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特開2024-157058光学モジュール、及び光学モジュールの組み立て方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157058
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】光学モジュール、及び光学モジュールの組み立て方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
G02B6/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120319
(22)【出願日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000110309
【氏名又は名称】住友電工オプティフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】向島 健太
(72)【発明者】
【氏名】畑山 均
(72)【発明者】
【氏名】柴田 雅弘
【テーマコード(参考)】
2H137
【Fターム(参考)】
2H137AB05
2H137BA20
2H137BC02
2H137BC32
2H137BC33
2H137BC51
2H137CA13E
2H137CA15A
2H137CA15C
2H137CA35
2H137CA74
2H137CA75
2H137CA78
2H137CB06
2H137CB26
2H137CB34
2H137CC01
2H137DB09
2H137DB10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】斜めカットした光ファイバの接続損失を低減することができる光学モジュールを提供する。
【解決手段】コリメータ10、光部品20、及び基台30を備える光学モジュール1が開示される。コリメータ10は、自らの中心軸に垂直な平面に対して先端が第1角度で傾斜するように斜めカットされている光ファイバ12、光ファイバ12に光学的に結合されるレンズ、並びに、光ファイバ12の先端部分及びレンズを収納する筒部を有する。光部品20はコリメータ10に光学的に結合される。基台30にはコリメータ10及び光部品20が設置される。基台30には、コリメータ10の少なくとも一部を収納すると共に収納されたコリメータの軸方向を定める溝32が設けられている。溝32の中心軸C2は、光部品20の光軸に平行な基準線に対して第2角度で傾斜する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自らの中心軸に垂直な平面に対して先端が第1角度で傾斜するように斜めカットされている光ファイバ、前記光ファイバに光学的に結合されるレンズ、並びに、前記光ファイバの先端部分及び前記レンズを収納する筒部を有するコリメータと、
前記コリメータに光学的に結合される光部品と、
前記コリメータ及び前記光部品が設置される基台と、を備え、
前記基台には、前記コリメータの少なくとも一部を収納すると共に収納された前記コリメータの軸方向を定める溝が設けられており、
前記溝の中心軸は、前記光部品の光軸に平行な基準線に対して第2角度で傾斜する、
光学モジュール。
【請求項2】
前記第2角度は0.1度以上2度以下である、
請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項3】
前記第2角度は、前記第1角度に応じて設定される、
請求項1または請求項2に記載の光学モジュール。
【請求項4】
前記溝はV溝であり、
前記光部品は、光合分波器である、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光学モジュール。
【請求項5】
自らの中心軸に垂直な平面に対して先端が第1角度で傾斜するように斜めカットされている光ファイバ、前記光ファイバに光学的に結合されるレンズ、並びに、前記光ファイバの先端部分及び前記レンズを収納する筒部を有するコリメータを準備する工程と、
光部品を準備する工程と、
前記コリメータの少なくとも一部を収納すると共に収納された前記コリメータの軸方向を定める溝が設けられた基台を準備する工程と、
前記基台の溝に対して所定の位置となるように光パワー測定装置を配置する工程と、
前記コリメータを前記基台の溝に配置すると共に、前記コリメータから光を出射させながら前記コリメータを前記溝内で回転して前記光パワー測定装置で光パワーを測定して調芯を行う工程と、
測定した光パワーが所定値を超えて前記調芯を終了した後に、前記溝内に配置されている前記コリメータを固定する工程と、
前記光部品を前記基台の所定の箇所に設置して固定する工程と、を備え、
前記基台の前記溝は、前記溝の中心軸が前記基台に固定された前記光部品の光軸に平行な基準線に対して第2角度で傾斜するように形成されている、
光学モジュールの組み立て方法。
【請求項6】
前記調芯を行う工程では、前記光パワー測定装置で測定される光パワーが最大値となった場合、前記コリメータの前記溝内での回転を終了する、
請求項5に記載の光学モジュールの組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学モジュール、及び光学モジュールの組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、異なる波長成分を有する波長多重光を分波する光分波器を備えた光受信モジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-170363号公報
【特許文献2】特開2004-094242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光分波器等の光部品を備えた光学モジュールでは、例えば、図8に示すように、光ファイバ112が接続されたコリメータ110がプラットホーム130に設けたV溝132に設置されている。そして、出射部114からの光が光部品120の入出射面121に対して垂直に入射されるようにコリメータ110が調芯されている。しかしながら、コリメータに先端部分が収納される光ファイバでは、出射した光の反射戻り光を防止するため、光ファイバの先端を例えば8度の傾斜となるように斜めカットすることがある(図3を参照)。このような斜めカットにより、光ファイバから出射する光は、コリメータの中心軸に対して例えば0.2度程度傾いて出射される。これにより、斜めカットした光ファイバを光部品に結合する際に接続損失が生じていた。
【0005】
そこで、本開示では、斜めカットした光ファイバの接続損失を低減することができる、光学モジュール及び光学モジュールの組み立て方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る光学モジュールは、コリメータ、光部品、及び、基台を備える。コリメータは、自らの中心軸に垂直な平面に対して先端が第1角度で傾斜するように斜めカットされている光ファイバ、光ファイバに光学的に結合されるレンズ、並びに、光ファイバの先端部分及びレンズを収納する筒部を有する。光部品は、コリメータに光学的に結合される。基台にはコリメータ及び光部品が設置される。基台には溝が設けられ、溝は、コリメータの少なくとも一部を収納すると共に収納されたコリメータの軸方向を定める。溝の中心軸は、光部品の光軸に平行な基準線に対して第2角度で傾斜する。
【0007】
本開示の一側面に係る光学モジュールの組み立て方法は、自らの中心軸に垂直な平面に対して先端が第1角度で傾斜するように斜めカットされている光ファイバ、光ファイバに光学的に結合されるレンズ、並びに、光ファイバの先端部分及びレンズを収納する筒部を有するコリメータを準備する工程と、光部品を準備する工程と、コリメータの少なくとも一部を収納すると共に収納されたコリメータの軸方向を定める溝が設けられた基台を準備する工程と、基台の溝に対して所定の位置となるように光パワー測定装置を配置する工程と、コリメータを基台の溝に配置すると共に、コリメータから光を出射させながらコリメータを溝内で回転して光パワー測定装置で光パワーを測定して調芯を行う工程と、測定した光パワーが所定値を超えて調芯を終了した後に、溝内に配置されているコリメータを固定する工程と、光部品を基台の所定の箇所に設置して固定する工程と、を備える。基台の溝は、溝の中心軸が基台に固定された光部品の光軸に平行な基準線に対して第2角度で傾斜するように形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、斜めカットした光ファイバの接続損失を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る光学モジュールを示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す光学モジュールの一部を上方から視た上面図である。
図3図3は、コリメータに収納される光ファイバ及びコリメータレンズを示す図である。
図4図4は、図1に示す光学モジュールでの光の分波又は合波の例を説明するための図である。
図5図5は、図1に示す光学モジュールのプラットホームに光合分波器が設置された状態を示す上面図である。
図6図6は、図1に示す光学モジュールの組み立て方法を説明するための図である。
図7図7は、プラットホーム上において行うコリメータの調芯作業を説明するための図である。
図8図8は、光学モジュールの一般的な組み立て方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。一実施形態に係る光学モジュールは、コリメータ、光部品、及び、基台を備える。コリメータは、自らの中心軸に垂直な平面に対して先端が第1角度で傾斜するように斜めカットされている光ファイバ、光ファイバに光学的に結合されるレンズ、並びに、光ファイバの先端部分及びレンズを収納する筒部を有する。光部品は、コリメータに光学的に結合される。基台にはコリメータ及び光部品が設置される。基台には溝が設けられており、溝は、コリメータの少なくとも一部を収納すると共に収納されたコリメータの軸方向を定める。溝の中心軸は、光部品の光軸に平行な基準線に対して第2角度で傾斜する。
【0011】
この光学モジュールでは、斜めカットされている光ファイバを収納するコリメータが配置される基台の溝が、光部品の光軸に平行な基準線に対して第2角度で傾斜するように構成されている。この場合、斜めカットされている光ファイバから出射される光の入射軸が光部品の光軸に平行な基準線に一致する。これにより、斜めカットした光ファイバにおける光部品に対する接続損失を低減することができる。また、基準線に対して傾斜する溝にコリメータが配置される構成であるため、光ファイバから出射される光の入射軸が基準線に一致した状態を長期に亘って容易に維持することができる。これにより、長期に亘って低接続損失である光学モジュールを提供することができる。
【0012】
一実施形態として、第2角度は0.1度以上2度以下であってもよい。この場合、例えば8度程度に斜めカットされた光ファイバから出射される光の入射軸をより確実に基準線に一致させることができる。これにより、斜めカットした光ファイバの光部品に対する接続損失をより確実に低減することができる。なお、この場合において、第2角度は、第1角度に応じて設定されてもよい。
【0013】
一実施形態として、溝はV溝であってもよく、光部品は、光合分波器であってもよい。溝がV溝である場合、外形が円筒形状であるコリメータを中心軸周りに回転することができるため調芯する作業を行いやすくなることから、光ファイバから出射される光の入射軸をより確実に基準線に一致させることができる。また、光部品が光合分波器である場合、入射光の光軸ズレによる接続損失が光の合分波に与える影響が大きい。このため、光の入射軸をより確実に基準線に一致させることにより、光学モジュールにおいて、より確実に光の合分波を行うことが可能となる。
【0014】
また、一実施形態に係る光学モジュールの製造方法は、自らの中心軸に垂直な平面に対して先端が第1角度で傾斜するように斜めカットされている光ファイバ、光ファイバに光学的に結合されるレンズ、並びに、光ファイバの先端部分及びレンズを収納する筒部を有するコリメータを準備する工程と、光部品を準備する工程と、コリメータの少なくとも一部を収納すると共に収納されたコリメータの軸方向を定める溝が設けられた基台を準備する工程と、基台の溝に対して所定の位置となるように光パワー測定装置を配置する工程と、コリメータを基台の溝に配置すると共に、コリメータから光を出射させながらコリメータを溝内で回転して光パワー測定装置で光パワーを測定して調芯を行う工程と、測定した光パワーが所定値を超えて調芯を終了した後に、溝内に配置されているコリメータを固定する工程と、光部品を基台の所定の箇所に設置して固定する工程と、を備える。基台の溝は、溝の中心軸が基台に固定された光部品の光軸に平行な基準線に対して第2角度で傾斜するように形成されている。
【0015】
この光学モジュールの製造方法によれば、基準線に対して傾斜している溝にコリメータを設置し、この溝に設置されたコリメータを回転させることで調芯を行っている。この場合、回転調芯のみ又は回転調芯に少し追加した調芯作業で、光ファイバの調芯を完了することができ、調芯作業を容易なものとすることができる。また、調芯作業が容易になることから、製造される光学モジュール間での接続損失のバラツキを低減することが可能となる。
【0016】
上記の光学モジュールの組み立て方法の一実施形態として、調芯を行う工程では、光パワー測定装置で測定される光パワーが最大値となった場合、コリメータの溝内での回転を終了してもよい。この場合、光ファイバの接続損失をより低減することができる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示に係る光学モジュール及び光学モジュールの製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明においては同一の要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
図1は、一実施形態に係る光学モジュールを示す斜視図である。図2は、図1に示す光学モジュールの一部を上方から視た上面図である。図1及び図2に示すように、光学モジュール1は、コリメータ10、光合分波器20(光部品)、プラットホーム30(基台)、及び、レセプタクル40を備えている。レセプタクル40は、光ファイバ12を介してコリメータ10に光学的に結合される。光学モジュール1では、例えば波長多重光を分波する場合、レセプタクル40側から入射される光が光ファイバ12を介して伝搬され、コリメータ10の出射部14から出射されて光合分波器20に入射する。光合分波器20では、入射した波長多重光を分波して、各波長成分の光として出射する。なお、図2等では、理解の容易のため、コリメータ10が傾斜して配置されている点を強調して示している。
【0019】
図3は、コリメータに収納される光ファイバ及びコリメータレンズを示す図である。図3に示すように、コリメータ10は、光ファイバ12、コリメータレンズ16(レンズ)、及び、筒部18を有している。コリメータ10は、光ファイバ12の先端12aを含む先端部分12bとコリメータレンズ16とを筒部18内に収納する。光ファイバ12は、自らの中心軸に垂直な平面に対して先端12aが角度T1(第1角度)で傾斜するように斜めカットされている。光ファイバ12の先端12aは、光ファイバ12の中心軸に直交する面に対して例えば8度となるように斜めカットされている。コリメータレンズ16は、出射部14の内側であって且つ光ファイバ12の中心軸上に配置され、光ファイバ12から出射される光をコリメート光に変換する。光ファイバ12が斜めカットされていることから、コリメータ10(コリメータレンズ16)からの光Lは、コリメータ10の中心軸C1に対して角度T2(第2角度)傾いて出射される。
【0020】
図4は、光合分波器20に入射された光Lの分波及び合波を説明するための模式図である。図4に示すように、光合分波器20は、コリメータ10に光学的に結合されており、コリメータ10からの波長多重光である光Lが光入出射面21から入射される。光合分波器20は、光透過性の材料から構成される本体22、本体22の一方の側面22aに設けられる波長選択フィルタ24a,24b,24c及び24d、及び、本体22の他方の側面22bに設けられる反射ミラー26を備える。各波長選択フィルタ24aから24dは、所定の波長成分の光のみを透過し、他の波長成分を含む光を反射する。反射ミラー26は、全ての光を反射する。波長選択フィルタ24aから24dのそれぞれは個別のコリメータ(不図示)に例えば光学的に結合され、各波長選択フィルタ24aから24dを透過する光La,Lb,Lc,Ldは、対応する個別のコリメータに入射される。なお、個別のコリメータに入射された光は、フォトダイオード等の受光素子により受光される。
【0021】
光合分波器20を光分波器として用いる場合、光ファイバ12を伝搬した波長多重光がコリメータレンズ16を介して、光入出射面21から光合分波器20内に入射する。入射した波長多重光は、まず波長選択フィルタ24aに達する。波長選択フィルタ24aは波長成分λ1を含む光Laを透過し、他の波長成分λからλを含む光L1を反射する。この光L1は、反射ミラー26によって反射され、波長選択フィルタ24bに達する。波長選択フィルタ24bは波長成分λを含む光Lbを透過し、他の波長成分λ及びλを含む光L2を反射する。この光L2は、反射ミラー26によって反射されて、波長選択フィルタ24cに達する。波長選択フィルタ24cは波長成分λを含む光Lcを透過し、他の波長成分λを含む光L3を反射する。この光L3は、反射ミラー26によって反射されて、波長選択フィルタ24dに達する。波長選択フィルタ24dは波長成分λを含む光Ldを透過し、他の波長成分を含む光を反射する。このように、光合分波器20により波長多重光が分波される。
【0022】
また、光合分波器20を光合波器として用いる場合、光合分波器20は、各波長選択フィルタ24aから24dに入射される波長成分λ1からλを含む光LaからLdを合波して波長多重光とする。そして、光合分波器20は、この波長多重光をコリメータレンズ16を介して光ファイバ12に入射する。即ち、互いに波長が異なる波長成分λ1からλの光が、光合分波器20が光分波器として用いられる場合の光路を逆方向に伝搬する。なお、光合分波器20は、上述した構成は一例であり、その他の構成であってもよい。
【0023】
プラットホーム30は、図1及び図2に示すように、コリメータ10及び光合分波器20を設置するための部材であり、例えば、板状の部材から構成される。プラットホーム30は、例えばガラス、プラスチック、金属等から形成することができる。プラットホーム30には、コリメータ10を収納する溝32が設けられている(図6を参照)。溝32は、プラットホーム30の長手方向(図2の左右方向)に沿って延在している。溝32は、例えば断面形状がV字状のV溝であるが、溝32に収納したコリメータ10をコリメータ10の中心軸C1を中心として回転可能であれば、断面U字形状の溝や断面矩形形状の溝等の他の形状の溝であってもよい。
【0024】
溝32は、溝32の中心軸C2がプラットホーム30に設置される光合分波器20の光軸に平行な基準線Sに対して角度T2傾斜するように、延在している(図5を参照)。ここで光合分波器20の光軸とは、例えば前記した光分波器の例の場合は、波長成分λを含む光Ldが、波長選択フィルタ24aから24cおよび反射ミラー26で順次反射されて透過し波長選択フィルタ24dに所定の損失以下で到達するような光路において、最初に反射される波長選択フィルタ24aへの入射光路を意味する。このように溝32が傾斜していることから、溝32に収納されたコリメータ10(光ファイバ12)も基準線Sに対して角度T2傾斜する。これにより、光ファイバ12から出射される光Lが光合分波器20の光軸に平行な方向で入射するように構成される。溝32上に配置されたコリメータ10は、後述する調芯方法で説明するように、光ファイバ12から出射される光のパワーが最大値(又は所定の基準値以上)となる回転位置まで回転し、その後、光硬化性の接着剤等により溝32内に固定される。この角度T2は、光ファイバ12の斜めカットの角度T1の値に応じて設定される傾斜角度であり、光ファイバ12の先端の斜めカットの角度T1が8度の場合には、例えば0.1度以上2度以下であってもよい。
【0025】
また、プラットホーム30には、光合分波器20を設置するための平面状の設置面34が設けられている。光合分波器20は、光入出射面21がコリメータ10側を向くと共に各波長選択フィルタ24aから24dが外側を向くように、設置面34における所定の位置に配置され、光透過性の接着剤等によりプラットホーム30に固定される。プラットホーム30には、各波長選択フィルタ24aから24dから出射される光LaからLdを受光する受光素子(不図示)を設置してもよいし、受光素子に光LaからLdを導くためのプリズム部材などの光学部品を設けてもよいし、各波長選択フィルタ24aから24dに所定波長の光を入射するための発光素子を設置してもよい。
【0026】
続いて、上述した構成の光学モジュールの調芯を行って組み立てる方法について、図6及び図7を参照して、説明する。図6は、光学モジュールの組み立て方法を説明するための図である。図7は、プラットホーム上において行うコリメータの調芯作業を説明するための図である。
【0027】
まずは、図6に示すように、光ファイバ12を収納するコリメータ10、光合分波器20、及び、プラットホーム30を準備する。プラットホーム30の溝32は、上述したように、プラットホーム30に光合分波器20を設置した際に光合分波器20の光軸に平行な基準線Sに対して角度T2で傾斜した状態で延在する。
【0028】
続いて、図7に示すように、溝32が延在する方向であってコリメータ10の理想光軸上(所定の位置)に光パワー測定装置50を配置する。理想光軸は、光ファイバ12からの出射光である光Lと平行に延在する軸である。光パワー測定装置50は、例えば、オートコリメータ又はパワーメータである。光パワー測定装置50は、溝32に配置されるコリメータ10から出射される光Lの出力パワーを測定する。
【0029】
続いて、光パワー測定装置50が設置されると、出射部14が光パワー測定装置50を向くようにコリメータ10を溝32に配置する。そして、コリメータ10から光Lを出射させながらコリメータ10を溝32内で回転方向D1,D2に回転して光パワー測定装置50で光パワーを測定して調芯を行う。例えば、図7に示す例では、光Lwとなる回転位置では光パワー測定装置50で検出される光パワーが弱い一方、光Lsとなる回転位置では光パワー測定装置50で検出される光パワーが強く(例えば最大値に)なる。この回転調芯の際、光パワー測定装置50で測定される光が最大値又は所定値以上となる回転位置となったら、コリメータ10の回転を終了する。
【0030】
続いて、コリメータ10の回転調芯が終了すると、溝32内に配置されているコリメータ10を光硬化性の接着剤等により溝32に固定する。また、光合分波器20をプラットホーム30の設置面34の所定箇所に設置して、光硬化性の接着剤等により固定する。なお、光パワー測定装置50での光ファイバ12の出力パワーの測定に支障がないようであれば、光パワー測定装置50で光ファイバ12からの光Lのパワー測定の前に、光合分波器20をプラットホーム30に設置、固定してもよい。以上の工程により、図1等に示す光学モジュールの組み立てが終了する。
【0031】
ここで、本実施形態に係る光学モジュール1による作用効果について説明する。図8は、光学モジュールの一般的な組み立て方法を説明するための図である。この光学モジュール100では、コリメータ110が配置されるV溝132の中心軸C3が光合分波器である光部品120の光入出射面121に対して直交するように構成されている。コリメータ110に収納される光ファイバ112の先端が斜めカットされていない場合、このような光結合であっても接続損失の低下はそれほど問題にはならない。しかしながら、図3に示すように、光ファイバ12から出射した光の反射戻り光を防止するため、光ファイバ12の先端12aを例えば8度の傾斜となるように斜めにカットした場合、光ファイバ12から出射する光Lは、コリメータ10の中心軸C1に対して例えば0.2度程度傾いて出射される。このような場合、図8に示す構成では、斜めカットした光ファイバを光部品120に結合する際に接続損失が生じてしまう。
【0032】
これに対し、本実施形態に係る光学モジュール1では、図5に示すように、斜めカットされている光ファイバ12を収納するコリメータ10が配置されるプラットホーム30の溝32が、光合分波器20の光軸に平行な基準線Sに対して角度T2で傾斜するように構成されている。この構成によれば、斜めカットされている光ファイバ12から出射される光Lの入射軸が光合分波器20の光軸に平行な基準線Sに一致する。これにより、斜めカットした光ファイバ12の光合分波器20に対する接続損失を低減することができる。また、基準線Sに対して傾斜する溝32にコリメータ10が配置される構成であるため、光ファイバ12から出射される光Lの入射軸が基準線Sに一致した状態を長期に亘って容易に維持することができる。即ち、コリメータ10がずれてしまうといったことが抑制される。これにより、長期に亘って低接続損失である光学モジュールを提供することができる。
【0033】
また、本実施形態に係る光学モジュール1では、角度T2は0.1度以上2度以下であってもよい。この場合、例えば8度程度に斜めカットされた光ファイバ12から出射される光Lの入射軸をより確実に基準線Sに一致させることができる。これにより、斜めカットした光ファイバ12の光合分波器20に対する接続損失をより確実に低減することができる。
【0034】
また、本実施形態に係る光学モジュール1では、溝32はV溝であってもよい。溝32がV溝である場合、コリメータ10を回転して調芯する作業を行いやすくなることから、光ファイバ12から出射される光Lの入射軸をより確実に基準線Sに一致させることができる。なお、光ファイバ12から光Lが入射される光部品が本実施形態では一例として光合分波器20である。この場合、入射光である光Lの光軸ズレによる接続損失が光の合分波に与える影響が大きいが、上述した構成により、光Lの入射軸をより確実に基準線Sに一致させることにより、光学モジュール1において、より確実の光の合分波を行うことが可能となる。
【0035】
以上、本開示に係る光学モジュール及び光学モジュールの組み立て方法について詳細に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な実施形態に適用することが可能である。例えば、上述した実施形態では、光ファイバ12からの光Lが入射される光部品が光合分波器20である場合を例にとって説明したが、他の光部品を備えた光学モジュールに本開示に係る光学モジュール及び光学モジュールの組立方法を適用してもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…光学モジュール
10…コリメータ
12…光ファイバ
12a…先端
12b…先端部分
14…出射部
16…コリメータレンズ
20…光合分波器(光部品)
21…光入出射面
22…本体
22a,22b…側面
24a,24b,24c,24d…波長選択フィルタ
26…反射ミラー
30…プラットホーム(基台)
32…溝
34…設置面
40…レセプタクル
50…光パワー測定装置
100…光学モジュール
110…コリメータ
112…光ファイバ
114…出射部
120…光部品
130…プラットホーム
132…V溝
C1,C2,C3…中心軸
D1,D2…回転方向
L,Ls,Lw…光
La,Lb,Lc,Ld…光
L1,L2,L3…光
T1…角度(第1角度)
T2…角度(第2角度)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8