(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157063
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】コネクター、コネクターセット及びコネクター付きケーブル
(51)【国際特許分類】
H01R 12/75 20110101AFI20241030BHJP
H01R 9/05 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
H01R12/75
H01R9/05 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137428
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】513314171
【氏名又は名称】宏致電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ACES ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.13,Dongyuan Rd.,Zhongli City,Taoyuan County 32063,Taiwan
(71)【出願人】
【識別番号】512310147
【氏名又は名称】宏致日本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宣和
(72)【発明者】
【氏名】橋本 公明
【テーマコード(参考)】
5E077
5E223
【Fターム(参考)】
5E077BB06
5E077BB22
5E077BB31
5E077BB32
5E077CC26
5E077DD01
5E223AA01
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5E223BA01
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5E223BA07
5E223BA08
5E223BB01
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5E223CB22
5E223CB31
5E223CB38
5E223CC09
5E223CD01
5E223CD02
5E223DA25
5E223DA33
5E223DB08
5E223DB11
5E223EA03
5E223EA12
5E223EB02
5E223EB04
5E223EB12
5E223EB14
5E223EB15
5E223EB32
5E223GA08
5E223GA11
(57)【要約】
【課題】通信機器の機器内配線に対する要求に対応できるコネクター、コネクターセット及びコネクター付きケーブルを提供する。
【解決手段】コネクターは、回路基板に実装された相手コネクターと嵌合することにより、高周波信号の伝送に用いられる第1導電路、シールドに用いられる第2導電路及び複数の第3導電路を有する1又は複数の接続対象ケーブルと回路基板とを接続する電線対基板用のコネクターであって、第1導電路に接続される第1コンタクトと、第2導電路に接続される第2コンタクトと、第3導電路に接続される第3コンタクトと、インシュレーターと、第3接点部の並び方向であるピッチ方向に引き出されるように接続対象ケーブルを保持するケーブル保持部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に実装された相手コネクターと嵌合することにより、高周波信号の伝送に用いられる第1導電路、シールドに用いられる第2導電路及び複数の第3導電路を有する1又は複数の接続対象ケーブルと前記回路基板とを接続する電線対基板用のコネクターであって、
前記相手コネクターの第1相手コンタクトに接続される第1接点部及び前記第1導電路に接続される第1結線部を有する第1コンタクトと、
前記第2導電路に接続される第2結線部を有する第2コンタクトと、
前記相手コネクターの第3相手コンタクトに接続される第3接点部及び前記第3導電路に接続される第3結線部を有する第3コンタクトと、
前記第1コンタクト、前記第2コンタクト及び前記第3コンタクトが組み付けられるインシュレーターと、
前記第3接点部の並び方向であるピッチ方向に引き出されるように前記接続対象ケーブルを保持するケーブル保持部と、
を備えるコネクター。
【請求項2】
複数の前記第1コンタクト及び複数の前記第3コンタクトを備え、
複数の前記第1結線部及び複数の前記第3結線部は、それぞれ、嵌合方向及び前記ピッチ方向に直交する方向に並んで配置されている、
請求項1に記載のコネクター。
【請求項3】
前記第2コンタクトは、前記第1接点部と前記第3接点部の間に配置される接点間遮へい部を有し、
前記第1接点部、前記接点間遮へい部及び複数の前記第3接点部は、この順に前記ピッチ方向に並んでコネクター接点部を形成し、
2つの前記コネクター接点部が、前記ピッチ方向に沿う中心軸を挟んで対向して2列で配置されている、
請求項2に記載のコネクター。
【請求項4】
2つの前記コネクター接点部は、前記第1接点部、前記接点間遮へい部及び複数の前記第3接点部の配置が、前記中心線に関して線対称となるように配置されている、
請求項3に記載のコネクター。
【請求項5】
2つの前記コネクター接点部は、前記第1接点部、前記接点間遮へい部及び複数の前記第3接点部の配置が、前記中心線上の中心点に関して点対称となるように配置されている、
請求項3に記載のコネクター。
【請求項6】
前記第2コンタクトは、2つの前記コネクター接点部の間に配置されるセンターグランド部を有する、
請求項3から5のいずれか一項に記載のコネクター。
【請求項7】
前記第1接点部及び前記接点間遮へい部は、複数の前記第3接点部の前記ピッチ方向における両側に配置され、
前記第1接点部と前記第3接点部との間に、前記接点間遮へい部が配置されている、
請求項2に記載のコネクター。
【請求項8】
前記第2コンタクトは、前記接点間遮へい部とともに前記第1接点部を囲繞するように配置される高周波信号接点遮へい部を有する、
請求項1から7のいずれか一項に記載のコネクター。
【請求項9】
前記第1結線部、前記第2結線部及び前記第3結線部は、前記嵌合方向において、前記相手コネクターと嵌合される嵌合領域と重なるように配置されている、
請求項1から8のいずれか一項に記載のコネクター。
【請求項10】
前記第1結線部、前記第2結線部及び前記第3結線部は、前記第ピッチ方向において、前記相手コネクターと嵌合される嵌合領域の外側に配置されている、
請求項1から8のいずれか一項に記載のコネクター。
【請求項11】
前記第1コンタクトは、前記第1接点部と前記第1結線部とを連結する第1中継部を有し、
前記第3コンタクトは、前記第3接点部と前記第3結線部とを連結する第3中継部を有し、
前記第1中継部及び前記第3中継部は、それぞれ、前記嵌合方向から見た平面視において、前記第1接点部及び前記第3接点部から前記嵌合方向及び前記ピッチ方向に直交する方向に引き出され、屈曲して前記第1結線部及び前記第3結線部まで前記ピッチ方向に延在する形状を有する、
請求項2から10のいずれか一項に記載のコネクター。
【請求項12】
前記第1結線部、前記第2結線部及び前記第3結線部は、前記嵌合方向において、同一段に配置されている、
請求項1から11のいずれか一項に記載のコネクター。
【請求項13】
前記第1結線部、前記第2結線部及び前記第3結線部は、前記嵌合方向において、異なる2段に配置されている、
請求項1から11のいずれか一項に記載のコネクター。
【請求項14】
前記第1結線部、前記第2結線部及び前記第3結線部は、前記第1導電路及び前記第2導電路を有する同軸ケーブル及び前記同軸ケーブルとは異なるその他ケーブルと結線可能であるとともに、前記第1導電路、前記第2導電路及び前記第3導電路を有するフラットケーブルと結線可能である、
請求項1から13のいずれか一項に記載のコネクター。
【請求項15】
回路基板に実装された相手コネクターと嵌合することにより、高周波信号の伝送に用いられる第1道電路、シールドに用いられる第2道電路及び複数の第3導電路を有する1又は複数の接続対象ケーブルと前記回路基板とを接続する電線対基板用のコネクターであって、
前記相手コネクターの第1相手コンタクトに接続される第1接点部及び前記第1導電路に接続される第1結線部を有する第1コンタクトと、
前記第2導電路に接続される第2結線部を有する第2コンタクトと、
前記相手コネクターの第3相手コンタクトに接続される第3接点部及び前記第3導電路に接続される第3結線部を有する第3コンタクトと、
前記第1コンタクト、前記第2コンタクト及び前記第3コンタクトが組み付けられるインシュレーターと、を備え、
前記第2コンタクトは、前記第1接点部と前記第3接点部の間に配置される接点間遮へい部を有し、
前記第1接点部、前記接点間遮へい部及び複数の前記第3接点部は、この順にピッチ方向に並んでコネクター接点部を形成し、
2つの前記コネクター接点部は、前記第1接点部、前記接点間遮へい部及び複数の前記第3接点部の配置が、前記ピッチ方向に沿う中心線に関して線対称となるように配置されている、
コネクター。
【請求項16】
回路基板に実装された相手コネクターと嵌合することにより、高周波信号の伝送に用いられる第1道電路、シールドに用いられる第2道電路及び複数の第3導電路を有する1又は複数の接続対象ケーブルと前記回路基板とを接続する電線対基板用のコネクターであって、
前記相手コネクターの第1相手コンタクトに接続される第1接点部及び前記第1導電路に接続される第1結線部を有する第1コンタクトと、
前記第2導電路に接続される第2結線部を有する第2コンタクトと、
前記相手コネクターの第3相手コンタクトに接続される第3接点部及び前記第3導電路に接続される第3結線部を有する第3コンタクトと、
前記第1コンタクト、前記第2コンタクト及び前記第3コンタクトが組み付けられるインシュレーターと、を備え、
前記第2コンタクトは、前記第1接点部と前記第3接点部の間に配置される接点間遮へい部を有し、
前記第1接点部、前記接点間遮へい部及び複数の前記第3接点部は、この順にピッチ方向に並んでコネクター接点部を形成し、
2つの前記コネクター接点部は、前記第1接点部、前記接点間遮へい部及び複数の前記第3接点部の配置が、前記ピッチ方向に沿う中心線上の中心点に関して点対称となるように配置されている、
コネクター。
【請求項17】
回路基板に実装された相手コネクターと嵌合することにより、高周波信号の伝送に用いられる第1道電路、シールドに用いられる第2道電路及び複数の第3導電路を有する1又は複数の接続対象ケーブルと前記回路基板とを接続する電線対基板用のコネクターであって、
前記相手コネクターの第1相手コンタクトに接続される第1接点部及び前記第1導電路に接続される第1結線部を有する第1コンタクトと、
前記第2導電路に接続される第2結線部を有する第2コンタクトと、
前記相手コネクターの第3相手コンタクトに接続される第3接点部及び前記第3導電路に接続される第3結線部を有する第3コンタクトと、
前記第1コンタクト、前記第2コンタクト及び前記第3コンタクトが組み付けられるインシュレーターと、を備え、
前記第2コンタクトは、前記第1接点部と前記第3接点部の間に配置される接点間遮へい部を有し、
前記第1接点部及び前記接点間遮へい部は、複数の前記第3接点部の前記ピッチ方向における両側に配置され、
前記第1接点部と前記第3接点部との間に、前記接点間遮へい部が配置されている、
コネクター。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載のコネクターからなるプラグコネクターと、
前記相手コネクターからなるレセプタクルコネクターと、
を備えるコネクターセット。
【請求項19】
請求項1から17のいずれか一項に記載のコネクターと、
前記コネクターに結線され、ピッチ方向に引き出されている前記接続対象ケーブルと、
を備えるコネクター付きケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクター、コネクターセット及びコネクター付きケーブルに関し、特に、通信機器の機器内配線に好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、5G対応スマートフォン等の次世代移動通信対応機器の実用化に伴い、機器内配線に用いられるコネクターの改良が進められている。例えば、特許文献1には、通信機器のメイン基板とアンテナモジュール基板との距離が長くなる場合に好適な基板対電線コネクターとして、高周波信号伝送用の同軸ケーブルとディスクリートケーブル等のその他電線とを一括してアンテナモジュール基板と電気的に接続できるコネクターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通信機器の機器内配線は、小型で伝送特性が高いことが望ましく、これに対応するためには、コネクターのさらなる改良が必要となる。
本発明の目的は、通信機器の機器内配線に対する要求に対応できるコネクター、コネクターセット及びコネクター付きケーブルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るコネクターは、
回路基板に実装された相手コネクターと嵌合することにより、高周波信号の伝送に用いられる第1導電路、シールドに用いられる第2導電路及び複数の第3導電路を有する1又は複数の接続対象ケーブルと前記回路基板とを接続する電線対基板用のコネクターであって、
前記相手コネクターの第1相手コンタクトに接続される第1接点部及び前記第1導電路に接続される第1結線部を有する第1コンタクトと、
前記第2導電路に接続される第2結線部を有する第2コンタクトと、
前記相手コネクターの第3相手コンタクトに接続される第3接点部及び前記第3導電路に接続される第3結線部を有する第3コンタクトと、
前記第1コンタクト、前記第2コンタクト及び前記第3コンタクトが組み付けられるインシュレーターと、
前記第3接点部の並び方向であるピッチ方向に引き出されるように前記接続対象ケーブルを保持するケーブル保持部と、を備える。
【0006】
本発明に係るコネクターは、
回路基板に実装された相手コネクターと嵌合することにより、高周波信号の伝送に用いられる第1道電路、シールドに用いられる第2道電路及び複数の第3導電路を有する1又は複数の接続対象ケーブルと前記回路基板とを接続する電線対基板用のコネクターであって、
前記相手コネクターの第1相手コンタクトに接続される第1接点部及び前記第1導電路に接続される第1結線部を有する第1コンタクトと、
前記第2導電路に接続される第2結線部を有する第2コンタクトと、
前記相手コネクターの第3相手コンタクトに接続される第3接点部及び前記第3導電路に接続される第3結線部を有する第3コンタクトと、
前記第1コンタクト、前記第2コンタクト及び前記第3コンタクトが組み付けられるインシュレーターと、を備え、
前記第2コンタクトは、前記第1接点部と前記第2接点部の間に配置される接点間遮へい部を有し、
前記第1接点部、前記接点間遮へい部及び複数の前記第3接点部は、この順にピッチ方向に並んでコネクター接点部を形成し、
2つの前記コネクター接点部は、前記第1接点部、前記接点間遮へい部及び複数の前記第3接点部の配置が、前記ピッチ方向に沿う中心線に関して線対称となるように配置されている。
【0007】
本発明に係るコネクターは、
回路基板に実装された相手コネクターと嵌合することにより、高周波信号の伝送に用いられる第1道電路、シールドに用いられる第2道電路及び複数の第3導電路を有する1又は複数の接続対象ケーブルと前記回路基板とを接続する電線対基板用のコネクターであって、
前記相手コネクターの第1相手コンタクトに接続される第1接点部及び前記第1導電路に接続される第1結線部を有する第1コンタクトと、
前記第2導電路に接続される第2結線部を有する第2コンタクトと、
前記相手コネクターの第3相手コンタクトに接続される第3接点部及び前記第3導電路に接続される第3結線部を有する第3コンタクトと、
前記第1コンタクト、前記第2コンタクト及び前記第3コンタクトが組み付けられるインシュレーターと、を備え、
前記第2コンタクトは、前記第1接点部と前記第2接点部の間に配置される接点間遮へい部を有し、
前記第1接点部、前記接点間遮へい部及び複数の前記第3接点部は、この順にピッチ方向に並んでコネクター接点部を形成し、
2つの前記コネクター接点部は、前記第1接点部、前記接点間遮へい部及び複数の前記第3接点部の配置が、前記ピッチ方向に沿う中心線上の中心点に関して点対称となるように配置されている。
【0008】
本発明に係るコネクターは、
回路基板に実装された相手コネクターと嵌合することにより、高周波信号の伝送に用いられる第1道電路、シールドに用いられる第2道電路及び複数の第3導電路を有する1又は複数の接続対象ケーブルと前記回路基板とを接続する電線対基板用のコネクターであって、
前記相手コネクターの第1相手コンタクトに接続される第1接点部及び前記第1導電路に接続される第1結線部を有する第1コンタクトと、
前記第2導電路に接続される第2結線部を有する第2コンタクトと、
前記相手コネクターの第3相手コンタクトに接続される第3接点部及び前記第3導電路に接続される第3結線部を有する第3コンタクトと、
前記第1コンタクト、前記第2コンタクト及び前記第3コンタクトが組み付けられるインシュレーターと、を備え、
前記第2コンタクトは、前記第1接点部と前記第2接点部の間に配置される接点間遮へい部を有し、
前記第1接点部及び前記接点間遮へい部は、複数の前記第3接点部の前記ピッチ方向における両側に配置され、
前記第1接点部と前記第3接点部との間に、前記接点間遮へい部が配置されている。
【0009】
本発明に係るコネクターセットは、
上記のコネクターからなるプラグコネクターと、
前記相手コネクターからなるレセプタクルコネクターと、を備える。
【0010】
本発明に係るコネクター付きケーブルは、
上記のコネクターと、
前記コネクターに結線され、ピッチ方向に引き出されている前記接続対象ケーブルと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るコネクター、コネクターセット及びコネクター付きケーブルによれば、通信機器の機器内配線に対する要求に広く対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1A、
図1Bは、第1の実施の形態に係るコネクターセットの外観斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態に係るプラグコネクターの外観斜視図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態に係るプラグコネクターの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態に係るプラグコネクターの分解斜視図である。
【
図5】
図5A、
図5Bは、第1の実施の形態に係るプラグコネクターの内部における配線を示す図である。
【
図6】
図6A、
図6Bは、第1の実施の形態に係るプラグコネクターの内部における配線を示す図である。
【
図7】
図7A、
図7Bは、第1の実施の形態に係るレセプタクルコネクターの外観図である。
【
図8】
図8は、第1の実施の形態に係るレセプタクルコネクターの分解斜視図である。
【
図9】
図9A、
図9Bは、第2の実施の形態に係るプラグコネクターの外観斜視図である。
【
図10】
図10は、第2の実施の形態に係るプラグコネクターの分解斜視図である。
【
図11】
図11は、第2の実施の形態に係るプラグコネクターの分解斜視図である。
【
図14】
図14は、第3の実施の形態に係るプラグコネクターの外観斜視図である。
【
図15】
図15は、第3の実施の形態に係るプラグコネクターの分解斜視図である。
【
図16】
図16は、第3の実施の形態に係るプラグコネクターの分解斜視図である。
【
図19】
図19は、第3の実施の形態に係るレセプタクルコネクターの分解斜視図である。
【
図20】
図20は、変形例1に係るプラグコネクターの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
[第1の実施の形態]
図1A、
図1Bは、本発明の第1の実施の形態に係るコネクターセット1の外観斜視図である。
図1A、
図1Bでは、コネクターセット1を分解した状態、すなわち、プラグコネクター100とレセプタクルコネクター120を嵌合する前の状態を示している。なお、
図1Bでは、レセプタクルコネクター120が実装されるアンテナモジュール基板PCBの図示を省略している。
本実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。X方向はコネクターセット1の長手方向(ピッチ方向)であり、Y方向はコネクターセット1の幅方向であり、Z方向はコネクターセット1の嵌合方向である。
【0015】
図1A、
図1Bに示すように、コネクターセット1は、プラグコネクター100及びレセプタクルコネクター120を備える。コネクターセット1は、例えば、5G対応スマーフォン等の次世代移動通信対応の通信機器(図示略)の機器内配線として実装される。
【0016】
プラグコネクター100は、接続対象ケーブル10の一端に取り付けられ、コネクター付きケーブルとして用いられる。接続対象ケーブル10の他端は、例えば、通信機器のメイン基板(図示略)に接続される。レセプタクルコネクター120は、通信機器のアンテナモジュール基板PCBに実装される。
【0017】
本実施の形態では、接続対象ケーブル10が、2本の同軸ケーブル11と、6本のディスクリートケーブル12で構成される場合について説明する。なお、接続対象ケーブル10には、フレキシブルフラットケーブル(FFC)や、フレキシブルプリント回路基板(FPC)等のフラットケーブルを適用することもできる。本実施の形態では、接続対象ケーブル10がプラグコネクター100に対してZ方向に異なる2段で接続されるようになっているので、2枚のフラットケーブルが適用されることになる。
【0018】
同軸ケーブル11は、内部導体11a(第1導電路)と、絶縁体(符号略)を介して内部導体11aの外側に配置される外部シールド層11b(第2導電路)と、を有する。同軸ケーブル11の内部導体11aは、高周波信号の伝送に用いられる。ディスクリートケーブル12は、内部導体12a(第3導電路)を有する。ディスクリートケーブル12の内部導体12aは、動力線(電源線)、制御線、又は信号線として用いられる。
【0019】
コネクターセット1は、プラグコネクター100とレセプタクルコネクター120との嵌合により、接続対象ケーブル10とアンテナモジュール基板PCBとを電気的に接続する。具体的には、同軸ケーブル11の内部導体11a及びディスクリートケーブル12の内部導体12aは、プラグコネクター100の第1プラグコンタクト101及び第3プラグコンタクト103と、レセプタクルコネクター120の第1レセプタクルコンタクト121及び第3レセプタクルコンタクト123とを介して、アンテナモジュール基板PCBの導体パターン(図示略)と電気的に接続される。また、同軸ケーブル11の外部シールド層11bは、プラグコネクター100の第2プラグコンタクト102と、レセプタクルコネクター120の第2レセプタクルコンタクト122及びレセプタクルシェル125とを介して、アンテナモジュール基板PCBのグランドに接続される。
【0020】
コネクターセット1において、レセプタクルコネクター120は、例えば、アンテナモジュール基板PCBの延在方向と、レセプタクルコネクター120のピッチ方向が、X方向に一致するようにアンテナモジュール基板PCBに実装される。この場合、アンテナモジュール基板PCBの幅方向と、レセプタクルコネクター120のピッチ方向がY方向に一致するように実装される場合に比較して、アンテナモジュール基板PCBの幅を小さくすることができ、機器内配線の省スペース化を図ることができる。
また、接続対象ケーブル10は、プラグコネクター100のピッチ方向と、接続対象ケーブル10の延在方向が、X方向に一致するようにプラグコネクター100から引き出されている。また、プラグコネクター100のY方向の幅は、アンテナモジュール基板PCBの幅と同等以下に設定される。これにより、プラグコネクター100とレセプタクルコネクター120を嵌合させたときに、接続対象ケーブル10の延在方向を、アンテナモジュール基板PCBの延在方向と一致させることができる。そして、嵌合方向及びピッチ方向と直交する方向(Y方向)に接続対象ケーブル10が延在する場合、すなわち、アンテナモジュール基板PCBの延在方向に対して接続対象ケーブル10が90°をなす方向に延在する場合に比較して、機器内配線の省スペース化を図ることができる。したがって、コネクターセット1は、通信機器の小型化を図る場合に極めて有用である。
【0021】
以下に、プラグコネクター100及びレセプタクルコネクター120の具体的な構成について説明する。
【0022】
図2は、プラグコネクター100の外観斜視図である。
図2では、レセプタクルコネクター120に嵌合されるZ方向-側(以下、「嵌合側」と称する)から見たプラグコネクター100の外観斜視図を示している。
図3、
図4は、プラグコネクター100の分解斜視図である。
図3は、嵌合側のZ方向-側から見た分解斜視図であり、
図4は、反対側のZ方向+側から見た分解斜視図である。
図5A、
図5B、
図6A及び
図6Bは、プラグコネクター100の内部における配線を示す図であり、プラグインシュレーター104、プラグカバー106及びモールド成形体107については、省略して示している。
図5Aは嵌合側から見た斜視図、
図5BはY方向-側から見た側面図、
図5Cは嵌合側から見た平面図、
図5Dは反対側から見た底面図である。
【0023】
図2~
図4に示すように、プラグコネクター100は、第1プラグコンタクト101、第2プラグコンタクト102、第3プラグコンタクト103、プラグインシュレーター104、プラグカバー106及びモールド成形体107等を備える。第1プラグコンタクト101、第2プラグコンタクト102及び第3プラグコンタクト103は、金属(例えば、銅合金)等の導電材料で形成される。プラグインシュレーター104及びモールド成形体107は、合成樹脂(例えば、液晶ポリマー)等の絶縁材料で形成される。
【0024】
図2において、破線で囲んだ領域F1が、嵌合方向から見たプラグコネクター100の嵌合領域、すなわち、レセプタクルコネクター120と嵌合される領域である(以下、「嵌合領域F1」と称する)。本実施の形態では、第1プラグコンタクト101の第1結線部101b、第2プラグコンタクト102のシールド結線部102b(第2結線部)及び第3プラグコンタクト103の第3結線部103bは、嵌合方向において、嵌合領域F1と重なるように配置される。
【0025】
第1プラグコンタクト101は、第1接点部101a、第1結線部101b及び第1接点部101aと第1結線部101bを接続する第1中継部101cを有する。
第1接点部101aは、プラグコネクター100とレセプタクルコネクター120を嵌合させたときに、レセプタクルコネクター120の第1接点部121aと接触し、電気的に接続される。具体的には、第1接点部101aは、外側に向けてU字形状に折り返されており、端部の外面に、第1レセプタクルコンタクト121の係合凹部(符号略)と係合する係合凸部(符号略)が設けられている。
第1結線部101bは、平板形状に形成されており、先端部の段剥ぎ加工により露出した同軸ケーブル11の内部導体11aが、例えば、はんだ付けによりZ方向+側から接続される(
図5A、
図5B参照)。2つの第1結線部101bは、嵌合方向であるZ方向及びピッチ方向であるX方向に直交するY方向に並んで配置される。第1中継部101cは、第1接点部101aからZ方向+側に向かって略垂直に延在する。なお、第1中継部101cは、Y方向に屈曲して延在した後、X方向(例えば、X方向+側)に延在する部分を有していてもよい。
【0026】
プラグコネクター100は、対称的な形状を有する2つの第1プラグコンタクト101を備える。2つの第1プラグコンタクト101は、X方向に沿う中心線CLに関して線対称となるように配置される。
【0027】
第2プラグコンタクト102は、同軸ケーブル11の外部シールド層12bに接続される部材であり、レセプタクルコネクター120の第2レセプタクルコンタクト122及びレセプタクルシェル125を介して、アンテナモジュール基板PCBのグランドと電気的に接続される。第2プラグコンタクト102は、例えば、1枚の金属板の板金加工により形成される。なお、第2プラグコンタクト102は、互いに電気的に接続されていれば、複数の部材で構成されてもよい。
【0028】
第2プラグコンタクト102は、接点間遮へい部102a、シールド結線部102b、第1センターグランド部102d、第2センターグランド部102e、第1固定部102f及び第2固定部102gを有する。
【0029】
接点間遮へい部102aは、第1プラグコンタクト101の第1接点部101aと第3プラグコンタクト103の第3接点部103aとの間に配置される。本実施の形態では、接点間遮へい部102aは、プラグコネクター100とレセプタクルコネクター120を嵌合させたときに、レセプタクルコネクター120の第2レセプタクルコンタクト122と接触し、電気的に接続される。具体的には、接点間遮へい部102aは、外側に向けてU字形状に折り返されており、端部の外面に、第2レセプタクルコンタクト122の係合凹部(符号略)と係合する係合凸部(符号略)が設けられている。2つの接点間遮へい部102aは、X方向に沿う中心線CLに関して線対称となるように配置される。
【0030】
シールド結線部102bは、平板形状に形成されており、グランドバー105を介して、同軸ケーブル11の外部シールド層11bと電気的に接続される(
図5A、
図5B参照)。2つのシールド結線部102bは、嵌合方向であるZ方向及びピッチ方向であるX方向に直交するY方向に並んで配置される。グランドバー105には、先端部の段剥ぎ加工により露出した同軸ケーブル11の外部シールド層11bが、例えば、はんだ付けによりZ方向+側から接続される。また、シールド結線部102bには、グランドバー105が、例えば、はんだ付けによりZ方向+側から接続される。接点間遮へい部102aとシールド結線部102bは、Z方向に略垂直に延在する第2中継部102cにより連結される。なお、第2中継部102cは、Y方向に屈曲して延在した後、X方向に延在する部分を有していてもよい。
【0031】
第1センターグランド部102d及び第2センターグランド部102eは、それぞれ、XZ面に拡がる平板形状を有し、X方向に並んで配置される。第1センターグランド部102dと第2センターグランド部102eの間に接点間遮へい部102aが連結される。第1固定部102fは、第1センターグランド部102dのX方向+側の端部に配置され、第2固定部102gは、第2センターグランド部102eのX方向-側の端部に配置される。
【0032】
第3プラグコンタクト103は、第3接点部103a、第3結線部103b及び第3接点部103aと第3結線部103bを接続する第3中継部103cを有する。
第3接点部103aは、プラグコネクター100とレセプタクルコネクター120を嵌合させたときに、レセプタクルコネクター120の第3接点部123aと接触し、電気的に接続される。具体的には、第3接点部103aは、外側に向けてU字形状に折り返されており、端部の外面に、第3レセプタクルコンタクト123の係合凹部(符号略)と係合する係合凸部(符号略)が設けられている。
第3結線部103bは、平板形状に形成されており、先端部の段剥ぎ加工により露出したディスクリートケーブル12の内部導体12aが、例えば、はんだ付けによりZ方向+側から接続される(
図5A、
図5B参照)。6つの第3結線部103bは、嵌合方向であるZ方向及びピッチ方向であるX方向に直交するY方向に並んで配置される。なお、第3結線部103bは、全体としてY方向に並んでいればよく、例えば、X方向に互い違いにずれて配置されてもよい。第3中継部103cは、第3接点部103aからZ方向+側に向かって略垂直に延在し、Y方向に屈曲して内側に延在した後、X方向に延在する。
【0033】
プラグコネクター100は、対称的な形状を有する3対の第3プラグコンタクト103を備える。3対の第3プラグコンタクト103は、それぞれ、X方向に沿う中心線CLに関して線対称となるように配置される。
【0034】
プラグインシュレーター104は、プラグカバー106とともに、プラグコネクター100のハウジングを形成する。プラグインシュレーター104は、基部104a、側壁部104b、センター嵌合凸部104c、第1サイド嵌合凸部104d及び第2サイド嵌合凸部104eを有する。
【0035】
基部104aは、XY面に拡がり、Z方向から見た平面視で矩形形状を有する。
側壁部104bは、基部104aの3辺からZ方向+側に垂下するように形成される。
センター嵌合凸部104c、第1サイド嵌合凸部104d及び第2サイド嵌合凸部104eは、レセプタクルコネクター120と嵌合する部分であり、基部104aから嵌合側に突出するように設けられる。センター嵌合凸部104cは、XZ面に拡がる平板形状を有し、基部104aの嵌合側の面に立設される。第1サイド嵌合凸部104d及び第2サイド嵌合凸部104eは、基部104aの嵌合側の面に、センター嵌合凸部104cを取り囲むように立設され、矩形形状の枠部を形成する。
【0036】
プラグインシュレーター104には、第1プラグコンタクト101、第2プラグコンタクト102及び第3プラグコンタクト103が組み付けられる。第1プラグコンタクト101、第2プラグコンタクト102及び第3プラグコンタクト103は、例えば、インサート成形により、プラグインシュレーター104と一体的に形成される。第1プラグコンタクト101、第2プラグコンタクト102及び第3プラグコンタクト103は、それぞれ、離間した状態で配置され、プラグインシュレーター104によって互いに電気的に絶縁される。
【0037】
第1プラグコンタクト101の第1接点部101a、第2プラグコンタクト102の接点間遮へい部102a及び第3プラグコンタクト103の第3接点部103aは、プラグインシュレーター104の第1サイド嵌合凸部104dに、表面が露出した状態で配置される。第1プラグコンタクト101の第1結線部101b、第2プラグコンタクト102のシールド結線部102b及び第3プラグコンタクト103の第3結線部103bは、プラグインシュレーター104の基部104aの内面側から露出する。
【0038】
第2プラグコンタクト102の第1センターグランド部102d及び第2センターグランド部102eは、プラグインシュレーター104のセンター嵌合凸部104cに、表面の少なくとも一部(レセプタクルコネクター120のレセプタクルシェル125と接触する部分)が露出した状態で配置される。第2プラグコンタクト102の第1固定部102f及び第2固定部102gは、プラグインシュレーター104の第2サイド嵌合凸部104eに、外側の表面が露出した状態で配置される。
【0039】
プラグカバー106は、プラグインシュレーター104とともに、プラグコネクター100のハウジングを形成する保護体であり、プラグインシュレーター104の側面を覆うように配置される。プラグカバー106は、好ましくは、金属製の導電材料で形成される。この場合、プラグカバー106を第2プラグコンタクト102と電気的に接続してグランド電位とすることにより、シールドとして機能させることができる。なお、プラグカバー106は、プラグインシュレーター104と同様に、合成樹脂等の絶縁材料で形成されてもよい。
【0040】
モールド成形体107は、接続対象ケーブル10(同軸ケーブル11及びディスクリートケーブル12)を所定の姿勢で保持するケーブル保持部として機能する。モールド成形体107は、例えば、プラグインシュレーター104に組み付けられた第1プラグコンタクト101、第2プラグコンタクト102及び第3プラグコンタクト103に接続対象ケーブル10を接続し、これらを金型に配置されたプラグカバー106に収容した後、モールド樹脂を注入して硬化させることにより形成される。
【0041】
同軸ケーブル11及びディスクリートケーブル12は、モールド成形体107によって、嵌合方向において異なる2段に配置された状態で保持される。すなわち、第1プラグコンタクト101の第1結線部101b、第2プラグコンタクト102のシールド結線部102b及び第3プラグコンタクト103の第3結線部103bは、嵌合方向において、異なる2段に配置されている。これにより、接続対象ケーブル10を1段で配列する場合(例えば、第2の実施の形態参照)に比較して、接続対象ケーブル10の配列幅が小さくなるので、容易にプラグコネクター100の幅をアンテナモジュール基板PCBと同等以下の幅にすることができる。
【0042】
第1の実施の形態では、プラグコネクター100におけるピンアサインは以下の通りとなっている。
すなわち、第1プラグコンタクト101の第1接点部101a、第2プラグコンタクト102の接点間遮へい部102a及び第3プラグコンタクト103の第3接点部103aは、この順にピッチ方向であるX方向に並んで配置され、2つのコネクター接点部111、112を形成している(
図6A、
図6B参照)。コネクター接点部111、112は、X方向に沿う中心線CLを挟んで対向して2列で配置されている。また、コネクター接点部111、112は、第1接点部101a、接点間遮へい部102a及び3つの第3接点部103aの配置が、X方向に沿う中心線CLに関して線対称となるように配置されている。
【0043】
第1接点部101aと第3接点部103aの間に、グランド電位となる接点間遮へい部102aが配置されることで、第1接点部101aと第3接点部103aとの間が遮へいされている。また、コネクター接点部111、112の間に、第2プラグコンタクト102の第1センターグランド部102d及び第2センターグランド部102eが配置されることで、コネクター接点部111、112の間が遮へいされている。
これにより、伝送線路におけるEMS特性の向上を図ることができ、良好な伝送品質を確保することができる。特に、本実施の形態では、2つの第1接点部101aがY方向に対向し、近接して配置されているが、これらの間が第1センターグランド部102dによって遮へいされるので、2つの高周波信号用の伝送線路間のクロストークを抑制することができる。
【0044】
図7A、
図7Bは、レセプタクルコネクター120の外観図である。
図7Aでは、プラグコネクター100に嵌合されるZ方向+側(以下、「嵌合側」と称する)から見たレセプタクルコネクター120の外観斜視図を示している。
図7Bでは、嵌合側から見たレセプタクルコネクター120の平面図を示している。
図8は、嵌合柄から見たレセプタクルコネクター120の分解斜視図である。
【0045】
図7A、
図7B及び
図8に示すように、レセプタクルコネクター120は、第1レセプタクルコンタクト121、第2レセプタクルコンタクト122、第3レセプタクルコンタクト123、レセプタクルインシュレーター124及びレセプタクルシェル125を備える。
第1レセプタクルコンタクト121、第2レセプタクルコンタクト122、第3レセプタクルコンタクト123及びレセプタクルシェル125は、金属(例えば、銅合金)等の導電材料で形成される。レセプタクルインシュレーター124は、合成樹脂(例えば、液晶ポリマー)等の絶縁材料で形成される。
【0046】
第1レセプタクルコンタクト121、第2レセプタクルコンタクト122及び第3レセプタクルコンタクト123は、同様の形状を有し、レセプタクルインシュレーター124の第1サイド嵌合凹部124bに並んで配置される。レセプタクルコネクター120におけるピンアサインは、プラグコネクター100のピンアサインに対応する。なお、第1レセプタクルコンタクト121、第2レセプタクルコンタクト122及び第3レセプタクルコンタクト123の形状は同様でなくてもよいが、同様の形状とした場合には、コンタクト部品を共用することができる。
【0047】
第1レセプタクルコンタクト121は、第1接点部121a及び第1結線部121bを有する。第2レセプタクルコンタクト122は、第2接点部122a及び第2結線部122bを有する。第3レセプタクルコンタクト123は、第3接点部123a及び第3結線部123bを有する。
【0048】
第1接点部121a、第2接点部122a及び第3接点部123aは、それぞれ、プラグコネクター100とレセプタクルコネクター120を嵌合させたときに、プラグコネクター100の第1接点部101a、接点間遮へい部102a及び第3接点部103aと接触し、電気的に接続される。具体的には、第1接点部121a、第2接点部122a及び第3接点部123aは、それぞれ、U字形状に湾曲して形成され、自由端である先端部に、対向する面に対して付勢力を発揮するバネ片(符号略)を有している。また、バネ片に対抗する面には、第1プラグコンタクト101、第2プラグコンタクト102及び第3プラグコンタクト103の係合凸部(符号略)と係合する係合凹部(符号略)が設けられている。
【0049】
第1結線部121b、第2結線部122b及び第3結線部123bは、それぞれ、嵌合側とは反対側に引き出され、例えば、はんだ付けによりアンテナモジュール基板PCBの導体パターンと接続される。
【0050】
レセプタクルシェル125は、アンテナモジュール基板PCBのグランドに接続される枠体であり、Z方向から見た平面視においてレセプタクルインシュレーター124の外縁に対応する矩形形状を有する。レセプタクルシェル125は、第1グランド接点部125a、第2グランド接点部125b、係合片125c、係合穴125d及びグランド結線部125eを有する。レセプタクルシェル125は、例えば、1枚の金属板の板金加工により形成される。
【0051】
第1グランド接点部125a及び第2グランド接点部125bは、それぞれ、レセプタクルシェル125のY方向に沿う短辺部の略中央から内側に向けてX方向に延在する。第1グランド接点部125a及び第2グランド接点部125bは、それぞれ、プラグコネクター100とレセプタクルコネクター120を嵌合させたときに、第2プラグコンタクト102の第1センターグランド部102d及び第2センターグランド部102eと接触し、電気的に接続される。
【0052】
具体的には、第1グランド接点部125aは、先端が2股に分岐したチューニングフォーク形状の接触片126A、126Bを有する。接触片126A、126Bは、それぞれ、分岐の根元からX方向-側に延在し、板厚方向であるZ方+側にL字形状に折曲して形成される。第1グランド接点部125aは、接触片126A、126Bのバネ弾性により、第1センターグランド部102dを挟持して、保持する。第1センターグランド部102dを安定した姿勢で保持できるように、接触片126A、126Bは、第1センターグランド部102dとの接点がX方向にずれている。
同様に、第2グランド接点部125bは、先端が2股に分岐したチューニングフォーク形状の接触片127A、127Bを有する。接触片127A、127Bは、それぞれ、分岐の根元からX方向+側に延在し、板厚方向であるZ方+側にL字形状に折曲して形成される。第2グランド接点部125bは、接触片127A、127Bのバネ弾性により、第2センターグランド部102eを挟持して、保持する。第2センターグランド部102eを安定した姿勢で保持できるように、接触片127A、127Bは、第2センターグランド部102eとの接点がX方向にずれている。
【0053】
係合片125cは、レセプタクルシェル125の上部に複数配置され、それぞれ、内側に向かってU字形状に屈曲して形成される。係合穴125dは、レセプタクルシェル125の側面に複数配置される。係合片125cが、レセプタクルインシュレーター124の第1サイド嵌合凹部124b及び第2サイド嵌合凹部124cを形成する外壁体に係合されるとともに、係合穴125dがレセプタクルインシュレーター124の係合凸部124dに係合されることにより、レセプタクルシェル125は、レセプタクルインシュレーター124に嵌着され固定される。
また、係合片125cは、ばね弾性を有しており、プラグコネクター100とレセプタクルコネクター120を嵌合させたときに、第2プラグコンタクト102の第1固定部102f及び第2固定部102gと弾性的に接触し、電気的に接続されるようになっている。
グランド結線部125eは、レセプタクルシェル125の下部に複数設けられ、例えば、はんだ付けによりアンテナモジュール基板PCBのグランドと接続される。
【0054】
レセプタクルインシュレーター124は、Z方向から見た平面視で矩形形状を有し、レセプタクルコネクター120のハウジングを形成する。レセプタクルインシュレーター124は、センター嵌合凹部124a、第1サイド嵌合凹部124b及び第2サイド嵌合凹部124cを有し、プラグインシュレーター104を嵌合可能となっている。センター嵌合凹部124aは、X方向に沿って設けられ、プラグインシュレーター104のセンター嵌合凸部104cが嵌合される。第1サイド嵌合凹部124bは、センター嵌合凹部124aのY方向における両側に、センター嵌合凹部124cと平行に設けられ、プラグインシュレーター104の第1サイド嵌合凸部104dが嵌合される。第2サイド嵌合凹部124cは、センター嵌合凹部124aのX方向における両側に、第1サイド嵌合凹部124bを連結するように設けられ、プラグインシュレーター104の第2サイド嵌合凸部104eが嵌合される。
【0055】
レセプタクルインシュレーター124には、第1レセプタクルコンタクト121、第2レセプタクルコンタクト122、第3レセプタクルコンタクト123及びレセプタクルシェル125が組み付けられる。第1レセプタクルコンタクト121、第2レセプタクルコンタクト122及び第3レセプタクルコンタクト123は、例えば、インサート成形により、レセプタクルインシュレーター124と一体的に形成される。レセプタクルシェル125は、レセプタクルインシュレーター124の周縁部に嵌着される。
【0056】
このように、第1の形態に係るコネクターセット1において、プラグコネクター100は、アンテナモジュール基板PCB(回路基板)に実装されたレセプタクルコネクター120(相手コネクター)と嵌合することにより、高周波信号の伝送に用いられる同軸ケーブル11の内部導体11a(第1道電路)、シールドに用いられる同軸ケーブル11の外部シールド層11b(第2道電路)及び6本のディスクリートケーブル12(第3導電路)を有する接続対象ケーブル10とアンテナモジュール基板PCBとを接続する電線対基板用のコネクターである。
プラグコネクター100は、第1レセプタクルコンタクト121(第1相手コンタクト)に接続される第1接点部101a及び同軸ケーブル11の内部導体11aに接続される第1結線部101bを有する第1プラグコンタクト101(第1コンタクト)と、同軸ケーブル11の外部シールド層11bに接続されるシールド結線部102bを有する第2プラグコンタクト102(第2コンタクト)と、第3レセプタクルコンタクト123(第3相手コンタクト)に接続される第3接点部103a及びディスクリートケーブル12に接続される第3結線部103bを有する複数の第3プラグコンタクト103(第3コンタクト)と、第1プラグコンタクト101、第2プラグコンタクト102及び第3プラグコンタクト103が組み付けられるプラグインシュレーター104(インシュレーター)と、第3接点部103aの並び方向であるピッチ方向に引き出されるように接続対象ケーブル10を保持するケーブル保持部と、を備える。第1の実施の形態では、モールド成形体107により、接続対象ケーブル10が保持されている。
【0057】
具体的には、プラグコネクター100は、複数の第1プラグコンタクト101及び複数の第3プラグコンタクト103を備え、複数の第1結線部101b及び複数の第3結線部103bは、それぞれ、嵌合方向及びピッチ方向に直交するY方向に並んで配置されている。
【0058】
プラグコネクター100によれば、プラグコネクター100のピッチ方向と接続対象ケーブル10の延在方向が一致するように、プラグコネクター100から接続対象ケーブル10が引き出されている。これにより、プラグコネクター100とレセプタクルコネクター120を嵌合させたときに、接続対象ケーブル10の延在方向を、アンテナモジュール基板PCBの延在方向と一致させることができる。したがって、機器内配線の省スペース化を図ることができ、通信機器の小型化に対応することができる。
【0059】
また、プラグコネクター100において、第2プラグコンタクト102は、第1接点部101aと第3接点部103aとの間に配置される接点間遮へい部102aを有し、第1接点部101a、接点間遮へい部102a及び複数の第3接点部103aは、この順にピッチ方向に並んでコネクター接点部111、112を形成し、2つのコネクター接点部111、112が、ピッチ方向に沿う中心線CLを挟んで対向して2列で配置されている。これにより、第1接点部101aと第3接点部103aの間に、グランド電位となる接点間遮へい部102aが配置されることとなり、第1プラグコンタクト101と第3プラグコンタクト103との間が遮へいされるので、信号伝送特性が向上する。
【0060】
また、プラグコネクター100において、2つのコネクター接点部111、112は、第1接点部101a、接点間遮へい部102a及び複数の第3接点部103aの配置が、中心線CLに関して線対称となるように配置されている。この場合、第1プラグコンタクト101、第2プラグコンタクト102及び第3プラグコンタクト103の構造を対称構造とすることができるので、部品の設計及び製造が容易になる。
また、第1接点部101aを接続対象ケーブル10とは反対側に配置する、すなわち、アンテナモジュール基板PCBの内側(端部から離れた位置)に配置することで、高周波信号用の伝送線路に用いられるアンテナモジュール基板PCBの導体パターンの長さを短くすることができ、伝送損失を低減することができる。
【0061】
また、プラグコネクター100において、第2プラグコンタクト102は、2つのコネクター接点部111、112の間に配置される第1センターグランド部102d、第2センターグランド部102e(センターグランド部)を有する。これにより、Y方向に対向するコンタクト間が遮へいされるので、信号伝送特性がさらに向上する。特に、第1の実施の形態では、2つの第1接点部101aがY方向に対向し、近接して配置されているが、これらの間が第1センターグランド部102dによって遮へいされるので、2つの高周波信号用の伝送線路間のクロストークを抑制することができる。
【0062】
また、プラグコネクター100において、第1結線部101b、シールド結線部102b(第2結線部)及び第3結線部103bは、嵌合方向において、レセプタクルコネクター120(相手コネクター)と嵌合される嵌合領域と重なるように配置されている。これにより、プラグコネクター100の長手方向の長さを短くすることができ、プラグコネクター100の小型化を図ることができる。
【0063】
また、プラグコネクター100において、第1プラグコンタクト101は、第1接点部101aと第1結線部101bとを連結する第1中継部101cを有し、第3プラグコンタクト103は、第3接点部103aと第3結線部103bとを連結する第3中継部103cを有し、第1中継部101c及び第3中継部103cは、それぞれ、嵌合方向から見た平面視において、第1接点部101a及び第3接点部103aから嵌合方向及びピッチ方向に直交するY方向に引き出され、屈曲して第1結線部101b及び第3結線部103bまでX方向(ピッチ方向)に延在する形状を有する。これにより、第1結線部101b及び複数の第3結線部103bを、それぞれ、容易にY方向に並べて配置することができ、ピッチ方向に延在するように、接続対象ケーブル10である同軸ケーブル11及びディスクリートケーブル12をプラグコネクター100に接続することができる。
【0064】
また、プラグコネクター100において、第1結線部101b、シールド結線部102b及び第3結線部103bは、嵌合方向において、異なる2段に配置されている。これにより、接続対象ケーブル10を1段で配列する場合に比較して、接続対象ケーブル10の配列幅を小さくすることができ、容易にプラグコネクター100の幅をアンテナモジュール基板PCBと同等以下の幅にすることができる。
【0065】
[第2の実施の形態]
図9A、
図9Bは、本発明の第2の実施の形態に係るコネクターセット2の外観斜視図である。
図9A、
図9Bでは、コネクターセット2を分解した状態、すなわち、プラグコネクター200とレセプタクルコネクター220を嵌合する前の状態を示している。なお、
図9Bでは、レセプタクルコネクター220が実装されるアンテナモジュール基板PCBの図示を省略している。
【0066】
図9A、
図9Bに示すように、コネクターセット2は、プラグコネクター200及びレセプタクルコネクター220を備える。コネクターセット2は、例えば、5G対応スマーフォン等の次世代移動通信対応の通信機器(図示略)の機器内配線として実装される。
コネクターセット2において、レセプタクルコネクター220の構成は、ピンアサインを除いて、第1の実施の形態に係るレセプタクルコネクター120とほぼ同様であるので、以下では、プラグコネクター200の構成について具体的に説明する。なお、レセプタクルコネクター220の構成要素については、第1の実施の形態に係るレセプタクルコネクター120の構成要素と同じ参照符号を用いることとする。
【0067】
プラグコネクター200は、接続対象ケーブル20の一端に取り付けられ、コネクター付きケーブルとして用いられる。接続対象ケーブル20の他端は、例えば、通信機器のメイン基板(図示略)に接続される。レセプタクルコネクター220は、通信機器のアンテナモジュール基板PCBに実装される。
【0068】
本実施の形態では、接続対象ケーブル20が、2本の第1同軸ケーブル21と、6本の第2同軸ケーブル22で構成される場合について説明する。なお、接続対象ケーブル20には、フレキシブルフラットケーブル(FFC)や、フレキシブルプリント回路基板(FPC)等のフラットケーブルを適用することもできる。本実施の形態では、接続対象ケーブル20がプラグコネクター200に対してZ方向に同じ段で接続されるようになっているので、1枚のフラットケーブルが適用されることになる。この場合、導体層に第1導電路及び第3導電路が配置され、導体層の片面又は両面に形成されるグランド層が第2導電路となる、2層構造又は3層構造のフレキシブルフラットケーブルが用いられる。
【0069】
第1同軸ケーブル21は、内部導体21a(第1導電路)と、絶縁体(符号略)を介して内部導体21aの外側に配置される外部シールド層21b(第2導電路)と、を有する。第1同軸ケーブル21の内部導体21aは、高周波信号の伝送に用いられる。第2同軸ケーブル22は、第1同軸ケーブル21と同様に、内部導体22a(第3導電路)と、外部シールド層22b(第2導電路)と、を有する。第2同軸ケーブル22の内部導体22aは、動力線(電源線)、制御線、又は信号線として用いられる。
【0070】
コネクターセット2は、プラグコネクター200とレセプタクルコネクター220との嵌合により、接続対象ケーブル20とアンテナモジュール基板PCBとを電気的に接続する。具体的には、第1同軸ケーブル21の内部導体21a及び第2同軸ケーブル22の内部導体22aは、プラグコネクター200の第1プラグコンタクト201及び第3プラグコンタクト203と、レセプタクルコネクター220の第1レセプタクルコンタクト121及び第3レセプタクルコンタクト123とを介して、アンテナモジュール基板PCBの導体パターン(図示略)と電気的に接続される。また、第1同軸ケーブル21の外部シールド層21b及び第2同軸ケーブル22の外部シールド層22bは、プラグコネクター200の第2プラグコンタクト202と、レセプタクルコネクター220の第2レセプタクルコンタクト122及びレセプタクルシェル125とを介して、アンテナモジュール基板PCBのグランドに接続される。
【0071】
コネクターセット2において、レセプタクルコネクター220は、例えば、アンテナモジュール基板PCBの延在方向と、レセプタクルコネクター220のピッチ方向が、X方向に一致するようにアンテナモジュール基板PCBに実装される。この場合、アンテナモジュール基板PCBの幅方向と、レセプタクルコネクター220のピッチ方向がY方向に一致するように実装される場合に比較して、アンテナモジュール基板PCBの幅を小さくすることができ、機器内配線の省スペース化を図ることができる。
また、接続対象ケーブル20は、プラグコネクター200のピッチ方向と、接続対象ケーブル20の延在方向が、X方向に一致するようにプラグコネクター200から引き出されている。また、プラグコネクター200のY方向の幅は、アンテナモジュール基板PCBの幅と同等以下に設定される。これにより、プラグコネクター200とレセプタクルコネクター220を嵌合させたときに、接続対象ケーブル20の延在方向を、アンテナモジュール基板PCBの延在方向と一致させることができる。そして、嵌合方向及びピッチ方向と直交する方向(Y方向)に接続対象ケーブル20が延在する場合、すなわち、アンテナモジュール基板PCBの延在方向に対して接続対象ケーブル20が90°をなす方向に延在する場合に比較して、機器内配線の省スペース化を図ることができる。したがって、コネクターセット2は、通信機器の小型化を図る場合に極めて有用である。
【0072】
図10は、プラグコネクター200の外観斜視図である。
図10では、レセプタクルコネクター220に嵌合されるZ方向-側(以下、「嵌合側」と称する)から見たプラグコネクター200の外観斜視図を示している。
図11は、プラグコネクター200の分解斜視図である。
図11は、嵌合側から見た分解斜視図である。
図12A、
図12Bは、プラグコネクター200の内部における配線を示す図であり、プラグインシュレーター204及びプラグカバー206については、省略して示している。
図12Aは嵌合側から見た平面図、
図12Bは反対側から見た底面図である。
【0073】
図10、
図11に示すように、プラグコネクター200は、第1プラグコンタクト201、第2プラグコンタクト202A、202B、第3プラグコンタクト203、プラグインシュレーター204及びプラグカバー206を備える。第1プラグコンタクト201、第2プラグコンタクト202A、202B及び第3プラグコンタクト203は、金属(例えば、銅合金)等の導電材料で形成される。プラグインシュレーター204は、合成樹脂(例えば、液晶ポリマー)等の絶縁材料で形成される。
【0074】
図10において、破線で囲んだ領域F2が、嵌合方向から見たプラグコネクター200の嵌合領域、すなわち、レセプタクルコネクター220と嵌合される領域である(以下、「嵌合領域F2」と称する)。本実施の形態では、第1プラグコンタクト201の第1結線部201b、第2プラグコンタクト202のシールド結線部202b及び第3プラグコンタクト203の第3結線部203bは、ピッチ方向において、嵌合領域F2の外側に配置される。
【0075】
第1プラグコンタクト201は、第1接点部201a、第1結線部201b及び第1接点部201aと第1結線部201bを接続する第1中継部201cを有する。
第1接点部201aは、プラグコネクター200とレセプタクルコネクター220を嵌合させたときに、レセプタクルコネクター220の第1接点部121aと接触し、電気的に接続される。具体的には、第1接点部201aは、内側に向けてU字形状に折り返されており、端部の外面に、第1レセプタクルコンタクト121の係合凹部(符号略)と係合する係合凸部(符号略)が設けられている。2つの第1接点部201aは、X方向に沿う中心線CL上の中心点CPに関して点対称となるように配置される。
第1結線部201bは、平板形状に形成されており、先端部の段剥ぎ加工により露出した第1同軸ケーブル21の内部導体21aが、例えば、はんだ付けによりZ方向-側から接続される(
図12A、
図12B参照)。2つの第1結線部201bは、嵌合方向であるZ方向及びピッチ方向であるX方向に直交するY方向に並んで配置される。第1中継部201cは、第1接点部201aからZ方向+側に向かって略垂直に延在し、Y方向に屈曲して延在した後、X方向に延在する。第1中継部201cは、Y方向において2つの第1結線部201bが第3結線部203bの外側に位置するように、適宜斜行して形成される。
【0076】
第2プラグコンタクト202A、202Bは、第1同軸ケーブル21の外部シールド層21b及び第2同軸ケーブル22の外部シールド層22bに接続される部材であり、レセプタクルコネクター220の第2レセプタクルコンタクト122及びレセプタクルシェル125を介して、アンテナモジュール基板PCBのグランドと電気的に接続される。第2プラグコンタクト202Aは、外部シールド層21b、22bに接続される。第2プラグコンタクト202Bは、コネクター接点部211、212の間を遮へいするグランドプレートであり、第2プラグコンタクト202Aと電気的に接続される。第2プラグコンタクト202Bは、例えば、1枚の金属板の板金加工により形成される。なお、第2プラグコンタクト202A、202Bは、第1の実施の形態と同様に、1つの部材で構成されてもよい。
【0077】
第2プラグコンタクト202Aは、接点間遮へい部202a及びシールド結線部202bを有する。接点間遮へい部202aとシールド結線部202bは、第2中継部202cによって連結される。第2プラグコンタクト202Bは、センターグランド部202d、第1固定部202f及び第2固定部202gを有する。
【0078】
接点間遮へい部202aは、第1プラグコンタクト201の第1接点部201aと第3プラグコンタクト203の第3接点部203aとの間に配置される。本実施の形態では、接点間遮へい部202aは、プラグコネクター200とレセプタクルコネクター220を嵌合させたときに、レセプタクルコネクター220の第2レセプタクルコンタクト122と接触し、電気的に接続される。具体的には、接点間遮へい部202aは、内側に向けてU字形状に折り返されており、端部の外面に、第2レセプタクルコンタクト122の係合凹部(符号略)と係合する係合凸部(符号略)が設けられている。2つの接点間遮へい部202aは、X方向に沿う中心線CL上の中心点CPに関して点対称となるように配置される。
【0079】
シールド結線部202bは、平板形状に形成されており、グランドバー205を介して、第1同軸ケーブル21の外部シールド層21b及び第2同軸ケーブル22の外部シールド層22bと電気的に接続される(
図12A、
図12B参照)。2つのシールド結線部202bは、嵌合方向であるZ方向及びピッチ方向であるX方向に直交するY方向に並んで配置される。グランドバー205は、先端部の段剥ぎ加工により露出した第1同軸ケーブル21の外部シールド層21b及び第2同軸ケーブル22の外部シールド層22bを挟み込み、例えば、はんだ付けにより接続される。また、シールド結線部202bには、グランドバー205が、例えば、はんだ付けによりZ方向-側から接続される。第2中継部202cは、接点間遮へい部202aからZ方向+側に向かって略垂直に延在し、Y方向に屈曲して延在した後、X方向に延在する。第2中継部202cは、Y方向において2つのシールド結線部202bが第1結線部201b及び第3結線部203bの間隙を通ってX方向-側に引き出されるように、適宜斜行して形成される。
【0080】
センターグランド部202dは、XZ面に拡がる平板形状を有する。第1固定部202fは、センターグランド部202dのX方向+側の端部に配置され、第2固定部202fは、センターグランド部202dのX方向-側の端部に配置される。
【0081】
第3プラグコンタクト203は、第3接点部203a、第3結線部203b及び第3接点部203aと第3結線部203bを接続する第3中継部203cを有する。
第3接点部203aは、プラグコネクター200とレセプタクルコネクター220を嵌合させたときに、レセプタクルコネクター220の第3接点部123aと接触し、電気的に接続される。具体的には、第3接点部203aは、内側に向けてU字形状に折り返されており、端部の外面に、第3レセプタクルコンタクト123の係合凹部(符号略)と係合する係合凸部(符号略)が設けられている。
第3結線部203bは、平板形状に形成されており、第2同軸ケーブル22の内部導体22aが、例えば、はんだ付けによりZ方向-側から接続される。6つの第3結線部203bは、2つの第1結線部201bとともに、嵌合方向であるZ方向及びピッチ方向であるX方向に直交するY方向に並んで配置される。なお、第1結線部201b及び第3結線部203bは、全体としてY方向に並んでいればよく、例えば、X方向に互い違いにずれて配置されてもよい。第3中継部203cは、第3接点部203aからZ方向+側に向かって略垂直に延在し、Y方向に屈曲して内側に延在した後、X方向に延在する。第3中継部203cは、Y方向において6つの第3結線部203bが並設されるように、適宜斜行して形成される。
【0082】
プラグインシュレーター204は、プラグカバー206とともに、プラグコネクター200のハウジングを形成する。プラグインシュレーター204は、基部204a、側壁部204b、センター嵌合凸部204c、第1サイド嵌合凸部204d、第2サイド嵌合凸部204e及びコンタクト取付部204fを有する。
【0083】
基部204aは、XY面に拡がり、Z方向から見た平面視で略矩形形状を有する。本実施の形態では、接続対象ケーブル20の配列幅(Y方向の幅)に合わせて、プラグインシュレーター204のX方向-側は、X方向+側に比較して幅広となっている。
側壁部204bは、基部204aの3辺からZ方向-側に起立するように形成されており、センター嵌合凸部204c、第1サイド嵌合凸部204d及び第2サイド嵌合凸部204eを含む嵌合領域F2を囲繞する。
センター嵌合凸部204c、第1サイド嵌合凸部204d及び第2サイド嵌合凸部204eは、レセプタクルコネクター220と嵌合する部分であり、基部204aから嵌合側に突出するように設けられる。センター嵌合凸部204cは、XZ面に拡がる平板形状を有し、基部204aの嵌合側の面に立設される。第1サイド嵌合凸部204d及び第2サイド嵌合凸部204eは、基部204aの嵌合側の面に、センター嵌合凸部204cを取り囲むように立設され、矩形形状の枠部を形成する。
コンタクト取付部204fは、ピッチ方向において嵌合領域F2の外側に配置される。コンタクト取付部204fには、第1プラグコンタクト201の第1結線部201b及び第3プラグコンタクト203の第3結線部203bが配置される。
【0084】
プラグインシュレーター204には、第1プラグコンタクト201、第2プラグコンタクト202A、202B及び第3プラグコンタクト203が組み付けられる。第1プラグコンタクト201、第2プラグコンタクト202A、202B及び第3プラグコンタクト203は、例えば、インサート成形により、プラグインシュレーター204と一体的に形成される。第1プラグコンタクト201、第2プラグコンタクト202A、202B及び第3プラグコンタクト203は、それぞれ、離間した状態で配置され、プラグインシュレーター204によって互いに電気的に絶縁される。
【0085】
第1プラグコンタクト201の第1接点部201a、第2プラグコンタクト202Aの接点間遮へい部202a及び第3プラグコンタクト203の第3接点部203aは、プラグインシュレーター204の第1サイド嵌合凸部204dに、表面が露出した状態で配置される。第1プラグコンタクト201の第1結線部201b及び第3プラグコンタクト203の第3結線部203bは、プラグインシュレーター204のコンタクト取付部204fに引き出され、配置される。第2プラグコンタクト202Aのシールド結線部202bは、コンタクト取付部204fよりもX方向-側に引き出され、プラグカバー206に配置される。
【0086】
第2プラグコンタクト202Bのセンターグランド部202dは、プラグインシュレーター204のセンター嵌合凸部204cに、表面の少なくとも一部(レセプタクルコネクター220のレセプタクルシェル125と接触する部分)が露出した状態で配置される。第2プラグコンタクト202Bの第1固定部202f及び第2固定部202gは、プラグインシュレーター204の第2サイド嵌合凸部204eに、外側の表面が露出した状態で配置される。
【0087】
プラグカバー206は、プラグインシュレーター204とともに、プラグコネクター200のハウジングを形成する保護体であり、プラグインシュレーター204の側面を覆うように配置される。プラグカバー206は、好ましくは、金属製の導電材料で形成される。この場合、プラグカバー206を第2プラグコンタクト202A、202Bと電気的に接続してグランド電位とすることにより、シールドとして機能させることができる。なお、プラグカバー206は、プラグインシュレーター204と同様に、合成樹脂等の絶縁材料で形成されてもよい。
【0088】
プラグインシュレーター204は、プラグカバー206の内部に収容される。プラグカバー206のX方向の長さは、プラグインシュレーター204の長さよりも長く、X方向-側の部分によって接続対象ケーブル20を保持できるようになっている。つまり、プラグカバー206は、ケーブル保持部として機能し、接続対象ケーブル20の端部を保持する。
なお、プラグコネクター200に接続対象ケーブル20を接続した後、接続部分を覆うようにモールド樹脂を注入して硬化させてモールド成形体を形成し、接続対象ケーブル20の接続部分を補強してもよい。
【0089】
第1同軸ケーブル21及び第2同軸ケーブル22は、主に、プラグカバー206によって、嵌合方向において同一段に配置された状態で保持される。これにより、接続対象ケーブル20を複数段で配列する場合(例えば、第1の実施の形態参照)に比較して、接続対象ケーブル20の嵌合方向における高さが小さくなるので、プラグコネクター200の低背化を図ることができる。また、接続対象ケーブル20としてフラットケーブルを適用する場合、第1導電路、第2導電路及び第3導電路を有する1枚のフラットケーブルを接続することになるので、ケーブルの接続作業が容易化される。
【0090】
第2の実施の形態では、プラグコネクター200におけるピンアサインは以下の通りとなっている。
すなわち、第1プラグコンタクト201の第1接点部201a、第2プラグコンタクト202Aの接点間遮へい部202a及び第3プラグコンタクト203の第3接点部203aは、この順にピッチ方向であるX方向に並んで配置され、2つのコネクター接点部211、212を形成している(
図12A参照)。コネクター接点部211、212は、X方向に沿う中心線CLを挟んで対向して2列で配置されている。また、コネクター接点部211、212は、第1接点部201a、接点間遮へい部202a及び3つの第3接点部203aの配置が、X方向に沿う中心線CL上の中心点CPに関して点対称となるように配置されている。
【0091】
第1接点部201aと第3接点部203aの間に、グランド電位となる接点間遮へい部202aが配置されることで、第1接点部201aと第3接点部203aとの間が遮へいされている。また、コネクター接点部211、212の間に、第2プラグコンタクト202Bのセンターグランド部202dが配置されることで、コネクター接点部211、212の間が遮へいされている。
これにより、伝送線路におけるEMS特性の向上を図ることができ、良好な伝送品質を確保することができる。特に、本実施の形態では、2つの第1接点部201aが嵌合領域F2を規定する矩形の対角に位置し、Y方向に対向する場合に比較して大きく離間して配置されており、互いの影響を受けにくい配置となっているので、2つの高周波信号用の伝送線路間のクロストークを抑制することができる。
【0092】
このように、第2の実施の形態に係るコネクターセット2において、プラグコネクター200は、アンテナモジュール基板PCB(回路基板)に実装されたレセプタクルコネクター220(相手コネクター)と嵌合することにより、高周波信号の伝送に用いられる第1同軸ケーブル21の内部導体21a(第1道電路)、シールドに用いられる第1同軸ケーブル21及び第2同軸ケーブル22の外部シールド層21b、22b(第2道電路)及び6本の第2同軸ケーブル22の内部導体22a(第3導電路)を有する接続対象ケーブル20とアンテナモジュール基板PCBとを接続する電線対基板用のコネクターである。
プラグコネクター200は、第1レセプタクルコンタクト121(第1相手コンタクト)に接続される第1接点部201a及び第1同軸ケーブル21の内部導体21aに接続される第1結線部201bを有する第1プラグコンタクト201(第1コンタクト)と、第1同軸ケーブル21及び第2同軸ケーブル22の外部シールド層21b、22bに接続されるシールド結線部202b(第2結線部)を有する第2プラグコンタクト202A(第2コンタクト)と、第3レセプタクルコンタクト123(第3相手コンタクト)に接続される第3接点部203a及び第2同軸ケーブル22の内部導体22aに接続される第3結線部203bを有する複数の第3プラグコンタクト203(第3コンタクト)と、第1プラグコンタクト201、第2プラグコンタクト202A及び第3プラグコンタクト203が組み付けられるプラグインシュレーター204(インシュレーター)と、第3接点部203aの並び方向であるピッチ方向に引き出されるように接続対象ケーブル20を保持するケーブル保持部と、を備える。第2の実施の形態では、プラグカバー206により、接続対象ケーブル20が保持されている。
【0093】
具体的には、プラグコネクター200は、複数の第1プラグコンタクト201及び複数の第3プラグコンタクト203を備え、複数の第1結線部201b及び複数の第3結線部203bは、それぞれ、嵌合方向及びピッチ方向に直交するY方向に並んで配置されている。
【0094】
プラグコネクター200によれば、プラグコネクター200のピッチ方向と接続対象ケーブル20の延在方向が一致するように、プラグコネクター200から接続対象ケーブル20が引き出されている。これにより、プラグコネクター200とレセプタクルコネクター220を嵌合させたときに、接続対象ケーブル20の延在方向を、アンテナモジュール基板PCBの延在方向と一致させることができる。したがって、機器内配線の省スペース化を図ることができ、通信機器の小型化に対応することができる。
【0095】
また、プラグコネクター200において、第2プラグコンタクト202Aは、第1接点部201aと第3接点部203aとの間に配置される接点間遮へい部202aを有し、第1接点部201a、接点間遮へい部202a及び複数の第3接点部203aは、この順にピッチ方向に並んでコネクター接点部211、212を形成し、2つのコネクター接点部211、212が、ピッチ方向に沿う中心線CLを挟んで対向して2列で配置されている。これにより、第1接点部201aと第3接点部203aの間に、グランド電位となる接点間遮へい部202aが配置されることとなり、第1プラグコンタクト101と第3プラグコンタクト103との間が遮へいされるので、信号伝送特性が向上する。
【0096】
また、プラグコネクター200において、2つのコネクター接点部211、212は、第1接点部201a、接点間遮へい部202a及び複数の第3接点部203aの配置が、中心線CL上の中心点CPに関して点対称となるように配置されている。2つの第1接点部201aは、嵌合領域F2を規定する矩形の対角に位置しており、互いの影響を最も受けにくい配置となるので、2つの高周波信号用の伝送線路間のクロストークを抑制することができ、信号伝送特性がさらに向上する。
【0097】
また、プラグコネクター200において、第2プラグコンタクト202Bは、2つのコネクター接点部211、212の間に配置されるセンターグランド部202dを有する。これにより、Y方向に対向するコンタクト間が遮へいされるので、信号伝送特性がさらに向上する。
【0098】
また、プラグコネクター200において、第1結線部201b、シールド結線部202b(第2結線部)及び第3結線部203bは、ピッチ方向において、レセプタクルコネクター220(相手コネクター)と嵌合される嵌合領域F2の外側に配置されている。すなわち、第1結線部201b、シールド結線部202b(第2結線部)及び第3結線部203bは、嵌合方向において、嵌合領域F2と重ならないようになっている。これにより、嵌合領域と重なるように接続対象ケーブルが配置される場合に比較して、プラグコネクター200の低背化を図ることができる。
【0099】
また、プラグコネクター200において、第1プラグコンタクト201は、第1接点部201aと第1結線部201bとを連結する第1中継部201cを有し、第3プラグコンタクト203は、第3接点部203aと第3結線部203bとを連結する第3中継部203cを有し、第1中継部201c及び第3中継部203cは、それぞれ、嵌合方向から見た平面視において、第1接点部201a及び第3接点部203aから嵌合方向及びピッチ方向に直交するY方向に引き出され、屈曲して第1結線部201b及び第3結線部203bまでX方向(ピッチ方向)に延在する形状を有する。これにより、第1結線部201b及び複数の第3結線部203bを、それぞれ、容易にY方向に並べて配置することができ、ピッチ方向に延在するように、接続対象ケーブル20である第1同軸ケーブル21及び第2同軸ケーブル22をプラグコネクター200に接続することができる。
【0100】
また、プラグコネクター200において、第1結線部201b、シールド結線部202b(第2結線部)及び第3結線部203bは、嵌合方向において、同一段に配置されている。これにより、接続対象ケーブル20を2段で配列する場合に比較して、プラグコネクター200の低背化を図ることができる。
【0101】
[第3の実施の形態]
図13A、
図13Bは、本発明の第3の実施の形態に係るコネクターセット3の外観斜視図である。
図13A、
図13Bでは、コネクターセット3を分解した状態、すなわち、プラグコネクター300とレセプタクルコネクター320を嵌合する前の状態を示している。なお、
図13Bでは、レセプタクルコネクター320が実装されるアンテナモジュール基板PCBの図示を省略している。
【0102】
図13A、
図13Bに示すように、コネクターセット3は、プラグコネクター300及びレセプタクルコネクター320を備える。コネクターセット3は、例えば、5G対応スマーフォン等の次世代移動通信対応の通信機器(図示略)の機器内配線として実装される。
【0103】
プラグコネクター300は、接続対象ケーブル30の一端に取り付けられ、コネクター付きケーブルとして用いられる。接続対象ケーブル30の他端は、例えば、通信機器のメイン基板(図示略)に接続される。レセプタクルコネクター320は、通信機器のアンテナモジュール基板PCBに実装される。
【0104】
本実施の形態では、接続対象ケーブル30は、第2の実施の形態と同様である。すなわち、接続対象ケーブル30は、2本の第1同軸ケーブル31と、6本の第2同軸ケーブル32で構成されている。なお、接続対象ケーブル30には、フレキシブルフラットケーブル(FFC)や、フレキシブルプリント回路基板(FPC)等のフラットケーブルを適用することもできる。本実施の形態では、接続対象ケーブル30がプラグコネクター300に対してZ方向に異なる2段で接続されるようになっているので、2枚のフラットケーブルが適用されることになる。
【0105】
第1同軸ケーブル31は、内部導体31a(第1導電路)と、絶縁体(符号略)を介して内部導体31aの外側に配置される外部シールド層31b(第2導電路)と、を有する。第1同軸ケーブル31の内部導体31aは、高周波信号の伝送に用いられる。第2同軸ケーブル32は、第1同軸ケーブル31と同様に、内部導体32a(第3導電路)と、外部シールド層32b(第2導電路)と、を有する。第2同軸ケーブル32の内部導体32aは、動力線(電源線)、制御線、又は信号線として用いられる。
【0106】
コネクターセット3は、プラグコネクター300とレセプタクルコネクター320との嵌合により、接続対象ケーブル30とアンテナモジュール基板PCBとを電気的に接続する。具体的には、具体的には、第1同軸ケーブル31の内部導体31a及び第2同軸ケーブル32の内部導体32aは、プラグコネクター300の第1プラグコンタクト301及び第3プラグコンタクト303と、レセプタクルコネクター320の第1レセプタクルコンタクト321及び第3レセプタクルコンタクト323とを介して、アンテナモジュール基板PCBの導体パターン(図示略)と電気的に接続される。また、第1同軸ケーブル31の外部シールド層31b及び第2同軸ケーブル32の外部シールド層32bは、プラグコネクター300の第2プラグコンタクト302と、レセプタクルコネクター320のレセプタクルシェル325とを介して、アンテナモジュール基板PCBのグランドに接続される。
【0107】
コネクターセット3において、レセプタクルコネクター320は、例えば、アンテナモジュール基板PCBの延在方向と、レセプタクルコネクター320のピッチ方向が一致するように、アンテナモジュール基板PCBに実装される。この場合、アンテナモジュール基板PCBの幅方向と、レセプタクルコネクター120のピッチ方向が一致する場合に比較して、アンテナモジュール基板PCBの幅を小さくすることができ、機器内配線の省スペース化を図ることができる。
また、接続対象ケーブル30は、プラグコネクター300のピッチ方向と、接続対象ケーブル30の延在方向が、X方向に一致するようにプラグコネクター300から引き出されている。また、プラグコネクター300のY方向の幅は、アンテナモジュール基板PCBの幅と同等以下に設定される。これにより、プラグコネクター300とレセプタクルコネクター320を嵌合させたときに、接続対象ケーブル30の延在方向を、アンテナモジュール基板PCBの延在方向と一致させることができる。そして、嵌合方向及びピッチ方向と直交する方向(Y方向)に接続対象ケーブル30が延在する場合、すなわち、アンテナモジュール基板PCBの延在方向に対して接続対象ケーブル30が90°をなす方向に延在する場合に比較して、機器内配線の省スペース化を図ることができる。したがって、コネクターセット3は、通信機器の小型化を図る場合に極めて有用である。
【0108】
以下に、プラグコネクター300及びレセプタクルコネクター320の具体的な構成について説明する。
【0109】
図14は、プラグコネクター300の外観斜視図である。
図14では、レセプタクルコネクター320に嵌合されるZ方向-側(以下、「嵌合側」と称する)から見たプラグコネクター300の外観斜視図を示している。
図15、
図16は、プラグコネクター300の分解斜視図である。
図15は、嵌合側から見た分解斜視図であり、
図16は、反対側のZ方向+側から見た分解斜視図である。
図17A、
図17Bは、プラグコネクター300の内部における配線を示す図であり、プラグインシュレーター304及びプラグカバー306については、省略して示している。
図17AはY方向-側から見た側面図、
図17Bは嵌合側から見た平面図である。
【0110】
図14~
図16に示すように、プラグコネクター300は、第1プラグコンタクト301、第2プラグコンタクト302、第3プラグコンタクト303、プラグインシュレーター304及びプラグカバー306を備える。第1プラグコンタクト301、第2プラグコンタクト302及び第3プラグコンタクト303は、金属(例えば、銅合金)等の導電材料で形成される。プラグインシュレーター304は、合成樹脂(例えば、液晶ポリマー)等の絶縁材料で形成される。
【0111】
図14において、破線で囲んだ領域F3が、嵌合方向から見たプラグコネクター300の嵌合領域、すなわち、レセプタクルコネクター320と嵌合される領域である(以下、「嵌合領域F3」と称する)。実施の形態では、第1プラグコンタクト301の第1結線部301b及び第2プラグコンタクト302のシールド結線部302bは、嵌合方向において、嵌合領域F3と重なるように配置される。一方、第3プラグコンタクト303の第3結線部303bは、ピッチ方向において、嵌合領域F3の外側に配置される。
【0112】
第1プラグコンタクト301は、第1接点部301a、第1結線部301b及び第1接点部301aと第1結線部301bを接続する第1中継部301cを有する。
第1接点部301aは、プラグコネクター300とレセプタクルコネクター320を嵌合させたときに、レセプタクルコネクター320の第1接点部321aと接触し、電気的に接続される。具体的には、第1接点部301aは、外側に向けてU字形状に折り返されており、端部の外面に、第1レセプタクルコンタクト321の係合凹部(符号略)と係合する係合凸部(符号略)が設けられている。2つの第1接点部301aは、X方向において、第3接点部303aの両側に配置される。
第1結線部301bは、平板形状に形成されており、先端部の段剥ぎ加工により露出した第1同軸ケーブル31の内部導体31aが、例えば、はんだ付けによりZ方向+側から接続される。2つの第1結線部301bは、嵌合方向であるZ方向及びピッチ方向であるX方向に直交するY方向に並んで配置される。一方の第1中継部301cは、X方向+側に位置する第1接点部301aからZ方向+側に向かって略垂直に延在した後、X方向-側に向かって延在する。他方の第1中継部301cは、X方向-側に位置する第1接点部301aからZ方向+側に向かって略垂直に延在した後、X方向+側に向かって延在する。
【0113】
第2プラグコンタクト302は、第1同軸ケーブル31の外部シールド層31b及び第2同軸ケーブル32の外部シールド層32bに接続される部材であり、レセプタクルコネクター320のレセプタクルシェル325を介して、アンテナモジュール基板PCBのグランドと電気的に接続される。第2プラグコンタクト302は、例えば、1枚の金属板の板金加工により形成される。なお、第2プラグコンタクト302は、互いに電気的に接続されていれば、複数の部材で構成されてもよい。
【0114】
第2プラグコンタクト302は、接点間遮へい部302a、第1シールド結線部302b、第2シールド結線部302c、接点周囲遮へい部302d、接点-結線間遮へい部302e及び結線間遮へい部302fを有する。
【0115】
接点間遮へい部302aは、第1プラグコンタクト301の第1接点部301aと第3プラグコンタクト303の第3接点部303aとの間に配置される。具体的には、接点間遮へい部302aは、YZ面に拡がる平板形状を有する。
【0116】
第1シールド結線部302bは、平板形状に形成されており、第1グランドバー305を介して、第1同軸ケーブル31の外部シールド層31bと電気的に接続される(
図17A、
図17B参照)。2つの第1シールド結線部302bは、嵌合方向であるZ方向及びピッチ方向であるX方向に直交するY方向に並んで配置される。第1グランドバー305には、先端部の段剥ぎ加工により露出した第1同軸ケーブル21の外部シールド層21bが、例えば、はんだ付けによりZ方向+から接続される。第1シールド結線部302bには、第1グランドバー305が、例えば、はんだ付けによりZ方向+側から接続される。
第2シールド結線部302cは、Y方向に延びる平板形状に形成されており、第2グランドバー307を介して、第2同軸ケーブル32の外部シールド層32bと電気的に接続される(
図17A、
図17B参照)。第2グランドバー307は、第2同軸ケーブル32の外部シールド層32bを挟み込み、例えば、はんだ付けにより接続される。第2シールド結線部302cには、第2グランドバー307が、例えば、はんだ付けによりZ方向+側から接続される。
【0117】
接点周囲遮へい部302dは、第1接点部301aの三方に配置され、接点間遮へい部302aとともに、矩形筒形状を呈する。
接点-結線間遮へい部302eは、XY面に拡がる平板形状に形成されており、Z方向において、第1結線部301bと第3接点部303aの間に配置される。
結線間遮へい部302fは、Z方向+側に膨出して形成されており、2つの第1結線部301bの間に配置される。
接点間遮へい部302a、接点周囲遮へい部302d、接点-結線間遮へい部302e及び結線間遮へい部302fによって、2つの第1プラグコンタクト301の間及び第1プラグコンタクト301と第3プラグコンタクト303の間が遮へいされるので、信号伝送特性が向上する。
【0118】
第3プラグコンタクト303は、第3接点部303a、第3結線部303b及び第3接点部303aと第3結線部303bを接続する第3中継部303cを有する。
第3接点部303aは、プラグコネクター300とレセプタクルコネクター320を嵌合させたときに、レセプタクルコネクター320の第3接点部323aと接触し、電気的に接続される。具体的には、第3接点部303aは、外側に向けてU字形状に折り返されており、端部の外面に、第3レセプタクルコンタクト323の係合凹部(符号略)と係合する係合凸部(符号略)が設けられている。
第3結線部303bは、平板形状に形成されており、先端部の段剥ぎ加工により露出した第2同軸ケーブル32の内部導体32aが、例えば、はんだ付けによりZ方向+側から接続される。6つの第3結線部303bは、嵌合方向であるZ方向及びピッチ方向であるX方向に直交するY方向に並んで配置される。なお、第3結線部303bは、全体としてY方向に並んでいればよく、例えば、X方向に互い違いにずれて配置されてもよい。第3中継部303cは、第3接点部301aからZ方向+側に向かって略垂直に延在し、Y方向に屈曲して内側に延在した後、X方向に延在する。
【0119】
プラグコネクター300は、対称的な形状を有する3対の第3プラグコンタクト303を備える。3対の第3プラグコンタクト303は、それぞれ、X方向に沿う中心線CLに関して線対称となるように配置される。
【0120】
プラグインシュレーター304は、プラグカバー306とともに、プラグコネクター300のハウジングを形成する。プラグインシュレーター304は、基部304a、第1嵌合凸部304c、第2嵌合凸部304d及びコンタクト取付部304eを有する。
【0121】
基部304aは、XY面に拡がり、Z方向から見た平面視で矩形形状を有する。
第1嵌合凸部304c及び第2嵌合凸部304dは、レセプタクルコネクター320と嵌合する部分であり、基部304aから嵌合側に突出するように設けられる。第1嵌合凸部304cは、X方向において、第2嵌合凸部304dの両側に配置される。
コンタクト取付部304eは、ピッチ方向において嵌合領域F3の外側に配置される。コンタクト取付部304eには、第3プラグコンタクト303の第3結線部303bが配置される。
【0122】
プラグインシュレーター304には、第1プラグコンタクト301、第2プラグコンタクト302及び第3プラグコンタクト303が組み付けられる。第1プラグコンタクト301、第2プラグコンタクト302及び第3プラグコンタクト303は、例えば、インサート成形により、プラグインシュレーター304と一体的に形成される。第1プラグコンタクト301、第2プラグコンタクト302及び第3プラグコンタクト303は、それぞれ、離間した状態で配置され、プラグインシュレーター304によって互いに電気的に絶縁される。
【0123】
第1プラグコンタクト301の第1接点部301aは、プラグインシュレーター304の第1嵌合凸部304cの内側壁体(符号略)に、表面が露出した状態で配置される。第1プラグコンタクト301の第1結線部301bは、プラグインシュレーター304の基部304aの内面側から露出する。
第2プラグコンタクト302の接点間遮へい部302a及び接点周囲遮へい部302dは、プラグインシュレーター304の第1嵌合凸部304cの外側壁体(符号略)に、表面が露出した状態で配置される。第2プラグコンタクト302の第1シールド結線部302bは、プラグインシュレーター304の基部304aの内面側から露出し、第2シールド結線部302cは、コンタクト取付部304eの内面側から露出する。
第3プラグコンタクト303の第3接点部303aは、プラグインシュレーター304の第2嵌合凸部304dに、表面が露出した状態で配置される。第3プラグコンタクト303の第3結線部301bは、プラグインシュレーター304のコンタクト取付部304eの内面側から露出する。
【0124】
プラグカバー306は、プラグインシュレーター304とともに、プラグコネクター300のハウジングを形成する保護体であり、プラグインシュレーター304の側面を覆うように配置される。プラグインシュレーター304は、プラグカバー306の内部に収容される。
接続対象ケーブル30は、プラグカバー306とプラグインシュレーター304のコンタクト取付部304eによって挟持される。つまり、プラグカバー306及びプラグインシュレーター304は、ケーブル保持部として機能し、接続対象ケーブル30の端部を保持する。
なお、プラグコネクター300に接続対象ケーブル30を接続した後、コネクター内部にモールド樹脂を注入して硬化させてモールド成形体を形成し、接続対象ケーブル30の接続部分を補強してもよい。
【0125】
第1同軸ケーブル31及び第2同軸ケーブル32は、プラグインシュレーター304及びプラグカバー306によって、嵌合方向において異なる2段に配置された状態で保持される。すなわち、第1プラグコンタクト301の第1結線部301b、第2プラグコンタクト302のシールド結線部302b、302c及び第3プラグコンタクト303の第3結線部303bは、嵌合方向において、異なる2段に配置されている。これにより、接続対象ケーブル30を1段で配列する場合(例えば、第2の実施の形態参照)に比較して、接続対象ケーブル30の配列幅が小さくなるので、容易にプラグコネクター300の幅をアンテナモジュール基板PCBと同等以下の幅にすることができる。
【0126】
第3の実施の形態では、プラグコネクター300におけるピンアサインは以下の通りとなっている。
すなわち、第1プラグコンタクト301の第1接点部301a及び第2プラグコンタクト302の接点間遮へい部302aは、複数の第3プラグコンタクト303の第3接点部303aのピッチ方向における両側に配置され、第1接点部301aと第3接点部303aとの間に、接点間遮へい部302aが配置されている。第1接点部301aは、グランド電位となる第2プラグコンタクト302で四方を取り囲まれており、遮へいされる。
【0127】
図18A、
図18Bは、レセプタクルコネクター320の外観斜視図である。
図18Aでは、プラグコネクター300に嵌合されるZ方向+側(以下、「嵌合側」と称する)から見たレセプタクルコネクター320の外観斜視図を示している。
図18Bでは、嵌合側から見たレセプタクルコネクター320の平面図を示している。
図19は、嵌合側から見たレセプタクルコネクター320の分解斜視図である。
【0128】
図18A、
図18B及び
図19に示すように、レセプタクルコネクター320は、第1レセプタクルコンタクト321、第3レセプタクルコンタクト323、レセプタクルインシュレーター324及びレセプタクルシェル325を備える。
第1レセプタクルコンタクト321、第3レセプタクルコンタクト323及びレセプタクルシェル325は、金属(例えば、銅合金)等の導電材料で形成される。レセプタクルインシュレーター324は、合成樹脂(例えば、液晶ポリマー)等の絶縁材料で形成される。
【0129】
第1レセプタクルコンタクト321及び第3レセプタクルコンタクト323は、同様の形状を有し、それぞれ、レセプタクルインシュレーター324の第1嵌合凹部324a及び第2嵌合凹部324bに並んで配置される。レセプタクルコネクター320におけるピンアサインは、プラグコネクター300のピンアサインに対応する。なお、第1レセプタクルコンタクト321及び第3レセプタクルコンタクト323の形状は同様でなくてもよいが、同様の形状とした場合には、コンタクト部品を共用することができる。
【0130】
第1レセプタクルコンタクト321は、第1接点部321a及び第1結線部321bを有する。第3レセプタクルコンタクト323は、第3接点部323a及び第3結線部323bを有する。
【0131】
第1接点部321a及び第3接点部323aは、それぞれ、プラグコネクター300とレセプタクルコネクター320を嵌合させたときに、プラグコネクター300の第1接点部301a及び第3接点部303aと接触し、電気的に接続される。具体的には、第1接点部321a及び第3接点部323aは、それぞれ、U字形状に湾曲して形成され、自由端である先端部に、対向する面に対して付勢力を発揮するバネ片(符号略)を有している。また、バネ片に対抗する面には、第1プラグコンタクト301及び第3プラグコンタクト303の係合凸部(符号略)と係合する係合凹部(符号略)が設けられている。
【0132】
第1結線部321b及び第3結線部323bは、それぞれ、嵌合側とは反対側に引き出され、例えば、はんだ付けによりアンテナモジュール基板PCBの導体パターンと接続される。
【0133】
レセプタクルシェル325は、アンテナモジュール基板PCBのグランドに接続される枠体であり、Z方向から見た平面視においてレセプタクルインシュレーター324の外縁に対応する矩形形状を有する。レセプタクルシェル325は、係合片325a、係合穴325b及びグランド結線部325cを有する。レセプタクルシェル325は、例えば、1枚の金属板の板金加工により形成される。
【0134】
係合片325aは、レセプタクルシェル325の上部に複数配置され、それぞれ、内側に向かってU字形状に屈曲して形成される。係合穴325bは、レセプタクルシェル325の側面に複数配置される。係合片325aが、レセプタクルインシュレーター324の外壁体に係合されるとともに、係合穴325bがレセプタクルインシュレーター324の係合凸部324cに係合されることにより、レセプタクルシェル325は、レセプタクルインシュレーター324に嵌着され固定される。
また、係合片325aは、ばね弾性を有しており、プラグコネクター300とレセプタクルコネクター320を嵌合させたときに、第2プラグコンタクト302の接点周囲遮へい部302dと弾性的に接触し、電気的に接続されるようになっている。
グランド結線部325cは、レセプタクルシェル325の下部に複数設けられ、例えば、はんだ付けによりアンテナモジュール基板PCBのグランドと接続される。
【0135】
レセプタクルインシュレーター324は、Z方向から見た平面視で矩形形状を有し、レセプタクルコネクター320のハウジングを形成する。レセプタクルインシュレーター324は、第1嵌合凹部324a及び第2嵌合凹部324bを有し、プラグインシュレーター304を嵌合可能となっている。第1嵌合凹部324aは、X方向において、第2嵌合凹部324bの両側に配置され、プラグインシュレーター304の第1嵌合凸部304cが嵌合される。第2嵌合凹部324bには、プラグインシュレーター304の第2嵌合凸部304dが嵌合される。
【0136】
レセプタクルインシュレーター324には、第1レセプタクルコンタクト321、第3レセプタクルコンタクト323及びレセプタクルシェル325が組み付けられる。第1レセプタクルコンタクト321及び第3レセプタクルコンタクト323は、例えば、インサート成形により、レセプタクルインシュレーター324と一体的に形成される。レセプタクルシェル325は、レセプタクルインシュレーター324の周縁部に嵌着される。
【0137】
このように、第3の実施の形態に係るコネクターセット3において、プラグコネクター300は、アンテナモジュール基板PCB(回路基板)に実装されたレセプタクルコネクター320(相手コネクター)と嵌合することにより、高周波信号の伝送に用いられる第1同軸ケーブル31の内部導体31a(第1道電路)、シールドに用いられる第1同軸ケーブル31及び第2同軸ケーブル32の外部シールド層31b、32b(第2道電路)及び6本の第2同軸ケーブル32の内部導体32a(第3導電路)を有する接続対象ケーブル30とアンテナモジュール基板PCBとを接続する電線対基板用のコネクターである。
プラグコネクター300は、第1レセプタクルコンタクト321(第1相手コンタクト)に接続される第1接点部301a及び第1同軸ケーブル31の内部導体31aに接続される第1結線部301bを有する第1プラグコンタクト301(第1コンタクト)と、第1同軸ケーブル31及び第2同軸ケーブル32の外部シールド層31b、32bに接続されるシールド結線部302b(第2結線部)を有する第2プラグコンタクト302(第2コンタクト)と、第3レセプタクルコンタクト323(第3相手コンタクト)に接続される第3接点部303a及び第2同軸ケーブル32の内部導体32aに接続される第3結線部303bを有する複数の第3プラグコンタクト303(第3コンタクト)と、第1プラグコンタクト301、第2プラグコンタクト302及び第3プラグコンタクト303が組み付けられるプラグインシュレーター304(インシュレーター)と、第3接点部303aの並び方向であるピッチ方向に引き出されるように接続対象ケーブル30を保持するケーブル保持部と、を備える。第3の実施の形態では、プラグインシュレーター304及びプラグカバー306により、接続対象ケーブル30が保持されている。
【0138】
具体的には、プラグコネクター300は、複数の第1プラグコンタクト301及び複数の第3プラグコンタクト303を備え、複数の第1結線部301b及び複数の第3結線部303bは、それぞれ、嵌合方向及びピッチ方向に直交するY方向に並んで配置されている。
【0139】
プラグコネクター300によれば、プラグコネクター300のピッチ方向と接続対象ケーブル30の延在方向が一致するように、プラグコネクター300から接続対象ケーブル30が引き出されている。これにより、プラグコネクター300とレセプタクルコネクター320を嵌合させたときに、接続対象ケーブル30の延在方向を、アンテナモジュール基板PCBの延在方向と一致させることができる。したがって、機器内配線の省スペース化を図ることができ、通信機器の小型化に対応することができる。
【0140】
また、プラグコネクター300において、第1接点部301a及び接点間遮へい部302aは、複数の第3接点部303aのピッチ方向における両側に配置され、第1接点部301aと第3接点部303aとの間に、接点間遮へい部302aが配置されている。これにより、第1接点部301aと第3接点部303aの間に、グランド電位となる接点間遮へい部302aが配置されることとなり、第1プラグコンタクト301と第3プラグコンタクト303との間が遮へいされるので、信号伝送特性が向上する。
【0141】
また、プラグコネクター300において、第2プラグコンタクト302は、接点間遮へい部302aとともに第1接点部301aを囲繞するように配置される接点周囲遮へい部302d(高周波信号接点遮へい部)を有する。これにより、第1接点部301aの周囲が確実に遮へいされるので、信号伝送特性がさらに向上する。
【0142】
また、プラグコネクター300において、第1プラグコンタクト301は、第1接点部301aと第1結線部301bとを連結する第1中継部301cを有し、第3プラグコンタクト303は、第3接点部303aと第3結線部303bとを連結する第3中継部303cを有し、第1中継部301c及び第3中継部303cは、それぞれ、嵌合方向から見た平面視において、第1接点部301a及び第3接点部303aから嵌合方向及びピッチ方向に直交するY方向に引き出され、屈曲して第1結線部301b及び第3結線部303bまでX方向(ピッチ方向)に延在する形状を有する。これにより、第1結線部301b及び複数の第3結線部303bを、それぞれ、容易にY方向に並べて配置することができ、ピッチ方向に延在するように、接続対象ケーブル30である第1同軸ケーブル31及び第2同軸ケーブル32をプラグコネクター300に接続することができる。
【0143】
また、プラグコネクター300において、第1結線部301b、シールド結線部302b、302c及び第3結線部303bは、嵌合方向において、異なる2段に配置されている。これにより、接続対象ケーブル30を1段で配列する場合に比較して、接続対象ケーブル30の配列幅を小さくすることができ、容易にプラグコネクター300の幅をアンテナモジュール基板PCBと同等以下の幅にすることができる。
【0144】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0145】
例えば、第1の実施の形態において、ディスクリートケーブル12に代えて、同軸ケーブルを適用してもよい。この場合、
図20に示すプラグコネクター100Aのように、同軸ケーブル13の外部シールド層13bは、グランドバー108を介して、第2プラグコンタクト102Aのシールド接続部102hと電気的に接続される。同様に、第2の実施の形態及び第3の実施の形態において、第2同軸ケーブル22、32に代えて、ディスクリートケーブルを適用してもよい。
【0146】
また、
図21A、21Bに示すプラグコネクター100Bのように、同軸ケーブルユニット131及びプラグ本体ユニット132からなる2ユニット構造としてもよい。この場合、
図22A、
図22Bに示すように、同軸ケーブルユニット131がプラグ本体ユニット132と嵌合することにより、それぞれの第1プラグコンタクト及び第2プラグコンタクト同士が接触し、電気的に接続される。
【0147】
また、プラグコネクター及びレセプタクルコネクターの細部の構造は、実施の形態で説明した例に限定されず、適宜変更可能である。また、接続対象ケーブルを構成するケーブルの本数についても、適宜変更可能である。
【0148】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0149】
1 コネクターセット
10 接続対象ケーブル
11 同軸ケーブル
11a 内部導体(第1導電路)
11b 外部シールド層(第2導電路)
12 ディスクリートケーブル
12a 内部導体(第3導電路)
100 プラグコネクター(コネクター)
101 第1プラグコンタクト(第1コンタクト)
101a 第1接点部
101b 第1結線部
101c 第1中継部
102 第2プラグコンタクト(第2コンタクト)
102a 接点間遮へい部(第2接点部)
102b シールド結線部(第2結線部)
103 第3プラグコンタクト(第3コンタクト)
103a 第3接点部
103b 第3結線部
103c 第3中継部
104 プラグインシュレーター(インシュレーター)
106 プラグカバー
107 モールド成形体
120 レセプタクルコネクター(相手コネクター)