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特開2024-157130カッティング装置、カッティング方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157130
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】カッティング装置、カッティング方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B26D 5/00 20060101AFI20241030BHJP
   B23Q 15/00 20060101ALI20241030BHJP
   G05B 19/4093 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
B26D5/00 F
B23Q15/00 301J
G05B19/4093 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071277
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】513161689
【氏名又は名称】ACS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳史
【テーマコード(参考)】
3C024
3C269
【Fターム(参考)】
3C024AA07
3C269BB05
3C269CC02
3C269CC07
3C269EF02
3C269EF56
3C269GG01
(57)【要約】
【課題】従来に比して更に切断時間を短縮することができるカッティング装置、カッティング方法、及びプログラムを提案する。
【解決手段】カッティング装置1は、第一領域A1に含まれるカットラインLの長さと第二領域A2に含まれるカットラインLの長さが略同一であり、第一開始領域A1aに含まれるカットラインLの長さが第二開始領域A2aに含まれるカットラインLの長さよりも大である状態において、制御手段5は、第一移動手段3に対して第一開始領域A1aでの第一切断手段Sの移動が終わった後に第一終了領域A1bに含まれるカットラインLに沿って第一切断手段Sを移動させるように指令を送るとともに、第二移動手段4に対して第二開始領域A2aでの第二切断手段Sの移動が終わった後に第二終了領域A2bに含まれるカットラインLに沿って第二切断手段Sを移動させるように指令を送る。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースに載置した材料を切断するカッティング装置であって、
前記ベースに対して第一切断手段を移動させる第一移動手段と、
前記ベースに対して前記第一移動手段と略同速度で第二切断手段を移動させる第二移動手段と、
前記第一移動手段及び前記第二移動手段に指令を送り前記第一切断手段及び前記第二切断手段をカットラインに沿って移動させて前記材料を所定の形状に切断する制御手段と、を備え、
前記材料における前記カットラインが占める領域が中央境界予定線によって第一領域と第二領域に区画されるとともに、該中央境界予定線に対向する第一境界予定線によって該第一領域が第一開始領域と第一終了領域に区画され、該中央境界予定線に対向する第二境界予定線によって該第二領域が該第一終了領域に隣接する第二開始領域と第二終了領域に区画され、且つ該第一領域に含まれる該カットラインの長さと該第二領域に含まれる該カットラインの長さが略同一であり、該第一開始領域に含まれる該カットラインの長さが該第二開始領域に含まれる該カットラインの長さよりも大である状態において、
前記制御手段は、
前記第一移動手段に対して、前記第一開始領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第一切断手段を移動させ、該第一開始領域での該第一切断手段の移動が終わった後に前記第一終了領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第一切断手段を移動させるように指令を送るとともに、前記第二移動手段に対して、前記第二開始領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第二切断手段を移動させ、該第二開始領域での該第二切断手段の移動が終わった後に前記第二終了領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第二切断手段を移動させるように指令を送るカッティング装置。
【請求項2】
前記カットラインは、少なくとも一つの包絡部を含んでいて、
前記制御手段は、
前記第一領域に含まれる前記カットラインの長さと前記第二領域に含まれる前記カットラインの長さが略同一であって、且つ前記包絡部と前記中央境界予定線、前記第一境界予定線、及び前記第二境界予定線とが交差せずに該包絡部が前記第一開始領域、前記第一終了領域、前記第二開始領域、及び前記第二終了領域の何れかに含まれるように該中央境界予定線、該第一境界予定線、及び該第二境界予定線の位置を設定する境界予定線設定手段と、
前記第一移動手段に対して、前記第一開始領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第一切断手段を移動させ、該第一開始領域での該第一切断手段の移動が終わった後に前記第一終了領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第一切断手段を移動させるように指令を送るとともに、前記第二移動手段に対して、前記第二開始領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第二切断手段を移動させ、該第二開始領域での該第二切断手段の移動が終わった後に前記第二終了領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第二切断手段を移動させるように指令を送る指令手段と、を備える請求項1に記載のカッティング装置。
【請求項3】
ベースに載置した材料を切断するためのカッティング方法であって、
前記ベースに対して第一切断手段を移動させる第一移動手段と、
前記ベースに対して前記第一移動手段と略同速度で第二切断手段を移動させる第二移動手段と、
前記第一移動手段及び前記第二移動手段に指令を送り前記第一切断手段及び前記第二切断手段をカットラインに沿って移動させて前記材料を所定の形状に切断する制御手段と、を備え、
前記材料における前記カットラインが占める領域が中央境界予定線によって第一領域と第二領域に区画されるとともに、該中央境界予定線に対向する第一境界予定線によって該第一領域が第一開始領域と第一終了領域に区画され、該中央境界予定線に対向する第二境界予定線によって該第二領域が該第一終了領域に隣接する第二開始領域と第二終了領域に区画され、且つ該第一領域に含まれる該カットラインの長さと該第二領域に含まれる該カットラインの長さが略同一であり、該第一開始領域に含まれる該カットラインの長さが該第二開始領域に含まれる該カットラインの長さよりも大である状態において、
前記制御手段は、
前記第一移動手段に対して、前記第一開始領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第一切断手段を移動させ、該第一開始領域での該第一切断手段の移動が終わった後に前記第一終了領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第一切断手段を移動させるように指令を送るとともに、前記第二移動手段に対して、前記第二開始領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第二切断手段を移動させ、該第二開始領域での該第二切断手段の移動が終わった後に前記第二終了領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第二切断手段を移動させるように指令を送る工程を有するカッティング方法。
【請求項4】
コンピュータで実行され、ベースに載置した材料を切断するカッティング装置のためのプログラムであって、
前記カッティング装置は、
前記ベースに対して第一切断手段を移動させる第一移動手段と、
前記ベースに対して前記第一移動手段と略同速度で第二切断手段を移動させる第二移動手段と、
前記第一移動手段及び前記第二移動手段に指令を送り前記第一切断手段及び前記第二切断手段をカットラインに沿って移動させて前記材料を所定の形状に切断する制御手段と、を備え、
前記材料における前記カットラインが占める領域が中央境界予定線によって第一領域と第二領域に区画されるとともに、該中央境界予定線に対向する第一境界予定線によって該第一領域が第一開始領域と第一終了領域に区画され、該中央境界予定線に対向する第二境界予定線によって該第二領域が該第一終了領域に隣接する第二開始領域と第二終了領域に区画され、且つ該第一領域に含まれる該カットラインの長さと該第二領域に含まれる該カットラインの長さが略同一であり、該第一開始領域に含まれる該カットラインの長さが該第二開始領域に含まれる該カットラインの長さよりも大である状態において、
前記制御手段は、
前記第一移動手段に対して、前記第一開始領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第一切断手段を移動させ、該第一開始領域での該第一切断手段の移動が終わった後に前記第一終了領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第一切断手段を移動させるように指令を送るとともに、前記第二移動手段に対して、前記第二開始領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第二切断手段を移動させ、該第二開始領域での該第二切断手段の移動が終わった後に前記第二終了領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第二切断手段を移動させるように指令を送る、ようにコンピュータを実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベースに載置した材料を切断するカッティング装置、カッティング方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ベースに載置した材料を切断する装置として、特許文献1には、第一工作ヘッドを移動させる第一移動機構と第二工作ヘッドを移動させる第二移動機構とを備える工作装置が示されている。
【0003】
特許文献1の装置は、第一移動機構と第二移動機構を移動させた際にこれらが衝突(機械的干渉)しないようにするべく、同文献の図8に示されているように材料を切断する領域を3つ(第一工作領域、第二工作領域、第三工作領域)に分割している。ここで第一工作領域は、第一移動機構で第一工作ヘッドを移動させて材料を切断する領域であり、第二工作領域は、第二移動機構で第二工作ヘッドを移動させて材料を切断する領域である。また第一工作領域と第二工作領域は、第一移動機構と第二移動機構が同時に移動しても互いに機械的干渉が生じない範囲となっている。なお第三工作領域は、第一工作領域と第二工作領域を除いた範囲であって、第一工作領域と第二工作領域で材料の切断を行った後、第一移動機構又は第二移動機構によって材料の切断を行う領域である。
【0004】
このように、材料を切断する領域を第一工作領域、第二工作領域、第三工作領域に分割することにより、第一工作領域で材料の切断を行うと同時に第二工作領域で材料の切断を行うことができるため、材料を切断する時間を短縮させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4425677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで特許文献1の装置では、第一工作領域と第二工作領域では材料の切断を同時に行えるものの、その後に行う第三工作領域での切断は、第一移動機構と第二移動機構の何れか一方のみでしか行うことができない。すなわち特許文献1の装置は、2つの工作ヘッドをそれぞれ移動させる2つの移動機構を備えているが、1つの工作ヘッドを1つの移動機構で移動させる場合の切断時間に対して、これを半分近くの時間にすることができる訳ではない。
【0007】
このような点に鑑み、本発明は、従来に比して更に切断時間を短縮することができるカッティング装置、カッティング方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ベースに載置した材料を切断するカッティング装置であって、前記ベースに対して第一切断手段を移動させる第一移動手段と、前記ベースに対して前記第一移動手段と略同速度で第二切断手段を移動させる第二移動手段と、前記第一移動手段及び前記第二移動手段に指令を送り前記第一切断手段及び前記第二切断手段をカットラインに沿って移動させて前記材料を所定の形状に切断する制御手段と、を備え、前記材料における前記カットラインが占める領域が中央境界予定線によって第一領域と第二領域に区画されるとともに、該中央境界予定線に対向する第一境界予定線によって該第一領域が第一開始領域と第一終了領域に区画され、該中央境界予定線に対向する第二境界予定線によって該第二領域が該第一終了領域に隣接する第二開始領域と第二終了領域に区画され、且つ該第一領域に含まれる該カットラインの長さと該第二領域に含まれる該カットラインの長さが略同一であり、該第一開始領域に含まれる該カットラインの長さが該第二開始領域に含まれる該カットラインの長さよりも大である状態において、前記制御手段は、前記第一移動手段に対して、前記第一開始領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第一切断手段を移動させ、該第一開始領域での該第一切断手段の移動が終わった後に前記第一終了領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第一切断手段を移動させるように指令を送るとともに、前記第二移動手段に対して、前記第二開始領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第二切断手段を移動させ、該第二開始領域での該第二切断手段の移動が終わった後に前記第二終了領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第二切断手段を移動させるように指令を送るものである。
【0009】
このようなカッティング装置において、前記カットラインは、少なくとも一つの包絡部を含んでいて、前記制御手段は、前記第一領域に含まれる前記カットラインの長さと前記第二領域に含まれる前記カットラインの長さが略同一であって、且つ前記包絡部と前記中央境界予定線、前記第一境界予定線、及び前記第二境界予定線とが交差せずに該包絡部が前記第一開始領域、前記第一終了領域、前記第二開始領域、及び前記第二終了領域の何れかに含まれるように該中央境界予定線、該第一境界予定線、及び該第二境界予定線の位置を設定する境界予定線設定手段と、前記第一移動手段に対して、前記第一開始領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第一切断手段を移動させ、該第一開始領域での該第一切断手段の移動が終わった後に前記第一終了領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第一切断手段を移動させるように指令を送るとともに、前記第二移動手段に対して、前記第二開始領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第二切断手段を移動させ、該第二開始領域での該第二切断手段の移動が終わった後に前記第二終了領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第二切断手段を移動させるように指令を送る指令手段と、を備えることが好ましい。
【0010】
また本発明は、ベースに載置した材料を切断するためのカッティング方法であって、前記ベースに対して第一切断手段を移動させる第一移動手段と、前記ベースに対して前記第一移動手段と略同速度で第二切断手段を移動させる第二移動手段と、前記第一移動手段及び前記第二移動手段に指令を送り前記第一切断手段及び前記第二切断手段をカットラインに沿って移動させて前記材料を所定の形状に切断する制御手段と、を備え、前記材料における前記カットラインが占める領域が中央境界予定線によって第一領域と第二領域に区画されるとともに、該中央境界予定線に対向する第一境界予定線によって該第一領域が第一開始領域と第一終了領域に区画され、該中央境界予定線に対向する第二境界予定線によって該第二領域が該第一終了領域に隣接する第二開始領域と第二終了領域に区画され、且つ該第一領域に含まれる該カットラインの長さと該第二領域に含まれる該カットラインの長さが略同一であり、該第一開始領域に含まれる該カットラインの長さが該第二開始領域に含まれる該カットラインの長さよりも大である状態において、前記制御手段は、前記第一移動手段に対して、前記第一開始領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第一切断手段を移動させ、該第一開始領域での該第一切断手段の移動が終わった後に前記第一終了領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第一切断手段を移動させるように指令を送るとともに、前記第二移動手段に対して、前記第二開始領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第二切断手段を移動させ、該第二開始領域での該第二切断手段の移動が終わった後に前記第二終了領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第二切断手段を移動させるように指令を送る工程を有するカッティング方法でもある。
【0011】
また本発明は、コンピュータで実行され、ベースに載置した材料を切断するカッティング装置のためのプログラムであって、前記カッティング装置は、前記ベースに対して第一切断手段を移動させる第一移動手段と、前記ベースに対して前記第一移動手段と略同速度で第二切断手段を移動させる第二移動手段と、前記第一移動手段及び前記第二移動手段に指令を送り前記第一切断手段及び前記第二切断手段をカットラインに沿って移動させて前記材料を所定の形状に切断する制御手段と、を備え、前記材料における前記カットラインが占める領域が中央境界予定線によって第一領域と第二領域に区画されるとともに、該中央境界予定線に対向する第一境界予定線によって該第一領域が第一開始領域と第一終了領域に区画され、該中央境界予定線に対向する第二境界予定線によって該第二領域が該第一終了領域に隣接する第二開始領域と第二終了領域に区画され、且つ該第一領域に含まれる該カットラインの長さと該第二領域に含まれる該カットラインの長さが略同一であり、該第一開始領域に含まれる該カットラインの長さが該第二開始領域に含まれる該カットラインの長さよりも大である状態において、前記制御手段は、前記第一移動手段に対して、前記第一開始領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第一切断手段を移動させ、該第一開始領域での該第一切断手段の移動が終わった後に前記第一終了領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第一切断手段を移動させるように指令を送るとともに、前記第二移動手段に対して、前記第二開始領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第二切断手段を移動させ、該第二開始領域での該第二切断手段の移動が終わった後に前記第二終了領域に含まれる前記カットラインに沿って前記第二切断手段を移動させるように指令を送る、ようにコンピュータを実行させるプログラムでもある。
【発明の効果】
【0012】
本発明のカッティング装置では、上記のように、第一領域に含まれるカットラインの長さと第二領域に含まれるカットラインの長さが略同一である状態において、制御手段は、第一移動手段に対して、第一開始領域に含まれるカットラインに沿って第一切断手段を移動させ、更に第一開始領域での第一切断手段の移動が終わった後に第一終了領域に含まれるカットラインに沿って第一切断手段を移動させるように指令を送るとともに、第二移動手段に対して、第二開始領域に含まれるカットラインに沿って第二切断手段を移動させ、更に第二開始領域での第二切断手段の移動が終わった後に第二終了領域に含まれるカットラインに沿って第二切断手段を移動させるように指令を送るため、材料を切断する際の第一移動手段と第二移動手段との衝突を防止し、また1つの切断手段を1つの移動機構で移動させる場合に比して切断時間を半分近くに短縮することができる。
【0013】
ところで、カットラインに包絡部が含まれる場合、この包絡部が第一領域と第二領域の両方に跨がっていると、第一切断手段で切断した部分と第二切断手段で切断した部分境界でカットラインが一致しないおそれがある。これに対して上記のような境界予定線設定手段、及び指令手段を備えるカッティング装置によれば、包絡部を第一切断手段又は第二切断手段の何れか一方のみで切断することができるため、このようなカットラインの不一致が防止されて切断品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に従うカッティング装置の一実施形態を概略的に示した平面図である。
図2図1の第一移動手段を側面視で示した概略図である。
図3図1の第一移動手段を正面視で示した概略図である。
図4】カッティング装置のブロック図である。
図5】カットラインを付して示した材料の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に従うカッティング装置、カッティング方法、及びプログラムの一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に示した本実施形態のカッティング装置1は、材料Wを、図2図3に示した切断刃Sによって切断するものである。まず、材料Wと切断刃Sについて説明する。
【0016】
材料Wは、本実施形態では平面視において矩形状をなし、平板状に形成されたものである。なお、図示した材料Wの形状は一例であって、これに限定されるものではない。また材料Wの材質は、段ボールのような紙製品や、薄板状の合成樹脂板あるいは金属板、更には比較的厚みのあるポリエチレンや発泡材など、種々のものが含まれる。本実施形態の材料Wは、図5に示すカットラインLに沿って切断されるものとする。カットラインLは、図示した円形、楕円形、正方形、長方形のように始点と終点が一致し且つ途中で自分自身と交わることのない単純閉曲線状の閉じたラインになる複数の包絡部LE(本実施形態においては、包絡部LEa、包絡部LEb・・・包絡部LEj・・・包絡部LEk・・・)と、図示した波線のように始点と終点が離れて開いたラインになる複数の解放部LR(本実施形態においては、解放部LRa、解放部LRb)とで構成されている。なお、図示したカットラインLの形状、長さ、位置等は一例であって、適宜変更可能である。またカットラインLは、包絡部LEのみで構成されていてもよいし、解放部LRのみで構成されていてもよい。
【0017】
切断刃Sは、図2図3に示すように平刃状になるものであり、図3に示すように平板状になる延在面S1の側縁部には、材料Wを切断する刃先S2が設けられている。切断刃Sは、後述するホルダー29に対して取り外し可能であって、ホルダー29に保持される部位から先端の切先S3までの長さが比較的長い長尺の切断刃や、長さの短い短尺の切断刃の他、刃先S2が延在面S1の両側に設けられた両刃のものや片側だけに設けられた片刃のものなど、種々の切断刃Sを取り付けることができる。
【0018】
次に、図示したカッティング装置1について説明する。本実施形態のカッティング装置1は、ベース2、第一移動手段3、第二移動手段4を備えている。第一移動手段3と第二移動手段4は、上述した切断刃Sを保持している。なお、本実施形態の第一移動手段3と第二移動手段4が保持する切断刃Sは同一であるが、第一移動手段3と第二移動手段4で異なる切断刃Sを用いてもよい。第一移動手段3が保持する切断刃Sは、本明細書等における「第一切断手段」に相当し、第二移動手段4が保持する切断刃Sは、本明細書等における「第二切断手段」に相当する。
【0019】
ベース2は、材料Wを載置するものであって、材料Wを載置する表面は、本実施形態では図1に示したXYZ直交座標系に対して、そのXY平面に平行に延在しているものとする。なお、本実施形態でXY平面は水平方向に延在するものであり、Z方向は高さ方向である。またθ方向とは、図3に示すようにZ軸を周回する方向であり、α方向とは、図2に示すようにX軸を周回する方向である。
【0020】
ベース2の表面には、負圧によって材料Wを吸着保持するための吸着穴(不図示)が設けられている。またベース2には、カッティング装置1に設けられる各種手段を駆動するための電源、エア源等に接続するための付帯設備の他、カッティング装置1を制御するための制御手段5(図4参照)が設けられている。制御手段5は、例えばPLC(プログラマブルロジックコントローラ)やPC(パーソナルコンピュータ)等のコンピュータで具現化される。なお、コンピュータの内部記憶装置やこれに接続される外部記憶装置(以下、記憶手段6と称する)には、カッティング装置1の動作を制御するプログラムが記憶されていて、制御手段5はこのプログラムに基づいてカッティング装置1の動作を制御する。また記憶手段6には、カットラインLに関する情報も記憶されていて、制御手段5は、記憶手段6に記憶されているカットラインLに関する情報を読み出し、この情報に基づいて第一移動手段3と第二移動手段4を移動させ、第一移動手段3が保持する切断刃Sと第二移動手段4が保持する切断刃Sで材料Wを切断する。
【0021】
図4に示すように本実施形態の制御手段5は、境界予定線設定手段5a、指令手段5cを備えている。なお、境界予定線設定手段5a、指令手段5cに関する詳細な内容は後述する。
【0022】
第一移動手段3は、ベース2に対して第一移動手段3で保持した切断刃Sを移動させる機能を有する。本実施形態の第一移動手段3は、ベース2に対して切断刃Sを、X方向、Y方向、Z方向、θ方向、α方向に移動させることができる。そして第二移動手段4は、ベース2に対して第二移動手段4で保持した切断刃Sを移動させる機能を有していて、本実施形態では第一移動手段3のように保持した切断刃SをX方向、Y方向、Z方向、θ方向、α方向に移動させる機能を有する。なお、本実施形態における第二移動手段4の構成は図示した第一移動手段3と同一であるため、第二移動手段4に関する詳細な説明は省略する。
【0023】
本実施形態の第一移動手段3は、Y方向に延在するとともにベース2に対してX方向に間隔をあけて設けられる一対のY軸レール(不図示)と、Y軸レールを摺動するY軸ナット(不図示)と、Y軸ナットに保持されるX軸フレーム10(図2参照)と、X方向に延在するとともにX軸フレーム10に対してZ方向に間隔をあけて設けられる一対のX軸レール11と、X軸レール11を摺動するX軸ナット12と、X軸ナット12に保持されるX軸移動ベース13を含んで構成されている。また第一移動手段3は、X軸フレーム10やX軸移動ベース13を移動させるための駆動手段(不図示)も備えている。本実施形態の駆動手段はサーボモータであるが、他のモータ(ステッピングモータなど)を用いてもよい。また、第一移動手段3で用いられる直動機構は、上述したレールとナットとの組み合わせに限られず、タイミングベルトとプーリを利用した機構、ボールねじを用いた機構、ラックとピニオンを利用した機構を用いてもよい。
【0024】
また第一移動手段3は、Z方向に延在するとともにX軸移動ベース13に対してX方向に間隔をあけて設けられる一対のZ軸レール14と、Z軸レール14を摺動するZ軸ナット15と、Z軸ナット15に保持されるZ軸移動ベース16と、Z軸モータ17と、Z軸モータ17の回転によってZ軸移動ベース16を移動させるボールねじ18を備えている。
【0025】
更に第一移動手段3は、Z方向に間隔をあけて設けられる一対のベアリング19と、ベアリング19に回転可能に支持されるθ回転軸20と、θ回転軸20に保持されるθ軸ベース21(図3参照)と、θ回転軸20に取り付けられるθ軸プーリ22と、タイミングベルトを介してθ軸プーリ22を回転させるθ軸モータ23を備えている。
【0026】
また第一移動手段3は、図3に示すようにθ軸ベース21に回転可能に支持されるα回転軸24と、α回転軸24に取り付けられるα軸プーリ25と、図2に示すようにタイミングベルトを介してα軸プーリ25を回転させるα軸モータ26と、α回転軸24とともに回転するスプラインケース27と、スプラインケース27に対して進退可能に設けられるスプライン軸28と、スプライン軸28の先端に設けられ、切断刃Sを保持するホルダー29を備えている。
【0027】
更に第一移動手段3は、切断刃Sをその長手方向に振動させる振動手段と、切断刃Sで材料Wを切断する際に材料Wを押えておく材料押圧手段を備えている。
【0028】
本実施形態の振動手段は、スプライン軸28の後端に連結するクランク30と、回転可能に軸支されるとともにクランク30を進退移動させる偏心カム付きシャフト31と、偏心カム付きシャフト31に取り付けられる振動付与用プーリ32と、ベルト(タイミングベルト)を介して振動付与用プーリ32を回転させる振動付与用モータ33とを含んで構成されている。すなわち、振動付与用モータ33によって偏心カム付きシャフト31が回転すると、その偏心量の振幅をもってクランク30が振動し、これによりホルダー29を取り付けたスプライン軸28も振動するため、ホルダー29に保持される切断刃Sを長手方向に沿って振動させることができる。
【0029】
材料押圧手段は、切断刃Sの近傍に設けられる押圧板34と、押圧板34をZ方向に移動可能に支持するガイド35と、押圧板34を材料Wに対して押圧するための弾性体36とを含んで構成されている。
【0030】
次に、カッティング装置1を用いて材料Wを切断するカッティング方法の一例に関し、図5に示したカットラインLに沿って切断刃Sを移動させて材料Wを切断する方法について説明する。
【0031】
材料Wを切断するにあたり、制御手段5は、記憶手段6に記憶されているカットラインLに関する情報を読み出し、材料WにおけるカットラインLが占める領域(全体領域A)を特定する。本実施形態の全体領域Aは、材料WにおけるX方向中央及びY方向中央に位置しているが、材料Wに対して片寄った位置に設けられていてもよい。
【0032】
次いで制御手段5は、境界予定線設定手段5aによって中央境界予定線CLを設定し、全体領域Aを第一領域A1と第二領域A2に区画する。本実施形態の中央境界予定線CLは基本的にX方向に延在していて、第一領域A1と第二領域A2がY方向に横並びになるように全体領域Aを区画する。ここで境界予定線設定手段5aは、中央境界予定線CLを、第一領域A1に含まれるカットラインLの長さと第二領域A2に含まれるカットラインLの長さが略同一であるように設定する。ここで、第一領域A1に含まれるカットラインLの長さと第二領域A2に含まれるカットラインLの長さが略同一であるように設定するとは、第一領域A1に含まれるカットラインLの長さと第二領域A2に含まれるカットラインLの長さの差を第一領域A1に含まれるカットラインLの長さで除した(割った)値が所定の値以下になることをいい、一例として10%以下になる場合をいう。
【0033】
更に境界予定線設定手段5aは、中央境界予定線CLに対向する第一境界予定線B1を設定して、第一領域A1を第一開始領域A1aと第一終了領域A1bに区画し、且つ中央境界予定線CLに対向する第二境界予定線B2を設定して、第二領域A2を、第一終了領域A1bに隣接する第二開始領域A2aと第二終了領域A2bに区画する。本実施形態の中央境界予定線CLは基本的にX方向に延在していて、第一境界予定線B1と第二境界予定線B2も基本的にX方向に延在する。よって全体領域Aは、第一開始領域A1a、第一終了領域A1b、第二開始領域A2a、第二終了領域A2bがY方向に横並びになるように区画される。ここで境界予定線設定手段5aは、第一境界予定線B1と第二境界予定線B2を、第一開始領域A1aに含まれるカットラインLの長さが第二開始領域A2aに含まれるカットラインLの長さよりも大きくなるように設定する。
【0034】
また境界予定線設定手段5aは、中央境界予定線CLを、包絡部LEと中央境界予定線CLが交差せずに包絡部LEが第一領域A1及び第二領域A2の何れかに含まれるように設定する機能を有する。
【0035】
カットラインLが図5に示したものである場合、本実施形態の境界予定線設定手段5aは、まず全体領域Aに含まれるカットラインL(包絡部LEと解放部LR)の全ての長さを算出し、X方向に直線状に延在する中央境界予定線CLでこの長さが半分になるように仮設定することにより全体領域Aを第一領域A1と第二領域A2に仮で区画する。更に境界予定線設定手段5aは、X方向に直線状に延在する第一境界予定線B1で、第一領域A1を第一開始領域A1aと第一終了領域A1bに仮で区画し、X方向に直線状に延在する第二境界予定線B2で、第二領域A2を、第一終了領域A1bに隣接する第二開始領域A2aと第二終了領域A2bに仮で区画する。
【0036】
また境界予定線設定手段5aは、仮で設定した中央境界予定線CLと包絡部LEが交差する場合は、図5に示すように中央境界予定線CLの一部を+Y方向又は-Y方向に移動させて、中央境界予定線CLと包絡部LEが交差しないように設定することができる(図5における包絡部LEf、包絡部LEg、包絡部LEjを参照)。なお、中央境界予定線CLの一部を+Y方向に移動させるか-Y方向に移動させるかは、仮で区画した第一領域A1に含まれるカットラインLの長さと仮で区画した第二領域A2に含まれるカットラインLの長さの差ができるだけ小さくなる条件で決定される。
【0037】
ここで、包絡部LEの大きさや形状等によっては、中央境界予定線CLの一部を+Y方向又は-Y方向に移動させる量が大きくなり、第一領域A1に含まれるカットラインLの長さと第二領域A2に含まれるカットラインLの長さの差が所定の値を超えて、第一領域A1に含まれるカットラインLの長さと第二領域A2に含まれるカットラインLの長さが実質的に相違することがある。この場合は、後述する切断時間を短縮する効果が十分に得られないおそれがある。一方、第一領域A1に含まれるカットラインLの長さと第二領域A2に含まれるカットラインLの長さの差を所定の値に収めることを優先すると、中央境界予定線CLが包絡部LEに交差することがある。この場合は、後述するカットラインの不一致を防止する効果が損なわれることになる。このような点に鑑み、境界予定線設定手段5aは、切断時間を短縮する効果とカットラインLの不一致を防止する効果の何れを優先するかが選択でき(都度選択できるようにしてもよいし、予め何れかを選択していてもよい)、その選択に応じて中央境界予定線CLが決定されるように構成されていてもよい。すなわち、切断時間を短縮する効果を優先させる場合は、例えば中央境界予定線CLはX方向に直線状に延在するものと設定される。
【0038】
更に境界予定線設定手段5aは、中央境界予定線CLと同様に、第一境界予定線B1と第二境界予定線B2についてもそれらの一部を+Y方向又は-Y方向に移動させて、第一境界予定線B1と第二境界予定線B2が包絡部LEと公差しないように設定する。なお、切断時間を短縮する効果を優先させる場合は、中央境界予定線CLと同様に、第一境界予定線B1と第二境界予定線B2はX方向に直線状に延在するものと設定すればよい。
【0039】
また境界予定線設定手段5aは、カットラインLに含まれる解放部LRと交差しないように中央境界予定線CLを設定する機能を備えていてもよい。この場合に境界予定線設定手段5aは、カットラインLに含まれる解放部LRと交差しないように中央境界予定線CLを設定するにあたり、切断時間を短縮する効果とカットラインLの不一致を防止する効果の何れを優先するかが選択でき(都度選択できるようにしてもよいし、予め何れかを選択していてもよい)、その選択に応じて中央境界予定線CLが決定されるように構成されていてもよい。本実施形態の境界予定線設定手段5aは、カットラインLに含まれる解放部LRと交差しないように中央境界予定線CLを設定する機能、及びカットラインの不一致を防止する効果よりも切断時間を短縮する効果を優先して中央境界予定線CLが決定される機能を有している。なお図5に示した解放部LRを構成する解放部LRa、解放部LRbは、何れもY方向に長く延在しているため、中央境界予定線CLの一部を+Y方向又は-Y方向に移動させても、中央境界予定線CLが解放部LRaと解放部LRbに交差することになる。このため本実施形態の境界予定線設定手段5aは、中央境界予定線CLが解放部LRaと解放部LRbに交差する位置を、解放部LRaと解放部LRbの長さが約半分になるところに設定している。
【0040】
また本実施形態では、境界予定線設定手段5aによって、中央境界予定線CLを設定して全体領域Aを第一領域A1と第二領域A2に区画し、更に第一境界予定線B1と第二境界予定線B2を設定して第一領域A1を第一開始領域A1aと第一終了領域A1bに区画するとともに、第二領域A2を第二開始領域A2aと第二終了領域A2bに区画したが、これらの区画は、例えば作業員が行ってもよい。作業員が全体領域Aを第一領域A1と第二領域A2に区画する場合は、カットラインLの長さが約半分になるように、且つ包絡部LEa、包絡部LEb・・・と交差しないように中央境界予定線CLを設定し、また必要に応じて第一開始領域A1aに含まれるカットラインLの長さが第二開始領域A2aに含まれるカットラインLの長さよりも大きくなるように、且つ包絡部LEa、包絡部LEb・・・と交差しないように第一境界予定線B1と第二境界予定線B2を設定する。そして第一開始領域A1aには、包絡部LEa、包絡部LEb、包絡部LEc、包絡部LEd・・・と、第一端部E1(詳細は下記参照)から第一境界予定線B1に至る範囲での解放部LRa及び解放部LRbが含まれ、第一終了領域A1bには、包絡部LEh・・・と、第一境界予定線B1から中央境界予定線CLに至る範囲での解放部LRa及び解放部LRbが含まれ、第二開始領域A2aには、包絡部LEe、包絡部LEf、包絡部LEg、包絡部LEj・・・と、中央境界予定線CLから第二境界予定線B2に至る範囲での解放部LRa及び解放部LRbが含まれ、第二終了領域A2bには、包絡部LEk・・・と、第二境界予定線B2から第二端部E2(詳細は下記参照)に至る範囲での解放部LRa及び解放部LRbが含まれることを記憶手段6に記憶させておけばよい。
【0041】
ここで、第一領域A1における中央境界予定線CLに対向する端部を第一端部E1と称し、第二領域A2における中央境界予定線CLに対向する端部を第二端部E2と称する。本実施形態の第一端部E1は、図5に示すように、基本的にX方向に延在する中央境界予定線CLに対し、この中央境界予定線CLに対向していて第一領域A1におけるX方向に延在する端部である。また第二端部E2は、図5に示すように、基本的にX方向に延在する中央境界予定線CLに対し、この中央境界予定線CLに対向していて第二領域A2におけるX方向に延在する端部である。
【0042】
次いで制御手段5は、指令手段5cによって、第一移動手段3に対して、第一開始領域A1aに含まれるカットラインLに沿って第一移動手段3が保持する切断刃Sを移動させ、第一開始領域A1aでの切断刃Sの移動が終わった後に第一終了領域A1bに含まれるカットラインLに沿って切断刃Sを移動させるように指令を送るとともに、第二移動手段4に対して、第二開始領域A2aに含まれるカットラインLに沿って第二移動手段4が保持する切断刃Sを移動させ、第二開始領域A2aでの切断刃Sの移動が終わった後に第二終了領域A2bに含まれるカットラインLに沿って切断刃Sを移動させるように指令を送る。ここで制御手段5は、第一移動手段3と略同速度で第二移動手段4を移動させるように指令を送る。なお略同速度とは、例えば第一移動手段3の速度と第二移動手段4の速度の差を第一移動手段3の速度で除した(割った)値が所定の値以下になることをいい、一例として10%以下になる場合をいう。なお、各領域内で切断刃Sを移動させるにあたっては、向きや位置は任意に設定することができる。例えば、第一移動手段3が保持する切断刃Sを第一開始領域A1aで移動させる場合、第一開始領域A1aに含まれる複数の包絡部LEを切断する順番は、第一端部E1に近いものから順に切断されるように設定してもよいし、第一境界予定線B1に近いものから順に切断されるように設定してもよい。
【0043】
このように指令手段5cから指令を送ると、第一移動手段3が保持する切断刃Sが第一開始領域A1aで切断を開始し、第二移動手段4が保持する切断刃Sが第二開始領域A2aで切断を開始する。また、第一移動手段3が保持する切断刃Sによる第一終了領域A1bでの切断は、第一開始領域A1aでの切断が終了した後に開始される。そして上述したように第一開始領域A1aに含まれるカットラインLの長さは、第二開始領域A2aに含まれるカットラインLの長さよりも大きくなるように設定されている。従って、第一移動手段3による第一開始領域A1aでの切断が終了するよりも先に、第二移動手段4による第二開始領域A2aでの切断が終了するため、第一移動手段3が第一終了領域A1bで切断を開始するときには、既に第二移動手段4は第二終了領域A2bでの切断を開始している。すなわち第一移動手段3と第二移動手段4は、Y方向に間隔をあけた状態で材料Wの切断を開始し、その後もY方向に間隔をあけた状態で材料Wの切断を行うため、第一移動手段3と第二移動手段4が衝突することがない。
【0044】
また第一領域A1に含まれるカットラインLの長さと第二領域A2に含まれるカットラインLの長さは略同一であるため、本実施形態のカッティング装置1によれば、1つの切断刃を1つの移動機構で移動させる場合に比して切断時間を半分近くに短縮することができる。更に、1つの包絡部LEは、第一移動手段3が保持する切断刃S、又は第二移動手段4が保持する切断刃Sのみで切断されるため、上述したカットラインの不一致が防止されて切断品質を高めることができる。
【0045】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば上述した実施形態の構成は、適宜追加、削除が可能であり、また一の実施形態の構成を他の実施形態に設けることも可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0046】
例えば図2図3に示した第一移動手段3の構成は一例であって、第一切断手段や第二切断手段を他の構成で移動させてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1:カッティング装置
2:ベース
3:第一移動手段
4:第二移動手段
5:制御手段
5a:境界予定線設定手段
5c:指令手段
A1:第一領域
A1a:第一開始領域
A1b:第一終了領域
A2:第二領域
A2a:第二開始領域
A2b:第二終了領域
B1:第一境界予定線
B2:第二境界予定線
CL:中央境界予定線
L:カットライン
LE:包絡部
S:切断刃(第一切断手段、第二切断手段)
W:材料
図1
図2
図3
図4
図5