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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157141
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】ガス遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/915 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
H01H33/915
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071294
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120444
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】守部 綾香
(72)【発明者】
【氏名】立川 裕之
【テーマコード(参考)】
5G001
【Fターム(参考)】
5G001AA07
5G001BB04
5G001CC02
5G001DD01
5G001DD03
5G001EE01
5G001EE08
5G001EE12
5G001FF03
5G001FF04
5G001GG01
5G001GG14
(57)【要約】
【課題】排気筒に流れ込む熱ガスを効率的に冷却できるようにすること。
【解決手段】ガス遮断器(1)は、アーク放電(A)への消弧性ガスの吹付に伴って発生する熱ガス(HG)の流れ方向にて、固定アーク接触子(43)より下流側に配置される排気筒(40)を備えている。排気筒は、筒状に形成される本体(401)と、本体に貫通して形成され、熱ガスを本体内から金属容器(2)内に排出する排出口(404)と、熱ガスの流れ方向にて本体の下流端側に形成される案内凸部(402)とを備えている。案内凸部は、熱ガスの流れと反対方向に突出して熱ガスを排出口に誘導する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消弧性ガスを充填した容器内で、可動アーク接触子が固定アーク接触子から離間する際に発生するアーク放電に前記消弧性ガスを吹き付けて消弧するガス遮断器であって、
前記アーク放電への前記消弧性ガスの吹付に伴って発生する熱ガスの流れ方向にて、前記固定アーク接触子より下流側に配置される排気筒を備え、
前記排気筒は、筒状に形成される本体と、
前記本体に貫通して形成され、前記熱ガスを前記本体内から前記容器内に排出する排出口と、
前記熱ガスの流れ方向にて前記本体の下流端側に形成される案内凸部とを備え、
前記案内凸部は、前記熱ガスの流れと反対方向に突出して前記熱ガスを前記排出口に誘導することを特徴とするガス遮断器。
【請求項2】
前記案内凸部は、前記熱ガスの流れ方向上流側から下流側に向かって、前記本体の中心軸位置から離れる方向に傾斜するテーパ面を備えていることを特徴とする請求項1に記載のガス遮断器。
【請求項3】
前記案内凸部と前記排出口とは、前記本体の中心軸方向に直交する方向に並んで設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガス遮断器。
【請求項4】
前記案内凸部は中空形状に形成され、且つ、前記本体の内外に通じる排気穴を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガス遮断器。
【請求項5】
前記排気穴は、前記案内凸部の中心軸位置を挟む両側に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のガス遮断器。
【請求項6】
前記本体と前記案内凸部とは一体成形されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガス遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁性ガス中で電流の開閉を行うガス遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、消弧性ガスを充填した容器内で、可動アーク接触子が固定アーク接触子から離間する際に発生するアーク放電に消弧性ガスを吹き付けて消弧するガス絶縁開閉装置を開示している。特許文献1は、固定アーク接触子を支持する有底円筒形状の固定側サポートを備えている。特許文献1にて、アーク放電の消弧に伴って発生する熱ガス流の一部が固定側サポートに導入されて冷却された後、固定側サポートに形成された開口部から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-224516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなガス絶縁開閉装置においては、アーク放電の消弧によって熱ガス流が高温になるので、かかる熱ガス流が導入される固定側サポートにおいて、熱ガス流を効率的に冷却することが求められる。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、排気筒に流れ込む熱ガスを効率的に冷却することができるガス遮断器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における一態様のガス遮断器は、消弧性ガスを充填した容器内で、可動アーク接触子が固定アーク接触子から離間する際に発生するアーク放電に前記消弧性ガスを吹き付けて消弧するガス遮断器であって、前記アーク放電への前記消弧性ガスの吹付に伴って発生する熱ガスの流れ方向にて、前記固定アーク接触子より下流側に配置される排気筒を備え、前記排気筒は、筒状に形成される本体と、前記本体に貫通して形成され、前記熱ガスを前記本体内から前記容器内に排出する排出口と、前記熱ガスの流れ方向にて前記本体の下流端側に形成される案内凸部とを備え、前記案内凸部は、前記熱ガスの流れと反対方向に突出して前記熱ガスを前記排出口に誘導することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、固定アーク接触子を通過した熱ガスを、案内凸部によって排気筒の内部から排出口に誘導することができる。これにより、高温となる熱ガスが排気筒内にて滞留することを抑制でき、排気筒の内部から熱ガスを円滑に排出して熱ガスを効率的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態に係るガス遮断器を示す部分断面図である。
図2】本実施の形態に係るガス遮断器における内部構造の説明図である。
図3】本実施の形態に係るガス遮断器における消弧原理の説明図である。
図4】本実施の形態に係る排気筒及びその周辺構造の拡大説明図である。
図5】本実施の形態に係る排気筒を下から見た図である。
図6】本実施の形態に係る排気筒から排出される熱ガスの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態に係るガス遮断器について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明に係るガス遮断器については、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0010】
図1は、本実施の形態に係るガス遮断器を示す部分断面図である。図1に示すように、ガス遮断器1は、SF6ガス等の絶縁性ガス(消弧性ガス)を充填した金属容器(容器)2と、金属容器2内に配置された三相の消弧室3とを含んで構成される。金属容器2内には、密閉空間21が形成されている。この密閉空間21には、消弧性ガスが封入されており、数気圧(例えば、6気圧)に維持されている。三相の消弧室3は、密閉空間21内に設置されている。ガス遮断器1は、消弧室3内の電極間に発生するアーク放電(アーク)に対して消弧性ガスを吹き付けて大電流の短絡電流を瞬時に遮断するように構成されている。
【0011】
なお、図1に示すガス遮断器1においては、説明の便宜上、消弧室3が鉛直方向に延在する場合について説明している。しかしながら、ガス遮断器1の構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。本発明は、消弧室3が水平方向に延在するガス遮断器1にも適用することができる。
【0012】
また、ガス遮断器1は、三相の消弧室3を備えているが、特に限定されず、例えば、一相の消弧室3のみを備えていてもよい。
【0013】
以下、消弧室3の内部構造について、図1及び図2を参照しながら説明する。図2は、本実施の形態に係るガス遮断器における内部構造の説明図である。図2においては、図1に示す電極(固定電極及び可動電極)周辺を拡大して示している。図2Aにおいては、ガス遮断器1における閉路状態を示し、図2Bにおいては、ガス遮断器1における開路状態を示している。なお、図2においては、説明の便宜上、可動側サポート51の一部のみを示している。
【0014】
各消弧室3は、図1に示す上下に対向して配置された固定部4及び可動部5と、可動部5を支持する絶縁支持体6とを備える。固定部4は、排気筒40を含む固定側サポート41と、固定主接触子42と、固定アーク接触子43とを有する。固定側サポート41は、上下方向に延出する概して円筒状に形成され、排気筒40は、固定側サポート41の概ね上半部を形成している。排気筒40の具体的構成については後述する。
【0015】
固定主接触子42は、固定側サポート41の下端部の近傍に設けられ、後述する可動主接触子55の外周面に摺接可能な寸法を有している。固定アーク接触子43は、固定側サポート41の一部に支持されており、棒状導体で構成される。固定アーク接触子43は、固定側サポート41の中心軸C位置(図4参照)に設けられ、図1に示す上下方向に延在して配置されている。これらの固定主接触子42及び固定アーク接触子43により固定接点(固定電極)が構成される。
【0016】
一方、可動部5は、可動側サポート51と、パッファシリンダ52と、摺動部53と、ノズル54と、可動主接触子55とを有する。可動側サポート51は、概して円筒形状を有し、上方及び下方を開口している。また、可動側サポート51の側面には、少なくとも1つの排出口511が形成されている。パッファシリンダ52は、可動側サポート51の上端側に配置される。パッファシリンダ52の内側には、摺動部53が摺動可能に設けられている。
【0017】
パッファシリンダ52の内側には、後述する可動排気パイプ56の外周面との間に機械パッファ室521が形成されている。また、摺動部53の内側には、後述するノズル内壁部542との間に熱パッファ室522が形成されている。摺動部53とノズル内壁部542との間には連通路523が形成され、連通路523の熱パッファ室522側には、逆止弁524が取り付けられている(図2A参照)。
【0018】
ノズル54は、図2Aに示すように、ノズル外壁部541とノズル内壁部542とで構成され、ノズル外壁部541とノズル内壁部542との間には連通路543が形成されている。ノズル内壁部542には、概して円筒形状を有し、後述する可動排気パイプ56の他端部(上端部)が嵌装される。一方、ノズル外壁部541は、摺動部53の上端部に嵌合して固定される。ノズル外壁部541は、可動主接触子55の内側に配置されている。ノズル外壁部541は、概して漏斗形状を有し、摺動部53の上面から上方側に延出している。
【0019】
また、可動主接触子55は、摺動部53の上端部の外周部に設けられている。可動主接触子55は、概して円筒形状を有し、摺動部53の上面から上方側に延出している。可動主接触子55は、固定主接触子42の内周面に摺接可能な寸法を有している。
【0020】
また、可動部5は、可動排気パイプ56と、可動アーク接触子57と、固定ピストン58と、絶縁操作ロッド59とを有する。
【0021】
可動排気パイプ56は、概して円筒形状を有する。可動排気パイプ56は、可動側サポート51、パッファシリンダ52及び摺動部53の中空内部に挿設されている。また、可動排気パイプ56の下端部には、絶縁操作ロッド59の上端部が継手591を介して連結されている。更に、可動排気パイプ56の下端部の近傍には、排気孔561が形成され、可動排気パイプ56の中空内部は、可動側サポート51の中空部512と連通している。一方、可動排気パイプ56にて、固定アーク接触子43に対向する上端部は、可動アーク接触子57を支持している。
【0022】
可動アーク接触子57は、概して円筒形状を有する。可動アーク接触子57は、摺動部53の中央部分で図1に示す上下方向に延在している。可動アーク接触子57の上端部には、固定アーク接触子43に摺接可能な孔(流入孔)571が形成されている。これらの可動主接触子55及び可動アーク接触子57により可動接点(可動電極)が構成される。
【0023】
固定ピストン58は、図2Aに示すように、可動側サポート51の一部に取り付けられるフランジ部581と、パッファシリンダ52内で上下に延在するピストン部582とを有する。ピストン部582は、概して円筒形状を有している。ピストン部582は、パッファシリンダ52内の機械パッファ室521内に収容されている。ピストン部582の上端部は、摺動部53の内周面に摺接可能な寸法を有している。また、ピストン部582には、機械パッファ室521と可動側サポート51の中空部512とを互いに連通する連通路583が形成されている。連通路583の中空部512側には、放圧弁(リリース弁)584が取り付けられている。放圧弁584により、機械パッファ室521内の所定以上の圧力上昇を抑制することができる。
【0024】
絶縁操作ロッド59は、上端部が可動側サポート51の中空部512内に突出可能であり、可動排気パイプ56に連結される一方、下端部が不図示の操作機構に接続される。絶縁操作ロッド59は、例えば、エポキシ樹脂等の絶縁材料で構成される。また、絶縁操作ロッド59は、操作機構の駆動力を受けて摺動部53及び可動排気パイプ56を可動側サポート51及びパッファシリンダ52内にて上下移動させる。可動排気パイプ56の上下移動に伴い、可動排気パイプ56に支持される可動アーク接触子57や、摺動部53の一部に設けられるノズル54及び可動主接触子55が一体的に移動可能に構成されている。
【0025】
図2Aは閉路状態、図2Bは開路状態となるので、図2Aの閉路状態から絶縁操作ロッド59及び可動排気パイプ56が下方向に移動されると、図2Bの開路状態となる。図2Bの開路状態では、可動アーク接触子57が固定アーク接触子43から離間している。
【0026】
ここで、本実施の形態に係るガス遮断器1における消弧原理について、図2及び図3を参照して説明する。図3は、本実施の形態に係るガス遮断器における消弧原理の説明図である。図3は、ガス遮断器1における消弧中状態を示している。
【0027】
図2Aに示す閉路状態においては、絶縁操作ロッド59により可動排気パイプ56が押し上げられている。可動排気パイプ56の上方移動に伴い、摺動部53、ノズル54、可動主接触子55、及び、可動アーク接触子57も押し上げられている。この場合、固定主接触子42は、可動主接触子55の外周面に接触している。また、固定アーク接触子43は、孔571に挿入され、可動アーク接触子57に接触している。一方、固定ピストン58は、可動側サポート51に固定されている。このため、摺動部53の上方移動に伴い、機械パッファ室521内に消弧性ガスが導入(吸引)された状態となっている。
【0028】
図2Aに示す閉路状態から開路状態に移行する場合には、図2Bに示すように、絶縁操作ロッド59により可動排気パイプ56が引き下げられる。可動排気パイプ56の下方移動に伴い、摺動部53、ノズル54、可動主接触子55、及び、可動アーク接触子57も引き下げられる。摺動部53の下方移動の過程において、可動主接触子55は、可動アーク接触子57に先立って固定主接触子42から離間する。すなわち、可動アーク接触子57は、固定主接触子42に対する可動主接触子55の離間よりも遅いタイミングで固定アーク接触子43から離間する。このため、固定アーク接触子43から可動アーク接触子57が離間する際、図3に示すように、これらのアーク接触子43、57間でアーク放電Aが発生する。
【0029】
熱パッファ室522内の消弧性ガスが、アーク放電Aの発生時の熱により加熱され、熱パッファ室522内の圧力が急速に上昇する。そして、消弧性ガスが、連通路543を通り、アーク放電Aに吹き付けられる。
【0030】
さらに、上述のように、固定ピストン58は、可動側サポート51に固定されている。このため、摺動部53の下方移動に伴い、固定ピストン58のピストン部582によって機械パッファ室521内に配置された消弧性ガスが圧縮され、機械パッファ室521の圧力が上昇する。そして、熱パッファ室522の圧力より上昇すると、機械パッファ室521と熱パッファ室522とを隔離していた逆止弁524が開放され、圧縮された消弧性ガスが、連通路523を介して熱パッファ室522に流入し、さらに連通路543を通り、アーク放電Aに吹き付けられる。これにより、固定アーク接触子43と可動アーク接触子57との間に発生したアーク放電Aが消弧される。
【0031】
ガス遮断器1においては、アーク放電Aの消弧に伴って熱ガスHG(図3参照)の流れが発生する。この熱ガスHGは、高温且つ低密度のガスとされる。かかる熱ガスHGの一部は、可動排気パイプ56の上端側、すなわち可動アーク接触子57に形成された孔571からその内部に流入し、可動排気パイプ56の下端側、すなわち排気孔561から可動側サポート51の中空部512へ排気される。さらに、熱ガスHGは、可動側サポート51に形成された排出口511から金属容器2(図1参照)内に排出される。また、熱ガスHGの一部は、固定側サポート41の排気筒40に導入された後、金属容器2内に排出される。
【0032】
ここで、本実施の形態に係るガス遮断器1では、図4に示すように、固定側サポート41の排気筒40にて、熱ガスHGの流動経路を調整している。以下、本実施の形態の排気筒40について説明する。図4は、本実施の形態に係る排気筒及びその周辺構造の拡大説明図である。
【0033】
図4に示すように、固定側サポート41にあっては、アーク放電Aへの消弧性ガスの吹付に伴って発生した熱ガスHGが、固定アーク接触子43の周辺を通過しつつ図4中下から上に向かって流れる。よって、図4での熱ガスHGの流れ方向は、上流側側が図4の下側となり、下流側が図4の上側となる。ここで、排気筒40及びその周辺構造の説明にて、「下」、「下側」、「下方」が熱ガスHGの流れ方向での上流側となり、「上」、「上側」、「上方」が熱ガスHGの流れ方向での下流側を意味する。
【0034】
排気筒40は、固定アーク接触子43より上側に配置されている。排気筒40は、中心軸Cが上下方向に平行に延出するよう設けられ、該中心軸Cは熱ガスHGの流れ方向と平行となっている。排気筒40は、円筒状に形成される本体401と、本体401の上端側に連なって形成された案内凸部402とを備えている。
【0035】
本体401及び案内凸部402は、排気筒40の中心軸Cと同一の中心軸Cを有している。排気筒40は、所定の金属を成形材料として鋳造される鋳物とされ、本体401と案内凸部402とは一体成形される。このように排気筒40を形成することで、部品点数及び組立工数の削減を図ることができる。
【0036】
案内凸部402は、上から下に向かって突出し、熱ガスHGの流れと反対方向に突出している。案内凸部402は、下端側が細くなる概ねコーン状に設けられ、中心軸Cに直交する断面が下から上に向かって拡大するよう形成されている。言い換えると、案内凸部402は、下から上に向かって、中心軸C位置から離れる方向に傾斜するテーパ面403を備えている。
【0037】
案内凸部402は中空形状に形成され、本体401の上端側と概ね同一位置にて上端側を開放している。案内凸部402は、本体401の径方向両側となる図4中左右両側それぞれに丸穴状の排気穴402aを有している。言い換えると、排気穴402aは、案内凸部402にて、中心軸C位置を挟む両側にそれぞれ形成されている。ここで、中空となる案内凸部402の内部は、本体401の外部空間に連通し、案内凸部402の外部が本体401の内部空間に位置する。よって、各排気穴402aは、本体401の内外に通じるよう案内凸部402を貫通して形成される。
【0038】
また、案内凸部402は、下端にて上下方向に開通する穴402bを更に備えている。穴402bにおいても、本体401の内外に通じるよう案内凸部402を貫通して形成される。
【0039】
図5は、本実施の形態に係る排気筒を下から見た図である。図5にも示すように、排気穴402aは、中心軸C位置を挟む両側それぞれに2つずつ形成されている。よって、排気穴402aは、案内凸部402におけるテーパ面403の傾斜方向に並んで複数(2つ)形成される。案内凸部402の外寄りで上側に位置する排気穴402a(以下、「上排気穴402a1」とする)は、上端位置が本体401の内部空間の上端位置と揃うように形成されている。案内凸部402の内寄りで下側に位置する排気穴402a(以下、「下排気穴402a2」とする)は、テーパ面403の傾斜方向にて、上排気穴402a1と案内凸部402の下端との中間位置に形成されている。
【0040】
排気筒40は、円筒壁となる本体401を厚さ方向(径方向)に貫通して形成される丸穴状の2つの排出口404を更に備えている。各排出口404と案内凸部402とは、左右方向(中心軸C方向に直交する方向)に並んで設けられる。
【0041】
また、図5に示すように下から見て、各排出口404及び各排気穴402aは、左右方向に並んで設けられる。更に、図4に示すように、上下方向にて、排出口404の上端位置は、下排気穴402a2の上下幅内に収まる位置に設定される。よって、排出口404に対し、排気穴402aは近傍に配置される。なお、排出口404の下端位置と案内凸部402下端位置とが概ね同一の上下位置に設定される。
【0042】
次いで、排気筒40における熱ガスHGの流動経路について説明する。図6は、本実施の形態に係る排気筒から排出される熱ガスの説明図である。
【0043】
図6に示すように、排気筒40にて下端側の開口から上方に向かって流れる熱ガスHGは、案内凸部402のテーパ面403に当たって該テーパ面403に沿うように流れる。この流れによって、熱ガスHGは本体401の内周面に近付く方向に案内され、本体401内から排出口404を通じて金属容器2(図1参照)内に排出される。言い換えると、案内凸部402によって熱ガスHGが排出口404に誘導されて本体401の外部に排出される。これにより、本体401の上端側にて熱ガスHGが滞留することを抑制でき、本体401から熱ガスHGを排出口404に効率良く排出することが可能となる。
【0044】
しかも、案内凸部402と2つの排出口404とは左右方向に並んでいるので、案内凸部402によって熱ガスHGを効率良く誘導することができ、熱ガスHGの滞留をより良く防止することができる。
【0045】
また、案内凸部402を中空としつつ案内凸部402に排気穴402aが形成されるので、熱ガスHGの一部を排気穴402aを通じて排出できる。排気穴402aを通じて排出された熱ガスHGは、本体401の外部となる金属容器2内の低温なガスと案内凸部402の内部で混ざり合う。これにより、本体401から排出した熱ガスHGを速やかに冷却することができる。更に、案内凸部402に穴402bを形成したことで、排気穴402aに熱ガスHGがより流れ込み易くなり、案内凸部402内での低温なガスとの混合を促進することができる。
【0046】
このように、本体401の上端側を案内凸部402で概ね閉塞しつつ、排気筒40内の熱ガスHGを案内凸部402による誘導によって排出口404から効率良く排出して熱ガスHGの滞留を防止することができる。また、案内凸部402の排気穴402aによって熱ガスHGと低温なガスとを混合することができる。これにより、熱ガスHGを効率的に冷却することができ、排気筒40やその周辺構造の炭化を防いで絶縁性能の低下を抑止し、地絡発生を抑制することができる。
【0047】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、さまざまに変更して実施可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている部材や孔などの大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更が可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施可能である。
【0048】
例えば、排出口404や排気穴402aの開口形状は、円形に限定されるものでなく、楕円形や矩形、多角形等、直線及び曲線で囲われる任意の形状を採用してもよい。
【0049】
また、排出口404や排気穴402aの形成数、形成位置は、熱ガスHGを排気筒40の外部に排出できる限りにおいて、種々の変更が可能である。例としては、排出口404を1つ、或いは、本体401の周方向に所定角度毎に3つ以上形成してもよく、また、排気穴402aを1つ、或いは、案内凸部402の周方向に所定角度毎に3つ以上形成してもよい。
【0050】
更に、案内凸部402における穴402bを閉塞し、案内凸部402の下端(先端)を、平面形状や下方に向かって膨出する形状等に変更してもよい。
【0051】
更に、案内凸部402の形成面は円錐のテーパ面403に限定されず、円錐以外の錐体によるテーパ面によって形成したり、半円球面状に形成したりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のガス遮断器によれば、アークの消弧によって発生した熱ガスを効率良く冷却できるという効果を有し、特に、金属容器内に複数相の消弧室が組み込まれたパッファ形ガス遮断器に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 :ガス遮断器
2 :金属容器(容器)
40 :排気筒
43 :固定アーク接触子
57 :可動アーク接触子
401 :本体
402 :案内凸部
402a :排気穴
403 :テーパ面
404 :排出口
A :アーク放電
HG :熱ガス
図1
図2
図3
図4
図5
図6