(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157087
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】液体容器用逆止弁
(51)【国際特許分類】
B65D 47/24 20060101AFI20241030BHJP
B65D 35/50 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
B65D47/24 200
B65D35/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071195
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000134372
【氏名又は名称】株式会社トーヨー工芸工業
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】晝間 仁薫
(72)【発明者】
【氏名】澤畠 唯
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA03
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DC03
3E084FB01
3E084FC04
3E084GB16
3E084KB01
3E084LD02
(57)【要約】
【課題】構造が簡単で密閉力に優れ、汎用性が高い液体容器用逆止弁を提供する。
【解決手段】容器Pの口部P1内に装着する逆止弁を構成する。口部P1内に嵌合する有底筒状の本体1を設ける。本体1の底部1Aに抽出口1Bを形成する。抽出口1Bを本体1内部で密閉する密閉体3を設ける。本体1の底部1Aと密閉体3の底部1Aとを連結する弾性の支持部材を設ける。本体1と前記支持部材2と密閉体3とを一体で連続成形する。支持部材2をU字状に屈曲した細長い形状に形成する。本体1の底部1A下面から前記密閉体3の底部側に支持部材2を連結する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部内に装着する逆止弁において、口部内に嵌合する有底筒状の本体と、本体の底部に形成された抽出口を本体内部で密閉する球体状の密閉体と、本体と密閉体とを本体外部で連結する弾性の支持部材と、を一体に連続成形したことを特徴とする液体容器用逆止弁。
【請求項2】
前記支持部材はU字状に屈曲された細長い形状を成し、前記本体の底部下面から前記密閉体の底部側に連結され、前記密閉体と共に前記本体内に挿入自在に設けられた請求項1記載の液体容器用逆止弁。
【請求項3】
前記密閉体は、前記抽出口に挿入する球面部を底部側に備えると共に、球面部の最大外周部位に、前記底部上面に係止する係止段部が周設された請求項1記載の液体容器用逆止弁。
【請求項4】
前記密閉体の上端部から内部に至る変形凹部が形成されると共に、前記係止段部の外周面から上端部方向に至るテーパーが形成され、前記抽出口から前記本体内に前記密閉体が挿入される請求項3記載の液体容器用逆止弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にチューブ容器の口部に装着し、内容物を押出した後の外気の侵入を防止する液体用逆止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
チューブ容器の口部に装着する逆止弁として、特許文献1に記載の逆止弁が提案されている。この逆止弁は、チューブ容器1の開口部2に挿入する筒状の本体7と、本体7の下面に連結され螺旋状に湾曲した弾性材の脚8と、この脚8で支持された平板状のシート板6とからなる弁体9を設けた構造である。
【0003】
更に、弁体9と別体の構成で、チューブ容器1の開口部2に挿入する有底筒状の中筒5を設け、この中筒5の底部に口孔4を形成する。そして、中筒5の口孔4上に弁体9のシート板6を重ねて密封する。
【0004】
そして、チューブ容器1の内容物が口孔4からシート板6を押し上げて排出された後、弁体9の脚8の弾性力でシート板6が口孔4を閉じる構成である。
【0005】
また、特許文献1の平板状のシート板6の代わりに半球形状の弁部材11を使用する逆止弁が特許文献2に記載されている。この逆止弁5は、チューブ容器2の口部3に形成した弁座10に、弁部材11の半球形状を成した離着座面31を圧着して口部3を密閉する構成である。この弁部材11は螺旋状に湾曲した弾性体13を介してノズル12の下面に連結され、ノズル12はチューブ容器2の口部3に装着されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭62‐8937号公報
【特許文献2】特許第4277504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のように、中筒5底部の口孔4をシート板6で開閉する構成では、口孔4の周辺とシート板6との間に内容物や内容物の残滓が残るおそれがある。仮に、僅かな内容物が残ったとしても、シート板6の密閉力は損なわれることになる。
【0008】
しかも、弁体9とは別部材の中筒5を設け、これらを組み合わせて開口部2に装着する構成なので、逆止弁の構造が複雑になり製造コストが上がる課題もある。
【0009】
一方、特許文献2のように、半球形状の弁部材11でチューブ容器2の口部3を開閉する逆止弁5では、予めチューブ容器2の口部3に形成した弁座10の径に合わせて弁部材11の径を形成する必要がある。
【0010】
しかも、この弁部材11は、ノズル12と共にチューブ容器2の口部3内に装着する構成なので、これら弁部材11とノズル12の径は、チューブ容器2の口部3の径と弁座10の径とによって決定されることになる。そのため、特許文献2の逆止弁の構成はチューブ容器2の口部3の構成と極めて緊密な関係になっている。
【0011】
したがって、特許文献2の逆止弁5の使用は、緊密な関係を有する専用のチューブ容器2に限定されるので、この逆止弁5の汎用性は極めて制限されることになる。
【0012】
そこで本発明は上述の課題を解消すべく創出されたもので、構造が簡単で密閉力に優れ、汎用性が高い液体容器用逆止弁の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の課題を解決すべく本発明の第1の手段は、容器Pの口部P1内に装着する逆止弁において、口部P1内に嵌合する有底筒状の本体1と、本体1の底部1Aに形成された抽出口1Bを本体1内部で密閉する球体状の密閉体3と、本体1と密閉体3とを本体1外部で連結する弾性の支持部材2と、を一体に連続成形したことにある。
【0014】
第2の手段の前記支持部材2は、U字状に屈曲された細長い形状を成し、前記本体1の底部1A下面から前記密閉体3の底部側に連結され、前記密閉体3と共に前記本体1内に挿入自在に設けている。
【0015】
第3の手段の前記密閉体3は、前記抽出口1Bに挿入する球面部3Aを底部側に備えると共に、球面部3Aの最大外周部位に、前記底部1A上面に係止する係止段部3Bが周設されている。
【0016】
第4の手段は、前記密閉体3の上端部から内部に至る変形凹部3Cが形成されると共に、前記係止段部3Bの外周面から上端部方向に至るテーパー3Dが形成され、前記抽出口1Bから前記本体1内に前記密閉体3が挿入されるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明のごとく、口部P1内に嵌合する本体1と、本体1の抽出口1Bを密閉する球体状の密閉体3と、本体1と密閉体3とを本体1外部で連結する弾性の支持部材2と、を備えたことにより、構造が簡単な逆止弁を提供することができる。
【0018】
更に、抽出口1Bを形成した本体1は、容器Pの口部P1内に嵌合され、この本体1の底部1Aに形成した抽出口1Bを密閉体3が内部で密閉する構成なので逆止弁を容器Pに使用するには、口部P1の内径と本体1の外径が適合するだけでよい。この結果、口径が合う全ての容器Pに装着することが可能になり汎用性が高い。
【0019】
支持部材2は、U字状に屈曲された細長い形状を成し、本体1の底部1A下面から密閉体3の底部側に連結されているので、容器Pを押す圧力で密閉体3が移動し、内容物の吐出量を調節することが可能である。また、弾性力を有する細長い支持部材2で密閉体3を定位置に戻すため、内容物の粘度に依らず逆止効果が高い。更に、密閉体3と共に本体1内に挿入自在に設けているので、密閉体3の可動域が大きくなり、抽出口1Bに形成される流動通路を広い状態で確保することができる。
【0020】
更に、逆止弁の密閉体3は、球面部3Aの最大外周部位に、底部1Aの上面に係止する係止段部3Bが周設されているので極めて高い密閉性能を有する。しかも、球体状の底部側に球面部3Aを備えているので、液体排出時に内容物を堰き止めることなくスムーズな吐出が可能になり、排出後は球面部3Aがガイド面となって常に元の中心位置に戻る。
【0021】
また、抽出口1Bから本体1内部に挿入される球体状の密閉体3は、上端部から内部に至る変形凹部3Cと係止段部3Bの外周面から上端部方向に至るテーパー3Dとにより、抽出口1Bを通して本体1内部に密閉体3を挿入する作業が容易になる。
【0022】
更に、本体1と支持部材2と密閉体3とを一体に連続成形することで、本発明逆止弁の合理的な製造が可能で安価な提供が可能になる。
【0023】
このように本発明によると、構造が簡単で密閉力に優れ、汎用性が高いなどといった種々の効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明逆止弁の一実施例を示す断面図である。
【
図2】本発明の密閉体を本体の内部に挿入した状態を示す断面図である。
【
図3】本発明逆止弁による口部の密閉状態を示す断面図である。
【
図4】本発明逆止弁による口部からの吐出状態を示す断面図である。
【
図5】本発明の密閉体と抽出口とを示す要部断面図である。
【
図6】本発明の密閉体を本体に挿入する前に底部側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明逆止弁は、スクイズ性を有する容器Pの口部P1に装着する。容器Pは、例えば、化粧品や食品等の比較的粘性のある液体が充填されるチューブ容器などが使用される。また、この容器Pは、チューブ容器以外の液体用容器に使用することも可能であり、液体の粘度は問わない。
【0026】
本発明逆止弁の基本構成は、本体1と支持部材2と密閉体3とを備えた構成である(
図1参照)。これら本体1、支持部材2、密閉体3は熱可塑性樹脂による一体成形が可能な構成になっている。
【0027】
本体1は、容器Pの口部P1内に嵌合する有底筒状を成し、この本体1の底部1Aに抽出口1Bを形成している(
図1参照)。そして、この抽出口1Bから本体1内部に密閉体3を挿入すると逆止弁になる(
図2参照)。逆止弁使用時には、密閉体3を内部に挿入した本体1を口部P1内に嵌合する(
図3参照)。図示の本体1は口部P1の開口側端部の内径に本体1の開口側端部の外径が嵌合する状態を示している。尚、本体1の嵌合部分の形状や位置などは図示例に限らず任意に変更可能である。
【0028】
支持部材2は、弾性を有する部材で、本体1の外部で本体1と密閉体3とを連結する。図示例では本体1の底部1A下面と密閉体3の底部側とに連結した対向する2本の支持部材2を示している(
図1参照)。この支持部材2は、U字状に屈曲された細長い形状を成している。そして、本体1の内部に密閉体3を挿入すると、支持部材2が屈曲部分で反発し、常に下方に向かう弾性付勢力が支持部材2に生じる。その結果、本体1内に挿入された密閉体3は抽出口1Bを密閉する(
図2参照)。
【0029】
また、支持部材2の側面に係止突起2Aを形成している(
図1参照)。この係止突起2Aは、液体の排出時に本体1の底部1A下面に係止する部位である(
図4参照)。すなわち、液体の圧力で密閉体3が移動する際に、圧力が急激に加わると密閉体3が支持部材2ごと飛び出てしまい元の位置に戻らなくなるおそれがある。そこで係止突起2Aを本体1の底部1A下面に係止させることにより、密閉体3や支持部材2の飛び出しを防止している。更に、図示の支持部材2は断面矩形状を成している(
図6参照)。この支持部材2の断面形状や長さ、数等は任意に設定することが可能である。
【0030】
密閉体3は、本体1の抽出口1Bを本体1内部側で密閉する球体状の部材である。そして、密閉体3の底部側に球面部3Aを備えている。この球面部3Aは抽出口1Bが開口して液体を排出する際に、この球面部3Aに沿って排出される。また、抽出口1Bの閉塞時には、この球面部3Aがガイド面となって元の位置まで戻る。
【0031】
更に、密閉体3の最大外周部位に係止段部3Bが周設されている(
図5参照)。この係止段部3Bは、密閉体3の球面部3Aが抽出口1B内に挿入されたときに、底部1A上面に係止する部位である。この係止段部3Bが底部1Aに係止することで、高い密閉力を備えた構成になっている。
【0032】
この密閉体3は、抽出口1Bから本体1内部に挿入される(
図5参照)。そのため、密閉体3の上端部から内部に至る変形凹部3Cを形成すると共に、係止段部3Bの外側面から密閉体3の上端部方向に至るテーパー3Dを形成している。また、密閉体3の挿入側端部の径は、抽出口1Bの径よりも小さい(
図6参照)。したがって、密閉体3を本体1内部に挿入する際に、密閉体3の上端部からテーパー3Dに沿って抽出口1B内に挿入すると、係止段部3Bが抽出口1Bを通過して本体1内部で底部1A上面に係止する(
図5参照)。
【0033】
このとき、本体1と支持部材2と密閉体3とを熱可塑性樹脂で一体に連続成形していると、本体1の抽出口1Bも変形して密閉体3の挿入を容易にする。この熱可塑性樹脂の材質は任意に選択できるものである。
【0034】
尚、本発明の構成は図示例に限定されるものではなく、本体1、支持部材2、密閉体3等の各構成や位置、寸法等は、本発明の主旨を変更しない範囲で任意に変更することができる。
【符号の説明】
【0035】
P 容器
P1 口部
1 本体
1A 底部
1B 抽出口
2 支持部材
2A 係止突起
3 密閉体
3A 球面部
3B 係止段部
3C 変形凹部
3D テーパー