細胞において、活性型Rac1を測定した。(
図12B)新しく単離したイブルチニブ処理CLL細胞、又は外因性Wnt5a(200ng/ml)と共に又はこれなしで無血清培地で培養した、単離イブルチニブ処理CLL細胞において、活性型Rac1を測定した。4つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=4)。(
図12C)イブルチニブ治療された患者(n=4)からCLL細胞を集めた。免疫ブロットの各レーンの上に示されるとおり、Wnt5a(200ng/ml)又はシルムツズマブ(10μg/ml)と共に又はこれらなしで処理されたCLL細胞において、活性型Rac1を測定した(
図12D)。イブルチニブを用いた治療を受けている患者から集め、Wnt5a(200ng/ml)及び/又はシルムツズマブ(10μg/ml)で処理したCLL細胞において、Rac1活性化を測定した。5つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=5)。(
図12E)各レーンの上部に示されるように、Wnt5aと共に又はこれなしでインキュベートし、シルムツズマブ(10μg/ml)又はイブルチニブ(0.5μM)で処理したCLL細胞において、活性型Rac1が測定された。(
図12F)未処理CLL細胞又はシルムツズマブ及び/又はイブルチニブ処理CLL細胞における、Wnt5aによって誘発されるRac1の活性化。5つの独立した実験で観察された、平均Rac1活性化が示される(n=5)。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性型GTPaseのバンドIODの比率である。各群について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
**P<0.01;
***P<0.001;
****P<0.0001。
【
図12C】
図12A~12F。シルムツズマブは、イブルチニブ治療されたCLL細胞において、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化を阻害する。(
図12A)各レーンの上部に示されるとおり、新しく単離したイブルチニブ処理CLL細胞、又は外因性Wnt5a(200ng/ml)なしで又はこれと共に無血清培地で培養した、単離イブルチニブ処理CLL細胞において、活性型Rac1を測定した。(
図12B)新しく単離したイブルチニブ処理CLL細胞、又は外因性Wnt5a(200ng/ml)と共に又はこれなしで無血清培地で培養した、単離イブルチニブ処理CLL細胞において、活性型Rac1を測定した。4つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=4)。(
図12C)イブルチニブ治療された患者(n=4)からCLL細胞を集めた。免疫ブロットの各レーンの上に示されるとおり、Wnt5a(200ng/ml)又はシルムツズマブ(10μg/ml)と共に又はこれらなしで処理されたCLL細胞において、活性型Rac1を測定した(
図12D)。イブルチニブを用いた治療を受けている患者から集め、Wnt5a(200ng/ml)及び/又はシルムツズマブ(10μg/ml)で処理したCLL細胞において、Rac1活性化を測定した。5つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=5)。(
図12E)各レーンの上部に示されるように、Wnt5aと共に又はこれなしでインキュベートし、シルムツズマブ(10μg/ml)又はイブルチニブ(0.5μM)で処理したCLL細胞において、活性型Rac1が測定された。(
図12F)未処理CLL細胞又はシルムツズマブ及び/又はイブルチニブ処理CLL細胞における、Wnt5aによって誘発されるRac1の活性化。5つの独立した実験で観察された、平均Rac1活性化が示される(n=5)。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性型GTPaseのバンドIODの比率である。各群について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
**P<0.01;
***P<0.001;
****P<0.0001。
【
図12D】
図12A~12F。シルムツズマブは、イブルチニブ治療されたCLL細胞において、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化を阻害する。(
図12A)各レーンの上部に示されるとおり、新しく単離したイブルチニブ処理CLL細胞、又は外因性Wnt5a(200ng/ml)なしで又はこれと共に無血清培地で培養した、単離イブルチニブ処理CLL細胞において、活性型Rac1を測定した。(
図12B)新しく単離したイブルチニブ処理CLL細胞、又は外因性Wnt5a(200ng/ml)と共に又はこれなしで無血清培地で培養した、単離イブルチニブ処理CLL細胞において、活性型Rac1を測定した。4つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=4)。(
図12C)イブルチニブ治療された患者(n=4)からCLL細胞を集めた。免疫ブロットの各レーンの上に示されるとおり、Wnt5a(200ng/ml)又はシルムツズマブ(10μg/ml)と共に又はこれらなしで処理されたCLL細胞において、活性型Rac1を測定した(
図12D)。イブルチニブを用いた治療を受けている患者から集め、Wnt5a(200ng/ml)及び/又はシルムツズマブ(10μg/ml)で処理したCLL細胞において、Rac1活性化を測定した。5つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=5)。(
図12E)各レーンの上部に示されるように、Wnt5aと共に又はこれなしでインキュベートし、シルムツズマブ(10μg/ml)又はイブルチニブ(0.5μM)で処理したCLL細胞において、活性型Rac1が測定された。(
図12F)未処理CLL細胞又はシルムツズマブ及び/又はイブルチニブ処理CLL細胞における、Wnt5aによって誘発されるRac1の活性化。5つの独立した実験で観察された、平均Rac1活性化が示される(n=5)。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性型GTPaseのバンドIODの比率である。各群について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
**P<0.01;
***P<0.001;
****P<0.0001。
【
図12E】
図12A~12F。シルムツズマブは、イブルチニブ治療されたCLL細胞において、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化を阻害する。(
図12A)各レーンの上部に示されるとおり、新しく単離したイブルチニブ処理CLL細胞、又は外因性Wnt5a(200ng/ml)なしで又はこれと共に無血清培地で培養した、単離イブルチニブ処理CLL細胞において、活性型Rac1を測定した。(
図12B)新しく単離したイブルチニブ処理CLL細胞、又は外因性Wnt5a(200ng/ml)と共に又はこれなしで無血清培地で培養した、単離イブルチニブ処理CLL細胞において、活性型Rac1を測定した。4つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=4)。(
図12C)イブルチニブ治療された患者(n=4)からCLL細胞を集めた。免疫ブロットの各レーンの上に示されるとおり、Wnt5a(200ng/ml)又はシルムツズマブ(10μg/ml)と共に又はこれらなしで処理されたCLL細胞において、活性型Rac1を測定した(
図12D)。イブルチニブを用いた治療を受けている患者から集め、Wnt5a(200ng/ml)及び/又はシルムツズマブ(10μg/ml)で処理したCLL細胞において、Rac1活性化を測定した。5つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=5)。(
図12E)各レーンの上部に示されるように、Wnt5aと共に又はこれなしでインキュベートし、シルムツズマブ(10μg/ml)又はイブルチニブ(0.5μM)で処理したCLL細胞において、活性型Rac1が測定された。(
図12F)未処理CLL細胞又はシルムツズマブ及び/又はイブルチニブ処理CLL細胞における、Wnt5aによって誘発されるRac1の活性化。5つの独立した実験で観察された、平均Rac1活性化が示される(n=5)。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性型GTPaseのバンドIODの比率である。各群について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
**P<0.01;
***P<0.001;
****P<0.0001。
【
図12F】
図12A~12F。シルムツズマブは、イブルチニブ治療されたCLL細胞において、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化を阻害する。(
図12A)各レーンの上部に示されるとおり、新しく単離したイブルチニブ処理CLL細胞、又は外因性Wnt5a(200ng/ml)なしで又はこれと共に無血清培地で培養した、単離イブルチニブ処理CLL細胞において、活性型Rac1を測定した。(
図12B)新しく単離したイブルチニブ処理CLL細胞、又は外因性Wnt5a(200ng/ml)と共に又はこれなしで無血清培地で培養した、単離イブルチニブ処理CLL細胞において、活性型Rac1を測定した。4つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=4)。(
図12C)イブルチニブ治療された患者(n=4)からCLL細胞を集めた。免疫ブロットの各レーンの上に示されるとおり、Wnt5a(200ng/ml)又はシルムツズマブ(10μg/ml)と共に又はこれらなしで処理されたCLL細胞において、活性型Rac1を測定した(
図12D)。イブルチニブを用いた治療を受けている患者から集め、Wnt5a(200ng/ml)及び/又はシルムツズマブ(10μg/ml)で処理したCLL細胞において、Rac1活性化を測定した。5つの独立した実験で観察された平均Rac1活性化が示される(n=5)。(
図12E)各レーンの上部に示されるように、Wnt5aと共に又はこれなしでインキュベートし、シルムツズマブ(10μg/ml)又はイブルチニブ(0.5μM)で処理したCLL細胞において、活性型Rac1が測定された。(
図12F)未処理CLL細胞又はシルムツズマブ及び/又はイブルチニブ処理CLL細胞における、Wnt5aによって誘発されるRac1の活性化。5つの独立した実験で観察された、平均Rac1活性化が示される(n=5)。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性型GTPaseのバンドIODの比率である。各群について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
**P<0.01;
***P<0.001;
****P<0.0001。
【
図13A】
図13A~13D。シルムツズマブは、イブルチニブ処理されたCLL細胞において、Wnt5aによって高められる増殖を阻害する。(
図13A)Wnt5aと共に又はこれなしで、シルムツズマブ(10μg/ml)又はイブルチニブ(0.5μM)で処理された、CFSE標識CLL細胞(n=6)の、CD154によって誘発される増殖。1つの代表的なCLLサンプルを、細胞分裂率と共に示している。(
図13B)バーは、底部に示す各培養条件について異なる6患者それぞれからの減少したCFSE蛍光を有するCLL細胞の平均割合を示す。(
図13C)CLL細胞を、IL-4/10又はWnt5a存在下、HeLa
CD154上で共培養し、次いで、シルムツズマブ(10μg/ml)又はイブルチニブ(0.5μM)で4日間処理し、PI染色後に細胞周期の分析を行った。1つの代表的なCLLサンプルが示されている。(
図13D)試験した4患者全てについてのS/G2/M期における細胞の平均分率が示されている。データは平均±SEMとして示され、テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05;
**P<0.01。
【
図13B】
図13A~13D。シルムツズマブは、イブルチニブ処理されたCLL細胞において、Wnt5aによって高められる増殖を阻害する。(
図13A)Wnt5aと共に又はこれなしで、シルムツズマブ(10μg/ml)又はイブルチニブ(0.5μM)で処理された、CFSE標識CLL細胞(n=6)の、CD154によって誘発される増殖。1つの代表的なCLLサンプルを、細胞分裂率と共に示している。(
図13B)バーは、底部に示す各培養条件について異なる6患者それぞれからの減少したCFSE蛍光を有するCLL細胞の平均割合を示す。(
図13C)CLL細胞を、IL-4/10又はWnt5a存在下、HeLa
CD154上で共培養し、次いで、シルムツズマブ(10μg/ml)又はイブルチニブ(0.5μM)で4日間処理し、PI染色後に細胞周期の分析を行った。1つの代表的なCLLサンプルが示されている。(
図13D)試験した4患者全てについてのS/G2/M期における細胞の平均分率が示されている。データは平均±SEMとして示され、テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05;
**P<0.01。
【
図13C】
図13A~13D。シルムツズマブは、イブルチニブ処理されたCLL細胞において、Wnt5aによって高められる増殖を阻害する。(
図13A)Wnt5aと共に又はこれなしで、シルムツズマブ(10μg/ml)又はイブルチニブ(0.5μM)で処理された、CFSE標識CLL細胞(n=6)の、CD154によって誘発される増殖。1つの代表的なCLLサンプルを、細胞分裂率と共に示している。(
図13B)バーは、底部に示す各培養条件について異なる6患者それぞれからの減少したCFSE蛍光を有するCLL細胞の平均割合を示す。(
図13C)CLL細胞を、IL-4/10又はWnt5a存在下、HeLa
CD154上で共培養し、次いで、シルムツズマブ(10μg/ml)又はイブルチニブ(0.5μM)で4日間処理し、PI染色後に細胞周期の分析を行った。1つの代表的なCLLサンプルが示されている。(
図13D)試験した4患者全てについてのS/G2/M期における細胞の平均分率が示されている。データは平均±SEMとして示され、テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05;
**P<0.01。
【
図13D】
図13A~13D。シルムツズマブは、イブルチニブ処理されたCLL細胞において、Wnt5aによって高められる増殖を阻害する。(
図13A)Wnt5aと共に又はこれなしで、シルムツズマブ(10μg/ml)又はイブルチニブ(0.5μM)で処理された、CFSE標識CLL細胞(n=6)の、CD154によって誘発される増殖。1つの代表的なCLLサンプルを、細胞分裂率と共に示している。(
図13B)バーは、底部に示す各培養条件について異なる6患者それぞれからの減少したCFSE蛍光を有するCLL細胞の平均割合を示す。(
図13C)CLL細胞を、IL-4/10又はWnt5a存在下、HeLa
CD154上で共培養し、次いで、シルムツズマブ(10μg/ml)又はイブルチニブ(0.5μM)で4日間処理し、PI染色後に細胞周期の分析を行った。1つの代表的なCLLサンプルが示されている。(
図13D)試験した4患者全てについてのS/G2/M期における細胞の平均分率が示されている。データは平均±SEMとして示され、テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05;
**P<0.01。
【
図14A】
図14A~14B。CLL患者に由来する異種移植片におけるシルムツズマブ及び/又はイブルチニブを用いた処理の効果。(
図14A)処理の1日前に、CLL細胞をRag2
-/-γ
c
-/-マウスの腹膜腔に注射した。細胞注射から7日後に腹膜洗浄液を集め、CD5、CD19及びCD45に特異的なmAbを用いた染色後の細胞数計測及びフローサイトメトリー分析によって、残留CLLを決定した。各等高線図の右上に示されているパーセントは、処理後にマウスから集められた細胞の中のCLL細胞の割合を示す。(
図14B)グラフの各バーは、未処理マウスから集めた細胞の中のCLL細胞のパーセントに対して正規化された、処理後マウスから集めた細胞中のCLL細胞のパーセントを表す(100%まで)。各群の5匹のマウスを用いた3の異なる患者から、示されるデータは、平均±SEMである。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
***P<0.001;
****P<0.0001。
【
図14B】
図14A~14B。CLL患者に由来する異種移植におけるシルムツズマブ及び/又はイブルチニブを用いた処理の効果。(
図14A)処理の1日前に、CLL細胞をRag2
-/-γ
c
-/-マウスの腹膜腔に注射した。細胞注射から7日後に腹膜洗浄液を集め、CD5、CD19及びCD45に特異的なmAbを用いた染色後の細胞数計測及びフローサイトメトリー分析によって残留CLLを決定した。各等高線図の右上に示されているパーセントは、処理後にマウスから集められた細胞の中のCLL細胞の割合を示す。(
図14B)グラフの各バーは、未処理マウスから集めた細胞の中のCLL細胞のパーセントに対して正規化された、処理後マウスから集めた細胞中のCLL細胞のパーセントを表す(100%まで)。各群の5匹のマウスを用いた3の異なる患者から、示されるデータは、平均±SEMである。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
***P<0.001;
****P<0.0001。
【
図15A】
図15A~15C。シルムツズマブは、イブルチニブ処理されたROR-1×TCL1白血病細胞において、Wnt5aによって高められる増殖を阻害する。(
図15A)各レーンの上部に示されるように、Wnt5a(200ng/ml)と共に又はこれなしでインキュベートし、シルムツズマブ(10μg/ml)及び/又はイブルチニブ(0.5μM)で処理されたROR-1×TCL1白血病細胞において、活性型Rac1が測定された。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性型GTPaseのバンド密度の比率である。(
図15B)シルムツズマブ(10μg/ml)及び/又はイブルチニブ(0.5μM)と共に、又はこれらなしで、Wnt5aで処理したROR-1×TCL1白血病細胞における、Rac1の活性化。5つの独立した実験で観察される平均Rac1活性化が示される(n=5)。(
図15C)Wnt5a(200ng/ml)及び/又はシルムツズマブ(10μg/ml)又はイブルチニブ(0.5μM)によって処理したか又は未処理の、CFSE標識ROR-1×TCL1白血病細胞(n=5)における、CD154によって誘発される増殖。バーは、底部に示す各培養条件について異なる5匹のマウスそれぞれからの、減少したCFSE蛍光を有するROR-1×TCL1白血病細胞の平均割合を示す。データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05;
**P<0.01;
****P<0.0001。
【
図15B】
図15A~15C。シルムツズマブは、イブルチニブ処理されたROR-1×TCL1白血病細胞において、Wnt5aによって高められる増殖を阻害する。(
図15A)各レーンの上部に示されるように、Wnt5a(200ng/ml)と共に又はこれなしでインキュベートし、シルムツズマブ(10μg/ml)及び/又はイブルチニブ(0.5μM)で処理されたROR-1×TCL1白血病細胞において、活性型Rac1が測定された。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性型GTPaseのバンド密度の比率である。(
図15B)シルムツズマブ(10μg/ml)及び/又はイブルチニブ(0.5μM)と共に、又はこれらなしで、Wnt5aで処理したROR-1×TCL1白血病細胞における、Rac1の活性化。5つの独立した実験で観察される平均Rac1活性化が示される(n=5)。(
図15C)Wnt5a(200ng/ml)及び/又はシルムツズマブ(10μg/ml)又はイブルチニブ(0.5μM)によって処理したか又は未処理の、CFSE標識ROR-1×TCL1白血病細胞(n=5)における、CD154によって誘発される増殖。バーは、底部に示す各培養条件について異なる5匹のマウスそれぞれからの、減少したCFSE蛍光を有するROR-1×TCL1白血病細胞の平均割合を示す。データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05;
**P<0.01;
****P<0.0001。
【
図15C】
図15A~15C。シルムツズマブは、イブルチニブ処理されたROR-1×TCL1白血病細胞において、Wnt5aによって高められる増殖を阻害する。(
図15A)各レーンの上部に示されるように、Wnt5a(200ng/ml)と共に又はこれなしでインキュベートし、シルムツズマブ(10μg/ml)及び/又はイブルチニブ(0.5μM)で処理されたROR-1×TCL1白血病細胞において、活性型Rac1が測定された。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性型GTPaseのバンド密度の比率である。(
図15B)シルムツズマブ(10μg/ml)及び/又はイブルチニブ(0.5μM)と共に、又はこれらなしで、Wnt5aで処理したROR-1×TCL1白血病細胞における、Rac1の活性化。5つの独立した実験で観察される平均Rac1活性化が示される(n=5)。(
図15C)Wnt5a(200ng/ml)及び/又はシルムツズマブ(10μg/ml)又はイブルチニブ(0.5μM)によって処理したか又は未処理の、CFSE標識ROR-1×TCL1白血病細胞(n=5)における、CD154によって誘発される増殖。バーは、底部に示す各培養条件について異なる5匹のマウスそれぞれからの、減少したCFSE蛍光を有するROR-1×TCL1白血病細胞の平均割合を示す。データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05;
**P<0.01;
****P<0.0001。
【
図16A】
図16A~16C。組織適合ROR-1
+白血病を移植した免疫欠損マウスにおける、シルムツズマブ及びイブルチニブを用いた処理の相加阻害効果。(
図16A)2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞の静脈内注入を受けてから25日後に集めた、Rag2
-/-γ
c
-/-マウスの代表的な脾臓を示す。(
図16B)シルムツズマブとイブルチニブとの組み合わせは、Rag2
-/-γ
c
-/-マウスにおけるROR-1×TCL1白血病細胞の生着を阻害する。Rag2
-/-γ
c
-/-マウスに2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞を移植し、次いで、1日目に1mg/kgのシルムツズマブを1回静脈注射するか、又は5mg/kgのイブルチニブを経口摂取によって毎日投与した。上部に示したとおりの処理を受けた代表的なマウス(n=5)から養子細胞移植25日後に集めたリンパ球の、B220(横座表)及びヒトROR-1(縦座標)に特異的な蛍光色素コンジュゲートmAbを用いて細胞を染色した後の蛍光を示す、等高線図。各等高線図の右上にあるパーセントは、白血病細胞のCD5
+B220
lowROR-1
+表現型を有する血液単核細胞の割合を示す。(
図16C)1mg/kgのシルムツズマブの注射を1回受けたか、又は5mg/kgのイブルチニブの注射を毎日受けた、2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞を養子細胞移植してから25日目のレシピエントRag2
-/-γ
c
-/-マウスの、脾臓におけるROR-1×TCL1白血病細胞の合計数。それぞれの記号は、個々のマウスにおいて見出される白血病細胞の数を表す。各動物群(n=5)について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001。
【
図16B】
図16A~16C。組織適合ROR-1
+白血病を移植した免疫欠損マウスにおける、シルムツズマブ及びイブルチニブを用いた処理の相加阻害効果。(
図16A)2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞の静脈内注入を受けてから25日後に集めた、Rag2
-/-γ
c
-/-マウスの代表的な脾臓を示す。(
図16B)シルムツズマブとイブルチニブとの組み合わせは、Rag2
-/-γ
c
-/-マウスにおけるROR-1×TCL1白血病細胞の生着を阻害する。Rag2
-/-γ
c
-/-マウスに2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞を移植し、次いで、1日目に1mg/kgのシルムツズマブを1回静脈注射するか、又は5mg/kgのイブルチニブを経口摂取によって毎日投与した。上部に示したとおりの処理を受けた代表的なマウス(n=5)から養子細胞移植25日後に集めたリンパ球の、B220(横座表)及びヒトROR-1(縦座標)に特異的な蛍光色素コンジュゲートmAbを用いて細胞を染色した後の蛍光を示す、等高線図。各等高線図の右上にあるパーセントは、白血病細胞のCD5
+B220
lowROR-1
+表現型を有する血液単核細胞の割合を示す。(
図16C)1mg/kgのシルムツズマブの注射を1回受けたか、又は5mg/kgのイブルチニブの注射を毎日受けた、2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞を養子細胞移植してから25日目のレシピエントRag2
-/-γ
c
-/-マウスの脾臓におけるROR-1×TCL1白血病細胞の合計数。それぞれの記号は、個々のマウスにおいて見出される白血病細胞の数を表す。各動物群(n=5)について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001。
【
図16C】
図16A~16C。組織適合ROR-1
+白血病を移植した免疫欠損マウスにおける、シルムツズマブ及びイブルチニブを用いた処理の相加阻害効果。(
図16A)2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞の静脈内注入を受けてから25日後に集めた、Rag2
-/-γ
c
-/-マウスの代表的な脾臓を示す。(
図16B)シルムツズマブとイブルチニブとの組み合わせは、Rag2
-/-γ
c
-/-マウスにおけるROR-1×TCL1白血病細胞の生着を阻害する。Rag2
-/-γ
c
-/-マウスに2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞を移植し、次いで、1日目に1mg/kgのシルムツズマブを1回静脈注射するか、又は5mg/kgのイブルチニブを経口摂取によって毎日投与した。上部に示したとおりの処理を受けた代表的なマウス(n=5)から養子細胞移植25日後に集めたリンパ球の、B220(横座表)及びヒトROR-1(縦座標)に特異的な蛍光色素コンジュゲートmAbを用いて細胞を染色した後の蛍光を示す、等高線図。各等高線図の右上にあるパーセントは、白血病細胞のCD5
+B220
lowROR-1
+表現型を有する血液単核細胞の割合を示す。(
図16C)1mg/kgのシルムツズマブの注射を1回受けたか、又は5mg/kgのイブルチニブの注射を毎日受けた、2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞を養子細胞移植してから25日目のレシピエントRag2
-/-γ
c
-/-マウスの脾臓におけるROR-1×TCL1白血病細胞の合計数。それぞれの記号は、個々のマウスにおいて見出される白血病細胞の数を表す。各動物群(n=5)について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001。
【
図17A】
図17A~17C。組織適合ROR-1
+白血病を移植した免疫応答性マウスにおける、シルムツズマブ及びイブルチニブを用いた治療の相加阻害効果。(
図17A)2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞の静脈内注入を与えてから25日後に集めた、ROR-1-Tgマウスの代表的な脾臓が示されている。(
図17B)シルムツズマブとイブルチニブとの組み合わせは、ROR-1-TgマウスにおけるROR-1×TCL1白血病細胞の生着を阻害する。ROR-1-Tgマウスに2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞を移植し、次いで、週に1回、10mg/kgのシルムツズマブを静脈注射するか、又は5mg/kgのイブルチニブを経口摂取によって毎日投与した。上部に示したとおりの処理を受けた代表的なマウス(n=6)から養子細胞移植25日後に集めたリンパ球の、B220(横座表)及びヒトROR-1(縦座標)に特異的な蛍光色素コンジュゲートmAbを用いて細胞を染色した後の等高線図。各等高線図の右上にあるパーセントは、白血病細胞のCD5
+B220
lowROR-1
+表現型を有する血液単核細胞の割合を示す。(
図17C)10mg/kgのシルムツズマブの注射を週に1回受けたか、及び/又はイブルチニブの注射を毎日受けた(5mg/kgで)、2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞を養子細胞移植してから28日目のレシピエントROR-1-Tgマウスの脾臓におけるROR-1×TCL1白血病細胞の合計数。それぞれの記号は、個々のマウスにおいて見出される白血病細胞の数を表す。各動物群(n=6)について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05;
**P<0.01。
【
図17B】
図17A~17C。組織適合ROR-1
+白血病を移植した免疫応答性マウスにおける、シルムツズマブ及びイブルチニブを用いた治療の相加阻害効果。(
図17A)2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞の静脈内注入を与えてから25日後に集めた、ROR-1-Tgマウスの代表的な脾臓が示されている。(
図17B)シルムツズマブとイブルチニブとの組み合わせは、ROR-1-TgマウスにおけるROR-1×TCL1白血病細胞の生着を阻害する。ROR-1-Tgマウスに2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞を移植し、次いで、週に1回、10mg/kgのシルムツズマブを静脈注射するか、又は5mg/kgのイブルチニブを経口摂取によって毎日投与した。上部に示したとおりの処理を受けた代表的なマウス(n=6)から養子細胞移植25日後に集めたリンパ球の、B220(横座表)及びヒトROR-1(縦座標)に特異的な蛍光色素コンジュゲートmAbを用いて細胞を染色した後の等高線図。各等高線図の右上にあるパーセントは、白血病細胞のCD5
+B220
lowROR-1
+表現型を有する血液単核細胞の割合を示す。(
図17C)10mg/kgのシルムツズマブの注射を週に1回受けたか、及び/又はイブルチニブの注射を毎日受けた(5mg/kgで)、2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞を養子細胞移植してから28日目のレシピエントROR-1-Tgマウスの脾臓におけるROR-1×TCL1白血病細胞の合計数。それぞれの記号は、個々のマウスにおいて見出される白血病細胞の数を表す。各動物群(n=6)について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05;
**P<0.01。
【
図17C】
図17A~17C。組織適合ROR-1
+白血病を移植した免疫応答性マウスにおける、シルムツズマブ及びイブルチニブを用いた治療の相加阻害効果。(
図17A)2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞の静脈内注入を与えてから25日後に集めた、ROR-1-Tgマウスの代表的な脾臓が示されている。(
図17B)シルムツズマブとイブルチニブとの組み合わせは、ROR-1-TgマウスにおけるROR-1×TCL1白血病細胞の生着を阻害する。ROR-1-Tgマウスに2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞を移植し、次いで、週に1回、10mg/kgのシルムツズマブを静脈注射するか、又は5mg/kgのイブルチニブを経口摂取によって毎日投与した。上部に示したとおりの処理を受けた代表的なマウス(n=6)から養子細胞移植25日後に集めたリンパ球の、B220(横座表)及びヒトROR-1(縦座標)に特異的な蛍光色素コンジュゲートmAbを用いて細胞を染色した後の等高線図。各等高線図の右上にあるパーセントは、白血病細胞のCD5
+B220
lowROR-1
+表現型を有する血液単核細胞の割合を示す。(
図17C)10mg/kgのシルムツズマブの注射を週に1回受けたか、及び/又はイブルチニブの注射を毎日受けた(5mg/kgで)、2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞を養子細胞移植してから28日目のレシピエントROR-1-Tgマウスの脾臓におけるROR-1×TCL1白血病細胞の合計数。それぞれの記号は、個々のマウスにおいて見出される白血病細胞の数を表す。各動物群(n=6)について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05;
**P<0.01。
【
図18A】
図18A~18B。CD154を用いずに、Wnt5aによって誘発されたCLL増殖についてのCFSEアッセイ。(
図18A)CLL細胞を分類するためのゲーティング戦略。まず、細胞を大きさ及び単一性についてゲーティングし、その後、PI排除によって、さらなる分析のために生きた細胞を特定した。CFSEを用いて染色した後に、生きたCD5及びCD19 CLL細胞について蛍光を調べた。低いCFSE蛍光を有する細胞のパーセントを計算することによって、CLL細胞の分裂率を計算した。(
図18B)IL-4/10存在下で、外因性Wnt5aなしで(上パネル)、又はこれと共に(下パネル)、野生型HeLa細胞と5日間共培養した、CFSE標識CLL細胞(n=6)の蛍光。1つの代表的なCLLサンプルに対する結果を、各ヒストグラムの左隅下に示されている細胞の分裂率と共に示している。
【
図18B】
図18A~18B。CD154を用いずに、Wnt5aによって誘発されたCLL増殖についてのCFSEアッセイ。(
図18A)CLL細胞を分類するためのゲーティング戦略。まず、細胞を大きさ及び単一性についてゲーティングし、その後、PI排除によって、さらなる分析のために生きた細胞を特定した。CFSEを用いて染色した後に、生きたCD5及びCD19 CLL細胞について蛍光を調べた。低いCFSE蛍光を有する細胞のパーセントを計算することによって、CLL細胞の分裂率を計算した。(
図18B)IL-4/10存在下で、外因性Wnt5aなしで(上パネル)、又はこれを用いて(下パネル)、野生型HeLa細胞と5日間共培養した、CFSE標識されたCLL細胞(n=6)の蛍光。1つの代表的なCLLサンプルに対する結果を、各ヒストグラムの左隅下に示されている細胞の分裂率と共に示している。
【
図19A】
図19A~19B。外因性Wnt5aを用い、又は用いずに、シルムツズマブ又はイブルチニブで処理されたCLL細胞の細胞周期の分析。(
図19A)白血病細胞を、IL-4/10又はWnt5a存在下で、HeLa
CD154と共培養し、次いで、シルムツズマブ(10μg/ml)又はイブルチニブ(0.5μM)で4日間処理し、PI染色後に細胞周期の分析を行った。1つの代表的な白血病サンプルが示されている。(
図19B)3種類全てのサンプルについて、S/G2/M期における白血病細胞の平均割合を示している。データは平均±SEMとして示され、テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05;
**P<0.01。
【
図19B】
図19A~19B。外因性Wnt5aを用い、又は用いずに、シルムツズマブ又はイブルチニブで処理されたCLL細胞の細胞周期の分析。(
図19A)白血病細胞を、IL-4/10又はWnt5a存在下で、HeLa
CD154と共培養し、次いで、シルムツズマブ(10μg/ml)又はイブルチニブ(0.5μM)で4日間処理し、PI染色後に細胞周期の分析を行った。1つの代表的な白血病サンプルが示されている。(
図19B)3種類全てのサンプルについて、S/G2/M期における白血病細胞の平均割合を示している。データは平均±SEMとして示され、テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05;
**P<0.01。
【
図20A】
図20A-20B。ROR-1×TCL1白血病移植マウスにおけるシルムツズマブ又はイブルチニブの用量依存性阻害効果。(
図20A)ROR-1×TCL1白血病移植マウスにおけるイブルチニブの用量依存性阻害効果。(
図20B)ROR-1×TCL1白血病移植マウスにおけるシルムツズマブの用量依存性阻害効果。それぞれの記号は、個々のマウスにおいて見出される白血病細胞の数を表す。各動物群(n=6)について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05;
***P<0.001。
【
図20B】
図20A-20B。ROR-1×TCL1白血病移植マウスにおけるシルムツズマブ又はイブルチニブの用量依存性阻害効果。(
図20A)ROR-1×TCL1白血病移植マウスにおけるイブルチニブの用量依存性阻害効果。(
図20B)ROR-1×TCL1白血病移植マウスにおけるシルムツズマブの用量依存性阻害効果。それぞれの記号は、個々のマウスにおいて見出される白血病細胞の数を表す。各動物群(n=6)について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05;
***P<0.001。
【
図21】
図21。Wnt5a及び/又はCD154によって誘発されるTCL1白血病細胞増殖についてのCFSEアッセイ。IL-4/10存在下で、外因性Wnt5aなしで、又はこれと共に、野生型HeLa細胞又はHeLa
CD154細胞と5日間共培養した、CFSE標識TCL1白血病細胞(n=3)の蛍光。各群について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用い、p値を計算した。
【
図22A】
図22A~22C。原発性MCLにおける抗原発現、及びMCL患者血漿におけるWnt5aレベル。(
図22A)CD5及びCD19を発現するMCL細胞に対するゲーティング(左上)。網掛けされたヒストグラムは、他の表面抗原に特異的な蛍光色素コンジュゲートmAbで染色された、ゲーティングされたMCL細胞の蛍光を示す。CLL細胞とは対照的に、MCL細胞は、CD200(右上)又はCD23(左下)に特異的なmAbで染色することができなかった。CLLと同様に、MCLは、高レベルのROR-1を発現する(右下)。白色のヒストグラムは、同位体コントロール抗体で染色された細胞の蛍光を示す。(
図22B)MCL対CLLにおけるROR-1のΔMFI。ns=有意ではない。(
図22C)年齢を合わせたコントロール被験体に対する、MCL患者における血漿Wnt5a(1群あたりn=4;P<0.05、スチューデントのt検定)。
【
図22B】
図22A~22C。原発性MCLにおける抗原発現及び、MCL患者血漿におけるWnt5aレベル。(
図22A)CD5及びCD19を発現するMCL細胞に対するゲーティング(左上)。網掛けされたヒストグラムは、他の表面抗原に特異的な蛍光色素コンジュゲートmAbで染色された、ゲーティングされたMCL細胞の蛍光を示す。CLL細胞とは対照的に、MCL細胞は、CD200(右上)又はCD23(左下)に特異的なmAbで染色することができなかった。CLLと同様に、MCLは、高レベルのROR-1を発現する(右下)。白色のヒストグラムは、同位体コントロール抗体で染色された細胞の蛍光を示す。(
図22B)MCL対CLLにおけるROR-1のΔMFI。ns=有意ではない。(
図22C)年齢を合わせたコントロール被験体に対する、MCL患者における血漿Wnt5a(1群あたりn=4;P<0.05、スチューデントのt検定)。
【
図22C】
図22A~22C。原発性MCLにおける抗原発現と、MCL患者血漿におけるWnt5aレベル。(
図22A)CD5及びCD19を発現するMCL細胞に対するゲーティング(左上)。網掛けされたヒストグラムは、他の表面抗原に特異的な蛍光色素コンジュゲートmAbで染色された、ゲーティングされたMCL細胞の蛍光を示す。CLL細胞とは対照的に、MCL細胞は、CD200(右上)又はCD23(左下)に特異的なmAbで染色することができなかった。CLLと同様に、MCLは、高レベルのROR-1を発現する(右下)。白色のヒストグラムは、同位体コントロール抗体で染色された細胞の蛍光を示す。(
図22B)MCL対CLLにおけるROR-1のΔMFI。ns=有意ではない。(
図22C)年齢を合わせたコントロール被験体に対する、MCL患者における血漿Wnt5a(1群あたりn=4;P<0.05、スチューデントのt検定)。
【
図23A】
図23A~23D。MCL細胞におけるRac1活性化及び細胞周期の分析。(
図23A)イムノブロットの各レーンの上に示されるように、Wnt5a(200ng/ml)を用いて、又は用いずに、イブルチニブ(0.5μM)を用いて、又は用いずに、シルムツズマブ(10μg/ml)を用いて、又は用いずに処理したMCL細胞において、活性型Rac1を測定した。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性化されたもののバンドIODの比率である。(
図23B)未処理CLL細胞、又はシルムツズマブ及び/又はイブルチニブで処理したCLL細胞における、Wnt5aによって誘発されるRac1の活性化。5つの独立した実験で観察される平均Rac1活性化が示される(n=3)。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性化されたもののバンドIODの比率である。各群について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
****P<0.0001。(
図23C)MCL細胞を、IL-4/10又はWnt5a存在下で、HeLa
CD154と共培養し、次いで、シルムツズマブ(10μg/ml)又はイブルチニブ(0.5μM)で4日間処理し、PI染色後に細胞周期の分析を行った。1つの代表的なCLLサンプルが示されている。(
図23D)試験したMCL患者全てについてのS/G2期における細胞の平均分率が示されている(n=3)。データは平均±SEMとして示され、テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05;
**P<0.01。ns=有意ではない。
【
図23B】
図23A~23D。MCL細胞におけるRac1活性化及び細胞周期の分析。(
図23A)イムノブロットの各レーンの上に示されるように、Wnt5a(200ng/ml)を用いて、又は用いずに、イブルチニブ(0.5μM)を用いて、又は用いずに、シルムツズマブ(10μg/ml)を用いて、又は用いずに処理したMCL細胞において、活性型Rac1を測定した。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性化されたもののバンドIODの比率である。(
図23B)未処理CLL細胞、又はシルムツズマブ及び/又はイブルチニブで処理したCLL細胞における、Wnt5aによって誘発されるRac1の活性化。5つの独立した実験で観察される平均Rac1活性化が示される(n=3)。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性化されたもののバンドIODの比率である。各群について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
****P<0.0001。(
図23C)MCL細胞を、IL-4/10又はWnt5a存在下で、HeLa
CD154と共培養し、次いで、シルムツズマブ(10μg/ml)又はイブルチニブ(0.5μM)で4日間処理し、PI染色後に細胞周期の分析を行った。1つの代表的なCLLサンプルが示されている。(
図23D)試験したMCL患者全てについてのS/G2期における細胞の平均分率が示されている(n=3)。データは平均±SEMとして示され、テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05;
**P<0.01。ns=有意ではない。
【
図23C】
図23A~23D。MCL細胞におけるRac1活性化及び細胞周期の分析。(
図23A)イムノブロットの各レーンの上に示されるように、Wnt5a(200ng/ml)を用いて、又は用いずに、イブルチニブ(0.5μM)を用いて、又は用いずに、シルムツズマブ(10μg/ml)を用いて、又は用いずに処理したMCL細胞において、活性型Rac1を測定した。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性化されたもののバンドIODの比率である。(
図23B)未処理CLL細胞、又はシルムツズマブ及び/又はイブルチニブで処理したCLL細胞における、Wnt5aによって誘発されるRac1の活性化。5つの独立した実験で観察される平均Rac1活性化が示される(n=3)。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性化されたもののバンドIODの比率である。各群について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
****P<0.0001。(
図23C)MCL細胞を、IL-4/10又はWnt5a存在下で、HeLa
CD154と共培養し、次いで、シルムツズマブ(10μg/ml)又はイブルチニブ(0.5μM)で4日間処理し、PI染色後に細胞周期の分析を行った。1つの代表的なCLLサンプルが示されている。(
図23D)試験したMCL患者全てについてのS/G2期における細胞の平均分率が示されている(n=3)。データは平均±SEMとして示され、テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05;
**P<0.01。ns=有意ではない。
【
図23D】
図23A~23D。MCL細胞におけるRac1活性化及び細胞周期の分析。(
図23A)活性化されたRac1を、イムノブロットの各レーンの上に示されるように、Wnt5a(200ng/ml)を用いて、又は用いずに、イブルチニブ(0.5μM)を用いて、又は用いずに、シルムツズマブ(10μg/ml)を用いて、又は用いずに治療されたMCL細胞で測定した。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性化されたもののバンドIODの比率である。(
図23B)治療を行っていないか、又はシルムツズマブ及び/又はイブルチニブで治療したCLL細胞における、Rac1のWnt5aによって誘発される活性化。5つの独立した実験で観察される平均Rac1活性化が示される(n=3)。それぞれのレーンの下の数字は、未処理サンプルに対して正規化された、全GTPaseに対する活性化されたもののバンドIODの比率である。各群について、データは平均±SEMとして示される。テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
****P<0.0001。(
図23C)MCL細胞を、IL-4/10又はWnt5a存在下で、HeLa
CD154と共培養し、次いで、シルムツズマブ(10μg/ml)又はイブルチニブ(0.5μM)で4日間処理し、PI染色後に細胞周期の分析を行った。1つの代表的なCLLサンプルが示されている。(
図23D)試験したMCL患者全てについてのS/G2期における細胞の平均分率が示されている(n=3)。データは平均±SEMとして示され、テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAを用いて計算される場合、
*P<0.05;
**P<0.01。ns=有意ではない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
本発明の様々な実施形態及び態様が本明細書に示され、説明されているが、このような実施形態及び態様が単なる例示として提供されることは当業者には明らかであろう。本発明から逸脱することなく、当業者には数多くの変形、変更及び置換が可能である。本明細書に記載された本発明の実施形態に対する様々な代替物が、本発明の実施において採用されてもよいことが理解されるべきである。
【0014】
本明細書で使用される章の見出しは、編成目的のみのためのものであり、記載される主題を限定するものと解釈されるべきではない。本出願に引用される全ての文書又は文書の一部は、限定されないが、特許、特許出願、記事、書籍、マニュアル及び論文を含め、あらゆる目的のためにこの全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0015】
本明細書で使用される略語は、化学分野及び生物学分野の中での従来の意味を有する。本明細書に記載の化学構造及び式は、化学分野で知られている化学原子価の標準規則に従って構築される。
【0016】
置換基が、左から右に書かれた従来の化学式によって特定される場合、構造を右から左へ書くことから生じる化学的に同一の置換基を等しく包含する。例えば-CH2O-は、-OCH2-と等価である。
【0017】
「アルキル」という用語は、それ自体又は別の置換基の一部として、特に明記しない限り、直鎖(すなわち、非分枝鎖)又は分枝鎖の非環状炭素鎖(又は炭素)、又はこれらの組み合わせを意味し、完全に飽和していてもよく、一飽和又は多飽和であってもよく、指定の炭素原子数を含む二価及び多価の基(すなわち、C1-C10は、1~10個の炭素を意味する)を含んでいてもよい。飽和炭化水素基の例としては、限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、(シクロヘキシル)メチル、これらの同族体及び異性体、例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどが挙げられる。不飽和アルキル基は、1つ以上の二重結合を有するもの又は三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例としては、限定されないが、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-及び3-プロピニル、3-ブチニル、及びもっと高級の同族体及び異性体が挙げられる。アルコキシは、酸素リンカー(-O-)を介して分子の残りの部分に結合したアルキルである。アルキル部分は、アルケニル部分であってもよい。アルキル部分は、アルキニル部分であってもよい。アルキル部分は、完全に飽和していてもよい。アルケニルは、1つ以上の二重結合に加えて、1つ以上の二重結合及び/又は1つ以上の三重結合を含んでいてもよい。アルキニルは、1つ以上の三重結合に加えて、1つ以上の多い三重結合及び/又は1つ以上の二重結合を含んでいてもよい。
【0018】
「アルキレン」という用語は、それ自体又は別の置換基の一部として、特に明記しない限り、限定されないが、-CH2CH2CH2CH2-によって例示されるように、アルキルから誘導される二価の基を意味する。典型的には、アルキル(又はアルキレン)基は1~24個の炭素原子を含み、10個以下の炭素原子を含む基が本発明において好ましい。「低級アルキル」又は「低級アルキレン」は、一般に8個以下の炭素原子を有する、より短い鎖のアルキル基又はアルキレン基である。「アルケニレン」という用語は、それ自体又は別の置換基の一部として、特に明記しない限り、アルケンから誘導される二価の基を意味する。
【0019】
「ヘテロアルキル」という用語は、それ自体又は別の用語と組み合わせて、特に明記しない限り、少なくとも1個の炭素原子と、少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、O、N、P、Si及びS)とを含み、窒素原子及び硫黄原子が、任意選択的に酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子が、任意選択的に四級化されていてもよい、安定な直鎖又は分枝鎖の非環状の基、又はこれらの組み合わせを意味する。ヘテロ原子(例えば、O、N、P、Si及びS)は、ヘテロアルキル基の任意の内部位置に、又はアルキル基が分子の残りの部分に結合している位置に、配置されてもよい。例としては、限定されないが、-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-CH2、-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-CH3、-CH=CH-O-CH3、-Si(CH3)3、-CH2-CH=N-OCH3、-CH=CH-N(CH3)-CH3、-O-CH3、-O-CH-2-CH3及び-CNが挙げられる。例えば、-CH2-NH-OCH3及び-CH2-O-Si(CH3)3のように、2個又は3個までのヘテロ原子が連続していてもよい。ヘテロアルキル部分は、1個のヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含んでいてもよい。ヘテロアルキル部分は、2個の任意選択的に異なるヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含んでいてもよい。ヘテロアルキル部分は、3個の任意選択的に異なるヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含んでいてもよい。ヘテロアルキル部分は、4個の任意選択的に異なるヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含んでいてもよい。ヘテロアルキル部分は、5個の任意選択的に異なるヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含んでいてもよい。ヘテロアルキル部分は、8個の任意選択的に異なるヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含んでいてもよい。「ヘテロアルケニル」という用語は、それ自体又は別の用語と組み合わせて、特に明記しない限り、少なくとも1つの二重結合を含むヘテロアルキルを意味する。ヘテロアルケニルは、任意選択的に、1つ以上の二重結合に加えて、1つより多い二重結合及び/又は1つ以上の三重結合を含んでいてもよい。「ヘテロアルキニル」という用語は、それ自体又は別の用語と組み合わせて、特に明記しない限り、少なくとも1つの三重結合を含むヘテロアルキルを意味する。ヘテロアルキニルは、任意選択的に、1つ以上の三重結合に加えて、1つより多い三重結合及び/又は1つ以上の二重結合を含んでいてもよい。
【0020】
同様に、「ヘテロアルキレン」という用語は、それ自体又は別の置換基の一部として、特に明記しない限り、限定されないが、-CH2-CH2-S-CH2-CH2-及び-CH2-S-CH2-CH2-NH-CH2-によって例示されるように、ヘテロアルキルから誘導される二価の基を意味する。ヘテロアルキレン基の場合、ヘテロ原子は、鎖末端の一方又は両方を占有していてもよい(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。さらに、アルキレン連結基及びヘテロアルキレン連結基の場合、連結基の向きは、連結基の式が書かれている方向によって暗示されるものではない。例えば、式-C(O)2R’-は、-C(O)2R’-及び-R’C(O)2-の両方を表す。上記のように、ヘテロアルキル基は、本明細書で使用される場合、-C(O)R’、-C(O)NR’、-NR’R’’、-OR’、-SR’及び/又は-SO2R’などの、ヘテロ原子によって分子の残りの部分に接続する基を含む。「ヘテロアルキル」が引用され、続いて-NR’R’’などのような特定のヘテロアルキル基が列挙される場合、ヘテロアルキル及び-NR’R’’といった用語は、重複するものではなく、又は相互に排他的ではないことが理解されるだろう。むしろ、特定のヘテロアルキル基は、明瞭性を追加するために列挙される。したがって、「ヘテロアルキル」との用語は、本明細書中では、-NR’R’’などの特定のヘテロアルキル基を除外するものであると解釈されるべきではない。
【0021】
「シクロアルキル」及び「ヘテロシクロアルキル」という用語は、それ自体、又は他の用語との組み合わせで、特に明記しない限り、「アルキル」及び「ヘテロアルキル」の非芳香環バージョンをそれぞれ意味し、ここで、非水素原子との結合に関与する全ての炭素原子価に起因して、1つ以上の環を構成する炭素は、必ずしも水素に結合している必要はない。さらに、ヘテロシクロアルキルの場合、ヘテロ原子は、ヘテロ環が分子の残りの部分に結合している位置を占有していてもよい。シクロアルキルの例としては、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチル、3-ヒドロキシ-シクロブタ-3-エニル-1,2-ジオン、1H-1,2,4-トリアゾリル-5(4H)-オン、4H-1,2,4-トリアゾリルなどが挙げられる。ヘテロシクロアルキルの例としては、限定されないが、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニルなどが挙げられる。「シクロアルキレン」及び「ヘテロシクロアルキレン」は、単独で、又は別の置換基の一部として、それぞれシクロアルキル及びヘテロシクロアルキルから誘導される二価の基を意味する。ヘテロシクロアルキル部分は、1個の環ヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含んでいてもよい。ヘテロシクロアルキル部分は、2個の任意選択的に異なる環ヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含んでいてもよい。ヘテロシクロアルキル部分は、3個の任意選択的に異なる環ヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含んでいてもよい。ヘテロシクロアルキル部分は、4個の任意選択的に異なる環ヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含んでいてもよい。ヘテロシクロアルキル部分は、5個の任意選択的に異なる環ヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含んでいてもよい。ヘテロシクロアルキル部分は、8個までの任意選択的に異なる環ヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含んでいてもよい。
【0022】
「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、それ自体で、又は別の置換基の一部として、特に明記しない限り、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。さらに、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むことを意味する。例えば、「ハロ(C1-C4)アルキル」という用語は、限定されないが、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどを含む。
【0023】
「アシル」という用語は、特に明記しない限り、-C(O)Rを意味し、ここでRは、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール、又は置換又は非置換のヘテロアリールである。
【0024】
「アリール」という用語は、特に明記しない限り、多価不飽和の芳香族炭化水素置換基を意味し、単環、又は一緒に縮合しているか(すなわち、縮合環アリール)、又は共有結合した多環(好ましくは1~3個の環)であってもよい。縮合環アリールは、縮合環の少なくとも1つがアリール環である、縮合した複数の環を指す。「ヘテロアリール」との用語は、N、O又はSなどの少なくとも1個のヘテロ原子を含有するアリール基(又は環)を指し、窒素原子及び硫黄原子は、任意選択的に酸化されており、窒素原子は、任意選択的に四級化されている。したがって、「ヘテロアリール」という用語は、縮合環ヘテロアリール基(すなわち、縮合環の少なくとも1つがヘテロ芳香環である、複数の縮合した環)を含む。5,6-縮合環ヘテロアリーレンは、1つの環が5員であり、他の環が6員であり、少なくとも1つの環がヘテロアリール環である、縮合した2つの環を指す。同様に、6,6-縮合環ヘテロアリーレンは、1つの環が6員であり、他の環が6員であり、少なくとも1つの環がヘテロアリール環である、縮合した2つの環を指す。また、6,5-縮合環ヘテロアリーレンは、1つの環が6員であり、他の環が5員であり、少なくとも1つの環がヘテロアリール環である、縮合した2つの環を指す。ヘテロアリール基は、炭素原子又はヘテロ原子を介して分子の残りの部分に結合していてもよい。アリール基及びヘテロアリール基の非限定的な例としては、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンゾイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル及び6-キノリルが挙げられる。上述のアリール環系及びヘテロアリール環系のそれぞれの置換基は、以下に記載される許容される置換基の群から選択される。「アリーレン」及び「ヘテロアリーレン」は、単独で、又は別の置換基の一部として、それぞれアリール及びヘテロアリールから誘導される二価の基を意味する。アリール基及びヘテロアリール基の非限定的な例としては、ピリジニル、ピリミジニル、チオフェニル、チエニル、フラニル、インドリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、チアナフタニル、ピロロピリジニル、インダゾリル、キノリニル、キノキサリニル、ピリドピラジニル、キナゾリノニル、ベンゾイソオキサゾリル、イミダゾピリジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾチオフェニル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピラジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、フリルチエニル、ピリジル、ピリミジル、ベンゾチアゾリル、プリニル、ベンゾイミダゾリル、イソキノリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピロリル、ジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ベンゾチアジアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾロピリミジニル、ピロロピリミジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル又はキノリルが挙げられる。上述の例は、置換又は非置換であってもよく、上述の各ヘテロアリールの例の二価の基は、ヘテロアリーレンの非限定的な例である。ヘテロアリール部分は、1個の環ヘテロ原子(例えば、O、N又はS)を含んでいてもよい。ヘテロアリール部分は、2個の任意選択的に異なる環ヘテロ原子(例えば、O、N又はS)を含んでいてもよい。ヘテロアリール部分は、3個の任意選択的に異なる環ヘテロ原子(例えば、O、N又はS)を含んでいてもよい。ヘテロアリール部分は、4個の任意選択的に異なる環ヘテロ原子(例えば、O、N又はS)を含んでいてもよい。ヘテロアリール部分は、5個の任意選択的に異なる環ヘテロ原子(例えば、O、N又はS)を含んでいてもよい。アリール部分は、単環を有していてもよい。アリール部分は、2個の任意選択的に異なる環を有していてもよい。アリール部分は、3個の任意選択的に異なる環を有していてもよい。アリール部分は、4個の任意選択的に異なる環を有していてもよい。ヘテロアリール部分は、1個の環を有していてもよい。ヘテロアリール部分は、2個の任意選択的に異なる環を有していてもよい。ヘテロアリール部分は、3個の任意選択的に異なる環を有していてもよい。ヘテロアリール部分は、4個の任意選択的に異なる環を有していてもよい。ヘテロアリール部分は、5個の任意選択的に異なる環を有していてもよい。
【0025】
縮合環ヘテロシクロアルキルアリールは、ヘテロシクロアルキルに縮合したアリールである。縮合環ヘテロシクロアルキルヘテロアリールは、ヘテロシクロアルキルに縮合したヘテロアリールである。縮合環ヘテロシクロアルキルシクロアルキルは、シクロアルキルに縮合したヘテロシクロアルキルである。縮合環ヘテロシクロアルキルヘテロシクロアルキルは、別のヘテロシクロアルキルに縮合したヘテロシクロアルキルである。縮合環ヘテロシクロアルキルアリール、縮合環ヘテロシクロアルキルヘテロアリール、縮合環ヘテロシクロアルキルシクロアルキル又は縮合環ヘテロシクロアルキルヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、非置換であってもよく、又は本明細書に記載の1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0026】
「オキソ」という用語は、本明細書で使用される場合、炭素原子に二重結合により結合した酸素を意味する。
【0027】
「アルキルスルホニル」という用語は、本明細書で使用される場合、式-S(O2)-R’を有する部分を意味し、ここで、R’は、上で定義した置換又は非置換のアルキル基である。R’は、特定数の炭素(例えば、「C1-C4アルキルスルホニル」)を含んでいてもよい。
【0028】
上述の用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」及び「ヘテロアリール」)はそれぞれ、示された基の置換型及び非置換型の両方を含む。それぞれの種類の基のための好ましい置換基を、以下に提供する。
【0029】
アルキル基及びヘテロアルキル基の置換基(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル及びヘテロシクロアルケニルとしばしば呼ばれる基を含む)は、限定されないが、0から(2m’+1)までの範囲の数の-OR’、=O、=NR’、=N-OR’、-NR’R’’、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-CO2R’、-CONR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NR’’C(O)2R’、-NR-C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、-NR-C(NR’R’’)=NR’’’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R’’、-NRSO2R’、-NR’NR’’R’’’、-ONR’R’’、-NR’C=(O)NR’’NR’’’R’’’’、-CN、-NO2から選択される種々の基の1つ以上であってもよく、ここで、m’は、このような基の合計炭素原子数である。R、R’、R’’、R’’’及びR’’’’は、それぞれ好ましくは、独立して、水素、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール(例えば、1~3個のハロゲンで置換されたアリール)、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換のアルキル、アルコキシ又はチオアルコキシ基、又はアリールアルキル基を指す。本発明の化合物が1つより多いR基を含む場合、例えば、それぞれのR’、R’’、R’’’及びR’’’’基が、これらの基が1つより多く存在する場合と同様に、R基は、それぞれ独立して選択される。R’とR’’が同じ窒素原子に結合している場合、それらは窒素原子と合わさって、4、5、6又は7員を形成することができる。例えば、-NR’R’’としては、限定されないが、1-ピロリジニル及び4-モルホリニルが挙げられる。置換基の上述の考察から、当業者は、「アルキル」という用語を、水素基以外の基に結合した炭素原子を含む基、例えば、ハロアルキル(例えば、-CF3及び-CH2CF3)及びアシル(例えば、-C(O)CH3、-C(O)CF3、-C(O)CH2OCH3など)を含むことを意味すると理解するだろう。
【0030】
アルキル基について記載した置換基と同様に、アリール基及びヘテロアリール基の置換基は、様々であり、例えば、ゼロから、芳香族環系での占有されていない価数の合計数までの数の-OR’、-NR’R’’、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-CO2R’、-CONR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NR’’C(O)2R’、-NR-C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、-NR-C(NR’R’’)=NR’’’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R’’、-NRSO2R’、-NR’NR’’R’’’、-ONR’R’’、-NR’C=(O)NR’’NR’’’R’’’’、-CN、-NO2、-R’、-N3、-CH(Ph)2、フルオロ(C1-C4)アルコキシ及びフルオロ(C1-C4)アルキルから選択され、ここで、R’、R’’、R’’’及びR’’’’は、好ましくは、独立して、水素、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール及び置換又は非置換のヘテロアリールから選択される。本発明の化合物が1つより多いR基を含む場合、例えば、それぞれのR’、R’’、R’’’及びR’’’’基が、これらの基が1つより多く存在する場合と同様に、R基は、それぞれ独立して選択される。
【0031】
2つ以上の置換基が接続し、任意選択的にアリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基を形成してもよい。このようないわゆる環形成置換基は、必ずしもそうではないが、典型的には、環の基本構造に結合していることが見出される。複数の実施形態では、環形成置換基は、基本構造の隣接する原子に結合している。例えば、環基本構造の隣接する原子に結合した2個の環形成置換基は、縮合環構造を生成する。別の実施形態では、環形成置換基は、基本構造の単一の原子に結合している。例えば、環基本構造の単一の原子に結合した2個の環形成置換基は、スピロ環構造を生成する。さらに別の実施形態では、環形成置換基は、基本構造の隣接していない原子に結合している。
【0032】
アリール環又はヘテロアリール環の隣接する原子上の2個の置換基は、任意選択的に、式-T-C(O)-(CRR’)q-U-の環を形成し、ここで、T及びUは、独立して、-NR-、-O-、-CRR’-又は単結合であり、qは、0~3の整数である。アリール環又はヘテロアリール環の隣接する原子上の2個の置換基は、任意選択的に、式-A-(CH2)r-B-の置換基と置き換わっていてもよく、ここで、A及びBは、独立して、-CRR’-、-O-、-NR-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR’-又は単結合であり、rは、1~4の整数である。このようにして形成された新しい環の単結合の1つが、任意選択的に、二重結合と置き換わっていてもよい。又は、アリール環又はヘテロアリール環の隣接原子上の置換基のうち2つが、任意選択的に、式-(CRR’)s-X’-(C’’R’’R’’’)d-の置換基と置き換わっていてもよく、ここで、s及びdは、独立して、0~3の整数であり、X’は、-O-、-NR’-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-又は-S(O)2NR’-である。置換基R、R’、R’’及びR’’’は、好ましくは、独立して、水素、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール、及び置換又は非置換のヘテロアリールから選択される。
【0033】
本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」又は「環ヘテロ原子」という用語は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、リン(P)及びケイ素(Si)を含むことを意味する。
【0034】
「置換基」は、本明細書で使用される場合、以下の部分から選択される基を意味する:
(A)オキソ、ハロゲン、-CF3、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC=(O)NHNH2、-NHC=(O)NH2、-NHSO2H、-NHC=(O)H、-NHC(O)-OH、-NHOH、-OCF3、-OCHF2、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、及び
(B)以下から選択される少なくとも1つの置換基で置換された、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール:
(i)オキソ、ハロゲン、-CF3、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC=(O)NHNH2、-NHC=(O)NH2、-NHSO2H、-NHC=(O)H、-NHC(O)-OH、-NHOH、-OCF3、-OCHF2、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、及び
(ii)以下から選択される少なくとも1つの置換基で置換された、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール:
(a)オキソ、ハロゲン、-CF3、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC=(O)NHNH2、-NHC=(O)NH2、-NHSO2H、-NHC=(O)H、-NHC(O)-OH、-NHOH、-OCF3、-OCHF2、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、及び
(b)以下から選択される少なくとも1つの置換基で置換された、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール:オキソ、ハロゲン、-CF3、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC=(O)NHNH2、-NHC=(O)NH2、-NHSO2H、-NHC=(O)H、-NHC(O)-OH、-NHOH、-OCF3、-OCHF2、非置換アルキル、非置換ヘテロアリール、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール。
【0035】
「大きさが制限された置換基(size-limited substituent)」又は「大きさが制限された置換基(size-limited substituent group)」は、本明細書で使用される場合、「置換基」について上に記載した全ての置換基から選択される基を意味し、ここで、それぞれの置換又は非置換のアルキルは、置換又は非置換のC1-C20アルキルであり、それぞれの置換又は非置換のヘテロアルキルは、置換又は非置換の2~20員ヘテロアルキルであり、それぞれの置換又は非置換のシクロアルキルは、置換又は非置換のC3-C8シクロアルキルであり、それぞれの置換又は非置換のヘテロシクロアルキルは、置換又は非置換の3~8員ヘテロシクロアルキルであり、それぞれの置換又は非置換のアリールは、置換又は非置換のC6-C10アリールであり、それぞれの置換又は非置換のヘテロアリールは、置換又は非置換の5~10員ヘテロアリールである。
【0036】
「低級置換基(lower substituent)」又は「低級置換基(lower substituent group)」は、本明細書で使用される場合、「置換基」について上に記載した全ての置換基から選択される基を意味し、ここで、それぞれの置換又は非置換のアルキルは、置換又は非置換のC1-C8アルキルであり、それぞれの置換又は非置換のヘテロアルキルは、置換又は非置換の2~8員ヘテロアルキルであり、それぞれの置換又は非置換のシクロアルキルは、置換又は非置換のC3-C7シクロアルキルであり、それぞれの置換又は非置換のヘテロシクロアルキルは、置換又は非置換の3~7員ヘテロシクロアルキルであり、それぞれの置換又は非置換のアリールは、置換又は非置換のC6-C10アリールであり、それぞれの置換又は非置換のヘテロアリールは、置換又は非置換の5~9員ヘテロアリールである。
【0037】
幾つかの実施形態では、本明細書の化合物に記載の各置換基は、少なくとも1つの置換基で置換されている。より具体的には、幾つかの実施形態では、本明細書の化合物に記載の置換アルキル、置換ヘテロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アルキレン、置換ヘテロアルキレン、置換シクロアルキレン、置換ヘテロシクロアルキレン、置換アリーレン及び/又は置換ヘテロアリーレンは、それぞれ、少なくとも1つの置換基で置換されている。他の実施形態では、これらの基の少なくとも1つ又は全てが、少なくとも1つの大きさが制限された置換基で置換されている。他の実施形態では、これらの基の少なくとも1つ又は全てが、少なくとも1つの低級置換基で置換されている。
【0038】
本明細書の化合物の他の実施形態では、それぞれの置換又は非置換のアルキルは、置換又は非置換のC1-C20アルキルであってもよく、それぞれの置換又は非置換のヘテロアルキルは、置換又は非置換の2~20員ヘテロアルキルであり、それぞれの置換又は非置換のシクロアルキルは、置換又は非置換のC3-C8シクロアルキルであり、それぞれの置換又は非置換のヘテロシクロアルキルは、置換又は非置換の3~8員ヘテロシクロアルキルであり、それぞれの置換又は非置換のアリールは、置換又は非置換のC6-C10アリールであり、及び/又はそれぞれの置換又は非置換のヘテロアリールは、置換又は非置換の5~10員ヘテロアリールである。本明細書の化合物の幾つかの実施形態では、それぞれの置換又は非置換のアルキレンは、置換又は非置換のC1-C20アルキレンであってもよく、それぞれの置換又は非置換のヘテロアルキレンは、置換又は非置換の2~20員ヘテロアルキレンであり、それぞれの置換又は非置換のシクロアルキレンは、置換又は非置換のC3-C8シクロアルキレンであり、それぞれの置換又は非置換のヘテロシクロアルキレンは、置換又は非置換の3~8員ヘテロシクロアルキレンであり、それぞれの置換又は非置換のアリーレンは、置換又は非置換のC6-C10アリーレンであり、及び/又はそれぞれの置換又は非置換のヘテロアリーレンは、置換又は非置換の5~10員ヘテロアリーレンである。
【0039】
幾つかの実施形態では、それぞれの置換又は非置換のアルキルは、置換又は非置換のC1-C8アルキルであり、それぞれの置換又は非置換のヘテロアルキルは、置換又は非置換の2~8員ヘテロアルキルであり、それぞれの置換又は非置換のシクロアルキルは、置換又は非置換のC3-C7シクロアルキルであり、それぞれの置換又は非置換のヘテロシクロアルキルは、置換又は非置換の3~7員ヘテロシクロアルキルであり、それぞれの置換又は非置換のアリールは、置換又は非置換のC6-C10アリールであり、及び/又はそれぞれの置換又は非置換のヘテロアリールは、置換又は非置換の5~9員ヘテロアリールである。幾つかの実施形態では、それぞれの置換又は非置換のアルキレンは、置換又は非置換のC1-C8アルキレンであり、それぞれの置換又は非置換のヘテロアルキレンは、置換又は非置換の2~8員ヘテロアルキレンであり、それぞれの置換又は非置換のシクロアルキレンは、置換又は非置換のC3-C7シクロアルキレンであり、それぞれの置換又は非置換のヘテロシクロアルキレンは、置換又は非置換の3~7員ヘテロシクロアルキレンであり、それぞれの置換又は非置換のアリーレンは、置換又は非置換のC6-C10アリーレンであり、及び/又はそれぞれの置換又は非置換のヘテロアリーレンは、置換又は非置換の5~9員ヘテロアリーレンである。幾つかの実施形態では、化合物は、以下の実施例の章、図面又は表に記載の化学種である。
【0040】
「薬学的に許容される塩」との用語は、本明細書に記載される化合物上にみられる特定の置換基に応じて、比較的非毒性の酸又は塩基を用いて調製される活性化合物の塩を含むことを意味する。本発明の化合物が、相対的に酸性の官能基を含む場合、塩基付加塩は、無希釈で、又は適切な不活性溶媒中で、このような化合物の中性形態と、十分な量の所望な塩基とを接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩の例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、又はマグネシウム塩、又は同様の塩が挙げられる。本発明の化合物が、相対的に塩基性の官能基を含む場合、酸付加塩は、無希釈で、又は適切な不活性溶媒中で、このような化合物の中性形態と、十分な量の所望な酸とを接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸又は亜リン酸などの有機酸から誘導されるもの、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの比較的非毒性の有機酸から誘導される塩が挙げられる。アルギン酸塩などのアミノ酸の塩、グルクロン酸又はガラクツロン酸などの有機酸の塩も含まれる(例えば、Berge et al.、Journal of Pharmaceutical Science 66:1-19(1977)を参照)。特定の具体的な本発明の化合物は、塩基性官能基と酸性官能基を両方とも含み、この化合物を塩基付加塩又は酸付加塩に変換することができる。当業者に知られている他の薬学的に許容される担体は、本発明に適している。塩は、対応する遊離塩基形態よりも水性溶媒又は他のプロトン性溶媒に可溶性な傾向がある。他の場合に、この調製物は、pH範囲が4.5~5.5の1mM~50mMのヒスチジン、0.1%~2%のショ糖、2%~7%のマンニトール中、凍結乾燥させた粉末であってもよく、これを使用前にバッファーと合わせる。
【0041】
したがって、本発明の化合物は、塩として、例えば、薬学的に許容される酸との塩として存在していてもよい。本発明は、このような塩を含む。このような塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩(例えば、(+)-酒石酸塩、(-)-酒石酸塩、又はラセミ体混合物を含む、これらの混合物)、コハク酸塩、安息香酸塩、及びアミノ酸(例えばグルタミン酸)との塩が挙げられる。これらの塩は、当業者に知られている方法によって調製されてもよい。
【0042】
化合物の中性形態は、好ましくは、塩と塩基又は酸とを接触させ、親化合物を従来の様式で単離することによって再生される。化合物の親形態は、極性溶媒への溶解度など特定の物理特性において、種々の塩形態とは異なっている。
【0043】
本明細書には、プロドラッグ形態であってもよい薬剤(例えば、化合物、薬物、治療薬剤)が提供される。本明細書に記載の化合物のプロドラッグは、最終的な薬剤(例えば、化合物、薬物、治療薬剤)を与えるように選択した生理学的条件下で容易に化学変化を受ける化合物である。さらに、プロドラッグは、ex vivo環境で、化学的方法又は生化学的方法によって、薬剤(例えば、化合物、薬物、治療薬剤)に変換することができる。本明細書に記載のプロドラッグとしては、生体系(例えば被験体の生体系)に対し、薬剤(例えば、化合物、薬物、治療薬剤)を与えるように選択した生理学的条件下で容易に化学変化を受ける化合物が挙げられる。
【0044】
特定の本発明の化合物は、溶媒和していない形態及び溶媒和した形態(水和した形態を含む)で存在していてもよい。一般的に、溶媒和した形態は、溶媒和していない形態と等価であり、本発明の範囲内に包含される。特定の本発明の化合物は、複数の結晶形態又はアモルファス形態で存在していてもよい。一般的に、全ての物理形態は、本発明のために想定される使用にとって等価であり、本発明の範囲内であることが意図されている。
【0045】
本明細書で使用される場合、「塩」との用語は、本発明の方法で使用される化合物の酸又は塩基の塩を指す。許容される塩の具体例は、鉱物酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸など)の塩、有機酸(酢酸、プロピオン酸、グルタミン酸、クエン酸など)の塩、第四級アンモニウム(ヨウ化メチル、ヨウ化エチルなど)の塩である。
【0046】
本発明の特定の化合物は、不斉炭素原子(光学的又はキラル中心)又は二重結合を有する。エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマー、互変異性体、幾何異性体、アミノ酸の(R)-又は(S)-又は(D)-又は(L)-として、絶対立体化学の観点から定義されてもよい立体異性体形態は、本発明の範囲内に包含される。本発明の化合物は、合成及び/又は単離するにはあまりにも不安定であることが当該分野で知られているものを含まない。本発明は、ラセミ体及び光学的に純粋な形態の化合物を含むことを意味する。光学活性な(R)-及び(S)-又は(D)-及び(L)-異性体は、キラルなシントン又はキラル試薬を用いて調製することができ、又は従来の技術を用いて分割することができる。本明細書に記載の化合物がオレフィン結合又は他の幾何学的な不斉中心を含み、他に特定しない限り、化合物は、E及びZの幾何異性体の両方を含むことが意図される。
【0047】
本明細書で使用される場合、「異性体」との用語は、同じ数及び種類の原子を有し、したがって同じ分子量であるが、原子の構造配置又は立体配置に関して異なる化合物を指す。
【0048】
「互変異性体」との用語は、本明細書で使用される場合、平衡状態で存在し、1つの異性体形態から別の異性体形態に容易に変換される2つ以上の構造異性体のうちの1つを指す。
【0049】
本発明の特定の化合物が互変異性体の形態で存在してもよいことは当業者には明らかであり、そのような化合物の全ての互変異性体は、本発明の範囲内である。
【0050】
特に明記しない限り、本明細書に示される構造は、その構造の全ての立体化学的形態も含むことを意味する。すなわち、各不斉中心について、R及びSの立体配置を有する。したがって、本発明の化合物の単一の立体化学異性体、エナンチオマー及びジアステレオマー混合物は、本発明の範囲内である。
【0051】
特に明記しない限り、本明細書に示される構造は、1つ以上の同位体が濃縮された原子が存在するという点でのみ異なる化合物も含むことを意味する。例えば、水素が重水素又はトリチウムと置き換わっており、又は炭素が13C又は14Cを豊富に含む炭素と置き換わっていることを除き、本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。
【0052】
本発明の化合物は、そのような化合物を構成する原子の1つ以上に、天然とは異なる割合の原子同位体も含んでいてもよい。例えば、化合物は、例えば、トリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)、又は炭素-14(14C)などの放射性同位元素で放射性標識されてもよい。放射性であろうとなかろうと、本発明の化合物の全ての同位体変化は、本発明の範囲内に包含される。
【0053】
「アナログ(analog)」及び「アナログ(analogue)」は、相互に置き換え可能に用いられ、化学及び生物学の範囲内の通常の明瞭な意味に従って使用され、別の化合物(すなわち、いわゆる「参照化合物」)と構造的に類似しているが、組成において異なっている(例えば、ある原子の異なる元素の原子との置換によって、又は特定の官能基の存在若しくはある官能基の別の官能基との置換若しくは参照化合物の1つ以上のキラル中心の絶対立体化学によって、異なっている)化学化合物を、その異性体を含めて指す。したがって、アナログは、参照化合物に対し、機能及び外観において似ているか又は同等であるが、構造又は由来は似ていないか又は同等ではない化合物である。
【0054】
記号
【0055】
【化1】
は、分子又は化学式の残りに対する化学部分の接続点を示す。
【0056】
複数の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、R2及び/又は他の変数の複数の例を含んでいてもよい。このような実施形態では、各変数は、任意選択的に異なっていてもよく、さらに明確にするために、各群を区別するために適切に標識されていてもよい。例えば、各R2が異なる場合、これらは、例えば、それぞれR2.1、R2.2、R2.3及び/又はR2.4と呼ばれてもよく、R2の定義は、R2.1、R2.2、R2.3及び/又はR2.4によって仮定される。R2の定義内で使用される変数、及び/又は複数の例で現われかつ異なっている他の変数は、同様に、さらに明確にするために、各群を区別するために適切に標識されていてもよい。幾つかの実施形態では、化合物は、本明細書(例えば、ある態様では、実施形態、実施例、特許請求の範囲、表、スキーム、図又は図面)に記載の化合物である。
【0057】
「1つの(a)」又は「1つの(an)」との用語は、本明細書で使用される場合、1つ以上を意味する。これに加え、「1つの(a(an))・・・で置換された」との句は、本明細書で使用される場合、明記された基が、示されている置換基のいずれか又は全てのうち1つ以上で置換されていてもよいことを意味する。例えば、ある基(例えば、アルキル基又はヘテロアリール基)が、「非置換C1-C20アルキルで置換されているか、又は非置換の2~20員環ヘテロアルキル」である場合、この基は、1つ以上の非置換C1-C20アルキル及び/又は1つ以上の非置換の2~20員環ヘテロアルキルを含んでいてもよい。
【0058】
ある部分がR置換基で置換されている場合、その基は、「R置換され」と呼ばれてもよい。ある部分がR置換されている場合、その部分は、少なくとも1つのR置換基で置換されており、各R置換基は、任意選択的に異なっていてもよい。例えば、本明細書のある部分が、R12置換されたアルキル又は非置換アルキルである場合、複数のR12置換基が、アルキル部分に接続していてもよく、各R12置換基は、任意選択的に異なっていてもよい。R置換された部分が、複数のR置換基で置換されている場合、各R置換基は、R’、R’’などのプライム記号(’)を用い、本明細書で区別されてもよい。例えば、ある部分が、R12置換されたアルキル又は非置換アルキルであり、その部分が複数のR12置換基で置換されている場合、複数のR12置換基は、R12’、R12’’、R12’’’などとして区別されてもよい。複数の実施形態では、複数のR置換基は、3個である。複数の実施形態では、複数のR置換基は、2個である。
【0059】
複数の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R9、R10、R11、R12、R13、R14及び/又は他の変数の複数の場合を含んでいてもよい。このような実施形態では、各変数は、任意選択的に異なっていてもよく、さらに明確にするために、各群を区別するために適切に標識されていてもよい。例えば、各R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R9、R10、R11、R12、R13及び/又はR14が異なっている場合、これらは、例えば、それぞれ、R1.1、R1.2、R1.3、R1.4、R2.1、R2.2、R2.3、R2.4、R3.1、R3.2、R3.3、R3.4、R4.1、R4.2、R4.3、R4.4、R5.1、R5.2、R5.3、R5.4、R6.1、R6.2、R6.3、R6.4、R7.1、R7.2、R7.3、R7.4、R9.1、R9.2、R9.3、R9.4、R10.1、R10.2、R10.3、R10.4、R11.1、R11.2、R11.3、R11.4、R12.1、R12.2、R12.3、R12.4、R13.1、R13.2、R13.3、R13.4、R14.1、R14.2、R14.3及び/又はR14.4と呼ばれてもよく、R1の定義は、R1.1、R1.2、R1.3及び/又はR1.4によって仮定され、R2の定義は、R2.1、R2.2、R2.3及び/又はR2.4によって仮定され、R3の定義は、R3.1、R3.2、R3.3及び/又はR3.4によって仮定され、R4の定義は、R4.1、R4.2、R4.3及び/又はR4.4によって仮定され、R5の定義は、R5.1、R5.2、R5.3及び/又はR5.4によって仮定され、R6の定義は、R6.1、R6.2、R6.3及び/又はR6.4によって仮定され、R7の定義は、R7.1、R7.2、R7.3及び/又はR7.4によって仮定され、R9の定義は、R9.1、R9.2、R9.3及び/又はR9.4によって仮定され、R10の定義は、R10.1、R10.2、R10.3及び/又はR10.4によって仮定され、R11の定義は、R11.1、R11.2、R11.3及び/又はR11.4によって仮定され、R12の定義は、R12.1、R12.2、R12.3及び/又はR12.4によって仮定され、R13の定義は、R13.1、R13.2、R13.3及び/又はR13.4によって仮定され、R14の定義は、R14.1、R14.2、R14.3及び/又はR14.4によって仮定される。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R9、R10、R11、R12、R13及び/又はR14の定義内で使用される変数及び/又は複数の場合で現われ、異なっている他の変数は、同様に、さらに明確にするために、各群を区別するために適切に標識されていてもよい。
【0060】
本発明の化合物の記載は、当業者に知られている化学結合の原理によって制限される。したがって、ある基が、多くの置換基の1つ以上によって置換され得る場合、このような置換は、化学結合の原理と合致し、かつ、本質的に不安定ではなく、かつ/又は周囲条件(例えば、水系、中性、幾つかの既知の生理学的条件)下で不安定である蓋然性が高いことが当業者に知られている化合物を、与えるように選択される。例えば、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールは、当業者に知られている化学結合の原理に従って、環ヘテロ原子を介して分子の残りに接続することにより、本質的に不安定な化合物を避ける。
【0061】
抗体は、複雑な内部構造を有する、大きく複雑な分子である(分子量が約150,000又は約1320アミノ酸)。天然抗体分子は、ポリペプチド鎖の2つの同一の対を含み、それぞれの対が、1つの軽鎖と1つの重鎖とを含む。次に、それぞれの軽鎖と重鎖は、標的抗原に結合する際に関与する可変(「V」)領域と、免疫系の他の構成要素と相互作用する定常(「C」)領域の2つの領域からなる。軽鎖可変領域と重鎖可変領域は、三次元空間で合わさって、抗原(例えば、細胞表面上の受容体)に結合する可変領域を形成する。それぞれの軽鎖可変領域又は重鎖可変領域の中に、相補性決定領域(「CDR」)と呼ばれる3個の短いセグメント(平均で10アミノ酸長)が存在する。抗体可変ドメイン中の6個のCDR(軽鎖から3個、重鎖から3個)が三次元空間で一緒に折り畳まれ、標的抗原にドッキングする実際の抗体結合部位を形成する。CDRの位置及び長さは、Kabat,E.et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Health and Human Services,1983,1987によって正確に定義されている。CDRに含まれない可変領域の部分は、フレームワーク(「FR」)と呼ばれ、CDRのための環境を形成する。
【0062】
「抗体」との用語は、当技術分野において一般的に知られている意味に従って使用される。抗体は、例えばインタクトな免疫グロブリンとして、又は種々のペプチダーゼで消化することによって産生される多くの十分に特性決定されたフラグメントとして存在する。したがって、例えば、ペプシンは、ヒンジ領域のジスルフィド結合の下にある抗体を消化して、F(ab)’2(これ自体がジスルフィド結合によってVH-CH1に結合した軽鎖であるFabのダイマー)を形成する。F(ab)’2を穏和な条件下で還元し、ヒンジ領域のジスルフィド結合を破壊することによってF(ab)’2ダイマーをFab’モノマーに変換してもよい。Fab’モノマーは、本質的にヒンジ領域の一部を有するFabである(Fundamental Immunology(Paul編集、第3版、1993)を参照)。種々の抗体フラグメントは、インタクトな抗体の消化という観点で定義されるが、当業者は、このようなフラグメントが化学的に、又は組換えDNA方法論を使用して新たに合成されてもよいことを理解するであろう。したがって、抗体との用語は、本明細書で使用される場合、全抗体の改変によって産生される抗体フラグメント、又は組換えDNA方法論を用いて新規に合成される抗体フラグメント(例えば一本鎖Fv)、又はファージディスプレイライブラリーを用いて同定されるものも含む(例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552-554(1990)を参照)。
【0063】
モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体の調製のために、当技術分野で公知の任意の技術を使用することができる(例えば、Kohler&Milstein,Nature 256:495-497(1975);Kozbor et al.,Immunology Today 4:72(1983);Cole et al.,pp.77-96 in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy(1985)を参照)。「モノクローナル」抗体(mAb)は、単一クローンから誘導される抗体を指す。一本鎖抗体の製造技術(米国特許第4,946,778号)は、本発明のポリペプチドに対する抗体を生成するように適合させることができる。また、トランスジェニックマウス又は他の有機体(例えば、他の哺乳動物)を使用し、ヒト化抗体を発現させてもよい。又は、ファージディスプレイ技術を用いて、選択された抗原に特異的に結合する抗体及びヘテロマーFabフラグメントを同定することができる(例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552-554(1990);Marks et al.,Biotechnology 10:779-783(1992)を参照)。
【0064】
mAbのエピトープは、その抗原のうち、mAbが結合する領域である。2つの抗体が、それぞれが、抗原に対する他の抗体の結合を競合的に阻害(遮断)する場合、同じエピトープ又は重複するエピトープに結合する。すなわち、競争結合アッセイで測定される場合、1倍、5倍、10倍、20倍又は100倍過剰の片方の抗体が、他方の抗体の結合を少なくとも30%、しかし、好ましくは50%、75%、90%、又は99%まで阻害する(例えば、Junghans et al.、Cancer Res.50:1495、1990を参照)。又は、2つの抗体のうち、一方の抗体の結合を減らすか又はなくす、抗原における本質的に全てのアミノ酸変異が、他方の抗体への結合を減らすか又はなくす場合、この2つの抗体は、同じエピトープを有する。2つの抗体のうち一方の抗体の結合を減らすか又はなくす幾つかのアミノ酸変異が、他方の抗体への結合を減らすか又はなくす場合、この2つの抗体は、重複するエピトープを有する。
【0065】
抗体は、例えばインタクトな免疫グロブリンとして存在するか、又は種々のペプチダーゼで消化することによって産生される多くの十分に特性決定されたフラグメントとして存在する。したがって、例えば、ペプシンは、ヒンジ領域のジスルフィド結合の下にある抗体を消化して、F(ab)’2(これ自体がジスルフィド結合によってVH-CH1に結合した軽鎖であるFabのダイマー)を形成する。F(ab)’2を穏和な条件下で還元し、ヒンジ領域のジスルフィド結合を破壊することによってF(ab)’2ダイマーをFab’モノマーに変換してもよい。Fab’モノマーは、本質的にヒンジ領域の一部を有する抗原結合(dinging)部位である(Fundamental Immunology(Paul編集、第3版、1993)を参照)。種々の抗体フラグメントは、インタクトな抗体の消化という観点で定義されるが、当業者は、このようなフラグメントが化学的に、又は組換えDNA方法論を使用して新たに合成されてもよいことを理解するであろう。したがって、抗体との用語は、本明細書で使用される場合、全抗体の改変によって産生される抗体フラグメント、又は組換えDNA方法論を用いて新規に合成される抗体フラグメント(例えば一本鎖Fv)、又はファージディスプレイライブラリーを用いて同定されるものも含む(例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552-554(1990)を参照)。
【0066】
一本鎖可変フラグメント(scFv)は、典型的には、免疫グロブリンの重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質であり、10~約25アミノ酸の短いリンカーペプチドに連結する。リンカーは通常、柔軟性のためにグリシンが豊富であり、溶解性のためにセリン又はトレオニンも豊富な場合がある。リンカーは、VHのN末端をVLのC末端に連結するか、又はこの逆でもよい。
【0067】
本発明の適切な抗体の調製及び本発明による使用のための、例えば組換え抗体、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体のために、当技術分野で公知の多くの技術を使用することができる(例えば、Kohler&Milstein、Nature 256:495-497(1975);Kozborら、Immunology Today 4:72(1983);Coleら、pp.77-96、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R.Liss,Inc.(1985);Coligan、Current Protocols in Immunology(1991);Harlow&Lane、Antibodies、A Laboratory Manual(1988);及びGoding、Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(第2版、1986)を参照)。目的の抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子を細胞からクローニングすることができ、例えば、モノクローナル抗体をコードする遺伝子をハイブリドーマからクローニングし、組換えモノクローナル抗体を産生するために使用することができる。モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子ライブラリーを、ハイブリドーマ又は形質細胞から製造することもできる。重鎖及び軽鎖の遺伝子産物のランダムな組み合わせは、異なる抗原特異性を有する抗体の大きなプールを生成する(例えば、Kuby、Immunology(第3版、1997)を参照)。一本鎖抗体又は組換え抗体の製造技術(米国特許第4,946,778号、米国特許第4,816,567号)は、本発明のポリペプチドに対する抗体を生成するように適合させることができる。また、トランスジェニックマウス又は他の哺乳動物のような生物を用いて、ヒト化抗体又はヒト抗体を発現させることができる(例えば、米国特許第5,545,807号;第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,661,016号、Marks et al.,Bio/Technology 10:779-783(1992);Lonberg et al.,Nature 368:856-859(1994);Morrison,Nature 368:812-13(1994);Fishwild et al.,Nature Biotechnology 14:845-51(1996);Neuberger,Nature Biotechnology 14:826(1996);及びLonberg&Huszar,Intern.Rev.Immunol.13:65-93(1995)を参照)。又は、ファージディスプレイ技術を用いて、選択された抗原に特異的に結合する抗体及びヘテロマーFabフラグメントを同定することができる(例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552-554(1990);Marks et al.,Biotechnology 10:779-783(1992)を参照)。抗体は、二重特異性であってもよく、すなわち、2つの異なる抗原を認識することができてもよい(例えば、WO第93/08829号、Traunecker et al.,EMBO J.10:3655-3659(1991);及びSuresh et al.,Methods in Enzymology 121:210(1986)を参照)。抗体はまた、ヘテロコンジュゲート、例えば、2つの共有結合した抗体、又は免疫毒素であってもよい(例えば、米国特許第4,676,980号、WO91/00360;WO92/200373及びEP03089を参照)。
【0068】
非ヒト抗体のヒト化又は霊長類化のための方法は、当技術分野で周知である(例えば、米国特許第4,816,567号;第5,530,101号;第5,859,205号;第5,585,089号;第5,693,761号;第5,693,762号;第5,777,085号;第6,180,370号;第6,210,671号;及び第6,329,511号;WO87/02671;欧州特許出願第0173494号;Jones et al.(1986)Nature 321:522;及びVerhoyen et al.(1988)Science 239:1534を参照)。ヒト化抗体は、例えば、Winter and Milstein(1991)Nature 349:293にさらに記載されている。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源から導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、多くの場合、インポート残基と呼ばれ、典型的にはインポート可変ドメインから取られる。ヒト化は、本質的に、げっ歯類のCDR又はCDR配列をヒト抗体の対応する配列に置き換えることによって、Winter及び共同研究者らの方法に従って行うことができる(例えば、Morrison et al.,PNAS USA,81:6851-6855(1984),Jones et al.,Nature 321:522-525(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323-327(1988);Morrison and Oi,Adv.Immunol.,44:65-92(1988),Verhoeyen et al.,Science 239:1534-1536(1988)及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992),Padlan,Molec.Immun.,28:489-498(1991);Padlan,Molec.Immun.,31(3):169-217(1994)を参照)。したがって、このようなヒト化抗体は、キメラ抗体であり(米国特許第4,816,567号)、インタクトなヒト可変ドメインより実質的に小さい部分が、非ヒト種由来の対応する配列によって置き換えられている。実際には、ヒト化抗体は、典型的には、幾つかのCDR残基及び場合によっては幾つかのFR残基が、げっ歯類抗体の類似部位に由来する残基によって置き換えられているヒト抗体である。例えば、ヒト化免疫グロブリンのフレームワーク領域をコードする第1の配列と、所望の免疫グロブリン相補性決定領域をコードする第2の配列とを含むポリヌクレオチドは、合成的に、又は適切なcDNAとゲノムDNAセグメントを組み合わせることによって製造することができる。ヒト定常領域DNA配列は、種々のヒト細胞から周知の方法に従って単離することができる。
【0069】
「キメラ抗体」は、(a)抗原結合部位(可変領域)が、異なっているか又は改変されたクラス、エフェクター機能及び/又は種の定常領域に連結するか、又はキメラ抗体に新しい特性を与える全く異なる分子(例えば、酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬物など)に連結するように、定常領域又はその一部が変更、置換又は交換されているか;又は(b)可変領域又はその一部が、異なる抗原特異性又は改変された抗原特異性を有する可変領域と改変、置換又は交換されている、抗体分子である。本発明の好ましい抗体、及び本発明によって使用するための好ましい抗体には、ヒト化及び/又はキメラモノクローナル抗体が含まれる。
【0070】
治療薬剤を抗体にコンジュゲートさせる技術は、よく知られている(例えば、Arnon et al.,「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy」,Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy,Reisfeld et al.(編集),pp.243-56(Alan R.Liss,Inc.1985);Hellstrom et al.,「Antibodies For Drug Delivery」 in Controlled Drug Delivery(第2版),Robinson et al.(編集),pp.623-53(Marcel Dekker,Inc.1987);Thorpe,「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review」、Monoclonal Antibodies ‘84:Biological And Clinical Applications,Pinchera et al.(編集),pp.475-506(1985);及びThorpe et al.,「The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates」,Immunol.Rev.,62:119-58(1982)を参照)。本明細書で使用される場合、「抗体-薬物コンジュゲート」又は「ADC」との用語は、抗体にコンジュゲート又は他の様式で共有結合した治療薬剤を言う。本明細書で言及する「治療薬剤」は、がんなどの疾患を処置又は予防するのに有用な組成物である。
【0071】
タンパク質又はペプチドに言及するとき、抗体に「特異的に(又は選択的に)結合する」、又は「特異的に(又は選択的に)免疫反応性である」という句は、しばしばタンパク質及び他の生物製剤の異種集合の中のタンパク質の存在を決定する結合反応を指す。したがって、指定されたイムノアッセイ条件下で、特定の抗体は、バックグラウンドの少なくとも2倍、より典型的にはバックグラウンドの10倍~100倍を超えて、特定のタンパク質に結合する。このような条件下での抗体への特異的な結合は、特定のタンパク質に対する特異性について選択される抗体を必要とする。例えば、ポリクローナル抗体は、選択された抗原と特異的に免疫反応性であり、他のタンパク質とは特異的に免疫反応性ではない抗体のサブセットのみを得るように選択することができる。この選択は、他の分子と交差反応する抗体を差し引くことによって達成されてもよい。特定のタンパク質と特異的に免疫反応性の抗体を選択するために、様々なイムノアッセイフォーマットを使用することができる。例えば、固相ELISAイムノアッセイは、タンパク質に特異的に免疫反応性である抗体を選択するために日常的に使用されている(例えば、特定の免疫反応性を決定するために使用可能なイムノアッセイのフォーマット及び条件の記載については、Harlow&Lane,Using Antibodies,A Laboratory Manual(1998)を参照)。
【0072】
「リガンド」は、受容体に結合することができる薬剤、例えばポリペプチド又は他の分子を指す。
【0073】
「接触」は、通常の意味に従って使用され、少なくとも2つの異なる種(例えば、生体分子又は細胞を含む化学化合物)が、反応、相互作用、又は物理的に接触するほど十分に近づくことを可能にする過程を指す。しかしながら、得られた反応生成物は、添加された試薬同士の間の反応から直接的に生成されてもよく、又は1種以上の添加された試薬から反応混合物中で生成することができる中間体から生成されてもよいことを理解されたい。
【0074】
「接触」との用語は、2つの種を反応させ、相互作用させ、又は物理的に接触させることを含んでいてもよく、2つの種は、例えば、本明細書で与えられるような医薬組成物であってもよい。複数の実施形態において、接触は、例えば、本明細書に記載の医薬組成物を、細胞又は患者と相互作用させることを含む。
【0075】
別に定義されない限り、本明細書に使用される技術用語及び科学用語は、当技術分野の当業者に共通して理解されるものと同じ意味を有する。例えば、Singleton et al.,DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY 2nd ed.,J.Wiley&Sons(New York,NY 1994);Sambrook et al.,MOLECULAR CLONING,A LABORATORY MANUAL,Cold Springs Harbor Press(Cold Springs Harbor, NY 1989)を参照。本明細書に記載されたものと類似又は等価な任意の方法、デバイス及び材料を、本発明の実施において使用することができる。以下の定義は、本明細書において頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするために提供され、本開示の範囲を限定することを意味するものではない。
【0076】
「核酸」は、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド、及びそれらの一重鎖形態又は二本鎖形態のポリマー及びそれらの相補体を指す。「ポリヌクレオチド」との用語は、ヌクレオチドの直鎖配列を指す。「ヌクレオチド」との用語は、典型的には、ポリヌクレオチドの1個の単位、すなわちモノマーを指す。ヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド又はそれらの改変されたバージョンであってもよい。本明細書で想定されるポリヌクレオチドの例としては、一本鎖及び二本鎖のDNA、一本鎖及び二本鎖のRNA(siRNAを含む)、及び一本鎖及び二本鎖のDNAとRNAの混合物を含むハイブリッド分子が挙げられる。本明細書で使用される核酸は、天然に存在する核酸と同じ基本的な化学構造を有する核酸も指す。このようなアナログは、改変された糖類及び/又は改変された環置換基を有するが、天然に存在する核酸と同じ基本的な化学構造を保持している。核酸模倣物とは、核酸の一般的な化学構造とは異なるが、天然に存在する核酸と同様の様式で機能する構造を有する化学化合物を指す。このようなアナログの例としては、ホスホロチオエート、ホスホロアミデート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2-O-メチルリボヌクレオチド及びペプチド核酸(PNA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」との用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために本明細書で相互に置き換え可能に用いられ、このとき、ポリマーは、複数の実施形態では、アミノ酸からなっていない部分にコンジュゲートしていてもよい。これらの用語は、1つ以上のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工的化学模倣物であるアミノ酸ポリマー、並びに天然に存在するアミノ酸ポリマー及び天然に存在しないアミノ酸ポリマーに適用される。「融合タンパク質」は、単一部分として組換えにより発現される、2つ以上の別個のタンパク質配列をコードするキメラタンパク質を指す。
【0078】
「ペプチジル」及び「ペプチジル部分」との用語は、一価ペプチドを意味する。
【0079】
「アミノ酸」との用語は、天然アミノ酸及び合成アミノ酸、及び天然に存在するアミノ酸と同様の様式で機能するアミノ酸アナログ及びアミノ酸模倣物を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝子コードによってコードされるアミノ酸、並びに後で改変されるアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸及びO-ホスホセリンである。アミノ酸アナログは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち水素、カルボキシル基、アミノ基及びR基(例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム)に結合したα炭素を有する化合物を指す。このようなアナログは、改変されたR基(例えば、ノルロイシン)又は改変ペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸模倣物とは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なるが、天然に存在するアミノ酸と同様の様式で機能する構造を有する化学化合物を指す。「天然に存在しないアミノ酸」及び「非天然アミノ酸」との用語は、天然には見出されないアミノ酸アナログ、合成アミノ酸及びアミノ酸模倣物を指す。
【0080】
アミノ酸は、一般的に知られている3文字の記号又はIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionによって推奨される1文字の記号のいずれかによって、本明細書で言及されてもよい。同様に、ヌクレオチドは、一般に認められている一文字コードによって言及されてもよい。
【0081】
「保存的に改変された改変体」は、アミノ酸及び核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、「保存的に改変された改変体」は、同一又は本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸を指す。遺伝子コードの縮重のために、多くの核酸配列が、任意の所定のタンパク質をコードするであろう。例えば、コドンGCA、GCC、GCG及びGCUは全て、アラニンというアミノ酸をコードする。したがって、アラニンがコドンによって特定される全ての位置で、コードされたポリペプチドを変えることなく、記載されている対応するコドンのいずれかにコドンを変更することができる。このような核酸変異は、保存的に改変された変異の1種である「サイレント変異」である。ポリペプチドをコードする本明細書の全ての核酸配列は、核酸のあらゆる可能なサイレント変異も記載する。当業者は、核酸中の各コドン(通常はメチオニンの唯一のコドンであるAUG及び通常はトリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除く)を改変し、機能的に同一の分子を得ることができることを認識するであろう。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、記載された各配列において、暗黙のものである。
【0082】
アミノ酸配列に関して、当業者は、コードされる配列中の1個のアミノ酸又は少ないパーセントのアミノ酸を変更、付加又は欠失する、核酸、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質配列に対する個々の置換、欠失又は付加が、改変によって、アミノ酸が、化学的に類似したアミノ酸へと置換される、「保存的に改変された改変体」であることを認識するだろう。機能的に類似のアミノ酸を与える保存的置換の表は、当技術分野で周知である。このような保存的に改変された改変体は、本発明の多型改変体、種間同族体及び対立遺伝子に加えられ、除外されない。
【0083】
以下の8つのグループはそれぞれ、互いに保存的置換であるアミノ酸を含む。
(1)アラニン(A)、グリシン(G)。
(2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)。
(3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)。
(4)アルギニン(R)、リシン(K)。
(5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V)。
(6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
(7)セリン(S)、トレオニン(T);及び
(8)システイン(C)、メチオニン(M)(例えば、Creighton、Proteins(1984)を参照)。
【0084】
「~を参照するとともにナンバリングされた」又は「~に対応する」との用語は、所与のアミノ酸又はポリヌクレオチドの配列のナンバリングという観点で使用される場合、所与のアミノ酸又はポリヌクレオチドの配列を参照配列と比較したときに、明記された参照配列の残基のナンバリングを指す。あるタンパク質中のアミノ酸残基は、そのタンパク質内で所与の残基と同じ本質的な構造的位置を占める場合、所与の残基に「対応する」。当業者は、異なるナンバリングシステムを用いた他のタンパク質において、あるタンパク質(例えば、ROR-1)の具体的な位置に対応する残基の同一性及び配置をすぐに認識するだろう。例えば、タンパク質(例えば、ROR-1)との単純は配列アラインメントを行うことによって、このタンパク質の具体的な位置に対応する残基の同一性及び配置は、このタンパク質に対してアラインメントする他のタンパク質配列において特定される。例えば、選択した残基が、138位のグルタミン酸と同じ本質的な空間関係又は他の構造関係を占める場合、選択したタンパク質中の選択した残基は、138位のグルタミン酸に対応する。幾つかの実施形態では、選択したタンパク質が、あるタンパク質との最大ホモロジーのためにアラインメントされる場合、グルタミン酸138とアラインメントする、アラインメントされた選択したタンパク質中の位置は、グルタミン酸138に対応すると言われる。一次配列のアラインメントの代わりに、三次元構造のアラインメントを使用してもよく、例えば、選択したタンパク質の構造が、138位のグルタミン酸との最大対応性のためにアラインメントされる場合、全体的な構造を比較する。この場合、構造モデルにおいて、グルタミン酸138と同じ本質的な位置を占めるアミノ酸は、グルタミン酸138残基に対応すると言われる。
【0085】
「配列同一性のパーセント」は、比較ウィンドウにわたって、2つの最適にアラインメントされた配列を比較することによって決定され、この比較ウィンドウ中のポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の一部が、2つの配列の最適なアラインメントのために、参照配列(付加又は欠失を含まない)と比較すると、付加又は欠失(例えばギャップ)を含んでいてもよい。このパーセントは、マッチした位置の数を得るために、同一の核酸塩基又はアミノ酸残基が両方の配列に存在する位置の数を決定することによって計算され、このマッチした位置の数を、比較ウィンドウ中の位置の合計数で割り算し、その結果に100を掛け算し、配列同一性のパーセントを得る。
【0086】
2つ以上の核酸又はポリペプチド配列の文脈における「同一の」との用語又は「同一性」の率は、同じ(すなわち、特定の領域にわたって、比較ウィンドウにわたって最大対応性について比較され、アラインメントされ、又は以下の配列比較アルゴリズムの1つを用いて測定される場合、指定された領域にわたって、又は手動のアラインメント及び視覚観察によって、例えば、本発明の全ポリペプチド配列又は本発明のポリペプチドの個々のドメインの60%の同一性、任意選択的に65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%又は99%の同一性)であるか、又は明記されたパーセントの同じであるアミノ酸残基又はヌクレオチドを含む2つ以上の配列又は部分配列を指す。このような配列は、「実質的に同一」であると言われる。この定義は、試験配列の相補体も指す。任意選択的に、同一性は、長さが少なくとも約50ヌクレオチドの領域、又はより好ましくは長さが100~500又は1000以上のヌクレオチドの範囲にわたって存在する。
【0087】
配列比較のために、典型的には1つの配列が、参照配列として作用し、この配列と試験配列を比較する。配列比較アルゴリズムを用いるとき、試験配列及び参照配列がコンピュータに入力され、部分配列の座標が指定され、必要な場合には、配列アルゴリズムプログラムのパラメータが指定される。デフォルトプログラムパラメータを使用してもよく、又は代替パラメータを指定してもよい。次いで、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づき、参照配列に対する試験配列の配列同一性の率を計算する。
【0088】
「比較ウィンドウ」は、本明細書で使用される場合、例えば、全長配列又は20~600、約50~約200、又は約100~約150アミノ酸又はヌクレオチドからなる群から選択される連続した位置の数のいずれか1つのセグメントに対する参照を含み、2つの配列を最適にアラインメントした後、ある配列を、同じ数の連続した位置を有する参照配列と比較してもよい。比較のための配列アラインメント方法は、当技術分野でよく知られている。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith and Waterman(1970) Adv.Appl.Math.2:482cのローカルホモロジーアルゴリズムによって、Needleman and Wunsch(1970) J.Mol.Biol.48:443のホモロジーアラインメントアルゴリズムによって、Pearson and Lipman(1988) Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性方法のためのサーチによって、これらのアルゴリズム(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA)のコンピュータによる実施によって、又は手動のアラインメント及び視覚観察(例えば、Ausubel et al.、Current Protocols in Molecular Biology(1995 supplement)を参照)によって、行うことができる。
【0089】
配列同一性及び配列類似性のパーセントを決定するのに適したアルゴリズムの一例は、BLAST及びBLAST 2.0アルゴリズムであり、Altschul et al.(1977) Nuc.Acids Res.25:3389-3402及びAltschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403-410にそれぞれ記載される。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(ウェブサイトでncbi.nlm.nih.gov/)によって公的に入手可能である。このアルゴリズムは、クエリ配列中の長さWの短い文字列を特定することによって、高スコアの配列対(HSP)を最初に特定することを含み、データベース配列中の同じ長さの文字列を用いてアラインメントしたときに、幾つかの陽性値の閾値スコアTにマッチするか、又は満足する。Tは、隣接文字列スコア閾値(neighborhood word score threshold)と呼ばれる(Altschul et al.、前出)。これらの初期の隣接文字列ヒットは、これらを含有するさらに長いHSPを見つけるためのサーチを開始するための種子として作用する。文字列ヒットを、累積アラインメントスコアが増加していく限り、各配列に沿って両方向に延ばす。ヌクレオチド配列について、パラメータM(マッチする残基の対について報償スコア;常に0より大きい)及びN(ミスマッチの残基についてペナルティスコア;常に0より小さい)を用い、累積スコアを計算する。アミノ酸配列について、累積スコアを計算するために、スコアリングマトリックスを使用する。それぞれの方向での文字列ヒットの伸張は、累積アラインメントスコアが、最大達成値から量Xだけ小さくなったときに止められる。累積スコアは、1つ以上の陰性スコア残基アラインメントの体積に起因して、又はいずれかの配列の末端が到達するとき、ゼロ又はゼロ未満になる。BLASTアルゴリズムパラメータW、T及びXは、アラインメントの感度及び速度を決定付ける。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、デフォルトとして、文字列長(W)11、予想(E)又は10、M=5、N=-4及び両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、文字列長3、予想(E)10、BLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff and Henikoff(1989) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915)、アラインメント(B)50、予想(E)10、M=5、N=-4及び量鎖の比較を使用する。
【0090】
BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計学的分析も行う(例えば、Karlin及びAltschul(1993) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-5787を参照)。BLASTアルゴリズムによって与えられる類似性の1つの指標は、最小合計確率(P(N))であり、2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列の間のマッチが偶然に起こる確率の指標を与える。例えば、核酸は、参照配列と類似であるとみなされる。参照核酸に対する試験核酸の比較における最小合計確率は、約0.2未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満である。
【0091】
2つの核酸配列又はポリペプチドが実質的に同一である指標は、以下に記載するように、第1の核酸によってコードされるポリペプチドが、第2の核酸によってコードされるポリペプチドに対して惹起される抗体と免疫学的に交差反応性であることである。したがって、ポリペプチドは、典型的には、第2ポリペプチドと実質的に同一であり、例えば、この2つのペプチドは、保存的置換によってのみ異なっている。2つの核酸配列が実質的に同一であることの別の指標は、以下に記載するように、その2つの分子又はそれらの相補体が、ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズすることである。2つの核酸配列が実質的に同一であることのさらに別の指標は、同じプライマーを用いて配列を増幅させることができることである。
【0092】
「単離された」との用語は、タンパク質に適用される場合、タンパク質が、それらが自然状態で会合している他の細胞成分を本質的に含まないことを示す。これは、好ましくは、均質な状態であるが、乾燥状態又は水溶液のいずれかであってもよい。純度及び均一性は、典型的には、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又は高速液体クロマトグラフィーのような分析化学技術を用いて決定される。調製物中に存在する優勢な種であるタンパク質は、実質的に精製されている。「精製された」との用語は、タンパク質が、電気泳動ゲルにおいて本質的に1つのバンドを生じることを示す。特に、この用語は、少なくとも85%の純度、より好ましくは少なくとも95%の純度、最も好ましくは少なくとも99%の純度であることを意味する。
【0093】
タンパク質又はペプチドに言及するとき、抗体に「特異的に(又は選択的に)結合する」、又は「特異的に(又は選択的に)免疫反応性である」という句は、タンパク質及び他の生物製剤の異種集合の中のタンパク質の存在を決定する結合反応を指す。したがって、指定されたイムノアッセイ条件下で、特定の抗体は、バックグラウンドの少なくとも2倍、特定のタンパク質に結合し、そのサンプル中に存在する他のタンパク質に対し、顕著な量で実質的に結合しない。典型的には、具体的又は選択的な反応は、バックグラウンドシグナル又はノイズの少なくとも2倍であり、より典型的には、バックグラウンドの10倍を超えて100倍までである。
【0094】
本明細書で使用される「細胞」は、ゲノムDNAを保存又は複製するのに十分な代謝又は他の機能を実行する細胞を指す。細胞は、例えば、インタクトな膜の存在、特定の色素による染色、子孫を産生する能力、又は配偶子の場合には、第2配偶子と結合し、生存可能な子孫を産生する能力を含め、当技術分野で周知の方法によって同定することができる。細胞は、原核細胞及び真核細胞を含んでいてもよい。原核細胞としては、細菌が挙げられるが、これに限定されない。真核細胞としては、酵母細胞及び植物及び動物由来の細胞、例えば哺乳動物、昆虫(例えばスポドプテラ)及びヒト細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
本明細書で定義される場合、タンパク質-阻害剤(例えば、受容体アンタゴニスト又はシグナル伝達経路阻害剤)相互作用に関して、「阻害」、「阻害する」、「阻害すること」などの用語は、阻害剤が存在しない状態でのタンパク質の活性又は機能に対し、タンパク質の活性又は機能に負の影響を与える(例えば、低下させる)(例えば、受容体又はタンパク質の活性を低下させる)ことを意味する。幾つかの実施形態では、阻害は、疾患(例えば、がん)又はその疾患の症状の低減を指す。したがって、阻害は、少なくとも部分的に、刺激を部分的に若しくは完全に遮断すること、活性化を低減するか、防止するか、若しくは遅らせること、又はシグナル伝達若しくは酵素活性若しくはタンパク質(例えば受容体)の量を不活性化するか、脱感作するか、若しくはダウンレギュレートすることを含む。同様に、「阻害剤」は、例えば、結合、部分的又は全体的な遮断、低減、防止、遅延、不活性化、脱感作、又は活性のダウンレギュレーションによって、受容体又は別のタンパク質を阻害する化合物又はタンパク質である。
【0096】
「BTKアンタゴニスト」との用語は、本明細書で提供される場合、コントロールと比較して、BTK活性を阻害することが可能な物質を指す。BTKの阻害された活性は、コントロールにおける活性の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はさらに小さくてもよい。特定の場合には、阻害は、コントロールと比較して、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、又はそれ以上である。BTKアンタゴニストは、BTKアンタゴニストが存在しない状態と比較して、少なくとも部分的に、刺激を部分的に若しくは完全に遮断すること、活性化を低減するか、防止するか、若しくは遅らせること、又はBTKのシグナル伝達若しくは活性若しくは量を不活性化するか、脱感作するか、若しくはダウンレギュレーションすることによって、BTK活性を阻害する。
【0097】
「ROR-1アンタゴニスト」との用語は、本明細書で提供される場合、コントロールと比較して、ROR-1活性を阻害することが可能な物質を指す。ROR-1の阻害された活性は、コントロールにおける活性の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はさらに小さくてもよい。特定の場合には、阻害は、コントロールと比較して、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、又はそれ以上である。ROR-1アンタゴニストは、ROR-1アンタゴニストが存在しない状態と比較して、少なくとも部分的に、刺激を部分的に若しくは完全に遮断すること、活性化を低減するか、防止するか、若しくは遅らせること、又はROR-1のシグナル伝達若しくは活性若しくは量を不活性化するか、脱感作するか、若しくはダウンレギュレーションすることによって、ROR-1活性を阻害する。複数の実施形態では、ROR-1アンタゴニストは、抗体又は低分子である。
【0098】
「アンタゴニスト」との用語は、本明細書で阻害剤の代わりに使用されてもよい。
【0099】
「治療に有効な用量又は量」とは、本明細書で使用される場合、投与される効果(例えば、疾患を治療するか、又は予防する)を生じる用量を意味する。実際の投与量及び製剤は、治療の目的に依存し、既知の技術を用い、当業者によって確認され得る(例えば、Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms(vols.1-3,1992);Lloyd,The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding(1999);Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,Gennaro,Editor(2003)及びPickar,Dosage Calculations(1999)を参照)。例えば、所与のパラメータについて、治療に有効な量は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、40%、50%、60%、75%、80%、90%、又は少なくとも100%の増加又は減少を示す。治療効能は、何「倍」の増加又は減少として表すこともできる。例えば、治療に有効な量は、標準コントロールに対して少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、5倍又はそれ以上の効果を有し得る。治療に有効な用量又は量は、ある疾患の1つ以上の症状を軽減してもよい。治療に有効な用量又は量は、投与される効果が、ある疾患が進行するリスクがある人を治療することである場合、その疾患又は疾患の1つ以上の症状の発症を予防するか、又は遅らせてもよい。
【0100】
「抗がん剤」は、通常の意味に従って使用され、抗腫瘍特性又は細胞の成長又は増殖を阻害する能力を有する組成物(例えば、化合物、薬物、アンタゴニスト、阻害剤、モジュレーター)を指す。幾つかの実施形態では、抗がん剤は、化学療法薬である。幾つかの実施形態では、抗がん剤は、がんを処置する方法において有用性を有する、本明細書において特定される薬剤である。幾つかの実施形態では、抗がん剤は、がんを処置するために、FDA又は米国以外の国の同様の規制当局によって承認された薬剤である。抗がん剤の例としては、限定されないが、以下のものが挙げられる。MEK(例えば、MEK1、MEK2又はMEK1及びMEK2)阻害剤(例えば、XL518、CI-1040、PD035901、セルメチニブ/AZD6244、GSK1120212/トラメチニブ、GDC-0973、ARRY-162、ARRY-300、AZD8330、PD0325901、U0126、PD98059、TAK-733、PD318088、AS703026、BAY869766)、アルキル化薬剤(例えば、シクロホスファミド、イフォスファミド、クロラムブシル、ブスルファン、メルファラン、メクロレタミン、ウラムスチン、チオテパ、ニトロソウレア、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロロエタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、メイファラン)、エチレンイミン及びメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン、チオテパ)、スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン)、トリアゼン(デカルバジン))、抗代謝物(例えば、5-アザチオプリン、ロイコボリン、カペシタビン、フルダラビン、ゲムシタビン、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、葉酸アナログ(例えば、メトトレキセート)、又はピリミジンアナログ(例えば、フルオロウラシル、フロキソウリジン、シタラビン)、プリンアナログ(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン)など)、植物アルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、ポドフィロトキシン、パクリタキセル、ドセタキセルなど)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン、エトポシド(VP16)、リン酸エトポシド、テニポシドなど)、抗腫瘍抗生物質(例えば、ドキソルビシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、アクチノマイシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、プリカマイシンなど)、白金系化合物又は白金を含有する薬剤(例えば、シスプラチン、オキサロプラチン、カルボプラチン)、アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン)、置換尿素(例えば、ヒドロキシウレア)、メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン)、副腎皮質抑制剤(例えば、ミトタン、アミノグルテチミド)、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド)、抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン)、酵素(例えば、L-アスパラギナーゼ)、分裂促進因子によって活性化されたタンパク質キナーゼシグナル伝達の阻害剤(例えば、U0126、PD98059、PD184352、PD0325901、ARRY-142886、SB239063、SP600125、BAY 43-9006、ウォルトマンニン又はLY294002、Syk阻害剤、mTOR阻害剤、抗体(例えば、リツキサン)、ゴシポール、ゲナセンス、ポリフェノールE、クロロフシン、オールトランスレチノイン酸(ATRA)、ブリオスタチン、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘発リガンド(TRAIL)、5-アザ-2’-デオキシシチジン、オールトランスレチノイン酸、ドキソルビシン、ビンクリスチン、エトポシド、ゲムシタビン、イマチニブ(Gleevec.RTM.)、ゲルダナマイシン、17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(17-AAG)、フラボピリドール、LY294002、ボルテゾミブ、トラスツズマブ、BAY 11-7082、PKC412、PD184352、20-epi-1、25ジヒドロキシビタミンD3;5-エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL-TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス;アミフォスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管新生阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリックス;抗腹側形態形成タンパク質-1;抗アンドロゲン、前立腺癌;抗エストロゲン;抗新生物薬;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシネート;アポトーシス遺伝子調整剤;アポトーシス制御剤;アプリン酸;ara-CDP-DL-PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロンアザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;βラクタム誘導体;β-アレチン;ベタクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カナリア痘ウイルスIL-2;カペシタビン;カルボキサミド-アミノ-トリアゾール;カルボキシamidoトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨から誘導される阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリックス;クロリン;クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;cis-ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェンアナログ;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コムブレタスタチンA4;コムブレタスタチンアナログ;コナゲニン;クラムベシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;キュラシンA;シクロペンタアントラキノン;シクロプラタム;サイペマイシン;シタラビン オクホスフェート;細胞溶解因子;サイトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシフォサミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクオン;ジデムニンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ-5-アザシチジン;9-ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフル;エピルビシン;エピリステリド;エストラムスチンアナログ;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;エトポシドホスフェート;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;フルオロダウノルビシン塩酸塩;フォルフェニメックス;フォルメスタン;フォストリエシン;フォテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸がリウム;ガロシタビン;ガニレリックス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;メキサメチレンビスアセタミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモフォシン;イルマスタット;イミダゾアクリドン;イミキモド;免疫刺激ペプチド;インスリン様成長因子-1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;ヨーベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール,4-;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;ラメラリン-Nトリアセテート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球αインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン;レバミゾール;リアロゾール;直鎖ポリアミンアナログ;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リッソクリナミド7;ロバプラチン;ロムブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロバスタチン;ロキソリビン;ルートテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;溶解ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害剤;マトリックスメタロプロテーアゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテフォシン;ミリモスチム;ミスマッチ二本鎖RNA;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシンアナログ;ミトナフィド;マイトトキシン線維芽細胞成長因子-サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリル脂質A+結核菌細胞壁sk;モピダモール;多剤耐性遺伝子阻害剤;外発性腫瘍抑制因子1に基づく治療;マスタード抗がん薬;マイカペルオキシドB;マイコバクテリウム細胞壁抽出物;ミリアポロン;N-アセチルジナリン;N置換されたベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素調整剤;ニトロキシド抗酸化剤;ニトルリン;O6-ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘導因子;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペグアスパラガーゼ;ペルデシン;ポリ硫酸ペントサンナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;パーフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;酢酸フェニル;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニール;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲン活性化阻害剤;白金錯体;白金化合物;白金-トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピル ビス-アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;タンパク質A系免疫調整剤;タンパク質キナーゼC阻害剤;タンパク質キナーゼC阻害剤、微細藻類;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリエチレン接合体;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras-GAP阻害剤;レテリプチン脱メチル化物;レニウムRe186エチドロネート;リゾキシン;リボザイム;RIIレチナミド;ログレチミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメックス;ルビジノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi 1模倣物;セムスチン;細胞老化に由来する阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル形質導入阻害剤;シグナル形質導入調整剤;一本軽鎖抗原結合タンパク質;シゾフラン;ソブゾキサン;ナトリウムボロカプテイト;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール;
ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルフォシン酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンギスタチン1;スクアラミン;幹細胞阻害剤;幹細胞分裂阻害剤;スティピアミド;ストロマリシン阻害剤;スルフィノシン;超活性な血管作動性腸管ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ;スラミン;スワインソニン;合成グリコサミノグリカン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テモゾロミド;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチン模倣物;チマルファシン;チモポエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;エチルエチオプルプリンスズ;チラパザミン;二塩化チタノセン;トプセンチン;トレミフェン;全能性幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキセート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チロフォスチン;UBC阻害剤;ウベニメクス;尿生殖洞由来成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベクター系、赤血球遺伝子治療;ベラレゾール;ベラミン;ベルジン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;ジノスタチンスチマラマー、アドリアマイシン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、シスプラチン、アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アムボマイシン;酢酸アメタントロン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;メシル酸ビスナフィド;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナールナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;シロレマイシン;クラドリビン;クリスナトールメシレート;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;メシル酸デザグアニン;ジアジコン;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロスタノロン;ダウゾマイシン;エダトレキセート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;エストラムスチンリン酸;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルオロシタビン;フォスキドン;フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシウレア;塩酸イダルビシン;イフォスファミド;イイモホシン;インターロイキンI1(組換えインターロイキンII又はrlLsub.2を含む)、インターフェロンα-2a;インターフェロンα-2b;インターフェロンα-n1;インターフェロンα-n3;インターフェロンβ-1a;インターフェロンγ-1b;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;マイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキセート;メトトレキセートナトリウム;メトプリン;メチュレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;マイトマルシン;マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;ペグアスパラガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルホセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾトシン;スロフェヌル;タリソマイシン;テコガランナトリウム;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキセート;グルクロン酸トリメトレキセート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;ビングリシネートスルフェート;硫酸ビンリューロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;塩酸ゾルビシン、G2-M期において細胞を抑止し及び/又は微小管の生成又は安定性を調整する薬剤(例えば、TaxolTM(すなわち、パクリタキセル)、TaxotereTM、タキサン骨格を含む化合物、エルブロゾール(すなわち、R-55104)、ドラスタチン10(すなわち、DLS-10及びNSC-376128)、イセチオン酸ミボブリン(すなわち、CI-980として)、ビンクリスチン、NSC-639829、ディスコデルモライド(すなわち、NVP-XX-A-296として)、ABT-751(Abbott、すなわち、E-7010)、アルトルヒルチン(例えば、アルトルヒルチンA及びアルトルヒルチンC)、スポンギスタチン(例えば、スポンギスタチン1、スポンギスタチン2、スポンギスタチン3、スポンギスタチン4、スポンギスタチン5、スポンギスタチン6、スポンギスタチン7、スポンギスタチン8及びスポンギスタチン9)、塩酸セマドチン(すなわち、LU-103793及びNSC-D-669356)、エポチロン(例えば、エポチロンA、エポチロンB、エポチロンC(すなわち、デスオキシエポチロンA又はdEpoA)、エポチロンD(すなわち、KOS-862、dEpoB及びデスオキシエポチロンB)、エポチロンE、エポチロンF、エポチロンB N-オキシド、エポチロンA N-オキシド、16-アザ-エポチロンB、21-アミノエポチロンB(すなわち、BMS-310705)、21-ヒドロキシエポチロンD(すなわち、デスオキシエポチロンF及びdEpoF)、26-フルオロエポチロン、オーリスタチンPE(すなわち、NSC-654663)、ソブリドチン(すなわち、TZT-1027)、硫酸ビンクリスチン、クリプトフィシン52(すなわち、LY-355703)、ビチレブアミド、チュブリシンA、カナデンソール、センタウレイジン(すなわち、NSC-106969)、オンコシジンA1(すなわち、BTO-956及びDIME)、フィジアノリドB、ラウリマリド、ナルコシン(NSC-5366としても知られる)、ナスカピン、ヘミアステリン、バナドセンアセチルアセトネート、モンサトロール、イナノシン(すなわち、NSC-698666)、エロイテロビン(例えば、レスメチルエロイテロビン、デサエチルエロイテロビン、イソエロイテロビンA及びZ-エロイテロビン)、カリベオシド、カリベオリン、ハリコンドリンB、ジアゾナミドA、タッカロノリドA、ジオゾスタチン、(-)-フェニラヒスチン(すなわち、NSCL-96F037)、ミオセベリンB、レスベラスタチンリン酸ナトリウム、ステロイド(例えば、デキサメタゾン)、フィナステリド、アロマターゼ阻害剤、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(GnRH)、例えば、ゴセレリン又はロイプロリド、副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン)、プロゲスチン(例えば、カプリル酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸メドロキシプロゲステロン)、エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール)、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン)、アンドロゲン(例えば、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン)、抗アンドロゲン(例えば、フルタミド)、免疫刺激薬(例えば、Bacillus Calmette-Guerin(BCG)、レバミゾール、インターロイキン-2、α-インターフェロンなど)、モノクローナル抗体(例えば、抗CD20、抗HER2、抗CD52、抗HLA-DR及び抗VEGFモノクローナル抗体)、免疫毒素(例えば、抗CD33モノクローナル抗体-カリケアマイシン接合体、抗CD22モノクローナル抗体-シュードモナス外毒素接合体など)、放射免疫療法(例えば、111In、90Y又は131Iなどに接合した抗CD20モノクローナル抗体)、トリプトリド、ホモハリングトニン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、トポテカン、イトラコナゾール、ビンデシン、セリバスタチン、ビンクリスチン、デオキシアデノシン、セルトラリン、ピタバスタチン、イリノテカン、クロファジミン、5-ノニルオキシトリプタミン、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、EGFR阻害剤、上皮成長因子受容体(EGFR)標的治療又は治療薬(例えば、ゲフィチニブ(IressaTM)、エルロチニブ(TarcevaTM)、セツキシマブ(ErbituxTM)、ラパチニブ(TykerbTM)、パニツムマブ(VectibixTM)、バンデタニブ(CaprelsaTM)、アファチニブ/BIBW2992、CI-1033/カネルチニブ、ネラチニブ/HKI-272、CP-724714、TAK-285、AST-1306、ARRY334543、ARRY-380、AG-1478、ダコミチニブ/PF299804、OSI-420/デスメチルエルロチニブ、AZD8931、AEE788、ペリチニブ/EKB-569、CUDC-101、WZ8040、WZ4002、WZ3146、AG-490、XL647、PD153035、BMS-599626)、ソラフェニブ、イマチニブ、スニチニブ、ダサチニブ、ホルモン治療など。
【0101】
「イブルチニブ」との用語は、Imbruvica(R)、PCI 32765などとしても知られており、通常の一般的な意味において、1-[(3R)-3-[4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]ピペリジン-1-イル]プロパ-2-オン-1-オン(CAS登録番号936563-96-1)を指す。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、その全体があらゆる目的のために本明細書に参照により組み込まれる米国特許第7,514,444号;第8,008,309号;第8,497,277号;第8,476,284号;第8,697,711号、第8,703,780号に開示される化合物のいずれか1つである。
【0102】
「イデラリシブ」との用語は、CAL101、GS-1101、Zydelig(R)などとしても知られており、通常の一般的な意味において、5-フルオロ-3-フェニル-2-[(1S)-1-(7H-プリン-6-イルアミノ)プロピル]-4(3H)-キナゾリノン(CAS登録番号870281-82-6)を指す。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、その全体があらゆる目的のために本明細書に参照により組み込まれる米国特許第9,469,643号;第9,492,449号;第8,139,195号;第8,492,389号;第8,865,730号、第9,149,477号に開示される化合物のいずれか1つである。
【0103】
「R406」などの用語は、通常の一般的な意味において、6-((5-フルオロ-2-((3,4,5-トリメトキシフェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)アミノ)-2,2-ジメチル-2H-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-3(4H)-オンベンゼンスルホネートを指す。
【0104】
「フォスタマチニブ」などの用語は、通常の一般的な意味において、6-((5-フルオロ-2-((3,4,5-トリメトキシフェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)アミノ)-2,2-ジメチル-2H-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-3(4H)-オンベンゼンスルホネート(CAS登録番号901119-35-5又は1025687-58-4(二ナトリウム塩))を指す。フォスタマチニブは、R406のプロドラッグである。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、その全体があらゆる目的のために本明細書に参照により組み込まれる米国特許第7,449,458号に開示される化合物のいずれか1つである。
【0105】
「アカラブルチニブ」との用語は、ACP-196などとしても知られており、通常の一般的な意味において、4-[8-アミノ-3-[(2S)-1-ブタ-2-イノイルピロリジン-2-イル]イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル]-N-ピリジン-2-イルベンズアミド(CAS登録番号1420477-60-6)を指す。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、その全体があらゆる目的のために本明細書に参照により組み込まれる米国特許出願第20140155385号、第20160151364号、第20160159810号に開示される化合物のいずれか1つである。
【0106】
「ONO/GS-4059」などの用語は、通常の一般的な意味において、6-アミノ-7-(4-フェノキシフェニル)-9-[(3S)-1-プロパ-2-エノイルピペリジン-3-イル]プリン-8-オン(CAS登録番号1351636-18-4)を指す。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、その全体があらゆる目的のために本明細書に参照により組み込まれる米国特許第8,940,725号及び第8,557,803号、米国特許出願第20150094299号に開示される化合物のいずれか1つである。
【0107】
「BGB-3111」などの用語は、通常の一般的な意味において、2-(4-フェノキシフェニル)-7-(1-プロパ-2-エノイルピペリジン-4-イル)-1,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(CAS登録番号1633350-06-7)を指す。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、その全体があらゆる目的のために本明細書に参照により組み込まれる米国特許出願第20150259354号及び第20160083392号に開示される化合物のいずれか1つである。
【0108】
「CC-292」などの用語は、AVL-292、スペブルチニブなどとしても知られ、通常の一般的な意味において、N-[3-[[5-フルオロ-2-[4-(2-メトキシエトキシ)アニリノ]ピリミジン-4-イル]アミノ]フェニル]プロパ-2-エナミド(CAS登録番号1202757-89-8)を指す。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、その全体があらゆる目的のために本明細書に参照により組み込まれる米国特許第8,338,439号に開示される化合物のいずれか1つである。
【0109】
「シルムツズマブ」、「UC-961」及び「99961.1」といった用語は、ヒト受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR-1)の細胞外ドメインに結合可能なヒト化モノクローナル抗体を指す。複数の実施形態では、シルムツズマブは、その全体があらゆる目的のために本明細書に参照により組み込まれる米国特許出願第14/422,519号に開示される抗体又はそのフラグメントのいずれか1つである。
【0110】
本明細書で使用される場合、「約」との用語は、明記された値を含む、ある値の範囲を意味し、当業者は、明記された値と合理的に同様であると考えるだろう。複数の実施形態では、約は、当技術分野で一般的に受け入れられる測定を用いた標準偏差以内であることを意味する。複数の実施形態では、約は、明記された値の±10%に広がる範囲を意味する。複数の実施形態では、約は、明記された値を意味する。
【0111】
「疾患」又は「状態」との用語は、本明細書で提供される化合物、医薬組成物又は方法で処置することができる患者又は被験体の状態又は健康状態を指す。複数の実施形態では、疾患は、がん(例えば、肺がん、卵巣がん、骨肉腫、膀胱がん、子宮頸がん、肝臓がん、腎臓がん、皮膚がん(例えばメルケル細胞癌)、精巣がん、白血病、リンパ腫、頭頸部がん、結腸直腸がん、前立腺がん、膵臓がん、メラノーマ、乳がん、神経芽腫)である。この疾患は、自己免疫性、炎症性、がん性、感染性、代謝性、発達性、心血管性、肝臓、腸、内分泌腺、神経学的又は他の疾患であってもよい。
【0112】
本明細書で使用される場合、「がん」との用語は、白血病、リンパ腫、メラノーマ、神経内分泌腫瘍、癌腫及び肉腫を含む、哺乳動物にみられるあらゆるタイプのがん、新生物又は悪性腫瘍を指す。本明細書で提供される化合物、医薬組成物又は方法で処置され得る例示的ながんとしては、リンパ腫、肉腫、膀胱がん、骨がん、脳腫瘍、子宮頸がん、結腸がん、食道がん、胃がん、頭頸部がん、腎臓がん、骨髄腫、甲状腺がん、白血病、前立腺がん、乳がん(例えば、トリプルネガティブ、ER陽性、ER陰性、化学療法抵抗性、ハーセプチン抵抗性、HER2陽性、ドキソルビシン抵抗性、タモキシフェン抵抗性、腺管癌、小葉癌、原発性、転移性)、卵巣がん、前立腺がん、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、肺がん(例えば、非小細胞肺癌、扁平上皮細胞肺癌、腺癌、大細胞肺癌、小細胞肺癌、カルチノイド、肉腫)、多形神経膠芽腫、神経膠腫、メラノーマ、前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん、乳がん、トリプルネガティブ乳がん、神経膠芽腫、卵巣がん、肺がん、扁平上皮癌(例えば、頭部、頸部又は食道)、結腸直腸がん、白血病、急性骨髄性白血病、リンパ腫、B細胞リンパ腫、又は多発性骨髄腫が挙げられる。さらなる例としては、甲状腺がん、内分泌系がん、脳がん、乳がん、子宮頸がん、結腸がん、頭頸部がん、食道がん、肝臓がん、腎臓がん、肺がん、非小細胞肺がん、メラノーマ、中皮腫、卵巣がん、肉腫、胃がん、子宮がん又は髄芽腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、多形神経膠芽腫、卵巣がん、横紋筋肉腫、原発性血小板増加症、原発性マクログロブリン血症、原発性脳腫瘍、がん、悪性膵臓インスリノーマ、悪性カルチノイド、膀胱がん、前がん皮膚病変、精巣がん、リンパ腫、甲状腺がん、神経芽細胞腫、食道がん、尿生殖器管がん、悪性高カルシウム血症、子宮内膜がん、副腎皮質がん、膵臓内分泌又は外分泌の新生物、髄様甲状腺がん、髄様甲状腺癌腫、メラノーマ、結腸直腸がん、結腸直腸がん、乳頭様甲状腺がん、肝細胞癌、乳頭のパジェット病、葉状腺腫瘍、小葉癌、腺管癌、膵臓星状細胞がん、肝星状細胞がん又は前立腺がんが挙げられる。
【0113】
「白血病」との用語は、広く、血液形成器官の進行性悪性疾患を指し、一般に、血液及び骨髄における白血球及びこの前駆体の増殖及び発達の歪みを特徴とする。白血病は、一般に、(1)急性又は慢性の疾患の期間及び特徴、(2)関与する細胞の種類;骨髄(骨髄性)、リンパ球(リンパ性)又は単球性;及び(3)血液白血病又は無白血病(亜白血性)における異常細胞の数が増加していること、又は増加していないことを基準として、臨床的に分類される。本明細書で提供される化合物、医薬組成物又は方法で処置し得る例示的な白血病としては、例えば、急性非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、非白血性白血病、白血球性白血病、好塩基球性白血病、芽球性白血病、ウシ白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚白血病、胎生細胞性白血病、好酸球性白血病、グロス白血病、有毛細胞白血病、血芽球性白血病、血芽球細胞性白血病、組織球性白血病、幹細胞性白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ細胞性白血病、リンパ行性白血病、リンパ様白血病、リンパ肉腫細胞性白血病、肥満細胞性白血病、巨核球性白血病、小骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄性白血病、骨髄顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ白血病、形質細胞性白血病、多発性骨髄腫、形質細胞白血病、前骨髄球性白血病、リーダー細胞性白血病、シリング白血病、幹細胞性白血病、亜白血性白血病又は未分化細胞性白血病が挙げられる。
【0114】
「肉腫」という用語は、胎芽の結合組織のような物質で形成され、原線維又は同種の物質に埋め込まれた密に集まった細胞から一般的に構成される腫瘍を広く指す。本明細書で提供される化合物、医薬組成物又は方法で処置し得る例示的な肉腫としては、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、骨肉腫、アバーネシー肉腫、脂肪性肉腫、脂肪肉腫、胞状軟部肉腫、エナメル上皮肉腫、ブドウ状肉腫、緑色肉腫、絨毛上皮腫、胎芽性肉腫、ウィルムス腫瘍肉腫、子宮内膜肉腫、間質性肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽細胞性肉腫、巨細胞肉腫、顆粒球性肉腫、ホジキン肉腫、特発多発性色素出血性肉腫、B細胞免疫芽球性肉腫、リンパ腫、T細胞免疫芽球性肉腫、イエンセン肉腫、カポージ肉腫、クップファー細胞肉腫、血管肉腫、白血肉腫、悪性間葉肉腫、傍骨性肉腫、網状赤血球性肉腫、ラウス肉腫、漿液嚢肉腫、滑膜肉腫又は毛細血管拡張性肉腫が挙げられる。
【0115】
「メラノーマ」という用語は、皮膚及び他の組織のメラノサイト系から生じる腫瘍を意味するのに用いられる。本明細書で提供される化合物、医薬組成物又は方法で処置し得るメラノーマとしては、例えば、末端部黒子黒色腫、メラニン欠乏性黒色腫、良性若年性黒色腫、クラウドマン黒色腫、S91黒色腫、ハーディングパッセー黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子型黒色腫、悪性黒色腫、結節性黒色腫、爪下黒色腫又は表在拡大型黒色腫が挙げられる。
【0116】
「癌腫」という用語は、周囲の組織に浸潤し、転移を引き起こしやすい上皮細胞で形成された悪性の新生物を指す。本明細書で提供される化合物、医薬組成物又は方法で処置し得る例示的な癌腫としては、例えば、髄様甲状腺癌腫、家族性髄様甲状腺癌腫、腺房癌腫、腺癌腫、腺嚢胞癌腫、腺様嚢胞癌腫、癌腫腺腫、副腎皮質の癌腫、肺胞癌腫、肺胞細胞癌腫、基底細胞癌腫、基底細胞性癌腫、類基底細胞癌腫、基底扁平上皮癌腫、細気管支肺胞上皮癌腫、細気管支癌腫、気管支原生癌腫、大脳様癌腫、胆管細胞性癌腫、絨毛膜癌腫、膠様癌腫、コメド癌腫、コーパス癌腫、篩状癌腫、胴甲性癌腫、クタノイム癌腫、円柱状癌腫、円柱細胞性癌腫、腺管癌腫、導管性癌腫、デュラム癌腫、胎生期癌腫、脳様癌腫、エピエルモイド癌腫、上皮腺様癌腫、外方増殖性癌腫、潰瘍性癌腫、線維性癌腫、ゼラチン状癌腫、ゼラチン様癌腫、巨細胞癌腫、巨細胞性癌腫、腺癌腫、顆粒膜細胞癌腫、毛母癌腫、血液様癌腫、肝細胞癌腫、ヒュルトレ細胞癌腫、硝子様癌腫、副腎様癌腫、幼児型胎児性癌腫、原位置癌腫、表皮内癌腫、上皮内癌腫、クロンペチャー癌腫、クルチツキー細胞癌腫、大細胞癌腫、レンズ状癌腫、レンズ様癌腫、脂肪腫性癌腫、小葉癌腫、リンパ上皮癌腫、骨髄癌腫、髄様癌腫、黒色癌腫、モル癌腫、粘液性癌腫、ミューシパーラム癌腫、粘液細胞癌腫、粘液性類表皮癌腫、粘膜癌腫、粘液癌腫、粘液腫性癌腫、鼻咽頭癌腫、燕麦細胞癌腫、骨化癌腫、類骨癌腫、乳頭状癌腫、門脈周囲性癌腫、転移前癌腫、有棘細胞癌腫、髄質様癌腫、腎臓の腎細胞癌腫、予備細胞癌腫、肉腫様癌腫、シュナイダー癌腫、硬癌腫、陰嚢癌腫、印環細胞癌腫、単純性癌腫、小細胞癌腫、ソラノイド癌腫、球状細胞癌腫、紡錘体細胞癌腫、海綿状癌腫、鱗状癌腫、扁平上皮癌腫、ストリング癌腫、毛細血管拡張性癌腫、毛細管拡張様癌腫、移行上皮癌腫、結節性癌腫、管状癌腫、結節状癌腫、ゆうぜい癌腫又は絨毛性癌腫が挙げられる。
【0117】
本明細書で使用される場合、「転移」、「転移性」及び「転移性がん」との用語は互換的に使用することができ、ある器官又は別の隣接していない器官又は身体の一部からの増殖性の疾患又は障害(例えば、がん)の広がりを指す。がんは、原発部位、例えば乳房で起こり、この部位は原発腫瘍、例えば原発性乳がんと呼ばれる。原発腫瘍又は原発部位の幾つかのがん細胞は、局所領域の周囲の正常組織に透過して浸潤する能力、及び/又はリンパ系又は血管系(この系を通って体内の他の部位及び組織に循環する)の壁を貫通する能力を、獲得する。原発腫瘍のがん細胞から形成された第2の臨床的に検出可能な腫瘍は、転移性又は二次性腫瘍と呼ばれる。がん細胞が転移するとき、転移性腫瘍及びこの細胞は、元の腫瘍のものと類似していると推定される。したがって、肺がんが乳房に転移する場合、乳房の部位の二次性腫瘍は、異常な肺細胞からなり、異常な乳房細胞は含まれない。胸部の二次性腫瘍は、転移性肺がんと呼ばれる。したがって、転移性がんという語句は、被験体が原発腫瘍を有しているか又は過去に有しており、1つ以上の二次性腫瘍を有する疾患を指す。非転移性がん又は転移性ではないがんを有する被験体との句は、被験体が原発腫瘍を有するが、1つ以上の二次性腫瘍を有さない疾患を指す。例えば、転移性肺がんとは、原発性肺腫瘍の病歴を有するか、又はこれを有する被験体における疾患及び例えば乳房における第2の位置又は複数の位置に1つ以上の二次的腫瘍を有する疾患を指す。
【0118】
疾患(例えば、糖尿病、がん(例えば、前立腺がん、腎臓がん、転移性がん、メラノーマ、去勢抵抗性前立腺がん、乳がん、トリプルネガティブ乳がん、神経膠芽腫、卵巣がん、肺がん、扁平上皮癌(頭部、頸部又は食道)、結腸直腸がん、白血病、急性骨髄性白血病、リンパ腫、B細胞リンパ腫、又は多発性骨髄腫)に関連する物質又は物質の活性又は機能という内容で、「関連する」又は「と関連する」との用語は、物質又は物質の活性又は機能によって、疾患(例えば、肺がん、卵巣がん、骨肉腫、膀胱がん、子宮頸がん、肝臓がん、腎臓がん、皮膚がん(例えばメルケル細胞癌)、精巣がん、白血病、リンパ腫、頭頸部がん、結腸直腸がん、前立腺がん、膵臓がん、メラノーマ、乳がん、神経芽細胞腫)が(全体的又は部分的に)引き起こされるか、又は疾患の症状が(全体的又は部分的に)引き起こされることを意味する。
【0119】
「患者」又は「それを必要とする被験体」は、本明細書で提供される組成物又は医薬組成物を投与することによって処置することができる疾患又は状態に罹患しているか又はこの傾向がある生物を指す。非限定的な例としては、ヒト、他の哺乳動物、ウシ、ラット、マウス、イヌ、サル、ヤギ、ヒツジ、ウシ、シカ及び他の非哺乳動物が挙げられる。幾つかの実施形態では、患者はヒトである。
【0120】
方法
本明細書で提供される方法は、とりわけ、がんの治療に有用である。複数の実施形態では、本明細書に記載される方法及び組成物は、ROR-1を発現するがんの効果的な治療を与える。ある態様では、治療を必要とする被験体においてがんを治療する方法であって、この方法が、被験体に、治療に有効な量のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)アンタゴニストとチロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR-1)アンタゴニストとを投与することを含む、方法が提供される。
【0121】
別の態様では、治療を必要とする被験体においてがんを治療する方法が提供される。この方法は、被験体に、治療に有効な量のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)アンタゴニストと抗ROR-1抗体とを投与することを含む。
【0122】
「ブルトン型チロシンキナーゼ」との用語は、チロシンタンパク質キナーゼBTKとしても知られており、本明細書で使用される場合、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)、又はBTK活性(例えば、BTKと比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の活性)を維持するその改変体又はホモログの組換え型又は天然に存在する形態のいずれかを指す。幾つかの態様において、改変体又はホモログは、天然に存在するBTKタンパク質と比較して、配列全体又は配列の一部(例えば、50、100、150又は200個の連続したアミノ酸部分)にわたって少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。複数の実施形態では、BTKタンパク質は、UniProt参照番号Q01687によって同定されるタンパク質と実質的に同一であるか、又はこれと実質的な同一性を有する改変体又はホモログである。
【0123】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、低分子である。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、イブルチニブ、イデラリシブ、フォスタマチニブ、アカラブルチニブ、ONO/GS-4059、BGB-3111又はCC-292(AVL-292)である。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、イブルチニブである。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、イデラリシブである。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、フォスタマチニブである。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、アカラブルチニブである。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、ONO/GS-4059である。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、BGB-3111である。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、CC-292(AVL-292)である。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、R406である。
【0124】
本明細書で提供される「ROR-1」との用語は、ROR-1活性を維持するチロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR-1)又はこの改変体又はホモログ(例えば、ROR-1と比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の活性)の組換え型又は天然に存在する形態のいずれかを指す。幾つかの態様において、改変体又はホモログは、天然に存在するROR-1タンパク質と比較して、配列全体又は配列の一部(例えば、50、100、150又は200個の連続したアミノ酸部分)にわたって少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。複数の実施形態では、ROR-1タンパク質は、アクセッション番号NP_005003.1によって同定されるタンパク質と実質的に同一であるか、又はこれと実質的な同一性を有する改変体又はホモログである。複数の実施形態では、ROR-1タンパク質は、配列番号13のアミノ酸配列を含む。複数の実施形態では、ROR-1タンパク質は、配列番号13のアミノ酸配列である。複数の実施形態では、ROR-1タンパク質は、配列番号14のアミノ酸配列を含む。複数の実施形態では、ROR-1タンパク質は、配列番号15のアミノ酸配列を含む。
【0125】
ROR-1アンタゴニストが抗体である場合には、抗体は、ROR-1ポリペプチドに特異的に結合する。したがって、複数の実施形態では、ROR-1アンタゴニストは、抗ROR-1抗体である。複数の実施形態では、抗ROR-1抗体は、ヒト化抗体である。
【0126】
抗ROR-1抗体は、ROR-1ポリペプチドの一部又はそのフラグメントに結合可能なアミノ酸配列(例えば、CDR)を含んでいてもよい。したがって、複数の実施形態では、抗体は、ヒト化重鎖可変領域と、ヒト化軽鎖可変領域とを含み、ヒト化重鎖可変領域が、配列番号1、配列番号2及び配列番号3に示される配列を含み、ヒト化軽鎖可変領域は、配列番号4、配列番号5及び配列番号6に示される配列を含む。
【0127】
複数の実施形態では、抗体は、シルムツズマブである。本明細所で定義されるようなシルムツズマブは、本明細書でUC-961又は99961.1とも呼ばれる。シルムツズマブの開発及び構造は、その全体があらゆる目的のために本明細書に参照により組み込まれる米国特許出願第14/422,519号に開示される。
【0128】
複数の実施形態では、抗体は、ヒト化重鎖可変領域と、ヒト化軽鎖可変領域とを含み、ヒト化重鎖可変領域が、配列番号7、配列番号8及び配列番号9に示される配列を含み、ヒト化軽鎖可変領域は、配列番号10、配列番号11及び配列番号12に示される配列を含む。配列番号7、8、9、10、11、12によって示されるアミノ酸配列(すなわちCDR)を含む抗体は、本明細書で抗体D10と呼ばれることがある。抗体D10の開発及び構造は、その全体があらゆる目的のために本明細書に参照により組み込まれる米国特許第9,217,040号に開示される。
【0129】
複数の実施形態では、抗体は、ROR-1アミノ酸130~160又はそのフラグメントに結合する。複数の実施形態では、抗体は、ROR-1の138位に対応する位置にグルタミン酸を含むペプチドに結合する。複数の実施形態では、抗体は、ROR-1タンパク質の細胞外ドメインの3’末端又は中央のIg様領域のいずれかに特異的に結合する。複数の実施形態では、抗体は、1~147位からのROR-1タンパク質の細胞外ドメインのIg様領域の3’末端に結合する。
【0130】
複数の実施形態では、この抗体は、転移を阻害する。複数の実施形態では、この抗体は、抗体フラグメントである。複数の実施形態では、抗体は、ヒト抗体である。複数の実施形態では、抗体は、ヒト化されている。複数の実施形態では、抗体は、キメラ抗体である。複数の実施形態では、抗体は、一本鎖の軽鎖抗体である。
【0131】
複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約500pM~約6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約550pM~約6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約600pM~約6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約650pM~約6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約700pM~約6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約750pM~約6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約800pM~約6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約850pM~約6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約900pM~約6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約950pM~約6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約1nM~約6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約1nM~約6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約1.5nM~約6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約2nM~約6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約2.5nM~約6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約3nM~約6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約3.5nM~約6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約4nM~約6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約4.5nM~約6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約5nM~約6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約5.5nM~約6nMである。
【0132】
複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが500pM~6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが550pM~6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが600pM~6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが650pM~6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが700pM~6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが750pM~6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが800pM~6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが850pM~6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが900pM~6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが950pM~6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが1nM~6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが1nM~6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが1.5nM~6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが2nM~6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが2.5nM~6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが3nM~6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが3.5nM~6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが4nM~6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが4.5nM~6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが5nM~6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが5.5nM~6nMである。
【0133】
複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約500pM~約5.5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約500pM~約5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約500pM~約4.5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約500pM~約4nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約500pM~約3.5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約500pM~約3nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約500pM~約3.5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約500pM~約3nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約500pM~約2.5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約500pM~約2nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約500pM~約1.5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約500pM~約1nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約500pM~約950pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約500pM~約900pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約500pM~約850pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約500pM~約800pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約500pM~約750pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約500pM~約700pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約500pM~約650pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約500pM~約600pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約500pM~約550pMである。
【0134】
複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが500pM~5.5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが500pM~5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが500pM~4.5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが500pM~4nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが500pM~3.5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが500pM~3nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが500pM~3.5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが500pM~3nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが500pM~2.5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが500pM~2nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが500pM~1.5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが500pM~1nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが500pM~950pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが500pM~900pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが500pM~850pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが500pM~800pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが500pM~750pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが500pM~700pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが500pM~650pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが500pM~600pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが500pM~550pMである。
【0135】
複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約500pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが500pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約550pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが550pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約600pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが600pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約650pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが650pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約700pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが700pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約750pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが750pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約800pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが800pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約850pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが850pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約900pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが900pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約950pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが950pMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約1nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約1nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが1nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約1.5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが1.5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約2nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが2nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約2.5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが2.5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約3nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが3nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約3.5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが3.5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約4nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが4nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約4.5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが4.5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約5.5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが5.5nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが約6nMである。複数の実施形態では、抗体は、結合アフィニティが6nMである。
【0136】
複数の実施形態では、抗体は、約40nM未満(例えば、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0.25、0.1nM)のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、40nM未満(例えば、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0.25、0.1nM)のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、約35nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、35nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、約30nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、30nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、約25nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、25nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、約20nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、20nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、約15nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、15nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、約10nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、10nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、約9nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、9nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、約8nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、8nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、約7nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、7nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、約6nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、6nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、約5nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、5nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、約4nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、4nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、約3nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、3nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、約2nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、2nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、約1nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、1nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、約0.5nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、0.5nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、約0.25nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、0.25nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、約0.1nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。複数の実施形態では、抗体は、0.1nM未満のKDでROR-1タンパク質に結合する。
【0137】
複数の実施形態では、抗体は、シルムツズマブであり、本明細書では、99961.1又はUC-961とも呼ばれる。複数の実施形態では、抗体は、D10である。
【0138】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストとROR-1アンタゴニストとが、組み合わせた相乗的な量で投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストと抗ROR-1抗体とが、組み合わせた相乗的な量で投与される。「組み合わせた相乗的な量」は、本明細書で使用される場合、相乗効果(すなわち、相加効果よりも大きな効果)をもたらす第1の量(例えば、BTKアンタゴニストの量)と第2の量(例えば、ROR-1アンタゴニストの量)との合計を指す。したがって、「シナジー」、「相乗作用」、「相乗的な」、「組み合わせた相乗的な量」及び「相乗的な治療効果」との用語は、相互に置き換え可能に用いられ、組み合わせて投与された化合物の測定された効果を指し、測定された効果は、単一薬剤として単独で投与されたそれぞれの化合物の個々の効果の合計よりも大きい。
【0139】
複数の実施形態では、相乗的な量は、ROR-1アンタゴニストとは別個に使用されるときのBTKアンタゴニストの量の約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98又は99%であってもよい。複数の実施形態では、相乗的な量は、BTKアンタゴニストとは別個に使用されるときのROR-1アンタゴニストの量の約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98又は99%であってもよい。
【0140】
相乗効果は、BTK活性を減らす効果及び/又はROR-1活性を減らす効果であってもよい。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストとROR-1アンタゴニストとの間のシナジーによって、個々に単独に使用するときのBTKアンタゴニストの減少又はROR-1アンタゴニストの減少の合計よりも、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%、又はもっと多くの減少(例えば、BTK活性の減少又はROR-1活性の減少)をもたらしてもよい。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストとROR-1アンタゴニストとの間のシナジーによって、個々に単独に使用するときのBTKアンタゴニスト又はROR-1アンタゴニストの阻害の合計よりも、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%、又はもっと多くのBTKタンパク質及び/又はROR-1タンパク質の阻害をもたらしてもよい。
【0141】
相乗効果は、がんを治療する効果、例えば、リンパ腫(すなわち、リンパ腫を治療する相乗効果)、白血病(すなわち、白血病を治療する相乗効果)、骨髄腫(すなわち、骨髄腫を治療する相乗効果)、AML(すなわち、AMLを治療する相乗効果)、B-ALL(すなわち、B-ALLを治療する相乗効果)、T-ALL(すなわち、T-ALLを治療する相乗効果)、腎細胞癌腫(すなわち、腎細胞癌腫を治療する相乗効果)、結腸がん(すなわち、結腸がんを治療する相乗効果)、結腸直腸がん(すなわち、結腸直腸がんを治療する相乗効果)、乳がん(すなわち、乳がんを治療する相乗効果)、扁平上皮細胞がん(すなわち、扁平上皮細胞がんを治療する相乗効果)、メラノーマ(すなわち、メラノーマを治療する相乗効果)、胃がん(すなわち、胃がんを治療する相乗効果)、脳がん(すなわち、脳がんを治療する相乗効果)、肺がん(すなわち、肺がんを治療する相乗効果)、膵臓がん(すなわち、膵臓がんを治療する相乗効果)、子宮頸がん(すなわち、子宮頸がんを治療する相乗効果)、卵巣がん(すなわち、卵巣がんを治療する相乗効果)、肝臓がん(すなわち、肝臓がんを治療する相乗効果)、膀胱がん(すなわち、膀胱がんを治療する相乗効果)、前立腺がん(すなわち、前立腺がんを治療する相乗効果)、精巣がん(すなわち、精巣がんを治療する相乗効果)、甲状腺がん(すなわち、甲状腺がんを治療する相乗効果)、頭頸部がん(すなわち、頭頸部がんを治療する相乗効果)、子宮がん(すなわち、子宮がんを治療する相乗効果)、腺がん(すなわち、腺がんを治療する相乗効果)、副腎がん(すなわち、副腎がんを治療する相乗効果)、慢性リンパ性白血病(すなわち、慢性リンパ性白血病を治療する相乗効果)、小リンパ球性リンパ腫(すなわち、小リンパ球性リンパ腫を治療する相乗効果)、周辺細胞B細胞リンパ腫(すなわち、周辺細胞B細胞リンパ腫を治療する相乗効果)、バーキットリンパ腫(すなわち、バーキットリンパ腫を治療する相乗効果)及びB細胞白血病(すなわち、B細胞白血病を治療する相乗効果)を治療する効果であってもよい。
【0142】
BTKアンタゴニスト及びROR-1アンタゴニストは、同時に(例えば混合物として)、別個ではあるが同時に(例えば、別個の静脈ラインを介して)、又は順次(例えば、一方の薬剤が最初に投与され、その後、第2の薬剤が投与される)、組み合わせて投与されてもよい。したがって、組み合わせとの用語は、BTKアンタゴニストとROR-1アンタゴニストの併用、同時投与又は逐次投与を指すために使用される。
【0143】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストとROR-1アンタゴニストとは、同時に投与されるか、又は順次投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストとROR-1アンタゴニストとは、同時に投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストとROR-1アンタゴニストとは、順次投与される。一連の治療の間、BTKアンタゴニストとROR-1アンタゴニストとは、所定の時間に順次投与され、他の時間に同時に投与されてもよい。
【0144】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストとROR-1アンタゴニストとが順次投与される場合、ROR-1アンタゴニストが、第1の時間点に投与され、BTKアンタゴニストが、第2の時間点に投与され、第1の時間点が、第2の時間点より前である。又は、複数の実施形態では、BTKアンタゴニストとROR-1アンタゴニストとが順次投与される場合、BTKアンタゴニストが、第1の時間点に投与され、ROR-1アンタゴニストが、第2の時間点に投与され、第1の時間点が、第2の時間点より前である。
【0145】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストと抗ROR-1抗体とは、同時に投与されるか、又は順次投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストと抗ROR-1抗体とは、同時に投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストと抗ROR-1抗体とは、順次投与される。一連の治療の間、BTKアンタゴニストと抗ROR-1抗体とは、所定の時間に順次投与され、他の時間に同時に投与されてもよい。
【0146】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストと抗ROR-1抗体とが順次投与される場合、抗ROR-1抗体が、第1の時間点に投与され、BTKアンタゴニストが、第2の時間点に投与され、第1の時間点が、第2の時間点より前である。又は、複数の実施形態では、BTKアンタゴニストと抗ROR-1抗体とが順次投与される場合、BTKアンタゴニストが、第1の時間点に投与され、抗ROR-1抗体が、第2の時間点に投与され、第1の時間点が、第2の時間点より前である。
【0147】
処置の経過は、被験体の特定の特徴及び選択された処置の種類に応じて、個々の基準で最もよく決定される。本明細書に開示されているような処置は、毎日、1日に2回、2週間に1回、1ヶ月に1回、又は治療に有効な任意の適用可能な回数で被験体に投与することができる。処置は、単独で、又は本明細書に開示されるか、又は当技術分野で公知の他の処置と組み合わせて投与されてもよい。さらなる処置は、第1の処置と同時に、異なる時間に、又は全く異なる治療スケジュールで(例えば、第1の処置は毎日であってもよく、さらなる処置は週に1回)投与することができる。
【0148】
BTKアンタゴニストとROR-1アンタゴニストとが同時に投与される場合、BTKアンタゴニストとROR-1アンタゴニストとは、混合物として投与されてもよい。したがって、複数の実施形態では、BTKアンタゴニストとROR-1アンタゴニストとは、投与の前に混合される。
【0149】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、約1mg/kg、2mg/kg、5mg/kg、10mg/kg又は15mg/kgの量で投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、約1mg/kgの量で投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、1mg/kgの量で投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、約2mg/kgの量で投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、2mg/kgの量で投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、約5mg/kgの量で投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、5mg/kgの量で投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、約10mg/kgの量で投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、10mg/kgの量で投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、約15mg/kgの量で投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、15mg/kgの量で投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、約420mgの量で投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、420mgの量で投与される。
【0150】
複数の実施形態では、ROR-1アンタゴニストは、約1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、5mg/kg又は10mg/kgの量で投与される。複数の実施形態では、ROR-1アンタゴニストは、約1mg/kgの量で投与される。複数の実施形態では、ROR-1アンタゴニストは、1mg/kgの量で投与される。複数の実施形態では、ROR-1アンタゴニストは、約2mg/kgの量で投与される。複数の実施形態では、ROR-1アンタゴニストは、2mg/kgの量で投与される。複数の実施形態では、ROR-1アンタゴニストは、約3mg/kgの量で投与される。複数の実施形態では、ROR-1アンタゴニストは、3mg/kgの量で投与される。複数の実施形態では、ROR-1アンタゴニストは、約5mg/kgの量で投与される。複数の実施形態では、ROR-1アンタゴニストは、5mg/kgの量で投与される。複数の実施形態では、ROR-1アンタゴニストは、約10mg/kgの量で投与される。複数の実施形態では、ROR-1アンタゴニストは、10mg/kgの量で投与される。
【0151】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、約5mg/kgの量で投与され、ROR-1アンタゴニストは、約2mg/kgで投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、5mg/kgの量で投与され、ROR-1アンタゴニストは、2mg/kgで投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、約5mg/kgの量で投与され、ROR-1アンタゴニストは、約1mg/kgで投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、5mg/kgの量で投与され、ROR-1アンタゴニストは、1mg/kgで投与される。
【0152】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも14日間(例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、40、45又は50日間)にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも15日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも16日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも17日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも18日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも19日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも20日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも21日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも22日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも23日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも24日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも25日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも26日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも27日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも28日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも29日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも30日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも31日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも32日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも33日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも34日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも35日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも40日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも45日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、少なくとも50日間にわたって投与される。
【0153】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、約28日間にわたって投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、毎日、28日間にわたって投与される。
【0154】
複数の実施形態では、ROR-1アンタゴニストは、約28日間にわたって1回投与される。複数の実施形態では、ROR-1アンタゴニストは、28日間にわたって1回投与される。
【0155】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストは、静脈内投与される。複数の実施形態では、ROR-1アンタゴニストは、静脈内投与される。
【0156】
複数の実施形態では、被験体は、哺乳動物である。複数の実施形態では、被験体は、ヒトである。
【0157】
上述の通り、本明細書で提供される方法及び組成物は、その実施形態を含め、がんの治療に有用であり、具体的には、ROR-1を発現するがんの治療に有用である。複数の実施形態では、がんは、リンパ腫、白血病、骨髄腫、AML、B-ALL、T-ALL、腎細胞癌腫、結腸がん、結腸直腸がん、乳がん、扁平上皮細胞がん、メラノーマ、胃がん、脳がん、肺がん、膵臓がん、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣がん、甲状腺がん、頭頸部がん、子宮がん、腺癌又は副腎がんである。複数の実施形態では、がんは、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、周辺細胞B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫又はB細胞白血病である。
【0158】
その実施形態を含めて本明細書で提供されるBTKアンタゴニストとROR-1アンタゴニストの投与される組み合わせは、変動してもよい。例えば、具体的なBTKアンタゴニスト(例えば、イブルチニブ)が、具体的なROR-1アンタゴニスト(例えば、シルムツズマブ)と組み合わせて投与されてもよい。したがって、複数の実施形態では、BTKアンタゴニストであるイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストであるイデラリシブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストであるフォスタマチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストであるアカラブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストであるONO/GS-4059は、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストであるBGB-3111は、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストであるCC-292(AVL-292)は、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストであるR406は、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与される。
【0159】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、1mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、1mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0160】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、1mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、2mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0161】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、1mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、3mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0162】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、1mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、5mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0163】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、1mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、10mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0164】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、2mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、1mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0165】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、2mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、2mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0166】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、2mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、3mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0167】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、2mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、5mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0168】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、2mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、10mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0169】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、5mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、1mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0170】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、5mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、2mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0171】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、5mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、3mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0172】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、5mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、5mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0173】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、5mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、10mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0174】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、10mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、1mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0175】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、10mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、2mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0176】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、10mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、3mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0177】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、10mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、5mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0178】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、10mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、10mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0179】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、15mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、1mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0180】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、15mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、2mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0181】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、15mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、3mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0182】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、15mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、5mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0183】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、15mg/kgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、10mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0184】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、420mgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、1mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0185】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、420mgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、2mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0186】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、420mgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、3mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0187】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、420mgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、5mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0188】
複数の実施形態では、BTKアンタゴニストイブルチニブは、ROR-1アンタゴニストであるシルムツズマブと組み合わせて投与され、イブルチニブは、420mgの量で静脈内投与され、シルムツズマブは、10mg/kgの量で静脈内投与される。さらなる一実施形態では、イブルチニブは、毎日、28日間にわたって投与され、シルムツズマブは、28日間にわたって1回投与される。
【0189】
医薬組成物
本明細書で提供されるBTKアンタゴニストとROR-1アンタゴニストとを含む組成物は、その実施形態を含め、さらに医薬組成物として想定される。したがって、ある態様では、BTKアンタゴニストと、ROR-1アンタゴニストと、薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物が提供される。
【0190】
別の態様では、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)アンタゴニストと、抗ROR-1抗体と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物が提供される。複数の実施形態では、BTKアンタゴニストと抗ROR-1抗体は、組み合わせた相乗的な量で存在し、組み合わせた相乗的な量は、治療を必要とする被験体においてがんを治療するのに有効である。
【0191】
本明細書で提供される医薬組成物に含まれるBTKアンタゴニスト及びROR-1アンタゴニストは、その実施形態を含めて本明細書に記載されるBTKアンタゴニスト及び/又はROR-1アンタゴニストのいずれか1つであってもよい。例えば、BTKアンタゴニストは、イブルチニブであってもよく、ROR-1アンタゴニストは、シルムツズマブであってもよい。同様に、本明細書で提供される医薬組成物は、BTKアンタゴニスト及びROR-1アンタゴニストの投与される量が、本明細書に記載される量のいずれか1であるように配合されてもよい。例えば、イブルチニブは、組成物の投与によって、約5mg/kg又は420mgの投薬量が得られるような量で存在していてもよく、シルムツズマブは、約2mg/kgの投薬量が得られる量で存在していてもよい。
【0192】
提供される組成物は、とりわけ、in vitro又はin vivoでの処方及び投与に適している。適切な担体及び賦形剤並びにこれらの製剤は、The Science and Practice of Pharmacy、第21版、David B.Troy編集、Lippicott Williams&Wilkins(2005)に記載されている。薬学的に許容される担体とは、生物学的に又は他の点で、望ましくないものではない物質を意味する。すなわち、この物質は、望ましくない生物学的効果を引き起こさずに、又はこれが含まれる医薬組成物の他の成分と有害な様式で相互作用をせずに、被験体に投与される。被験体に投与される場合、担体は、任意選択的に、活性成分の分解を最小限にし、被験体における有害な副作用を最小限に抑えるように、任意に選択される。
【0193】
本発明によって提供される医薬組成物は、活性成分(例えば、実施形態又は実施例を含む本明細書に記載の組成物)が治療に有効な量、すなわち意図された目的を達成するのに有効な量で含まれる組成物を含む。特定の用途に有効な実際の量は、とりわけ、処置される状態に依存する。疾患を処置するための方法において投与される場合、本明細書に記載の組換えタンパク質は、所望の結果(例えば、標的分子の活性を調節し、及び/又は疾患の症状の進行を低減するか、なくすか、又は遅らせる)を達成するために有効な量の活性成分を含むだろう。本発明の化合物の治療に有効な量の決定は、特に本明細書の詳細な開示を考慮して、十分に当業者の能力の範囲内にある。
【0194】
提供される組成物は、単一の薬剤又は複数の薬剤を含むことができる。投与のための組成物は、一般に、薬学的に許容される担体、好ましくは水性担体に溶解した、本明細書に記載の薬剤を含む。種々の水性担体、例えば緩衝食塩水などを使用することができる。これらの溶液は無菌であり、一般的に、望ましくない物質を含まない。これらの組成物は、従来の周知の滅菌技術によって滅菌されてもよい。組成物は、適切な生理学的条件に必要な薬学的に許容される補助物質、例えば、pH調整剤及びバッファー、毒性調整剤など、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなどを含んでいてもよい。これらの製剤中の活性薬剤の濃度は様々に変化してもよく、選択される特定の投与様式及び被験体の必要性に応じて、主として体液量、粘度、体重などに基づいて選択される。
【0195】
遊離塩基又は薬理学的に許容される塩としての活性化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合された水中で調製することができる。分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びこれらの混合物中、及び油中で調製することもできる。通常の貯蔵条件及び使用条件で、これらの製剤は、微生物の増殖を防止するための防腐剤を含んでいてもよい。
【0196】
医薬組成物は、鼻腔内用又は吸入可能な溶液又はスプレー、エアロゾル又は吸入剤によって送達することができる。鼻用溶液は、点鼻又はスプレーで鼻腔に投与されるように設計された水溶液であってもよい。鼻用溶液は、鼻の分泌物と多くの点で似ているように調製することができる。したがって、鼻用水溶液は、通常、等張性であり、5.5から6.5のpHを維持するために、わずかに緩衝化される。さらに、必要に応じて、眼用製剤及び適切な薬物安定剤に使用されるものと同様の抗菌防腐剤が、製剤に含まれていてもよい。様々な市販の鼻用製剤が知られており、例えば、抗生物質及び抗ヒスタミン剤を含んでいてもよい。
【0197】
経口製剤は、例えば医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの賦形剤を含むことができる。これらの組成物は、溶液、懸濁物、錠剤、丸薬、カプセル、持続放出製剤又は散剤の形態をとる。幾つかの実施形態では、経口医薬組成物は、不活性希釈剤又は同化可能な食用担体を含むか、又は硬質又は軟質ゼラチンカプセルに封入されてもよく、又は錠剤に圧縮してもよく、又は食用の食べ物に直接組み込まれてもよい。経口治療用投与の場合、活性化合物は賦形剤と共に組み込まれ、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁物、シロップ、ウエハースなどの形態で使用されてもよい。このような組成物及び製剤は、少なくとも0.1%の活性化合物を含有すべきである。組成物及び製剤のパーセントは、もちろん変えることができ、便宜的に単位重量の約2から約75%、好ましくは25~60%の間であってもよい。このような組成物中の活性化合物の量は、適切な投与量が得られるような量である。
【0198】
例えば、水溶液での非経口投与のためには、溶液は適切に緩衝化され、液体希釈剤はまず十分な生理食塩水又はグルコースで等張性にされるべきである。水溶液、特に滅菌水性媒体は、静脈内、筋肉内、皮下及び腹腔内の投与に特に適している。例えば、1回の投与量を1mlの等張性NaCl溶液に溶解し、1000mlの皮下注入液に添加するか、又は提案された注入部位に注入することができる。
【0199】
滅菌注射用溶液は、必要な量の活性化合物又は構築物を適切な溶媒に組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散液は、種々の滅菌された活性成分を、基本的な分散媒体を含む滅菌ビヒクル中に組み込むことによって調製される。有効成分と任意の追加の所望な成分の粉末を得る真空乾燥及び凍結乾燥技術を用い、滅菌注射溶液を再構築するための滅菌粉末を調製することができる。直接注射のために、さらに濃縮された、又は高度に濃縮された溶液の調製も想定されている。DMSOは、非常に迅速な透過のための溶媒として使用することができ、高濃度の活性薬剤を小さな面積に送達する。
【0200】
化合物の製剤は、アンプル及びバイアルのような単位用量又は複数用量の密封容器で提供することができる。したがって、組成物は単位剤形であってもよい。このような形態では、製剤は、適切な量の活性成分を含む単位用量に細分される。したがって、組成物は、投与方法に依存して種々の単位剤形で投与することができる。例えば、経口投与に適した単位剤形には、粉末、錠剤、丸薬、カプセル及びロゼンジが含まれるが、これらに限定されない。
【0201】
哺乳動物に投与される投与量及び頻度(単回投与又は複数回投与)は、種々の因子、例えば当該哺乳動物が別の疾患に罹患しているかどうか及び投与経路;レシピエントの大きさ、年齢、性別、健康、体重、体格指数、ボディマス指数及び食事;治療される疾患の症状の性質及び程度(例えば、がんの症状及びこのような症状の重篤度);同時治療の種類、治療される疾患による合併症又は他の健康関連の問題に依存して、様々であってもよい。他の治療計画又は薬剤を、本発明の方法及び化合物と共に使用することができる。確立された投与量(例えば、頻度及び持続時間)の調節及び操作は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0202】
本明細書に記載される任意の組成物(例えば、提供される細胞透過性コンジュゲート)について、治療に有効な量は、細胞培養アッセイから最初に決定することができる。目標濃度は、本明細書に記載の方法を用いて測定するか、又は当技術分野で公知の方法を用いて測定したとき、本明細書に記載の方法を達成することができる活性化合物の濃度である。当技術分野で周知のように、ヒトにおける使用のための有効な量は、動物モデルから決定することもできる。例えば、ヒトのための用量は、動物において有効であることがわかっている濃度を達成するように製剤化することができる。ヒトの用量は、有効性をモニタリングし、上述のように用量を上側又は下側に調節することによって調整することができる。上述の方法及び他の方法に基づいてヒトにおいて最大の効能を達成するために用量を調節することは、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0203】
投与量は、患者及び使用される化合物の要求に応じて変わり得る。本発明の文脈において患者に投与される用量は、時間の経過と共に患者における有益な治療応答に影響を及ぼすのに十分な量であるべきである。用量の大きさは、有害な副作用の存在、性質及び程度によっても決定される。特定の状況のための適切な投与量の決定は、医師の技能の範囲内である。一般に、処置は、化合物の最適用量よりも低い、より少ない用量で開始される。その後、状況の下で最適な効果に達するまで、用量を少しずつ増加させる。
【0204】
投与量及び間隔は、処置される特定の臨床適応症に有効な投与化合物のレベルを提供するために、個々に調整することができる。これにより、個体の疾患状態の重篤度に見合った治療計画を提供する。
【0205】
本明細書で提供される教示を利用して、実質的な毒性を引き起こさず、しかも特定の患者によって示された臨床症状を処置するのに有効であるような、有効な予防的又は治療的処置計画を計画することができる。この計画には、化合物の効力、相対的なバイオアベイラビリティ、患者の体重、有害な副作用の存在及び重症度などの要因を考慮して、活性化合物の慎重な選択が必要である。
【0206】
「薬学的に許容される賦形剤」及び「薬学的に許容される担体」は、被験体に対する有効な薬剤の投与及び被験体による吸収を助け、患者に重大で有害な毒性作用を引き起こさずに、本発明の組成物に含めることができる物質を指す。薬学的に許容される賦形剤の非限定的な例には、水、NaCl、通常の生理食塩水、乳酸Ringer液、通常のショ糖、通常のグルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤、甘味料、風味剤、塩溶液(例えば、Ringer液)、アルコール、油、ゼラチン、ラクトース、アミロース又はデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジン及び色素などが挙げられる。このような製剤は、滅菌され、必要に応じて、滑沢剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響する塩、バッファー、着色剤及び/又は芳香物質などの本発明の化合物と有害な反応を起こさない補助剤と混合されてもよい。当業者は、他の医薬賦形剤が本発明において有用であることを認識するであろう。
【0207】
「薬学的に許容される塩」との用語は、当技術分野で周知の様々な有機及び無機の対イオンから誘導される塩を指し、単なる例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどを含み、分子が塩基性官能基を含む場合、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などの有機又は無機酸の塩が挙げられる。
【0208】
「調製」との用語は、担体としてカプセル化材料を用い、活性成分が他の担体を伴って、又は伴わずに、活性成分が担体に囲まれ、これにより担体と会合するカプセルを与える、活性化合物の製剤を含むことを意図している。同様に、カシェ剤及びロゼンジ剤も含まれる。錠剤、散剤、カプセル、丸剤、カシェ剤及びロゼンジ剤は、経口投与に適した固体剤形として使用することができる。
【0209】
複数の実施形態では、医薬組成物は、イブルチニブと、シルムツズマブと、薬学的に許容される賦形剤とからなる。複数の実施形態では、医薬組成物は、イデラリシブと、シルムツズマブと、薬学的に許容される賦形剤とからなる。複数の実施形態では、医薬組成物は、フォスタマチニブと、シルムツズマブと、薬学的に許容される賦形剤とからなる。複数の実施形態では、医薬組成物は、アカラブルチニブと、シルムツズマブと、薬学的に許容される賦形剤とからなる。複数の実施形態では、医薬組成物は、ONO/GS-4059と、シルムツズマブと、薬学的に許容される賦形剤とからなる。複数の実施形態では、医薬組成物は、BGB-3111と、シルムツズマブと、薬学的に許容される賦形剤とからなる。複数の実施形態では、医薬組成物は、CC-292(AVL-292)と、シルムツズマブと、薬学的に許容される賦形剤とからなる。複数の実施形態では、医薬組成物は、R406と、シルムツズマブと、薬学的に許容される賦形剤とからなる。
【0210】
複数の実施形態では、医薬組成物は、用量1mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量1mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量1mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量2mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量1mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量3mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量1mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量5mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量1mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量10mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。
【0211】
複数の実施形態では、医薬組成物は、用量2mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量1mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量2mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量2mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量2mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量3mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量2mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量5mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量2mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量10mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。
【0212】
複数の実施形態では、医薬組成物は、用量5mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量1mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量5mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量2mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量5mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量3mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量5mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量5mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量5mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量10mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。
【0213】
複数の実施形態では、医薬組成物は、用量10mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量1mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量10mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量2mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量10mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量3mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量10mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量5mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量10mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量10mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。
【0214】
複数の実施形態では、医薬組成物は、用量15mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量1mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量15mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量2mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量15mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量3mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量15mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量5mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量15mg/kgに相当する量のイブルチニブと、用量10mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。
【0215】
複数の実施形態では、医薬組成物は、用量420mgに相当する量のイブルチニブと、用量1mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量420mgに相当する量のイブルチニブと、用量2mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量420mgに相当する量のイブルチニブと、用量3mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量420mgに相当する量のイブルチニブと、用量5mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。複数の実施形態では、医薬組成物は、用量420mgに相当する量のイブルチニブと、用量10mg/kgに相当する量のシルムツズマブとを含む。
【実施例0216】
BCR(B細胞受容体)シグナル伝達によるシグナル伝達は、疾患、例えば、慢性リンパ性白血病(CLL)の発病及び/又は進行において、役割を果たすと考えられる。CLL生物学におけるこのカスケードの重要性は、BCRシグナル伝達を遮断することを意図する低分子キナーゼ阻害剤を用いた臨床的活性を示す臨床試験によって明確にされるようである。しかし、BCRシグナル伝達を遮断することを意図したほとんど全ての阻害剤は、完全応答(CR)を有することができず、このことは、BCRシグナル伝達を相殺する他の機構が、BCRシグナル伝達を用いた治療跡のCLLのCRに関与し得ることを示唆している。出願人らは、特に、ROR-1(CLLの生存シグナル)が阻害剤によって誘発され、この効果の主要因となり得ることを発見した。
【0217】
受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR-1)は、慢性リンパ性白血病(CLL)及びマントル細胞リンパ腫(MCL)を有する患者からのリンパ腫及び白血病細胞の細胞表面で発現するが、正常なB細胞又は他の産後組織では発現しない、がん胚細胞抗原である。ROR-1に対するリガンドWnt5aの結合によって、グアニン交換因子(GEF)の動員が起こり、Rac1及びRhoAを活性化し、疾患に関連する化学走性及び増殖を促進する。BTKBTK及びROR-1の同時阻害を用いたBCR及びROR-1シグナル伝達経路の標的化は、まだ報告されていない。ここに提示される研究は、原発性CLLサンプルにおいて、新規及び選択的な抗ROR-1抗体シルムツズマブと合わせたイブルチニブの活性を評価した。BTK阻害剤及び抗ROR-1抗体を両方用いる治療は、単一薬剤のみを用いた治療と比較すると、CLL細胞の生存率をさらに下げ、組み合わせると、さらに破壊されたリガンドがシグナル伝達を誘発するため、相乗的な成長阻害を誘発した。ここで、これらのキナーゼの同時標的化は、臨床的活性を顕著に高めるだろう。
【0218】
さらに、抗ROR-1とイブルチニブの組み合わせ治療を用いて観察された、高められた効能は、予想されない便益であった。具体的には、イブルチニブと、細胞が介在する抗主要反応性を示す抗CD20抗体とを組み合わせても、この高められた効能は示さなかった。実際に、イブルチニブが、CD20の活性を妨害することが示された。
【0219】
[実施例1]
慢性リンパ性白血病の治療のためのシルムツズマブ(UC-961)とイブルチニブとの組み合わせ
概要
イブルチニブは、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)を可逆的に阻害する低分子であり、B細胞受容体(BCR)シグナル伝達を遮断することによって慢性リンパ性白血病(CLL)患者における効能を示すが、完全応答(CR)又は長期寛解は誘発しない。RTK様オーファン受容体-1(ROR-1)は、Wnt5aのための受容体であり、CLL進行における非標準的なWntシグナル伝達において重要な役割を果たす。この試験では、出願人らは、CLL細胞においてWnt5a/ROR-1シグナル伝達が介在する活性に対するイブルチニブの効果を試験した。出願人らは、Wnt5aが、イブルチニブで処理されたCLL細胞において、Rac1活性化を誘発することができるが、イブルチニブ処理は、Wnt5a非存在下でCLL増殖を阻害することができる(これは、Wnt5a刺激によって反転した)ことを、発見した。このような効果は、ヒト化抗ROR-1モノクローナル抗体(mAb)、シルムツズマブ(UC-961)によって遮断された。さらに、UC-961とイブルチニブとを用いる組み合わせ治療は、CLL増殖をin vitroで顕著に阻害し、そしてROR-1+白血病細胞の生着をin vivoで顕著に阻害し、これは、それぞれの薬剤単独よりも効果的であった。この試験の結果は、CLL及び他のROR-1を発現するB細胞腫瘍を有する患者のための治療としてUC-961とイブルチニブを合わせるための論理的根拠を与える。
【0220】
緒言
B細胞受容体(BCR)を介するシグナル伝達は、CLLの発病及び進行に重要な役割を果たす。BCRの架橋によって、CD79a/b及びSrcファミリーキナーゼLYNのリン酸化が起こり、チロシンキナーゼSykの動員及び活性化が起こり、下流のシグナル伝達事象のカスケードを誘発し、B細胞の生存を高める。CLL生物学におけるこのカスケードの重要性は、BCRシグナル伝達にとって重要である、Syk、Akt及びBTKなどのキナーゼの低分子阻害時の治療効果によって明確にされるようである。イブルチニブは、BTKの阻害剤であり、治療を無期限に続けている限り、大部分の患者において長期臨床応答を誘発することができる。しかし、大部分の患者は、一般的に、部分応答(PR)のみを達成する。さらに、患者は、実際には、決して完全応答(CR)を達成せず、延長された単剤薬剤治療の後でさえ、検出可能な最小残留疾患(MRD)を欠く。
【0221】
イブルチニブが深いCRを達成することができないことは、BTKの阻害剤によって遮断されない代替的な生存シグナル伝達経路の存在に起因するものであろう。このような経路の1つは、ROR-1を介するシグナル伝達によって誘発されるものであり、がん胚性抗原は、CLL細胞上で発現するが、正常な産後組織では発現しない。出願人らは、ROR-1が、Wnt5aの受容体として働くことができ、これは、Rho GTPase(例えば、Rac1)の活性化を導く非標準的なWntシグナル伝達を誘発し、そして白血病細胞の増殖及び生存を高めることができることを、発見した。Wnt5aによるRac1の活性化は、CLL患者の臨床試験において現在評価を行っているファーストインクラスのヒト化モノクローナル抗体である抗ROR-1 mAb(UC-961)によって阻害することができた。
【0222】
この試験では、出願人らは、BCRシグナル伝達阻害剤イブルチニブ存在下でのWnt5a/ROR-1シグナル伝達を観察し、in vitro及びin vivoでのCLL治療のために、イブルチニブとヒト化抗ROR-1モノクローナル抗体(mAb)、シルムツズマブ(UC-961)の組み合わせ効果を調べた。
【0223】
結果
UC-961は、イブルチニブ存在下、CLL細胞におけるWnt5aによって誘発されるRac1活性化を阻害する。Wnt5aは、CLL細胞を含めた種々の細胞型において、Rac1の活性化を誘発することができる。出願人らは、イブルチニブで処理されたCLL細胞において、Wnt5aがRac1活性化を誘発することができるかどうかを評価した。このために、出願人らは、CLL細胞を、イブルチニブを用い、0、0.25、0.5又は1.0μMの濃度で2時間処理し、次いで、この細胞を外因性Wnt5aで30分間処理した。イムノブロット分析は、Wnt5aを用いた処理が、Rac1活性化を誘発し、このような活性化を、超生理学的であると考えられる濃度であり、BTK占有率100%を生じ、以前の報告と一致している(
図6B)1μMの濃度であってもイブルチニブによって遮断することができない(
図6A)ことを示した。さらに、0.25μM程度の低いイブルチニブの濃度は、抗μを用いたBCR結合によって誘発されるカルシウムの流れを完全に阻害し(
図S11C)、実際にCLL細胞生存率に影響を与えることはない(
図6D)。
【0224】
CLL患者血漿におけるイブルチニブの最大濃度は、約0.5μMである。このように、出願人らは、CLL細胞を、その後の試験で0.5μMのイブルチニブで処理した。出願人らは、UC-961を用い、又は用いずに、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化を試験した。出願人らは、CLL細胞を、イブルチニブ、UC-961、又はイブルチニブとUC-961の組み合わせで2時間前処理し、次いで、この細胞を、Wnt5a組換えタンパク質を用い、又は用いずに30分間処理した。イブルチニブは、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化を阻害しなかったが、UC-961の処理は、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化を、外因性Wnt5aを用いて処理しなかったCLL細胞で観察されるRac1活性化に匹敵するレベルまで減少させた(
図1A~1B)。さらに、UC-961とイブルチニブとの組み合わせは、Wnt5aによって誘発されるRac1も基底レベルまで阻害した(
図1A~1B)。
【0225】
出願人らは、イブルチニブを用いた治療を受けている患者のCLL細胞をWnt5aで刺激することができるかどうかを調べた。このために、血液単核細胞を、420mg QDの標準的な治療用量でイブルチニブを用いた治療を受けている患者から集めた。単離されたCLL細胞を、Wnt5a及び/又はUC-961を用い、又は用いずにインキュベートした。ウェスタンブロット分析は、Wnt5aが、これらの患者に由来するCLL細胞においてRac1活性化を誘発し、一方、UC-961のインキュベートは、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化を阻害したことを示した;活性Rac1のレベルは、治療を行っていないサンプルのレベルと同様であった(
図1C~1D)。これらの結果は、イブルチニブが、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化を阻害しないことを示す。
【0226】
UC-961は、イブルチニブ存在下、CLL細胞のWnt5aによって高められる増殖を阻害する。Rac1-GTPaseの活性化は、増殖を高めることができる。出願人らは、外因性インターロイキン(IL)-4及びIL-10存在下、CD154を発現する細胞(HeLa
CD154)と共培養することによって、CLL細胞の増殖を誘発した。このような培養物に外因性Wnt5aを添加すると、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)で標識された細胞の蛍光強度から推定される細胞分裂率が顕著に高まった。この効果は、UC-961によって阻害することができた(
図2A)。対照的に、野生型HeLa細胞と共培養したCLL細胞は、IL-4/10及び/又はWnt5a存在下でさえ、増殖を誘発しなかった(
図7A~7B)。出願人らの結果は、Wnt5aによって誘発される増殖を、UC-961によって、Wnt5aを用いない培養物で観察されるものと匹敵するレベルまで阻害することができることを示した。イブルチニブを用いた処理は、CD154によって誘発されるCLL細胞増殖を阻害することができた。しかし、外因性Wnt5aは、イブルチニブ存在下で細胞分裂の割合も高めることができ(
図2A)、このことはUC-961によって阻害することができた(
図2A)。異なる患者(N=6)のCLL細胞を用い、同じ効果が観察された(
図2B)。まとめると、これらのデータは、UC-961が、イブルチニブを用いた処理によって影響を受けず、Wnt5aシグナル伝達を遮断することができたことを示す。
【0227】
CLL患者に由来する異種移植におけるUC-961とイブルチニブの組み合わせ。出願人らは、免疫欠損Rag2
-/-γ
c
-/-マウスの腹膜腔にCLLを移植し、異種移植を生成した。出願人らは、UC-961とイブルチニブの組み合わせが、このような異種移植においてCLL細胞を激減させる能力を試験した。このために、出願人らは、AIM-V培地中の1×10
7個の生存可能な原発性CLL細胞を、各マウスの腹膜腔に注射した。1日後、マウスは、未処理であったか、又は毎日、15mg/kgの用量のイブルチニブを経口摂取によって与えられ、及び/又はUC-961を1mg/kgで1回与えられた。7日後に、CLL細胞を腹膜洗浄(PL)によって集め、フローサイトメトリーによって試験した。PLあたり計算されたCLL細胞数は、UC-961又はイブルチニブで処理したマウス群において、コントロールの処理未処理マウスから集めた数よりも有意に少なかった。しかし、UC-961及びイブルチニブの両方で処理した動物は、単剤薬剤イブルチニブ又はUC-961で処理したものを含め、それぞれの他の群よりも、PLあたりのCLL細胞を顕著に減らした(
図3)。これらのデータは、この異種移植モデルにおいて、白血病細胞の激減における、イブルチニブに対するUC-961の相加効果を示す。
【0228】
UC-961は、イブルチニブ存在下、Wnt5aによって高められたRac1活性化と、ROR-1×TCL1白血病細胞の増殖を阻害する。ROR-1×TCL1白血病細胞を、白血病が進行したROR-1×TCL1二重トランスジェニックマウスから単離した。出願人らは、ROR-1×TCL1白血病細胞を、イブルチニブ又はUC-961で2時間前処理し、次いで、この細胞を、Wnt5a組換えタンパク質を用い、又は用いずに30分間処理した。ヒトCLL細胞を用いた出願人らの知見と同様に、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化は、UC-961によって阻害することができたが、イブルチニブによっては阻害することができなかった(
図4A~4B)。UC-961とイブルチニブとの組み合わせもまた、Rac1のWnt5aによって誘発される活性化を基底レベルまで阻害した(
図4A~4B)。しかし、Wnt5a治療は、ROR-1の発現を欠く単一のトランスジェニックTCL1マウスに由来する白血病細胞においてRac1活性化を誘発することができなかった(
図8A)。
【0229】
再び、ROR-1×TCL1白血病細胞を、外因性IL-4及びIL-10存在下、HeLa
CD154と共に培養すると増殖を誘発することができた。外因性Wnt5a処理の添加は、CFSEで標識された細胞の蛍光から推定することができる細胞分裂率と細胞分裂数とを顕著に高めた(
図4C~4D)。ヒトCLL細胞と同様に、野生型HeLa細胞と共培養したROR-1×TCL1白血病細胞は、IL-4/10及び/又はWnt5a存在下でさえ、増殖を誘発しなかった(
図8B)。イブルチニブを用いた治療は、CD154によって誘発されるROR-1×TCL1白血病細胞増殖を部分的に阻害することができた。UC-961は、イブルチニブなしで、CD154及びIL-4/10に応答して、Wnt5aがROR-1×TCL1白血病細胞増殖を高める能力を阻害することができなかった(
図4C~4D)。一方、Wnt5aは、HeLa
CD154細胞及びIL-4/10と共培養されたROR-1陰性のTCL1-白血病細胞の増殖を高めなかった。
【0230】
ROR-1×TCL1白血病を生着したマウスにおけるUC-961とイブルチニブとの組み合わせ
出願人らは、UC-961とイブルチニブとの組み合わせが、Rag2
-/-γ
c
-/-マウスにおいて、ROR-1×TCL1白血病細胞(CD5
+B220
lowROR-1
+)の生着を阻害する能力を調べた。出願人らは、Rag2
-/-γ
c
-/-マウスに、各2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞を移植し、次いで、この動物を、15、5、1.67mg/kgのイブルチニブで毎日、又は一回用量が10、3、1mg/kgのUC-961を用いて処理した。25日後に、動物を屠殺し、脾臓を調べた。イブルチニブ及びUC-961は、用量依存性の様式で、ROR-1×TCL1白血病細胞の増殖を阻害した。出願人らは、組み合わせ試験のために、1mg/kgの単回用量のUC-961と5mg/kgの1日用量のイブルチニブとを選択した。UC-961又はイブルチニブ単独で処理されたマウスは、処理を行わなかった同腹子よりも顕著に小さな脾臓を有しており、UC-961とイブルチニブの併用処理によって、脾臓の大きさが最大限小さくなった(
図5A)。出願人らは、フローサイトメトリーを介し、脾臓におけるROR-1×TCL1白血病細胞の割合を調べた(
図5B)。脾臓あたりのROR-1×TCL1白血病細胞のパーセント及び全細胞数は、処理を受けなかったマウスと比較して、UC-961又はイブルチニブで処理されたマウスにおいて、顕著に低かった。しかし、UC-961及びイブルチニブの両方で処理した動物は、単剤薬剤イブルチニブ又はUC-961で処理したものを含め、それぞれの他の群よりも、脾臓あたりのROR-1×TCL1白血病細胞を顕著に減らした(
図5C)。
【0231】
考察
CLLは、リンパ節(LN)及び骨髄(BM)などの組織区画で増殖する、モノクローナル成熟CD5+B細胞の増殖によって特徴付けられる。腫瘍増殖の違いは、おそらく、CLLの異種性臨床経路の主要因であり、悪性リンパ球間の遺伝的違いと腫瘍増殖を引き起こす外的シグナルの活性とを反映している。CLL細胞は、細胞との相互作用、増殖及び生存のために腫瘍微細環境に存在する可溶性因子に依存する。in vivoでCLLの増殖及び生存を補助し得る経路の中で、BCRシグナル伝達は、重要な1つのようである。BTKは、BCRシグナル伝達に関与し、CLL進行の多くの態様にとって必要である。この試験において、出願人らは、イブルチニブの処理によって、BTKが100%阻害され、IgMによって誘発されるBCRシグナル伝達(例えば、カルシウムの流れ)を阻害し、CD154が介在するCLL増殖を減らすことを示した。
【0232】
細胞の経路は、高速道路よりも多くの同様のネットワークを操作する。がんは、多様な病的シグナル伝達遺伝子制御機構を使用し、その生存、増殖、悪性表現型を促進する。出願人らは、ROR-1がCLL中で発現し、CLL進行に寄与することを報告している。この機能的試験から、ROR-1のリガンドであるWnt5aは、ROR-1を刺激してCLL細胞においてRac1を活性化すること、及びWnt5a/ROR-1シグナル伝達がCLL進行にとって重要であることがわかった。出願人らは、Rac1活性化及びCLL増殖にとって重要であることが示されているWnt5a/ROR-1シグナル伝達の機能に対するイブルチニブの効果を調べた。出願人らは、イブルチニブは、既に報告されているデータと合致して、CD154によって誘発されるCLL増殖を阻害することができるが、外因性IL-4/10存在下、HeLaCD154細胞と共培養すると、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化及びWnt5aによって高められたCLL増殖を阻害することはできないことを発見した。さらに、Wnt-5aは、イブルチニブの治療に対し、患者におけるRac1活性化を顕著に誘発した。CLL患者は、CLL細胞の耐性クローンに起因して、イブルチニブに対する主な耐性を示した。このことは、イブルチニブが、特にLN及びBMの微細環境中でCLL生物学にとって重要である、Wnt5aによって誘発されるシグナル伝達を遮断しないという事実によって説明されるだろう。イブルチニブは、FcγRが介在するカルシウムシグナル伝達及びサイトカイン産生を遮断するが、アクチン重合及び食作用を担うRac活性化には何の影響もないことが報告されている。
【0233】
ある経路の阻害に応答して活性化され、そして薬物耐性及び臨床的再発を引き起こし得る、複数の冗長性(すなわち代替経路)が存在するため、併用療法は、多くの腫瘍を効果的に治療することが、しばしば求められる。研究者らは、白血病治療のための他の薬物とイブルチニブとを用いた併用療法に関与している。Mcl-1及びBcl-XLの減少と共に、Bcl-2タンパク質の増加も観察され、イブルチニブ治療されたCLL細胞の生存機構を示唆していた。イブルチニブとBcl-2阻害剤(ABT-199)との組み合わせは、マントル細胞リンパ腫細胞において、BTK及びBcl-2経路の撹乱によって、増殖阻害及びアポトーシスに対して相乗効果を示した。BTK及びPI3Kは、BCRシグナル伝達を別個に制御し、イブルチニブ及びPI3K阻害剤(イデラリシブ)の併用療法によって、増殖及び生存を促進するニッチからのMCL細胞及びCLL細胞のより顕著な動員を引き起こす。さらに、イブルチニブ及び抗CD20 mAbsの組み合わせ試験は、イブルチニブが、CLL細胞でのCD20発現を実質的に減らし、それに続いて、相補体が介在する細胞死を減らすことを示した。イブルチニブと抗CD20 mAbのこの負の相互作用は、併用療法の効能を下げるかもしれない。これらの試験は全て、イブルチニブとの併用療法を行うときに、BCRシグナル伝達と代替的なシグナル伝達との間の可能な相互作用又はクロストークを特定するのに重要であることを示した。
【0234】
出願人らは、ここで、UC-961が、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化において有意な阻害活性を示し、それによって、Wnt5aによって高められたCLL増殖を阻害することを示した。さらに、UC-961とイブルチニブとの組み合わせを投与すると、それぞれの薬剤単独によって引き起こされるものより大きい相加効果に起因して、レシピエントRag2-/-γc
-/-マウスにおいて白血病細胞を根絶した。
【0235】
UC-961及びイブルチニブは、互いの効果を強化する。その結果、併用療法は、その成長を促進するニッチにおいて増殖速度を下げるだけではなく、そこからのCLL細胞のより顕著な動員の低減をももたらすことが予想される。BTK及びROR-1は、その組み合わせが使用される際に、完全に占められている必要はないため、薬物クリアランス及びタンパク質ターンオーバーという観点から、その効果は、さらに強く、長く続く場合もある。さらに、より少ない用量が与えられてもよく、このことは、効能/毒性比にとって有益であろう。しかし、主として重要なのは、経路の1つより多くの鍵となる構成要素を標的とすることで、元来の治療耐性を克服し得、かつこれから起こる(単剤)治療耐性を克服するか、又は防ぎ得ることである。例えば、UC-961は、予後が悪いことに関連することが特定されている、BTK上のイブルチニブ結合部位の変異、BTK軸中のさらなる分子(例えば、PLCγ2)における変異、SF3B1変異を有する、イブルチニブ治療した患者において、なお有益であり得る。
【0236】
合わせて考えると、CLL又はROR-1×TCL1白血病細胞を用いたin vitro系及びin vivo系における、出願人らのUC-961の使用は、治療薬物としてのUC-961の効力を裏付けるものであり、CLL及びおそらくは活性なBCRシグナル伝達及び/又は腫瘍微小環境に依存してB細胞悪性腫瘍を発現する他のROR-1のために、イブルチニブとの併用療法をさらに調査する価値がある。
【0237】
方法
細胞及びサンプル調製
CLL標本
University of California San Diego Moores Cancer Centerで、CLL患者から血液サンプルを集めた。Ficoll-Paque PLUS(GE Healthcare Life Sciences)を用いた密度遠心分離によってPBMCを単離し、液体窒素中で生存可能に保存するために、90%ウシ胎児血清(FBS)(Omega Scientific)及び10% DMSO(Sigma-Aldrich)に懸濁させた。95%を超えるCD19+CD5+CLL細胞を含めサンプルを、この試験全体でさらに精製することなく使用した。
【0238】
イブルチニブ占有率アッセイ
CLL細胞を、イブルチニブの濃度を増やしつつ(0、0.25、0.5又は1μM)、1時間処理した。次いで、細胞をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、上述のようにBTK占有率アッセイを行うまで、-80℃で保存した。GraphPad Prism version 6.0(GraphPad、サンディエゴ、CA)を用い、BTK占有率を比較した。
【0239】
カルシウム流動アッセイ
CLL細胞を、0、0.25、0.5又は1.0μMのイブルチニブと共に30分間インキュベートし、次いで、Hanks Balanced Salt Solution(HBSS)中、Ca2+及びMg2+を欠く2mMのFluo-4AM(Molecular Probes)と共にロードした。抗ヒトIgM F(ab)2を用いた刺激のために、細胞を37℃に維持した。記載するように、カルシウム放出をフローサイトメトリー分析によって監視した。
【0240】
細胞増殖アッセイ
原発性CLL又はROR-1×TCL1白血病細胞の増殖アッセイを、記載のように実施した。白血病細胞をカルボキシフルオロセインスクシンイミジルエステル(CFSE、Life Technologies)によって標識し、24ウェルトレイ内で、5ng/mLの組換えヒトインターロイキン(IL)-4(R&D Systems)及び15ng/mLの組換えヒトIL-10(R&D Systems)を追加した完全RPMI-1640培地中、照射されたHeLaCD154細胞(8000Rad;80Gray)の層の上に、CLL/HeLaCD154細胞の比率15:1で、1.5×106/ウェル/mlで播種した。Wnt5a(200ng/ml、R&D Systems)又はUC-961(10μg/ml)は、本文中で示される通りである。CFSE標識されたCLL細胞をフローサイトメトリーによって分析した。Modfit LTソフトウェア(バージョン3.0、Verity Software House)を既に記載したように細胞増殖の分析に使用した。
【0241】
Rac1活性化アッセイ
Rac1活性化アッセイ試薬は、Cytoskeletonから購入し、製造業者の指示に従って使用した。簡単に言うと、GTPに結合した活性なRac1を、PAK-PBDビーズを用いてプルダウンし、次いで、イムノブロット分析を行った。全細胞溶解物のイムノブロットを使用し、全Rac1を評価した。バンドの積分光学密度(IOD)を濃度測定によって評価し、Gel-Pro Analyzer 4.0ソフトウェア(Media Cybernetics、MD)を用いて分析した。
【0242】
イムノブロット分析
ウェスタンブロット分析を上述のように行った。各サンプルから等量の全タンパク質をSDS-PAGEによって画分に分け、ポリビニリデンジフルオリド膜上でブロッティングした。Rac1に特異的な一次mAbを用いてウェスタンブロット分析を行い、これをセイヨウワサビペルオキシダーゼ(Cell Signaling Technology)と接合した二次抗体を用いて検出した。
【0243】
ヒトCLL患者に由来する異種移植試験
6~8週齢のRag2-/-γc
-/-マウス(最初に、Catriona Jamieson、University of California、サンディエゴから得た)を、特定の病原体を含まない条件で、層流のキャビネット内に入れ、適宜給餌した。出願人らは、AIM-V培地中の2×107個の生存可能な原発性CLL細胞を、各マウスの腹膜腔に注射した。次の日に、1mg/kgのUC-961を腹腔内に1回注射し、イブルチニブを毎日、15mg/kgで経口摂取によって投与した。7日後に、腹腔に全体積12mLのダルベッコPBSを注射することによって、腹膜洗浄液(PL)を抽出した。PL細胞の全回収率を、Guava計測を用いることによって決定した。その後、マウス及びヒトFcブロッカーを用いて、4℃で30分間、細胞をブロックし、種々のヒト細胞表面マーカー(例えば、CD19、CD5、CD45)で染色し、次いで、フローサイトメトリー分析に供した。出願人らは、各PLにおいて、PL中のCLL細胞のパーセントに、全PL細胞数計測数を掛け算することによって、CLL細胞の数を計算した。ヒトIgGで治療されたマウス由来の残留する白血病細胞を、100%でベースラインとして設定した。各治療群は、少なくとも6匹のマウスを含んでおり、データは、平均±SEMとして表された。
【0244】
ROR-1×TCL1白血病養子細胞移植試験
出願人らは、免疫欠損Rag2-/-γc
-/-マウスにおいて、UC-961とイブルチニブとの組み合わせの抗白血病活性を評価した。ROR-1×TCL1白血病B細胞(CD5+B220lowROR-1+)を脾臓から単離し、密度勾配遠心分離によって濃縮し、滅菌PBSに懸濁させ、Rag2-/-γc
-/-レシピエントマウスに、動物あたり2×104個の細胞を静脈注射した。移植のために使用されるサンプルは、フローサイトメトリーによって、95%より多くが白血病B細胞であると実証された。UC-961の用量依存性処理について、レシピエントマウスは、未処理であるか、又は10mg/kg、3mg/kg及び1mg/kgのUC-961を1日目に1回静脈注射した。イブルチニブの用量依存性処理について、レシピエントマウスは、未処理であるか、又は15mg/kg、5mg/kg及び1.67mg/kgのイブルチニブを1日目から開始して毎日経口投与した。併用療法のために、レシピエントマウスは、未処理であるか、又は1mg/kgのUC-961を1回、静脈注射されたか、及び/又は1日目から開始して、5mg/kgのイブルチニブを毎日投与した。全てのマウスを25日目に屠殺し、脾細胞の単独細胞懸濁物を、塩化アンモニウム-カリウム(ACK)溶解溶液中の低張溶解物によって赤血球細胞から除去し、洗浄し、PBS(pH=7.4)中の2%(wt/vol)のBSA(Sigma)に懸濁させ、発色色素が接合したmAbの最適化された濃度を用い、CD3(17A2)、CD5(53-7.3)、B220(RA3-6B2)及びROR-1(4A5)の表面発現のために染色した。4色のマルチパラメータフローサイトメトリーによって、デュアルレーザFACSCalibur(BD)を用いて細胞を調べ、データをFlowJoソフトウェア(TreeStar)を用いて分析した。全リンパ球のうちのCD5+B220lowROR-1+細胞の割合をフローサイトメトリーによって決定し、この数に全脾臓細胞数計測を掛け算することによって、脾臓あたりの白血病細胞の合計数を計算した。
【0245】
統計学
正規分布のための条件を満足するデータセットについて、コルモゴロフ-スミルノフ検定によって決定されるように、データを平均±SEMとして示す。平均間の差の統計学的有意性は、テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAによって評価された。0.05未満のP値は、有意であると考えた。有意性の分析を、GraphPad Prism 6.0(GraphPad Software Inc.)を用いて行った。
【0246】
[実施例2]
組み合わせ研究
CLL細胞を異なるBCR阻害剤で処理し、そしてROR-1発現について調べた。ROR-1発現は、BCR阻害剤処理の後に有意に誘発された。出願人らは、免疫不全Rag2/共通のγ-軽鎖ノックアウトマウス(Rag2-/-γc
-/-)の腹膜腔において、BCRシグナル伝達阻害剤によって誘発されるROR-1発現が増加したCLL細胞を培養し、その後、コントロールIg、抗ROR-1抗体、イブルチニブ、又は抗ROR-1抗体とイブルチニブの組み合わせで処理された。CLL細胞は、抗ROR-1抗体又はイブルチニブを単独で用いる処理よりも、抗ROR-1抗体とイブルチニブとの組み合わせを用いる処理に対して、感度が高かった。抗ROR-1抗体とイブルチニブとの組み合わせが、ヒト-ROR-1を発現するマウス白血病細胞の養子細胞移植を阻害する能力を、免疫不全レシピエントマウスで試験した。6匹のRAG2-/-γc
-/-マウスに、1mg/kgのヒト化抗ヒトROR-1 mAb UC-961を静脈内注射した。2時間後、全てのマウスに、ROR-1xTCL1トランスジェニックから誘導される1x104 CD5+B220loヒトROR-1+マウス白血病細胞を静脈注射した。イブルチニブの毎日の処理を、白血病異種移植の次の日に開始した。コントロール動物と比較すると、単剤薬剤、抗ROR-1抗体とイブルチニブの併用処理によって処理された動物は、悪性腫瘍細胞が蓄積する主要な臓器である脾臓において、白血病細胞が90%より多く減少した。
【0247】
図9に示されるように、CLL細胞を異なるBCR阻害剤で処理し、そしてROR-1発現について調べた。ROR-1発現は、BCR阻害剤処理の後に有意に誘発された。
【0248】
図10に示されるように、出願人らは、免疫不全Rag2/共通のγ-軽鎖ノックアウトマウス(Rag2
-/-γ
c
-/-)の腹膜腔において、BCRシグナル伝達阻害剤によって誘発されるROR-1発現が増加したCLL細胞を培養し、その後、コントロールIg、抗ROR-1抗体、イブルチニブ、又は抗ROR-1抗体とイブルチニブの組み合わせで処理した。CLL細胞は、抗ROR-1抗体又はイブルチニブを単独で用いる処理よりも、抗ROR-1抗体とイブルチニブの組み合わせを用いる処理に対して、感度が高かった。
【0249】
図11に示されるように、Rag2
-/-γ
c
-/-マウスに、ROR-1xTCL1トランスジェニックマウスに由来する1x10
4個のCD5
+B220
loヒトROR-1
+マウス白血病細胞を静脈注射し、その後、次の日に、コントロールIg、抗ROR-1抗体、イブルチニブ、又は抗ROR-1抗体とイブルチニブの組み合わせで処理した。抗ROR-1抗体とイブルチニブの併用処理によって、悪性腫瘍細胞が蓄積する主要な臓器である脾臓において、抗ROR-1抗体又はイブルチニブのみの処理と比較して、白血病細胞が顕著に減少した。
【0250】
[実施例3]
シルムツズマブは、イブルチニブで処理された慢性リンパ性白血病におけるWnt5aによって誘発されるRac1活性化を阻害する
概要
B細胞受容体(BCR)を介するシグナル伝達は、慢性リンパ性白血病(CLL)の発病及び進行において重要な役割を果たす。このことは、BCRシグナル伝達を遮断し得るブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)の阻害剤であるイブルチニブの臨床的な有効性によって明確にされる。しかし、イブルチニブは、継続した治療がなければ、完全応答(CR)又は長期寛解を誘発することができず、このことは、代替的な経路もまた、BCRシグナル伝達とは独立してCLL成長/生存に寄与することを示唆している。ROR-1は、Wnt5aのための受容体であり、Rac1の活性化を促進し、CLL細胞の増殖及び生存を高めることができる。この試験では、出願人らは、イブルチニブで治療された患者のCLL細胞が、Rac1を活性化したことを発見した。さらに、Wnt5aは、BTK及びBCRシグナル伝達を完全に阻害するのに有効な濃度のイブルチニブで処理されたCLL細胞のRac1活性化を誘発し、増殖を高めることができた。Wnt5aによって誘発されるRac1活性化は、抗ROR-1 mAbであるシルムツズマブ(UC-961)によって遮断することができた。出願人らは、シルムツズマブ及びイブルチニブを用いた処理は、in vivoで白血病細胞を激減させる際に、いずれかの薬剤を単独で用いた処理よりも有意に効果的であることを発見した。この試験は、シルムツズマブが、CLL又は他のROR-1+B細胞悪性腫瘍を有する患者の治療において、イブルチニブの活性を高め得ることを示す。
【0251】
緒言
CLL細胞は、細胞との相互作用、増殖及び生存のために腫瘍微細環境に存在する可溶性因子に依存する。in vivoでCLLの増殖及び生存を補助し得る経路の中で、BCRシグナル伝達は、重要な役割を果たす。BCRの架橋によって、CD79α/β及びSrcファミリーキナーゼLYNのリン酸化が起こり、チロシンキナーゼSykの動員及び活性化が起こり、下流のシグナル伝達事象のカスケードを誘発し、B細胞の生存を高める。CLL生物学におけるこのカスケードの重要性は、BCRシグナル伝達において重要な役割を果たす細胞内キナーゼの低分子阻害剤(例えば、SYK、ホスフィノシチド 3-キナーゼ(PI3K)、又はブルトン型チロシンキナーゼ(BTK))の臨床的活性によって明確にされるようである。イブルチニブは、CLL患者の治療において非常に有効であることがわかっているBTKの低分子阻害剤である。しかし、優れた臨床的活性にもかかわらず、イブルチニブは、一般的に、連続治療を行わない状態で、疾患を根絶することも、又は持続的な応答を誘発することもできない。
【0252】
イブルチニブが完全応答を誘発することができないことは、BTKの阻害剤によって遮断されない代替的な生存シグナル伝達経路に起因するものであろう。このような経路の1つは、ROR-1を介するシグナル伝達によって誘発されるものであり、がん胚性抗原は、CLL細胞上で発現するが、正常な産後組織では発現しない。出願人らは、ROR-1が、Rho GTPase(例えば、Rac1)の活性化を導く非標準的なWntシグナル伝達を誘発することができ、白血病細胞の増殖及び生存を高めることができるWnt5aの受容体として役立ち得ることを発見した。Wnt5aによるRac1の活性化は、CLL患者の臨床試験において現在評価を行っているファーストインクラスのヒト化モノクローナル抗体である抗ROR-1 mAbであるシルムツズマブ(UC-961)によって阻害することができた。
【0253】
この試験では、出願人らは、Wnt5a/ROR-1シグナル伝達が、イブルチニブを用いた処理によって影響を受けるかどうかを観察し、in vitro及びin vivoでCLL細胞に対するイブルチニブ及びシルムツズマブの活性を調べた。
【0254】
材料及び方法
血液サンプル及び動物
一般的なB細胞CLLについて診断及び免疫表現型の基準を満足したUniversity of California San Diego Moores Cancer Centerで、血液サンプルをCLL患者から集め、Declaration of Helsinki and the Institutional Review Board(IRB)of the University of California San Diego(IRB承認番号080918)を準拠して、書面でインフォームドコンセントを行った。PBMCは、記載したように単離された。マウスを用いた全ての実験を、実験室動物の世話及び使用についてのNational Institutes of Healthのガイドラインと、University of California San Diegoが承認した試験プロトコルに従って実施した。全てのマウスは、年齢と性別が合致していた。
【0255】
BTK占有率アッセイ
CLL細胞を、イブルチニブの濃度を増やしつつ(0、0.25、0.5又は1μM)、1時間処理した。次いで、細胞をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、上述のようにBTK占有率アッセイを行うまで、-80℃で保存した。GraphPad Prism version 6.0(GraphPad、サンディエゴ、CA)を用い、BTK占有率を比較した。
【0256】
カルシウム流動アッセイ
CLL細胞を、0、0.25、0.5又は1.0μMのイブルチニブと共に30分間インキュベートし、次いで、Hanks Balanced Salt Solution(HBSS)中、Ca2+及びMg2+を欠く2mMのFluo-4AM(Molecular Probes)と共にロードした。抗ヒトIgM F(ab)2を用いた刺激のために、細胞を37℃に維持した。記載するように、カルシウム放出をフローサイトメトリー分析によって監視した。
【0257】
Rac1活性化アッセイ
Rac1活性化アッセイのための試薬を、既に記載したように、出願人らの実験室で製造した。Rac1の除去及びイムノブロット分析を記載したように行った。
【0258】
細胞増殖アッセイ
出願人らは、既に記載したものに従って白血病細胞増殖アッセイを行った。これらの分析のために、出願人らは、特徴的な光散乱と、PIを除外する能力を用い、生存CD5
+CD19
+細胞に対してゲーティングした(
図18A~18B)。
【0259】
細胞周期分析
白血病細胞(1x107)を100μlのPBSに懸濁させ、1mlの冷たいエタノールを添加することによって、4℃で一晩固定した。細胞を700xgで2分間回転させ、1%BSAを含有するPBSで2回洗浄した。次いで、ペレット化した細胞を、1%BSA及び1μlのRNase(100mg/ml)を含有する500μlのPBSに懸濁させた。PNaseを添加し、RNAを消化させた。PI溶液(38mMクエン酸ナトリウム中0.5mg/ml、pH7.0)、1μlの沸騰させたRNase A(100mg/ml)及びPI染色溶液(38mMクエン酸ナトリウム中0.5mg/ml、pH7.0;60μl)を細胞に加え、室温、暗室で1時間インキュベートした。直後に、細胞を、FACSArray(Becton Dickinson)を用いたフローサイトメトリーによって分析し、データをFlowJoソフトウェア(Tree Star Inc.)を用いて分析した。
【0260】
CLL患者に由来する異種移植
6~8週齢のRag2-/-γc
-/-マウス(最初に、Catriona Jamieson、University of California、サンディエゴから得た)を、特定の病原体を含まない条件で、層流のキャビネット内に入れ、適宜給餌した。出願人らは、AIM-V培地中の2×107個の生存可能な原発性CLL細胞を、各マウスの腹膜腔に注射した。次の日に、1mg/kgのシルムツズマブを腹腔内に1回注射し、イブルチニブを毎日、15mg/kgで経口摂取によって投与した。7日後に、腹腔に全体積12mLのダルベッコPBSを注射することによって、腹膜洗浄液(PL)を抽出した。PL細胞の全回収率を、Guava計測を用いることによって決定した。その後、マウス及びヒトFcブロッカーを用いて、4℃で30分間、細胞をブロックし、種々のヒト細胞表面マーカー(例えば、CD19、CD5、CD45)で染色し、次いで、フローサイトメトリー分析に供した。出願人らは、各PLにおいて、PL中のCLL細胞のパーセントに、全PL細胞数計測数を掛け算することによって、CLL細胞の数を計算した。ヒトIgGで処理されたマウス由来の残留する白血病細胞を、100%でベースラインとして設定した。各処理群は、少なくとも5匹のマウスを含んでおり、データは、平均±SEMとして表された。
【0261】
ROR-1×TCL1白血病養子細胞移植試験
出願人らは、既に記載したように、免疫不全Rag2-/-γc
-/-又は免疫応答性ROR-1-トランスジェニックマウスにおいて、シルムツズマブとイブルチニブとの組み合わせの抗白血病活性を評価した。
【0262】
統計学的分析
データを平均±SEMとして示す。データセットの正規分布は、コルモゴロフ-スミルノフ検定によって決定された。平均間の差の統計学的有意性は、テューキー多重比較検定を用いた一元配置ANOVAによって評価された。出願人らは、GraphPad Prism 6.0(GraphPad Software Inc.)を使用し、本文中に記載される統計方法を用い、有意性のレベルを計算した。p≦0.05は、有意であるとみなされた。
【0263】
結果
イブルチニブは、CLLにおいて、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化を阻害することができない。出願人らは、イブルチニブを1日あたり420mgの標準的な用量で摂取した患者の血液単核細胞を調べた。イブルチニブを摂取していない患者のCLL細胞について示したように、新しく単離されたCLL細胞は、活性化されたRac1を有しており、無血清培地中の培養物において、外因性Wnt5aを提供しない限り、時間経過に伴って減少した(
図12A~12B)。さらに、イブルチニブ治療された患者に由来するCLL細胞を、Wnt5a及び/又はシルムツズマブを用い、又は用いずにインキュベートした。イムノブロット分析は、Wnt5aが、試験した全ての患者に由来するCLL細胞においてRac1活性化を誘発することを示し、一方、シルムツズマブを用いた処理は、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化を阻害した(
図12C~12D)。これらの結果は、イブルチニブを用いた治療が、ROR-1依存性のWnt5aによって誘発されるRac1活性化を阻害しないことを示す。
【0264】
出願人らは、イブルチニブを用いたin vitroでのCLL細胞の処理が、CLLにおいて、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化を阻害することができるかどうかを調べた。このために、出願人らは、未治療の患者から集めたCLL細胞を、0、0.25、0.5又は1.0μMの濃度でイブルチニブと共に2時間インキュベートし、次いで、細胞を外因性Wnt5aで30分間処理した。イムノブロット分析は、イブルチニブが、1μMのイブルチニブ濃度であっても、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化を遮断することができないことを示した(
図6A)。この濃度は、BTKの100%占有率を達成し、BTK活性の阻害を達成するのに必要な量の大過剰である(
図6B)。一方、出願人らは、イブルチニブは、0.25μM程度の低い濃度で、CLL細胞の生存率に激しい影響を与えることなく(
図6D)、抗IgMによって誘発されるカルシウムの流れを阻害した(
図6C)。
【0265】
この薬物で治療された患者におけるイブルチニブのピーク血漿濃度は、約0.5μMであり、100%の占有率及びBTKの阻害に影響を与え得る濃度である。したがって、イブルチニブを、その後の試験のために0.5μMで使用した。出願人らは、イブルチニブ及び/又はシルムツズマブを用い、又は用いずに、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化を試験した。CLL細胞を、イブルチニブ、シルムツズマブ、又はイブルチニブとシルムツズマブとの両方と共に2時間培養し、次いで、外因性Wnt5aを用いて30分間刺激した。比較のために、同じCLLサンプルに由来する細胞を、並行してWnt5aを用いずに培養した。Wnt5aを用いたCLL細胞の治療は、Wnt5aを用いて処理しなかったCLL細胞よりも有意に高いレベルまで、Rac1の活性化を誘発した(
図12E~12F)。シルムツズマブを用いた処理は、CLL細胞において、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化を阻害することができたが、イブルチニブは阻害することができなかった(
図12E~12F)。予想されるように、イブルチニブは、シルムツズマブがWnt5aによって誘発されるRac1活性化を阻害する能力を遮断しなかった(
図12E~12F)。
【0266】
シルムツズマブは、イブルチニブ処理されたCLL細胞のWnt5aによって高められる増殖を阻害する。Rac1-GTPaseの活性化は、増殖を高めることができ、一方、Rac1の消失によって、造血細胞の成長を弱める。出願人らは、CD154を発現するHeLa細胞(HeLa
CD154)並びに組換えインターロイキン(IL)-4及びIL-10と白血病細胞を共培養することによって、CLL細胞の増殖を誘発した。CLL細胞とHeLa
CD154細胞とIL-4/10との共培養物に外因性Wnt5aを添加すると、CLL細胞の分裂割合が顕著に高まった。シルムツズマブを用いたCLL細胞の処理は、CLL細胞のWnt5aによって高められる増殖を遮断することができたが、イブルチニブは、遮断することができなかった(
図13A)。異なる患者(n=6)のCLL細胞について同じ効果が観察された(
図13B)。IL4/10及び/又はWnt5a単独では、CLL細胞増殖を誘発することができなかった(
図18A~18B)。さらに、ヨウ化プロピジウム(PI)で透過処理された白血病細胞に対する細胞周期の分析は、S/G2/Mにおいて、Wnt5aが、CD154によって刺激される白血病細胞機能を高めることを示した(
図13C~13D)。Wnt5aが、S/G2/Mにおける細胞の割合を高める能力は、シルムツズマブを用いた処理によって阻害することができたが、イブルチニブを用いた処理によっては阻害することができなかった(
図13C~13D)。
【0267】
CLL患者に由来する異種移植におけるシルムツズマブ及び/又はイブルチニブの活性。出願人らは、免疫不全Rag2
-/-γ
c
-/-マウスのCLL細胞を腹膜腔に移植し、イブルチニブ及び/又はシルムツズマブを用いた処理が、in vivoでCLL細胞を激減させるかどうかを調べた。このために、出願人らは、AIM-V培地中の1×10
7個の生存可能な原発性CLL細胞を、各マウスの腹膜腔に注射した。1日後、マウスは、未処理であったか、又は毎日、15mg/kgの用量のイブルチニブを経口摂取によって与えられたか、及び/又はシルムツズマブを1mg/kgで腹腔内注射によって1回与えられた。7日後に、CLL細胞を腹膜洗浄(PL)によって集め、集めた腹膜細胞におけるCLL細胞の割合をフローサイトメトリーによって調べた(
図14A)。PLにおけるCLL細胞のパーセント及び合計数は、なんら処理を受けなかったマウスよりも、シルムツズマブ又はイブルチニブを用いて処理されたマウスにおいて、顕著に低かった。しかし、シルムツズマブとイブルチニブとで処理されたマウスのPL中で、いずれかの薬剤単独で処理されたマウスのPLよりも顕著に低いCLL細胞が見出された(
図14B)。
【0268】
シルムツズマブは、Wnt5aによって高められたRac1活性化と、ROR-1×TCL1白血病細胞の増殖を阻害するが、イブルチニブは阻害しない。ROR-1×TCL1白血病細胞が、ROR-1
+白血病が進行したROR-1×TCL1二重トランスジェニックマウスから単離された。出願人らは、ROR-1×TCL1白血病細胞を、イブルチニブ又はシルムツズマブで2時間前処理し、次いで、この細胞を、Wnt5aを用い、又は用いずに30分間培養した。ヒトCLL細胞を用いた知見と同様に、Wnt5aによって誘発されるRac1活性化は、シルムツズマブによって阻害することができたが、イブルチニブによっては阻害することができなかった(
図15A~15B)。シルムツズマブとイブルチニブとの組み合わせも、Rac1のWnt5aによって誘発される活性化を、未処理細胞で観察されるレベルまで阻害した(
図15A~15B)。しかし、Wnt5a処理は、ROR-1の発現を欠く白血病が進行する単一のトランスジェニックTCL1マウスの白血病細胞においてRac1活性化を誘発することができなかった(
図7C)。
【0269】
再び、出願人らは、ROR-1×TCL1白血病細胞の増殖を、組換えIL-4/10存在下、この細胞とHeLa
CD154とを共培養することによって誘発した。外因性Wnt5aは、細胞分裂数のパーセントを有意に高めた(
図15C)。ヒトCLL細胞を用いる場合、Wnt5a及び/又はIL-4/10単独では、ROR-1×TCL1トランスジェニックマウスのROR-1
+白血病細胞の増殖を誘発することはできず(
図15C)、このことは、この効果についてCD154の依存性を示している。初期の試験と一致して、Wnt5aは、HeLa
CD154細胞及びIL-4/10と共に共培養したROR-1陰性のTCL1-白血病細胞の増殖を高めず(
図21A)、このことは、この効果についてのROR-1の依存性を示している。イブルチニブを用いた治療は、Wnt5aが、CD154によって誘発されるROR-1×TCL1白血病細胞増殖を高める能力を阻害することができなかった。一方、シルムツズマブは、CD154及びIL-4/10に応答して、Wnt5aがROR-1×TCL1白血病細胞増殖を高める能力を遮断した(
図15C)。
【0270】
ヒトCLL細胞について示したように、PIを用いて透過処理されたROR-1×TCL1白血病細胞についての細胞周期の分析は、Wnt5aが、S/G2/Mにおいて、CD154によって刺激されるROR-1+白血病細胞の分率を増やすことができることを示した(
図19A~19B)。さらに、Wnt5aが、S/G2/MにおいてROR-1+白血病細胞の分率を高める能力は、シルムツズマブを用いた治療によって阻害することができたが、イブルチニブを用いた治療によっては阻害することができなかった(
図19A~19B)。
【0271】
シルムツズマブ及び/又はイブルチニブを用いた、ROR-1×TCL1白血病を移植した免疫欠損マウスの治療。出願人らは、Rag2
-/-γ
c
-/-マウスにおいてシルムツズマブ及び/又はイブルチニブが、ROR-1×TCL1白血病細胞の生着を阻害する能力を調べた。出願人らは、各動物に、2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞を移植し、次いで、毎日、イブルチニブを15、5、1.67mg/kgで経口摂取によって投与するか、又はシルムツズマブを1、3又は10mg/kgで静脈注射によって1回投薬した。25日後に、動物を屠殺し、各動物の脾臓を調べた。イブルチニブ(
図20A)又はシルムツズマブ(
図20B)は、用量依存性の様式で、脾臓白血病細胞の数を減らした。出願人らは、組み合わせ試験のために、1mg/kgの用量のシルムツズマブと5mg/kgの1日用量のイブルチニブとを選択した。シルムツズマブ又はイブルチニブ単独で処理された移植マウスは、なんら処理を受けていない移植動物よりも顕著に小さな脾臓を有しているが、シルムツズマブとイブルチニブとの組み合わせを用いて処理されたマウスは、脾臓の大きさが最も大きく縮小していた(
図16A)。さらに、脾臓における白血病細胞の平均割合及び数は、未処理移植マウスと比較して、シルムツズマブ又はイブルチニブを用いて処理したマウスにおいて、顕著に低かった(
図16B~16C)。しかし、シルムツズマブとイブルチニブとで処理した移植動物は、全ての他の群よりも、脾臓あたりの白血病細胞の割合及び数が顕著に低かった(
図16B~16C)。
【0272】
シルムツズマブ及び/又はイブルチニブを用いた、ROR-1×TCL1白血病を移植した免疫応答性マウスの治療。出願人らは、シルムツズマブ及び/又はイブルチニブが、免疫応答性ヒトROR-1トランスジェニック(ROR-1-Tg)マウスにおいて、ROR-1×TCL1白血病細胞(CD5
+B220
lowROR-1
+)の生着を阻害する能力を調べた。出願人らは、2×10
4個のROR-1×TCL1白血病細胞をROR-1-Tgマウスに注射し、未処理としたか、イブルチニブを5mg/kgで経口摂取によって毎日投与するか、又は週に1回、シルムツズマブを10mg/kgの用量で静脈注射によって投薬した。28日後に、動物を屠殺し、各動物の脾臓を調べた。シルムツズマブ又はイブルチニブ単独で処理された移植マウスは、なんら処理を受けていない移植動物よりも顕著に小さな脾臓を有しているが、シルムツズマブとイブルチニブとの組み合わせを用いて処理されたマウスは、脾臓の大きさが最も大きく縮小していた(
図17A)。さらに、脾臓における白血病細胞の平均割合及び数は、未処理マウスよりも、シルムツズマブ又はイブルチニブを用いて処理されたマウスにおいて、顕著に低かった(
図17B~17C)。しかし、シルムツズマブとイブルチニブとで処理された移植動物は、全ての他の群よりも、脾臓あたりの白血病細胞の割合及び数が顕著に低かった(
図17B~17C)。
【0273】
考察
この試験では、出願人らは、BTKを阻害する能力によってBCRシグナル伝達を阻害するのに非常に効果的であるイブルチニブを用いた治療を受けている患者のCLL細胞を調べた。まず、出願人らは、イブルチニブを用いて治療された患者のCLL細胞が、活性型Rac1を有していることに着目した。この活性型Rac1は、出願人らが、外因性Wnt5aを含む培地を追加しない限り、無血清培地中の培養物において、時間経過に伴って減少した。さらに、出願人らは、CLL細胞を含めた様々な種類の細胞で示されるように、Wnt5aが、CLLを誘発してRac1を活性化させることを発見した。その後の試験は、Wnt5aが、100%の占有率及びBTK及びBCRシグナル伝達の阻害を達成するのに必要なレベルを超えている超生理学的濃度のイブルチニブを用いて処理されたCLL細胞においてさえ、Rac1活性化を誘発することができることを示した。この試験で示されるWnt5aシグナル伝達は、シルムツズマブが、Rac1のWnt5aによって誘発される活性化を阻害する能力によって示されるように、ROR-1に依存した。出願人らは、イブルチニブが、複数のシグナル伝達経路に影響を与え得る細胞内シグナルトランスデューサとして機能するROR-1依存性のRac1のWnt5aによって誘発される活性化を遮断することができないと結論付けた。
【0274】
活性型Rac1は、抗がん治療の有効性を減少させるかもしれない。以前の試験は、活性型Rac1が、細胞毒性薬物に対するCLL細胞の耐性を高めることができることを発見した。ある試験は、活性型T細胞及び線維芽細胞は、CLL細胞を誘発してRac1を活性化させ、そしてフルダラビン一リン酸の細胞毒性の影響に対する耐性を獲得させることができることを発見した。活性型Rac1の阻害によって、この薬物に対するこれらのCLL細胞の感度を回復させることができた。別の試験では、Rac1は、CLLにおいて過剰に発現するBcl-2と相互作用し、Bcl-2の機能を高めることがわかった。急性白血病細胞が関与する別の試験は、活性型Rac1の阻害剤であるNSC-23766を用いた処理によって、白血病細胞のためのBcl-2アンタゴニストの細胞毒性を高めることができることを見出した。リンパ腫細胞におけるp53の最終的な消失は、Rac1の活性化の増加と関係があり、これは、NSC-23766又はRac1のドミナントネガティブ形態であるRac1N17によって阻害されて、自然発生するアポトーシス又は薬物によって誘発されるアポトーシスの速度を容量依存性に高め得る。ことによると、イブルチニブを用いて治療された患者のCLL細胞において観察された活性型Rac1は、補助シグナルを与え、イブルチニブを用いて治療された患者の白血病細胞の生存を高める。
【0275】
さらに、Wnt5aシグナル伝達は、イブルチニブで治療した患者において、白血病細胞増殖を促進することもできた。Wnt5-シグナル伝達の機能的な結果は、CD154によって誘発される増殖を高めるWnt5aの能力(外因性IL4/10又はIL-21存在下で、CLL増殖をin vitroで誘発することができる)によって部分的に示される。イブルチニブは、おそらくはBCR経路及びBCR非依存的経路を阻害する能力に部分的に起因して、CD154によって誘発されるCLL細胞増殖を阻害することができるが、出願人らは、イブルチニブが、ROR-1依存性シグナル伝達を介してCD154によって誘発されるCLL増殖を高めるWnt5aの能力を阻害することができないが、シルムツズマブを用いた治療によってこれを遮断することができることを発見した。
【0276】
Wnt5aは、CLL微細環境内の細胞によって産生される蓋然性が最も高いが、CLL患者の血漿も、高レベルのWnt5aを有している。Wnt5aは、CLL細胞自体によっても産生される場合があり、自己分泌活性化を可能にする。実際に、ある試験は、Wnt5a自己分泌シグナル伝達におそらくは起因して、高レベルのWnt5aを発現し得るCLL細胞が、明らかに運動性及び遊走反応を高めることを発見した。出願人らは、初期の試験で、Wnt5aが、RhoAの活性化を介し、ケモカインへと向かうCLL細胞の移動を高めることができることも示した。しかし、BTKが、ケモカイン受容体(例えばCXCR4)を介してCLLシグナル伝達において顕著な役割を果たすため、出願人らは、BTKとは比較的独立したシグナル伝達経路を介してCD154によって誘発される増殖を高めることができる、Wnt5aがRac1を活性化する能力に着目した。
【0277】
Wnt5a-ROR-1シグナル伝達経路が、イブルチニブを用いて治療されたCLL細胞内で失われていないように見えるため、出願人らは、イブルチニブとシルムツズマブとを用いた処理の相乗効果ではなく、相加効果について調べた。組織適合性ROR-1+白血病又はヒトCLL異種移植片を移植したマウスについて、出願人らは、シルムツズマブ及びイブルチニブを両方とも用いた処理は、in vivoで白血病細胞を激減させる際に、いずれかの薬剤を単独で用いた処理よりも有意に効果的であることを発見した。この試験は、シルムツズマブが、CLL又は他のROR-1+B細胞悪性腫瘍を有する患者の治療において、イブルチニブの活性を高め得ることを示す。
【0278】
併用療法は、がん患者を治療する際にさらに有効であることが多い。観察を続け、他の薬物(例えば、ベネトクラックス又は抗CD20 mAb)と組み合わせたイブルチニブの活性を評価する。シルムツズマブ及びイブルチニブが、独立したシグナル伝達経路を標的とするため、これらは、マウスモデルからの白血病細胞の除去において明らかな相乗効果を有する。白血病細胞の成長/生存を引き起こす1つより多くのシグナル伝達経路を標的とすることによって、シルムツズマブとイブルチニブとを用いる併用療法は、イブルチニブ単剤療法を受けている患者において時々起こるBTKの阻害剤に対する耐性を獲得するリスクを軽減することもできる。
【0279】
合わせると、治療薬の効能及び薬物耐性という観点から、これらの前臨床観察は、シルムツズマブとイブルチニブとを用いた併用療法に対する合理的根拠を与え、又はCLL又はROR-1を発現する他のB細胞悪性腫瘍を有する患者について、BTKの他の阻害剤(例えばアカラブルチニブ)を与える。
【0280】
[実施例4]
マントル細胞リンパ腫についての抗ROR-1抗体とイブルチニブの組み合わせ
出願人らのグループによる最近の試験は、イブルチニブで治療された患者のCLL細胞が、活性型Rac1を含んでいることを示した。さらに、Wnt5aは、BTK及びBCRシグナル伝達を完全に阻害するのに有効な濃度のイブルチニブで処理されたCLL細胞のRac1活性化を誘発し、増殖を高めることができた。Wnt5aによって誘発されるRac1活性化は、抗ROR-1 mAbであるシルムツズマブ(UC-961)によって遮断することができた。出願人らは、シルムツズマブ及びイブルチニブを用いた処理は、in vivoで白血病細胞を激減させる際に、いずれかの薬剤を単独で用いた処理よりも有意に効果的であることを発見した。この試験は、シルムツズマブが、CLL又は他のROR-1
+B細胞悪性腫瘍を有する患者の治療において、イブルチニブの活性を高め得ることを示す。したがって、出願人らは、Rac1のWnt5aによって誘発されるROR-1依存性の活性化について、MCL患者の原発性リンパ腫細胞を調べた。MCL細胞を、イブルチニブ、シルムツズマブ、又はイブルチニブとシルムツズマブとの両方で2時間培養し、次いで、外因性Wnt5aを用い、30分間刺激した。比較のために、同じMCLサンプルに由来する細胞を、並行してWnt5aを用いずに培養した。CLL細胞について述べた通り、Wnt5aは、ROR-1依存性の様式で、原発性MCL細胞の活性化を誘発した。例えば、Wnt5aは、原発性MCL細胞においてRac1活性化を誘発した(
図23A)。シルムツズマブは、原発性CLL細胞において出願人らが観察したのと同様に、原発性MCL細胞において、Wnt5aがRac1活性化を誘発する能力を阻害することができたが、イブルチニブは、阻害することができなかった。
【0281】
Rac1-GTPaseの活性化は、増殖を高めることができ、一方、Rac1の消失によって、造血細胞の成長が弱められる。ヨウ化プロピジウム(PI)は、DNA含有量/細胞周期の分析に最も一般的に使用される染料である。CD40結合及びIL-4曝露に対するMCL細胞の応答性を評価するために、出願人らは、リンパ腫細胞と、CD154を発現するHeLa細胞(HeLaCD154)と、組換えIL-4及びIL-10とを共培養することによって、原発性MCL細胞の増殖を誘発した。CLL細胞について述べた通り、PI系細胞周期試験を用いて評価されるように、MCL細胞とHeLaCD154細胞とIL-4/10との共培養物に外因性Wnt5aを添加すると、S/G2期においてMCL細胞の割合が顕著に高まった。出願人らは、PIを用いて透過処理されたMCL細胞について、細胞周期の分析も行い、Wnt5aの刺激によって、S/G2においてCD154によって刺激されたMCL細胞の分率が顕著に増加することがわかった(
図23B)。Wnt5aが、S/G2における原発性MCL細胞の割合を高める能力は、CLL細胞について既に示したように、シルムツズマブを用いた処理によって阻害することができたが、イブルチニブを用いた処理によっては阻害することができなかった。
【0282】
これらのデータは、MCLにおけるROR-1シグナル伝達の機能的な重要性と、このリンパ腫においてシルムツズマブが、ROR-1が介在する発がん活性を阻害する能力を示す。MCLにおけるシルムツズマブの活性は、出願人らがCLLにおいて観察したものと同一であり、出願人らは、3匹の異なる動物モデルにおいて、白血病細胞の除去においてシルムツズマブがイブルチニブと共に相乗的な抗腫瘍活性を有することを発見した。
【0283】
[実施例5]
慢性リンパ性白血病及びB細胞非ホジキンリンパ腫の治療のための候補薬物
新規なBTK阻害剤であるイブルチニブ及びホスファチジル-4-5-ビホスフェート 3-キナーゼ-δ阻害剤イデラリシブ(CAL-101)は、単独で、又はイブルチニブを用いた1時間の抗CD20抗体前処理と組み合わせて、慢性リンパ性白血病及びB細胞非ホジキンリンパ腫を治療するための候補薬物であり、抗CD20抗体が介在する細胞株又は慢性リンパ性白血病サンプルの間接的な細胞死を増加させなかった。イブルチニブを用いた前処理は、相補体の活性化又は相補体が介在する溶解を阻害しなかった。対照的に、イブルチニブは、精製された形態又は全血アッセイにおいて、抗CD20抗体リツキシマブ、オファツムマブ又はオビヌツズマブによって誘発される全ての細胞が介在する機構を強力に阻害した。ナチュラルキラー細胞の活性化、これらの細胞による抗体依存性細胞毒性、マクロファージ又は好中球による食作用は、半数硬化濃度0.3~3μMでイブルチニブによって阻害することができる。連続的な経口イブルチニブ治療を行った患者から単離されたナチュラルキラー細胞の抗CD20が介在する活性化の分析は、繰り返しの薬物投薬が、これらの細胞をin vivoで阻害することを示唆している。ホスファチジル-4-5-ビホスフェート 3-キナーゼ-δ阻害剤イデラリシブは、同様に、抗CD20抗体によって誘発される免疫細胞が介在する機構を阻害することが示されているが、この薬物の10μMでの効果は、同じ濃度でのイブルチニブを用いて観察された効果よりも弱かった。任意の理論によって束縛されることを望まないが、抗CD20抗体とこれらのキナーゼ阻害剤を併用した治療計画の設計は、これら2種類の薬物の間の複数の負の相互作用を考慮すべきであると考えられる。
【0284】
【0285】
非公式な配列表
99961.1 CDR H1(配列番号1):GYAFTAYN
99961.1 CDR H2(配列番号2):FDPYDGGS
99961.1 CDR H3(配列番号3):GWYYFDY
99961.1 CDR L1(配列番号4):KSISKY
99961.1 CDR L2(配列番号5):SGS
99961.1 CDR L3(配列番号6):QQHDESPY
D10 CDR H1(配列番号7):GFSLTSYG
D10 CDR H2(配列番号8):IWAGGFT
D10 CDR H3(配列番号9):RGSSYSMDY
D10 CDR L1(配列番号10):SNVSY
D10 CDR L2(配列番号11):EIS
D10 CDR L3(配列番号12):QQWNYPLIT
全量ヒトROR-1タンパク質(配列番号13):
【0286】
【0287】
138位にグルタミン酸を含むヒトROR-1の21アミノ酸伸張(配列番号14):VATNGKEVVSSTGVLFVKFGP
【0288】
138位にグルタミン酸を含むヒトROR-1の15アミノ酸伸張(配列番号15):EVVSSTGVLFVKFGP
【0289】
P.実施形態
実施形態P1。治療を必要とする被験体においてがんを治療する方法であって、前記方法が、前記被験体に、治療に有効な量のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)アンタゴニストと抗ROR-1抗体とを投与することを含む、方法。
【0290】
実施形態P2。前記BTKアンタゴニストが、CAL101、R406又はイブルチニブである、実施形態P1に記載の方法。
【0291】
実施形態P3。前記BTKアンタゴニストがイブルチニブである、実施形態P1~P2のいずれかに記載の方法。
【0292】
実施形態P4。前記抗ROR-1抗体がシルムツズマブである、実施形態P1~P3のいずれかに記載の方法。
【0293】
実施形態P5。前記BTKアンタゴニストと抗ROR-1抗体が、組み合わせた相乗的な量で投与される、実施形態P1~P4のいずれかに記載の方法。
【0294】
実施形態P6。前記BTKアンタゴニスト抗ROR-1抗体が、同時に投与されるか、又は順次投与される、実施形態P1~P5のいずれかに記載の方法。
【0295】
実施形態P7。前記がんが、リンパ腫又は腺癌である、実施形態P1~P6のいずれかに記載の方法。
【0296】
実施形態P8。前記リンパ腫が、慢性リンパ性白血病、小リンパ球性リンパ腫、周辺細胞B細胞リンパ腫又はバーキットリンパ腫である、実施形態P1~P7のいずれかに記載の方法。
【0297】
実施形態P9。前記腺癌が、結腸腺癌又は乳腺癌である、実施形態P1~P8のいずれかに記載の方法。
【0298】
実施形態P10。医薬組成物であって、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)と、抗ROR-1抗体と、薬学的に許容される賦形剤とを含み、前記BTKアンタゴニストと前記抗ROR-1抗体が、組み合わせた相乗的な量で存在し、前記組み合わせた相乗的な量が、治療を必要とする被験体においてがんを治療するのに有効である、医薬組成物。
【0299】
実施形態
実施形態1.治療を必要とする被験体においてがんを治療する方法であって、前記方法が、前記被験体に、治療に有効な量のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)アンタゴニストとチロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR-1)アンタゴニストとを投与することを含む、方法。
【0300】
実施形態2。前記BTKアンタゴニストが低分子である、実施形態1に記載の方法。
【0301】
実施形態3。前記BTKアンタゴニストが、イブルチニブ、イデラリシブ、フォスタマチニブ、アカラブルチニブ、ONO/GS-4059、BGB-3111又はCC-292(AVL-292)である、実施形態1又は2に記載の方法。
【0302】
実施形態4。前記BTKアンタゴニストがイブルチニブである、実施形態1~3のいずれかに記載の方法。
【0303】
実施形態5。前記ROR-1アンタゴニストが、抗体又は低分子である、実施形態1~4のいずれかに記載の方法。
【0304】
実施形態6。前記ROR-1アンタゴニストが、抗ROR-1抗体である、実施形態1~5のいずれかに記載の方法。
【0305】
実施形態7。前記抗体が、ヒト化重鎖可変領域と、ヒト化軽鎖可変領域とを含み、前記ヒト化重鎖可変領域が、配列番号1、配列番号2及び配列番号3に示される配列を含み、前記ヒト化軽鎖可変領域が、配列番号4、配列番号5及び配列番号6に示される配列を含む、実施形態5~6のいずれかに記載の方法。
【0306】
実施形態8。前記抗体がシルムツズマブである、実施形態3~7のいずれかに記載の方法。
【0307】
実施形態9。前記抗体が、ヒト化重鎖可変領域と、ヒト化軽鎖可変領域とを含み、前記ヒト化重鎖可変領域が、配列番号7、配列番号8及び配列番号9に示される配列を含み、前記ヒト化軽鎖可変領域が、配列番号10、配列番号11及び配列番号12に示される配列を含む、実施形態5~6のいずれかに記載の方法。
【0308】
実施形態10。前記BTKアンタゴニストと前記ROR-1アンタゴニストが、組み合わせた相乗的な量で投与される、実施形態1~9のいずれかに記載の方法。
【0309】
実施形態11。前記BTKアンタゴニストと前記ROR-1アンタゴニストが、同時に投与されるか、又は順次投与される、実施形態1~10のいずれかに記載の方法。
【0310】
実施形態12。前記ROR-1アンタゴニストが、第1の時間点に投与され、前記BTKアンタゴニストが、第2の時間点に投与され、前記第1の時間点が、前記第2の時間点より前である、実施形態1~11のいずれかに記載の方法。
【0311】
実施形態13。前記BTKアンタゴニストと前記ROR-1アンタゴニストが、投与の前に混合される、実施形態1~12のいずれかに記載の方法。
【0312】
実施形態14。前記BTKアンタゴニストが、約1mg/kg、2mg/kg、5mg/kg、15mg/kg又は10mg/kgの量で投与される、実施形態1~13のいずれかに記載の方法。
【0313】
実施形態15。前記BTKアンタゴニストが、約5mg/kgの量で投与される、実施形態1~14のいずれかに記載の方法。
【0314】
実施形態16。前記BTKアンタゴニストが、約420mgの量で投与される、実施形態1~14のいずれかに記載の方法。
【0315】
実施形態17。前記ROR-1アンタゴニストが、約1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、5mg/kg又は10mg/kgの量で投与される、実施形態1~16のいずれかに記載の方法。
【0316】
実施形態18。前記ROR-1アンタゴニストが、約2mg/kgの量で投与される、実施形態1~17のいずれかに記載の方法。
【0317】
実施形態19。前記BTKアンタゴニストが、約5mg/kgの量で投与され、前記ROR-1アンタゴニストが、約2mg/kgで投与される、実施形態1~15又は17~18のいずれかに記載の方法。
【0318】
実施形態20。前記BTKアンタゴニストが、約5mg/kgの量で投与され、前記ROR-1アンタゴニストが、約1mg/kgで投与される、実施形態1~15又は17のいずれかに記載の方法。
【0319】
実施形態21。前記BTKアンタゴニストが、毎日、少なくとも14日間にわたって投与される、実施形態1~20のいずれかに記載の方法。
【0320】
実施形態22。前記BTKアンタゴニストが、毎日、約28日間にわたって投与される、実施形態1~21のいずれかに記載の方法。
【0321】
実施形態23。前記ROR-1アンタゴニストが、約28日間にわたって1回投与される、実施形態1~22のいずれかに記載の方法。
【0322】
実施形態24。前記BTKアンタゴニストが静脈内投与される、実施形態1~23のいずれかに記載の方法。
【0323】
実施形態25。前記ROR-1アンタゴニストが静脈内投与される、実施形態1~24のいずれかに記載の方法。
【0324】
実施形態26。前記被験体が哺乳動物である、実施形態1~25のいずれかに記載の方法。
【0325】
実施形態27。前記被験体がヒトである、実施形態1~26のいずれかに記載の方法。
【0326】
実施形態28。前記がんが、リンパ腫、白血病、骨髄腫、AML、B-ALL、T-ALL、腎細胞癌腫、結腸がん、結腸直腸がん、乳がん、扁平上皮細胞がん、メラノーマ、胃がん、脳がん、肺がん、膵臓がん、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣がん、甲状腺がん、頭頸部がん、子宮がん、腺癌又は副腎がんである、実施形態1~27のいずれかに記載の方法。
【0327】
実施形態29。前記がんが、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、周辺細胞B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫又はB細胞白血病である、実施形態1~28のいずれかに記載の方法。
【0328】
実施形態30。BTKアンタゴニストと、ROR-1アンタゴニストと、薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物。
【0329】
実施形態31。医薬組成物であって、BTKアンタゴニストと、抗ROR-1抗体と、薬学的に許容される賦形剤とを含み、前記BTKアンタゴニストと前記抗ROR-1抗体が、組み合わせた相乗的な量で存在し、前記組み合わせた相乗的な量が、治療を必要とする被験体においてがんを治療するのに有効である、医薬組成物。
【0330】
実施形態32。前記BTKアンタゴニストが低分子である、実施形態30又は31に記載の医薬組成物。
【0331】
実施形態33。前記BTKアンタゴニストが、イブルチニブ、イデラリシブ、フォスタマチニブ、アカラブルチニブ、ONO/GS-4059、BGB-3111又はCC-292(AVL-292)である、実施形態30~32のいずれかに記載の医薬組成物。
【0332】
実施形態34。前記BTKアンタゴニストがイブルチニブである、実施形態30~33のいずれかに記載の医薬組成物。
【0333】
実施形態35。前記ROR-1アンタゴニストが抗体又は低分子である、実施形態30~34のいずれかに記載の医薬組成物。
【0334】
実施形態36。前記ROR-1アンタゴニストが抗ROR-1抗体である、実施形態30~35のいずれかに記載の医薬組成物。
【0335】
実施形態37。前記抗体が、ヒト化重鎖可変領域と、ヒト化軽鎖可変領域とを含み、前記ヒト化重鎖可変領域が、配列番号1、配列番号2及び配列番号3に示される配列を含み、前記ヒト化軽鎖可変領域が、配列番号4、配列番号5及び配列番号6に示される配列を含む、実施形態35又は36に記載の医薬組成物。
【0336】
実施形態38。前記抗体がシルムツズマブである、実施形態35~37のいずれかに記載の医薬組成物。
【0337】
実施形態39。前記抗体が、ヒト化重鎖可変領域と、ヒト化軽鎖可変領域とを含み、前記ヒト化重鎖可変領域が、配列番号7、配列番号8及び配列番号9に示される配列を含み、前記ヒト化軽鎖可変領域が、配列番号10、配列番号11及び配列番号12に示される配列を含む、実施形態35又は36に記載の医薬組成物。
治療を必要とする被験体においてがんを治療する方法であって、前記方法が、前記被験体に、治療に有効な量のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)アンタゴニストとチロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR-1)アンタゴニストとを投与することを含む、方法。