(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024156945
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】洗面鏡の取付構造
(51)【国際特許分類】
A47K 1/02 20060101AFI20241029BHJP
A47B 67/02 20060101ALI20241029BHJP
A47G 1/16 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
A47K1/02 B
A47B67/02 502E
A47G1/16 B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024131814
(22)【出願日】2024-08-08
(62)【分割の表示】P 2022189265の分割
【原出願日】2018-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】古來 幸二
(72)【発明者】
【氏名】香坂 幸史
(57)【要約】
【課題】洗面鏡を適切に固定可能としつつ、高い意匠性と施工性とを得ることができる洗面鏡の取付構造を提供する。
【解決手段】一対の側板を有する枠体と、枠体の前方に設けられた洗面鏡と、を有し、洗面鏡と取付面との間に生じる空間の側方を一対の側板で覆う鏡本体と、取付面に取り付けられる第1受け具と、第1受け具よりも下方に位置するように取付面に取り付けられる第2受け具と、鏡本体の背面に設けられ、上下方向において第1受け具と係合する第1取付具と、鏡本体の背面に第1取付具よりも下方に設けられ、第1受け具と第1取付具とが係合した状態で、第2受け具の上に載置される第2取付具と、第2取付具を第2受け具に固定する固定部材と、を備え、第2取付具が第2受け具の上に載置された状態において、第2受け具の前端は、洗面鏡よりも後方に位置することを特徴とする洗面鏡の取付構造である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗面鏡を取付面に取り付けるための洗面鏡の取付構造であって、
鏡本体と、
前記取付面に取り付けられる第1受け具と、
前記第1受け具よりも下方に位置するように前記取付面に取り付けられる第2受け具と、
前記鏡本体の背面に設けられ、上下方向において前記第1受け具と係合する第1取付具と、
前記鏡本体の背面に前記第1取付具よりも下方に設けられ、前記第1受け具と前記第1取付具との係合によって前記鏡本体の前倒れを規制した状態で、前記第2受け具と当接する第2取付具と、
前記第2取付具と、前記第2受け具とが離間しないように固定する固定部材と、
を備え、
前記第2取付具が前記第2受け具と当接する状態において、前記第2受け具の前端は、前記洗面鏡よりも後方に位置し、
前記第1受け具及び前記第1取付具の、一方は、左右方向において夫々離れた位置に設けられた複数の部材で構成されており、他方は、前記複数の部材と係合するように設けられた所定の幅を有する単数の部材であり、
前記第1受け具と前記第1取付具との係合によって前記鏡本体の前倒れを規制した状態で、前記鏡本体を左右方向に位置調整可能に構成されている、
ことを特徴とする洗面鏡の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、洗面鏡の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
固定具などを使用者から視認できないように隠蔽することにより、意匠性の向上を図る鏡の取付構造が知られている。例えば、特許文献1では、取付面にフックを設けるとともに、鏡の裏面にフック受けを設け、フックとフック受けとの係止によって鏡を取付面に取り付けている。これにより、鏡を取り付けた状態では、フックやフック受けを鏡によって隠蔽することができる。
【0003】
しかしながら、上記のように係止させるだけの取付構造を洗面空間に設置される洗面鏡に用いてしまうと、洗面鏡の清掃の際に、取付面に対して洗面鏡が動いてしまい、清掃性の低下を招いてしまう虞がある。洗面鏡では、洗面行為に起因する水はねなどにより、洗面鏡の表面が汚れてしまうことがあり、表面の清掃の頻度も比較的高い。このため、洗面鏡では、清掃時の洗面鏡の動きを抑制できるように適切に洗面鏡を固定し、高い清掃性を得られるようにすることが求められている。
【0004】
一方で、意匠性の低下を抑制しつつ、洗面鏡を適切に固定できるようにするために、単純に固定具などを視認し難い位置に配置してしまうと、固定具に対する手指や工具などの作業空間が確保し難くなってしまい、施工性の低下を招いてしまう可能性がある。
【0005】
このため、洗面鏡の取付構造では、洗面鏡を適切に固定可能としつつ、高い意匠性と施工性とを得られるようにすることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、洗面鏡を適切に固定可能としつつ、高い意匠性と施工性とを得ることができる洗面鏡の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、洗面鏡を取付面に取り付けるための洗面鏡の取付構造であって、一対の側板を有する枠体と、前記枠体の前方に設けられた洗面鏡と、を有し、前記洗面鏡と前記取付面との間に生じる空間の側方を前記一対の側板で覆う鏡本体と、前記取付面に取り付けられる第1受け具と、前記第1受け具よりも下方に位置するように前記取付面に取り付けられる第2受け具と、前記鏡本体の背面に設けられ、上下方向において前記第1受け具と係合する第1取付具と、前記鏡本体の背面に前記第1取付具よりも下方に設けられ、前記第1受け具と前記第1取付具との係合によって前記鏡本体の前倒れを規制した状態で、前記第2受け具の上に載置される第2取付具と、前記第2受け具及び前記第2受け具の上に載置された前記第2取付具に対して下方から取り付けられ、前記第2取付具を前記第2受け具に固定する固定部材と、を備え、前記第2取付具が前記第2受け具の上に載置された状態において、前記第2受け具の前端は、前記洗面鏡よりも後方に位置することを特徴とする洗面鏡の取付構造である。
【0009】
この洗面鏡の取付構造によれば、取付面に対して上下方向に鏡本体を移動させながら第1受け具と第1取付具とを係合させ、鏡本体の前倒れを規制した状態で、第2受け具の上に第2取付具を載置することにより、鏡本体を仮固定することができる。この際、鏡本体の移動の方向を上下方向とすることにより、左右方向の幅の狭い洗面所などにおいても、鏡本体の取り付けを適切に行うことができる。また、第2受け具及び第2取付具に対して下方から固定部材を取り付けることにより、手指や工具などの作業空間を鏡本体の下方に適切に確保しつつ、固定部材の取り付けを行うことができる。そして、第2取付具が第2受け具の上に載置された状態において、第2受け具の前端が、洗面鏡よりも後方に位置することにより、第2受け具を使用者などに視認し難くすることができ、高い意匠性を得ることができる。従って、洗面鏡を適切に固定可能としつつ、高い意匠性と施工性とを得ることができる洗面鏡の取付構造を提供することができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記第2取付具は、前記洗面鏡の下端よりも上方に設けられ、前記第2取付具が前記第2受け具の上に載置された状態において、前記第2受け具の下端は、前記洗面鏡の下端よりも上方に位置することを特徴とする洗面鏡の取付構造である。
【0011】
この洗面鏡の取付構造によれば、第2取付具が第2受け具の上に載置された状態において、第2受け具の下端が、洗面鏡の下端よりも上方に位置することにより、第2受け具を使用者などに、より視認し難くすることができ、より高い意匠性を得ることができる。
【0012】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記第1受け具及び前記第1取付具の一方の左右方向の幅は、前記第1受け具及び前記第1取付具の他方の左右方向の幅よりも広いことを特徴とする洗面鏡の取付構造である。
【0013】
この洗面鏡の取付構造によれば、第1受け具及び第1取付具の一方の左右方向の幅を、他方の左右方向の幅よりも広くすることにより、鏡本体の前倒れを左右方向の広い範囲で規制することができる。このため、鏡本体を取付面に仮固定する際に、第1受け具と第1取付具との左右方向の位置調整を容易にすることができ、施工性をより向上させることができる。
【0014】
第4の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、前記第1受け具は、上方に開口し、前記第1取付具は、前記第1受け具に対して上方から係合することを特徴とする洗面鏡の取付構造である。
【0015】
この洗面鏡の取付構造によれば、鏡本体を取付面に対して上方から取り付けることができ、施工性をより向上させることができる。
【0016】
第5の発明は、第1~第4のいずれか1つの発明において、前記第2取付具が前記第2受け具の上に載置された状態において、前記第1取付具と前記第1受け具との間には、上下方向の隙間が設けられていることを特徴とする洗面鏡の取付構造である。
【0017】
この洗面鏡の取付構造によれば、第1取付具が第1受け具と当接し、第2受け具と第2取付具との間に隙間が生じしまうことを抑制することができる。従って、より適切に洗面鏡を固定することができる。また、第1取付具と第1受け具との間に隙間を設けることにより、第1取付具と第1受け具との間の摩擦抵抗を小さくすることができる。例えば、第2取付具を第2受け具の上に載置した後に、鏡本体の左右方向の位置調整などをし易くすることができる。さらには、第1取付具と第1受け具との間に隙間を設けることにより、例えば、第1受け具及び第1取付具の少なくとも一方を複数設けた場合に、複数の部材の高さ方向の位置の誤差を、隙間によって吸収することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の態様によれば、洗面鏡を適切に固定可能としつつ、高い意匠性と施工性とを得ることができる洗面鏡の取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1(a)及び
図1(b)は、実施形態に係る洗面化粧台を模式的に表す正面図及び側面図である。
【
図2】実施形態に係る鏡装置を模式的に表す斜視図である。
【
図3】実施形態に係る鏡装置の上部断面を模式的に表す断面図である。
【
図4】実施形態に係る鏡装置の下部断面を模式的に表す断面図である。
【
図5】
図5(a)~
図5(c)は、実施形態に係る取付工程を模式的に表す断面図である。
【
図6】実施形態に係る鏡装置の変形例を模式的に表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1(a)及び
図1(b)は、実施形態に係る洗面化粧台を模式的に表す正面図及び側面図である。
図1(a)及び
図1(b)に表したように、洗面化粧台2は、支持台3と、洗面器4と、水栓装置5と、鏡装置10と、を備える。洗面化粧台2は、洗面所などの洗面空間に設置され、洗面空間の所定の取付面WSに取り付けられた状態で使用される。
【0021】
以下、本願明細書においては、取付面WSの向く方向を「前方」とし、これと反対の方向を「後方」とする。また、前方を向いた状態を基準に、右側、左側、上側、下側を、それぞれ「右側方」、「左側方」、「上方」、「下方」とする。
【0022】
支持台3は、洗面器4を支持する。支持台3は、例えば、フロアキャビネットである。この例において、支持台3は、引き出し式のキャビネットである。支持台3は、例えば、観音開き式のキャビネットなどでもよい。支持台3は、洗面器4を支持可能な任意の構成でよい。また、例えば、洗面器4を取付面WSに直接取り付ける場合などには、支持台3を省略してもよい。
【0023】
洗面器4は、支持台3の上に設けられる。洗面器4は、下方に向かって凹んだ凹状の洗面ボウル4aを有する。洗面ボウル4aは、水栓装置5から吐出された水を受ける。
【0024】
水栓装置5は、洗面器4の上に設けられる。水栓装置5は、例えば、洗面器4内に設けてもよいし、取付面WSに取り付けてもよい。水栓装置5は、吐水口5aと、操作部5bと、を有する。吐水口5aは、洗面ボウル4aに向けて水を吐出する。操作部5bは、吐水口5aから吐出される水の流量及び温度を調節する。この例において、操作部5bは、レバーハンドルである。操作部5bは、これに限ることなく、回転型のハンドルなどでもよい。操作部5bは、少なくとも流量を調節できればよい。
【0025】
鏡装置10は、洗面器4及び水栓装置5の上に設けられる。鏡装置10は、取付面WSに取り付けられる。鏡装置10は、洗面鏡16を有する。洗面鏡16は、例えば、略矩形の一枚の平板状である。換言すれば、洗面鏡16は、一面鏡である。
【0026】
このように、鏡装置10は、洗面器4及び水栓装置5の上方に洗面鏡16を配置する。これにより、手洗いや洗顔などの洗面行為を行う使用者が、自身の顔や髪などを確認することができる。洗面鏡16は、鏡装置10によって取付面WSに取り付けられる。すなわち、鏡装置10は、洗面鏡16を取付面WSに取り付ける取付構造を提供する。
【0027】
図2は、実施形態に係る鏡装置を模式的に表す斜視図である。
図3は、実施形態に係る鏡装置の上部断面を模式的に表す断面図である。
図4は、実施形態に係る鏡装置の下部断面を模式的に表す断面図である。
図2~
図4に表したように、鏡装置10(洗面鏡の取付構造)は、鏡本体12と、第1受け具21と、第2受け具22と、第1取付具31と、第2取付具32と、固定部材35と、を備える。
【0028】
鏡本体12は、枠体14と、洗面鏡16と、を有する。枠体14は、一対の側板40を有する。洗面鏡16は、枠体14の前方に設けられる。換言すれば、洗面鏡16は、各側板40の前端に設けられる。枠体14は、各側板40の後端を取付面WSに近接させた状態で、取付面WSに取り付けられる。このため、洗面鏡16は、各側板40の分だけ取付面WSから離間した状態で、取付面WSに取り付けられる。鏡本体12は、洗面鏡16と取付面WSとの間に生じる空間SPの側方を一対の側板40で覆う。これにより、取付面WSに取り付けられた状態において、洗面鏡16の背面や空間SPなどが、側方から視認されてしまうことを抑制することができる。
【0029】
枠体14は、例えば、補強材42、43をさらに有する。補強材42、43は、左右方向に延び、各側板40を接続する。補強材42は、各側板40の上端付近に設けられる。補強材43は、各側板40の下端付近に設けられる。これにより、各補強材42、43は、各側板40とともに矩形状の枠を形成し、枠体14を補強する。但し、補強材42、43は、必要に応じて設けられ、省略可能である。また、各補強材42、43は、各側板40の前端付近に設けられる。換言すれば、各補強材42、43は、洗面鏡16の背面に近接して設けられる。
【0030】
鏡本体12は、例えば、鏡支持部44、45をさらに有する。鏡支持部44は、洗面鏡16の上端に係合する。鏡支持部44は、例えば、ネジ止めなどにより、補強材42に取り付けられる。鏡支持部45は、洗面鏡16の下端に係合する。鏡支持部45は、例えば、ネジ止めなどにより、補強材43に取り付けられる。このように、洗面鏡16は、上端及び下端を鏡支持部44、45に支持された状態で、鏡支持部44、45を介して枠体14の前方に取り付けられる。これにより、ネジなどの固定具の露出を抑制した状態で、洗面鏡16を枠体14の前方に取り付けることができる。但し、洗面鏡16の枠体14への取付方法は、上記に限ることなく、任意の方法でよい。
【0031】
鏡本体12は、例えば、照明部50と、反射板52と、カバー54と、をさらに有する。枠体14は、上方が開口している。照明部50は、洗面鏡16と取付面WSとの間の空間SP内に設けられる。換言すれば、照明部50は、枠体14の内部に設けられる。照明部50は、枠体14の上方の開口に向かって光(可視光)を照射する。
【0032】
反射板52は、枠体14の上部に設けられる。反射板52は、例えば、枠体14の上部後端から上方に向かって延びるとともに、前方に向かって延びる。反射板52は、照明部50から上方に向かって照射された光を前方下方に向けて反射させる。これにより、照明部50から照射され、反射板52で反射した光によって、洗面鏡16の表面や使用者の顔などを照らすことができる。
【0033】
カバー54は、枠体14の上部に設けられ、枠体14の上方の開口を塞ぐ。カバー54は、照明部50から照射された光に対して光透過性を有する。カバー54は、例えば、透明な平板状である。これにより、照明部50から照射された光を反射板52に向けて照射させつつ、枠体14の上部の開口から塵埃などが枠体14内に侵入してしまうことを抑制することができる。
【0034】
照明部50などの構成は、上記に限定されるものではない。例えば、枠体14の上に照明部50を設け、洗面鏡16の前方に向けて光を照射するようにしてもよい。照明部50の構成は、洗面鏡16の前方に向けて光を照射可能な任意の構成でよい。また、照明部50、反射板52、及びカバー54は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0035】
第1受け具21は、取付面WSに取り付けられる。第1受け具21は、例えば、ネジ止めによって取付面WSに取り付けられる。第1受け具21の取付面WSへの取付方法は、ネジ止めに限ることなく、第1受け具21を適切に取り付けることができる任意の取付方法でよい。
【0036】
第1受け具21は、例えば、取付面WSにネジなどによって固定される固定部21aと、固定部21aの上端から前方に向かって延びる第1延在部21bと、第1延在部21bの前端から上方に向かって延びる第2延在部21cと、を有する。第1受け具21は、例えば、クランク状に屈曲した平板状である。
【0037】
このように、第1受け具21は、上方に開口し、上方からの係合を可能にする。第1受け具21の構成は、上記に限ることなく、上方に開口し、上方からの係合を可能にする任意の構成でよい。また、上記とは反対に、第1受け具21は、下方に開口し、下方からの係合を可能にする構成としてもよい。
【0038】
鏡装置10は、例えば、左右方向に並べて設けられた複数の第1受け具21を備える。この例において、鏡装置10は、2つの第1受け具21を備える。但し、第1受け具21の数は、2つに限ることなく、1つでもよいし、3つ以上でもよい。第1受け具21の数は、任意の数でよい。
【0039】
第2受け具22は、第1受け具21よりも下方に位置するように取付面WSに取り付けられる。第2受け具22は、例えば、ネジ止めによって取付面WSに取り付けられる。第2受け具22の取付面WSへの取付方法は、ネジ止めに限ることなく、第2受け具22を適切に取り付けることができる任意の取付方法でよい。
【0040】
鏡装置10は、例えば、左右方向に並べて設けられた複数の第2受け具22を備える。この例において、鏡装置10は、2つの第2受け具22を備える。但し、第2受け具22の数は、2つに限ることなく、1つでもよいし、3つ以上でもよい。第2受け具22の数は、任意の数でよい。
【0041】
第1取付具31は、鏡本体12の背面に設けられる。第1取付具31は、枠体14の背面に設けてもよいし、洗面鏡16の背面に設けてもよい。第1取付具31は、上下方向において第1受け具21と係合する。この例では、第1受け具21が、上方に開口している。従って、第1取付具31は、第1受け具21に対して上方から係合する。例えば、第1受け具21が下方に開口している場合には、第1取付具31は、第1受け具21に対して下方から係合する。
【0042】
第1取付具31は、例えば、左右方向に延び、一対の側板40を接続する。第1取付具31は、例えば、横桟である。これにより、第1取付具31によって枠体14の強度を高めることもできる。換言すれば、第1取付具31に補強材としても機能も持たせることができる。
【0043】
第1取付具31の前後方向の幅は、例えば、第1受け具21の第1延在部21bの前後方向の幅よりも狭い。これにより、第1取付具31を第1受け具21に上方から係合させることができる。
【0044】
また、第1取付具31の左右方向の幅W2は、第1受け具21の左右方向の幅W1よりも広い。第1取付具31は、左右方向に並べて設けられる2つの第1受け具21のそれぞれに係合する。
【0045】
第1受け具21及び第1取付具31の構成は、上記に限ることなく、互いに係合可能な任意の構成でよい。例えば、上記とは反対に、第1受け具21の左右方向の幅W1を、第1取付具31の左右方向の幅W2よりも広くしてもよい。
【0046】
第2取付具32は、鏡本体12の背面に第1取付具31よりも下方に設けられ、第1受け具21と第1取付具31との係合によって鏡本体12の前倒れを規制した状態で、第2受け具22の上に載置される。この例において、第2取付具32は、左右方向に並べて設けられる2つの第2受け具22のそれぞれの上に載置される。第2取付具32は、枠体14の背面に設けてもよいし、洗面鏡16の背面に設けてもよい。
【0047】
第2取付具32が第2受け具22の上に載置された状態において、第1取付具31と第1受け具21との間には、上下方向の隙間GP(
図3参照)が設けられている。この例では、第1取付具31が、上方から第1受け具21に係合する。このため、この例では、第1取付具31が第1受け具21よりも上方に位置した状態で、第1取付具31と第1受け具21との間に隙間GPが設けられる。反対に、第1取付具31が、下方から第1受け具21に係合する場合には、第1取付具31が第1受け具21よりも下方に位置した状態で、第1取付具31と第1受け具21との間に隙間GPが設けられる。
【0048】
第2取付具32が第2受け具22の上に載置された状態において、第2受け具22の前端22fは、洗面鏡16よりも後方に位置する。
【0049】
第2取付具32は、洗面鏡16の下端16bよりも上方に設けられる。第2取付具32が第2受け具22の上に載置された状態において、第2受け具22の下端22bは、洗面鏡16の下端16bよりも上方に位置する。
【0050】
第2受け具22及び第2取付具32は、例えば、断面略L字状に折り曲げられた平板状である。第2取付具32は、例えば、ネジ止めなどにより、補強材43に取り付けられる。また、第2取付具32は、左右方向に延び、洗面鏡16と取付面WSとの間に生じる空間SPの下方を覆う。換言すれば、第2取付具32は、枠体14の底板としても機能する。これにより、取付面WSに取り付けられた状態において、洗面鏡16の背面や空間SPなどが、下方から視認されてしまうことを抑制することができる。第2受け具22及び第2取付具32の構成は、上記に限ることなく、第2取付具32を第2受け具22の上に載置可能な任意の構成でよい。
【0051】
鏡本体12は、例えば、照明部50の点灯・消灯を切り替えるためのスイッチ部56をさらに有する。スイッチ部56は、例えば、洗面鏡16の下端16bよりも上方に設けられた第2取付具32の底面に取り付けられる。スイッチ部56の下端は、枠体14の下端よりも上方に位置する。これにより、スイッチ部56が、前方に露出してしまうことを抑制することができる。鏡装置10の意匠性をより向上させることができる。また、スイッチ部56を枠体14の底面側に配置した場合にも、鏡装置10の輸送や取り付けの際などに、スイッチ部56に衝撃が加わってしまうことなどを抑制することができる。
【0052】
固定部材35は、第2受け具22及び第2受け具22の上に載置された第2取付具32に対して下方から取り付けられ、第2取付具32を第2受け具22に固定する。固定部材35は、例えば、雄ネジである。第2受け具22には、例えば、固定部材35を挿通するための貫通孔が設けられる。第2取付具32には、例えば、固定部材35と螺合する雌ネジが設けられる。これにより、固定部材35によって第2取付具32を第2受け具22に固定することができる。例えば、第2取付具32を第2受け具22に対して完全拘束することができる。固定部材35は、雄ネジに限ることなく、第2取付具32を第2受け具22に固定可能な任意の部材でよい。
【0053】
図5(a)~
図5(c)は、実施形態に係る取付工程を模式的に表す断面図である。
図5(a)に表したように、鏡装置10の取り付けにおいては、まず、第1受け具21及び第2受け具22を取付面WSの所定の位置に取り付ける。
【0054】
この後、
図5(a)~
図5(c)に表したように、鏡本体12を上下方向に移動させ、第1受け具21と第1取付具31とを係合させるとともに、第2取付具32を第2受け具22の上に載置することにより、鏡本体12の前倒れを規制した状態で、鏡本体12を仮固定する。この例では、鏡本体12を上方から下方に移動させることにより、第1受け具21と第1取付具31とを係合させるとともに、第2取付具32を第2受け具22の上に載置する。
【0055】
このように、鏡本体12の移動方向を上下方向とすることにより、例えば、鏡本体12の両側方に壁面が近接している左右方向の幅の狭い洗面空間においても、鏡本体12の取り付けを適切に行うことができる。
【0056】
図5(c)に表したように、鏡本体12を仮固定した後、第2受け具22及び第2取付具32に対して下方から固定部材35を取り付けることにより、第2取付具32を第2受け具22に固定する。すなわち、鏡本体12を本固定する。これにより、鏡本体12が取付面WSに取り付けられる。換言すれば、洗面鏡16が、取付面WSに取り付けられる。
【0057】
以上、説明したように、本実施形態に係る鏡装置10及びその洗面鏡16の取付構造によれば、取付面WSに対して上下方向に鏡本体12を移動させながら第1受け具21と第1取付具31とを係合させ、鏡本体12の前倒れを規制した状態で、第2受け具22の上に第2取付具32を載置することにより、鏡本体12を仮固定することができる。この際、鏡本体12の移動の方向を上下方向とすることにより、左右方向の幅の狭い洗面所などにおいても、鏡本体12の取り付けを適切に行うことができる。また、第2受け具22及び第2取付具32に対して下方から固定部材35を取り付けることにより、手指や工具などの作業空間を鏡本体12の下方に適切に確保しつつ、固定部材35の取り付けを行うことができる。そして、第2取付具32が第2受け具22の上に載置された状態において、第2受け具22の前端22fが、洗面鏡16よりも後方に位置することにより、第2受け具22を使用者などに視認し難くすることができ、高い意匠性を得ることができる。従って、洗面鏡16を適切に固定可能としつつ、高い意匠性と施工性とを得ることができる洗面鏡16の取付構造を提供することができる。
【0058】
また、鏡装置10では、第2取付具32が第2受け具22の上に載置された状態において、第2受け具22の下端22bが、洗面鏡16の下端16bよりも上方に位置することにより、第2受け具22を使用者などに、より視認し難くすることができ、より高い意匠性を得ることができる。また、第2受け具22に下方から取り付けられる固定部材35などの視認も、より適切に抑制することができる。
【0059】
また、鏡装置10では、第1受け具21及び第1取付具31の一方の左右方向の幅を、他方の左右方向の幅よりも広くすることにより、鏡本体12の前倒れを左右方向の広い範囲で規制することができる。このため、鏡本体12を取付面WSに仮固定する際に、第1受け具21と第1取付具31との左右方向の位置調整を容易にすることができ、施工性をより向上させることができる。
【0060】
また、鏡装置10では、第1受け具21が、上方に開口し、第1取付具31が、第1受け具21に対して上方から係合する。これにより、鏡本体12を取付面WSに対して上方から取り付けることができ、施工性をより向上させることができる。
【0061】
また、鏡装置10では、第2取付具32が第2受け具22の上に載置された状態において、第1取付具31と第1受け具21との間に、上下方向の隙間GPが設けられる。これにより、第1取付具31が第1受け具21と当接し、第2受け具22と第2取付具32との間に隙間が生じしまうことを抑制することができる。従って、より適切に洗面鏡16を固定することができる。また、第1取付具31と第1受け具21との間に隙間GPを設けることにより、第1取付具31と第1受け具21との間の摩擦抵抗を小さくすることができる。例えば、第2取付具32を第2受け具22の上に載置した後に、鏡本体12の左右方向の位置調整などをし易くすることができる。さらには、第1取付具31と第1受け具21との間に隙間GPを設けることにより、例えば、第1受け具21及び第1取付具31の少なくとも一方を複数設けた場合に、複数の部材の高さ方向の位置の誤差を、隙間GPによって吸収することができる。
【0062】
図6は、実施形態に係る鏡装置の変形例を模式的に表す断面図である。
なお、上記実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
図6に表したように、第2取付具32の底面が、枠体14(側板40)の下端と略面一になるように、第2取付具32を枠体14に取り付けてもよい。第2受け具22の下端22bは、洗面鏡16の下端16bよりも僅かに下方に位置してもよい。第2受け具22の下端22bは、枠体14の下端よりも僅かに下方に位置してもよい。例えば、板状の第2受け具22の厚さ程度は、下端22bを洗面鏡16の下端16bよりも下方に位置させてもよい。
【0063】
このような場合にも、第2取付具32が第2受け具22の上に載置された状態において、第2受け具22の前端22fを、洗面鏡16よりも後方に位置させることにより、第2受け具22や固定部材35などを使用者などに視認し難くすることができる。鏡装置10において、高い意匠性を得ることができる。
【0064】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、洗面化粧台2、鏡装置10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0065】
2 洗面化粧台、 3 支持台、 4 洗面器、 5 水栓装置、 10 鏡装置、 12 鏡本体、 14 枠体、 16 洗面鏡、 21 第1受け具、 22 第2受け具、 31 第1取付具、 32 第2取付具、 35 固定部材、 40 側板、 42、43 補強材、 44、45 鏡支持部、 50 照明部、 52 反射板、 54 カバー、 56 スイッチ部