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特開2024-15700プロセス提案システム、及びプロセス提案方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015700
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】プロセス提案システム、及びプロセス提案方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0631 20230101AFI20240130BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117940
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小林 一成
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA09
(57)【要約】
【課題】プロジェクトの進捗状況の変化に応じた適切なプロセスを再提案する。
【解決手段】プロセス提案システムであって、プログラムを実行する演算装置と、前記演算装置がアクセス可能な記憶装置を備え、前記演算部は、プロジェクトに関するデータに基づいて、プロジェクトの遂行において実行すべき業務プロセスの選択及び選択された業務プロセスの実行順序を提案する第1ステップと、プロジェクトの進捗状況を含むプロジェクト情報を取得する第2ステップと、前記取得したプロジェクト情報に基づいて、前記提案された業務プロセスの選択及び実行順序について、再提案を行う第3ステップと、を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス提案システムであって、
プログラムを実行する演算部と、前記演算部がアクセス可能な記憶装置を備え、
前記演算部は、
プロジェクトに関するデータに基づいて、プロジェクトの遂行において実行すべき業務プロセスの選択及び選択された業務プロセスの実行順序を提案する第1ステップと、
プロジェクトの進捗状況を含むプロジェクト情報を取得する第2ステップと、
前記取得したプロジェクト情報に基づいて、前記提案された業務プロセスの選択及び実行順序について、再提案を行う第3ステップと、
を実行することを特徴とするプロセス提案システム。
【請求項2】
請求項1のプロセス提案システムであって、
前記演算部は、ユーザが入力したプロジェクト番号に基づいてプロジェクト管理ツールから前記プロジェクト情報を取得することを特徴とするプロセス提案システム。
【請求項3】
請求項2のプロセス提案システムであって、
前記プロジェクト情報は、プロジェクトを構成するタスクの計画を表すプロジェクト計画を含むことを特徴とするプロセス提案システム。
【請求項4】
請求項1のプロセス提案システムであって、
前記演算部は、前記プロジェクトにおいて作成された成果物に応じた提案すべきテンプレートを含む成果物の完了状況をプロジェクト管理ツールから取得することを特徴とするプロセス提案システム。
【請求項5】
請求項1のプロセス提案システムであって、
前記演算部は、納期未達、残業超過、及び特定エンジニアにおけるタスクの集中の少なくとも一つを含む再提案における警告を生成することを特徴とするプロセス提案システム。
【請求項6】
請求項1のプロセス提案システムであって、
前記第3ステップにおいて、前記演算部は、プロジェクトの作業計画が更新された場合、前記更新された作業計画に基づいて、前記第1ステップにおいて提案された業務プロセスの選択及び実行順序について再提案を行うことを特徴とするプロセス提案システム。
【請求項7】
請求項6のプロセス提案システムであって、
前記プロセスの選択及び実行順序の再提案は、提案されるテンプレートの表示を含むことを特徴とするプロセス提案システム。
【請求項8】
請求項1のプロセス提案システムであって、
前記プロセスの選択及び実行順序の再提案は、プロセス実行順序の変更を含むことを特徴とするプロセス提案システム。
【請求項9】
請求項8のプロセス提案システムであって、
前記プロセスの選択及び実行順序の再提案は、提案されるテンプレートへのリンクの情報を含むことを特徴とするプロセス提案システム。
【請求項10】
請求項8のプロセス提案システムであって、
前記プロセスの選択及び実行順序の再提案は、提案されるタスクの納期予定日を含むことを特徴とするプロセス提案システム。
【請求項11】
プロセス提案システムが実行するプロセス提案方法であって、
前記プロセス提案システムは、プログラムを実行する演算装置と、前記演算装置がアクセス可能な記憶装置を備え、
前記プロセス提案方法は、
前記演算装置が、プロジェクトに関するデータに基づいて、プロジェクトの遂行において実行すべき業務プロセスの選択及び選択された業務プロセスの実行順序を提案する第1ステップと、
前記演算装置が、プロジェクトの進捗状況を含むプロジェクト情報を取得する第2ステップと、
前記演算装置が、前記プロジェクト情報に基づいて、前記提案された業務プロセスの選択及び実行順序について、再提案を行う第3ステップと、
を含むことを特徴とするプロセス提案方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトウェアのテーラリングによってプロセスを提案するプロセス提案システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトウェアの開発プロジェクトにおいて、標準プロセスなどの基準となるプロセスを、当該プロジェクトの特性に適したプロセスに組み替えるテーラリングが行われる。
【0003】
特許文献1には、「テーラリングを行った場合において、プロセス間の入出力の不整合、必要なプロセスが削除されることを防止する」ことを課題とし、その解決手段として「本発明の一態様に係るプロジェクト管理装置は、入力成果物データと、出力成果物データと、入力成果物の状態を定義した事前条件を示す事前条件データと、出力成果物の状態を定義した事後条件を示す事後条件データとを具備するプロセス定義データを記憶するプロセス記憶手段と、事前条件データ、入力成果物データ、事後条件データ、出力成果物データが整合関係にあることを確認するための条件データに基づいて、プロセス定義データが、条件データの検証条件を満たすか否か判断する検証手段と、プロセス定義データ7が検証条件を満たさないと判断された場合に、プロセス定義データのうち検証条件を満たさない部分を出力する出力手段とを具備する」ことが開示されている(特許文献1要約参照)。
【0004】
特許文献2には、「プロセスに関するファイル間の入出力関係についてのテーラリングを可能とする」ことを課題とし、その解決手段として、情報処理装置が、テーラリング指示を受けた際、対象電子ファイルの識別情報をテーラリング情報に照合し、対象電子ファイルと入出力関係がある他電子ファイルを特定し必要度に関して所定値を付与し該所定値を記憶装置に格納する第1処理と、所定値に応じ該当電子ファイルの情報の表示色を段階的に変化させたテーラリング情報を表示する第2処理と、表示したテーラリング情報が示す各電子ファイルのいずれかについて不要との指示を受けた場合、不要な電子ファイルの識別情報をテーラリング情報に照合して、入出力関係がある関連電子ファイルを特定し、該関連電子ファイルに関するテーラリング情報における入出力関係の更新指示を受け付け、この更新指示に応じた第3処理を、実行することが開示されている(特許文献2要約参照)。
【0005】
特許文献3には、「どの様なプロセスで開発作業を行うかを決定することは、経験の浅いマネージャにとって困難なものであった。そのために、組織は標準の開発プロセスを定義し対処している。しかし、この様な開発プロセスは、組織の全プロジェクトに適合するよう形成されており、小さなプロジェクトに対しては過剰なプロセスとなりがちであった」ことを課題とし、その解決手段として、標準開発プロセスのアクティビティー毎のリスクデータと、リスク根拠となる入力データを基に、許容リスクレートを決定するためのリスク演算部と、許容リスクレートを基に、標準開発プロセスを構成する各アクティビティー毎に、プロジェクト管理プロセスに取り込むか否かを決定するテーラリング部を設けることが開示されている(特許文献3要約参照)。
【0006】
特許文献4には、「ソフトウェア開発プロセスのテーラリングなどの工程の変更を支援するための装置において、管理工数の削減や、新規プロセスの承認の手順の簡素化を図ることで、開発現場におけるプロセスの再定義を円滑に行えるようにして、顧客の要望を実現するのに適切な開発プロセスの適用を支援できるようにする」ことを課題とし、その解決手段として、工程を適度な粒度で分割し、その分割した範囲のプロセスパタンを複数記憶するパタン記憶部と、工程のための特性情報を入力として、パタン記憶部から適切なプロセスパタンを選択する複数のパタン選択部と、それぞれのパタン選択部によって選択されたパタンを組み合わせて1つのプロセスを生成するプロセス生成部と、生成されたプロセスとプロセスに関する規則情報とを比較して、規則に合致しているか否かを判定する規則合致判定部とを備えることが開示されている(特許文献4要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008-33815号公報
【特許文献2】特開2013-145462号公報
【特許文献3】特開2003-296528号公報
【特許文献4】特開2006-65521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
テーラリングしたプロセスが、その後のプロジェクト状況の変化によって、優先すべきプロセスを再構成できないままプロジェクトが進行することがあり、プロジェクトの効率が低下することがある。
【0009】
前述した背景技術では、プロジェクト発足後に、当該プロジェクトのプロセスを再検討や再構築することが無かったため、プロジェクト発足後の要因によって状況が変化した場合でも、その要因が考慮されずに、プロジェクト活動の効率が低下することがあった。このため、プロセスを再構成によってプロジェクトの効率の向上が求められる。
【0010】
本発明は、プロジェクトの進捗状況の入力データに応じて、進捗状況の変化に応じた適切なプロセスを再提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、プロセス提案システムであって、プログラムを実行する演算装置と、前記演算装置がアクセス可能な記憶装置を備え、前記演算部は、プロジェクトに関するデータに基づいて、プロジェクトの遂行において実行すべき業務プロセスの選択及び選択された業務プロセスの実行順序を提案する第1ステップと、プロジェクトの進捗状況を含むプロジェクト情報を取得する第2ステップと、前記取得したプロジェクト情報に基づいて、前記提案された業務プロセスの選択及び実行順序について、再提案を行う第3ステップと、を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、プロジェクトを効率的に進行できる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施例を実現するシステム構成の一例を示す図である。
図2】出力データである提案プロセスデータの表示例を示す図である。
図3】本実施例のシステムが実行する処理のフローチャートである。
図4】ステップS208のプロセスカスタマイズ・プロジェクト監視処理のフローチャートである。
図5】モニタに表示される画面の例を示す図である。
図6】ステップS304のプロジェクト状況監視処理のフローチャートである。
図7】プロジェクト情報の内容を示す図である。
図8】テーラリングインプット情報の内容を示す図である。
図9】プロジェクト現況データの内容を示す図である。
図10】再提案プロセスデータを示す図である。
図11】再提案プロセスデータを示す図である。
図12】再提案プロセスデータを示す図である。
図13】再提案プロセスデータを示す図である。
図14】警告表示で表示可能な種類(警告フラグの種類)を示す図である。
図15】ステップS404の計画の変更要因判定処理のフローチャートである。
図16】優先度が「実装優先」の場合の、再提案プロセスデータの内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付された図面を参照し、本発明の実施例を詳述する。
【0015】
[実施例1]
図1は、本実施例を実現するシステム構成の一例を示す図である。
【0016】
本実施例のシステムでは、ネットワークを介して操作端末と接続されるクラウド上に本発明のソフトウェアが実装されている。このソフトウェアを操作端末で使用して、システムを使用する。
【0017】
本実施例において、プロセス提案システム101は、入力部104、プロジェクト情報検索部105、情報蓄積部106、演算部107、プロセス定義部108、及び出力部109、メモリ(図示省略)を有する計算機によって構成される。演算部107は、メモリに格納されたプログラムを実行する演算装置である。演算部107が、各種プログラムを実行することによって、プロセス提案システム101が提供する機能が実現される。なお、演算部107はプログラムを実行するプロセッサの他、ハードウェアの演算装置(例えば、ASIC、FPGA等)を有してもよい。メモリは、不揮発性の記憶素子であるROM及び揮発性の記憶デバイスであるRAMを含む。ROMは、不変のプログラム(例えば、BIOS)などを格納する。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶デバイスであり、演算部107が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを一時的に格納する。情報蓄積部106は、例えば、磁気記憶装置等の大容量かつ不揮発性の補助記憶装置であり、演算部107が実行するプログラム及びプログラムの実行時に演算部107が使用するデータを格納する。
【0018】
演算部107が実行するプログラムは、リムーバブルメディア(CD-ROM、フラッシュメモリなど)又はネットワークを介してプロセス提案システム101に提供され、非一時的記憶媒体である不揮発性の補助記憶装置に格納される。このため、プロセス提案システム101は、リムーバブルメディアからデータを読み込むインターフェースを有するとよい。
【0019】
プロセス提案システム101は、物理的に一つの計算機上で、又は、論理的又は物理的に構成された1又は複数の計算機上で構成される計算機システムであり、複数の物理的計算機資源上に構築された仮想計算機上で動作してもよい。例えば、演算部107が実行する各処理は、別個の物理的又は論理的計算機上で動作するものでも、複数が組み合わされて一つの物理的又は論理的計算機上で動作するものでもよい。
【0020】
ユーザ102が、入力ツール103を操作することで、テーラリングに必要な情報が入力部104に入力される。プロジェクト情報501やプロジェクト現況データ507をプロジェクト管理ツール111から取得した後、入力部104に入力された情報は、プロジェクト情報検索部105、情報蓄積部106、演算部107、プロセス定義部108で処理され、提案するテーラリングが出力部109から出力され、モニタ110に表示される。
【0021】
図2は、出力データである提案プロセスデータ504の表示例を示す図である。
【0022】
提案プロセスデータ504は、入力情報、プロセスワークフロー、及びプロセス実行に必要な定義書/手順書/テンプレートを含み、これらの情報がモニタ110に表示される。
【0023】
図3は、本実施例のシステムが実行する処理のフローチャートである。図3に示す処理は、プロジェクト発足時にユーザの入力によって開始し、プロジェクトが終了するまで継続する。
【0024】
S201:入力部104が、ユーザ102が入力ツール103にて入力した入力プロジェクト番号510を受け取る。
【0025】
S202:プロジェクト情報検索部105が、入力プロジェクト番号510を用いてプロジェクト管理ツール111のプロジェクト情報501にあるプロジェクト番号509との整合を検索して、二つのプロジェクト番号が同じデータを入力データとして取得する。なお、入力部104には、プロジェクト管理ツール111で管理されていない入力データも入力できる。
【0026】
S203:情報蓄積部106が、取得したプロジェクト情報501を格納する。
【0027】
S204:入力部104が、ユーザ102が入力ツール103に入力したテーラリングインプット情報502を受ける。
【0028】
S205:情報蓄積部106が、入力されたテーラリングインプット情報502を格納する。
【0029】
S206:プロセス定義部108と演算部107が、テーラリングインプット情報502の優先事項の項目(品質優先/実装優先/テスト優先/日程優先)と、提案プロセスデータ504の優先度の項目(品質優先/実装優先/テスト優先/日程優先)を検索する。検索結果が一致しており、提案プロセスデータ504の優先度の項目に○印が付いているプロセス定義データ504のプロセス及び、定義書・手順書・テンプレート(作業成果物)に絞り込み、それを提案プロセスデータ504として抽出する。
【0030】
S207:出力部109が、抽出された提案プロセスデータ504を提案プロセスとして出力する。
【0031】
S208:その後、ユーザ102に提案プロセスデータ504をプロセスカスタマイズするかどうか判断させるため、プロジェクトの状況を監視するプロセスカスタマイズ・プロジェクト監視処理(図4)へ進む。
【0032】
図4は、ステップS208のプロセスカスタマイズ・プロジェクト監視処理のフローチャートである。
【0033】
S301:入力部104が、提案プロセスデータ504を変更するかどうかをユーザ102に確認する。変更する場合は、S302へ進む。変更しない場合は、S303へ進む。
【0034】
S302:入力部104が、ユーザ102が入力ツール103に入力したカスタマイズプロセスデータ505を受け取る。
【0035】
S303:情報蓄積部106は、S301でユーザ102が提案プロセスデータ504を変更しない場合は、提案プロセスデータ504を、提案(カスタマイズ済み)プロセスデータ506とする。一方、S301でユーザ102が提案プロプロセスデータ504を変更した場合は、S302で入力されたカスタマイズデータ505を、提案(カスタマイズ済み)プロセスデータ506とする。
【0036】
S304:プロジェクト状況監視処理(図6)を実行する。
【0037】
S305:演算部107は、プロジェクト現況データ507の、プロジェクトの作業計画状況にある各タスク情報のステータスが完了となっているかどうかで、プロジェクトが終了かを判定する。プロジェクトが継続している場合は、S306へ進む。プロジェクトが終了している場合は、プロセスカスタマイズ・プロジェクト監視処理を終了する。
【0038】
S306:S304のプロジェクト状況監視処理で制御される警告フラグの状態を確認する。警告フラグがONの場合は、S307へ進む。警告フラグがOFFの場合は、S304へ進む。
【0039】
S307:出力部109は、警告データ・再提案プロセスデータ508を表示する。
【0040】
図5は、出力部109から出力され、モニタ110に表示される画面の例を示す図である。
【0041】
図5に示す表示画面は、プロジェクトが現在不具合修正中に、修正作業が予定より遅延した状況でS304のプロジェクト状況監視処理を実行した際に出力される画面である。
【0042】
図5に示す表示画面は、年月日、警告表示、及び提案プロセスを含む。警告表示として、プロジェクトが遅延していることが表示される。提案プロセスとして、チケット名、提案プロセスの内容、識別情報、テンプレート、ステータス、納期予定日、見直し結果(作業優先度)を含む。図5に示す表示画面によって提案される新しいテンプレートによって、プロセス実行順序の変更を提案する。テンプレートの項目には、名称が表示されるテンプレート(設計書、ソースコード、仕様書、テスト結果など)へのリンクが設定されており、名称を選択すると、当該資料にアクセスできる。納期予定日は、提案するテンプレートを用いてプロセスを実施した時に当該プロセスが完了する予定日である。
【0043】
図6は、ステップS304のプロジェクト状況監視処理のフローチャートである。
【0044】
S401:プロジェクト情報検索部105は、プロジェクト番号509をキーにしてプロジェクト現況データ507を検索する。
【0045】
S402:情報蓄積部106は、プロジェクト情報検索部105からプロジェクト現況データ507を受け取って、格納する。
【0046】
S403:情報蓄積部106は、プロジェクト現況データとS303で抽出された提案(カスタマイズ済み)プロセスデータ506を、演算部107に渡す。
【0047】
S404:プロセス定義部108と演算部107は、プロジェクト現況データ507と、提案(カスタマイズ済み)プロセスデータ506から、警告データ・再提案プロセスデータ508を抽出する。演算部107は、プロジェクト現況データ507の納期予定日や実施工数、担当者から、計画の変更要因があるか判定する。計画の変更要因は、プロジェクトの納期未達、残業超過、特定エンジニアにおけるタスクの集中のいずれかがあり、これらが所定の閾値を超えると計画の変更要因があると判定する。なお、警告データ・再提案プロセスデータ508を用いると、プロジェクトメンバー数の変化に応じたプロセスの再提案や、使用可能な端末数の変化に応じたプロセスの再提案、さらには、コストの変化や所定の期間(例えば月)毎にかけられるコストに応じたプロセスの再提案も可能となる。また、再提案するプロセスに期限情報を設けることで、各ステップ毎の期限管理を可能としてもよい。その場合、期限情報には、日程の他に、成果物の進捗完成度や、顧客から指定された目標値、実施が必要なテスト項目などの情報を設定可能とするとよい。プロジェクトの成果物は、プロジェクト現況データ507や、処理が完了しているタスクのテンプレートである。期限情報は、プロジェクト現況データ507とともに、演算部107からプロジェクト管理ツール111へ格納される。
【0048】
図15は、ステップS404の計画の変更要因判定処理のフローチャートである。図15では、警告データ・再提案プロセスデータ508を抽出する処理(計画の変更要因判定処理)を、計画の変更要因が納期未達だった場合の例で説明する。
【0049】
S501:演算部107は、プロジェクト現況データから、プロジェクトの作業計画状況(開発期限、開発人員数、予定総工数、各タスク情報、プロジェクトを構成するタスクのプロセス種別、作業開始日、納期予定日、ステータス、完了テンプレート、担当者、予定工数、実施工数)を取得する。
【0050】
S502:演算部107は、計画変更要因を、「各タスク情報」から、納期未達か、残業超過か、特定エンジニアにおけるタスクの集中のいずれであるかを判定する。全てのタスクの納期予定日と現在日を比較し、納期予定日が超過しているタスクがある場合、納期未達と判定する。また、プロジェクト現況データ507から1日当たりの作業時間(実施工数÷(現在日-作業開始日))が所定の時間を超えている場合は、残業超過と判定する。また、プロジェクト現況データ507の「各タスク情報」は、開発期間中に実施する作業の数だけ各タスク情報があり(例えば、10個の作業があれば、10個の各タスク情報がある)、その各タスクが同じ担当者に集中している場合は、特定エンジニアにおけるタスクの集中と判定する。
【0051】
S503:納期未達と判定した場合、再提案データの「実装優先」のプロセス及び定義書・手順書・テンプレート(作業成果物)と、納期未達のタスク情報(プロセス種別及び完了テンプレート)を突き合せることで、未実施のプロセス及び定義書・手順書・テンプレート(作業成果物)を洗い出し、再提案データの優先度の「実装優先」で示すプロセス及び、定義書・手順書・テンプレート(作業成果物)を優先して実施するよう再提案する。実装優先以外の未実施プロセス及び、定義書・手順書・テンプレート(作業成果物)については、後工程で実施することも再提案する。
【0052】
図16は、図15で再提案した場合の、再提案プロセスデータの内容を示す図である。再提案プロセスデータは、プロセスの識別情報及び名称と、定義書・手順書・テンプレート(作業成果物)の識別情報及び種別と、実装優先の優先度が設定されているかを含む。実装優先の優先度が設定されている(図で○印)の定義書・手順書・テンプレート(作業成果物)が再提案プロセスデータである該当する。
【0053】
図6に戻って説明を続ける。S405:計画の変更要因がある場合は、S406へ進む。計画の変更要因がない場合は、S407へ進む。
【0054】
S406:警告フラグをONに設定する。
【0055】
S407:警告フラグをOFFに設定する。
【0056】
図7は、ユーザが入力する入力プロジェクト番号510と、プロジェクト情報501の内容を示す図である。プロジェクト情報501は、プロジェクト管理ツールに格納されているプロジェクト情報で、プロジェクトの日程や実施プロセス及び定義書・手順書・テンプレート(作業成果物)の状況を確認する際に使用される。プロジェクト情報501は、プロジェクト番号509、プロジェクト計画、及び進捗状況(実施プロセス)を含む。
【0057】
図8は、テーラリングインプット情報502の内容を示す図である。テーラリングインプット情報502は、対応基準/規格と、実施工程と、外部委託先と、作業工数/期間と、新規性と、緊急度と、開発フェーズと、設計手法と、優先事項を含む。対応基準/規格は、A-SPICE能力レベルと、機能安全と、サイバーセキュリティを含む。テーラリングインプット情報502は、ユーザ102の入力ツール103の操作によって入力されるデータであり、本システムがテーラリングを提案するために必要な情報である。
【0058】
図9は、プロジェクト現況データ507の内容を示す図である。プロジェクト現況データ507は、プロジェクト番号509と、プロジェクトの作業計画状況と実施中のプロセスの名称と、プロジェクトの期限情報を含む。プロジェクトの作業計画状況は、プロジェクトの開発期間と、プロジェクトの開発人員数、プロジェクトの予定総工数と、プロジェクトのタスク情報を含む。プロジェクトのタスク情報は、プロセス種別(MAN/ACQ/SUP/SWE)と、作業開始日と、納期予定日と、ステータス(未実施/実施中/完了)と、完了テンプレート(作業成果物)と、担当者と、予定工数と、実施工数を含む。期限情報は、日程と、成果物の進捗完成度と、顧客から指定された目標値と、実施しなければいけないテスト項目を含む。プロジェクト現況データ507は、プロジェクト状況を監視して、本システムがテーラリングを再提案する際に必要なデータとなる。
【0059】
図10から図13は、プロセス定義データ503、提案プロセスデータ504及び、警告データ・再提案プロセスデータ508のうちの、再提案プロセスデータを示す図である。各図において、横軸の項目は全て共通となっており、縦軸には、2~4個のプロセスが選択されている。ユーザ102が入力ツール103を操作して優先度(品質優先/実装優先/テスト優先/日程優先)を選択することで、プロセス及び、定義書・手順書・テンプレート(作業成果物)を絞り込み、その結果をユーザ102へ提案(又は再提案)する。
【0060】
なお、再提案プロセスデータには、図10から図13で示したプロセスやテンプレート(作業成果物)のほかに、顧客から入手した仕様書やシステム/ハードウェアに関連する入力資料など、開発に関係する資料を含めてもよい。
【0061】
図14は、警告表示で表示可能な種類(警告フラグの種類)を示す図である。警告フラグは、納期未達、残業超過、特定エンジニアにおけるタスクの集中などがあり、種別毎にON、OFFが設定される。
【0062】
以上に説明したように、本実施例のプロセス提案システム101は、プロジェクトに関するデータであるプロジェクト情報に基づいて、プロジェクトの遂行において実行すべき業務プロセスの選択及び選択された業務プロセスの実行順序を提案する第1ステップと、プロジェクトの進捗状況に関するデータであるプロジェクト情報501を取得する第2ステップ(S202)と、取得したプロジェクト情報501に基づいて、前記提案された業務プロセスの選択及び実行順序について、再提案を行う第3ステップ(S206、S207)とを実行するので、プロジェクト状況の変化に応じて、優先すべきプロセスを再構成することでプロジェクトを効率的に進行できる。
【0063】
また、プロセス提案システム101は、ユーザが入力したプロジェクト番号に基づいてプロジェクト管理ツールからプロジェクト情報501を取得する(S201、S202)ので、プロジェクトのデータをユーザが入力せずに、システムが入力するため、ユーザの利便性を向上できる。
【0064】
また、プロセス提案システム101は、プロジェクト情報501は、プロジェクトを構成するタスクの計画を表すプロジェクト計画を含むので、プロジェクト管理ツールから取得したタスクの計画によって、タスクの進捗状況を確認でき、当初の計画とプロジェクト全体の進捗状況を把握できる。
【0065】
また、プロセス提案システム101は、プロジェクトにおいて作成された成果物に応じた提案すべきテンプレートを含む成果物の完了状況をプロジェクト管理ツール111から取得するので、成果物である定義書を参照して、次のテンプレートが分かり、提案すべきテンプレートが分かる。
【0066】
また、プロセス提案システム101は、納期未達、残業超過、及び特定エンジニアにおけるタスクの集中の少なくとも一つを含む再提案における警告を生成するので、ユーザ(プロジェクト責任者)に対して注意を喚起できる。
【0067】
また、プロセス提案システム101は、プロジェクトの作業計画が更新された場合、前記更新された作業計画に基づいて、第1ステップにおいて提案された業務プロセスの選択及び実行順序について再提案を行うので、顧客要求の変化による現況データの変化を把握し、プロジェクト開始後に変化する顧客要求に応じてプロセスを再提案できる。
【0068】
また、プロセス提案システム101は、提案されるテンプレートの表示を含むプロセスの再提案を行うので、プロジェクト毎に異なる定義書の変化を表示することで、エンジニアがスケジュール変更提案に対して手順を変えるなど、利便性を向上できる。
【0069】
また、プロセス提案システム101は、プロセス実行順序の変更を含むプロセスの再提案を行うので、プロジェクト遂行を最適化できる。例えば、再提案プロセスとして作業のワークフローを表示してもよい。
【0070】
また、プロセス提案システム101は、提案されるテンプレートへのリンクの情報を含むプロセスの再提案を行うので、作業のワークフローの再提案に伴う定義書、手順書、使用するテンプレート等をセットで提示でき、エンジニアの利便性を向上できる。
【0071】
また、プロセス提案システム101は、提案されるタスクの納期予定日を含むプロセスの再提案を行うので、再提案されたワークフローの各ステップにおける期限管理が可能となる。
【0072】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
【0073】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0074】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
【0075】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0076】
101・・・プロセス提案システム全体構成
102・・・ユーザ
103・・・入力ツール
104・・・入力部
105・・・プロジェクト情報検索部
106・・・情報蓄積部
107・・・演算部
108・・・プロセス定義部
109・・・出力部
110・・・モニタ
111・・・プロジェクト管理ツール
501・・・プロジェクト情報
502・・・テーラリングインプット情報
503・・・プロセス定義データ
504・・・提案プロセスデータ
505・・・カスタマイズプロセスデータ
506・・・提案(カスタマイズ済み)プロセスデータ
507・・・プロジェクト現況データ
508・・・警告データ・再提案プロセスデータ
509・・・プロジェクト番号
510・・・入力プロジェクト番号
図1
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