(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157006
(43)【公開日】2024-11-06
(54)【発明の名称】官能特性が改善された天然炭化水素/エステル組成物、製剤、及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/31 20060101AFI20241029BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20241029BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241029BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20241029BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
A61K8/31
A61K8/37
A61Q19/00
A61Q1/00
A61Q5/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024136969
(22)【出願日】2024-08-16
(62)【分割の表示】P 2018236155の分割
【原出願日】2018-12-18
(31)【優先権主張番号】62/637,129
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】P 2018209449
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】511299355
【氏名又は名称】イノレックス インベストメント コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルゴ ロッコ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】不揮発性の液体エモリエントエステルの塗りやすさを改善して触感を改善する、組成物、製剤、及び製剤を作製する方法を提供する。
【解決手段】パーソナルケア組成物における使用のための塗布可能なコンディショニング組成物であって、分岐鎖炭化水素と、約100センチストークス以下の動粘度を有するエステルとのブレンドを含む、組成物である。上記組成物は、例えば、分岐鎖炭化水素及びエステルの各々が独立して植物由来である場合、天然となり得る。さらに、上記組成物は、パーム油由来の原料を欠いてもよい。或る実施の形態では、上記組成物は、水添ファルネセンと、トリヘプタン酸グリセリル、コハク酸ジカプリル、ウンデシレン酸ヘプチル、及びそれらの混合物から選択されるエステルとのブレンドである。上記組成物は、約4~約8の平均拡張速度を示す。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルケア組成物における使用のための塗布可能なコンディショニング組成物であって、分岐鎖炭化水素と、約100センチストークス以下の動粘度を有するエステルとのブレンドを含む、組成物。
【請求項2】
前記分岐鎖炭化水素及び前記エステルの各々が独立して植物由来である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記植物由来分岐鎖炭化水素及び前記植物由来エステルの各々が独立してパーム油由来ではない、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記分岐鎖炭化水素が炭化水素主鎖上に少なくとも3つの分岐を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記分岐鎖炭化水素の炭化水素主鎖が10個~30個の炭素原子を有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記分岐鎖炭化水素が合計でX個の炭素原子を有し、炭化水素主鎖がY個の炭素原子を有し、Xが13~50の整数であり、Yが10~30の整数の炭素原子である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記Xが15であり、Yが12である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記分岐鎖炭化水素が水添ファルネセンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記分岐鎖炭化水素が、約100センチストークス以下の動粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記エステルが合計で15個~30個の炭素を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記エステルが、2個、3個、4個、5個、又は6個のエステル結合を有するエステルから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記エステルが、中鎖カルボン酸のグリセリルトリエステル、中鎖二価酸と中鎖の直鎖又は分岐鎖のアルコールとのジエステル、中鎖カルボン酸と中鎖アルコールとのモノエステル、及びそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記エステルが、トリヘプタン酸グリセリル、コハク酸ジカプリル、ウンデシレン酸ヘプチル、及びそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記炭化水素が、合計で15個~20個の炭素原子及び炭素原子12個の炭化水素主鎖を有する炭化水素、水添ファルネセン、並びにそれらの混合物から選択され、前記エステルが、トリヘプタン酸グリセリル、コハク酸ジカプリル、ウンデシレン酸ヘプチル及びそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記分岐鎖炭化水素が、全組成物の約30重量%~約80重量%の量で前記組成物中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記分岐鎖炭化水素が、全組成物の約40重量%~約70重量%の量で前記組成物中に
存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記エステルが、全組成物の約20重量%~約70重量%の量で前記組成物中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記エステルが、全組成物の約30重量%~約50重量%の量で前記組成物中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記分岐鎖炭化水素及び前記エステルが、
約2:約3、
約1:約2.5、
約1:約1、及び、
約2.5:約1、
から選択される相対重量比(重量%炭化水素:重量%エステル)で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
約4~約8の平均拡張速度を示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
分岐鎖炭化水素と、約100センチストークス以下の動粘度を有するエステルとのブレンドから本質的になる塗布可能なコンディショニング組成物。
【請求項22】
前記分岐鎖炭化水素が水添ファルネセンであり、前記エステルがトリヘプタン酸グリセリル、コハク酸ジカプリル、ウンデシレン酸ヘプチル、及びそれらの混合物から選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
請求項1に記載の組成物と、
界面活性剤、着色剤、洗浄剤、物理的日焼け止め、芳香剤、キレート剤、抗酸化剤、UV吸収化合物、微粒子、溶媒、カチオン性乳化剤、非イオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、及び抗菌剤から選択される追加の原料と、
を含む製剤。
【請求項24】
表面コンディショニング製剤を作製する方法であって、請求項1に記載の組成物と、界面活性剤、着色剤、洗浄剤、物理的日焼け止め、芳香剤、キレート剤、抗酸化剤、UV吸収化合物、微粒子及び溶媒から選択される追加の原料とを混合することを含む、方法。
【請求項25】
前記製剤が天然である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記製剤が天然であり、パーム油由来原料を含まない、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
約4~約8の平均拡張速度を有する組成物を作製する方法であって、天然分岐鎖炭化水素と、約100センチストークス以下の動粘度を有する天然エステルとを混和することを含む、方法。
【請求項28】
コンディショニング剤の塗りやすさを増加させる方法であって、前記コンディショニング剤と分岐鎖炭化水素とを合わせることを含み、前記コンディショニング剤が約100センチストークス以下の動粘度を有するエステルである、方法。
【請求項29】
前記エステルが、中鎖カルボン酸のグリセリルトリエステル、中鎖二価酸と中鎖の直鎖又は分岐鎖のアルコールとのジエステル、中鎖カルボン酸と中鎖アルコールとのモノエステル、及びそれらの混合物から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記エステルが、トリヘプタン酸グリセリル、コハク酸ジカプリル、ウンデシレン酸ヘプチル、及びそれらの混合物から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
表面に材料を送達する方法であって、表面に製剤を塗布することを含み、前記製剤が請求項1に記載の組成物と、UV吸収剤、生物学的薬剤、つや出し剤、抗菌剤、抗酸化剤、マイカ、グリッター、色素、防錆剤、変色防止剤、漂白剤、及びセルフタナーから選択される追加の原料とを含む、方法。
【請求項32】
前記表面が、皮膚、毛皮、毛、爪又はひづめの表面である、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、「官能特性が改善された天然炭化水素/エステル組成物、製剤、及び関連する方法(Natural Hydrocarbon/Ester Compositions With Improved Sensory Properties,
Formulations and Related Methods)」と題する2018年3月1日付けで出願された
米国仮特許出願第62/637,129号の米国特許法第119条(e)項に基づく利益を主張するものであり、その開示はその全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
【背景技術】
【0002】
パーソナルケア及び化粧用の製品は、美及び衛生の関心に起因するのみならず、社会統合及び健康の手段としても消費者を魅了する。しかしながら、かかる製品の全ての性状のなかで、消費者は、主に官能的側面に頼って同じ製品を再度購入するかどうかを決定する。ほとんどのパーソナルケア及び化粧用の担体は、エマルジョン技術の法則に従って安定化された水相と油相の両方の組成物であるが、全部が油系、アルコール系である製剤、若しくは他の溶媒に基づく製剤、又は水溶液系の製剤も選択肢として存在する。
【0003】
水又は任意の他の揮発性材料が、例えば皮膚に塗布されるパーソナルケア製品に存在する場合、それらの材料は通常の体温によって塗布後に揮発する。エモリエントオイル等の不揮発性成分が後に残る。エモリエントオイルは、皮膚、毛、又は爪を整える。コンディショニングは、加脂化(refatting)、潤滑化、柔軟化及び平滑化、及び/又は小じわ(fine lines)及びしわの出現の減少という意味がある。
【0004】
多くのエモリエントオイルは皮膚をコンディショニングするのに有効であるが、多くは、使用後の不快感、脂っぽさ又は望ましくないテカリを残す場合がある。前述のマイナス性状の無い有効なコンディショニングがしばしば望まれており、「軽い(light)」と評
される使用後感をもたらすプラットフォームにおける、有効なコンディショニングが消費者から強く望まれている。
【0005】
「軽さ」の達成に強く影響する1つの側面は、上記オイルそれら自体の特性に加えて、処理した表面に残る残留オイル層の厚みである。「塗りやすさ」の特性は、液体の物質が特定の基体表面に広がる能力、すなわち、液体が塗布領域から周辺領域へと移動する速度、及び塗布領域からの距離を指す。例えば皮膚塗布の場合、材料の塗りやすさは、その残留厚さに影響し、また使用者の「軽さ」の知覚に関連する。より塗りやすい材料は、より大きな塗布領域と結びつくため、より薄い皮膜が残る。
【0006】
また、塗りやすさは、粘度、基体に対する液体の親和性(接着性)、及び液体のそれ自体に対する親和性(粘着性)と関係する。この理由で、低粘度の液体は、より高粘度の液体よりも拡張(spread:広がり)が遅い場合がある。例として、極性が高く、非常に低粘度の液体である水は、非極性表面材料であるTeflon(商標)(ポリテトラフルオロエチレン)上では全く拡張しない。水はそれ自体に対して高い親和性を有し、Teflon(商標)には親和性を有しない。
【0007】
脂肪酸エステル油(「エステル」)はエモリエント及びコンディショニング剤として使用され、皮膚、毛、及び爪等の角質化表面に対して使用される目的で組成物に含まれる。エステル材料中のエステル結合は極性である。また、皮膚、毛、及び爪等の角質化表面も
また極性である。このため、エステルはこれらの基体に対して接着性である。
【0008】
エステルは、極性-極性相互作用によって接着し、その理由で、特に皮膚に対してコンディショニングの利益をもたらす。また、この極性-極性相互作用によって、エステル分子がそれら自体に接着し、粘着性となり、塗りやすさが低下する。
【0009】
従来のパーソナルケア製品は、シリコーンのオイル又は流体等の揮発性の担体又は溶媒においてこれらの皮膚又は「シリコーン流体」/毛/爪へと送達される石油化学製品に由来するエステルに頼っていた。シクロメチコン及び低分子量のジメチコン等の揮発性シリコーンオイルは、本質的には非極性であるため、接着性に乏しく、また粘着性にも乏しい。シリコーンオイルは、より速く塗布できることと関連する、毛及び皮膚に対する低い接触角を持ち、揮発性である、すなわち室温で表面から蒸発する。それらの揮発性によって、シリコーンオイルは基体上に残らないことから、エモリエント又はコンディショニング剤としては機能しない。しかしながら、シリコーンオイルは、不揮発性エモリエント、有効成分、及びより高粘度のエステル等の他の成分を制汗剤等の適用において基体に送達するのには有用である。エモリエント及びポリマー等の他の成分と混和されると、シリコーンオイルは材料上での全体的な塗りやすさを増加させ、皮膚表面により薄い残留層を残し、望ましい、より軽い皮膚触感を与える。しかしながら、シリコーンオイルも石油化学製品に由来する。
【0010】
パーソナルケア及びホームケアにおける石油化学製品由来原料の使用から離れる傾向は依然として強い。植物性(vegetable/plant)物質等の再生可能な資源に由来する製品は
、石油化学製品由来の材料とは対照的に、消費者に対して「天然」と提示され得る。さらに、多くの製造業者は、森林破壊、微気象変動及び在来種の生息地破壊と関係する懸念を考慮して、例えば、アフリカアブラヤシであるエライス・オレイフェラ(Elaeis oleifera)、エライス・ギニエシス(Elaeis guineessis)及び/又はマリパヤシであるアッタレア・マリパ(Attalea maripa)等のアブラヤシ属又はアッタレア属の植物に由来する「パーム油」由来原料を回避することを好む。
【0011】
現在まで、幾つかの100%植物由来低粘度エステルが開発され、LexFeel Natural(ウンデシレン酸ヘプチル、米国INOLEX, Inc.)、SustOleo DCS(コハク酸ジイソオクチル、米国INOLEX, Inc.)、及びSustOleo MCT(トリヘプタノイン、米国INOLEX, Inc.)等が商品化されている。さらに、これらの製品は各々、パーム油由来ではない。
【0012】
また、炭化水素流体は、キャリア流体及び溶媒としての使用について知られている。多くは揮発性であり、揮発性シリコーンのように非極性であって、基体上により速く塗布できることと関連する低い接触角を生じさせる。例えば、直鎖炭化水素のParafol(ドイツ国、Sasol)シリーズは、ココナツとアブラヤシの両方の供給源に由来する。別の
例は、全体で15個の炭素原子を含む分岐鎖炭化水素物質の水添ファルネセンである、Neossance Hemisqualane(米国、Amyris)である。
【0013】
親材料であるファルネセンは、例えば、その内容が引用することにより本明細書の一部をなす、国際公開第2017059136号に記載されているように、サトウキビの発酵に由来する。
【0014】
炭化水素と混和されたエステル油の使用が開示されている。例えば、特許文献1は、シクロメチコン液の触感を再現するためのネオペンチルグリコールに由来するエステルとイソドデカンとの混合物を記載しているが、これらの混合物は石油化学製品を起源とする材料に由来するため天然と表示することができない。
【0015】
特許文献2は、ココナツ由来の直鎖炭化水素と、シリコーンの触感を模倣するとされている不揮発性油との混合物を開示している。アルカン構造物中の分岐は、直鎖アルカンと同じくらい密に詰まる(pack together)ことができないため、より軽い触感を提供する
。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開第2004103308号
【特許文献2】国際公開第2010115973号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
産業界において、不揮発性の液体エモリエントエステルの塗りやすさを改善して触感を改善するための効率的な方法が必要とされている。驚いたことに、皮膚及び皮膚のような基体に対するエモリエントの塗りやすさを研究する間に、本発明者らは、改善された官能特性をもたらす、エステルの塗りやすさを改善する方法を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0018】
分岐鎖炭化水素、及び約100センチストークス以下の動粘度を有するエステルのブレンドを含む塗布可能なコンディショニング組成物を含む発明が本明細書に記載される。上記組成物は、例えば、分岐鎖炭化水素及びエステルの各々が独立して植物由来である場合、天然となり得る。さらに、上記組成物は、パーム油由来の原料を欠いてもよい。或る実施の形態では、上記組成物は、水添ファルネセンと、トリヘプタン酸グリセリル、コハク酸ジカプリル、ウンデシレン酸ヘプチル、及びそれらの混合物から選択されるエステルとのブレンドである。上記組成物は、約4~約8の平均拡張速度を示す。
【0019】
また、パーソナルケア、ホーム/施設でのケア、工業、薬学的及び医学的、並びに獣医学的なケア製品における使用に対する製剤が開示される。
【0020】
本発明は、表面コンディショニング製剤を作製する方法であって、上述の組成物と、例えば、界面活性剤、着色剤、洗浄剤、物理的日焼け止め(mechanical sunscreen)、芳香剤、キレート剤、抗酸化剤、UV吸収化合物、微粒子及び溶媒等の追加の原料とを混合することを含む、方法、又は約4~約8の平均拡張速度を有する天然組成物を作製する方法であって、天然分岐鎖炭化水素と、約100センチストークス以下の動粘度を有する天然エステルとを混和することを含む、方法を含む。
【0021】
上記組成物の使用方法は、例えば、コンディショニング剤の塗りやすさを増加させる方法であって、上記コンディショニング剤と分岐鎖炭化水素とを合わせることを含み、上記コンディショニング剤が約100センチストークス以下の動粘度を有するエステルである、方法、及び表面に本発明の製剤を塗布することによって表面に材料を送達する方法であって、上記製剤が本発明の組成物と、例えば、UV吸収剤、生物学的薬剤(biologic)、つや出し剤、抗菌剤、抗酸化剤、マイカ、グリッター、色素、防錆剤、変色防止剤、漂白剤、及びセルフタナー(self-tanner)等の追加の原料とを含む、方法を含む。
【0022】
上記の概要及び以下の本発明の実施形態の詳細な説明は、添付の図面と一緒に読むことでより良く理解され得る。本発明を概説する目的のために、好ましいものとされ得る実施形態が図面に示されている。しかしながら、本発明は、示された設備及び機器そのものに制限されないと理解されるべきである。
【0023】
少なくとも1つのカラー写真の図面が本明細書に含まれる。カラー図面を含むこの特許又は特許出願の公開公報の複写は、請求及び必要な手数料の支払いにより特許庁によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の組成物の例示的な成分の化学構造を示す図である。
【
図2】本発明及び比較の組成物の様々な物理的及び化学的な特性に対する値を示すチャートである。
【
図3】平均拡張速度を評価するために使用した例示的な実験装置の写真である。
【
図4】各試料について集めた平均拡張速度のデータを示すチャートである。
【
図5】本発明により作製された制汗剤組成物に対する白化の減少を実証する写真である。
【
図6】本発明により作製された制汗剤組成物に対する白化の減少を実証する写真である。
【
図7】本発明により作製された制汗剤組成物に対する白化の減少を実証する写真である。
【
図8】様々な試料間のカラーペイオフの違いを説明する写真である。
【
図9】様々な試料間のカラーペイオフの違いを説明する写真である。
【
図10】試験パネルから得られた官能データのグラフによる表示の図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書に記載される発明は、そのコンディショニング特性に加えて、多岐にわたる利点を提供するコンディショニング又はエモリエント組成物を含む。例えば、皮膚又は他の角質化表面に塗布された場合、上記組成物は高い平均拡張速度を有し、表面を整えながら、使用者に脂っぽい皮膚触感(skinfeel)ではなく「軽い」皮膚触感を提供する組成物をもたらす。上記組成物は、その全ての成分が植物由来となり得るため、100%天然となるように調製され得る。その一方で、パーム油由来の原料の使用も回避され得る。本発明の範囲には、限定されずに、上記組成物それ自体、上記組成物を使用する方法及び/又は作製する方法、エモリエントエステル、最終製品、例えばパーソナルケア、薬学的、若しくは工業、施設及び/又はホームケアの製品、又は上記組成物を含む製剤の平均拡張速度を改善する方法、並びに本発明の組成物を塗布することによって、表面、例えば角質化表面、生地又は繊維等の表面をコンディショニングする方法が含まれる。
【0026】
本明細書で使用される「コンディショニング」は、加脂化、潤滑化、平滑化、柔軟化、つや出し(patinating)、及び/又は生きている皮膚に関して、小じわ及びしわの出現を減少することのいずれか1以上を遂行することを意味する。したがって、「コンディショニング剤」は、加脂化、潤滑化、平滑化、柔軟化、つや出し、及び/又は生きている皮膚に関して、小じわ及びしわの出現を減少することのいずれか1以上を化学的に行うことができる材料である。
【0027】
望ましい場合は、本発明のコンディショニング組成物は、100%天然となるように、すなわち石油化学製品に由来するいかなる原料も存在しないように調製され得る。或る実施形態では、上記組成物の全ての成分は、植物(botanical and plant)(すなわち「植
物性」)の供給源から得られる。かかる供給源として、限定されないが、プルナ(Pruna
)属植物、ヤシ科植物、ココナツ、アブラヤシ、アーモンド、トウゴマ、コーン(corn)(トウモロコシ(maize))、綿実、亜麻仁、麻の実、ナッツ、オリーブ、ピーナツ、ベ
ニバナ、ゴマ、ダイズ、ヒマワリ、ホホバ、及びそれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0028】
本発明の実施において、エステル(複数の場合がある)、分岐鎖炭化水素、及び/又は任意の追加の成分の各々が植物由来(すなわち「天然」)であってもよい。全ての成分が
植物由来である場合、上記組成物又は製剤全体を「天然」と称してもよい。
【0029】
本発明は、エモリエント又はコンディショニング剤としての役割を果たし得るエステル又はエステルの混合物を含む。任意のエステル(複数の場合がある)が使用され得る。しかしながら、選択されるエステルは、ニューヨーク州コンショホッケンの米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials)のASTM法D445(添付物Aを参照されたい)に述べられているプロトコルによって粘度が測定される場合、約100センチストークス以下、或いは、約75センチストークス以下、約50センチストークス以下、又は約25センチストークス以下の動粘度を有することが好ましい場合がある。
【0030】
或る実施形態では、選択されるエステルは、約1個~約15個のエステル結合、すなわち約2個、約3個、約4個、約5個、約6個、又は約7個のエステル結合を有する。結合は、エステル分子の主鎖又は置換基上にあってもよいが、少なくとも1個~4個の結合はエステル分子の主鎖にあることが好ましい場合がある。
【0031】
任意のサイズ/分子量のエステルが使用され得るが、或る実施形態では、エステルは合計約15個~30個の炭素を有する。
【0032】
或る実施形態では、上記エステルが、中鎖カルボン酸のグリセリルトリエステル、中鎖二価酸と中鎖の直鎖又は分岐鎖のアルコールとのジエステル、中鎖カルボン酸と中鎖アルコールとのモノエステル、及びそれらの混合物から選択される(全ての例において、「中鎖」は約6個~約10個の炭素原子の炭化水素鎖である)。エステルは、例えば、トリヘプタン酸グリセリル、コハク酸ジカプリル、ウンデシレン酸ヘプチル、及びそれらの混合物の1以上であることが好ましい場合がある。これらの例示的なエステルの化学構造を
図1に示す。これらの材料を、例えば、SustOleo DCS、SustOleo MCT、及びLexFeel Naturalとして、INOLEX, Inc.から購入することができる。
【0033】
本発明は、炭化水素、好ましくは分岐鎖炭化水素を含む。IUPAC命名規則を参照して、或る実施形態では、分岐鎖炭化水素は、少なくとも1つの置換鎖(すなわち「分岐」)を持つ炭化水素主鎖を含む。分岐鎖炭化水素は、合計で(すなわち、主鎖と、置換鎖(複数の場合がある)すなわち分岐とを合わせて)及び/又は分岐が無い場合には主鎖単独で、任意の数の炭素原子を含み得る。
【0034】
或る実施形態では、分岐鎖炭化水素は、合計で約10個~約70個、約20個~約50個、又は約30個~約40個の炭素原子を含むことが好ましい場合がある。或る形式の本発明の組成物では、分岐鎖炭化水素は、合計で約9個、約10個、約11個、約12個、約13個、約14個、及び約15個、約16個、約17個、約18個、又は約19個の炭素原子を含む。
【0035】
炭化水素主鎖に関して、幾つかの実施形態では、炭化水素主鎖が5個~50個、又は10個~30個の炭素原子を有することが望ましい場合がある。
【0036】
或る実施形態では、置換鎖(複数の場合がある)は、独立してメチル基(-CH3)であることが好ましい場合がある。或いは、置換鎖は、独立して任意の数の炭素原子を有してもよく、すなわちエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、及び/又はヘプチルであってもよい。所与の炭化水素主鎖上の全ての置換鎖(複数の場合がある)は、同一でもよく、異なってもよい。
【0037】
上に示されるように、炭化水素は、少なくとも1つの置換鎖すなわち「分岐」を持つ炭
化水素主鎖を有するという点で分岐鎖である。或る実施形態では、分岐鎖炭化水素は、炭化水素主鎖上にある、すなわち主鎖から伸びる、少なくとも3つの分岐、又は約2~約10の分岐、約4又は約5の分岐を有する。
【0038】
好ましいとされ得る任意の実施形態では、分岐鎖炭化水素は「X」によって表される合計の炭素原子含有量を有し、炭化水素主鎖は「Y」によって表される炭素原子含有量を有する。「X」は13~50の整数であり、「Y」は10個~30個の炭素原子である。或いは、「X」は15個の炭素原子であり、「Y」は12個の炭素原子である。かかる例では、炭化水素主鎖に存在しない炭素原子(すなわち、XとYの差(例えばX-Y))は、炭化水素主鎖からの1以上の置換鎖を形成する役割を果たす。
【0039】
或る実施形態では、分岐鎖炭化水素は水添ファルネセンであり、その構造物は
図1に示される。
【0040】
具体的な構造にかかわらず、ニューヨーク州コンショホッケンの米国材料試験協会のASTM法D445(添付物Aを参照されたい)に述べられているプロトコルによって粘度が測定される場合、選択される分岐鎖炭化水素(複数の場合がある)は、約100センチストークス以下、或いは約80センチストークス以下、約60センチストークス以下、又は約30センチストークス以下の動粘度を有することが好ましい場合がある。
【0041】
上記組成物は、好適な容器において上記流体を均質になるまで混合することによって調製される。上記エステル及び分岐鎖炭化水素の各々の成分の量は、選択される特定の成分、他の原料の包含、製剤化される最終製品、望まれる最終特性等の幾つかの因子に応じて変化する。一般に、分岐鎖炭化水素及びエステルは、約2:約3、約1:約2.5、約1:約1、又は約2.5:約1の1つである相対重量比(重量%炭化水素:重量%エステル)で存在することが好ましい場合がある。
【0042】
上記組成物を、例えば、濃縮物又は混合物として予め調製して、表面にそのまま塗布してもよい。或いは、上記組成物を後に第2の調製製剤に組み込んで、最終製品を提供してもよい。代替的には、個々の成分を調製製剤に添加して、最終製品を形成してもよい。最終製品は、例えば、パーソナルケア製品、ホームケア/施設ケアの製品、工業製品、及び/又は薬学的若しくは獣医学的な製品であってもよい。
【0043】
他の原料が存在しない実施形態では、分岐鎖炭化水素は、全組成物の約30重量%~約80重量%、全組成物の約40重量%~約70重量%、又は全組成物の約50重量%~約60重量%の量で上記組成物中に存在することが好ましい場合がある。
【0044】
したがって同様に、上記エステルは、全組成物の約20重量%~約70重量%、全組成物の約30重量%~約50重量%、又は全組成物の35重量%~約45重量%の量で上記組成物中に存在することが好ましい場合がある。
【0045】
他の原料は、製造、輸送及び/又は保管の場合において補助するため、又はエンドユーザー/消費者に更なる利益又は経験を提供するためのいずれかで本発明の組成物中に含まれ得る。例は、防腐剤、着色剤、芳香剤、微粒子、脂質、タンパク質、感覚惹起剤(sensates)及びキレート剤である。さらに、上記組成物の高い平均拡張速度のおかげで、上記組成物は、塗布される表面に対して様々な追加の作用物質の送達に適した接着性の薄層を提供する。限定されず、かかる物質として、物理的日焼け止め、紫外線吸収剤、生物学的薬剤を含む薬学的物質、つや出し剤、抗菌剤、抗酸化剤、マイカ、グリッター、色素、防錆剤、変色防止剤、増白剤、蛍光増白剤、青味剤、及び/又はセルフタナーが挙げられる。
【0046】
本発明の組成物は、様々な表面、例えば、硬質表面、金属、木材、石、鞣皮、毛皮及び毛、生地、天然及び合成の繊維、並びに毛、皮膚、爪/鉤爪、及びひづめ等の角質化表面等への塗布に対する、パーソナルケア、医薬、ホーム/施設ケア及び工業製品に組み込まれ得る。上記組成物は、実質的に炭化水素とエステルのみを含んでもよく、又は他の原料を含んでもよい。
【0047】
また、かかる製品は、関連する製品分野において通例である他の原料、例えば、界面活性剤、芳香剤、着色剤、安定剤、ビルダー、アンモニア、洗浄剤、微粒子、追加の保湿剤又はコンディショナー、グリセリン、溶媒、水、湿潤剤、スメクタイト、及び/又は他の粘土、リモネン等と並んで、上に列挙される添加剤を含み得る。
【0048】
本発明の組成物は、コンディション剤の塗りやすさを増加させる方法において使用され得て、ここで、コンディショニング剤は、約100センチストークス以下の動粘度を有すルエステルである、及び/又は中鎖カルボン酸のグリセリルトリエステル、中鎖二価酸と中鎖の直鎖若しくは分岐鎖のアルコールとのジエステル、中鎖カルボン酸と中鎖アルコールとのモノエステル、及びそれらの混合物の1以上である。
【0049】
上記の構成要素の全ての順列は、構成要素の存在又は不在を含めて、本発明の組成物、製剤及び/又は方法の実施形態において検討されている。
【実施例0050】
実施例1-本発明の組成物の調製及び分析
下記表1に示される原料を含む10種類の組成物を調製した。
【0051】
【0052】
全ての成分は室温の液体である。上記の各々の試料を好適な容器に添加し、均一になるまで撹拌することによって調製した。
【0053】
各々試料を、表2に示される分析技法を使用して、以下の特性について評価した。
【0054】
【0055】
各ASTMの内容は、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0056】
【0057】
実施例2-塗りやすさの基準としての平均拡張速度の評価
試料組成物1~試料組成物10の各々の拡張速度を、以下の基本手順を使用して評価した。人工皮膚基体を使用して、平均拡張速度を決定した。拡張は、拡張面積が増える速度である。拡張は、常に、液体が基体に接触した瞬間が最も速く、その後、時間と共に0まで漸近的に遅くなる。
【0058】
これらの値を決定するため、3インチ×3インチ四方のVITRO-SKIN(商標)(米国メーン州ポートランドのIMS, Inc.)メンブレン片を、16時間に亘り室温(23
℃)で湿度60%に設定した湿度チャンバーにおいて予め水和した。マイクロピペットに試験材料を充填し、リングスタンドを使用して人工膜の上1インチの所に正確に置いた。実験装置を
図3に示す。
【0059】
1滴の試料組成物(50μL)を3インチ×3インチ四方のVITRO-SKIN(商標)の中心部に落とした。拡張は、接触点から外側へと進み、円形のスポットを作った。VITRO-SKIN(商標)の濡れた円形の領域を見ることができるため、直径を測定することができる。この拡張する直径を接触から1分後、3分後、及び5分後に測定した。センチメートル単位で上記スポットの直径をとり、二等分して半径を得て、その半径を二乗した後、πを乗じて拡張面積を特定した。得られたデータは、1分、3分、及び5分の時点の面積を与える。各時点の面積を先の時間点の面積から減じることにより、覆われた増加分の追加面積を計算することができる。したがって、平均拡張速度は、覆われる面積を各間隔に対する時間間隔で除した後、時間間隔の合計数で除することにより特定され得る。したがって、1つの実験当たり3回の間隔に対する平均拡張速度を決定する等式は以下の通りである。
【0060】
SAt1=[(D1cm/2)2π 単位はcm2である。t1=1分-0分=1分。
SAt2=[(D2cm/2)2π 単位はcm2である。t2=3分-1分=2分。
SAt3=[(D3cm/2)2π 単位はcm2である。t3=5分-3分=2分。
式中、
D1=1分後の円の直径
D2=3分後の円の直径
D3=5分後の円の直径
SAt1=1分後の円の面積
SAt2=3分後の円の面積
SAt3=5分後の円の面積
【0061】
したがって、
平均拡張速度=[(SA1-0)cm2/1分+(SA2-SA1)cm2/2分+(SA3-SA2)cm2/2]/3
【0062】
各試料番号について、平均拡張速度を決定した。結果を
図4に示す。結果は3回の測定の平均である。
【0063】
実施例3-パネリストによる官能分析
ヒトによる使用の全ての段階で各製品の性状を評価し、比較するためのパーソナルケア及び化粧料製品の官能分析は、パネリストの知覚に頼る。この実施例では、パネリストは、手に取った後、塗り広げた後、及び塗布後の皮膚における上記製品の触感(使用後感)の知覚を説明することに焦点を置いた。
【0064】
手に取る段階の間、パネリストは、皮膚に対して指が付着する強さである「べたつき」を評価し、人差し指と親指の先を使用して試験した。
【0065】
塗り広げる段階では、パネリストは、皮膚への上記製品の広げやすさである「塗りやすさ」を判定し、前腕に反対側の手で上記製品を塗ることによって試験した。
【0066】
最後に、使用後感の段階において、パネリストは、肌すべり(slipperiness)、肌残り(residue)及びつやを考慮するように指示された。「肌すべり」は、上記製品を塗り広
げた後、前腕の皮膚の上で2本の指を動かす際の動かしやすさである。「肌残り」は、上記製品を塗り広げた後、指先で知覚される皮膚上に残った製品の量の知覚である。「つや」は、同じ照明の設定のもとで見られる皮膚が光を反射する量又は程度である。
【0067】
試料組成物を試験する前に、パネリストは全員、各技術用語の意味、及びこの官能分析の各側面(手に取ること、塗り広げること、及び使用後感)をどのようにして判定するのかについて予め訓練を受けた。試験製剤を評価する前に、低レベル及び高レベルの5つのパラメーター(べたつき、塗りやすさ、肌すべり、肌残り、及びつや)の各々について標準参照試料を試すことによって、上記パネルを較正した。
【0068】
パネリストが各参照に対して異なる強度を知覚したとしても、彼らは全員、どの試料がより低いレベル及びより高いレベルの各パラメーターを示したかについて意見が一致した。この官能パネルで使用された手順は、米国材料試験協会の推奨するもの(ASTM E1958、その内容は引用することにより本明細書の一部をなす)に基づいた。
【0069】
実施例4-本発明の組成物を含む制汗剤スティックの製剤化
皮膚又は衣類の白化は、アルミニウム塩等の固形制汗剤活性物質を含む制汗剤スティックにおいて望ましくない。制汗剤用途に使用される一般的なアルミニウム塩は、クロロヒドロキシアルミニウム(ACH)、活性化クロロヒドロキシアルミニウム(AACH)、従来のアルミニウムジルコニウム活性物質(ZAG活性物質)、及び活性化アルミニウムジルコニウム活性物質(AZAG)である。典型的な制汗剤スティックは、蝋様物質、塗膜形成物質、芳香剤、及び揮発性担体の流体を含み得る。以下の例は、本発明の組成物がどのようにして白化を減少し得るかを示す。
【0070】
以下の組成に従って例示的な制汗剤スティックを調製した。一般的なシリコーン材料であるシクロメチコンは比較用の従来技術の流体であった。
【0071】
【0072】
上記製剤を、ビーカーで相Aの原料を混和することによって作製した。別々のビーカーにおいて、Speed Mixerを使用して相Bの成分を共に混和した。次いで、相Bを相Aに添加し、マグネティックスターラーで撹拌した後、80℃まで加熱し、10分間~30分間維持した。その混合物を70℃まで冷却した後、相Cを添加した。その混合物を65℃まで冷却し、キャニスターに注いだ後、室温まで冷却した。各例で得られたのは、固形スティックであった。
【0073】
白化の減少を説明するため、上記スティックを黒い紙にこすりつけた。ゼロ時(最初)、約30分後、及び1時間後に写真を撮影した。
図5、
図6、及び
図7は、3つの時点における本発明の組成物を含む製剤A、対照組成物である製剤B、並びに2種類の市販の制汗剤である、米国オハイオ州シンシナティのProcter & Gamble製「Secret Australia Eucalyptus Blossoms」及びUnilever(英国ポートサンライト)製Dove Powder Invisible Solidを示す。
【0074】
図5、
図6、及び
図7の写真は、実施例1の試料6番の本発明の組成物を含むことによる、白化の劇的な減少を示す。
【0075】
実施例5-本発明の組成物を含むアイシャドウの形成
アイシャドーポット等のカラー化粧料における望ましい性状として、手に取りやすさ、改善されたカラーペイオフ、リッチ感(feeling of richness)、及び使用後の保湿感が
挙げられる。カラーペイオフは、等量の製品が塗布された場合に観察される色の深み及び鮮やかさ(vibrance)の程度(amount)の意味がある。すなわち、製品Bと同じ量の製品Aが皮膚に塗布される場合、製品Bがより深い色味(higher depth of color)を示す場
合に製品Bがより良好であるとされる。また、より心地よい、絹のような滑らかな使用後感は望ましい性状である。
【0076】
以下の製剤を、比較のため従来技術及び本発明のアイシャドウの例として調製した。一般的なシリコーン材料であるシクロメチコンは、比較用の従来技術の流体であった。製剤EAは本発明の組成物を含むが、EBは含まない。
【0077】
【0078】
上記製剤を調製するため、相Aの成分を、ビーカーにおいて3500rpmの撹拌速度の高速ミキサーを使用して合わせた。次いで、相Bの成分を添加し、その混合物を80℃まで加熱して、マグネティックスターラーを使用して撹拌した。混合物が滑らかで均質になると、その混合物を冷却し、次いで容器に注ぎ、室温まで冷却した。
【0079】
カラーペイオフを説明するため、等量の各製剤を黒い紙にこすりつけた。
図8及び
図9は、黒い紙及びヒト皮膚におけるカラーペイオフの改善を示す写真を示している。
【0080】
実施例6-カチオン性ローションの調製
非常に一般的な従来技術の流体であるシクロペンタシロキサンと比較して、本発明の流体を使用することで得られ得る改善された官能特性を説明するため、以下のカチオン性ローションを調製した。
【0081】
【0082】
ビーカーで相Aの成分を合わせ、プロペラ撹拌を用いて均質になるまで約80℃に加熱することで上記製剤を調製した。別々のビーカーにおいて相Bの成分を合わせ、約80℃までプロペラ撹拌によって加熱した。次いで、相Bを相Aに添加し、約3分間4000RPMで均質化した。
【0083】
その後、均質化を停止し、撹拌をプロペラ混合と置き換え、上記混合物を約50℃まで冷却させるとエマルジョンが形成された。エマルジョンをキャニスターに注ぎ、室温まで冷却した。得られた粘度は、CAに対して58500センチポアズであり、CBに対しては39000センチポアズであった。得られたpHは、CAに対して4.16であり、CBに対して4.06であった。
【0084】
エマルジョンの官能特性は、先に記載される通りに評価したパネルであった。結果を
図10のダイヤグラムに示す。
【0085】
当業者は、広範な本発明の概念を逸脱しなければ、上記の実施形態を変更することができることが認められる。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の趣旨及び範囲内の変更形態を含むように意図されることが理解される。
パーソナルケア組成物における使用のための塗布可能なコンディショニング組成物であって、分岐鎖炭化水素と、約100センチストークス以下の動粘度を有するエステルとのブレンドを含む、組成物。
当業者は、広範な本発明の概念を逸脱しなければ、上記の実施形態を変更することができることが認められる。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の趣旨及び範囲内の変更形態を含むように意図されることが理解される。
項1.
パーソナルケア組成物における使用のための塗布可能なコンディショニング組成物であって、分岐鎖炭化水素と、約100センチストークス以下の動粘度を有するエステルとのブレンドを含む、組成物。
項2.
前記分岐鎖炭化水素及び前記エステルの各々が独立して植物由来である、項1に記載の組成物。
項3.
前記植物由来分岐鎖炭化水素及び前記植物由来エステルの各々が独立してパーム油由来ではない、項2に記載の組成物。
項4.
前記分岐鎖炭化水素が炭化水素主鎖上に少なくとも3つの分岐を有する、項1に記載の組成物。
項5.
前記分岐鎖炭化水素の炭化水素主鎖が10個~30個の炭素原子を有する、項2に記載の組成物。
項6.
前記分岐鎖炭化水素が合計でX個の炭素原子を有し、炭化水素主鎖がY個の炭素原子を有し、Xが13~50の整数であり、Yが10~30の整数の炭素原子である、項1に記載の組成物。
項7.
前記Xが15であり、Yが12である、項6に記載の組成物。
項8.
前記分岐鎖炭化水素が水添ファルネセンである、項1に記載の組成物。
項9.
前記分岐鎖炭化水素が、約100センチストークス以下の動粘度を有する、項1に記載の組成物。
項10.
前記エステルが合計で15個~30個の炭素を有する、項1に記載の組成物。
項11.
前記エステルが、2個、3個、4個、5個、又は6個のエステル結合を有するエステルから選択される、項1に記載の組成物。
項12.
前記エステルが、中鎖カルボン酸のグリセリルトリエステル、中鎖二価酸と中鎖の直鎖又は分岐鎖のアルコールとのジエステル、中鎖カルボン酸と中鎖アルコールとのモノエステル、及びそれらの混合物から選択される、項1に記載の組成物。
項13.
前記エステルが、トリヘプタン酸グリセリル、コハク酸ジカプリル、ウンデシレン酸ヘプチル、及びそれらの混合物から選択される、項1に記載の組成物。
項14.
前記炭化水素が、合計で15個~20個の炭素原子及び炭素原子12個の炭化水素主鎖を有する炭化水素、水添ファルネセン、並びにそれらの混合物から選択され、前記エステルが、トリヘプタン酸グリセリル、コハク酸ジカプリル、ウンデシレン酸ヘプチル及びそれらの混合物から選択される、項1に記載の組成物。
項15.
前記分岐鎖炭化水素が、全組成物の約30重量%~約80重量%の量で前記組成物中に存在する、項1に記載の組成物。
項16.
前記分岐鎖炭化水素が、全組成物の約40重量%~約70重量%の量で前記組成物中に存在する、項1に記載の組成物。
項17.
前記エステルが、全組成物の約20重量%~約70重量%の量で前記組成物中に存在する、項1に記載の組成物。
項18.
前記エステルが、全組成物の約30重量%~約50重量%の量で前記組成物中に存在する、項1に記載の組成物。
項19.
前記分岐鎖炭化水素及び前記エステルが、
約2:約3、
約1:約2.5、
約1:約1、及び、
約2.5:約1、
から選択される相対重量比(重量%炭化水素:重量%エステル)で存在する、項1に記載の組成物。
項20.
約4~約8の平均拡張速度を示す、項1に記載の組成物。
項21.
分岐鎖炭化水素と、約100センチストークス以下の動粘度を有するエステルとのブレンドから本質的になる塗布可能なコンディショニング組成物。
項22.
前記分岐鎖炭化水素が水添ファルネセンであり、前記エステルがトリヘプタン酸グリセリル、コハク酸ジカプリル、ウンデシレン酸ヘプチル、及びそれらの混合物から選択される、項21に記載の組成物。
項23.
項1に記載の組成物と、
界面活性剤、着色剤、洗浄剤、物理的日焼け止め、芳香剤、キレート剤、抗酸化剤、UV吸収化合物、微粒子、溶媒、カチオン性乳化剤、非イオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、及び抗菌剤から選択される追加の原料と、
を含む製剤。
項24.
表面コンディショニング製剤を作製する方法であって、項1に記載の組成物と、界面活性剤、着色剤、洗浄剤、物理的日焼け止め、芳香剤、キレート剤、抗酸化剤、UV吸収化合物、微粒子及び溶媒から選択される追加の原料とを混合することを含む、方法。
項25.
前記製剤が天然である、項24に記載の方法。
項26.
前記製剤が天然であり、パーム油由来原料を含まない、項24に記載の方法。
項27.
約4~約8の平均拡張速度を有する組成物を作製する方法であって、天然分岐鎖炭化水素と、約100センチストークス以下の動粘度を有する天然エステルとを混和することを含む、方法。
項28.
コンディショニング剤の塗りやすさを増加させる方法であって、前記コンディショニング剤と分岐鎖炭化水素とを合わせることを含み、前記コンディショニング剤が約100センチストークス以下の動粘度を有するエステルである、方法。
項29.
前記エステルが、中鎖カルボン酸のグリセリルトリエステル、中鎖二価酸と中鎖の直鎖又は分岐鎖のアルコールとのジエステル、中鎖カルボン酸と中鎖アルコールとのモノエステル、及びそれらの混合物から選択される、項28に記載の方法。
項30.
前記エステルが、トリヘプタン酸グリセリル、コハク酸ジカプリル、ウンデシレン酸ヘプチル、及びそれらの混合物から選択される、項28に記載の方法。
項31.
表面に材料を送達する方法であって、表面に製剤を塗布することを含み、前記製剤が項1に記載の組成物と、UV吸収剤、生物学的薬剤、つや出し剤、抗菌剤、抗酸化剤、マイカ、グリッター、色素、防錆剤、変色防止剤、漂白剤、及びセルフタナーから選択される追加の原料とを含む、方法。
項32.
前記表面が、皮膚、毛皮、毛、爪又はひづめの表面である、項31に記載の方法。