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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015693
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240130BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
B41J2/175 121
B41J2/175 501
B41J2/175 503
B41J2/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117930
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】羽賀 奈菜実
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼梨 博道
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA26
2C056KB04
2C056KB09
2C056KB11
2C056KB16
2C056KB37
2C056KC01
(57)【要約】
【課題】輸送時等の振動により第1貯留部から第2貯留部に液体が供給されることを抑制することができる液体吐出装置を提供する。
【解決手段】液体吐出装置は、液体収容体から供給される液体を貯留可能である第1貯留部と、第1貯留部内を大気に開放可能である第1大気開放流路と、第1貯留部から供給された液体を貯留可能である第2貯留部と、第2貯留部内を大気に開放可能である第2大気開放流路とを備える。液体吐出装置は、通常モードと輸送モードとが選択可能に構成されている。通常モードは、第1大気開放流路を開放し、かつ、第2大気開放流路を閉鎖した状態で電源がオフされるモードである。輸送モードは、第1大気開放流路を開放し、かつ、第2大気開放流路を開放した状態で電源がオフされるモードである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体収容体から供給される液体を貯留可能である第1貯留部と、
前記第1貯留部内を大気に開放可能である第1大気開放流路と、
前記第1大気開放流路を開閉可能である第1バルブと、
前記第1貯留部から供給された液体を貯留可能である第2貯留部と、
前記第2貯留部内を大気に開放可能である第2大気開放流路と、
前記第2大気開放流路を開閉可能である第2バルブと、
前記第1貯留部から前記第2貯留部に向かう液体の流れを許容し、前記第2貯留部から前記第1貯留部に向かう液体の流れを規制する逆止弁と、
少なくとも前記第2貯留部から供給された液体を吐出可能である液体吐出部と、
を備え、
通常モードと輸送モードとが選択可能に構成されており、
前記通常モードは、前記第1バルブにより前記第1大気開放流路を開放し、かつ、前記第2バルブにより前記第2大気開放流路を開放した状態で電源がオフされるモードであり、
前記輸送モードは、前記第1バルブにより前記第1大気開放流路を開放し、かつ、前記第2バルブにより前記第2大気開放流路を閉鎖した状態で電源がオフされるモードである、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出装置において、
前記輸送モードを選択可能である選択部を更に備える、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体吐出装置において、
制御部と、
情報を表示可能である表示部と、を更に備え、
前記選択部によって前記輸送モードが選択された場合に、前記制御部は、前記第2バルブにより前記第2大気開放流路を閉鎖させ、かつ、電源オフを促す情報を前記表示部に表示させる、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項4】
請求項2に記載の液体吐出装置において、
制御部を更に備え、
前記選択部によって前記輸送モードが選択された場合に、前記制御部は、前記第2バルブにより前記第2大気開放流路を閉鎖させた後に電源をオフする、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の液体吐出装置において、
前記選択部によって前記輸送モードが選択された後に電源がオフからオンになったときに、前記制御部は、前記第2バルブにより前記第2大気開放流路を開放させる開放動作を行う、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項6】
請求項1に記載の液体吐出装置において、
前記第2バルブの開閉状態を手動で切り替え可能である切替操作部を更に備える、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液体吐出装置において、
前記第2大気開放流路の開閉状態を検知可能である検知部を更に備える、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の液体吐出装置において、
制御部と、
情報を表示可能である表示部と、を更に備え、
電源がオフからオンになったときに、前記第2大気開放流路が閉鎖された状態であることが前記検知部によって検知された場合に、前記制御部は、前記第2大気開放流路が閉鎖された状態である情報を前記表示部に表示させる、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項9】
請求項7に記載の液体吐出装置において、
制御部を更に備え、
電源がオフからオンになったときに、前記第2大気開放流路が閉鎖された状態であることが前記検知部によって検知された場合に、前記制御部は、前記第2バルブにより前記第2大気開放流路を開放させる開放動作を行う、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項10】
請求項6に記載の液体吐出装置において、
制御部を更に備え、
電源がオフからオンになったときに、毎回、前記制御部は、前記第2バルブにより前記第2大気開放流路を開放させる開放動作を行う、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、液体吐出部により液体を吐出して媒体に印刷を行う液体吐出装置がある。特許文献1に記載の液体吐出装置は、液体収容体から供給される液体を貯留可能である第1貯留部と、第1貯留部から供給された液体を貯留可能である第2貯留部と、第1貯留部から第2貯留部に向かう液体の流れを許容する逆止弁と、を備える。液体収容体に収容されている液体は、第1貯留部から第2貯留部に供給された後に、第2貯留部から液体吐出部に供給される。
【0003】
特許文献1に記載の液体吐出装置は、第1大気開放流路を開放することにより第1貯留部内を大気に開放可能に制御し、第2大気開放流路を開放することにより第2貯留部内を大気に開放可能に制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-18221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような液体吐出装置では、第1貯留部内に液体が貯留されている場合に、例えば輸送時の振動等に起因して、第1貯留部内の液体が波打つことにより、意図せずに第1貯留部内の液体が第2貯留部内に供給されてしまうことがあった。第2貯留部内に供給された液体は、逆止弁があるため、第1貯留部に供給されることがない。これにより、第2貯留部内の液面は、想定よりも高くなってしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する液体吐出装置は、液体収容体から供給される液体を貯留可能である第1貯留部と、前記第1貯留部内を大気に開放可能である第1大気開放流路と、前記第1大気開放流路を開閉可能である第1バルブと、前記第1貯留部から供給された液体を貯留可能である第2貯留部と、前記第2貯留部内を大気に開放可能である第2大気開放流路と、前記第2大気開放流路を開閉可能である第2バルブと、前記第1貯留部から前記第2貯留部に向かう液体の流れを許容し、前記第2貯留部から前記第1貯留部に向かう液体の流れを規制する逆止弁と、少なくとも前記第2貯留部から供給された液体を吐出可能である液体吐出部と、を備え、通常モードと輸送モードとが選択可能に構成されており、前記通常モードは、前記第1バルブにより前記第1大気開放流路を開放し、かつ、前記第2バルブにより前記第2大気開放流路を開放した状態で電源がオフされるモードであり、前記輸送モードは、前記第1バルブにより前記第1大気開放流路を開放し、かつ、前記第2バルブにより前記第2大気開放流路を閉鎖した状態で電源がオフされるモードである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】液体吐出装置の模式図である。
図2】液体吐出装置のモードを示す模式図である。
図3】モード制御処理を示すフローチャートである。
図4】起動時処理を示すフローチャートである。
図5】モード制御処理を示すフローチャートである。
図6】液体吐出装置の模式図である。
図7】起動時処理を示すフローチャートである。
図8】起動時処理を示すフローチャートである。
図9】起動時処理を示すフローチャートである。
図10】液体吐出装置の模式図である。
図11】液体吐出装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して液体吐出装置の一実施形態を説明する。図面では、液体吐出装置が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示す。
【0009】
<液体吐出装置11>
図1に示すように、液体吐出装置11は、媒体に液体を吐出することにより印刷を行うように構成される。液体吐出装置11は、液体の一例としてインクを吐出することにより印刷を行うインクジェット式のプリンターであってもよい。媒体は、例えば、用紙、布帛、ビニール、プラスチック部品、金属部品などであってもよい。液体吐出装置11は、画像を読み取るスキャナ機能を備える複合機であってもよい。
【0010】
<液体吐出部12>
液体吐出装置11は、液体吐出部12を備える。液体吐出部12は、液体を吐出可能である。液体吐出部12は、媒体に液体を吐出することにより印刷を行うように構成される。
【0011】
液体吐出部12は、液体吐出ヘッド13を備える。液体吐出ヘッド13は、ノズル面14と、複数のノズル15とを備える。複数のノズル15のそれぞれは、ノズル面14に開口するように設けられる。液体吐出ヘッド13は、複数のノズル15のそれぞれから液体を吐出可能である。
【0012】
本実施形態の液体吐出部12は、ラインタイプであるが、シリアルタイプとして構成されてもよい。ラインタイプは、媒体の幅方向に亘って液体吐出ヘッド13が設けられる。シリアルタイプは、液体吐出ヘッド13が媒体の幅方向に移動しながら印刷を行う。
【0013】
液体吐出ヘッド13は、第1接続部16と、第2接続部17とを備えてもよい。第1接続部16は、後述する回収流路29に接続される。第2接続部17は、後述する供給流路28に接続される。
【0014】
液体吐出ヘッド13は、ノズル面14が水平に対して傾斜する傾斜姿勢となるように配置されてもよい。液体吐出ヘッド13は、傾斜姿勢で媒体に対して液体を吐出することで印刷を行ってもよい。第1接続部16は、第2接続部17よりも高い位置に配置されてもよい。
【0015】
<メンテナンス部18>
液体吐出装置11は、メンテナンス部18を備える。メンテナンス部18は、液体吐出ヘッド13のメンテナンスを行う。メンテナンスは、ワイピング、フラッシング及び空吸引を含んでもよい。ワイピングは、ノズル面14に付着した液体を払拭する。フラッシングは、メンテナンス部18に対して複数のノズル15のそれぞれから液体を吐出することにより行われる。空吸引は、メンテナンス部18に溜まった液体を不図示の排出タンクに排出する。
【0016】
<供給装置20>
液体吐出装置11は、供給装置20を備える。供給装置20は、液体収容体90に収容される液体を液体吐出部12に供給するように構成される。供給装置20は、液体吐出部12からの液体を循環させることができるように構成されてもよい。
【0017】
供給装置20は、1系統又は複数系統の供給機構21を備えてもよい。複数系統の供給機構21は、それぞれ異なる種類の液体を液体吐出部12に供給してもよい。例えば、液体吐出装置11は、複数系統の供給機構21により供給される複数色の液体を吐出してカラー印刷を行ってもよい。本実施形態では、液体吐出装置11は、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックというように4種類の液体を吐出するカラー印刷を行うが、これに限らない。以降、複数系統の供給機構21のうち1系統の供給機構21を代表して説明する。
【0018】
<タンクユニット22>
供給機構21は、タンクユニット22を備える。タンクユニット22は、液体収容体90から供給される液体を液体吐出部12に導出可能に構成される。タンクユニット22は、装着部23を備えてもよい。装着部23は、液体収容体90が着脱可能に構成される。
【0019】
液体収容体90は、複数系統の供給機構21のそれぞれに対応するように装着部23に装着可能であってもよい。液体収容体90は、収容室91を備えてもよい。収容室91は、液体を収容するように構成される。収容室91は、大気と非連通の密閉空間である。収容室91は、供給装置20が保持可能な液体の量より多い量の液体を収容可能であってもよい。
【0020】
液体収容体90は、導出部92を備えてもよい。導出部92は、収容室91に収容される液体を導出可能に構成される。導出部92は、導出バルブ93を備えてもよい。導出バルブ93は、液体収容体90が装着部23に装着されることで開弁するように構成される。導出バルブ93は、液体収容体90が装着部23に装着されている間は開弁状態を維持する。
【0021】
タンクユニット22は、第1貯留部24を備える。第1貯留部24は、液体収容体90から供給される液体を貯留可能である。第1貯留部24は、液体を一時的に貯留するサブタンクとして機能する。
【0022】
タンクユニット22は、第2貯留部25を備える。第2貯留部25は、第1貯留部24から供給された液体を貯留可能である。第2貯留部25は、第1貯留部24から導出された液体を液体吐出部12へ供給するまでの間、一時的に貯留するリザーバータンクとして機能する。
【0023】
タンクユニット22は、導出流路26を備える。導出流路26は、第1貯留部24と第2貯留部25とが連通するように構成される。液体収容体90から液体吐出部12へ液体が供給されるときの液体流動方向において、第1貯留部24は、第2貯留部25よりも上流に位置する。
【0024】
タンクユニット22は、開閉バルブ27を備える。開閉バルブ27は、導出流路26に設けられる。開閉バルブ27は、導出流路26を開閉可能である。開閉バルブ27は、1又は複数の逆止弁を含む。逆止弁は、第1貯留部24から第2貯留部25に向かう液体の流れを許容し、第2貯留部25から第1貯留部24に向かう液体の流れを規制する。このように、液体吐出装置11は、逆止弁を備える。開閉バルブ27は、第2貯留部25内の圧力が第1貯留部24内の圧力より大きい場合に導出流路26を閉鎖する。
【0025】
供給機構21は、供給流路28を備える。供給流路28は、第2貯留部25から液体吐出部12へ液体を供給する。供給流路28は、上流端が第2貯留部25に接続される一方で、下流端が第2接続部17に接続される。
【0026】
供給機構21は、回収流路29を備える。回収流路29は、液体吐出部12から第1貯留部24に液体を回収する。回収流路29は、上流端が第1接続部16に接続される一方で、下流端が第1貯留部24に接続される。
【0027】
供給機構21は、第1流路バルブ30と、第2流路バルブ31とを備える。第1流路バルブ30は、回収流路29に設けられる。第1流路バルブ30は、回収流路29を開閉可能である。第2流路バルブ31は、供給流路28に設けられる。第2流路バルブ31は、供給流路28を開閉可能である。
【0028】
<微加圧ユニット32>
供給機構21は、微加圧ユニット32を備えてもよい。微加圧ユニット32は、回収流路29において液体吐出部12と第1流路バルブ30との間に設けられてもよい。微加圧ユニット32は、回収流路29内の液体を加圧する。微加圧ユニット32は、液室33と、可撓性部材34と、空気室35と、ばね36とを備える。液室33は、回収流路29において、液体吐出部12と第2流路バルブ31との間に設けられる。液室33は、回収流路29における液体を収容可能に構成される。液室33は、一部が可撓性部材34で構成される。液室33は、可撓性部材34が変形することにより容積が変化する。
【0029】
可撓性部材34は、液室33と空気室35とを区画するように構成される。可撓性部材34は、空気室35からの圧力に応じて変形可能である。空気室35は、後述する空気流路43と接続可能に構成される。ばね36は、空気室35内に設けられる。ばね36は、可撓性部材34を押すことで、回収流路29及び液体吐出部12内の液体の圧力変動を低減する。
【0030】
<駆動機構40>
供給装置20は、駆動機構40を備える。駆動機構40は、供給機構21を駆動させる。詳しくは、駆動機構40は、タンクユニット22及び微加圧ユニット32を駆動させる。駆動機構40は、複数系統の供給機構21を個別に駆動するが、複数系統の供給機構21をまとめて駆動してもよい。
【0031】
駆動機構40は、第1大気開放流路41と、第2大気開放流路42と、空気流路43とを備える。第1大気開放流路41は、第1貯留部24に接続される。第1大気開放流路41は、第1貯留部24内を大気に開放可能である。第2大気開放流路42は、第2貯留部25に接続される。第2大気開放流路42は、第2貯留部25内を大気に開放可能である。空気流路43は、微加圧ユニット32に接続される。
【0032】
駆動機構40は、切替機構44と、接続流路45と、加圧部46と、圧力センサー47とを備えてもよい。切替機構44は、第1大気開放流路41、第2大気開放流路42及び空気流路43の開閉を制御するセレクタバルブであってもよい。接続流路45は、第1大気開放流路41及び第2大気開放流路42を加圧部46に接続するように構成される。
【0033】
加圧部46は、タンクユニット22及び微加圧ユニット32の圧力を調整するように構成される。加圧部46は、例えばローラーがチューブを押し潰しながら回転することで、空気を送り出すチューブポンプであってもよい。
【0034】
加圧部46は、切替機構44に接続される。詳しくは、加圧部46は、一端に空気流路43が接続され、他端に接続流路45が接続される。加圧部46は、正転駆動されることにより、空気流路43から取り入れた空気を接続流路45に送り出す。加圧部46は、逆転駆動されることにより、空気室35内を減圧する。
【0035】
圧力センサー47は、切替機構44に接続される。圧力センサー47は、圧力を検出する。
<第1貯留部24>
ここで、第1貯留部24について詳しく説明する。
【0036】
第1貯留部24は、第1貯留室51を備える。第1貯留室51は、液体を貯留可能に構成される。第1貯留部24は、流入口52を備える。流入口52は、回収流路29内の液体が第1貯留室51に流入する開口である。流入口52は、第1貯留室51に貯留されている液体を回収流路29に供給する開口であってもよい。流入口52は、第1貯留室51の鉛直方向Zにおける中央よりも下方に設けられてもよく、第1貯留室51の底51Aを貫通するように設けられてもよい。このように、第1貯留室51は、流入口52を介して回収流路29と連通する。
【0037】
第1貯留部24は、導入部53を備える。導入部53は、装着部23に装着された液体収容体90が収容する液体を導入可能に構成される。導入部53は、第1貯留部24の上部に設けられる。本実施形態の導入部53は、第1貯留室51の天井51Bを貫通するように設けられる。導入部53の下端53Aは、第1貯留室51の中であって、天井51Bよりも下方に位置する。導入部53の上端53Bは、第1貯留室51の外であって、天井51Bよりも上方に位置する。導入部53は、液体収容体90が装着部23に装着されることで、液体収容体90が備える導出部92に接続される。導入部53の下端53Aは、ノズル面14よりも下方に位置してもよい。
【0038】
導入部53は、導入バルブ54を備える。導入バルブ54は、液体収容体90が装着部23に装着されることで開弁するように構成される。導入バルブ54は、液体収容体90が装着部23に装着されている間は開弁状態を維持する。液体収容体90が装着部23に装着されるとき、導入バルブ54は、導出バルブ93より先に開弁するように構成される。これにより、液体収容体90から液体が漏れる虞を低減できる。
【0039】
第1貯留部24は、液量センサー55を備えてもよい。液量センサー55は、第1貯留室51に貯留される液体の量を検出する。詳しくは、液量センサー55は、第1貯留室51に貯留される液体の第1液面56を検出する。液量センサー55は、第1液面56が標準位置に位置すること、第1液面56が標準位置より下方に位置すること、及び、第1液面56が満杯位置に位置することを検知してもよい。
【0040】
本実施形態の標準位置は、第1貯留室51において、流入口52の位置より上方に位置する。したがって、第1液面56が標準位置にあるとき、第1貯留室51に貯留されている液体は、回収流路29を介して液体吐出部12に供給可能である。満杯位置は、標準位置より上方の位置である。
【0041】
第1貯留部24は、第1気液分離膜57を備えてもよい。第1気液分離膜57は、第1貯留室51の天井51Bにおいて、第1貯留室51と第1大気開放流路41とを隔てる位置に設けられる。第1気液分離膜57は、気体を通過させる一方で液体を通過させない性質を有する膜である。第1気液分離膜57は、第1貯留室51に貯留される液体が第1大気開放流路41を介して駆動機構40に流れることを抑制する。
【0042】
<第2貯留部25>
次に、第2貯留部25について詳しく説明する。
第2貯留部25は、第2貯留室61を備える。第2貯留室61は、液体を貯留可能に構成される。第2貯留部25は、供給口62を備える。供給口62は、第2貯留室61に貯留されている液体を供給流路28に供給する開口である。供給口62は、第2貯留室61の鉛直方向Zにおける中央よりも下方に設けられてもよく、第2貯留室61の底61Aを貫通するように設けられてもよい。このように、第2貯留室61は、供給口62を介して供給流路28と連通する。第2貯留部25は、フィルター63を備える。フィルター63は、第2貯留室61に位置する。フィルター63は、供給口62を覆っている。
【0043】
第2貯留部25は、第2気液分離膜64を備えてもよい。第2気液分離膜64は、第2貯留室61の天井61Bにおいて、第2貯留室61と第2大気開放流路42とを隔てる位置に設けられる。第2気液分離膜64は、気体を通過させる一方で液体を通過させない性質を有する膜である。第2気液分離膜64は、第2貯留室61に貯留される液体が第2大気開放流路42を介して駆動機構40に流れることを抑制する。
【0044】
<タンクユニット22への液体供給>
ここで、タンクユニット22への液体供給について説明する。
液体収容体90が装着部23に装着されることで、液体収容体90内の液体は、水頭差により第1貯留部24に供給される。液体収容体90から第1貯留部24に供給した液体の分だけ、導入部53及び導出部92を介して第1貯留部24から液体収容体90に空気が導入される。第1液面56は、液体収容体90から第1貯留部24に供給された液体の分だけ上昇する。
【0045】
第1液面56が導入部53の下端53Aに達すると、第1貯留部24から液体収容体90への空気の流入が制限される。収容室91が密閉されているため、第1貯留部24から液体収容体90への空気の流入が制限されると、第1貯留部24に供給した液体の分だけ収容室91内の圧力は低下する。収容室91内の負圧が、収容室91内の液体の水頭より大きくなると、液体収容体90から第1貯留部24への液体の供給が制限される。
【0046】
また、第1貯留室51内及び第2貯留室61内が大気に開放されている場合、第1液面56が第2貯留部25内の液体の第2液面65よりも高いときには、水頭差により開閉バルブ27が開放する。これにより、第1貯留部24に貯留される液体は、導出流路26を介して第2貯留部25に供給される。そして、第2液面65が供給された液体の分だけ上昇し、第1液面56が供給した液体の分だけ下降した結果、第2液面65は、第1液面56と同じ高さになる。第1液面56と第2液面65が同じ高さになると、開閉バルブ27が閉鎖する。これにより、第1液面56と第2液面65が同じ高さとなるように維持される。
【0047】
第1液面56は、第1貯留部24から第2貯留部25に液体が供給されることで下降する。第1液面56が下降し、導入部53及び導出部92を介して収容室91に空気が流入すると、収容室91内の負圧が小さくなる。収容室91内の負圧が収容室91内の液体の水頭より小さくなると、液体収容体90から第1貯留部24に液体が供給される。したがって、液体収容体90に液体が収容されている間は、第1液面56は、導入部53の下端53A付近の位置である標準位置に維持される。また、第2液面65も、第1液面56と同じ高さとなり、標準位置に維持される。
【0048】
これにより、第1液面56及び第2液面65は、ノズル面14よりも低い範囲で変動する。液体吐出ヘッド13内の液体は、第1貯留部24内及び第2貯留部25内の液体との水頭差によって負圧に維持される。液体吐出ヘッド13で液体が消費されると、第2貯留部25に貯留される液体が液体吐出ヘッド13に供給される。
【0049】
<切替機構44>
次に、切替機構44について詳しく説明する。
切替機構44は、細管部48を備える。細管部48は、接続流路45に設けられる。細管部48は、空気の流動に対し、液体の流動が大きく制限される程度に細く、且つ蛇行した管である。
【0050】
切替機構44は、複数の選択弁49を備える。詳しくは、切替機構44は、第1選択弁49A~第11選択弁49Kを備える。複数の選択弁49A~49Kのそれぞれは、流路を開閉可能に構成される。
【0051】
第1選択弁49Aは、開弁することで空気流路43を大気に連通させる。第2選択弁49Bは、開弁することで空気流路43と圧力センサー47とを連通させる。第3選択弁49Cは、開弁することで空気流路43を開放し、加圧部46と空気室35とを連通させる。
【0052】
第4選択弁49Dは、開弁することで加圧部46と第8選択弁49Hとの間の接続流路45を大気に連通させる。第5選択弁49Eは、開弁することで接続流路45と圧力センサー47とを連通させる。第6選択弁49F及び第7選択弁49Gは、開弁することで接続流路45を大気に連通させる。第8選択弁49Hは、開弁することで接続流路45を開放する。第9選択弁49Iは、開弁することで細管部48を大気に連通させる。第10選択弁49Jは、開弁することで第1大気開放流路41を開放し、第1貯留部24と接続流路45とを連通させる。第11選択弁49Kは、開弁することで第2大気開放流路42を開放し、第2貯留部25と接続流路45とを連通させる。
【0053】
空気室35内の圧力を変更する場合、切替機構44は、第2選択弁49B~第4選択弁49Dを開弁し、その他の選択弁を閉弁する。この状態で加圧部46が正転駆動すると、空気室35内の空気は、空気流路43及び接続流路45を介して排出され、空気室35内の圧力が低下する。この状態で加圧部46が逆転駆動したり、空気流路43内および空気室35内を大気開放したりすると、接続流路45及び空気流路43、または空気流路43を介して空気室35に空気が送り込まれ、空気室35内の圧力は上昇する。このとき圧力センサー47は、空気流路43及び空気室35内の圧力を検出してもよい。
【0054】
第1貯留部24を大気に開放する場合、切替機構44は、第6選択弁49F及び第10選択弁49Jを開弁する。第1貯留室51は、第1大気開放流路41及び接続流路45を介して大気に連通する。このように、第6選択弁49F及び第10選択弁49Jは、第1大気開放流路41を開閉可能である。
【0055】
第2貯留部25を大気に開放する場合、切替機構44は、第7選択弁49G及び第11選択弁49Kを開弁する。第2貯留室61は、第2大気開放流路42及び接続流路45を介して大気に連通する。このように、第7選択弁49G及び第11選択弁49Kは、第2大気開放流路42を開閉可能である。
【0056】
本実施形態において、第6選択弁49F及び第10選択弁49Jが第1バルブの一例に相当する。本実施形態において、第7選択弁49G及び第11選択弁49Kが第2バルブの一例に相当する。
【0057】
第1貯留部24内を加圧する場合、切替機構44は、第1選択弁49A、第5選択弁49E、第8選択弁49H及び第10選択弁49Jを開弁し、その他の選択弁を閉弁する。この状態で加圧部46が正転駆動すると、空気流路43、接続流路45及び第1大気開放流路41を介して第1貯留室51に空気が流入し、第1貯留室51内の圧力は上昇する。このとき圧力センサー47は、接続流路45、第1大気開放流路41及び第1貯留室51内の圧力を検出してもよい。
【0058】
第2貯留部25内を加圧する場合、切替機構44は、第1選択弁49A、第5選択弁49E、第8選択弁49H及び第11選択弁49Kを開弁し、その他の選択弁を閉弁する。この状態で加圧部46が正転駆動すると、空気流路43、接続流路45及び第2大気開放流路42を介して第2貯留室61に空気が流入し、第2貯留室61内の圧力は上昇する。このとき圧力センサー47は、接続流路45、第2大気開放流路42及び第2貯留室61内の圧力を検出してもよい。
【0059】
<制御部70>
液体吐出装置11は、制御部70を備える。制御部70は、液体吐出装置11で実行される各種動作を制御する。制御部70は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。ハードウェア回路は、例えば特定用途向け集積回路である。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0060】
液体吐出装置11は、表示部71と、操作部72とを備えてもよい。表示部71は、液体吐出装置11に関する情報を表示可能に構成される。操作部72は、ユーザー及びサービスマン等の操作者により操作可能に構成される。操作部72は、例えばタッチパネルなど、液体吐出装置11に関する操作が行われる。
【0061】
制御部70は、液体吐出部12を制御する。制御部70は、第1流路バルブ30及び第2流路バルブ31の開閉制御を行う。制御部70は、液量センサー55の検知結果を示す検知信号を液量センサー55から受け取る。制御部70は、切替機構44及び加圧部46の制御を行う。制御部70は、圧力センサー47の検知結果を示す検知信号を圧力センサー47から受け取る。制御部70は、表示部71に情報を表示させる。制御部70は、操作部72の操作に基づく操作信号を操作部72から受け取る。
【0062】
<制御部の各機能>
制御部70は、液体の充填が行われるときに、第1流路バルブ30と第2流路バルブ31とを閉弁し、第1貯留部24内と第2貯留部25内とを大気に開放する。これにより、装着部23に装着された液体収容体90から第1貯留部24に液体が供給されることにより、第1貯留部24に液体が充填される。そして、第1貯留部24から第2貯留部25に液体が供給されることにより、第2貯留部25に液体が充填される。
【0063】
制御部70は、液体吐出装置11による印刷が行われるときに、第1流路バルブ30と第2流路バルブ31とを開弁し、第1貯留部24内と第2貯留部25内とを大気に開放する。これにより、印刷時には、供給流路28を介して第2貯留部25から液体吐出部12に液体が供給されるとともに、回収流路29を介して第1貯留部24から液体吐出部12に液体が供給される。また、制御部70は、液体吐出装置11による印刷が行われるときに、第1流路バルブ30を閉弁してもよい。このように、液体吐出部12は、少なくとも第2貯留部25から供給された液体を吐出可能である。
【0064】
制御部70は、液体吐出装置11による印刷が行われないときに、第1流路バルブ30と第2流路バルブ31とを閉弁してもよい。このように、供給流路28及び回収流路29を閉鎖することで、例えば液体吐出装置11に振動又は衝撃などが加わった場合でも、液体吐出ヘッド13から液体が漏れることを抑制することができる。
【0065】
制御部70は、液体循環を実行可能である。液体循環は、例えば、印刷などが行われない待機中に実行されてもよいし、印刷中に実行されてもよい。制御部70は、液体循環が実行される場合に、第1流路バルブ30と第2流路バルブ31とを開弁し、第1貯留部24内を大気に開放し、第2貯留部25内を加圧する。これにより、液体循環時には、供給流路28を介して第2貯留部25から液体吐出部12に液体が供給されるとともに、回収流路29を介して液体吐出部12から第1貯留部24に液体が回収される。
【0066】
制御部70は、加圧排出を実行可能である。加圧排出は、吐出不良が生じた場合などに実行される。吐出不良は、複数のノズル15のそれぞれから液体を正常に吐出することができない不良である。制御部70は、加圧排出が実行されるときに、第1流路バルブ30を閉弁し、第2流路バルブ31を開弁し、第2貯留部25内を加圧する。これにより、加圧排出時には、第2貯留部25及び供給流路28を介して複数のノズル15のそれぞれから液体が排出可能となる。
【0067】
制御部70は、微加圧排出を実行可能である。制御部70は、微加圧排出が実行されるときに、第1流路バルブ30と第2流路バルブ31とを開弁し、空気室35内を減圧する。そして、制御部70は、第1流路バルブ30と第2流路バルブ31とを閉弁した後に、空気室35内を大気に開放する。これにより、微加圧排出時には、微加圧ユニット32及び回収流路29を介して複数のノズル15のそれぞれから液体が排出可能となる。微加圧排出により液体吐出ヘッド13から排出される液体の量は、加圧排出により液体吐出ヘッド13から排出される液体の量より少ない。
【0068】
制御部70は、第1液面56が標準位置より下方に位置することを液量センサー55が検出した場合に、液体収容体90が空になったと判断し、液体収容体90の交換をユーザーに指示してもよい。
【0069】
<選択部>
制御部70は、選択部70Aを備える。選択部70Aは、液体吐出装置11のモードを選択可能に構成される。モードは、通常モードと、輸送モードとを含む。つまり、選択部70Aは、通常モードと輸送モードとを選択可能に構成される。
【0070】
輸送モードは、通常モードとは異なるモードである。輸送モードは、例えばタンクユニット22に液体が貯留されている状態であるときに製品を車両で輸送する場合など、液体吐出装置11の輸送時に設定されるモードである。
【0071】
図2に示すように、通常モードは、第1大気開放流路41を開放し、かつ、第2大気開放流路42を開放した状態で電源がオフされるモードである。一方、輸送モードは、第1大気開放流路41を大気に開放し、かつ、第2大気開放流路42を大気に開放せずに閉鎖した状態で電源がオフされるモードである。
【0072】
<制御処理>
ここで、液体吐出装置11の制御処理について説明する。ここで、各制御処理の順序は、各制御処理の目的から逸脱しない範囲で任意に入れ替え可能である。
【0073】
<モード制御処理>
最初に、図3を参照してモード制御処理について説明する。モード制御処理は、制御部70において所定周期で実行される処理である。
【0074】
図3に示すように、ステップS11において、制御部70は、操作部72からの操作信号に基づいて、輸送モードの選択指示が行われたか否かを判定する。輸送モードの選択指示は、例えばユーザーやサービスマン等により操作部72が操作されることに応じて指示されてもよい。制御部70は、輸送モードの選択指示が行われていないと判定した場合に、ステップS12~S14を実行せずに、ステップS15に処理を移行する。この場合、制御部70は、輸送モードに制御せずに、通常モードを維持する。一方、制御部70は、輸送モードの選択指示が行われたと判定した場合に、ステップS12に処理を移行する。このような処理を実行する制御部70が選択部70Aとして機能する。
【0075】
ステップS12において、制御部70は、不揮発性メモリーに輸送モードを示す情報を記憶し、輸送モードに設定する。そして、ステップS13において、制御部70は、第7選択弁49G及び第11選択弁49Kを閉鎖させ、第2大気開放流路42を閉鎖させる閉鎖動作を行う。このように、輸送モードが選択された場合に、制御部70は、第7選択弁49G及び第11選択弁49Kにより第2大気開放流路42を閉鎖させる。
【0076】
本実施形態において、第6選択弁49F及び第10選択弁49Jは、開放されており、第1大気開放流路41は、大気に開放されている。このように、制御部70は、第1大気開放流路41を大気に開放し、かつ、第2大気開放流路42を大気に開放した通常モードから、第1大気開放流路41を大気に開放し、かつ、第2大気開放流路42を大気に開放せずに閉鎖した輸送モードに制御する。
【0077】
次に、ステップS14において、制御部70は、取扱情報を表示部71に表示させる。取扱情報は、液体収容体90を装着部23から取り外すことを促す情報を含んでもよい。取扱情報は、電源をオフすることを促す情報を含んでもよい。このように、輸送モードが選択された場合に、制御部70は、液体収容体90を装着部23から取り外すことを促す情報と、電源オフを促す情報とを表示部71に表示させる。
【0078】
ステップS15において、制御部70は、不図示の電源ボタンからの操作信号に基づいて、電源オフの指示が行われたか否かを判定する。制御部70は、電源オフの指示が行われたと判定した場合、ステップS16において、電源をオフする。一方、制御部70は、電源オフの指示が行われていないと判定した場合、モード制御処理を終了する。
【0079】
<起動時処理>
次に、図4を参照して起動時処理について説明する。起動時処理は、電源がオフからオンになったときに実行される処理である。
【0080】
図4に示すように、ステップS21において、制御部70は、液体吐出装置11の初期設定を行う初期設定処理を実行する。そして、ステップS22において、制御部70は、不揮発性メモリーからモードに関する情報を読み出し、輸送モードが設定されているか否かを判定する。制御部70は、輸送モードが設定されていないと判定した場合、ステップS23を実行することなく、起動時処理を終了する。一方、制御部70は、輸送モードが設定されていると判定した場合、ステップS23に処理を移行する。
【0081】
ステップS23において、制御部70は、第7選択弁49G及び第11選択弁49Kを開放させ、第2大気開放流路42を大気に開放させる開放動作を行う。このように、輸送モードが選択された後に電源がオフからオンになったときに、制御部70は、第7選択弁49G及び第11選択弁49Kにより第2大気開放流路42を開放させる開放動作を行う。本実施形態において、第1大気開放流路41は、大気に開放した状態を維持している。この処理が終了した場合、制御部70は、起動時処理を終了する。
【0082】
<第1実施形態の作用>
第1実施形態の作用について説明する。
液体吐出装置11において、タンクユニット22に液体が貯留されている場合、第1貯留部24を大気に開放させる必要がある。これは、温度変化及び気圧変化により液体収容体90内の空気が膨張した場合であっても、液体収容体90内が加圧されるのを抑制するためである。また、液体収容体90が装着部23に装着されている場合、液体収容体90から第1貯留部24に液体が供給される。これにより、第1貯留部24に液体が貯留される。
【0083】
このように、第1貯留部24に液体が貯留されている状態で、輸送時の振動等により第1液面56が波打つと、第1液面56が導入部53の下端53Aよりも下方に位置することがある。このような状況においては、水頭差により液体収容体90の液体が第1貯留部24に供給される。これにより、第1液面56が上昇する。
【0084】
特に、第1貯留部24内が大気に開放されていると、第1液面56の高さに関係なく、第1貯留部24内に大気圧が加わる。このため、輸送時の振動等により第1貯留部24内の第1液面56が波打ち、第1液面56が導入部53の下端53Aよりも下方に位置するたびに、液体収容体90の液体が第1貯留部24に供給され続ける。
【0085】
一方、輸送時の振動等により第1液面56が波打っても、第1液面56が導入部53の下端53Aよりも下方に位置しないときには、液体収容体90の液体が第1貯留部24に供給されない。
【0086】
輸送時の振動等により第1液面56が波打つと、水頭差により、開閉バルブ27が開放し、導出流路26を介して第1貯留部24の液体が第2貯留部25に供給される。
特に、通常モードにおいては、第1貯留部24内と第2貯留部25内との両方が大気に開放されている。これにより、第1液面56と第2液面65との差があっても、第1貯留部24内と第2貯留部25内とが同じ大気圧となる。このため、輸送時の振動等により第1液面56が波打つたびに、第1貯留部24の液体が第2貯留部25に供給され続ける。そして、導出流路26に開閉バルブ27が設けられているため、第2貯留部25の液体は、第1貯留部24に供給されず、第2液面65は、第1液面56よりも高くなり、第2気液分離膜64に達するおそれもあった。
【0087】
また、第1貯留部24に液量センサー55が設けられており、電源が投入されていれば、第1液面56の高さが検知できるものの、第2貯留部25には液量センサーが設けられておらず、第2液面65の高さが検知できない。また、第1液面56の高さが検知可能であっても、第2液面65は、第1液面56と同じ高さではない。このため、第2液面65が高い状態で液体吐出ヘッド13に液体を供給すると、液体吐出ヘッド13に過剰な水頭がかかるおそれがあった。
【0088】
そこで、輸送時等のタンクユニット22内の液面が波打つと想定される場合に設定可能な輸送モードが設けられる。輸送モードにおいては、第2貯留部25内が大気に開放されず、閉鎖される。そして、輸送時の振動等により第1液面56が波打ち、第1貯留部24の液体が多少ではあるが第2貯留部25に供給される。
【0089】
しかしながら、第2貯留部25内の空気は、第1貯留部24内に供給されないため、第2貯留部25内の圧力が高くなる。これにより、第2液面65がある程度の高さになれば、第1貯留部24内の圧力よりも第2貯留部25内の圧力が高くなり、開閉バルブ27が開放せずに、第1貯留部24の液体が第2貯留部25に供給されなくなる。これにより、輸送時等のタンクユニット22内の液面が波打つと想定される場合に輸送モードが選択されることで、第2液面65の上昇を抑制することができる。
【0090】
<第1実施形態の効果>
第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)輸送モードが選択されることにより、第2大気開放流路42を閉鎖させることができる。これにより、輸送時等の振動により第1貯留部24から第2貯留部25に液体が供給される場合であっても、第2貯留部25内の圧力を第1貯留部24内の圧力よりも高くすることで、第1貯留部24から第2貯留部25への液体の供給を停止させることができる。したがって、輸送時等の振動により第1貯留部24から第2貯留部25に液体が供給されることを抑制することができる。
【0091】
(1-2)また、これに加えて、通常モードが選択されるときと輸送モードが選択されるときとの両方において、第1大気開放流路41を開放させることができる。これにより、温度変化及び気圧変化により液体収容体90内の空気が膨張した場合であっても、液体収容体90内が加圧されるのを抑制することができる。
【0092】
(1-3)輸送モードが選択された場合に、第2大気開放流路42を閉鎖させることができるとともに、電源をオフにすることを操作者に認識させつつも、操作者の意図するタイミングで電源をオフさせる機会を提供することができる。したがって、操作者の利便性を向上させることができる。
【0093】
(1-4)輸送モードが選択された場合に、第2大気開放流路42を閉鎖させることができるとともに、液体収容体90を取り外すことを操作者に認識させつつも、操作者の意図するタイミングで電源をオフさせる機会を提供することができる。したがって、操作者の利便性を向上させることができる。
【0094】
(1-5)輸送モードが選択された後に電源がオフからオンになったときに、第2大気開放流路42が閉鎖された状態であっても、開放動作が行われることにより、第2大気開放流路42を開放させることができる。したがって、操作者の利便性を向上させることができる。
【0095】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明では、既に説明した実施形態と同じ構成について同一符号を付し、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0096】
<モード制御処理>
図5に示すように、第2実施形態において、ステップS13が終了すると、ステップS16において、制御部70は、電源オフの指示が行われたか否かに関係なく、電源をオフしてもよい。このように、輸送モードが選択された場合に、制御部70は、第2大気開放流路42を閉鎖させた後に電源をオフしてもよい。
【0097】
<第2実施形態の効果>
第2実施形態の効果について説明する。
(2-1)輸送モードが選択された場合に、第2大気開放流路42を閉鎖させることができるとともに、電源をオフにすることができる。したがって、操作者の利便性を向上させることができる。
【0098】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。
<駆動機構40>
図6に示すように、駆動機構40は、切替操作部73を備える。切替操作部73は、ユーザー及びサービスマン等の操作者により操作可能に構成される。切替操作部73は、第7選択弁49G及び第11選択弁49Kの開閉状態を手動で切り替え可能である。つまり、切替操作部73は、第2バルブの開閉状態を手動で切り替え可能である。また、第7選択弁49G及び第11選択弁49Kは、セレクタバルブとして構成されていなくてもよい。
【0099】
駆動機構40は、検知部74を備える。検知部74は、第7選択弁49G及び第11選択弁49Kの開閉状態を検知可能に構成される。つまり、検知部74は、第2バルブの開閉状態を検知することにより、第2大気開放流路42の開閉状態を検知可能である。制御部70は、検知部74の検知結果を示す検知信号を検知部74から受け取る。
【0100】
<起動時処理>
図7に示すように、起動時処理では、ステップS21が終了すると、ステップS24において、制御部70は、検知部74からの検知信号に基づいて、第2バルブとしての第7選択弁49G及び第11選択弁49Kが閉鎖されているか否かを判定する。
【0101】
制御部70は、第7選択弁49G及び第11選択弁49Kが閉鎖されていないと判定した場合に、ステップS25を実行せずに、起動時処理を終了する。一方、制御部70は、第7選択弁49G及び第11選択弁49Kの少なくとも何れかが閉鎖されていると判定した場合に、ステップS25に処理を移行する。
【0102】
ステップS25において、制御部70は、報知情報を表示部71に表示させる。報知情報は、第7選択弁49G及び第11選択弁49Kの少なくとも何れかが閉鎖されていることを報知する情報を含んでもよい。報知情報は、第7選択弁49G及び第11選択弁49Kを開放させることを報知する情報を含んでもよい。
【0103】
このように、電源がオフからオンになったときに、第2大気開放流路42が閉鎖された状態であることが検知部74によって検知された場合に、制御部70は、第2大気開放流路42が閉鎖された状態である情報を表示部71に表示させる。この処理が終了すると、制御部70は、起動時処理を終了する。
【0104】
<第3実施形態の効果>
第3実施形態の効果について説明する。
(3-1)電源をオフする前に輸送モードが選択されなかった場合であっても、再度、電源をオフからオンにしなくても、電源をオフした後に切替操作部73を手動で切り替えることにより、第2大気開放流路42を閉鎖させることができる。したがって、操作者の利便性を向上させることができる。
【0105】
(3-2)電源がオフからオンになったときに、第2大気開放流路42が閉鎖された状態であっても、第2大気開放流路42が閉鎖された状態であることを操作者に認識させることができる。したがって、操作者の利便性を向上させることができる。
【0106】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。
<起動時処理>
図8に示すように、起動時処理では、ステップS24において、制御部70は、第7選択弁49G及び第11選択弁49Kの少なくとも何れかが閉鎖されていると判定した場合に、ステップS23に処理を移行してもよい。ステップS23において、制御部70は、第7選択弁49G及び第11選択弁49Kを開放させ、第2大気開放流路42を大気に開放させる開放動作を行う。
【0107】
このように、電源がオフからオンになったときに、第2大気開放流路42が閉鎖された状態であることが検知部74によって検知された場合に、制御部70は、第7選択弁49G及び第11選択弁49Kにより第2大気開放流路42を開放させる開放動作を行う。この処理が終了すると、制御部70は、起動時処理を終了する。
【0108】
<第4実施形態の効果>
第4実施形態の効果について説明する。
(4-1)電源がオフからオンになったときに、第2大気開放流路42が閉鎖された状態であっても、開放動作が行われることにより、第2大気開放流路42を開放させることができる。したがって、操作者の利便性を向上させることができる。
【0109】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態について説明する。
<起動時処理>
図9に示すように、起動時処理では、ステップS21が終了すると、ステップS23において、制御部70は、第7選択弁49G及び第11選択弁49Kを開放させ、第2大気開放流路42を大気に開放させる開放動作を行ってもよい。つまり、電源がオフからオンになったときに、毎回、制御部70は、第7選択弁49G及び第11選択弁49Kにより第2大気開放流路42を開放させる開放動作を行ってもよい。この処理が終了すると、制御部70は、起動時処理を終了する。
【0110】
<第5実施形態の効果>
第5実施形態の効果について説明する。
(5-1)電源がオフからオンになったときに、第2大気開放流路42が閉鎖された状態であるか否かに関係なく、第2大気開放流路42を開放させることができる。したがって、操作者の利便性を向上させることができる。
【0111】
[第6実施形態]
次に、第6実施形態について説明する。
<微加圧ユニット32>
図10に示すように、第6実施形態において、微加圧ユニット32は、第2貯留部25と一体的に設けられてもよい。つまり、第1実施形態における液室33が第2貯留室61と連通するように構成されてもよい。言い換えると、第1実施形態における液室33が第2貯留室61と一体的に設けられてもよい。
【0112】
この場合、制御部70は、微加圧排出が実行されるときに、第1流路バルブ30と第2流路バルブ31とを閉弁し、第2貯留部25を大気に開放させた後に、空気室35内を減圧する。そして、制御部70は、第2貯留部25を大気から閉鎖させ、第2流路バルブ31を開弁した後に、空気室35内を大気に開放する。これにより、微加圧排出時には、微加圧ユニット32及び供給流路28を介して複数のノズル15のそれぞれから液体が排出可能となる。
【0113】
このように、微加圧ユニット32を第2流路バルブ31よりも上流に設けることにより、供給流路28において微加圧ユニット32と液体吐出ヘッド13との間に第2流路バルブ31を挟むことができる。これにより、微加圧排出において空気室35内を減圧する際に、複数のノズル15のそれぞれから気泡や異物を引きこむことを抑制することができる。
【0114】
また、微加圧ユニット32は、第1貯留部24と液体吐出部12との間ではなく、第2貯留部25と液体吐出部12との間に設けられる。このため、微加圧排出において空気室35内を減圧する際に、開閉バルブ27が周囲の壁部に張り付くことを抑制することができ、第1貯留部24から第2貯留部25に液体を円滑に供給することができる。
【0115】
また、これに加えて、微加圧排出において空気室35内を減圧する際に、第1貯留部24から第2貯留部25に液体を引き込むことができ、第1貯留室51に貯留される液体により第1気液分離膜57が濡れることを抑制することができる。これにより、例えば液体の充填時及びフラッシング時などにおいて、第1貯留室51への液体の充填を円滑に行うことができる。そして、第1貯留部24から第2貯留部25に液体を円滑に供給することができる。
【0116】
また、第1実施形態では、可撓性部材34をゆっくり可撓させるために、切替機構44は、細管部48を備えたが、第6実施形態では、切替機構44は、細管部48を備えなくてもよい。これにより、微加圧ユニット32の駆動速度を向上させることができる。
【0117】
[第7実施形態]
次に、第7実施形態について説明する。
<微加圧ユニット32>
図11に示すように、第7実施形態において、微加圧ユニット32は、供給口62と第2流路バルブ31との間に設けられてもよい。つまり、微加圧ユニット32は、供給流路28において、第2貯留部25と第2流路バルブ31との間に設けられてもよい。また、微加圧ユニット32は、第2貯留部25とは別体で設けられてもよい。また、第7実施形態でも、第6実施形態と同じように、切替機構44は、細管部48を備えなくてもよい。第7実施形態においても、第6実施形態と同じような効果を奏する。
【0118】
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0119】
・上記実施形態において、第1液面56が満杯位置に位置する場合に、第1液面56を低下させるための処理が実行可能であってもよい。例えば、制御部70は、第2流路バルブ31を開放し、第2貯留部25内を加圧する。これにより、第2貯留部25に貯留されていた液体は、供給流路28を介して、液体吐出部12に供給される。そして、液体吐出部12において、複数のノズル15のそれぞれから所定量の液体が排出される。その後、制御部70は、加圧部46による加圧を停止させるとともに、第2貯留部25内を大気に開放する。このような場合、水頭差によって、開閉バルブ27が開放し、第1貯留部24から第2貯留部25に液体が供給される。このように、制御部70は、第1液面56が満杯位置に位置することを液量センサー55が検出しないようになるまで、このような処理を繰り返し実行する。これにより、第1液面56を低下させることができる。
【0120】
・第1実施形態において、例えば、制御部70は、輸送モードの選択指示が行われた場合に、第2大気開放流路42の閉鎖を行わずに、電源オフの指示が行われた場合に、第2大気開放流路42の閉鎖を行わってもよい。
【0121】
・第1実施形態において、例えば、制御部70は、輸送モードの選択指示が行われた場合に、所定時間が経過するまで電源オフの指示が行われなかったときに、電源をオフとしてもよい。
【0122】
・第2実施形態において、例えば、輸送モードの選択指示が行われた場合に、制御部70は、取扱情報として、液体収容体90を装着部23から取り外すことを促す情報を表示部71に表示させた後に、電源をオフとしてもよい。
【0123】
・第3実施形態において、例えば、制御部70は、電源がオフからオンになったときに、操作者の指示を待機し、操作者の指示により、報知情報を表示部71に表示させてもよい。操作者の指示としては、報知情報を表示させる指示であってもよいし、任意の操作に基づく指示であってもよい。任意の操作とは、印刷を実行するための操作や、液体吐出ヘッド13のメンテナンスを実行するための操作などを含む。
【0124】
・上記実施形態において、例えば、制御部70は、電源がオフからオンになったときに、操作者の指示を待機し、操作者の指示により、第2大気開放流路42を開放させる開放動作を行ってもよい。操作者の指示としては、開放動作を行う指示であってもよいし、任意の操作に基づく指示であってもよい。
【0125】
・上記実施形態において、例えば、制御部70は、操作者の操作により輸送モードから通常モードに制御してもよい。つまり、制御部70は、操作者の操作により、少なくとも輸送モードに制御できればよい。
【0126】
・上記実施形態において、液体収容体90としては、液体を収容可能なインクカートリッジが採用されるが、これに限らず、例えば、液体を収容可能なインクタンクが採用されてもよい。液体収容体90としてインクタンクが採用される場合、液体吐出装置11は、液体を補充可能であるインクタンクを備える。
【0127】
・液体吐出ヘッド13は、ノズル面14が水平になる水平姿勢で液体を吐出して媒体に印刷してもよい。液体吐出ヘッド13は、水平姿勢と傾斜姿勢とに姿勢を変更可能に設けられてもよい。
【0128】
・液体吐出装置11は、第1貯留部24を大気開放させる流路と、第1貯留部24を加圧する流路とを別に備えてもよい。液体吐出装置11は、第2貯留部25を大気開放させる流路と、第2貯留部25を加圧する流路とを別に備えてもよい。
【0129】
・加圧部46は、ダイヤフラムポンプ、ピストンポンプ、及びギアポンプなどを用いてもよい。
・可撓性部材34は、ゴム膜、エラストマ膜、フィルムなどによって形成してもよい。
【0130】
・液体吐出装置11は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体吐出装置であってもよい。液体吐出装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。ここでいう液体は、液体吐出装置から吐出させることができるような材料であればよい。例えば、液体は、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属、金属融液、のような流状体を含むものとする。液体は、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体吐出装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を吐出する装置がある。液体吐出装置は、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。液体吐出装置は、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ、光学レンズ、などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する装置であってもよい。液体吐出装置は、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する装置であってもよい。
【0131】
・本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、所望の選択肢の1つ以上を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、選択肢の数が2つであれば1つの選択肢のみ又は2つの選択肢の双方を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば1つの選択肢のみ又は2つ以上の任意の選択肢の組み合わせを意味する。
【0132】
[付記]
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0133】
(A)液体吐出装置は、液体収容体から供給される液体を貯留可能である第1貯留部と、前記第1貯留部内を大気に開放可能である第1大気開放流路と、前記第1大気開放流路を開閉可能である第1バルブと、前記第1貯留部から供給された液体を貯留可能である第2貯留部と、前記第2貯留部内を大気に開放可能である第2大気開放流路と、前記第2大気開放流路を開閉可能である第2バルブと、前記第1貯留部から前記第2貯留部に向かう液体の流れを許容し、前記第2貯留部から前記第1貯留部に向かう液体の流れを規制する逆止弁と、少なくとも前記第2貯留部から供給された液体を吐出可能である液体吐出部と、を備え、通常モードと輸送モードとが選択可能に構成されており、前記通常モードは、前記第1バルブにより前記第1大気開放流路を開放し、かつ、前記第2バルブにより前記第2大気開放流路を開放した状態で電源がオフされるモードであり、前記輸送モードは、前記第1バルブにより前記第1大気開放流路を開放し、かつ、前記第2バルブにより前記第2大気開放流路を閉鎖した状態で電源がオフされるモードであってもよい。
【0134】
この構成によれば、輸送モードが選択されることにより、第2大気開放流路を閉鎖させることができる。これにより、輸送時等の振動により第1貯留部から第2貯留部に液体が供給される場合であっても、第2貯留部内の圧力を第1貯留部内の圧力よりも高くすることで、第1貯留部から第2貯留部への液体の供給を停止させることができる。したがって、輸送時等の振動により第1貯留部から第2貯留部に液体が供給されることを抑制することができる。
【0135】
(B)液体吐出装置は、前記輸送モードを選択可能である選択部を更に備えてもよい。
この構成によれば、輸送モードが選択されることにより、輸送時等の振動により第1貯留部から第2貯留部に液体が供給されることを抑制することができる。
【0136】
(C)液体吐出装置は、制御部と、情報を表示可能である表示部と、を更に備え、前記選択部によって前記輸送モードが選択された場合に、前記制御部は、前記第2バルブにより前記第2大気開放流路を閉鎖させ、かつ、電源オフを促す情報を前記表示部に表示させてもよい。
【0137】
この構成によれば、輸送モードが選択された場合に、第2大気開放流路を閉鎖させることができるとともに、電源をオフにすることを操作者に認識させつつも、操作者の意図するタイミングで電源をオフさせる機会を提供することができる。したがって、操作者の利便性を向上させることができる。
【0138】
(D)液体吐出装置は、制御部を更に備え、前記選択部によって前記輸送モードが選択された場合に、前記制御部は、前記第2バルブにより前記第2大気開放流路を閉鎖させた後に電源をオフしてもよい。
【0139】
この構成によれば、輸送モードが選択された場合に、第2大気開放流路を閉鎖させることができるとともに、電源をオフにすることができる。したがって、操作者の利便性を向上させることができる。
【0140】
(E)液体吐出装置において、前記選択部によって前記輸送モードが選択された後に電源がオフからオンになったときに、前記制御部は、前記第2バルブにより前記第2大気開放流路を開放させる開放動作を行ってもよい。
【0141】
この構成によれば、輸送モードが選択された後に電源がオフからオンになったときに、第2大気開放流路が閉鎖された状態であっても、開放動作が行われることにより、第2大気開放流路を開放させることができる。したがって、操作者の利便性を向上させることができる。
【0142】
(F)液体吐出装置は、前記第2バルブの開閉状態を手動で切り替え可能である切替操作部を更に備えてもよい。
この構成によれば、電源をオフする前に輸送モードが選択されなかった場合であっても、再度、電源をオフからオンにしなくても、電源をオフした後に切替操作部を手動で切り替えることにより、第2大気開放流路を閉鎖させることができる。したがって、操作者の利便性を向上させることができる。
【0143】
(G)液体吐出装置は、前記第2大気開放流路の開閉状態を検知可能である検知部を更に備えてもよい。この構成によれば、第2大気開放流路の開閉状態が特定可能となる。
(H)液体吐出装置は、制御部と、情報を表示可能である表示部と、を更に備え、電源がオフからオンになったときに、前記第2大気開放流路が閉鎖された状態であることが前記検知部によって検知された場合に、前記制御部は、前記第2大気開放流路が閉鎖された状態である情報を前記表示部に表示させてもよい。
【0144】
この構成によれば、電源がオフからオンになったときに、第2大気開放流路が閉鎖された状態であっても、第2大気開放流路が閉鎖された状態であることを操作者に認識させることができる。したがって、操作者の利便性を向上させることができる。
【0145】
(I)液体吐出装置は、制御部を更に備え、電源がオフからオンになったときに、前記第2大気開放流路が閉鎖された状態であることが前記検知部によって検知された場合に、前記制御部は、前記第2バルブにより前記第2大気開放流路を開放させる開放動作を行ってもよい。
【0146】
この構成によれば、電源がオフからオンになったときに、第2大気開放流路が閉鎖された状態であっても、開放動作が行われることにより、第2大気開放流路を開放させることができる。したがって、操作者の利便性を向上させることができる。
【0147】
(J)液体吐出装置は、制御部を更に備え、電源がオフからオンになったときに、毎回、前記制御部は、前記第2バルブにより前記第2大気開放流路を開放させる開放動作を行ってもよい。
【0148】
この構成によれば、電源がオフからオンになったときに、第2大気開放流路が閉鎖された状態であるか否かに関係なく、第2大気開放流路を開放させることができる。したがって、操作者の利便性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0149】
11…液体吐出装置、12…液体吐出部、13…液体吐出ヘッド、14…ノズル面、15…ノズル、16…第1接続部、17…第2接続部、18…メンテナンス部、20…供給装置、21…供給機構、22…タンクユニット、23…装着部、24…第1貯留部、25…第2貯留部、26…導出流路、27…開閉バルブ、28…供給流路、29…回収流路、30…第1流路バルブ、31…第2流路バルブ、32…微加圧ユニット、33…液室、34…可撓性部材、35…空気室、36…ばね、40…駆動機構、41…第1大気開放流路、42…第2大気開放流路、43…空気流路、44…切替機構、45…接続流路、46…加圧部、47…圧力センサー、48…細管部、49…選択弁、49A…第1選択弁、49B…第2選択弁、49C…第3選択弁、49D…第4選択弁、49E…第5選択弁、49F…第6選択弁、49G…第7選択弁、49H…第8選択弁、49I…第9選択弁、49J…第10選択弁、49K…第11選択弁、51…第1貯留室、51A…底、51B…天井、52…流入口、53…導入部、53A…下端、53B…上端、54…導入バルブ、55…液量センサー、56…第1液面、57…第1気液分離膜、61…第2貯留室、61A…底、61B…天井、62…供給口、63…フィルター、64…第2気液分離膜、65…第2液面、70…制御部、70A…選択部、71…表示部、72…操作部、73…切替操作部、74…検知部、90…液体収容体、91…収容室、92…導出部、93…導出バルブ。
図1
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図10
図11