(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157122
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
B41J2/165 401
B41J2/165 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071264
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】花野 勧
(72)【発明者】
【氏名】川又 脩平
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056JB04
2C056JB08
2C056JB15
(57)【要約】
【課題】洗浄液を複数箇所に分離させて供給することを目的とする。
【解決手段】インクジェット記録装置は、インクジェットヘッドのノズル面に沿ってスライドするブレードと、ノズル面とブレードとの少なくとも一方に洗浄液を供給する供給部40と、供給部40に洗浄液を受け渡す受け渡し部50と、を備え、受け渡し部50は、供給部40と離間して配置され、洗浄液を放出する本体部51と、本体部51の供給部40側に設けられ、供給部40側が低くなるように傾斜した傾斜底面52Sを有し、本体部51から傾斜底面52Sに沿って供給部40の底面41Bへと洗浄液を流す複数の面状流路部52と、を備える。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットヘッドのノズル面に沿ってスライドするブレードと、
前記ノズル面と前記ブレードとの少なくとも一方に洗浄液を供給する供給部と、
前記供給部に前記洗浄液を受け渡す受け渡し部と、を備え、
前記受け渡し部は、
前記供給部と離間して配置され、前記洗浄液を放出する本体部と、
前記本体部の前記供給部側に設けられ、前記供給部側が低くなるように傾斜した傾斜底面を有し、前記本体部から前記傾斜底面に沿って前記供給部の底面へと前記洗浄液を流す複数の面状流路部と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記洗浄液は、前記本体部の底面から放出されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記ブレードと、前記供給部と、を備えるワイプユニットと、
前記ノズル面に対向しない待機位置と、前記ノズル面に対向する清掃位置と、に前記ワイプユニットをスライドさせるワイプスライド機構と、を備え、
前記受け渡し部は、前記待機位置側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記待機位置において、前記面状流路部と前記供給部との間に、前記洗浄液の受け渡しが可能な程度の間隙が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記受け渡し部の底面には、前記面状流路部毎に前記洗浄液を放出する複数の貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
複数の前記貫通孔から互いに異なるタイミングで前記洗浄液を放出することを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置においては、画像形成ジョブが実行されていない期間にインクジェットヘッドのノズル内のインクから水分が蒸発し、インクの粘度上昇によってノズルが目詰まりすることが考えられる。そこで、目詰まりの予防を目的としてノズル内のインクをキャップに吐出させるパージ処理が行われる。しかし、ノズル面に残留したインクを放置すると、画像形成ジョブの実行中にシートにインクが落下したり、ノズル面にインクが固着したりするという問題がある。そこで、ノズル面に残留したインクを除去する技術が検討されている。例えば、特許文献1では、ノズル面に接触するブレードを所定方向にスライドさせることによって、ノズル面に付着したインクを除去する構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示された構成では、ブレードのスライド方向に対して交差する幅方向の全域に洗浄液を均一に供給するために、洗浄液を供給する供給口が幅方向の複数箇所に設けられている。しかし、複数の供給口から出た洗浄液が合流した場合、大きな液滴が形成され、ブレードがスライドを開始する前に落下してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、洗浄液を複数箇所に分離させて供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るインクジェット記録装置は、インクジェットヘッドのノズル面に沿ってスライドするブレードと、前記ノズル面と前記ブレードとの少なくとも一方に洗浄液を供給する供給部と、前記供給部に前記洗浄液を受け渡す受け渡し部と、を備え、前記受け渡し部は、前記供給部と離間して配置され、前記洗浄液を放出する本体部と、前記本体部の前記供給部側に設けられ、前記供給部側が低くなるように傾斜した傾斜底面を有し、前記本体部から前記傾斜底面に沿って前記供給部の底面へと前記洗浄液を流す複数の面状流路部と、を備える。
【0007】
前記洗浄液は、前記本体部の底面から放出されてもよい。
【0008】
前記インクジェット記録装置は、前記ブレードと、前記供給部と、を備えるワイプユニットと、前記ノズル面に対向しない待機位置と、前記ノズル面に対向する清掃位置と、に前記ワイプユニットをスライドさせるワイプスライド機構と、を備え、前記受け渡し部は、前記待機位置側に設けられていてもよい。
【0009】
前記待機位置において、前記面状流路部と前記供給部との間に、前記洗浄液の受け渡しが可能な程度の間隙が設けられていてもよい。
【0010】
前記受け渡し部の底面には、前記面状流路部毎に前記洗浄液を放出する複数の貫通孔が設けられていてもよい。
【0011】
前記インクジェット記録装置は、複数の前記貫通孔から互いに異なるタイミングで前記洗浄液を放出してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、洗浄液を複数箇所に分離させて供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の内部を模式的に示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る作像ユニットを模式的に示す平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る作像ユニットを模式的に示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るインク供給路を模式的に示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッドを示す断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るメンテナンス装置を示す斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るキャップユニットを右方にスライドさせた様子を示す斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るワイプユニットとキャップユニットを右方にスライドさせた様子を示す斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るワイプユニットを示す斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るワイプユニットを示す斜視図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るブレードユニットを示す斜視図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係るブレードユニットの断面を示す斜視図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る突出部材を示す斜視図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る突出部材を示す斜視図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る受け渡し部と供給部とブレードユニットを示す斜視図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係る受け渡し部と供給部とブレードユニットを示す右側面図である。
【
図17】本発明の一実施形態に係る受け渡し部と供給部を示す斜視図である。
【
図18】本発明の一実施形態に係る受け渡し部を示す斜視図である。
【
図19】本発明の一実施形態に係るワイプユニットが待機位置に位置する様子を示す平面図である。
【
図20】本発明の一実施形態に係るワイプユニットが清掃位置に位置する様子を示す平面図である。
【
図21】本発明の一実施形態に係るメンテナンス装置とヘッドユニットの動作を示す正面図である。
【
図22】本発明の一実施形態に係るメンテナンス装置とヘッドユニットの動作を示す正面図である。
【
図23】本発明の一実施形態に係るメンテナンス装置とヘッドユニットの動作を示す正面図である。
【
図24】本発明の一実施形態に係るメンテナンス装置とヘッドユニットの動作を示す正面図である。
【
図25】本発明の一実施形態に係るメンテナンス装置とヘッドユニットの動作を示す正面図である。
【
図26】本発明の一実施形態に係るメンテナンス装置とヘッドユニットの動作を示す正面図である。
【
図27】本発明の一実施形態に係るブレードユニットの動作を示す右側面図である。
【
図28】本発明の一実施形態に係るブレードユニットの動作を示す右側面図である。
【
図29】本発明の一実施形態に係るブレードユニットの動作を示す右側面図である。
【
図30】本発明の一実施形態に係るブレードユニットの動作を示す右側面図である。
【
図31】本発明の一実施形態に係るブレードユニットの動作を示す右側面図である。
【
図32】本発明の一実施形態に係る洗浄液が受け渡される様子を示す右側面図である。
【
図33】本発明の一実施形態に係る洗浄液が受け渡される様子を示す右側面図である。
【
図34】本発明の一実施形態に係る洗浄液が受け渡される様子を示す右側面図である。
【
図35】本発明の一実施形態に係る洗浄液が受け渡される様子を示す底面図である。
【
図36】本発明の一実施形態に係る洗浄液が受け渡される様子を示す底面図である。
【
図37】従来の構成に係る洗浄液が受け渡される様子を示す底面図である。
【
図38】従来の構成に係る洗浄液が受け渡される様子を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置1について説明する。
【0015】
最初に、インクジェット記録装置1の全体の構成について説明する。
図1は、インクジェット記録装置1の内部を模式的に示す正面図である。
図2は、作像ユニット6を模式的に示す平面図である。
図3は、作像ユニット6を模式的に示す断面図である。
図4は、インク供給路60を模式的に示す図である。
図5は、インクジェットヘッド12を示す断面図である。以下、
図1における紙面手前側をインクジェット記録装置1の正面側(前側)とし、左右の向きはインクジェット記録装置1を正面側から見た方向を基準として説明する。各図において、U、Lo、L、R、Fr、Rrは、それぞれ上、下、左、右、前、後を示す。
【0016】
インクジェット記録装置1(
図1参照)は、直方体状の本体ハウジング3を備える。本体ハウジング3内の下部には、普通紙、コート紙等の枚葉のシートSが収容される給紙カセット4と、給紙カセット4からシートSを送り出す給紙ローラー5が設けられている。給紙カセット4の上方には、シートSを吸着してY方向に搬送する搬送ユニット7が設けられている。搬送ユニット7の上方には、インクを吐出して画像を形成する作像ユニット6が設けられている。本体ハウジング3内の左上部には、画像が形成されたシートSを排出する排出ローラー8と、排出されたシートSが積載される排出トレイ9が設けられている。
【0017】
本体ハウジング3の内部には、給紙カセット4から搬送ユニット7と作像ユニット6との間隙を経て排出トレイ9に至る搬送路10が設けられている。搬送路10は、シートSを通過させる間隙を空けて互いに対向する板状部材を主体として形成されている。搬送路10には、シートSを挟持して搬送する搬送ローラー17が設けられている。作像ユニット6よりも搬送方向Y上流側には、レジストローラー18が設けられている。
【0018】
搬送ユニット7は、無端の搬送ベルト21と、支持板23と、吸引部24と、を備える。搬送ベルト21は、多数の通気孔(図示省略)を有し、駆動ローラー25と従動ローラー22に巻き掛けられている。支持板23は、多数の通気孔を有し、上面が搬送ベルト21の内面に接触している。吸引部24は、支持板23の通気孔と搬送ベルト21の通気孔を介して空気を吸引することでシートSを搬送ベルト21に吸着させる。モーターと減速ギアとを含む駆動部(図示省略)により駆動ローラー25が反時計回り方向に駆動されることで搬送ベルト21が反時計回り方向に回転し、搬送ベルト21に吸着されたシートSがY方向に搬送される。
【0019】
作像ユニット6(
図2、3参照)は、ヘッドユニット11Y、11Bk、11C、11M(ヘッドユニット11と総称する)を備える。ヘッドユニット11は、1つ以上のインクジェットヘッド12、例えば、千鳥に配置された3つのインクジェットヘッド12を備える。ヘッドユニット11Y、11Bk、11C、11Mには、それぞれイエロー、ブラック、シアン、マゼンタのインクが充填されたインクコンテナ20Y、20Bk、20C、20M(インクコンテナ20と総称する)がインク供給路60(
図4参照)を介して接続されている。
【0020】
図4では、1色のインクに対応するインク供給路60が図示されているが、本実施形態では4色のインクを用いるため、実際には4系統のインク供給路60が設けられている。インクジェット記録装置1は、インクコンテナ20が装着されるコンテナ装着部61と、インクを濾過するフィルター62と、インクコンテナ20からフィルター62を介してインクを吸引するポンプ63と、ポンプ63から送り出されたインクを貯留するサブインクタンク64と、を備えている。なお、
図4では、1つのインクジェットヘッド12が図示されているが、実際には1つのヘッドユニット11に属する3つのインクジェットヘッド12が1つのサブインクタンク64に接続されている。
【0021】
インクジェットヘッド12(
図5参照)は、前後方向を長手方向とする直方体状の筐体12Hと、筐体12Hの底部に設けられたノズルプレート12Pと、を備える。ノズルプレート12Pは、前後方向に並ぶ多数のノズル12Nと、サブインクタンク64からの配管が接続されるソケット12Sと、を備えている。ノズル12Nは、ソケット12Sの下流側から分岐した分岐流路12Bと、ノズルプレート12Pの下面であるノズル面12Fに設けられた吐出口12Aと、を含む。振動板12Vは、分岐流路12Bの内壁の一部を兼ねている。振動板12Vには加圧素子12Zが設けられている。加圧素子12Zとしては、圧電素子、静電アクチュエータ、ヒーター等が用いられる。加圧素子12Zには、加圧素子12Zを駆動する駆動回路(図示省略)が接続されている。サブインクタンク64内の液面は、ノズル面12Fよりも若干低くなるように調整される。液面をノズル面12Fよりも低くすることで、ノズル12N内に負圧が発生し、上方に凹んだ凹形のメニスカスが形成される。
【0022】
インクジェットヘッド12は、ヘッドベース11B(
図3参照)によって支持されている。ヘッドベース11Bは、インクジェットヘッド12のノズルプレート12Pが挿入される貫通孔(図示省略)を備えている。ヘッドベース11Bの下面は、ノズル面12Fと平行な面であるため、平行面11Pと呼ぶ。ノズルプレート12Pがヘッドベース11Bに挿入されると、ノズル面12Fが数mmだけ平行面11Pから下方に突出し、平行面11Pとノズル面12Fとの間に段差が形成される。なお、平行面11Pは、ノズル面12Fと平行であること以外は、本実施形態と異なっていてもよい。例えば、平行面1Pとノズル面12Fとが同一の高さにあってもよい。あるいは、平行面11Pは、ノズル面12Fの一部分、すなわち、ノズル面12Fのうちノズル12Nが形成されている領域の左右に存在する面であってもよい。
【0023】
制御部2(
図1参照)は、演算部と記憶部とを備える(図示省略)。演算部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。記憶部は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の記憶媒体を含む。演算部は、記憶部に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することで各種処理を実施する。なお、制御部2は、ソフトウェアを用いない集積回路によって実現されてもよい。
【0024】
本体ハウジング3の上部には、表示操作部19が設けられている(
図1参照)。表示操作部19は、表示パネルと、表示パネルに積層されたタッチパネルと、キーパッドと、を備える(図示省略)。制御部2は、インクジェット記録装置1の操作メニューやステータス等を表す画面を表示パネルに表示させ、タッチパネル及びキーパッドで検知された操作に応じてインクジェット記録装置1の各部を制御する。
【0025】
インクジェット記録装置1の基本的な画像形成動作は、次のとおりである。表示操作部19や外部のコンピューター等からインクジェット記録装置1に画像形成ジョブが入力されると、給紙ローラー5が給紙カセット4から搬送路10にシートSを送り出し、回転が停止されたレジストローラー18がシートSの斜行を補正する。レジストローラー18が所定のタイミングで搬送ユニット7にシートSを送り出すと、搬送ユニット7が搬送ベルト21にシートSを吸着してY方向に搬送する。制御部2がシートSの搬送と同期させてラスター形式の画像データを駆動回路に供給すると、駆動回路が画像データの階調に応じた吐出信号を加圧素子12Zに供給してノズル12Nからインクが吐出され、シートSに画像が形成される。排出ローラー8は、画像が形成されたシートSを排出トレイ9に排出する。
【0026】
[メンテナンス装置]
次に、メンテナンス装置30の構成について説明する。
図6は、メンテナンス装置30を示す斜視図である。
図7は、キャップユニット70を右方にスライドさせた様子を示す斜視図である。
図8は、ワイプユニット80とキャップユニット70を右方にスライドさせた様子を示す斜視図である。
【0027】
メンテナンス装置30は、ヘッドユニット11毎に、各ヘッドユニット11の左隣り(搬送方向Y下流側)に設けられている(
図2、3参照)。メンテナンス装置30は、ノズル面12Fに装着されるキャップ72を備えたキャップユニット70と、ノズル面12Fに残留したインクを除去するブレード82を備えたワイプユニット80と、キャップユニット70とワイプユニット80を収容するハウジング31と、を備える。ハウジング31は、前後方向を長手方向とする直方体状に形成され、直方体の右側面に相当する部分が開口している。メンテナンス装置30は、キャップユニット70を左右方向にスライドさせるキャップスライド機構32と、ワイプユニット80を左右方向にスライドさせるワイプスライド機構33と、を備える。キャップスライド機構32、ワイプスライド機構33は、例えば、ボールねじ、ベルト駆動、ラックアンドピニオン等である。なお、各ヘッドユニット11の右隣り(搬送方向Y上流側)にメンテナンス装置30が設けられていてもよい。
【0028】
[キャップユニット]
キャップユニット70(
図7参照)は、フレーム71と、フレーム71の上方に設けられたキャップ72と、を備える。フレーム71は、前後方向を長手方向とする長方形に形成されている。フレーム71には、インクジェットヘッド12と同数のキャップ72がインクジェットヘッド12と同様に千鳥に配置されている。キャップ72は、上方が開口した凹形に形成され、1つのインクジェットヘッド12のノズル面12Fを包囲する大きさを有する。キャップ72の底部には、排出口が設けられている(図示省略)。排出口には、廃液タンク69(
図4参照)につながるパイプ(図示省略)が接続されている。
【0029】
[昇降機構]
インクジェット記録装置1は、ヘッドユニット11を昇降させる昇降機構11L(
図2参照)を備えている。昇降機構11Lは、例えば、ボールねじ、ベルト駆動、ラックアンドピニオン等である。昇降機構11Lは、画像形成を行う場合の画像形成位置と、画像形成位置よりも上方の退避位置と、の間でヘッドユニット11を昇降させる。画像形成位置においては、搬送ベルト21とノズル面12Fとの間隔が所定距離となるようにヘッドユニット11が位置決めされる。退避位置においては、搬送ベルト21とノズル面12Fとの間にキャップユニット70及びワイプユニット80を移動させることが可能な空間が形成される。
【0030】
次に、ワイプユニット80について詳細に説明する。
図9、10は、ワイプユニット80を示す斜視図である。
図11は、ブレードユニット90を示す斜視図である。
図12は、ワイプユニット80の断面を示す斜視図である。
図13は、突出部材91とブレード82を示す斜視図である。
図14は、突出部材91を示す斜視図である。
【0031】
本実施形態に係るインクジェット記録装置1は、インクジェットヘッド12のノズル面12Fに対向し、ノズル面12Fに沿う所定の進行方向Dにスライドするホルダー92と、ホルダー92に設けられ、進行方向Dに対して交差する軸回りに揺動するブレード82と、ホルダー92に設けられ、ブレード82の先端部をノズル面12Fに押し当てる方向にブレード82を付勢する付勢部材93と、を備える。具体的には、以下のとおりである。
【0032】
ワイプユニット80(
図9、10参照)は、複数(本実施形態では、3つ)のブレードユニット90と、フレーム81と、キャリッジ83と、を備える。ブレードユニット90(
図11、12参照)は、ブレード82と、突出部材91と、ホルダー92と、付勢部材93と、を備える。
【0033】
[ブレード]
ブレード82(
図11乃至13参照)は、樹脂等で形成された可撓性を有する板状の部材である。ブレード82は、前後方向を厚み方向として、若干後傾した姿勢でホルダー92に保持されている。ブレード82の左右方向の幅は、ノズル面12F上でノズル12Nの吐出口12Aが設けられた領域の左右方向の幅以上である。
【0034】
[突出部材]
突出部材91(
図11乃至14参照)は、ブレード82と一体化されている。突出部材91は、ブレード82に平行な基部91Bと、基部91Bの上端部から後方に屈曲した第1屈曲部911と、第1屈曲部911の後端部から上方に屈曲した第2屈曲部912と、第2屈曲部912よりも後傾した後傾部91Sと、後傾部91Sの上端部から上方に突出した突出部91Pと、を備える。基部91Bの左右方向の幅は、ブレード82の幅に等しい。基部91Bの上下方向の長さは、ブレード82の上下方向の長さの2分の1程度である。基部91Bは、ブレード82の後面の下部に接合されている。基部91Bには、左右方向を軸方向とする軸91Hが設けられている(
図13、14参照)。ブレード82は、基部91Bと板金部材94とで挟み込まれてねじ留めされている。第1屈曲部911と第2屈曲部912の左右方向の幅は、基部91Bの幅に等しい。
【0035】
後傾部91Sの左右方向の幅は、ブレード82の幅よりも広い。突出部91Pは、後傾部91Sの上端部の左右両端部に設けられている。また、突出部91Pは、左右方向においてブレード82の外側に設けられている。換言すれば、突出部91Pは、左右方向において、ノズル面12F上でノズル12Nが設けられた領域の外側に設けられている。突出部91Pは、後傾部91Sと等しい傾斜角で後傾している。第1屈曲部911の左右方向の中央部には、下方に貫通した貫通孔91Aが設けられている。ブレード82の後面に沿って流れ落ちた廃液W(インクKと洗浄液Fの混合物)の少なくとも一部は、貫通孔91Aを通って下方に排出される。
【0036】
[ホルダー]
ホルダー92(
図11、12参照)は、ブレード82を保持する。基部91Bの後面には(
図13、14参照)、互いに左右方向に対向する2つの壁部91Cが設けられている。左側の壁部91Cの左面には、左方に突出する軸91Hが設けられている。右側の壁部91Cの右面には、右方に突出する軸91Hが設けられている。ホルダー92の下部には、突出部材91の軸91Hが挿入される孔92Hが設けられている。突出部材91は、ホルダー92に対してヒンジ結合されており、軸91Hを中心として前後方向に揺動可能である。ブレード82は、突出部材91とともに揺動する。なお、軸91Hは、ブレード82に設けられていてもよい。
【0037】
ブレード82と突出部材91は、左右方向のいずれか一方向に廃液Wが流れるように、左右方向に対して傾いた姿勢でホルダー92に設けられている。図示した例では、ブレード82の左端部が右端部よりも若干後方に位置するように傾けられているが、逆方向に傾けられていてもよい。
【0038】
[付勢部材]
付勢部材93(
図13、14参照)は、例えば、ねじりコイルばねであり、軸91Hに巻き付けられている。付勢部材93の一端部は、ホルダー92に係合し、他端部は、突出部材91に係合している。付勢部材93は、
図11、12において反時計回り方向に、
図13において時計回り方向に、突出部材91を付勢する。換言すれば、付勢部材93は、ブレード82の先端部をノズル面12Fに押し当てる方向にブレード82を付勢する。なお、付勢部材93は、板ばね、圧縮コイルばね等でもよい。
【0039】
[フレーム]
フレーム81(
図9、10参照)は、全体として前後方向を長手方向とする直方体状に形成されている。フレーム81は、上方に開口した3つの凹部81Uを備える。3つの凹部81Uの各々は、ヘッドユニット11が備える3つのインクジェットヘッド12に対向している。凹部81Uは、上方から見て、前後方向に細長い長方形状に形成されている。凹部81Uの前後方向の長さは、ノズル面12Fよりも若干長く、凹部81Uの左右方向の幅は、ノズル面12Fよりも若干広い。
【0040】
[キャリッジ]
キャリッジ83(
図9乃至12参照)は、前後方向を長手方向とする板状に形成されている。左右の凹部81Uの間には、前後方向に沿う溝81Gが設けられており、キャリッジ83は溝81Gに収容されている。キャリッジ83の前後方向の長さは、溝81Gの前後方向の長さよりも短い。キャリッジ83は、溝81Gに沿って前後方向にスライド可能である。
【0041】
3つの凹部81Uには、それぞれ1つのブレードユニット90が収容されている。3つのブレードユニット90は、キャリッジ83に結合されている。3つのブレードユニット90は、キャリッジ83が最後方に位置する場合に、3つのブレードユニット90がノズル面12Fの後方(ワイプ開始位置)に位置するように配置されている。
【0042】
フレーム81には、駆動部(図示省略)が設けられている。駆動部は、例えば、ボールねじ、ベルト駆動、ラックアンドピニオン等であり、キャリッジ83を溝81Gに沿って前後方向にスライドさせる。キャリッジ83、溝81G、駆動部により、キャリッジスライド機構が構成される。
【0043】
[受け止め部材]
受け止め部材84(
図9、10、12参照)は、凹部81Uの各々の前端部に設けられている。受け止め部材84は、箱状に形成され、後部と下部が開口している。ブレード82がノズル面12Fの前方(ワイプ終了位置)に到達した場合に、ブレード82が受け止め部材84に収容される。このとき、受け止め部材84によって前方、上方、左方、右方からブレード82が覆われる。
【0044】
次に、供給部40と受け渡し部50の構成について説明する。
図15は、供給部40と受け渡し部50とブレードユニット90を示す斜視図である。
図16は、供給部40と受け渡し部50とブレードユニット90を示す右側面図である。
図17は、供給部40と受け渡し部50を示す斜視図である。
図18は、受け渡し部50を示す斜視図である。
図19は、ワイプユニット80が待機位置に位置する様子を示す平面図である。
図20は、ワイプユニット80が清掃位置に位置する様子を示す平面図である。
【0045】
本実施形態に係るインクジェット記録装置1は、インクジェットヘッド12のノズル面12Fに沿ってスライドするブレード82と、ノズル面12Fとブレード82との少なくとも一方に洗浄液Fを供給する供給部40と、供給部40に洗浄液Fを受け渡す受け渡し部50と、を備え、受け渡し部50は、供給部40と離間して配置され、洗浄液Fを放出する本体部51と、本体部51の供給部40側に設けられ、供給部40側が低くなるように傾斜した傾斜底面52Sを有し、本体部51から傾斜底面52Sに沿って供給部40の底面41Bへと洗浄液Fを流す複数の面状流路部52と、を備える。具体的には、以下のとおりである。
【0046】
[供給部]
フレーム81の凹部81Uの後端部には、支持部材43(
図9、10、15乃至17参照)が固定されている。支持部材43には、前方に突出した片持ち梁状の2本の支持部材44が設けられている。2本の支持部材44は、ブレードユニット90がワイプ開始位置に位置する場合にブレード82と突出部91Pとの間に位置するように配置されている。供給部40は、支持部材44の前端部に取り付けられている。供給部40は、ブレードユニット90がワイプ開始位置に位置する場合にブレード82の前方に位置するように配置されている。
【0047】
供給部40は、本体部41と、シート部材42と、を備える。本体部41は、全体として直方体状に形成されている。本体部41の底面41Bは、前端部が後端部よりも若干高くなるように傾斜している。底面41Bの後方には、傾斜底面41Sが設けられている。傾斜底面41Sは、後端部が前端部よりも高くなるように傾斜している。傾斜底面41Sの傾斜角は、底面41Bの傾斜角よりも大きい。底面41Bには、矩形のシート部材42が取り付けられている。シート部材42の前端部は、本体部41よりも前方に突出している。シート部材42は、底面41Bと等しい傾斜角で傾斜している。
【0048】
[受け渡し部]
受け渡し部50は、ハウジング31に設けられている。受け渡し部50(
図15乃至17参照)は、直方体状の本体部51と、本体部51の前端部から前方に突出した面状流路部52と、を備える。本体部51の上面には、本体部51に洗浄液Fを供給する配管51Pが接続されている。配管51Pには、洗浄液タンクとポンプが接続されている(図示省略)。面状流路部52は、本体部51の前端部の左右方向の2箇所に設けられている。面状流路部52は、前端部が後端部よりも低くなるように傾斜した傾斜底面52Sを備える。傾斜底面52Sの傾斜角は、供給部40の傾斜底面41Sの傾斜角とほぼ等しい。洗浄液は、本体部51の底面51Bから放出される。本体部51の底面51Bの前端部の面状流路部52に対応する2箇所には、洗浄液Fを放出する2つの貫通孔51Hが設けられている。なお、面状流路部52と貫通孔51Hは、左右方向の3箇所以上に設けられていてもよい。
【0049】
受け渡し部50は、ワイプユニット80が待機位置に位置する場合に供給部40の後方に隣接するように配置されている(
図19参照)。待機位置において、面状流路部52と供給部40との間に、洗浄液Fの受け渡しが可能な程度の間隙が設けられている。
【0050】
次に、メンテナンス装置30の動作について説明する。
図21乃至26は、メンテナンス装置30とヘッドユニット11の動作を示す正面図である。
図27乃至31は、ブレードユニット90の動作を示す右側面図である。
図32乃至34は、洗浄液Fが受け渡される様子を示す右側面図である。
図35、36は、洗浄液Fが受け渡される様子を示す底面図である。
図37、38は、従来の構成に係る洗浄液Fが受け渡される様子を示す底面図である。
【0051】
以下、ヘッドユニット11が画像形成位置に位置する状態(
図21参照)を初期状態として説明する。以下に示される動作は、制御部2が昇降機構11L、キャップスライド機構32、ワイプスライド機構33、キャリッジスライド機構を制御することで実行される。
【0052】
初期状態においては、ワイプユニット80は、ハウジング31に収容されている(
図19、21参照)。このとき、供給部40と受け渡し部50は、前後方向に対向している。制御部2は、ポンプを作動させて洗浄液タンクから受け渡し部50に所定量の洗浄液Fを送り出す。すると、本体部51の2つの貫通孔51Hから洗浄液Fが膨出し(
図32参照)、面状流路部52の傾斜底面52Sに沿って前方に洗浄液Fが流れ落ちる(
図33、35参照)。洗浄液Fは、底面52Sから供給部40の本体部41の傾斜底面41Sに受け渡され、底面41Bに到達して停止し(
図34、36参照)、底面41Bに2つの液滴が形成される。
【0053】
ここで、従来の構成と比較する(
図37、38参照)。従来の構成の受け渡し部50は、左右方向の幅が本体部51と等しい単一の面状流路部52SAを備えている。2つの貫通孔51Hから膨出した洗浄液Fは、面状流路部52SAにおいて合流し、底面41Bにおいて1つの液滴を形成する。この液滴は、本実施形態で形成される液滴(
図36参照)よりも体積が大きいため、洗浄液Fが底面41Bから落下しやすくなる。本実施形態では、従来の構成で形成される液滴よりも小さな体積の複数の液滴が互いに離れた箇所に形成されるため、洗浄液Fが底面41Bから落下しにくくなる。
【0054】
次に、制御部2は、昇降機構11Lを動作させて、ヘッドユニット11を退避位置に上昇させる(
図22参照)。次に、制御部2は、キャップスライド機構32を動作させて、キャップユニット70をヘッドユニット11の下方にスライドさせる(
図23参照)。次に、制御部2は、昇降機構11Lを動作させて、ノズル面12Fがキャップ72に接触する高さまでヘッドユニット11を下降させる(
図24参照)。次に、制御部2は、インクジェットヘッド12を制御して、キャップ72にインクKをパージさせる。
【0055】
次に、制御部2は、昇降機構11Lを動作させて、ヘッドユニット11を退避位置に上昇させる(
図23参照)。次に、制御部2は、ワイプスライド機構33を動作させて、ワイプユニット80をヘッドユニット11の下方にスライドさせる(
図20、25参照)。このとき、ワイプユニット80においては、ブレードユニット90がワイプ開始位置に位置している(
図27参照)。ブレード82は、鉛直(線分V)に対して角度αだけ後傾した姿勢となっている。αは、例えば、5°程度である。ノズル面12Fには、インクKが残留している。
【0056】
次に、制御部2は、昇降機構11Lを動作させて、所定位置までヘッドユニット11を下降させる(
図26参照)。所定位置においては(
図28参照)、平行面11Pが突出部91Pを下方に押し退けることで突出部材91とブレード82が時計回り方向に揺動し、ブレード82がさらに後傾する。このとき、ブレード82は、鉛直に対して角度β(α<β)だけ後傾した姿勢となる。βは、例えば、15°程度である。また、所定位置においては、供給部40の上面が平行面11Pに接触する。また、シート部材42のうち本体部41よりも前方に突出した部分の上面がノズル面12Fに接触し、底面41Bとノズル面12Fとの段差が解消される。
【0057】
次に、制御部2は、キャリッジスライド機構を動作させてブレード82を前方(所定の進行方向Dの一例)にスライドさせる(
図29参照)。ブレード82は、底面41Bから洗浄液Fを掻き取り、続いてノズル面12FからインクKを掻き取りながらスライドする。突出部材91が平行面11Pに接触した状態でスライドするから、ブレード82の傾斜角の変動が少なく、一定の荷重でブレード82をノズル面12Fに押し当てることができる。また、ブレード82は可撓性を有するため、ノズル面12Fに押し当てられることで若干の撓み変形が生じるが、付勢部材93が余分な荷重を吸収するから、ブレード82を適正な荷重でノズル面12Fに押し当てることができる。
【0058】
ブレード82がスライドしているとき、インクKは洗浄液Fで希釈され、ブレード82に沿って落下する。インクKと洗浄液Fとの混合物である廃液Wは、ブレード82の前面と後面とに沿って流れ落ちる。ブレード82の後面に沿って流れ落ちた廃液Wは、突出部材91の貫通孔91Aを通過して下方に流れ落ちる。ブレード82と突出部材91から落下した廃液Wは、凹部81Uに設けられた排出口(図示省略)を通過してキャップ72に落下する。
【0059】
拭き取り終了時、すなわち、ブレード82がノズル面12Fの前端部を通過する際(
図30参照)、制御部2は、昇降機構11Lを動作させて、ヘッドユニット11を退避位置に上昇させる(
図31参照)。このとき、ヘッドベース11Bも上昇するから、突出部材91が反時計回り方向に揺動し、ブレード82の傾斜が角度αに戻る。また、ブレード82がノズル面12Fから離間することで、ブレード82の撓み変形が解消する。この動作により、ブレード82から受け止め部材84に向かって廃液Wが放たれる。受け止め部材84に受け止められた廃液Wは、受け止め部材84の内面に沿って下方に流れ落ち、凹部81Uに設けられた排出口(図示省略)を通過してキャップ72に落下する。
【0060】
仮に、ブレード82の傾斜角を変化させる構成を備えていない場合、ブレード82は、ブレード82の撓み変形による弾性力によってノズル面12Fに押し当てられるため、ブレード82の先端部がノズル面12Fの前端部を通過する際にブレード82の撓みが急激に解消し、ブレード82の先端部から斜め上向きに廃液Wが放たれ、ヘッドベース11Bに衝突して飛散する可能性がある。これに対して、本実施形態では、主に付勢部材93の弾性力によってブレード82がノズル面12Fに押し当てられるから、撓み変形は従来と比べて非常に小さな量に抑制される。そのため、ブレード82の先端部がノズル面12Fの前端部を通過する際、ブレード82の傾斜の復元によって廃液Wが前方に放たれて受け止め部材84に受け止められ、廃液Wの飛散が抑制される。
【0061】
次に、制御部2は、ワイプスライド機構33を動作させて、ワイプユニット80をハウジング31に収容する(
図19、23参照)。次に、制御部2は、昇降機構11Lを動作させて、ノズル面12Fがキャップ72に接触する高さまでヘッドユニット11を下降させる(
図24参照)。
【0062】
画像形成を行う場合には、制御部2は、昇降機構11Lを動作させて、ヘッドユニット11を退避位置に上昇させる(
図23参照)。次に、制御部2は、キャップスライド機構32を動作させて、キャップユニット70をハウジング31に収容し(
図22参照)、昇降機構11Lを動作させて、ヘッドユニット11を画像形成位置に下降させる(
図21参照)。
【0063】
以上説明した本実施形態に係るインクジェット記録装置1によれば、インクジェットヘッド12のノズル面12Fに沿ってスライドするブレード82と、ノズル面12Fとブレード82との少なくとも一方に洗浄液Fを供給する供給部40と、供給部40に洗浄液Fを受け渡す受け渡し部50と、を備え、受け渡し部50は、供給部40と離間して配置され、洗浄液Fを放出する本体部51と、本体部51の供給部40側に設けられ、供給部40側が低くなるように傾斜した傾斜底面52Sを有し、本体部51から傾斜底面52Sに沿って供給部40の底面41Bへと洗浄液Fを流す複数の面状流路部52と、を備える。前述した従来の構成のように、供給部40の底面41Bにおいて洗浄液Fが1つにまとまると大きな液滴が形成されて落下しやすくなり、洗浄液Fを浪費してしまう。本実施形態によれば、供給部40の底面41Bにおいて面状流路部52毎に洗浄液Fの小さな液滴が形成されることで液滴が落下しにくくなるから、洗浄液Fの浪費を抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態に係るインクジェット記録装置1によれば、洗浄液は、本体部51の底面51Bから放出される。この構成によれば、洗浄液を効率的に受け渡すことができる。
【0065】
また、本実施形態に係るインクジェット記録装置1によれば、ブレード82と、供給部40と、を備えるワイプユニット80と、ノズル面12Fに対向しない待機位置と、ノズル面12Fに対向する清掃位置と、にワイプユニット80をスライドさせるワイプスライド機構33と、を備え、受け渡し部50は、待機位置側に設けられている。インクジェットヘッド12に供給部40が設けられている場合、画像形成時にシートSが供給部40に接触してシートSの汚損や供給部40の破損が発生するおそれがある。本実施形態によれば、画像形成時には供給部40が待機位置に移動するから、供給部40にシートSが接触することを防ぐことができる。また、洗浄液Fを供給する配管51Pが供給部40に接続されている場合、ワイプユニット80のスライド時に供給部40とともに配管51Pも移動するため、配管51Pが外れたり損傷したりするおそれがある。本実施形態によれば、配管51Pは受け渡し部50に接続されるから、ワイプユニット80がスライドしても配管51Pは移動しない。よって、配管51Pの外れや損傷を防ぐことができる。
【0066】
また、本実施形態に係るインクジェット記録装置1によれば、待機位置において、面状流路部52と供給部40との間に、洗浄液Fの受け渡しが可能な程度の間隙が設けられている。待機位置において面状流路部52と供給部40とが接触する構成の場合、待機位置にワイプユニット80をスライドさせる際に面状流路部52と供給部40とが干渉するおそれがある。本実施形態によれば、待機位置にワイプユニット80をスライドさせる際に面状流路部52と供給部40との干渉を防ぐことができる。
【0067】
また、本実施形態に係るインクジェット記録装置1によれば、受け渡し部50の底面51Bには、面状流路部52毎に洗浄液Fを放出する複数の貫通孔51Hが設けられている。この構成によれば、複数の面状流路部52に効率的に洗浄液Fを受け渡すことができる。
【0068】
上記実施形態は以下のように変形されてもよい。
【0069】
上記実施形態の構成に加えて、複数の貫通孔51Hから互いに異なるタイミングで洗浄液Fを放出するに構成されていてもよい。例えば、貫通孔51H毎に設けられたポンプ(図示省略)を作動させるタイミングを異ならせてもよい。あるいは、貫通孔51H毎に設けられたバルブ(図示省略)を開閉させるタイミングを異ならせてもよい。この構成によれば、複数の面状流路部52から供給部40の底面41Bに流れた洗浄液Fが合流することを抑制することができる。
【0070】
上記実施形態では、受け渡し部50が待機位置側に設けられている例が示されたが、受け渡し部50は、清掃位置側に設けられていてもよい。この構成によっても、供給部40にシートSが接触することを防ぐことができる。また、配管51Pの外れや損傷を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0071】
1 インクジェット記録装置
12 インクジェットヘッド
12F ノズル面
33 ワイプスライド機構
40 供給部
50 受け渡し部
51 本体部
51B 底面
51H 貫通孔
52 面状流路部
52S 傾斜底面
80 ワイプユニット
82 ブレード
F 洗浄液