(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156927
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】生体情報測定システム、不正測定判定方法、及び不正測定判定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20241029BHJP
【FI】
G06Q50/40
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024130788
(22)【出願日】2024-08-07
(62)【分割の表示】P 2023144993の分割
【原出願日】2019-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000133179
【氏名又は名称】株式会社タニタ
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100169199
【弁理士】
【氏名又は名称】石本 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】望月 計
(72)【発明者】
【氏名】佐川 清志
(72)【発明者】
【氏名】笠原 靖弘
(72)【発明者】
【氏名】池田 悟
(57)【要約】 (修正有)
【課題】生体情報測定装置を用いた生体情報の測定を被測定者本人が行っていることをより簡易な構成で判定できる生体情報測定システム、不正測定判定方法及び不正測定判定プログラムを提供する。
【解決手段】アルコール検知システム10は、アルコール検知装置12の表示部22に表示された表示IDをカメラ32が撮像して取得したカメラ画像情報、及びアルコール検知装置12から送信された機器IDを認証サーバ16が受信する。そして、認証サーバ16は、カメラ画像情報により示される表示IDとアルコール検知装置12から送信された機器IDとに基づいて、カメラ32で撮像されたアルコール検知装置12を用いて被測定者がアルコール検知をしていることを判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の生体情報を測定する生体情報測定装置、撮像装置、及び情報処理装置を具備する生体情報測定システムであって、
前記生体情報測定装置は、
表示識別情報を表示する表示手段と、
機器識別情報を送信する送信手段と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記表示手段に表示された前記表示識別情報を前記撮像装置が撮像して取得した画像情報、及び前記送信手段から送信された前記機器識別情報を受信する受信手段と、
前記画像情報により示される前記表示識別情報と前記送信手段から送信された前記機器識別情報とに基づいて、前記撮像装置で撮像された前記生体情報測定装置を用いて前記被測定者が前記生体情報を測定していることを判定する判定手段と、
を備える、
生体情報測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報測定システム、不正測定判定方法、及び不正測定判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、事業用自動車、航空機、船舶、鉄道等の乗務員に対して点呼時等にアルコール検知器を使ってアルコールチェックが広く行われている。この際、一般的には被測定者である乗務員と被測定者の顔写真とを確認者(立ち会い者)がその場で確認しつつ、被測定者がアルコール測定を行うことで不正が防止される。しかしながら、乗務員が遠隔地におり確認者がモニタ等を介して確認する遠隔点呼が行われる場合もある。このような場合、タブレット端末等の端末装置を用いて被測定者本人の顔画像を送信するため、他者が被測定者になりすまして測定を行ったり、異なる機器(ダミー機)を用いて測定を行う等の不正が行われる可能性がある。
【0003】
そこで、特許文献1には、ダミー機及び被測定者以外の人物を使った不正な測定を効果的に防止するために、発光部を備えた生体情報測定装置、カメラを備えた第1端末機、及び人物の認証のための顔認識処理等を行う第2端末機で構成される生体情報測定システムが記載されている。
【0004】
この生体情報測定システムは、生体情報測定装置による測定を開始する前に、測定者が第2端末機の入力部を操作することにより、第2端末機に決定させた発光パターンを示す発光指示信号を第2端末機から生体測定装置へ送信させる。そして、カメラは、発光パターンに従って発光する発光部と被測定者の顔とを撮影し続け、第1端末機の記憶部に撮影データを保存する。第2端末機は、カメラによって撮影された撮影データに映っている発光部の発光が発光パターンに従っているか否かが判定し、かつ、撮影データから生成された顔データと登録済みの顔画像とが同一人物の顔であるか否かを判定する。
【0005】
これにより、この生体情報測定システムは、カメラにより撮影された生体情報測定装置が測定に使用された生体情報測定装置そのものと判定でき、かつ、カメラにより撮影された被測定者が本人であることが判定できるため、いわゆる替え玉による不正な測定を効果的に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されている生体情報測定システムは、発光指示信号を第2端末装置と生体情報測定装置とで送受信するため、システムとしての情報のやり取りが煩雑である。また、仮に、発光指示信号による発光パターンが単純である場合には、その発光パターンを他の生体情報測定装置で再現してカメラで撮影することによって、当該他の生体情報測定装置で測定を行っているにもかかわらず、あたかも発光指示信号を受信した生体情報測定装置で被測定者が測定を行っているように判定させるような、不正な測定ができる可能性がある。
【0008】
そこで、本発明は、生体情報測定装置を用いた生体情報の測定を被測定者本人が行っていることをより簡易な構成で判定できる生体情報測定システム、不正測定判定方法、及び不正測定判定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の生体情報測定システムは、被測定者の生体情報を測定する生体情報測定装置、撮像装置、及び情報処理装置を具備する生体情報測定システムであって、前記生体情報測定装置は、表示識別情報を表示する表示手段と、機器識別情報を送信する送信手段と、を備え、前記情報処理装置は、前記表示手段に表示された前記表示識別情報を前記撮像装置が撮像して取得した画像情報、及び前記送信手段から送信された前記機器識別情報を受信する受信手段と、前記画像情報により示される前記表示識別情報と前記送信手段から送信された前記機器識別情報とに基づいて、前記撮像装置で撮像された前記生体情報測定装置を用いて前記被測定者が前記生体情報を測定していることを判定する判定手段と、を備える。
【0010】
従来は、識別情報を情報処理装置が生体情報測定装置へ送信し、生体情報測定装置が当該識別情報を情報処理装置へ送信(返信)するとのように、生体情報測定装置と情報処理装置との間で識別情報の送受信を行っていた。一方、本構成によれば、生体情報測定装置の認証に用いる識別情報(表示識別情報、機器識別情報)の送信方向は生体情報測定装置から情報処理装置とのように一方向である。従って、本構成は、従来に比べ被測定者の本人確認に用いる情報のシステム内でのやり取りが簡易となるので、生体情報測定装置を用いた生体情報の測定を被測定者本人が行っていることをより簡易な構成で判定できる。
【0011】
上記の生体情報測定システムにおいて、前記被測定者の生体情報は前記被測定者の呼気に含まれるアルコール濃度でもよい。
【0012】
本構成によれば、アルコール検知を行う被測定者本人による測定であることをより簡易な構成で判定できる。
【0013】
上記の生体情報測定システムにおいて、前記表示識別情報は前記生体情報の測定毎に前記生体情報測定装置によってランダムに生成される情報でもよい。
【0014】
本構成によれば、乱数は予測が困難な値であるため、撮像された生体情報測定装置が被測定者の生体情報の測定に使用された装置そのものであるとより簡易な構成で判定できる。
【0015】
上記の生体情報測定システムにおいて、前記表示識別情報は前記生体情報測定装置による測定結果を示す値でもよい。
【0016】
本構成によれば、測定結果は測定毎に生成されるため、撮像された生体情報測定装置が被測定者の生体情報の測定に使用された装置そのものであるとより簡易な構成で判定できる。
【0017】
上記の生体情報測定システムにおいて、前記撮像装置は、前記表示手段に表示された前記表示識別情報と共に前記生体情報測定装置による測定を行っている前記被測定者の顔を撮像し、前記情報処理装置は、前記画像情報により示される前記被測定者の顔を示す顔画像情報に基づいて、前記被測定者の顔認証を行う顔認証手段を備えてもよい。
【0018】
本構成によれば、表示識別情報と機器識別情報とによる認証と共に顔認証を行うので、被測定者本人による測定であることをより確実に判定できる。
【0019】
上記の生体情報測定システムにおいて、前記顔認証手段は連続して撮像された複数の前記顔画像情報に基づいて前記顔認証を行ってもよい。
【0020】
本構成によれば、複数の顔画像情報を用いて顔認証を行うので、被測定者本人による測定であることをより確実に判定できる。
【0021】
上記の生体情報測定システムにおいて、前記顔認証手段は前記顔画像情報と予め登録されている前記被測定者の顔を示す登録顔画像情報とで、前記被測定者の顔認証を行ってもよい。
【0022】
本構成によれば、予め登録されている登録顔画像情報を用いて顔認証を行うので、被測定者本人による測定であることをより確実に判定できる。
【0023】
上記の生体情報測定システムは、前記画像情報に基づいて前記被測定者に動きが生じていることを判定する動体判定手段を備えてもよい。
【0024】
本構成によれば、撮像されている被測定者が生体であることを判定できるので、被測定者本人による測定であることをより確実に判定できる。
【0025】
上記の生体情報測定システムにおいて、前記生体情報測定装置は、前記生体情報の測定の実施に関する情報である測定実施情報を前記情報処理装置へ前記生体情報の測定毎に送信し、前記情報処理装置は、前記生体情報測定装置から送信された前記測定実施情報に基づいて前記生体情報測定装置による前記生体情報の測定が適正に行われているかを判定する実施状態判定手段を備えてもよい。
【0026】
本構成によれば、被測定者が生体情報の測定を途中で中断したり、生体情報測定装置と情報処理装置との通信を途絶させるといった不正行為等が行われることがなく、生体情報測定装置によって適切な測定が行われたことを判定できる。
【0027】
上記の生体情報測定システムは、予め定められた時間帯に前記被測定者の前記生体情報を測定してもよい。
【0028】
本構成によれば、被測定者の生体情報を目的の時間帯に合わせて測定できる。
【0029】
上記の生体情報測定システムにおいて、前記被測定者は、航空機の乗務員であり、前記予め定められた時間帯は、前記乗務員が乗務する前記航空機の運航時間帯の前及び後の少なくとも一方の所定時間帯でもよい。
【0030】
本構成によれば、航空機の乗務員の生体情報を航空機の運航時間に合わせて測定できる。
【0031】
上記の生体情報測定システムにおいて、前記生体情報測定装置は加速度センサを備え、前記判定手段は、前記生体情報測定装置による測定中に前記加速度センサが所定値以上の加速度を検知した場合に、前記撮像装置で撮像された前記生体情報測定装置を用いて前記被測定者が前記生体情報を測定していないと判定してもよい。
【0032】
生体情報測定装置による測定中に加速度センサが所定値以上の加速度を検知した場合とは生体情報測定装置を瞬間的に移動させた場合であり、被測定者から他者に生体情報測定装置が手渡された可能性がある。このため、本構成によれば不正行為の有無を判定できる。
【0033】
本発明の一態様の不正測定判定方法は、被測定者の生体情報を測定する生体情報測定装置、撮像装置、及び情報処理装置を具備する生体情報測定システムの認証方法であって、表示識別情報を表示手段に表示し、機器識別情報を前記情報処理装置へ送信する第1工程と、前記表示手段に表示された前記表示識別情報を前記撮像装置が撮像する第2工程と、前記撮像装置が撮像して取得した画像情報、及び前記生体情報測定装置から送信された前記機器識別情報を前記情報処理装置が受信する第3工程と、前記画像情報により示される前記表示識別情報と前記生体情報測定装置から送信された前記機器識別情報とに基づいて、前記撮像装置で撮像された前記生体情報測定装置を用いて前記被測定者が前記生体情報を測定していることを前記情報処理装置が判定する第4工程と、を有する。
【0034】
本発明の一態様の不正測定判定プログラムは、被測定者の生体情報を測定する生体情報測定装置、撮像装置、及び情報処理装置を具備する生体情報測定システムの不正測定判定プログラムであって、コンピュータに、表示識別情報を表示手段に表示し、機器識別情報を前記情報処理装置へ送信する第1工程と、前記表示手段に表示された前記表示識別情報を前記撮像装置が撮像する第2工程と、前記撮像装置が撮像して取得した画像情報、及び前記生体情報測定装置から送信された前記機器識別情報を前記情報処理装置が受信する第3工程と、前記画像情報により示される前記表示識別情報と前記生体情報測定装置から送信された前記機器識別情報とに基づいて、前記撮像装置で撮像された前記生体情報測定装置を用いて前記被測定者が前記生体情報を測定していることを前記情報処理装置が判定する第4工程と、を実行させる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、生体情報測定装置を用いた生体情報の測定を被測定者本人が行っていることをより簡易な構成で判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態のアルコール検知システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態のアルコール検知システムの機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態のアルコール検知時間帯を示す模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態のアルコール検知処理のフローチャートである。
【
図5】
図5は、本発明の第1実施形態のアルコール検知処理のフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施形態のアルコール検知システムの機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2実施形態のアルコール検知処理のフローチャートである。
【
図8】
図8は、本発明の第3実施形態のアルコール検知システムの機能ブロック図である。
【
図9】
図9は、本発明の第3実施形態のアルコール検知処理のフローチャートである。
【
図10】
図10は、本発明の他の実施形態のアルコール検知システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよい。
【0038】
(第1実施形態)
本実施形態では生体情報測定システムを一例として、アルコール検知システムとする。すなわち、本実施形態では、生体情報を被測定者の呼気に含まれるアルコール濃度とし、生体情報測定装置をアルコール検知装置とする。また、本実施形態では被測定者を一例として、航空機の乗務員である操縦士や客室乗務員とする。航空機は例えば旅客機や貨物機等であるが、これに限らず、ビジネスジェット等、他の航空機であってもよい。
【0039】
図1は、本実施形態のアルコール検知システム10の概略構成図である。アルコール検知システム10は、アルコール検知装置12、タブレット端末14、及び認証サーバ16を備える。なお、本実施形態では一例として、被測定者は各々がアルコール検知装置12及びタブレット端末14を所有するが、これに限らず、複数の被測定者が一つのアルコール検知装置12を共有してもよいし、複数の被測定者が一つのタブレット端末14を共有してもよい。
【0040】
アルコール検知装置12は、被測定者の呼気からアルコール濃度を測定(以下「アルコール検知」ともいう。)する装置であり、マウスピース20、表示部22及び操作部24を備える。マウスピース20の両端には、吹込口及び排気口がそれぞれ形成され、被測定者が吹込口をくわえて息を吹き込むと、マウスピース20内に吹き込まれた呼気中のアルコール濃度が測定され、吹き込まれた息は排気口から排出される。
【0041】
表示部22は、被測定者が吹き込んだ息に含まれるアルコール濃度の測定結果(以下「アルコール測定値」という。)等を表示する。操作部24は被測定者によって操作され、アルコール検知装置12の電源のオン又はオフを行うための電源ボタン、アルコール検知を開始するための測定開始ボタン、各種設定の変更等を行うための設定ボタン等が含まれる。
【0042】
本実施形態のアルコール検知装置12は、表示識別情報(以下「表示ID」という。)を生成し、表示IDを表示部22に表示する。本実施形態の表示IDは、一例として、アルコール濃度の測定の際に生成され、表示部22に表示される。なお、本実施形態のアルコール検知装置12は、表示部22に測定値表示領域22AとID表示領域22Bを有し、測定値表示領域22Aにアルコール測定値を表示し、ID表示領域22Bに表示IDを表示する。
【0043】
また、本実施形態のアルコール検知装置12は、機器識別情報(以下「機器ID」という。)をタブレット端末14へ送信する。本実施形態の表示IDと機器IDとは、一例として同じ識別情報とされるが、これに限らず、表示IDと機器IDとは、同一でなくても、詳細を後述するように表示IDと機器IDとに基づいた認証可能な対応関係を有していればよい。
【0044】
タブレット端末14は、可搬型の情報処理装置であり、プログラムを実行可能なCPU(CentralProcessing Unit)等のコンピュータ、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、インターネットやイントラネットに接続するための通信装置、各種のコネクタ、画像を表示すると共にタブレット端末14に対する操作を受け付けるタッチパネルディスプレイ30、被写体を撮像するカメラ32、及びタブレット端末14に対する操作を受け付ける操作部34を備える。
【0045】
本実施形態のタブレット端末14は、航空機の乗務員である被測定者が所持するものであり、例えば、当該乗務員が乗務する航空機のフライトスケジュールが記憶され、乗務員の勤務管理にも用いられる。なお、詳細を後述するように、被測定者はフライトスケジュールに基づいてアルコール検知を行う。
【0046】
タブレット端末14は、アルコール検知装置12から送信されたアルコール測定値や機器ID等を受信する。また、カメラ32は、被測定者がアルコール検知装置12によってアルコール検知を行う際に、被測定者の顔及び表示部22が画角36に含まれるように撮像し、撮像画像をタッチパネルディスプレイ30に表示する。
【0047】
そして、タブレット端末14は、アルコール測定値や機器ID、カメラ32による撮像で取得した画像情報(以下「カメラ画像情報」という。)を認証サーバ16へ送信する。また、タブレット端末14は、認証サーバ16から表示IDと機器IDとに基づいた認証結果やカメラ画像情報に基づいた被測定者の認証結果、アルコール検知の結果に基づく乗務の可否結果(以下「乗務可否結果」という。)を受信し、タッチパネルディスプレイ30に表示する。
【0048】
なお、タブレット端末14には、アルコール検知装置12を用いたアルコール検知処理を行うためのアプリケーションソフト(以下「アルコール検知アプリ」という。)がインストールされている。被測定者は、アルコール検知を行う際に、タブレット端末14でアルコール検知アプリを起動させ、アルコール検知アプリが示す手順に従ってアルコール検知を行う。また、アルコール検知アプリは、アルコール検知の手順だけでなく、認証サーバ16から受信した認証結果や乗務可否結果等をタッチパネルディスプレイ30に表示させる。
【0049】
認証サーバ16は、プログラムを実行可能なCPU(Central ProcessingUnit)等のコンピュータ、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置、インターネットやイントラネットに接続するための通信装置、各種のコネクタ等を備える情報処理装置である。本実施形態の認証サーバ16は、被測定者の本人確認等、各種情報処理を行うものであり、詳細を後述するように本人確認に必要とする各情報を予め記憶し、アルコール検知装置12による測定結果(アルコール測定値)等を被測定者に関連付けて逐次記憶する。
【0050】
また、認証サーバ16は、例えば、乗務員やフライトスケジュール等を管理する上位の情報処理装置(以下「管理サーバ」という。)や、乗務員の管理担当者が用いる情報処理装置(以下「管理端末」という。)等に接続される。これにより、認証サーバ16は、アルコール検知に基づいた情報を管理サーバへ送信したり、詳細を後述するアルコール検知処理の結果、具体的には認証に失敗した場合や不正を検知した場合に、予め定められたメールアドレスに当該内容を送信する。管理担当者は、管理端末でこのメールを確認すると、該当する乗務員への対応を行う。
【0051】
本実施形態のアルコール検知システム10は、アルコール検知装置12とタブレット端末14とにおける情報の送受信を、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブル38を用いた有線通信により行うが、これに限らず、例えばBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により情報の送受信を行ってもよい。また、タブレット端末14と認証サーバ16とは、例えばWiFi等による無線通信を介したインターネットやイントラネットにより情報の送受信を行う。
【0052】
ここで、本実施形態のアルコール検知システム10は、アルコール検知装置12を用いたアルコール検知を被測定者本人が行っていることを判定する本人確認を行う。すなわち、本実施形態のアルコール検知システム10は、被測定者本人以外の他者が被測定者になりすましてアルコール検知を不正に行うことを防止するものである。
【0053】
そこで本実施形態のアルコール検知システム10は、アルコール検知装置12の表示部22に表示された表示IDをカメラ32が撮像して取得したカメラ画像情報、及びアルコール検知装置12から送信された機器IDを認証サーバ16が受信する。そして、認証サーバ16は、カメラ画像情報により示される表示IDとアルコール検知装置12から送信された機器IDとに基づいて、カメラ32で撮像されたアルコール検知装置12を用いて被測定者がアルコール検知をしていることを判定する。
【0054】
このように、本実施形態のアルコール検知システム10によれば、認証に用いるID(表示IDと機器ID)の送信方向はアルコール検知装置12から認証サーバ16とのように一方向である。従って、本実施形態のアルコール検知システム10は、被測定者の本人確認に用いる情報のシステム内でのやり取りが簡易となるので、アルコール検知装置12を用いたアルコール検知を被測定者本人が行っていることをより簡易な構成で判定できる。
【0055】
また、IDを認証サーバ16で生成して認証サーバ16からアルコール検知装置12へ送信し、当該IDをアルコール検知装置12の表示部22に表示する様な構成では、IDが単純である場合には、そのIDを他のアルコール検知装置12で再現することによって、当該他のアルコール検知装置12で測定を行っているにもかかわらず、あたかもIDを受信したアルコール検知装置12で測定を行っているように判定させるような、不正な測定ができる可能性がある。一方、本実施形態のアルコール検知装置12のように、IDがアルコール検知装置12から認証サーバ16へのみ送信されるシステムでは、上述のような2台のアルコール検知装置12を用いた不正を行えず、このような不正を未然に防止できる。
【0056】
図2は、本実施形態のアルコール検知システム10で実行されるアルコール検知処理に関する機能ブロック図である。本実施形態において、
図2に示される各機能は一例としてアルコール検知装置12、タブレット端末14、及び認証サーバ16が備えるコンピュータによって実行される。なお、これに限らず、各機能は、アルコール検知装置12、タブレット端末14、及び認証サーバ16が備えるASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の個別のハードウェアによって実現されてもよい。
【0057】
アルコール検知装置12は、操作制御部40、アルコール濃度測定部42、ID生成部44、画像表示制御部46、測定実施情報生成部48、記憶部50、及びデータ送受信部52を備える。
【0058】
操作制御部40は、被測定者による操作部24に対する操作を受け付け、当該操作に応じた制御、例えばアルコール検知装置12のオン、オフ等やアルコール検知の開始を指示する。
【0059】
アルコール濃度測定部42は、操作部24に含まれる測定開始ボタンが操作された後に、マウスピース20から吹き込まれた息に含まれるアルコール濃度を測定し、アルコール測定値として出力する。
【0060】
ID生成部44は、アルコール濃度の測定毎に表示ID及び機器IDを生成する。なお、本実施形態の表示ID生成部44は、一例として、表示ID及び機器IDとしてランダムに生成される情報を生成する。ランダムに生成される情報は、一例とし所定桁数の乱数であるが、乱数には数字や文字、記号等が含まれてもよい。
【0061】
画像表示制御部46は、測定値表示領域22Aにアルコール測定値を表示させ、ID表示領域22Bに表示IDを表示させる等、表示部22の表示状態を制御する。
【0062】
測定実施情報生成部48は、アルコール検知の実施に関する情報である測定実施情報を生成する。測定実施情報は、換言すると、アルコール検知装置12とタブレット端末14との接続状態を判定可能な情報である。本実施形態に係る測定実施情報生成部48は、測定実施情報の一例として、アルコール検知装置12によるアルコール検知の通算回数(以下「測定通算回数」という。)をカウントする。測定通算回数は、アルコール検知装置12が工場出荷後からアルコール検知を行った回数の積算値であり、アルコール検知が1回行われる毎に値が1つ増加する。
【0063】
記憶部50は、表示ID及び機器ID、アルコール検知装置12の製造時ID、測定通算回数、アルコール検知装置12の設定状態等を記憶する。なお、製造時IDは、アルコール検知装置12の製造時に設定されるIDである。
【0064】
データ送受信部52は、タブレット端末14やその他の情報処理装置との間で情報の送受信を有線又は無線で行う。なお、本実施形態のデータ送受信部52は、アルコール測定値、機器ID、製造時ID、及び測定通算回数等をタブレット端末14へ送信する。
【0065】
タブレット端末14は、操作制御部60、カメラ制御部62、画像表示制御部64、記憶部66、データ送受信部68、及び運航時間帯判定部70を備える。
【0066】
操作制御部60は、被測定者によるタッチパネルディスプレイ30や操作部34に対する操作を受け付け、当該操作に応じた制御、例えばアルコール検知アプリの実行等を行う。
【0067】
カメラ制御部62は、被測定者による操作に応じてカメラ32を制御する。
【0068】
画像表示制御部64は、タッチパネルディスプレイ30に対する画像表示を制御する。
【0069】
記憶部66は、アルコール検知アプリやカメラ画像情報、タブレット端末14を所有する被測定者のフライトスケジュール等を記憶する。なお、フライトスケジュールは、他の情報処理装置から送信され、随時自動的に更新される。
【0070】
データ送受信部68は、アルコール検知装置12や認証サーバ16、その他の情報処理装置との間で情報の送受信を有線又は無線で行う。なお、本実施形態のデータ送受信部68は、アルコール検知装置12からアルコール測定値、機器ID、製造時ID及び測定通算回数を受信し、これらの情報をカメラ画像情報と共に認証サーバ16へ送信する。また、データ送受信部68は、認証サーバ16からの認証結果や乗務可否結果等を受信する。
【0071】
運航時間帯判定部70は、記憶部66に記憶されているフライトスケジュールに基づいて、アルコール検知を行う時間帯を判定する。すなわち、本実施形態のアルコール検知システム10は、予め定められた時間帯に被測定者の呼気に含まれるアルコール濃度を測定する。これにより、アルコール検知システム10は、被測定者のアルコール濃度を目的の時間帯、本実施形態では航空機の乗務前後に合わせて測定できる。
【0072】
図3は、本実施形態のアルコール検知時間帯を示す模式図である。
図3に示される運航時間帯は、被測定者が乗務する航空機の運航時間である。本実施形態のアルコール検知では、被測定者はこの運航時間帯の前後の所定時間帯内でアルコール検知を行う。
【0073】
図3の例では、時刻Taから運航開始時刻Tfsの間と、運航終了時刻Tfeから時刻Tbまでの間がアルコール検知時間帯とされる。なお、運航開始時刻Tfsと時刻Taとの間隔、運航終了時刻Tfeと時刻Tbとの間隔は任意に決定されるものであり、例えば1時間である。また、被測定者は、自身が乗務する航空機の運航時間帯の前及び後の少なくとも一方の時間帯にアルコール検知を行うと定められてもよく、例えば客室乗務員は運航時間帯の前後にアルコール検知を行うと定められる一方、操縦士は運航時間帯の前にのみアルコール検知を行うと定められてもよい。また、国際便等、運航時間が長くなる場合には、運航時間帯内における所定時間帯でアルコール検知を行うと定められてもよい。
【0074】
認証サーバ16は、データ送受信部80、記憶部82、ID判定部84、顔認証部86、乗務可否判定部88、及び実施状態判定部90を備える。
【0075】
データ送受信部80は、タブレット端末14から送信されたアルコール測定値、機器ID、製造時ID、測定通算回数、及びカメラ画像情報等を受信し、認証結果や乗務可否結果等をタブレット端末14へ送信する。
【0076】
記憶部82は、被測定者リストと装置リストを記憶する。被測定者リストは、被測定者の氏名や所属先等の各種登録情報が被測定者の顔を示す画像情報(以下「登録顔画像情報」という。)と共に被登録者毎に登録されたものである。製造時IDリストは、アルコール検知システム10で用いられるアルコール検知装置12の製造時IDを登録したものである。なお、被測定者が用いるアルコール検知装置12は、予め決められてもよく、その場合には、被測定者リストに被測定者が使用するアルコール検知装置12の製造時IDも登録される。
【0077】
また、記憶部82は、タブレット端末14から送信されたアルコール測定値、カメラ画像情報及び乗務可否結果等を被測定者毎に記憶し、タブレット端末14から送信された測定通算回数をアルコール検知装置12毎に記憶する。なお、記憶部82で記憶されるアルコール検知装置12毎の測定通算回数をサーバ記憶通算回数という。
【0078】
ID判定部84は、カメラ画像情報から表示IDを抽出する。そしてID判定部84は、抽出した表示IDとアルコール検知装置12から送信された機器IDとに基づいて、カメラ32で撮像されたアルコール検知装置12を用いて被測定者がアルコール検知を行っていることを判定する。本実施形態のID判定部84は、表示IDと機器IDとが一致する場合に、カメラ32で撮像されたアルコール検知装置12を用いて被測定者がアルコール検知を行っていると判定する。また、ID判定部84は、タブレット端末14から送信された製造時IDが記憶部82に記憶されている製造時IDリストに含まれているか否かを判定する。
【0079】
本実施形態の顔認証部86は、カメラ画像情報により示される被測定者の顔を示す顔画像情報に基づいて、被測定者の顔認証を行う。本実施形態の顔認証部86は、カメラ画像情報により示される被測定者の顔を示す顔画像情報と被測定者リストに予め登録されている登録顔画像情報とで、被測定者の顔認証を行う。なお、顔認証部86は、カメラ画像情報から被測定者の顔を抽出し、顔画像情報を取得する機能も有する。
【0080】
乗務可否判定部88は、アルコール測定値と予め定められた基準値とに基づいて、被測定者のアルコール摂取状態を判定し、これに基づいて被測定者の乗務可否を判定する。すなわち、アルコール測定値が基準値を超えている場合には、当該被測定者は乗務禁止とされる。
【0081】
実施状態判定部90は、アルコール検知装置12から送信される測定実施情報に基づいて、アルコール検知が適切に行われているか否かを判定する。本実施形態の実施状態判定部90は、一例として、アルコール検知装置12から送信された測定通算回数と、記憶部82に記憶しているサーバ記憶通算回数とに基づいてアルコール検知装置12によるアルコール検知が適正に行われているかを判定する。なお、本実施形態の実施状態判定部90は、測定通算回数とサーバ記憶通算回数とが一致する場合に適正であると判定する。
【0082】
図4,5は、本実施形態のアルコール検知システム10で実行されるアルコール検知処理(アルコール検知プログラム)の流れを示すフローチャートである。なお、アルコール検知処理は、タブレット端末14でアルコール検知アプリを起動させ、電源がオンとされたアルコール検知装置12とタブレット端末14との接続をアルコール検知アプリが認識した場合に開始される。
【0083】
まず、ステップS100では、タブレット端末14の運航時間帯判定部70が現在時刻T1を読み込む。
【0084】
次のステップS102では、アルコール検知装置12のID生成部44が表示ID及び機器IDを生成する。
【0085】
次のステップS104では、アルコール検知装置12の画像表示制御部46が表示部22に表示IDを表示させると共に、データ送受信部52Aが機器IDをタブレット端末14に送信する。なお、アルコール検知装置12は、機器IDと共に製造時IDもタブレット端末14に送信する。このため、タブレット端末14は、アルコール検知装置12から送信される機器ID及びカメラ画像情報を、受信した製造時IDに関連付けて記憶部66に記憶させる。
【0086】
次のステップS106では、アルコール検知装置12の測定開始ボタンへの操作をトリガーとして、タブレット端末14のカメラ制御部62がカメラ32による撮像を開始する。なお、このときカメラ32による撮像画像はタブレット端末14のタッチパネルディスプレイ30に表示され、被測定者は自身の顔とアルコール検知装置12の表示部22がカメラ32の画角36に含まれるように、自身の位置やアルコール検知装置12の位置を調整する。
【0087】
次のステップS108では、カメラ制御部62が、カメラ32による撮像の開始と共にカメラ32による撮像画像をカメラ画像情報として取得する。なお、ここでいうカメラ画像情報の取得とは、カメラ32による撮像画像をタブレット端末14が備える不揮発性の記憶装置に記憶をさせることをいう。
【0088】
このように、本実施形態では測定開始ボタンへの操作を開始トリガーとして、カメラ32による撮像開始と共にカメラ画像情報の取得を開始するが、カメラ画像情報の取得の開始トリガーはこれに限られない。例えば、カメラ32による撮像が開始され、撮像画像に人の顔を含むことが認識された場合を開始トリガーとして、カメラ画像情報の取得が開始されてもよい。また、カメラ32による撮像が開始され、撮像画像に表示IDを含むことが認識された場合を開始トリガーとして、カメラ画像情報の取得が開始されてもよい。
【0089】
次のステップS110では、タブレット端末14のデータ送受信部68が、アルコール検知装置12から受信した機器ID、製造時ID、及びカメラ32で撮像したカメラ画像情報を認証用データとして認証サーバ16へ送信する。
【0090】
次のステップS112では、認証サーバ16のID判定部84によるID判定、顔認証部86による顔認証が行われる。ID判定として、カメラ画像情報により示される表示IDと、タブレット端末14から送信された機器IDとが一致するか否かが判定される。また、ID判定として、タブレット端末14から送信された製造時IDが装置リストに含まれているか否かが判定される。
【0091】
本実施形態の顔認証は、被測定者の顔を示す顔画像情報と被測定者リストに登録されている登録顔画像情報とで、被測定者の顔認証が行われる。このように、本実施形態では、表示IDと機器IDとによる認証と共に顔認証を行うので、被測定者本人による測定であることをより確実に判定できる。なお、顔認証は、顔画像情報と登録顔画像情報との比較によるものではなく、複数のカメラ画像情報を取得し、この複数のカメラ画像情報に含まれる複数の顔画像情報が同一人物であるか否かを判定することで行われてもよい。
【0092】
次のステップS114では、ID判定と顔認証とが成功したか否かが判定され、肯定判定の場合にステップS116へ移行し、否定判定の場合にステップS140へ移行する。なお、ID判定と顔認証との結果(認証結果)はタブレット端末14へ送信される。タブレット端末14は、認証結果が失敗の場合には、失敗であることを示す画像をタッチパネルディスプレイ30へ表示することで、被測定者に認証が失敗したことを認識させる。
【0093】
ステップS116では、タブレット端末14の運航時間帯判定部70がステップS100で読み込んだ現在時刻T1と運航スケジュールとを比較する。
【0094】
次のステップS118では、現在時刻T1がアルコール検知時間帯内である場合にステップS120へ移行し、否定判定の場合にステップS140へ移行する。
【0095】
ステップS120では、認証サーバ16の記憶部82に記憶されているサーバ記憶通算回数を実施状態判定部90が読み込む。なお、読み込まれるサーバ記憶通算回数は、タブレット端末14に接続されているアルコール検知装置12のものであり、製造時IDに関連付けられている。
【0096】
次のステップS122では、実施状態判定部90がタブレット端末14を介してアルコール検知装置12から測定通算回数を読み込む。
【0097】
次のステップS124では、測定通算回数とサーバ記憶通算回数とが一致するか否かを実施状態判定部90が判定し、肯定判定の場合はステップS126へ移行し、否定判定の場合はステップS140へ移行する。なお、肯定判定の場合、回数が一致したことを示す認証結果がタブレット端末14に送信される。そして、タブレット端末14が当該認証結果を受信すると、アルコール検知アプリは、被測定者に対してアルコール検知装置12に対する呼気の吹きかけの開始を促す画像(以下「検知開始画像」という。)をタッチパネルディスプレイ30に表示させる。
【0098】
次のステップS126では、アルコール検知装置12のアルコール濃度測定部42が被測定者による呼気の吹きかけがあるか否かを判定し、肯定判定の場合はステップS130へ移行し、否定判定の場合はステップS128へ移行する。なお、否定判定とされる場合は、例えば、検知開始画像がタブレット端末14に表示された後、所定期間内(例えば3分以内)にアルコール検知装置12の測定開始ボタンの操作がされず、呼気の吹きかけが無かった場合である。
【0099】
ステップS128では、エラー処理として、アルコール検知を再度ステップS100から行うことを示した再検知情報をアルコール検知装置12からタブレット端末14及び認証サーバ16に送信する。アルコール検知アプリは、再検知情報に基づいて、呼気の吹きかけを促す画像をタッチパネルディスプレイ30に表示させる。
【0100】
ステップS130では、アルコール濃度測定部42が呼気の吹きかけを検知したことに伴い、アルコール検知装置12の測定実施情報生成部48が測定通算回数をインクリメントし、測定通算回数の値を1つ増加させる。
【0101】
次のステップS132では、アルコール濃度測定部42が呼気に含まれるアルコール濃度からアルコール測定値を算出し、アルコール検知装置12の画像表示制御部46が表示部22にアルコール測定値を表示させる。
【0102】
次のステップS134では、アルコール検知装置12のデータ送受信部52がアルコール測定値及び測定通算回数をタブレット端末14へ送信する。タブレット端末14は、受信したアルコール測定値及び測定通算回数を認証サーバ16へ送信する。
【0103】
次のステップS136では、認証サーバ16は受信したアルコール測定値を被測定者毎に記憶部82に記憶させる。また、認証サーバ16は、記憶部82に記憶されているサーバ記憶回数を受信した測定通算回数の値に更新する。
【0104】
ここで、ステップS124で行われるサーバ記憶回数と測定通算回数とに基づく判定処理について詳細に説明する。まず、アルコール検知装置12は、呼気を吹きかけてからアルコール濃度の測定までにある程度(例えば、数十秒程度)の時間を要する。このため、呼気を吹きかけた後に自身の呼気に含まれるアルコール濃度が高いと感じた被測定者が、アルコール測定値の算出途中でアルコール検知装置12とタブレット端末14との接続(通信)を切断する可能性がある。また、被測定者が、アルコール測定値の算出途中でアルコール検知装置12の電源をオフとする可能性がある。このような行為は、被測定者が航空機の乗務前又は乗務後において基準値を超えてアルコールを摂取した状態であった可能性があり、不正行為と考えられる。また、被測定者が、自身がアルコールを摂取した状態であると認識している場合には、アルコール検知装置12をタブレット端末14と接続させることなく、アルコール検知を行いアルコール測定値が基準値を超えていないことを確認することも考えられる。本実施形態ではこのような行為も不正行為であるとする。
【0105】
そして、本実施形態のアルコール検知処理では、ステップS134のようにアルコール測定値の算出が終わった後に測定通算回数が認証サーバ16へ送信されるので、上述の不正行為が行われると、認証サーバ16に記憶されるサーバ記憶回数は更新されない。従って、ステップS124において測定通算回数とサーバ記憶回数とが一致ない場合は、上述のような不正行為が行われた可能性を示唆することになる。
【0106】
このように、本実施形態のアルコール検知処理は、サーバ記憶回数と測定通算回数とを比較することによって、アルコール検知装置12とタブレット端末14との接続切断等の不正行為が行われることなく、アルコール検知装置12によって適切な測定が行われたことを判定できる。
【0107】
次のステップS138では、認証サーバ16の乗務可否判定部88がアルコール測定値と基準値とに基づいて、被測定者のアルコール摂取状態を判定し、基準値以下の場合はアルコール検知処理を終了し、否定判定の場合はステップS140へ移行する。なお、肯定判定の場合には、タブレット端末14のタッチパネルディスプレイ30にアルコール検知の結果、異常が無く航空機の乗務が可能であることが表示される。一方、否定判定の場合には、タッチパネルディスプレイ30にアルコールの摂取状態が基準値を超え、航空機の乗務ができないことが表示される。
【0108】
ステップS140では、認証サーバ16が報知処理を行う。報知処理は、ステップS114,S118,S124で否定判定となった場合、認証失敗に基づく乗務禁止を示す情報を認証失敗の理由と共に管理サーバや管理端末へ送信する。また、ステップS138で否定判定となった場合、報知処理は、アルコールの摂取状態が基準値を超えたことに基づく乗務禁止を示す情報を管理サーバや管理端末へ送信する。
【0109】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態はアルコール検知装置12が加速度センサを備え、加速度センサの検知結果を不正行為の判定に用いる。また、本実施形態は、被測定者の顔認証を複数回行うことで不正行為の判定を行う。
【0110】
図6は、本実施形態のアルコール検知システム10の機能ブロック図である。なお、
図6における
図2と同一の構成は、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0111】
本実施形態のアルコール検知装置12が備える加速度センサ54は、アルコール検知装置12によるアルコール検知中においてアルコール検知装置12に加えられた加速度を検知する。なお、加速度センサ54で検知された加速度は、加速度情報として出力される。
【0112】
本実施形態の認証サーバ16は、加速度判定部92を備える。加速度判定部92は、アルコール検知装置12によるアルコール検知中に加速度センサ54が所定値以上の加速度を検知した場合に、カメラ32で撮像されたアルコール検知装置12を用いて被測定者がアルコール検知をしていないと判定する。なお、所定値とは、アルコール検知装置12が瞬間的に移動したことを判定可能な値であり、任意に設定される。
【0113】
ここで、アルコール検知装置12によるアルコール検知中に加速度センサ54が所定値以上の加速度を検知した場合とはアルコール検知装置12を瞬間的に移動させた場合であり、被測定者から他者にアルコール検知装置12が手渡された可能性がある。このような行為は不正を目的とした行為であると考えられる。このため、加速度判定部92による判定によって不正行為の有無を判定できる。
【0114】
また、本実施形態のカメラ32は、被測定者の顔を複数回撮像し、顔認証部86は、連続して撮像された複数の顔画像情報に基づいて顔認証を行う。このように本実施形態のアルコール検知システム10は、複数の顔画像情報を用いて顔認証を行うので、被測定者本人による測定であることをより確実に判定できる。
【0115】
図7は、本実施形態のアルコール検知システム10で実行されるアルコール検知処理(アルコール検知プログラム)の流れを示すフローチャートである。なお、
図7は、加速度を用いた不正行為の判定、及び複数の撮影顔画像を用いた顔認証の処理を示したものであり、第1実施形態で説明した他の認証処理や測定通算回数のインクリメント等は省略するものの、第1実施形態と同様に実行される。なお、アルコール検知装置12は、一例として、電源がオンされると共に、加速度センサ54による加速度の検知を開始する。
【0116】
まず、ステップS200では、アルコール検知装置12の測定開始ボタンが操作されたか否かを操作制御部40が判定し、肯定判定の場合はステップ202へ移行する。
【0117】
次のステップS202では、タブレット端末14のカメラ制御部62がカメラ32による撮像を開始させてカメラ画像情報を取得する。カメラ画像情報は、データ送受信部68を介して認証サーバ16へ送信される。認証サーバ16は、受信したカメラ画像情報を記憶部82に記憶させる。なお、カメラ32によるカメラ画像情報の取得は、所定時間間隔(例えば500msec間隔)で行われる。この所定時間間隔は、例えば、撮像中におけるアルコール検知装置12のすり替えを判定できる程度の時間間隔であればよい。
【0118】
次のステップS204では、アルコール濃度測定部42が被測定者による呼気の吹きかけが終了したか否かを判定し、肯定判定の場合はステップS206へ移行する。一方、否定判定の場合は、ステップS204へ戻り呼気の吹きかけが終了するまでカメラ画像情報の取得を連続して繰り返す。
【0119】
ステップS206は、顔認証部86が複数のカメラ画像情報から顔画像情報を抽出し、複数の顔画像情報により示される複数の顔画像が同一人物であるか否かを判定し、肯定判定の場合はステップS208へ移行し、否定判定の場合はステップS218へ移行する。なお、顔画像情報の抽出に用いられるカメラ画像情報は、少なくとも2つであればよい。
【0120】
ステップS208では、顔認証部86が顔認証を行い、顔認証が成功した場合はステップS210へ移行し、顔認証が失敗した場合はステップステップS218へ移行する。なお、顔認証に用いられる顔画像情報は少なくとも一つであればよいが、複数の顔画像情報を用いてもよい。
【0121】
ステップS210では、加速度センサ54からの加速度情報を加速度判定部92がタブレット端末14を介してアルコール検知装置12から取得する。なお、取得する加速度は、アルコール検知装置12に対して被測定者が呼気の吹きかけを行った期間に対応する期間の加速度である。
【0122】
次のステップS212では、取得した加速度情報の値(加速度)が所定値未満であるか否かを加速度判定部92が判定し、肯定判定の場合はステップS214へ移行し、否定判定の場合ステップS218へ移行する。
【0123】
ステップS214では、アルコール濃度測定部42が呼気に含まれるアルコール濃度からアルコール測定値を算出し、アルコール検知装置12の画像表示制御部46が表示部22にアルコール測定値を表示させる。
【0124】
次のステップS216では、カメラ制御部62がカメラ32による撮像を終了する。
【0125】
ステップS218では、認証サーバ16が報知処理を行う。報知処理は、ステップS208で否定判定となった場合、認証失敗に基づく乗務禁止を示す情報を認証失敗の理由と共に管理サーバや管理端末へ送信する。報知処理は、不正行為に基づく乗務禁止を示す情報を管理サーバや管理端末へ送信する。
【0126】
なお、本実施形態では、カメラ32が複数枚の静止画像を撮像する形態について説明したが、本実施形態はこれに限られず、呼気の吹きかけが終了するまでカメラ32が動画像を撮像し、動画像における異なる時間の被測定者の顔画像情報を抽出し、抽出した複数の顔画像情報が同一人物であるか否かを判定してもよい。
【0127】
また、本実施形態では、カメラ32によるカメラ画像情報の取得を測定開始ボタンへの操作を開始トリガーとする形態について説明したが、本実施形態はこれに限られない。例えば、アルコール検知アプリの起動、アルコール検知アプリが起動した後におけるアルコール検知装置12の電源のオン操作、アルコール検知装置12の加速度センサ54による加速度の検知、アルコール検知装置12の他のセンサ(例えばジャイロセンサ)やアルコール検知装置12が備えるリードスイッチ等が反応したタイミングを開始トリガーとしてカメラ画像情報の取得が開始されてもよい。
【0128】
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態について説明する。なお、本実施形態は被測定者の動画像を不正行為の判定に用いる。
【0129】
図8は、本実施形態のアルコール検知システム10の機能ブロック図である。なお、
図8における
図2,6と同一の構成は、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0130】
ここで、アルコール検知の不正行為として、被測定者とは異なる他者が当該被測定者の顔写真等をカメラ32に撮像させ、他者が被測定者になりすましてアルコール検知を行うといった行為が行われる可能性がある。
【0131】
そこで、本実施形態の認証サーバ16は、動体判定部94を備える。動体判定部94は、タブレット端末14のカメラ32によって取得されたカメラ画像情報に基づいて、被測定者に動き(以下「動体」という。)が生じていることを判定する。これにより、カメラ32によって撮像されている被測定者が生体であることを判定できるので、被測定者本人による測定であることをより確実に判定できる。なお、動体判定部94の判定に用いられるカメラ画像情報は、一例として、動画を示す動画像情報である。すなわち、本実施形態のカメラ32は、一例として、動画像情報を取得する。また、動体として判定される被測定者の動きは、例えば、眼の瞬き、口元の動き、頭部や体の揺れ等である。なお、動体判定部94によって被測定者に動体が生じているか否の判定を動体検知ともいう。
【0132】
また、動体判定部94は、呼気を吹きかけた時間(以下「呼気吹きかけ時間」という。)と被測定者に動体が生じた時間(以下「動体検知時間」という。)とに基づいて、アルコール検知装置12によるアルコール検知が適正に行われているかを判定する。すなわち、被測定者がアルコール検知装置12に呼気を吹きかける場合には、被測定者の口元や体に動きが生じるため、例えば、呼気吹きかけ時間と動体検知時間とに所定範囲以上のずれがないかを判定することで、アルコール検知装置12によるアルコール検知が適正に行われているかが判定できる。
【0133】
さらに、動体判定部94は、アルコール検知装置12の加速度センサ54が検知した加速度情報と動画像情報とに基づいて、アルコール検知装置12によるアルコール検知が適正に行われているかを判定してもよい。すなわち、被測定者がアルコール検知装置12に呼気を吹きかける場合には、アルコール検知装置12にも振動が生じる。このため、動体が生じている場合には加速度センサ54が加速度を検知するため、これらに基づいて、アルコール検知が適正に行われているかを判定できる。動体判定部94は、一例として、加速度センサ54が加速度を検知した時間(以下「加速度検知時間」という。)と動体検知時間とに基づいて、アルコール検知装置12によるアルコール検知が適正に行われているかを判定する。
【0134】
なお、動体検知時間、呼気吹きかけ時間、及び加速度検知時間は、長さを有する概念である。すなわち、一例として、上記所定範囲を8秒とし、動体検知時間が13秒であり、呼気吹きかけ時間が15秒である場合には、アルコール検知が適正に行われていると動体判定部94が判定する。一方で、動体検知時間が1秒であり、呼気吹きかけ時間が15秒である場合には、アルコール検知が適正に行われていないと動体判定部94が判定する。
【0135】
図9は、本実施形態のアルコール検知システム10で実行されるアルコール検知処理(アルコール検知プログラム)の流れを示すフローチャートである。なお、
図9は、加速度を用いた不正行為の判定、及び動体としての顔認証の処理を示したものであり、第1実施形態で説明した他の認証処理や測定通算回数のインクリメント等は省略するものの、第1実施形態と同様に実行される。なお、アルコール検知装置12は、一例として、電源がオンされると共に、加速度センサ54による加速度の検知を開始する。
【0136】
まず、ステップS300では、アルコール検知装置12の測定開始ボタンが操作されたか否かを操作制御部40が判定し、肯定判定の場合はステップ302へ移行する。
【0137】
次のステップS302では、タブレット端末14のカメラ制御部62がカメラ32による動画像の撮像を開始させて動画像情報を取得する。動画像情報は、データ送受信部68を介して認証サーバ16へ送信される。認証サーバ16は、受信した動画像情報を記憶部82に記憶させる。
【0138】
次のステップS304では、アルコール濃度測定部42が被測定者による呼気の吹きかけが終了したか否かを判定し、肯定判定の場合はステップS306へ移行する。一方、否定判定の場合は、ステップS302へ戻り呼気の吹きかけが終了するまで動画像情報の取得を繰り返す。
【0139】
ステップS306は、動体判定部94が動画像情報により示される被測定者に動きがあるか否かを判定し、肯定判定の場合はステップS308へ移行し、否定判定の場合はステップS322へ移行する。
【0140】
ステップS308では、動体判定部94が吹きかけ時間をタブレット端末14を介してアルコール検知装置12から取得する。
【0141】
ステップS310では、動体判定部94が動画像情報から動体検知時間を取得する。
【0142】
次のステップS312では、動体判定部94が動体検知時間と吹きかけ時間との差が所定範囲内であるか否かを判定し、肯定判定の場合はステップS314へ移行し、否定判定の場合ステップS322へ移行する。
【0143】
次のステップS314では、加速度判定部92が加速度センサ54からの加速度情報を、タブレット端末14を介して取得する。なお、加速度判定部92は、取得した加速度情報に基づいて加速度検知時間を抽出する。
【0144】
ステップS316では、動体判定部94が動体検知時間と加速度検知時間との差が所定範囲内であるか否かを判定し、肯定判定の場合はステップS318へ移行し、否定判定の場合ステップS322へ移行する。
【0145】
ステップS318では、アルコール濃度測定部42が呼気に含まれるアルコール濃度からアルコール測定値を算出し、アルコール検知装置12の画像表示制御部46が表示部22にアルコール測定値を表示させる。
【0146】
次のステップS320では、カメラ制御部62がカメラ32による撮像を終了する。
【0147】
ステップS322では、認証サーバ16が報知処理を行う。報知処理は、不正行為に基づく乗務禁止を示す情報を管理サーバや管理端末へ送信する。
【0148】
なお、本実施形態の動体判定部94は、被測定者に動体が生じた時間(動体検知時間)に基づいて、被測定者の動体の有無を判定したが、これに限らず、例えば、被測定者の動いた量に基づいて、被測定者の動体の有無を判定してもよい。被測定者の動いた量とは、例えば、眼球の変動量や頭部の変動量である。
【0149】
以上、本発明を、上記実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記各実施形態の構成及びフローチャートは、適宜組み合わされて実施されてもよい。
【0150】
例えば、上記実施形態では被測定者の生体情報として呼気に含まれるアルコール濃度を検知する形態について説明したが、本実施形態はこれに限られず、例えば、被測定者の呼気から検知可能な生体情報であれば、他の生体情報であってもよい。また、生体情報は被測定者の呼気から検知されるものに限らず、例えば、血液や唾液、組織の一部等、被験者の検体から検知可能な生体情報であってもよい。
【0151】
また、上記実施形態では、アルコール検知システム10がアルコール検知装置12、タブレット端末14、及び認証サーバ16を備える形態について説明したが、本実施形態はこれに限られない。例えば、
図10に示すように、アルコール検知システム10は、アルコール検知装置12、カメラ装置100、及び情報処理装置102によって構成されてもよい。
【0152】
そして、情報処理装置102は、ディスプレイ104を備え、カメラ装置100が接続される。すなわち、
図10の例では、アルコール検知装置12の表示部22に表示された表示IDをカメラ装置100が撮像して取得したカメラ画像情報と、アルコール検知装置12から送信された機器IDとを情報処理装置102が受信する。そして、情報処理装置102は、カメラ画像情報により示される表示IDとアルコール検知装置12から送信された機器IDとに基づいて、カメラ32で撮像されたアルコール検知装置12を用いて被測定者がアルコール検知をしていることを判定する。なお、
図10の例では、アルコール検知装置12と情報処理装置102とは、無線通信によりデータの送受信を行う。
【0153】
また、上記実施形態では、表示IDを乱数とする形態について説明したが、本実施形態はこれに限られない。表示IDを、例えば、アルコール検知装置12による測定結果を示すアルコール測定値そのものとしてもよい。なお、この形態によれば、アルコール測定値は測定毎に生成されるため、撮像されたアルコール検知装置12が被測定者のアルコール検知に使用された装置そのものであるとより簡易な構成で判定できる。この形態の場合、アルコール検知装置12の表示部22には、
図1に示すようなID表示領域22Bは設けられない。
【0154】
また、表示IDは、例えば、予め複数が設定されてアルコール検知装置12の記憶部50に記憶され、複数のうち何れか一つがアルコール検知毎に選択されて表示IDとされてもよい。
【0155】
また、表示IDは機器IDに対応する1次元コード(バーコード)や2次元コード(QRコード(登録商標))に変換して表示される形態とされてもよい。この形態の場合、上記コードはカメラ32で撮像後に数字等に変換されて認証に用いられる。すなわち、本実施形態の表示IDと機器IDとは対応関係にあればよく、この対応関係が満たされている場合に表示IDと機器IDとが一致すると判定されてもよい。対応関係とは、上記に限らず、例えば、機器IDが固定値とされ、機器IDに予め定められた数値が加算又は減算等される値を表示IDとする場合が例示される。また、機器IDは、製造時IDと同じとされてもよい。
【0156】
また、表示IDには、認証した被測定者の顔に関する情報(以下「顔認証情報」という。)が含まれてもよい。この形態の場合、アルコール検知装置12が表示IDを表示する前に被測定者の顔認証が行われ、顔認証の結果がアルコール検知装置12へ送信される。そして、アルコール検知装置12は、顔認証情報を表示IDに含ませて表示IDを生成する。なお、顔認証情報は、例えば、顔認証を行った時刻や登録顔画像情報に予め関連付けられた情報等である。なお、表示IDに顔認証情報が含まれる場合、表示IDは、一例として、2次元コードとしてID表示領域22Bに表示される。
【0157】
また、アルコール検知装置12は、複数のLED(Light EmittingDiode)で形成されるLED表示部を備え、表示IDを複数のLEDの点滅状態で表してもよい。
【0158】
また、上記実施形態では、測定実施情報をアルコール検知装置12によるアルコール検知の通算回数とする形態について説明したが、本実施形態はこれに限られない。測定実施情報は、例えば、アルコール検知の成功又は失敗を示すフラグ(以下「検知フラグ」という。)や、アルコール検知の実施に伴ってアルコール検知装置12から送信されるデータ項目としてもよい。
【0159】
検知フラグは、タブレット端末14で生成される。具体的には、アルコール検知装置12によるアルコール検知が終了する前にアルコール検知装置12とタブレット端末14との接続が切断された場合には失敗とする検知フラグが生成される。なお、アルコール検知装置12によるアルコール検知の終了とは、アルコール検知装置12からタブレット端末14へのアルコール測定値の送信が完了することをいう。すなわち、アルコール検知装置12からタブレット端末14へのアルコール測定値の送信が完了した場合には検知フラグは成功とされる。そして、実施状態判定部90は、検知フラグが成功を示している場合にはアルコール検知が適正に行われていると判定する一方、検知フラグが失敗を示している場合にはアルコール検知が適正に行われなかったと判定する。
【0160】
また、データ項目は、アルコール検知の実行中においてアルコール検知装置12から送信されるデータである。データ項目には、例えば、アルコール検知装置12によるアルコール検知の開始時刻、アルコール測定値、及びアルコール検知の終了時刻等、その種類(数)は予め定められている。これらのデータ項目は、アルコール検知の開始から終了するまでの間にタブレット端末14へ逐次送信される。すなわち、タブレット端末14が受信したデータ項目が所定数よりも少ない場合は、アルコール検知装置12によるアルコール検知が終了する前にアルコール検知装置12とタブレット端末14との接続が切断された場合である。このため、実施状態判定部90は、タブレット端末14が受信したデータ項目が所定数と同数である場合にはアルコール検知が適正に行われていると判定する一方、タブレット端末14が受信したデータ項目が所定数よりも少ない場合にはアルコール検知が適正に行われなかったと判定する。
【0161】
また、上記実施形態では、被測定者を航空機の乗務員とする形態について説明したが、本実施形態はこれに限られない。被測定者は、バス、タクシー、トラック、及びバイク等の事業用自動車や船舶、鉄道の乗務員であってもよい。また、被測定者は、航空機や車両の乗務員に限らず、病院、工場、店舗、オフィス等で勤務する就業者や経営者であってもよい。
【0162】
また、上記実施形態では、1回のアルコール濃度の測定に対して1つの表示IDがアルコール検知装置12に表示される形態について説明したが、本実施形態はこれに限られない。表示IDは、例えば、1回のアルコール濃度の測定に対して複数回生成されて表示されてもよい。例えば、アルコール濃度の測定開始時に表示IDが生成されて表示され、アルコール濃度の測定結果の算出が終わったときに、この測定結果を含んだ表示IDが生成されて表示されてもよい。また、表示IDは、例えば、常にアルコール検知装置12の表示部22とは異なる筐体部分に表示されてもよいし、所定時間間隔(例えば1分間隔)毎に新たに生成されて、アルコール検知装置12のID表示領域22Bに更新表示されてもよい。なお、ID生成部44は、一例として、表示IDの生成と同じタイミングで機器IDを生成してもよい。
【符号の説明】
【0163】
10 アルコール検知システム(生体情報測定システム)
12 アルコール検知装置(生体情報測定装置)
16 認証サーバ(情報処理装置)
22 表示部(表示手段)
32 カメラ(撮像装置)
52 データ送受信部(送信手段)
54 加速度センサ
80 データ送受信部(受信手段)
86 顔認証部(顔認証手段)
88 乗務可否判定部(判定手段)
90 実施状態判定部(実施状態判定手段)
94 動体判定部(動体判定手段)