(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156880
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】がんを処置するための抗LAG3抗体の投薬レジメンおよび抗PD-1抗体との組み合わせ治療
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20241029BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241029BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241029BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241029BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20241029BHJP
G01N 33/574 20060101ALI20241029BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20241029BHJP
【FI】
A61K39/395 T ZNA
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
A61K39/395 W
A61K39/395 Y
G01N33/53 D
G01N33/574 D
A61K39/395 T
C07K16/28
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024127923
(22)【出願日】2024-08-02
(62)【分割の表示】P 2021523504の分割
【原出願日】2019-11-04
(31)【優先権主張番号】62/755,756
(32)【優先日】2018-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522242018
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】アブラハム,アンソン・クンジャチャン
(72)【発明者】
【氏名】チャータッシュ,エリオット・ケー
(72)【発明者】
【氏名】エマンシペイター,ケニス
(72)【発明者】
【氏名】ガリード,ロザリオ
(72)【発明者】
【氏名】ヒーリー,ジェーン・アン
(72)【発明者】
【氏名】ジュコ,ジョナサン・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】レヴィタン,ダイアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,チン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】がんの処置のために有用な抗LAG3抗体の投薬レジメンを提供する。
【解決手段】抗LAG3抗体を含む、患者においてがんを処置するための医薬組成物であって、200mgで静脈内注入を介して3週ごとの1日目に投与されるペンブロリズマブとともに、抗LAG3抗体が、700mgまたは800mgで静脈内注入を介して3週ごとの1日目に投与され、抗LAG3抗体が2つの重鎖および2つの軽鎖を含み、ここで重鎖は特定のアミノ酸配列を含み、軽鎖は前記とは別の特定のアミノ酸配列を含む、医薬組成物である。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に7~1200mgの抗LAG3抗体を静脈内注入を介して投与することを含む、
患者においてがんを処置するための方法であって、抗LAG3抗体が、(a)配列番号2
6、27および28の軽鎖CDRならびに(b)配列番号29、30および31の重鎖C
DRを含む、前記方法。
【請求項2】
患者が、100mgの抗LAG3抗体を投与される、請求項1の方法。
【請求項3】
患者が、200mgの抗LAG3抗体を投与される、請求項1の方法。
【請求項4】
患者が、700mgの抗LAG3抗体を投与される、請求項1の方法。
【請求項5】
患者が、800mgの抗LAG3抗体を投与される、請求項1の方法。
【請求項6】
患者が、抗LAG3抗体を3週ごとの1日目に投与される、請求項1から5のいずれか
一項の方法。
【請求項7】
抗LAG3抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号25を含む重鎖可変領
域を含み、軽鎖は配列番号24を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1から6のいずれか一
項の方法。
【請求項8】
抗LAG3抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号23を含み、軽鎖は配
列番号22を含む、請求項1から6のいずれか一項の方法。
【請求項9】
抗LAG3抗体が、Ab6バリアントである、請求項1から6のいずれか一項の方法。
【請求項10】
抗LAG3抗体が、抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体またはそれらの抗原結合
性断片と共投与される、請求項1から9のいずれか一項の方法。
【請求項11】
抗LAG3抗体が、抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体またはそれらの抗原結合
性断片と合剤化される、請求項1から9のいずれか一項の方法。
【請求項12】
抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片が、ヒトPD-1に特異的に結合し、ヒトP
D-L1のヒトPD-1への結合をブロックする、請求項10または11の方法。
【請求項13】
抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片がまた、ヒトPD-L2のヒトPD-1への
結合をブロックする、請求項12の方法。
【請求項14】
抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片が、(a)配列番号1、2および3の軽鎖C
DRならびに(b)配列番号6、7および8の重鎖CDRを含む、請求項13の方法。
【請求項15】
抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号9を含む重鎖可変領域
を含み、軽鎖は配列番号4を含む軽鎖可変領域を含む、請求項13の方法。
【請求項16】
抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号10を含み、軽鎖は配
列番号5を含む、請求項13の方法。
【請求項17】
抗PD-1抗体が、ペンブロリズマブである、請求項13の方法。
【請求項18】
抗PD-1抗体が、ペンブロリズマブバリアントである、請求項13の方法。
【請求項19】
抗PD-1抗体が、ニボルマブである、請求項10の方法。
【請求項20】
抗PD-L1抗体が、アテゾリズマブ、デュルバルマブまたはアベルマブである、請求
項10の方法。
【請求項21】
抗PD-1抗体が、200mgで3週ごとに1回、1日目に静脈内注入を介して投与さ
れる、請求項14~18のいずれか一項の方法。
【請求項22】
抗PD-1抗体が、400mgで6週ごとに1回、1日目に静脈内注入を介して投与さ
れる、請求項14~18のいずれか一項の方法。
【請求項23】
抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含むヒト化抗PD-1抗体であって、ここで重鎖は
配列番号6、7および8の重鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は配列番号1、2
および3の軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含み;ならびに抗LAG3抗体が重鎖および
軽鎖を含むヒト化抗LAG3抗体であって、ここで重鎖は配列番号29、30および31
の重鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は配列番号26、27および28の軽鎖C
DRを含む軽鎖可変領域を含む、請求項10または11の方法。
【請求項24】
抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号9を含む重鎖可変領域
を含み、軽鎖は配列番号4を含む軽鎖可変領域を含み;ならびに抗LAG3抗体が重鎖お
よび軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号25を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は配列番号
24を含む軽鎖可変領域を含む、請求項10または11の方法。
【請求項25】
抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号10を含み、軽鎖は配
列番号5を含み;ならびに抗LAG3抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番
号23を含み、軽鎖は配列番号22を含む、請求項10または11の方法。
【請求項26】
抗PD-1抗体が200mgで3週ごとに1回、1日目に静脈内注入を介して投与され
、抗LAG3抗体が200mgで3週ごとに1回、1日目に静脈内注入を介して投与され
る、請求項23~25のいずれか一項の方法。
【請求項27】
抗PD-1抗体が400mgで6週ごとに1回、1日目に静脈内注入を介して投与され
、抗LAG3抗体が200mgで3週ごとに1回、1日目に静脈内注入を介して投与され
る、請求項23~25のいずれか一項の方法。
【請求項28】
抗PD-1抗体が200mgで3週ごとに1回、1日目に静脈内注入を介して投与され
、抗LAG3抗体が700または800mgで3週ごとに1回、1日目に静脈内注入を介
して投与される、請求項23~25のいずれか一項の方法。
【請求項29】
抗PD-1抗体が400mgで6週ごとに1回、1日目に静脈内注入を介して投与され
、抗LAG3抗体が700または800mgで3週ごとに1回、1日目に静脈内注入を介
して投与される、請求項23~25のいずれか一項の方法。
【請求項30】
200mgの抗PD-1抗体が、200mgの抗LAG3抗体と合剤化される、請求項
23~25のいずれか一項の方法。
【請求項31】
200mgの抗PD-1抗体が、800mgの抗LAG3抗体と合剤化される、請求項
23~25のいずれか一項の方法。
【請求項32】
がんが、頭頸部扁平上皮がん、胃がん、胃および/または胃-食道接合部の腺癌、腎細
胞がん、輸卵管がん、子宮内膜がん、ならびに非マイクロサテライト高不安定性(非MS
I-H)またはミスマッチ修復良好(pMMR)の結腸直腸がんよりなる群から選択され
る、請求項1から31のいずれか一項の方法。
【請求項33】
がんが、腎細胞癌、腎盂、輸尿管、膀胱または尿道の尿路上皮癌、メラノーマ、胃がん
、非小細胞肺がんおよび膀胱がんよりなる群から選択される、請求項1から31のいずれ
か一項の方法。
【請求項34】
がんが、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DL
BCL)または低悪性度非ホジキンリンパ腫(iNHL)である、請求項1から31のい
ずれか一項の方法。
【請求項35】
患者が、先行して抗PD-1もしくは抗PD-L1治療で処置されていない、または先
行して抗PD-1もしくは抗PD-L1治療を受けた際に進行性であると確認されている
、請求項1から34のいずれか一項の方法。
【請求項36】
患者の腫瘍組織切片が、PD-L1発現陽性である、請求項1から35のいずれか一項
の方法。
【請求項37】
患者の腫瘍組織切片の、PD-L1発現についての単核炎症密度スコアが≧2%である
、請求項1から36のいずれか一項の方法。
【請求項38】
患者の腫瘍組織切片の、PD-L1発現についての組み合わせ陽性スコアが≧1%であ
る、請求項1から37のいずれか一項の方法。
【請求項39】
患者の腫瘍組織切片の、PD-L1発現についての組み合わせ陽性スコアが≧10%で
ある、請求項1から37のいずれか一項の方法。
【請求項40】
PD-L1発現が、PD-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイによって
測定される、請求項37~39のいずれか一項の方法。
【請求項41】
200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアント、および200mg
のAb6またはAb6バリアント、および薬学的に許容される添加剤を含む、医薬組成物
。
【請求項42】
200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアント、および800mg
のAb6またはAb6バリアント、および薬学的に許容される添加剤を含む、医薬組成物
。
【請求項43】
患者に抗LAG3抗体および抗PD-1抗体を投与することを含む、患者において胃が
んを処置するための方法であって、患者の胃腫瘍からの腫瘍組織切片が、PD-L1発現
陽性である、前記方法。
【請求項44】
胃がんが、胃および/または胃-食道接合部の腺癌である、請求項43の方法。
【請求項45】
患者に抗LAG3抗体および抗PD-1抗体を投与することを含む、頭頸部扁平上皮癌
を有する患者を処置するための方法であって、患者の頭頸部腫瘍からの腫瘍組織切片が、
PD-L1発現陽性である、前記方法。
【請求項46】
患者に抗LAG3抗体および抗PD-1抗体を投与することを含む、非マイクロサテラ
イト高不安定性(非MSI-H)またはミスマッチ修復良好(pMMR)の結腸直腸がん
を有する患者を処置するための方法であって、患者の結腸直腸腫瘍からの腫瘍組織切片が
PD-L1発現陽性であり、% LAG3陽性細胞またはCPS様% LAG3陽性細胞
が≧1%である、前記方法。
【請求項47】
患者が、先行して抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体での治療を受けていない、請
求項43~46のいずれか一項の方法。
【請求項48】
患者の腫瘍組織切片の、PD-L1発現についての組み合わせ陽性スコア(CPS)が
、≧1%である、請求項43~47のいずれか一項の方法。
【請求項49】
患者の腫瘍組織切片の、PD-L1発現についての組み合わせ陽性スコアが、≧5%で
ある、請求項43~47のいずれか一項の方法。
【請求項50】
患者の腫瘍組織切片の、PD-L1発現についての組み合わせ陽性スコアが、≧10%
である、請求項43~47のいずれか一項の方法。
【請求項51】
患者の腫瘍組織切片の、PD-L1発現についての組み合わせ陽性スコアが、≧20%
である、請求項43~47のいずれか一項の方法。
【請求項52】
患者の腫瘍組織切片の、腫瘍割合スコア(TPS)が≧1%である、または単核炎症密
度スコア(MIDS)が≧2%である、請求項43~47のいずれか一項の方法。
【請求項53】
PD-L1発現が、PD-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイによって
測定される、請求項43~52のいずれか一項の方法。
【請求項54】
腫瘍組織切片の% LAG3陽性細胞が≧1%である、請求項43~53のいずれか一
項の方法。
【請求項55】
腫瘍組織切片のCPS様% LAG3陽性細胞が≧1%である、請求項43~53のい
ずれか一項の方法。
【請求項56】
抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片がヒトPD-1に特異的に結合し、ヒトPD
-L1のヒトPD-1への結合をブロックする、請求項43~55のいずれか一項の方法
。
【請求項57】
抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片がまた、ヒトPD-L2のヒトPD-1への
結合をブロックする、請求項56の方法。
【請求項58】
抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片が、(a)配列番号1、2および3の軽鎖C
DRならびに(b)配列番号6、7および8の重鎖CDRを含む、請求項57の方法。
【請求項59】
抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号9を含む重鎖可変領域
を含み、軽鎖は配列番号4を含む軽鎖可変領域を含む、請求項57の方法。
【請求項60】
抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号10を含み、軽鎖は配
列番号5を含む、請求項57の方法。
【請求項61】
抗PD-1抗体が、ペンブロリズマブである、請求項57の方法。
【請求項62】
抗PD-1抗体が、ペンブロリズマブバリアントである、請求項57の方法。
【請求項63】
抗PD-1抗体が、ニボルマブである、請求項57の方法。
【請求項64】
抗LAG3抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号25を含む重鎖可変領
域を含み、軽鎖は配列番号24を含む軽鎖可変領域を含む、請求項43~63のいずれか
一項の方法。
【請求項65】
抗LAG3抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号23を含み、軽鎖は配
列番号22を含む、請求項43~63のいずれか一項の方法。
【請求項66】
抗LAG3抗体が、Ab6バリアントである、請求項43~63のいずれか一項の方法
。
【請求項67】
抗LAG3抗体が、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片と共投与される、請求項
43~66のいずれか一項の方法。
【請求項68】
抗LAG3抗体が、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片と合剤化される、請求項
43~66のいずれか一項の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がんの処置のために有用な抗LAG3抗体の投薬レジメン(dosing
regimen)に関する。詳細には、本発明は、プログラム死1タンパク質(PD-1
)またはプログラム死リガンド1(PD-L1)の抗体およびリンパ球活性化遺伝子3(
LAG3)の抗体を投与することを含む組み合わせ治療における投薬レジメンに関する。
本発明はまた、患者に抗LAG3抗体および抗PD-1抗体を投与することを含む、患者
においてがんを処置するための方法であって、患者の腫瘍組織切片がPD-L1発現陽性
であり、LAG3発現陽性であってもよい、前記方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
PD-1は、免疫制御および末梢性寛容の維持において重要な分子として認識されてい
る。PD-1は、ナイーブT細胞、B細胞およびNKT細胞上に中程度に発現し、リンパ
球、単球および骨髄系細胞上のT/B細胞受容体シグナル伝達によりアップレギュレート
される(1)。
【0003】
PD-1に対する2つの公知のリガンド、PD-L1(B7-H1)およびPD-L2
(B7-DC)は、様々な組織中に生じるヒトのがんにおいて発現する。例として卵巣が
ん、腎臓がん、結腸直腸がん、膵臓がん、肝臓がんおよびメラノーマの大規模サンプルセ
ットにおいて、PD-L1発現は、その後の処置にかかわらず、予後不良および全生存期
間の低減と相関することが示された(2-13)。同様に、腫瘍浸潤性リンパ球上でのP
D-1発現は、乳がんおよびメラノーマ中の機能障害T細胞を特徴付けること(14-1
5)、ならびに腎臓がんにおける予後不良と相関すること(16)が見出された。それゆ
えに、PD-L1を発現する腫瘍細胞は、PD-1を発現するT細胞と相互作用すること
でT細胞活性化を減弱して免疫サーベイランスを回避し、それによって腫瘍に対する免疫
応答障害に寄与することが提唱されている。
【0004】
PD-1とそのリガンドであるPD-L1およびPD-L2のうちの1つまたは両方と
の間の相互作用を阻害するいくつかのモノクローナル抗体は、がんの処置について承認さ
れている。ペンブロリズマブは、プログラム細胞死1(PD 1)受容体への高い結合特
異性を有する強力なヒト化免疫グロブリンG4(IgG4)mAbであり、それゆえにそ
のプログラム細胞死リガンド1(PD-L1)およびプログラム細胞死リガンド2(PD
-L2)との相互作用を阻害する。前臨床のインビトロデータに基づくと、ペンブロリズ
マブは、PD-1への高いアフィニティおよび強力な受容体ブロッキング活性を持つ。K
eytruda(登録商標)(ペンブロリズマブ)は、いくつかの適応症にわたって患者
の処置の適応がある。
【0005】
リンパ球活性化遺伝子3(Lymphocyte-Activation Gene
3、LAG3)は、エフェクターT細胞の恒常性、増殖および活性化を制御する抑制性の
免疫調節受容体であり、制御性T細胞(Treg)のサプレッサー活性において役割を持
っている。LAG3は、活性化されたCD8+およびCD4+ T細胞、Tregおよび
Tr1制御性T細胞集団上で、同様にナチュラルキラー細胞および寛容原性形質細胞様樹
状細胞のサブセット上に発現する。エフェクターT細胞およびTregの両方に対するそ
の提唱されている役割のため、LAG3は、両細胞集団を同時にブロックすることで抗腫
瘍免疫を増強する可能性を持ついくつかの免疫チェックポイント分子の1つである。
【0006】
LAG3は、表面抗原分類(CD)4と構造的に関連しており、免疫グロブリン(Ig
)スーパーファミリーのメンバーである。CD4と同様、そのリガンドは主要組織適合複
合体(MHC)クラスII分子である。そのリガンドとの相互作用は、二量体化およびシ
グナル伝達を導いてT細胞活性化の変化をもたらす。T細胞活性化の後、LAG3は細胞
表面上に一過性に発現する。大部分のLAG3分子は細胞内貯蔵の中に見出され、T細胞
が活性化されると細胞膜に速やかに移動することができる。LAG3の発現は、細胞表面
で細胞外切断によって可溶形態のLAG3(sLAG3)を生じることによって制御され
、これは血清中で検出することができる。LAG3の発現は厳密に制御されており、制御
されないT細胞の活性に対抗するための自己制限メカニズムを表している。抗LAG3抗
体は、WO2016/028672中に記載されている。
【0007】
抗LAG3抗体の単剤治療または抗PD-1もしくは抗PD-L1治療との組み合わせ
治療のための薬剤投与レジメン(dosage regimen)の選択は、その物の血
清または組織代謝回転速度、症候のレベル、その物の免疫原性、抗薬物抗体エンドポイン
ト、および処置される個体中の標的細胞、組織または器官のアクセス性、同様に安全性と
いったいくつかの要因に依存する。抗薬物抗体の形成は、治療的用量での薬物曝露を潜在
的に混乱させ、その後の輸注関連毒性を刺激し得る。加えて、抗LAG3および/または
抗PD-1/抗PD-L1処置は、免疫を刺激して安全性に影響するサイトカイン放出の
可能性をもたらし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、7~1200mgの抗LAG3抗体Ab6を投与することを含む、患者にお
いてがんを処置するための方法を提供する。1つの実施形態において、200~800m
gの抗LAG3抗体Ab6が投与される。別の実施形態において、800mgの抗LAG
3抗体Ab6が投与される。1つの実施形態において、この方法は、抗PD-1または抗
PD-L1抗体との共投与を含んでもよい。1つの実施形態において、抗LAG3抗体お
よび抗PD-1抗体は、合剤化される。別の実施形態において、患者の腫瘍組織切片は、
PD-L1発現陽性である。さらなる実施形態において、患者の腫瘍細胞は、PD-L1
発現陽性である。1つの実施形態において、抗PD-1抗体は、PD-1のPD-L1お
よびPD-L2への結合をブロックする。本発明はまた、7~1200mgの抗LAG3
抗体Ab6またはAb6バリアント、および200mgのペンブロリズマブまたはペンブ
ロリズマブバリアントを含む医薬組成物を提供する。1つの実施形態において、医薬組成
物は、800mgの抗LAG3抗体Ab6またはAb6バリアント、および200mgの
ペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントを含む。
【0010】
本発明はまた、患者に抗LAG3抗体および抗PD-1抗体を投与することを含む、患
者において非MSI-H結腸直腸がん、胃がんまたは頭頸部扁平上皮癌を処置するための
方法であって、患者の腫瘍組織切片がPD-L1発現陽性であり、LAG3発現陽性であ
ってもよい、前記方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】21mgの抗LAG3抗体Ab6およびペンブロリズマブでの処置前(左)および処置後(右)の非MSI-H結腸直腸がん患者のCTスキャン。患者は先行して5ラインの化学療法を受けたが、抗PD-1または抗PD-L1治療は先行して受けなかった。患者は、腫瘍体積が45%低減した部分奏功であった。また肺病変およびリンパ節の腫瘍量が低減し、仙骨前方の塊は安定していた。奏功は13.5ヶ月時点で継続中である。
【
図2】7mgの抗LAG3抗体Ab6およびペンブロリズマブでの処置前(左)および処置後(右)の腎細胞癌ならびに肺および骨への転移を有する60歳男性のCTスキャン。患者は、先行して抗PD-1治療を包含する3ラインの治療を受けた。患者は、9週時点で腫瘍体積が49%低減した部分奏功であった。腫瘍体積の低減は、肺および複数のリンパ節を包含する、視認できる全ての疾患部位で観察された。奏功が15ヶ月持続した後に病勢が進行した。
【
図3】PD-L1 IHC組み合わせ陽性スコア(Combined Positive score、CPS)を用いた、結腸直腸がん拡大コホート(パートB)においてRECIST 1.1 FAS集団ごとの試験責任医師の評価に基づくベースラインからの最良の標的病変変化を使用した対象のウォーターフォールプロット。
【0012】
各バーは個々の対象を表す。ベースライン(Y軸)からの腫瘍サイズの30%を超える減
少は奏効;30%の減少から20%の増加の間の変化は病勢安定;20%の増加を超える
変化は病勢進行とみなされる。CPS≧1または<1の腫瘍試料が示される。腫瘍細胞が
100個未満の腫瘍試料は解釈することができない。
【
図4】LAG3 IHC CPS様% LAG3陽性細胞スコアリングシステムを用いた、結腸直腸がん拡大コホート(パートB)においてRECIST 1.1 FAS集団ごとの試験責任医師の評価に基づくベースラインからの最良の標的病変変化を使用した対象のウォーターフォールプロット。
【0013】
各バーは個々の対象を表す。ベースライン(Y軸)からの腫瘍サイズの30%を超える減
少は奏効とみなされ;30%の減少から20%の増加の間の変化は病勢安定とみなされ;
20%の増加を超える変化は病勢進行とみなされる。CPS≧1または<1の腫瘍試料が
示される。腫瘍細胞が100個未満の腫瘍試料は解釈することができない。
【
図5】フェーズI試験のパートA、サイクル1において7mgから700mgを静脈内投与した後のAb6の血清濃度。各用量についての算術平均血清濃度は、公称時間でプロットされる。
【
図6】フェーズI試験のパートA、サイクル1において7mgから700mgを静脈内投与した後の総可溶性LAG-3の血清濃度。総可溶性LAG-3の算術平均値は、公称時間でプロットされる。
【
図7A】
図7A~Bは、400mg Q6Wの定常状態におけるペンブロリズマブのCmaxが2mg/kgおよび200mg Q3Wから10mg/kg Q2Wまでの範囲内にあることを示す。7A:2mg/kgおよび200mg Q3Wの定常状態におけるペンブロリズマブのCmax。
【
図7B】
図7A~Bは、400mg Q6Wの定常状態におけるペンブロリズマブのCmaxが2mg/kgおよび200mg Q3Wから10mg/kg Q2Wまでの範囲内にあることを示す。7B:400mg Q6Wおよび10mg/kg Q2Wの定常状態におけるペンブロリズマブのCmax。
【
図8】
図8は、定常状態におけるペンブロリズマブの曝露量(CavgおよびCmin)が、2mg/kg Q3Wおよび200mg Q3Wに対して、400mg Q6Wで類似していることを示す。
【
図9A】
図9A~Bは、Q3W、200mgの一律投薬レジメン(上)およびQ3W、2mg/kg体重ベース投薬レジメン(下)と比較した、400mg Q6W投薬レジメンの定常状態におけるペンブロリズマブの薬物動態プロファイルを示す。9Aは、対数スケールの濃度を示す。
【
図9B】
図9A~Bは、Q3W、200mgの一律投薬レジメン(上)およびQ3W、2mg/kg体重ベース投薬レジメン(下)と比較した、400mg Q6W投薬レジメンの定常状態におけるペンブロリズマブの薬物動態プロファイルを示す。9Bは、線形スケールの濃度を示す。
【
図10】
図5と比較して追加の患者サンプリングを伴った、線形スケールの、サイクル1において7mgから700mgを静脈内投与した後のAb6の血清濃度。Ab6血清濃度の算術平均値は、公称時間でプロットされる。
【
図11】
図5と比較して追加の患者サンプリングを伴った、対数スケールの、サイクル1において7mgから700mgを静脈内投与した後のAb6の血清濃度。Ab6血清濃度の算術平均値は、公称時間でプロットされる。
【
図12】
図6と比較して追加の患者サンプリングを伴った、サイクル1において7mgから700mgを静脈内投与した後の総可溶性LAG-3の血清濃度。総可溶性LAG-3の算術平均値は、公称時間でプロットされる。
【
図13】800mgの用量に相当するサイクル1における予測Ab6血清濃度-時間プロファイルに、700mgの用量についての実測濃度を重ねたもの。塗りつぶしのマーカーは、フェーズI試験からの700mgでの実測Ab6血清濃度を表す。斜線の領域は、800mg用量についての予測濃度の2.5パーセンタイルおよび97.5パーセンタイルを表す。サイクル1からのAb6曝露量は、その後の処置サイクルを代表するものと予想される。
【
図14】700mgと800mgの用量間で曝露量が実質的に重なることを示す、用量の関数としての予測Ab6曝露量(AUC、Cトラフ、Cmax)。直線:中央値、箱:25パーセンタイルおよび75パーセンタイル、ヒゲ:5パーセンタイルおよび95パーセンタイル。
【
図15】PKの変動を示す21日目のAb6血清C
トラフの箱ひげ図。
【
図16】PD-L1 IHC組み合わせ陽性スコア(CPS)を用いた、胃がん拡大コホート(パートB)においてRECIST 1.1 FAS集団ごとの試験責任医師の評価に基づくベースラインからの最良の標的病変変化を使用した対象のウォーターフォールプロット。
【0014】
各バーは個々の対象を表す。ベースライン(Y軸)からの腫瘍サイズの30%を超える減
少は奏効とみなされ;30%の減少から20%の増加の間の変化は病勢安定とみなされ;
20%の増加を超える変化は病勢進行とみなされる。CPS≧1または<1の腫瘍試料が
示される。腫瘍細胞が100個未満の腫瘍試料は解釈することができない。
【
図17】LAG3 IHC CPS様% LAG3陽性細胞スコアリング法を用いた、胃がん拡大コホート(パートB)においてRECIST 1.1 FAS集団ごとの試験責任医師の評価に基づくベースラインからの最良の標的病変変化を使用した対象のウォーターフォールプロット。
【0015】
各バーは個々の対象を表す。ベースライン(Y軸)からの腫瘍サイズの30%を超える減
少は奏効とみなされ;30%の減少から20%の増加の間の変化は病勢安定とみなされ;
20%の増加を超える変化は病勢進行とみなされる。CPS≧1または<1の腫瘍試料が
示される。腫瘍細胞が100個未満の腫瘍試料は解釈することができない。
【
図18】PD-L1 IHC TPS+MIDSスコアリングシステムを用いた、HSNCC PD-L1ナイーブがん拡大コホート(パートB)においてRECIST 1.1 FAS集団ごとの試験責任医師の評価に基づくベースラインからの最良の標的病変変化を使用した対象のウォーターフォールプロット。
【0016】
各バーは個々の対象を表す。ベースライン(Y軸)からの腫瘍サイズの30%を超える減
少は奏効とみなされ;30%の減少から20%の増加の間の変化は病勢安定とみなされ;
20%の増加を超える変化は病勢進行とみなされる。CPS≧1または<1の腫瘍試料が
示される。腫瘍細胞が100個未満の腫瘍試料は解釈することができない。
【
図19】LAG3 IHC %LAG3陽性細胞スコアリングシステムを用いた、HSNCC PD-L1ナイーブがん拡大コホート(パートB)においてRECIST 1.1 FAS集団ごとの試験責任医師の評価に基づくベースラインからの最良の標的病変変化を使用した対象のウォーターフォールプロット。
【0017】
各バーは個々の対象を表す。ベースライン(Y軸)からの腫瘍サイズの30%を超える減
少は奏効とみなされ;30%の減少から20%の増加の間の変化は病勢安定とみなされ;
20%の増加を超える変化は病勢進行とみなされる。CPS≧1または<1の腫瘍試料が
示される。腫瘍細胞が100個未満の腫瘍試料は解釈することができない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
略語 本発明の詳細な説明および例の全体を通じて、次の略語が用いられる:
BOR 最良総合効果
BID 1日2回の投薬
CBR 臨床的有用率
CDR 相補性決定領域
CHO チャイニーズハムスター卵巣
CR 完全奏功
DCR 病勢コントロール率
DFS 無病生存期間
DLT 用量制限毒性
DOR 奏功持続期間
DSDR 持続的病勢安定率
FFPE ホルマリン固定パラフィン包埋
FR フレームワーク領域
IgG 免疫グロブリンG
IHC 免疫組織化学または免疫組織化学的
irRC 免疫関連効果判定基準
IV 静脈内
MTD 最大耐量
NCBI 米国国立バイオテクノロジー情報センター
NCI 米国国立がん研究所
ORR 客観的奏効率
OS 全生存期間
PD 病勢進行
PD-1 プログラム死1
PD-L1 プログラム細胞死1リガンド1
PD-L2 プログラム細胞死1リガンド2
PFS 無増悪生存期間
PR 部分奏功
Q2W 2週に1回の投薬
Q3W 3週に1回の投薬
QD 1日に1回の投薬
RECIST 固形がんにおける効果判定基準(Response Evaluati
on Criteria in Solid Tumors)
SD 病勢安定
VH 免疫グロブリン重鎖可変領域
VK 免疫グロブリンカッパ軽鎖可変領域
I.定義
本発明がより容易に理解され得るように、ある種の技術用語および科学用語が下に具体
的に定義される。本書類中のどこかで具体的に定義されないかぎり、本明細書中で用いら
れる全ての他の技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により通例
的に理解される意味を持つ。
【0019】
添付の特許請求の範囲を包含する本明細書中で用いられるとき、言葉の単数形、例えば
「a」、「an」および「the」などは、その内容が明らかに他を指示しないかぎり、
それらの対応する複数形の言及を包含する。
【0020】
本明細書中で用いられるとき、「Ab6バリアント」は、軽鎖CDRの外側の位置に3
個、2個または1個の保存的アミノ酸置換を持つことおよび重鎖CDRの外側に6個、5
個、4個、3個、2個または1個の保存的アミノ酸置換を持つことを除いてAb6(下記
およびWO2016028672中に記載されており、この文献は参照によりその全体が
組み込まれる)中のものと実質的に同一である重鎖配列および軽鎖配列を含むモノクロー
ナル抗体を意味し、例として、その変異位置はFR領域または定常領域の中にあり、重鎖
C末端のリジン残基欠失があってもよい。言い換えれば、Ab6およびAb6バリアント
は同一のCDR配列を含むが、それらの完全長軽鎖配列および重鎖配列においてそれぞれ
3個または6個を超えない他の位置に保存的アミノ酸置換を持つため、互いに異なる。A
b6バリアントは、次の性質:ヒトLAG3への結合アフィニティおよびヒトLAG3の
ヒトMHCクラスIIへの結合をブロックする能力に関してAb6と実質的に同じである
。
【0021】
「投与」とは、それが動物、ヒト、実験対象、細胞、組織、器官または生物学的液体に
適用されるとき、その動物、ヒト、対象、細胞、組織、器官または生物学的液体への外来
性の医薬、治療薬、診断剤または組成物の接触をいう。細胞の処置は、細胞への試薬の接
触、同様に、液体が細胞と接触している場合にその液体への試薬の接触を包含する。用語
「対象」は、任意の生物、好ましくは動物、より好ましくは哺乳動物(例としてラット、
マウス、イヌ、ネコ、ウサギ)および最も好ましくはヒトを包含する。
【0022】
本明細書中で用いられるとき、用語「抗体」とは、所望の生物学的または結合活性を呈
する任意の形態の抗体をいう。それゆえに、これは最も広い意味で用いられ、具体的には
、限定されるものではないが、モノクローナル抗体(完全長のモノクローナル抗体を包含
する)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例として二重特異性抗体)、ヒト化抗体
、完全ヒト抗体、キメラ抗体およびラクダ化シングルドメイン抗体に及ぶ。「親抗体」は
、意図される使用のための抗体の改変に先立って、例えばヒト治療薬としての使用のため
の抗体のヒト化などに先立って、免疫系の抗原への曝露により得られる抗体である。
【0023】
一般的に、基本的な抗体構造単位はテトラマーを含む。各テトラマーは2つの同一のポ
リペプチド鎖ペアを包含し、各ペアは1つの「軽」鎖(約25kDa)および1つの「重
」鎖(約50~70kDa)を持つ。各鎖のアミノ末端部分は、主として抗原認識に関与
する約100から110アミノ酸残基以上の可変領域を包含する。重鎖のカルボキシ末端
部分は、主としてエフェクター機能に関与する定常領域を定義し得る。典型的に、ヒト軽
鎖は、カッパ軽鎖およびラムダ軽鎖に分類される。さらに、ヒト重鎖は典型的にミュー、
デルタ、ガンマ、アルファまたはイプシロンに分類され、それぞれ抗体のアイソタイプを
IgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEと定義する。軽鎖および重鎖内で、可変領
域および定常領域は約12アミノ酸残基以上の「J」領域により連結されており、重鎖は
さらに約10アミノ酸残基の「D」領域も包含する。全般的に、Fundamental
Immunology Ch.7(Paul,W.,ed.,2nd ed. Rav
en Press,N.Y.(1989)を参照されたい。
【0024】
各軽鎖/重鎖ペアの可変領域は、抗体結合部位を形成する。それゆえに、一般的に、イ
ンタクトな抗体は2つの結合部位を持つ。二機能性抗体または二重特異性抗体におけるも
のを除いて、2つの結合部位は、一般的に同じである。
【0025】
典型的に、重鎖および軽鎖両方の可変ドメインは、比較的保存されたフレームワーク領
域(FR)内に位置する相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる3つの高頻度可変領域を
含む。CDRは通常フレームワーク領域と並んでおり、特異的なエピトープへの結合を可
能にする。一般的に、N末端からC末端までに、軽鎖および重鎖両方の可変ドメインは、
FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。各ドメイ
ンへのアミノ酸の割り当ては、一般に、Sequences of Proteins
of Immunological Interest,Kabat,et al.;N
ational Institutes of Health,Bethesda,Md
.;5th ed.;NIH Publ.No.91-3242(1991);Kaba
t(1978) Adv.Prot.Chem. 32:1-75;Kabat,et
al.,(1977) J.Biol.Chem. 252:6609-6616;Ch
othia,et al.,(1987) J.Mol.Biol. 196:901-
917またはChothia,et al.,(1989) Nature 342:8
78-883の定義に従う。
【0026】
本明細書中で用いられるとき、特に指示がないかぎり、「抗体断片」または「抗原結合
性断片」とは、抗体の抗原結合性断片、すなわち完全長抗体によって結合される抗原に特
異的に結合する能力を保持した抗体断片をいい、例として1または複数のCDR領域を保
持した断片をいう。抗原結合性断片の例としては、限定されるものではないが、Fab、
Fab’、F(ab’)2およびFv断片;ダイアボディ;リニア抗体;一本鎖抗体分子
、例としてsc-Fv;抗体断片から形成されるナノボディおよび多重特異性抗体が挙げ
られる。
【0027】
特定の標的タンパク質「に特異的に結合する」抗体は、他のタンパク質と比較してその
標的への優先的な結合を呈する抗体であるが、この特異性は絶対的な結合特異性を必要と
しない。抗体は、その結合が試料中の標的タンパク質の存在を、例として望まれない結果
、例えば偽陽性などを生じることなく決定するならば、その意図された標的に「特異的」
であると考えられる。本発明において有用な抗体またはその結合性断片は、非標的タンパ
ク質とのアフィニティーよりも少なくとも2倍強い、好ましくは少なくとも10倍強い、
より好ましくは少なくとも20倍強い、および最も好ましくは少なくとも100倍強いア
フィニティーを有して、標的タンパク質に結合する。本明細書中で用いられるとき、所与
のアミノ酸配列、例として成熟ヒトPD-1またはヒトPD-L1分子のアミノ酸配列を
含むポリペプチドに結合するがその配列を欠いたタンパク質に結合しない場合、抗体は、
その配列を含むポリペプチドに特異的に結合するといわれる。
【0028】
「キメラ抗体」とは、重鎖および/または軽鎖のある部分は特定の種(例としてヒト)
に由来する抗体または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配
列と同一または相同であるが、鎖(複数可)の残部は別の種(例としてマウス)に由来す
る抗体または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一ま
たは相同である抗体をいい、同様に、それらが所望の生物学的活性を呈するかぎり、かか
る抗体の断片をもいう。
【0029】
本明細書中で剤、例えばPD-1アンタゴニストまたはLAG3アンタゴニストなどに
対して用いられる「共投与」は、治療活性が重なるように剤を投与することを意味し、必
ずしも剤を対象に同時投与することを意味するものではない。剤は、投与前に物理的に組
み合わせても組み合わせなくてもよい。ある実施形態において、剤は、同時にまたはほぼ
同時に対象に投与される。例えば、別々のバイアル中に含有される抗PD-1抗体および
抗LAG3製剤は、溶液であるとき、同じ静脈内注入バッグまたは注射デバイス中に入れ
て混合され得て、同時に患者に投与され得る。
【0030】
本明細書中で用いられる「合剤化される(co-formulated)」または「合
剤(co-formulation)」または「合剤(coformulation)」
または「合剤化される(coformulated)」とは、個別に製剤化および保管さ
れ、次いで投与前に混合されるまたは別々に投与されるよりもむしろ、一緒に製剤化され
て組み合わせ製品として単一のバイアルまたは容器(例えば注射デバイス)中に保管され
る、少なくとも2つの異なる抗体またはその抗原結合性断片をいう。1つの実施形態にお
いて、合剤は、2つの異なる抗体またはその抗原結合性断片を含有する。
【0031】
薬物動態学上の「定常状態」は、複数回の投薬による薬物濃度の何らかの蓄積が最大化
しており、全身性薬物曝露がその後の各用量の投与後に一定と考えられる期間であり;ペ
ンブロリズマブの特定の場合、定常状態は投与の約16週後以降に達成される。
【0032】
AUCss、Cavg,ssおよびCmin,ssは、薬物(例としてペンブロリズマ
ブ)投与後のヒトにおけるその薬物への全身性曝露の薬物動態学的測定値であり、典型的
には薬効のドライバーと考えられている。AUCssおよびCavg,ssは、投与間隔
にわたる平均的な曝露量を表すものであるが、単位の点で異なる。「Cmin,ss」は
、投与間隔の終了時、次の用量が投与される直前に観察される最小または最低(トラフ)
薬物濃度を表す。
【0033】
「Cmax,ss」は、その投与直後に観察される最大または最高(ピーク)薬物濃度
である。静脈内注入として投与されるペンブロリズマブの特定の場合において、注入終了
後すぐにピーク濃度になる。Cmax,ssは、典型的には安全性のドライバーと考えら
れる計量値(metric)である。
【0034】
「ヒト抗体」とは、ヒト免疫グロブリンタンパク質配列のみを含む抗体をいう。ヒト抗
体は、マウス、マウス細胞またはマウス細胞に由来するハイブリドーマ中で産生された場
合はマウスの糖鎖を含有し得る。同様に、「マウス抗体」または「ラット抗体」とは、そ
れぞれマウスまたはラットの免疫グロブリン配列のみを含む抗体をいう。
【0035】
「ヒト化抗体」とは、非ヒト(例としてマウス)抗体からの配列、同様にヒト抗体から
の配列を含有する形態の抗体をいう。かかる抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最
小限の配列を含有する。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可
変ドメインの実質的に全てを含み、ここで非ヒト免疫グロブリンのそれに相当する高頻度
可変ループの全てまたは実質的に全て、およびFR領域の全てまたは実質的に全ては、ヒ
ト免疫グロブリン配列のそれである。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc
)、典型的にヒト免疫グロブリンの少なくとも一部を含んでもよい。接頭辞「hum」、
「hu」または「h」は、ヒト化抗体を親の齧歯類抗体から区別することが必要なときに
抗体クローン名称に付加される。齧歯類抗体のヒト化形態は、一般に、親の齧歯類抗体と
同じCDR配列を含むが、アフィニティーを向上させるため、ヒト化抗体の安定性を向上
させるため、または他の理由のためにある種のアミノ酸置換が包含され得る。
【0036】
治療レジメン、例えば本明細書中に記載される組み合わせ治療などで処置されたがん患
者に言及するときの「抗腫瘍応答」は、少なくとも1つの肯定的な治療効果、例えばがん
細胞数の低減、腫瘍サイズの低減、末梢器官へのがん細胞の浸潤速度の低減、腫瘍転移も
しくは腫瘍増殖速度の低減、または無増悪生存などを意味する。がんにおける肯定的な治
療効果は、様々な方法で測定することができる(W.A.Weber,J.Null.M
ed. 50:1S-10S(2009);上のEisenhauer et al.を
参照されたい)。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される組み合わせ治療
への抗腫瘍応答は、RECIST 1.1基準、二次元irRCまたは一次元irRCを
用いて評価される。いくつかの実施形態において、抗腫瘍応答は、SD、PR、CR、P
FSまたはDFSのいずれかである。
【0037】
「二次元irRC」とは、Wolchok JD,et al. Guideline
s for the evaluation of immune therapy a
ctivity in solid tumors:immune-related r
esponse criteria. Clin Cancer Res. 2009;
15(23):7412-7420中に記載されている一連の基準をいう。これらの基準
は、標的病変の二次元腫瘍測定値を利用しており、各病変の最長直径と最長垂直直径を乗
算すること(cm2)によって得られる。
【0038】
「生物療法剤」は、腫瘍維持および/もしくは増殖を支持するまたは抗腫瘍免疫応答を
抑制する任意の生物学的経路におけるリガンド/受容体シグナル伝達をブロックする生物
学的分子、例えば抗体または融合タンパク質などを意味する。生物療法剤の分類としては
、限定されるものではないが、VEGF、EGFR、Her2/neu、他の増殖因子受
容体、CD20、CD40、CD-40L、CTLA-4、OX-40、4-1BBおよ
びICOSに対する抗体が挙げられる。
【0039】
「CBR」または「臨床的有用率」は、CR+PR+持続的SDを意味する。
【0040】
本明細書中で用いられる「CDR(単数形)」または「CDR(複数形)」は、特に指
示がないかぎり、Kabatナンバリングシステムを用いて定義される、免疫グロブリン
可変領域中の相補性決定領域(複数可)を意味する。
【0041】
「化学療法剤」は、がんの処置において有用な化学物質である。化学療法剤の分類とし
ては、限定されるものではないが、アルキル化剤、代謝拮抗剤、キナーゼ阻害剤、紡錘体
毒 植物アルカロイド、細胞傷害性/抗腫瘍性抗生物質、トポイソメラーゼ(topis
omerase)阻害剤、光増感剤、抗エストロゲン剤および選択的エストロゲン受容体
モジュレーター(SERM)、抗プロゲステロン剤、エストロゲン受容体ダウンレギュレ
ーター(ERD)、エストロゲン受容体アンタゴニスト、黄体形成ホルモン(leuti
nizing hormone)放出ホルモンアゴニスト、抗アンドロゲン剤、アロマタ
ーゼ阻害剤、EGFR阻害剤、VEGF阻害剤、異常な細胞増殖または腫瘍増殖にかかわ
る遺伝子の発現を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドが挙げられる。本発明の処置
方法において有用な化学療法剤としては、細胞増殖抑制剤および/または細胞傷害剤が挙
げられる。
【0042】
「Chothia」は、Al-Lazikani et al.,JMB 273:9
27-948(1997)中に記載される抗体ナンバリングシステムを意味する。
【0043】
「を含むこと(comprising)」またはバリエーション、例えば「を含む(c
omprise)」、「を含む(comprises)」または「を含む(compri
sed of)」などは、明示的な言語または必然的な暗示のために文脈が他を必要とし
ないかぎり、本明細書および特許請求の範囲の全体を通じて包含的な意味で、すなわち、
述べられた特徴の存在を特定するが本発明の実施形態のいずれかの作用または有用性を実
質的に高め得るさらなる特徴の存在または追加を排除せずに用いられる。
【0044】
「保存的改変バリアント」または「保存的置換」とは、タンパク質の生物学的活性また
は他の所望の性質、例えば抗原アフィニティーおよび/または特異性などを変えることな
くしばしば変化させることができるような、タンパク質中のアミノ酸の、類似した特性(
例として電荷、側鎖サイズ、疎水性/親水性、骨格構造および剛性など)を持つ他のアミ
ノ酸との置換をいう。当業者は、一般的に、ポリペプチドの非必須領域における単一のア
ミノ酸置換は生物学的活性を実質的に変えないことを認識する(例としてWatson
et al.(1987) Molecular Biology of the Ge
ne,The Benjamin/Cummings Pub.Co.,p.224(4
th Ed.)を参照されたい)。加えて、構造的または機能的に類似したアミノ酸の置
換は、生物学的活性を破壊する可能性が低い。例示的な保存的置換は、下の表1中に示さ
れる。
【0045】
【0046】
「から本質的になる(consists essentially of)」およびバ
リエーション、例えば「から本質的になる(consist essentially
of)」または「から本質的になること(consisting essentiall
y of)」などは、本明細書および特許請求の範囲の全体を通じて用いられるとき、任
意の列挙された要素または要素の群を含めること、および列挙された要素と類似したまた
は異なる、特定の薬剤投与レジメン、方法または組成物の基本的なまたは新規の性質を実
質的に変化させない他の要素を含めてもよいことを指し示す。限定されない例として、列
挙されたアミノ酸配列から本質的になるPD-1アンタゴニストは、結合性化合物の性質
に実質的に影響しない1または複数のアミノ酸をも包含し得て、これは1または複数のア
ミノ酸残基の置換を包含する。
【0047】
「DCR」または「病勢コントロール率」は、CR+PR+SDを意味する。
【0048】
「診断用の抗PD-Lモノクローナル抗体」は、ある種の哺乳動物細胞の表面上に発現
する成熟形態の指定されたPD-L(PD-L1またはPDL2)に特異的に結合するm
Abを意味する。成熟PD-Lは、リーダーペプチドとも呼ばれる前分泌リーダー配列を
欠いている。用語「PD-L」および「成熟PD-L」は本明細書中で交換可能に用いら
れ、特に指示がないかぎり、または文脈から容易に明らかでないかぎり、同じ分子を意味
すると理解されるものである。
【0049】
本明細書中で用いられるとき、診断用の抗ヒトPD-L1 mAbまたは抗hPD-L
1 mAbとは、成熟ヒトPD-L1に特異的に結合するモノクローナル抗体をいう。成
熟ヒトPD-L1分子は、次の配列のアミノ酸19~290よりなる:
MRIFAVFIFMTYWHLLNAFTVTVPKDLYVVEYGSNMTIEC
KFPVEKQLDLAALIVYWEMEDKNIIQFVHGEEDLKVQHSS
YRQRARLLKDQLSLGNAALQITDVKLQDAGVYRCMISYGG
ADYKRITVKVNAPYNKINQRILVVDPVTSEHELTCQAEGY
PKAEVIWTSSDHQVLSGKTTTTNSKREEKLFNVTSTLRIN
TTTNEIFYCTFRRLDPEENHTAELVIPELPLAHPPNERTH
LVILGAILLCLGVALTFIFRLRKGRMMDVKKCGIQDTNSK
KQSDTHLEET(配列番号32)。
【0050】
ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織切片におけるPD-L1発現の免
疫組織化学(IHC)検出のための診断用mAbとして有用な診断用の抗ヒトPD-L1
mAbの具体例は、20C3抗体および22C3抗体であり、これらはWO2014/
100079中に記載されている。FFPE組織切片におけるPD-L1発現のIHC検
出に有用であると報告されている別の抗ヒトPD-L1 mAb(Chen,B.J.
et al.,Clin Cancer Res 19:3462-3473(2013
))は、Sino Biological,Inc.から公的に入手可能なウサギ抗ヒト
PD-L1 mAbである(中華人民共和国、北京;カタログ番号10084-R015
)。
【表2】
【0051】
本明細書中で用いられる「PD-L1」または「PD-L2」の発現は、細胞表面上の
指定されたPD-Lタンパク質または細胞もしくは組織内での指定されたPD-L mR
NAの何かしら検出可能なレベルの発現を意味する。PD-Lタンパク質の発現は、診断
用PD-L抗体を使用して、腫瘍組織切片のIHCアッセイにおいて、またはフローサイ
トメトリーにより検出され得る。あるいは、腫瘍細胞によるPD-Lタンパク質の発現は
、PETイメージングにより、所望のPD-L標的に、例としてPD-L1またはPD-
L2に特異的に結合する結合剤(例として抗体断片、アフィボディなど)を用いて検出さ
れ得る。PD-L mRNAの発現を検出して測定するための技術としては、RT-PC
R、リアルタイム定量的RT-PCR、RNAseqおよびNanostringプラッ
トフォームが挙げられる(J.Clin.Invest. 2017;127(8):2
930-2940)。
【0052】
腫瘍組織切片のIHCアッセイにおいてPD-L1タンパク質発現を定量するためのい
くつかのアプローチが記載されている。例としてThompson,R.H.,et a
l.,PNAS 101(49);17174-17179(2004);Thomps
on,R.H.et al.,Cancer Res. 66:3381-3385(2
006);Gadiot,J.,et al.,Cancer 117:2192-22
01(2011);Taube,J.M. et al.,Sci Transl Me
d 4,127ra37(2012);およびToplian,S.L. et al.
,New Eng.J Med. 366(26):2443-2454(2012)を
参照されたい。病理医により用いられるヘマトキシリン・エオシン染色を記載しているU
S20170285037を参照されたい。
【0053】
1つのアプローチは、PD-L1発現が陽性または陰性であるというシンプルな二値エ
ンドポイントを使用するものであり、陽性の結果は、細胞表面膜染色の組織学的なエビデ
ンスを呈する腫瘍細胞のパーセンテージの点で定義される。腫瘍組織切片は、PD-L1
発現が全腫瘍細胞のうち少なくとも1%である場合にPD-L1発現陽性としてカウント
される。
【0054】
別のアプローチにおいて、腫瘍組織切片中のPD-L1発現は、腫瘍細胞中で、同様に
主にリンパ球を含む浸潤性免疫細胞中で定量される。膜染色を呈する腫瘍細胞および浸潤
性免疫細胞のパーセンテージは、<5%、5から9%、次いで10%ずつ増やして最大1
00%として別々に定量される。免疫浸潤物におけるPD-L1発現は、補正炎症スコア
(AIS)と呼ばれる半定量的測定値として報告され、これは、膜染色細胞のパーセント
に浸潤物の強度を乗算することにより決定され、無(0)、軽度(スコア1、リンパ球ほ
とんどなし)、中度(スコア2、リンパ組織球性凝集物による腫瘍の限局性浸潤)または
重度(スコア3、びまん性浸潤)として評点される。腫瘍組織切片は、AISが≧5の場
合、免疫浸潤物によりPD-L1発現陽性としてカウントされる。
【0055】
PD-L1 mRNAの発現レベルは、定量的RT-PCRにおいてしばしば用いられ
る1または複数の参照遺伝子のmRNA発現レベルと比較され得る。
【0056】
いくつかの実施形態において、腫瘍内の悪性細胞および/または浸潤性免疫細胞による
PD-L1の発現レベル(タンパク質および/またはmRNA)は、適切な対照によるP
D-L1の発現レベル(タンパク質および/またはmRNA)との比較に基づいて「過剰
発現」または「上昇」と決定される。例えば、対照のPD-L1タンパク質またはmRN
Aの発現レベルは、同タイプの非悪性細胞中で、または対応する正常組織からの切片中で
定量されるレベルであり得る。いくつかの好ましい実施形態において、腫瘍試料中のPD
-L1タンパク質(および/またはPD-L1 mRNA)が対照におけるものよりも少
なくとも10%、20%または30%多い場合、腫瘍試料中のPD-L1発現は上昇した
と決定される。
【0057】
「腫瘍割合スコア(TPS)」とは、細胞膜上でPD-L1を任意の強度(弱、中また
は強度)で発現している腫瘍細胞のパーセンテージをいう。線状の部分的または完全な細
胞膜の染色は、PD-L1陽性と解釈される。
【0058】
「単核炎症密度スコア(MIDS)」とは、腫瘍に浸潤または隣接しているPD-L1
を発現する単核炎症細胞(MIC)(腫瘍巣および隣接する支持間質内の小リンパ球、大
リンパ球、単球およびマクロファージ)数の腫瘍細胞の総数に対する比をいう。MIDS
は0から4までのスケールで記録され、0=なし;1=存在するが、100個の腫瘍細胞
あたり1個未満のMICである(<1%);2=100個の腫瘍細胞あたり少なくとも1
個のMICがあるが、10個の腫瘍細胞あたり1個未満のMICである(1~9%);3
=10個の腫瘍細胞あたり少なくとも1個のMICがあるが、腫瘍細胞よりもMICの数
は少ない(10~99%);4=腫瘍細胞と少なくとも同数のMICがある(≧100%
)。
【0059】
「組み合わせ陽性スコア(CPS)」とは、腫瘍巣および隣接する支持間質内のPD-
L1陽性腫瘍細胞およびPD-L1陽性単核炎症細胞(MIC)の数(分子)の、腫瘍細
胞の総数(分母;すなわちPD-L1陽性およびPD-L1陰性の腫瘍細胞数)に対する
比をいう。あらゆる強度、すなわち弱(1+)、中(2+)または強度(3+)のPD-
L1発現が陽性と考えられる。
【0060】
「PD-L1発現陽性」とは、少なくとも1%の腫瘍割合スコア、単核炎症密度スコア
または組み合わせ陽性スコア;AISが≧5;または適切な対照と比較した腫瘍内の悪性
細胞および/もしくは浸潤性免疫細胞によるPD-L1の発現レベル(タンパク質および
/またはmRNA)の上昇をいう。
【0061】
LAG3タンパク質の発現は、診断用抗LAG3抗体を使用して、腫瘍組織切片のIH
Cアッセイにおいて、またはフローサイトメトリーにより検出され得る。1つの実施形態
において、診断用抗LAG3抗体は、LSBioからのクローン17B4である。あるい
は、腫瘍細胞によるLAG3タンパク質の発現は、PETイメージングにより、LAG3
に特異的に結合する結合剤(例えば抗体断片、アフィボディなど)を用いて検出され得る
。LAG3 mRNAの発現を検出して測定するための技術としては、RT-PCR、リ
アルタイム定量的RT-PCR、RNAseqおよびNanostringプラットフォ
ームが挙げられる(J.Clin.Invest. 2017;127(8):2930
-2940)。
【0062】
「% LAG3陽性細胞」とは、腫瘍領域中のLAG3陽性細胞/全細胞x100をい
う。IHCアッセイにおける線状の部分的または完全な免疫細胞膜染色は、LAG3陽性
と解釈される。
【0063】
「CPS様% LAG3陽性細胞」とは、腫瘍領域中のLAG3陽性細胞/腫瘍細胞x
100をいう。IHCアッセイにおける線状の部分的または完全な免疫細胞膜染色は、L
AG3陽性と解釈される。
【0064】
「LAG3発現陽性」とは、%LAG3陽性細胞またはCPS様% LAG3陽性細胞
が≧1%であることをいう。
【0065】
「DSDR」または「持続的病勢安定率」は、≧23週間のSDを意味する。
【0066】
本明細書中で用いられる「フレームワーク領域」または「FR」は、CDR領域を除い
た免疫グロブリン可変領域を意味する。
【0067】
本明細書中で用いられる「Kabat」は、Elvin A.Kabat((1991
) Sequences of Proteins of Immunological
Interest,5th Ed. Public Health Service,
National Institutes of Health,Bethesda,M
d.)により開発された免疫グロブリンのアラインメントおよびナンバリングシステムを
意味する。
【0068】
「抗LAG3抗体」は、免疫細胞(T細胞、TregまたはNK細胞など)上に発現す
るLAG3のMHCクラスII分子への結合をブロックするモノクローナル抗体を意味す
る。ヒトLAG3は、以下のアミノ酸配列を含む:
MWEAQFLGLL FLQPLWVAPV KPLQPGAEVP VVWAQEG
APA QLPCSPTIPL QDLSLLRRAG
VTWQHQPDSG PPAAAPGHPL APGPHPAAPS SWGPRPR
RYT VLSVGPGGLR SGRLPLQPRV
QLDERGRQRG DFSLWLRPAR RADAGEYRAA VHLRDRA
LSC RLRLRLGQAS MTASPPGSLR
ASDWVILNCS FSRPDRPASV HWFRNRGQGR VPVRESP
HHH LAESFLFLPQ VSPMDSGPWG
CILTYRDGFN VSIMYNLTVL GLEPPTPLTV YAGAGSR
VGL PCRLPAGVGT RSFLTAKWTP
PGGGPDLLVT GDNGDFTLRL EDVSQAQAGT YTCHIHL
QEQ QLNATVTLAI ITVTPKSFGS
PGSLGKLLCE VTPVSGQERF VWSSLDTPSQ RSFSGPW
LEA QEAQLLSQPW QCQLYQGERL
LGAAVYFTEL SSPGAQRSGR APGALPAGHL LLFLILG
VLS LLLLVTGAFG FHLWRRQWRP
RRFSALEQGI HPPQAQSKIE ELEQEPEPEP EPEPEPE
PEP EPEQL
(配列番号33);Uniprotアクセッション番号P18627も参照されたい。
【0069】
「マイクロサテライト不安定性(MSI)」とは、腫瘍におけるDNAミスマッチ修復
欠損に関連したゲノム不安定性の形態をいう。Boland et al.,Cance
r Research 58,5258-5257,1998を参照されたい。1つの実
施形態において、MSI解析は、米国国立がん研究所(NCI)が推奨する5個のマイク
ロサテライトマーカーBAT25(GenBankアクセッション番号9834508)
、BAT26(GenBankアクセッション番号9834505)、D5S346(G
enBankアクセッション番号181171)、D2S123(GenBankアクセ
ッション番号187953)、D17S250(GenBankアクセッション番号17
7030)を用いて行うことができる。付加的なマーカー、例えば、BAT40、BAT
34C4、TGF-β-RIIおよびACTCを用いることができる。MSI解析のため
の市販のキットとしては、例えば、Promega MSIマルチプレックスPCRアッ
セイが挙げられる。
【0070】
「高頻度マイクロサテライト不安定性」または「マイクロサテライト高不安定性(MS
I-H)」とは、5個のNCIマーカーのうちの2個以上が不安定性を示す場合、または
全マーカーの≧30~40%が不安定性を実証する(すなわち挿入/欠失変異を持つ)場
合をいう。
【0071】
「低頻度マイクロサテライト不安定性」または「マイクロサテライト低不安定性(MS
I-L)」とは、5個のNCIマーカーのうちの1個が不安定性を示す場合、または全マ
ーカーの<30~40%が不安定性を呈する(すなわち挿入/欠失変異を持つ)場合をい
う。
【0072】
本明細書中で用いられる「非MSI-H結腸直腸がん」とは、マイクロサテライト安定
性(MSS)および低頻度MSI(MSI-L)の結腸直腸がんをいう。
【0073】
「マイクロサテライト安定性(MSS)」とは、5個のNCIマーカーのいずれも不安
定性を示さない(すなわち挿入/欠失変異を持たない)場合をいう。
【0074】
「ミスマッチ修復良好(pMMR)の結腸直腸がん」とは、IHCによるCRC腫瘍検
体におけるMMRタンパク質(MLH1、PMS2、MSH2およびMSH6)の正常な
発現をいう。MMR解析のための市販のキットとしては、Ventana MMR IH
Cアッセイが挙げられる。
【0075】
「ミスマッチ修復欠損(dMMR)の結腸直腸がん」とは、IHCによるCRC腫瘍検
体における1または複数のMMRタンパク質(MLH1、PMS2、MSH2およびMS
H6)の低発現をいう。
【0076】
本明細書中で用いられる「モノクローナル抗体」または「mAb」または「Mab」と
は、実質的に均一な抗体の集団をいい、すなわちその集団を構成する抗体分子のアミノ酸
配列は、少量存在し得る潜在的な自然発生変異を除いて同一である。対照的に、従来の(
ポリクローナル)抗体調製物は、典型的に、それらの可変ドメイン、とりわけそれらのC
DRの中に異なるアミノ酸配列を持つ数多くの異なる抗体を包含し、これらはしばしば異
なるエピトープに対して特異的である。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗
体集団から得られるものとしての抗体の特性を指し示し、何かしらの特定の方法による抗
体産生を必要とするものと解釈されるものではない。例えば、本開示に従って用いられる
ことになるモノクローナル抗体は、Kohler et al.(1975) Natu
re 256:495により最初に記載されたハイブリドーマ法により作製され得て、ま
たは組換えDNA法により作製され得る(例として米国特許第4,816,567号を参
照されたい)。「モノクローナル抗体」はまた、ファージ抗体ライブラリーから、例えば
Clackson et al.(1991) Nature 352:624-628
およびMarks et al.(1991) J.Mol.Biol. 222:58
1-597中に記載される技術を用いて単離され得る。Presta(2005) J.
Allergy Clin.Immunol. 116:731も参照されたい。
【0077】
「ノンレスポンダー患者」は、本明細書中に記載される組み合わせ治療での処置への特
異的な抗腫瘍応答に言及するとき、患者が抗腫瘍応答を呈さなかったことを意味する。
【0078】
「ORR」または「客観的奏効率」とは、いくつかの実施形態においてCR+PRをい
い、ORR(24週)とは、24週の抗がん処置後のコホート中の各患者においてirR
ECISTを用いて測定したCRおよびPRをいう。
【0079】
「患者」または「対象」とは、治療が望まれる、または臨床試験、疫学研究に参加して
いるもしくは対照として用いられる任意の単一の対象をいい、ヒト患者および哺乳動物患
畜、例えばウシ、ウマ、イヌおよびネコなどが挙げられる。
【0080】
「PD-1アンタゴニスト」とは、がん細胞上に発現したPD-L1が免疫細胞(T細
胞、B細胞またはNKT細胞)上に発現したPD-1に結合することをブロックし、好ま
しくはがん細胞上に発現したPD-L2が免疫細胞発現性のPD-1に結合することをも
ブロックする任意の化学物質または生物学的分子を意味する。PD-1およびそのリガン
ドの別名または同義語としては、PD-1についてはPDCD1、PD1、CD279お
よびSLEB2;PD-L1についてはPDCD1L1、PDL1、B7H1、B7-4
、CD274およびB7-H;ならびにPD-L2についてはPDCD1L2、PDL2
、B7-DC、BtdcおよびCD273が挙げられる。ヒト個体が処置される本発明の
処置方法、薬剤および使用のいずれかにおいて、PD-1アンタゴニストは、ヒトPD-
L1のヒトPD-1への結合をブロックし、好ましくはヒトPD-L1およびPD-L2
の両方のヒトPD-1への結合をブロックする。ヒトPD-1のアミノ酸配列は、NCB
I Locus No.NP_005009中に見出すことができる。ヒトPD-L1お
よびPD-L2のアミノ酸配列は、それぞれNCBI Locus No.NP_054
862およびNP_079515中に見出すことができる。
【0081】
本明細書中で用いられるとき、「ペンブロリズマブバリアント」は、軽鎖CDRの外側
の位置に3個、2個または1個の保存的アミノ酸置換を持つことおよび重鎖CDRの外側
に6個、5個、4個、3個、2個または1個の保存的アミノ酸置換を持つことを除いてペ
ンブロリズマブ中のものと実質的に同一である重鎖配列および軽鎖配列を含むモノクロー
ナル抗体を意味し、例として、その変異位置はFR領域または定常領域の中にあり、重鎖
C末端のリジン残基欠失があってもよい。言い換えれば、ペンブロリズマブおよびペンブ
ロリズマブバリアントは同一のCDR配列を含むが、それらの完全長軽鎖配列および重鎖
配列においてそれぞれ3個または6個を超えない他の位置に保存的アミノ酸置換を持つた
め、互いに異なる。ペンブロリズマブバリアントは、次の性質:PD-1への結合アフィ
ニティおよびPD-L1およびPD-L2の各々のPD-1への結合をブロックする能力
に関してペンブロリズマブと実質的に同じである。
【0082】
本明細書中で用いられる「RECIST 1.1効果判定基準」は、応答が測定される
文脈に基づいて適切であるように、標的病変または非標的病変についてEisenhau
er et al.,E.A.et al.,Eur.J Cancer 45:228
-247(2009)中に規定される定義を意味する。
【0083】
「レスポンダー患者」は、本明細書中に記載される組み合わせ治療での処置への特異的
な抗腫瘍応答に言及するとき、患者が抗腫瘍応答を呈したことを意味する。
【0084】
「持続性奏功」は、本明細書中に記載される治療薬または組み合わせ治療での処置の休
止後の持続性治療効果を意味する。いくつかの実施形態において、持続性奏功は、その持
続期間が処置の持続期間と少なくとも同じ、または処置の持続期間より少なくとも1.5
、2.0、2.5もしくは3倍長い。
【0085】
「組織切片」とは、組織試料の単一の部分または片、例として正常組織または腫瘍の試
料から切り出した組織の薄切片をいう。
【0086】
本明細書中で用いられるがんを「処置する」または「処置すること」は、本発明の治療
薬を、がんなどを持つまたはがんと診断された対象に、少なくとも1つの肯定的な治療効
果、例えばがん細胞数の低減、腫瘍サイズの低減、末梢器官へのがん細胞の浸潤速度の低
減、または腫瘍転移もしくは腫瘍増殖速度の低減などを達成するために投与することを意
味する。がんにおける肯定的な治療効果は、様々な方法で測定することができる(W.A
.Weber,J.Null.Med. 50:1S-10S(2009)を参照された
い)。例えば、腫瘍増殖抑制に関して、NCI標準によると、T/C≦42%が抗腫瘍活
性の最小レベルである。T/C<10%は、高い抗腫瘍活性レベルと考えられ、ここでT
/C(%)=処置された腫瘍体積の中央値/対照の腫瘍体積の中央値×100である。い
くつかの実施形態において、本明細書中に記載される組み合わせ治療への応答はRECI
ST 1.1基準またはirRC(二次元または一次元)を用いて評価され、本発明の組
み合わせによって達成される処置は、PR、CR、OR、PFS、DFSおよびOSのい
ずれかである。PFSは、「腫瘍無増悪期間(Time to Tumor Progr
ession)」とも呼ばれ、処置中および処置後のがんが増殖しない期間を指し示し、
患者がCRまたはPRを経験した時間、同様に患者がSDを経験した時間を包含する。D
FSとは、処置中および処置後の患者が疾患のない状態にある期間をいう。OSとは、ナ
イーブまたは未処置の個体または患者と比較した平均余命の延長をいう。いくつかの実施
形態において、本発明の組み合わせへの応答は、RECIST 1.1効果判定基準を用
いて評価されるPR、CR、PFS、DFS、ORまたはOSのいずれかである。がん患
者を処置するために有効である本発明の組み合わせについての処置レジメンは、例えば患
者の病態、年齢および体重、ならびに対象において抗がん応答を引き起こす治療の能力な
どの要因に応じて変わり得る。本発明の態様のうちのいずれかについての実施形態はあら
ゆる対象における肯定的な治療効果の達成に有効でないこともあるが、当該技術分野で知
られている任意の統計的検定、例えばStudentのt検定、chi2検定、Mann
およびWhitneyによるU検定、Kruskal-Wallis検定(H検定)、J
onckheere-Terpstra検定ならびにWilcoxon検定などにより決
定される統計的に有意な数の対象においては、そのようになる。
【0087】
用語「処置レジメン」、「投薬プロトコール」および「投薬レジメン」は、本発明の組
み合わせにおける各治療剤の用量および投与のタイミングを指すために交換可能に用いら
れる。
【0088】
がんと診断されたまたはがんを持つ疑いのある対象に適用される「腫瘍」とは、任意の
サイズの悪性または潜在的に悪性の新生物または組織塊をいい、原発性腫瘍および続発性
新生物を包含する。固形腫瘍は、通常は嚢胞または液体の領域を含有しない組織の異常増
殖物または塊である。異なるタイプの固形腫瘍が、それらを形成する細胞のタイプによっ
て命名されている。固形腫瘍の例は、肉腫、癌腫およびリンパ腫である。白血病(血液の
がん)は、一般に固形腫瘍を形成しない(National Cancer Insti
tute,Dictionary of Cancer Terms).
「腫瘍量(tumor burden)」は、「腫瘍量(tumor load)」と
も呼ばれ、全身に分布した腫瘍物質の総量をいう。腫瘍量とは、リンパ節および骨髄を包
含する全身のがん細胞の総数または腫瘍(複数可)の全体サイズをいう。腫瘍量は、当該
技術分野で知られている種々の方法により、例として、対象から摘出した際に腫瘍(複数
可)の寸法を例としてキャリパーを用いて測定することにより、または体内にある間にイ
メージング技術、例として超音波、骨スキャン、コンピュータ断層撮影(CT)または磁
気共鳴画像(MRI)スキャンを用いることなどによって、決定することができる。
【0089】
用語「腫瘍サイズ」とは、腫瘍の長さおよび幅として測定することができる腫瘍の全体
サイズをいう。腫瘍サイズは、当該技術分野で知られている種々の方法により、例として
、対象から摘出した際に腫瘍(複数可)の寸法を例としてキャリパーを用いて測定するこ
とにより、または体内にある間にイメージング技術、例として骨スキャン、超音波、CT
またはMRIスキャンを用いることなどによって、決定され得る。
【0090】
「一次元irRC」とは、Nishino M,Giobbie-Hurder A,
Gargano M,Suda M,Ramaiya NH,Hodi FS. Dev
eloping a Common Language for Tumor Resp
onse to Immunotherapy:Immune-related Res
ponse Criteria using Unidimensional meas
urements. Clin Cancer Res. 2013;19(14):3
936-3943中に記載されている一連の基準をいう。これらの基準は、各病変の最長
直径(cm)を利用する。
【0091】
本明細書中で用いられる「可変領域」または「V領域」は、異なる抗体間で配列が可変
であるIgG鎖のセグメントを意味する。典型的に、これは、軽鎖中のKabat残基1
09および重鎖中の113に及ぶ。
【0092】
PD-1アンタゴニストおよび抗LAG3抗体
本発明の処置方法、薬剤および使用において有用なPD-1アンタゴニストとしては、
PD-1またはPD-L1に特異的に結合する、好ましくはヒトPD-1またはヒトPD
-L1に特異的に結合するモノクローナル抗体(mAb)またはその抗原結合性断片が挙
げられる。mAbはヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体であり得て、ヒト定常領域を
包含し得る。いくつかの実施形態において、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、Ig
G3およびIgG4定常領域よりなる群から選択され、好ましい実施形態において、ヒト
定常領域は、IgG1またはIgG4定常領域である。いくつかの実施形態において、抗
原結合性断片は、Fab、Fab’-SH、F(ab’)2、scFvおよびFv断片よ
りなる群から選択される。抗PD-1または抗PD-L1抗体は、CHO細胞において、
慣用的な細胞培養および回収/精製技術を用いて産生され得る。
【0093】
ヒトPD-1に結合し、本発明の処置方法、薬剤および使用において有用なmAbの例
は、US7488802、US7521051、US8008449、US835450
9、US8168757、WO2004/004771、WO2004/072286、
WO2004/056875およびUS2011/0271358中に記載されている。
本発明の処置方法、薬剤および使用においてPD-1アンタゴニストとして有用な特異的
な抗ヒトPD-1 mAbとしては、以下が挙げられる:
ペンブロリズマブ(MK-3475としても知られる)、WHO Drug Infor
mation,Vol.27,No.2,pages 161-162(2013)中に
記載されている構造を有し、表3中に示される重鎖および軽鎖アミノ酸配列を含むヒト化
IgG4 mAb;ニボルマブ(BMS-936558)、WHO Drug Info
rmation,Vol.27,No.1,pages 68-69(2013)中に記
載されている構造を有し、表3中に示される重鎖および軽鎖アミノ酸配列を含むヒトIg
G4 mAb;ヒト化抗体である、WO2008/156712中に記載されているh4
09A11、h409A16およびh409A17、ならびにMedImmuneにより
開発中のAMP-514。
【0094】
ヒトPD-L1に結合し、本発明の処置方法、薬剤および使用において有用なmAbの
例は、WO2013/019906、W02010/077634 A1およびUS83
83796中に記載されている。本発明の処置方法、薬剤および使用においてPD-1ア
ンタゴニストとして有用な特異的な抗ヒトPD-L1 mAbとしては、MPDL328
0A、BMS-936559、MEDI4736、MSB0010718C、ならびにW
O2013/019906のそれぞれ配列番号24および配列番号21の重鎖可変領域お
よび軽鎖可変領域を含む抗体が挙げられる。
【0095】
本発明の処置方法、薬剤および使用において有用な他のPD-1アンタゴニストとして
は、PD-1またはPD-L1に特異的に結合する、好ましくはヒトPD-1またはヒト
PD-L1に特異的に結合するイムノアドヘシン、例として、免疫グロブリン分子の定常
領域、例えばFc領域などと融合したPD-L1またはPD-L2の細胞外またはPD-
1結合部分を含有する融合タンパク質が挙げられる。PD-1に特異的に結合する免疫接
着分子の例は、WO2010/027827およびWO2011/066342中に記載
されている。本発明の処置方法、薬剤および使用においてPD-1アンタゴニストとして
有用な特異的融合タンパク質としては、PD-L2-FC融合タンパク質でありヒトPD
-1に結合するAMP-224(B7-DCIgとしても知られる)が挙げられる。
【0096】
本発明の処置方法、薬剤および使用のいくつかの好ましい実施形態において、PD-1
アンタゴニストは、(a)軽鎖CDR 配列番号1、2および3、ならびに(b)重鎖C
DR 配列番号6、7および8を含むモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片であ
る。
【0097】
本発明の処置方法、薬剤および使用の他の好ましい実施形態において、PD-1アンタ
ゴニストは、ヒトPD-1に特異的に結合し、かつ(a)配列番号9またはそのバリアン
トを含む重鎖可変領域、および(b)配列番号4またはそのバリアントを含む軽鎖可変領
域を含むモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片である。重鎖可変領域配列のバリ
アントは、フレームワーク領域中(すなわちCDRの外側)に最大で17個の保存的アミ
ノ酸置換を持つことを除いて参照配列と同一であり、好ましくはフレームワーク領域中に
10個未満、9個未満、8個未満、7個未満、6個未満または5個未満の保存的アミノ酸
置換を持つ。軽鎖可変領域配列のバリアントは、フレームワーク領域中(すなわちCDR
の外側)に最大で5個の保存的アミノ酸置換を持つことを除いて参照配列と同一であり、
好ましくはフレームワーク領域中に4個未満、3個未満または2個未満の保存的アミノ酸
置換を持つ。
【0098】
本発明の処置方法、薬剤および使用の別の好ましい実施形態において、PD-1アンタ
ゴニストは、ヒトPD-1に特異的に結合し、かつ(a)配列番号10を含む重鎖および
(b)配列番号5を含む軽鎖を含むモノクローナル抗体である。
【0099】
本発明の処置方法、薬剤および使用のなお別の好ましい実施形態において、PD-1ア
ンタゴニストは、ヒトPD-1に特異的に結合し、かつ(a)配列番号12を含む重鎖お
よび(b)配列番号11を含む軽鎖を含むモノクローナル抗体である。
【0100】
上の処置方法、薬剤および使用の全てにおいて、PD-1アンタゴニストは、PD-L
1のPD-1への結合を阻害し、好ましくはPD-L2のPD-1への結合をも阻害する
。上の処置方法、薬剤および使用のいくつかの実施形態において、PD-1アンタゴニス
トは、PD-1またはPD-L1に特異的に結合し、PD-L1のPD-1への結合をブ
ロックするモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片である。1つの実施形態におい
て、PD-1アンタゴニストは、重鎖および軽鎖を含む抗PD-1抗体であって、ここで
重鎖および軽鎖はそれぞれ配列番号10および配列番号5中のアミノ酸配列を含む。
【0101】
下の表3は、本発明の処置方法、薬剤および使用における使用のための例示的な抗PD
-1 mAbのアミノ酸配列のリストを提供する。
【0102】
【0103】
特許請求の範囲に記載の発明において用いられる抗LAG3抗体は、ヒト抗体、ヒト化
抗体またはキメラ抗体であり得て、ヒト定常領域を包含し得る。いくつかの実施形態にお
いて、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4定常領域よりなる
群から選択され、好ましい実施形態において、ヒト定常領域は、IgG1またはIgG4
定常領域である。
【0104】
1つの実施形態において、抗LAG3抗体はAb6である。
【0105】
Ab6:以下のアミノ酸配列を含む軽鎖免疫グロブリン:
DIVMTQTPLSLSVTPGQPASISCKASQSLDYEGDSDMNWY
LQKPGQPPQLLIYGASNLESGVPDRFSGSGSGTDFTLKIS
RVEAEDVGVYYCQQSTEDPRTFGGGTKVEIKRTVAAPSVF
IFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQS
GNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEV
THQGLSSPVTKSFNRGEC
(配列番号22);および
以下のアミノ酸配列を含む重鎖免疫グロブリン:
QMQLVQSGPEVKKPGTSVKVSCKASGYTFTDYNVDWVRQA
RGQRLEWIGDINPNDGGTIYAQKFQERVTITVDKSTSTAY
MELSSLRSEDTAVYYCARNYRWFGAMDHWGQGTTVTVSSA
STKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSW
NSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTY
TCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVF
LFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDG
VEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKC
KVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKN
QVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSD
GSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSL
SLSLGK
(配列番号23);または
以下のアミノ酸配列を含む軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン:
DIVMTQTPLSLSVTPGQPASISCKASQSLDYEGDSDMNWY
LQKPGQPPQLLIYGASNLESGVPDRFSGSGSGTDFTLKIS
RVEAEDVGVYYCQQSTEDPRTFGGGTKVEIK
(配列番号24(下線はCDR));および
以下のアミノ酸配列を含む重鎖免疫グロブリン可変ドメイン:
QMQLVQSGPEVKKPGTSVKVSCKASGYTFTDYNVDWVRQA
RGQRLEWIGDINPNDGGTIYAQKFQERVTITVDKSTSTAY
MELSSLRSEDTAVYYCARNYRWFGAMDHWGQGTTVTVSS
(配列番号25(下線はCDR));または
以下のCDRを含む:
CDR-L1:KASQSLDYEGDSDMN(配列番号26);
CDR-L2:GASNLES(配列番号27);
CDR-L3:QQSTEDPRT(配列番号28);
CDR-H1:DYNVD(配列番号29);
CDR-H2:DINPNDGGTIYAQKFQE(配列番号30);および
CDR-H3:NYRWFGAMDH(配列番号31)
本発明の処置方法、薬剤および使用のいくつかの好ましい実施形態において、抗LAG
3抗体は、(a)軽鎖CDR 配列番号26、27および28、ならびに(b)重鎖CD
R 配列番号29、30および31を含む。
【0106】
本発明の処置方法、薬剤および使用の他の好ましい実施形態において、抗LAG3抗体
は、(a)配列番号25を含む重鎖可変領域またはそのバリアント、および(b)配列番
号24を含む軽鎖可変領域またはそのバリアントを含む。重鎖可変領域配列のバリアント
は、フレームワーク領域中(すなわちCDRの外側)に最大で17個の保存的アミノ酸置
換を持つことを除いて参照配列と同一であり、好ましくはフレームワーク領域中に10個
未満、9個未満、8個未満、7個未満、6個未満または5個未満の保存的アミノ酸置換を
持つ。軽鎖可変領域配列のバリアントは、フレームワーク領域中(すなわちCDRの外側
)に最大で5個の保存的アミノ酸置換を持つことを除いて参照配列と同一であり、好まし
くはフレームワーク領域中に4個未満、3個未満または2個未満の保存的アミノ酸置換を
持つ。
【0107】
本発明の処置方法、薬剤および使用の別の好ましい実施形態において、抗LAG3抗体
は、(a)配列番号23を含む重鎖、および(b)配列番号22を含む軽鎖を含む。本発
明の処置方法、薬剤および使用の別の好ましい実施形態において、抗LAG3抗体は、(
a)配列番号25を含む重鎖可変領域、および(b)配列番号24を含む軽鎖可変領域を
含む。
【0108】
1つの実施形態において、抗PD-1もしくは抗LAG3抗体または抗原結合性断片は
、重鎖定常領域、例としてヒト定常領域、例えばγ1、γ2、γ3もしくはγ4ヒト重鎖
定常領域またはそれらのバリアントなどを含む。別の実施形態において、抗PD-1もし
くは抗LAG3抗体または抗原結合性断片は、軽鎖定常領域、例としてヒト軽鎖定常領域
、例えばラムダもしくはカッパヒト軽鎖領域またはそれらのバリアントなどを含む。限定
されない例として、ヒト重鎖定常領域はγ4であることができ、ヒト軽鎖定常領域はカッ
パであることができる。代替的実施形態において、抗体のFc領域は、Ser228Pr
o変異を有するγ4である(Schuurman,J et.al.,Mol.Immu
nol. 38:1-8,2001)。
【0109】
いくつかの実施形態において、異なる定常ドメインが、本明細書中に提供されるCDR
に由来するヒト化VL領域およびVH領域に付加され得る。例えば、本発明の抗体(また
は断片)の特定の用途がエフェクター機能の変化を求めるものである場合、ヒトIgG1
以外の重鎖定常ドメインが用いられ得て、またはハイブリッドIgG1/IgG4が利用
され得る。例えばヒトIgG4定常ドメインが用いられ得る。本発明は、IgG4定常ド
メインを含む抗PD-1抗体または抗LAG3抗体およびそれらの抗原結合性断片の使用
を包含する。1つの実施形態において、IgG4定常ドメインは、EUシステムで228
位に、KABATシステムで241位に相当する位置においてネイティブのヒトIgG4
定常ドメイン(Swiss-Protアクセッション番号P01861.1)と異なるも
のであることができ、ここで、適切な鎖内ジスルフィド結合形成を妨げる可能性のあるC
ys106とCys109(EUシステムでCys226位およびCys229位に、K
ABATシステムでCys239位およびCys242位に相当する)の間の潜在的な鎖
間ジスルフィド結合を防ぐため、ネイティブのSer108はProで置き換えられる。
Angal et al.(1993) Mol.Imunol. 30:105を参照
されたい。
【0110】
方法、使用および薬剤
1つの態様において、本発明は、抗LAG3抗体7~1200mgを静脈内注入を介し
て投与することを含む、患者においてがんを処置する方法であって、抗LAG3抗体が(
a)配列番号26、27および28の軽鎖CDRならびに(b)配列番号29、30およ
び31の重鎖CDRを含む、前記方法を提供する。別の態様において、本発明は、抗LA
G3抗体7~1200mgを静脈内注入を介して抗PD-1または抗PD-L1抗体と共
投与することを含む、患者においてがんを処置する方法であって、抗LAG3抗体が(a
)配列番号26、27および28の軽鎖CDRならびに(b)配列番号29、30および
31の重鎖CDRを含む、前記方法を提供する。1つの実施形態において、抗PD-1抗
体は、PD-1のPD-L1およびPD-L2への結合をブロックする。1つの実施形態
において、7~800mgの抗LAG3抗体が投与される。別の実施形態において、10
0~800mgの抗LAG3抗体が投与される。別の実施形態において、200mgの抗
LAG3抗体が投与される。別の実施形態において、700mgの抗LAG3抗体が投与
される。別の実施形態において、800mgの抗LAG3抗体が投与される。別の実施形
態において、200~800mgの抗LAG3抗体が投与される。別の実施形態において
、200~700mgの抗LAG3抗体が投与される。別の実施形態において、200~
700mgの抗LAG3抗体が投与される。さらなる実施形態において、200~900
mgの抗LAG3抗体が投与される。さらなる実施形態において、200~1000mg
の抗LAG3抗体が投与される。
【0111】
さらなる態様において、本発明は、静脈内注入を介して、個体に、200mgのペンブ
ロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび200mgの抗LAG3抗体Ab6
またはAb6バリアントを含む組成物を投与することを含む、患者においてがんを処置す
るための方法を提供する。別の態様において、本発明は、静脈内注入を介して、個体に、
200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび800mgの抗
LAG3抗体Ab6またはAb6バリアントを含む組成物を投与することを含む、患者に
おいてがんを処置するための方法を提供する。
【0112】
1つの実施形態において、組成物は、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリ
ズマブバリアントおよび200~800mgの抗LAG3抗体Ab6またはAb6バリア
ントを含む。1つの実施形態において、組成物は、200mgのペンブロリズマブまたは
ペンブロリズマブバリアントおよび200~700mgの抗LAG3抗体Ab6またはA
b6バリアントを含む。1つの実施形態において、組成物は、200mgのペンブロリズ
マブまたはペンブロリズマブバリアントおよび100~800mgの抗LAG3抗体Ab
6またはAb6バリアントを含む。1つの実施形態において、組成物は、200mgのペ
ンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび200~900mgの抗LAG
3抗体Ab6またはAb6バリアントを含む。
【0113】
1つの実施形態において、組成物は、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリ
ズマブバリアントおよび200~600mgの抗LAG3抗体Ab6またはAb6バリア
ントを含む。1つの実施形態において、組成物は、200mgのペンブロリズマブまたは
ペンブロリズマブバリアントおよび200~1000mgの抗LAG3抗体Ab6または
Ab6バリアントを含む。
【0114】
別の実施形態において、本発明は、がんを処置するための、抗PD-1または抗PD-
L1抗体と組み合わせて用いるための抗LAG3抗体を含む薬剤であって、抗LAG3抗
体が7~1200mgで静脈内注入を介して投与される、前記薬剤を提供する。別の実施
形態において、本発明は、がんを処置するための、抗LAG3抗体および抗PD-1抗体
を含む薬剤を提供する。1つの実施形態において、薬剤は、200mgのペンブロリズマ
ブまたはペンブロリズマブバリアントおよび200mgの抗LAG3抗体Ab6またはA
b6バリアントを含む。別の実施形態において、薬剤は、200mgのペンブロリズマブ
またはペンブロリズマブバリアントおよび800mgのAb6またはAb6バリアントを
含む。別の実施形態において、薬剤は、400mgのペンブロリズマブまたはペンブロリ
ズマブバリアントおよび800mgのAb6またはAb6バリアントを含む。
【0115】
なおさらなる実施形態において、本発明は、個体においてがんを処置するための薬剤の
製造における抗LAG3抗体および抗PD-1または抗PD-L1抗体の使用を提供する
。1つの実施形態において、薬剤は、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズ
マブバリアントおよび200mgの抗LAG3抗体Ab6またはAb6バリアントを含む
。別の態様において、薬剤は、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバ
リアントおよび800mgのAb6またはAb6バリアントを含む。別の実施形態におい
て、本発明は、個体においてがんを処置するための薬剤の製造における抗LAG3抗体の
使用であって、抗LAG3抗体7~1200mgが静脈内注入を介して、静脈内注入を介
した抗PD-1抗体200mgと共投与される、前記使用を提供する。なお別の実施形態
において、本発明は、個体においてがんを処置するための薬剤の製造における抗LAG3
抗体の使用であって、抗LAG3抗体200mgが静脈内注入を介して、静脈内注入を介
した抗PD-1抗体200mgと共投与される、前記使用を提供する。なお別の実施形態
において、本発明は、個体においてがんを処置するための薬剤の製造における抗LAG3
抗体の使用であって、抗LAG3抗体800mgが静脈内注入を介して、静脈内注入を介
した抗PD-1抗体200mgと共投与される、前記使用を提供する。いっそうさらなる
実施形態において、本発明は、個体においてがんを処置するための薬剤の製造における抗
LAG3抗体の使用であって、抗LAG3抗体7~1200mgが静脈内注入を介して、
静脈内注入を介した抗PD-1抗体400mgと共投与される、前記使用を提供する。い
っそうさらなる実施形態において、本発明は、個体においてがんを処置するための薬剤の
製造における抗LAG3抗体の使用であって、抗LAG3抗体800mgが静脈内注入を
介して、静脈内注入を介した抗PD-1抗体400mgと共投与される、前記使用を提供
する。いっそうさらなる実施形態において、本発明は、個体においてがんを処置するため
の薬剤の製造における抗LAG3抗体の使用であって、抗LAG3抗体200mgが静脈
内注入を介して、静脈内注入を介した抗PD-1抗体400mgと共投与される、前記使
用を提供する。
【0116】
前述の方法、薬剤および使用において、1つの実施形態において、抗PD-1抗体およ
び抗LAG3抗体は、合剤化される。1つの実施形態において、200mgのペンブロリ
ズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび200mgのAb6またはAb6バリア
ントを含有する合剤化製品が、静脈内注入のために用いられる。1つの実施形態において
、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび300mgの
Ab6またはAb6バリアントを含有する合剤化製品が、静脈内注入のために用いられる
。1つの実施形態において、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリ
アントおよび400mgのAb6またはAb6バリアントを含有する合剤化製品が、静脈
内注入のために用いられる。別の実施形態において、200mgのペンブロリズマブまた
はペンブロリズマブバリアントおよび500mgのAb6またはAb6バリアントを含有
する合剤化製品が、静脈内注入のために用いられる。別の実施形態において、200mg
のペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび600mgのAb6または
Ab6バリアントを含有する合剤化製品が、静脈内注入のために用いられる。別の実施形
態において、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび7
00mgのAb6またはAb6バリアントを含有する合剤化製品が、静脈内注入のために
用いられる。さらなる実施形態において、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロ
リズマブバリアントおよび800mgのAb6またはAb6バリアントを含有する合剤化
製品が、静脈内注入のために用いられる。さらなる実施形態において、200mgのペン
ブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび900mgのAb6またはAb6
バリアントを含有する合剤化製品が、静脈内注入のために用いられる。いっそうさらなる
実施形態において、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントお
よび1000mgのAb6またはAb6バリアントを含有する合剤化製品が、静脈内注入
のために用いられる。いっそうさらなる実施形態において、200mgのペンブロリズマ
ブまたはペンブロリズマブバリアントおよび1100mgのAb6またはAb6バリアン
トを含有する合剤化製品が、静脈内注入のために用いられる。いっそうさらなる実施形態
において、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび12
00mgのAb6またはAb6バリアントを含有する合剤化製品が、静脈内注入のために
用いられる。
【0117】
本発明はまた、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアント、お
よび200mgのAb6またはAb6バリアント、および薬学的に許容される添加剤を含
む医薬組成物を提供する。1つの実施形態において、医薬組成物は、200mgのペンブ
ロリズマブまたはペンブロリズマブバリアント、および300mgのAb6またはAb6
バリアント、および薬学的に許容される添加剤を含む。1つの実施形態において、医薬組
成物は、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアント、および40
0mgのAb6またはAb6バリアント、および薬学的に許容される添加剤を含む。別の
実施形態において、医薬組成物は、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマ
ブバリアント、および500mgのAb6またはAb6バリアント、および薬学的に許容
される添加剤を含む。さらなる実施形態において、医薬組成物は、200mgのペンブロ
リズマブまたはペンブロリズマブバリアント、および600mgのAb6またはAb6バ
リアント、および薬学的に許容される添加剤を含む。さらなる実施形態において、医薬組
成物は、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアント、および70
0mgのAb6またはAb6バリアント、および薬学的に許容される添加剤を含む。さら
なる実施形態において、医薬組成物は、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリ
ズマブバリアント、および800mgのAb6またはAb6バリアント、および薬学的に
許容される添加剤を含む。さらなる実施形態において、医薬組成物は、200mgのペン
ブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアント、および900mgのAb6またはAb
6バリアント、および薬学的に許容される添加剤を含む。いっそうさらなる実施形態にお
いて、医薬組成物は、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアント
、および1000mgのAb6またはAb6バリアント、および薬学的に許容される添加
剤を含む。いっそうさらなる実施形態において、医薬組成物は、200mgのペンブロリ
ズマブまたはペンブロリズマブバリアント、および1100mgのAb6またはAb6バ
リアント、および薬学的に許容される添加剤を含む。いっそうさらなる実施形態において
、医薬組成物は、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアント、お
よび1200mgのAb6またはAb6バリアント、および薬学的に許容される添加剤を
含む。
【0118】
前述の方法、薬剤および使用において、別の実施形態において、抗PD-1または抗P
D-L1抗体および抗LAG3抗体は、共投与される。1つの実施形態において、200
mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび200mgのAb6ま
たはAb6バリアントが、3週ごとの1日目に静脈内注入で共投与される。1つの実施形
態において、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび3
00mgのAb6またはAb6バリアントが、3週ごとの1日目に静脈内注入で共投与さ
れる。1つの実施形態において、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブ
バリアントおよび400mgのAb6またはAb6バリアントが、3週ごとの1日目に静
脈内注入で共投与される。別の実施形態において、200mgのペンブロリズマブまたは
ペンブロリズマブバリアントおよび500mgのAb6またはAb6バリアントが、3週
ごとの1日目に静脈内注入で共投与される。別の実施形態において、200mgのペンブ
ロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび600mgのAb6またはAb6バ
リアントが、3週ごとの1日目に静脈内注入で共投与される。さらなる実施形態において
、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび700mgの
Ab6またはAb6バリアントが、3週ごとの1日目に静脈内注入で共投与される。さら
なる実施形態において、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアン
トおよび800mgのAb6またはAb6バリアントが、3週ごとの1日目に静脈内注入
で共投与される。さらなる実施形態において、200mgのペンブロリズマブまたはペン
ブロリズマブバリアントおよび900mgのAb6またはAb6バリアントが、3週ごと
の1日目に静脈内注入で共投与される。さらなる実施形態において、200mgのペンブ
ロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび1000mgのAb6またはAb6
バリアントが、3週ごとの1日目に静脈内注入で共投与される。いっそうさらなる実施形
態において、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび1
100mgのAb6またはAb6バリアントが、3週ごとの1日目に静脈内注入で共投与
される。いっそうさらなる実施形態において、200mgのペンブロリズマブまたはペン
ブロリズマブバリアントおよび1200mgのAb6またはAb6バリアントが、3週ご
との1日目に静脈内注入で共投与される。
【0119】
前述の方法、薬剤および使用において、1つの実施形態において、400mgのペンブ
ロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントが6週ごとの1日目に、200mgのAb
6またはAb6バリアントが3週ごとの1日目に、静脈内注入で投与される。1つの実施
形態において、400mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントが6週
ごとの1日目に、300mgのAb6またはAb6バリアントが3週ごとの1日目に、静
脈内注入で投与される。1つの実施形態において、400mgのペンブロリズマブまたは
ペンブロリズマブバリアントが6週ごとの1日目に、400mgのAb6またはAb6バ
リアントが3週ごとの1日目に、静脈内注入で投与される。別の実施形態において、40
0mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントが6週ごとの1日目に、5
00mgのAb6またはAb6バリアントが3週ごとの1日目に、静脈内注入で投与され
る。別の実施形態において、400mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリ
アントが6週ごとの1日目に、600mgのAb6またはAb6バリアントが3週ごとの
1日目に、静脈内注入で投与される。別の実施形態において、400mgのペンブロリズ
マブまたはペンブロリズマブバリアントが6週ごとの1日目に、700mgのAb6また
はAb6バリアントが3週ごとの1日目に、静脈内注入で投与される。さらなる実施形態
において、400mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントが6週ごと
の1日目に、800mgのAb6またはAb6バリアントが3週ごとの1日目に、静脈内
注入で投与される。さらなる実施形態において、400mgのペンブロリズマブまたはペ
ンブロリズマブバリアントが6週ごとの1日目に、900mgのAb6またはAb6バリ
アントが3週ごとの1日目に、静脈内注入で投与される。さらなる実施形態において、4
00mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントが6週ごとの1日目に、
1000mgのAb6またはAb6バリアントが3週ごとの1日目に、静脈内注入で投与
される。さらなる実施形態において、400mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズ
マブバリアントが6週ごとの1日目に、1200mgのAb6またはAb6バリアントが
3週ごとの1日目に、静脈内注入で投与される。
【0120】
前述の方法、薬剤および使用において、1つの実施形態において、がんは、結腸直腸が
んである。処置は、結腸直腸がんの処置におけるmFOLFOX7(ロイコボリン(ホリ
ナートカルシウム)、フルオロウラシル、オキサリプラチン)またはFOLFIRI(ロ
イコボリン(ホリナートカルシウム)、フルオロウラシル、イリノテカン塩酸塩)の投与
をさらに含み得る。1つの実施形態において、結腸直腸がんは、非マイクロサテライト高
不安定性(非MSI-H)またはミスマッチ修復良好(pMMR)の結腸直腸がんである
。
【0121】
1つの態様において、mFOLFOX7は静脈内に投与され:オキサリプラチンは65
または85mg/m2で、ロイコボリン(ホリナートカルシウム)は400mg/m2で
、フルオロウラシル(5 FU)は2000または2400mg/m2で、2週ごとに投
与される(Q2W)。1つの実施形態において、ロイコボリンは、200mg/m2のレ
ボホリナートカルシウム投与で置き換えることができる。1つの実施形態において、ペン
ブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントは200mgで各21日サイクルの1日
目に静脈内投与され、Ab6またはAb6バリアントは200mgで各21日サイクルの
1日目に静脈内投与され、mFOLFOX7は静脈内投与され:オキサリプラチンは65
または85mg/m2で、ロイコボリン(ホリナートカルシウム)は400mg/m2で
、フルオロウラシル(5 FU)は2000または2400mg/m2で、2週ごとの1
日目または8日目に投与される。1つの実施形態において、ペンブロリズマブまたはペン
ブロリズマブバリアントは200mgで各21日サイクルの1日目に静脈内投与され、A
b6またはAb6バリアントは700mgで各21日サイクルの1日目に静脈内投与され
、mFOLFOX7は静脈内投与され:オキサリプラチンは65または85mg/m2で
、ロイコボリン(ホリナートカルシウム)は400mg/m2で、フルオロウラシル(5
FU)は2000または2400mg/m2で、2週ごとの1日目または8日目に投与
される。別の実施形態において、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブ
バリアントおよび200mgのAb6またはAb6バリアントを含む医薬組成物が各21
日サイクルの1日目に静脈内投与され、mFOLFOX7は静脈内投与され:オキサリプ
ラチンは65または85mg/m2で、ロイコボリン(ホリナートカルシウム)は400
mg/m2で、フルオロウラシル(5 FU)は2000または2400mg/m2で、
2週ごとの1日目または8日目に投与される。別の実施形態において、200mgのペン
ブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび800mgのAb6またはAb6
バリアントを含む医薬組成物が各21日サイクルの1日目に静脈内投与され、mFOLF
OX7は静脈内投与され:オキサリプラチンは65または85mg/m2で、ロイコボリ
ン(ホリナートカルシウム)は400mg/m2で、フルオロウラシル(5 FU)は2
000または2400mg/m2で、2週ごとの1日目または8日目に投与される。
【0122】
1つの実施形態において、ペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントは40
0mgで6週ごとの1日目に静脈内投与され、Ab6またはAb6バリアントは200m
gで各21日サイクルの1日目に静脈内投与され、mFOLFOX7は静脈内投与され:
オキサリプラチンは65または85mg/m2で、ロイコボリン(ホリナートカルシウム
)は400mg/m2で、フルオロウラシル(5 FU)は2000または2400mg
/m2で、2週ごとの1日目または8日目に投与される。1つの実施形態において、ペン
ブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントは400mgで6週ごとの1日目に静脈
内投与され、Ab6またはAb6バリアントは700mgで各21日サイクルの1日目に
静脈内投与され、mFOLFOX7は静脈内投与され:オキサリプラチンは65または8
5mg/m2で、ロイコボリン(ホリナートカルシウム)は400mg/m2で、フルオ
ロウラシル(5 FU)は2000または2400mg/m2で、2週ごとの1日目また
は8日目に投与される。
【0123】
別の態様において、FOLFIRIは静脈内投与され:イリノテカンは150または1
80mg/m2で、ロイコボリン(ホリナートカルシウム)は400mg/m2で、フル
オロウラシル(5 FU)は2000または2400mg/m2で、2週ごとに投与され
る(Q2W)。1つの実施形態において、ペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリ
アントは200mgで各21日サイクルの1日目に静脈内投与され、Ab6またはAb6
バリアントは200mgで各21日サイクルの1日目に静脈内投与され、FOLFIRI
は静脈内投与され:イリノテカンは150または180mg/m2で、ロイコボリン(ホ
リナートカルシウム)は400mg/m2で、フルオロウラシル(5 FU)は2000
または2400mg/m2で、2週ごとの1日目または8日目に投与される。1つの実施
形態において、ペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントは200mgで各2
1日サイクルの1日目に静脈内投与され、Ab6またはAb6バリアントは700mgで
各21日サイクルの1日目に静脈内投与され、FOLFIRIは静脈内投与され:イリノ
テカンは150または180mg/m2で、ロイコボリン(ホリナートカルシウム)は4
00mg/m2で、フルオロウラシル(5 FU)は2000または2400mg/m2
で、2週ごとの1日目または8日目に投与される。別の実施形態において、ペンブロリズ
マブまたはペンブロリズマブバリアントは200mgで各21日サイクルの1日目に静脈
内投与され、Ab6またはAb6バリアントは800mgで各21日サイクルの1日目に
静脈内投与され、FOLFIRIは静脈内投与され:イリノテカンは150または180
mg/m2で、ロイコボリン(ホリナートカルシウム)は400mg/m2で、フルオロ
ウラシル(5 FU)は2000または2400mg/m2で、2週ごとの1日目または
8日目に投与される。別の実施形態において、200mgのペンブロリズマブまたはペン
ブロリズマブバリアントおよび200mgのAb6またはAb6バリアントを含む医薬組
成物が各21日サイクルの1日目に静脈内投与され、FOLFIRIは静脈内投与され:
イリノテカンは150または180mg/m2で、ロイコボリン(ホリナートカルシウ
ム)は400mg/m2で、フルオロウラシル(5 FU)は2000または2400m
g/m2で、2週ごとの1日目または8日目に投与される。別の実施形態において、20
0mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントおよび800mgのAb6
またはAb6バリアントを含む医薬組成物が各21日サイクルの1日目に静脈内投与され
、FOLFIRIは静脈内投与され:イリノテカンは150または180mg/m2で、
ロイコボリン(ホリナートカルシウム)は400mg/m2で、フルオロウラシル(5
FU)は2000または2400mg/m2で、2週ごとの1日目または8日目に投与さ
れる。
【0124】
1つの実施形態において、ペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントは40
0mgで6週ごとの1日目に静脈内投与され、Ab6またはAb6バリアントは200m
gで各21日サイクルの1日目に静脈内投与され、FOLFIRIは静脈内投与され:イ
リノテカンは150または180mg/m2で、ロイコボリン(ホリナートカルシウム)
は400mg/m2で、フルオロウラシル(5 FU)は2000または2400mg/
m2で、2週ごとの1日目または8日目に投与される。1つの実施形態において、ペンブ
ロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントは400mgで6週ごとの1日目に静脈内
投与され、Ab6またはAb6バリアントは700mgで各21日サイクルの1日目に静
脈内投与され、FOLFIRIは静脈内投与され:イリノテカンは150または180m
g/m2で、ロイコボリン(ホリナートカルシウム)は400mg/m2で、フルオロウ
ラシル(5 FU)は2000または2400mg/m2で、2週ごとの1日目または8
日目に投与される。別の実施形態において、ペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバ
リアントは400mgで6週ごとの1日目に静脈内投与され、Ab6またはAb6バリア
ントは800mgで各21日サイクルの1日目に静脈内投与され、FOLFIRIは静脈
内投与され:イリノテカンは150または180mg/m2で、ロイコボリン(ホリナー
トカルシウム)は400mg/m2で、フルオロウラシル(5 FU)は2000または
2400mg/m2で、2週ごとの1日目または8日目に投与される。
【0125】
本発明の抗体、組成物および方法により処置され得るがんとしては、限定されるもので
はないが、心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、筋腫、横紋筋腫
、線維腫、脂肪腫および奇形腫;肺:気管支原性癌(扁平細胞、未分化小細胞、未分化大
細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫、中
皮腫;消化器:食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫
、平滑筋肉腫)、膵臓(腺管癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カ
ルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カルポジ肉腫
(Karposi’s sarcoma)、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線
維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫) 結腸直腸;尿生殖路:
腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上
皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胚性癌、
奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);肝臓:
肝癌(肝細胞癌)、胆管細胞癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;骨:骨原性肉
腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ
腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫瘍脊索腫、オステオクロンフローマ(os
teochronfroma)(骨軟骨性外骨症)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、コンド
ロミクソフィブローマ(chondromyxofibroma)、類骨骨腫および巨細
胞腫瘍;神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、
髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果
体腫]、多形神経膠芽腫、乏突起膠細胞腫、シュワン腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、
脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科:子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(
子宮頸癌、前腫瘍性子宮頸部異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌
、未分類癌]、卵胞顆粒膜細胞腫瘍(granulosa thecal cell t
umor)、セルトリ・ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部
(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、メラノーマ)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、
ブドウ状横紋筋肉腫(胚性横紋筋肉腫)、輸卵管(癌腫)、乳房;血液学:血液(骨髄性
白血病[急性および慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性
疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群);白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性
白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫
、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、骨髄腫およびバ
ーキットリンパ腫(Burkett’s lymphoma)を包含するリンパ系の造血
器腫瘍;急性および慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群および前骨髄球性白血病を包含
する骨髄系の造血器腫瘍;線維肉腫および横紋筋肉腫を包含する間葉起源の腫瘍;星状細
胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫およびシュワン腫を包含する中枢および末梢神経系の腫瘍
;ならびにメラノーマ、皮膚(非メラノーマ)がん、中皮腫(細胞)、精上皮腫、奇形癌
、骨肉腫、色素性乾皮症(xenoderoma pigmentosum)、角化棘細
胞腫(keratoctanthoma)、甲状腺濾胞がんおよびカポジ肉腫を包含する
他の腫瘍が挙げられる。1つの実施形態において、前述の(forgoing)がんは、
進行性、切除不能または転移性である。1つの実施形態において、患者は、抗PD-1ま
たは抗PD-L1治療に不応性である。
【0126】
1つの実施形態において、本発明の抗体、組成物および方法により処置され得るがんと
しては、限定されるものではないが、肺がん、膵臓がん、結腸がん、結腸直腸がん、骨髄
性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、甲状腺がん、
骨髄異形成症候群、膀胱癌、表皮癌、メラノーマ、乳がん、前立腺がん、頭頸部がん、卵
巣がん、脳がん、間葉起源のがん、肉腫、奇形癌腫(tetracarcinoma)、
神経芽細胞腫、腎臓癌、肝癌、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫および甲状腺未分化癌
が挙げられる。
【0127】
別の実施形態において、本発明の抗体、組成物および方法により処置され得るがんとし
ては、限定されるものではないが、頭頸部扁平上皮がん、胃がん、胃および/または胃-
食道接合部の腺癌、腎細胞がん、輸卵管がん、子宮内膜がん、ならびに結腸直腸がんが挙
げられる。1つの実施形態において、結腸直腸がん、胃がん、胃および/もしくは胃-食
道接合部(GEJ)の腺癌、または子宮内膜がんは、非マイクロサテライト高不安定性(
非MSI-H)またはミスマッチ修復良好(pMMR)である。1つの実施形態において
、がんは、胃がん、胃および/または胃-食道接合部の腺癌である。1つの実施形態にお
いて、がんは、腎細胞癌である。1つの実施形態において、頭頸部扁平上皮がんを有する
患者は、抗PD-1または抗PD-L1処置不応性である。1つの実施形態において、頭
頸部扁平上皮がんを有する患者は、先行して抗PD-1または抗PD-L1治療を受けて
いない。1つの実施形態において、結腸直腸がんは、切除不能または転移性(ステージI
V)である。1つの実施形態において、がんは、非小細胞肺がんである。
【0128】
別の実施形態において、本発明の抗体、組成物および方法により処置され得るがんとし
ては、血液悪性腫瘍、限定されるものではないが、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、形質転換DLBCL、グレーゾーンリ
ンパ腫、ダブルヒットリンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫(PMBCL)または低悪性
度非ホジキンリンパ腫(iNHL)(例えば、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、粘膜関
連リンパ組織リンパ腫または小リンパ球性リンパ腫)が挙げられる。1つの実施形態にお
いて、ホジキンリンパ腫を有する患者は、抗PD-1または抗PD-L1処置不応性であ
る。
【0129】
さらなる実施形態において、本発明の抗体、組成物および方法により処置され得るがん
としては、腎細胞癌、腎盂、輸尿管、膀胱または尿道の尿路上皮癌、メラノーマ、胃腺癌
、GEJ腺癌、非小細胞肺がんおよび膀胱がんよりなる群から選択されるがんが挙げられ
る。さらなる実施形態において、処置され得るがんは、腎細胞癌、胃腺癌、GEJ腺癌、
非小細胞肺がん、頭頸部扁平上皮がん、輸卵管がん、子宮内膜がんおよび結腸直腸がんよ
りなる群から選択される。1つの実施形態において、結腸直腸がんは、非マイクロサテラ
イト高不安定性(非MSI-H)またはミスマッチ修復良好(pMMR)である。1つの
実施形態において、前述の(forgoing)がんは、進行性、切除不能または転移性
である。1つの実施形態において、非小細胞肺がんは、進行性またはステージIVである
。別の実施形態において、メラノーマは、進行性またはステージIIIである。1つの実
施形態において、患者は、抗PD-1または抗PD-L1治療に不応性である。
【0130】
1つの実施形態において、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリ
アントおよび200mgのAb6またはAb6バリアントを含有する合剤化製品が用いら
れる。別の実施形態において、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバ
リアントおよび600mgのAb6またはAb6バリアントを含有する合剤化製品が用い
られる。1つの実施形態において、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマ
ブバリアントおよび700mgのAb6またはAb6バリアントを含有する合剤化製品が
用いられる。別の実施形態において、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズ
マブバリアントおよび800mgのAb6またはAb6バリアントを含有する合剤化製品
が用いられる。別の実施形態において、200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリ
ズマブバリアントおよび1000mgのAb6またはAb6バリアントを含有する合剤化
製品が用いられる。
【0131】
さらなる実施形態において、がんは非小細胞肺がんであり、患者は腫瘍活性化上皮増殖
因子受容体(EGFR)または急速進行性線維肉腫Bアイソフォーム(B-Raf)の変
異を欠き、かつ未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)またはc-ros癌遺伝子1(ROS
1)の遺伝子再構成を欠く。さらなる実施形態において、がんは非小細胞肺がんであり、
腫瘍は扁平上皮の組織像を持つ。
【0132】
組み合わせ治療はまた、1または複数の付加的な治療剤を含み得る。付加的な治療剤は
、例として、化学療法剤、生物療法剤、免疫原性剤(例えば、弱毒化がん細胞、腫瘍抗原
、抗原提示細胞、例えば腫瘍由来抗原または核酸でパルスされた樹状細胞など、免疫刺激
性サイトカイン(例えば、IL-2、IFNα2、GM-CSF)、および免疫刺激性サ
イトカイン、例えば限定されるものではないがGM-CSFなどをコードする遺伝子をト
ランスフェクトされた細胞)であり得る。付加的な治療剤の具体的な投薬量および投薬ス
ケジュールはさらに変えることができ、最適用量、投薬スケジュールおよび投与経路は用
いられている具体的な治療剤に基づいて決定される。
【0133】
化学療法剤の例としては、アルキル化剤、例えばチオテパおよびシクロスファミドなど
;アルキルスルホネート類、例えばブスルファン、イムプロスルファンおよびピポスルフ
ァンなど;アジリジン類、例えばベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メ
ツレドーパ(meturedopa)およびウレドーパ(uredopa)など;アルト
レタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホ
ラミドおよびトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を
包含するエチレンイミン類およびメチラメラミン類(methylamelamine)
;アセトゲニン類(特にブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(合成アナロ
グのトポテカンを包含する);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのア
ドゼレシン、カルゼルシンおよびビセレシン合成アナログを包含する);クリプトフィシ
ン類(とりわけクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオ
カルマイシン(合成アナログ、KW-2189およびCBI-TMIを包含する);エリ
ュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンジスタチン;ナイトロジェ
ンマスタード類、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cho
lophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、
メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレ
ドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなど;ニトロスウレア類(nit
rosurea)、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン
、ニムスチン、ラニムスチンなど;抗生物質、例えばエンジイン系抗生物質(例としてカ
リケアマイシン、特にカリケアマイシンガンマ1IおよびカリケアマイシンファイI1、
例としてAgnew,Chem.Intl.Ed.Engl.,33:183-186(
1994)を参照されたい;ダイネマイシンAを包含するダイネマイシン;ビスホスホネ
ート類、例えばクロドロネートなど;エスペラミシン;同様にネオカルチノスタチン発色
団および関連の色素タンパク質であるエンジイン系抗生物質クロモモフォア(chrom
omophore))、アクラシノマイシン類(aclacinomysin)、アクチ
ノマイシン、オートラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシ
ン類、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カミノマイシン(cam
inomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノ
ルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン
(モルフォリノ-ドキソルビシン、シアノモルフォリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ
-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを包含する)、エピルビシン、エソルビ
シン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン類、例えばマイトマイシンCな
ど、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン類、ペプロマイシン、ポトフィ
ロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(que
lamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ス
トレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなど;代謝拮
抗剤、例えばメトトレキセートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)など;葉酸アナ
ログ、例えばデノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセートな
ど;プリンアナログ、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオ
グアニンなど;ピリミジンアナログ、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリ
ジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビ
ン、フロクスウリジンなど;アンドロゲン類、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモ
スタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなど;抗副腎剤、例
えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなど;葉酸補充剤(folic ac
id replenisher)、例えばフロリン酸(frolinic acid)な
ど;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル
;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート(edatraxa
te);デホファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジコン;エルホル
ミチン(elformithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド
;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;メイタンシノイド類、例
えばメイタンシンおよびアンサミトシン類など;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピ
ダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサント
ロン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジ
ン;プロカルバジン;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌ
アゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセ
ン類(特にT-2毒素、ベラクリンA(verracurin A)、ロリジンAおよび
アングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニト
ール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノ
シド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド類、例としてパク
リタキセルおよびドセタキセル;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メ
ルカプトプリン;メトトレキセート;白金アナログ、例えばシスプラチンおよびカルボプ
ラチンなど;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミト
キサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキ
セート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11
;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);
レチノイド類、例えばレチノイン酸など;カペシタビン;ならびに上のいずれかの薬学的
に許容される塩、酸または誘導体が挙げられる。また、腫瘍に対するホルモン作用を制御
または阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン
、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェ
ン、LY117018、オナプリストンおよびトレミフェン(フェアストン)を包含する
抗エストロゲン剤および選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)など;副
腎におけるエストロゲン産生を制御する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤
、例えば4(5)-イミダゾール類、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロール、エキセ
メスタン、フォルメスタン、ファドロゾール、ボロゾール、レトロゾールおよびアナスト
ロゾールなど;ならびに抗アンドロゲン剤、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミ
ド、リュープロリドおよびゴセレリンなど;ならびに上のいずれかの薬学的に許容される
塩、酸または誘導体も挙げられる。
【0134】
本発明の組み合わせ治療における各治療剤は、標準的な医薬実務に従って、単独で、ま
たは治療剤と1もしくは複数の薬学的に許容されるキャリア、担体、添加剤および希釈剤
とを含む薬剤(本明細書中で医薬組成物ともいう)中で投与され得る。
【0135】
本発明の組み合わせ治療における各治療剤は、同時に(すなわち同じ薬剤中で)、同時
期に(すなわち任意の順番で一方を投与した直後に他方を投与する別々の薬剤中で)また
は任意の順番で逐次的に投与され得る。逐次投与は、組み合わせ治療における治療剤が異
なる剤形である(1つの剤が錠剤またはカプセルで、別の剤が滅菌された液体である)と
き、および/または異なる投薬スケジュールで投与されるとき、例として、化学療法剤が
少なくとも1日1回投与され、生物療法剤がより低頻度で、例えば週に1回、2週に1回
または3週に1回などで投与されるときに、とりわけ有用である。
【0136】
いくつかの実施形態において、抗LAG3抗体は、抗PD-1抗体または抗PD-L1
抗体の投与の前に投与され、一方、他の実施形態において、抗LAG3抗体は、抗PD-
1抗体または抗PD-L1抗体の投与の後に投与される。別の実施形態において、抗LA
G3抗体は、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体と同時期に投与される。
【0137】
いくつかの実施形態において、組み合わせ治療における治療剤のうちの少なくとも1つ
は、剤が同じがんを処置するための単剤治療として用いられるときに典型的に使用される
ものと同じ薬剤投与レジメン(用量、頻度、および処置の持続期間)を用いて投与される
。他の実施形態において、患者が受ける、組み合わせ治療における治療剤のうちの少なく
とも1つの総量は、剤が単剤治療として用いられるときよりも少なく、例として用量がよ
り少なく、投薬がより低頻度であり、および/または処置の持続期間がより短い。
【0138】
本発明の組み合わせ治療における各低分子治療剤は、経口的に、または静脈内、筋肉内
、腹腔内、皮下、直腸、局所および経皮といった投与経路で非経口的に投与することがで
きる。本発明の組み合わせ治療は、腫瘍を摘出するための手術の前または後に用いられ得
て、放射線治療の前、最中または後に用いられ得る。
【0139】
いくつかの実施形態において、本発明の組み合わせ治療は、先行して生物療法剤または
化学療法剤で処置されていない、すなわち、処置未経験の患者に投与される。他の実施形
態において、組み合わせ治療は、生物療法剤または化学療法剤での先の治療の後に持続性
奏功を達成することに失敗した、すなわち処置を経験した患者に投与される。
【0140】
本発明の組み合わせ治療は、典型的には、触診によって、または当該技術分野で周知の
イメージング技術、例えばMRI、超音波またはCATスキャンなどによって発見するの
に十分な大きさの腫瘍を処置するために用いられる。
【0141】
本発明の組み合わせ治療は、好ましくは、PD-L1およびPD-L2のうちの一方ま
たは両方について検査で陽性となる、好ましくはPD-L1発現について検査で陽性とな
るがんを持つヒト患者に投与される。いくつかの好ましい実施形態において、PD-L1
発現は、診断用抗ヒトPD-L1抗体またはその抗原結合性断片を用いて、患者から摘出
された腫瘍試料のFFPEまたは凍結組織切片に対するIHCアッセイにおいて検出され
る。典型的に、患者の医師は、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体および抗LAG3
抗体での処置の開始前に患者から摘出された腫瘍組織試料中のPD-L1発現を決定する
ための診断検査をオーダーするが、医師が処置開始後の任意の時点、例えば処置サイクル
の完了後などに腫瘍組織切片に対する初回またはその後の診断検査をオーダーする可能性
があることも想像される。1つの実施形態において、PD-L1発現は、PD-L1 I
HC 22C3 pharmDxアッセイによって測定される。別の実施形態において、
患者のPD-L1発現についての単核炎症密度スコアは≧2である。別の実施形態におい
て、患者のPD-L1発現についての単核炎症密度スコアは≧3である。別の実施形態に
おいて、患者のPD-L1発現についての単核炎症密度スコアは≧4である。別の実施形
態において、患者のPD-L1発現についての腫瘍割合スコアは≧1%である。別の実施
形態において、患者のPD-L1発現についての腫瘍割合スコアは≧10%である。別の
実施形態において、患者のPD-L1発現についての腫瘍割合スコアは≧20%である。
別の実施形態において、患者のPD-L1発現についての腫瘍割合スコアは≧30%であ
る。別の実施形態において、患者のPD-L1発現についての腫瘍割合スコアは≧50%
である。さらなる実施形態において、患者のPD-L1発現についての組み合わせ陽性ス
コアは≧1%である。別の実施形態において、患者のPD-L1発現についての単核炎症
密度スコアは≧2であるか、またはPD-L1発現についての腫瘍割合スコアは≧1%で
ある。さらなる実施形態において、患者のPD-L1発現についての組み合わせ陽性スコ
アは1から20%の間である。さらなる実施形態において、患者のPD-L1発現につい
ての組み合わせ陽性スコアは≧2%である。さらなる実施形態において、患者のPD-L
1発現についての組み合わせ陽性スコアは≧5%である。いっそうさらなる実施形態にお
いて、患者のPD-L1発現についての組み合わせ陽性スコアは≧10%である。さらな
る実施形態において、患者のPD-L1発現についての組み合わせ陽性スコアは≧15%
である。いっそうさらなる実施形態において、患者のPD-L1発現についての組み合わ
せ陽性スコアは≧20%である。別の実施形態において、患者は非小細胞肺がんを持ち、
PD-L1発現についての腫瘍割合スコアは≧50%である。
【0142】
加えて、本発明の組み合わせ治療は、LAG3発現について検査で陽性となるがんを持
つヒト患者に投与することができる。いくつかの好ましい実施形態において、LAG3発
現は、診断用抗ヒトLAG3抗体またはその抗原結合性断片を用いて、患者から摘出され
た腫瘍試料のFFPEまたは凍結組織切片に対するIHCアッセイにおいて検出される。
典型的に、患者の医師は、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体および抗LAG3抗体
での処置の開始前に患者から摘出された腫瘍組織試料中のLAG3発現を決定するための
診断検査をオーダーするが、医師が処置開始後の任意の時点、例えば処置サイクルの完了
後などに初回またはその後の診断検査をオーダーする可能性があることも想像される。1
つの実施形態において、患者のCPS様LAG3 %陽性細胞は≧1%である。1つの実
施形態において、患者のCPS様LAG3 %陽性細胞は≧2%である。1つの実施形態
において、患者のCPS様LAG3 %陽性細胞は≧5%である。1つの実施形態におい
て、患者のCPS様LAG3 %陽性細胞は≧10%である。1つの実施形態において、
患者のLAG3 %陽性細胞は≧1%である。1つの実施形態において、患者のLAG3
%陽性細胞は≧2%である。1つの実施形態において、患者のLAG3 %陽性細胞は
≧5%である。1つの実施形態において、患者のLAG3 %陽性細胞は≧10%である
。
【0143】
本発明の1つの好ましい実施形態において、組み合わせ治療における抗PD-1抗体は
ニボルマブであり、1mg/kg Q2W、2mg/kg Q2W、3mg/kg Q2
W、5mg/kg Q2W、10mg Q2W、1mg/kg Q3W、2mg/kg
Q3W、3mg/kg Q3W、5mg/kg Q3Wおよび10mg/kg Q3Wよ
りなる群から選択される用量で静脈内投与される。
【0144】
本発明の別の好ましい実施形態において、組み合わせ治療における抗PD-1抗体はペ
ンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアントであり、液体薬剤で、1mg/kg
Q2W、2mg/kg Q2W、3mg/kg Q2W、5mg/kg Q2W、10m
g/kg Q2W、1mg/kg Q3W、2mg/kg Q3W、3mg/kg Q3
W、5mg/kg Q3W、10mg/kg Q3Wおよびこれらの用量のいずれかの一
律用量等価物、すなわち、例えば200mg Q3Wなどよりなる群から選択される用量
で投与される。いくつかの実施形態において、ペンブロリズマブは、10mM ヒスチジ
ンバッファー pH 5.5中の25mg/ml ペンブロリズマブ、7%(w/v)ス
クロース、0.02%(w/v)ポリソルベート80を含む液体薬剤として提供される。
他の実施形態において、ペンブロリズマブは、約125から約200mg/mLのペンブ
ロリズマブまたはその抗原結合性断片;約10mM ヒスチジンバッファー;約10mM
L-メチオニンまたは薬学的に許容されるその塩;約7%(w/v)スクロース;およ
び約0.02%(w/v)ポリソルベート80を含む液体薬剤として提供される。
【0145】
本発明のいくつかの実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片は、
4週または6週ごとに1回で12週間以上、患者に投与される。他の実施形態において、
抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片は、6週ごとに1回で16週間以上、18週間
以上、20週間以上、24週間以上、28週間以上、30週間以上、32週間以上、36
週間以上、40週間以上、42週間以上、44週間以上、48週間以上、52週間以上、
54週間以上、56週間以上、60週間以上、64週間以上、66週間以上、68週間以
上、72週間以上、76週間以上、78週間以上、80週間以上、84週間以上、88週
間以上または90週間以上、患者に投与される。他の実施形態において、抗PD-1抗体
またはその抗原結合性断片は、6週ごとに400mgで投与される。
【0146】
いくつかの実施形態において、選択された用量のペンブロリズマブは、IV注入によっ
て投与される。1つの実施形態において、選択された用量のペンブロリズマブは、IV注
入によって、25から40分の間、または約30分の時間をかけて投与される。
【0147】
いくつかの実施形態において、患者は、少なくとも24週間、例として、8回の3週サ
イクルの組み合わせ治療で処置される。いくつかの実施形態において、組み合わせ治療で
の処置は、患者がPDまたはCRのエビデンスを呈するまで続けられる。
【0148】
本開示の薬学的に許容される添加剤としては、例えば、溶媒、増量剤、緩衝剤、浸透圧
調節剤および保存剤が挙げられる(例として、Pramanick et al.,Ph
arma Times,45:65-77,2013を参照されたい)。いくつかの実施
形態において、医薬組成物は、溶媒、増量剤、緩衝剤および浸透圧調節剤のうちの1また
は複数として機能する添加剤を含み得る(例として、生理食塩水中の塩化ナトリウムは水
性媒体および浸透圧調節剤の両方として働き得る)。本開示の医薬組成物は、非経口投与
に適している。
【0149】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、溶媒として水性媒体を含む。好適な媒体
としては、例えば滅菌水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水およびリンガー液が挙げら
れる。いくつかの実施形態において、組成物は等張である。
【0150】
医薬組成物は、増量剤を含み得る。増量剤は、医薬組成物が投与前に凍結乾燥されると
きにとりわけ有用である。いくつかの実施形態において、増量剤は、凍結乾燥もしくは噴
霧乾燥中のおよび/または保存中の活性剤の安定化および分解防止の助けとなる保護剤で
ある。好適な増量剤は、糖類(単糖、二糖および多糖)、例えばスクロース、ラクトース
、トレハロース、マンニトール、ソルビタール、グルコースおよびラフィノースなどであ
る。
【0151】
医薬組成物は、緩衝剤を含み得る。緩衝剤は、加工中、保存中、任意選択で再構成中の
活性剤の分解を阻害するようにpHをコントロールする。好適なバッファーとしては、例
えば、酢酸塩、クエン酸塩、リン酸塩または硫酸塩を含む塩が挙げられる。他の好適なバ
ッファーとしては、例えば、アミノ酸、例えばアルギニン、グリシン、ヒスチジンおよび
リジンなどが挙げられる。緩衝剤は、さらに塩酸または水酸化ナトリウムを含み得る。い
くつかの実施形態において、緩衝剤は、組成物のpHを4から9の範囲内で維持する。い
くつかの実施形態において、pHは、4、5、6、7または8(下限)より高い。いくつ
かの実施形態において、pHは、9、8、7、6または5(上限)より低い。すなわち、
pHは、約4から9の範囲内であって、その下限は上限より低い。
【0152】
医薬組成物は、浸透圧調節剤を含み得る。好適な浸透圧調節剤としては、例えばグルコ
ース、グリセロール、塩化ナトリウム、グリセリンおよびマンニトールが挙げられる。
【0153】
医薬組成物は、保存剤を含み得る。好適な保存剤としては、例えば抗酸化剤および抗菌
剤が挙げられる。一方、好ましい実施形態において、医薬組成物は滅菌条件下で調製され
て使い切りの容器中にあり、それゆえに保存剤を含むことを必要としない。
【0154】
いくつかの実施形態において、PD-1アンタゴニストとして抗PD-1抗体を含む薬
剤は、液体製剤として提供され得て、または使用前に凍結乾燥粉末を注射用滅菌水で再構
成することによって調製され得る。WO2012/135408は、本発明における使用
に適したペンブロリズマブを含む液体および凍結乾燥薬剤の調合剤を記載している。いく
つかの実施形態において、ペンブロリズマブを含む薬剤は、4mlの溶液中に約100m
gのペンブロリズマブを含有するガラスバイアルで提供される。1mLの溶液は各々25
mgのペンブロリズマブを含有し、L-ヒスチジン(1.55mg)、ポリソルベート8
0(0.2mg)、スクロース(70mg)および注射用水USP中で製剤化される。溶
液は、IV注入のために希釈を必要とする。
【0155】
いくつかの実施形態において、抗LAG3抗体を含む薬剤は、液体製剤として提供され
得て、または使用前に凍結乾燥粉末を注射用滅菌水で再構成することによって調製され得
る。1つの実施形態において、液体製剤は、約25mg/mLの抗LAG3抗体;約50
mg/mLのスクロース;約0.2mg/mLのポリソルベート80;pHが約5.8~
6.0の約10mMのL-ヒスチジンバッファー;約70mMのそのL-アルギニン-H
Cl;および任意選択で約10mMのL-メチオニンを含む。
【0156】
本明細書中に記載される薬剤は、第一の容器および第二の容器および添付文書を含むキ
ットとして提供され得る。第一の容器はPD-1アンタゴニストを含む薬剤を少なくとも
1用量含有し、第二の容器は抗LAG3抗体を含む7~1200mgの薬剤を含有し、添
付文書またはラベルは薬剤を用いて患者のがんを処置するための説明を含む。第一の容器
および第二の容器は、同じもしくは異なる形状(例としてバイアル、シリンジおよびボト
ル)であり得て、および/または同じもしくは異なる材料(例としてプラスチックまたは
ガラス)であり得る。キットはさらに、薬剤の投与に有用であり得る他の材料、例えば希
釈剤、フィルター、IVバッグおよびライン、針およびシリンジなどを含み得る。キット
のいくつかの好ましい実施形態において、PD-1アンタゴニストは抗PD-1抗体であ
り、説明は、その薬剤はIHCアッセイによるPD-L1発現についての検査で陽性とな
るがんを持つ患者の処置における使用が意図されると述べている。
【0157】
他の態様において、薬剤は、抗LAG3抗体または抗原結合性断片と抗PD-1抗体ま
たは抗原結合性断片との、総濃度10~1000mMのアルギニンまたは薬学的に許容さ
れるその塩、およびpHが約5~8のバッファー、および任意選択で3~100mMのメ
チオニンを含む合剤である。1つの実施形態において、合剤は、約10から120mg/
mLの抗LAG3抗体;約10から120mg/mLの抗PD-1抗体;約30から12
0mg/mLのスクロースまたはトレハロース;約0.05から2mg/mLのポリソル
ベート80;pHが約5.0~6.5である約3から30mMのL-ヒスチジンバッファ
ー;約40から150mMのL-アルギニンまたは薬学的に許容されるその塩;および任
意選択で約5から70mMのL-メチオニンを含む。WO2018/204374は、本
発明における使用に適したAb6、またはペンブロリズマブと合剤化されたAb6を含む
液体および凍結乾燥薬剤の調合剤を記載している。
【0158】
本発明のこれらのおよび他の態様は、下に列挙される例示的な具体的実施形態も含めて
、本明細書中に含有される教示から明らかである。
【0159】
本発明の例示的な具体的実施形態
1. 患者におけるがんの処置における使用のための抗LAG3抗体であって、(a)配
列番号26、27および28の軽鎖CDRならびに(b)配列番号29、30および31
の重鎖CDRを含み、7~1200mgで静脈内注入を介して投与される、前記抗LAG
3抗体。
【0160】
2. 患者が、100mgの抗LAG3抗体を投与される、実施形態1の使用のための抗
LAG3抗体。
【0161】
3. 患者が、200mgの抗LAG3抗体を投与される、実施形態1の使用のための抗
LAG3抗体。
【0162】
4. 患者が、700mgの抗LAG3抗体を投与される、実施形態1の使用のための抗
LAG3抗体。
【0163】
5. 患者が、800mgの抗LAG3抗体を投与される、実施形態1の使用のための抗
LAG3抗体。
【0164】
6. 患者が、抗LAG3抗体を3週ごとの1日目に投与される、実施形態1から5の使
用のための抗LAG3抗体。
【0165】
7. 抗LAG3抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号25を含む重鎖可
変領域を含み、軽鎖は配列番号24を含む軽鎖可変領域を含む、実施形態1から6のいず
れか1つの使用のための抗LAG3抗体。
【0166】
8. 抗LAG3抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号23を含み、軽鎖
は配列番号22を含む、実施形態1から6のいずれか1つの使用のための抗LAG3抗体
。
【0167】
9. 抗LAG3抗体が、Ab6バリアントである、実施形態1から6のいずれか1つの
使用のための抗LAG3抗体。
【0168】
10. 抗LAG3抗体が、抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体またはそれらの抗
原結合性断片と共投与される、実施形態1から9のいずれか1つの使用のための抗LAG
3抗体。
【0169】
11. 抗LAG3抗体が、抗PD-1抗体もしくは抗PD-L1抗体またはそれらの抗
原結合性断片と合剤化される、実施形態1から9の使用のための抗LAG3抗体。
【0170】
12. 抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片が、ヒトPD-1に特異的に結合し、
ヒトPD-L1のヒトPD-1への結合をブロックする、実施形態10または11の使用
のための抗LAG3抗体。
【0171】
13. 抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片がまた、ヒトPD-L2のヒトPD-
1への結合をブロックする、実施形態12の使用のための抗LAG3抗体。
【0172】
14. 抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片が、(a)配列番号1、2および3の
軽鎖CDRならびに(b)配列番号6、7および8の重鎖CDRを含む、実施形態13の
使用のための抗LAG3抗体。
【0173】
15. 抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号9を含む重鎖可
変領域を含み、軽鎖は配列番号4を含む軽鎖可変領域を含む、実施形態13の使用のため
の抗LAG3抗体。
【0174】
16. 抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号10を含み、軽
鎖は配列番号5を含む、実施形態13の使用のための抗LAG3抗体。
【0175】
17. 抗PD-1抗体が、ペンブロリズマブである、実施形態13の使用のための抗L
AG3抗体。
【0176】
18. 抗PD-1抗体が、ペンブロリズマブバリアントである、実施形態13の使用の
ための抗LAG3抗体。
【0177】
19. 抗PD-1抗体が、ニボルマブである、実施形態10の使用のための抗LAG3
抗体。
【0178】
20. 抗PD-L1抗体が、アテゾリズマブ、デュルバルマブまたはアベルマブである
、実施形態10の使用のための抗LAG3抗体。
【0179】
21. 抗PD-1抗体が、200mgで3週ごとに1回、1日目に静脈内注入を介して
投与される、実施形態14~18のいずれか1つの使用のための抗LAG3抗体。
【0180】
22. 抗PD-1抗体が、400mgで6週ごとに1回、1日目に静脈内注入を介して
投与される、実施形態14~18のいずれか1つの使用のための抗LAG3抗体。
【0181】
23. 抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含むヒト化抗PD-1抗体であって、ここで
重鎖は配列番号6、7および8の重鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は配列番号
1、2および3の軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含み;ならびに抗LAG3抗体が重鎖
および軽鎖を含むヒト化抗LAG3抗体であって、ここで重鎖は配列番号29、30およ
び31の重鎖CDRを含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は配列番号26、27および28の
軽鎖CDRを含む軽鎖可変領域を含む、実施形態10または11の使用のための抗LAG
3抗体。
【0182】
24. 抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号9を含む重鎖可
変領域を含み、軽鎖は配列番号4を含む軽鎖可変領域を含み;ならびに抗LAG3抗体が
重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号25を含む重鎖可変領域を含み、軽鎖は配
列番号24を含む軽鎖可変領域を含む、実施形態10または11の使用のための抗LAG
3抗体。
【0183】
25. 抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号10を含み、軽
鎖は配列番号5を含み;ならびに抗LAG3抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は
配列番号23を含み、軽鎖は配列番号22を含む、実施形態10または11の使用のため
の抗LAG3抗体。
【0184】
26. 抗PD-1抗体が200mgで3週ごとに1回、1日目に静脈内注入を介して投
与され、抗LAG3抗体が200mgで3週ごとに1回、1日目に静脈内注入を介して投
与される、実施形態23~25のいずれか1つの使用のための抗LAG3抗体。
【0185】
27. 抗PD-1抗体が400mgで6週ごとに1回、1日目に静脈内注入を介して投
与され、抗LAG3抗体が200mgで3週ごとに1回、1日目に静脈内注入を介して投
与される、実施形態23~25のいずれか1つの使用のための抗LAG3抗体。
【0186】
28. 抗PD-1抗体が200mgで3週ごとに1回、1日目に静脈内注入を介して投
与され、抗LAG3抗体が700または800mgで3週ごとに1回、1日目に静脈内注
入を介して投与される、実施形態23~25のいずれか1つの使用のための抗LAG3抗
体。
【0187】
29. 抗PD-1抗体が400mgで6週ごとに1回、1日目に静脈内注入を介して投
与され、抗LAG3抗体が700または800mgで3週ごとに1回、1日目に静脈内注
入を介して投与される、実施形態23~25のいずれか1つの使用のための抗LAG3抗
体。
【0188】
30. 200mgの抗PD-1抗体が、200mgの抗LAG3抗体と合剤化される、
実施形態23~25のいずれか1つの使用のための抗LAG3抗体。
【0189】
31. 200mgの抗PD-1抗体が、800mgの抗LAG3抗体と合剤化される、
実施形態23~25のいずれか1つの使用のための抗LAG3抗体。
【0190】
32. がんが、頭頸部扁平上皮がん、胃がん、胃および/または胃-食道接合部の腺癌
、腎細胞がん、輸卵管がん、子宮内膜がん、ならびに非マイクロサテライト高不安定性(
非MSI-H)またはミスマッチ修復良好(pMMR)の結腸直腸がんよりなる群から選
択される、実施形態1から31のいずれか1つの使用のための抗LAG3抗体。
【0191】
33. がんが、腎細胞癌、腎盂、輸尿管、膀胱または尿道の尿路上皮癌、メラノーマ、
胃がん、非小細胞肺がんおよび膀胱がんよりなる群から選択される、実施形態1から31
のいずれか1つの使用のための抗LAG3抗体。
【0192】
34. がんが、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
(DLBCL)または低悪性度非ホジキンリンパ腫(iNHL)である、実施形態1から
31のいずれか1つの使用のための抗LAG3抗体。
【0193】
35. 個体が、先行して抗PD-1もしくは抗PD-L1治療で処置されていない、ま
たは先行して抗PD-1もしくは抗PD-L1治療を受けた際に進行性であると確認され
ている、実施形態1から34のいずれか1つの使用のための抗LAG3抗体。
【0194】
36. 個体の腫瘍細胞が、PD-L1発現陽性である、実施形態1から35のいずれか
1つの使用のための抗LAG3抗体。
【0195】
37. 個体のPD-L1発現についての単核炎症密度スコアが≧2%である、実施形態
1から36のいずれか1つの使用のための抗LAG3抗体。
【0196】
38. 個体のPD-L1発現についての組み合わせ陽性スコアが≧1%である、実施形
態1から37のいずれか1つの使用のための抗LAG3抗体。
【0197】
39. 個体のPD-L1発現についての組み合わせ陽性スコアが≧10%である、実施
形態1から37のいずれか1つの使用のための抗LAG3抗体。
【0198】
40. PD-L1発現が、PD-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイに
よって測定される、実施形態37~39のいずれか1つの使用のための抗LAG3抗体。
【0199】
41. 200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアント、および20
0mgのAb6またはAb6バリアント、および薬学的に許容される添加剤を含む、医薬
組成物。
【0200】
42. 200mgのペンブロリズマブまたはペンブロリズマブバリアント、および80
0mgのAb6またはAb6バリアント、および薬学的に許容される添加剤を含む、医薬
組成物。
【0201】
43. 患者における胃がんの処置のための抗PD-1抗体との組み合わせにおける使用
のための抗LAG3抗体であって、患者の腫瘍組織切片が、PD-L1発現陽性である、
前記抗LAG3抗体。
【0202】
44. 胃がんが、胃および/または胃-食道接合部の腺癌である、実施形態43の使用
のための抗LAG3抗体。
【0203】
45. 患者における頭頸部扁平上皮癌の処置のための抗PD-1抗体との組み合わせに
おける使用のための抗LAG3抗体であって、患者の腫瘍組織切片が、PD-L1発現陽
性である、前記抗LAG3抗体。
【0204】
46. 患者における非マイクロサテライト高不安定性(非MSI-H)またはミスマッ
チ修復良好(pMMR)の結腸直腸がんの処置のための抗PD-1抗体との組み合わせに
おける使用のための抗LAG3抗体であって、患者の腫瘍組織切片がPD-L1発現陽性
であり、% LAG3陽性細胞またはCPS様% LAG3陽性細胞が≧1%である、前
記抗LAG3抗体。
【0205】
47. 患者が、先行して抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体での治療を受けていな
い、実施形態43~46の使用のための抗LAG3抗体。
【0206】
48. 患者の腫瘍組織切片の、PD-L1発現についての組み合わせ陽性スコア(CP
S)が、≧1%である、実施形態43~47の使用のための抗LAG3抗体。
【0207】
49. 患者の腫瘍組織切片の、PD-L1発現についての組み合わせ陽性スコアが、≧
5%である、実施形態43~47の使用のための抗LAG3抗体。
【0208】
50. 患者の腫瘍組織切片の、PD-L1発現についての組み合わせ陽性スコアが、≧
10%である、実施形態43~47の使用のための抗LAG3抗体。
【0209】
51. 患者の腫瘍組織切片の、PD-L1発現についての組み合わせ陽性スコアが、≧
20%である、実施形態43~47の使用のための抗LAG3抗体。
【0210】
52. 患者の腫瘍組織切片の、腫瘍割合スコア(TPS)が≧1%である、または単核
炎症密度スコア(MIDS)が≧2%である、実施形態43~47の使用のための抗LA
G3抗体。
【0211】
53. PD-L1発現が、PD-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイに
よって測定される、実施形態43~52の使用のための抗LAG3抗体。
【0212】
54. 腫瘍組織切片の% LAG3陽性細胞が≧1%である、実施形態43~53の使
用のための抗LAG3抗体。
【0213】
55. 腫瘍組織切片のCPS様% LAG3陽性細胞が≧1%である、実施形態43~
53の使用のための抗LAG3抗体。
【0214】
56. 抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片がヒトPD-1に特異的に結合し、ヒ
トPD-L1のヒトPD-1への結合をブロックする、実施形態43~55の使用のため
の抗LAG3抗体。
【0215】
57. 抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片がまた、ヒトPD-L2のヒトPD-
1への結合をブロックする、実施形態56の使用のための抗LAG3抗体。
【0216】
58. 抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片が、(a)配列番号1、2および3の
軽鎖CDRならびに(b)配列番号6、7および8の重鎖CDRを含む、実施形態57の
使用のための抗LAG3抗体。
【0217】
59. 抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号9を含む重鎖可
変領域を含み、軽鎖は配列番号4を含む軽鎖可変領域を含む、実施形態57の使用のため
の抗LAG3抗体。
【0218】
60. 抗PD-1抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号10を含み、軽
鎖は配列番号5を含む、実施形態57の使用のための抗LAG3抗体。
【0219】
61. 抗PD-1抗体が、ペンブロリズマブである、実施形態57の使用のための抗L
AG3抗体。
【0220】
62. 抗PD-1抗体が、ペンブロリズマブバリアントである、実施形態57の使用の
ための抗LAG3抗体。
【0221】
63. 抗PD-1抗体が、ニボルマブである、実施形態57の使用のための抗LAG3
抗体。
【0222】
64. 抗LAG3抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号25を含む重鎖
可変領域を含み、軽鎖は配列番号24を含む軽鎖可変領域を含む、実施形態43~63の
いずれか1つの使用のための抗LAG3抗体。
【0223】
65. 抗LAG3抗体が重鎖および軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号23を含み、軽
鎖は配列番号22を含む、実施形態43~63のいずれか1つの使用のための抗LAG3
抗体。
【0224】
66. 抗LAG3抗体が、Ab6バリアントである、実施形態43~63のいずれか1
つの使用のための抗LAG3抗体。
【0225】
67. 抗LAG3抗体が、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片と共投与される、
実施形態43~66のいずれか1つの使用のための抗LAG3抗体。
【0226】
68. 抗LAG3抗体が、抗PD-1抗体またはその抗原結合性断片と合剤化される、
実施形態43~66のいずれか1つの使用のための抗LAG3抗体。
【0227】
一般的方法
分子生物学における標準的方法は、Sambrook,Fritsch and Ma
niatis(1982&1989 2nd Edition,2001 3rd Ed
ition) Molecular Cloning,A Laboratory Ma
nual,Cold Spring Harbor Laboratory Press
,Cold Spring Harbor,NY;Sambrook and Russ
ell(2001) Molecular Cloning,3rd ed.,Cold
Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spr
ing Harbor,NY;Wu(1993) Recombinant DNA,V
ol.217,Academic Press,San Diego,CA)に記載され
ている。標準的な方法はまた、Ausbel,et al.(2001) Curren
t Protocols in Molecular Biology,Vols.1-
4,John Wiley and Sons,Inc.New York,NY中にも
出ており、これは細菌細胞におけるクローニングおよびDNA突然変異誘発(Vol.1
)、哺乳動物細胞および酵母におけるクローニング(Vol.2)、複合糖質およびタン
パク質の発現(Vol.3)およびバイオインフォマティクス(Vol.4)を記載して
いる。
【0228】
免疫沈降、クロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離および結晶化を包含するタンパク
質精製方法は、記載されている(Coligan,et al.(2000) Curr
ent Protocols in Protein Science,Vol.1,J
ohn Wiley and Sons,Inc.,New York)。化学分析、化
学修飾、翻訳後修飾および融合タンパク質の生産、タンパク質のグリコシル化は、記載さ
れている(例としてColigan,et al.(2000) Current Pr
otocols in Protein Science,Vol.2,John Wi
ley and Sons,Inc.,New York;Ausubel,et al
.(2001) Current Protocols in Molecular B
iology,Vol.3,John Wiley and Sons,Inc.,NY
,NY,pp.16.0.5-16.22.17;Sigma-Aldrich,Co.
(2001) Products for Life Science Researc
h,St.Louis,MO;pp.45-89;Amersham Pharmaci
a Biotech(2001) BioDirectory,Piscataway,
N.J.,pp.384-391を参照されたい)。ポリクローナル抗体およびモノクロ
ーナル抗体の生産、精製および断片化は、記載されている(Coligan,et al
.(2001) Current Protcols in Immunology,V
ol.1,John Wiley and Sons,Inc.,New York;H
arlow and Lane(1999) Using Antibodies,Co
ld Spring Harbor Laboratory Press,Cold S
pring Harbor,NY;上のHarlow and Lane)。リガンド/
受容体相互作用の特性評価のための標準的技術は、利用可能である(例としてColig
an,et al.(2001) Current Protocols in Imm
unology,Vol.4,John Wiley,Inc.,New Yorkを参
照されたい)。
【0229】
モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体およびヒト化抗体は、調製することができる
(例としてSheperd and Dean(eds.) (2000) Monoc
lonal Antibodies,Oxford Univ.Press,New Y
ork,NY;Kontermann and Dubel(eds.) (2001)
Antibody Engineering,Springer-Verlag,Ne
w York;Harlow and Lane(1988) Antibodies
A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor L
aboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,pp
.139-243;Carpenter,et al.(2000) J.Immuno
l. 165:6205;He,et al.(1998) J.Immunol. 1
60:1029;Tang et al.(1999) J.Biol.Chem. 2
74:27371-27378;Baca et al.(1997) J.Biol.
Chem. 272:10678-10684;Chothia et al.(198
9) Nature 342:877-883;Foote and Winter(1
992) J.Mol.Biol. 224:487-499;米国特許第6,329,
511号を参照されたい)。
【0230】
ヒト化への代替法は、ファージ上にディスプレイされたヒト抗体ライブラリーまたはト
ランスジェニックマウスにおけるヒト抗体ライブラリーを用いることである(Vaugh
an et al.(1996) Nature Biotechnol. 14:30
9-314;Barbas(1995) Nature Medicine 1:837
-839;Mendez et al.(1997) Nature Genetics
15:146-156;Hoogenboom and Chames(2000)
Immunol.Today 21:371-377;Barbas et al.(2
001) Phage Display:A Laboratory Manual,C
old Spring Harbor Laboratory Press,Cold
Spring Harbor,New York;Kay et al.(1996)
Phage Display of Peptides and Proteins:A
Laboratory Manual,Academic Press,San Di
ego,CA;de Bruin et al.(1999) Nature Biot
echnol. 17:397-399)。
【0231】
抗原の精製は、抗体作製に必要ではない。動物に目的抗原を有する細胞を免疫すること
ができる。脾臓細胞を次いで免疫動物から分離し、脾臓細胞をミエローマ細胞株と融合す
ることでハイブリドーマを生産することができる(例としてMeyaard et al
.(1997) Immunity 7:283-290;Wright et al.
(2000) Immunity 13:233-242;上のPreston et
al.;Kaithamana et al.(1999) J.Immunol. 1
63:5157-5164を参照されたい)。
【0232】
抗体は、例として低分子量の薬物分子、酵素、リポソーム、ポリエチレングリコール(
PEG)とコンジュゲートさせることができる。抗体は、治療薬、診断薬、キットまたは
他の目的のために有用であり、例として色素、放射性同位体、酵素、または金属、例とし
て金コロイドと結合した抗体を包含する(例としてLe Doussal et al.
(1991) J.Immunol. 146:169-175;Gibellini
et al.(1998) J.Immunol. 160:3891-3898;Hs
ing and Bishop(1999) J.Immunol. 162:2804
-2811;Everts et al.(2002) J.Immunol. 168
:883-889を参照されたい)。
【0233】
蛍光活性化細胞分取(FACS)を包含するフローサイトメトリー法は、利用可能であ
る(例としてOwens,et al.(1994) Flow Cytometry
Principles for Clinical Laboratory Pract
ice,John Wiley and Sons,Hoboken,NJ;Givan
(2001) Flow Cytometry,2nd ed.;Wiley-Lis
s,Hoboken,NJ;Shapiro(2003) Practical Flo
w Cytometry,John Wiley and Sons,Hoboken,
NJを参照されたい)。例として診断用試薬としての使用のための、核酸プライマーおよ
びプローブを包含する核酸、ポリペプチドならびに抗体の修飾に適した蛍光試薬は、利用
可能である(Molecular Probes(2003) Catalogue,M
olecular Probes,Inc.,Eugene,OR;Sigma-Ald
rich(2003) Catalogue,St.Louis,MO)。
【0234】
免疫系の組織学の標準的方法は、記載されている(例としてMuller-Harme
link(ed.) (1986) Human Thymus:Histopatho
logy and Pathology,Springer Verlag,New Y
ork,NY;Hiatt,et al.(2000) Color Atlas of
Histology,Lippincott,Williams,and Wilki
ns,Phila,PA;Louis,et al.(2002) Basic His
tology:Text and Atlas,McGraw-Hill,New Yo
rk,NYを参照されたい)。
【0235】
例として抗原性断片、リーダー配列、タンパク質フォールディング、機能的ドメイン、
グリコシル化部位および配列アラインメントを決定するためのソフトウェアパッケージお
よびデータベースは、利用可能である(例としてGenBank,Vector NTI
(登録商標) Suite(Informax,Inc,Bethesda,MD);G
CG Wisconsin Package(Accelrys,Inc.,San D
iego,CA);DeCypher(登録商標)(TimeLogic Corp.,
Crystal Bay,Nevada);Menne,et al.(2000) B
ioinformatics 16:741-742;Menne,et al.(20
00) Bioinformatics Applications Note 16:
741-742;Wren,et al.(2002) Comput.Methods
Programs Biomed. 68:177-181;von Heijne(
1983) Eur.J.Biochem. 133:17-21;von Heijn
e(1986) Nucleic Acids Res. 14:4683-4690を
参照されたい)。
【実施例0236】
実施例1:進行性固形腫瘍における抗LAG3抗体の臨床試験
これは、組織学的または細胞学的に進行性固形腫瘍と確定診断された対象における、抗
LAG3抗体であるAb6の単剤治療(パートA、アーム1)およびペンブロリズマブと
組み合わせたAb6(パートA、アーム2)の多施設共同の非盲検用量漸増試験であって
、その後に、単剤治療としてのおよびペンブロリズマブと組み合わせたAb6の有効性判
定を伴う、ペンブロリズマブと組み合わせたAb6のランダム化および非ランダム化両方
の用量確認(パートB)を行う試験である。
【0237】
試験のパートAの際、対象は、非ランダム割り当てによって2つの処置アームのうちの
1つに割り付けられた。
【0238】
アーム1:単剤治療としてAb6漸増用量7、21、70、210または700mgを3
週ごと(Q3W)、静脈内注入(IV)による。
【0239】
アーム2:ペンブロリズマブ(200mg Q3W) IVと組み合わせて、Ab6漸増
用量7、21、70、210または700mgを3週ごと(Q3W) IV。
【0240】
パートBは、ペンブロリズマブと組み合わせたAb6の用量確認であった。加えて、拡
大コホートは、単剤治療としてのおよびペンブロリズマブと組み合わせたAb6の抗腫瘍
有効性を評価する。パートBは、5つの処置アームからなる。
【0241】
【0242】
この治験は、予め指定した用量制限毒性(DLT)の基準に基づく適応的デザインを用
いた。用量漸増(パートA、アーム1およびアーム2)については、3+3用量漸増デザ
インを利用した。用量確認(パートB)については、パートA、アーム2からの予備的な
フェーズ2推奨用量(RPTD)の推定を精密化するために毒性発現確率区間(TPI)
デザインを利用する。加えて、パートBは、ペンブロリズマブと組み合わせた2用量のA
b6の安全性および抗腫瘍有効性を比較する。
【0243】
パートA、アーム1(Ab6単剤治療)においては、予備的な最大耐量(MTD)また
は最大投与量(MAD)を特定するために3+3デザインで試験を開始した。パートAの
両アームにおける3+3用量漸増の際、1つの用量レベルに3名の対象の初期コホートを
組み入れた。最初の21日サイクルの間に3名の対象のいずれもDLTを経験しなかった
場合、次の用量への漸増が行われた。3名の対象のうちの1名がDLTを経験した場合、
別の3名の対象をこの用量レベルに組み入れた。6名の対象のなかで1名のDLTが観察
された場合、用量漸増を継続した。ある用量レベルで3名の対象のうち1名よりも多く、
または6名の対象のうち1名より多くDLTを生じた場合、用量漸増を中止し、前の用量
レベルで試験を進めた。
【0244】
パートA、アーム2(ペンブロリズマブと組み合わせたAb6)における処置は、パー
トBのための予備的なRPTDを特定するために3+3デザインで開始した。Ab6の開
始用量は、パートA、アーム1において試験されている用量よりも少なくとも1用量レベ
ル下であった。200mgの固定用量のペンブロリズマブをパートA、アーム2において
用いた。
【0245】
ペンブロリズマブと組み合わせたAb6の用量は、単剤治療の用量よりも少なくとも1
用量レベル少なく、パートA、アーム1のMTDまたはMADを超えないものであった。
しかし、パートA、アーム1についてMTDまたはMADが確立された後は、その用量ま
でパートA、アーム2におけるAb6の用量の漸増を続けた。アーム2の最後の2つの用
量レベルへの組み入れのため、2番目に高い用量レベルにおける全3名(または全6名)
の対象は、最も高い用量レベルへの組み入れを開始する前に、1サイクルの処置およびD
LT判定を完了した。
【0246】
パートBにおいては、PD-1処置ナイーブの頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)、非
MSI-HまたはpMMRの結腸直腸がん(CRC)、PD-1処置不成功のHNSCC
、およびPD-1/PDL-1処置ナイーブの胃がんにおいて用量確認および予備的な抗
腫瘍有効性を評価する。パートBはまた、先行して≦1ラインの治療を受けたマイクロサ
テライト安定性(MSS)のPD-1処置ナイーブCRCを有する対象における、ペンブ
ロリズマブおよびmFOLFOX7(最大20名の対象)またはFOLFIRI(最大2
0名の対象)と組み合わせて投与された(予備的RP2Dでの)Ab6の安全性および抗
腫瘍有効性を評価する。
【0247】
コホートAは、先行してPD-1/PD-L1治療を受けたことがなく、利用可能な全
ての標準治療に対して進行した非MSI-HまたはpMMR CRCを有する対象を組み
入れた。Ab6の抗腫瘍有効性は、単剤治療として(アーム1)、ペンブロリズマブと組
み合わせて(アーム2Aおよび2C)、および合剤として(Ab6A、アーム5)、試験
された。単剤治療のAb6(アーム1)は、800mgの用量で最大20名の対象に投与
された。アーム2において、最大100名の対象が200mgのAb6+ペンブロリズマ
ブの組み合わせで処置され(アーム2A)、約40名の対象が800mgのAb6+ペン
ブロリズマブの組み合わせで処置される(アーム2C)。コホートAにおいて、40名の
対象が、Ab6A、800mgのAb6およびペンブロリズマブの合剤化製品の安全性、
PKおよび予備的有効性を評価するために組み入れられる(アーム5)。
【0248】
コホートBは、先行してPD-1/PD-L1治療を受けたことがなく、先行する≦1
ラインの治療に対して進行した非MSI-HまたはpMMR CRCを有する対象を組み
入れた。コホートBは、ペンブロリズマブおよびmFOLFOX7(最大20名の対象、
アーム3)またはFOLFIRI(最大20名の対象、アーム4)と組み合わせて投与さ
れたAb6(800mg)の抗腫瘍有効性を試験した。
【0249】
コホートCは、先行してPD-1/PD-L1治療を受けたことがなく、先行する≧1
ラインの化学療法後に進行したHNSCCを有する対象を組み入れた。対象は、ペンブロ
リズマブと組み合わせた200mgのAb6を受け(アーム2A)、抗腫瘍有効性を判定
した。
【0250】
コホートDは、先行する抗PD-1/PD-L1治療の後に進行したHNSCCを有す
る対象を組み入れた。対象は、ペンブロリズマブと組み合わせた200mgのAb6を受
け(アーム2A)、抗腫瘍有効性を判定した。
【0251】
コホートEは、先行してPD-1/PD-L1治療を受けたことがなく、先行する≧1
ラインの化学療法に対して進行した胃腺癌を有する対象を組み入れた。コホートEは、固
定用量のペンブロリズマブと組み合わせた2用量のAb6(200mg[アーム2A]お
よび700mg[アーム2B])のランダム化比較を使用した。加えて、コホートEのア
ーム2において抗腫瘍活性が観察された場合(用量にかかわらず、40名の対象のうち≧
8名が客観的奏効の場合)、胃がんを有する対象が追加で20名組み入れられ、Ab6(
800mg)単剤治療を受ける(アーム1)。
【0252】
対象選択基準
1. パートA - 臨床効果をもたらし得る治療が利用可能でない、組織学的または細
胞学的に確認された転移性固形腫瘍を持つ。
【0253】
パートB - 次の組織学的または細胞学的に確認された腫瘍タイプのうちの1つを持つ
:
a. コホートA - アーム1、アーム2A、アーム2Cおよびアーム5についてのC
RC:結腸または直腸を起源とするCRCであって、局所進行性の切除不能または転移性
(すなわち、ステージIV)であり、かつフルオロピリミジン、オキサリプラチンおよび
イリノテカンを包含する全ての利用可能な標準治療を受けていて、これらに対して進行し
たが、先行して抗PD-1/PD-L1治療で処置されていないもの。
【0254】
b. コホートB - アーム3およびアーム4についてのCRC:結腸または直腸を起
源とするCRCであって、局所進行性の切除不能または転移性(すなわち、ステージIV
)であり、かつ≦1ラインの全身治療で処置されたことがあるが、先行して抗PD-1/
PD-L1治療で処置されていないもの。EGFR標的治療を受ける適格性のある対象は
、試験に適格であるために先にこの処置を受けていなければならない。
【0255】
c. コホートCおよびコホートD - 局所治療によって不治とみなされるHNSCC
。対象は、白金含有全身治療を受けた後に進行していた。局所進行性疾患に対する集学的
治療の一部として与えられた全身治療は認められる。適格性のある原発腫瘍位置は、中咽
頭、口腔、下咽頭および喉頭である。対象は、上咽頭(あらゆる組織型のもの)を原発腫
瘍位置に持ってはならない。PD-1未処置のHNSCCコホート(コホートC)に組み
入れられる対象は、先行して抗PD-1/PD-L1治療で処置されていてはならない。
【0256】
PD-1処置不成功のHNSCCコホート(コホートD)に組み入れられる対象は、以下
に規定されるように、単剤治療としてのまたは他の承認されたチェックポイント阻害剤も
しくはそれらの表示に従った他の治療と組み合わされたFDA承認の抗PD-1/PD-
L1モノクローナル抗体(mAb)に対して不応性でなければならない(対象は次の基準
の全てを満たさなければならない):
i. 少なくとも2回の抗PD-1/PD-L1 mAb投薬を受けている。
【0257】
ii. 抗PD-1/PD-L1 mAb後、RECIST 1.1に従って規定される
病勢進行を持つ。PDの最初のエビデンスは、急速な臨床的進行がない場合、PDが最初
に文書に記録された日から4週以上後の2回目の評価によって確認されることである。
【0258】
iii. 抗PD-1/PD-L1 mAbの最終投薬の24週以内にPDが文書に記録
されている。抗PD-1/PD-L1 mAbで再処置された患者および抗PD-1/P
D-L1 mAbで維持されている患者は、(抗PD-1/PD-L1 mAbでの)最
終処置日の24週以内にPDが文書に記録されているかぎり、治験への参加が認められる
。
【0259】
d. コホートE - 胃および/または胃-食道接合部(GEJ)の腺癌であって、手
術不能とみなされ、かつ先行して少なくとも1回の化学療法レジメンまたはHER2/n
euを標的とした承認治療(HER2/neu陽性の場合)を受けていて、これらに対し
て進行したもの。いずれの場合も、対象は、先行して抗PD-1/PD-L1治療で処置
されていてはならない。irRECIST 1.1基準によって測定可能な疾患を持つ。
【0260】
試験のパートAにおいて、単剤治療としておよびペンブロリズマブ200mgと組み合
わせて与えられたAb6は、試験された全ての用量にわたって良好に耐容され、管理可能
な安全性プロファイルを有していた。用量漸増はDLTを何ら認めずに700mgの最大
用量まで進められた。
【0261】
試験のパートAにおいて処置された、Ab6単剤治療で処置された18名の対象および
組み合わせ治療で処置された15名の対象を包含する対象に関して、有効性データが利用
可能である。パートAにおいて、対象は、予め選択された7mgから700mgの間の5
つのAb6用量のうちの1つを単独で、または200mgの固定用量のペンブロリズマブ
と組み合わせて受けた。全ての用量の単剤治療アーム1で処置された対象において、OR
Rは5.5%であり、子宮内膜がん(マイクロサテライト安定性)を有する1名の対象は
部分奏功を経験した。この対象は、210mgのAb6用量を受けた。アーム1において
、病勢安定は、平滑筋肉腫を有する患者および虫垂がんを有する患者においても観察され
た。
【0262】
全てのAb6用量の組み合わせアーム2で処置された対象において、客観的奏効率(O
RR)は26%であり、15名の対象のうち4名が部分奏功を経験し、そのうち3名はフ
ォローアップのCTスキャンを使用して、X線画像で確認された。レスポンダーは、21
mg(
図1)および70mg Ab6の用量で2名の対象が結腸直腸がん(マイクロサテ
ライト良好)と、7mg Ab6で1名の対象が腎細胞がん(
図2)と、70mg Ab
6で1名の対象が輸卵管がん(BRCA陰性)と診断された。パートAにおいて組み合わ
せアームで処置された6名の結腸直腸がん対象のうち、ORRは33%であった。GE接
合部の腺癌を有する患者は、70mgのAb6をペンブロリズマブと組み合わせて受け、
ベースラインと比較して標的病変サイズの28%低減を経験した。乳頭部がん(amup
llary cancer)を有する別の患者は、病勢安定を経験した。
【0263】
パートBの対象における奏効率は、いくつかのコホートで有望な活性を実証している。
パートBの非MSI-H/pMMR CRCコホートにおいて、39名の対象のうち4名
が客観的奏効を経験した(ORRおよびDCRはそれぞれ10.2%および25.6%)
。比較して、ペンブロリズマブ単剤治療の活性は、非MSI-H/pMMR CRCにお
いては乏しいか存在せず(O’Neil BH et al. PLoS One. 2
017;12(12)、3L CRCにおいて承認薬剤であるレゴラフェニブおよびTA
S-102は、2ヶ月のOSベネフィットおよび約1~2%のORRを持つ。胃のコホー
トにおいて、46名の対象のうち6名が客観的奏効を経験した(ORRおよびDCRはそ
れぞれ13%および39%)。3件の奏功は700mg Ab6用量で、3件の奏功は2
00mg Ab6用量であった。これは、ペンブロリズマブ単剤治療で処置されたサード
ラインの胃の対象における11.2%のORRとの比較である(Fuchs, et a
l. Journal of Clinical Oncology 35,no.15
_suppl(May 20 2017)4003-4003)。PD-1ナイーブのH
NSCCコホートにおいて、23名の対象のうち6名が客観的奏効を経験した(ORRお
よびDCRはそれぞれ26.1%および69.5%)。Keynote-055のペンブ
ロリズマブ単剤治療からの結果は、少なくとも2ラインの先行する治療に対して進行した
PD-1ナイーブHNSCC患者において、18%の客観的奏効率を実証した(Baum
i J. et.al. Journal of Clinical Oncology
34 no.15 suppl_(May 20 2016) 6011-6011)
。
【0264】
頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)を有する59名の対象は、上のフェーズI試験のパー
トBにおいて、200mg Q3W Ab6と200mg Q3Wペンブロリズマブとの
組み合わせで処置された:PD-1処置ナイーブHNSCCを有する39名の対象および
PD-1処置不成功HNSCCを有する20名の対象。PD-1処置ナイーブHNSCC
を有する対象におけるORR(確認あり)は12.8%(39名のうち5名、95% C
I:4.3、27.4)、DCRは53.8%(39名のうち21名、95% CI:3
7.2、69.9)であった。PD-1処置ナイーブHNSCCを有する対象におけるO
RR(確認なし)は23.1%(39名のうち9名、95% CI:11.1、39.3
)、DCRは56.4%(39名のうち22名、95% CI:39.6、72.2)で
あった。PD-1処置不成功HNSCCを有する対象におけるORR(確認あり)は0%
(20名のうち0名)、DCRは20.0%(20名のうち4名、95% CI:5.7
、43.7)であった。PD-1処置不成功HNSCCを有する対象におけるORR(確
認なし)は5%(20名のうち1名、95% CI:0.1、24.9)、DCRは25
%(20名のうち5名、95% CI:8.7、49.1)であった。
【0265】
胃がんを有する78名の対象は、パートBにおいて、Ab6と200mg Q3Wペン
ブロリズマブとの組み合わせで処置された:200mgのAb6用量レベルで39名、7
00mgのAb6用量レベルで39名。200mgの用量レベルでのORR(確認あり)
は7.7%(39名のうち3名、95% CI:1.6、20.9)、DCRは23.1
%(39名のうち9名、95% CI:11.1、39.3)であった。200mgの用
量レベルでのORR(確認なし)は7.7%(39名のうち3名、95% CI:1.6
、20.9)、DCRは25.6%(39名のうち10名、95% CI:13.0、4
2.1)であった。700mgの用量レベルでのORR(確認あり)は10.3%(39
名のうち4名、95% CI:2.9、24.2)、DCRは33.3%(39名のうち
13名、95% CI:19.1、50.2)であった。700mgの用量レベルでのO
RR(確認なし)は15.4%(39名のうち6名、95% CI:5.9、30.5)
、DCRは35.9%(39名のうち14名、95% CI:21.2、52.8)であ
った。
【0266】
実施例2:Ab6の薬物動態(PK)試験
Ab6(単独およびペンブロリズマブと組み合わせたAb6)のパートAの間、7mg
から700mgの用量で処置された対象からのPKデータは、血清のAb6曝露量が用量
依存的に増加したことを示した(
図5)。PK解析のため、Ab6投与の1、2、8、1
5および21日目に患者から血液試料を採取した。Ab6曝露量のPKプロファイルは、
標的受容体を介したAb6のクリアランスが210mgおよび700mgの用量で飽和し
ていることを示唆している(
図6)。
【0267】
可溶物(sLAG3)は、免疫細胞上に発現する膜結合型LAG3の切断産物である。
LAG3の切断は、最適なT細胞機能に必要とされる(Goldberg and Dr
ake,LAG-3 in Cancer Immunotherapy;Dranof
f G.(eds) Cancer Immunology and Immunoth
erapy(2010);Current Topics in Microbiolo
gy and Immunology,vol 344. Springer,Berl
in,Heidelberg)。sLAGは、健康な患者の血清中で検出可能であり、が
んおよび慢性炎症性疾患を有する患者の血清中でより多く検出可能である。sLAG3は
、前臨床モデルにおいて、Ab6投与の後に用量依存的に血清中で増加することが観察さ
れた。Ab6は、sLAG3と膜LAG3の両方に結合する。sLAG3の飽和度が高い
場合、膜LAG3の飽和度も高いと予想される。それゆえ、sLAG3は、ターゲットエ
ンゲージメントの薬力学的マーカーとして選ばれた。
【0268】
Ab6(単独およびペンブロリズマブと組み合わせたAb6)のパートAの間、7mg
から700mgの用量で処置された対象からのターゲットエンゲージメント薬力学的マー
カーsLAG3のデータもまた、血清中の総可溶性LAG-3の用量依存的な増加を示し
、210mgおよび700mgの用量で概ね飽和に近づいていた(
図6)。
【0269】
カニクイザルのPKパラメーターに基づいて予測された抗体の半減期と比較すると、A
b6は、意外なことに、カニクイザルから予測されたクリアランス(予測CL
ヒト=0.
168L/日)よりも約3倍速いクリアランスのため、または典型的なモノクローナル抗
体と比較して予期されたクリアランスよりも速いクリアランスのため、半減期が短い(R
yman,J.T., & Meibohm,B.(2017). Pharmacok
inetics of Monoclonal Antibodies. CPT:ph
armacometrics & systems pharmacology,6(9
),576-588)。上のフェーズI試験の曝露量の予備的なPK解析は、Ab6の標
的受容体を介したクリアランス(膜LAG-3のターゲットエンゲージメントを反映した
もの)は、試験対象において観察されたPK(幾何CV>100%)C
トラフの変動性を
考慮すると、≧700mgの用量で飽和を維持した可能性が高かったことを示唆している
(
図10、11および15)。
【0270】
上のフェーズI試験のパートAおよびパートBの間に処置された対象からのターゲット
エンゲージメント薬力学的マーカーのデータは、血清中の総sLAG-3の用量依存的な
増加(sLAG-3のターゲットエンゲージメントを反映したもの)を実証している(図
12)。臨床的なAb6の700mg用量では、[sLAG3]は投与間隔の全体を通じ
てプラトーであり、これは、低用量と比較してAb6の効果が投与間隔の全体を通じて持
続することを示唆している。
【0271】
さらには、200mgでの患者の13%において、Ab6 PK曝露量(21日目のC
トラフ)は定量限界未満(Below limit of Quantitation、
BLQ)であり、700mgでの患者の0%において、PK曝露量(21日目のCトラフ
)はBLQである(表6を参照されたい)。BLQは、J Pharm Biomed
Anal. 2019 Jul 15;171:204-211に従って設定された。P
Kの高い変動性とAb6の速いクリアランスが相まって、より低い200mgレベルでB
LQに達する患者をもたらしている。一般的に、700mg用量のCトラフは、200m
g用量よりも高かった(
図15を参照されたい)。
【0272】
表5 21日目におけるAb6血清C
トラフおよび変動性
【表5】
【0273】
表6 21日目におけるAb6血清C
トラフのパーセントBLQ
【表6】
【0274】
パートBの胃がんにおける用量比較コホート(コホートE)からの予備的な有効性デー
タはまた、700mg Ab6(最高試験用量)でより良好な有効性となる傾向を示唆し
ている。コホートEにおけるランダム化用量比較の中間解析(Ab6 200mg対70
0mg+ペンブロリズマブの200mg固定用量)が実施された。解析時点で、アームご
とに39名の胃がん対象(合計78名)がAb6で処置されていた。フォローアップ時間
の平均値は98日であった。統計的に有意ではないが、これらのデータは、200mgお
よび700mgのAb6についてそれぞれORRが5.3%(95% CI:0.6、1
7.7)に対して8.3%(95% CI:1.8、22.5)、標的病変サイズの平均
変化が29.9cm(95% CI:10.2、49.7)に対して6.4cm(95%
CI:9.3、22.1)といった、より高用量で疾患制御の改善傾向を実証した。加
えて、胃がんにおけるランダム化用量比較コホートにおいて、700mg用量と比較して
200mg用量で安全性に有意な差は認められなかった。
【0275】
予備的な集団PK解析に基づくと、800mgでのAb6血清曝露量の予測中央値は、
700mgより高い。しかし、700mgおよび800mg用量でのAb6血清濃度分布
は類似しており、これら2つの用量での曝露量の間で実質的な重なりをもたらすと予想さ
れる(
図13および14)。Ab6薬物濃度に基づいて700mgと800mgの用量間
での曝露量の重なりが予測されることから、700mgおよび800mg用量について類
似した安全性プロファイルが予期される。
【0276】
実施例3:PD-L1およびLAG3の発現レベルの測定
パートBの非MSI-H結腸直腸がん、胃およびHNSCCの患者からの検体を、処置
前に解析した。解析のための検体は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織切
片である。PD-L1発現についてのIHC染色は、PD-L1 IHC 22C3 p
harmDxアッセイのためにバリデーションされているDako Autostain
er Link 48プラットフォーム(Dako AS480)および自動化染色プロ
トコールを用いて、US2017/0285037(参照によりその全体が組み込まれる
)に従って実施した。LAG-3 IHCAssay(LSBio、クローン17B4)
は、0.05ug/mlのLSBioからのクローン17B4を用いて開発され、製造業
者のプロトコールに従ってDako Autostainer Link 48プラット
フォーム上でバリデーションされた。ホルマリン固定、パラフィン包埋された4ミクロン
の切片をアッセイのために用いた。抗原回復は、Dako PTリンク上でEnvisi
on FLEX Target Retrieval Solution,High p
H(Agilent K800221-2)を使用して実施した。Agilent En
Vision FLEX+,High pH(Link)(Agilent、K8002
21-2)を検出システムに適用した。染色したスライドをヘマトキシリン(Agile
nt、K8008)で対比染色し、カバースリップをした。
【0277】
パートBのCRCコホート全体について、PD-L1発現およびLAG3発現の両方の
IHCデータを収集した。
図3は、CPSスコアリングシステムを用いたこのセットにお
いてCRC腫瘍の54%がPD-L1陽性であることを示す。PD-L1+腫瘍(CPS
>=1%)のうち、46名中4名がレスポンダーである(9%)。3名のレスポンダーは
CPS=1%で、1名のレスポンダーはCPSが7%であった。PD-L1-腫瘍(CP
S<1%)のうち、35名中1名がレスポンダーであった(3%)。少なくとも2のMI
DSスコアリングシステムを用いると、PD-L1+腫瘍のうち、14名中4名がレスポ
ンダーである(28%)。MIDSスコアが2未満のPD-L1-腫瘍のうち、11名中
0名がレスポンダーである(0%)。TPS単独、MIDS単独またはTPS+MIDS
の判定方法を用いたPDL1 IHCの予備的解析は、MIDS単独およびTPS+MI
DSの方法でのみ、レスポンダー集団の濃縮が見られることを指し示した。少なくとも2
のMIDSスコアリングシステムを用いると、PD-L1+腫瘍のうち、14名中4名が
レスポンダーである(28%)。MIDSスコアが2未満のPD-L1-腫瘍のうち、1
1名中0名がレスポンダーである(0%)。MIDSスコアリングシステムを少なくとも
2とした場合、PD-L1+腫瘍のうち、14例中4例がレスポンダーであった(28%
)。MIDSスコアが2未満のPD-L1腫瘍のうち、11人中0人がレスポンダーであ
る(0%)。このことは、炎症細胞におけるPDL-1発現が、抗LAG3抗体および抗
PD-1抗体処置への応答の予測において重要な要素であることを示唆している。
【0278】
図4は、CRC腫瘍におけるLAG3 IHCの結果を示す。LAG3 IHCは、C
PS様% LAG3陽性細胞を用いてスコアリングした。このセットにおけるCRC腫瘍
の20%がLAG3陽性である。表7中に示すように、LAG3陽性CRC腫瘍の75%
はPD-L1陽性である一方、PD-L1陽性CRC腫瘍の29%はLAG3陽性である
。言い換えれば、ほとんどのLAG3発現CRC腫瘍はPD-L1も発現しているが、P
D-L1発現腫瘍は少数のみがLAG3も発現している。
【0279】
表7:CRC腫瘍についてのPD-L1発現およびLAG3発現のスコア
【表7】
【0280】
700mgのAb6および200mgのペンブロリズマブを投与された胃がん拡大コホ
ートについて、PD-L1およびLAG3のIHCデータを収集した。
図16は、CPS
スコアリングシステムを用いたこのセットにおいて胃腫瘍の65%がPD-L1陽性であ
ることを示す。PD-L1+腫瘍(CPS>=1%)のうち、22名中7名がレスポンダ
ーである(32%)。PD-L1-腫瘍(CPS<1%)のうち、レスポンダーはいなか
った。PD-L1 IHC CPSは、AUROC(95% CI)が0.90(0.7
5、1)である。受信者動作特性下面積(Area under the Receiv
er Operating Characteristic、AUROC)は、二値分類
タスクにおける予測因子の優秀さについての一般的な要約統計量である。ROC曲線は、
様々な閾値設定での偽陽性率(FPR)に対する真陽性率(TPR)をプロットすること
によって作成される。ROCは確率曲線であり、AUCは分離可能性の度合いまたは尺度
を表す。優れたモデルは、AUCが1に近い。
【0281】
図17は、CPS様スコアリングシステムを用いたこのセットにおいて胃腫瘍の42%
がLAG3陽性であることを示す。LAG3+腫瘍(CPS様≧1%)のうち、14名中
6名がレスポンダーである(43%)。LAG3-腫瘍(CPS様<1%)のうち、19
名中1名がレスポンダーであった(5%)。LAG3 IHCは、AUROC(95%
CI)が0.79(0.62、0.96)である。93%のLAG3陽性腫瘍がPD-L
1陽性であり、65%のPD-L1陽性腫瘍がLAG3陽性である(表8を参照されたい
)。言い換えれば、ほとんど全てのLAG3陽性腫瘍がPD-L1も発現している一方、
PD-L1陽性腫瘍の2/3だけがLAG3も発現している。
【0282】
表8:胃腫瘍についてのPD-L1発現およびLAG3発現のスコア
【表8】
【0283】
表9は、この胃コホートにおけるレスポンダーの中でのPD-L1およびLAG3 I
HCスコアの分布を示す。7名のレスポンダーのうち6名が高レベルのPD-L1を発現
しており、患者選択のためのより高いカットオフ(CPS≧10%)を示唆している。同
様に、LAG3 IHCについても、データは、CPS≧1%のカットオフが奏効率の強
化を与えることを示唆している。
【0284】
表9:胃腫瘍における全てのレスポンダーについてのPD-L1発現およびLAG3発現
のスコア
【表9】
【0285】
表10は、胃コホートにおける異なるCPSカットポイントでのPD-L1 IHCア
ッセイの臨床的有用性プロファイルを示しており、ここでPPVは陽性予測値(選択され
たCPSカットポイントに従って「陽性」と呼ばれる、レスポンダーである患者サンプル
のパーセンテージ)であり、NPVは陰性予測値(選択されたCPSカットポイントに従
って「陽性」と呼ばれる、非レスポンダーである患者サンプルのパーセンテージ)である
。感度は、選択されたCPSカットポイントに従って陽性であるレスポンダーの%と、特
異度は、選択されたCPSカットポイントに従って陰性である非レスポンダーの%として
定義される。CPSカットポイントが増加すると、有病率は減少するが、PPVは増加し
てNPVは減少する。感度はCPS≧1%である全てのカットポイントで維持され、特異
度は増加する。表10の臨床的有用性プロファイルもまた、CPS≧10%のカットオフ
をサポートしている。
【表10】
【0286】
200mgのAb6および200mgのペンブロリズマブを投与されたPD-1ナイー
ブHNSCC患者において、PD-L1およびLAG3のIHCデータを収集した。
図1
8は、探索的TPS+MIDSスコアリングシステムを用いたこのセットにおいてHNS
CC腫瘍の86%がPD-L1陽性であることを示す。このスコアリングシステムにおい
て、TPSスコアが>1、またはMIDSスコアが>2である場合、腫瘍は陽性とみなさ
れる。PD-L1+腫瘍のうち、30名中6名がレスポンダーである(20%)。PD-
L1-腫瘍のうち、5名中2名がレスポンダーであった(40%)(表11)。
【0287】
図19は、上のHNSCC患者において腫瘍の49%(% LAG3陽性細胞スコアリ
ングシステムを使用)がLAG3陽性であることを示す。LAG3+腫瘍のうち、17名
中5名がレスポンダーである(29%)。LAG3-腫瘍のうち、14名中4名がレスポ
ンダーである(22%)。LAG3陽性腫瘍の100%はPD-L1陽性であり、PD-
L1陽性腫瘍の59%はLAG3陽性である(表11を参照されたい)。言い換えれば、
全てのLAG3陽性腫瘍はPD-L1も発現している一方、PD-L1陽性腫瘍の2/3
だけがLAG3も発現している。
【0288】
表11:PD-1ナイーブHNSCC腫瘍についてのPD-L1発現およびLAG3発現
のスコア
【表11】
【0289】
実施例4:進行性NSCLCにおける抗LAG3抗体の臨床試験
これは、進行性疾患に対する全身治療を先行して受けておらず、規定されたがん遺伝子
変異に基づくファーストライン(1L)治療としてFDA承認の標的治療(例えば、エル
ロチニブ、クリゾチニブなど)が適応されない(非扁平上皮NSCLCのみ)進行性NS
CLCを有する試験参加者における、ペンブロリズマブ(MK-3475)200mg
Q3W IV注入とAb6 200mg Q3W IV注入との組み合わせについての、
群逐次の適応的ランダム化、多施設共同非盲検試験である。
【0290】
参加者は、次の基準の全てに当てはまる場合のみ、試験に含めることに適格である:
1. 組織学的または細胞学的にステージIV(American Joint Co
mmittee on Cancer[AJCC] v.8)のNSCLCと確定診断さ
れており、試験参加者は、進行性疾患に対する全身治療を先行して受けていてはならない
。
【0291】
2. 上皮増殖因子受容体-(EGFR)、未分化リンパ腫キナーゼ-(ALK)、c
-ros癌遺伝子1(ROS1)または急速進行性線維肉腫Bアイソフォーム(B-Ra
f)指向性治療が一次治療として適応されないことが確認されている(腫瘍活性化EGF
RまたはB-Raf変異の不存在、およびALKまたはROS1遺伝子再構成の不存在の
文書への記録)。参加者の腫瘍が主に扁平上皮組織像を持つことがわかっている場合、E
GFRの変異ならびにALKおよびROS1の転座についての分子検査は、現在の診断ガ
イドラインの一部ではないため、必要とされない。
【0292】
3. 現地の試験責任医師/放射線科医によって評価される、RECIST 1.1に
従った測定可能疾患を持つこと。先行して放射線照射された領域に存在する病変は、かか
る病変における進行が実証されている場合、測定可能とみなされる。
【0293】
実施例5:血液がんにおける抗LAG3抗体の臨床試験
これは、PD-1/L1ナイーブの再燃性または不応性(R/R)古典的ホジキンリン
パ腫(cHL)(コホート1)、PD-1/L1不応性R/R cHL(コホート2)、
R/Rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)(コホート3)、およびR/R低
悪性度非ホジキンリンパ腫(iNHL)を有する参加者における、ペンブロリズマブ(M
K-3475)200mg Q3W IV注入と抗LAG3抗体Ab6 用量100、2
00または700mg Q3W IV注入との組み合わせについての、非ランダム化多施
設共同非盲検試験であり、R/R-iNHL群の少なくとも10名の参加者は濾胞性リン
パ腫を患っている。
【0294】
患者選択基準
参加者は、次の基準の全てに当てはまる場合のみ、試験に含めることに適格である:
1. 診断品質の断面解剖学的イメージング(CTまたはMRI)を使用して2次元で正
確に測定することができる少なくとも1つの病変と定義される、測定可能な疾患を持たな
ければならない。最小の測定値は、長径で>15mm、または短軸で>10mmでなけれ
ばならない。
【0295】
2. スクリーニング時に、保存生検または新たに取得した生検(3ヶ月以内)からバイ
オマーカー分析のためのコア生検または切除腫瘍生検を提供することができる。
【0296】
PD-1/L1ナイーブR/R cHL(コホート1)
1. 組織学的に確認された古典的ホジキンリンパ腫を持たなければならない。
【0297】
2. 再燃性(直近の治療後の病勢進行と定義される)または不応性(直近の治療に対す
るCRまたはPR達成の不成功と定義される)のcHLを持ち、次の選択基準のうちの少
なくとも1つを満たす:
a. 自己SCT後に奏効達成が不成功であった、または進行した。参加者は、自己SC
T後のブレンツキシマブ ベドチンでの処置後に再燃した、またはブレンツキシマブ ベ
ドチンへの応答が不成功であった者でなければならない。
【0298】
b. サルベージ化学療法に対してCRまたはPRを達成することができず、自己SCT
を受けなかった。参加者は、ブレンツキシマブ ベドチンでの処置後に再燃した、または
ブレンツキシマブ ベドチンへの応答が不成功であった者でなければならない。
【0299】
c. ブレンツキシマブ ベドチンに不適格である参加者、毒性のためブレンチツキシマ
ブ ベドチン(brentituximab vedotin)を中止した参加者、また
はブレンツキシマブが承認されていない、もしくは入手できない地域に居住している参加
者は、試験に適格である。
【0300】
3. 先行して抗PD-1または抗PD-L1治療で処置されていない。
【0301】
PD-1/L1不応性R/R cHL(コホート2)
1. 組織学的に確認された古典的ホジキンリンパ腫を持たなければならない。
【0302】
2. 再燃性(直近の治療後の病勢進行と定義される)または不応性(直近の治療に対す
るCRまたはPR達成の不成功と定義される)のcHLを持ち、次の選択基準のうちの1
つを満たす:
a. 自己SCT後に奏効達成が不成功であった、または進行した。参加者は、自己SC
T後のブレンツキシマブ ベドチンでの処置後に再燃した、またはブレンツキシマブ ベ
ドチンへの応答が不成功であった者でなければならない。
【0303】
b. サルベージ化学療法に対してCRまたはPRを達成することができず、自己SCT
を受けなかった。参加者は、ブレンツキシマブ ベドチンでの処置後に再燃した、または
ブレンツキシマブ ベドチンへの応答が不成功であった者でなければならない。
【0304】
c. ブレンツキシマブ ベドチンに不適格である参加者、毒性のためブレンチツキシマ
ブ ベドチン(brentituximab vedotin)を中止した参加者、また
はブレンツキシマブが承認されていない、もしくは入手できない地域に居住している参加
者は、試験に適格である。
【0305】
3. 単剤治療として、または他のチェックポイント阻害剤もしくは他の治療と組み合わ
せて投与された抗PD-1/L1 mAbでの処置に対して進行した。PD-1処置の進
行は、次の基準の全てを満たすことによって定義される:
a. ホジキンリンパ腫において承認されている抗PD-1 mAbの投薬を少なくとも
2回受けており、この剤は承認された用量およびスケジュールで投与された。
【0306】
b. PD-1/L1後、リンパ腫疾患応答基準(Lymphoma Disease
Response criteria)により定義される病勢進行が実証された(Che
son et al. Revised Response Criteria for
Malignant Lymphoma. J Clin Oncol. 2007;
25:579-586.)。
【0307】
c. 抗PD-1/L1 mAbの最終投薬から12週以内に病勢進行が文書に記録され
た。
【0308】
4. 治験前のイメージングを受けている。
【0309】
R/R DLBCL(コホート3)
1. 組織学的にDLBCLと確定診断されている。形質転換DLBCL、グレーゾーン
リンパ腫、ダブルヒットリンパ腫および原発性縦隔B細胞リンパ腫(PMBCL)は認め
られる。
【0310】
2. 自己SCT後の進行を含めて少なくとも2ラインの先行治療の後に進行していなけ
ればならず、SCTを拒否していなければならず、または自己SCTの候補でない(施設
基準に従う)。標準処置に不適格である参加者、またはその処置の中止を正当化して同じ
剤での再処置を不可能にする許容できない毒性のため、病勢進行前に標準治療から離脱し
た参加者も適格である。
【0311】
R/R-iNHL(コホート4)
1. FL、辺縁帯リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫または小リンパ球性リンパ腫
と定義される低悪性度(低グレード)B細胞リンパ腫と組織学的に確定診断されている。
リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンストローム・マクログロブリン血症、慢性リンパ性
白血病(小リンパ球性リンパ腫を伴わない)、およびT細胞リンパ腫は適格ではない。少
なくとも10名の参加者はFLを持たなければならない。
【0312】
2. 参加者は、自己SCTを含めてもよい少なくとも2ラインの先行治療の後に進行し
ていなければならない。標準処置に不適格である参加者、または病勢進行前に、その処置
の中止を正当化して同じ剤での再処置を不可能にする許容できない毒性のため、標準治療
から離脱した参加者も適格である。
【0313】
安全性導入フェーズ
a. 安全性導入フェーズ中に少なくとも14名の参加者が組み入れられる(少なくとも
3名/コホート)。参加者は、Ab6(200mgの開始用量)と組み合わせたペンブロ
リズマブ(200mgの固定用量)をQ3Wで受ける。
【0314】
b. 改変毒性発現確率区間(mTPI)デザイン[Ji,Y. and Wang,S
.-J. 2013]を用いて、ペンブロリズマブとのAb6の組み合わせのフェーズ2
推奨用量(RP2D)が確立される。参加者からのデータは、第1サイクルから開始して
その後も継続してDLTの発生についてモニターされる。集計データは、6ヶ月間隔で評
価される。各用量レベルで入手可能な安全性、PK、薬力学のデータを組み合わせて、A
b6の低用量および/または高用量が調査される。
【0315】
c. mTPIデザインによって必要とされる場合、Ab6の用量は100mgに下げら
れ、この用量レベルで最大14名の追加の参加者が判定される。用量決定のためのデータ
の全体によって、他のより低い用量のAb6が調査され得る。
【0316】
d. これらの安全性導入フェーズ参加者の有効性/PKおよび安全性データの全体に基
づいて、700mgまでのより高いAb6用量(複数可)が調査され得る。有効性を評価
するために必要な場合、追加の参加者が組み入れられ得る。
【0317】
e. 14名の参加者が選択された用量(任意選択の用量を包含し得る)のいずれかで処
置された後、安全性導入フェーズは終了する。プール-隣接バイオレータアルゴリズム(
pool adjacent-violators algorithm)[Ji, Y
. and Wang, S.-J. 2013]を用いて、DLT率と用量レベルとの
間に単調性があるとの仮定の下で各アームにおける用量間のDLT率を推定する。推定D
LT率が30%に最も近い用量が、予備的RP2Dとして扱われる。
【0318】
f. 安全性導入フェーズにおいて予備的RPTD用量で処置された参加者について、有
効性および安全性のデータは対応する有効性拡大フェーズのそれと統合される。確定用量
以外の用量で処置された参加者について、それらのデータは対応する有効性拡大フェーズ
コホートと統合されない。
【0319】
有効性拡大フェーズ
a. 有効性拡大フェーズは全体で約120名の参加者を組み入れ、4つのコホートの各
々の中に約30名の参加者を有する(これらのサンプルサイズは安全性導入フェーズにお
ける参加者を包含する)。有効性拡大フェーズにおいて、R/R-iNHLコホート(コ
ホート4)における少なくとも10名の参加者はFLを持たなければならない。
【0320】
b. 有効性拡大フェーズにおいて、12名の参加者が組み入れられ(特定のコホートに
おいて安全性導入フェーズからの参加者をカウント)、最後の参加者が最初の応答評価を
完了した後、あるいはそうでなければ試験介入を中止した後、安全性に関する中間解析お
よび無益性に関する有効性中間解析が各コホートについて行われる。
【0321】
c. RP2Dが確立された後、有効性拡大フェーズにおけるコホート1および2が最初
の組み入れにオープンになる(上の安全性導入フェーズを参照されたい)。最初の12名
の参加者がそれぞれのコホートに組み入れられた後、そのコホートにおいて有効性評価が
実施される。この評価の間、コホート1および2への組み入れは継続される。≧50%の
ORR(12名の参加者のうち≧6名;コホート1有効性目標)がコホート1において達
成された場合、または≧8.3%のORR(12名の参加者のうち≧1名;コホート2有
効性目標)がコホート2について達成された場合、それぞれのコホートへの組み入れは参
加者約30名まで拡大される。コホート1または2のいずれかが有効性目標を達成した場
合、コホート3および4が組み入れにオープンになる。
【0322】
d. 最初の12名の参加者がコホート3または4のいずれかに組み入れられた後、その
それぞれのコホートにおいて有効性解析が実施される。この評価の間、組み入れは継続さ
れる。いずれかのコホートが≧16.7%のORR(12名の参加者のうち≧2名)を達
成した場合、そのコホートへの組み入れは参加者約30名まで拡大される。
【0323】
実施例6 モデリングおよびシミュレーションを用いた判定に基づく、複数の腫瘍タイプ
にわたったペンブロリズマブの6週ごとの(Q6W)投薬スケジュール
ペンブロリズマブは、現在、複数のがん適応症において使用が承認されている抗PD-
1チェックポイント阻害剤であり、200mgまたは2mg/kg Q3Wのいずれかの
用量で投与されたときの安全性および有効性が実証されている。代替的な延長投薬レジメ
ンは、患者および処方者の両方に利便性および柔軟性のベネフィットを与える。有効性お
よび安全性の両方についてのペンブロリズマブの薬物動態(PK)および曝露(濃度)-
応答(E-R)の関係の確固たる特性評価によって、モデルに基づくアプローチを用いて
ペンブロリズマブの代替的投薬レジメンをサポートすることが可能になる。
【0324】
ペンブロリズマブのQ6Wスケジュールの用量は、曝露量を、PKの定常状態が達成さ
れた後の承認されたQ3W(200mgおよび2mg/kg)レジメンと合わせることで
選択され;レジメン間の有効性および安全性は、E-Rの知識に基づいてブリッジされた
。PK曝露量は、全ての対象において定常状態を確実にするため、複数の腫瘍タイプにわ
たってPKを適切に説明したペンブロリズマブの確立された集団PKモデル(時間依存的
な消失を伴うもの)を用いて、投薬24週までシミュレートされた。有効性は、定常状態
での曝露計量値であるAUCssまたは時間平均濃度(Cavg,ss)およびトラフ濃
度(Cmin,ss)を用いてブリッジされ、レジメン間で比較された。Q6Wスケジュ
ールでのペンブロリズマブの安全性プロファイルは、予測される定常状態でのピーク濃度
(Cmax,ss)が臨床的に投与され良好に耐容される最大用量の10mg/kg Q
2Wのピーク濃度を下回ることを確実にすることによってブリッジされた。
【0325】
400mg Q6W投与後のペンブロリズマブのPKは、承認された200mg Q3
Wおよび2mg/kg Q3Wの投薬レジメンでのPKと類似したプロファイルになると
予測される(
図8を参照されたい)。レジメン間で比較した曝露計量値を表12にまとめ
る。ペンブロリズマブの400mg Q6W投薬レジメンは、200mg Q3Wで達成
されたものと比較して類似した予測曝露量(Cavg,ssまたはAUCss、幾何平均
(GM)が約1%高い)に基づいて選択された(
図7を参照されたい)。200mg Q
3Wおよび2mg/kg Q3Wのものと比較してCmin,ssが低くなると予測され
た対象は1%未満であった(
図8)。400mg Q6Wについて予測されるCmax,
ssは、複数の腫瘍タイプわたって許容される安全性を持つことが示されている10mg
/kg Q2Wで達成されたものよりも十分に下回っている(GMが約65%低い)(図
7を参照されたい)。類似した曝露プロファイル、および確立された臨床試験用量のペン
ブロリズマブに関する一律のE-R関係を考慮すると、400mg Q6Wで達成される
臨床結果は、腫瘍タイプ横断的に200mg Q3Wでの臨床結果と類似したものになる
と予想される。
【0326】
本明細書中で用いられたモデリングおよびシミュレーションのアプローチに基づくと、
ペンブロリズマブの400mg Q6W投薬レジメンは、承認された200mg Q3W
および2mg/kgの投薬レジメンと類似したPK曝露量をもたらすと予想される。PK
シミュレーションは、ペンブロリズマブ曝露量の点で、400mg Q6Wでの投与間隔
にわたる平均濃度(Cavg)(または曲線下面積[AUC])は承認された200mg
Q3W用量でのものと類似しており、それゆえに投薬レジメン間で有効性をブリッジす
ることを実証している。400mg Q6Wでのトラフ濃度(Cmin)は、大部分(>
99%)の患者において、概して2mg/kgまたは200mg Q3Wで達成された濃
度の範囲内であった。400mg Q6Wでのピーク濃度(Cmax)は、最も高い臨床
試験用量の10mg/kg Q2WのCmaxを十分に下回っており、400mg Q6
Wの安全性プロファイルが確立されたペンブロリズマブの安全性プロファイルと同程度で
あることをサポートしている。ペンブロリズマブの曝露量-応答(E-R)は適応症横断
的に一律であることが実証され、メラノーマおよびNSCLCにおけるOSの予測は、類
似した曝露量を考慮すると、400mg Q6Wでの有効性が200mgまたは2mg/
kg Q3Wでの有効性と同様であると予想されることを実証しており;それゆえに、4
00mg Q6Wは適応症横断的に有効であると予想される。
【0327】
表12.シミュレーションに基づいた400mg Q6W投薬レジメンについてのペンブ
ロリズマブのPK曝露計量値の概要
【表12】
【0328】
実施例7:進行性メラノーマを有する参加者における400mgのペンブロリズマブQ6
W静脈内注入の安全性および耐容性を判定するためのペンブロリズマブのフェーズ1ラン
ダム化臨床試験
この試験は、6週ごと(Q6W)に投与されたときのペンブロリズマブの薬物動態(P
K)、安全性および耐容性を評価するためにデザインされている。100名の参加者のコ
ホートに、400mgのペンブロリズマブQ6Wが与えられる。このコホートの参加者か
ら、PK、有効性および安全性のデータが収集される。進行性メラノーマを有する少なく
とも18歳の男性/女性の参加者が試験に組み入れられる。この試験において、年齢、生
物または多の特性に基づく階層化は用いられない。
【0329】
参加者は、サイクル1から18まで、400mgのペンブロリズマブQ6WのIV注入
を受ける。これらの参加者から、PK、有効性および安全性のデータが収集される。結果
は、Q6Wで投与されたときのペンブロリズマブの予備的なPK、有効性および安全性の
データを提供する。ペンブロリズマブの臨床薬理の確固たる理解および十分に確立された
そのE-Rプロファイルに基づくと、このような投薬スケジュールの変更は、200mg
Q3Wのペンブロリズマブが承認されている全ての処置状況(単剤治療および他の剤と
の組み合わせを包含する)において、同様の有効性および安全性を生み出すものと予想さ
れる。それゆえに、400mg Q6Wレジメンは、モデリングおよびシミュレーション
解析に基づいたペンブロリズマブの臨床使用におけるより低頻度の投与レジメンとして、
200mg Q3Wと同様のベネフィット-リスクプロファイルを持つものである。
【0330】
試験デザイン
試験は、進行性メラノーマを有する参加者におけるペンブロリズマブのランダム化、ク
ロスオーバー、多施設共同、非盲検の安全性試験であり、臨床試験実施基準(Good
Clinical Practices、GCP)に準拠して行われる。このフェーズ1
試験は、切除不能または転移性のメラノーマを有する参加者において行われる。処置期間
は、42日ごとに最大18サイクル(約2年間)継続する。処置は、参加者が処置からベ
ネフィットを受けており、病勢進行がない、または試験離脱に関するいずれかの基準を満
たしていない限り、継続される。より詳細には、試験は以下からなる:(1)参加者が試
験に適格であることを確実にするための最大28日間持続するスクリーニング期間、およ
び(2)約104週間のペンブロリズマブでの処置を行う介入期間。参加者は、最大で1
8サイクル、ペンブロリズマブをIV注入を介して30分かけてQ6Wで受ける。および
(3)参加者が、AEについて30日間、重篤有害事象(SAE)について90日間(参
加者が新たな抗がん治療を開始した場合は30日間)モニターされるフォローアップ期間
。処置中止時にAEが継続している参加者は、解決、安定化、その事象が他の方法で説明
される、または参加者がフォローアップ不能になるまでフォローアップされる。
【0331】
放射線学的な病勢進行以外の理由のために中止した参加者には、RECIST 1.1
に従って放射線学的に病勢進行が文書に記録されるまで、および臨床的に適切な場合には
iRECISTに従って施設によって確認されるまで、試験でないがん処置の開始まで、
同意の撤回まで、フォローアップ不能になるまで、または試験終了まで、疾患状態につい
ての処置後フォローアップイメージングが行われる。全ての参加者は、死亡するまで、参
加者の同意撤回まで、フォローアップ不能になるまで、または試験終了まで、生存フォロ
ーアップ期間中の全生存期間について電話によって追跡調査される。試験が完了したら、
参加者は、利用可能な場合、ペンブロリズマブ拡大試験に組み入れられ得る。
【0332】
この試験に組み入れられる全ての参加者は、進行性メラノーマと診断されている。試験
の結果は、Q6W投薬レジメンで投与されたときのペンブロリズマブのPK特性の理解に
貢献する。治験の全身性抗がん処置を判定するために一般的に用いられる安全性パラメー
ターは、限定されるものではないが、有害事象(AE)/重篤有害事象(SAE)の発生
率、因果関係および転帰;ならびにバイタルサインおよび臨床検査値の変化といった安全
性エンドポイントとして包含される。AEは、米国国立がん研究所の有害事象に関する共
通用語基準(National Cancer Institute Common T
erminology Criteria for Adverse Events、[
NCI CTCAE]Version 4.0)によって規定されているとおりに評価さ
れる。
【0333】
この治験の目的は、IV注入としてQ6W投与後のペンブロリズマブのPKプロファイ
ルを特性評価することである。PKデータは、全ての参加者がサイクル5を完了した後に
解析される。PKパラメーターは、AUC、CmaxおよびCminを包含する。抗薬物
抗体(ADA)の形成は、治療的用量での薬物曝露を潜在的に混乱させ、その後の輸注関
連毒性を刺激し得る。サイクル1、2、4および5の各々の開始時のペンブロリズマブに
対する抗薬物抗体応答が決定される。ADAの存在がペンブロリズマブの曝露に対して何
らかの影響を与えるかが調査される。
【0334】
この試験は、主要評価項目として、盲検下の独立中央判定機関(blinded in
dependent central review、BICR)によって評価されるR
ECIST 1.1基準に基づいたORRを用いる。客観的奏効率は、特に効果の規模が
大きく、その治療が許容されるリスク/ベネフィットプロファイルを持つ場合には、新規
抗悪性腫瘍治療の優位性を実証する後期試験についての臨床的ベネフィットの測定値とし
て許容される。ORRを評価するためのBICRおよびRECIST 1.1の使用は、
一般的に、規制当局によって許容されると考えられる。画像はイメージングCRO(iC
RO)に提出され、処置割り付けを盲検化した独立中央判定機関によって読影されること
で、応答評価のバイアスを最小化する。
【0335】
全生存期間(OS)は、副次エンドポイントであり、ランダム化臨床試験において新規
抗悪性腫瘍治療の優位性を実証するためのゴールドスタンダードとして認識されている。
RECIST 1.1は、有効性判断のために画像を評価するときにBICRによって、
および適格性を決定するときに現地によって用いられる。免疫学的治療法評価のための改
変RECIST 1.1(Modified RECIST 1.1 for immu
ne-based therapeutics、iRECIST)評価は、RECIST
ワーキンググループによって開発、発表されたものであり、米国食品医薬品局(US F
ood and Drug Administration)および欧州医薬品庁(Eu
ropean Medicines Agency)からの参加と共に、産業界および学
術界の主要な専門家からの情報を含んでいる。標的病変の一次元的な測定、非標的病変の
定性的な評価、および応答カテゴリーは、RECIST 1.1によって進行が認められ
るまではRECIST 1.1と同じである。しかし、参加者が臨床的に安定している場
合、放射線画像的な進行を確認するために追加のイメージングを実施し得る。iRECI
STは、試験責任医師によって腫瘍の応答および進行を評価して処置決定を行うために用
いられ、同様に、指定された場合には探索的な有効性解析にも用いられる。
【0336】
選択基準
参加者は、次の基準の全てに当てはまる場合のみ、試験に含めることに適格である:
・ 参加者は、組織学的または細胞学的に進行性メラノーマと確定診断されている。
【0337】
・ 参加者に、切除不能なステージIIIまたはステージIVのメラノーマがあり、米国
がん合同委員会(American Joint Committee on Canc
er、AJCC)の病期分類システムによると局所治療を受け入れられない。
【0338】
・ 参加者は、次のものを除いて進行性または転移性の疾患に対する処置を受けていない
:BRAF V600変異メラノーマは、標準的な標的療法(例えば、BRAF/MEK
阻害剤、単独または組み合わせ)を受けていてもよく、この試験に適格であり得る。
【0339】
・ 先行するアジュバントまたはネオアジュバントのメラノーマ治療は、それがランダム
化の少なくとも4週前には完了し、全ての関連するAEがベースラインに戻っている、ま
たは安定化されている(直近の先行治療の毒性効果がグレード1以下に消失している(脱
毛を除く))場合は認められる。対象が大きな手術または>30Gyの放射線治療を受け
た場合、その介入からの毒性および/または合併症から回復していなければならない。
【0340】
女性の参加者は、妊娠しておらず、授乳中でもなく、かつ治療期間中および少なくとも
120日間、特定の避妊ガイダンスに従うことに同意するか、またはインフォームドコン
セントを提供した場合、参加に適格である。
【0341】
参加者は、米国東海岸がん臨床試験グループ(Eastern Cooperativ
e Oncology Group、ECOG)のパフォーマンスステータスが0(完全
に活動的で、病気になる前の全てのパフォーマンスを制限なく行うことができる)または
1(身体的に激しい活動は制限されているが、歩行可能で、軽度または座位の仕事、例え
ば軽い家事やオフィスワークを行うことができる)であって、表13に規定される適切な
器官機能を持つ必要がある。検体は、試験介入開始前72時間以内に採取される。
【0342】
【0343】
除外基準
参加者は、次の基準のいずれかに当てはまる場合、試験から除外される:
・ 参加者は、ランダム化または処置割り付け前の72時間以内に尿妊娠検査が陽性の、
妊娠可能な女性(WOCBP)である。尿検査が陽性である場合、または陰性と確認でき
ない場合、血清妊娠検査が必要とされる。
【0344】
・ 参加者は、切除不能または転移性のメラノーマに対する全身処置を先行して受けてい
る(上記の選択基準に記載されている場合を除く)。
【0345】
・ 参加者は、抗PD-1、抗PD-L1もしくは抗PD-L2での、または別の刺激性
もしくは共抑制性のT細胞受容体(例えば、OX-40およびCD137)を対象とする
剤での、またはアジュバントとして認められている抗CTLA-4以外のチェックポイン
ト経路を特異的に標的とする任意の他の抗体もしくは薬物での治療を先行して受けている
。
【0346】
・ 参加者は、試験処置開始の2週間以内に放射線治療を先行して受けている。参加者は
、全ての放射線関連毒性から回復しており、コルチコステロイドを必要とせず、放射線性
肺炎を持っていてはならない。
【0347】
・ 参加者は、試験薬の初回投薬前30日以内に生ワクチンを受けている。生ワクチンの
例としては、限定されるものではないが、麻疹、おたふくかぜ、風疹、水痘/帯状疱疹(
水ぼうそう)、黄熱病、狂犬病、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)および腸チフスワク
チンが挙げられる。注射用の季節性インフルエンザワクチンは一般に死菌ワクチンであり
、認められる;一方、経鼻インフルエンザワクチン(例えば、FluMist(登録商標
))は弱毒化生ワクチンであり、認められない。
【0348】
・ 参加者は、現在、治験薬の試験に参加している、または試験介入の初回投薬前4週以
内に治験薬の試験に参加していた、もしくは治験装置を使用していた。
【0349】
・ 参加者は、免疫不全と診断されている、または試験薬の初回投薬前7日以内に慢性的
な全身ステロイド治療(プレドニゾン換算で1日10mgを超える投薬)を、もしくは他
の任意の形態の免疫抑制治療を受けている。
【0350】
・ 参加者は、進行中の、または過去2年以内に積極的処置を必要とした、さらなる悪性
腫瘍を患っていることが判明している。注:治癒の可能性のある治療を受けた、皮膚の基
底細胞癌、皮膚の扁平上皮癌またはin situ癌腫(例えば、乳癌、in situ
子宮頸がん)を有する参加者は除外されない。
【0351】
・ 参加者は、活動性CNS転移および/または癌性髄膜炎を患っていることが判明して
いる。先行して脳転移の処置を受けた参加者は、再イメージング(注:再イメージングは
試験のスクリーニング中に実施する必要がある)によって少なくとも4週間、放射線学的
に安定しており(すなわち、進行のエビデンスがない)、臨床的に安定しており、試験介
入の初回投薬前の少なくとも14日間ステロイド処置を必要としないことを条件に参加す
ることができる。
【0352】
・ 参加者は、ペンブロリズマブおよび/またはその添加剤のいずれかに対して重度の過
敏症(≧グレード3)を患っている。
【0353】
・ 参加者は、眼のメラノーマを患っている。
【0354】
・ 参加者は、過去2年間に全身処置を必要とした活動性自己免疫疾患を患っている(す
なわち、疾患調節剤、コルチコステロイドまたは免疫抑制剤の使用を伴う)。補充治療(
例えば、チロキシン、インスリン、または副腎もしくは脳下垂体の機能不全に対する生理
的コルチコステロイド補充治療)は、全身処置の形態とはみなされず、認められる。
【0355】
・ 参加者は、ステロイドを必要とする(非感染性の)肺炎の既往があるか、現在肺炎を
患っている。
【0356】
・ 参加者は、全身治療を必要とする活発な感染症を患っている。
【0357】
・ 参加者は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染歴が判明している。
【0358】
・ 参加者は、B型肝炎(B型肝炎表面抗原(HBsAg)反応性と定義される)または
活動性C型肝炎ウイルス(HCV RNA[定性]が検出されるものと定義される)感染
歴が判明している。
【0359】
・ 処置を行う試験責任医師の見解において、試験結果を混乱させる可能性があり、全試
験期間にわたって参加者の参加を妨げる可能性があり、または参加者の参加が最良の利益
でない何らかの状態、治療、または検査異常の既往歴または現在のエビデンスが参加者に
ある。
【0360】
・ 参加者は、試験の要件に協力することを妨げるような精神障害または薬物乱用障害を
患っていることが判明している。
【0361】
・ 参加者は、妊娠中もしくは授乳中である、またはスクリーニング来院から開始して試
験介入の最終投薬後120日までの予定試験期間内に妊娠するもしくは子供を作ることが
予想される。
【0362】
試験介入の中止および参加者の離脱
試験介入の中止は、試験からの離脱を表すものではない。試験介入中止より後の臨床イ
ベントに関する特定のデータは試験にとって重要である可能性があるため、参加者が試験
介入を中止した場合でも、参加者が最後に予定していたフォローアップまでデータを収集
しなければならない。それゆえ、プロトコールで指定された処置期間の完了前に試験介入
を中止した全ての参加者は、引き続き試験に参加することになる。
【0363】
参加者は、いかなる理由であれ、いつでも試験介入を中止し得て、何らかの不都合が生
じた場合には、試験責任医師の裁量で試験介入から脱落し得る。加えて、参加者は、試験
介入が不適切な場合、試験計画に違反した場合、または管理上および/もしくは他の安全
上の理由のため、試験責任医師によって試験介入を中止され得る。
【0364】
次の理由のいずれかのため、参加者の試験介入を中止しなければならないが、参加者を
試験において引き続きモニターしなければならない:
・ 参加者または参加者の法的に認められる代理人が、研究介入の中止を要求した。
【0365】
・ 参加者が、連続して12週を超えて試験介入の投与を中断した、または累積で3回投
薬を受けていない。
【0366】
・ 参加者が、試験責任医師の見解では試験介入の投与継続によって参加者に不必要なリ
スクを負わせる医学的状態または個人的状況を持つ。
【0367】
・ 参加者が、血清妊娠検査で陽性が確認された。
【0368】
・ 参加者が、放射線画像的な病勢進行が確認された。
【0369】
・ 参加者に、何らかの悪性腫瘍の何らかの進行もしくは再発、または積極的な処置を必
要とする別の悪性腫瘍の発生がある。
【0370】
・ 参加者が、許容できない有害な経験をした。
【0371】
・ 参加者が、上記の別の悪性腫瘍以外に、処置のさらなる投与を妨げる病気を併発して
いる。
【0372】
・ 試験責任医師が処置の中止を決定した。
【0373】
・ 参加者が、再発性のグレード2の肺炎を再発した。
【0374】
・ 参加者が、ペンブロリズマブでの35回の処置(約2年)を完了した。
【0375】
参加者または参加者の法的に認められる代理人が試験への同意を撤回した場合、参加者
は試験から離脱する。参加者が試験から離脱した場合、今後、試験処置を受けることはな
く、予定されたプロトコール来院時に追跡調査されることもない。
【0376】
有効性/評価
腫瘍の評価は、全ての既知または疑わしい疾患部位を包含する。イメージングは、ベー
スライン時に、および病勢進行または脳転移が疑われるときに、胸部、腹部および骨盤の
コンピュータ断層撮影(CT)または磁気共鳴イメージング(MRI)を包含し得る。腫
瘍イメージングはCTにより取得することが強く好まれる。胸部、腹部および骨盤につい
ては、ヨード造影剤を使用したCTが禁忌とされるとき、または現地の慣行によって義務
付けられているときに、造影MRIが用いられ得る。脳については、MRIが最も好まし
いイメージングモダリティである。
【0377】
試験期間を通じて、参加者には同じイメージングモダリティ技術(理想的には同じスキ
ャナ、一貫した造影剤の使用)が用いられる。イメージング技術の一貫した使用は、既存
および新たな腫瘍量の評価の再現性を最適化すること、および奏効または進行の評価の精
度を向上させることに役立つ。全ての試験参加者についての全ての予定された画像は、試
験責任医師によって病勢進行がレビューされる。加えて、病勢進行を決定するために予定
外の時点で得られた画像(他のモダリティによって得られたものを包含する)(同様に、
他の理由のために得られたが、試験責任医師の評価に基づいて放射線学的な進行を捉えた
イメージング)も、試験施設でファイルされる。
【0378】
スクリーニング時のBICRによるRECIST 1.1に基づいた測定可能な疾患の
確認は、参加者の適格性を決定するために用いられる。参加者のイメージングがRECI
ST 1.1に従った標的病変としての選択のために適切な少なくとも1つの病変を示す
ことをBICRが確認することは、参加者割り付けの前に必要とされる。
【0379】
初回の腫瘍イメージング
スクリーニング時の初回腫瘍イメージングは、初回投薬日前28日以内に実施される。
サイクル1の処置1日目の後に得られた全てのイメージングは、スクリーニング評価に包
含されない。施設の試験チームはスクリーニング画像をレビューして、参加者がRECI
ST 1.1に従った測定可能な疾患を持つことを確認する。既存の転移の安定性を文書
に記録するために脳イメージングが実施される場合、可能であればMRIが用いられる。
MRIが医学的に禁忌である場合、造影剤を使用したCTが許容される代替手段である。
【0380】
試験中の腫瘍イメージング
初回の試験中イメージング評価は、初回投薬日から12週(84日±7日)時に実施さ
れる。その後の腫瘍イメージングは、9週(63日±7日)ごとに、または臨床的に指示
された場合はより頻繁に実施される。52週(365日±7日)後、処置を続ける参加者
は、12週(84日±7日)ごとにイメージングが実施される。
【0381】
客観的奏効は、再度のイメージング評価によって確認される。PRまたはCRを確認す
るための腫瘍イメージングは、最初の奏効の兆候が観察されてから少なくとも4週後に実
施される。参加者はその後、次に予定されるイメージング時点から、通常の予定イメージ
ングに戻る。確認のために追加イメージングを受けた参加者は、次に予定される腫瘍イメ
ージングが4週以内であれば受ける必要はなく;その後に予定されるイメージング時点で
腫瘍イメージングを再開し得る。
【0382】
改変iRECISTに従って、臨床的に安定している参加者における病勢進行(PD)
の最初の放射線学的エビデンスから4~8週後に、病勢進行が施設によって確認される。
病勢進行が確認されていない参加者は、試験責任医師の裁量で、施設によって進行が確認
されるまで処置を続け得る。確認イメージングを受けた参加者は、次に予定される腫瘍イ
メージングが4週以内であれば受ける必要はなく;臨床的に安定である場合、その後に予
定されるイメージング時点で腫瘍イメージングを再開し得る。施設によって評価される、
iRECISTによる病勢進行が確認された参加者は、試験処置を中止する。
【0383】
処置終了時およびフォローアップの腫瘍イメージング
試験介入を中止した参加者については、処置中止時(±4週のウィンドウ)に腫瘍イメ
ージングを実施する。前回のイメージングが中止日前4週以内に得られた場合、処置中止
時のイメージングは必須ではない。文書に記録された病勢進行のために試験介入を中止し
た参加者については、試験責任医師がiRECISTを実行しないことを選んだ場合、こ
れが最後に必要とされる腫瘍イメージングとなる。
【0384】
文書に記録された病勢進行がなく試験介入を中止した参加者については、新たな抗がん
処置の開始、病勢進行、妊娠、死亡、同意の撤回または試験の終了のいずれかが最初に起
こるまで、12週(±7日)ごとに、治療中に使用したのと同じイメージングスケジュー
ルを用いて、腫瘍イメージングによる疾患状態のモニタリングを継続するようあらゆる努
力を払うべきである。
【0385】
RECIST 1.1疾患評価
RECIST 1.1は、腫瘍応答、病勢進行日の評価のための主要な測定値として、
および疾患の状態に関連する全てのプロトコールガイドライン(例えば、試験介入の中止
)の基礎として用いられる。RECIST 1.1は、最大で合計5個、器官ごとに2個
の標的病変に言及しているが、このプロトコールは、より広範な腫瘍量サンプリングを可
能にすることが臨床的に妥当である場合、最大で合計10個、器官ごとに5個の標的病変
を許容する。
【0386】
iRECIST疾患評価
iRECISTは、RECIST 1.1に基づいているが、免疫治療薬で見られる固
有の腫瘍応答を考慮するように適合されている。iRECISTは、試験責任医師によっ
て腫瘍の応答および進行を評価して処置決定を行うために用いられる。臨床的に安定なと
き、参加者は、現地の放射線科と協働する試験責任医師によって進行が確認されるまで、
中止されない。この、初期の放射線学的PDにもかかわらず処置を継続することの許容は
、免疫療法開始後の最初の数ヶ月間に一過性の腫瘍再燃を起こし、その後に疾患応答を経
験する参加者もいるという知見を考慮している。
【0387】
臨床的に不安定であると判断された参加者はいずれも、施設で評価された最初の放射線
学的PDのエビデンスの時点で試験介入を中止され、iRECISTによるPDの確認の
ために再度の腫瘍イメージングを受ける必要はない。試験責任医師が処置継続を決定した
場合、参加者は引き続き試験介入を受け得て、試験責任医師の評価に従って、iRECI
STによるPDの確認のために4~8週間後に腫瘍評価を繰り返す必要がある。試験責任
医師による評価として、再度のイメージングでiRECISTに従ったPDが確認されず
、参加者が引き続き臨床的に安定している場合は、試験介入を継続し、通常のイメージン
グスケジュールに従う。PDが確認された場合、参加者は試験介入を中止する。
【0388】
参加者に放射線学的な進行(iCPD)が確認された場合、試験介入は中止されるが、
参加者が臨床的に意味のあるベネフィットを達成している場合は、試験介入を継続する例
外が考慮される。この場合において、試験介入を継続する場合、腫瘍イメージングは継続
して実施される。進行の最初の放射線学的エビデンス後のイメージングおよび処置要件の
概要を表14に提供する。
【0389】
表14 病勢進行の最初の放射線学的エビデンス後のイメージングおよび処置
【表14】
【0390】
安全性評価
安全性評価には、AEおよびSAEの収集、バイタルサインおよび臨床検査評価(妊娠
検査を包含する)のモニタリング、心電図(ECG)および身体検査の実施、ならびに併
用薬の検証が包含される。
【0391】
有害事象
試験責任医師または資格のある被指名人は、新規または悪化の可能性があるAEを判定
するために各対象を評価し、臨床的に指示された場合にはより頻繁に評価する。AEの評
価には、限定されるものではないが、その種類、発生率、重症度(米国国立がん研究所の
有害事象に関する共通用語基準[NCI CTCAE]Version 4.0)によっ
てグレード付け)、時期、重篤度、および試験薬との関連性が包含される。試験中に発生
した有害事象は、ベースラインの徴候および症候も含めて、記録される。
【0392】
全面的な身体検査
試験責任医師または資格のある被指名人は、スクリーニング期間中に全面的な身体検査
を実施する。臨床的に重要な異常所見は病歴として記録される。試験介入の初回投薬後、
新たな臨床的に重要な異常所見はAEとして記録される。
【0393】
指示身体検査
全面的な身体検査を必要としないサイクルについて、試験責任医師または資格のある被
指名人は、試験介入の投与前に臨床的に指示された指示身体検査を実施する。新たな臨床
的に重要な異常所見はAEとして記録される。
【0394】
バイタルサイン
バイタルサインは、5分の休息の後に半仰臥位で測定され、体温、収縮期および拡張期
血圧、呼吸数、心拍数および体重が包含される。身長はスクリーニング時にのみ測定され
る。
【0395】
心電図
標準的な12誘導ECGが、現地の標準的な手順を用いて実施される。スクリーニング
時の臨床的に重要な異常所見は病歴として記録される。臨床的に必要なときは、試験中に
追加のECG(複数可)が実施される。フォローアップECGで見られた臨床的に重要な
所見はAEとして記録される。
【0396】
臨床的安全性の臨床検査評価
表15に詳述される検査が、現地の検査機関によって実施される。試験責任医師によっ
て必要と決定されたら、試験中の任意の時点で追加検査が実施され得る。
【0397】
表15 プロトコールで必要とされる安全性の臨床検査評価
【表15】
【0398】
AE、SAEおよび他の報告可能な安全性事象の情報を収集する期間および頻度
同意書に署名した後、処置割り付け/ランダム化の前に発生した全てのAE、SAEお
よび他の報告可能な安全性事象は、参加者がプラセボ導入または他の導入処置を受けてい
る場合、その事象が原因で参加者が試験から除外された場合、またはその事象が、通常の
治療、食事もしくは手技のウォッシュアウトもしくは中止といったプロトコルで指定され
た介入の結果である場合、試験責任医師によって報告されなければならない。処置割り付
け/ランダム化の時点から試験介入休止後30日までの全てのAEは、試験責任医師によ
って報告されなければならない。
【0399】
処置割り付け/ランダム化の時点から試験介入休止後90日、または参加者が新たな抗
がん治療を開始した場合は試験介入休止後30日の何れか早いほうの日まで、重篤基準を
満たす全てのAEは、試験責任医師によって報告されなければならない。加えて、上の指
定期間から外れた時に試験責任医師に注意喚起された全てのSAEは、その事象が薬物に
関連していると考えられる場合、直ちに報告される。
【0400】
有効性解析のための統計手法
客観的奏効率(ORR)-ORRは、BICRによって検証されたCRまたはPR確認
を達成したと報告された参加者の数を、APaT集団に包含される参加者の数で割った比
率として算出される。ORR評価のないAPaT解析集団の参加者は、非レスポンダーと
してカウントされる。95%正確二項CI(Clopper and Pearson,
1934の手法に基づく)は、真のORRについて算出される。
【0401】
無増悪生存期間(PFS)-PFS分布を推定するため、ノンパラメトリックのKap
lan-Meier法が用いられる。試験処置初日からの様々なフォローアップ時間でP
FS中央値およびPFS点推定値についての95% CIが算出される。病勢進行は定期
的に評価されることから、PDは、PDが文書に記録されなかった最後の評価とPDが文
書に記録されている評価との間の時間間隔のいずれの時点でも起こり得る。PDの真の日
付は、BICRによってRECIST 1.1に基づいてPDが客観的に文書に記録され
た最初の評価の日に近い。死亡は、常にPFS事象とみなされる。PFS事象が発生しな
かった参加者は、最後の疾患評価で打ち切られる。 PFSの解析のため、事象(PDま
たは死亡)が2回以上の疾患評価未実施の直後である場合、データは来院未実施の前の最
後の疾患評価で打ち切られる。また、新たな抗がん治療後のデータは、新たな抗がん治療
を開始する前の最後の疾患評価で打ち切られる。参加者が複数の打ち切り基準を満たす場
合、最も早く発生した打ち切り基準が適用される。
【0402】
全生存期間(OS)-OS分布を推定するため、ノンパラメトリックのKaplan-
Meier法が用いられる。試験処置初日からの様々なフォローアップ時間でOS中央値
およびOS点推定値についての95% CIが算出される。
【0403】
奏功持続期間(DOR)-DORは、ノンパラメトリックのKaplan-Meier
法を用いて記述的に要約される。CRまたはPRを示した参加者のサブセットのみがこの
解析に包含される。
【0404】
キー有効性エンドポイントの解析ストラテジー
表16に、キー有効性エンドポイントの主要解析アプローチをまとめる。
【0405】
表16. キー有効性エンドポイントの解析ストラテジー
【表16】
【0406】
安全性解析のための統計手法
安全性および耐容性は、有害経験および臨床検査パラメーターを包含する全ての関連の
パラメーターの臨床的審査によって評価される。全てのAE、薬物関連AE、重篤AE、
薬物関連および重篤の両方であるAEを有する参加者、ならびにAEが原因で中止した参
加者のパーセンテージからなる幅広のAEのカテゴリーは、95% CIを伴う点推定値
によって要約される(表17)。
【0407】
表17. 安全性パラメーターの解析ストラテジー
【表17】
【0408】
AEは、試験介入に関係すると考えられるか否かにかかわらず、時間的に試験介入の使
用に伴った、臨床試験参加者におけるあらゆる不都合な医学的出来事である。それゆえ、
AEは、時間的に薬物の使用に伴った、あらゆる好ましくない意図しない徴候(検査所見
の異常を包含する)、症候または疾患(新規または増悪)であり得る。次のものがAEと
して包含される:
・ あらゆる異常な臨床検査結果(血液、臨床化学または尿検査)または他の安全性評価
(例えば、ECG、放射線スキャン、バイタルサイン測定)。ベースラインから悪化した
もの、または試験責任医師の医学的および科学的な判断において臨床的に重要と考えられ
るものを包含する。
【0409】
・ 慢性的または断続的な既存状態の増悪。状態の頻度および/または強度の増加を包含
する。
【0410】
・ 試験開始前に存在していた可能性があるにもかかわらず、試験介入投与後に検出また
は診断された新たな状態。
【0411】
・ 薬物-薬物相互作用が疑われる徴候、症候または臨床的後遺症。
【0412】
・ 試験介入または併用薬の過量摂取が疑われる徴候、症候または臨床的後遺症。
【0413】
・ 試験中の悪性腫瘍の徴候および症候の悪化は、AEとして報告される。放射線画像ま
たは他の方法での悪性病変の測定によって評価される病勢進行は、その事象が入院加療ま
たは死亡に至らないかぎり、AEとして報告されない。
【0414】
次の事象は、この試験の目的のため、AEの定義を満たさない:
・ 医学的または外科的な手技(例えば、内視鏡検査、虫垂切除):その手技に至らせた
状態がAEである。
【0415】
・ 不都合な医学的出来事が発生しなかった状況(社会的および/または便宜的に病院に
入ること)。
【0416】
・ 試験開始時に存在するまたは検出された既存の疾患(複数可)または状態(複数可)
の予期された日々の変動であって、悪化しないもの。
【0417】
・ 既存の状態を処置するためにインフォームドコンセントの前に予定された手術であっ
て、悪化していないもの。
【0418】
事象が上の定義に従ったAEでない場合、重篤条件を満たすとしてもそれはSAEには
ならない。SAEは、いずれかの用量での、次のような何らかの不都合な医学的出来事と
して定義される:
・ 死に至るもの。
【0419】
・ 生命を脅かすもの。「重篤」の定義における用語「生命を脅かす」とは、事象の時点
で参加者が死のリスクにさらされていた事象を指す。これは、仮に、より重症であれば死
の原因となる可能性があった事象を指すものではない。
【0420】
・ 患者の入院加療または既存の入院加療の延長を必要とするもの。入院加療は、滞在期
間の長さによらず、観察を続けるための予防的措置であった場合でも、患者の入院と定義
される。悪化していない既存の状態を処置する待機手術のための入院加療は、SAEでは
ない。既存の状態は、MSD製品の使用前に診断され、参加者の病歴に記録されている臨
床的状態である。
【0421】
・ 持続的または重大な能力障害/能力喪失をもたらすもの。能力障害という用語は、人
間の正常な生活機能を遂行する能力の実質的な崩壊を意味する。この定義は、日常の生活
機能に干渉または妨げることはあるが、実質的な崩壊を構成するものではない比較的医学
的意義が小さい経験、例えば合併症を伴わない頭痛、吐き気、嘔吐、下痢、インフルエン
ザおよび偶発的な外傷(例えば、足首の捻挫)などを包含することを意図したものではな
い。
【0422】
・ 診断までの時間にかかわらず、本製品を摂取した参加者の子孫に先天性異常/出生時
欠損があること。
【0423】
他の状況、例えば直ちに生命を脅かす、もしくは死亡もしくは入院加療に至るものでは
ないが、参加者を危険にさらす可能性のある重要な医学的事象、または上の定義に収載さ
れる他の結果のうちの1つを防ぐために医学的もしくは外科的介入を必要とする可能性の
ある重要な医学的事象などにおいてSAE報告が適切かどうかを決める際には、医学的ま
たは科学的な判断が働く。これらの事象は通常、重篤であると考えられる。このような事
象の例としては、侵襲性もしくは悪性のがん、アレルギー性気管支痙攣に対する救急処置
室もしくは自宅での集中処置、入院に至らない血液疾患もしくは痙攣、または薬物依存も
しくは薬物乱用の発生が挙げられる。
【0424】
人口統計およびベースライン特性
スクリーニングされ、割り付けられた対象の数およびパーセンテージ、スクリーニング
不成功の主な理由、および中止の主な理由は、表に出される。全ての組み入れられた対象
についての人口統計学的変数(例えば、年齢、性別)、ベースライン特性、主要および副
次的診断、ならびに先行治療および併用治療が、記述統計量またはカテゴリー別の表によ
ってまとめられる。
【0425】
サブグループ解析
奏功率が様々なサブグループ間で一致しているか決定するために、次の分類変数の各カ
テゴリー内で、主要エンドポイントについて奏功率の推定値(名目上の95%CIを伴う
)が推定される。
【0426】
・ 年齢カテゴリー(<65歳 vs. ≧65歳)
・ 性別(女性 vs. 男性)
・ 人種(白人 vs. 非白人)
・ 病期(III vs. IVM1a vs. IVM1b vs IVM1c)
・ 脳転移(あり vs. なし)
・ ECOGステータス(0 vs. 1)
・ PD-L1ステータス(陽性 vs. 陰性)
・ BRAF野生型 対 BRAF変異(先行処置なし) 対 BRAF変異(先行処置
あり)
フォレストプロットが作成され、これは、上に収載されるサブグループのカテゴリーに
わたる処置効果についての推定される点推定値およびCIを提供する。 参加者が10名
未満の特定のサブグループは、解析から除外される。
【0427】
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本明細書中で引用される全ての参考文献は、各々の個別の刊行物、データベースエント
リー(例としてGenbank配列またはGeneIDエントリー)、特許出願または特
許が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に指し示されていた場合と同程度に、
参照により組み込まれる。米国仮出願62/755,756は、その全体が参照により組
み込まれる。参照による組み込みについてのこの記述は、出願人により、37 C.F.
R. §1.57(b)(1)に従って、かかる引用が参照による組み込みについての専
用の記述に直接隣接していなくとも、その各々が37 C.F.R. §1.57(b)
(2)に従って明確に同定されているあらゆる個別の刊行物、データベースエントリー(
例としてGenbank配列またはGeneIDエントリー)、特許出願または特許と関
連付けることが意図されたものである。明細書の中に参照による組み込みについての専用
の記述を含めることは、もしあったとしても、参照による組み込みについてのこの一般的
な記述を何ら弱めるものではない。本明細書中の参考文献の引用は、参考文献が関連する
従来技術であるという自認とは意図されず、これらの刊行物または文書の内容または日付
に関して何らの自認を構成するものではない。特許請求の範囲の用語について参考文献が
本明細書中に提供される定義と矛盾する定義を提供する範囲で、本明細書中に提供される
定義が、特許請求の範囲に記載の発明を解釈するために用いられる。
抗LAG3抗体を含む、患者においてがんを処置するための医薬組成物であって、200mgで静脈内注入を介して3週ごとの1日目に投与されるペンブロリズマブとともに、抗LAG3抗体が、700mgまたは800mgで静脈内注入を介して3週ごとの1日目に投与され、抗LAG3抗体が2つの重鎖および2つの軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号23のアミノ酸配列を含み、軽鎖は配列番号22のアミノ酸配列を含む、前記医薬組成物。
抗LAG3抗体およびペンブロリズマブを含む、患者においてがんを処置するための医薬組成物であって、ペンブロリズマブが、200mgで静脈内注入を介して3週ごとの1日目に投与され、抗LAG3抗体が、800mgで静脈内注入を介して3週ごとの1日目に投与され、抗LAG3抗体が2つの重鎖および2つの軽鎖を含み、ここで重鎖は配列番号23のアミノ酸配列を含み、軽鎖は配列番号22のアミノ酸配列を含む、前記医薬組成物。
がんが、非マイクロサテライト高不安定性(非MSI-H)またはミスマッチ修復良好(pMMR)の結腸直腸がんである、請求項1から3のいずれか一項の医薬組成物。
がんが、非マイクロサテライト高不安定性(非MSI-H)またはミスマッチ修復良好(pMMR)の子宮内膜がんである、請求項1から3のいずれか一項の医薬組成物。
PD-L1発現を、配列番号21の重鎖可変領域アミノ酸配列および配列番号16の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗PD-L1抗体を用いて、ホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍組織切片における免疫組織学的検出によって測定する、請求項18または19に記載の医薬組成物。
がんが、非マイクロサテライト高不安定性(非MSI-H)またはミスマッチ修復良好(pMMR)の結腸直腸がんであり、患者の腫瘍組織切片の、PD-L1発現についての組み合わせ陽性スコアが≧1%である、請求項2の医薬組成物。
がんが、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)であり、患者が、先行して抗PD-1もしくは抗PD-L1治療を受けた際に進行性であると確認されている、請求項2の医薬組成物。