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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157065
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】濃度測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/359 20140101AFI20241030BHJP
   G01N 21/53 20060101ALI20241030BHJP
   G01N 21/3563 20140101ALI20241030BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
G01N21/359
G01N21/53 Z
G01N21/3563
A61B5/1455
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147376
(22)【出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】520286991
【氏名又は名称】OST Lab合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000693
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人滝田三良法律事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾股 定夫
【テーマコード(参考)】
2G059
4C038
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059AA06
2G059BB04
2G059BB08
2G059BB13
2G059CC16
2G059EE01
2G059EE02
2G059EE11
2G059GG02
2G059GG03
2G059GG08
2G059HH01
2G059JJ03
2G059KK01
2G059KK03
2G059MM01
2G059PP04
4C038KK10
4C038KL07
4C038KM01
4C038KX02
4C038KY03
4C038VC02
(57)【要約】
【課題】測定対象となる媒質中の対象物濃度を簡易かつ確実に測定することができる濃度測定システムを提供する。
【解決手段】本実施形態の濃度測定システムは、測定対象Xとなる媒質中の対象物濃度を計測する濃度測定システムであって、第1発光部11と、第1受光部12と、第2発光部21と、第2受光部22と、演算処理部30と、表示部40とを備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象となる媒質中の対象物濃度を計測する濃度測定システムであって、
前記測定対象に吸収特性を示す第1波長の光を放射する第1発光部と、
前記第1発光部から放射された前記第1波長の光の反射光を受光する第1受光部と、
前記測定対象に拡散反射透過特性を示す第2波長の光を放射する第2発光部と、
前記第2発光部から放射された前記第2波長の光の拡散光を受光する第2受光部と、
前記第1発光部と前記第2発光部とに同時に信号波形を出力可能な発振部と、
前記発振部の信号波形に対応した前記第1受光部からの出力波形と前記第2受光部からの出力波形とに基づく特性を算出し、前記対象物濃度と該特性との関係から該対象物濃度に換算する演算処理部と
を備えることを特徴とする濃度測定システム。
【請求項2】
請求項1記載の濃度測定システムにおいて、
前記測定対象が生体であり、前記対象物濃度が血中のグルコース濃度である場合に、
前記第1発光部により放射される前記第1波長の光が1020nm-1100nmの範囲内であり、前記第2発光部により放射される前記第2波長の光が920nm-970nmの範囲内で、または上記波長におけるオーバートーン、またはこれらの波長の整数倍で示される吸光特性や拡散/反射/透過光特性を示す波長範囲内で、
前記発振部は、矩形波、正弦波またはパルス波の信号波形を前記第1発光部と前記第2発光部とに出力し、
前記演算処理部は、前記発振部の信号波形に対応した前記第1受光部からの出力波形と前記第2受光部からの出力波形とに基づく特性として、割合、ヒステリシスまたはリサージュ図形を算出し、前記グルコース濃度と割合、ヒステリシスまたはリサージュ図形との関係から該グルコース濃度に換算することを特徴とする濃度測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象となる媒質中の対象物濃度を計測する濃度測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の非侵襲血糖値計測システムでは、グルコース媒質中での光を含む電磁波の吸収について、入射光の光強度と拡散/反射/透過光による光強度との比でグルコースによる吸光度が最も大きい光源波長を見出し、グルコース濃度を評価して血糖値を測定する計測システムが一般的である。
【0003】
上記による測定技術に関する研究論文は非特許文献1および非特許文献2に記載され、またこの種の技術を踏襲した発明手段の提案も特許文献5および特許文献6に記載されているが、位相特性を考慮した計測手段は提案されていない。
【0004】
媒質中の光を含めた電磁波の特性は媒質粒子の大きさ、媒質濃度による影響を受ける拡散光等における位相概要については非特許文献1に記載され、共振時の吸収特性については基礎的な現象として成書にも記載されて既知であるが、拡散/反射/透過光に関係する反共振特性についての手段を利用した計測システムの発明には、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4に開示されている。
【0005】
上記の特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4に開示した発明の位相シフト技術は、共振時と反共振時の共振周波数変動を利用して血糖値を求める手段であるが、二波長の異なる光源を利用して血糖値を計測する手段では、生体または指の異なる位置に発光素子および受光素子を配置する手段が主で、共振特性および反共振特性による手段で、血糖値を精度良く安定的に計測する手段についての詳細な光デバイスの受発光素子の配置に関する記載についての開示は無い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Matthias Kohl, Matthias Essenpreis, Mark Cope; The influence of glucose concentration upon the transport of light in tissue-simulating phantoms, Phys.Med.Biol, 40(1995), pp1267-1287
【非特許文献2】吉岡希利子、小山卓耶、木野彩子、松浦裕司;量子カスケードレーザーを用いた無侵襲血糖値測定、日本レーザー医学会誌、Vol.39,No.2(2018)
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5388891号広報
【特許文献2】特許第4348467号広報
【特許文献3】特開2017-24007広報
【特許文献4】特開2018-118034広報
【特許文献5】特許第6415606号広報
【特許文献6】特開2018-199080広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、測定対象となる媒質中の対象物濃度を簡易かつ確実に測定することができる濃度測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明の濃度測定システムは、測定対象となる媒質中の対象物濃度を計測する濃度測定システムであって、
前記測定対象に吸収特性を示す第1波長の光を放射する第1発光部と、
前記第1発光部から放射された前記第1波長の光の反射光を受光する第1受光部と、
前記測定対象に拡散反射透過特性を示す第2波長の光を放射する第2発光部と、
前記第2発光部から放射された前記第2波長の光の拡散光を受光する第2受光部と、
前記第1発光部と前記第2発光部とに同時に信号波形を出力可能な発振部と、
前記発振部の信号波形に対応した前記第1受光部からの出力波形と前記第2受光部からの出力波形とに基づく特性を算出し、前記対象物濃度と該特性との関係から該対象物濃度に換算する演算処理部と
を備えることを特徴とする。
【0010】
前記測定対象に吸収特性を示す第1波長の光を放射する第1発光部と、
前記第1発光部から放射された前記第1波長の光の反射光を受光する第1受光部と、
前記測定対象に拡散反射透過特性を示す第2波長の光を放射する第2発光部と、
前記第2発光部から放射された前記第2波長の光の拡散光を受光する第2受光部とを、同じ指で、または同じ指の近似範囲で同時に測定することが計測精度を向上させる手段とした計測手法を備えた特徴とする。
【0011】
第1発明の濃度測定システムによれば、発振部を介して吸収特性および拡散反射透過特性を有する第1波長および第2波長の光を同時に第1発光部および第2発光部から放射させる。そして、それぞれに対応した光を第1受光部および第2受光部で受光し、これらの出力波形に基づくリサージュ波形、および傾度などの特性を算出し、対象物濃度と特性との関係から、対象物濃度への換算を行う。
【0012】
これにより、測定対象となる媒質中の対象物濃度を簡易かつ確実に測定することができる。
【0013】
第2発明の濃度測定システムは、第1発明において、
前記測定対象が生体であり、前記対象物濃度が血中のグルコース濃度である場合に、
前記第1発光部により放射される前記第1波長の光が1020nm-1100nmの範囲内であり、前記第2発光部により放射される前記第2波長の光が920nm-970nmの範囲内であり、または上記波長におけるオーバートーン、またはこれらの波長の整数倍で示される吸光特性や拡散/反射/透過光特性を示す波長範囲で、
前記発振部は、矩形波、正弦波またはパルス波の信号波形を前記第1発光部と前記第2発光部とに出力し、
前記演算処理部は、前記発振部の信号波形に対応した前記第1受光部からの出力波形と前記第2受光部からの出力波形とに基づく特性として、割合、ヒステリシスまたはリサージュ図形を算出し、前記グルコース濃度と割合、ヒステリシスまたはリサージュ図形との関係から該グルコース濃度に換算することを特徴とする。
【0014】
第2発明の濃度測定システムによれば、具体的に、測定対象が生体で、対象物濃度が血中のグルコース濃度である場合に、第1波長の光が1020nm-1100nmの範囲内であり、第2発光部により放射される前記第2波長の光が920nm-970nmの範囲内として、または上記波長におけるオーバートーン、またはこれらの波長の整数倍で示される吸光特性や拡散/反射/透過光特性を示す波長範囲内で、発振部の信号波形を、矩形波、正弦波またはパルス波とすることで、演算処理部は、第1受光部からの出力波形と第2受光部からの出力波形とに基づく特性として、割合、ヒステリシスまたはリサージュ図形を算出し、前記グルコース濃度と割合、ヒステリシスまたはリサージュ図形(濃度を変えて予め測定した測定対象での割合、ヒステリシスまたはリサージュ図形)との関係から該グルコース濃度に換算することができる。
【0015】
これにより、測定対象となる媒質が生体の血中で対象物濃度が血中グルコース濃度である場合にも、グルコース濃度を簡易かつ確実に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態の濃度測定システムの構成を示すシステム構成図。
図2図1の濃度測定システムの変更例を示すシステム構成図。
図3】グルコース媒質中での光反射特性および吸光特性の概要図。
図4】グルコース媒質中での光反射特性および吸光特性の概要図。
図5】グルコース媒質中での共振周波数比および反共振周波数比。
図6】グルコース濃度による共振周波数特性および反共振周波数特性。
図7】二波長によるグルコースの吸光特性および拡散反射透過特性。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示すように、本実施形態の濃度測定システムは、測定対象Xとなる媒質中の対象物濃度を計測する濃度測定システムであって、第1発光部11と、第1受光部12と、第2発光部21と、第2受光部22と、演算処理部30と、表示部40とを備える。
【0018】
第1発光部11は、測定対象Xに吸収特性を示す第1波長の光を放射する、例えば、発光ダイオード(LED)である。
【0019】
第1受光部12は、第1発光部11から放射された第1波長の光の反射光を受光する、例えば、フォトトランジスタまたはフォトダイオード、または照度センサである。
【0020】
第2発光部21は、測定対象Xに拡散反射透過特性を示す第2波長の光を放射する、例えば、発光ダイオード(LED)である。
【0021】
第2受光部22は、第2発光部21から放射された前記第2波長の光の拡散光を受光する、例えば、フォトトランジスタまたはフォトダイオード、または照度センサである。
【0022】
なお、第1発光部11、第2発光部21、第1受光部12および第2受光部22は、互いに干渉しないように一定の間隔を空けるか、近接配置する場合には遮光を設けることが好ましい。
【0023】
また、第1受光部12および第2受光部22には、各々の出力波形の増幅を行う、例えば、オペアンプ等からなる増幅器13,23を設けることが好ましい。さらに、増幅器13,23に加えて、バンドパスフィルタ14、24を設けることが好ましい。なお、増幅部13,23をオペアンプにより構成した場合には、各オペアンプに可変抵抗を設けることで増幅度を調整可能に構成することができる。
【0024】
増幅器13のオペアンプに設ける可変抵抗を調整することで増幅度の調整が可能で、第1受光部12の出力信号は増幅器13、バンドパスフィルター14を介して第1発光部の出力信号波形を制御する強制帰還回路の発振条件を満足する強制帰還発振周波数f1を構築し、増幅器23のオペアンプに設ける可変抵抗を調整することで増幅度の調整が可能で、第2受光部22の出力信号は増幅器23、バンドパスフィルター24を介して第2発光部の出力信号波形を制御する強制帰還回路の発振条件を満足する強制帰還発振周波数f2を構築する。
【0025】
演算処理部30は、第1発光部の強制帰還発振周波数f1と、前記第2発光部の強制帰還発振周波数f2との出力波形とに基づく特性を算出し、対象物濃度と該特性との関係から該対象物濃度に換算する処理を行う。
【0026】
具体的に、演算処理部30は、第1受光部12からの出力波形と第2受光部22からの出力波形とに基づく特性として、割合、ヒステリシスまたはリサージュ図形を算出し、対象物濃度と割合、ヒステリシスまたはリサージュ図形との関係から対象物濃度の換算を行う。
【0027】
表示部40は、演算処理部30による演算処理の結果である対象物濃度を表示する表示部である。
【0028】
なお、図2に示すように、図1に示す強制帰還回路を構成する回路システムとしての機能を分離して発振部50とし、矩形波、正弦波またはパルス波の信号波形を第1発光部11と第2発光部21とに出力するように構成してもよい。なお、外部発振器50を設けた場合には、増幅器13,23に設けられるバンドパスフィルタ14,24を省略することができる。
【0029】
以上のように構成された濃度測定システムにおいて、具体的に、測定対象Xが生体であり、対象物濃度が血中のグルコース濃度である非侵襲血糖値測定システムについて、詳細を説明する。
【0030】
第1発光部11により放射される第1波長λ1の光が1020nm-1100nmの範囲内であり、第2発光部21により放射される第2波長λ2の光が920nm-970nmの範囲内で、または上記波長におけるオーバートーン、またはこれらの波長の整数倍で示される吸光特性や拡散/反射/透過光特性を示す波長範囲内で選択可能である。
【0031】
次に、図3図7を参照して、演算処理部30による2つの出力波形からグルコース濃度への換算処理の内容について説明する。
【0032】
まず、図3は、グルコース媒質中での光反射と吸光特性で、誘電体媒質中の光の吸収に係わる共振特性時の波長λ1と、光の反射に係わる反射特性時の波長λ2を示す図である。
【0033】
ここで、図3に示すグルコース媒質中での拡散反射特性と吸光特性で、誘電体媒質中の光吸収に係わる共振特性時の波長λ1と、光の拡散反射に係わる反射特性時の波長λ2の特性を示す位相概念の手段で、第1波長による吸光に伴う吸光強度特性を共振時の特性とし、および第2波長グルコース媒質中での拡散反射透過光特性を反共振時の特性とは、一般的な誘電媒質中のアドミタンス特性と相似する。
【0034】
次に、図4は、グルコース媒質中での光反射と吸光特性で、誘電体媒質中の光の吸収に顕著な共振周波数f1に係わる周波数比f/f1とグルコース濃度Prx、および光の反射/透過に顕著な反共振周波数f2に係わる周波数比f/f2とグルコース濃度Prxを示す図である。
【0035】
ここで、図4において、示す媒質中のグルコース濃度Pxで、第1波長の波長λ1が光吸収に顕著な共振特性についての吸光度パターン、および第2波長の波長λ2が拡散反射透過光を呈する反共振時特性についての光強度パターンで、二波長の差Δλは媒質中のグルコース分子による共振時と反共振時の特性に依存するので、かかる現象では、グルコース濃度Pxが増大すると、第1波長の波長λ1で光吸収に顕著な共振特性についての吸光度パターンはプラス方向に上昇し、第2波長の波長λ2が拡散反射透過光に顕著な反共振時特性についての光強度パターンはマイナス方向に大きくなる傾向特性として呈する。
【0036】
次に、図5は、グルコース媒質中での共振周波数比および反共振周波数比の特性で、第1波長をλ1=1050nmでの共振周波数比の特性と、第2波長をλ2=940nmでの反共振周波数比との特性を示す。
【0037】
ここで、図5は、グルコース媒質で顕著な吸収特性を示す第1波長の波長λ1=1050nmの半導体レーザー光源(LED)を利用した際の吸光パターン特性で、拡散/反射/透過光に顕著な反共振特性を示す第2波長での波長λ2=940nmの半導体レーザー光源(LED)を利用した際の拡散反射透過光パターン特性で、グルコース濃度が増加すると、吸光強度特性はプラス方向に大きくなる傾向で、グルコース濃度Pxのような誘電体媒質中の光吸収に顕著な共振周波数f1に係わる周波数比f/f1と、光の拡散反射透過特性に顕著な反共振周波数f2に係わる周波数比f/f2とグルコース濃度Pxを示している。
【0038】
図5に示すグルコース媒質中での共振周波数比f/f1および反共振周波数比f/f2の特性で、共振周波数比f/f1と反共振周波数比f/f2の特性はグルコース濃度の増加によって、質量効果と同様に共振周波数比f/f1は減少傾向を示し、グルコース濃度の増加と共に、光の拡散/反射/透過光によるスティフネス効果の反共振周波数比f/f2はグルコース濃度Pxの増加と共に、上昇傾向を示す特性は、図4と同様に同じグルコース濃度では同一の傾きとなる。
【0039】
図6は、グルコース濃度による共振周波数および反共振周波数特性を示す。
【0040】
具体的に図6では、グルコース濃度による共振周波数f1xおよび反共振周波数特性f2xで、グルコース濃度の増加と共に反共振周波数f2xは上昇傾向を示すが、共振周波数f1xは減少傾向となる特性で、共振周波数の低下傾向はグルコース分子による質量効果としての考慮も相似的に可能で、共振周波数f1xは低下傾向となり、反共振周波数f2xの上昇特性はスティフネス効果と相似的な特性である。また、かかる特性では、グルコース濃度の増加では、反共振周波数f2xは上昇傾向であることから、共振周波数f1xと反共振周波数f2xとの周波数間隔が大きくなる傾向となる。
【0041】
図7は、グルコース濃度による第1波長(例:1050nm)の吸光特性による位相変動特性と第2波長(例:940nm)の拡散反射透過光特性による位相変動特性に係わるリサージュ特性を示す。
【0042】
具体的に、図7では、吸光度に顕著な特性を示す第1波長(例:1050nm)と拡散反射透過特性に顕著な第2波長(例:940nm)との二波長による位相変動特性のリサージュ図形で、このリサージュ図形傾度からグルコース濃度を求めることができる。
【0043】
以上詳しく説明したように、本実施形態の濃度測定システムによれば、測定対象となる媒質中の対象物濃度を簡易かつ確実に測定することができる。より具体的には、測定対象となる媒質が生体の血中で対象物濃度が血中グルコース濃度である場合に、グルコース濃度を簡易かつ確実に測定することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、測定対象が生体で、対象物濃度が血中のグルコース濃度である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、液体であればその媒質を測定対象として、その媒質中の対象物濃度を同様に計測することができる。例えば、血中アルコール濃度測定も、アルコールの吸光度特性を示す光の波長と拡散反射強度特性を示す光の波長について、2波長を利用すると血中のアルコール濃度測定が可能となる。
【符号の説明】
【0045】
11…第1発光部、12…第1受光部、13…増幅器、14…バンドパスフィルタ、第2発光部21、22…第2受光部、23…増幅器、24…バンドパスフィルタ、30…演算処理部、40…表示部、X…測定対象。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7