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特開2024-156922多入力、多出力アクチュエータ及びこれを用いたアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156922
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】多入力、多出力アクチュエータ及びこれを用いたアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B60K 7/00 20060101AFI20241029BHJP
   B60G 3/28 20060101ALI20241029BHJP
   B60G 3/20 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
B60K7/00
B60G3/28
B60G3/20
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024130649
(22)【出願日】2024-08-07
(62)【分割の表示】P 2021531244の分割
【原出願日】2019-12-03
(31)【優先権主張番号】62/774,813
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/862,786
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514315012
【氏名又は名称】インディゴ テクノロジーズ, インク.
【氏名又は名称原語表記】INDIGO TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】モリアルティ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ジョバナルディ マルコ
(72)【発明者】
【氏名】イニリオ ヘクター エー.
(72)【発明者】
【氏名】マッデン ピーター
(57)【要約】      (修正有)
【課題】反力トルクが減法され、差動トルク出力が得られるアクチュエータを提供する。
【解決手段】アクチュエータには、モータ、トランスミッション、及び支持構造が含まれている。モータは、それぞれの入力トルクをロータに印加する2つのトルク源を含み、ロータは、正味の入力トルクに応じて回転軸の周りに回転する。トルク源は、入力トルクが加法されて、ベクトル和されたトルク出力となるように配列される。またトルク源は、第1のステータ及び第2のステータに印加される対応する反力トルクを生成する。トランスミッションは、第1のステータ及び第2のステータを、一方のステータの回転運動によって他方のステータの逆回転が生じるように結合して制限している。
【選択図】図4C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35USC119(e)の下で、2019年6月18日に出願され、「A Multi-Input,Multi-Output Actuator」と題された米国特許出願第62/862,786号、及び2018年12月3日に出願され、「A Multi-Input,Multi-Output Actuator」と題された米国特許出願第62/774,813号の優先権利益を主張する。これらの出願はそれぞれ、すべての目的に対してその全体において参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
電気を変換して家電製品、電動工具、及び自動車両における機械的力及び/または動きを得るために、電動モータが用いられる。典型的な電動モータのコストは主に、その製造で用いる原材料のコストに依存する。たとえば、電動モータのコイル内で用いる希土類磁石及び銅は典型的に、モータの全体コストに対する最大の要因である。機械システムのコストを下げるために、単一モータを用いて複数のサブシステムにパワー供給することが望ましい場合が多い。
【0003】
1つのモータを用いて多くのサブシステムを駆動することに対する良く知られたアプローチの1つは、ギア及び/またはスイッチを用いて、どのサブシステムをモータによって駆動するかを制御することである。たとえば、モータに結合されたギアボックスが複数のギアを有する場合があり、各ギアの出力が異なるサブシステムに結合されている。このように、単一モータを用いて2つ以上のサブシステムを駆動する場合があるが、ギアボックスがパワーを送れるのは一度に1つの機能のみである場合にはサブシステムは同時には使用されないという制限があることが多い。
【0004】
図1A~1Cに、運動学的に等価なアクチュエータアセンブリ100a~100cを示す。これらは、車輪自動車における2つの機能(推進及びアクティブサスペンション)を同時に実行するために用いることができる。図1Aのアクチュエータアセンブリ100aには、支持構造150に結合された軸方向磁束モータ120が含まれている。軸方向磁束モータ120には、スピンドル124にマウントされたロータ121が含まれている。ロータ121は、トルク源によって第1のステータ122及び第2のステータ123に印加されるトルク入力に応じて回転する。スピンドル124は基準接地11に結合されている(たとえば、道路と接触するホイールを介して)。スピンドル124はさらに、支持構造150に結合されている。支持構造150はシャーシ12に直接結合されている。シャーシ12には、アーム144a上にマウントされたジョイントハウジング142が含まれている。ジョイントハウジング142は、支持構造150に対してスライド可能に調整することができる。さらに、バネ152がジョイントハウジング142と支持構造150とに結合されて、サスペンションとしての復元力をもたらす。
【0005】
第1のステータ122は、ジョイントハウジング142に、リンク145aを介してノード146において結合され、第2のステータ123は、ジョイントハウジング142に、リンク145bを介してノード147において結合されている。リンク145a及び145bは、ノード143においてジョイントハウジング142に結合している。サスペンションを駆動するために、第1のステータ122及び/または第2のステータ123に反力トルクが印加される。その結果、シャーシ12上に力が及ぼされて、モータ120は支持構造150に沿ってシャーシ12に対して並進運動する(たとえば、図1Aで上下移動する)。
【0006】
図1Bに、車両を推進させること及び車両用のアクティブサスペンションをもたらすことの両方を行う別のアクチュエータアセンブリ100bを示す。この場合もやはり、シャーシ12は、アーム144b内のスロット149a及び149bを介して軸方向磁束モータ120に直接結合されている。スロット149a及び149bは、第1のステータ122にノード146においてまた第2のステータ123にノード147においてマウントされたピンに結合している。
【0007】
図1Cに、推進及びアクティブサスペンションをもたらす別のアクチュエータアセンブリ100cを示す。シャーシ12にはアーム144cが含まれている。アーム144cは、ジョイントハウジング142に結合する代わりに、リンク145a及び145bにノード148a及び148bにおいてそれぞれ結合している。リンク145a及び145bは、図1Aと同様に、第1のステータ122及び第2のステータ123にノード146及び147においてそれぞれ結合している。
【発明の概要】
【0008】
図1A~1Cのアクチュエータアセンブリ100a~100c(まとめて、アクチュエータアセンブリ100)はロータ121を回転させて、サスペンションを並進運動させることができる。アクチュエータアセンブリ100が用いられる理由は主に、モータ120の出力がシャーシ12に直接結合されることに由来するその統合化の簡単さからである。しかし、これらのアクチュエータアセンブリ100はいくつかの不備な点を欠点として持っている。第1に、アクチュエータアセンブリ100は、支持構造150とシャーシ12との間の力/トルクを反映することができない。なぜならば、第1のステータ122及び第2のステータ123に印加される反力トルクは、シャーシ12によって散逸されるからである。言い換えれば、支持構造によって、シャーシに対するスピンドル124の並進運動が制限される。第1のステータ122及び第2のステータ123のどちらも、図1A~1Cに示すアクチュエータアセンブリ100内の支持構造にトルク負荷を与えない。
【0009】
この結果、アクチュエータアセンブリ100がさらなる出力をもたらすことを防ぐ。第2に、アクチュエータアセンブリ100は内蔵型メカニズムではなく、所望の駆動をもたらすためのシャーシ12との統合に基づく。その結果、シャーシ12には、アクチュエータアセンブリ100が適切に動作できるようにするためのある構造的特徴が必要であるということを意味する。
【0010】
したがって、本開示は、力/トルクを反映することができ及び/または広範囲のシャーシまたは他の基準構造と適合するアクチュエータを対象とする。例示的なアクチュエータとしては、モータ、トランスミッション、及び支持構造(サスペンション)を挙げてもよい。モータには、駆動用の入力トルクをもたらす1つ以上のトルク源が含まれていてもよい。トランスミッションは、アクチュエータがもたらす結果として得られる出力力/トルクを変更するために、トルク源を結合及び制限してもよい。たとえば、アクチュエータは、1つ以上の入力トルクの重ね合わせに基づく合計トルク出力をもたらしてもよい。その結果、トランスミッションは、逆回転運動を発生させるためにトルク源を結合及び制限してもよい。このようにして、アクチュエータは、1つ以上の入力トルクの差し引きに基づいて差動トルク出力をもたらしてもよい。
【0011】
アクチュエータからの出力力/トルクをさらに、種々の分力/トルクに分割してもよい。分力/トルクは、アクチュエータを他のサブシステムに接続する1つ以上のノードにおいて印加される。たとえば、出力力/トルクには、アクチュエータの支持構造及びシャーシとの間に印加される反映された力/トルクが含まれていてもよい。反映された力/トルクは、アクチュエータの他方の出力からの力/トルクにおけるアンバランスに応じて生じ
る。反映された力/トルクは、サブシステムを駆動するさらに別の出力をもたらしてもよい。たとえば、反映された力/トルクを、サスペンションにおけるアンチダイブ及び/またはアンチスクワット機能(たとえば、前方減速の間に車両の前部が下方に動くこと及び/または前方加速の間に車両の後部が下方に動くことを防ぐ)に対して用いてもよい。
【0012】
さらに、アクチュエータは、1つ以上の入力トルク及び/または反力トルクに基づいて種々の大きさ及び/または方向の出力の混合をもたらしてもよい。たとえば、トランスミッションは、1つ以上のトルク源の可動域及び/または運動比を制限することによって、各出力力/トルクの入力トルク/反力トルクへの依存性を変えてもよい。またアクチュエータは、入力間の非対称応答を形成するメカニズムを組み込んでもよい(たとえば、第1のトルク源は第2のトルク源を動かすが、第2のトルク源は第1のトルク源を動かすことができない)。
【0013】
1つの典型的な応用例では、アクチュエータは、車両のアクティブサスペンションシステムの一部を用いてもよい。アクチュエータは、MacPhersonストラットを介してアクチュエータに結合されたシャーシ及びアクチュエータ内のモータに結合されたホイールを含むアクチュエータアセンブリの一部であってもよい。ホイールはバネ下質量であり、シャーシはバネ上質量である。アクチュエータには、モータ及び/またはトランスミッションをシャーシに、バネ上質量をバネ下質量に対して動かすことができるコンポーネントを介して直接結合するロッカージョイントメカニズムまたはスライディングジョイントメカニズムが含まれていてもよい。
【0014】
一実施例では、車両用のアクチュエータには、サスペンションを介して車両のシャーシに接続された支持構造、支持構造に結合されたトランスミッション、ならびに支持構造及びトランスミッションに結合されたモータが含まれている。モータには、回転軸の周りに回転するロータ、回転軸と同心の第1のステータ、及び回転軸と同心の第2のステータが含まれる。第1のステータは、第1のトルクをロータ及びサスペンションにトランスミッションを介して印加する。第2のステータは、第2のトルクをロータならびにサスペンション及び/またはシャーシに印加する。
【0015】
別の実施例では、車両用のアクチュエータアセンブリには、支持構造を伴う軸方向磁束モータ、回転軸を規定し、ハウジング内の開口部を通って延びるスピンドル、スピンドルに固定されたロータ、回転軸と同心の第1のステータ、及び回転軸と同心の第2のステータが含まれる。またアクチュエータアセンブリには、支持構造に強固に接続され、車両のシャーシに圧縮可能に結合されたサスペンション、サスペンションに回転可能に結合され、第1のステータ及び第2のステータに回転可能に結合されたトーションバー、ならびに第2のステータに回転可能に結合され、シャーシに回転可能に結合された引張圧縮部材が含まれている。
【0016】
一実施例では、車両のロータまたはサスペンションの少なくとも一方を駆動する方法には以下のステップが含まれる。(1)ロータに第1のトルクを印加することであって、ロータは回転軸の周りに回転するように構成されている、印加すること、(2)第1のトルクを印加する間に、ロータに第2のトルクを印加することと、(3)第1のトルクを印加することに応じて、回転軸の周りに回転するように構成された第1のステータに第1の反力トルクを印加すること、(4)第2のトルクを印加することに応じて、回転軸の周りに回転するように構成された第2のステータに第2の反力トルクを印加することであって、第2のステータは第1のステータにトランスミッションを介して結合されている、印加すること、(5)第1のステータからの第1の反力トルクの少なくとも一部をサスペンションに、トランスミッションを介して伝達すること、(6)第2のステータからの第2の反力トルクの少なくとも一部をサスペンションまたは車両のシャーシの少なくとも一方に伝
達することであって、シャーシはサスペンションに結合されている、伝達すること。
【0017】
前述の考え方及び以下でより詳細に説明するさらなる考え方のすべての組み合わせ(このような考え方が互いに矛盾していないならば)は、本明細書で開示した本発明の主題の一部と考えられる。詳細には、本開示の終わりに示される特許請求の範囲に記載される主題のすべての組み合わせは、本明細書で開示した本発明の主題の一部と考えられる。参照により組み込まれているいずれかの開示においてやはり示され得る本明細書で明確に用いられる専門用語には、本明細書で開示した特定の考え方に最も一致する意味を与えなければならない。
【0018】
当業者であれば理解するように、図面は主に説明を目的としており、本明細書で説明する本発明の主題の範囲を限定することは意図されていない。図面は必ずしも一定の比率ではない。場合によっては、異なる特徴部の理解を容易にするために、本明細書で開示した本発明の主題の種々の態様を図面内で誇張または拡大して示す場合がある。図面では、同様の参照文字は全般的に、同様の特徴部(たとえば、機能的に同様及び/または構造的に同様の要素)を指す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1A図1B、及び図1Cは、それぞれ車両推進及びアクティブサスペンションをもたらす第1の、第2の、及び第3のアクチュエータアセンブリを示す。
図2図2A及び図2Bは、シャーシに直接結合されたステータを伴う典型的なアクチュエータアセンブリを示す。
図3A】軸方向磁束モータを伴う典型的なアクチュエータの内側の図を示す。
図3B図3Aのアクチュエータの背面図を示す。
図3C図3Aのアクチュエータの外側の図を示す。
図3D図3Aのアクチュエータの斜視図を示す。
図4A】MacPhersonストラットサスペンションに結合された図3Aのアクチュエータを含むアクチュエータアセンブリの内側の図を示す。
図4B図4Aのアクチュエータアセンブリの背面図を示す。
図4C図4Aのアクチュエータアセンブリの斜視図を示す。
図5A】Panhardリンク及びドライブシャフトと同軸の差動シャフトを伴う典型的なアクチュエータの斜視図を示す。
図5B図5Aのアクチュエータの断面斜視図を示す。
図5C図5Aのアクチュエータの背面図を示す。
図5D図5Aのアクチュエータの内側の図を示す。
図5E図5Aのアクチュエータの断面図を示す。
図6A図5Aのアクチュエータをハブモータとして含む典型的なアクチュエータアセンブリを示す。
図6B】車両ホイールに対して内側にマウントされた図5Aのアクチュエータを含む別の典型的なアクチュエータアセンブリを示す。
図6C】ホイールアセンブリ内の振りアームサスペンションと統合された図5Aのアクチュエータを含む別の典型的なアクチュエータアセンブリの側面図を示す。
図7A】ベベルギアトランスミッションを伴う典型的なアクチュエータの断面図を示す。
図7B】デュアルベベルギアトランスミッションを伴う典型的なアクチュエータの断面図を示す。
図7C】遊星歯車トランスミッションを伴う典型的なアクチュエータの断面図を示す。
図7D】内部及び外部ステータを収容する支持構造の外側にベベルギアが配置されたベベルギアトランスミッションを伴う典型的なアクチュエータの断面図を示す。
図7E】遊星歯車が外部ステータ上の差動シャフトに内部ステータを結合する遊星歯車トランスミッションを伴う典型的なアクチュエータの断面図を示す。
図8A】マルチプーリトランスミッションを伴う典型的なアクチュエータを示す図を示す。
図8B】シングルプーリ駆動のトランスミッションを伴う典型的なアクチュエータを示す。
図8C】デュアルプーリ駆動のトランスミッションを伴う典型的なアクチュエータを示す。
図8D】シングルプーリ、デュアルベルト/ケーブルトランスミッションを伴う典型的なアクチュエータを示す。
図8E】デュアルヘリカルギアトランスミッションを伴う典型的なアクチュエータの側面図を示す。
図8F図8Eのアクチュエータの平面図を示す。
図9図9Aは、角柱スライディングジョイントを介してシャーシに直接結合されたトランスミッションを伴う典型的なアクチュエータアセンブリを示す。図9Bは、ロッカージョイントを介してシャーシに直接結合されたトランスミッションを伴う別の典型的なアクチュエータアセンブリを示す。
図10A】ロッカーリンクと、ドライブシャフトからずれてトーションバーと同軸の差動シャフトとを伴う別の典型的なアクチュエータの斜視図を示す。
図10B図10Aのアクチュエータの断面斜視図を示す。
図10C図10Aのアクチュエータの背面図を示す。
図10D図10Aのアクチュエータの内側の図を示す。
図10E図10Aのアクチュエータの断面図を示す。
図11A】トランスミッション内の二次ベベルギアにマウントされた差動シャフトを伴う典型的なアクチュエータの断面図を示す。
図11B】シャーシに直接結合されたデュアルギアトランスミッションを伴う典型的なアクチュエータの側面図を示す。
図12図12Aは、リンケージベースのトランスミッションを伴うアクチュエータを含む典型的なアクチュエータアセンブリの正面図を示す。図12B、Cは、それぞれ図12Aのアクチュエータの平面図、アクチュエータの内側の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に続くのは、種々のサブシステムに対する1つ以上の出力(たとえば、力、トルク)をもたらすアクチュエータに関する種々の考え方及びアクチュエータの実施態様(たとえば、モータ、トランスミッション、及び支持構造のアセンブリ)のより詳細な説明である。具体的には、トランスミッション、モータ、トランスミッション間の結合、支持体、モータ、及び/または基準構造、ならびにアクチュエータを統合するアクチュエータアセンブリに関する種々の態様について、本明細書で説明する。上記で導入され、以下でより詳細に説明する考え方を複数の方法で実施してもよい。具体的な実施態様及び応用例の実施例は主に、当業者に明らかな実施態様及び代替案を当業者が実施できるようにするための説明を目的として示されている。
【0021】
以下に説明する図及び実施例は、本実施態様の範囲を単一の実施形態に限定することは意図されていない。説明または例示した要素の一部または全部を置換することによって他の実施態様が可能である。また、開示した実施例の実施態様のある要素を、既知のコンポーネントを用いて部分的または完全に実施してもよいが、場合によっては、本実施態様を不明瞭にしないように、このような既知のコンポーネントのうち本実施態様の理解にとって必要なものについてのみ説明し、このような既知のコンポーネントの他の部分についての詳細な説明は省略する。
【0022】
以下の説明では、本発明のアクチュエータの種々の実施例が示されている。所与の実施例または実施例のセットによって、モータ(たとえば、ロータ、ステータ)、支持構造、及びトランスミッション(たとえば、トーションバー、リンケージ、遊星歯車、ベベルギア、ベルト、プーリ、ギアトレイン、トラック駆動システム)の1つ以上の特定の特徴部が示されている。モータ、ハウジング、及びトランスミッションを含むアクチュエータの所与の実施例と共に説明する特徴部を、本開示によるアクチュエータの他の実施例で用いることを、本明細書で開示した種々の特徴部が、本開示による所与のシステムに容易に組み合わされ得るように行ってもよい(これらの特徴部が互いに互換性がないという条件で)。
【0023】
全般的に、アクチュエータは、1つ以上の力/トルク入力に基づいて1つ以上のサブシステムを駆動することができる。アクチュエータがアクチュエータアセンブリ内の他のコンポーネントにどのように結合されるかに応じて、アクチュエータの出力を選択的に印加してもよいし(たとえば、一度に1つの出力のみを印加する)または同時に印加してもよい(たとえば、1つ以上の出力を同時に印加する)。
【0024】
いくつかの典型的な実施形態では、アクチュエータには、2つのトルク源であって、それぞれ、第1のコンポーネントを動かす(たとえば、ロータを回転させる)ためにトルク入力を印加するトルク源が含まれていてもよい。各トルク入力に対して、反力トルクを、第2のコンポーネント(たとえば、第1のステータ)及び第3のコンポーネント(たとえば、第2のステータ)(それぞれのトルク源を支持する)に印加してもよい。反力トルクは、トルク入力と同じ大きさであってもよいが、実質的に反対方向に印加される。こうして、第1、第2、及び第3のコンポーネントは全般的に、互いに対して動き得る。たとえば、第1、第2、及び第3のコンポーネントをそれぞれ、共通軸の周りに回転するように制限することによって、それぞれのコンポーネントが互いに対して回転するようにしてもよい。また第1、第2、及び第3のコンポーネントを他の機械的負荷によって制限してもよい。こうして、コンポーネントは、動く代わりに力またはトルクを伝達してもよい。このようにして、アクチュエータは複数の出力力/トルクをもたらしてもよい。
【0025】
さらに、各出力力/トルクをさらなる出力に分割してもよい(たとえば、力を、結合された出力ではあるがそれぞれ別個に用いられる2つのそれぞれの力成分に分割してもよい)。たとえば、アクチュエータを2つの異なるノードにおいてシャーシに結合してもよい。一方のノードにおいて、アクチュエータがシャーシ上に及ぼした力によって、アクチュエータが垂直方向に並進運動してもよい(たとえば、アクティブサスペンション)。他方のノードにおいて、アクチュエータとシャーシとの間に及ぼされた力によって、不要な水平方向の並進運動を防ぐか、減らすか、または並進運動に抵抗してもよい。
【0026】
本明細書で開示するアクチュエータには、電動モータ、たとえば軸方向磁束モータ、半径方向磁束モータ、または半径-軸方向磁束モータであって、実質的に等しいサイズ及び出力パワーの少なくとも2つのトルク源(たとえば、ブラッシュレス直流(DC)トルク源)を伴うものが含まれていてもよい。軸方向磁束モータでは、各トルク源を対応するステータにマウントすることができる。対応するステータは、印加される反力トルクに応じて回転してもよい。2つのステータがロータを共有してもよい。ロータには、それぞれのステータ上のコイルによって発生した磁場に応答する永久磁石が含まれる。単一のロータを2つのステータとともに用いることによって、アクチュエータの全体動作に対してさらなる効率がもたらされ得る。しかし、モータには2つ以上のロータが含まれていてもよい(たとえば、ステータあたり少なくとも1つのロータが含まれていてもよい)。
【0027】
さらに、以下で説明する典型的な実施形態は、アクチュエータをアクチュエータアセンブリに統合してロータを回転させ及び/またはサスペンション(たとえば、車両上の)を
駆動することに関するが、本発明のアクチュエータは他の応用例で用いてもよい。たとえば、アクチュエータは、車両動作(たとえば、限定することなく、最低地上高調整、ステアリング、サスペンションチューニング調整、及び/またはアンチダイブ/アンチスクワット)用の他の出力をもたらしてもよい。またアクチュエータを用いて、2つの動作モード(たとえば、シート調整)を伴う車両内の他の動的システムを動作させてもよい。アクチュエータをシャーシに、種々のタイプのサスペンション(たとえば、限定することなく、MacPhersonストラット、ロールスタビライザと同様のリンケージを通したシャーシへのトルク接続、または任意の他のサスペンションであって回転運動を直線運動に変換するのに適したもの)を用いて結合してもよい。
【0028】
2つ以上の自由度を駆動することができる単一のアクチュエータを有する効果は、スペース、材料、及び/または許容質量が限定される他の技術に応用され得る。このような応用例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない。水上車両用の船外ステアリングを伴う電気プロペラ、ジェット推進システムにおける推力偏向、航空機翼用の多自由度駆動システム、制御可能なピッチプロペラ駆動、種々の人工衛星搭載サブシステム(たとえば、キューブ人工衛星上)の駆動、さらなる動作程度(たとえば、アクティブカメラ安定性、調整)を伴う回転プラットフォーム、光学システムの安定性制御、医療用ツーリング及びデバイスに対する指向性及び回転コンポーネントの駆動、穿孔コンポーネント、複数の運動エネルギードメインからの環境発電、及び風力タービンのコンパクトな方位角制御。
【0029】
たとえば、インホイールモータまたは車両のバネ上質量もしくはシャーシ上の内側にマウントされたモータとして、アクチュエータを用いて、牽引を行う間の車両の最低地上高を調整してもよい。この場合、アクチュエータを道路車両の1つのコーナー(アクチュエータの出力の1つが、ホイールまたはホイールに回転可能に接続されたドライブシャフトに結合される)にマウントしてもよい。第2の出力を、車両の最低地上高を制御する高さ調整メカニズムに結合してもよい。各ホイールが、対応するアクチュエータ及び高さ調整メカニズムを有していてもよい。高さ調整メカニズムには、駆動されたときに車両のバネ上及びバネ下質量を結合するバネ(たとえば、メインサスペンションバネまたはロールスタビライザ)の一方の端部を動かす親ネジまたはボールネジが含まれていてもよい。別の高さ調整メカニズムには、バネ上及びバネ下質量間に配置されたねじりバネに結合されたギアまたはギアのセットが含まれていてもよい。別の実施形態では、メカニズムが出力軸の動きをピストンに変換することによって、耐荷メカニズム(たとえば、エアバッグまたは油圧シリンダ)に対する圧力を形成してもよい。
シャーシに直接結合されたステータを伴うアクチュエータ
【0030】
図2Aに、スライディングジョイントトランスミッションとシャーシ12に直接結合されたステータとを伴うアクチュエータアセンブリ200aの一実施例を示す。図示したように、アクチュエータアセンブリ200aにはアクチュエータ210aが含まれ、アクチュエータ210aはモータ220、トランスミッション240a、及び支持構造250を伴っている。モータ220には、スピンドル224に取り付けられたロータ221が含まれている。スピンドル224は回転軸13を規定している。スピンドル224を、基準接地11(たとえば、スピンドル224に固定されて道路と接触するホイール)に機械的に結合してもよい。モータ220にはさらに、第1のステータ222及び第2のステータ223が含まれている。これらはそれぞれ、ロータ221に入力トルクを印加するトルク源(図示せず)を支持する。第1のステータ222及び第2のステータ223は、1つ以上のベアリングを介してスピンドル224と同軸にマウントしてもよい。こうして、第1のステータ222及び第2のステータ223をスピンドル224に対して回転させてもよい。スピンドル224をさらに、支持構造250(たとえば、MacPhersonストラットのストラットハウジング)に結合してもよい。支持構造250は、ストラット253
(シャーシ12に堅固に結合されている)に沿ってスライド可能に調整できてもよい。場合によっては、支持構造250及びストラット253は角柱スライディングジョイントを構成してもよい。アクチュエータアセンブリ200aにはさらに、アクチュエータ210aが静的負荷の下にあるときに支持構造250をストラット253に沿った特定の位置に維持する復元力を与えるバネ254a及び254bが含まれていてもよい。
【0031】
トランスミッション240aには、スライディングジョイントハウジング242が含まれていてもよい。スライディングジョイントハウジング242は、モータ220を支持構造250に結合し、支持構造250を介してシャーシ12への横力に対して反作用を及ぼす。図示したように、トランスミッション240aにはリンク245a及び245bが含まれていてもよい。これらは、一端において、第1のステータ222にノード246において、第2のステータ223にノード247において、それぞれ結合し、もう一端において、ジョイントハウジング242にノード243において結合している。リンク245a及び245bをノード247、246、及び243にピンジョイント(またはボールジョイント)を介して結合して、並進運動を限定しながら、それぞれのノードの周りの回転運動を可能にしてもよい。ジョイントハウジング242は支持構造250に沿ってスライド可能であってもよい。さらに、第2のステータ223をシャーシ12にリンク248aを介して直接結合してもよい。図示したように、リンク248aを、第2のステータ223上のノード247とシャーシ12とにピンジョイントを介して結合してもよい。リンク248aは剛性または柔軟な引張圧縮部材であってもよい。
【0032】
第1のステータ222及び第2のステータ223に結合されたトルク源は、互いとは独立に入力トルクを発生させることができる。しかし、第1のステータ222及び第2のステータ223を、トランスミッション240aを介して互いに結合してもよい。さらに、アクチュエータ210aは、アクチュエータアセンブリ200aの他のコンポーネントに3つの場所において結合されている(すなわち、ロータ221が基準接地11に、支持構造250がシャーシ12にストラット253を介して、及び第2のステータ223がシャーシ12にリンク248aを介して)。こうして、アクチュエータ210aは、2つの独立した入力に対して最大で3つの力/トルク出力を与え得る。
入力トルク及び反力トルク
【0033】
前述したように、本明細書で説明するアクチュエータは、システム(たとえば、車両)の種々のサブシステムを機械的に駆動する(たとえば、ホイールを回転させる、サスペンションを駆動する)ための複数の出力を与えてもよい。図2Aに示すアクチュエータアセンブリ200aについて、アクチュエータ210aは、複数の力及び/またはトルク出力をもたらして、(1)ロータ221を回転させ(たとえば、ロータに結合されたホイールを回転させて推進させ)、及び/または(2)ストラット253に沿って支持構造250をスライド可能に調整する(たとえば、サスペンションを駆動する)ことによって、アクチュエータ210aをシャーシ12及び/または基準接地11に対して並進運動させ、及び/または第1のステータ222と第2のステータ223との間の余勢に基づいて、システム内の望ましくない力及び/または動きを補償してもよい(たとえば、車両がブレーキをかけているときのアンチダイブ及び/または車両が加速しているときのアンチスクワットをもたらして、車両安定性及び/またはオペレータの快適さを高める)。この実施例では、アクチュエータ210aの第1のステータ222及び第2のステータ223に印加される反力トルクによって生成される余勢を、異なる方向に沿って印加される2つの力成分(たとえば、2つの直交する力成分)に分離してもよい。2つの力成分の大きさ及び/または方向を結合してもよい。さらに、余勢をリンク248aを介して非ゼロの力として印加してもよく、及び/または支持構造250を介して(1)リンク248a及び(2)ストラット253に別個の分力として印加してもよい。
【0034】
1つのケースでは、第2のステータ223に結合されたトルク源が非作動のままである一方で、第1のステータ222に結合されたトルク源が、ロータ221に印加される入力トルクを発生させてもよい。入力トルクによって、ロータ221が基準接地11に対して回転軸13の周りに回転してもよい。第1のステータ222が入力トルクを発生させると、対応する反力トルクも発生して第1のステータ222に印加される。反力トルク及び入力トルクの大きさは実質的に等しくてもよいが、トルクが印加される方向は実質的に反対であってもよい。たとえば、ロータ221に印加される入力トルクは時計方向に沿っていてもよく、第1のステータ222に印加される反力トルクは反時計方向に沿っていてもよい。
【0035】
第1のステータ222に印加される反力トルクによって、第1のステータ222が回転軸13の周りに回転してもよい。しかし、第1のステータ222の動きは、トランスミッション240aのリンク245a(第1のステータ222にノード246において結合されている)によって制限されてもよい。別の言い方をすると、第1のステータ222に印加される反力トルクの少なくとも一部は、トランスミッション240aにリンク245aを介して伝達されてもよい。トランスミッション240aに伝達される反力トルクの一部によって、ジョイントハウジング242が支持構造250に沿ってスライドしてもよく、及び/または反力トルクの一部は第2のステータ223にリンク245bを介して伝達してもよい。
【0036】
第2のステータ223がシャーシ12から切り離されると、反力トルクによって、第1のステータ222及び第2のステータ223が回転軸13の周りに反対方向に回転し、一方で、トランスミッション240a内のジョイントハウジング242は支持構造250に沿ってスライドする。第2のステータ223とシャーシ12との間のリンク248aが取り外されると、シャーシ12とアクチュエータ210との間の何らかの力がサスペンションを通して支持構造250を介して印加される。ステータ222は自分自身を慣性的に加速して、トランスミッション240aを引っ張る。支持構造250は、トランスミッション240aが要求するトルク結合を供給して、ステータ223をリンク245bを介して慣性的に加速する。スピンドル224は、基準接地11からの力とともにステータ慣性負荷から支持構造への結合力に対して反作用を及ぼし、その結果、サスペンションから反作用を受ける。
【0037】
しかし、第2のステータ223をシャーシ12にリンク248aを介して結合することによって、アクチュエータ210aとシャーシ12との間に正味の力が付与され、正味の力によってアクチュエータ210aはストラット253に沿って(すなわち、基準接地11に向かってまたは基準接地11から離れるように)並進運動する。図2Aに示すアクチュエータアセンブリ200aの図に関して、反力トルクが第1のステータ222に回転軸13の周りに時計方向に沿って印加されると、アクチュエータ210aは基準接地11に向かって並進運動する。対照的に、反力トルクが回転軸13の周りに反時計方向に沿って印加されると、アクチュエータ210aは基準接地11から離れるように並進運動する。
【0038】
別のケースでは、第1のステータ222に結合されたトルク源が非作動のままである一方で、第2のステータ223に結合されたトルク源が、ロータ221に印加される入力トルクを発生させてもよい。前述のケースと同様に、入力トルクによって、ロータ221が基準接地11に対して回転軸13の周りに回転してもよい。対応する反力トルク(同様の大きさだが、入力トルクと反対方向に印加される)も、第2のステータ223に印加されてもよい。しかしこの場合は、反力トルクは、トランスミッション240aを介して間接的に伝達されるのではなくて、リンク248aを通してシャーシ12に直接伝達されてもよい。反力トルクによって最初に、トランスミッション240aの駆動と第1のステータ222の回転とが起きてもよい。しかし定常状態条件下では、第2のステータ223に印
加される反力トルクは、リンク248aを介して主にシャーシ12に伝達されてもよい。前述のケースと同様に、反力トルクによって、アクチュエータ210aは、ストラット253に沿って生じる支持構造250の並進運動に基づいて、基準接地11に向かってまたはそこから離れるように並進運動してもよい。
【0039】
前述のケースの場合、アクチュエータ210aによって発生した出力力及びトルクの大きさ及び方向を、部分的には、第1のステータ222及び第2のステータ223によってロータ221上に付与されるトルクの大きさ及び/または方向を調整することによって制御してもよい。しかし、第1のステータ222または第2のステータ223のみを介してトルクを与えることによって、出力力/トルクが同時に生じてもよい(望ましくはない場合がある)。たとえば、アクチュエータ210aをシャーシ12に対して並進運動させることなく、ロータ221及びスピンドル224に結合されたホイールを回転させることが、好ましい場合がある。このようなケースの場合、アクチュエータ210aは、第1のステータ222及び第2のステータ223によって同時にトルクを与えることによって、ある出力をもたらしてもよい。
【0040】
場合によっては、アクチュエータは、トルク源によって発生した入力トルク及び/または反力トルクを重ね合わせて、どの出力をアクチュエータによって供給するかを選択的に制御する合計及び差動トルクを発生させてもよい。図2Aに示すアクチュエータ210aの場合、入力トルクが第1のステータ222及び第2のステータ223によって同じ方向に付与されると、ロータ221は反対方向に回転する。こうして、摩擦及び機械利得(後述する)を無視して、ロータ221が受けるトルクを、付与されたトルクのベクトル和と見なしてもよい。同時に、やはり摩擦及び機械利得を無視して、トランスミッション240aが受けとるトルクを、付与されたトルクのベクトル差と見なすことができる。トランスミッション240aが受ける機械利得によって、アクチュエータ210aからのさらなる出力(たとえば、アンチダイブ、アンチスクワット機能用)として利用できる余勢がもたらされてもよい。
【0041】
たとえば、第1のステータ222及び第2のステータ223は、同じ大きさ及び方向の入力トルクをもたらしてもよい。こうして、合計トルクが2倍の大きさの入力トルクを有し、その結果、ロータ221は回転軸13の周りに回転する。第1のステータ222と第2のステータ223とに印加される反力トルクは同様に、同じ大きさを有し、入力トルクと反対の方向に印加される。その代わりに、シャーシ12にマウントされた支持構造250とストラット253との間に反力が生成される。
【0042】
別の実施例では、第1のステータ222及び第2のステータ223は、同じ大きさで逆方向の入力トルクをロータ221に与えてもよい。この場合、入力トルクによってロータ221の回転が妨げられる(すなわち、入力トルクは互いにキャンセルする)。第1のステータ222及び第2のステータ223に印加される、結果として得られる反力トルクは同様に、同じ大きさを有しているが、回転軸13に対して反対方向に印加される。こうして、反力トルクによって、トランスミッション240aが駆動し、及び/または正味の差動トルク出力が生じる(すなわち、差動トルクは、それぞれの反力トルクの強め合う干渉を有する)。その結果、ストラット253に沿ってアクチュエータ210aの並進運動が生じる(サスペンションを駆動する)。
【0043】
全般的に、第1のステータ222及び第2のステータ223は、種々の大きさ及び方向を伴う入力トルクをもたらしてもよい。こうして、アクチュエータ210aがもたらす出力力/トルクの相対的な大きさを、入力トルク及び対応する反力トルクの大きさ及び/または方向に基づいて変えてもよい。全般的に、アクチュエータ210aにおける一方または両方の入力トルクの大きさ及び/または方向に対する調整によって、以下の出力のうち
の1つ以上を発生させてもよい。(1)ロータ221を回転させること、(2)アクチュエータ210aをストラット253に沿って並進運動させること、及び(3)支持構造250とストラット253との間に反力を発生させること。アクチュエータ210aがもたらす出力力/トルクのうちの1つ以上の相対的な大きさ及び/または方向を、入力トルクに対して実質的に連続的な(または別個の)仕方で調整してもよい。たとえば、入力トルク(複数可)の大きさ及び/または方向が連続的に変化すると、出力力/トルクに対する連続変化が生じる。
機械利得及び運動比
【0044】
さらに、トランスミッション240aは機械利得をもたらしてもよい、機械利得は、第1のステータ222と第2のステータ223との相対位置に依存する運動比として定量化することができる。運動比は、モータ220、トランスミッション240a、支持構造250、ならびにこれらのコンポーネント及びそれらのサブコンポーネント間の接続部の構造(たとえば、リンク長さ及び形状ならびにノード位置)に依存する。図2Aでは、たとえば、アクチュエータ210a内のリンク245a及び245bは同じ長さを有し、ノード247及び246に対称的に結合されている。ノード247及び246は、回転軸13から同様の半径方向距離にある。したがって、第1のステータ222が回転すると、第2のステータ223が1:1運動比で回転する。
【0045】
他の実施形態では、リンク245a及び245bの幾何学的形状及び/またはノード247及び246の場所を変えて、第1のステータ222と第2のステータ223との間の異なる運動比を形成してもよい。その結果、第1のステータ222及び/または第2のステータ223上の入力トルクに対する、アクチュエータ210aからの各出力力/トルクの依存性が変更される。たとえば、第1のステータ222に印加される反力トルクによって生じるアクチュエータ210aとシャーシ12との間のトルクが、第2のステータ223に印加される反力トルクよりも大きくなるように、トランスミッション240aを構成してもよい(たとえば、第1のステータ222は、車両トランスミッションにおいてより大きいトルクを発生させる低速ギアと類似する方法で機能してもよい)。そうではなく、第2のステータ223に印加される反力トルクによって、第1のステータ222に印加される反力トルクよりも速いレートの駆動がアクチュエータ210aとシャーシ12との間に生じてもよい(たとえば、第2のステータ223は、車両トランスミッションにおいてより高速を可能にする高速ギアと類似の仕方で機能してもよい)。
【0046】
別の実施例では、第1のステータ222及び第2のステータ223の可動域を、出力力/トルクが部分的に第1のステータ222及び第2のステータ223の角度位置に依存するように変更してもよい。たとえば、第1のステータ222及び第2のステータ223の回転範囲を限定する機械的ストップを、アクチュエータ210a内に組み込んでもよい。機械的ストップは、アクチュエータ210aが特定のノードにおいて差動トルク出力を発生させることができる角度範囲を規定してもよい。機械的ストップを支持構造250に結合してもよい。このようにして、アクチュエータ210aならびにその内部及び外部接続部の幾何学的形状を、アクチュエータ210aが生成する種々の出力力/トルクを調整するように選択してもよい。
【0047】
またトランスミッション240aは、第1のステータ222と第2のステータ223との間に非対称応答を発生させてもよい。たとえば、第2のステータ223は、第1のステータ222に印加される反力トルクに応じて回転してもよいが、第1のステータ222は、第2のステータ223に印加される反力トルクに応じて回転しなくてもよい。これは、たとえばラチェッティングメカニズムを用いて、第1のステータ222は一方向に沿ってのみ(たとえば、時計回りにのみ、反時計回りにのみ)回転することができ、一方で第2のステータ223は1つ以上の方向に自由に(たとえば、時計回り及び反時計回りに)回
転するようにすることで、達成され得る。第1のステータ222と第2のステータ223との間に非対称応答があると、入力トルク及び/または反力トルクに対する出力力/トルクの依存性を変更する別のパラメータがもたらされ得る。2つのステータ間の運動比は、一定である必要もまたは線形である必要もない。
ロッカージョイントを介してシャーシに結合したステータを伴うアクチュエータ
【0048】
図2Bに、ロッカージョイントトランスミッション240bとシャーシ12に直接結合されたステータとを伴う別の典型的なアクチュエータアセンブリ200bを示す。図示したように、アクチュエータアセンブリ200bは、図2Aのアクチュエータアセンブリ200aといくつかの類似点を共有している。アクチュエータアセンブリ200bには、図2Aと同様に、モータ220、トランスミッション240b、及び支持構造250が含まれる。モータ220には、回転軸13を規定するスピンドル224に結合されたロータ221が含まれる。スピンドル224はやはり基準接地11に結合されている。またモータ220には、第1のステータ222及び第2のステータ223が含まれている。これらはそれぞれ、トルク源を支持し、スピンドル224と同軸である。スピンドル224は、シャーシ12に堅固にマウントされたストラット253に沿ってスライド可能に調整することができる支持構造250(たとえば、ストラットハウジング)によって支持されている。バネ254a及び254bを用いて、アクチュエータ210bに対する復元力を与えてもよい。
【0049】
この場合、ロッカージョイントトランスミッション240bには、ノード243の周りに回転するロッカージョイントアーム244が含まれる。図示したように、トランスミッション240bには、対応するピンジョイント(またはボールジョイント)を介して、第1のステータ222にノード246において結合されたリンク245aと、第2のステータ223にノード247において結合されたリンク245bとが含まれる。リンク245a及び245bは、ロッカージョイントアーム244に結合されており、ロッカージョイントアーム244自体は、支持構造250にノード243において結合されている。ロッカージョイントアーム244を、リンク245a及び245bならびに支持構造250に、対応するピンジョイント(またはボールジョイント)を介して結合してもよい。
【0050】
また第2のステータ223は、リンク248bによってシャーシ12に直接結合されている。リンク248bは、第2のステータ223にノード249において結合している。ここで、ノード249はノード247とは一緒に配置されていない。その代わりに、たとえば、図2Bに示すようなカムによって、半径方向にずれている。リンク248bの長さ及びノード249の(半径方向の)場所は、第2のステータ223の回転と支持構造250の並進運動との間の所望の運動比が得られるように選択することができる。
【0051】
アクチュエータアセンブリ200bは、アクチュエータアセンブリ200aと同様の仕方で動作してもよい。トランスミッション240aをトランスミッション240bの瞬時の直線化と見なしてもよい。第1のステータ222及び第2のステータ223上のトルク源はそれぞれ、ロータ221に印加される入力トルクを発生させてもよく、その結果、ロータ221が基準接地11に対して回転軸13の周りに回転する。各トルク源は、第1のステータ222及び第2のステータ223に印加される対応する反力トルクを発生させてもよい。第2のステータ223の場合、印加される反力トルクはリンク248bを介してシャーシ12に直接伝達されてもよく、その結果、アクチュエータ210bは、ストラット253に沿って基準接地11から離れるようにまたはこれに向かって並進運動させ得る。
【0052】
第1のステータ222の場合、印加される反力トルクはリンク245aを介してロッカージョイントアーム244に伝達されてもよい。その結果、ロッカージョイントアーム2
44は支持構造250に対してノード243の周りに回転させ得る。しかし、その代わりに、第2のステータ223をシャーシ12に結合するリンク248bが課す制限によって、第1のステータ222からトランスミッション240bに伝達される反力トルクの少なくとも一部が、リンク245bを介して第2のステータ223に伝達されてもよい。この反力トルクは次に、アクチュエータ210bとシャーシ12との間に正味の力またはトルクを形成してもよく、その結果、支持構造250を介してストラット253に沿ってアクチュエータ210bの並進運動が生じる。また反力/トルクを支持構造250とシャーシ12との間に印加してもよく、これを別の出力(たとえば、アンチダイブ、アンチスクワット)として用いてもよい。
【0053】
ロッカージョイントアーム244の幾何学的形状を変更して、各出力力/トルクの、第1のステータ222及び第2のステータ223上のトルク源によって生じたそれぞれの入力トルク及び/または反力トルクに対する依存性を調整してもよい。たとえば、ロッカージョイントアーム244の長さは、第1のステータ222及び/または第2のステータ223に対する角回転の範囲に影響してもよい。ロッカージョイントアーム244の向きは、ノード247及び246のそれぞれの場所ならびにリンク245a及び245bの長さに依存し得るが、トランスミッション240bが支持構造250に印加する反力の方向に影響してもよい。たとえば、ロッカージョイントアーム244は、力が主にアームの長さに沿って伝達される細長部材であってもよい(横力の方がロッカージョイントアーム244を回転させる可能性が高い)。
Panhardリンク及び同軸駆動及び差動シャフトを伴う軸方向磁束モータ
【0054】
図3A~3Dに、図2Bのアクチュエータ210bと運動学的に同等である典型的なアクチュエータ310のいくつかの図を示す。図示したように、アクチュエータ310には軸方向磁束モータ320が含まれていてもよい。モータ320には、スピンドル324にマウントされたロータ321が含まれる。モータ320にはさらに、第1のステータ322及び第2のステータ323が含まれている。これらは、スピンドル324によって同軸に制限され、ロータ321の対向する側面上に配置されている。図示したように、第1のステータ322及び第2のステータ323はそれぞれ、それぞれのハウジングに結合されていてもよい。ハウジングは共に、実質的に密閉された空洞を形成してロータ321を含み、一方で依然として第1のステータ322と第2のステータ323との間の回転運動を可能にしている。
【0055】
第1のステータ322及び第2のステータ323にはそれぞれ、トルク源が含まれている。トルク源には、ロータ321またはそれぞれのステータ上に配置された1つ以上の磁石と、1つ以上の磁石と反対側でロータ321またはそれぞれのステータ上に配置された1つ以上のコイルとが含まれている。電流がコイル(複数可)に、付随するエレクトロニクス(図示せず)を介して印加されると磁場が発生し、そして磁場は磁石(複数可)の永久磁場と相互に作用して、ロータ321(及び/またはステータ)を回転させる。この軸方向磁束モータ310の場合、磁石及びコイルがロータ321及びステータの面上に、それぞれマウントされている。またモータ320は、半径方向磁束モータ(1つ以上の磁石及びコイルが、周囲(たとえば、ロータ321の外縁、ロータ321を囲むステータの内縁)上にマウントされている)、または組み合わせである半径-軸方向磁束モータであってもよい。
【0056】
アクチュエータ310には、モータ320及びトランスミッション340に対する機械的な支持を与える支持構造350が含まれていてもよい。前述したように、支持構造250はアクチュエータ310の基準フレームに対して静止したままであってもよい。別言すれば、支持構造350は、モータ320及びトランスミッション340に対して動かないが、基準接地またはシャーシに対しては動く。図示したように、支持構造350によって
、他の自由度を制限しながら、スピンドル324を回転させることを可能にし得る。また支持構造250は、支持構造350をストラットハウジングに結合するための開口部311を規定してもよい(図4A~4C参照)。図示したように、開口部311は、ストラットハウジングを挿入できるように成形してもよい。1つ以上の留め具を用いて、支持構造350をストラットハウジングに確実に結合してもよい。
【0057】
トランスミッション340には、第1のステータ322にノード346において結合する第1の弓形リンク345aと、第2のステータ323にノード347において結合する第2の弓形リンク354bとが含まれていてもよい。リンク345a及び345bは、ノード343を通って回転軸に沿って支持構造350に対して回転するトーションバー344に結合されている。トーションバー344は、支持構造350における開口部(トーションバーの他の自由度を制限しながらトーションバー344が回転できるようにする)内に配置されていてもよい。この実施例では、支持構造350によって、トーションバーの質量中心の動きが支持構造350に対する特定の弓形に制限される。
【0058】
図2Bのアクチュエータ210bと同様に、図3のアクチュエータ310は、ロータ321に印加される合計トルクと差動トルク出力を発生させるように構成されている。これらの出力力/トルクを用いて種々のサブシステムを駆動してもよい。たとえば、合計トルクによってドライブシャフトをスピンさせて、その結果、ホイールを回転させてもよい。そして差動トルクがアクティブサスペンションシステムを駆動してもよい。
【0059】
図4A~4Cに、図3A~3Dのアクチュエータ310を組み込むアクチュエータアセンブリ400のいくつかの図を示す。図示したように、アクチュエータ310はサスペンションシステムに統合されている。サスペンションシステムでは、アクチュエータ310が、合計トルクを用いて、スピンドル324に結合されたホイール410を回転させる。差動トルクを用いて、シャーシ12に結合されたサスペンションを駆動する。
【0060】
図4A~4Cに、開口部311を介してストラットハウジング412に結合されたアクチュエータ310の支持構造350示す。ストラットハウジング412は、シャーシ12に結合されたストラット453に沿ってスライド可能に調整することができる。バネ454は、ストラット453に沿って配置され、シャーシ12及び支持構造350に結合されて、サスペンションが駆動されるときの復元力を与える。アクチュエータアセンブリ400にはさらに、第2のステータ323をシャーシ12にノード349において結合するリンク448(引張圧縮部材またはプッシュロッドとして示す)が含まれている。図示したように、リンク448を第2のステータ323及びシャーシ12に、それぞれのボールジョイントを介して結合してもよい。アクチュエータアセンブリ400にはまた、下方の制御アーム482及びタイロッド480が含まれていてもよい。これらはそれぞれ、一端においてシャーシ12に結合され、もう一端において支持構造350に結合されている。下方の制御アーム482及びタイロッド480によってさらに、支持構造350の運動学的な動きが制限されてもよい。こうして、ストラットハウジング412、ストラット453、下方の制御アーム482、及びタイロッド480は共に、MacPhersonストラットサスペンションを構成している。
【0061】
第1のステータ322及び第2のステータ323に印加される反力トルクによって、余勢を発生させてもよい。余勢は、リンク448に沿ってシャーシ12に伝達して、アクチュエータ310をストラットハウジング412を介してストラット453に沿って並進運動させてもよく、及び/または車両がブレーキをかけているかまたは加速しているときにアクチュエータ310の圧縮または伸張をそれぞれ防いでもよい。前述したように、反力/トルクをストラットハウジング412とストラット453との間に発生させてもよく、これによって、別の出力を与える(たとえば、力成分に対して反作用を及ぼす)ことがで
きる。
ロッカーリンク及びオフセット駆動及び差動シャフトを伴う軸方向磁束モータ
【0062】
図5A~5Eに、トランスミッション540を伴う別の典型的なアクチュエータ510を示す。トランスミッション540は、軸方向磁束モータ520内での第1のステータ522及び第2のステータ523の動きを制限するロッカーリンクを有している。アクチュエータ310と同様に、トランスミッション540にはトーションバー544が含まれている。トーションバー544は、スピンドル524の回転軸に平行な軸に沿って回転するように支持構造550によって制限された機械的に剛性のコンポーネントである。トーションバー544は、リンク545aを介して第1のステータ522にノード546において、またリンク545bを介して第2のステータ523にノード547において結合されている。リンク545a及び545bは、それらのそれぞれのジョイントにおいて回転可能に自由である。支持構造550は、吊り下げまたは負荷応答基準フレーム(たとえば、車両シャーシ)にマウントしてもよい。このケースの場合、第2のステータ523を、第2のステータ523上の差動シャフト562を介して外部のサブシステムにノード549において結合してもよい。差動シャフト562は、ロータ521及びスピンドル524と同じ回転軸の周りに回転してもよい。アクチュエータ310と比べて、アクチュエータ510は同様に動作する。ただし、差動トルクは、リンクまたはプッシュロッド部材(たとえば、リンク448)を通して力として出力されるのではなく、差動シャフト562を介して出力される。
【0063】
図6Aに、図5A~5Eのアクチュエータ510をハブモータとして組み込む典型的なアクチュエータアセンブリ600aを示す。図示したように、ロータ521に印加される合計トルクによって、スピンドル524にマウントされたホイール410を回転させてもよい。差動シャフト562がもたらす差動トルクをトルクシャフト610に印加してもよい。このように、アクチュエータ510は、バネ下質量からシャーシ12を駆動するために力/トルク出力を直接発生させることはなく、むしろ、差動トルクをシャーシ12に対して内側のトルクシャフト610を介して純粋なトルクとして伝達する。トルクシャフト610に伝達されたトルクを用いて、他のサブシステムを駆動してもよい(たとえば、別のメカニズムを介してサスペンションを駆動する)。またアクチュエータアセンブリ600aには、サスペンションの一部を構成する下方のA-アーム682、上部のA-アーム684、及びタイロッド680が含まれている。A-アーム682及び684ならびにタイロッド680は、シャーシ12及び支持構造550に結合されている(アーム682及び684ならびにタイロッド680が結合されている支持構造550の部分は図示せず)。
【0064】
図6Bに、アクチュエータ510が車両のバネ上質量またはシャーシ12の内側にマウントされている別の典型的なアクチュエータアセンブリ600bを示す。図示したように、アクチュエータアセンブリ600bには、モータ520のスピンドル524をホイール410に結合するドライブシャフト624が含まれている。こうして、ロータ521に印加される合計トルクを用いて、ホイール410をドライブシャフト624を介して回転させてもよい。差動シャフト562は、差動トルクを駆動部材622に伝達するリンケージ620に結合されている。駆動部材622は他のサブシステム(たとえば、サスペンションメカニズムを駆動する)に結合されていてもよい。
【0065】
図6Cに、図3A~3Dのアクチュエータ310が振りアームサスペンション内に組み込まれた別の典型的なアクチュエータアセンブリ600cを示す。振りアームサスペンションは典型的に、種々のタイプの車両(たとえば、限定することなく、モーターサイクル、自転車、及びスクーター)において用いられる。図示したように、アクチュエータ310を支持フレーム630にマウントしてもよい。支持フレーム630は、ホイール410
の両側を支持するフォークを有していてもよい。支持フレーム630はシャーシ12に、アーム632(たとえば、リーディングアーム、トレーリングアーム)を介してマウントしてもよい。アーム632は、支持フレーム630及びシャーシ12に回転可能に結合されている。アーム632は、ホイールの質量中心の移動を、曲線経路(たとえば、円弧)に沿うように制限してもよい。また支持フレーム630を緩衝装置634を介してシャーシ12に結合して、サスペンションをもたらすようにしてもよい。緩衝装置634を、ピンジョイントを介して支持フレーム630に結合してもよい。アクチュエータ310をロッド636を介してシャーシ12に結合してもよい。ロッド636は、シャーシ12及びアクチュエータ310に回転可能に結合されている。
【0066】
こうして、ロッド636をアクチュエータ310(たとえば、差動トルク)によって駆動して、ストラット634がロッド636によって収縮または伸長するようにしてもよい。トランスミッション340によって、第1のステータ322を第2のステータ323にリンク345a及び345bならびにトーションバー344を介して結合してもよく、その結果、反力トルクを第1のステータ322から第2のステータ323に(または逆もまた同様)伝達することができる。こうして、ロッド636を第1のステータ322または第2のステータ323に接続してもよい。
ベベルギアトランスミッションを伴う軸方向磁束モータ
【0067】
図7Aに、ベベルギアトランスミッション740aを有する別の典型的なアクチュエータ710aを示す。図示したように、アクチュエータ710aには、スピンドル724にロータ721がマウントされた軸方向磁束モータ720が含まれていてもよい。モータ720には、第1のステータ722a及び第2のステータ723aが含まれていてもよい。これらは、ロータ721の対向する側に配置され、1つ以上のベアリング(それぞれ「X」を伴う円として表している)を介してスピンドル724の周りに回転するように同軸に制限されている。モータ720は、支持構造750に支持されて囲まれていてもよい。トランスミッション740aは、第1のステータ722aを第2のステータ723aにベベルギア748aを介して結合してもよい。ベベルギア748aは、1つ以上のベアリングを介して支持構造750に対してノード743において回転してもよい。全般的に、1つのベベルギア748aのみを用いてもよい。しかし、図7Aに示すトランスミッション740aには、さらなる機械的な支持を与えるために2つのベベルギア748aが含まれている。
【0068】
ベベルギア748aには、第1のステータ722a上の対応するギア歯とノード746において、また第2のステータ723a上の対応するギア歯とノード747において噛み合う1つ以上のギア歯が含まれていてもよい。こうして、反力トルクに応じた第1のステータ722aの回転によって、ベベルギア748aが回転し、その結果、第2のステータ723aが反対方向に回転する。このように、ベベルギアトランスミッション740aによって、第1のステータ722aと第2のステータ723aとの間の逆回転がもたらされる。こうして、アクチュエータ710aは、図2Bに示すアクチュエータ210bと同様に運動学的に動作する。合計トルクを印加してロータ721を回転させてもよく、差動トルクを、第2のステータ723aに固定された差動シャフト762において出力してもよい。反力/トルクをベベルギア748aを介して支持構造750に印加してもよい。
【0069】
図7Bに、デュアルベベルギアメカニズムを伴うトランスミッション740bを有する別の典型的なアクチュエータ710bを示す。トランスミッション740bには、同じスピンドル724にマウントされた別個のベベルギアを介して第1のステータ722b及び第2のステータ723bと噛み合うデュアルベベルギア748bが含まれている。デュアルベベルギア748bによって、デュアルベベルギア748bにおけるベベルギアの相対サイズ及び/またはスピンドル軸13からの相対的な歯直径に基づいて、第1のステータ
722bと第2のステータ723bとの間の異なる運動比が可能になってもよい。たとえば、第1のステータ722bに結合されたギアは、第2のステータ723bに結合されたギアより大きくてもよく、その結果、第1のステータ722bとデュアルベベルギア748bとの間で伝達されるトルクが増幅され、及び/または第2のステータ723bとデュアルベベルギア748bとの間の回転速度が増幅される。
【0070】
図7Cに、遊星歯車メカニズムを伴うトランスミッション740cを有する別の典型的なアクチュエータ710cを示す。この場合、トランスミッション740cには、スピンドル724の回転軸に平行な回転軸の周りに回転する遊星歯車748cが含まれていてもよい。図示したように、支持構造750によって、遊星歯車748cの他の並進運動及び回転の自由度が制限されてもよい。アクチュエータ710cは、図7Aのアクチュエータ710aと同様に動作してもよい。
【0071】
図7Dに、モータ720から支持構造750内に収容されたベベルギアメカニズム(支持構造750内に配置されている)がトランスミッション740dに含まれる別の典型的なアクチュエータ710dを示す。この場合、第1のステータ722dは、差動トルクを伝達する差動シャフト764にマウントされている。ロータ721及び第2のステータ723dは差動シャフト764と同軸である。ロータ721にはさらに、第1のステータ722dを部分的に囲むロータフレーム726に結合されたドライブシャフト(スピンドル)724が含まれている。アクチュエータ710dは、図7Aのアクチュエータ710aと同様に動作し、トランスミッション740dには、第1のステータ722d及び第2のステータ723dと噛み合うベベルギア748dが含まれている。しかし、この場合は、第2のステータ723dはトランスミッション740dを介して第1のステータ722dに反力トルクを伝達する。
【0072】
図7Eに、トランスミッション740eに遊星歯車メカニズムが含まれ、第1のステータ722eが差動シャフト764を介して差動トルクを出力する別の典型的なアクチュエータ710eを示す。アクチュエータ710eはアクチュエータ710dと同様である。ただし、ベベルギア748dの代わりに遊星歯車748eを用いて、第1のステータ722eと第2のステータ723eとを結合している。図示したように、遊星歯車748eは、差動シャフト764の回転軸に平行な軸の周りに回転してもよく、他の点では、支持構造750によって他の並進運動及び回転の自由度に沿って制限されていてもよい。
プーリトランスミッションを伴う軸方向磁束モータ
【0073】
図8Aに、ベルトメカニズムを用いて反力トルクを伝達する典型的なトランスミッション840aを示す。図示したように、第1のステータ822を、シャフトにマウントされたプーリ832に結合してもよい。第2のステータ823を、1つ以上のベアリングを介して第1のステータ822の周りに同心円状に回転するシャフトにマウントされたプーリ831に結合してもよい。プーリ831及び832を、プライマリープーリ830にベルト836及び838をそれぞれ介して結合してもよい。プライマリープーリ830を支持構造850に結合して、それによって制限してもよい。こうして、第2のステータ823が回転すると、ベルト836を介してプライマリープーリ830が回転し、その結果、ベルト838を介して第1のステータ822が反対方向に回転する。このようにして、トランスミッション840aは、図2A~7Eのトランスミッションと同様の機能を与えてもよい。トランスミッション840aにはまた、ベルト838をガイドし及び/またはベルト838に張力を与えるアイドラプーリ834が含まれていてもよい。
【0074】
アイドラプーリ834を支持構造850によって並進運動的に制限してもよい。さらに、チェーン及び/またはケーブルをベルト836及び838の代わりに用いてもよい。ベルト836及び838は、それぞれのプーリとの摩擦接触に基づいてトルクを伝達しても
よい。こうして、ベルト836及び838の寸法及び/またはトランスミッション840aの構造を、ベルト836及び838と、それぞれのプーリとの間の接触面積が増加するように適応させて、滑りを減らしてもよい。場合によっては、さらに滑りを減らすために、ベルト836及び838はプーリ上の対応する歯と噛み合う歯を有してもよい。しかし、場合によっては、ベルト836及び838が、制御された方法で滑ることが好ましい場合がある。
【0075】
図8Bに、シングルプーリトランスミッション840bを伴う典型的なアクチュエータ810bを示す。図示したように、アクチュエータ810bには、同じ回転軸の周りに回転する第1のステータ822及び第2のステータ823が含まれていてもよい。トランスミッション810bには、ベルト843であって、一端は第1のステータ822にノード846において結合され、もう一端は第2のステータ823にノード847において結合されたベルト843が含まれていてもよい。ベルト843を、第1のステータ822と第2のステータ823との間に配置されたプーリ842によってガイドしてもよい。こうして、第1のステータ822が回転すると、第1のステータ822に沿ってベルト843が引かれる。その結果、張力がベルト843に沿って発生し、それに応じてプーリ842及び第2のステータ823が回転する。詳細には、第2のステータ823は第1のステータ822とは反対方向に回転する。このデザインの場合、第1のステータ822及び第2のステータ823の角変位の範囲を調整するように、ベルト843の長さを適応させてもよい。
【0076】
図8Cに、デュアルプーリトランスミッション840cを伴う典型的なアクチュエータ810cを示す。図示したように、トランスミッション840cには、プーリ844a及び844bが含まれていてもよい。両方ともベルト845をガイドするために用いられる。図8Bのアクチュエータ810bにおけるベルト843とは異なり、アクチュエータ810cにおけるベルト845は、第1のステータ822にも第2のステータ823にも固定されていない。その代わりに、ベルト845は、第1のステータ822、第2のステータ823、及びプーリ844a及び844bの周りに、張力を受けて巻かれている。しかし、第1のステータ822と第2のステータ823との間に逆回転の動きをもたらすことによって、アクチュエータ810cはアクチュエータ810bと同様に動作する。このデザインの場合、ベルト845の長さを、第1のステータ822、第2のステータ823、ならびにプーリ844a及び844bのサイズ及び配置によって制限してもよい。
【0077】
図8Dに、シングルプーリ、デュアルベルトトランスミッション840dを伴う典型的なアクチュエータ840dを示す。図示したように、トランスミッション840dには、第1のステータ822及び第2のステータ823の回転軸に平行な回転軸の周りに回転する円筒型プーリ846が含まれていてもよい。この設計の場合、トランスミッション840dには、第1のステータ822をプーリ846に結合するベルト849aと、第2のステータ823をプーリ846に結合するベルト849bとが含まれている。ベルト849aを撚り合わせて、プーリ846の周りに巻き付くさらなるループを形成して、トランスミッション840dが、第1のステータ822と第2のステータ823との間に逆回転の動きを与えるようにしてもよい。場合によっては、ベルト849a及び849bの一方または両方をそれらのそれぞれのステータに固定して、回転の範囲を制限してもよい。
【0078】
図8E及び8Fに、デュアルヘリカルギアトランスミッション840eを伴う典型的なアクチュエータ810eのいくつかの図を示す。図示したように、トランスミッション840eには、支持構造850に対して回転するヘリカルギア860及び862が含まれていてもよい。ヘリカルギア860及び862が噛み合ってもよく、その結果、ギア860と862との間に逆回転の動きが生じる。第1のステータ822を、ヘリカルギア860にマウントされたプーリによってガイドされたベルト866を介して、ヘリカルギア86
0に結合してもよい。同様に、第2のステータ823を、ヘリカルギア862にマウントされたプーリによってガイドされたベルト868を介して、ヘリカルギア862に結合してもよい。こうして、第1のステータ822が回転すると、ベルト866が引っ張られて張力が生じ、ヘリカルギア860が回転する。その結果、ヘリカルギア862及び第2のステータ823が、ベルト868を介して反対方向に回転する。ベルト866及び868をそれぞれ、アイドラー864を介して張力を受けて保持してもよい。アイドラー864を支持構造850によって制限して、ヘリカルギア860及び862に平行な軸の周りに回転するようにしてもよい。
シャーシに結合したトランスミッションを伴う典型的なアクチュエータ
【0079】
図9Aに、スライディングジョイントトランスミッション940aを伴うアクチュエータアセンブリ900aを示す。スライディングジョイントトランスミッション940aでは、トランスミッション940aがシャーシ12に直接結合されている。図示したように、アクチュエータアセンブリ900aには、モータ920を伴うアクチュエータ910a、トランスミッション940a、及び支持構造950が含まれている。前述と同様に、モータ920には、回転軸13を規定するスピンドル924に取り付けられたロータ921が含まれている。スピンドル924を基準接地11に機械的に結合してもよい(たとえば、道路上のホイールを介して)。モータ920にはさらに、第1のステータ922及び第2のステータ923が含まれている。これらはそれぞれ、ロータ921にトルクを印加するトルク源を支持している(図示せず)。第1のステータ922及び第2のステータ923を、1つ以上のベアリングを介してスピンドル924に同軸に制限してもよい。スピンドル924をさらに、支持構造950に結合してもよい。支持構造950は、シャーシ12に堅固に結合されたストラット953に沿って、スライド可能に調整できてもよい。前述と同様に、アクチュエータアセンブリ900aには、アクチュエータ910aに対する復元力を与えるバネ954a及び954bが含まれていてもよい。
【0080】
またトランスミッション940aは、以前の実施形態と同様に、第1のステータ922及び第2のステータ923に結合していてもよい。トランスミッション940aには、ノード946における第1のステータ922をノード943におけるジョイントハウジング942に結合するリンク945aと、ノード2204における第2のステータ923をジョイントハウジング942に結合するリンク945bと、が含まれていてもよい。リンク945a及び945bをステータ及びジョイントハウジング942に、ピンジョイント(またはボールジョイント)を介して結合してもよい。この実施形態におけるトランスミッション940aは、ノード949においてシャーシ12にリンク948を介して直接結合されている。リンク948によって、アクチュエータ910a内で反力トルクが伝達される方法が変わる。たとえば、反力トルクが第1のステータ922に印加されると、反力トルクの少なくとも一部はリンク945aを介してジョイントハウジング942に伝達される。その結果、ジョイントハウジング942が支持構造950に沿ってスライドする。しかし、ジョイントハウジング942はシャーシ12に直接結合されているため、反力トルクは主に、トランスミッション940aからシャーシ12に伝達する(第2のステータ923に伝達されるのではなくて)。反力トルクが第2のステータ923に印加されると、同様の作用がもたらされる。第2のステータ923は第1のステータ922から反力トルクを受けないため、対応するトルク源から同様の反力トルクを印加するときに、第1のステータ922及び第2のステータ923を対称的に装着してもよい。
【0081】
しかしながら、アクチュエータ910aは以前の実施形態と同様に動作してもよい。入力トルクを、ロータ921に印加されるベクトル和されたトルクとして表してもよい。トランスミッション940aによって、第1のステータ922と第2のステータ923との間に逆回転が生じ、その結果、反力トルクを差動トルク出力として表してもよい。差動トルクは、アクチュエータ910aをストラット953に沿って並進運動させるリンク94
8に沿って、トランスミッション940aとシャーシ12との間に力を発生させてもよい。さらに、差動トルクによって、アクチュエータ910aの支持構造950とストラット953との間に反力/トルクが生じてもよく、これを、さらなる出力として用いてもよい(たとえば、アンチダイブ、アンチスクワット用に)。
【0082】
図9Bに、トランスミッション940bがロッカージョイントが含み、シャーシ12に直接結合されている別の典型的なアクチュエータアセンブリ900bを示す。アクチュエータ210bと同様に、トランスミッション940bには、リンク945a及び945bと支持構造950上のノード943とに結合するロッカージョイントアーム944が含まれていてもよい。さらに、ロッカージョイントアーム944は、ノード949においてシャーシ12にリンク948を介して直接結合されていてもよい。しかし、トランスミッション940bはアクチュエータ210bと同様に動作してもよく、アクチュエータアセンブリ900bはアクチュエータ910aと同様にトルクを伝達してもよい。
【0083】
図10A~10Eに、やはり差動トルク出力を与えるPanhardリンクを有するトランスミッション1040を伴う典型的なアクチュエータ1010のいくつかの図を示す。アクチュエータ1010はアクチュエータ910bと運動学的に同様であり、したがって同様に動作する。(特に断らない限り、同様の末尾の数字を伴う参照番号は運動学的に等価であり、たとえば、図9Bのロータ921は図10Eのロータ1021と運動学的に同等である)。図示したように、トランスミッション1010cには、トーションバー1044に結合されたリンク1045a及び1045bが含まれている。この場合、差動シャフト1062はトーションバーに直接結合されている。こうして、第1のステータ1022及び第2のステータ1023に印加される反力トルクをトーションバーを通して出力として伝達してもよい。
【0084】
図11Aに、差動トルクを直接出力するベベルギアメカニズムをトランスミッション1140aが有する別の典型的なアクチュエータ1110aを示す。アクチュエータ1110aも図9Bのアクチュエータ910bと運動学的に同様であり、したがって同様に動作する。(やはり、特に断らない限り、同様の末尾の数字を伴う参照番号は運動学的に等価である)。トランスミッション1140bには、第1のステータ1122及び第2のステータ1123と噛み合うベベルギア1148aが含まれていて、第1のステータ1122と第2のステータ1123との間に逆回転の動きを形成する。しかし、この場合、ベベルギア1148aには、差動シャフト2350を支持する二次ベベルギア1148bと噛み合う補足ギアが含まれている。このように、第1のステータ1122及び/または第2のステータ1123が回転するとベベルギア1148aが回転し、次に二次ベベルギア1148bが回転し、その結果、ノード1149において差動トルクが出力される。
【0085】
図11Bに、シャーシ12に結合されたデュアルギアトランスミッション1140bを伴う別の典型的なアクチュエータ1110bを示す。図示したように、トランスミッション1140bには、第1のステータ1122と噛み合う第1のギア1160と、第2のステータ1123と噛み合う第2のギア1162とが含まれていてもよい。第1のギア1160及び第2のギア1162も互いに噛み合ってもよく、その結果、第1のステータ1122と第2のステータ1123との間に逆回転運動が生じる。第1のギア1160及び第2のギア1162を支持構造1150によって支持してもよい。さらに、第2のギア1162をリンケージ1148cを介してシャーシ12に結合してもよい。こうして、反力トルクが第1のギア1160及び/または第2のギア1162に伝達されると、次にリンケージ1148cを介してシャーシ12に伝達されて、アクチュエータ1110bをシャーシ12に対して並進運動させる駆動力が生じてもよい。アクチュエータ1110bも図9Bのアクチュエータ910bと運動学的に同様である。
【0086】
図12A~12Cに、差動トルクとは対照的に並進運動及び/または力を出力する典型的なアクチュエータアセンブリ1200のいくつかの図を示す。この場合、アクチュエータ1210は図9Aのアクチュエータ910aと運動学的に同等である。アクチュエータ1210には、第1のステータ1222及び第2のステータ1223を逆回転に制限するトランスミッション1240が含まれていてもよい。トランスミッション1240には、リンケージ1272を介してシャーシ12に結合するスライディングジョイント1274が含まれていてもよい。スライディングジョイント1274は、支持構造1250に結合されたストラット1270に沿ってスライド可能に調整できてもよい。またスライディングジョイント1274を、支持構造1250に対してスライド可能に調整することができるアーム1276上にマウントしてもよい。この調整は、スライディングジョイント1274がストラット1270に対して動くときに沿う軸と実質的に直交する軸に沿って行う。このように、ストラット1270及びアーム1276によって、アクチュエータ1210は、シャーシ12に対して並進運動に制限される(回転とは対照的に)。
【0087】
図8A~8Fに示すトランスミッションを、トランスミッションがシャーシ12に直接結合されるアクチュエータ内に容易に組み込み得る。これは、部分的には、トランスミッション内のコンポーネントの1つに差動シャフトを加えることによって達成してもよい。たとえば、差動シャフトを、図8A~8Fに示すプーリベースのトランスミッション内のプーリの1つ上に配置してもよく、同様にトランスミッションをシャーシ12に直接結合してもよい。
結び
【0088】
本明細書で説明するすべてのパラメータ、寸法、材料、及び構成は典型的であることが意図されており、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/または構成は、本発明の教示が用いられる具体的な応用例または応用例(複数)に依存する。当然のことながら、前述の実施形態は主に例として示しており、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲において、本発明の実施形態を、具体的に説明し請求したこと以外で実施してもよい。本開示の発明の実施形態は、本明細書で説明するそれぞれの個々の特徴部、システム、物品、材料、キット、及び/または方法に向けられている。
【0089】
加えて、2つ以上のこのような特徴部、システム、物品、材料、キット、及び/または方法の任意の組み合わせは、このような特徴部、システム、物品、材料、キット、及び/または方法が互いに矛盾していない場合には、本開示の発明の範囲に含まれる。他の置換、修正、変更及び省略を、典型的な実施態様の設計、動作条件、及び個々の要素の配置において、本開示の範囲から逸脱することなく行ってもよい。数値範囲を用いることは、同じ結果を生む同じ機能を同じ方法で実現する範囲から外れる均等物を排除するものではない。
【0090】
また種々の発明概念を、少なくとも1つの実施例が示された1つ以上の方法として具体化してもよい。本方法の一部として行った作用を、場合によっては、異なる方法で順序付けしてもよい。したがって、いくつかの本発明の実施態様において、所与の方法の個々の作用を、具体的に例示したものとは異なる順序で行ってもよく、これには、いくつかの作用を同時に行うことが含まれていてもよい(たとえ、例示的な実施形態において、このような作用が順次的な作用として示されていたとしても)。
【0091】
本明細書で述べたすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、その全体において参照により組み込まれている。
【0092】
すべての定義は、本明細書で規定され使用される場合、辞書の定義、参照により組み込まれた文献における定義、及び/またはその定義された用語の普通の意味に優先すると理
解しなければならない。
【0093】
不定冠詞「a」及び「an」は、本明細書及び特許請求の範囲で用いる場合、明瞭にそうでないという指示がない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解しなければならない。
【0094】
語句「及び/または」は、本明細書及び特許請求の範囲で用いる場合、結合された要素(すなわち、あるケースでは接続的に存在し、他のケースでは離接的に存在する要素)の「一方または両方」を意味するものと理解すべきである。「及び/または」を用いて列記された複数の要素は、同様に(すなわち、結合された要素の「1つ以上」と)解釈すべきである。「及び/または」節によって具体的に特定した要素以外の他の要素が(具体的に特定した要素に関係しているか関係していないかに関わらず)任意的に存在していてもよい。したがって、非限定的な例として、「A及び/またはB」への言及は、「含む」などのオープンエンドの用語とともに用いるときは、一実施形態ではAのみ(任意的にB以外の要素を含む)を、別の実施形態ではBのみ(任意的にA以外の要素を含む)を、さらに他の実施形態ではA及びBの両方(任意的に他の要素を含む)などを指すことができる。
【0095】
本明細書及び特許請求の範囲で用いる場合、「または」は、上記で規定したような「及び/または」と同じ意味を有すると理解すべきである。たとえば、リスト内の物品を分けるとき、「または」または「及び/または」は包括的であると、すなわち、要素の数またはリストのうちの少なくとも1つ(しかし、2つ以上も含む)及び任意的に、リストに載っていないさらなる物品が含まれると解釈されるものとする。明瞭にそうでないという指示がある用語、たとえば「のうちの1つのみ」または「のうちの厳密に1つ」または特許請求の範囲で用いるときに「から成る」のみが、要素の数またはリストのうちの厳密に1つの要素を含むことを指す。全般的に、用語「または」は、本明細書で用いる場合、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」または「のうちの厳密に1つ」などの排他性の用語が先行するときには、排他的な代替物(すなわち「一方または他方であるが両方ではない」)を示すとのみ解釈されるものとする。「本質的に~から成る」は、特許請求の範囲で用いるときには、特許法の分野で用いられるその普通の意味を有するものとする。
【0096】
本明細書及び特許請求の範囲で用いる場合、語句「少なくとも1つ」は、1つ以上の要素のリストに関連して、要素のリスト内の要素のいずれか1つ以上から選択された少なくとも1つの要素を意味するものと理解すべきであり、必ずしも要素のリスト内の具体的に列記されたありとあらゆる要素のうちの少なくとも1つを含む必要はなく、また要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを除外するものではない。またこの定義は、語句「少なくとも1つの」が指す要素のリスト内の具体的に特定した要素以外の要素が(具体的に特定した要素に関係しているか関係していないかに関わらず)任意的に存在していてもよいことも認める。したがって、非限定的な実施例として、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(または同様な意味合いで「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または同様な意味合いで「A及び/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では少なくとも1つのA(任意的に2つ以上のAを含む)があってBは存在しないこと(及び任意的にB以外の要素を含む)、別の実施形態では少なくとも1つのB(任意的に2つ以上のBを含む)があってAは存在しないこと(及び任意的にA以外の要素を含む)、さらに他の実施形態では、少なくとも1つのA(任意的に2つ以上のAを含む)及び少なくとも1つのB(任意的に2つ以上のBを含む)があること(及び任意的に他の要素を含む)などを指すことができる。
【0097】
特許請求の範囲では、ならびに前述の明細書では、すべての移行句、たとえば「含む(comprising)」、「含む(including)」、「運ぶ」、「有する」、
「含む(containing)」、「伴う」、「保持する」、「から成る」などはオープンエンドであることを、すなわち、以下を含むがこれらに限定されないと意味することを、理解すべきである。移行句「から成る」及び「本質的にから成る」のみがそれぞれクローズド移行句またはセミクローズド移行句であるものとすることは、米国特許庁の特許審査便覧、セクション2111.03に記載されているとおりである。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11A
図11B
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-10-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のホイールを前記車両のシャーシに結合するためのアクチュエータアセンブリであって、
サスペンションを介して前記シャーシに結合されるように構成された支持構造と、
モータであって、
前記支持構造に回転可能に結合され、前記ホイールにマウントされるように構成されたスピンドルと、
前記スピンドルにマウントされたロータと、
前記スピンドルに回転可能に結合された第1のステータと、
前記スピンドルに回転可能に結合された第2のステータと
を備える前記モータと、
前記第1のステータ、前記第2のステータ及び前記支持構造に直接結合されて、前記第1のステータ及び前記第2のステータの回転運動を制限するトランスミッションと、
前記トランスミッションに直接結合され、前記シャーシに直接結合されるように構成されたリンクと
を備え、
前記支持構造、前記モータ及び前記トランスミッションが、前記シャーシに対して共に並進運動可能であるように構成された、
前記アクチュエータアセンブリ。
【請求項2】
前記トランスミッションが、
前記第1のステータに直接結合された第1のリンクと、
前記第2のステータに直接結合された第2のリンクと、
前記支持構造にスライド可能に結合され、前記第1のリンク、前記第2のリンク及び前記リンクに直接結合されたジョイントハウジングと
を備える、請求項1に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項3】
前記トランスミッションが、
前記第1のステータに直接結合された第1のリンクと、
前記第2のステータに直接結合された第2のリンクと、
前記支持構造に回転可能に結合され、前記第1のリンク、前記第2のリンク及び前記リンクに直接結合されたロッカーアームと
を備える、請求項1に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項4】
前記トランスミッションが、前記支持構造及び前記リンクに結合されたトーションバーを備え、前記トーションバーが第1の軸の周りで捻じるように構成されている、請求項1に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項5】
前記スピンドルが、前記第1の軸に平行な第2の軸を規定する、請求項4に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項6】
前記トランスミッションが、前記第1のステータ及び前記第2のステータに共に結合し、それにより1:1の運動比で、前記第1のステータが前記第2のステータの回転を生じさせる、請求項1に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項7】
前記スピンドルが回転軸を規定し、
前記トランスミッションが、
前記回転軸から第1の半径方向距離だけずれた第1の点で前記第1のステータに直接結合され、第1の長さを有する第1のリンクと、
前記回転軸から第2の半径方向距離だけずれた第2の点で前記第2のステータに直接結合され、第2の長さを有する第2のリンクと
を備え、かつ
前記第1の長さと前記第2の長さとが異なるか、又は
前記第1の半径方向距離若しくは前記第2の半径方向距離が異なるのいずれか1つである、請求項1に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項8】
前記第1のステータが前記ロータに第1のトルクを印加すると、前記第1のトルクが、前記第1のステータに印加される第1の反力トルクを生じさせ、
前記第2のステータが前記ロータに第2のトルクを印加すると、前記第2のトルクが、前記第2のステータに印加される第2の反力トルクを生じさせ、
前記第1の反力トルク及び前記第2の反力トルクが余勢を生成すると、前記余勢が第1の力成分及び第2の力成分に分離され、それにより前記第1の力成分が前記リンクを介した前記シャーシへの伝達用に構成され、前記第2の力成分が前記支持構造及び前記サスペンションを介した前記シャーシへの伝達用に構成される、請求項1に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項9】
シャーシと、
ホイールと、
前記シャーシに対する前記ホイールの運動を促進するためのサスペンションと、
請求項1に記載のアクチュエータアセンブリであって、
前記支持構造が前記サスペンションに直接結合され、
前記スピンドルが前記ホイールにマウントされ、
前記リンクが前記シャーシに直接結合される、
前記アクチュエータアセンブリと
を備える車両。
【請求項10】
前記サスペンションが、
前記支持構造にスライド可能に確実に結合された第1の端部と前記シャーシに確実に結合された第2の端部とを有するストラットと、
前記支持構造及び前記シャーシに結合された下方の制御アームと
を備える、請求項9に記載の車両。
【請求項11】
前記サスペンションが、MacPhersonストラットサスペンションを含む、請求項9に記載の車両。
【請求項12】
前記サスペンションが、前記支持構造及び前記シャーシに結合されたタイロッドを備える、請求項9に記載の車両。
【請求項13】
車両のホイールを前記車両のシャーシに結合するためのアクチュエータアセンブリであって、
サスペンションを介して前記シャーシに結合されるように構成された支持構造と、
モータであって、
前記支持構造に回転可能に結合され、前記ホイールにマウントされるように構成されたスピンドルと、
前記スピンドルにマウントされたロータと、
前記スピンドルに回転可能に結合された第1のステータと、
前記スピンドルに回転可能に結合された第2のステータと
を備える前記モータと、
前記第1のステータ、前記第2のステータ及び前記支持構造に直接結合されて、前記第1のステータ及び前記第2のステータの回転運動を制限するトランスミッションであって、
前記第1のステータに直接結合された第1のリンクと、
前記第2のステータに直接結合された第2のリンクと、
前記第1のリンク、前記第2のリンク及び前記支持構造に結合されたトーションバーと、
前記支持構造、前記第1のリンク及び前記第2のリンクに回転可能に結合されたロッカーアームと
を備える前記トランスミッションと、
前記ロッカーアームに直接結合され、前記シャーシに直接結合されるように構成されたリンクと
を備え、
前記支持構造、前記モータ及び前記トランスミッションが、前記シャーシに対して共に並進運動可能であるように構成された、
前記アクチュエータアセンブリ。
【請求項14】
前記スピンドルが第1の軸を規定し、
前記トーションバーが前記第1の軸に平行な第2の軸の周りで捻じるように構成された、請求項13に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項15】
前記スピンドルが回転軸を規定し、
第1の長さを有する前記第1のリンクが、前記回転軸から第1の半径方向距離だけずれた第1の点で前記第1のステータに直接結合され、
第2の長さを有する前記第2のリンクが、前記回転軸から第2の半径方向距離だけずれた第2の点で前記第2のステータに直接結合され、かつ
前記第1の長さと前記第2の長さとが異なるか、又は
前記第1の半径方向距離若しくは前記第2の半径方向距離が異なるのいずれか1つである、請求項13に記載のアクチュエータアセンブリ。
【請求項16】
シャーシと、
ホイールと、
前記シャーシに対する前記ホイールの運動を促進するためのサスペンションと、
請求項13に記載のアクチュエータアセンブリであって、
前記支持構造が前記サスペンションに直接結合され、
前記スピンドルが前記ホイールにマウントされ、
前記リンクが前記シャーシに直接結合される、
前記アクチュエータアセンブリと
を備える車両。
【請求項17】
前記サスペンションが、
前記支持構造にスライド可能に確実に結合された第1の端部と前記シャーシに確実に結合された第2の端部とを有するストラットと、
前記支持構造及び前記シャーシに結合された下方の制御アームと
を備える、請求項16に記載の車両。
【請求項18】
前記サスペンションが、前記支持構造及び前記シャーシに結合されたタイロッドを備える、請求項16に記載の車両。
【請求項19】
車両のホイールを前記車両のシャーシに結合するためのアクチュエータアセンブリであって、
サスペンションを介して前記シャーシに結合されるように構成された支持構造と、
モータであって、
前記支持構造に回転可能に結合され、前記ホイールにマウントされるように構成され、回転軸を規定するスピンドルと、
前記スピンドルにマウントされたロータと、
前記スピンドルに回転可能に結合された第1のステータと、
前記スピンドルに回転可能に結合された第2のステータと
を備える前記モータと、
前記第1のステータ、前記第2のステータ及び前記支持構造に直接結合されて、前記第1のステータ及び前記第2のステータの回転運動を制限するトランスミッションであって、
前記回転軸から第1の半径方向距離だけずれた第1の点で前記第1のステータに直接結合され、第1の長さを有する第1のリンクと、
前記回転軸から第2の半径方向距離だけずれた第2の点で前記第2のステータに直接結合され、第2の長さを有する第2のリンクと、
前記第1のリンク、前記第2のリンク及び前記支持構造に結合されたトーションバーと
を備える前記トランスミッションと、
前記トランスミッションに直接結合され、前記シャーシに直接結合されるように構成されたリンクと
を備え、
前記支持構造、前記モータ及び前記トランスミッションが、前記シャーシに対して共に並進運動可能であるように構成され、かつ前記第1の長さと前記第2の長さとが異なるか、又は前記第1の半径方向距離若しくは前記第2の半径方向距離が異なるのいずれか1つである、
前記アクチュエータアセンブリ。
【請求項20】
シャーシと、
ホイールと、
前記シャーシに対する前記ホイールの運動を促進するためのサスペンションと、
請求項19に記載のアクチュエータアセンブリであって、
前記支持構造が前記サスペンションに直接結合され、
前記スピンドルが前記ホイールにマウントされ、
前記リンクが前記シャーシに直接結合される、
前記アクチュエータアセンブリと
を備える車両。