(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157100
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】砥石
(51)【国際特許分類】
B24D 3/00 20060101AFI20241030BHJP
B24D 7/06 20060101ALI20241030BHJP
B24D 7/00 20060101ALI20241030BHJP
B24D 5/08 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
B24D3/00 310F
B24D7/06
B24D7/00 Z
B24D7/00 P
B24D5/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071223
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】398046921
【氏名又は名称】株式会社ナノテム
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 篤
(72)【発明者】
【氏名】大橋 恭介
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 大地
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 大和
(72)【発明者】
【氏名】木村 悠生
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 陸
(72)【発明者】
【氏名】保科 幸希
【テーマコード(参考)】
3C063
【Fターム(参考)】
3C063AA02
3C063AB03
3C063AB05
3C063BA03
3C063BA15
3C063BA32
3C063BA33
3C063BB02
3C063BB03
3C063BB04
3C063BC02
3C063BC03
3C063BD01
3C063EE01
3C063EE10
3C063EE16
3C063FF30
(57)【要約】
【課題】強度を高めることができる砥石を提供する。
【解決手段】被加工物を加工する加工面10aを有する砥石10は、重なるように配置されている複数のメッシュ材30と、メッシュ材30に結合され、被加工物を加工する複数の加工部11と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を加工する加工面を有する砥石であって、
少なくとも一部が重なるように配置されている複数のメッシュ材と、
前記メッシュ材に結合され、被加工物を加工する単数又は複数の加工部と、を備える、
砥石。
【請求項2】
前記砥石は、前記加工面に前記加工部を部分的に露出させつつ、前記複数のメッシュ材が埋め込まれる充填材を備え、
前記複数の加工部は、間隔を持って前記メッシュ材に結合されている、
請求項1に記載の砥石。
【請求項3】
前記加工面は、円柱状の前記砥石の外周面に形成され、
前記複数のメッシュ材は、それぞれ円形シート状をなし、互いに積み重ねられ、
前記複数の加工部は、前記メッシュ材の径方向外側に結合され、前記メッシュ材の周方向に間隔を持って配置されている、
請求項1又は2に記載の砥石。
【請求項4】
前記加工面は、円形又は円環の平面をなし、
前記複数のメッシュ材は、それぞれ前記砥石の回転軸の方向に延びる円筒状又は渦巻き状をなし、前記加工面の径方向に重ねられて配置される、
請求項1又は2に記載の砥石。
【請求項5】
前記複数の加工部は、前記加工面に、前記砥石の回転軸に対して傾斜した傾斜方向に並ぶように配置されている、
請求項3に記載の砥石。
【請求項6】
前記複数の加工部は、前記加工面にランダムに配置されている、
請求項3に記載の砥石。
【請求項7】
前記加工面に対して傾斜した方向に延び、前記加工面の径方向に並べられる複数の加工シートを備え、
前記複数の加工シートは、前記加工面で渦巻きをなす仮想曲線の上に連続して又は間隔を持って配置され、
前記複数の加工シートは、それぞれ、前記メッシュ材と、前記メッシュ材に結合された前記加工部と、を備え、
前記仮想曲線は、前記加工面に複数設けられ、互いに交差しないように配置されている、
請求項1に記載の砥石。
【請求項8】
前記複数の加工シートは、前記加工面の周方向と径方向に並べられている、
請求項7に記載の砥石。
【請求項9】
前記砥石は、前記複数のメッシュ材を立設させた状態で、前記複数のメッシュ材それぞれの根元部を連結し、前記複数のメッシュ材と同一の材質の一体物として形成されているメッシュベース部を備える、
請求項1に記載の砥石。
【請求項10】
前記メッシュベース部には、前記複数のメッシュ材それぞれの根元部に前記メッシュ材と同形状の開口孔が形成されている、
請求項9に記載の砥石。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砥石に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の砥石は、加工面に複数の筒部が並べられた構造を有する。この筒部は、被加工物であるワークを加工するための複数の砥粒を含有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の砥石では、砥石の強度に改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、強度を高めることができる砥石を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る砥石は、被加工物を加工する加工面を有する砥石であって、少なくとも一部が重なるように配置されている複数のメッシュ材と、前記メッシュ材に結合され、被加工物を加工する単数又は複数の加工部と、を備える。
【0007】
また、前記砥石は、前記加工面に前記加工部を部分的に露出させつつ、前記複数のメッシュ材が埋め込まれる充填材を備え、前記複数の加工部は、間隔を持って前記メッシュ材に結合されている、ようにしてもよい。
【0008】
また、前記加工面は、円柱状の前記砥石の外周面に形成され、前記複数のメッシュ材は、それぞれ円形シート状をなし、互いに積み重ねられ、前記複数の加工部は、前記メッシュ材の径方向外側に結合され、前記メッシュ材の周方向に間隔を持って配置されている、ようにしてもよい。
【0009】
また、前記加工面は、円形又は円環の平面をなし、前記複数のメッシュ材は、それぞれ前記砥石の回転軸の方向に延びる円筒状又は渦巻き状をなし、前記加工面の径方向に重ねられて配置される、ようにしてもよい。
【0010】
また、前記複数の加工部は、前記加工面に、前記砥石の回転軸に対して傾斜した傾斜方向に並ぶように配置されている、ようにしてもよい。
【0011】
また、前記複数の加工部は、前記加工面にランダムに配置されている、ようにしてもよい。
【0012】
また、前記砥石は、前記加工面に対して傾斜した方向に延び、前記加工面の径方向に並べられる複数の加工シートを備え、前記複数の加工シートは、前記加工面で渦巻きをなす仮想曲線の上に連続して又は間隔を持って配置され、前記複数の加工シートは、それぞれ、前記メッシュ材と、前記メッシュ材に結合された前記加工部と、を備え、前記仮想曲線は、前記加工面に複数設けられ、互いに交差しないように配置されている、ようにしてもよい。
【0013】
また、前記複数の加工シートは、前記加工面の周方向と径方向に並べられている、ようにしてもよい。
【0014】
また、前記砥石は、前記複数のメッシュ材を立設させた状態で、前記複数のメッシュ材それぞれの根元部を連結し、前記複数のメッシュ材と同一の材質の一体物として形成されているメッシュベース部を備える、ようにしてもよい。
【0015】
また、前記メッシュベース部には、前記複数のメッシュ材それぞれの根元部に前記メッシュ材と同形状の開口孔が形成されている、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、砥石の強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(A)は本発明の第1実施形態に係る砥石の斜視図であり、(B)は当該砥石の加工面の拡大図であり、(C),(D)は、本発明の変形例に係る砥石の加工面の拡大図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る複数の加工部が固定されたメッシュ材の平面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る複数のメッシュ材の組み合わせ態様を示す分解斜視図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る砥石の平面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る複数のメッシュ材の組み合わせ態様を示す分解斜視図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る砥石の平面図である。
【
図12】本発明の変形例に係る砥石の斜視図である。
【
図13】本発明の変形例に係る砥石の部分的な概略断面図である。
【
図14】本発明の変形例に係る立設メッシュ材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る砥石について図面を参照して説明する。本実施形態の砥石は、外周面で被加工物を加工する回転砥石である。
【0019】
図1(A),(B)に示すように、砥石10は、略円柱状をなす。砥石10の加工面10aは、砥石10の外周面に形成されている。砥石10は、砥石10の中心軸と同軸の回転軸Oを中心に回転することにより、被加工物を加工、すなわち研磨又は研削する。被加工物は、例えば、セラミックス、シリコンウエハ、半導体基板、LED(Light Emitting Diode)基板、放熱基板、シリコンカーバイド、アルミナ、サファイア又は金属等である。
【0020】
砥石10は、加工面10aに交わる方向、本例では直交する方向に延びる複数の加工部11と、複数の加工部11が固定される複数のメッシュ材30と、複数のメッシュ材30が埋め込まれる充填材19と、を備える。
【0021】
メッシュ材30は、本例では、金属、例えば、ステンレス製のシート状をなす。メッシュ材30のメッシュ数は、#10~#500に設定されることが好ましい。
なお、メッシュ材30の材質は、ステンレス以外の銅(例えば、黄銅)、ニッケル、アルミニウム等の金属製であってもよいし、金属以外のガラス、不織布、織布又はカーボンファイバー等から形成されてもよい。
【0022】
メッシュ材30は、
図3に示すように、複数の加工部11の厚さ方向の中心を通過することにより、複数の加工部11の間を連結している。複数の加工部11(正確には、後述する結合材16)は、メッシュ材30のメッシュ材の孔内に入り込むことにより、アンカー効果によりメッシュ材30に固定されている。
【0023】
図2に示すように、メッシュ材30は、円形のシート状をなす。複数の加工部11は、メッシュ材30の径方向Rの外側に位置し、メッシュ材30の周方向Cに間隔(本例では等角度間隔)を持って配置されている。複数の加工部11は、回転軸Oの方向から見て、径方向Rに長く、周方向Cに短い長方形状をなしている。加工部11の径方向Rの外側端部は、メッシュ材30の径方向Rの外側端部よりも突出している。
【0024】
複数のメッシュ材30は、回転軸Oの方向に積み重ねられた状態で(
図4参照)、充填材19内に埋め込まれて保持されている。各メッシュ材30は、回転軸Oの方向から見て、回転軸Oに直交した向きで重なった状態となる。この重なった状態とは、複数のメッシュ材30の間に隙間がある状態であってもよいし、複数のメッシュ材30が互いに接触した状態であってもよい。
【0025】
各加工部11のうち加工面10aに露出する部位は、周方向Cに長く、回転軸Oの方向(
図1(A)の上下方向)に短い略長方形形状をなす。よって、加工抵抗が小さくなる。各加工部11は削られながら被加工物Wを研磨又は研削する。各加工部11は、略同一の形状及びサイズで形成されている。
【0026】
積み重ねる際のメッシュ材30の周方向Cの向きにより、加工面10aにおける複数の加工部11の配置が決まる。本例では、
図1(A),(B)に示すように、複数の加工部11は、加工面10aにおいて回転軸Oに傾斜する傾斜方向Tdに並べられている。傾斜方向Tdに並べられた複数の加工部11の列は周方向Cに複数列にわたって形成される。このような加工部11の配置を実現するために、積み重ねられた複数のメッシュ材30は、所定の角度(例えば、加工部11の幅に相当する角度)ずつ、順番にずらされている。
【0027】
図5に示すように、加工部11は、複数の砥粒15と、結合材16と、を備える。複数の砥粒15は結合材16内に分布している。砥粒15は、例えば、ダイヤモンドである。なお、砥粒15は、ダイヤモンドに限らず、立方晶窒化ホウ素(CBN)砥粒であってもよいし、CBN砥粒とダイヤモンドを混合させてもよい。さらには、複数の砥粒15は、炭化ケイ素(SiC)、又は溶融アルミナ(Al
2O
3)、若しくはこれらを混合したものであってもよい。結合材16は、内部に複数の砥粒15を保持する。結合材16は、ニッケル、鉄、アルミニウム、銅等の金属、アルミニウム合金、青銅等の合金、フエノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂又はセラミック等により形成されている。結合材16は、メッシュ材30の両面側に形成され、メッシュ材30の孔内に入り込むことによりメッシュ材30に固定されている。
【0028】
図1(A)に示すように、充填材19は、砥石10の全域にわたって充填され、複数の加工部11が固定された複数のメッシュ材30を内部に保持する。各加工部11の先端部が加工面10aに露出した状態で各加工部11を有する各メッシュ材30が充填材19に埋め込まれている。
充填材19は、加工部11よりも外力により変形しやすく、かつ加工時に加工部11よりも摩耗しやすい材質により形成される。充填材19は、例えば、樹脂又はセラミックからなる。充填材19は、流体が通過不能に形成されてもよいし、流体が通過可能な多孔質で形成されていてもよい。
【0029】
本実施形態では、複数の加工部11は、加工面10aにおいて回転軸Oに傾斜する傾斜方向Tdに並べられていたが、加工面10aにおける複数の加工部11の配置態様は適宜変更可能である。例えば、
図1(C)に示すように、複数の加工部11は加工面10aにおいて千鳥状に配置されていてもよい。この場合、複数のメッシュ材30のうち第1メッシュ材31の各加工部11は、複数のメッシュ材30のうち当該第1メッシュ材31の隣の第2メッシュ材32の各加工部11の間に位置するように、第1と第2メッシュ材31,32の周方向Cの向きが設定される。
また、
図1(D)に示すように、複数の加工部11はランダムで配置されていてもよい。この場合、積み重ねる際のメッシュ材30の周方向Cの向きもランダムである。また、メッシュ材30毎に加工部11の数又は角度間隔が異なっていてもよい。さらに、1つのメッシュ材30において、複数の加工部11の角度間隔もランダムであってもよい。
図1(B),(C),(D)に係る加工部11の配置態様を持つ砥石は、被加工物Wにローレット加工を行う砥石として適用されてもよい。
さらに、複数の加工部11は、加工面10aにおいて回転軸Oの方向に並んでいてもよい。
以上のように、加工面10aにおける複数の加工部11の配置態様を変えることにより、砥石の加工性能を調整することができる。
【0030】
(効果)
以上、説明した第1実施形態及び変形例によれば、以下の効果を奏する。
(1)被加工物Wを加工する加工面10aを有する砥石10は、所定方向(例えば、回転軸Oの方向)から見て重なるように配置されている複数のメッシュ材30と、メッシュ材30に結合され、被加工物Wを加工する複数の加工部11と、を備える。
この構成によれば、複数のメッシュ材30が回転軸Oの方向から見て重なるため、砥石10の強度を高めることができる。
【0031】
(2)砥石10は、加工面10aに加工部11を部分的に露出させつつ、複数のメッシュ材30が埋め込まれる充填材19を備える。複数の加工部11は、間隔を持ってメッシュ材30に結合されている。
この構成によれば、複数のメッシュ材30が芯材として充填材19内に位置しているため、砥石10の破損を抑制することができ、砥石10の強度を高めることができる。また、加工部11の配置位置又は配置間隔を簡単に調整することができる。
【0032】
(3)加工面10aは、円柱状の砥石10の外周面に形成されている。複数のメッシュ材30は、それぞれ円形シート状をなし、互いに積み重ねられている。複数の加工部11は、メッシュ材30の径方向Rの外側に結合され、メッシュ材30の周方向Cに間隔を持って配置されている。
この構成によれば、充填材19内で複数のメッシュ材30が積み重ねられることにより、砥石10の破損を抑制することができ、砥石10の強度を高めることができる。
【0033】
(4)複数の加工部11は、加工面10aに、砥石10の回転軸Oに対して傾斜した傾斜方向Tdに並ぶように配置されている。
この構成によれば、砥石10が所望の加工特性を得ることができる。
【0034】
(5)複数の加工部11は、加工面10aに、規則性なくランダムに配置されている。
この構成によれば、砥石が所望の加工特性を得ることができる。
【0035】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る砥石について図面を参照して説明する。本実施形態の砥石は、底面で被加工物を加工する回転砥石である。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0036】
図6に示すように、砥石210は円柱状又は円環状をなす。砥石210は、砥石210の底面に加工面210aを備える。加工面210aは、砥石210の回転軸Oに直交する方向に延びる円形の平面状に形成されている。
【0037】
砥石210は、複数の加工部211と、充填材219と、複数のメッシュ材230と、を備える。加工部211、充填材219及びメッシュ材230は、上記第1実施形態の加工部11、充填材19及びメッシュ材30と同様の材質で形成される。
複数のメッシュ材230は、それぞれ径が異なる回転軸Oの方向に延びる円筒状に形成されている。
図7に示すように、複数のメッシュ材230は、径方向Rに同心円状に重ねられる。
【0038】
複数の加工部211は、メッシュ材230の加工面210a側に結合されている。複数の加工部211は、メッシュ材230の周方向Cに間隔(本例では等角度間隔)を持って配置されている。加工部211の加工面210a側の端部は、メッシュ材230の加工面210a側の端部よりも突出している。複数のメッシュ材230は、径方向Rに重ねられた状態で、充填材219内に埋め込まれた状態で保持される。加工部211の先端部は充填材219から露出している。
【0039】
本実施形態では、砥石210の複数のメッシュ材230は別体で構成されていたが、これに限らず、
図8に示すように、複数のメッシュ材231~234は連続するように渦巻き状で形成されていてもよい。渦巻きの回転数は、
図8の例では4回転であるが、1回転、2回転、3回転又は5回転以上であってもよい。渦巻きの回転数は、整数に限らず、小数点を含む数字、例えば、1.5回転等であってもよい。これにより、砥石210の加工性能を調整することができる。
砥石210は、カップ砥石又はコアドリルであってもよい。
【0040】
さらに、
図9に示すように、砥石310は、それぞれ別体で渦巻きのメッシュ材331~33n(nは任意の自然数)を備えていてもよい。本例では、複数のメッシュ材331~33nは、それぞれ1回転の渦巻き状で形成され、周方向Cに所定間隔(本例では20°間隔)で回転した位置に配置されている。メッシュ材331~33nの渦巻きの回転数と間隔は、適宜変更可能である。各メッシュ材331~33nには、上記の
図8の構成と同様に、メッシュ材331~33nの長手方向において間隔を持って複数の加工部11が配置されている。各メッシュ材331~33nの起点Psは加工面310aの径方向Rの内側端部に位置し、各メッシュ材331~33nの終点Peは加工面310aの径方向Rの外側端部に位置する。
【0041】
(効果)
以上、説明した第2実施形態及び変形例によれば、以下の効果を奏する。
加工面210a,310aは、円形又は円環の平面をなす。複数のメッシュ材230,231~234,331~33nは、それぞれ砥石210,310の回転軸Oの方向に延びる円筒状又は渦巻き状をなし、径方向Rに重ねられて配置される。
この構成によれば、複数のメッシュ材230,231~234,331~33nが重ねられるため、砥石210,310の強度を高めることができる。
また、複数のメッシュ材230,231~234,331~33nが芯材として充填材219内に位置している。このため、砥石210,310の強度をより高めることができる。
【0042】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る砥石について図面を参照して説明する。本実施形態の砥石は、フラップ砥石である。以下、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
図10に示すように、砥石410は、複数の加工シート411A~411Eと、複数の加工シート411A~411Eが接着される円環平板状の基板415と、を備える。複数の加工シート411A~411Eは、加工面410aに対して傾斜し、かつ、それぞれ加工面410aに渦巻き状に配置されている。本例では、複数の加工シート411A~411Eは、それぞれ、渦巻き線La~Leの上に1回転の渦巻き状で配置され、周方向Cに所定間隔(本例では72°間隔)で回転した位置に配置されている。渦巻き線La~Leは、加工面410a上の仮想曲線であり、それぞれ1回転の渦巻き状をなし、互いに交差しないように、回転軸Oを中心に周方向Cに所定角度(本例では72°)ずつ回転した位置に配置されている。加工シート411A~411Eは、径方向Rに互いに部分的に重なり合っている。各加工シート411A~411Eの径方向Rの外側の端部は加工点として機能し、径方向Rの内側の端部は、他の加工シート411A~411Eに覆い隠されている。各加工シート411A~411Eの各加工点上に加工面410aが仮想的に形成されている。
【0043】
各加工シート411A~411E(各渦巻き線La~Le)の起点Psは加工面410aの径方向Rの内側端部に位置し、終点Peは加工面410aの径方向Rの外側端部に位置する。
図11に示すように、加工シート411Aは、メッシュ材430と、メッシュ材430に結合された加工部412と、を備える。加工部412は、メッシュ材430の加工面410a側に形成されている。加工部412は、複数の砥粒と、複数の砥粒が分布する結合材と、を備える。加工シート411B~411Eは、加工シート411Aと同様の構成をなす。本実施形態では、加工シート411A~411Eが部分的に重ねられることにより、それぞれのメッシュ材430が部分的に重ねられた構成、言い換えると、回転軸Oの方向から見てメッシュ材430同士が部分的に重なっている構成を実現している。
【0044】
図10の構成では、加工シート411A~411Eは、加工面410aに仮想的に形成される渦巻き線La~Le(仮想曲線)上に連続して形成されていたが、これに限らず、渦巻き線上に分割して構成されていてもよい。詳しくは、
図12の変形例に示すように、砥石510は、それぞれ、渦巻き線La~Lh上に配列される複数の加工シート511A~511Hを備える。各加工シート511A~511Hは、矩形板状をなし、加工面側の端部(
図12の上端部)が径方向Rの外側に向かうように加工面に対して傾斜する向きに配置されている。
複数の加工シート511Aは、第1渦巻き線La上に配列される。複数の加工シート511Bは、第2渦巻き線Lb上に配列される。複数の加工シート511Cは、第3渦巻き線Lc上に配列される。複数の加工シート511Dは、第4渦巻き線Ld上に配列される。複数の加工シート511Eは、第5渦巻き線Le上に配列される。複数の加工シート511Fは、第6渦巻き線Lf上に配列される。複数の加工シート511Gは、第7渦巻き線Lg上に配列される。複数の加工シート511Hは、第8渦巻き線Lh上に配列される。各渦巻き線La~Lhは、それぞれ1回転の渦巻き状で形成され、互いに交差しないように、回転軸Oを中心に周方向Cに所定間隔(本例では45°間隔)で回転した位置に配置されている。各渦巻き線La~Lhの渦巻きの回転数と間隔は、適宜変更可能である。
各加工シート511A~511Hは、矩形状のメッシュ材と、メッシュ材を芯材として形成される加工部と、を有する。
【0045】
(効果)
以上、説明した第3実施形態及び変形例によれば、以下の効果を奏する。
(1)砥石410,510は、加工面410a,510aに対して傾斜する方向に延び、径方向Rに並べられる複数の加工シート411A~411E,511A~511Hを備える。複数の加工シート411A~411E,511A~511Hは、加工面410a,510aで渦巻きをなす仮想曲線である渦巻き線La~Lhの上に連続して又は間隔を持って配置されている。渦巻き線La~Lhは、加工面410a,510aに複数設けられ、互いに交差しないように配置されている。
この構成によれば、各加工シート411A~411E,511A~511Hの芯材であるメッシュ材430同士が回転軸Oの方向又は径方向Rで重なった状態となる。よって、フラップ砥石である砥石410,510の強度を高めることができる。
また、加工シート411A~411E,511A~511Hが渦巻き線La~Lhの上に配置されているため、加工シート411A~411E,511A~511Hを様々な向きでワークに当てることができ、よりムラの少ない加工が可能となる。
【0046】
(2)複数の加工シート511A~511Hは、加工面510aの周方向Cと径方向Rに並べられている。
この構成によれば、フラップ砥石である砥石510において、多数の加工シート511A~511Hを配置することができ、よりムラの少ない加工が可能となる。
【0047】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0048】
(変形例)
加工部11,211,412は複数の砥粒15を含有していなくてもよい。この場合、加工部11,211,412は超硬合金等の金属からなる。
充填材19,219は省略されてもよい。この場合、充填材19,219に代えて加工部11,211がメッシュ材30,230を覆うように形成されてもよい。
加工部11,211,412は、メッシュ材30,230,430の片面側にのみ形成されていてもよい。
また、上記第2実施形態において、加工面10aの径方向Rの内側の加工部11間の周方向Cの間隔を、加工面10aの径方向Rの外側の加工部11間の周方向Cの間隔よりも小さくしてもよい。これにより、加工面10aの径方向Rの内側と外側の周速差に関わらず、加工量を一定とすることができる。また、同様の理由により、加工面10aの径方向Rの内側の加工部11の周方向Cの長さを、加工面10aの径方向Rの外側の加工部11の周方向Cの長さよりも長くしてもよい。
図12の構成においても、同様に、径方向Rの内側の加工シートの間隔を、径方向Rの外側の加工シートの間隔よりも小さくしてもよいし、径方向Rの内側の加工シートの周方向Cの長さを、径方向Rの外側の加工シートの周方向Cの長さよりも長くしてもよい。
加工部11,211,412の形状は適宜変更可能である。
複数の加工部11,211は、間隔を持ってメッシュ材30,230~231に結合されていたが、1つの加工部11,211が連続してメッシュ材30,230~231の延出方向に形成されてもよい。
第1実施形態において、複数のメッシュ材30は、別体でなく、連続していてもよく、この場合、複数のメッシュ材30は、折り曲げられることにおり、重ねられてもよい。
また、複数のメッシュ材30は、回転軸Oに対して非直交で傾斜していてもよい。
また、上記第1と第2実施形態が組み合わされてもよい。すなわち、1つの砥石は、加工面10aと210aの両方を有していてもよい。
メッシュ材30は、円形のシート状をなしていたが、円形以外の矩形のシート状をなしていてもよい。
メッシュ材30,230,231~234,430には折り目又はシワが形成されていてもよい。例えば、メッシュ材30,230,231~234,430の少なくとも一部が、三角波形状又は矩形波状に折り曲げられていてもよい。また、メッシュ材30,230,231~234,430は湾曲するように折り曲げられていてもよい。例えば、メッシュ材30,230,231~234,430の少なくとも一部は、正弦波状に折り曲げられていてもよい。これにより、メッシュ材30,230,231~234,430が充填材19,219に強固に固定される。
【0049】
上記第3実施形態及びその変形例において加工部が結合されるメッシュ材は、1枚のメッシュシート材を部分的に折り起こすことにより形成されてもよい。例えば、
図13及び
図14に示すように、砥石610は、複数の立設メッシュ材632及びメッシュベース部631を有する1枚のメッシュシート材と、加工部11,211,412と同様の複数の加工部612と、基板415と同様の基板615と、を備える。
メッシュベース部631は、加工面610aと平行をなす円形をなし、各立設メッシュ材632の根元部の間を連結するように形成されている。メッシュベース部631は、立設メッシュ材632の根元部に、立設メッシュ材632と同形状の開口孔634を有する。開口孔634は矩形状をなし、開口孔634のうち一辺に沿って立設メッシュ材632の根元部が延びるように形成されている。メッシュベース部631は、各立設メッシュ材632と同材質の一体で形成されている。立設メッシュ材632は、メッシュベース部631に交わる方向に立設されている。立設メッシュ材632は、矩形状をなし、原材料となるメッシュシート材から切り起こす、すなわち矩形の3辺に切れ目を入れて残りの1辺を折り曲げることにより形成されている。立設メッシュ材632は、その上端部が径方向Rの外側に向かうように傾斜している。複数の立設メッシュ材632は、径方向Rから見て、少なくとも一部が互いに重なるように配置されている。各加工部612には、立設メッシュ材632が埋め込まれている。加工部612と立設メッシュ材632により加工シート611が構成されている。また、基板615には、メッシュベース部631が埋め込まれている。
なお、立設メッシュ材632のメッシュベース部631に対する傾斜角度は適宜変更可能である。例えば、立設メッシュ材632は、メッシュベース部631に直交していてもよいし、その上端部が径方向Rの内側に向かうように傾斜していてもよい。
また、上記変形例において、砥石610は、互いに積層された複数枚のメッシュシート材を備えていてもよい。この場合、第1メッシュシート材の各開口孔634内に、第2メッシュシート材の各立設メッシュ材632が入った状態で、第1と第2メッシュシート材それぞれのメッシュベース部631が積層される。積層された2つのメッシュベース部631が基板615内に埋め込まれている。
【0050】
上記に説明した変形例によれば、以下の効果を奏する。
砥石610は、加工面610aに対して複数の立設メッシュ材632を立設させた状態で、複数の立設メッシュ材632それぞれの根元部を連結し、複数の立設メッシュ材632と同一の材質の一体物として形成されているメッシュベース部631を備える。メッシュベース部631には、複数の立設メッシュ材632それぞれの根元部に開口孔634が形成されている。複数の立設メッシュ材632は、径方向Rにおいて少なくとも一部が互いに重なるように配置されている。
この構成によれば、砥石610の強度を高めることができる。
【0051】
上記第3実施形態及びその変形例において、複数の加工シート411A~411E,511A~511H,611は、加工面410a,510a,610aで渦巻きをなす仮想曲線の上に連続して又は間隔を持って配置されていたが、これに限らず、
図6と同様に、回転軸Oを中心とした同心円状に配置されていてもよい。
【0052】
上記第3実施形態及び変形例に係るフラップ砥石である砥石410,510,610において、各加工シート411A~411E,511A~511H,611は、メッシュ材430,632を有していなくてもよい。
従来のフラップ砥石では、加工面の周方向のみにサンドペーパが重ねられた単純な構成であるため、加工性能の調整が難しかった。それに対して、各加工シート411A~411E,511A~511H,611を径方向Rと周方向Cの両方向に並べたり、各加工シート411A~411E,511A~511H,611が渦巻き状に配置されたりすることにより、加工性能の調整の余地を増やすことができる。
この変形例には、例えば、以下の付記1~4に記載の技術的思想が開示されている。なお、付記1~4は、本発明を何ら限定的に解釈するものではない。
(付記1)
砥石の加工面に対して傾斜して設けられ、ワークを加工する複数の加工シートを備え、
前記複数の加工シートは、前記加工面で渦巻きをなす仮想曲線の上に連続して又は間隔を持って配置される、
砥石。
(付記2)
前記仮想曲線は、前記加工面に複数設けられ、互いに交差しないように配置されている、
付記1に記載の砥石。
(付記3)
前記複数の加工シートは、前記加工面の周方向と径方向に並べられている、
付記2に記載の砥石。
(付記4)
砥石の加工面に対して傾斜して設けられ、ワークを加工する複数の加工シートを備え、
前記複数の加工シートは、前記加工面の周方向と径方向に並べられている、
砥石。
【符号の説明】
【0053】
10,210,310,410,510,610 砥石
10a,210a,310a,410a,610a 加工面
11,211,412,612 加工部
15 砥粒
16 結合材
19,219 充填材
30,230,231~234,430 メッシュ材
632 立設メッシュ材
631 メッシュベース部
415,615 基板
31 第1メッシュ材
32 第2メッシュ材
411A~411E,511A~511H,611 加工シート
C 周方向
O 回転軸
R 径方向
W 被加工物
Td 傾斜方向
La~Lh 渦巻き線