(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157142
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/042 20060101AFI20241030BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
G06F3/042 470
G06F3/041 580
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071295
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野畑 直樹
(57)【要約】
【課題】製造コストを抑えることができる検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置1は、検出光20を出力する光源を少なくとも1つ有する光源部2と、入射した検出光20を伝播させる導光体3と、導光体3に配置され、導光体3から出射した検出光20の光路200を、検出対象を検出するため、導光体3の上方に予め定められた検出領域10の方向に変更させる光路変更部4と、検出領域10に位置する検出対象で反射した検出光20である反射光21を、光路変更部4及び導光体3を介して出射した後に受光する受光部6と、光源部2が検出光20を出力した出力時間から受光部6が反射光21を受光した受光時間までの経過時間Tに基づいて検出対象の検出を判定する制御部14と、を備えて概略構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出光を出力する光源を少なくとも1つ有する光源部と、
入射した前記検出光を伝播させる導光体と、
前記導光体に配置され、前記導光体から出射した前記検出光の光路を、検出対象を検出するため、前記導光体の上方に予め定められた検出領域の方向に変更させる光路変更部と、
前記検出領域に位置する前記検出対象で反射した前記検出光である反射光を、前記光路変更部及び前記導光体を介して出射した後に受光する受光部と、
前記光源部が前記検出光を出力した出力時間から前記受光部が前記反射光を受光した受光時間までの経過時間に基づいて前記検出対象の検出を判定する判定部と、
を備えた検出装置。
【請求項2】
さらに、前記光源部と前記導光体の間に配置され、前記光源部から出力された前記検出光のうち、予め定められた波長の前記検出光を予め定められた入射角で前記導光体に入射させ、また前記導光体を伝播する前記反射光のうち、前記予め定められた波長の前記反射光を予め定められた出射角で出射させる入出射部を備え、
前記受光部は、前記入出射部を介して前記反射光を受光する、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記光路変更部は、前記予め定められた波長の前記検出光の光路を変更する、
請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記導光体は、操作対象画像を表示する表示装置の表示画面の上方に配置され、
前記光路変更部は、少なくとも一部が前記操作対象画像に重なるように配置される、
請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記光路変更部は、前記表示装置が複数の前記操作対象画像を表示する場合、複数の前記操作対象画像に応じて複数配置され、
前記光源及び前記受光部は、複数の前記光路変更部に応じて複数配置される、
請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
前記光源部及び前記受光部は、前記表示画面の外側に配置される、
請求項5に記載の検出装置。
【請求項7】
前記検出領域は、前記操作対象画像の上方であって、前記導光体の表面から予め定められた高さまでを含む領域である、
請求項4乃至6のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項8】
前記判定部は、前記経過時間と比較される判定しきい値を有し、前記判定しきい値を経過しても前記受光部が前記反射光を検出しない場合、前記検出対象が検出されていないと判定し、前記経過時間が前記判定しきい値以下である場合、前記検出対象が前記検出領域において検出されたと判定する、
請求項7に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、画像を表示する表示部と、表示部の上に配置され、上方にある空中検知面に画像を結像するマイクロレンズアレイと、鉛直方向に所定の間隔を空けて配置された、空中検知面に電界を発生させる駆動電極及び検出電極と、を備えたホバータッチセンサが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このホバータッチセンサは、表示部の上に駆動電極及び検出電極が配置されているので、駆動電極及び検出電極が金属酸化物などを用いた透明電極として構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のホバータッチセンサは、表示部の上に透明電極を配置しなければならないので、表示部の輝度が低下し、また製造コストが高くなる問題がある。
【0006】
従って本発明の目的は、製造コストを抑えることができる検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、検出光を出力する光源を少なくとも1つ有する光源部と、入射した検出光を伝播させる導光体と、導光体に配置され、導光体から出射した検出光の光路を、検出対象を検出するため、導光体の上方に予め定められた検出領域の方向に変更させる光路変更部と、検出領域に位置する検出対象で反射した検出光である反射光を、光路変更部及び導光体を介して出射した後に受光する受光部と、光源部が検出光を出力した出力時間から受光部が反射光を受光した受光時間までの経過時間に基づいて検出対象の検出を判定する判定部と、を備えた検出装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(a)は、検出装置の一例を示す図であり、
図1(b)は、検出光と反射光の光路の一例を示す図であり、
図1(c)は、入射角と出射角の一例を示す図である。
【
図2】
図2(a)は、検出装置のブロック図の一例であり、
図2(b)は、検出光の出力時間と反射光の受光時間の一例を示す図である。
【
図3】
図3(a)は、変形例に係る検出装置の一例を示す図であり、
図3(b)は、他の変形例に係る駆動信号の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、検出装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る検出装置は、検出光を出力する光源を少なくとも1つ有する光源部と、入射した検出光を伝播させる導光体と、導光体に配置され、導光体から出射した検出光の光路を、検出対象を検出するため、導光体の上方に予め定められた検出領域の方向に変更させる光路変更部と、検出領域に位置する検出対象で反射した検出光である反射光を、光路変更部及び導光体を介して出射した後に受光する受光部と、光源部が検出光を出力した出力時間から受光部が反射光を受光した受光時間までの経過時間に基づいて検出対象の検出を判定する判定部と、を備えて概略構成されている。
【0011】
この検出装置は、例えば、検出光と検出対象で反射する反射光を用いることで検出領域に位置する検出対象を検出することができるので、透明電極を用いる場合と比べて、製造コストを抑制することができる。
【0012】
[実施の形態]
(検出装置1の概要)
図1(a)は、実施の形態に係る検出装置の一例を示す図であり、
図1(b)は、
図1(a)のI(b)-I(b)線で切断した断面における検出光と反射光の光路の一例を示す図であり、
図1(c)は、入射角と出射角の一例を示す図である。
図2(a)は、実施の形態に係る検出装置のブロック図の一例であり、
図2(b)は、検出光の出力時間と反射光の受光時間の一例を示す図である。なお
図1(b)は、光路を見易くするために断面を示すハッチングを省略している。
【0013】
なお以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率や形状は、実際の比率や形状とは異なる場合がある。また
図2(a)では、主な信号や情報の流れを矢印で示している。
【0014】
検出装置1は、
図1(a)~
図2(a)に示すように、検出光20を出力する光源を少なくとも1つ有する光源部2と、入射した検出光20を伝播させる導光体3と、導光体3に配置され、導光体3から出射した検出光20の光路200を、検出対象を検出するため、導光体3の上方に予め定められた検出領域10の方向に変更させる光路変更部4と、検出領域10に位置する検出対象で反射した検出光20である反射光21を、光路変更部4及び導光体3を介して出射した後に受光する受光部6と、光源部2が検出光20を出力した出力時間から受光部6が反射光21を受光した受光時間までの経過時間Tに基づいて検出対象の検出を判定する判定部としての制御部14と、を備えて概略構成されている。
【0015】
本実施の形態の検出対象は、一例として、操作者の操作指9であるがこれに限定されず、ペンなどの物体であっても良い。
【0016】
検出装置1は、さらに、光源部2と導光体3の間に配置され、光源部2から出力された検出光20のうち、予め定められた波長の検出光20を予め定められた入射角θ1で導光体3に入射させ、また導光体3を伝播する反射光21のうち、予め定められた波長の反射光21を予め定められた出射角θ2で出射させる入出射部5を備えている。受光部6は、入出射部5を介して反射光21を受光する。
【0017】
さらに導光体3は、
図1(b)に示すように、操作対象画像を表示する表示装置7の表示画面70の上方に配置されている。光路変更部4は、少なくとも一部が操作対象画像に重なるように配置される。本実施の形態の検出装置1は、操作対象画像に対するホバー操作を検出するように構成されている。
【0018】
光路変更部4は、表示装置7が複数の操作対象画像を表示する場合、複数の操作対象画像に応じて複数配置される。光源及び受光部6は、複数の光路変更部4に応じて複数配置される。
【0019】
本実施の形態の操作対象画像は、一例として、
図1(b)に示すように、画像71~画像74である。従って光路変更部4は、画像71~画像74に応じて第1の光路変更部4a~第4の光路変更部4dを備えている。また光源部2は、第1の光路変更部4a~第4の光路変更部4dに応じて第1の光源2a~第4の光源2dを備えている。さらに受光部6は、第1の光路変更部4a~第4の光路変更部4dに応じて第1の受光センサ6a~第4の受光センサ6dを備えている。
【0020】
この光源部2及び受光部6は、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、表示画面70の外側に配置される。
【0021】
(光源部2の構成)
光源部2の第1の光源2a~第4の光源2dは、一例として、LED(Light Emission Diode)素子などの発光素子によって構成されているがこれに限定されない。光源部2は、制御部14と電気的に接続され、制御部14から出力される駆動信号S1~駆動信号S4に基づいて検出光20を出力する。なお以下では、第1の光源2a~第4の光源2dから出力される光は、検出光20として記載するものとする。
【0022】
この駆動信号S
1~駆動信号S
4は、一例として、
図2(b)に示すように、周期的にLo状態とHi状態を繰り返すパルス状の信号である。従って光源部2は、パルス状の検出光20を出力する。なお
図2(b)は、第1の光源2aに入力する駆動信号S
1を示している。
【0023】
光源部2は、不可視光線を出力する。本実施の形態の光源部2は、一例として、波長が780nm以上の赤外領域の検出光20を出力するように構成されている。
【0024】
(導光体3の構成)
導光体3は、フィルム状に形成されているがこれに限定されず、板形状に形成されても良い。導光体3は、一例として、ポリカーボネートやMMA(Methyl methacrylate)などの透明な樹脂材料を用いて形成されているがこれに限定されない。なお導光体3は、表面30及び裏面31に透明な保護フィルムが貼り付けてあっても良い。
【0025】
導光体3は、表示装置7の表示画面70よりも大きい形状を有している。本実施の形態の導光体3は、一例として、
図1(a)の紙面の下側に、表示画面70よりも大きい形状を有しているが上側に大きくても良いし、上側及び下側に大きく形成されて両側に光源部2及び受光部6が配置されても良い。
【0026】
(光路変更部4の構成)
光路変更部4は、予め定められた波長の検出光20の光路200を変更する。つまり光路変更部4は、検出光20から予め定められた波長の光の光路を予め定められた方向に変更するように構成されている。光路変更部4は、一例として、HOE(Holographic Optical Element)を用いて形成されるがこれに限定されず、予め定められた波長の光の光路を予め定められた方向に変更する光学素子や反射材であれば良い。
【0027】
光路変更部4は、検出光20を検出領域10の方向、つまり導光体3の表面30の法線方向に光路200を変更するように構成されている。
【0028】
この光路変更部4は、赤外領域の光の予め定められた波長の光の光路のみを変更するので、可視光線の光路を変えない、つまりユーザからは透明に見える。従ってユーザは、表示画面70に表示された画像71~画像74を、光路変更部4を介して見ることができる。
【0029】
光路変更部4は、
図1(b)に示すように、導光体3の裏面31、つまり導光体3と表示画面70の間に配置されているがこれに限定されず、表面30に配置されても良い。
【0030】
光路変更部4の第1の光路変更部4a~第4の光路変更部4dは、それぞれが異なる波長の光の光路を変更するように構成されても良いし、同じ波長の光の光路を変更するように構成されても良い。
【0031】
本実施の形態の第1の光路変更部4a~第4の光路変更部4dは、一例として、それぞれが異なる波長の光の光路を変更するように構成されている。光路変更部4は、それぞれが異なる波長の光の光路を対応する受光部の方向に変更するように構成された場合、操作対象画像が密集して他の光源からの検出光20が操作指9と反射することを抑制することが可能となって検出精度が向上する。
【0032】
第1の光路変更部4a~第4の光路変更部4dは、画像71~画像74に対するホバー操作を検出するため、画像71~画像74の形状に応じた形状とされている。第1の光路変更部4a~第4の光路変更部4dは、対応する操作対象画像と同じ形状であっても良いし、大きくても良いし、小さくても良い。
【0033】
検出領域10は、一例として、
図1(b)において斜線で示すように、操作対象画像の上方であって、導光体3の表面30から予め定められた高さHまでを含む領域である。つまり検出領域10は、操作対象画像を底面とした高さHの柱体形状の領域となる。なお検出領域10は、表面30を含まないように構成されても良い。
【0034】
(入出射部5の構成)
入出射部5は、光路変更部4と同様にHOEなどの光学素子を用いて形成されている。入出射部5は、
図1(a)に示すように、第1の光源2a及び第1の受光センサ6aの上方に配置される第1の入出射部5aと、第2の光源2b及び第2の受光センサ6bの上方に配置される第2の入出射部5bと、第3の光源2c及び第3の受光センサ6cの上方に配置される第3の入出射部5cと、第4の光源2d及び第4の受光センサ6dの上方に配置される第4の入出射部5dと、を有している。
【0035】
この入出射部5は、光源部2から出力された検出光20が導光体3の内部を伝播し易くなるような入射角θ1となるように光路を変更する。この入射角θ1は、例えば、導光体3の内部の反射が全反射に近くなる角度である。
【0036】
具体的には、入出射部5は、
図1(a)に示すように、第1の光源2aから出力された検出光20が導光体3の内部を第1の光路変更部4aの方向に伝播するように光路を変更する。また入出射部5は、第2の光源2b~第4の光源2dから出力された検出光20が導光体3の内部を対応する第2の光路変更部4b~第4の光路変更部4dの方向に伝播するように光路を変更する。
【0037】
さらに入出射部5は、操作指9を反射して導光体3を伝播する反射光21を受光部6の方向に出射し易くなるような出射角θ2となるように光路を変更する。
【0038】
(受光部6の構成)
受光部6は、反射光21を検出するフォトダイオードなどの受光素子を備えて構成されている。本実施の形態の受光部6は、一例として、
図2(a)に示すように、第1の受光センサ6a~第4の受光センサ6dを備えている。
【0039】
第1の受光センサ6a~第4の受光センサ6dは、一例として、
図2(b)に示すように、反射光21を受光することによってLo状態からHi状態となるパルス状の検出信号S
5~検出信号S
8を制御部14に出力する。
【0040】
第1の受光センサ6aは、検出光20の伝播の方向に沿うように、第1の光源2aに隣接して配置されている。同様に、第2の受光センサ6b~第4の受光センサ6dは、第2の光源2b~第4の光源2dに隣接するように配置される。
【0041】
(制御部14の構成)
制御部14は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部14が動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。また制御部14は、その内部にクロック信号を生成する手段を有し、このクロック信号に基づいて動作を行う。
【0042】
制御部14は、経過時間Tと比較される判定しきい値を有し、判定しきい値を経過しても受光部6が反射光21を検出しない場合、操作指9が検出されていないと判定し、経過時間Tが判定しきい値以下である場合、操作指9が検出領域10において検出されたと判定するように構成されている。
【0043】
本実施の形態の制御部14は、判定しきい値として判定しきい値Th1~判定しきい値Th4を有している。この判定しきい値Th1~判定しきい値Th4は、画像71~画像74に対するホバー操作を検出するために設定されている。
【0044】
経過時間Tは、一例として、
図2(b)に示すように、検出光20が時間t
1、時間t
2及び時間t
3と周期的に出力され、時間t
2において出力された検出光20が操作指9に反射して反射光21として時間t
4において受光された場合、時間t
2(出力時間)と時間t
4(受光時間)の差分として算出される。
【0045】
制御部14は、操作指9を検出した受光センサの情報を含む操作情報S9を生成し、通信部12を介して接続された電子機器8に出力する。電子機器8は、操作情報S9に基づいて操作が検出された画像を特定し、画像に割り当てられた機能を実行する。
【0046】
・判定しきい値Th
1~判定しきい値Th
4について
第1の光源2aから出力された検出光20は、
図1(b)に示すように、第1の入出射部5aを介して導光体3に入射する。導光体3に入射した検出光20は、導光体3の内部を反射しながら一部が外に出射され、他部がさらに内部を伝播する。
【0047】
第1の光路変更部4aが配置された位置において導光体3の外に出射した検出光20は、光路200を変換され、導光体3を介して検出領域10の方向に出射される。この検出光20は、検出領域10に操作指9がない場合、反射光21として戻ることがないので、第1の受光センサ6aによって検出されない。つまり第1の受光センサ6aは、Lo状態となる検出信号S5を制御部14に出力する。
【0048】
検出領域10の方向に出射した検出光20が検出領域10の中に位置する操作指9を反射した場合、反射光21は、導光体3を介して第1の光路変更部4aに入射し、導光体3の内部を伝播し易い入射角となるように光路210を変更される。
【0049】
導光体3に入射した反射光21は、導光体3の内部を反射しながら一部が外に出射され、他部がさらに内部を伝播する。第1の入出射部5aが配置された位置において導光体3の外に出射した反射光21は、光路210がさらに変換され、第1の受光センサ6aの方向に出射される。第1の受光センサ6aは、反射光21を受光し、Lo状態からHi状態となる検出信号S5を制御部14に出力する。
【0050】
反射光21が検出領域10の上端で反射して第1の受光センサ6aによって検出された場合、第1の光源2aから第1の光路変更部4aまでの距離R1、第1の入出射部5aと第1の光路変更部4aの厚みR2、導光体3の厚みR3、第1の光路変更部4aから第1の受光センサ6aまでの距離R4、及び導光体3の表面30から検出領域10の上端までの距離Hであるとすると、検出光20が出力されてから反射光21として戻ってくるまでの距離Xは、以下の式で近似される。なお以下の式は、前方の括弧が、検出光20が進む距離であり、後方の括弧が、反射光21が進む距離である。
距離X=(R2+R1+R2+R3+H)+(H+R3+R2+R4+R2)
従って距離Xは、2H+R1+4R2+2R3+R4となる。
【0051】
この距離Xは、主に第1の光源2a、第1の光路変更部4a、検出領域10及び第1の受光センサ6aによって定まり、変化しない。また検出光20及び反射光21の速度Cは、一定である。従って検出光20が出力された出力時間から検出領域10の上端を反射した反射光21が受光される受光時間までの経過時間は、X/Cによって算出することができる。
【0052】
経過時間がX/Cよりも長い場合、操作指9は、検出領域10の外に位置し、経過時間がX/C以下である場合、検出領域10に位置する。従って画像71に対するホバー操作を検出するための判定しきい値Th1は、一例として、X/Cとして予め定めることができる。
【0053】
他の画像72~画像74に対する判定しきい値Th2~判定しきい値Th4は、同様に予め定めることができる。
【0054】
制御部14は、第1の受光センサ6aが反射光21を受光した際には判定しきい値Th1を用いて判定を行う。同様に、制御部14は、第2の受光センサ6b~第4の受光センサ6dが反射光21を受光した際には判定しきい値Th2~判定しきい値Th4を用いて判定を行う。
【0055】
(変形例について)
図3(a)は、変形例に係る検出装置の一例を示す図であり、
図3(b)は、他の変形例に係る駆動信号の一例を示す図である。
【0056】
変形例の検出装置1は、一例として、
図3(a)に示すように、操作対象画像である画像701~画像710に応じて第1の光源2a~第10の光源2j、第1の光路変更部4a~第10の光路変更部4j、第1の入出射部5a~第10の入出射部5j、及び第1の受光センサ6a~第10の受光センサ6jを備えている。
【0057】
この検出装置1は、
図3(a)の紙面において、画像701~画像705、及び画像706~画像710が上側から下側に向かって階段状に並んで配置されている。
【0058】
また他の変形例に係る検出装置1は、一例として、
図3(b)に示すように、第1の光源2a~第4の光源2dに供給される駆動信号S
1~駆動信号S
4のLo状態からHi状態に切り替わるタイミングがずれるように構成されている。
【0059】
駆動信号S1~駆動信号S4は、それぞれが異なる時間t10、時間t11、時間t12及び時間t13においてLo状態からHi状態に切り替わり、以後周期的に繰り返されている。
【0060】
この変形例の検出装置1は、第1の光源2a~第4の光源2dから出力される検出光20のタイミングがずれているので、同じ場合と比べて、誤判定を抑制することができる。具体的には、例えば、光路変更部4と入出射部5が同じ波長の光の光路を変更する場合、光源から出力された検出光20が反射光21として当該光源に対応する受光部以外の受光部で受光されても検出光20の出射のタイミングから誤検出と判定することが可能となる。
【0061】
従って変形例の検出装置1は、検出光20のタイミングをずらすことにより、操作対象画像が隣り合って並んだ場合でもホバー検出の誤判定を抑制することができる。
【0062】
さらに他の変形例の検出装置1は、入出射部5を備えず、光路変更部4のみを備える構成であっても良い。また検出装置1は、入出射部5によって異なる波長の光の光路を光路変更部4の方向に変更する場合、光源が1つであっても良い。
【0063】
またさらに他の変形例の検出装置1は、光源部2から光路変更部4まで、光源ごとに導光体3を形成し、保護フィルムなどに貼ることで検出光20及び反射光21の拡散を抑制する構成としても良い。
【0064】
以下では、本実施の形態の検出装置1の動作の一例について
図4のフローチャートに従って説明する。
【0065】
(動作)
検出装置1の制御部14は、駆動信号S1~駆動信号S4を第1の光源2a~第4の光源2dに出力する。第1の光源2a~第4の光源2dは、検出光20を出力する(Step1)。
【0066】
制御部14は、第1の受光センサ6a~第4の受光センサ6dから出力される検出信号S5~検出信号S8を監視する。制御部14は、検出信号S5~検出信号S8に基づいて反射光21を検出した受光センサがある場合(Step2:Yes)、出力時間から検出時間までの経過時間Tが判定しきい値以下であるか判定する。
【0067】
制御部14は、経過時間Tが受光センサに対応した判定しきい値以下である場合、つまり検出領域10においてホバー操作が検出された場合(Step3:Yes)、受光した受光センサの情報を含む操作情報S9を接続された電子機器8に出力し(Step4)、ステップ1に処理を進める。なお制御部14は、反射光21を受光した受光センサに基づいてホバー操作がなされた操作対象画像が特定可能な構成であった場合、ホバー操作がなされた操作対象画像に関する操作情報S9を電子機器8に出力する。
【0068】
ここでステップ2において制御部14は、反射光21を受光した受光センサがない場合(Step2:No)、ステップ1に処理を進める。
【0069】
またステップ3において制御部14は、経過時間Tが判定しきい値を超えている、つまりホバー操作が検出されない場合(Step3:No)、ステップ1に処理を進める。
【0070】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係る検出装置1は、製造コストを抑制することができる。具体的には、検出装置1は、検出光20と操作指9で反射する反射光21を用いることでホバー操作を検出することができるので、透明電極を用いる場合と比べて、表示装置7の輝度が低下することを抑制し、かつ高価な透明電極を使用しないことによって製造コストを抑制することができる。
【0071】
検出装置1は、入出射部5によって予め定められた波長の検出光20を予め定められた入射角θ1で導光体3に入射させ、導光体3の内部を伝播し易くするので、この構成を採用しない場合と比べて、検出光20が光源の上方に出力されて導光体3に入射し、そのまま導光体3から出射して伝播する光量が低下することを抑制することができる。
【0072】
検出装置1は、入出射部5によって光源部2から出力された検出光20のうち、予め定められた波長を有する検出光20の入射角θ1と光路の方向を定めるので、この構成を採用しない場合と比べて、光源部2から出力された検出光20が導光体3の内部で拡散したり、外に出射したりすることを抑制しつつ光路変更部4に導くことができる。また検出装置1は、光路変更部4によって反射光21の光路の方向を定めるので、この構成を採用しない場合と比べて、反射光21が導光体3の内部で拡散したり、外に出射したりすることを抑制しつつ受光部6に導くことができる。従って検出装置1は、反射光21の光量の減少が抑制され、検出精度が向上する。
【0073】
検出装置1は、表示装置7の表示画面70に触れずにホバー操作によって操作対象画像に割り当てられた機能を電子機器8に実行させるので、タッチ操作により実行させる場合と比べて、不特定多数の操作を受け付ける用途に好適である。
【0074】
検出装置1は、表示装置7の上方に配置することにより容易に使用することができるので、表示装置7と共に製造が必要な場合と比べて、後付けによって容易にホバー操作を検出可能とすることができる。
【0075】
検出装置1は、操作対象画像に対応するように光路変更部4などを配置することで操作対象画像に対するホバー操作を検出可能とすることができるので、この構成を採用しない場合と比べて、製造コストを抑制することができる。
【0076】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
1…検出装置、2…光源部、2a~2j…第1の光源~第10の光源、3…導光体、4…光路変更部、4a~4j…第1の光路変更部~第10の光路変更部、5…入出射部、5a~5j…第1の入出射部~第10の入出射部、6…受光部、6a~6j…第1の受光センサ~第10の受光センサ、7…表示装置、10…検出領域、14…制御部、20…検出光、21…反射光