(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157133
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】ブロック、ブロックを製造する方法、混合物の粘度を調整する方法、ブロックを製造するための加水量の計算方法、リサイクル判定システムおよび破砕サイディング材の製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 28/02 20060101AFI20241030BHJP
C04B 18/167 20230101ALI20241030BHJP
B28B 1/08 20060101ALI20241030BHJP
B28C 7/00 20060101ALI20241030BHJP
B28C 7/04 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
C04B28/02
C04B18/167
B28B1/08
B28C7/00
B28C7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071285
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】514147930
【氏名又は名称】株式会社西田
(74)【代理人】
【識別番号】100154025
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 聡
(72)【発明者】
【氏名】西田 進
【テーマコード(参考)】
4G056
4G112
【Fターム(参考)】
4G056AA08
4G056CA00
4G056CA01
4G056CA03
4G056CA09
4G056CB00
4G056CB17
4G056CB19
4G056DA01
4G056DA08
4G056DA09
4G112PA30
4G112PA34
(57)【要約】
【課題】
サイディング材をリサイクルする場合、サイディング材に含まれる有機質物質について、何らかの制限があった方が消費者に受け入れられやすいと考えられる。
【解決手段】
本発明のブロックを製造する方法は、サイディング材を有機質物質に応じて選別する選別工程S10と、前記選別されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程S20と、前記破砕されたサイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程S30と、前記混合された混合物を型に流し込み固化する固化工程S40とを包含している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕されたサイディング材およびセメントを包含するブロックであって、前記破砕されたサイディング材が有機質物質に応じて選別されているブロック。
【請求項2】
破砕されたサイディング材およびセメントを包含するブロックであって、前記破砕されたサイディング材が選別されており木片を含まないブロック。
【請求項3】
破砕されたサイディング材およびセメントを包含するブロックであって、前記破砕されたサイディング材が選別されており、それに含まれる有機質物質が1割以下であるブロック。
【請求項4】
砂をさらに包含する請求項1~3のうちの1つに記載のブロック。
【請求項5】
サイディング材を有機質物質に応じて選別する選別工程と、
前記選別されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程と、
前記破砕されたサイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程と、
前記混合された混合物を型に流し込み固化する固化工程とを包含する、ブロックを製造する方法。
【請求項6】
木片を含まないサイディング材を選択する選別工程と、
前記選択されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程と、
前記破砕されたサイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程と、
前記混合された混合物を型に流し込み固化する固化工程とを包含する、ブロックを製造する方法。
【請求項7】
有機質物質が1割以下であるサイディング材を選択する選別工程と、
前記選択されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程と、
前記破砕されたサイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程と、
前記混合された混合物を型に流し込み固化する固化工程とを包含する、ブロックを製造する方法。
【請求項8】
前記混合工程において、さらに砂を混合する請求項5~7のうちの1つに記載のブロックを製造する方法。
【請求項9】
有機質物質に応じて選別され破砕されたサイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程と、
前記混合された混合物の粘度が所定の粘度であるかを判定する判定工程とを包含し、
前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、水を追加して混合する粘度調整工程を包含する混合物の粘度を調整する方法。
【請求項10】
木片を含まないサイディング材が選択され破砕されたもの、サイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程と、
前記混合された混合物の粘度が所定の粘度であるかを判定する判定工程とを包含し、
前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、水を追加して混合し、前記破砕されたサイディング材および前記セメントに加えられた水の量の総和を計算し出力する、ブロックを製造するための加水量の計算方法。
【請求項11】
有機質物質が1割以下であるサイディング材が選択され破砕されたもの、セメントおよび水を混合する混合工程と、
前記混合された混合物の粘度が所定の粘度であるかを判定する判定工程とを包含し、
前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、水を追加して混合し、前記破砕されたサイディング材および前記セメントに加えられた水の量の総和を計算し出力する、ブロックを製造するための加水量の計算方法。
【請求項12】
前記混合工程において、さらに砂を混合する請求項9~11のうちの1つに記載のブロックを製造するための加水量の計算方法。
【請求項13】
コンピュータがリサイクルすべきサイディング材の識別情報を受け取る工程と、
前記コンピュータが、前記識別情報に基づき、前記識別情報に対応するサイディング材をリサイクルすることが可能かを判定する判定工程とを包含する、リサイクル判定システム。
【請求項14】
前記判定工程において、前記コンピュータが、予め登録された識別情報とそれに紐付けされたサイディング材に含まれる有機質物質の情報とのテーブルを前記識別情報に基づき検索し、前記リサイクルすべきサイディング材に木片が含まれていない場合に、ブロックにリサイクル可能であると判定する請求項13に記載のリサイクル判定システム。
【請求項15】
前記判定工程において、前記コンピュータが、予め登録された識別情報とそれに紐付けされたサイディング材に含まれる有機質物質の情報とのテーブルを前記識別情報に基づき検索し、有機質物質が1割以下である場合に、ブロックにリサイクル可能であると判定する請求項13に記載のリサイクル判定システム。
【請求項16】
前記判定工程において、前記コンピュータが、予め登録された識別情報とそれに紐付けされたサイディング材に含まれる有機質物質の情報とのテーブルを前記識別情報に基づき検索し、木片が含まれている場合に、前記サイディング材を加熱し木質物質を除去することによりリサイクル可能であると判定する請求項13に記載のリサイクル判定システム。
【請求項17】
サイディング材を有機質物質に応じて選別する選別工程と、
前記選別されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程とを包含する破砕サイディング材の製造方法。
【請求項18】
木片を含まないサイディング材を選択する選別工程と、
前記選択されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程とを包含する破砕サイディング材の製造方法。
【請求項19】
有機質物質が1割以下であるサイディング材を選択する選別工程と、
前記選択されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程とを包含する破砕サイディング材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック、ブロックを製造する方法、混合物の粘度を調整する方法、ブロックを製造するための加水量の計算方法、リサイクル判定システムおよび破砕サイディング材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポーラスコンクリートの骨材として、破砕後の平均粒径が5~15mmの木質材料・セメント硬化体の破砕物を用いることにより、透水性と保水性にすぐれた保水性ポーラスコンクリート成形体が知られている(特許文献1)。
【0003】
基層に木片コンクリートを用い、表層に透水性コンクリートを用いた敷設用ブロックが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4235019号公報
【特許文献2】特許第4404701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、木質材料を含むブロックが製造されているが、近年、木質物質が含まれるサイディング材の廃材は、管理型混合廃棄物として処分されている。このため、サイディング材をリサイクルする場合、サイディング材に含まれる木質物質などについて、何らかの制限があった方が消費者に受け入れられやすいと発明者は考える。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のブロックは、破砕されたサイディング材およびセメントを包含するブロックであって、前記破砕されたサイディング材が有機質物質に応じて選別されている。ここで、有機質物質とは、木質物質、パルプ、セルロースおよびポリスチレンの少なくとも1つであってもよい。木質物質とは、木片、木繊維、および木質系繊維の少なくとも1つであってもよい。
【0007】
本発明の実施形態では、前記破砕されたサイディング材が、特定の有機質物質を含まなくてもよく、またはその破砕されたサイディング材の有機質物質の含有率を一定以下であってもよい。また、特定の有機質物質が木片であってもよい。
【0008】
本発明の別のブロックは、破砕されたサイディング材およびセメントを包含するブロックであって、前記破砕されたサイディング材が選別され木片を含まない。
【0009】
本発明の他のブロックは、破砕されたサイディング材およびセメントを包含するブロックであって、前記破砕されたサイディング材が選別されそれに含まれる有機質物質が1割以下である。
【0010】
本発明の実施形態では、ブロックが砂をさらに包含してもよい。
【0011】
本発明のブロックを製造する方法は、サイディング材が有機質物質に応じて選別される選別工程と、前記選別されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程と、前記破砕されたサイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物を型に流し込み固化する固化工程とを包含する。
【0012】
本発明の別のブロックを製造する方法は、木片を含まないサイディング材を選択する選別工程と、前記選択されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程と、前記破砕されたサイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物を型に流し込み固化する固化工程とを包含する。
【0013】
本発明の他のブロックを製造する方法は、有機質物質が1割以下であるサイディング材を選択する選別工程と、前記選択されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程と、前記破砕されたサイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物を型に流し込み固化する固化工程とを包含する。
【0014】
本発明の実施形態では、前記混合工程において、さらに砂が混合されてもよい。
【0015】
本発明の混合物の粘度を調整する方法は、有機質物質に応じて選別され破砕されたサイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物の粘度が所定の粘度であるかを判定する判定工程とを包含し、前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、前記有機質物質に応じて選別され破砕されたサイディング材、前記セメントおよび前記水の少なくとも1つを追加して混合する粘度調整工程を包含する。
【0016】
本発明の別の混合物の粘度を調整する方法は、木片を含まないサイディング材が選択され破砕されたもの、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物の粘度が所定の粘度であるかを判定する判定工程とを包含し、前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、前記木片を含まないサイディング材が選択され破砕されたもの、前記セメントおよび前記水の少なくとも1つを追加して混合する粘度調整工程を包含する。
【0017】
本発明の他の混合物の粘度を調整する方法は、有機質物質が1割以下であるサイディング材が選択され破砕されたもの、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物の粘度が所定の粘度であるかを判定する判定工程とを包含し、前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、前記有機質物質が1割以下であるサイディング材が選択され破砕されたもの、前記セメントおよび前記水の少なくとも1つを追加して混合する粘度調整工程を包含する。
【0018】
本発明のブロックを製造するための水量の計算方法は、有機質物質に応じて選別され破砕されたサイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物の粘度が所定の粘度であるかを判定する判定工程とを包含し、前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、水を追加して混合し、前記破砕されたサイディング材および前記セメントに加えられた水の量の総和を計算し出力する。
【0019】
本発明の別のブロックを製造するための水量の計算方法は、木片を含まないサイディング材が選択され破砕されたもの、サイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物の粘度が所定の粘度であるかを判定する判定工程とを包含し、前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、水を追加して混合し、前記破砕されたサイディング材および前記セメントに加えられた水の量の総和を計算し出力する。
【0020】
本発明のさらに別のブロックを製造するための水量の計算方法は、有機質物質が1割以下であるサイディング材が選択され破砕されたもの、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物の粘度が所定の粘度であるかを判定する判定工程とを包含し、前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、水を追加して混合し、前記破砕されたサイディング材および前記セメントに加えられた水の量の総和を計算し出力する。
【0021】
本発明の他のブロックを製造するための水量の計算方法は、サイディング材を有機質物質に応じて選別する選別工程と、前記選別されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程と、前記破砕されたサイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物の粘度が所定の粘度であるかを判定する判定工程とを包含し、前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、水を追加して混合し、前記破砕されたサイディング材および前記セメントに加えられた水の量の総和を計算し出力する。
【0022】
本発明のさらに他のブロックを製造するための水量の計算方法は、木片を含まないサイディング材を選択する選別工程と、前記選択されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程と、前記破砕されたサイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物の粘度が所定の粘度であるかを判定する判定工程とを包含し、前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、水を追加して混合し、前記破砕されたサイディング材および前記セメントに加えられた水の量の総和を計算し出力する。
【0023】
本発明の外のブロックを製造するための水量の計算方法は、有機質物質が1割以下であるサイディング材を選択する選別工程と、前記選択されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程と、前記破砕されたサイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物の粘度が所定の粘度であるかを判定する判定工程とを包含し、前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、水を追加して混合し、前記破砕されたサイディング材および前記セメントに加えられた水の量の総和を計算し出力する。
【0024】
本発明の実施形態では、前記混合工程において、さらに砂が混合されてもよい。
【0025】
本発明のリサイクル判定システムは、コンピュータがリサイクルすべきサイディング材の識別情報を受け取る工程と、前記コンピュータが、前記識別情報に対応するサイディング材に含まれる有機質物質の情報に基づき、前記識別情報に対応するサイディング材をリサイクルすることが可能かを判定する判定工程とを包含する。
【0026】
本発明の別のリサイクル判定システムは、ユーザが端末を介して、リサイクルすべきサイディング材の識別情報を前記端末と回線を通じてつながっているコンピュータに送信する工程と、前記コンピュータが、前記識別情報を受け取り、前記識別情報に対応するサイディング材に含まれる有機質物質の情報に基づき、前記識別情報に対応するサイディング材をリサイクルすることが可能かを判定する判定工程と、前記判定した結果を前記端末に送信する工程を包含する。
【0027】
本発明の実施形態では、前記判定工程において、前記コンピュータが、予め登録された識別情報とそれに紐付けされたサイディング材に含まれる有機質物質の情報とのテーブルを前記識別情報に基づき検索し、前記リサイクルすべきサイディング材に木片が含まれていない場合に、ブロックにリサイクル可能であると判定してもよい。
【0028】
本発明の別の実施形態では、前記判定工程において、前記コンピュータが、予め登録された識別情報とそれに紐付けされたサイディング材に含まれる有機質物質の情報とのテーブルを前記識別情報に基づき検索し、有機質物質が1割以下である場合に、ブロックにリサイクル可能であると判定してもよい。
【0029】
本発明の他の実施形態では、前記判定工程において、前記コンピュータが、予め登録された識別情報とそれに紐付けされたサイディング材に含まれる有機質物質の情報とのテーブルを前記識別情報に基づき検索し、木質物質が含まれている場合に、前記サイディング材を加熱し木質物質を除去することによりリサイクル可能であると判定してもよい。
【0030】
本発明の破砕サイディング材の製造方法は、サイディング材を有機質物質に応じて選別する選別工程と、前記選別されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程とを包含する。
【0031】
本発明の別の破砕サイディング材の製造方法は、木片を含まないサイディング材を選択する選別工程と、前記選択されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程とを包含する破砕サイディング材の製造方法。
【0032】
本発明の他の破砕サイディング材の製造方法は、有機質物質が1割以下であるサイディング材を選択する選別工程と、前記選択されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程とを包含する。
【発明の効果】
【0033】
発明者は、現在市販されているサイディング材に含まれる有機質物質の割合と有機質物質の種類に着目した。発明者の調査によると、サイディング材が、木片などの木質物質を含む場合、サイディング材に占める有機質物質の割合が10数%となり、木片を含まない場合、サイディング材に占める有機質物質の割合が10%以下となった。
【0034】
また、木片などを含むサイディング材300グラムを炭化炉で燃焼させたところ、約200度から白煙が発生し、約400度でパチパチという音とともに複数の小さな閃光を発する状態が約10分間生じ、その後白煙は消滅したことを発明者は観測した。なお、このサイディング材に占める有機質物質の割合は10%より大きい。
【0035】
また、サイディング材に占める有機質物質の割合が1割以下のもの300グラムを炭化炉で燃焼させたところ、約200度で白煙が発生したが、約400度になっても上述したようなパチパチという音および閃光が生じないことを発明者は観測した。なお、このサイディング材は木片を含まない。
【0036】
また、これらの300グラムは、上述した炭化炉で燃焼させることが可能な適正量である。
【0037】
これらのことから、ブロックを製造するために木片を含まないサイディング材を再利用したとしてもそのブロックが環境に与える影響が小さいことと、ブロックを製造するためにサイディング材に占める有機質物質の割合が1割以下のサイディング材を再利用したとしてもそのブロックが環境に与える影響が小さいこととを発明者は認識した。
【0038】
本発明のブロックは、破砕されたサイディング材およびセメントを包含するブロックであって、前記破砕されたサイディング材が有機質物質に応じて選別されている。その有機質物質に応じて選別されているため、環境への負荷はかなり小さいと考えられる。
【0039】
本発明の別のブロックは、破砕されたサイディング材およびセメントを包含するブロックであって、前記破砕されたサイディング材が選別されており木片を含まない。このため、ユーザは、木片により発生しうる土壌汚染を考慮せずに、本発明のブロックを使用することができる。
【0040】
本発明の他のブロックは、破砕されたサイディング材およびセメントを包含するブロックであって、前記破砕されたサイディング材が選別されており、それに含まれる有機質物質が1割以下である。このため、その有機質物質によってもたらされる環境への負荷はかなり小さいと考えられる。
【0041】
前記ブロックが砂を包含する場合、そのブロックの強度を上げることができる。
【0042】
本発明のブロックを製造する方法は、サイディング材が有機質物質に応じて選別される選別工程と、前記選別されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程と、前記破砕されたサイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物を型に流し込み固化する固化工程とを包含する。本発明のブロックを製造する方法により、製造されたブロックは、その有機質物質に応じて選別されているため、環境への負荷はかなり小さいと考えられる。
【0043】
本発明の別のブロックを製造する方法は、木片を含まないサイディング材を選択する選別工程と、前記選択されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程と、前記破砕されたサイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物を型に流し込み固化する固化工程とを包含する。木片を含まないサイディング材を選択することにより、ユーザは、木片により発生しうる土壌汚染を考慮せずに、本発明のブロックを製造する方法により製造されたブロックを使用することができる。
【0044】
本発明の他のブロックを製造する方法は、有機質物質が1割以下であるサイディング材を選択する選別工程と、前記選択されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程と、前記破砕されたサイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物を型に流し込み固化する固化工程とを包含する。有機質物質が1割以下であるサイディング材を選択することにより、その有機質物質によってもたらされる環境への負荷はかなり小さいと考えられる。
【0045】
前記混合工程において、さらに砂を混合することにより、製造されるブロックの強度を上げることができる。
【0046】
本発明のブロックを製造するための水量の計算方法は、有機質物質に応じて選別され破砕されたサイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物の粘度が所定の粘度であるかを判定する判定工程とを包含し、前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、水を追加して混合し、前記破砕されたサイディング材および前記セメントに加えられた水の量の総和を計算し出力する。前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、水を追加して混合することにより、ブロックを適切に製造するための水量を求めることができる。
【0047】
本発明の別のブロックを製造するための水量の計算方法は、木片を含まないサイディング材が選択され破砕されたもの、サイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物の粘度が所定の粘度であるかを判定する判定工程とを包含し、前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、水を追加して混合し、前記破砕されたサイディング材および前記セメントに加えられた水の量の総和を計算し出力する。前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、水を追加して混合することにより、ブロックを適切に製造するための水量を求めることができる。
【0048】
本発明のさらに別のブロックを製造するための水量の計算方法は、有機質物質が1割以下であるサイディング材が選択され破砕されたもの、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物の粘度が所定の粘度であるかを判定する判定工程とを包含し、前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、水を追加して混合し、前記破砕されたサイディング材および前記セメントに加えられた水の量の総和を計算し出力する。前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、水を追加して混合することにより、ブロックを適切に製造するための水量を求めることができる。
【0049】
本発明の他のブロックを製造するための水量の計算方法は、サイディング材を有機質物質に応じて選別する選別工程と、前記選別されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程と、前記破砕されたサイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物の粘度が所定の粘度であるかを判定する判定工程とを包含し、前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、水を追加して混合し、前記破砕されたサイディング材および前記セメントに加えられた水の量の総和を計算し出力する。前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、水を追加して混合することにより、ブロックを適切に製造するための水量を求めることができる。
【0050】
本発明のさらに他のブロックを製造するための加水量の計算方法は、木片を含まないサイディング材を選択する選別工程と、前記選択されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程と、前記破砕されたサイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物の粘度が所定の粘度であるかを判定する判定工程とを包含し、前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、水を追加して混合し、前記破砕されたサイディング材および前記セメントに加えられた水の量の総和を計算し出力する。前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、水を追加して混合することにより、ブロックを適切に製造するための水量を求めることができる。
【0051】
本発明の外のブロックを製造するための加水量の計算方法は、有機質物質が1割以下であるサイディング材を選択する選別工程と、前記選択されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程と、前記破砕されたサイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物の粘度が所定の粘度であるかを判定する判定工程とを包含し、前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、水を追加して混合し、前記破砕されたサイディング材および前記セメントに加えられた水の量の総和を計算し出力する。前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、水を追加して混合することにより、ブロックを適切に製造するための水量を求めることができる。
【0052】
本発明の混合物の粘度を調整する方法は、有機質物質に応じて選別され破砕されたサイディング材、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物の粘度が所定の粘度であるかを判定する判定工程とを包含し、前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、前記有機質物質に応じて選別され破砕されたサイディング材、前記セメントおよび前記水の少なくとも1つを追加して混合する粘度調整工程を包含する。このため、水量を求めることなく混合物の粘度を調整することができる。
【0053】
本発明の別の混合物の粘度を調整する方法は、木片を含まないサイディング材が選択され破砕されたもの、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物の粘度が所定の粘度であるかを判定する判定工程とを包含し、前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、前記木片を含まないサイディング材が選択され破砕されたもの、前記セメントおよび前記水の少なくとも1つを追加して混合する粘度調整工程を包含する。このため、水量を求めることなく混合物の粘度を調整することができる。
【0054】
本発明の別の混合物の粘度を調整する方法は、有機質物質が1割以下であるサイディング材が選択され破砕されたもの、セメントおよび水を混合する混合工程と、前記混合された混合物の粘度が所定の粘度であるかを判定する判定工程とを包含し、前記所定の粘度になるまで、前記混合工程において、前記有機質物質が1割以下であるサイディング材が選択され破砕されたもの、前記セメントおよび前記水の少なくとも1つを追加して混合する粘度調整工程を包含する。このため、水量を求めることなく混合物の粘度を調整することができる。
【0055】
ブロックの強度を増すために砂などの骨材を混合することができる。そのような追加の骨材があったとしても、混合物の全体の粘度により水量を管理しているため、サイディング材に含まれる水量、砂の表面水量等を測定することなく、混合に必要な水量を求めることができる。
【0056】
本発明のリサイクル判定システムは、コンピュータがリサイクルすべきサイディング材の識別情報を受け取る工程と、前記コンピュータが、前記識別情報に基づき、前記識別情報に対応するサイディング材をリサイクルすることが可能かを判定する判定工程とを包含する。また、本発明の他のリサイクル判定システムは、コンピュータがリサイクルすべきサイディング材の識別情報を受け取る工程と、前記コンピュータが、前記識別情報に対応するサイディング材に含まれる有機質物質の情報に基づき、前記識別情報に対応するサイディング材をリサイクルすることが可能かを判定する判定工程とを包含する。前記判定工程において、前記コンピュータが、予め登録された識別情報とそれに紐付けされたサイディング材に含まれる有機質物質の情報とのテーブルを前記識別情報に基づき検索し、前記リサイクルすべきサイディング材に木片が含まれていない場合に、ブロックにリサイクル可能であると判定してもよい。前記判定工程において、前記コンピュータが、予め登録された識別情報とそれに紐付けされたサイディング材に含まれる有機質物質の情報とのテーブルを前記識別情報に基づき検索し、有機質物質が1割以下である場合に、ブロックにリサイクル可能であると判定してもよい。前記判定工程において、前記コンピュータが、予め登録された識別情報とそれに紐付けされたサイディング材に含まれる有機質物質の情報とのテーブルを前記識別情報に基づき検索し、木片が含まれている場合に、前記サイディング材を加熱し木質物質を除去することによりリサイクル可能であると判定してもよい。
【0057】
本発明の別のリサイクル判定システムは、ユーザが端末を介して、リサイクルすべきサイディング材の識別情報を前記端末と回線を通じてつながっているコンピュータに送信する工程と、前記コンピュータが、前記識別情報を受け取り、前記識別情報に基づき、前記識別情報に対応するサイディング材をリサイクルすることが可能かを判定する判定工程と、前記判定した結果を前記端末に送信する工程を包含する。本発明のさらに別のリサイクル判定システムは、ユーザが端末を介して、リサイクルすべきサイディング材の識別情報を前記端末と回線を通じてつながっているコンピュータに送信する工程と、前記コンピュータが、前記識別情報を受け取り、前記識別情報に対応するサイディング材に含まれる有機質物質の情報に基づき、前記識別情報に対応するサイディング材をリサイクルすることが可能かを判定する判定工程と、前記判定した結果を前記端末に送信する工程を包含する。前記判定工程において、前記コンピュータが、予め登録された識別情報とそれに紐付けされたサイディング材に含まれる有機質物質の情報とのテーブルを前記識別情報に基づき検索し、前記リサイクルすべきサイディング材に木片が含まれていない場合に、ブロックにリサイク0073ル可能であると判定してもよい。前記判定工程において、前記コンピュータが、予め登録された識別情報とそれに紐付けされたサイディング材に含まれる有機質物質の情報とのテーブルを前記識別情報に基づき検索し、有機質物質が1割以下である場合に、ブロックにリサイクル可能であると判定してもよい。前記判定工程において、前記コンピュータが、予め登録された識別情報とそれに紐付けされたサイディング材に含まれる有機質物質の情報とのテーブルを前記識別情報に基づき検索し、木片が含まれている場合に、前記サイディング材を加熱し木質物質を除去することによりリサイクル可能であると判定してもよい。
【0058】
サイディング材に木片が含まれているか否かについては、目視により判定可能である。しかし、木片など以外の有機質物質については、拡大鏡などを使わず目視による判別は難しいし、その判別に時間もかかる。しかし、製造番号、型番、会社名および商品名などの少なくとも1つを含む識別情報とサイディング材に含まれる有機質物質の関係をテーブルなどとしてコンピュータに記憶しておくことで、そのサイディング材をリサイクルすることが可能かを短時間で判定することができる。
【0059】
本発明の破砕サイディング材の製造方法は、サイディング材を有機質物質に応じて選別する選別工程と、前記選別されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程とを包含する。本発明の破砕サイディング材の製造方法により製造された粉砕サイディング材は譲渡可能である。サイディング材の粉砕など新たな設備投資や新たな許認可を必用とすることなく、前記粉砕サイデング材の譲受者は早期に再生サイディング材ビジネスに参入することができる。
【0060】
本発明の別の破砕サイディング材の製造方法は、木片を含まないサイディング材を選択する選別工程と、前記選択されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程とを包含する。本発明の別の破砕サイディング材の製造方法により製造された粉砕サイディング材は譲渡可能である。サイディング材の粉砕など新たな設備投資や新たな許認可を必用とすることなく、前記粉砕サイデング材の譲受者は早期に再生サイディング材ビジネスに参入することができる。
【0061】
本発明の他の破砕サイディング材の製造方法は、有機質物質が1割以下であるサイディング材を選択する選別工程と、前記選択されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程とを包含する。本発明の他の破砕サイディング材の製造方法により製造された粉砕サイディング材は譲渡可能である。サイディング材の粉砕など新たな設備投資や新たな許認可を必用とすることなく、前記粉砕サイデング材の譲受者は早期に再生サイディング材ビジネスに参入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】
図1は、本実施形態におけるブロックを製造する方法のフローの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態におけるブロックを製造する際の水量を決定する方法のフローの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態におけるリサイクル判定システムの一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本実施形態におけるリサイクル判定システムのフローの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態における別のリサイクル判定システムの一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、本実施形態における別のリサイクル判定システムのフローの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0064】
図1は、本実施形態におけるブロックを製造する方法のフローを示している。本実施形態におけるブロックを製造する方法は、選別工程S10と、破砕工程S20と、混合工程S30と、固化工程S40とを包含している。
【0065】
選別工程S10にて、サイディング材が有機質物質に応じて選別される。有機質物質に応じてとは、サイディング材に占める有機質物質の割合であってもよいし、サイディング材に含まれる特定の物質であってもよい。
【0066】
ここで、有機質物質とは、木質物質、パルプ、セルロースおよびポリスチレンの少なくとも1つであってもよい。また、木質物質とは、木片、木繊維、および木質系繊維の少なくとも1つであってもよい。
【0067】
また、上述した特定の物質とは、木片であってもよい。木片が含まれていないサイディング材を選択する場合、選別者が選別すべきサイディング材に木片が含まれているか否かについて目視によりそのサイディング材を選別してもよい。
【0068】
サイディング材に占める有機質物質の割合でサイディング材を選択する場合、選別すべきサイディング材に占める有機質物質の割合が1割以下のサイディング材が選択される。
【0069】
なお、サイディング材が木片を含んでいる場合またはサイディング材に占める有機質物質の割合が1割より大きい場合、本実施形態においてはリサイクルされない。しかし、エネルギーを必要とするが、木片が含まれているサイディング材および有機質物質の割合が1割より大きいサイディング材を高温で熱処理することにより、それらをリサイクルすることは可能である。
【0070】
サイディング材を建物に取り付ける場合、その建物の外面にあうようにサイディング材をカットする必要がある。このカットが建設現場で行われる場合、選別工程S10は建設現場で行われてもよい。また、カットするための工場から予め所定の寸法にカットされたサイディング材が建設現場に運び込まれる場合、選別工程S10はそのカットする工場で行われてもよい。上述したカットを行う現場にて、カットされたサイディング材を選別する場合、製造番号、型番、会社名および商品名などの少なくとも1つによって、木片が含まれていないサイディング材が選択されてもよいし、サイディング材に占める有機質物質の割合が1割以下のサイディング材が選択されてもよい。また、サイディング材を選別する場合、後述するリサイクル判定システムが利用されてもよい。
【0071】
選別工程S10は、破砕工程S20を行うために必要なサイディング材が蓄積されている同じ場所で行われてもよい。ここで同じ場所とは、例えば、同じ工場、同じ敷地または同じ建屋などである。また、選別工程S10は、上述した同じ場所と、その同じ場所にサイディング材が搬入される前、例えば、建設現場やカットするための工場などとで2回以上行われてもよい。これにより、有機質物質の割合が1割より大きいサイディング材および木片が含まれているサイディング材の混入を防ぐことができる。
【0072】
破砕工程S20にて、選択されたサイディング材が破砕される。破砕工程S20は、サイディング材を投入するための投入口、サイディング材を破砕する回転刃、および回転刃により破砕され、所定の大きさ以下になったサイディング材を通す複数の孔を有するパンチングスクリーンを備えている破砕装置により行われてもよい。
【0073】
例えば、破砕装置では、サイディング材が投入されると、自重または破砕装置のプレッシャーにより、サイディング材が回転刃に押しつけられ、破砕される。破砕されたサイディング材は、パンチャースクリーンにある所定の大きさの孔を通過するまで破砕される。つまり、サイディング材が全て破砕され粉粒体となり、この破砕された粉粒体の全量について、リサイクルが可能である。また、パンチングスクリーンに空いた孔の径は略1cm、つまり1cm前後であることが好ましい。
【0074】
混合工程S30では、セメント、粉砕されたサイディング材および水がミキサーなどによって混合される。セメント、粉砕されたサイディング材および水の質量比は、1:1.5~1.8:0.5~0.8であってもよい。また、この製造する方法により製造されたブロックの強度を増すために、混合工程S30では、砂がセメントおよび粉砕されたサイディング材とともに混合されてもよい。この場合、セメント、サイディング材、砂および水の質量比は、1:1.5~1.8:0.6~0.8:0.5~0.8であってもよい。なお、混合工程S30にて、さらに混和剤が混合されていてもよい。
【0075】
ミキサーに投入されるセメントおよび粉砕されたサイディング材などは空練が行われてもよい。例えば、ミキサーとして高速剪断ミキサーDMK-50が使用された場合、空練が回転数300rpmにて30秒間行われ、本練が回転数600rpmにて3分間行われてもよい。
【0076】
また、予めミキサーに投入される水量がわかっている場合、その水の一部が破砕されたサイディング材、砂およびセメントと共にミキサーに投入されてもよい。破砕されたサイディング材、砂およびセメントが投入される際または空練の際に生じる粉塵を抑えることができるからである。また、その投入される水量またはその散布方法によっては、それらを混合したもののまとまりがよくなるからである。
【0077】
固化工程S40では、上述したミキサーによって粉砕されたサイディング材およびセメントなど練り合わされたものが、型に流し込まれ、振動プレス後、即時脱型され、ブロックが形成される。成形されるブロックは、インターロッキングブロックであってもよい。
【0078】
また、上述した振動プレス後で脱型の前に、別に練られたものが、上述した型に流し込まれ、振動プレス後、即時脱型され、2層ブロックが形成されてもよい。
【0079】
別に練られたものは、セメントおよび水を少なくとも含んでいる。また、別に練られたものは、さらに、砂および着色剤の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0080】
別に練られたものが着色されている場合、サイディング材を含むブロックを化粧することにより、商品価値を上げることができる。サイディング材の表面は建物の外観を形成するため、サイディング材の材質が同じであっても、その表面の色合いや光沢などはまちまちである。このため、サイディング材を原料としたブロックを生産する場合、同じ色のブロックを生産し続けることは難しい。しかし、そのような問題も、上述した2層ブロックにより解決することができる。
【0081】
選別工程S10において、サイディング材が有機質物質に応じて選別される場合、本実施形態におけるブロックを製造する方法によって、破砕されたサイディング材およびセメントを包含するブロックであって、その破砕されたサイディング材が特定の有機質物質を含まないまたはその破砕されたサイディング材の有機質物質の含有率を一定以下となるブロックを製造することが可能となる。なお、このブロックは砂を包含していてもよい。
【0082】
また、選別工程S10において、木片を含まないサイディング材が選択される場合、本実施形態におけるブロックを製造する方法によって、破砕されたサイディング材およびセメントを包含するブロックであって、その破砕されたサイディング材が木片を含まないブロックを製造することが可能となる。なお、このブロックは砂を包含していてもよい。
【0083】
また、選別工程S10において、サイディング材に含まれる有機質物質が1割以下であるサイディング材が選択される場合、本実施形態におけるブロックを製造する方法によって、破砕されたサイディング材およびセメントを包含するブロックであって、その破砕されたサイディング材に含まれる有機質物質が1割以下であるブロックを製造することが可能となる。なお、このブロックは砂を包含していてもよい。
【0084】
また、選別工程S10および破砕工程S20を経て製造された破砕されたサイディング材は譲渡されてもよい。
【0085】
例えば、使用されたサイディング材の収集およびその破砕には、それを行うための適切な場所の確保、粉砕機などの設備投資、自治体からの認可など多くの時間および費用がかかり、新規参入が難しい。
【0086】
また、A地点で粉砕されたサイディング材から製造されたブロックをB地点に輸送することに比べ、A地点で粉砕されたサイディング材をB地点付近に輸送し、そこで粉砕されたサイディング材からブロックを製造し、それをB地点に輸送した方が、運送効率がよい場合が多い。粉砕されたサイディング材はブロックに比べ形状を選ばず輸送におけるデットスペースを小さくでき、さらに水分を含まないため軽くなるからである。
【0087】
このため、サイディング材を有機質物質に応じて選別する選別工程と、選別されたサイディング材を破砕し、その破砕されたサイディング材を生成する破砕工程とを包含する破砕サイディング材の製造方法により製造された破砕サイディング材は環境に優しいといえる。
【0088】
同様に、木片を含まないサイディング材を選択する選別工程と、選択されたサイディング材を破砕し、その破砕されたサイディング材を生成する破砕工程とを包含する破砕サイディング材の製造方法により製造された破砕サイディング材は環境に優しいといえる。
【0089】
さらに、有機質物質が1割以下であるサイディング材を選択する選別工程と、その選択されたサイディング材を破砕し、破砕されたサイディング材を生成する破砕工程とを包含する破砕サイディング材の製造方法により製造された破砕サイディング材は環境に優しいといえる。
【0090】
以下に、本実施形態におけるブロックを製造する際の水量を決定する方法の一例について
図2を用いて説明する。
図2は、本実施形態におけるブロックを製造する際の水量を決定する方法のフローの一例を示している。
【0091】
本実施形態におけるブロックを製造する際の水量を決定する方法は、選別工程S10と、破砕工程S20と、混合工程S30と、粘度調整工程S50と、加えられた総水量を出力する工程S60とを包含している。
【0092】
ここで、
図1に示される本実施形態におけるブロックを製造する方法と同じ工程には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0093】
粘度調整工程S50は、粘度判定工程S52を含んでいる。粘度判定工程S52では、混合工程で混合された混合物の粘度が所定の粘度であるか否かが判定される。
【0094】
製造者が所定の容器(例えば、カップ、コーンなど、混合物を入れる入口があって混合物を保持できる形状を有するもの)に混合物を詰め込み、その容器の入り口を水平面に押しつけ、その容器に詰め込まれた混合物をその水平面にあけ、その水平面にあけられた混合物の時間経過による変化により、所定の粘度であるか否かが判定されてもよい(S52)。
【0095】
また、製造者が少なくとも一端が解放されている筒状の容器に混合物を詰め込み、所定の角度でその筒状の容器を傾け、単位時間当たりにたれてくる量を測定することにより、所定の粘度であるか否かを判定してもよい(S52)。
【0096】
また、市販の粘度測定装置(例えば、ソイル・モルタルマルチ試験機SG-1097など)によって所定の粘度であるか否かが判定されてもよい(S52)。
【0097】
また、判定方法としては、製造者が混合物を手でさわり、所定の粘度であるか否かが判定されてもよい(S52)。
【0098】
また、粘度判定工程S52は、
図1における固化工程S40で代用してもよい。
【0099】
例えば、型に所定量の混合物を充填し振動を与え加圧し型を外した後、固化されたブロックがパサパサである場合、またはパサパサのため崩れた状態である場合、粘度判定工程S52において、適正量よりも水が少ないと判定され、粘度調整工程S50において粘度調整部が、混合工程S30において所定量の水の追加を指示してもよい。
【0100】
また、型に所定量の混合物を充填し振動を与え加圧し型を外した後、その型に混合物が付着している場合、混合物にはかなり水が含まれていると判定され、粘度調整工程S50において粘度調整部が、混合工程S30において単位量当たりのセメントおよび破砕されたサイディング材の増加を指示し、単位量当たりの水量を減らすことも可能である。
【0101】
また、型に所定量の混合物を充填し振動を与え加圧し型を外した後、固化されたブロックが型内で加圧された状態よりも膨らむ場合、上述した型に混合物が付着している場合よりも含まれている水は少ないが、まだ適正量よりも水が多いと判定され、粘度調整工程S50において粘度調整部が、混合工程S30において単位量当たりのセメントおよび破砕されたサイディング材の増加を指示し、単位量当たりの水量を減らすことも可能である。
【0102】
所定の粘度より粘性が強い場合、粘度調整工程S50において粘度調整部が、混合工程S30において所定量の水の追加を指示し、混合工程S30では、さらに撹拌が行われ、混合物が生成される。また、粘度調整工程S50において粘度調整部が、混合工程S30において混合する混和剤の量を指示し、粘度を調整してもよい。
【0103】
また、粘度判定工程S52において混合物が所定の粘度であると判定された場合、混合物に加えられた総水量が計算され、それにより、混合工程S30において投入すべき単位当たりに必要な適切な水量が計算される(S60)。
【0104】
混合工程S30において水を除いた混合物がセメントおよび破砕されたサイディング材である場合、ミキサーに投入される水の質量をWとし、破砕されたサイディング材の乾燥質量をAdとし、破砕されたサイディング材の含水質量をAwとし、セメントの質量をCとした場合、(W+Aw)/(C+Ad)が37%以下になるように、ミキサーに投入される水量が決定されてもよい。
【0105】
また、水を除いた混合物がセメント、破砕されたサイディング材および砂である場合、ミキサーに投入される水の質量をWとし、破砕されたサイディング材の乾燥質量をAdとし、破砕されたサイディング材の含水質量をAwとし、セメントの質量をCとし、砂の表面水質量をSwとした場合、(W+Aw+Sw)/(C+Ad)が37%以下になるように、ミキサーに投入される水量が決定されてもよい。
【0106】
また、選別工程S10および破砕工程S20は、別場所で行われてもよい。つまり、本発明の別の実施形態は、上述した、混合工程S30、粘度調整工程S50および加えられた総水量を出力する工程S60を包含してもよい。これは、有機質物質に応じて選別され破砕されたサイディング材、木片を含まないサイディング材が選択され破砕されたものまたは有機質物質が1割以下であるサイディング材が選択され破砕されたものが購入などされる場合も、同様である。
【0107】
さらに、本発明の粘度を調整する方法は、上述した、混合工程S30および粘度調整工程S50を包含し、それにより、混合工程S30において投入すべき単位当たりに必要な適切な水量を計算することなく、適正な粘度の混合物が生成されてもよい。
【0108】
この場合、粘度調整部は粘度に応じて、混合工程S30において有機質物質に応じて選別され破砕されたサイディング材、セメントおよび水の少なくとも1つを追加するように指示してもよい。また、粘度調整部は粘度に応じて、混合工程S30において木片を含まないサイディング材が選択され破砕されたもの、サイディング材、セメントおよび水の少なくとも1つを追加するように指示してもよい。また、粘度調整部は粘度に応じて、混合工程S30において有機質物質が1割以下であるサイディング材が選択され破砕されたもの、セメントおよび水の少なくとも1つを追加するように指示してもよい。
【0109】
以下に、本実施形態におけるリサイクル判定システムの一例について
図3および4を用いて説明する。
図3は、本実施形態におけるリサイクル判定システムの一例を示し、
図4は、本実施形態におけるリサイクル判定システムのフローの一例を示している。
【0110】
本実施形態におけるリサイクル判定システムは、予め記憶されている、識別情報とそれに対応する有機質物質の情報に基づき、入力された識別情報に対応するサイディング材がリサイクル可能か否かを判定することができる。ここで、識別情報とは、サイディング材を特定するための情報であり、例えば、製造番号、型番、会社名および商品名などの少なくとも1つを含む情報である。
【0111】
このため、あるリサイクル判定システムは、入力装置10、コンピュータ20および出力装置30を備えている。
【0112】
入力装置10は、識別情報などのデータをコンピュータ20に入力することができる。
【0113】
コンピュータ20は、その識別情報に対応するサイディング材に含まれる有機質物質の情報に基づき、その識別情報に対応するサイディング材をリサイクルすることが可能かを判定できる。
【0114】
例えば、コンピュータ20は、少なくとも1つのサイディング材の識別情報とその少なくとも1つのサイディング材に含まれる有機質物質の情報が紐付いて記憶されている記憶部22と、演算部24とを有している。1つのサイディング材に付与される識別情報は1つ以上であってもよい。
【0115】
コンピュータ20は、ある識別情報を受け取る(S100)と、その識別情報に対応するサイディング材に含まれる有機質物質の情報に基づき、その識別情報に対応するサイディング材をリサイクルすることが可能かを判定する(S110)。コンピュータ20は、判定結果を出力装置30に送り(S120)、出力装置30は、判定結果を表示などできる。
【0116】
サイディング材がリサイクルすることが可能か否かの判定基準として、サイディング材に含まれる有機質物質の割合およびサイディング材に含まれる有機質物質の種類の少なくとも1つがある。
【0117】
例えば、その識別情報に対応するサイディング材に占める有機質物質の割合が1割以下の場合、コンピュータ20は、その識別情報に対応するサイディング材がリサイクル可能であると判定できる。また、その識別情報に対応するサイディング材が木片を有していない場合、コンピュータ20は、その識別情報に対応するサイディング材がリサイクル可能であると判定できる。
【0118】
なお、その識別情報に対応するサイディング材に占める有機質物質の割合が1割より大きい場合、またはその識別情報に対応するサイディング材が木片を有している場合であっても、そのサイディング材を熱処理することを条件にコンピュータ20は、その識別情報に対応するサイディング材がリサイクル可能であると判定してもよい。また、例えば、識別情報として会社名がコンピュータ20に入力されたが、それに対応するサイディング材が特定できない場合、コンピュータ20は、別の識別情報の入力を求める旨を出力装置30に送ってもよいし、その識別情報に対応するサイディング材が特定できない旨を出力装置30に送ってもよい。
【0119】
以下に、本実施形態における別のリサイクル判定システムの一例について
図5および6を用いて説明する。
図5は、本実施形態における別のリサイクル判定システムの一例を示し、
図6は、本実施形態における別のリサイクル判定システムのフローの一例を示している
【0120】
別のリサイクル判定システムは、コンピュータ20および端末40を備えている。
【0121】
端末40は、回線を介して識別情報などのデータをコンピュータ20に入力することができる。ここで回線とは、有線であっても無線であってもよい。また、この回線は、電話回線であっても、インターネット回線でもよい。
【0122】
コンピュータ20は、その識別情報に対応するサイディング材に含まれる有機質物質の情報に基づき、その識別情報に対応するサイディング材をリサイクルすることが可能かを判定できる。
【0123】
例えば、コンピュータ20は、少なくとも1つのサイディング材の識別情報とその少なくとも1つのサイディング材に含まれる有機質物質の情報が紐付いて記憶されている記憶部22と、演算部24とを有している。1つのサイディング材に付与される識別情報は1つ以上であってもよい。
【0124】
コンピュータ20は、ある識別情報を受け取る(S100)と、その識別情報に対応するサイディング材に含まれる有機質物質の情報に基づき、その識別情報に対応するサイディング材をリサイクルすることが可能かを判定する(S110)。コンピュータ20は、判定結果を端末40に送り(S130)、端末40は、判定結果を表示などできる。
【0125】
例えば、その識別情報に対応するサイディング材に占める有機質物質の割合が1割以下の場合、コンピュータ20は、その識別情報に対応するサイディング材がリサイクル可能であると判定できる。また、その識別情報に対応するサイディング材が木片を有していない場合、コンピュータ20は、その識別情報に対応するサイディング材がリサイクル可能であると判定できる。また、例えば、識別情報として会社名がコンピュータ20に入力されたが、それに対応するサイディング材が特定できない場合、コンピュータ20は、別の識別情報の入力を求める旨を端末40に送ってもよいし、その識別情報に対応するサイディング材が特定できない旨を端末40に送ってもよい。
【0126】
なお、その識別情報に対応するサイディング材に占める有機質物質の割合が1割より大きい場合、またはその識別情報に対応するサイディング材が木片を有している場合であっても、そのサイディング材を熱処理することを条件にコンピュータ20は、その識別情報に対応するサイディング材がリサイクル可能であると判定してもよい。
【符号の説明】
【0127】
10 入力装置
20 コンピュータ
22 記憶部
24 演算部
30 出力装置
40 端末