(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157000
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】片面式高速MRI勾配磁場コイルおよびその応用
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20241029BHJP
【FI】
A61B5/055 340
【審査請求】有
【請求項の数】31
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024135597
(22)【出願日】2024-08-15
(62)【分割の表示】P 2022124587の分割
【原出願日】2020-03-25
(31)【優先権主張番号】62/823,521
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521355832
【氏名又は名称】プロマクソ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】ナセブ、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】マリク、プルキット
(57)【要約】 (修正有)
【課題】片面式磁気共鳴撮像システムのための片面式勾配コイルセットを提供する。
【解決手段】コイルセットは、磁場を外向きにコイルセットから離して発生させるように構成される。コイルセットは、開口に対して第1の位置にある1つ以上の第1の螺旋コイルと、開口に対して第2の位置にある1つ以上の第2の螺旋コイルとを含む。コイルセットは、1つ以上の第1の螺旋コイルおよび1つ以上の第2の螺旋コイルに電流を流すことにより、コイルセットから離れた磁気撮像システムの撮像領域内に投射されるように構成された電磁場勾配を発生させるように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気撮像装置であって、
電流を供給する電源と、
前記電源に接続された片面式勾配コイルセットであって、前記コイルセットから離れた前記磁気撮像装置の撮像領域内に投射される立上り時間が約10μs未満の電磁場勾配を発生させるように構成された片面式勾配コイルセットと
を備えた磁気撮像装置。
【請求項2】
前記コイルセットが、
開口と、
前記開口に対して第1の位置にある1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記開口に対して第2の位置にある1つ以上の第2の螺旋コイルであって、前記第1の位置が前記開口に対して前記第2の位置の反対側にある、第1の螺旋コイルおよび第2の螺旋コイルと
をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コイルセットが非平面状であり、前記撮像領域を部分的に包囲するように配向される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルが前記開口に対して非平面状であり、前記開口を挟んで互いに鏡像をなす、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記電磁場勾配が前記撮像領域で実質的に一様である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記電磁場勾配が約5mTよりも大きい、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記1つ以上の第1の螺旋コイルが、少なくとも2つの相異なる直径を有する少なくとも2つの第1の螺旋コイルを備える、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記1つ以上の第2の螺旋コイルが、少なくとも2つの相異なる直径を有する少なくとも2つの第2の螺旋コイルを備える、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記電流が、前記1つ以上の第1の螺旋コイルを互い違いの方向に流れるように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項10】
前記電流が、前記1つ以上の第2の螺旋コイルを互い違いの方向に流れることにより、前記電磁場勾配の立上り時間を最小化するように構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうちの第1の一次螺旋コイルが、大きな第1の一次電磁場勾配を生成するように構成され、前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうちの第1の二次螺旋コイルが、小さな第1の二次電磁場勾配を生成して前記大きな第1の一次電磁場勾配を調節するように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項12】
前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうちの第2の一次螺旋コイルが、大きな第2の一次電磁場勾配を生成し、前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうちの第2の二次螺旋コイルが、小さな第2の二次電磁場勾配を生成して前記大きな第2の一次電磁場勾配を調節するように構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうちの第1の一次螺旋コイルおよび前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうち前記第1の一次螺旋コイルと隣り合う第1の二次螺旋コイルには、前記電流が相反する方向に流れる、請求項2に記載の装置。
【請求項14】
前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうちの第2の一次螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうち前記第2の一次螺旋コイルと隣り合う第2の二次螺旋コイルには、前記電流が相反する方向に流れる、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうちの第1の一次螺旋コイルおよび前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうち前記第1の一次螺旋コイルと隣り合う第1の二次螺旋コイルがそれぞれのコイルの最大50%まで重畳することによって、より平行な第1の電磁場勾配を発生させる、請求項2に記載の装置。
【請求項16】
前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうちの第2の一次螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうち前記第2の一次螺旋コイルと隣り合う第2の二次螺旋コイルがそれぞれのコイルの最大50%まで重畳することによって、より平行な第2の電磁場勾配を発生させる、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルが接続されて単一の電流ループを形成する、請求項2に記載の装置。
【請求項18】
前記1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルが相異なる材料を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項19】
前記1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルの直径が約10μm乃至約10mである、請求項2に記載の装置。
【請求項20】
前記コイルセットが、前記電磁場勾配をチューニングするための1つ以上の電子部品をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記1つ以上の電子部品が、PINダイオード、機械式リレー、固体リレー、またはMEMSスイッチのうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
チューニングのために使用される前記1つ以上の電子部品が、誘電体、導電性金属、メタマテリアル、または磁性金属のうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記電磁場勾配をチューニングすることが、前記電流を変化させることまたは前記1つ以上の電子部品の物理的位置を変化させることを含む、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記コイルセットが極低温に冷却されることにより、抵抗が減少し効率が改善されている、請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記コイルセットが、前記開口に対向する開口部をさらに備え、前記開口と前記開口部との間の領域がコイルセット領域を画定し、前記撮像領域が少なくとも部分的に前記コイルセット領域の外側に配置される、請求項2に記載の装置。
【請求項26】
磁気撮像装置を使用する方法であって、
電源を用意することと、
前記電源に接続された片面式勾配コイルセットを用意することと、
前記電源をオンにして前記コイルセットに電流を流すことと、
立上り時間が約10μs未満の電磁場勾配を発生させることと、
前記電磁場勾配を前記コイルセットから離れた前記磁気撮像装置の撮像領域内に投射することと
を含む、磁気撮像装置を使用する方法。
【請求項27】
前記電磁場勾配が約5mTよりも大きい、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記コイルセットが、PINダイオード、機械式リレー、固体リレー、またはMEMSスイッチのうちの1つからの1つ以上の電子部品をさらに備える、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記電流を変化させることによって、または、前記1つ以上の電子部品の物理的特性もしくは位置のうちの1つを変化させることによって、前記電磁場勾配を調節することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記コイルセットが、
開口と、
前記開口に対して第1の位置にある1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記開口に対して第2の位置にある1つ以上の第2の螺旋コイルであって、前記第1の位置が前記開口に対して前記第2の位置の反対側にある、第1の螺旋コイルおよび第2の螺旋コイルと
をさらに備える、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記コイルセットが、前記開口に対向する開口部をさらに備え、前記開口と前記開口部との間の領域がコイルセット領域を画定し、前記撮像領域が少なくとも部分的に前記コイルセット領域の外側に配置される、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
磁気共鳴撮像(MRI)システムは、主として密閉型フォームファクタを活用することに集中してきた。このフォームファクタは、電磁場生成材料および撮像システム部品で撮像領域を包囲することを含む。典型的なMRIシステムは円筒形ボア磁石を含み、そこで患者が撮像のために磁石の管内に配置される。そして、撮像を実行するために、無線周波数(RF)送信(TX)コイル、RF受信(RX)コイル、および電磁勾配発生コイルなどの部品が、患者を効果的に包囲するように患者に対して多くの側に設置される。
【0002】
典型的には、電磁勾配発生コイルは、視野全体にわたり線形で単調な磁場勾配を生成するように大型であり視野(すなわち撮像領域)を完全に包囲する。部品の配置は、ほとんどの現在のMRIシステムにおいて、患者を実質的に包囲して患者の移動を厳しく制限し、撮像領域内に患者が出入りする間の追加的負担を引き起こすことがあり得る。したがって、次世代のMRIシステムにおいて、患者の快適さおよび煩わしい制限に関する上記の問題点をさらに軽減する現代的な撮像構成を提供することが必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本開示の少なくとも1つの態様は磁気撮像装置に関する。装置は、電流を供給する電源と、電源に接続された片面式(single-sided)勾配コイルセットとを含む。さまざまな実施形態によれば、コイルセットが開口を有する。さまざまな実施形態によれば、コイルセットはまた、開口に対して第1の位置にある1つ以上の第1の螺旋コイルと、開口に対して第2の位置にある1つ以上の第2の螺旋コイルとを含む。さまざまな実施形態によれば、第1の位置が開口に対して第2の位置の反対側にある。装置のいくつかの実装形態では、コイルセットが、1つ以上の第1の螺旋コイルおよび1つ以上の第2の螺旋コイルを通して電流を受けて、コイルセットから離れた磁気撮像装置の撮像領域内に投射されるように構成された電磁場勾配を発生させるように構成される。
【0004】
さまざまな実施形態によれば、前記コイルセットが非平面状であり、前記撮像領域を部分的に包囲するように配向される。さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルが前記開口に対して非平面状であり、前記開口を挟んで互いに鏡像をなす。
【0005】
さまざまな実施形態によれば、前記電磁場勾配が前記撮像領域で実質的に一様である。さまざまな実施形態によれば、前記電磁場勾配が約5mTよりも大きい。さまざまな実施形態によれば、前記電磁場勾配の立上り時間が約10μs未満である。
【0006】
さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第1の螺旋コイルが、少なくとも2つの相異なる直径を有する少なくとも2つの第1の螺旋コイルを備える。さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第2の螺旋コイルが、少なくとも2つの相異なる直径を有する少なくとも2つの第2の螺旋コイルを備える。
【0007】
さまざまな実施形態によれば、前記電流が前記1つ以上の第1の螺旋コイルを互い違いの方向に流れることにより、前記電磁場勾配の立上り時間を最小化する。
【0008】
さまざまな実施形態によれば、前記電流が前記1つ以上の第2の螺旋コイルを互い違いの方向に流れることにより、前記電磁場勾配の立上り時間を最小化する。
【0009】
さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうちの第1の一次螺旋コイルが、大きな第1の一次電磁場勾配を生成するように構成され、前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうちの第1の二次螺旋コイルが、小さな第1の二次電磁場勾配を生成して前記大きな第1の一次電磁場勾配を調節するように構成される。さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうちの第2の一次螺旋コイルが、大きな第2の一次電磁場勾配を生成し、前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうちの第2の二次螺旋コイルが、小さな第2の二次電磁場勾配を生成して前記大きな第2の一次電磁場勾配を調節する。
【0010】
さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうちの第1の一次螺旋コイルおよび前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうち前記第1の一次螺旋コイルと隣り合う第1の二次螺旋コイルには、前記電流が相反する方向に流れる。さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうちの第2の一次螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうち前記第2の一次螺旋コイルと隣り合う第2の二次螺旋コイルには、前記電流が相反する方向に流れる。
【0011】
さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうちの第1の一次螺旋コイルおよび前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうち前記第1の一次螺旋コイルと隣り合う第1の二次螺旋コイルがそれぞれのコイルの最大50%まで重畳することによって、より平行な第1の電磁場勾配を発生させる。さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうちの第2の一次螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうち前記第2の一次螺旋コイルと隣り合う第2の二次螺旋コイルがそれぞれのコイルの最大50%まで重畳することによって、より平行な第2の電磁場勾配を発生させる。
【0012】
さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルが接続されて単一の電流ループを形成する。さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルが相異なる材料を含む。
【0013】
さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルの直径が約10μm乃至約10mである。
【0014】
さまざまな実施形態によれば、前記コイルセットが、前記電磁場勾配を調節するための1つ以上の電子部品をさらに備える。さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の電子部品が、少なくとも1つのPINダイオード、機械式リレー、固体リレー、またはMEMSスイッチを含む。さまざまな実施形態によれば、チューニングのために使用される前記1つ以上の電子部品が、導電性金属、メタマテリアル、または磁性金属のうちの少なくとも1つを含む。さまざまな実施形態によれば、前記電磁場勾配をチューニングすることが、前記電流を変化させることまたは前記1つ以上の電子部品の物理的位置を変化させることを含む。
【0015】
さまざまな実施形態によれば、前記コイルセットが極低温に冷却されることにより、抵抗が減少し効率が改善されている。
【0016】
さまざまな実施形態によれば、前記コイルセットが、前記開口に対向する開口部をさらに含み、前記開口と前記開口部との間の領域がコイルセット領域を画定し、前記撮像領域が少なくとも部分的に前記コイルセット領域の外側に配置される。
【0017】
本開示の少なくとも1つの態様は磁気撮像装置を使用する方法に関する。方法は、電源を用意することと、電源に接続された片面式勾配コイルセットを用意することとを含む。さまざまな実施形態によれば、コイルセットは開口を有する。さまざまな実施形態によれば、コイルセットが、開口に対して第1の位置にある1つ以上の第1の螺旋コイルと、開口に対して第2の位置にある1つ以上の第2の螺旋コイルとを備える。さまざまな実施形態によれば、第1の位置が開口に対して第2の位置の反対側にある。
【0018】
さまざまな実施形態によれば、方法は、電源をオンにして1つ以上の第1の螺旋コイルおよび1つ以上の第2の螺旋コイルに電流を流すことにより、コイルセットから離れた磁気撮像装置の撮像領域内に投射される電磁場勾配を発生させることを含む。
【0019】
さまざまな実施形態によれば、前記電磁場勾配が約5mTよりも大きい。さまざまな実施形態によれば、前記電磁場勾配の立上り時間が約10μs未満である。
【0020】
さまざまな実施形態によれば、前記コイルセットが、PINダイオード、機械式リレー、固体リレー、またはMEMSスイッチのうちの1つからの1つ以上の電子部品をさらに備える。さまざまな実施形態によれば、方法は、前記電流を変化させることによって、または、前記1つ以上の電子部品の物理的特性もしくは位置のうちの1つを変化させることによって、前記電磁場勾配をチューニングすることをさらに含む。
【0021】
さまざまな実施形態によれば、前記コイルセットが、前記開口に対向する開口部をさらに備え、前記開口と前記開口部との間の領域がコイルセット領域を画定し、前記撮像領域が少なくとも部分的に前記コイルセット領域の外側に配置される。
【0022】
本開示の少なくとも1つの態様は磁気撮像装置に関する。装置は、電流を供給する電源と、電源に接続された片面式勾配コイルセットとを備え、コイルセットは、コイルセットから離れた磁気撮像装置の撮像領域内に投射される立上り時間が約10μs未満の電磁場勾配を発生させるように構成される。
【0023】
さまざまな実施形態によれば、前記コイルセットが、開口と、前記開口に対して第1の位置にある1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記開口に対して第2の位置にある1つ以上の第2の螺旋コイルとをさらに含み、前記第1の位置が前記開口に対して前記第2の位置の反対側にある。
【0024】
さまざまな実施形態によれば、前記コイルセットが非平面状であり、前記撮像領域を部分的に包囲するように配向される。さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルが前記開口に対して非平面状であり、前記開口を挟んで互いに鏡像をなす。
【0025】
さまざまな実施形態によれば、前記電磁場勾配が前記撮像領域で実質的に一様である。さまざまな実施形態によれば、前記電磁場勾配が約5mTよりも大きい。
【0026】
さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第1の螺旋コイルが、少なくとも2つの相異なる直径を有する少なくとも2つの第1の螺旋コイルを備える。さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第2の螺旋コイルが、少なくとも2つの相異なる直径を有する少なくとも2つの第2の螺旋コイルを備える。
【0027】
装置のいくつかの実装形態では、前記電流が前記1つ以上の第1の螺旋コイルを互い違いの方向に流れることにより、前記電磁場勾配の立上り時間を最小化する。
【0028】
さまざまな実施形態によれば、前記電流が前記1つ以上の第2の螺旋コイルを互い違いの方向に流れることにより、前記電磁場勾配の立上り時間を最小化する。
【0029】
さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうちの第1の一次螺旋コイルが、大きな第1の一次電磁場勾配を生成するように構成され、前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうちの第1の二次螺旋コイルが、小さな第1の二次電磁場勾配を生成して前記大きな第1の一次電磁場勾配を調節するように構成される。さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうちの第2の一次螺旋コイルが、大きな第2の一次電磁場勾配を生成し、前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうちの第2の二次螺旋コイルが、小さな第2の二次電磁場勾配を生成して前記大きな第2の一次電磁場勾配を調節する。
【0030】
さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうちの第1の一次螺旋コイルおよび前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうち前記第1の一次螺旋コイルと隣り合う第1の二次螺旋コイルには、前記電流が相反する方向に流れる。さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうちの第2の一次螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうち前記第2の一次螺旋コイルと隣り合う第2の二次螺旋コイルには、前記電流が相反する方向に流れる。
【0031】
さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうちの第1の一次螺旋コイルおよび前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうち前記第1の一次螺旋コイルと隣り合う第1の二次螺旋コイルがそれぞれのコイルの最大50%まで重畳することによって、より平行な第1の電磁場勾配を発生させる。さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうちの第2の一次螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうち前記第2の一次螺旋コイルと隣り合う第2の二次螺旋コイルがそれぞれのコイルの最大50%まで重畳することによって、より平行な第2の電磁場勾配を発生させる。
【0032】
さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルが接続されて単一の電流ループを形成する。さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルが相異なる材料を含む。
【0033】
さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルの直径が約10μm乃至約10mである。
【0034】
さまざまな実施形態によれば、前記コイルセットが、前記電磁場勾配を調節するための1つ以上の電子部品をさらに備える。さまざまな実施形態によれば、前記1つ以上の電子部品が、少なくとも1つのPINダイオード、機械式リレー、固体リレー、またはMEMSスイッチを含む。さまざまな実施形態によれば、チューニングのために使用される前記1つ以上の電子部品が、導電性金属、メタマテリアル、または磁性金属のうちの少なくとも1つを含む。さまざまな実施形態によれば、前記電磁場勾配をチューニングすることが、前記電流を変化させることまたは前記1つ以上の電子部品の物理的位置を変化させることを含む。
【0035】
さまざまな実施形態によれば、前記コイルセットが極低温に冷却されることにより、抵抗が減少し効率が改善されている。
【0036】
さまざまな実施形態によれば、前記コイルセットが、前記開口に対向する開口部をさらに備え、前記開口と前記開口部との間の領域がコイルセット領域を画定し、前記撮像領域が少なくとも部分的に前記コイルセット領域の外側に配置される。
【0037】
本開示の少なくとも1つの態様は磁気撮像装置を使用する方法に関する。方法は、電源を用意することと、電源に接続された片面式勾配コイルセットを用意することとを含む。方法は、電源をオンにしてコイルセットに電流を流すことを含む。方法は、立上り時間が約10μs未満の電磁場勾配を発生させることを含む。方法は、電磁場勾配をコイルセットから離れた磁気撮像装置の撮像領域内に投射することを含む。
【0038】
さまざまな実施形態によれば、前記電磁場勾配が約5mTよりも大きい。
【0039】
さまざまな実施形態によれば、前記コイルセットが、PINダイオード、機械式リレー、固体リレー、またはMEMSスイッチのうちの1つからの1つ以上の電子部品をさらに備える。さまざまな実施形態によれば、前記電流を変化させることによって、または、前記1つ以上の電子部品の物理的特性もしくは位置のうちの1つを変化させることによって、前記電磁場勾配をチューニングすることをさらに含む。
【0040】
さまざまな実施形態によれば、前記コイルセットが、前記開口に対向する開口部をさらに備え、前記開口と前記開口部との間の領域がコイルセット領域を画定し、前記撮像領域が少なくとも部分的に前記コイルセット領域の外側に配置される。
【0041】
これらおよび他の態様および実装形態が以下に詳細に説明される。上記の情報および下記の詳細な説明は、さまざまな態様および実装形態の説明的な例を含み、特許請求の範囲に記載される態様および実装形態の性質および特徴を理解するための概要または枠組を提供する。図面は、さまざまな態様および実装形態の例示およびさらなる理解を提供し、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
添付の図面は縮尺通りに描かれることを意図していない。さまざまな図面における同様の参照番号および符号は同様の要素を示す。明確さのため、あらゆる部品があらゆる図面でラベル付けされているとは限らない。
【0043】
【
図1】さまざまな実施形態による、磁気撮像装置の実装形態の概略図である。
【0044】
【
図2】さまざまな実施形態による、片面式勾配コイルセットの実装形態の概略図である。
【0045】
【
図3】さまざまな実施形態による、片面式勾配コイルセットの実装形態の概略図である。
【0046】
【
図4】さまざまな実施形態による、片面式勾配コイルセットの実装形態の概略図である。
【0047】
【
図5】さまざまな実施形態による、磁気撮像装置を使用する方法のフローチャートである。
【0048】
【
図6】さまざまな実施形態による、磁気撮像装置を使用する別の方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
MRIシステムのための典型的な電磁勾配コイル構成は大型であり、通常は視野すなわち撮像領域を包囲する。特に、磁気撮像中に空間符号化のための勾配磁場を発生させるために使用されるコイルは一般に大型であり、通常は患者に対して複数の側に配置される。勾配磁場コイルは一般に、円筒形のフォームファクタに成形された、曲がったフィンガープリント構成(curved fingerprint configuration)で構築される。MRI画像の直接的な数学的再構成を作成するために、勾配磁場コイルは、発生する磁場が対象領域すなわち撮像領域にわたって線形となるように設計される。典型的なMRIシステムの場合、コイルが患者を包囲すればするほど、勾配磁場が撮像領域においてより線形になる。したがって、勾配磁場コイルは患者を包含するように特に設計される。しかし、フォームファクタが片面式MRIシステムに現代化され、患者を包囲することがもはや選択肢とはならない場合には、勾配磁場コイルのこのような構成は機能しない。
【0050】
患者の快適さをさらに向上させ、かつ現行のMRIシステムの煩わしい移動制限をさらに減らすするため、片面式MRIシステムが開発されてきた。本明細書に記載される開示は一般に、片面式MRIシステムの磁気撮像装置およびその応用に関する。特に、記載される技術は、片面式MRIシステムで作動するように構成されたいくつかの勾配磁場螺旋コイルを備えた片面式勾配コイルセットを有する磁気撮像装置に関する。本明細書に記載されるように、開示される片面式MRIシステムは、電磁場生成材料および撮像システム部品によって患者が片側でカバーされるが完全には包囲されないように構成可能である。本明細書に記載される構成は、MRIシステムから患者を出し入れする際の不要な負担が削減される一方、患者が動くことへの制限が少ない。換言すれば、片面式勾配コイルセットが患者の片側のみに配置されることで、患者はMRIシステム内に閉じ込められたと感じない。
【0051】
本明細書に開示される技術は、片面式勾配コイルセットの新規な構成とともに、外向きにある距離だけ片面式勾配コイルセットから離れた撮像領域(すなわち対象領域)内に空間的に変化する勾配磁場を発生させる方法を含む。本明細書に開示される片面式勾配コイルセットは、コイルセット自体から離れた所でほぼ線形の磁場を発生させる1つ以上のコイル構成を含む。開示される構成は、片面式MRIシステムにおける撮像のためにコイルがもはや患者を包囲することができないため、コイルセットの間で外向きに投射されるほぼ線形の勾配磁場を発生させることを意図している。換言すれば、勾配コイルセットが片面式MRIシステムで作動するためには、撮像のための勾配磁場をコイルセット自体から離れた所で発生させなければならない。磁場を外向きに片面式勾配コイルセットから離れた所へ投射するために、開示されるコイル構成には、一組の、または組違いの相異なるサイズのコイルが含まれ、それらが配列される。
【0052】
本明細書に記載されるさまざまな実装形態では、片面式勾配コイルセットは、異なる螺旋コイルまたは異なる螺旋コイルセットにおいて互い違いの方向に電流を流すことにより、勾配磁場の立上り時間を最小化して、離れた対象領域内に投射される空間的に変化する磁場を発生させるように構成可能である。本明細書に開示されるさまざまな実装形態では、勾配磁場の線形性は、片面式である勾配磁場システムにとって十分なものである。さらに、本明細書に開示されるコイルセット構成は、迅速に立ち上がることが可能な勾配磁場を発生させることにより、結果として得られる画像のスキャン時間や空間解像度を改善し、生体効果を低減することが意図されている。可能性のある生体効果として、急速に変化する電磁場からの末梢神経刺激または動作中に上昇するコイル温度による加熱が挙げられる。
【0053】
図1は、さまざまな実施形態による、磁気撮像装置100の例示的実装形態の概略図である。
図1に示すように、装置100は、片面式勾配コイルセット120を含み、これは勾配磁場を外向きにコイルセット120から離れた視野130内に投射するように構成される。さまざまな実施形態によれば、視野130は、患者が所在する磁気共鳴撮像のための対象領域(すなわち、撮像領域)である。患者はコイルセット120から離れた視野130に所在するので、装置100は片面式MRIシステムにおける使用に適している。
【0054】
図に示すように、コイルセット120は、多様な大きさの多様なセットの螺旋コイル140a、140b、140c、および140d(まとめて「螺旋コイル140」という)を含む。螺旋コイル140の各セットは少なくとも1つの螺旋コイルを含み、
図1では3個の螺旋コイルを含むように示されている。さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル140における各螺旋コイルは、その中心における電気接点および螺旋コイルの外縁上の電気接点出力を有することで、中心から外縁に、またはその逆に螺旋を巻く電気伝導性材料の単一連続ループを形成する。さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル140における各螺旋コイルは、螺旋コイルの第1の位置にある第1の電気接点および螺旋コイルの第2の位置にある第2の電気接点を有することで、第1の位置から第2の位置に、またはその逆に電気伝導性材料の単一連続ループを形成する。
【0055】
さまざまな実施形態によれば、コイルセット120の横方向寸法は、約0.001mm乃至約15mである。さまざまな実装形態では、コイルセット120の横方向寸法は、約0.001m乃至約10m、約0.01m乃至約8m、約0.03m乃至約6m、約0.05m乃至約5m、約0.1m乃至約3m、約0.2m乃至約2m、約0.3m乃至約1.5m、約0.5m乃至約1m、または約0.01m乃至約3mである(数値間の任意の横方向寸法を含む)。
【0056】
図1に示すように、コイルセット120はその中心に開口125をも含み、螺旋コイル140が開口125の周りに配置される。開口125自体は、その内部に磁性材料となるいかなるコイル材料も含まない。コイルセット120は、コイルセット120の外縁上に開口部127をも含み、そこに螺旋コイル140が配置され得る。別の言い方をすれば、開口125および開口部127は、内部に螺旋コイル140が配置され得るコイルセット120の境界を画定する。さまざまな実施形態によれば、コイルセット120は中心に穴を有するボウル形状を形成する。
【0057】
さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル140は開口125の両側に形成される。例えば、螺旋コイル140aは開口125に対して螺旋コイル140cの反対側に配置される。同様に、螺旋コイル140bは開口125に対して螺旋コイル140dの反対側に配置される。さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル140aおよび螺旋コイル140cは互いの反対側に形成される。さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル140bおよび螺旋コイル140dは互いの反対側に形成される。さまざまな実施形態によれば、
図1に示すコイルセット120内の螺旋コイル140は、視野130内の勾配磁場に空間的符号化を生成するように構成される。
【0058】
図1に示すように、コイルセット120は、電気接点152および154を螺旋コイル140のうちの1つ以上に取り付けることによって、電気接点152および154を介して電源150にも接続される。さまざまな実装形態では、電気接点152は螺旋コイル140のうちの1つに接続され、次いでその螺旋コイル140は直列および/または並列に他の螺旋コイル140に接続され、次いで他の1つの螺旋コイル140が電気接点154に接続されることで電流ループを形成する。さまざまな実装形態では、螺旋コイル140はすべて電気的に直列接続される。さまざまな実装形態では、螺旋コイル140はすべて電気的に並列接続される。さまざまな実装形態では、螺旋コイル140のうちのいくつかは電気的に直列接続される一方で、他の螺旋コイル140は電気的に並列接続される。さまざまな実装形態では、螺旋コイル140aは電気的に直列接続される一方で、螺旋コイル140bは電気的に並列接続される。さまざまな実装形態では、螺旋コイル140cは電気的に直列接続される一方で、螺旋コイル140dは電気的に並列接続される。螺旋コイル140における各螺旋コイルまたは螺旋コイル140の各セットの間の電気的接続は、視野130に磁場を発生させるように必要に応じて構成され得る。
【0059】
さまざまな実装形態では、コイルセット120は、
図1に示すように広がる螺旋コイル140を含む。さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル140a、140b、140c、および140dのセットのそれぞれは、螺旋コイルの各セットが別のセットから90°の角度だけ離れるように、開口125から開口部127へ一列に構成される。さまざまな実施形態によれば、140aおよび140bは相互に45°の角度をなして置かれ、140cおよび140dは相互に45°の角度をなして置かれるが、140cは140bの反対側で135°の角度に置かれ、140dは140aの反対側で135°の角度に置かれる。要するに、螺旋コイル140のセットのいずれも、螺旋コイル140の任意の数「n」個のセットを任意に配列する構成が可能である。
【0060】
さまざまな実装形態では、螺旋コイル140は同じ直径を有する。さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル140a、140b、140c、および140dのセットのそれぞれは同じ直径を有する。さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル140は異なる直径を有する。さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル140a、140b、140c、および140dのセットのそれぞれは異なる直径を有する。さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル140a、140b、140c、および140dのセットのそれぞれにおける螺旋コイルは異なる直径を有する。さまざまな実施形態によれば、140aおよび140bは同じ第1の直径を有し、140cおよび140dは同じ第2の直径を有するが、第1の直径および第2の直径は同じでない。
【0061】
さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル140における各螺旋コイルの直径は約10μm乃至約10mである。さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル140における各螺旋コイルの直径は、約0.001m乃至約9m、約0.005m乃至約8m、約0.01m乃至約6m、約0.05m乃至約5m、約0.1m乃至約3m、約0.2m乃至約2m、約0.3m乃至約1.5m、約0.5m乃至約1m、または約0.01m乃至約3mである(数値間の任意の直径を含む)。
【0062】
さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル140は単一の電気回路ループ(または単一の電流ループ)を形成するように接続される。
図1に示すように、例えば、螺旋コイル140における1つの螺旋コイルが電源150の電気接点152に接続され、別の螺旋コイルが電気接点154に接続されることで、螺旋コイル140は電気回路を完成する。
【0063】
さまざまな実施形態によれば、コイルセット120は約1μT乃至約10Tの電磁場強度(本明細書では「電磁場勾配」または「勾配磁場」ともいう)を生じさせる。さまざまな実施形態によれば、コイルセット120は、約100μT乃至約1T、約1mT乃至約500mT、または約10mT乃至約100mTの電磁場強度を生じさせることができる(数値間の任意の磁場強度を含む)。さまざまな実施形態によれば、コイルセット120は、約1μT、約10μT、約100μT、約1mT、約5mT、約10mT、約20mT、約50mT、約100mT、または約500mTよりも大きい電磁場強度を生じさせることができる。
【0064】
さまざまな実施形態によれば、コイルセット120は、立上り時間が約100μs未満の速度でパルス状の電磁場を発生させる。さまざまな実施形態によれば、コイルセット120は、立上り時間約1μs、約5μs、約10μs、約20μs、約30μs、約40μs、約50μs、約100μs、約200μs、約500μs、約1ms、約2ms、約5ms、または約10ms未満の速度でパルス状の電磁場を発生させる。
【0065】
さまざまな実施形態によれば、コイルセット120は、対象領域130を部分的に包囲するように配向される。さまざまな実施形態によれば、コイルセット140は互いに対して非平面状である。さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル140a、140b、140c、および140dのセットは互いに対して非平面状である。別の言い方をすれば、螺旋コイル140a、140b、140c、および140dのセットのそれぞれの螺旋コイル140は、患者が所在する対象領域130を包囲する3次元構造体を形成する。
【0066】
さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル140は同じ材料を含む。さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル140は異なる材料を含む。さまざまな実施形態によれば、セット140a内の螺旋コイルは同じ第1の材料を含み、セット140b内の螺旋コイルは同じ第2の材料を含み、セット140c内の螺旋コイルは同じ第3の材料を含み、セット140d内の螺旋コイルは同じ第4の材料を含むが、第1、第2、第3および第4の材料は異なる材料である。さまざまな実施形態によれば、第1および第2の材料は同じ材料であるが、その同じ材料は、同じである第3および第4の材料とは異なる。要するに、螺旋コイル140のうちのいずれも、コイルセット120の構成によっては同一材料製であってよいし、異なる材料製であってもよい。
【0067】
さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル140は中空な管または中実な管を含む。さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル140は1つ以上の巻線を含む。さまざまな実施形態によれば、巻線はリッツ線または任意の電気伝導線を含む。さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル140は、銅、アルミニウム、銀、銀ペースト、または、金属、合金もしくは超伝導金属、合金もしくは非金属を含む任意の高電気伝導性材料を含む。さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル140はメタマテリアルを含む。
【0068】
さまざまな実施形態によれば、コイルセット120は磁場をチューニングするための1つ以上の電子部品を含む。1つ以上の電子部品は、PINダイオード、機械式リレー、固体リレー、または微小電気機械システム(MEMS)スイッチを含むスイッチを含むことができる。さまざまな実施形態によれば、コイルは、電気回路に沿って1つ以上の電子部品のいずれかを含むように構成され得る。さまざまな実施形態によれば、1つ以上の部品は、能動的に電気を導通しないミューメタル、誘電体、磁性、または金属性部品を含むことができ、コイルをチューニングすることができる。さまざまな実施形態によれば、チューニングのために使用される1つ以上の電子部品は、導電性金属、メタマテリアル、または磁性金属のうちの少なくとも1つを含む。さまざまな実施形態によれば、電磁場をチューニングすることは、電流を変化させることまたは1つ以上の電子部品の物理的位置を変化させることによることを含む。さまざまな実施形態によれば、コイルは極低温に冷却されることにより、抵抗が減少し効率が改善されている。
【0069】
図2は、片面式勾配コイルセット200の実装形態の概略図である。図に示すように、コイルセット200は、離間して横方向に互いに隣り合って配置された螺旋コイル240a、240b、および240cを含む。コイルセット200内の螺旋コイルの一般的概念を伝える例示的な目的のために
図2には3個の螺旋コイルのみが示されているが、その例示は本明細書に記載される技術を限定するとされるべきでない。
図2に示すような方向250a、250b、および250cに電流を供給するために、電流源(図示せず)が螺旋コイル240a、240b、および240cのそれぞれに接続される。螺旋コイル240a、240b、および240cに電流が方向250a、250b、および250cに流れることによって、それぞれの磁場260a、260b、および260cを発生させる。図示のように、それぞれの螺旋コイル240a、240b、および240cによって発生する磁場260a、260b、および260cのそれぞれの方向、大きさ、一様性などは、所望の全体的な電磁場または勾配磁場プロファイルが得られるように具体的に構成することができる。
【0070】
図2に示す構成を用いて、例えば、中間の螺旋コイル240bに2つの他の螺旋コイル240aおよび240cとは反対方向に電流を流すことによって、磁場高調波の効果を減少させることができる。さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル240bは磁場の大部分を発生させるように構成可能である一方、螺旋コイル240aおよび240cは螺旋コイル240bによって発生する磁場の高調波および非線形性を補正するように構成される。要するに、本明細書に記載される技術によって所望の電磁場または磁場勾配を成形および形成することでMRI撮像に役立つように、任意の可能な構成を実装可能である。
【0071】
さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル240a、240b、および240cにおける相反する電流方向は、電磁勾配コイル電流の立上り時間を減少させることに役立ち得る。さまざまな実施形態によれば、電磁場勾配の立上り時間は、約1μs、約5μs、約10μs、約20μs、約30μs、約40μs、約50μs、約100μs、約200μs、約500μs、約1ms、約2ms、約5ms、または約10ms未満である。
【0072】
さまざまな実施形態によれば、相反する電流方向は、螺旋コイル240a、240b、および240cの間の結合インダクタンスを低下させることに役立つ。さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル240a、240b、および240cの間の結合インダクタンスは、約1%乃至約80%、約5%乃至約60%、約10%乃至約40%、約15%乃至約30%、または約1%乃至約10%(数値間の任意の範囲を含む)だけ低下する。
【0073】
図3は、片面式勾配コイルセット300の実装形態の概略図である。図に示すように、コイルセット300は、螺旋コイル同士が接触するように横方向に互いに隣り合って配置された螺旋コイル340a、340b、および340cを含む。
図3に示すような方向350a、350b、および350cに電流を供給するために、電流源(図示せず)が螺旋コイル340a、340b、および340cのそれぞれに接続される。螺旋コイル340a、340b、および340cに電流が方向350a、350b、および350cに流れることによって、それぞれの磁場360a、360b、および360cを発生させる。
図2のコイルセット200と同様に、それぞれの螺旋コイル340a、340b、および340cによって発生する磁場360a、360b、および360cのそれぞれの大きさ、一様性などは、所望の全体的な電磁場または勾配磁場プロファイルが得られるように具体的に構成することができる。
【0074】
図3に示す構成を用いても、
図2に関して説明したように、磁場高調波の効果を減少させることができる。さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル340a、340b、および340cにおける相反する電流方向は、電磁勾配コイル電流の立上り時間を減少させることに役立ち得る。螺旋コイル340a、340b、および340cは螺旋コイル240a、240b、および240cと比較して互いにより近接しているため、勾配コイル電流の立上り時間を減少させる際の減少効果はより強められる。さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル340a、340b、および340cによって発生する電磁場勾配の立上り時間は、約0.1μs、約0.5μs、約1μs、約5μs、約10μs、約20μs、約30μs、約40μs、約50μs、約100μs、約200μs、約500μs、約1ms、約2ms、約5ms、または約10ms未満である。
【0075】
さまざまな実施形態によれば、相反する電流方向は、螺旋コイル340a、340b、および340cの間の結合インダクタンスを低下させることに役立つ。要するに、より近接した螺旋コイルの相反する電流方向は、螺旋コイル240a、240b、および240cと比較して螺旋コイル340a、340b、および340cの間の結合インダクタンスをさらに低下させることに役立ち得る。さまざまな実施形態によれば、螺旋コイル340a、340b、および340cの間の結合インダクタンスは、約1%乃至約90%、約5%乃至約60%、約10%乃至約40%、約15%乃至約30%、または約1%乃至約10%(数値間の任意の範囲を含む)だけ低下する。
【0076】
図4は、片面式勾配コイルセット400の実装形態の概略図である。図に示すように、コイルセット400は、互いに重畳する螺旋コイル440a、440b、および440cを含む。
図4に示すような同じ方向450a、450b、および450cに電流を供給するために、電流源(図示せず)が螺旋コイル440a、440b、および440cのそれぞれに接続される。螺旋コイル440a、440b、および440cに電流が同じ方向450a、450b、および450cに流れることによって、同じ方向の磁場460a、460b、および460cを発生させる。
図2のコイルセット200および
図3のコイルセット300と同様に、それぞれの螺旋コイル440a、440b、および440cによって発生する磁場460a、460b、および460cのそれぞれの大きさ、一様性などは、所望の全体的な電磁場または勾配磁場プロファイルが得られるように具体的に構成することができる。しかしながら、重畳する螺旋コイル440a、440b、および440cが同じ向きであることによって、螺旋コイル440a、440b、および440cが磁気的に分離される。螺旋コイル440a、440b、および44を重畳させることにより、1つのコイル(例えば螺旋コイル440b)内の磁場によって重畳するコイル(例えば螺旋コイル440aおよび440c)内の磁場を増大させることが可能となるが、その逆もまた可能となる。
【0077】
図5は、さまざまな実施形態による、磁気撮像装置を使用する方法S100のフローチャートである。さまざまな実施形態によれば、方法S100は、ステップS110で、電源を用意することを含む。
【0078】
さまざまな実施形態によれば、方法S100は、ステップS120で、電源に接続された片面式勾配コイルセットを用意することを含む。さまざまな実施形態によれば、コイルセットは、開口と、開口に対して第1の位置にある1つ以上の第1の螺旋コイルと、開口に対して第2の位置にある1つ以上の第2の螺旋コイルとを含む。さまざまな実施形態によれば、第1の位置が開口に対して第2の位置の反対側にある。
【0079】
図5に示すように、方法S100は、ステップS130で、電源をオンにして1つ以上の第1の螺旋コイルおよび1つ以上の第2の螺旋コイルに電流を流すことを含む。さまざまな実施形態によれば、電流は、コイルセットから離れた磁気撮像装置の撮像領域内に投射される電磁場勾配を発生させる。
【0080】
さまざまな実施形態によれば、電磁場勾配は約5mTよりも大きい。さまざまな実施形態によれば、電磁場勾配の立上り時間が約10μs未満である。さまざまな実施形態によれば、コイルセットが、PINダイオード、機械式リレー、固体リレー、またはMEMSスイッチのうちの1つからの1つ以上の電子部品をさらに含む。
【0081】
さまざまな実施形態によれば、方法S100は、ステップS140で、任意選択的に、電流を変化させることによって、または、1つ以上の電子部品の物理的特性もしくは位置のうちの1つを変化させることによって、電磁場勾配をチューニングすることを含む。
【0082】
さまざまな実施形態によれば、コイルセットが、開口に対向する開口部をさらに含み、開口と開口部との間の領域がコイルセット領域を画定し、撮像領域が少なくとも部分的にコイルセット領域の外側に配置される。
【0083】
図6は、さまざまな実施形態による、磁気撮像装置を使用する方法S200のフローチャートである。さまざまな実施形態によれば、方法S200は、ステップS210で、電源を用意することを含む。
【0084】
さまざまな実施形態によれば、方法S200は、ステップS220で、電源に接続された片面式勾配コイルセットを用意することを含む。
【0085】
図6に示すように、方法S200は、ステップS230で、電源をオンにしてコイルセットに電流を流すことを含む。
【0086】
さまざまな実施形態によれば、方法S200は、ステップS240で、立上り時間が約10μs未満の電磁場勾配を発生させることを含む。
【0087】
さまざまな実施形態によれば、方法S200は、ステップS250で、電磁場勾配をコイルセットから離れた磁気撮像装置の撮像領域内に投射することを含む。
【0088】
さまざまな実施形態によれば、電磁場勾配は約5mTよりも大きい。さまざまな実施形態によれば、電磁場勾配の立上り時間が約10μs未満である。さまざまな実施形態によれば、コイルセットが、PINダイオード、機械式リレー、固体リレー、またはMEMSスイッチのうちの1つからの1つ以上の電子部品をさらに含む。
【0089】
さまざまな実施形態によれば、方法S200は、ステップS260で、任意選択的に、電流を変化させることによって、または、1つ以上の電子部品の物理的特性もしくは位置のうちの1つを変化させることによって、電磁場勾配をチューニングすることを含む。
【0090】
さまざまな実施形態によれば、コイルセットが、開口と、開口に対して第1の位置にある1つ以上の第1の螺旋コイルおよび開口に対して第2の位置にある1つ以上の第2の螺旋コイルとをさらに含む。さまざまな実施形態によれば、第1の位置が開口に対して第2の位置の反対側にある。
【0091】
さまざまな実施形態によれば、コイルセットが、開口に対向する開口部をさらに含み、開口と開口部との間の領域がコイルセット領域を画定し、撮像領域が少なくとも部分的にコイルセット領域の外側に配置される。
【0092】
実施形態の列挙
1.電流を供給する電源と、前記電源に接続され、開口を有する片面式勾配コイルセットとを備えた磁気撮像装置であって、前記コイルセットが、前記開口に対して第1の位置にある1つ以上の第1の螺旋コイルと、前記開口に対して第2の位置にある1つ以上の第2の螺旋コイルとを備え、前記第1の位置が前記開口に対して前記第2の位置の反対側にあり、前記コイルセットが、前記1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルを通して電流を受けて、前記コイルセットから離れた前記磁気撮像装置の撮像領域内に投射されるように構成された電磁場勾配を発生させるように構成される、磁気撮像装置。
【0093】
2.前記コイルセットが非平面状であり、前記撮像領域を部分的に包囲するように配向される、実施形態1の装置。
【0094】
3.前記1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルが前記開口に対して非平面状であり、前記開口を挟んで互いに鏡像をなす、実施形態1~2のうちのいずれか1つの装置。
【0095】
4.前記電磁場勾配が前記撮像領域で実質的に一様である、実施形態1~3のうちのいずれか1つの装置。
【0096】
5.前記電磁場勾配が約5mTよりも大きい、実施形態1~4のうちのいずれか1つの装置。
【0097】
6.前記電磁場勾配の立上り時間が約10μs未満である、実施形態1~5のうちのいずれか1つの装置。
【0098】
7.前記1つ以上の第1の螺旋コイルが、少なくとも2つの相異なる直径を有する少なくとも2つの第1の螺旋コイルを備える、実施形態1~6のうちのいずれか1つの装置。
【0099】
8.前記1つ以上の第2の螺旋コイルが、少なくとも2つの相異なる直径を有する少なくとも2つの第2の螺旋コイルを備える、実施形態7の装置。
【0100】
9.前記電流が前記1つ以上の第1の螺旋コイルを互い違いの方向に流れるように構成される、実施形態1~8のうちのいずれか1つの装置。
【0101】
10.前記電流が前記1つ以上の第2の螺旋コイルを互い違いの方向に流れることにより、前記電磁場勾配の立上り時間を最小化するように構成される、実施形態9の装置。
【0102】
11.前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうちの第1の一次螺旋コイルが、大きな第1の一次電磁場勾配を生成するように構成され、前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうちの第1の二次螺旋コイルが、小さな第1の二次電磁場勾配を生成して前記大きな第1の一次電磁場勾配を調節するように構成される、実施形態1~10のうちのいずれか1つの装置。
【0103】
12.前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうちの第2の一次螺旋コイルが、大きな第2の一次電磁場勾配を生成し、前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうちの第2の二次螺旋コイルが、小さな第2の二次電磁場勾配を生成して前記大きな第2の一次電磁場勾配を調節するように構成される、実施形態11の装置。
【0104】
13.前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうちの第1の一次螺旋コイルおよび前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうち前記第1の一次螺旋コイルと隣り合う第1の二次螺旋コイルには、前記電流が相反する方向に流れる、実施形態1~12のうちのいずれか1つの装置。
【0105】
14.前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうちの第2の一次螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうち前記第2の一次螺旋コイルと隣り合う第2の二次螺旋コイルには、前記電流が相反する方向に流れる、実施形態13の装置。
【0106】
15.前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうちの第1の一次螺旋コイルおよび前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうち前記第1の一次螺旋コイルと隣り合う第1の二次螺旋コイルがそれぞれのコイルの最大50%まで重畳することによって、より平行な第1の電磁場勾配を発生させる、実施形態1~14のうちのいずれか1つの装置。
【0107】
16.前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうちの第2の一次螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうち前記第2の一次螺旋コイルと隣り合う第2の二次螺旋コイルがそれぞれのコイルの最大50%まで重畳することによって、より平行な第2の電磁場勾配を発生させる、実施形態15の装置。
【0108】
17.前記1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルが接続されて単一の電流ループを形成する、実施形態1~16のうちのいずれか1つの装置。
【0109】
18.前記1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルが相異なる材料を含む、実施形態1~17のうちのいずれか1つの装置。
【0110】
19.前記1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルの直径が約10μm乃至約10mである、実施形態1~18のうちのいずれか1つの装置。
【0111】
20.前記コイルセットが、前記電磁場勾配をチューニングするための1つ以上の電子部品をさらに備える、実施形態1~19のうちのいずれか1つの装置。
【0112】
21.前記1つ以上の電子部品が、PINダイオード、機械式リレー、固体リレー、またはMEMSスイッチのうちの少なくとも1つを含む、実施形態20の装置。
【0113】
22.チューニングのために使用される前記1つ以上の電子部品が、誘電体、導電性金属、メタマテリアル、または磁性金属のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1~21のうちのいずれか1つの装置。
【0114】
23.前記電磁場勾配をチューニングすることが、前記電流を変化させることまたは前記1つ以上の電子部品の物理的位置を変化させることを含む、実施形態22の装置。
【0115】
24.前記コイルセットが極低温に冷却されることにより、抵抗が減少し効率が改善されている、実施形態1~23のうちのいずれか1つの装置。
【0116】
25.前記コイルセットが、前記開口に対向する開口部をさらに備え、前記開口と前記開口部との間の領域がコイルセット領域を画定し、前記撮像領域が少なくとも部分的に前記コイルセット領域の外側に配置される、実施形態1~24のうちのいずれか1つの装置。
【0117】
26.磁気撮像装置を使用する方法であって、電源を用意することと、前記電源に接続され、開口を有する片面式勾配コイルセットを用意することとを含み、前記コイルセットが、前記開口に対して第1の位置にある1つ以上の第1の螺旋コイルと、前記開口に対して第2の位置にある1つ以上の第2の螺旋コイルとを備え、前記第1の位置が前記開口に対して前記第2の位置の反対側にあり、前記方法がさらに、前記電源をオンにして前記1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルに電流を流すことにより、前記コイルセットから離れた前記磁気撮像装置の撮像領域内に投射される電磁場勾配を発生させることを含む、磁気撮像装置を使用する方法。
【0118】
27.前記電磁場勾配が約5mTよりも大きい、実施形態26の方法。
【0119】
28.前記電磁場勾配の立上り時間が約10μs未満である、実施形態26~27のうちのいずれか1つの方法。
【0120】
29.前記コイルセットが、PINダイオード、機械式リレー、固体リレー、またはMEMSスイッチのうちの1つからの1つ以上の電子部品をさらに備える、実施形態26~28のうちのいずれか1つの方法。
【0121】
30.前記電流を変化させることによって、または、前記1つ以上の電子部品の物理的特性もしくは位置のうちの1つを変化させることによって、前記電磁場勾配をチューニングすることをさらに含む、実施形態29の方法。
【0122】
31.前記コイルセットが、前記開口に対向する開口部をさらに備え、前記開口と前記開口部との間の領域がコイルセット領域を画定し、前記撮像領域が少なくとも部分的に前記コイルセット領域の外側に配置される、実施形態26~30のうちのいずれか1つの方法。
【0123】
32.磁気撮像装置であって、電流を供給する電源と、前記電源に接続された片面式勾配コイルセットであって、前記コイルセットから離れた前記磁気撮像装置の撮像領域内に投射される立上り時間が約10μs未満の電磁場勾配を発生させるように構成された片面式勾配コイルセットとを備えた磁気撮像装置。
【0124】
33.前記コイルセットが、開口と、前記開口に対して第1の位置にある1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記開口に対して第2の位置にある1つ以上の第2の螺旋コイルであって、前記第1の位置が前記開口に対して前記第2の位置の反対側にある、第1の螺旋コイルおよび第2の螺旋コイルとをさらに備える、実施形態32の装置。
【0125】
34.前記コイルセットが非平面状であり、前記撮像領域を部分的に包囲するように配向される、実施形態32~33のうちのいずれか1つの装置。
【0126】
35.前記1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルが前記開口に対して非平面状であり、前記開口を挟んで互いに鏡像をなす、実施形態33~34のうちのいずれか1つの装置。
【0127】
36.前記電磁場勾配が前記撮像領域で実質的に一様である、実施形態32~35のうちのいずれか1つの装置。
【0128】
37.前記電磁場勾配が約5mTよりも大きい、実施形態32~36のうちのいずれか1つの装置。
【0129】
38.前記1つ以上の第1の螺旋コイルが、少なくとも2つの相異なる直径を有する少なくとも2つの第1の螺旋コイルを備える、実施形態33~37のうちのいずれか1つの装置。
【0130】
39.前記1つ以上の第2の螺旋コイルが、少なくとも2つの相異なる直径を有する少なくとも2つの第2の螺旋コイルを備える、実施形態38の装置。
【0131】
40.前記電流が前記1つ以上の第1の螺旋コイルを互い違いの方向に流れるように構成される、実施形態33~39のうちのいずれか1つの装置。
【0132】
41.前記電流が前記1つ以上の第2の螺旋コイルを互い違いの方向に流れることにより、前記電磁場勾配の立上り時間を最小化するように構成される、実施形態40の装置。
【0133】
42.前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうちの第1の一次螺旋コイルが、大きな第1の一次電磁場勾配を生成するように構成され、前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうちの第1の二次螺旋コイルが、小さな第1の二次電磁場勾配を生成して前記大きな第1の一次電磁場勾配を調節するように構成される、実施形態33~41のうちのいずれか1つの装置。
【0134】
43.前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうちの第2の一次螺旋コイルが、大きな第2の一次電磁場勾配を生成し、前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうちの第2の二次螺旋コイルが、小さな第2の二次電磁場勾配を生成して前記大きな第2の一次電磁場勾配を調節するように構成される、実施形態42の装置。
【0135】
44.前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうちの第1の一次螺旋コイルおよび前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうち前記第1の一次螺旋コイルと隣り合う第1の二次螺旋コイルには、前記電流が相反する方向に流れる、実施形態33~43のうちのいずれか1つの装置。
【0136】
45.前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうちの第2の一次螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうち前記第2の一次螺旋コイルと隣り合う第2の二次螺旋コイルには、前記電流が相反する方向に流れる、実施形態44の装置。
【0137】
46.前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうちの第1の一次螺旋コイルおよび前記1つ以上の第1の螺旋コイルのうち前記第1の一次螺旋コイルと隣り合う第1の二次螺旋コイルがそれぞれのコイルの最大50%まで重畳することによって、より平行な第1の電磁場勾配を発生させる、実施形態33~45のうちのいずれか1つの装置。
【0138】
47.前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうちの第2の一次螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルのうち前記第2の一次螺旋コイルと隣り合う第2の二次螺旋コイルがそれぞれのコイルの最大50%まで重畳することによって、より平行な第2の電磁場勾配を発生させる、実施形態46の装置。
【0139】
48.前記1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルが接続されて単一の電流ループを形成する、実施形態33~47のうちのいずれか1つの装置。
【0140】
49.前記1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルが相異なる材料を含む、実施形態33~48のうちのいずれか1つの装置。
【0141】
50.前記1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記1つ以上の第2の螺旋コイルの直径が約10μm乃至約10mである、実施形態33~49のうちのいずれか1つの装置。
【0142】
51.前記コイルセットが、前記電磁場勾配をチューニングするための1つ以上の電子部品をさらに備える、実施形態32~50のうちのいずれか1つの装置。
【0143】
52.前記1つ以上の電子部品が、PINダイオード、機械式リレー、固体リレー、またはMEMSスイッチのうちの少なくとも1つを含む、実施形態51の装置。
【0144】
53.チューニングのために使用される前記1つ以上の電子部品が、誘電体、導電性金属、メタマテリアル、または磁性金属のうちの少なくとも1つを含む、実施形態32~52のうちのいずれか1つの装置。
【0145】
54.前記電磁場勾配をチューニングすることが、前記電流を変化させることまたは前記1つ以上の電子部品の物理的位置を変化させることを含む、実施形態32~53のうちのいずれか1つの装置。
【0146】
55.前記コイルセットが極低温に冷却されることにより、抵抗が減少し効率が改善されている、実施形態32~54のうちのいずれか1つの装置。
【0147】
56.前記コイルセットが、前記開口に対向する開口部をさらに備え、前記開口と前記開口部との間の領域がコイルセット領域を画定し、前記撮像領域が少なくとも部分的に前記コイルセット領域の外側に配置される、実施形態33~55のうちのいずれか1つの装置。
【0148】
57.磁気撮像装置を使用する方法であって、電源を用意することと、前記電源に接続された片面式勾配コイルセットを用意することと、前記電源をオンにして前記コイルセットに電流を流すことと、立上り時間が約10μs未満の電磁場勾配を発生させることと、前記電磁場勾配を前記コイルセットから離れた前記磁気撮像装置の撮像領域内に投射することとを含む、磁気撮像装置を使用する方法。
【0149】
58.前記電磁場勾配が約5mTよりも大きい、実施形態57の方法。
【0150】
59.前記コイルセットが、PINダイオード、機械式リレー、固体リレー、またはMEMSスイッチのうちの1つからの1つ以上の電子部品をさらに備える、実施形態57~58のうちのいずれか1つの方法。
【0151】
60.前記電流を変化させることによって、または、前記1つ以上の電子部品の物理的特性もしくは位置のうちの1つを変化させることによって、前記電磁場勾配をチューニングすることをさらに含む、実施形態59の方法。
【0152】
61.前記コイルセットが、開口と、前記開口に対して第1の位置にある1つ以上の第1の螺旋コイルおよび前記開口に対して第2の位置にある1つ以上の第2の螺旋コイルであって、前記第1の位置が前記開口に対して前記第2の位置の反対側にある、第1の螺旋コイルおよび第2の螺旋コイルとをさらに備える、実施形態57~60のうちのいずれか1つの方法。
【0153】
62.前記コイルセットが、前記開口に対向する開口部をさらに備え、前記開口と前記開口部との間の領域がコイルセット領域を画定し、前記撮像領域が少なくとも部分的に前記コイルセット領域の外側に配置される、実施形態61の方法。
【0154】
本明細書は多くの具体的な実装形態の詳細を含むが、これらは任意の発明または特許請求の範囲となり得る対象の範囲に対する限定と解釈されるべきではなく、特定の発明の特定の実装に固有の特徴の記述と解釈されるべきである。個別の実装形態の文脈で本明細書に記載されるいくつかの特徴は、単一の実装形態において組み合わせて実装されることも可能である。逆に、単一の実装形態の文脈で記載されるさまざまな特徴は、個別に複数の実装形態で、または、任意の好適な部分的組合せにおいて実装されることも可能である。さらに、諸特徴はいくつかの組合せにおいて作用するものとして上述され、そのようなものとして最初に特許請求の範囲に記載されているかもしれないが、特許請求の範囲の組合せからの1つまたは複数の特徴は、場合によってその組合せから削除可能であり、特許請求の範囲の組合せは部分的組合せを、または部分的組合せの変形を対象としてもよい。
【0155】
同様に、動作は特定の順序で図面に図示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が図示された特定の順序もしくは逐次的順序で実行されること、または図示された動作のすべてが実行されることを要求していると理解されるべきではない。いくつかの状況では、マルチタスキングおよび並列処理が有利であり得る。さらに、上記の実装形態におけるさまざまなシステム構成要素の分離は、すべての実装形態におけるそのような分離を要求していると理解されるべきではなく、記載されたプログラム構成要素およびシステムは一般に単一のソフトウェア製品への統合、または複数のソフトウェア製品へのパッケージ化が可能であると理解されるべきである。
【0156】
「または」への言及は、「または」を用いて記載される任意の用語が、記載された用語の単一、複数、およびすべてのもののいずれをも示し得るように包括的と解釈され得る。「第1」、「第2」、「第3」などのラベルは、順序を示すことを必ずしも意味せず、同様または類似の項目または要素間を単に区別するために一般的に使用される。
【0157】
本開示に記載される実装形態へのさまざまな変更は当業者には直ちに明らかであろうし、本明細書に規定される一般的原理は本開示の精神または範囲から逸脱することなく他の実装形態にも適用可能であろう。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示される実装形態に限定されることを意図しておらず、本開示すなわち本明細書に開示される原理および新規な特徴と整合する最も広い範囲が与えられるべきである。