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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157126
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】動力装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
H02K9/19 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071269
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】藤本 貴行
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609BB03
5H609PP02
5H609PP06
5H609PP16
5H609QQ05
5H609QQ09
5H609RR01
5H609RR27
5H609RR37
5H609RR42
5H609RR46
5H609RR51
(57)【要約】
【課題】小型化を図りつつ、電動機及び電力変換装置の温度上昇を効果的に抑制可能な動力装置を提供する。
【解決手段】動力装置は、回転トルクを生成する電動機と、電動機に電力を供給する電力変換装置と、電動機で生成した回転トルクを車両の車輪に伝達する動力伝達装置と、を備える。電動機は、固定子と回転子を収納するハウジングを有する。ハウジングは、回転子の回転中心軸を中心に、軸方向に凹んだ凹部を有する。凹部には、電力変換装置の少なくとも一部が格納されるとともに、凹部を冷却する第1冷却部が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転トルクを生成する電動機と、
前記電動機に電力を供給する電力変換装置と、
前記電動機で生成した回転トルクを車両の車輪に伝達する動力伝達装置と、を備える動力装置であって、
前記電動機は、固定子と回転子を収納するハウジングを有し、
前記ハウジングは、前記回転子の回転中心軸を中心に、軸方向に凹んだ凹部を有し、
前記凹部には、前記電力変換装置の少なくとも一部が格納されるとともに、前記凹部を冷却する第1冷却部が設けられている
動力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の動力装置において、
前記凹部は、底面部と、前記底面部から立ち上がる側面部と、を有し、
前記第1冷却部は、前記底面部に設けられ、かつ、前記回転子の軸方向で前記電力変換装置と重なるように配置されている
動力装置。
【請求項3】
請求項1に記載の動力装置において、
前記凹部は、底面部と、前記底面部から立ち上がる側面部と、を有し、
前記第1冷却部は、前記側面部に設けられ、かつ、前記回転子の径方向で前記電力変換装置と重なるように配置されている
動力装置。
【請求項4】
請求項2に記載の動力装置において、
前記第1冷却部は、
前記回転子の回転中心軸を中心とする筒状の外側筒部と、前記外側筒部よりも径方向内側に配置され前記回転子の回転中心軸を中心とする筒状の内側筒部と、を有し、前記外側筒部と前記内側筒部との間の冷媒収容部に冷媒を収容する筐体と、
前記外側筒部に設けられ、冷媒を前記冷媒収容部に流入させる入口部と、
前記外側筒部に設けられ、前記冷媒収容部から冷媒を外部に流出させる出口部と、を有している
動力装置。
【請求項5】
請求項4に記載の動力装置において、
前記第1冷却部は、前記冷媒収容部に設けられ周方向に間隔をあけて配置される複数の第1案内板を有し、
前記複数の第1案内板は、それぞれ前記回転子の径方向に沿って延在し、
前記複数の第1案内板によって、周方向に複数の第1冷媒室が形成され、
前記複数の第1案内板は、
周方向に隣接する前記第1冷媒室同士を連通する第1連通部が、前記内側筒部側に設けられる第1区画板と、
周方向に隣接する前記第1冷媒室同士を連通する第2連通部が、前記外側筒部側に設けられる第2区画板と、を有し、
前記第1区画板と前記第2区画板とは、周方向に交互に配置される
動力装置。
【請求項6】
請求項5に記載の動力装置において、
前記第1冷却部は、前記第1冷媒室に設けられ径方向に間隔をあけて配置される複数の第2案内板を有し、
前記複数の第2案内板は、それぞれ前記回転子の周方向に沿って延在し、
前記複数の第2案内板によって、径方向に複数の第2冷媒室が形成され、
前記複数の第2案内板は、
径方向に隣接する前記第2冷媒室同士を連通する第3連通部が、前記第1区画板側に設けられる第3区画板と、
径方向に隣接する前記第2冷媒室同士を連通する第4連通部が、前記第2区画板側に設けられる第4区画板と、を有し、
前記第3区画板と前記第4区画板とは、径方向に交互に配置される
動力装置。
【請求項7】
請求項5に記載の動力装置において、
前記第1案内板は、
前記底面部に立設され前記底面部の剛性を高める補強リブであり、
前記第1冷却部の筐体を貫通するように、前記側面部から前記回転子のシャフトに向かって径方向に延在する
動力装置。
【請求項8】
請求項1に記載の動力装置において、
前記ハウジングの外周面には、前記ハウジングの内周面に固定される前記固定子を冷却する第2冷却部が設けられ、
前記電力変換装置、前記第1冷却部、及び前記第2冷却部は、冷媒が流れる配管によって接続されている
動力装置。
【請求項9】
請求項1に記載の動力装置において、
前記電力変換装置及び前記第1冷却部は、冷媒が流れる配管によって接続され、
前記配管は、前記電力変換装置に接続される第1配管と、前記第1冷却部に接続される第2配管と、前記第1配管と前記第2配管とを接続する継手と、を有し、
前記継手は、前記電力変換装置が前記凹部に、前記回転子の軸方向から挿入されることにより、前記第1配管と前記第2配管とを接続する
動力装置。
【請求項10】
請求項1に記載の動力装置において、
前記第1冷却部に供給される冷媒が、前記動力装置が搭載される車両のエアコンディショナー用の冷媒である
動力装置。
【請求項11】
請求項1に記載の動力装置において、
液相の第1冷媒が収容され、熱を吸収して液相の前記第1冷媒を沸騰させる沸騰伝熱部が設けられる前記第1冷却部と、
前記沸騰伝熱部よりも上方に配置され、前記沸騰伝熱部で気化された気相の前記第1冷媒を凝縮させる凝縮部と、を有する第1冷却システムを備えている
動力装置。
【請求項12】
請求項11に記載の動力装置において、
前記凹部は、底面部と、前記底面部から立ち上がる側面部と、を有し、
前記第1冷却部は、前記底面部に設けられ、かつ、前記回転子の軸方向で前記電力変換装置と重なるように配置されている
動力装置。
【請求項13】
請求項11に記載の動力装置において、
前記凹部は、底面部と、前記底面部から立ち上がる側面部と、を有し、
前記第1冷却部は、前記側面部に設けられ、かつ、前記回転子の径方向で前記電力変換装置と重なるように配置されている
動力装置。
【請求項14】
請求項11に記載の動力装置において、
前記第1冷却システムと連通することなく独立した第2冷却システムを備え、
前記第2冷却システムは、
前記ハウジングの外周面に設けられ前記ハウジングの内周面に固定される前記固定子を冷却する第2冷却部と、
前記凝縮部を冷却する第3冷却部と、を有し、
前記電力変換装置、前記第3冷却部、及び前記第2冷却部は、第2冷媒が流れる配管によって接続されている
動力装置。
【請求項15】
請求項14に記載の動力装置において、
前記第3冷却部に供給される冷媒が、前記動力装置が搭載される車両のエアコンディショナー用の冷媒である
動力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機と、電動機への供給電力を直流から交流に変換する電力変換装置と、電動機で発生した動力を車輪に伝達する動力伝達装置と、電動機及び電力変換装置を冷却する冷却装置と、を備えた動力装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、電動機の筒状のハウジングに冷媒が流れる流路が形成された動力装置が開示されている。特許文献1に記載の動力装置では、ハウジングの流路を流れる冷媒によって、電動機のハウジングの外周面に取り付けられる複数の電力変換装置と、ハウジングの内周面に固定される電動機の固定子とが冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-18094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
動力装置は、小型化が求められている。小型化を図る場合、電動機及び電力変換装置で発生する熱による温度上昇を効果的に抑制することが要望されている。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、電動機のハウジングの外周面に電力変換装置が搭載された構成であり、その分、動力装置のサイズ(電動機の径方向のサイズ)が大きくなってしまっている。
【0006】
本発明は、小型化を図りつつ、電動機及び電力変換装置の温度上昇を効果的に抑制可能な動力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様による動力装置は、回転トルクを生成する電動機と、前記電動機に電力を供給する電力変換装置と、前記電動機で生成した回転トルクを車両の車輪に伝達する動力伝達装置と、を備える動力装置であって、前記電動機は、固定子と回転子を収納するハウジングを有し、前記ハウジングは、前記回転子の回転中心軸を中心に、軸方向に凹んだ凹部を有し、前記凹部には、前記電力変換装置の少なくとも一部が格納されるとともに、前記凹部を冷却する第1冷却部が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小型化を図りつつ、電動機及び電力変換装置の温度上昇を効果的に抑制可能な動力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る動力装置100を搭載した車両1000の構成を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る動力装置100の側面断面模式図であり、車両1000の前方から見た断面を示す。
図3図3は、第1冷却部50の内部構造を示す平面断面模式図である。
図4図4は、冷却システムSの冷媒の流れを模式的に示す図である。
図5図5は、第1冷却部50内の冷媒の流れを模式的に示す図である。
図6図6は、第1実施形態の変形例1に係る動力装置100の側面断面模式図であり、電力変換装置90と第1冷却部50とを接続する配管61の部分拡大図を示す。
図7図7は、第1実施形態の変形例2に係る動力装置100の側面断面模式図であり、電力変換装置90の支持構造について示す。
図8図8は、第1実施形態の変形例2に係る動力装置100の第1冷却部50の内部構造を示す平面断面模式図である。
図9図9は、第1実施形態の変形例3に係る動力装置100の側面断面模式図である。
図10図10は、本発明の第2実施形態に係る動力装置300の側面断面模式図である。
図11図11は、動力装置300の平面模式図であり、電力変換装置90及び第2冷却システムS2の図示は省略している。
図12図12は、第1冷却システムS1及び第2冷却システムS2の冷媒の流れを模式的に示す図である。
図13図13は、第2実施形態の変形例1に係る動力装置300の側面断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1図5を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る動力装置100を搭載した車両1000の構成を示す図である。車両1000は、車体フレーム1010と、車体フレーム1010に取り付けられる複数の車輪1020と、車体フレーム1010に固定されるバッテリ台1030と、バッテリ台1030に搭載されるバッテリ1050と、車体フレーム1010に固定される動力装置100と、を備える。
【0011】
動力装置100は、電源ケーブルによってバッテリ1050に接続されている。動力装置100は、バッテリ1050から電力の供給を受け、車両1000の駆動輪(例えば、前側の車輪1020)を回転駆動させる動力を発生する。車輪1020が回転することにより車両1000が走行する。
【0012】
図2は、第1実施形態に係る動力装置100の側面断面模式図であり、車両1000の前方から見た断面を示す。図2に示すように、動力装置100は、回転トルクを生成する電動機(モータ)10と、電動機10に電力を供給する電力変換装置(インバータ)90と、電動機10で生成した回転トルクを車両1000の車輪1020に伝達する動力伝達装置95と、を備える。
【0013】
電力変換装置90は、バッテリ1050から供給される直流電力を交流電力に変換して、交流電力を電動機10に供給する。電動機10に電力が供給されることにより、電動機10は回転トルクを発生する。電動機10のシャフト(回転軸)40は、動力伝達装置95に接続されている。動力伝達装置95は、車両1000の左右方向に延在する車軸96を介して車輪1020に接続されている。動力伝達装置95は、電動機10で発生した動力を、車軸96を介して車輪1020に伝達する。
【0014】
電動機10は、コイル21を有する固定子(ステータ)20と、回転子(ロータ)30と、固定子20及び回転子30を収納するハウジング19と、を備えている。電動機10は、例えば、永久磁石を有する回転子を備える同期電動機、かご型回転子を備える誘導電動機である。
【0015】
以下の説明において、「軸方向」、「周方向」、「径方向」とは、次のとおりである。「軸方向」とは、電動機10の回転中心軸(回転子30の回転中心軸)Caに沿う方向である。なお、回転中心軸Caは、円筒形状の固定子20の中心軸と一致する。「周方向」とは、電動機10の回転方向(回転子30の回転方向)に沿う方向、すなわち回転中心軸Caに直交しかつ回転中心軸Caを中心とする円周方向である。「径方向」とは、電動機10の回転中心軸Caに直交しかつ回転中心軸Caを中心とする放射方向、すなわち半径方向である。また、「内周側」は径方向内側(内径側)を指し、「外周側」はその逆方向、すなわち径方向外側(外径側)のことを指す。また、本実施形態に係る動力装置100は、回転中心軸Caが鉛直方向(車両1000の上下方向)に沿うように配置される。
【0016】
回転子30は、ギャップを介して固定子20の径方向内側に配置されている。回転子30は、支持部材31を介してシャフト40に接続されている。支持部材31は、円筒状の円筒部31aと、円筒部31aの一端部(図示下端部)寄りに設けられた円板状の円板部31bと、を有している。回転子30は、支持部材31の円筒部31aに固定される。シャフト40は、支持部材31の円板部31bに固定されている。回転子30は、図示しない複数の軸受によって支持されることにより、固定子20の内側で回転可能に保持される。軸受は、例えば、円筒部31aとハウジング19との間に設けてもよいし、シャフト40とハウジング19との間に設けてもよい。
【0017】
電動機10は、固定子20に巻回されるコイル21に三相交流電流が供給されることで、回転子30とともに支持部材31及びシャフト40が回転する。回転子30からシャフト40に伝達された回転トルクは、歯車を備える動力伝達装置95を介して、車軸96に伝達される。
【0018】
ハウジング19は、回転中心軸Caを中心に、軸方向に凹んだ凹部14を有している。凹部14には、電力変換装置90の一部もしくは全部が格納される。凹部14は、水平方向に延在する円板状の底面部11aと、底面部11aの外周縁から鉛直方向に立ち上がる側面部11bと、を有する。
【0019】
ハウジング19は、有底円筒状のハウジング本体13と、ハウジング本体13の上部開口を覆うカバー11と、を有する。ハウジング本体13は、固定子20の外周を覆う筒部と、固定子20及び回転子30の下方を覆う底部と、を有している。カバー11は、固定子20及び回転子30の上端部を覆う円環状の円環部11cと、支持部材31の円板部31bを覆う底面部11aと、底面部11aの外周端と円環部11cの内周端とを接続する円筒状の側面部11bとを有している。凹部14の底面部11aは、回転子30の上端部と下端部との間に位置している。
【0020】
凹部14の底面部11aには、底面部11aを冷却する第1冷却部50が設けられている。本実施形態では、第1冷却部50は、ハウジング19と別体であり、底面部11aに取り付けられている。電力変換装置90は、その下端面が底面部11aと対向して配置されている。第1冷却部50は、回転子30の軸方向で電力変換装置90と重なるように配置されている。
【0021】
電動機10の稼働中、固定子20で発生する熱は主にハウジング本体13の筒部に伝わり、回転子30で発生する熱は主に支持部材31に伝わる。回転子30で発生する熱、及び、支持部材31に伝わった熱は、ハウジング19内の空気を介してカバー11に伝わる。
【0022】
図3は、第1冷却部50の内部構造を示す平面断面模式図である。図3に示すように、第1冷却部50は、内部空間が冷媒を収容する冷媒収容部として形成される筐体150と、冷媒を冷媒収容部に流入させる入口部151と、冷媒収容部から冷媒を外部に流出させる出口部152と、を有している。筐体150は、回転中心軸Caを中心とする筒状の外側筒部153と、回転中心軸Caを中心とする筒状の内側筒部154と、を有している。内側筒部154は、外側筒部153よりも径方向内側に配置される。外側筒部153と内側筒部154の上端部同士は、天板155(図2参照)により接続されている。外側筒部153と内側筒部154の下端部同士は、底板156(図2参照)により接続されている。第1冷却部50の底板156は、ハウジング19の凹部14の底面部11aに当接している。外側筒部153と、内側筒部154と、天板155と、底板156と、によって囲まれる空間が、冷媒を収容する冷媒収容部である。入口部151及び出口部152は、外側筒部153に設けられている。
【0023】
第1冷却部50は、冷媒収容部に設けられ周方向に間隔をあけて配置される複数の第1案内板161を有している。複数の第1案内板161は、それぞれ回転子30の径方向に沿って延在している。複数の第1案内板161によって、周方向に複数の第1冷媒室161aが形成される。第1冷媒室161aは、周方向に隣接する一対の第1案内板161と外側筒部153と内側筒部154とによって画成され、平面視で扇状を呈する。
【0024】
複数の第1案内板161は、入口部151と出口部152との間に配置される仕切板160と、複数の第1区画板171と、複数の第2区画板172と、を有している。仕切板160は、外側筒部153から内側筒部154に亘って径方向に延在し、入口部151から冷媒収容部に流入した冷媒が出口部152側(図示下側)に流れることを防止する。第1区画板171と第2区画板172とは、周方向に交互に配置される。
【0025】
第1区画板171の内側筒部154側には、第1連通部171aが設けられる。第1連通部171aは、第1区画板171に形成される貫通孔に装着された短管である。第1連通部171aは、第1区画板171を挟むように周方向に隣接する第1冷媒室161a同士を連通する。第2区画板172の外側筒部153側には、第2連通部172aが設けられる。第2連通部172aは、第2区画板172に形成される貫通孔に装着された短管である。第2連通部172aは、第2区画板172を挟むように周方向に隣接する第1冷媒室161a同士を連通する。
【0026】
第1冷却部50は、第1冷媒室161aに設けられ径方向に間隔をあけて配置される複数の第2案内板162を有している。複数の第2案内板162は、それぞれ回転子30の周方向に沿って延在している。複数の第2案内板162によって、径方向に複数の第2冷媒室162aが形成される。第2冷媒室162aは、互いに隣接する第1案内板161間において、周方向に延在する流路を形成する。複数の第2案内板162は、複数の第3区画板173と複数の第4区画板174とを有している。第3区画板173と第4区画板174とは、径方向に交互に配置される。
【0027】
第3区画板173の第1区画板171側には、第3連通部173aが設けられる。第3区画板173は、第2区画板172から第1区画板171に向かって周方向に延在する。第3区画板173の先端部と第1区画板171との間には、第3連通部173aとしての隙間が形成される。第3連通部173aは、第3区画板173を挟むように径方向に隣接する第2冷媒室162a同士を連通する。
【0028】
第4区画板174の第2区画板172側には、第4連通部174aが設けられる。第4区画板174は、第1区画板171から第2区画板172に向かって周方向に延在する。第4区画板174の先端部と第2区画板172との間には、第4連通部174aとしての隙間が形成される。第4連通部174aは、第4区画板174を挟むように径方向に隣接する第2冷媒室162a同士を連通する。
【0029】
なお、仕切板160には、第2区画板172と同様の形態で、第1区画板171に向かって延在する第3区画板173が接続されている。仕切板160と第1区画板171との間の第1冷媒室161aには、第2区画板172と第1区画板171との間の第1冷媒室161aと同様、第3区画板173と第4区画板174とが径方向に交互に配置される。
【0030】
複数の第1案内板161及び複数の第2案内板162が冷媒収容部内に配置されることにより、流路51が形成される。流路51は、冷媒をジグザグ状に蛇行させつつ内径方向に案内する流路と、冷媒をジグザグ状に蛇行させつつ外径方向に案内する流路とが、周方向に交互に設けられる。流路51は、入口部151から出口部152に亘って、冷媒を略1周させるように形成される。
【0031】
図2に示すように、ハウジング19の凹部14の底面部11aには、回転中心軸Caを中心に放射状に配置される複数の補強リブ12が設けられている。補強リブ12は、底面部11aから鉛直方向に立ち上がる板状部材であり、径方向に延在している。補強リブ12は、第1冷却部50の筐体150を貫通するように、側面部11bからシャフト40に向かって径方向に延在している。補強リブ12は、一端部が側面部11bに接続され、他端部がシャフト40の先端部を収容する円筒状のシャフト収容部41に接続されている。なお、図示しないが、シャフト収容部41には、回転子30の回転角度を検出するレゾルバなどが配置されていてもよい。
【0032】
複数の補強リブ12が底面部11aに立設されることにより、底面部11aの曲げ剛性が向上する。補強リブ12は、第1冷却部50を周方向に分割するように配置される。補強リブ12のうち、第1冷却部50を分割する部分が、流路51を形成する第1案内板161として機能する。換言すれば、本実施形態において、第1案内板161は、底面部11aの剛性(機械的強度)を高める補強リブ12として機能する。第1冷却部50の内部の冷媒の流れについては、後述する。
【0033】
ハウジング本体13の外周面には、第2冷却部15が取り付けられている。第2冷却部15は、ハウジング本体13の内周面に固定される固定子20を冷却する。第2冷却部15は、回転中心軸Caを中心とする螺旋状の流路(以下、螺旋流路とも記す)16と、冷媒を螺旋流路16に流入させる入口部15aと、螺旋流路16から冷媒を流出させる出口部15bと、を有している。入口部15aは、第2冷却部15の上端部に設けられる。出口部15bは、第2冷却部15の下端部に設けられる。
【0034】
電力変換装置90は、電力変換装置90のケース(以下、インバータケース92とも記す)と、インバータケース92内に設けられるパワー半導体素子(不図示)と、を有する。インバータケース92の上端部には、冷媒をインバータケース92の内部に流入させる入口部92aと、インバータケース92の内部から冷媒を流出させる出口部92bと、を有している。入口部92aは、インバータケース92の上端部に設けられる。出口部92bは、インバータケース92の下端部に設けられる。なお、電力変換装置90は、図示しない支持部材によってハウジング19に固定される。電力変換装置90とハウジング19を接続する支持部材の形態には、種々の形態を採用できる。例えば、複数の補強リブ12のうちのいくつかを支持部材として利用してもよい。
【0035】
図4は、本実施形態に係る冷却システムSの冷媒の流れを模式的に示す図である。本実施形態に係る動力装置100の冷却システムSは、ポンプ72と、熱交換器71と、ポンプ72とインバータケース92の入口部92aとを接続する配管91と、インバータケース92の出口部92bと第1冷却部50の入口部151(図3参照)とを接続する配管61と、第1冷却部50の出口部152(図3参照)と第2冷却部15の入口部15aとを接続する配管62と、第2冷却部15の出口部15bと熱交換器71とを接続する配管17と、熱交換器71とポンプ72とを接続する配管(不図示)と、を有する。
【0036】
図4及び図5を参照して、動力装置100の冷却システムSの冷媒の流れを説明する。図5は第1冷却部50の冷媒収容部を流れる冷媒の流れを模式的に示す図である。図4に示すように、ポンプ72から吐出された冷媒は、配管91を通じて電力変換装置90に供給される(矢印F1参照)。冷媒は、入口部92aから電力変換装置90内に流入し、内部の流路を流れ、電力変換装置90の熱を奪って、出口部92bから流出する。これにより、電力変換装置90が冷却される。電力変換装置90から流出した冷媒は、配管61を通じて第1冷却部50に供給される(矢印F2参照)。冷媒は、入口部151(図3参照)から第1冷却部50内に流入し、内部の流路を流れ、底面部11aの熱を奪って、出口部152(図3参照)から流出する。底面部11aの熱は主に回転子30から伝わったものである。このため、底面部11aが冷却されることにより、回転子30が冷却される。
【0037】
第1冷却部50から流出した冷媒は、配管62を通じて第2冷却部15に供給される(矢印F3参照)。冷媒は、入口部15aから第2冷却部15に流入し、内部の螺旋流路16を流れ、ハウジング本体13の外周部の熱を奪って出口部15bから流出する。ハウジング本体13の外周部の熱は主に固定子20から伝わったものである。このため、ハウジング本体13の外周部が冷却されることにより、固定子20が冷却される。
【0038】
第2冷却部15から流出した冷媒は、配管17を通じて熱交換器71に供給される(矢印F4参照)。冷媒は、熱交換器71を流れることによって、ファン等によって生成される冷却風と熱交換を行う。これにより、冷媒の温度が低下する。熱交換器71から流出した冷媒は、ポンプ72に吸入され(矢印F5参照)、再び、配管91に吐出される。つまり、動力装置100は、冷却システムS内で冷媒を循環させることにより、電力変換装置90、回転子30及び固定子20を冷却する。
【0039】
なお、冷媒は、純水、フッ素系冷媒、フロン系冷媒などである。例えば、ハウジング19、第1冷却部50及び第2冷却部15など、冷媒の流路を形成する部材がアルミニウムである場合、冷媒には、フッ素系冷媒が採用される。また、例えば、冷媒の流路を形成する部材が銅である場合、冷媒には、純水が採用される。
【0040】
図5は、第1冷却部50内の冷媒の流れを模式的に示す図である。図5に示すように、第1冷却部50の冷媒収容部には、複数の第1案内板161、及び複数の第2案内板162が配置されることにより、冷媒の流路51が形成されている。
【0041】
入口部151から流路51内に流入した冷媒は、周方向一方から周方向他方に向かい、その後、周方向他方から周方向一方に向かい、再び、周方向一方から周方向他方に向かい、その後、周方向他方から周方向一方に向か、さらに、周方向一方から周方向他方に向かう。つまり、冷媒は、ジグザグに流動(蛇行)しつつ、径方向内側に向かって流れる。冷媒は、第1連通部171aを通じて、隣の第1冷媒室161aに導かれる。
【0042】
第1連通部171aを通過した冷媒は、周方向一方から周方向他方に向かい、その後、周方向他方から周方向一方に向かい、再び、周方向一方から周方向他方に向かい、その後、周方向他方から周方向一方に向か、さらに、周方向一方から周方向他方に向かう。つまり、冷媒は、ジグザグに流動(蛇行)しつつ、径方向外側に向かって流れる。冷媒は、第2連通部172aを通じて、隣の第1冷媒室161aに導かれる。
【0043】
冷媒は、ジグザグに流動しつつ径方向内側に向かう流れと、ジグザグに流動しつつ径方向外側に向かう流れとを、交互に繰り返す。これにより、冷媒は、複数の第1冷媒室161aを周方向に沿って順番に流れる。冷媒は、複数の第1冷媒室161aのうち、最後に流れ込む第1冷媒室161aに設けられた出口部152から配管62に排出される。このように、第1冷却部50の冷媒収容部には、冷媒をジグザグに蛇行させる流路51が形成されているため、第1冷却部50内の全面に亘って冷媒を流すことができる。
【0044】
第1実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0045】
(1)動力装置100は、回転トルクを生成する電動機10と、電動機10に電力を供給する電力変換装置90と、電動機10で生成した回転トルクを車両1000の車輪1020に伝達する動力伝達装置95と、を備える。電動機10は、固定子20と回転子30を収納するハウジング19を有する。ハウジング19は、回転子30の回転中心軸Caを中心に、軸方向に凹んだ凹部14を有する。凹部14には、電力変換装置90の少なくとも一部が格納されるとともに、凹部14を冷却する第1冷却部50が設けられている。
【0046】
ハウジング19の凹部14が冷却されることにより、ハウジング19内に収容される回転子30及び固定子20が冷却される。また、第1冷却部50によって、凹部14に格納された電力変換装置90の周囲温度が低減する。さらに、第1冷却部50が、ハウジング19の壁面と電力変換装置90との間に配置されることになるため、ハウジング19の熱が電力変換装置90に侵入することを抑制できる。
【0047】
また、凹部14により形成される空間が、電力変換装置90及び第1冷却部50の配置スペースとして利用される。このため、動力装置100の径方向及び軸方向の小型化を図りつつ、動力装置100の冷却性能を向上させることができる。小型化の実現により、小型電気自動車などの車両1000への動力装置100の実装が容易になる。このように、本実施形態によれば、小型化を図りつつ、電動機10及び電力変換装置90の温度上昇を効果的に抑制可能な動力装置100を提供することができる。
【0048】
(2)凹部14は、底面部11aと、底面部11aから立ち上がる側面部11bと、を有する。第1冷却部50は、底面部11aに設けられ、かつ、回転子30の軸方向で電力変換装置90と重なるように配置されている。この構成では、第1冷却部50により、電動機10のハウジング19の底面部11aが冷却される。これにより、支持部材31から底面部11aに伝わった回転子30の熱の放熱性が向上する。その結果、回転子30を効果的に冷却することができる。また、第1冷却部50によって、底面部11aの熱が凹部14に格納された電力変換装置90に侵入することを抑制できる。電動機10から電力変換装置90への熱侵入の影響を低減することができため、電力変換装置90の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0049】
(3)ハウジング19の外周面には、ハウジング19の内周面に固定される固定子20を冷却する第2冷却部15が設けられている。この構成では、第2冷却部15により、電動機10のハウジング19の外周部を冷却することができる。これにより、固定子20の放熱性を向上させることができる。その結果、固定子20を効果的に冷却することができる。また、電力変換装置90、第1冷却部50、及び第2冷却部15は、冷媒が流れる配管61,62によって接続されている。この構成によれば、電力変換装置90、第1冷却部50、及び第2冷却部15が、互いに連通されることなく独立した冷却システムを構成する場合に比べて、冷却システムSを簡素化できる。このように、本実施形態では、電力変換装置90、電動機10の回転子30及び固定子20のそれぞれの冷却効果を向上させることができる。各構成の冷却効果の向上による温度低減効果により、動力装置100の耐用年数が向上する。つまり、本実施形態によれば、信頼性の高い動力装置100を提供することができる。
【0050】
(4)第1冷却部50は、筐体150と、冷媒の入口部151と、冷媒の出口部152と、を有する。筐体150は、回転子30の回転中心軸Caを中心とする筒状の外側筒部153と、外側筒部153よりも径方向内側に配置され回転子30の回転中心軸Caを中心とする筒状の内側筒部154と、を有し、外側筒部153と内側筒部154との間の冷媒収容部に冷媒を収容する。入口部151は、外側筒部153に設けられ、冷媒を冷媒収容部に流入させる。出口部152は、外側筒部153に設けられ、冷媒収容部から冷媒を外部に流出させる。この構成によれば、冷媒の入口部151と出口部152が、凹部14の側面部11bの近傍に配置されるため、配管61,62の配置が容易となる。また、入口部151と配管61の接続部、及び、出口部152と配管62の接続部を軸方向から目視確認することができる。このため、配管61,62の接続部の点検が容易となる。
【0051】
(5)第1冷却部50は、冷媒収容部に設けられ周方向に間隔をあけて配置される複数の第1案内板161を有する。複数の第1案内板161は、それぞれ回転子30の径方向に沿って延在する。複数の第1案内板161によって、周方向に複数の第1冷媒室161aが形成される。複数の第1案内板161は、複数の第1区画板171と、複数の第2区画板172とを有する。第1区画板171と第2区画板172とは、周方向に交互に配置される。第1区画板171の内側筒部154側には、周方向に隣接する第1冷媒室161a同士を連通する第1連通部171aが設けられる。第2区画板172の外側筒部153側には、周方向に隣接する第1冷媒室161a同士を連通する第2連通部172aが設けられる。この構成では、冷媒が、周方向に配置される複数の第1冷媒室161aに順に流れる。また、径方向内側に向かう流れと、径方向外側に向かう流れとが交互に繰り返される。これにより、第1冷却部50を流れる冷媒が停滞する(淀む)ことを抑制することができる。その結果、凹部14の底面部11aを均一に冷却することができる。
【0052】
(6)第1冷却部50は、第1冷媒室161aに設けられ径方向に間隔をあけて配置される複数の第2案内板162を有する。複数の第2案内板162は、それぞれ回転子30の周方向に沿って延在する。複数の第2案内板162によって、径方向に複数の第2冷媒室162aが形成される。複数の第2案内板162は、複数の第3区画板173と、複数の第4区画板174とを有する。第3区画板173と第4区画板174とは、径方向に交互に配置される。第3区画板173の第1区画板171側には、径方向に隣接する第2冷媒室162a同士を連通する第3連通部173aが設けられる。第4区画板174の第2区画板172側には、径方向に隣接する第2冷媒室162a同士を連通する第4連通部174aが設けられる。この構成では、第1冷媒室161a内において、冷媒が、径方向に沿って配置される複数の第2冷媒室162aに順に流れる。また、周方向一方に向かう流れと、周方向他方に向かう流れとが交互に繰り返される。これにより、第1冷却部50を流れる冷媒が停滞する(淀む)ことを、さらに抑制することができる。その結果、凹部14の底面部11aを、さらに均一に冷却することができる。
【0053】
(7)第1案内板161は、底面部11aに立設され底面部11aの剛性を高める補強リブ12である。第1案内板161は、第1冷却部50の筐体150を貫通するように、側面部11bから回転子30のシャフト40に向かって径方向に延在する。補強リブ12(第1案内板161)は、側面部11bとシャフト40を収容する円筒状のシャフト収容部41に接続されている。この構成によれば、第1案内板161が、流路51を形成する流路形成部材としてだけでなく、底面部11aの剛性を高める補強リブ12として機能するため、部品点数の低減を図ることができる。
【0054】
<第1実施形態の変形例1>
図6は第1実施形態の変形例1に係る動力装置100の側面断面模式図であり、電力変換装置90と第1冷却部50とを接続する配管61の部分拡大図を示す。本変形例1では、上記第1実施形態と同様、電力変換装置90及び第1冷却部50は、冷媒が流れる配管61によって接続されている。配管61は、電力変換装置90の出口部92bに接続される上側配管(第1配管)61aと、第1冷却部50の入口部151に接続される下側配管(第2配管)61bと、上側配管61aと下側配管61bとを接続するカプラ(継手)61cと、を有する。
【0055】
カプラ61cは、ソケット(雌側継手)61dと、プラグ(雄側継手)61eと、を有する周知の構造である。図6に示す例では、上側配管61aのうち軸方向に延在する直線部の先端部にはソケット61dが設けられ、下側配管61bのうち軸方向に延在する直線部の先端部にはプラグ61eが設けられている。電力変換装置90が、回転子30の軸方向に沿って、上側から下側に向かって凹部14に挿入されることにより、上側配管61aと下側配管61bとがカプラ61cによって接続される。
【0056】
この構成では、動力装置100の組立時に、位置決めガイド(不図示)を用いて、電力変換装置90を軸方向に沿って移動させて凹部14内に組み込むことにより、上側配管61aと下側配管61bとがカプラ61cにより連結される。これにより、電力変換装置90と第1冷却部50の連結が容易になる。
【0057】
<第1実施形態の変形例2>
図7は第1実施形態の変形例2に係る動力装置100の側面断面模式図であり、電力変換装置90の支持構造について示す。本変形例2では、電力変換装置90のインバータケース92の外周部と凹部14の側面部11bとが、複数の連結部材93によって連結されている。複数の連結部材93は、回転中心軸Caを中心に放射状に配置される。連結部材93の形状には、種々の形状を採用できる。例えば、連結部材93は、矩形板状であってもよいし、円柱形状であってもよい。
【0058】
複数の連結部材93によって、側面部11bとインバータケース92の側面とが連結されることにより、インバータケース92が強度メンバとして機能し、電動機10が補強される。このため、本変形例では、第1実施形態で設けていた補強リブ12(図2及び図3参照)を省略することができる。
【0059】
図8は第1実施形態の変形例2に係る動力装置100の第1冷却部50の内部構造を示す平面断面模式図である。第1実施形態では、第1冷却部50が複数の補強リブ12によって周方向に分割された分割構造であった(図3参照)。これに対して、本変形例では、第1実施形態で説明した補強リブ12が設けられていない。このため、容易に、第1冷却部50を一体物として形成することができる。第1冷却部50が一体物として形成されることにより、凹部14の底面部11aに対する第1冷却部50の取付作業性が向上する。
【0060】
なお、本変形例の第1冷却部50は、第1実施形態と同様であり、仕切板260を含む複数の第1案内板261と、複数の第2案内板162と、を備える。第1実施形態の第1案内板161は、側面部11bからシャフト収容部41に亘って延在する補強リブ12であった(図2及び図3参照)。また、第1案内板161に設けられる第1連通部171a及び第2連通部172aは、貫通孔に装着された短管であった。
【0061】
これに対して、本変形例に係る複数の第1案内板261は、内側筒部154とは離隔し、かつ、外側筒部153に接続される複数の第1区画板271と、外側筒部153とは離隔し、かつ、内側筒部154に接続される複数の第2区画板272と、を有する。また、仕切板260は、内側筒部154から外側筒部153まで延在する。外側筒部153から径方向に延在する第1区画板271の先端部と内側筒部154との間には、第1連通部271aとしての隙間が形成される。内側筒部154から径方向に延在する第2区画板272の先端部と外側筒部153との間には、第2連通部272aとしての隙間が形成される。したがって、本変形例では、第1実施形態の流路51と同様の流路251が形成される。
【0062】
<第1実施形態の変形例3>
図9は第1実施形態の変形例3に係る動力装置100の側面断面模式図である。本変形例3では、凹部14に2種類の第1冷却部が設けられている。本変形例3の動力装置100は、底面部11aに設けられる第1冷却部(本変形例では底面冷却部とも記す)50と、側面部11bに設けられる第1冷却部(本変形例では側面冷却部とも記す)55と、を有している。つまり、本変形例に係る動力装置100は、第1実施形態の構成に、側面冷却部55が追加された構成である。
【0063】
側面冷却部55は、回転子30の径方向で電力変換装置90と重なるように配置されている。底面冷却部50と側面冷却部55とは、配管62aにより接続され、側面冷却部55と第2冷却部15とは、配管62bにより接続される。本変形例では、電力変換装置90、底面冷却部50、側面冷却部55、第2冷却部15の順に冷媒が流れる。
【0064】
この構成では、側面冷却部55により、電動機10のハウジング19の側面部11bが冷却される。これにより、支持部材31から側面部11bに伝わった回転子30の熱の放熱性が向上する。その結果、回転子30を効果的に冷却することができる。また、側面冷却部55によって、側面部11bの熱が凹部14に格納された電力変換装置90に侵入することを抑制できる。つまり、側面部11bから電力変換装置90への熱侵入の影響を低減することができる。
【0065】
このように、本変形例では、2種類の第1冷却部(底面冷却部50及び側面冷却部55)が凹部14に設けられている。このため、電動機10から電力変換装置90への熱侵入の影響をさらに低減することができるとともに、支持部材31からハウジング19に伝わった回転子30の熱の放熱性をさらに向上させることができる。
【0066】
なお、本変形例では、凹部14に設けられる第1冷却部として、底面冷却部50及び側面冷却部55が設けられる例について説明したが、底面冷却部50を省略してもよい。つまり、第1冷却部として、側面冷却部55のみが設けられていてもよい。
【0067】
<第1実施形態の変形例4>
第1冷却部50に供給される冷媒は、動力装置100が搭載される車両1000のエアコンディショナー用の冷媒であってもよい。この場合、熱交換器71は、車両1000に搭載されるエアコンディショナー冷媒用のラジエータである。この構成では、車両1000の内部の空気の温度を調節するエアコンディショナーの冷媒(例えば、環境破壊係数の小さいフロン系冷媒)を冷却する熱交換器(ラジエータ)71を利用して、動力装置100の冷媒を冷却することができる。
【0068】
<第1実施形態の変形例5>
第1実施形態では、第1冷却部50及び第2冷却部15が、それぞれ電動機10のハウジング19の表面に取り付けられる例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。第1冷却部50及び第2冷却部15は、それぞれハウジング19に一体形成されていてもよい。つまり、第1冷却部50の流路51は、カバー11に形成されていてもよい。また、第2冷却部15の流路16は、ハウジング本体13に形成されていてもよい。
【0069】
<第1実施形態の変形例6>
第1実施形態では、冷媒が電力変換装置90、第1冷却部50、第2冷却部15の順に流れる例について説明した。しかしながら、冷媒の流れる順序は、これに限定されない。例えば、冷却システムSは、冷媒が電力変換装置90、第2冷却部15、第1冷却部50の順に流れる構成であってもよい。
【0070】
<第1実施形態の変形例7>
第1実施形態では、冷媒を冷媒収容部に流入させる入口部151と、冷媒収容部から冷媒を外部に流出させる出口部152とが、外側筒部153に設けられている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。入口部151及び出口部152の少なくとも一方を内側筒部154に設けてもよい。また、入口部151及び出口部152の少なくとも一方を天板155に設けてもよい。
【0071】
<第1実施形態の変形例8>
冷媒収容部に形成される流路51は、種々の態様とすることができる。例えば、第2案内板162は、省略してもよい。
【0072】
<第1実施形態の変形例9>
第1実施形態に係る冷却システムSでは、電力変換装置90、第1冷却部50、及び第2冷却部15が配管61,62,17,91により直列に接続される例について説明した。しかしながら、冷却システムSの構成はこれに限定されない。冷却システムSは、電力変換装置90、第1冷却部50、及び第2冷却部15のそれぞれに専用のポンプ及び熱交換器を接続した構成であってもよい。この場合、電力変換装置90、第1冷却部50、及び第2冷却部15に対して、それぞれに対応して設けられた専用のポンプから個別に冷媒が供給される。
【0073】
<第2実施形態>
図10図12を参照して、本発明の第2実施形態に係る動力装置100について説明する。なお、第1実施形態で説明した構成と同一もしくは相当する構成には同一の参照記号を付し、相違点を主に説明する。
【0074】
図10は、本発明の第2実施形態に係る動力装置300の側面断面模式図である。図10に示すように、第2実施形態に係る動力装置300は、冷却システムSが、第1実施形態に係る動力装置100と異なるが、その他の構成は同様であるため、説明は省略する。
【0075】
第1実施形態では、第1冷却部50の筐体150の内部にジグザグ状の流路51が形成されていた。これに対して、第2実施形態では、底面部11aに設けられる冷媒収容部には、ジグザグ状の流路51は形成されていない。本第2実施形態に係る冷却システムSは、第1冷媒380の沸騰及び凝縮による相変化を利用して第1冷媒を自然対流により循環させるサーモサイフォン式(相変化熱輸送方式)の第1冷却システムS1と、ポンプ72(図12参照)により液相の第2冷媒を循環させる第2冷却システムS2と、を備えている。第1冷却システムS1と第2冷却システムS2とは互いに連通することなく独立している。
【0076】
なお、冷媒(第1冷媒380及び第2冷媒)は、純水、フッ素系冷媒、フロン系冷媒などである。例えば、冷媒の流路を形成する部材がアルミニウムである場合、冷媒には、フッ素系冷媒が採用される。また、例えば、冷媒の流路を形成する部材が銅である場合、冷媒には、純水が採用される。
【0077】
第1冷却システムS1は、液相の第1冷媒380が収容されるとともに沸騰伝熱部350aが配置される第1冷却部350と、凝縮部357と、案内通路358と、を有する。沸騰伝熱部350aは、熱を吸収して液相の第1冷媒380を沸騰させる。沸騰伝熱部350aは、第1冷媒380を蒸発させる部分であるため、蒸発部ともいえる。沸騰伝熱部350aは、支持部材31を介して伝わる熱を受ける部分であるため、受熱部ともいえる。凝縮部357は、沸騰伝熱部350aよりも上方に配置され、沸騰伝熱部350aで気化された気相の第1冷媒380を凝縮させる。案内通路358は、沸騰伝熱部350aで気化された第1冷媒380を凝縮部357に導くとともに、凝縮部357で液化された第1冷媒380を沸騰伝熱部350aに導く流路である。
【0078】
このように、第1冷却システムS1は、第1冷媒380の相変化時の潜熱を活用した熱輸送デバイスである。第1冷却システムS1は、沸騰伝熱部350aでの冷媒蒸気の生成、凝縮部357での冷媒蒸気の凝縮、並びに重力による凝縮液の沸騰伝熱部(受熱部)350aへの還流により効率的に熱輸送を行う。
【0079】
第1冷却部350は、底面部11aに設けられ、かつ、回転子30の軸方向で電力変換装置90と重なるように配置されている。第1冷却部350は、第1実施形態で説明した第1冷却部50と同様、底面部11aを冷却することにより、回転子30を冷却する。また、第1冷却部350が電力変換装置90と底面部11aとの間に配置されているため、底面部11aの熱が凹部14に格納された電力変換装置90に侵入することを抑制できる。これにより、電力変換装置90の温度上昇が抑制される。
【0080】
本第2実施形態に係る動力装置100は、ハウジング本体13とカバー11とによって構成されるハウジング319と、カバー11を上側から覆う追加カバー359と、を有している。カバー11と追加カバー359とで囲まれる密閉空間が、第1冷媒380を収容する冷媒収容部として形成される。追加カバー359は、底面カバー部359aと、側面カバー部359bと、上面板359cと、接続部359dと、を有する。底面カバー部359aは、底面部11aを上側から覆う円環状の部位である。側面カバー部359bは、側面部11bを径方向内側から覆う円筒状の部位である。上面板359cは、円環部11cを上側から覆う円環状の部位である。接続部359dは、上面板359cの外周端部と円環部11cの外周端部とを接続する円筒状の部位である。
【0081】
上面板359cには、凝縮部357を冷却する第3冷却部390が設けられている。第3冷却部390は、配管81によって電力変換装置90に接続され、配管82によって第2冷却部15に接続される。電力変換装置90から流出した冷媒は、配管81を通じて第3冷却部390に流入する。第3冷却部390に流入した冷媒は、凝縮部357及び上面板359cを介して冷媒収容部内の冷媒蒸気の熱を吸収する。
【0082】
凝縮部357は、上面板359cの下面に取り付けられる矩形板状のフィンである。図11は、動力装置300の平面模式図であり、電力変換装置90及び第2冷却システムS2の図示は省略している。図11に示すよう、本実施形態では、複数の凝縮部(フィン)357が、回転中心軸Caを中心に放射状に配置される。
【0083】
冷媒収容部には、沸騰伝熱部350aが液相の第1冷媒380に完全に浸かるように、十分な量の液相の第1冷媒380が封入されている。沸騰伝熱部350aは、液相の第1冷媒380の沸騰による蒸気泡を発生させる。沸騰伝熱部350aは、第1冷媒380の沸騰による蒸気泡の発生が促進される構造を有している。沸騰伝熱部350aは、例えば、微細多孔構造であることが望ましい。例えば、アルミダイキャストにより形成されたハウジング319に対して、スカイブ加工が施されることにより、微細多孔構造の沸騰伝熱部350aが形成される。沸騰伝熱部350aによって、第1冷媒380の沸騰による蒸気泡の発生が促進されることで、高い伝熱性能が得られる。その結果、ハウジング319の底面部11aの冷却効果がさらに増大する。なお、沸騰伝熱部350aの構造は、微細多孔構造とする場合に限定されない。沸騰伝熱部350aの構造は、微細な凹凸を有する構造など、沸騰を促進可能な種々の構造とすることができる。
【0084】
案内通路358は、沸騰伝熱部350aで沸騰し、凝縮部357に向かって上昇する冷媒蒸気の流路として機能する。また、案内通路358は、凝縮部357で凝縮した凝縮液(液相の第1冷媒380)が再び沸騰伝熱部350aへ還流するための流路として機能する。
【0085】
図11に示すように、ハウジング319の凹部14の底面部11aには、第1実施形態と同様、複数の補強リブ12が放射状に設置されている。つまり、沸騰伝熱部350aは、補強リブ12によって、周方向に分割される構成である。なお、第1実施形態の変形例2で説明した複数の連結部材93(図7参照)を設ける場合には、補強リブ12を省略することができる。
【0086】
図12を参照して、動力装置300の第1冷却システムS1及び第2冷却システムS2の冷媒の流れを説明する。図12は、第1冷却システムS1及び第2冷却システムS2の冷媒の流れを模式的に示す図である。第2冷却システムS2は、ポンプ72と、熱交換器71と、第2冷却部15と、第3冷却部390と、を備える。第2冷却システムS2は、電力変換装置90、第3冷却部390、及び第2冷却部15が、配管81,82によって接続されている。まず。第2冷却システムS2の第2冷媒の流れについて説明する。
【0087】
図12に示すように、ポンプ72から吐出された第2冷媒は、配管91を通じて電力変換装置90に供給される(矢印F1参照)。第2冷媒は、入口部92aから電力変換装置90内に流入し、内部の流路を流れ、電力変換装置90の熱を奪って、出口部から流出する。これにより、第1実施形態と同様、電力変換装置90が冷却される。
【0088】
電力変換装置90から流出した第2冷媒は、配管81を通じて第3冷却部390に供給される(矢印F2a参照)。第2冷媒は、第3冷却部390内の流路を流れ、上面板359cの熱を奪って、配管82に流出する。上面板359cの熱は主に凝縮部357から伝わったものである。このため、上面板359cが冷却されることにより、凝縮部357が冷却される。凝縮部357が冷却されることにより、第1冷却システムS1の冷媒蒸気(第1冷媒)が液化し、第1冷却部350に還流する。第1冷却部350に還流した液相の第1冷媒380は、底面部11aを冷却する。これにより、回転子30が冷却される。つまり、第3冷却部390は、間接的に、回転子30を冷却する。
【0089】
第3冷却部390から流出した第2冷媒は、配管82を通じて第2冷却部15に供給される(矢印F3a参照)。第2冷媒は、螺旋流路16を流れ、ハウジング本体13の外周部の熱を奪って配管17に流出する。これにより、第1実施形態と同様、ハウジング本体13の外周部が冷却されることにより、固定子20が冷却される。
【0090】
第2冷却部15から流出した第2冷媒は、配管17を通じて熱交換器71に供給される(矢印F4参照)。第2冷媒は、熱交換器71を流れることによって、ファン等によって生成される冷却風と熱交換を行う。これにより、第2冷媒の温度が低下する。熱交換器71から流出した第2冷媒は、ポンプ72に吸入され(矢印F5参照)、再び、配管91に吐出される。つまり、動力装置100は、第2冷却システムS2内で第2冷媒を循環させることにより、電力変換装置90、回転子30及び固定子20を冷却する。
【0091】
次に、第1冷却システムS1の冷媒収容部に封入された第1冷媒380の流れについて説明する。液相の第1冷媒380は、底面部11aの熱を吸熱した沸騰伝熱部350aで気化し、案内通路358を通じて凝縮部357に導かれる。気相の冷媒(冷媒蒸気)は、凝縮部357で凝縮される。凝縮部357で液体となった第1冷媒380は、重力によって案内通路358を下方に流れ、第1冷却部350で、再び、熱を吸収して気化する。第1冷却システムS1の冷媒収容部に封入された第1冷媒380が、底面部11aで加熱され、凝縮部357で冷却されることによって、自然対流が発生する。回転子30から底面部11aに伝わった熱は、上方に輸送される。輸送された熱は、凝縮部357を介して第2冷却システムS2の第3冷却部390内の第2冷媒に伝わる。これにより、回転子30が効果的に冷却される。
【0092】
第2実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0093】
(1)動力装置300は、第1冷却システムS1を備えている。第1冷却システムS1は、第1冷却部350及び凝縮部357を有する。第1冷却部350には、液相の第1冷媒380が収容される。また、第1冷却部350には、熱を吸収して液相の第1冷媒380を沸騰させる沸騰伝熱部350aが設けられる。凝縮部357は、沸騰伝熱部350aよりも上方に配置され、沸騰伝熱部350aで気化された気相の第1冷媒380を凝縮させる。この構成によれば、第1実施形態と同様、第1冷却部350により、電動機10のハウジング319を冷却することにより、回転子30を冷却できる。また、第1冷却部350によって、凹部14に格納された電力変換装置90の周囲温度が低減する。凹部14により形成される空間は、第1実施形態と同様、電力変換装置90及び第1冷却部50の配置スペースとして利用される。このため、動力装置300の径方向及び軸方向の小型化を図りつつ、動力装置300の冷却性能を向上させることができる。小型化の実現により、小型電気自動車などの車両1000への動力装置300の実装が容易になる。したがって、本第2実施形態によれば、第1実施形態と同様、小型化を図りつつ、電動機10及び電力変換装置90の温度上昇を効果的に抑制可能な動力装置300を提供することができる。
【0094】
(2)凹部14は、底面部11aと、底面部11aから立ち上がる側面部11bと、を有する。第1冷却部350は、底面部11aに設けられ、かつ、回転子30の軸方向で電力変換装置90と重なるように配置されている。この構成では、第1冷却部350により、電動機10のハウジング319の底面部11aが冷却される。これにより、支持部材31から底面部11aに伝わった回転子30の熱の放熱性が向上する。その結果、回転子30を効果的に冷却することができる。また、第1冷却部350によって、底面部11aの熱が凹部14に格納された電力変換装置90に侵入することを抑制できる。つまり、電動機10から電力変換装置90への熱侵入の影響を低減することができる。これにより、電力変換装置90の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0095】
(3)動力装置300は、第1冷却システムS1と連通することなく独立した第2冷却システムS2を備えている。第2冷却システムS2は、ハウジング319の外周面に設けられハウジング319の内周面に固定される固定子20を冷却する第2冷却部15と、凝縮部357を冷却する第3冷却部390と、を有する。電力変換装置90、第3冷却部390、及び第2冷却部15は、第2冷媒が流れる配管81,82によって接続されている。この構成では、第2冷却部15により、電動機10のハウジング319の外周部を冷却することができる。これにより、固定子20の放熱性を向上させることができる。その結果、固定子20を効果的に冷却することができる。このように、本実施形態では、電力変換装置90、電動機10の回転子30及び固定子20のそれぞれの冷却効果を向上させることができる。各構成の冷却効果の向上による温度低減効果により、動力装置300の耐用年数が向上する。つまり、本実施形態によれば、信頼性の高い動力装置300を提供することができる。
【0096】
<第2実施形態の変形例1>
図13は第2実施形態の変形例1に係る動力装置300の側面断面模式図である。本変形例1では、第1冷却部350の構成が第2実施形態と異なる。本変形例1に係る第1冷却部350は、底面部11aに設けられる沸騰伝熱部(本変形例では、底面蒸発部とも記す)350aに加え、側面部11bに設けられる沸騰伝熱部(本変形例では、側面蒸発部とも記す)350bを有している。側面蒸発部350bは、底面蒸発部350aと同様の構成であり、液相の第1冷媒380の沸騰による蒸気泡を発生させる。このため、側面蒸発部350bが液相の第1冷媒380に完全に浸かるように、十分な量の液相の第1冷媒380が冷媒収容部に封入されている。
【0097】
側面蒸発部350bは、回転子30の径方向で電力変換装置90と重なるように配置されている。底面蒸発部350a及び側面蒸発部350bで蒸発した気相の第1冷媒(冷媒蒸気)380は、案内通路358を通じて凝縮部357に導かれる。凝縮部357において、冷媒蒸気は液化し、第1冷却部350に還流する。
【0098】
本変形例では、液相の第1冷媒380、底面蒸発部350a及び側面蒸発部350bを含む第1冷却部350が、底面部11aと側面部11bに設けられる。この構成では、第1冷却部350により、電動機10のハウジング319の底面部11a及び側面部11bが冷却される。これにより、支持部材31から底面部11a及び側面部11bに伝わった回転子30の熱の放熱性が向上する。つまり、支持部材31からハウジング319へ伝わった回転子30の熱の放熱性をさらに向上させることができる。また、第1冷却部350によって、底面部11a及び側面部11bの熱が凹部14に格納された電力変換装置90に侵入することを、さらに抑制できる。つまり、電動機10から電力変換装置90への熱侵入の影響を、さらに低減することができる。
【0099】
なお、本変形例では、底面蒸発部350a及び側面蒸発部350bが設けられる例について説明したが、底面蒸発部350aを省略してもよい。つまり、側面蒸発部350bのみが設けられていてもよい。
【0100】
<第2実施形態の変形例2>
第1冷却部350に供給される冷媒は、動力装置300が搭載される車両1000のエアコンディショナー用の冷媒であってもよい。この場合、熱交換器71は、車両1000に搭載されるエアコンディショナー冷媒用のラジエータである。この構成では、車両1000の内部の空気の温度を調節するエアコンディショナーの冷媒(例えば、環境破壊係数の小さいフロン系冷媒)を冷却する熱交換器(ラジエータ)71を利用して、動力装置300の冷媒を冷却することができる。
【0101】
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、上述した内容は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態やその変形例の構成の一部を他の実施形態やその変形例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態やその変形例の構成に他の実施形態やその変形例の構成を加えることも可能である。また、ある実施形態やその変形例の構成の一部について、他の実施形態やその変形例の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0102】
10…電動機、11…カバー、11a…底面部、11b…側面部、11c…円環部、12…補強リブ、13…ハウジング本体、14…凹部、15…第2冷却部、19…ハウジング、20…固定子、30…回転子、31…支持部材、31a…円筒部、31b…円板部、40…シャフト(回転軸)、41…シャフト収容部、50…第1冷却部(底面冷却部)、51…流路、55…第1冷却部(側面冷却部)、61…配管、61a…上側配管(第1配管)、61b…下側配管(第2配管)、61c…カプラ(継手)、61d…ソケット(雌側継手)、61e…プラグ(雄側継手)、62…配管、62a…配管、62b…配管、71…熱交換器、72…ポンプ、81…配管、82…配管、90…電力変換装置、95…動力伝達装置、96…車軸、100…動力装置、150…筐体、151…入口部、152…出口部、153…外側筒部、154…内側筒部、155…天板、156…底板、160…仕切板(第1案内板)、161…第1案内板、161a…第1冷媒室、162…第2案内板、162a…第2冷媒室、171…第1区画板(第1案内板)、171a…第1連通部、172…第2区画板(第1案内板)、172a…第2連通部、173…第3区画板(第2案内板)、173a…第3連通部、174…第4区画板(第2案内板)、174a…第4連通部、251…流路、260…仕切板(第1案内板)、261…第1案内板、271…第1区画板(第1案内板)、271a…第1連通部、272…第2区画板(第1案内板)、272a…第2連通部、300…動力装置、319…ハウジング、350…第1冷却部、350a…沸騰伝熱部(底面蒸発部)、350b…沸騰伝熱部(側面蒸発部)、357…凝縮部(フィン)、358…案内通路、359…追加カバー、359a…底面カバー部、359b…側面カバー部、359c…上面板、359d…接続部、380…第1冷媒、390…第3冷却部、1000…車両、Ca…回転中心軸、S…冷却システム、S1…第1冷却システム、S2…第2冷却システム
図1
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