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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157095
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/79 20180101AFI20241030BHJP
   F24F 11/63 20180101ALI20241030BHJP
   F24F 11/56 20180101ALI20241030BHJP
   F24F 1/0358 20190101ALI20241030BHJP
   F24F 1/028 20190101ALI20241030BHJP
   F24F 1/022 20190101ALN20241030BHJP
   F24F 140/00 20180101ALN20241030BHJP
【FI】
F24F11/79
F24F11/63
F24F11/56
F24F1/0358
F24F1/028
F24F1/022
F24F140:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071210
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 裕香
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 剛史
【テーマコード(参考)】
3L049
3L260
【Fターム(参考)】
3L049BB02
3L049BB10
3L049BB11
3L049BC01
3L049BD01
3L049BD03
3L049BD05
3L260AB13
3L260BA27
3L260BA31
3L260CB22
3L260CB71
3L260DA07
3L260EA08
3L260FA08
3L260FB72
3L260FC16
3L260JA05
(57)【要約】
【課題】室内の広範囲に空気調和された空気を送風可能な空気調和機を提供する。
【解決手段】除湿ユニット側制御部70は、送風部130の首振り時、吹出口41の上方に吸込面131a2が位置していない吹出口41から吹き出る空気を吸込面131a2が位置する方向へ案内するよう、ルーバモータ49を制御する。これにより、吹出口41から吹き出た空気の送風部130の吸込面131a2での吸込み漏れを抑制することができるため、除湿機1が設置された室内の広範囲に対して吹出口41から吹き出る空調空気を多く含む空気を送風することができ、室内の快適性を高めることができる。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調ユニットと、
当該空調ユニットの上面に載置される送風ユニットと、を備える空気調和機であって、
前記空調ユニットは、
筐体と、
当該筐体に配置される吸込口と、
前記筐体に収容され、前記吸込口から吸い込んだ空気を調和する空気調和部と、
前記筐体に収容され、前記空気調和部へ空気を送風する空調側ファンと、
前記筐体の上面に配置され、前記空気調和部で調和され送風路を通過した空気を吹き出す吹出口と、
当該吹出口に配置され、前記吹出口から吹き出る空気の送風方向を変化させるルーバ軸に軸支されたルーバと、
前記ルーバ軸と接続し前記ルーバを動作させるルーバモータと、を有し、
前記送風ユニットは、
前記筐体の上面に位置する台座部と、
当該台座部に対して首振り軸周りに首振り可能に支持する送風部と、
当該送風部に収容され、前記吹出口から吹き出される空気を吸込面で吸込み吹出面から送風する送風側ファンと、
前記送風部を所定範囲内で首振りさせる首振りモータと、を有し、
前記空調ユニット及び前記送風ユニットに配置された駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記ルーバ軸と前記首振り軸とは同一方向に沿って配置され、
前記所定範囲は、前記吹出口の上方の一部に前記吸込面が位置しない状態を含み、
前記制御部は、前記送風部の首振り時、前記吹出口の上方に前記吸込面が位置していない前記吹出口から吹き出る空気を前記吸込面が位置する方向へ案内するよう、前記ルーバモータを制御することを特徴とした空気調和機。
【請求項2】
前記ルーバは、所定範囲内を往復するよう動作し、
前記制御部は、前記ルーバの動作と前記送風部の首振りとが同期するよう、前記ルーバモータ及び前記首振りモータを制御することを特徴とした請求項1記載の空気調和機。
【請求項3】
前記空調ユニットは、前記ルーバの角度情報を含む制御信号を送信する送信部を有し、
前記送風ユニットは、前記制御信号を受信可能な受信部を有し、
前記制御部は、前記受信部で受信した前記制御信号に基づき前記首振りモータを制御することを特徴とした請求項2記載の空気調和機。
【請求項4】
前記空気調和部は、前記吸込口から吸い込んだ空気の湿度を低下させる除湿手段であることを特徴とした請求項1から3のいずれか1項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機を有する空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空調ユニット上に送風ユニットが載置された空気調和機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実登第2544496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、送風ユニットが空調ユニット上に固定されており送風ユニットの位置が変わらない。室内の広範囲に送風する等の目的で送風ユニットが所定範囲内で首振りする場合、空調ユニットの吹出口と送風ユニットの吸込面の相対的な位置関係が変化し、吹出口から吹き出る空気の吸込面での吸込み漏れが発生することで、吹出口から吹き出る空気を送風ユニットで室内の広範囲に送風することができないことから、改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、空調ユニットと、
当該空調ユニットの上面に載置される送風ユニットと、を備える空気調和機であって、
前記空調ユニットは、
筐体と、
当該筐体に配置される吸込口と、
前記筐体に収容され、前記吸込口から吸い込んだ空気を調和する空気調和部と、
前記筐体に収容され、前記空気調和部へ空気を送風する空調側ファンと、
前記筐体の上面に配置され、前記空気調和部で調和され送風路を通過した空気を吹き出す吹出口と、
当該吹出口に配置され、前記吹出口から吹き出る空気の送風方向を変化させるルーバ軸に軸支されたルーバと、
前記ルーバ軸と接続し前記ルーバを動作させるルーバモータと、を有し、
前記送風ユニットは、
前記筐体の上面に位置する台座部と、
当該台座部に対して首振り軸周りに首振り可能に支持する送風部と、
当該送風部に収容され、前記吹出口から吹き出される空気を吸込面で吸込み吹出面から送風する送風側ファンと、
前記送風部を所定範囲内で首振りさせる首振りモータと、を有し、
前記空調ユニット及び前記送風ユニットに配置された駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記ルーバ軸と前記首振り軸とは同一方向に沿って配置され、
前記所定範囲は、前記吹出口の上方の一部に前記吸込面が位置しない状態を含み、
前記制御部は、前記送風部の首振り時、前記吹出口の上方に前記吸込面が位置していない前記吹出口から吹き出る空気を前記吸込面が位置する方向へ案内するよう、前記ルーバモータを制御することを特徴とした。
【0006】
また、請求項2では、前記ルーバは、所定範囲内を往復するよう動作し、
前記制御部は、前記ルーバの動作と前記送風部の首振りとが同期するよう、前記ルーバモータ及び前記首振りモータを制御することを特徴とした。
【0007】
また、請求項3では、前記空調ユニットは、前記ルーバの角度情報を含む制御信号を送信する送信部を有し、
前記送風ユニットは、前記制御信号を受信可能な受信部を有し、
前記制御部は、前記受信部で受信した前記制御信号に基づき前記首振りモータを制御することを特徴とした。
【0008】
また、請求項4では、前記空気調和部は、前記吸込口から吸い込んだ空気の湿度を低下させる除湿手段であることを特徴とした。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、送風部の首振り時、吹出口の上方に吸込面が位置していない吹出口から吹き出る空気を吸込面が位置する方向へ案内するよう、ルーバモータを制御するので、吹出口から吹き出る空気の吸込面での吸込み漏れが抑制でき、吹出口から吹き出た空気を送風ユニットで室内の広範囲に送風することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態における除湿機の一体時における正面から見た外観斜視図。
図2】本実施形態における除湿機の一体時における背面から見た外観斜視図。
図3】サーキュレータ付除湿機の一体時における縦断面図。
図4】サーキュレータ付除湿機の一体時における分解斜視図。
図5】サーキュレータ付除湿機の機能構成を示す概略的な機能ブロック図。
図6図5の機能ブロックのうち、各電源部を特に説明するための概略的な機能ブロック図。
図7】分離時におけるサーキュレータの正面から見た外観斜視図。
図8】分離時におけるサーキュレータの背面から見た外観斜視図。
図9】分離時における除湿機の使用状態の一例を示す外観斜視図。
図10】サーキュレータを特に示す上下方向に沿う断面図。
図11】比較例における首振り時に送風部が正面を向いた状態での空気の送風方向を説明する図。
図12】本実施形態におけるルーバの動作と送風部の首振りの詳細を説明するタイミングチャート
図13】同実施形態における首振り時において、送風部が正面を向いた状態での空気の送風方向を説明する図
図14】同実施形態における首振り時において、送風部が斜め上方向を向いた状態での空気の送風方向を説明する図。
図15】同実施形態における首振り時において、送風部が背面を向いた状態での空気の送風方向を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る空気調和機の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態においては、本発明の空気調和機を、蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用し空気中に含まれる水分を結露させて除湿し、送風するサーキュレータ付除湿機に適用して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態におけるサーキュレータ付除湿機1の一体時における正面から見た外観斜視図である。
図2は、本実施形態におけるサーキュレータ付除湿機1の一体時における背面から見た外観斜視図である。
図3は、サーキュレータ付除湿機1の一体時における縦断面図である。
図4は、サーキュレータ付除湿機1の一体時における分解斜視図である。
図5は、サーキュレータ付除湿機1の機能構成を示す概略的な機能ブロック図である。
図6は、図5の機能ブロックのうち、各電源部83、183を特に説明するための概略的な機能ブロック図である。
図7は、分離時におけるサーキュレータ3の正面から見た外観斜視図である。
図8は、分離時におけるサーキュレータ3の背面から見た外観斜視図である。
図9は、分離時における除湿機1の使用状態の一例を示す外観斜視図である。
【0013】
以下の説明においては、各図面に示される前後上下左右の定義に従って説明する。除湿ユニット側操作部74が設けられている前方を向く面を正面、後方を向く正面と反対の面を背面という場合がある。また、前後左右方向に沿う方向を、水平方向とする。サーキュレータ3の前後上下左右の定義は、サーキュレータ3が除湿ユニット2へ取り付けられた場合(以下単に「一体時」という。)と、除湿ユニット2から分離された場合(以下単に「分離時」という。)とで、異なる場合があり、一体時においては図1から4、10から12の定義に従い、分離時においては図7及び8に従う場合がある。
【0014】
サーキュレータ付除湿機1(以下単に「除湿機1」という。)は、除湿ユニット2(空調ユニット)と、除湿ユニット2の上方に配置されるサーキュレータ3(送風ユニット)と、を有する。サーキュレータ3は、図4に示すように、除湿ユニット2(筐体10)に対して着脱可能であり、除湿ユニット2と連動又は独立して送風可能である。
【0015】
除湿ユニット2は、除湿ユニット2の外観をなす筐体10を有する。筐体10は、前枠11と、後枠12と、上面板14と、ベース15と、を有する。
【0016】
前枠11及び後枠12は、筐体10の前後方向のほぼ中央位置において上下方向に延びる接続線13を介して組み合わされ、筐体10の上面21及び底面22を繋ぐ側面23をなす。前枠11及び後枠12は、それぞれ上端から水平方向内側に折れ曲がり形成される上面枠部24を有する。また、左右の側面23としての前枠11及び後枠12は、取っ手43が配置されるための取っ手切欠25を有する。取っ手切欠25は、側面23の上端かつ前後方向ほぼ中央位置に形成される。
【0017】
図2及び3に示すように、後枠12(背面側の側面23)は、吸込口31と、タンク挿入口32と、電源コード口34と、を有する。吸込口31は、複数のスリット36を有し、外表面にフィルタ37及びフィルタケース38を有する。フィルタ37は、樹脂製の網や不織布などからなり、吸入空気に混入する埃やにおい成分などを取り除く。フィルタケース38は、フィルタ37を吸込口31に固定する。タンク挿入口32は、吸込口31の下方に配置され、ここからドレンタンク69が挿入され、また取り出される。電源コード口34は、後枠12の右下方に配置され、除湿ユニット側制御部70に接続された電源コード4が電源コード口34から筐体10外部に引き回される。
【0018】
上面板14は、上方に面する基部14aと、基部14aの周縁から下方に延びる周壁部14bと、を有する。上面板14は、上面枠部24の内縁が形成する開口24a(図2)を覆うように配置される。基部14aは、上記した上面枠部24と共に、筐体10の上方に面する面である上面21をなす。上面21においては、周壁部14bが上面枠部24に対する段差を形成することにより、基部14aが上面枠部24に対して上方に凸となる上面側凸部90(図4)として機能する。
【0019】
また、上面板14は、吹出口41と、導風壁42と、取っ手43と、左右吸込口凹部45と、を有する。
【0020】
図3及び図4に示すように、吹出口41は、基部14aのほぼ中央位置に矩形状に形成される。吹出口41には、左右方向に沿って配置されたルーバ軸47に軸支されるルーバ48と、ルーバ軸47に接続されルーバ48を所定範囲内で往復するよう動作させるステッピングモータで構成された駆動部としてのルーバモータ49(図5)と、が配置される。
【0021】
導風壁42は、上方視における吹出口41の外側で吹出口41を囲むようにして基部14aに対して上方に一定の所定量立ち上がる壁である。導風壁42は、吹出口41から吹き出される空気を上方のサーキュレータ3方向に導く。導風壁42は、筐体10の内部と接続された、内側に吹出口41から吹き出される空気の通り道となる空間を形成する。
【0022】
取っ手43は、上面板14の左方及び右方の、前枠11及び後枠12の取っ手切欠25に対応する位置であって、側面23の上方に形成される。取っ手43は、側面23から左右方向内側に凹んだ取っ手凹部51及び指掛部52を有し、ユーザが除湿機1を運搬する際に利用される。
【0023】
左右吸込口凹部45は、後述する左右吸込口121を形成するための凹部である。左右吸込口凹部45は、指掛部52に関して取っ手凹部51(取っ手43)と左右方向において重なり合う位置に形成される。
【0024】
図3に示すように、ベース15は、組み合わされた前枠11及び後枠12が下方に形成する開口22aを覆うように配置される。ベース15は、除湿機1の土台となり、床などの設置面に直接又は間隙を介して面して設置される底面22となる。
【0025】
除湿ユニット2は、筐体10に収容される主な内部部品として、図3に示すように、ファンケース61と、空調側ファンとしてのシロッコファン62と、駆動部である送風モータ63と、駆動部としての圧縮機65と、熱交換器66と、駆動部としての加熱ヒータ67と、ドレンパン68と、ドレンタンク69と、を有する。
また、筐体10内には、吸込口31から吹出口41を空気が通過可能な送風路64が形成されている。
【0026】
ファンケース61は、ベース15上に配置され、主にシロッコファン62、送風モータ63、及びドレンタンク69を支持したり位置決めしたりする。
【0027】
シロッコファン62は、送風モータ63の回転により回転し、吸込口31から空気を吸い込み、吹出口41から吹き出す空気の流れを形成する。シロッコファン62及び送風モータ63は、回転軸が前後方向に沿うようにファンケース61に取り付けられている。
【0028】
圧縮機65は、ベース15上に固定されており、配管65a及び減圧装置を介して熱交換器66に接続される。
【0029】
熱交換器66(空気調和部)は、吸込口31から吸い込まれた空気と熱交換を行う。熱交換器66は、吸込口31に近い位置に配置される除湿手段としての蒸発器66aと、蒸発器66aよりも前方に配置される凝縮器66bと、を有する。蒸発器66a及び凝縮器66bは、U字状の冷媒管66cにフィン66dが取り付けられた、フィンチューブ型の熱交換器66である。冷媒管66cは、水平方向(左右方向)に延びる複数の直線部と、上下方向にU字に曲り2本の直線部をつなげる曲げ部と、を有し、この直線部と曲げ部とが冷媒管66cの長さ方向に渡って連続して現われる。
【0030】
圧縮機65、配管65a、減圧装置及び熱交換器66は、冷媒が流れる冷凍サイクルを形成する。冷凍サイクルは、冷媒が流れる順に、圧縮機65、凝縮器66b、減圧装置、蒸発器66aを有する。冷媒は、蒸発器66aを流れる際に、蒸発器66aを通過する空気から熱を奪い蒸発する。また、冷媒は、凝縮器66bを流れる際に、凝縮器66bを通過する空気を再加熱し凝縮する。これにより、吸込口31から吸い込まれた空気は、フィルタ37で埃やにおい成分などが取り除かれた後、蒸発器66aで冷却、除湿され、次いで凝縮器66bで加熱されて、低湿度の空気となる。
【0031】
加熱ヒータ67(空気調和部)は、凝縮器66bを通過した低湿度の空気を、吹出口41の前段で加熱する。
【0032】
送風路64は、吸込口31と吹出口41との間にあり、熱交換器66が配置された空間、及びファンケース61で構成されている。シロッコファン62が駆動すると、吸込口31から吸い込まれた空気が熱交換器66が配置された空間、及びファンケース61を通過し、吹出口41から送風される。
【0033】
ドレンパン68は、排水口を有し、蒸発器66aで発生し落下するドレン水を受け、この排水口から排出する。ドレンパン68は、熱交換器66を下方で支持し、固定する。
【0034】
ドレンタンク69は、ドレンパン68の排水口から排出されるドレン水を貯留する。ドレンタンク69は、タンク挿入口32から前後方向にスライドされることにより、筐体10に対して着脱される。筐体10内に挿入されたドレンタンク69は、ファンケース61により形成されたタンク室に配置される。
【0035】
ドレンタンク69は、タンク蓋69aと、浮き収容部69bと、を有する。タンク蓋69aは、ドレンパン68の排水口からのドレン水をドレンタンク69内に落下させる。浮き収容部69bは、ドレンタンク69内の水位を検出するための、例えばマグネットを有する浮きを収容する。水位に応じたマグネットの磁界は、除湿ユニット側制御部70などに実装されたAMRセンサ(Anisotropic-Magneto-Resistance、異方性磁気抵抗センサ)などの水位センサ69cにより検出され、ドレンタンク69の満水をユーザに通知する。
【0036】
除湿ユニット2は、図5に示すように、さらに除湿ユニット側制御部70と、温度センサ71と、湿度センサ72と、報知部73と、除湿ユニット側操作部74と、表示部75と、を有する。
【0037】
除湿ユニット側制御部70は、例えばファンケース61の前方に、所要のケースに支持されて配置される制御基板である。除湿ユニット側制御部70は、除湿ユニット側操作部74からの指示や予め記憶されたプログラムに基づいてルーバモータ49、送風モータ63や圧縮機65、加熱ヒータ67、表示部75などの各部を電気的に制御することにより、除湿機1の動作を統括的に制御する。除湿ユニット側制御部70は、一体時及び分離時において、サーキュレータ3のステッピングモータで構成され駆動部としての首振りモータ138などの各部も赤外線信号の送信により制御する。
【0038】
除湿ユニット側制御部70は、記憶部77及びタイマ78を有する。記憶部77は、各部の動作プログラムなどを記憶する。タイマ78は、除湿機1のタイマ運転などのための計時を行う。
【0039】
温度センサ71及び湿度センサ72は、除湿機1本体の所定位置に1つ、あるいは複数設けられ、除湿機1の周囲温度及び湿度を計測する。除湿ユニット側制御部70は、温度や湿度を必要に応じて使用し各部を制御する。また、温度センサ71の1つは蒸発器66aの温度を計測する。報知部73は、除湿ユニット側制御部70の指示に基づいてユーザに状況を知らせるためのアラーム音などを出力する。
【0040】
除湿ユニット側操作部74及び表示部75は、正面側の側面23(前枠11)における上方であって、左右方向におけるほぼ中央位置に配置される。除湿ユニット側操作部74(空調側操作部)は、例えば、運転スイッチ、タイマースイッチ、運転モード選択スイッチ、サーキュレータ3の動作を設定するためのスイッチ、などを実現する複数の入力ボタンを有する。表示部75は、除湿機1の運転状態などをLED(Light Emitting Diode)の点灯状態で表示する。
【0041】
除湿ユニット2は、さらに、サーキュレータ検出センサ81と、除湿ユニット側通信部82と、除湿ユニット側電源部83と、電源切替部84と、を有する。
【0042】
サーキュレータ検出センサ81は、例えばサーキュレータ3の所定位置に配置された磁石の磁界を検出するリードスイッチである。サーキュレータ検出センサ81は、磁界の検出の有無により、サーキュレータ3の除湿ユニット2に対する着脱状態(一体又は分離)を検出する。送信部としての除湿ユニット側通信部82は、除湿ユニット側制御部70の制御に基づいてサーキュレータ3のサーキュレータ側通信部182と所要の赤外線信号の送受信が可能な赤外線アンテナである。除湿ユニット側通信部82は、図1に示すように、例えば除湿ユニット側操作部74が形成されるパネル76内に設けられた赤外線を透過させる除湿ユニット側透過窓86から赤外線を送受信する。
【0043】
図6に示すように、除湿ユニット側電源部83は、商用電源と接続された電源コード4から供給される交流電流を直流電源に変換し、除湿ユニット2の各部に供給する。
【0044】
電源切替部84は、商用電源から供給される交流電流を、電源出力端子87に供給するか否かを切り替える。電源出力端子87は、図4に示すように、サーキュレータ3の取付箇所となる上面21から上方に露出している。除湿ユニット側制御部70は、一体時においては、電源切替部84を閉じて電源出力端子87からサーキュレータ3の電源入力端子187に電源を供給する。一方、除湿ユニット側制御部70は、分離時においては、電源切替部84を開き、電源出力端子87に電源を供給しない。
【0045】
サーキュレータ3は、一体時においては、除湿ユニット2から吹き出される除湿された空気を主に吸い込み、また分離時においては、周囲の空気を吸い込み、これらの空気を送風しながら周囲の空気を循環し、撹拌する。
【0046】
サーキュレータ3は、台座部110と、送風部130と、を有する。送風部130は、台座部110に対して左右方向に沿う首振り軸139(図10)周りに首振り可能に支持されている。
【0047】
台座部110は、図1、7及び8などに示すように、台座部110内側に送風部130を収容可能な空間(上下方向に貫通する貫通孔)を形成する、筒状のケーシングである。台座部110は、台座部底面111と、台座部側面112と、台座部上面113と、を有する。台座部側面112は、外側面及び内側面からなり、台座部底面111、台座部側面112及び台座部上面113で閉じて形成される内部空間115は、図3に示すように一部又は全てが中空である。
【0048】
台座部底面111は、上面枠部24が形成する上面21とほぼ同一の形状を有する枠状面である。台座部底面111は、一体時においては、上面枠部24に置かれて接触する面となる。また、台座部底面111は、図3及び8に示すように、台座部底面111の内周縁111aより内側に、サーキュレータ側凹部190(送風側凹部)を有する。サーキュレータ側凹部190は、上面板14の周壁部14bの上下方向長さに対応し、かつ上面側凸部90の形状に対応して、上方に凹んだ凹空間である。サーキュレータ側凹部190は、上面側凸部90の形状に対応しているため、一体時においては上面側凸部90と掛かり合う。この結果、台座部110は、上面側凸部90により設置面に平行な水平方向の移動、すなわち上面21上での移動が規制される。また、サーキュレータ3は単純な凹凸の掛かり合いにより筐体10に支持されているため、上方に持ち上げることにより簡単に取り外される。
【0049】
台座部側面112は、外周面の形状が筐体10の側面23の外周面の形状とほぼ同一である。すなわち、サーキュレータ3の台座部側面112は、一体時においては、除湿ユニット2の側面23と面一になり、筐体10と一体であるような外観を有する。台座部側面112は、左右吸込口121と、後吸込口122と、を有する。
【0050】
左右吸込口121は、左方及び右方の台座部側面112の、前後方向ほぼ中央位置に配置され、台座部側面112の台座部底面111との境界から所定量上方に切り欠かれて形成される。左右吸込口121は、図2などに示すように、筐体10の側面23の取っ手43に対して、指掛部52に関して、又は上面枠部24と台座部底面111との境界線5に関してほぼ上下対称となる形状を有する。上記したように、上面板14には左右吸込口凹部45が形成されており、この左右吸込口凹部45に形成された空間と、左右吸込口121とが作用して、左右吸込口121を介して除湿機1の周囲と台座部110の内側とを接続する。
【0051】
後吸込口122は、後方の台座部側面112の、左右方向におけるほぼ中央位置に配置され、台座部側面112の台座部底面111との境界から所定量上方に切り欠かれて形成される。後吸込口122は、筐体10の上面21の形状と作用して、後吸込口122を介して周囲と台座部110の内側とを接続する。
【0052】
台座部上面113は、前後方向において、後方からほぼ中央位置まで水平方向に平行な面113aと、ほぼ中央位置から前方にかけて下方に曲線的に傾斜する面113bと、からなる。台座部上面113は、後方に、曲線的な凹部113cを有する。凹部113cは、一体時におけるサーキュレータ3からの送風を台座部110が妨げることなく、送風可能となるように形成される。
【0053】
送風部130は、カバー131と、駆動部としてのファンモータ135と、送風側ファンとしてのファン136と、を有する。ここで、図10は、サーキュレータ3を特に示す上下方向に沿う断面図である。
【0054】
カバー131は、ユーザの指などをファン136から保護するための骨状の部材である。カバー131は、ファン136の吸込側(上流側)を覆い吸込面131a2が形成された吸込側カバー131aと、ファン136の吹出側(下流側)を覆い吹出面131b2が形成された平面状の吹出側カバー131bと、を有する。吸込側カバー131a及び吹出側カバー131bは、組み合わされて一体となる。一体時において吹出側カバー131bがほぼ水平方向に沿う送風部130の姿勢であって、ファン136の回転軸140が上下方向に沿う姿勢である図10の姿勢(以下単に「停止姿勢という」。)において、吸込側カバー131aは、下方に面する中心位置に上方に凹となり形成されるモータ支持部131cを有する。カバー131は、二つの平行な面を有する球台形状又はほぼ球欠形状を有する。吹出側カバー131bは、一方の面積の大きい方の面をなし、モータ支持部131cは、他方の面積の小さい方の面をなす。なお、カバー131は、球体の中心を通る一つの平面からなる球欠形状であってもよい。
【0055】
ファンモータ135及びファン136は、停止姿勢において、ファンモータ135(ファン136)の回転軸140が上下方向に沿い、カバー131をなす球体の中心Cを通るようにカバー131の内部に収容される。ファンモータ135は、回転軸140周りにファン136を回転させる。ファン136は、吸込側カバー131aから吸い込まれた吹出口41から吹き出される空気や除湿機1の外側から吸込側カバー131aに吸い込まれた空気を吹出側カバー131bから送風する。
【0056】
送風部130による空気の吸込み、及び送風について詳述する。
送風部130は、空気の送風方向におけるファン136の上流端からモータ支持部131cまでの間に位置する吸込側カバー131aに形成された吸込面131a2から空気を吸込み、吹出側カバー131bに形成された吹出面131b2から空気を送風する。ファン136の周方向に位置する吸込側カバー131a、及びモータ支持部131cからは空気がほとんど吸い込まれない。よって、一体時における送風部130の首振り時、吹出口41に対向する吸込面131a2の面積が変化することで、吸込面131a2に吸い込まれる吹出口41から吹き出された空気量は常時変化する。ルーバ48の動作による送風方向の変化との関係については後述する。
【0057】
送風部130は、台座部110に対して、ファン136からの吹出方向が吹出口41から吹き出された空気の吹出方向であるほぼ上方に一致する、停止姿勢で支持される。また、送風部130は、首振りモータ138により一体時の停止姿勢から左右方向(所定方向)に沿う首振り軸139周りに所定範囲内の角度で首振り可能なように、台座部110に支持されている。首振りモータ138は、台座部110の内部空間115に配置される。首振りモータ138は、首振り軸139をサーキュレータ3の前後方向のほぼ中央位置に配置する。また首振り軸139は、球台形状(球欠形状)のカバー131をなす球体の中心Cを通り、吹出側カバー131b及びモータ支持部131cがなす二つの面に平行である。また、首振り軸139は、ファン136の回転軸140に直交する。また、送風部130は、台座部110に対して導風壁42の上端42aと、上端42aに面する吸込側カバー131aとの距離hが、首振り時において一定を保つように支持される。また、首振り軸139は、ルーバ軸47と同一方向である左右方向に沿って配置されている。
【0058】
サーキュレータ3は、さらに、サーキュレータ側制御部170と、サーキュレータ側操作部174と、サーキュレータ側通信部182と、サーキュレータ側電源部183と、を有する。
【0059】
サーキュレータ側制御部170は、台座部110の内部空間115に配置される制御基板である。サーキュレータ側制御部170は、除湿ユニット側制御部70又はサーキュレータ側操作部174からの指示に基づいてファンモータ135及び首振りモータ138を電気的に制御する。
【0060】
サーキュレータ側操作部174(送風側操作部)は、正面側の台座部側面112の左右方向におけるほぼ中央位置に配置される。サーキュレータ側操作部174は、例えば、運転スイッチ及び首振りスイッチなどを実現する複数の入力ボタンを有する。
【0061】
受信部としてのサーキュレータ側通信部182は、サーキュレータ側制御部170の制御に基づいて除湿ユニット側通信部82と所要の赤外線信号の送受信が可能な赤外線アンテナである。サーキュレータ側通信部182は、例えば台座部110の台座部上面113bに設けられた赤外線を透過させるサーキュレータ側透過窓186から赤外線を送受信する。
【0062】
図6に示すように、サーキュレータ側電源部183は、電源入力端子187から供給される交流電流を直流電流に変換し、サーキュレータ3の各部に供給する。電源入力端子187は、図8に示すように、一体時において除湿ユニット2の上面21から露出した電源出力端子87に直接接続可能な位置に配置される。
【0063】
サーキュレータ側電源部183は、一体時においては、除湿ユニット2の電源出力端子87と直接接続された電源入力端子187から供給される電源を各部に供給する。また、分離時においては、商用電源に接続された電源コード8(図9)と接続された電源入力端子187から供給される電源を各部に供給する。電源入力端子187への電源出力端子87及び電源コード8の端子の接続は、例えば磁力を利用して引き合うことによりユーザの端子接続動作を容易にすることができる。
【0064】
このようなサーキュレータ3は、一体時においては、除湿ユニット2から吹き出される除湿された空気を主に吸い込み、これらの空気を上方に送風しながら周囲の空気を循環し、撹拌する。また、サーキュレータ3は、左右方向に沿う首振り軸139周りに交互に前後方向に吹出面131b2を向けるように首振りしながら運転する。また、サーキュレータ3は、分離時においては、一体時において後方に面する台座部側面112を床などの設置面に面し(設置し)、前方に面する台座部側面112を上方に面して配置するように、一体時から90度起立させて使用される。サーキュレータ3は、周囲の空気を背面から吸い込み、これらの空気を正面に送風しながら周囲の空気を循環し、撹拌する。また、サーキュレータ3は、左右方向に沿う首振り軸139周りに上下方向に首振りしながら運転する。
【0065】
このような除湿機1は、図1及び2に示す一体時においては、除湿ユニット2の運転状態と連動して、例えば除湿ユニット側制御部70がサーキュレータ3を運転制御することにより、除湿ユニット2が検出した周囲の湿度や温度に適した空調を行う。また、図9に示す分離時においても同様に、除湿ユニット2の運転状態と連動して除湿ユニット側制御部70がサーキュレータ3を運転制御することにより、除湿ユニット2が検出した周囲の湿度や温度に適した空調を行う。
【0066】
さらに、分離時においては、除湿ユニット2から独立して、サーキュレータ3が単独でサーキュレータ側制御部170の制御に基づいて送風運転を行うこともできる。
【0067】
一体時及び分離時のいずれにおいても、除湿ユニット側制御部70は、除湿ユニット側通信部82を制御することによりサーキュレータ側制御部170に所要の制御情報からなる赤外線信号を送信し得る。サーキュレータ側通信部182を介して赤外線信号を受信したサーキュレータ側制御部170は、受信した制御情報に基づいて、サーキュレータ3の動作を制御し得る。
【0068】
このような除湿機1は、例えば以下のような用途において好適に使用される。室内に干された洗濯物を乾燥させるために除湿機1が使用される場合、除湿機1を洗濯物の直下において使用することにより洗濯物を効率的に乾燥させることができる。その際、除湿機1と洗濯物が重なり合わないように除湿機1を配置することが好ましい。しかしながら、物干しの高さの都合や洗濯物の種類によっては、除湿機1を洗濯物の直下に配置することが困難となる場合があり、洗濯物に重なり合わないように洗濯物から離れた位置に除湿機1を配置しなければならない。これに対し本実施形態における除湿機1は、除湿機1の上方に配置されたサーキュレータ3を取り外し、設置面に別途配置することができる。このため、除湿機1が洗濯物と重なり合う場合には、サーキュレータ3を分離し、除湿機1の高さを低くしての使用が可能であり、状況に応じて使い勝手のよい除湿機1を実現できる。
【0069】
次に、一体時においてサーキュレータ3の送風部130が所定範囲内を首振り時、ルーバ48が所定範囲内を往復動作して吹出口41から吹き出された空気の送風方向が変化することによる、送風部130による吸込みへの影響について説明する。
【0070】
一体時において、除湿ユニット側操作部74で運転開始指示が出されたら、除湿ユニット側制御部70により除湿ユニット2内の各駆動部を駆動させつつ、サーキュレータ側制御部170によりサーキュレータ3内の各駆動部を駆動させることで、吹出口41から吹き出す室内の空気を除湿した後の乾燥空気を送風部130で吸込み送風する。ルーバ48が所定範囲内を往復動作しつつ送風部130が所定範囲内を首振りすると、比較例の図11で示すような角度にルーバ48、及び送風部130が位置することがある。
すなわち、吹出口41の上方の一部に吸込面131a2が対向して位置しない状態であり、吸込面131a2とは逆方向に吹出口41から吹き出す乾燥空気が送風されるような角度にルーバ48が位置している。このとき、吹出口41の後ろ側から吹き出された空気は吸込面131a2に吸い込まれるが、前側から吹き出された空気は吸込面131a2に吸い込まれない。
【0071】
よって、送風部130から送風される乾燥空気の割合が減るため、除湿機1から離れた箇所まで乾燥空気を多く含む空気を送ることができず、室内の除湿効率が低下する。また、除湿機1の上方に洗濯物が干された状態であれば、乾燥空気を多く含む空気の送風量が減ることで、洗濯物の乾燥効率が低下する。
【0072】
そこで、本発明はルーバ48の動作と送風部130の首振りとが同時に実施されるとき、吹出口41から吹き出す乾燥空気の送風部130での吸込み漏れを抑えるよう、ルーバ48の動作を制御する。送風部130の首振り時におけるルーバ48の具体的な動作について、図12に基づいて説明する。
【0073】
除湿ユニット側制御部70は、一体時において運転開始指示が出されたと判断したら、除湿ユニット2内の各駆動部の動作指示を出すと共に除湿ユニット側通信部82から運転開始指示を含む制御信号を送信する。サーキュレータ側制御部170は、サーキュレータ側通信部182が制御信号を受信したら、サーキュレータ3内の各駆動部へ動作指示を出す。
これにより、図10で示す状態からルーバ48の動作と送風部130の首振りが開始される。除湿ユニット側制御部70は、ルーバ48を鉛直方向と平行な状態(Aの状態)から一方側の最大角度となる位置(Bの状態)に向けて動作させ、サーキュレータ側制御部170は、送風部130を停止姿勢から一方側の端部(bの状態)に向けて首振りを開始する。
【0074】
そして、ルーバモータ49の動作と送風部130の首振りとが同期するよう、ルーバモータ49と首振りモータ138の速度を除湿ユニット側制御部70とサーキュレータ側制御部170で制御する。ルーバモータ49及び首振りモータ138は、各制御部の動作クロック基準で動作するため、動作クロックの周波数誤差による同期ズレが生じる。同期ズレについては、除湿ユニット2側からの制御信号の送信で対策可能とする。詳細は後述する。
【0075】
ルーバ48の動作と送風部130の首振りの開始後、除湿ユニット側制御部70は、(1)の時点であり図13で示すルーバ48が所定範囲内における一方側の最大角度となる位置(Bの状態)になったと判断したら、他方側の最大角度へ向けてルーバ48が動作するようルーバモータ49を制御すると共に、除湿ユニット側通信部82からルーバ48がBの状態になったことを含む制御信号を送信するよう、除湿ユニット側通信部82をON状態にする。サーキュレータ側制御部170は、サーキュレータ側通信部182でルーバ48がBの状態になったことを含む制御信号を受信したと判断したら、送風部130を他方側の端部へ向けて首振りするよう首振りモータ138を制御する。
これにより、ルーバ48がBの状態になるまで、吹出口41から吹き出す乾燥空気を矢印で示すように吸込面131a2が位置する後ろ側へ案内することができ、吸込面131a2での乾燥空気の吸込み漏れを抑えることができるため、吹出面131b2から乾燥空気を多く含む空気を送風することができる。
【0076】
(1)の状態を経た後、ルーバ48の動作と送風部130の首振りが進み、ルーバ48が動作する所定範囲のほぼ半分で送風部130が首振りする所定範囲のほぼ半分のときである(2)の時点では、図14で示すようにルーバ48は送風方向と平行な状態となる向き(Aの状態)であり、送風部130は前方向へ所定角度だけ傾いた状態(aの状態)である。ルーバ48がAの状態のとき、送風部130の吸込面131a2は吹出口41の上方に位置しているといえる。
これにより、吹出口41から吹き出す乾燥空気を矢印で示すように吸込面131a2が位置する鉛直上方へ案内することができ、吸込面131a2での乾燥空気の吸込み漏れを抑えることができるため、吹出面131b2から乾燥空気を多く含む空気を送風することができる。
【0077】
(2)の状態を経た後、ルーバ48の動作と送風部130の首振りが進み、(3)の時点では、図15で示すようにルーバ48が所定範囲内における他方側の最大角度となる位置になる。このとき、除湿ユニット側制御部70は、ルーバ48が所定範囲内における他方側の最大角度となる位置(Cの状態)になったと判断したら、一方側の最大角度へ向けてルーバ48が動作するようルーバモータ49を制御すると共に、除湿ユニット側通信部82からルーバ48がCの状態になったことを含む制御信号を送信するよう、除湿ユニット側通信部82をON状態にする。サーキュレータ側制御部170は、サーキュレータ側通信部182でルーバ48がCの状態になったことを含む制御信号を受信したと判断したら、送風部130を一方側の端部へ向けて首振りするよう首振りモータ138を制御する。
これにより、ルーバ48がCの状態になるまで、吹出口41から吹き出す乾燥空気を矢印で示すように吸込面131a2が位置する前側へ案内することができ、吹出口41から吹き出す乾燥空気の多くを送風部130の吸込面131a2に案内し、吸込面131a2での乾燥空気の吸込み漏れを抑えることができるため、吹出面131b2から乾燥空気を多く含む空気を送風することができる。
【0078】
(3)の状態を経た後、除湿ユニット側制御部70は、ルーバ48を一方側の最大角度へ向けて動作するようルーバモータ49を制御し、サーキュレータ側制御部170は、送風部130を一方側の端部へ向けて首振りするよう首振りモータ138を制御する。以降、運転停止指示を受けるまで、ルーバ48の所定範囲内における往復動作と、送風部130の所定範囲内における首振り動作が同期して継続するよう制御する。
【0079】
このように、一体時においてルーバ48の所定範囲内における往復動作と送風部130の所定範囲内における首振りの実施時、ルーバ48により吹出口41から吹き出る乾燥空気が送風部130の吸込面131a2に案内されるよう、ルーバモータ49を制御するので、送風部130の吸込面131a2での乾燥空気の吸込み漏れを抑制することができ、乾燥空気を多く含む空気を吹出面131b2から送風することができるため室内の除湿効率が向上し、また、除湿機1上に干された洗濯物の乾燥効率が向上する。
【0080】
ここで、ルーバ48の往復動作と送風部130の首振りの同期ズレの対策について、図12に基づき説明する。
【0081】
本実施形態では、(1)の時点でルーバ48がBの状態になったことを含む制御信号をサーキュレータ側通信部182で受信したタイミングと、送風部130がbの状態になったタイミングは一致しているが、(3)の時点ではルーバ48がCの状態になる前に送風部130がcの状態になっており、(4)の時点ではルーバ48がBの状態になっているが送風部130はbの状態になっていないことから、何ら対策せずにルーバモータ49と首振りモータ138を駆動し続けると、送風部130の吸込面131a2が位置する方向へ吹出口41から吹き出る乾燥空気をルーバ48で案内し続けることができず、吹出面131b2から乾燥空気を多く含む空気を送風することができない状態が発生する。
【0082】
そこで、本実施形態では、ルーバ48が所定範囲の両端にある最大角度位置になったとき、ルーバ48の角度情報を含む制御信号をサーキュレータ3側へ送信し、サーキュレータ3は、当該制御信号を受信したら送風部130の首振りを逆方向に切り替える。具体的には、(3)の時点でルーバ48はCの状態になっているが、送風部130は(3)の時点の少し前にcの状態になっている。送風部130がcの状態になったとき、サーキュレータ側制御部170は、サーキュレータ側通信部182でルーバ48がCの状態になったことを含む制御信号を受信したか判断し、受信していなければ待機する。そして、サーキュレータ側制御部170は、サーキュレータ側通信部182でルーバ48がCの状態になったことを含む制御信号を受信したと判断したら、送風部130がbの状態へ向けて首振りするよう首振りモータ138を制御する。
【0083】
また、(4)の時点でルーバ48がBの状態になるが送風部130はbの状態になっていない。サーキュレータ側制御部170は、ルーバ48がBの状態になったタイミングでルーバ48がBの状態になったことを含む制御信号を送信する、ルーバ48がBの状態になったことを含む制御信号をサーキュレータ側通信部182で受信したと判断したら、送風部130がbの状態になっていなくても首振りモータ138の動作を反転させ、送風部130がcの状態に向けて首振りするようにする。
【0084】
このように、ルーバ48の往復動作と送風部130の首振りを実施しているとき、ルーバ48が所定範囲における両端の最大角度に達したという角度情報を含む制御信号を除湿ユニット側通信部82から送信し、サーキュレータ側通信部182が受信したタイミングで送風部130の首振りが反転するようにしたので、ルーバモータ49と首振りモータ138とで動作クロックの周波数誤差による同期ズレが生じても、ルーバ48の動作に合わせることでズレ幅が大きくならないため、吹出口41から吹き出す乾燥空気を送風部130の吸込面131a2に案内し続けることができる。
【0085】
次に、本発明の効果を説明する。
【0086】
除湿ユニット側制御部70は、送風部130の首振り時、吹出口41の上方に吸込面131a2が位置していない吹出口41から吹き出る空気を吸込面131a2が位置する方向へ案内するよう、ルーバモータ49を制御する。これにより、吹出口41から吹き出た空気をルーバ48により送風部130の吸込面131a2へ案内することができ、吹出口41から吹き出た空気の送風部130の吸込面131a2での吸込み漏れを抑制することができるため、除湿機1が設置された室内の広範囲に対して吹出口41から吹き出る空気を多く含む空気を送風することができ、室内の快適性を高めることができる。
【0087】
また、除湿ユニット側制御部70及びサーキュレータ側制御部170は、ルーバ48の動作と送風部130の首振りとが同期するよう、ルーバモータ49及び首振りモータ138を制御する。これにより、ルーバ48の動作と送風部130の首振りの実施中、送風部130の吸込面131a2へ吹出口41から吹き出る空気を案内し続けることができるため、送風部130により吹出口41から吹き出る空気を多く含む空気を室内の広範囲に対して送風することができ、室内の快適性を高めることができる。
【0088】
また、サーキュレータ側制御部170は、サーキュレータ側通信部182で受信したルーバ48の角度情報を含む制御信号に基づき首振りモータ138を制御する。ルーバ48が所定範囲の両端部の角度に位置し反対方向への往復動作を開始するとき、除湿ユニット側通信部82からルーバ48の角度情報を含む制御信号を送信し、サーキュレータ側通信部182が当該制御信号を受信したら、現在とは反対位置にある端部へ向けて首振りをするよう首振りモータ138を制御する。これにより、ルーバ48の往復動作と送風部130の首振りの同期ズレを阻止することができ、送風部130の吸込面131a2へ吹出口41から吹き出る空気を案内し続けることができるため、送風部130により吹出口41から吹き出る空気を多く含む空気を室内の広範囲に対して送風することができ、室内の快適性を高めることができる。
【0089】
また、空気調和部は、吸込口から吸い込んだ空気の湿度を低下させる除湿手段としての蒸発器66aである。蒸発器66aにより除湿され吹出口41から吹き出された空気が送風部130の吸込面131a2へ案内されるため、室内を効率よく除湿することができると共に、除湿機1上に干された洗濯物の乾燥効率を向上させることができる。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、特許請求の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0091】
例えば、本発明に係る空気調和機は、空気調和部が熱交換器66などである例を用いて説明したが、除湿機1以外にも空気の湿度、温度、清浄度などを調整可能な加湿機、乾燥機、冷暖房装置、空気清浄機などの、他の空調機器にも適用することができる。
【0092】
サーキュレータ3のカバー131が球台形状(球欠形状)であり、導風壁42が高さ一定である例を用いて説明したが、導風壁の上端に対してカバーの吸込面131a2が常に一定距離を保つことができればカバーや導風壁の形状はこれに限らない。例えば、吸込側カバーの形状に合わせて導風壁の高さを前後方向において曲線的に形成してもよいし、導風壁が角筒状であってもよい。吸込側カバーは停止姿勢において下方に円弧を凸にするかまぼこ形状であってもよい。
【0093】
また、説明した実施形態では、ルーバ48が所定範囲の両端の最大角度になったタイミングで除湿ユニット側通信部82より制御信号を送信することで、ルーバ48の往復動作と送風部130の首振りの同期ズレを阻止する内容で説明したが、これに限られない。例えば、除湿ユニット側制御部70及びサーキュレータ側制御部170共に電源同期信号の回路を搭載した上で、電源周波数基準での最大周期を考慮した待ち時間を設けることで、同期ズレを阻止する方法であってもよい。
【0094】
詳述すると、除湿ユニット側制御部70でルーバ48が所定範囲の両端の最大角度からの動作開始時から時間カウントをすると共に、サーキュレータ側制御部170で送風部130が所定範囲の端部からの首振り開始時から時間カウントをする。そして、ルーバ48が所定範囲の往復動作を完了したタイミング、及び送風部130が所定範囲の首振りの往復を完了したタイミングで、ルーバ48の往復動作あるいは送風部130の首振りの往復を完了する時間(例えば、20秒)に電源周波数基準での最大周期を考慮した所定時間(例えば、0.5秒)を足した待ち時間(今回の例では20.5秒)と除湿ユニット側制御部70、及びサーキュレータ側制御部170での時間カウントとを比較し、前記待ち時間が経過していないと判断したらルーバモータ49及び首振りモータ138を動作させず、前記待ち時間が経過したタイミングでルーバモータ49及び首振りモータ138を動作させるようにする。これにより、除湿ユニット2及びサーキュレータ3の各制御部における動作クロックの周波数誤差が生じても、同一タイミングでルーバ48の往復動作と送風部130の首振りを開始することができ、ルーバ48の往復動作と送風部130の首振りの同期ズレを阻止することができる。
【0095】
また、前記待ち時間を設けることではなく、ルーバモータ49及び首振りモータ138の基準時間における出力ステップ数を基準値に揃えることで、同期ズレを阻止する方法であってもよい。
詳述すると、電源周波数基準の基準時間である1秒間における出力ステップ数について、ルーバモータ49を除湿ユニット側制御部70が確認し、首振りモータ138をサーキュレータ側制御部170が確認する。そして、各モータの出力ステップ数と1秒間における出力ステップ数の基準値である200回とを比較して調整する。例えば、ルーバモータ49の出力ステップ数が1秒間に199回であれば、次の1秒間での出力ステップ数を201回にするよう除湿ユニット側制御部70が制御し、首振りモータ138の出力ステップ数が1秒間に201回であれば、次の1秒間での出力ステップ数を199回にするようサーキュレータ側制御部170が制御する。これにより、除湿ユニット2及びサーキュレータ3の各制御部における動作クロックの周波数誤差が生じても、同一タイミングでルーバ48の往復動作と送風部130の首振りをし続けることができ、ルーバ48の往復動作と送風部130の首振りの同期ズレを阻止することができる。
【0096】
また、説明した実施形態では、除湿ユニット2からサーキュレータ3が分離可能な内容で説明したが、サーキュレータ3が除湿ユニット2から分離せず、除湿ユニット2上に固定されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 サーキュレータ付除湿機(除湿機)
2 除湿ユニット
3 サーキュレータ
10 筐体
31 吸込口
41 吹出口
47 ルーバ軸
48 ルーバ
49 ルーバモータ
62 シロッコファン
63 送風モータ
64 送風路
65 圧縮機
66 熱交換器
66a 蒸発器
66b 凝縮器
66c 冷媒管
70 除湿ユニット側制御部
82 除湿ユニット側通信部
110 台座部
130 送風部
135 ファンモータ
136 ファン
138 首振りモータ
139 首振り軸
182 サーキュレータ側通信部
図1
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