(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157073
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】登山実績連動型保険システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/08 20120101AFI20241030BHJP
【FI】
G06Q40/08
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070043
(22)【出願日】2023-04-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】523152178
【氏名又は名称】株式会社ヤマップネイチャランス損害保険
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】木村 彰宏
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB61
5L055BB61
(57)【要約】
【課題】登山者個々人が抱えるリスクの違いを考慮した保険料を提供する。
【解決手段】本システムは、登山者が携帯する端末装置200を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置300と連携したコンピュータシステムであり、登山管理装置300で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出され、登山者の歩行距離の実績に応じて保険料が変動する保険料率を記憶する記憶部130と、登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、保険料率と申込者の歩行距離実績とに基づいて、保険料を算出する保険料算出部122と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
登山者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と連携した登山実績連動型保険システムであって、
前記登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出され、登山者の歩行距離の実績に応じて保険料が変動する保険料率を記憶する記憶部と、
前記登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、前記保険料率と申込者の歩行距離実績とに基づいて、保険料を算出する保険料算出部と、
を有することを特徴とする登山実績連動型保険システム。
【請求項2】
前記記憶部は、
前記登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均歩行距離を、基準歩行距離として記憶する第1記憶部と、
前記基準歩行距離を超えた距離に対して超過する距離が長いほど高くなるように設定された第1保険料率を記憶する第2記憶部と、を備え、
前記保険料算出部は、
前記登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、前記基本歩行距離に対し申込者の歩行距離実績が超過している距離に応じて増加する保険料を算出することを特徴とする請求項1に記載の登山実績連動型保険システム。
【請求項3】
前記第1保険料率は、前記基準歩行距離を超えていない基準距離領域と前記基本歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、前記超過距離領域が複数の区分に分けられて各区分に超過距離が大きいほど増加する第1従量保険料率が設定されており、
前記保険料算出部は、前記登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、申込者の歩行距離実績に対して該当する前記歩行距離領域に基づく保険料を算出することを特徴とする請求項2に記載の登山実績連動型保険システム。
【請求項4】
前記第1保険料率は、前記基準歩行距離を超えていない基準距離領域と前記基本歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、前記基準距離領域に設定される基準保険料と、前記超過距離領域が複数の区分に分けられて各区分に超過距離が大きいほど増加する第1従量保険料率と、が設定されており、
前記保険料算出部は、申込者の歩行距離実績において前記基本歩行距離を超えている超過距離に対して前記第1従量保険料率に基づく第1従量保険料を算出し、前記基本保険料に前記第1従量保険料が加算された保険料を算出することを特徴とする請求項2に記載の登山実績連動型保険システム。
【請求項5】
前記第1記憶部は、前記登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均歩行高度を、基準歩行高度として記憶し、
前記第2記憶部は、前記基準歩行高度を超えた高度に対して超過する高度が長いほど高くなるように設定された第2保険料率を記憶し、
前記第1保険料率は、前記基準歩行距離を超えていない基準距離領域と前記基本歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、前記超過距離領域が複数の区分に分けられて各区分に超過距離が大きいほど増加する第1従量保険料率が設定されており、
前記第2保険料率は、前記基準歩行高度を超えていない基準高度領域と前記基本歩行高度を超える超過高度領域とを含む歩行高度領域が設定されるともに、前記超過高度領域が複数の区分に分けられて各区分に超過高度が大きいほど増加する第2従量保険料率が設定されており、
前記保険料算出部は、前記登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、申込者の歩行距離実績に対して該当する前記歩行距離領域に基づく第1保険料を算出するとともに、申込者の歩行高度実績に対して該当する前記歩行高度領域に基づく第2保険料を算出し、前記第1保険料と前記第2保険料とを合算した保険料を算出することを特徴とする請求項2に記載の登山実績連動型保険システム。
【請求項6】
前記第1記憶部は、前記登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均登山時間を、基準登山時間として記憶し、
前記第2記憶部は、前記基準登山時間を超えた時間に対して超過する時間が長いほど高くなるように設定された第3保険料率を記憶し、
前記第1保険料率は、前記基準歩行距離を超えていない基準距離領域と前記基本歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、前記超過距離領域が複数の区分に分けられて各区分に超過距離が大きいほど増加する第1従量保険料率が設定されており、
前記第3保険料率は、前記基準登山時間を超えていない基準時間領域と前記基本登山時間を超える超過時間領域とを含む登山時間領域が設定されるともに、前記超過時間領域が複数の区分に分けられて各区分に超過時間が大きいほど増加する第3従量保険料率が設定されており、
前記保険料算出部は、前記登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、申込者の歩行距離実績に対して該当する前記歩行距離領域に基づく第1保険料を算出するとともに、申込者の登山時間実績に対して該当する前記登山時間領域に基づく第3保険料を算出し、前記第1保険料と前記第3保険料とを合算した保険料を算出することを特徴とする請求項2に記載の登山実績連動型保険システム。
【請求項7】
前記第1記憶部は、前記登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均歩行高度を基準歩行高度として記憶するとともに、前記登山管理装置で管理される登山者群の各登山実績に基づいて算出された登山者の平均登山時間を基準登山時間として記憶し、
前記第2記憶部は、前記基準歩行高度を超えた高度に対して超過する高度が長いほど高くなるように設定された第2保険料率と、前記基準登山時間を超えた時間に対して超過する時間が長いほど高くなるように設定された第3保険料率を記憶し、
前記第1保険料率は、前記基準歩行距離を超えていない基準距離領域と前記基本歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、前記超過距離領域が複数の区分に分けられて各区分に超過距離が大きいほど増加する第1従量保険料率が設定されており、
前記第2保険料率は、前記基準歩行高度を超えていない基準高度領域と前記基本歩行高度を超える超過高度領域とを含む歩行高度領域が設定されるともに、前記超過高度領域が複数の区分に分けられて各区分に超過高度が大きいほど増加する第2従量保険料率が設定されており、
前記第3保険料率は、前記基準登山時間を超えていない基準時間領域と前記基本登山時間を超える超過時間領域とを含む登山時間領域が設定されるともに、前記超過時間領域が複数の区分に分けられて各区分に超過時間が大きいほど増加する第3従量保険料率が設定されており、
前記保険料算出部は、前記登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、申込者の歩行距離実績に対して該当する前記歩行距離領域に基づく第1保険料、申込者の歩行高度実績に対して該当する前記歩行高度領域に基づく第2保険料、及び申込者の登山時間実績に対して該当する前記登山時間領域に基づく第3保険料を算出し、前記第1保険料、前記第2保険料、及び前記第3保険料を合算した保険料を算出することを特徴とする請求項2に記載の登山実績連動型保険システム。
【請求項8】
前記第1保険料率は、前記基準歩行距離を超えていない基準距離領域と前記基本歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、前記基準距離領域に基本保険料が設定され、
前記基本保険料は、前記基準歩行距離が長いほど高く、前記基準歩行距離が短いほど低くなるように、前記登山管理装置で管理される登山者群における平均歩行距離に応じて変動するように設定されることを特徴とする請求項2から7のいずれか1つに記載の登山実績連動型保険システム。
【請求項9】
登山者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と連携したコンピュータ装置で実行されるプログラムであって、前記コンピュータ装置に、
前記登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出され、登山者の歩行距離の実績に応じて保険料が変動する保険料率を記憶する第1機能と、
前記登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、前記保険料率と申込者の歩行距離実績とに基づいて、保険料を算出する第2機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
登山者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と、
申込者に対して登山実績連動型保険の保険料を提供する登山実績連動型保険装置と、を有し、
前記登山実績連動型保険装置は、
前記登山管理装置から登山者の登山実績に関する情報を取得する情報管理部と、
前記登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出され、登山者の歩行距離の実績に応じて保険料が変動する保険料率を記憶する記憶部と、
前記登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、前記保険料率と申込者の歩行距離実績とに基づいて保険料を算出する保険料算出部と、
を有することを特徴とするコンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、登山保険に関し、登山実績に基づく保険料を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、登山保険(又は山岳保険)がある。登山保険は、救援者費用等の補償を含めた様々な補償内容があり、また、1日単位、月単位、年単位などの契約タイプがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
登山は、歩いた距離に応じてリスクが変動する。具体的には、歩く距離が長ければ長いほど、リスクが高くなる。例えば、移動する距離が長いと、気候変動のリスクや転倒等による怪我の可能性が増加すると共に、野生動物等の接触などの機会も増加する。
【0005】
そして、頻繁に登山を行う登山者は、年間の総歩行距離が長く、その分登山中のリスクが大きくなり、年に数回程度の登山を行う登山者は、年間の総歩行距離はそれほど長くないので、その分登山中のリスクも大きくなり難い。
【0006】
つまり、長い距離を歩く登山者と短い距離を歩く登山者とではリスクが異なるはずであるが、従来は、補償内容のグレードはあるものの、登山中の個々人が抱えるリスクの違い(リスクの変化)が考慮されておらず、一律の保険料を支払う保険商品が主流であった。また、保険会社も登山者個人の行動データ(登山履歴)を取得できなかったため、分析等を行うことができず、一律(平均的)な保険料を提示せざるを得なかった。
【0007】
特に、従来の登山保険は、歩行距離が短い登山者も歩行距離が長い登山者も同じ保険料になることから、登山リスクを認識し難い側面があった。登山リスクは、歩行距離の長短に関わらず、自然を相手にする以上、一定のリスクが存在するが、歩行距離が長くなればなるほどリスクはさらに大きくなる。しかしながら、「どうしてこの金額の保険料なのか」と「自身の登山リスクに対する認識」とが、残念ながら繋がり難い。自身の登山リスクに対する認識と保険料とが繋がりやすくなれば、登山への心構えを含めたリスク指標としても役立つ。
【0008】
例えば、ユーザは、「自分は、多くの登山者の中でも沢山の距離を歩いていたんだなぁ。そうであれば、その分登山中のリスクも多くなる。保険料が高いのはその裏返しなんだなぁ。」といったリスク指標となる。
【0009】
一方で、従来の登山保険は、登山者が登山のリスクを個々人で判断し、保険会社から提示される保険料との兼ね合いで登山保険に加入していたが、例えば、登山者の判断で、歩行距離が少ないから保険に加入しないで登山を行う、などといったケースも懸念されていた。保険加入は任意だとしても、自然の驚異に対する備えは重要であるため、登山保険に加入し易い環境の構築も必要である。
【0010】
そこで、登山のリスクに応じた保険料、すなわち、登山の歩行距離などによる登山実績によって保険料が変動する保険商品があれば、上述のように変動する保険料に応じて登山リスクを把握できると共に、自身の歩行距離が短ければ、歩行距離が長い登山者に比べて保険料を抑えることができ、登山保険に加入し易い環境を提供することもできる。
【0011】
本発明は、登山者の登山実績に応じて保険料が変動する登山実績連動型保険システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明の登山実績連動型保険システムは、登山者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と連携したコンピュータシステムであり、登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出され、登山者の歩行距離の実績に応じて保険料が変動する保険料率を記憶する記憶部と、登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、保険料率と申込者の歩行距離実績とに基づいて、保険料を算出する保険料算出部と、を有する。
【0013】
(2)上記(1)において、上記記憶部は、登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均歩行距離を、基準歩行距離として記憶する第1記憶部と、基準歩行距離を超えた距離に対して超過する距離が長いほど高くなるように設定された第1保険料率を記憶する第2記憶部とを備えることができる。保険料算出部は、登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、基本歩行距離に対し申込者の歩行距離実績が超過している距離に応じて増加する保険料を算出するように構成することができる。
【0014】
(3)上記(2)において、上記第1保険料率は、基準歩行距離を超えていない基準距離領域と基本歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、超過距離領域が複数の区分に分けられて各区分に超過距離が大きいほど増加する第1従量保険料率が設定されるように構成することができる。保険料算出部は、登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、申込者の歩行距離実績に対して該当する歩行距離領域に基づく保険料を算出することができる。
【0015】
(4)上記(2)において、上記第1保険料率は、基準歩行距離を超えていない基準距離領域と基本歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、基準距離領域に設定される基準保険料と、超過距離領域が複数の区分に分けられて各区分に超過距離が大きいほど増加する第1従量保険料率と、が設定されるように構成することができる。上記保険料算出部は、申込者の歩行距離実績において基本歩行距離を超えている超過距離に対して第1従量保険料率に基づく第1従量保険料を算出し、基本保険料に第1従量保険料が加算された保険料を算出するように構成することができる。
【0016】
(5)上記(2)において、上記第1記憶部は、登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均歩行高度を基準歩行高度として記憶し、上記第2記憶部は、基準歩行高度を超えた高度に対して超過する高度が長いほど高くなるように設定された第2保険料率を記憶することができる。第1保険料率は、基準歩行距離を超えていない基準距離領域と基本歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、超過距離領域が複数の区分に分けられて各区分に超過距離が大きいほど増加する第1従量保険料率が設定され、第2保険料率は、基準歩行高度を超えていない基準高度領域と基本歩行高度を超える超過高度領域とを含む歩行高度領域が設定されるともに、超過高度領域が複数の区分に分けられて各区分に超過高度が大きいほど増加する第2従量保険料率が設定される。そして、上記保険料算出部は、登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、申込者の歩行距離実績に対して該当する歩行距離領域に基づく第1保険料を算出するとともに、申込者の歩行高度実績に対して該当する歩行高度領域に基づく第2保険料を算出し、第1保険料と第2保険料とを合算した保険料を算出するように構成することができる。
【0017】
(6)上記(2)において、上記第1記憶部は、登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均登山時間を、基準登山時間として記憶することができ、上記第2記憶部は、基準登山時間を超えた時間に対して超過する時間が長いほど高くなるように設定された第3保険料率を記憶することができる。第1保険料率は、基準歩行距離を超えていない基準距離領域と基本歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、超過距離領域が複数の区分に分けられて各区分に超過距離が大きいほど増加する第1従量保険料率が設定され、第3保険料率は、基準登山時間を超えていない基準時間領域と基本登山時間を超える超過時間領域とを含む登山時間領域が設定されるともに、超過時間領域が複数の区分に分けられて各区分に超過時間が大きいほど増加する第3従量保険料率が設定される。そして、上記保険料算出部は、登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、申込者の歩行距離実績に対して該当する歩行距離領域に基づく第1保険料を算出するとともに、申込者の登山時間実績に対して該当する登山時間領域に基づく第3保険料を算出し、第1保険料と第3保険料とを合算した保険料を算出するように構成することができる。
【0018】
(7)上記(2)において、上記第1記憶部は、登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均歩行高度を基準歩行高度として記憶するとともに、登山管理装置で管理される登山者群の各登山実績に基づいて算出された登山者の平均登山時間を基準登山時間として記憶することができる。また、上記第2記憶部は、基準歩行高度を超えた高度に対して超過する高度が長いほど高くなるように設定された第2保険料率と、基準登山時間を超えた時間に対して超過する時間が長いほど高くなるように設定された第3保険料率を記憶することができる。このとき、第1保険料率は、基準歩行距離を超えていない基準距離領域と基本歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、超過距離領域が複数の区分に分けられて各区分に超過距離が大きいほど増加する第1従量保険料率が設定され、第2保険料率は、基準歩行高度を超えていない基準高度領域と基本歩行高度を超える超過高度領域とを含む歩行高度領域が設定されるともに、超過高度領域が複数の区分に分けられて各区分に超過高度が大きいほど増加する第2従量保険料率が設定される。また、第3保険料率は、基準登山時間を超えていない基準時間領域と基本登山時間を超える超過時間領域とを含む登山時間領域が設定されるともに、超過時間領域が複数の区分に分けられて各区分に超過時間が大きいほど増加する第3従量保険料率が設定される。そして、上記保険料算出部は、登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、申込者の歩行距離実績に対して該当する歩行距離領域に基づく第1保険料、申込者の歩行高度実績に対して該当する歩行高度領域に基づく第2保険料、及び申込者の登山時間実績に対して該当する登山時間領域に基づく第3保険料を算出し、これら第1保険料、第2保険料、及び第3保険料を合算した保険料を算出するように構成することができる。
【0019】
(8)上記(2)から(7)において、上記第1保険料率は、基準歩行距離を超えていない基準距離領域と基本歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、基準距離領域に基本保険料が設定されるように構成することができる。そして、基本保険料は、基準歩行距離が長いほど高く、基準歩行距離が短いほど低くなるように、上記登山管理装置で管理される登山者群における平均歩行距離に応じて変動するように設定されるように構成することができる。
【0020】
(9)本発明のプログラムは、登山者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と連携したコンピュータ装置で実行される。該プログラムは、登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出され、登山者の歩行距離の実績に応じて保険料が変動する保険料率を記憶する第1機能と、登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、保険料率と申込者の歩行距離実績とに基づいて、保険料を算出する第2機能と、を実現させる。
【0021】
(10)本発明のコンピュータシステムは、登山者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と、申込者に対して登山実績連動型保険の保険料を提供する登山実績連動型保険装置と、を有する。登山実績連動型保険装置は、登山管理装置から登山者の登山実績に関する情報を取得する情報管理部と、登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出され、登山者の歩行距離の実績に応じて保険料が変動する保険料率を記憶する記憶部と、登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、保険料率と申込者の歩行距離実績とに基づいて保険料を算出する保険料算出部と、を有する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、登山者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と連携し、登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出される、登山者の歩行距離の実績に応じて保険料が変動する保険料率を保持する。そして、登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、保険料率と申込者の歩行距離実績とに基づいて保険料を算出する。
【0023】
このように構成することで、登山者自身の登山実績をリスク指標として保険料が変動する。このため、登山実績に応じて登山者個々人が抱えるリスクの違いを考慮した保険料を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1実施形態の登山実績連動型保険システムのネットワーク構成図である。
【
図2】第1実施形態の登山実績連動型保険システムを構成する各機器の機能ブロック図である。
【
図3】第1実施形態の登山実績連動型保険の仕組みを説明するための図である。
【
図4】第1実施形態の登山実績連動型保険の保険料率の一例を示す図である。
【
図5】第1実施形態の登山実績連動型保険システムの処理フローを示す図である。
【
図6】第2実施形態の登山実績連動型保険システムを構成する各機器の機能ブロック図である。
【
図7】第2実施形態の登山実績連動型保険の保険料率の一例を示す図である。
【
図8】第2実施形態の登山実績連動型保険システムの処理フローを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(第1実施形態)
図1から
図5は、第1実施形態を説明するための図である。
図1は、本実施形態の登山実績連動型保険システムのネットワーク構成図である。
【0026】
登山実績連動型保険システムは、保険管理装置100を備え、登山者が携帯するユーザ端末200を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置300と連携する。保険管理装置100及び登山管理装置300は、IP網や専用回線などで接続され、ユーザ端末200は、保険管理装置100及び登山管理装置300に対し、IP網や4G/5G/LTE回線(携帯電話回線を介したモバイルデータ通信)などの移動通信網で接続される。
【0027】
登山者は、ユーザ端末200を通じて登山管理装置300とデータ通信を行い、登山計画書を作成し、登録することができる。また、ユーザ端末200は、GPS装置230を用いて登山者の位置情報を取得する。ユーザ端末200は、登山管理装置300に位置情報を送信し、登山実績(登山履歴)を蓄積する。
【0028】
図2は、本実施形態の登山実績連動型保険システムを構成する各機器の機能ブロック図である。
【0029】
保険管理装置100は、通信装置110、制御装置120及び記憶装置130を含んで構成されている。制御装置120は、保険契約制御部121、保険料率管理部122、保険料算出部123、情報管理部124を含む。記憶装置130は、登山実績連動型保険の加入者情報131、加入者別登山実績情報132、登山実績統計情報133、保険料率情報134、保険情報135を保持する。
【0030】
ユーザ端末200は、例えば、スマートフォンなどの多機能携帯電話機やタブレット端末などの持ち運び可能な携帯端末(モバイル端末)であり、通信部210は、IP網や移動通信網での無線通信制御制御を行う。例えば、Wi-Fi(無線LAN)機能やSIMカードを利用したモバイルデータ通信機能を備えている。また、通話機能を備えるように構成してもよい。
【0031】
ユーザ端末200は、制御部220、GPS装置230、タッチパネル方式の表示・入力部240、及びメモリ250を備えることができる。
【0032】
ユーザ端末200の制御部220は、登山管理アプリケーションとして機能し、登山管理装置300との間で登山計画を登録する機能、GPS装置230によって取得される位置情報に基づく登山実績を記録する機能、及び記録した登山実績(位置情報)を登山管理装置300に送信する機能、を備える。また、制御部220は、これら各機能で使用する画面の表示制御、メモリ250への各種情報の記憶制御など、ユーザ端末200全体の制御を司ると共に、登山管理アプリケーションの制御を行う。
【0033】
GPS(Global Positioning System)装置230は、現在位置(緯度、経度など)を特定する機能であり、公知の機器を適用することができる。制御部220は、例えば、登山管理アプリケーションの起動に伴い、GPS装置230による位置情報取得処理を開始させ、取得した位置情報を時系列にメモリ250に記憶する。GPS装置230で取得される位置情報は、その時刻における現在位置を示すものであり、メモリ250に記憶される位置情報は、時間情報を含み、登山管理装置300に蓄積される(送信される)位置情報も時間情報を含む形で管理される。なお、制御部220は、時系列に取得した各位置情報をリアルタイムに順次登山管理装置300に送信したり、所定タイミングで、それまでに取得した時系列の各位置情報を集約して登山管理装置300に送信したりすることができる。
【0034】
また、制御部220は、例えば、予めダウンロードされた山岳地図情報に、時系列に取得された各位置情報をマッピングし、登山軌跡を山岳地図に表示する表示制御を行うこともできる。他の態様としては、登山管理装置300が受信した位置情報を山岳地図情報にマッピングし、当該登山者の登山軌跡が描かれた登山地図をユーザ端末200に提供するように構成してもよい。登山者は、ユーザ端末200で、登山中の現在位置の確認や登山ルートの確認を行うことができる。
【0035】
登山管理装置300は、通信装置310、制御装置320、及び記憶装置330を含んで構成され、制御装置320は、登山計画管理部321と登山実績管理部322とを含む。
【0036】
登山者は、予め登山管理装置300にユーザ登録を行う。登山管理装置300の制御装置320は、所定のユーザ登録画面を提供し、ユーザ情報331を記憶装置330に保持している。ユーザ情報は、住所、氏名、年齢、生年月日、電話番号、電子メールアドレスなどユーザの個人を特定する情報やユーザと連絡を取るための情報が含まれる。
【0037】
登山者は、事前に、登山計画書を作成し、提出することができる。登山計画書は、登山する山、スタート地点(登山口)、目的地、目的地までの登山ルート、登山ルート上の通過予定時刻、登山予定日、日数、予定人数、入山予定時刻、下山予定時刻、氏名、住所、電話番号、電子メールアドレス、緊急連絡先(電話番号、電子メールアドレス)などの情報を含むように構成することができる。なお、登山計画書として提出される情報はこれに限るものではなく、また、必要に応じて任意に設定することができる。登山計画管理部321は、ユーザ端末200との間の登山計画の作成及び登録を制御し、登山計画情報332を記憶装置330に記憶する。
【0038】
なお、本登山実績連動型保険は、登山管理装置300と連携したシステム構成なので、例えば、登山管理装置300が提供する所定の画面に、保険加入に関する情報を表示し、登山者による保険加入に関する情報へのアクセスを通じて保険管理装置100にユーザ端末200を接続するように構成してもよい。その後、保険管理装置100の保険契約制御部121が、接続されたユーザ端末200に対し、保険加入処理を行うことができる。また、保険契約制御部121は、登山者による保険加入に関する情報へのアクセスを通じて、保険加入のために必要な書類の送付受け付け処理や、必要書類のダウンロード処理などを提供する構成を備えるようにしてもよい。
【0039】
本実施形態では、登山管理装置300に登録されたユーザの登山実績に基づいて、保険料を算出するため、登山管理装置300に既にユーザ登録され、登山管理装置300から保険管理装置100に登山実績を提供可能なユーザが主な加入者となるが、本登山実績連動型保険の加入を契機に、新規に登山管理装置300にユーザ登録されるユーザ(登山管理装置300に登山実績が蓄積されていないユーザ)であっても、本登山実績連動型保険に加入することができる。したがって、保険管理装置100に登録される加入者と、登山管理装置300に登録されるユーザとは互いに紐付いて管理するように構成することができる。
【0040】
登山実績管理部322は、ユーザ端末200から登山者の位置情報を取得する。登山者の位置情報を時系列に蓄積して登山実績情報333として記憶装置330に記憶する。位置情報には時間情報が紐付いており、歩行したルートと共に、歩行した距離及び歩行した時間を把握することができる。
【0041】
また、歩行した登山ルートにおける高度情報も取得することができ、各登山者の登山実績情報333は、歩行距離、歩行高度及び登山時間の各情報が少なくとも含まれ、記憶装置330に蓄積される。
【0042】
高度は、様々な公知の手法で取得することができる。例えば、ユーザ端末200のGPS装置230が3次元測位機能を備え、位置情報と共に高度情報を生成して登山管理装置300に送信することができる。また、ユーザ端末200が、高度計(気圧計)を備えている場合、この高度計で測定された高度情報を位置情報と共に登山管理装置300に送信することができる。また、登山実績管理部322は、高度情報を含む山岳地図情報に、ユーザ端末200から受信した位置情報をマッピングすることで、歩行したルートの高度情報を山岳地図情報から取得することができる。
【0043】
次に、保険管理装置100及び登山実績連動型保険の仕組みについて詳細に説明する。登山者は、ユーザ端末200から保険管理装置100に直接接続したり、登山管理装置300を経由して保険管理装置100に接続したりすることができる。
【0044】
保険契約制御部121は、登山実績連動型保険の契約処理(保険加入処理)を行う。この契約処理は、公知の手法を採用することができる。例えば、保険管理装置100は、ユーザ端末200を通じて、所定の保険加入手続き(必要事項(住所、氏名、年齢、連絡先など)の入力、同意、補償内容の選択・提示、保険料の提示、保険料の支払い(決済)処理等)をオンラインで行うことができる。保険情報135には、保険加入手続きに必要な情報が記憶され、保険契約制御部121は、ユーザ端末200に所定の画面を表示させて契約処理を進める。なお、書面でのオフラインの保険加入手続きであってもよい。オンラインまたはオフラインでの保険加入手続きが完了すると、登山実績連動型保険の加入者情報131が蓄積される。書面によるオフライン手続きの場合は、登山者が記入した保険加入申請書に基づいて、作業者が保険管理装置100に加入者情報131を入力する。
【0045】
そして、本実施形態では、この保険契約の際に申込者に提示される保険料は、申込者自身の登山実績をリスク指標として考慮し、登山者それぞれの歩行距離の実績値に応じて変動する。
【0046】
なお、登山実績連動型保険は、30日払い保険、90日払い保険、半年払い保険、年額払い保険などのように所定日数を保険加入期間とする保険商品として提供することができる。また、補償内容は任意であり、公知の登山保険と同様の補償内容や補償条件を適用してもよい。
【0047】
図3は、登山実績連動型保険の仕組みを説明するための図である。
図3の例は、歩行距離の実績値に基づく保険料率(第1保険料率に相当)を示している。
図3に示すように、基準歩行距離Aを超えていない基準距離領域と、基本歩行距離Aを超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定される。超過距領域は、複数の区分に分けられている。
【0048】
基準歩行距離とは、登山管理装置300で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均歩行距離である。例えば、平均歩行距離は、各登山者の昨年1年間の合計歩行距離(登山した距離の累積値)の平均値である。なお、どのくらいの期間の平均値とするかは任意である。また、平均値は、例えば、昨年1年間の登山者群の実績値の平均値としたり、過去数年分の登山実績の移動平均値としたりしてもよい。
【0049】
申込者の登山実績についても同様であり、申込者の歩行距離実績は、申込者の昨年1年間の合計歩行距離(登山した距離の累積値)や、過去数年分の各歩行距離実績を平均したものであってもよい。
【0050】
また、超過距離領域の複数の区分は、任意に設定した単位距離(例えば、50km)で基準歩行距離から超過距離領域を複数に分割したり、
図3の例に示すように、基準歩行距離の算出元の登山者群の登山実績において最も歩行距離が長い実績値(最大値)を用い、基準歩行距離から最大値の間を予め決めた数で分割したりすることで、設定することができる。
【0051】
図4は、歩行距離の実績値に基づく保険料率の一例を示す図である。
図4に示すように、超過距離領域の各区分に超過距離が大きいほど増加する従量保険料率(第1従量保険料率)を設定することができる。なお、区分の観点において基準距離領域は、基本距離区分と称している。そして、
図4の例において、従量保険料率は、変動型又は固定型を適用することができる。例えば、区分内の超過距離範囲を単位距離(例えば、10km)の従量制として、10km毎にいくら、とった形の変動型従量保険料率とすることができる。また、区分内の超過距離範囲であれば、その区分を超えない限り同じ保険料が適用される固定型従量保険料率とすることができる。どちらにしても、超過距離領域の区分毎に保険料はその距離に応じて増加するように設定され、その増加量を単位距離当たりとするか固定とするかは任意である。
【0052】
なお、歩行距離に関する保険料率は、上述のように基準歩行距離を超えていない基準距離領域と基本歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定され、基準距離領域には、固定額の保険料を設定することができる。この基準距離領域に設定される保険料を基準保険料とする。したがって、歩行距離に関する保険料率は、基本保険料をベースに基準歩行距離からの超過距離に応じた従量保険料率が設定されたものとなる。
【0053】
そして、保険料算出部123は、歩行距離連動算出部123Aを有し、登山管理装置300から申込者の登山実績を取得し、歩行距離に関する保険料率に基づいて、申込者の歩行距離実績に対して該当する歩行距離領域に基づく保険料を算出することができる。
【0054】
歩行距離に関する保険料率は、例えば、
図4の例のように、基本保険料と、超過距離に応じた従量保険料率とを分け、申込者の歩行距離実績と基準歩行距離との差分を算出し、算出された差分がどの区分に該当するかを判別して、基本歩行距離を超えている超過距離に対して従量保険料率に基づく従量保険料を算出する。基本保険料に従量保険料を加算して、申込者に提示する保険料を算出することができる。
【0055】
別の観点において、歩行距離に関する保険料率は、各区分において、予め基本保険料を含んだ形で超過距離毎の従量保険料を設定した態様であってもよい。例えば、基準歩行距離までは合計いくら、基準歩行距離+区分1までなら合計いくら、といった形で保険料率を設定する。この場合、申込者の歩行距離実績と基準歩行距離との差分を算出せずに、申込者の歩行距離実績がどの区分に該当するか否かを判定することで、基準歩行距離からの超過距離に応じた従量保険料を含む保険料を算出することができる。
【0056】
両ケースともに、申込者の歩行距離実績に対して該当する歩行距離領域に基づく保険料を算出しており、申込者の登山実績に応じた保険料を提供することができる。
【0057】
また、超過距離領域を複数の区分に分け、各区分に従量保険料率を設定した態様を一例に説明したが、これに限るものではない。例えば、基準歩行距離を超えた超過距離領域は一律に、単位距離あたり保険料が増加する保険料率が設定されるように構成してもよい。
【0058】
ここで、
図3に戻り、基準歩行距離に基づく基本保険料について説明する。基準歩行距離は、上述のように、登山者群の昨年1年間の合計歩行距離(登山した距離の累積値)の平均値である。このため、基準歩行距離は、毎年変動する。そこで、基本保険料も、基準歩行距離が長いほど高く、基準歩行距離が短いほど低くなるように、登山管理装置300で管理される登山者群における平均歩行距離に応じて変動するように設定することができる。
【0059】
図3の例において、基準歩行距離Aで設定される基本保険料aに対し、基準歩行距離Bで設定される基本保険料bは、基準歩行距離B>基準歩行距離Aなので、基本保険料aよりも高く設定される。一方、基準歩行距離Aで設定される基本保険料aに対し、基準歩行距離Cで設定される基本保険料cは、基準歩行距離A>基準歩行距離Cなので、基本保険料aよりも低く設定される。
【0060】
基準歩行距離は、ある基準日に対し過去1年分の統計情報から算出することができ、毎年、基本保険料の見直しを行うことができる。例えば、昨年の統計情報において登山者群の平均歩行距離が長ければ、その分基本保険料が高く設定され、逆に昨年の統計情報において登山者群の平均歩行距離が短ければ、その分、基本保険料が低く設定される。
【0061】
なお、基本保険料の見直しにおいて、基準歩行距離が変動した場合、従量保険料率を見直すようにしてもよい。例えば、昨年の統計情報において登山者群の平均歩行距離が長ければ、基本保険料が高く設定されるが、この基本歩行領域の拡大は、拡大前の超過距離領域への侵食になる。そこで、拡大前の超過距離領域に対する保険料率よりも、拡大後の超過距離領域に対する保険料率を下げるなどの見直しを行ってもよい。また、基本歩行領域が拡大しても、超過距離領域に対する保険料率を下げなくてもよい。
【0062】
同様に、昨年の統計情報において登山者群の平均歩行距離が短ければ、基本保険料が低く設定されるが、基本歩行領域が縮小された分、基準歩行距離から超過した超過距離領域が広くなる。そこで、超過距離領域が広くなった分、超過距離領域に対する保険料率を上げるなどの見直しを行ってもよい。また、超過距離領域が拡大しても、超過距離領域に対する保険料率を上げなくてもよい。
【0063】
保険料率管理部122は、
図3及び
図4で例示した保険料率情報を管理する。具体的には、保険管理装置100への保険料率の入力を受け付け、記憶装置130に記憶する。保険料率管理部122は、所定の画面を介した保険料率の入力機能や編集機能を提供することができる。保険料率管理部122は、登山管理装置300で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出され、登山者の歩行距離の実績に応じて保険料が変動する保険料率(基準歩行距離を超えた距離に対して超過する距離が長いほど高くなるように設定された第1保険料率)を保険料率情報134として記憶装置130に記憶する。
【0064】
また、保険料率管理部122は、登山者群の登山実績に基づいて算出される平均歩行距離(基準歩行距離)を管理することができる。保険料率管理部122は、任意のタイミングで、情報管理部124を通じて登山管理装置300が提供する、所定数の登山者群の登山実績情報を取得する。そして、登山者群の平均歩行距離(基準歩行距離)を生成し、登山実績統計情報133として記憶装置130に記憶する。情報管理部124は、登山管理装置300から登山者の登山実績に関する情報を取得する機能部であり、連携する登山管理装置300との間のデータ授受を管理する。
【0065】
なお、登山管理装置300側で、所定数の登山者群の登山実績情報に基づく登山者群の平均歩行距離(基準歩行距離)を生成し、保険料率管理部122は、登山管理装置300から受信した登山者群の平均歩行距離(基準歩行距離)を、登山実績統計情報133として記憶装置130に記憶するように構成してもよい。すなわち、統計処理前の登山実績又は統計処理後の登山実績を登山管理装置300から取得し、登山統計情報133を蓄積することができる。
【0066】
登山管理装置300から取得する申込者の登山実績についても同様であり、情報管理部124を通じて登山管理装置300から申込者の登山実績情報を取得し、保険管理装置100側で、申込者の歩行距離実績を生成し、加入者別登山実績情報132として記憶装置130に記憶したり、登山管理装置300側で、申込者の登山実績情報に基づく歩行距離実績を生成し、保険管理装置100が登山管理装置300から受信した申込者の歩行距離実績を、加入者別登山実績統計情報132として記憶装置130に記憶したりするように構成してもよい。
【0067】
図5は、本実施形態の登山実績連動型保険システムの処理フローを示す図である。なお、
図5の例は、既に登山者が登山管理装置300へのユーザ登録を行い、ユーザ端末200を通じて登山計画書の登録機能及び登山実績の記録機能を使用可能な状態である。
【0068】
登山者は、登山をするにあたり、登山計画書を作成して登山管理装置300に提出(登録)する(S201,S301)。登山当日、現地に到着すると、登山者は、ユーザ端末200において、登山管理アプリケーションを起動し、GPS装置230による位置情報取得処理を開始させる。ユーザ端末200(制御部220)は、取得した位置情報を登山管理装置300に送信し、登山管理装置300は、受信した位置情報を登山者別に登山履歴として格納する(S202,S302)。
【0069】
保険管理装置100は、所定のタイミングで保険料率生成処理を行う(S101)。情報管理部124は、登山管理装置300から所定数の登山者群の登山実績情報を取得する(S102,S303)。保険料率管理部122は、登山実績統計情報(基準歩行距離)を生成し、記憶装置130に記憶する(S103)。
【0070】
保険料率管理部122は、基準歩行距離に基づく歩行距離に関した保険料率の入力を受け付け、保険料率情報(歩行距離連動保険料率)を生成し(S104)、記憶装置130に格納する(S105)。このステップS101からS105は、保険料率を見直したり、新規に作成したりする際に行われる。
【0071】
登山者は、ユーザ端末200を通じて保管管理装置100にアクセスし、登山実績連動型保険の申込をする(S203)。保険管理装置100は、ユーザ端末200からの申込を受け付け、契約処理を行う。保険契約に必要な情報は、保険情報135として記憶装置130に記憶されており、保険契約制御部121は、保険情報135を適宜参照して保険加入処理を遂行する。
【0072】
保険管理装置100(保険契約制御部121)は、保険加入処理において、保険料算出部123に保険料算出処理の実行を指示する(S106)。保険料算出部123は、登山管理装置300に申込者の登山実績情報の取得要求を行い、登山管理装置300は、申込者に該当する登山実績情報を抽出し、保険管理装置100に提供する(S107)。
【0073】
保険料算出部123は、保険料率情報134を参照し、申込者の登山実績情報に基づいて当該申込者の歩行距離実績に基づく保険料を算出する(S108)。算出した保険料は、保険契約制御部121に出力され、保険契約制御部121がユーザ端末200に表示させる(S109)。
【0074】
申込者は、保険管理装置100から提示された保険料を確認し、保険の申し込みを行う(S204)。保険管理装置100(保険契約制御部121)は、保険料の支払い(決済)処理を行い、保険契約処理を完了させる(S110)。この保険契約処理の完了に伴い、申込者を登山実績連動型保険の加入者情報131に記憶する。このとき、上述のように、加入者情報131に登録された加入者は、登山管理装置300に登録されたユーザ情報331と、一対一で紐付き、登山者と加入者とが紐付けられる。
【0075】
本実施形態の登山実績連動型保険システムは、登山で歩いた実績値に基づいて保険料が変動する。つまり、登山者それぞれで異なる登山実績をリスク指標として保険料が変動する。このため、登山実績に応じて登山者個々人が抱えるリスクの違いを考慮した保険料を算出し、提供することができる。
【0076】
このように保険料が変動することで、登山者自身の登山リスクに対する認識と保険料とが繋がりやすくなり、保険料に対する納得感が高まり、かつ登山への心構えを含めたリスク指標として役立つ。
【0077】
また、登山実績に基づいて保険料が変動するので、自身の過去に歩行した距離が短ければ、歩行距離が長い登山者に比べて保険料を抑えることができ、登山保険に加入し易い環境を提供することもできる。
【0078】
(第2実施形態)
図6から及び
図8は、第2実施形態を説明するための図である。
図6は、本実施形態の登山実績連動型保険システムを構成する各機器の機能ブロック図である。なお、上記第1実施形態で同様の構成及び処理については同符号を付して説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
【0079】
本実施形態は、上記第1実施形態の歩行距離に連動した保険料率に加え、歩行高度に連動した保険料率、登山時間に連動した保険料率を適用したものである。
図6の例において、保険料算出部123は、歩行高度連動算出部123B及び登山時間連動算出部123Cをさらに備えている。
【0080】
登山リスクは、歩行した距離に応じた変動するが、標高が高い山に登る登山者は、より多くの登山リスクを抱えることになる。高度が高くなれば、自然環境が過酷になりやすく、例えば、高山病のリスクや低体温症などの登山リスクが発生し易い。このように登山者が歩行した高度に関する情報も、リスク指標とすることができる。
【0081】
そこで、登山者の登山実績において平均歩行高度が基準歩行高度を超えていれば、基準歩行高度を超えた高度に対して超過する高度が長いほど高くなるように設定された保険料率(第2保険料率)を適用する。
【0082】
記憶装置130は、登山管理装置300で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均歩行高度を基準歩行高度として記憶すると共に、保険料率情報134として歩行高度に関する保険料率を記憶する。
【0083】
上記第1実施形態で説明したように、登山中に高度は、ユーザ端末200から送信される高度情報や高度情報を含む山岳地図情報に基づいて登山管理装置300で解析した登山情報が、当該登山管理装置300で蓄積、管理される。登山管理装置300は、登山実績として歩行高度に関する情報も保険管理装置100に提供することができる。
【0084】
次に、登山時間に連動した保険料率について説明する。登山した時間は、歩行した距離に依存する部分が大きいが、登山中の移動速度にも依存し、登山した時間が長ければ長いほど、山岳に滞在している時間が長くなる。登山した時間とは、歩行中の時間に加え、休憩等の時間を含み、登山開始から登山終了までに山岳に滞在した時間である。このため、山岳に滞在する時間が長い登山者は、登山リスクが発生し易く、登山した時間に関する情報も、リスク指標とすることができる。なお、登山時間として、歩行中の時間や休憩等の時間を含めた登山開始から登山終了までの時間を一例に説明したが、休憩等の時間を除外し、歩行中の時間だけを登山時間とすることもできる。この場合、位置情報から移動を開始した時刻、移動を終了した時刻を把握することができるので、登山管理装置300で蓄積、管理される登山実績情報から歩行中の時間のみを抽出することができる。
【0085】
そこで、登山者の登山実績において平均登山時間が基準登山時間を超えていれば、基準登山時間を超えた時間に対して超過する時間が長いほど高くなるように設定された保険料率(第3保険料率)を適用する。
【0086】
記憶装置130は、登山管理装置300で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均登山時間を基準登山時間として記憶すると共に、保険料率情報134として登山時間に関する保険料率を記憶する。
【0087】
上記第1実施形態で説明したように、時系列に取得された位置情報を登山実績として登山管理装置300で管理している。このため、登山開始から登山終了までの時間を把握することができ、登山管理装置300は、各登山者の登山実績として、歩行した距離、歩行した高度、及び登山した時間を蓄積、管理することができる。登山管理装置300は、登山実績として登山時間に関する情報も保険管理装置100に提供することができる。
【0088】
図7は、歩行高度の実績値に基づく保険料率と、登山時間の実績値に基づく保険料率の一例を示す図である。
【0089】
図7に示すように、歩行高度に関する保険料率も登山時間に関する保険料率も、
図3で示した歩行距離に関する保険料率と同様の仕組みで策定されており、基準歩行高度や基準登山時間を基準に、当該基準を超過する領域は、歩行高度や登山時間が基準よりも超過する割合が大きいほど、増加する保険料率が設定されている。
【0090】
歩行高度に関する保険料率は、基準歩行高度を超えていない基準高度領域と基本歩行高度を超える超過高度領域とを含む歩行高度領域が設定され、超過高度領域が複数の区分に分けられて各区分に超過高度が大きいほど増加する従量保険料率(第2従量保険料率)が設定されている。基準歩行高度は、登山管理装置300で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均歩行高度である。例えば、平均歩行高度は、各登山者の昨年1年間に歩行した登山ルートの高度の平均値である。なお、申込者の歩行高度実績は、例えば、昨年1年間の歩行距離実績における、歩行した登山ルートの高度の平均値である。
【0091】
登山時間に関する保険料率は、基準登山時間を超えていない基準時間領域と基本登山時間を超える超過時間領域とを含む登山時間領域が設定され、超過時間領域が複数の区分に分けられて各区分に超過時間が大きいほど増加する従量保険料率(第3従量保険料率)が設定されている。基準登山時間は、登山管理装置300で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均登山時間である。例えば、平均登山時間は、各登山者の昨年1年間に登山した時間の平均値である。なお、申込者の登山時間実績は、例えば、昨年1年間の歩行距離実績における、歩行時間の累積値である。
【0092】
なお、
図7に示すように、基準高度領域と基準時間領域の各従量保険料率は「0」に設定され、基準高度領域内であれば、歩行高度に関する従量保険料は「0」であり、同様に、基準時間領域内であれば、登山時間に関する従量保険料は「0」である。
【0093】
保険料算出部123は、歩行距離連動算出部123A、歩行高度連動算出部123B及び登山時間連動算出部123Cを備え、登山管理装置300から申込者の登山実績を取得し、申込者の歩行距離実績に対して該当する歩行距離領域に基づく第1保険料、申込者の歩行高度実績に対して該当する歩行高度領域に基づく第2保険料、及び申込者の登山時間実績に対して該当する登山時間領域に基づく第3保険料を算出し、これら第1保険料、第2保険料、及び第3保険料を合算した保険料を算出することができる。
【0094】
つまり、申込者の保険料は、申込者の歩行距離実績に基づく基本保険料及び歩行距離実績に基づく超過距離に対する従量保険料と、歩行高度実績に基づく超過高度に対する従量保険料と、登山時間実績に基づく超過時間に対する従量保険料と、を含む。
【0095】
図8は、本実施形態の登山実績連動型保険システムの処理フローを示す図である。
【0096】
保険管理装置100は、所定のタイミングで保険料率生成処理を行う(S101)。情報管理部124は、登山管理装置300から所定数の登山者群の登山実績情報を取得する(S102,S303)。保険料率管理部122は、登山実績統計情報(基準歩行距離,基準歩行高度、及び基準登山時間)を生成し、記憶装置130に記憶する(S103)。
【0097】
保険料率管理部122は、基準歩行距離に基づく歩行距離に関する保険料率、基準歩行高度に基づく歩行高度に関する保険料率、基準登山時間に基づく登山時間に関した保険料率の入力を受け付け、保険料率情報(歩行距離連動保険料率、歩行高度連動保険料率、登山時間連動保険料率)を生成し(S104A,A104B,S104C)、各保険料率を記憶装置130に格納する(S105)。このステップS101からS105は、保険料率を見直したり、新規に作成したりする際に行われる。
【0098】
そして、保険管理装置100は保険加入処理において、保険料算出部123に保険料算出処理の実行を指示する(S106)。保険料算出部123は、登山管理装置300に申込者の登山実績情報の取得要求を行い、登山管理装置300は、申込者に該当する登山実績情報を抽出し、保険管理装置100に提供する(S107)。
【0099】
保険料算出部123は、保険料率情報134を参照し、申込者の登山実績情報に基づいて当該申込者の歩行距離実績に基づく保険料、該申込者の歩行高度実績に基づく保険料、該申込者の登山時間実績に基づく保険料をそれぞれ算出して合算し(S108)、合算した保険料を保険契約制御部121に出力する。
【0100】
本実施形態の登山実績連動型保険システムは、登山で歩いた実績値において、歩行距離とともに、歩行高度又は/及び登山時間に基づいて保険料が変動する。このため、登山実績に応じて登山者個々人が抱えるリスクの違いを色濃く反映した保険料を提供することができる。
【0101】
なお、3つの保険料率を用い、これらを合算した保険料を一例に説明したが、これに限るものではない。つまり、申込者の歩行距離実績に基づく保険料をベースに、申込者の歩行高度実績に基づく保険料を含む保険料を提供したり、申込者の歩行距離実績に基づく保険料をベースに、申込者の登山時間実績に基づく保険料を含む保険料を提供したりする構成であってもよく、申込者の歩行距離実績に基づく保険料をベースに、歩行高度実績又は/及び登山時間実績をリスク指標として組み合わせた登山実績連動型保険を提供することができる。
【0102】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記第1実施形態及び第2実施形態において、登山実績が蓄積されていないユーザ(登山管理装置300に登録されていないユーザ、又は登山管理装置300に登録されているが、登山実績が蓄積されていないユーザ)が本保険を申し込んだ場合、当該申込者の登山実績が蓄積されるまで、例えば、基準歩行距離(登山者群の歩行距離実績の平均値)を適用して保険料を算出することができる。具体的には、登山実績が蓄積されていないユーザには、上記第1実施形態の基本保険料を適用するように構成してもよい。
【0103】
また、登山実績連動型保険システムは、登山管理装置を含むコンピュータシステムとして構成することができる。すなわち、登山者が携帯するユーザ端末200を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置300と、申込者に対して登山実績連動型保険の保険料を提供する保険管理装置100(登山実績連動型保険装置)と、を有するコンピュータシステムであり、保険管理装置100が、登山管理装置300から登山者の登山実績に関する情報を取得する情報管理部124と、登山管理装置300で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出され、登山者の歩行距離の実績に応じて保険料が変動する保険料率を記憶する記憶装置130と、登山管理装置300から申込者の登山実績を取得し、保険料率と申込者の歩行距離実績とに基づいて保険料を算出する保険料算出部123と、を有するように構成することができる。
【0104】
また、保険管理装置100、登山管理装置300を構成する各制御装置及び各記憶装置は、1つ又は複数のコンピュータ装置で実現することができ、また、複数のコンピュータ装置に各処理部を任意に分散させて構築することもできる、
【0105】
また、保険管理装置100、登山管理装置300の各機能は、プログラムによって実現可能であり、各機能を実現するために予め用意されたコンピュータプログラムが補助記憶装置に格納され、CPU等の制御部が補助記憶装置に格納されたプログラムを主記憶装置に読み出し、主記憶装置に読み出された該プログラムを制御部が実行することで、各部の機能を動作させることができる。
【0106】
また、上記プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された状態で、コンピュータに提供することも可能である。コンピュータ読取可能な記録媒体としては、CD-ROM等の光ディスク、DVD-ROM等の相変化型光ディスク、MO(Magnet Optical)やMD(Mini Disk)などの光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスクやリムーバブルハードディスクなどの磁気ディスク、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、SDメモリカード、メモリスティック等のメモリカードが挙げられる。また、本発明の目的のために特別に設計されて構成された集積回路(ICチップ等)等のハードウェア装置も記録媒体として含まれる。
【符号の説明】
【0107】
100 保険管理装置
110 通信装置
120 制御装置
121 保険契約制御部
122 保険料率管理部
123 保険料算出部
123A 歩行距離連動算出部
123B 歩行高度連動算出部
123C 登山時間連動算出部
124 情報管理部
130 記憶装置
131 加入者情報
132 加入者別登山実績情報
133 登山実績統計情報
134 保険料率情報
135 保険情報
200 ユーザ端末
210 通信部
220 制御部(登山管理アプリ)
230 GPS装置
240 表示・入力部
250 メモリ
300 登山管理装置
310 通信装置
320 制御装置
321 登山計画管理部
322 登山実績管理部
330 記憶装置
331 ユーザ情報
332 登山計画情報
333 登山実績情報
【手続補正書】
【提出日】2024-07-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
登山者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と連携した登山実績連動型保険システムであって、
前記登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出され、登山者の歩行距離の実績に応じて保険料が変動する保険料率を記憶する記憶部と、
前記登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、前記保険料率と申込者の歩行距離実績とに基づいて、保険料を算出する保険料算出部と、を有し、
前記記憶部は、
前記登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均歩行距離を、基準歩行距離として記憶する第1記憶部と、
前記基準歩行距離を超えた距離に対して超過する距離が長いほど高くなるように設定された第1保険料率を記憶する第2記憶部と、を備え、
前記保険料算出部は、
前記登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、前記基準歩行距離に対し申込者の歩行距離実績が超過している距離に応じて増加する保険料を算出することを特徴とする登山実績連動型保険システム。
【請求項2】
前記第1保険料率は、前記基準歩行距離を超えていない基準距離領域と前記基準歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、前記超過距離領域が複数の区分に分けられて各区分に超過距離が大きいほど増加する第1従量保険料率が設定されており、
前記保険料算出部は、前記登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、申込者の歩行距離実績に対して該当する前記歩行距離領域に基づく保険料を算出することを特徴とする請求項1に記載の登山実績連動型保険システム。
【請求項3】
前記第1保険料率は、前記基準歩行距離を超えていない基準距離領域と前記基準歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、前記基準距離領域に設定される基本保険料と、前記超過距離領域が複数の区分に分けられて各区分に超過距離が大きいほど増加する第1従量保険料率と、が設定されており、
前記保険料算出部は、申込者の歩行距離実績において前記基準歩行距離を超えている超過距離に対して前記第1従量保険料率に基づく第1従量保険料を算出し、前記基本保険料に前記第1従量保険料が加算された保険料を算出することを特徴とする請求項1に記載の登山実績連動型保険システム。
【請求項4】
前記第1記憶部は、前記登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均歩行高度を、基準歩行高度として記憶し、
前記第2記憶部は、前記基準歩行高度を超えた高度に対して超過する高度が長いほど高くなるように設定された第2保険料率を記憶し、
前記第1保険料率は、前記基準歩行距離を超えていない基準距離領域と前記基準歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、前記超過距離領域が複数の区分に分けられて各区分に超過距離が大きいほど増加する第1従量保険料率が設定されており、
前記第2保険料率は、前記基準歩行高度を超えていない基準高度領域と前記基準歩行高度を超える超過高度領域とを含む歩行高度領域が設定されるともに、前記超過高度領域が複数の区分に分けられて各区分に超過高度が大きいほど増加する第2従量保険料率が設定されており、
前記保険料算出部は、前記登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、申込者の歩行距離実績に対して該当する前記歩行距離領域に基づく第1保険料を算出するとともに、申込者の歩行高度実績に対して該当する前記歩行高度領域に基づく第2保険料を算出し、前記第1保険料と前記第2保険料とを合算した保険料を算出することを特徴とする請求項1に記載の登山実績連動型保険システム。
【請求項5】
前記第1記憶部は、前記登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均登山時間を、基準登山時間として記憶し、
前記第2記憶部は、前記基準登山時間を超えた時間に対して超過する時間が長いほど高くなるように設定された第3保険料率を記憶し、
前記第1保険料率は、前記基準歩行距離を超えていない基準距離領域と前記基準歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、前記超過距離領域が複数の区分に分けられて各区分に超過距離が大きいほど増加する第1従量保険料率が設定されており、
前記第3保険料率は、前記基準登山時間を超えていない基準時間領域と前記基準登山時間を超える超過時間領域とを含む登山時間領域が設定されるともに、前記超過時間領域が複数の区分に分けられて各区分に超過時間が大きいほど増加する第3従量保険料率が設定されており、
前記保険料算出部は、前記登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、申込者の歩行距離実績に対して該当する前記歩行距離領域に基づく第1保険料を算出するとともに、申込者の登山時間実績に対して該当する前記登山時間領域に基づく第3保険料を算出し、前記第1保険料と前記第3保険料とを合算した保険料を算出することを特徴とする請求項1に記載の登山実績連動型保険システム。
【請求項6】
前記第1記憶部は、前記登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均歩行高度を基準歩行高度として記憶するとともに、前記登山管理装置で管理される登山者群の各登山実績に基づいて算出された登山者の平均登山時間を基準登山時間として記憶し、
前記第2記憶部は、前記基準歩行高度を超えた高度に対して超過する高度が長いほど高くなるように設定された第2保険料率と、前記基準登山時間を超えた時間に対して超過する時間が長いほど高くなるように設定された第3保険料率を記憶し、
前記第1保険料率は、前記基準歩行距離を超えていない基準距離領域と前記基準歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、前記超過距離領域が複数の区分に分けられて各区分に超過距離が大きいほど増加する第1従量保険料率が設定されており、
前記第2保険料率は、前記基準歩行高度を超えていない基準高度領域と前記基準歩行高度を超える超過高度領域とを含む歩行高度領域が設定されるともに、前記超過高度領域が複数の区分に分けられて各区分に超過高度が大きいほど増加する第2従量保険料率が設定されており、
前記第3保険料率は、前記基準登山時間を超えていない基準時間領域と前記基準登山時間を超える超過時間領域とを含む登山時間領域が設定されるともに、前記超過時間領域が複数の区分に分けられて各区分に超過時間が大きいほど増加する第3従量保険料率が設定されており、
前記保険料算出部は、前記登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、申込者の歩行距離実績に対して該当する前記歩行距離領域に基づく第1保険料、申込者の歩行高度実績に対して該当する前記歩行高度領域に基づく第2保険料、及び申込者の登山時間実績に対して該当する前記登山時間領域に基づく第3保険料を算出し、前記第1保険料、前記第2保険料、及び前記第3保険料を合算した保険料を算出することを特徴とする請求項1に記載の登山実績連動型保険システム。
【請求項7】
前記第1保険料率は、前記基準歩行距離を超えていない基準距離領域と前記基準歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、前記基準距離領域に基本保険料が設定され、
前記基本保険料は、前記基準歩行距離が長いほど高く、前記基準歩行距離が短いほど低くなるように、前記登山管理装置で管理される登山者群における平均歩行距離に応じて変動するように設定されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の登山実績連動型保険システム。
【請求項8】
登山者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と連携したコンピュータ装置で実行されるプログラムであって、前記コンピュータ装置に、
前記登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出され、登山者の歩行距離の実績に応じて保険料が変動する保険料率を記憶する第1機能と、
前記登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、前記保険料率と申込者の歩行距離実績とに基づいて、保険料を算出する第2機能と、を実現させ、
前記第1機能は、
前記登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均歩行距離を、基準歩行距離として記憶するとともに、前記基準歩行距離を超えた距離に対して超過する距離が長いほど高くなるように設定された第1保険料率を記憶し、
前記第2機能は、
前記登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、前記基準歩行距離に対し申込者の歩行距離実績が超過している距離に応じて増加する保険料を算出することを特徴とするプログラム。
【請求項9】
登山者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と、
申込者に対して登山実績連動型保険の保険料を提供する登山実績連動型保険装置と、を有し、
前記登山実績連動型保険装置は、
前記登山管理装置から登山者の登山実績に関する情報を取得する情報管理部と、
前記登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出され、登山者の歩行距離の実績に応じて保険料が変動する保険料率を記憶する記憶部と、
前記登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、前記保険料率と申込者の歩行距離実績とに基づいて保険料を算出する保険料算出部と、を有し、
前記記憶部は、
前記登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均歩行距離を、基準歩行距離として記憶する第1記憶部と、
前記基準歩行距離を超えた距離に対して超過する距離が長いほど高くなるように設定された第1保険料率を記憶する第2記憶部と、を備え、
前記保険料算出部は、
前記登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、前記基準歩行距離に対し申込者の歩行距離実績が超過している距離に応じて増加する保険料を算出することを特徴とするコンピュータシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
そして、上記記憶部は、登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均歩行距離を、基準歩行距離として記憶する第1記憶部と、基準歩行距離を超えた距離に対して超過する距離が長いほど高くなるように設定された第1保険料率を記憶する第2記憶部とを備えることができる。保険料算出部は、登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、基準歩行距離に対し申込者の歩行距離実績が超過している距離に応じて増加する保険料を算出するように構成することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
(2)上記(1)において、上記第1保険料率は、基準歩行距離を超えていない基準距離領域と基準歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、超過距離領域が複数の区分に分けられて各区分に超過距離が大きいほど増加する第1従量保険料率が設定されるように構成することができる。保険料算出部は、登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、申込者の歩行距離実績に対して該当する歩行距離領域に基づく保険料を算出することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
(3)上記(1)において、上記第1保険料率は、基準歩行距離を超えていない基準距離領域と基準歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、基準距離領域に設定される基本保険料と、超過距離領域が複数の区分に分けられて各区分に超過距離が大きいほど増加する第1従量保険料率と、が設定されるように構成することができる。上記保険料算出部は、申込者の歩行距離実績において基準歩行距離を超えている超過距離に対して第1従量保険料率に基づく第1従量保険料を算出し、基本保険料に第1従量保険料が加算された保険料を算出するように構成することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
(4)上記(1)において、上記第1記憶部は、登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均歩行高度を基準歩行高度として記憶し、上記第2記憶部は、基準歩行高度を超えた高度に対して超過する高度が長いほど高くなるように設定された第2保険料率を記憶することができる。第1保険料率は、基準歩行距離を超えていない基準距離領域と基準歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、超過距離領域が複数の区分に分けられて各区分に超過距離が大きいほど増加する第1従量保険料率が設定され、第2保険料率は、基準歩行高度を超えていない基準高度領域と基準歩行高度を超える超過高度領域とを含む歩行高度領域が設定されるともに、超過高度領域が複数の区分に分けられて各区分に超過高度が大きいほど増加する第2従量保険料率が設定される。そして、上記保険料算出部は、登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、申込者の歩行距離実績に対して該当する歩行距離領域に基づく第1保険料を算出するとともに、申込者の歩行高度実績に対して該当する歩行高度領域に基づく第2保険料を算出し、第1保険料と第2保険料とを合算した保険料を算出するように構成することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
(5)上記(1)において、上記第1記憶部は、登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均登山時間を、基準登山時間として記憶することができ、上記第2記憶部は、基準登山時間を超えた時間に対して超過する時間が長いほど高くなるように設定された第3保険料率を記憶することができる。第1保険料率は、基準歩行距離を超えていない基準距離領域と基準歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、超過距離領域が複数の区分に分けられて各区分に超過距離が大きいほど増加する第1従量保険料率が設定され、第3保険料率は、基準登山時間を超えていない基準時間領域と基準登山時間を超える超過時間領域とを含む登山時間領域が設定されるともに、超過時間領域が複数の区分に分けられて各区分に超過時間が大きいほど増加する第3従量保険料率が設定される。そして、上記保険料算出部は、登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、申込者の歩行距離実績に対して該当する歩行距離領域に基づく第1保険料を算出するとともに、申込者の登山時間実績に対して該当する登山時間領域に基づく第3保険料を算出し、第1保険料と第3保険料とを合算した保険料を算出するように構成することができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
(6)上記(1)において、上記第1記憶部は、登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均歩行高度を基準歩行高度として記憶するとともに、登山管理装置で管理される登山者群の各登山実績に基づいて算出された登山者の平均登山時間を基準登山時間として記憶することができる。また、上記第2記憶部は、基準歩行高度を超えた高度に対して超過する高度が長いほど高くなるように設定された第2保険料率と、基準登山時間を超えた時間に対して超過する時間が長いほど高くなるように設定された第3保険料率を記憶することができる。このとき、第1保険料率は、基準歩行距離を超えていない基準距離領域と基準歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、超過距離領域が複数の区分に分けられて各区分に超過距離が大きいほど増加する第1従量保険料率が設定され、第2保険料率は、基準歩行高度を超えていない基準高度領域と基準歩行高度を超える超過高度領域とを含む歩行高度領域が設定されるともに、超過高度領域が複数の区分に分けられて各区分に超過高度が大きいほど増加する第2従量保険料率が設定される。また、第3保険料率は、基準登山時間を超えていない基準時間領域と基準登山時間を超える超過時間領域とを含む登山時間領域が設定されるともに、超過時間領域が複数の区分に分けられて各区分に超過時間が大きいほど増加する第3従量保険料率が設定される。そして、上記保険料算出部は、登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、申込者の歩行距離実績に対して該当する歩行距離領域に基づく第1保険料、申込者の歩行高度実績に対して該当する歩行高度領域に基づく第2保険料、及び申込者の登山時間実績に対して該当する登山時間領域に基づく第3保険料を算出し、これら第1保険料、第2保険料、及び第3保険料を合算した保険料を算出するように構成することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
(7)上記(1)から(6)において、上記第1保険料率は、基準歩行距離を超えていない基準距離領域と基準歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定されるともに、基準距離領域に基本保険料が設定されるように構成することができる。そして、基本保険料は、基準歩行距離が長いほど高く、基準歩行距離が短いほど低くなるように、上記登山管理装置で管理される登山者群における平均歩行距離に応じて変動するように設定されるように構成することができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
(8)本発明のプログラムは、登山者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と連携したコンピュータ装置で実行される。該プログラムは、登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出され、登山者の歩行距離の実績に応じて保険料が変動する保険料率を記憶する第1機能と、登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、保険料率と申込者の歩行距離実績とに基づいて、保険料を算出する第2機能と、を実現させる。そして、上記第1機能は、登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均歩行距離を、基準歩行距離として記憶するとともに、基準歩行距離を超えた距離に対して超過する距離が長いほど高くなるように設定された第1保険料率を記憶することができ、上記第2機能は、登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、基準歩行距離に対し申込者の歩行距離実績が超過している距離に応じて増加する保険料を算出するように構成することができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
(9)本発明のコンピュータシステムは、登山者が携帯する端末装置を通じて収集される位置情報に基づく登山実績を管理する登山管理装置と、申込者に対して登山実績連動型保険の保険料を提供する登山実績連動型保険装置と、を有する。登山実績連動型保険装置は、登山管理装置から登山者の登山実績に関する情報を取得する情報管理部と、登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出され、登山者の歩行距離の実績に応じて保険料が変動する保険料率を記憶する記憶部と、登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、保険料率と申込者の歩行距離実績とに基づいて保険料を算出する保険料算出部と、を有する。上記記憶部は、登山管理装置で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均歩行距離を、基準歩行距離として記憶する第1記憶部と、基準歩行距離を超えた距離に対して超過する距離が長いほど高くなるように設定された第1保険料率を記憶する第2記憶部と、を備えるように構成することができ、上記保険料算出部は、登山管理装置から申込者の登山実績を取得し、基準歩行距離に対し申込者の歩行距離実績が超過している距離に応じて増加する保険料を算出するように構成することができる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
図3は、登山実績連動型保険の仕組みを説明するための図である。
図3の例は、歩行距離の実績値に基づく保険料率(第1保険料率に相当)を示している。
図3に示すように、基準歩行距離Aを超えていない基準距離領域と、
基準歩行距離Aを超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定される。超過距領域は、複数の区分に分けられている。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
なお、歩行距離に関する保険料率は、上述のように基準歩行距離を超えていない基準距離領域と基準歩行距離を超える超過距離領域とを含む歩行距離領域が設定され、基準距離領域には、固定額の保険料を設定することができる。この基準距離領域に設定される保険料を基本保険料とする。したがって、歩行距離に関する保険料率は、基本保険料をベースに基準歩行距離からの超過距離に応じた従量保険料率が設定されたものとなる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
歩行距離に関する保険料率は、例えば、
図4の例のように、基本保険料と、超過距離に応じた従量保険料率とを分け、申込者の歩行距離実績と基準歩行距離との差分を算出し、算出された差分がどの区分に該当するかを判別して、
基準歩行距離を超えている超過距離に対して従量保険料率に基づく従量保険料を算出する。基本保険料に従量保険料を加算して、申込者に提示する保険料を算出することができる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
なお、基本保険料の見直しにおいて、基準歩行距離が変動した場合、従量保険料率を見直すようにしてもよい。例えば、昨年の統計情報において登山者群の平均歩行距離が長ければ、基本保険料が高く設定されるが、この基準歩行領域の拡大は、拡大前の超過距離領域への侵食になる。そこで、拡大前の超過距離領域に対する保険料率よりも、拡大後の超過距離領域に対する保険料率を下げるなどの見直しを行ってもよい。また、基準歩行領域が拡大しても、超過距離領域に対する保険料率を下げなくてもよい。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
同様に、昨年の統計情報において登山者群の平均歩行距離が短ければ、基本保険料が低く設定されるが、基準歩行領域が縮小された分、基準歩行距離から超過した超過距離領域が広くなる。そこで、超過距離領域が広くなった分、超過距離領域に対する保険料率を上げるなどの見直しを行ってもよい。また、超過距離領域が拡大しても、超過距離領域に対する保険料率を上げなくてもよい。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0090
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0090】
歩行高度に関する保険料率は、基準歩行高度を超えていない基準高度領域と基準歩行高度を超える超過高度領域とを含む歩行高度領域が設定され、超過高度領域が複数の区分に分けられて各区分に超過高度が大きいほど増加する従量保険料率(第2従量保険料率)が設定されている。基準歩行高度は、登山管理装置300で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均歩行高度である。例えば、平均歩行高度は、各登山者の昨年1年間に歩行した登山ルートの高度の平均値である。なお、申込者の歩行高度実績は、例えば、昨年1年間の歩行距離実績における、歩行した登山ルートの高度の平均値である。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0091】
登山時間に関する保険料率は、基準登山時間を超えていない基準時間領域と基準登山時間を超える超過時間領域とを含む登山時間領域が設定され、超過時間領域が複数の区分に分けられて各区分に超過時間が大きいほど増加する従量保険料率(第3従量保険料率)が設定されている。基準登山時間は、登山管理装置300で管理される登山者群の登山実績に基づいて算出された平均登山時間である。例えば、平均登山時間は、各登山者の昨年1年間に登山した時間の平均値である。なお、申込者の登山時間実績は、例えば、昨年1年間の歩行距離実績における、歩行時間の累積値である。