(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157059
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】シートの折り装置および吸着切替ユニット
(51)【国際特許分類】
B65H 45/04 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
B65H45/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123196
(22)【出願日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】萬 秀紀
(72)【発明者】
【氏名】大岩 英紀
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108AA01
3F108AA02
3F108AB01
3F108AC10
3F108BB14
3F108BB33
(57)【要約】
【課題】シートのサイズや形状に応じて、吸着孔を吸着状態または非吸着状態に適切に切り替えできるシートの折り装置および吸着切替ユニットを提供する。
【解決手段】シートを吸着保持する複数の吸着孔を有する吸着板と、複数の吸着孔に対応するように個別に接続される複数のポートを有する吸着切替ユニットと、を備え、吸着切替ユニットは、摺動領域を有するシリンダボディと、対向配置される一対のピストンと、複数のポートと摺動領域とを連通する複数の連通空間を有するシリンダボディと、一対のピストンを軸方向に沿って個別に移動させる一対の移動部と、一対のピストンで画定される対向空間を排気する排気部と、を有し、複数の連通空間は、軸方向に沿って離間配置され、一対のピストンを個別に移動させることにより、複数の連通空間のうちの1つのまたは複数の隣接する連通空間と、対向空間とが選択的に連通する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り加工対象のシートを吸着保持する複数の吸着孔を有する吸着板と、
前記複数の吸着孔に対応するように個別に接続される複数のポートを有する吸着切替ユニットと、を備え、
前記吸着切替ユニットは、
シリンダの内部に形成される中空の摺動領域と、前記複数のポートと前記摺動領域とを連通する複数の連通空間とを有するシリンダと、
前記摺動領域の中で対向配置される一対のピストンと、
前記一対のピストンを前記シリンダの軸方向に沿って個別に移動させる一対の移動部と、
前記摺動領域において前記一対のピストンで画定される対向空間を排気する排気部と、を有し、
前記複数の連通空間は、前記軸方向に沿って離間配置され、
前記一対のピストンを個別に移動させることにより、前記複数の連通空間のうちの1つのまたは複数の隣接する連通空間と、前記対向空間とが選択的に連通することを特徴とする、シートの折り装置。
【請求項2】
前記吸着切替ユニットが、前記一対のピストンのそれぞれに接続されるとともに、中空構造を有する一対のピストンロッドをさらに有し、
前記一対のピストンのそれぞれが、前記ピストンロッドの中空構造に連通する中空構造を有するとともに、対向する面において、前記中空構造に連通する一対の排気開口を有し、
前記対向空間が、前記排気開口と、前記ピストンの前記中空構造と、前記ピストンロッドの前記中空構造とを通じて、排気されることを特徴とする、請求項1に記載のシートの折り装置。
【請求項3】
前記吸着切替ユニットが、前記一対のピストンのそれぞれに接続されるとともに、中実構造を有する一対のピストンロッドをさらに有し、
前記一対のピストンのそれぞれが、中実構造を有し、
前記シリンダには、排気パイプが接続され、
前記シリンダは、その内部において、前記排気パイプに連通する排気空間を有し、
前記対向空間が、前記排気空間および前記排気パイプを通じて、排気されることを特徴とする、請求項1に記載のシートの折り装置。
【請求項4】
前記一対の移動部の動作を制御する制御部と、
前記シートに関する加工情報を記憶する記憶部とをさらに備え、
前記制御部が、前記記憶部に記憶された前記加工情報に基づいて、前記一対の移動部の動作を制御することを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシートの折り装置。
【請求項5】
シリンダの内部に形成される中空の摺動領域と、前記複数のポートと前記摺動領域とを連通する複数の連通空間とを有するシリンダと、
前記摺動領域の中で対向配置される一対のピストンと、
前記一対のピストンを前記シリンダの軸方向に沿って個別に移動させる一対の移動部と、
前記摺動領域において前記一対のピストンで画定される対向空間を排気する排気部と、を有し、
前記複数の連通空間は、前記軸方向に沿って離間配置され、
前記一対のピストンを個別に移動させることにより、前記複数の連通空間のうちの1つのまたは複数の隣接する連通空間と、前記対向空間とが選択的に連通することを特徴とする、吸着切替ユニット。
【請求項6】
前記吸着切替ユニットが、前記一対のピストンのそれぞれに接続されるとともに、中空構造を有する一対のピストンロッドをさらに有し、
前記一対のピストンのそれぞれが、前記ピストンロッドの中空構造に連通する中空構造を有するとともに、対向する面において、前記中空構造に連通する一対の排気開口を有し、
前記対向空間が、前記排気開口と、前記ピストンの前記中空構造と、前記ピストンロッドの前記中空構造とを通じて、排気されることを特徴とする、請求項5に記載の吸着切替ユニット。
【請求項7】
前記吸着切替ユニットが、前記一対のピストンのそれぞれに接続されるとともに、中実構造を有する一対のピストンロッドをさらに有し、
前記一対のピストンのそれぞれが、中実構造を有し、
前記シリンダには、排気パイプが接続され、
前記シリンダは、その内部において、前記排気パイプに連通する排気空間を有し、
前記対向空間が、前記排気空間および前記排気パイプを通じて、排気されることを特徴とする、請求項5に記載の吸着切替ユニット。
【請求項8】
前記一対の移動部の動作を制御する制御部と、
シートに関する加工情報を記憶する記憶部とをさらに備え、
前記制御部が、前記記憶部に記憶された前記加工情報に基づいて、前記一対の移動部の動作を制御することを特徴とする、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の吸着切替ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シートの折り装置および吸着切替ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、真空箱に接続されて開孔板を有するテーブルをピボット回転させることにより、真空箱および開孔板で吸引される加工物を折り畳む装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置では、真空箱が複数の互いに離間される室に子分割され、吸引力が必要とされる室が選択され、吸引領域が取り扱うべき加工物の寸法および形状に適合されると記載されている。そして、吸気モータなどが連結ダクトに接続され、連結ダクトがダクトを介して室の各々に接続され、ダンパー弁がダクト内の気流を制御するために設けられると記載されている。しかしながら、特許文献1では、
図1に図示されるように、単一のダンパー弁が連結ダクトとダクトとの間に配設される構成であるため、複数の室のすべてが一括して吸着状態または非吸着状態になるだけである。言い換えると、特許文献1の構成では、複数の室を、吸着状態の室と非吸着状態の室とに個別に切り替えできない。
【0005】
したがって、この発明の解決すべき技術的課題は、シートのサイズや形状に応じて、吸着孔を吸着状態または非吸着状態に適切に切り替えできるシートの折り装置および吸着切替ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するために、この発明によれば、以下のシートの折り装置が提供される。
【0007】
すなわち、この発明に係るシートの折り装置は、
折り加工対象のシートを吸着保持する複数の吸着孔を有する吸着板と、
前記複数の吸着孔に対応するように個別に接続される複数のポートを有する吸着切替ユニットと、を備え、
前記吸着切替ユニットは、
シリンダの内部に形成される中空の摺動領域と、前記複数のポートと前記摺動領域とを連通する複数の連通空間とを有するシリンダと、
前記摺動領域の中で対向配置される一対のピストンと、
前記一対のピストンを前記シリンダの軸方向に沿って個別に移動させる一対の移動部と、
前記摺動領域において前記一対のピストンで画定される対向空間を排気する排気部と、を有し、
前記複数の連通空間は、前記軸方向に沿って離間配置され、
前記一対のピストンを個別に移動させることにより、前記複数の連通空間のうちの1つのまたは複数の隣接する連通空間と、前記対向空間とが選択的に連通することを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、一対のピストンを個別に移動させることにより、吸着板の複数の吸着孔のうちの適切な吸着孔が排気部に連通するので、シートのサイズや形状に応じて、吸着孔を吸着状態または非吸着状態に適切に切り替えできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の一実施形態に係るシート加工機の全体構成を模式的に示す図である。
【
図2】
図1に示したシート加工機の機能ブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る折り装置における吸着切替ユニットの模式的斜視図である。
【
図4】
図3に示した吸着切替ユニットの正面図である。
【
図5】
図3に示した吸着切替ユニットに吸着板および接続部材を追加して説明する模式的断面図である。
【
図6】
図5に示した吸着切替ユニットの或る動作を説明する模式的断面図である。
【
図7】
図5に示した吸着切替ユニットの別の動作を説明する模式的断面図である。
【
図8】シートの折り装置を模式的に説明する図である。
【
図9】第2実施形態に係る吸着切替ユニットを説明する模式的断面図である。
【
図10】第3実施形態に係る吸着切替ユニットを説明する模式的断面図である。
【
図12】
図11に続く、シートの加工工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず、図面を参照しながら、シート加工機1を説明する。シート100は、シート加工機1において搬送方向Fに沿って上流側から下流側に搬送される。搬送方向Fに直交する方向(搬送方向Fと直交する水平方向)は、幅方向Wである。説明の都合上、シート100の搬送経路を挟んだ上側および下側を、それぞれ、「上」および「下」と呼び、搬送方向Fの上流側から見た状態で「右側」および「左側」と呼ぶことがある。また、この発明では、シート100は、予め所定形状を有するように加工されたプレ加工体であり、例えば、用紙、樹脂薄板、フィルムなどからなる。シート加工機1によってシート100を加工して得られる成果物は、例えば、ポケットホルダーや箱や封筒などの収納体を作成するための加工体である。
【0011】
(シート加工機の全体構成)
図1は、この発明の一実施形態に係るシート加工機1の全体構成を模式的に示す図である。
図1に示すように、シート加工機1は、搬送方向Fに沿って上流側から下流側に向けて、例えば、供給ユニット3と、斜行補正ユニット4と、第1加工ユニット5と、第2加工ユニット6と、折り加工ユニット7と、プレスユニット8とを備える。各ユニット3,4,5,6,7,8では、搬送モータ(搬送部)12によってシート100の搬送が個別に行われる。そのため、シート加工機1は、複数の搬送モータ(搬送部)12を有する。
【0012】
供給ユニット3は、シート搬送部として、吸引式搬送ベルト(図示せず)と、供給モータ13と、一対のローラ(図示せず)とを含む。吸引式搬送ベルトは、一対のローラに架け渡されて、一方のローラは、供給モータ13によって回転駆動される。吸引式搬送ベルトは、供給トレイに載置されたシート100を1枚ずつ吸着しながら搬送方向Fに沿って上流側から下流側に搬送する。
【0013】
斜行補正ユニット4は、供給ユニット3から搬送されるシート100を、一対のローラに掛け渡された無端ベルトに載せて搬送する。一対のローラは、斜行補正モータ14によって回転駆動される。無端ベルトの内方には、吸引箱が設置される。無端ベルトは、搬送方向Fと平行に延びるガイド壁(図示せず)に対して所定の角度で傾斜して設けられる。斜行補正ユニット4では、シート100の側端縁が、搬送方向Fに平行なガイド壁の側に押し付けられながら搬送される。これより、シート100の側端縁が、ガイド壁に沿った状態で搬送される。斜行補正ユニット4は、押え部を備える。押え部は、押えボール及び支持部材を有する。押えボールは、球形状を有する。押えボールは、支持部材によって回転自在に支持される。押えボールは、斜行したシート100が搬送方向Fに補正される際、無端ベルト上のシート100を上方から押圧する。したがって、シート100が搬送方向Fに対して傾斜して搬送されても、斜行補正ユニット4によってシート100が搬送方向Fに沿って搬送されるように修正される。
【0014】
第1加工ユニット5は、例えば、シート100の所定位置に対して搬送方向Fに沿ったクリース加工(縦クリース加工)を行う縦クリース装置を有する(詳細な図示および説明をしない)。縦クリース装置は、例えば、ポケットクリース(縦クリース)110を形成するように構成されている。
図11および
図12に示すように、ポケットクリース(縦クリース)110は、搬送方向Fに延在する。幅方向移動モータ(図示せず)と、タイミングベルトと、複数の歯付きプーリーとを有する動力伝達機構によって、縦クリース加工部に螺合する2つのネジ軸が、同期して回転駆動される。これにより、縦クリース部が、幅方向Wに移動して、所定の加工位置に位置決めされる。また、縦クリースモータ15によって、縦クリース加工が行われる。
【0015】
第2加工ユニット6は、例えば、シート100の所定位置に対して幅方向Wに沿ったクリース加工(横クリース加工)を行う横クリース装置(詳細な図示および説明をしない)を有する。横クリース装置は、例えば、先端クリース111、中央クリース112および末端クリース113のような横クリースを形成するように構成されている。
図11および
図12示すように、先端クリース111、中央クリース112および末端クリース113は、幅方向Wに延在する。横クリースモータ16と、タイミングベルトと、複数の歯付きプーリーと、複数の歯車とを有する動力伝達機構によって、押圧軸が回転駆動される。これにより、横クリース加工が行われる。
【0016】
折り加工ユニット7は、シート100に形成されたクリースに沿って折り加工を行う折り装置50(
図8に図示)を有する。折り装置50は、搬送方向Fおよび/または幅方向Wに沿った折り軸62の回りを回動する折り板60(
図8に図示)を有する。折り板60は、折りモータ17によって水平面上を180度回動するように構成される。例えば、折り板60の上に載置されたシート100の先端片106を、折り板60を回動させて基部101に対面するように先端クリース111に沿って折り返すことによって、折り加工が行われる。シート100の末端片108に対しても、末端クリース113に沿って折り返す折り加工が行われる。
【0017】
折り加工ユニット7は、接着剤塗布装置(図示せず)を有することもできる。接着剤塗布装置は、接着剤を貯留するタンク(図示せず)と、接着剤を吐出するノズル(図示せず)と、タンクおよびノズルをつなぐチューブ(図示せず)と、ノズルを所定位置に移動させるノズル移動機構(図示せず)と、ノズルからの接着剤の吐出を制御する接着剤塗布モータとを有する。ノズルは、所定のタイミングで接着剤をシート100の先端片106および末端片108に吐出することにより、先端片106および末端片108に接着剤が塗布される。
【0018】
接着剤塗布装置によって接着剤が先端片106および末端片108に塗布されたあと、シート100の折り返し部102に対してポケットクリース(縦クリース)110に沿って折り返す折り加工が行われる。これにより、折り返し部102が、先端片106および末端片108に対して接着剤で固定される。そして、基部101を中央クリース112に沿って折り返す折り加工が行われる。
【0019】
プレスユニット8は、折り加工ユニット7によって折り加工されたシート100の折り返しを、強固なものにするプレス装置(図示せず)を有する。プレス装置は、例えば、上下方向に移動可能な上型(図示せず)と、不動の下型(図示せず)と、上型を駆動するプレスモータ19とを有する。折り加工ユニット7によって折り加工されたシート100を、上型および下型の間に挟み込んだ状態で、上型をさらに下型に向けて移動させることによって加圧成形する。これにより、縦クリースおよび横クリースに沿った折り返しが強固なものになる。
【0020】
(シートの加工工程)
図11および
図12を参照しながら、上述したシート加工機1を用いた、シート100の加工工程を説明する。
図11は、シート100の加工工程を説明する図である。
図12は、
図11に続く、シート100の加工工程を説明する図である。
【0021】
加工前のシート100は、
図11の(1)に示すように、全体的な概略形状として、搬送方向Fに延在して互いに対向する2つの側辺と、先端辺と、末端辺とを有する。先端辺は、搬送方向Fに交差する幅方向に延在する辺であって、2つの側辺の下流側端部をつなぐ。末端辺は、搬送方向Fに交差する幅方向に延在する辺であって、2つの側辺の上流側端部をつなぐ。
【0022】
先端辺には、搬送方向Fの下流側に突出する先端片106が形成される。先端片106は、例えば矩形形状を有する。したがって、シート100では、搬送方向Fの下流側の先端が非直線形状を有する。先端片106の突出端(先端)が、シート100において最も搬送方向Fの下流側に位置する。
【0023】
末端辺には、搬送方向Fの上流側に突出する末端片108が形成される。末端片108は、例えば矩形形状を有する。したがって、シート100では、搬送方向Fの上流側の末端が非直線形状を有する。末端片109の末端が、シート100において最も搬送方向Fの上流側に位置する。
【0024】
シート100は、基部101と折り返し部102と先端片106と末端片108とを有する。
図11に示すように、基部101と折り返し部102との境界は、ポケットクリース(縦クリース)110によって画定される。基部101と先端片106との境界は、先端クリース(横クリース)111によって画定される。基部101と末端片108との境界は、末端クリース(横クリース)113によって画定される。
【0025】
シート100は、供給ユニット3および斜行補正ユニット4を経た後、第1加工ユニット5に供給される。第1加工ユニット5では、
図11の(1)に示すようなポケットクリース(縦クリース)110が縦クリース装置によって形成される。
【0026】
ポケットクリース110が形成されたシート100は、第2加工ユニット6に供給される。第2加工ユニット6では、
図11の(2)に示すような横クリースとしての先端クリース111と中央クリース112と末端クリース113とが、横クリース装置によって形成される。
【0027】
横クリース111,112,113が形成されたシート100は、折り加工ユニット7に供給される。折り加工ユニット7では、
図11の(3)に示すように、先端片106が先端クリース111に沿って先端用の折り装置50によって折り返される。そして、
図11の(4)に示すように、折り返された先端片106の上面に対して、接着剤(網点で表示)が接着剤塗布装置によって塗布される。さらに、
図12の(5)に示すように、先端片106の側に位置する折り返し部102が、ポケットクリース110に沿って折り返し部用の折り装置50によって折り返される。これにより、先端片106および折り返し部102が、接着剤によって固定される。
【0028】
先端片106および折り返し部102が接着固定されたシート100においては、
図12の(6)に示すように、末端片108が末端クリース113に沿って末端用の折り装置50によって折り返される。そして、
図12の(7)に示すように、折り返された末端片108の上面に対して、接着剤(網点で図示)が接着剤塗布装置によって塗布される。さらに、
図12の(8)に示すように、末端片108の側に位置する折り返し部102が、ポケットクリース110に沿って折り返し部用の折り装置50によって折り返される。これにより、末端片108および折り返し部102が、接着剤によって固定される。
【0029】
先端片106および折り返し部102と、末端片108および折り返し部102とが、それぞれ接着固定されたシート100は、
図12の(9)に示すように、中央クリース112に沿って中央用の折り装置50によって折り返される。
【0030】
中央クリース112に沿って折り返されたシート100は、
図1に示すプレスユニット8に供給される。プレスユニット8では、折り加工ユニット7によって折り加工されたシート100を、プレス装置で加圧することにより、縦クリース110および横クリース111,112,113に沿った折り返しが強固なものになる。
【0031】
図2は、シート加工機1の機能ブロック図である。シート加工機1は、シート加工機1における各種動作を制御するための制御部10を備える。制御部10は、例えば、CPU(中央演算処理装置)であり、供給ユニット3と、斜行補正ユニット4と、第1加工ユニット5と、第2加工ユニット6と、折り加工ユニット7と、プレスユニット8とにおける各種動作を制御する。制御部10は、記憶部11と、各種の入力デバイス(センサ)や出力デバイス(モータ)とを通じて、各種の演算処理や加工処理や判断処理の制御を行う。
【0032】
制御部10には、記憶部11が接続される。記憶部11は、例えば、各種プログラムが格納されるROM(リード・オンリー・メモリ)や各種情報が格納されるRAM(ランダム・アクセス・メモリ)やEEPROM(電気的に消去書き込み可能なメモリ)である。記憶部11に記憶されるシート100に関する加工情報は、例えば、シート100のサイズや形状の情報、シート100の基準位置情報、シート100の加工位置情報、加工の種類情報などである。制御部10には、操作パネルが接続される。操作パネルは、ボタンやスイッチなどの入力部およびディスプレイなどの表示部を有する操作表示部、音や光でエラーの発生を報知する報知部などを有する。操作パネルは、作業者が、シート100に関するサイズや形状や加工枚数や加工位置などの各種の加工情報を入力するための入力部として働く。
【0033】
制御部10には、各種のモータが接続される。モータは、例えば、搬送モータ12、供給モータ13、斜行補正モータ14、縦クリースモータ15、横クリースモータ16、折りモータ17、吸着位置決めモータ(移動部)18およびプレスモータ19などである。制御部10には、例えば排気ポンプ44が接続される。
【0034】
搬送モータ12、供給モータ13、斜行補正モータ14、縦クリースモータ15、横クリースモータ16および一対の吸着位置決めモータ(移動部)18,18などは、例えば、ステッピングモータである。ステッピングモータは、パルス信号を与えることによって所定のステップ単位でモータ軸が回動して回転の角度および速度を正確に制御できるので、シート100の搬送量や加工位置を高速に且つ高精度に制御できる。
【0035】
制御部10には、各種のセンサが接続される。センサは、例えば、制御部10には、供給検出センサ、基準位置センサ31および排出センサなどである。
【0036】
制御部10は、後で詳細に説明するように、記憶部11に記憶された加工情報に基づいて、一対の吸着位置決めモータ(移動部)18,18の動作を制御する。
【0037】
(折り装置)
図3は、第1実施形態に係る折り装置50における吸着切替ユニット20の模式的斜視図である。
図4は、
図3に示した吸着切替ユニット20の正面図である。
図5は、
図3に示した吸着切替ユニット20に吸着板40および接続部材43を追加して説明する模式的断面図である。
図6は、
図5に示した吸着切替ユニット20の或る動作を説明する模式的断面図である。
図7は、
図5に示した吸着切替ユニット20の別の動作を説明する模式的断面図である。
図8は、シート100の折り装置50を模式的に説明する図である。
【0038】
図8に模式的に示すように、折り装置50は、吸着切替ユニット20と、吸着板40と、接続部材43と、折り板60とを有する。折り装置50は、シート100の搬送方向Fに沿って形成された縦クリース110を基準にして折り返し部102の折り加工を行うとともに、幅方向Wに沿って形成された横クリース111,113を基準にして先端片106および末端片108の折り加工を行う。折り加工対象のシート100の基部101が、吸着板40によって吸着保持され、折り返し部102などが載置される折り板60が、折り軸62を中心にして180度の角度で揺動する。これにより、シート100の折り返し部102などが、180度の角度で折り返される。なお、折り板60が吸着板40を有する構成にすることもできる。
【0039】
図5に示すように、吸着板40は、吸着板40の長手方向に沿って複数の吸着孔41を有する。複数の吸着孔41は、例えば、aの位置、bの位置、cの位置、dの位置、eの位置、fの位置、gの位置、hの位置およびiの位置にある9つの吸着孔41からなる。
【0040】
図3から
図5に示すように、吸着切替ユニット20は、シリンダ21と、一対のブラケット22,22と、一対のピストン35,35と、一対の移動部18,18と、複数のポート30とを有する。
【0041】
図5に示すように、吸着切替ユニット20のシリンダ21は、その内部において、中空円筒の摺動領域36を有する。一対のピストン35,35は、円筒形状を有し、摺動領域36の中で軸方向に摺動可能であるように対向配置される。摺動領域36においては、対向する一対のピストン35,35によって形成される間隙には、対向空間37が画定される。シリンダ上部34には、複数のポート30と摺動領域36とを連通する複数の連通空間39が形成される。複数の連通空間39は、シリンダ21の軸方向に沿って離間配置されて、例えば、aの位置、bの位置、cの位置、dの位置、eの位置、fの位置、gの位置、hの位置およびiの位置にある9つの連通空間39からなる。
【0042】
図3から
図5に示すように、吸着切替ユニット20のシリンダ21は、複数の接続部材43に個別に接続される複数のポート30を有する。複数のポート30は、シリンダ21の軸方向に沿って離間配置されて、例えば、aの位置、bの位置、cの位置、dの位置、eの位置、fの位置、gの位置、hの位置およびiの位置にある9つのポート30からなる。したがって、複数の吸着孔41は、対応する複数の接続部材43を介して、対応する複数のポート30にそれぞれ個別に接続される。接続部材43は、例えば、フレキシブルなチューブである。
【0043】
一対のピストン35,35は、その対面しない側において、一対のピストンロッド28,28に接続される。一対のピストンロッド28,28は、シリンダ21の軸方向に延在して、ピストン35,35が接続される側と反対側に位置する終端部は、一対の排気パイプ29,29に接続される。一対の排気パイプ29,29の終端部は、排気ポンプ44(
図2に図示)に接続される。
【0044】
一対のピストン35,35は、円筒形状すなわち内部に中空構造を有するとともに、対向する面において、排気開口47を有する。一対のピストンロッド28,28は、その内部において中空構造を有する。一対のピストン35,35に形成される排気開口47は、一対のピストンロッド28,28および一対の排気パイプ29,29における各中空構造に連通する。言い換えると、ピストン35とピストンロッド28と排気パイプ29に形成される中空構造は、排気路38として働く。これにより、対向空間37からピストン35とピストンロッド28と排気パイプ29の各中空構造に至る排気路38が形成される。言い換えると、排気ポンプ44によって、一対の排気開口47,47および一対の排気路(中空構造)38,38を通じて、対向空間37が排気される。そして、対向空間37が負圧になることによって、対向空間37に連通する吸着孔41が、吸着力を有するようになる。これにより、シリンダ21の構造を簡略化できる。
【0045】
シリンダ21は、ブラケット22によって支持される。ブラケット22には一対の支持穴が形成されており、一対の支持穴には一対の軸受25,25が取り付けられる。雌ネジ筒23が、一対の軸受25,25によって回動自在に支持される。雌ネジ筒23は、その内周面に、雌ネジを有する。雌ネジ筒23には、プーリー支持体24が嵌着される。プーリー支持体24の外周部には、歯付きプーリー26が配設される。歯付きプーリー26が回動すると、雌ネジ筒23およびプーリー支持体24が一体的に回動する。
【0046】
一対の吸着位置決めモータ18,18は、一対のブラケット22,22によってそれぞれ支持される。吸着位置決めモータ18のモータ軸32の先端には、歯付きプーリー33が取り付けられる。歯付きプーリー26と歯付きプーリー33との間は、歯付きベルト27が架け渡される。
【0047】
ピストンロッド28の外周面には、雄ネジが形成されており、ピストンロッド28はネジ軸28として働く。ピストンロッド28の雄ネジは、雌ネジ筒23の雌ネジに螺合する。吸着位置決めモータ18におけるモータ軸32の回動駆動力が、歯付きベルト27によって歯付きプーリー26に伝達され、歯付きプーリー26と一体化された雌ネジ筒23が回動すると、ピストンロッド28、排気パイプ29およびピストン35がシリンダ21の軸方向に移動する。一方の吸着位置決めモータ18によって一方のピストン35が移動し、一方のピストン35の移動とは独立して、他方の吸着位置決めモータ18によって他方のピストン35が移動する。したがって、一対の吸着位置決めモータ18,18は、一対のピストン35,35をシリンダ21の軸方向に沿って個別に移動させる一対の移動部として働く。制御部10は、一対の吸着位置決めモータ18,18を個別に制御して、一方の吸着位置決めモータ18によって一方のピストン35が移動し、他方の吸着位置決めモータ18によって他方のピストン35が移動する。言い換えると、制御部10は、記憶部11に記憶された加工情報に基づいて、一対の吸着位置決めモータ(移動部)18,18の動作を制御する。これにより、様々なサイズや形状を有するシート100を適切に吸着保持できる。
【0048】
なお、
図5に示すように、ピストンロッド28の軸心は、ピストン35の軸心よりも、複数のポート30の側に偏在している。これにより、雌ネジ筒23が回転するときに、特別な機構を設けることなく、雄ネジが形成されているピストンロッド28が供回りすることを防止して、ピストンロッド28およびピストン35を軸方向に移動させることができる。
【0049】
シリンダ21には、一対の基準位置センサ31,31が所定の基準位置(例えば、aの位置の近傍およびiの位置の近傍)に配設される。基準位置センサ31は、シリンダ21の一側および他側に対向配置される発光部と受光部とを有するとともに、シリンダ21には、軸直交方向に延在する測定孔が形成される。発光部から出射される測定光は、測定孔を介して受光部で受光される。ピストン35が所定の基準位置(例えば、aの位置およびiの位置)に位置する場合、測定光がピストン35によって遮光され、ピストン35が所定の基準位置に位置しない場合、測定光が受光部によって受光される。これにより、制御部10は、ピストン35が所定の基準位置に位置するか否かを判別する。制御部10は、ピストン35が所定の基準位置を基準にしてシリンダ21の軸方向に沿って移動するように制御する。
【0050】
図5に示す一対のピストン35,35の位置では、aの位置にある連通空間39が対向空間37と連通しているので、aの位置にある吸着孔41が吸着状態になる。言い換えると、複数の連通空間39のうち1つの連通空間39と、対向空間37とが選択的に連通している。そして、bの位置からiの位置にある連通空間39が対向空間37と連通していないので、bの位置からiの位置にある吸着孔41が非吸着状態になる。
【0051】
図6に示す一対のピストン35,35の位置では、eの位置にある連通空間39が対向空間37と連通しているので、eの位置にある吸着孔41が吸着状態になる。言い換えると、複数の連通空間39のうち、両側に位置しないで中央側に位置する1つの連通空間39と、対向空間37とが選択的に連通している。そして、aの位置からdの位置およびfの位置からiの位置にある連通空間39が対向空間37と連通していないので、aの位置からdの位置およびfの位置からiの位置にある吸着孔41が非吸着状態になる。
【0052】
図7に示す一対のピストン35,35の位置では、cからhの位置にある連通空間39が対向空間37と連通しているので、cの位置からhの位置にある吸着孔41が吸着状態になる。言い換えると、複数の連通空間39のうち、両側に位置しないで中央側に位置する複数の隣接する連通空間39,39,39,39,39,39と、対向空間37とが選択的に連通している。そして、aの位置とbの位置とiの位置にある連通空間39が対向空間37と連通していないので、aの位置とbの位置とiの位置にある吸着孔41が非吸着状態になる。
【0053】
ところで、折り加工対象のシート100のサイズや形状は、一定ではない。シート100のサイズや形状に関係なく、吸着板40における全ての吸着孔41を吸着状態にする場合、シート100に対面しない吸着孔41が吸着状態になっても大気を吸い込むことにより、吸着力が低下する。そのため、吸着板40は、吸着保持に必要な吸着力を得ることができず、シート100のサイズや形状によっては、シート100を吸着保持できなくなる。
【0054】
これに対して、上記実施形態では、シート100のサイズや形状に応じて、吸着板40の複数の吸着孔41のうちの適切な吸着孔41が排気部44に連通するように、一対のピストン35,35を個別に移動させることによって、適切な吸着孔41を吸着状態または非吸着状態に切り替えできる。
【0055】
また、吸着板40の吸着孔41によるシート100の吸着保持が不要になる場合、吸着状態にある吸着孔41を非吸着状態にする必要がある。例えば、非吸着状態にある吸着孔41が対向空間37に連通するように、ピストン35をシリンダ21の軸方向に移動させることによって、当該吸着孔41が大気と連通するようになる。これにより、吸着状態にある吸着孔41の吸着力が低下するので、シート100の吸着保持が速やかに解除される。
【0056】
(第2実施形態)
図9を参照しながら、第2実施形態に係る吸着切替ユニット20を説明する。
図9は、第2実施形態に係る吸着切替ユニット20を説明する模式的断面図である。
【0057】
第2実施形態は、第1実施形態との比較で、排気路38が1つに集約されていること、および、一対のピストン35,35および一対のピストンロッド28,28が共に中実構造を有することを特徴としている。
【0058】
図9に示すように、第2実施形態に係る吸着切替ユニット20では、シリンダ21は、ガイド壁42の内側に中空円筒の摺動領域36を有する。一対のピストン35,35は、円柱状の中実構造を有し、摺動領域36の中で軸方向に摺動可能であるように対向配置される。一対のピストンロッド28,28は、一対のピストン35,35のそれぞれに接続されるとともに、円柱状の中実構造を有する。シリンダ21において、ガイド壁42の外側には、排気空間45が形成される。複数の連通空間39に対応する位置(例えば、対向する位置)には、ガイド壁42を貫通するように複数の流出空間48が形成される。複数の流出空間48は、排気空間45に連通する。シリンダ21には、1つの排気パイプ29が接続される。排気パイプ29の内部には排気路38が形成される。排気パイプ29の排気路38は、排気開口47を通じて排気空間45に連通する。したがって、複数の流出空間48が、排気空間45を介して1つの排気路38に集約される。これにより、ピストン35およびピストンロッド28の構造を簡略化できる。対向空間37が、排気空間45および排気パイプ29を通じて、排気される。
【0059】
吸着切替ユニット20は、ピストン35およびピストンロッド28を有する一対の棒状体を有する。棒状体は、中実構造を有し、例えば、ピストン35が大径であり、ピストンロッド28が小径である。一対のピストン35,35は、摺動領域36の中で対向配置され、摺動領域36の中で軸方向に摺動する。
【0060】
ピストンロッド28の外周面には、雄ネジが形成されており、ピストンロッド28はネジ軸28として働く。ピストンロッド28の雄ネジは、雌ネジプーリー49の雌ネジに螺合する。吸着位置決めモータ18におけるモータ軸32の回動駆動力が、歯付きベルト27によって雌ネジプーリー49に伝達され、雌ネジプーリー49が回動すると、ピストンロッド28およびピストン35を有する棒状体がシリンダ21の軸方向に移動する。制御部10は、一対の吸着位置決めモータ18,18を個別に制御する。一方の吸着位置決めモータ18によって一方のピストン35が移動し、一方のピストン35の移動とは独立して、他方の吸着位置決めモータ18によって他方のピストン35が移動する。
【0061】
図9に示す一対のピストン35,35の位置では、bの位置およびcの位置にある連通空間39が対向空間37と連通し、対向空間37がbの位置およびcの位置にある流出空間48に連通し、流出空間48が排気空間45を介して、排気路38に連通している。これにより、bの位置およびcの位置にある吸着孔41が吸着状態になる。そして、aの位置と、dの位置からiの位置にある連通空間39が対向空間37と連通していないので、aの位置と、dの位置からiの位置にある吸着孔41が非吸着状態になる。
【0062】
したがって、一対のピストン35,35を個別に移動させることにより、吸着板40の複数の吸着孔41のうちの適切な吸着孔41が排気部44に連通するので、シート100のサイズや形状に応じて、吸着孔41を吸着状態または非吸着状態に適切に切り替えできる。
【0063】
なお、ピストンロッド28の軸心を、ピストン35の軸心に対して、偏在させるように形成することもできる。これにより、雌ネジプーリー49が回転するときに、特別な機構を設けることなく、ピストンロッド28が供回りすることを防止して、ピストンロッド28およびピストン35を軸方向に移動させることができる。
【0064】
(第3実施形態)
図10を参照しながら、第3実施形態に係る吸着切替ユニット20を説明する。
図10は、第3実施形態に係る吸着切替ユニット20を説明する模式的断面図である。
【0065】
第3実施形態は、第2実施形態との比較で、ピストン35がピストンロッド28に対してシリンダ21の軸方向に移動可能であることを特徴としている。
【0066】
図10に示すように、第3実施形態に係る吸着切替ユニット20では、一対のピストン35,35は、内部に雌ネジが形成される凹部を有する。ピストンロッド28の外周面には、雄ネジが形成されており、ピストンロッド28はネジ軸28として働く。ピストンロッド28の雄ネジは、ピストン35の凹部の雌ネジに螺合する。ピストンロッド28の反対側には、歯付きプーリー部46が形成される。吸着位置決めモータ18におけるモータ軸32の回動駆動力が、歯付きベルト27によって歯付きプーリー部46に伝達され、歯付きプーリー部46が回動すると、ピストンロッド28が回動することにより、ピストン35がシリンダ21の軸方向に移動する。これにより、ピストンロッド28が軸方向に移動しないので、回動運動を直線運動に変換する回動-直動変換機構の軸方向サイズをコンパクトにできる。
【0067】
なお、ピストンロッド28の軸心を、ピストン35の軸心に対して、偏在させるように形成することもできる。これにより、ピストンロッド28が回転するときに、特別な機構を設けることなく、ピストン35が供回りすることを防止して、ピストン35を軸方向に移動させることができる。
【0068】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、上記実施形態で記載した内容を適切に組み合わせたものを、この発明の一実施形態としてもよい。また、上記実施形態に示した具体的な数字は、この発明の理解を容易にするための単なる例示であって、この発明を限定するものではない。
【0069】
上記実施の形態では、一対のピストン35,35をシリンダ21の軸方向に沿って個別に移動させる移動機構として、ネジ軸(ピストンロッド28)およびナット(雌ネジ筒23、雌ネジプーリー49、歯付きプーリー部)を有する回動-直動変換機構を例示した。しかしながら、ピストン35の移動機構として、ラックおよびピニオンを有する回動-直動変換機構を用いる態様にすることもできる。
【0070】
上記実施の形態では、シート100が、搬送方向Fの下流側において先端辺を有し、先端辺には、搬送方向Fの下流側に突出する先端片106が形成されており、先端片106の搬送方向Fの下流側の突出端が、先端に対応する非直線形状の態様を例示した。しかしながら、この発明は、シート100の先端辺が、上記先端片106を有することなく直線状に延在する通常の矩形形状を有する態様にも適用可能である。
【0071】
吸着板40における全ての吸着孔41が吸着状態にある場合でも、シート100の吸着保持を容易に解除できるように、複数の吸着孔41が並ぶシリンダ21の軸方向の外側において大気連通孔を設ける構成にすることもできる。ピストン35をシリンダ21の軸方向の外側に移動させることによって、大気連通孔が大気と連通することによって、吸着状態にある吸着孔41の吸着力が低下するので、シート100の吸着保持が解除される。
【0072】
上記実施の形態では、ピストン35および摺動領域36の形状として、円筒(円柱)状を例示した。しかしながら、ピストン35および摺動領域36の形状は、円筒(円柱)状に限定されるものではなく、例えば、四角筒(四角柱)状や八角筒(八角柱)状などの多角筒(多角柱)状にすることもできる。この場合、ピストン35の軸心に対してピストンロッド28の軸心を偏在させることを要しないで、ピストンロッド28またはピストン35の供回りを防止できる。
【0073】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0074】
この発明の一態様に係るシート100の折り装置50は、
折り加工対象のシート100を吸着保持する複数の吸着孔41を有する吸着板40と、
前記複数の吸着孔41に対応するように個別に接続される複数のポート30を有する吸着切替ユニット20と、を備え、
前記吸着切替ユニット20は、
シリンダ21の内部に形成される中空の摺動領域36と、前記複数のポート30と前記摺動領域36とを連通する複数の連通空間39とを有するシリンダ21と、
前記摺動領域36の中で対向配置される一対のピストン35,35と、
前記一対のピストン35,35を前記シリンダ21の軸方向に沿って個別に移動させる一対の移動部18,18と、
前記摺動領域36において前記一対のピストン35,35で画定される対向空間37を排気する排気部44と、を有し、
前記複数の連通空間39は、前記軸方向に沿って離間配置され、
前記一対のピストン35,35を個別に移動させることにより、前記複数の連通空間39のうちの1つのまたは複数の隣接する連通空間39と、前記対向空間37とが選択的に連通することを特徴とする。
【0075】
上記構成によれば、一対のピストン35,35を個別に移動させることにより、吸着板40の複数の吸着孔41のうちの適切な吸着孔41が排気部44に連通するので、シート100のサイズや形状に応じて、吸着孔41を吸着状態または非吸着状態に適切に切り替えできる。
【0076】
また、一実施形態のシート100の折り装置50では、
前記吸着切替ユニット20が、前記一対のピストン35,35のそれぞれに接続されるとともに、中空構造38を有する一対のピストンロッド28,28をさらに有し、
前記一対のピストン35,35のそれぞれが、前記ピストンロッド28,28の中空構造38に連通する中空構造38を有するとともに、対向する面において、前記中空構造38に連通する一対の排気開口47,47を有し、
前記対向空間37が、前記排気開口47と、前記ピストン35の前記中空構造38と、前記ピストンロッド28の前記中空構造38とを通じて、排気される。
【0077】
上記構成によれば、シリンダ21の構造を簡略化できる。
【0078】
また、一実施形態のシート100の折り装置50では、
前記吸着切替ユニット20が、前記一対のピストン35,35のそれぞれに接続されるとともに、中実構造を有する一対のピストンロッド28,28をさらに有し、
前記一対のピストン35,35のそれぞれが、中実構造を有し、
前記シリンダ21には、排気パイプ29が接続され、
前記シリンダ21は、その内部において、前記排気パイプ29に連通する排気空間45を有し、
前記対向空間37が、前記排気空間45および前記排気パイプ29を通じて、排気される。
【0079】
上記構成によれば、ピストン35およびピストンロッド28の構造を簡略化できる。
【0080】
また、一実施形態のシートの折り装置50では、
前記一対の移動部18,18の動作を制御する制御部10と、
前記シート100に関する加工情報を記憶する記憶部11とをさらに備え、
前記制御部10が、前記記憶部11に記憶された前記加工情報に基づいて、前記一対の移動部18,18の動作を制御する。
【0081】
上記構成によれば、様々なサイズや形状を有するシート100を適切に吸着保持できる。
【0082】
別の局面に係る吸着切替ユニット20は、
シリンダ21の内部に形成される中空の摺動領域36と、前記複数のポート30と前記摺動領域36とを連通する複数の連通空間39とを有するシリンダ21と、
前記摺動領域36の中で対向配置される一対のピストン35,35と、
前記一対のピストン35,35を前記シリンダ21の軸方向に沿って個別に移動させる一対の移動部18,18と、
前記摺動領域36において前記一対のピストン35,35で画定される対向空間37を排気する排気部44と、を有し、
前記複数の連通空間39は、前記軸方向に沿って離間配置され、
前記一対のピストン35,35を個別に移動させることにより、前記複数の連通空間39のうちの1つのまたは複数の隣接する連通空間39と、前記対向空間37とが選択的に連通することを特徴とする。
【0083】
上記構成によれば、一対のピストン35,35を個別に移動させることにより、吸着板40の複数の吸着孔41のうちの適切な吸着孔41が排気部44に連通するので、シート100のサイズや形状に応じて、吸着孔41を吸着状態または非吸着状態に適切に切り替えできる。
【0084】
また、一実施形態の吸着切替ユニット20では、
前記一対のピストン35,35のそれぞれに接続されるとともに、中空構造38を有する一対のピストンロッド28,28をさらに有し、
前記一対のピストン35,35のそれぞれが、前記ピストンロッド28,28の中空構造38に連通する中空構造38を有するとともに、対向する面において、前記中空構造38に連通する一対の排気開口47,47を有し、
前記対向空間37が、前記排気開口47と、前記ピストン35の前記中空構造38と、前記ピストンロッド28の前記中空構造38とを通じて、排気される。
【0085】
上記構成によれば、シリンダ21の構造を簡略化できる。
【0086】
また、一実施形態の吸着切替ユニット20では、
前記吸着切替ユニット20が、前記一対のピストン35,35のそれぞれに接続されるとともに、中実構造を有する一対のピストンロッド28,28をさらに有し、
前記一対のピストン35,35のそれぞれが、中実構造を有し、
前記シリンダ21には、排気パイプ29が接続され、
前記シリンダ21は、その内部において、前記排気パイプ29に連通する排気空間45を有し、
前記対向空間37が、前記排気空間45および前記排気パイプ29を通じて、排気される。
【0087】
上記構成によれば、ピストン35およびピストンロッド28の構造を簡略化できる。
【0088】
また、一実施形態の吸着切替ユニット20では、
前記一対の移動部18,18の動作を制御する制御部10と、
前記シート100に関する加工情報を記憶する記憶部11とをさらに備え、
前記制御部10が、前記記憶部11に記憶された前記加工情報に基づいて、前記一対の移動部18,18の動作を制御する。
【0089】
上記構成によれば、様々なサイズや形状を有するシート100を適切に吸着保持できる。
【符号の説明】
【0090】
1…シート加工機
3…供給ユニット
4…斜行補正ユニット
5…第1加工ユニット
6…第2加工ユニット
7…折り加工ユニット
8…プレスユニット
10…CPU(制御部)
11…記憶部
12…搬送モータ(搬送部)
13…供給モータ
14…斜行補正モータ
15…縦クリースモータ
16…横クリースモータ
17…折りモータ
18…吸着位置決めモータ(移動部)
19…プレスモータ
20…吸着切替ユニット
21…シリンダ
22…ブラケット
23…雌ネジ筒
24…プーリー支持体
25…軸受
26…歯付きプーリー
27…歯付きベルト
28…ネジ軸(ピストンロッド)
29…排気パイプ
30…ポート
31…基準位置センサ
32…モータ軸
33…歯付きプーリー
34…シリンダ上部
35…ピストン
36…摺動領域
37…対向空間
38…排気路(中空構造)
39…連通空間
40…吸着板
41…吸着孔
42…ガイド壁
43…接続部材
44…排気ポンプ(排気部)
45…排気空間
46…歯付きプーリー部
47…排気開口
48…流出空間
49…雌ネジプーリー
50…折り装置
60…折り板
62…折り軸
100…シート
101…基部
102…折り返し部
106…先端片
108…末端片
110…ポケットクリース(縦クリース)
111…先端クリース(横クリース)
112…中央クリース(横クリース)
113…末端クリース(横クリース)
F…搬送方向
W…幅方向