(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157104
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】バックドアの構造
(51)【国際特許分類】
B60J 5/00 20060101AFI20241030BHJP
B60J 5/10 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
B60J5/00 P
B60J5/10 L
B60J5/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071228
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000101905
【氏名又は名称】イイダ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉田 航
(57)【要約】
【課題】不快な音の発生源となるバックドアの振動を抑えることを可能にしたバックドアの構造を提供する。
【解決手段】車両用途に用いられるバックドア11の構造は、窓開口部を有するバックドア本体12と、バックドア本体12を補強する補強構造13とを備える。バックドア本体12は、窓開口部の最下端を通る水平線を上下の境界線としたとき下側部分となるドア下部22を有する。ドア下部22は、第1パネル部材22aと、第1パネル部材22aに対して車両の前側となる位置に離間して配置される第2パネル部材22bとを有する。補強構造13は、第1パネル部材22aと第2パネル部材22bとを連結する連結部材31と、発泡部材32とを有する。発泡部材32は、連結部材31に固着される連結部材固着部32aと、第1パネル部材22a及び第2パネル部材22bの少なくとも一方に固着されるパネル固着部32bとを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用途に用いられるバックドアの構造であって、
窓開口部を有するバックドア本体と、前記バックドア本体を補強する補強構造と、を備え、
前記バックドア本体は、前記窓開口部の最下端を通る水平線を上下の境界線としたとき下側部分となるドア下部を有し、
前記ドア下部は、
第1パネル部材と、
前記第1パネル部材に対して車両の前側となる位置に離間して配置される第2パネル部材と、を有し、
前記補強構造は、
前記第1パネル部材と前記第2パネル部材とを連結する連結部材と、発泡部材と、を有し、
前記発泡部材は、
前記連結部材に固着される連結部材固着部と、
前記第1パネル部材及び前記第2パネル部材の少なくとも一方に固着されるパネル固着部と、を有する、バックドアの構造。
【請求項2】
前記パネル固着部は、前記第1パネル部材に固着される第1パネル固着部と、前記第2パネル部材に固着される第2パネル固着部とを有する、請求項1に記載のバックドアの構造。
【請求項3】
前記補強構造は、前記連結部材に対して前記発泡部材を位置決めする位置決め部材を備え、
前記発泡部材は、前記位置決め部材に固着される位置決め部材固着部を有し、
前記発泡部材は、前記連結部材と前記位置決め部材との間に保持される、請求項1に記載のバックドアの構造。
【請求項4】
前記連結部材は、
前記第1パネル部材と前記第2パネル部材との間を繋ぐように延びる連結本体部と、
前記連結本体部の両端である第1端及び第2端のうち、前記第1端に接続される第1フランジ部と前記第2端に接続される第2フランジ部との少なくとも一方のフランジ部と、を有し、
前記第1フランジ部は、前記第1パネル部材に沿って延びる形状を有するとともに前記第1パネル部材に固定され、
前記第2フランジ部は、前記第2パネル部材に沿って延びる形状を有するとともに前記第2パネル部材に固定され、
前記補強構造は、前記第1パネル部材と前記発泡部材との間に前記第1フランジ部を挟み込む第1積層構造、
及び前記第2パネル部材と前記発泡部材との間に前記第2フランジ部を挟み込む第2積層構造の少なくとも一方の積層構造を有する、請求項1に記載のバックドアの構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用途に用いられるバックドアの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されるように、車両用途に用いられるバックドアとしては、窓開口部と、窓開口部の下方に位置するドア下部とを有するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなバックドアが車両の走行中に振動することで、車室内の乗員に不快な音が認識されるおそれがある。このような不快な音の発生源となるバックドアの振動を抑えるための構造について未だ改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、不快な音の発生源となるバックドアの振動を抑えることを可能にしたバックドアの構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するバックドアの構造の各態様について説明する。
態様1のバックドアの構造は、車両用途に用いられるバックドアの構造であって、窓開口部を有するバックドア本体と、前記バックドア本体を補強する補強構造と、を備え、前記バックドア本体は、前記窓開口部の最下端を通る水平線を上下の境界線としたとき下側部分となるドア下部を有し、前記ドア下部は、第1パネル部材と、前記第1パネル部材に対して車両の前側となる位置に離間して配置される第2パネル部材と、を有し、前記補強構造は、前記第1パネル部材と前記第2パネル部材とを連結する連結部材と、発泡部材と、を有し、前記発泡部材は、前記連結部材に固着される連結部材固着部と、前記第1パネル部材及び前記第2パネル部材の少なくとも一方に固着されるパネル固着部と、を有する。
【0007】
この構成によれば、補強構造の連結部材により第1パネル部材と第2パネル部材とが連結されることで、ドア下部の剛性を高めることができる。このような補強構造において、上記のように発泡部材を固着させることで、連結部材の振動と、第1パネル部材及び第2パネル部材の少なくとも一方の振動とを抑えることができる。
【0008】
態様2のバックドアの構造では、態様1において、前記パネル固着部は、前記第1パネル部材に固着される第1パネル固着部と、前記第2パネル部材に固着される第2パネル固着部とを有してもよい。この構成によれば、ドア下部において、上記のように発泡部材を固着させることで、連結部材の振動と、第1パネル部材及び第2パネル部材の振動とを抑えることができる。
【0009】
態様3のバックドアの構造では、態様1又は態様2において、前記補強構造は、前記連結部材に対して前記発泡部材を位置決めする位置決め部材を備え、前記発泡部材は、前記位置決め部材に固着される位置決め部材固着部を有し、前記発泡部材は、前記連結部材と前記位置決め部材との間に保持されてもよい。
【0010】
この構成によれば、連結部材と位置決め部材との間で発泡部材の動きを抑えることができる。このような位置決め部材を備える補強構造によって、ドア下部の補強性能を高めることが可能である。
【0011】
態様4のバックドアの構造では、態様1において、前記連結部材は、前記第1パネル部材と前記第2パネル部材との間を繋ぐように延びる連結本体部と、前記連結本体部の両端である第1端及び第2端のうち、前記第1端に接続される第1フランジ部と前記第2端に接続される第2フランジ部との少なくとも一方のフランジ部と、を有し、前記第1フランジ部は、前記第1パネル部材に沿って延びる形状を有するとともに前記第1パネル部材に固定され、前記第2フランジ部は、前記第2パネル部材に沿って延びる形状を有するとともに前記第2パネル部材に固定され、前記補強構造は、前記第1パネル部材と前記発泡部材との間に前記第1フランジ部を挟み込む第1積層構造、及び前記第2パネル部材と前記発泡部材との間に前記第2フランジ部を挟み込む第2積層構造の少なくとも一方の積層構造を有してもよい。
【0012】
この構成によれば、上記第1積層構造及び第2積層構造の少なくとも一方の積層構造によって、第1パネル部材及び第2パネル部材の少なくとも一方と連結部材との接続部分を補強することができる。これにより、ドア下部の振動をより抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、不快な音の発生源となるバックドアの振動を抑えることが可能となるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態におけるバックドアを模式的に示す正面図である。
【
図2】
図2は、バックドアの一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、バックドアの構造の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、車両用途に用いられるバックドア11の構造は、バックドア本体12と、バックドア本体12を補強する補強構造13とを備えている。バックドア本体12は、窓開口部12aを有している。
【0016】
<バックドア本体>
バックドア本体12は、ドア上部21とドア下部22とを有している。ドア上部21は、窓開口部12aの最下端Wを通る水平線L1を上下の境界線としたときの上側部分である。ドア下部22は、水平線L1を上下の境界線としたときの下側部分である。ドア上部21の窓開口部12aには、例えば、ガラス、樹脂等の板材が組み付けられる。バックドア本体12は、車両の後端部に揺動可能に取り付けられる。
【0017】
ドア上部21は、窓開口部12aの両側縁を構成する第1側枠部材21aと第2側枠部材21bとを備えている。ドア上部21は、第1側枠部材21aの上端と第2側枠部材21bの上端とを連結する上枠部材21cを備えている。第1側枠部材21a、第2側枠部材21b、及び上枠部材21cは、それぞれ複数の枠パネル部材から構成されている。第1側枠部材21a及び第2側枠部材21bの各々は、上下方向に延びる中空部を有している。上枠部材21cは、左右方向に延びる中空部を有している。
【0018】
枠パネル部材は、例えば、鋼板等の金属材料、樹脂材料等の非金属材料、又は金属材料と非金属材料とを組み合わせた材料により構成することができる。複数の枠パネル部材は、材料に応じた周知の接合法により接合することができる。例えば、複数の枠パネル部材を金属材料から構成した場合、複数の枠パネル部材は、スポット溶接を用いて接合することができる。
【0019】
図1~
図3に示すように、ドア下部22は、第1パネル部材22aと、第1パネル部材22aに対して車両の前側となる位置に離間して配置される第2パネル部材22bとを有している。ドア下部22は、第1パネル部材22aと第2パネル部材22bとの間の中空部H1を有している。第1パネル部材22aは、例えば、ドア下部22のアウタパネルを構成する。第2パネル部材22bは、例えば、ドア下部22のインナパネルを構成する。第1パネル部材22a及び第2パネル部材22bは、第1側枠部材21a及び第2側枠部材21bに接続されている。
【0020】
第1パネル部材22a及び第2パネル部材22bは、例えば、鋼板等の金属材料、樹脂材料等の非金属材料、又は金属材料と非金属材料とを組み合わせた材料により構成することができる。第1パネル部材22a及び第2パネル部材22bは、材料に応じた周知の接合法により接合することができる。例えば、第1パネル部材22a及び第2パネル部材22bを金属材料から構成した場合、第1パネル部材22a及び第2パネル部材22bは、スポット溶接を用いて接合することができる。ドア下部22は、第1パネル部材22a及び第2パネル部材22b以外のパネル部材をさらに有していてもよい。
【0021】
<補強構造>
図1及び
図2に示すように、ドア下部22には、補強構造13が設けられている。本実施形態のドア下部22には、左右方向に離間して配置される一対の補強構造13が設けられている。一対の補強構造13は、ドア下部22の左右方向における中央を通る垂線に対して左右対称となる位置に配置されている。また、一対の補強構造13は、ドア下部22の左右方向の中央を通る垂線に対して左右対称となる形状を有している。一対の補強構造13は、上下方向に延びる形状を有している。
【0022】
図2及び
図3に示すように、補強構造13は、第1パネル部材22aと第2パネル部材22bとを連結する連結部材31と、発泡部材32とを有している。
連結部材31は、第1パネル部材22aと第2パネル部材22bとの間を繋ぐように延びる連結本体部31aを有している。連結本体部31aは、第1端E1と第2端E2からなる両端を有している。第1端E1は、第1パネル部材22aと向かい合うように配置される。第2端E2は、第2パネル部材22bと向かい合うように配置される。
【0023】
連結部材31は、連結本体部31aの第1端E1に接続される第1フランジ部31bを有している。連結部材31は、連結本体部31aの第2端E2に接続される第2フランジ部31cを有している。第1フランジ部31bは、第1パネル部材22aに沿って延びる形状を有するとともに第1パネル部材22aに固定されている。第2フランジ部31cは、第2パネル部材22bに沿って延びる形状を有するとともに第2パネル部材22bに固定されている。
【0024】
連結部材31は、例えば、鋼板等の金属材料、樹脂材料等の非金属材料、又は金属材料と非金属材料とを組み合わせた材料により構成することができる。本実施形態の連結部材31は、鋼板を屈曲させることで形成されている。連結部材31は、連結本体部31aの第1端E1と第1フランジ部31bとの間、連結本体部31aの第2端E2と第2フランジ部31cとの間に屈曲部を有している。
【0025】
連結部材31は、第1パネル部材22a及び第2パネル部材22bに対して、材料に応じた周知の接合法により固定することができる。連結部材31は、第1パネル部材22a及び第2パネル部材22bに対して、例えば、スポット溶接、接着剤等を用いて固定することができる。
【0026】
発泡部材32は、連結部材31に固着される連結部材固着部32aを有している。詳述すると、発泡部材32の連結部材固着部32aは、連結部材31の連結本体部31aに固着される。発泡部材32は、連結部材31に沿って上下方向に延びる形状を有している。
【0027】
図3に示すように、本実施形態の連結部材固着部32aは、連結部材31の第2フランジ部31cに固着されている。このような補強構造13は、第2パネル部材22bと発泡部材32との間に第2フランジ部31cを挟み込む第2積層構造14を有している。
【0028】
発泡部材32は、第1パネル部材22a及び第2パネル部材22bに固着されるパネル固着部32bをさらに有している。詳述すると、発泡部材32のパネル固着部32bは、第1パネル部材22aに固着される第1パネル固着部P1と、第2パネル部材22bに固着される第2パネル固着部P2とを有している。
【0029】
発泡部材32は、
図3に二点鎖線で示す発泡性部材51を加熱により発泡及び硬化させることで得ることができる。発泡性部材51は、発泡性材料を押出成形、プレス成形、射出成形等の周知の成形法により成形することで得られる。発泡性材料には、基材、発泡剤、及び架橋剤が含有される。発泡性材料には、必要に応じて充填剤、可塑剤等を含有させることができる。基材としては、合成樹脂、エラストマー及びゴムが挙げられる。合成樹脂としては、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、EVA(エチレン/ビニルアセテートコポリマー)等が挙げられる。エラストマーとしては、RB(ポリブタジエンエラストマー)、SBS(スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー)、SIS(スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体)、SEBS(スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンブロック共重合体)等が挙げられる。ゴムとしては、NR(天然ゴム)、SBR(スチレン/ブタジエンゴム)、BR(ブタジエンゴム)、NBR(ニトリルゴム)、CR(クロロプレンゴム)、IR(イソプレンゴム)、IIR(ブチルゴム)、EPDM(エチレンプロピレンジエン三元共重合体)、UR(ウレタンゴム)、ENR(エポキシ化天然ゴム)、EPM(エチレン/プロピレンゴム)等が挙げられる。発泡剤としてはアゾジカルボンアミド、ジニトロペンタメチレンテトラミン等、架橋剤としては周知のジメチルウレア、ジシアンジアミド、充填剤としては炭酸カルシウム、硫酸バリウム、フェライト、シリカ等が挙げられる。
【0030】
補強構造13は、連結部材31に対して発泡部材32を位置決めする位置決め部材33をさらに備えている。発泡部材32は、連結部材31と位置決め部材33との間に保持されている。詳述すると、位置決め部材33は、位置決め本体部33aと、位置決め本体部33aを第2パネル部材22bに固定する固定部33bとを有している。位置決め本体部33aには、発泡部材32が固着されている。すなわち、発泡部材32は、位置決め部材33に固着される位置決め部材固着部32cを有している。
【0031】
固定部33bは、第2パネル部材22bに固定されている。固定部33bは、例えば、第2パネル部材22bに貫設した取付孔に係止するように構成することができる。位置決め部材33の材料としては、例えば、ポリアミド等の樹脂材料、鋼等の金属材料等が挙げられる。上記発泡性部材51は、位置決め本体部33aに取り付けることができる。すなわち、発泡性部材51を位置決め本体部33aに取り付けた位置決め部材33を用いて発泡性部材51を中空部H1に配置することができる。
【0032】
<バックドアの構造の形成方法>
次に、バックドア11の構造の形成方法について説明する。
バックドア11の構造における補強構造13は、連結部材31、発泡部材32等を第1パネル部材22aと第2パネル部材22bとの間に取り付けることで得られる。発泡部材32は、
図3に二点鎖線で示すように、ドア下部22の中空部H1に配置した発泡性部材51から形成することができる。詳述すると、中空部H1に配置した発泡性部材51を外部から加熱することで、発泡性部材51を発泡及び硬化させる。これにより、上述した発泡部材32を形成することができる。発泡性部材51の加熱には、例えば、バックドア本体12を塗装(電着塗装)する際の乾燥工程を利用することができる。なお、発泡性部材51の加熱には、電気、蒸気等の熱源を利用した周知の加熱装置を用いてもよい。
【0033】
<本実施形態の作用及び効果>
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)車両用途に用いられるバックドア11の構造は、窓開口部12aを有するバックドア本体12と、バックドア本体12を補強する補強構造13とを備えている。バックドア本体12は、窓開口部12aの最下端Wを通る水平線L1を上下の境界線としたとき下側部分となるドア下部22を有している。ドア下部22は、第1パネル部材22aと、第1パネル部材22aに対して車両の前側となる位置に離間して配置される第2パネル部材22bとを有している。補強構造13は、第1パネル部材22aと第2パネル部材22bとを連結する連結部材31と、発泡部材32とを有している。発泡部材32は、連結部材31に固着される連結部材固着部32aを有している。発泡部材32は、第1パネル部材22a及び第2パネル部材22bに固着されるパネル固着部32b、すなわち第1パネル固着部P1と第2パネル固着部P2とを有している。
【0034】
この構成によれば、補強構造13の連結部材31により第1パネル部材22aと第2パネル部材22bとが連結されることで、ドア下部22の剛性を高めることができる。このような補強構造13において、上記のように発泡部材32を固着させることで、連結部材31の振動と、第1パネル部材22a及び第2パネル部材22bの振動とを抑えることができる。従って、不快な音の発生源となるバックドア11の振動を抑えることが可能となる。
【0035】
(2)補強構造13は、連結部材31に対して発泡部材32を位置決めする位置決め部材33を備えている。発泡部材32は、位置決め部材33に固着される位置決め部材固着部32cを有している。発泡部材32は、連結部材31と位置決め部材33との間に保持されている。
【0036】
この場合、ドア下部22に配置される発泡部材32が、連結部材31と位置決め部材33との間に保持されることで、発泡部材32の動きを抑えることができる。このような位置決め部材33を備える補強構造13によって、例えば、ドア下部22の補強性能を高めることが可能である。従って、不快な音の発生源となるバックドア11の振動をより抑えることが可能となる。
【0037】
(3)連結部材31は、連結本体部31aと第2フランジ部31cとを有している。補強構造13は、第2パネル部材22bと発泡部材32との間に第2フランジ部31cを挟み込む第2積層構造14を有している。この場合、第2積層構造14によって、第2パネル部材22bと連結部材31との接続部分を補強することができる。これにより、ドア下部22の車両の前側、すなわち車室側においてバックドア11の振動をより抑えることが可能となる。
【0038】
また、本実施形態の補強構造13は、第2積層構造14を有し、かつ、上記のように発泡部材32は、第2パネル固着部P2を有している。この場合、ドア下部22の車両の前側、すなわち車室側においてバックドア11の振動を好適に抑えることが可能となる。従って、車室内の乗員に不快な音が認識されることをより抑えることが可能となる。
【0039】
<変更例>
上記実施形態を次のように変更して構成してもよい。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0040】
・発泡部材32の数は、単数であってもよいし、複数であってもよい。連結部材固着部32a、第1パネル固着部P1、及び第2パネル固着部P2を有する発泡部材32は、一対の発泡部材から構成することもできる。すなわち、発泡部材32は、連結部材固着部32aと第1パネル固着部P1とを有する第1の発泡部材と、連結部材固着部32aと第2パネル固着部P2とを有する第2の発泡部材とから構成することもできる。
【0041】
・上記発泡部材32は、第1パネル固着部P1及び第2パネル固着部P2を有しているが、第1パネル固着部P1及び第2パネル固着部P2のいずれか一方を省略することもできる。すなわち、発泡部材32を、第1パネル固着部P1及び第2パネル固着部P2のいずれか一方を有する発泡部材に変更することもできる。このような変更例の発泡部材を有する補強構造では、連結部材31の振動と、第1パネル部材22a及び第2パネル部材22bの少なくとも一方の振動を抑えることができる。従って、バックドア11の振動に起因した不快音の発生を抑えることが可能となる。
【0042】
・位置決め部材33の数は、単数に限らず、複数であってもよい。例えば、上記発泡部材32を複数の発泡部材から構成する場合、複数の発泡部材に応じて位置決め部材33を複数設けることもできる。
【0043】
・上記位置決め部材33の固定部33bは、第2パネル部材22bに固定されているが、第1パネル部材22a、又は連結部材31に固定されるように変更してもよい。
・位置決め部材33を金属材料から構成する場合、位置決め部材33の固定部33bは、溶接部であってもよい。
【0044】
・位置決め部材33を省略することもできる。この場合、
図3に示す発泡性部材51を、例えば連結部材31に取り付けた後、その発泡性部材51を外部から加熱することで、発泡部材32を形成することができる。
【0045】
・上記第2積層構造14は、第2パネル部材22bと発泡部材32との間に第2フランジ部31cの全体を挟み込む構造であるが、第2パネル部材22bと発泡部材32との間に第2フランジ部31cの一部を挟み込む構造であってもよい。この場合であっても、第2積層構造14によって、第2パネル部材22bと連結部材31との接続部分を補強することができる。これにより、ドア下部22の振動をより抑えることが可能となる。
【0046】
・第2積層構造14を省略してもよい。例えば、
図3に示す第2フランジ部31cは、右方向に延びる形状を有しているが、左方向に延びる形状に変更することもできる。
・補強構造13は、第1パネル部材22aと発泡部材32との間に第1フランジ部31bを挟み込む第1積層構造を有していてもよい。すなわち、
図3に示す第1フランジ部31bは、左方向に延びる形状を有しているが、右方向に延びる形状に変更してもよい。このように形状を変更した第1フランジ部に、発泡部材32の連結部材固着部32aを固着させることで、第1積層構造を形成することができる。このように補強構造13が第1積層構造を有することで、第1パネル部材22aと連結部材31との接続部分を補強することができる。これにより、ドア下部22の振動をより抑えることが可能となる。なお、第1積層構造は、第1パネル部材22aと発泡部材32との間に第1フランジ部31bの全体を挟み込む構造であってもよいし、第1フランジ部31bの一部を挟み込む構造であってもよい。
【0047】
・連結部材31の第1フランジ部31b及び第2フランジ部31cの少なくとも一方を省略することもできる。例えば、連結部材31の第1フランジ部31bを第1パネル部材22aに固定せずに、連結本体部31aの第1端E1を溶接等の接合方法により第1パネル部材22aに固定することもできる。
【0048】
・上記バックドア11の構造は、左右方向において離間して配置される一対の補強構造13を備えているが、このような補強構造13の数又は位置を変更することもできる。バックドア11の構造は、例えば、一つの補強構造、又は三つ以上の補強構造を有していてもよい。
【0049】
・バックドア11の構造の連結部材31は、上下方向に延びる形状を有しているが、この形状に限定されない。また、連結部材31は、連結部材31の長手方向が鉛直方向に沿うように配置してもよいし、鉛直方向に対して傾斜するように配置してもよい。
【0050】
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)上記バックドアの構造において、前記第1積層構造を有し、前記パネル固着部は、前記第1パネル部材に固着される第1パネル固着部を有する。
【0051】
(ロ)上記バックドアの構造において、前記第2積層構造を有し、前記パネル固着部は、前記第2パネル部材に固着される第2パネル固着部を有する。
【符号の説明】
【0052】
11…バックドア
12…バックドア本体
12a…窓開口部
13…補強構造
14…第2積層構造
21…ドア上部
21a…第1側枠部材
21b…第2側枠部材
21c…上枠部材
22…ドア下部
22a…第1パネル部材
22b…第2パネル部材
31…連結部材
31a…連結本体部
31b…第1フランジ部
31c…第2フランジ部
32…発泡部材
32a…連結部材固着部
32b…パネル固着部
32c…位置決め部材固着部
33…位置決め部材
33a…位置決め本体部
33b…固定部
E1…第1端
E2…第2端
H1…中空部
L1…水平線
P1…第1パネル固着部
P2…第2パネル固着部
W…最下端