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  • 特開-ダイヤフラム弁 図1
  • 特開-ダイヤフラム弁 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157146
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】ダイヤフラム弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 7/17 20060101AFI20241030BHJP
   F16K 7/12 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
F16K7/17 B
F16K7/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071306
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100228175
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 充紀
(72)【発明者】
【氏名】杉村 瞭
(72)【発明者】
【氏名】小林 圭吾
(57)【要約】
【課題】製薬関係等の製造に用いるダイヤフラムにおいて、定置状態で弁室内部を洗浄する性能の高いダイヤフラム弁を提供すること。
【解決手段】第1流体通路11、第2流体通路12及びこれらの流体通路と連通する弁室13が設けられたバルブボディ10と、外方に凸状の屈曲領域42を備え、上端が前記バルブボディに固定される円筒状部41と、当該円筒状部の下端開口を閉鎖して、下面が前記第2流体通路の前記弁室側の第2開口15と当接離間する底壁部43とを有し、前記弁室に収容されるダイヤフラム40と、上昇または下降することにより前記屈曲領域を変形させ前記底壁部を開または閉の方向に移動させる弁棒と、を有している。前記第1流通通路の前記弁室側の第1開口14は前記弁室の側面に開口し、前記第1開口と前記屈曲領域の最大径部が対向している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体通路、第2流体通路及びこれらの流体通路と連通する弁室が設けられたバルブボディと、
外方に凸状の屈曲領域を備え、上端が前記バルブボディに固定される円筒状部と、当該円筒状部の下端開口を閉鎖して、下面が前記第2流体通路の前記弁室側の第2開口と当接離間する底壁部とを有し、前記弁室に収容されるダイヤフラムと、
上昇または下降することにより前記屈曲領域を変形させ前記底壁部を開または閉の方向に移動させる弁棒と、を有するダイヤフラム弁であって、
前記第1流通通路の前記弁室側の第1開口は前記弁室の側面に開口し、前記第1開口と前記屈曲領域の最大径部が対向していることを特徴とするダイヤフラム弁。
【請求項2】
前記ダイヤフラムは、合成樹脂製一体品である請求項1に記載のダイヤフラム弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ダイヤフラム弁に関し、特に、PTFEなどの合成樹脂製のダイヤフラムを使用したダイヤフラム弁に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイヤフラム弁として、流体通路が設けられたボディと、ボディに形成されたシートと、シートに当接・離間されることで流体通路の開閉を行うダイヤフラムと、ダイヤフラムの中央部を押圧するダイヤフラム押さえと、ダイヤフラム押さえを上下移動させる上下移動手段と、を備えているものが知られている。
【0003】
図3に示すダイヤフラム弁は、特許文献1に記載のダイヤフラム弁であり、ダイヤフラム105は、円筒状部121と底壁部122とから構成され、円筒状部121はフランジ部123、上部131、中間部133及び下部132とから構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6002448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のバルブは、主にリチウムイオンバッテリー関連の製造において好適に用いられ、バルブ内の発塵を防止するという点において有効に寄与する。この種のバルブを同じく発塵防止という観点から製薬関連のバルブに応用しようとすると、各バッチ処理を行った後に、製造に用いる機器を十分に洗浄し、必要に応じて消毒や滅菌を行う必要がある。この観点から、製薬関連に使用される生産機器は分解せずに定置状態で洗浄するCIP(Cleaning in Place)や定置状態で滅菌するSIP(Sterilization in Place)が適切に行われることが重要となってくる。CIP時においてはバルブを開放状態にして流体流出通路102bから精製水や洗浄液を導入してダイヤフラム105の表面や弁室内部を洗い流す。SIP時においてはバルブを開放状態にして流体流出通路102bから高温水蒸気を導入してダイヤフラム105の表面や弁室内部の滅菌を行う。
【0006】
しかしながら、図3に示すダイヤフラム弁101では、流体流出通路102bの左側開口が、中間部133の上の上部131に対向しているので、中間部133の下側の斜面や下部132の表面をきれいに洗い流すことが難しい。一方、流体流出通路102bの左側開口が、中間部133の下の下部132に対向していると、上部131あたりに空気だまりができて中間部133よりも上の上部131をきれいに洗い流すことが難しい。
【0007】
この発明の目的は、製薬関係等の製造に用いるダイヤフラム弁において、定置状態で弁室内部を洗浄や滅菌する性能の高いダイヤフラム弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明(1)は、第1流体通路、第2流体通路及びこれらの流体通路と連通する弁室が設けられたバルブボディと、外方に凸状の屈曲領域を備え、上端が前記バルブボディに固定される円筒状部と、当該円筒状部の下端開口を閉鎖して、下面が前記第2流体通路の前記弁室側の第2開口と当接離間する底壁部とを有し、前記弁室に収容されるダイヤフラムと、上昇または下降することにより前記屈曲領域を変形させ前記底壁部を開または閉の方向に移動させる弁棒と、を有するダイヤフラム弁であって、前記第1流通通路の前記弁室側の第1開口は前記弁室の側面に開口し、前記第1開口と前記屈曲領域の最大径部が対向していることを特徴とするダイヤフラム弁である。
【0009】
本発明(1)のダイヤフラム弁では、前記第1開口と前記屈曲領域の最大径部が対向しているので、ダイヤフラム弁のCIPやSIPにおいて屈曲領域の上側と下側に直接に洗浄水や高温水蒸気があたるので洗い残しや菌が残ることを防止することができる。
【0010】
本発明(2)は、前記ダイヤフラムが合成樹脂製一体品である本発明(1)のダイヤフラム弁である。
【0011】
本発明(2)のダイヤフラム弁では、ダイヤフラムが合成樹脂製一体品であるであるので発塵を防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、製薬関係等に用いるダイヤフラムにおいて、定置状態で洗浄する性能の高いダイヤフラム弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態1に係るダイヤフラム弁を示す断面図である。
図2】本発明の実施形態1に係るダイヤフラム弁の要部の閉状態と開状態を示す断面図である。
図3】特許文献1に記載の従来のダイヤフラム弁である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0015】
図1に、本発明の実施形態1に係るダイヤフラム弁を示す。
ダイヤフラム弁1は、第1流体通路11と第2流体通路12及びこれらの通路と連通する弁室13が形成されているバルブボディ10と、操作エア導入通路52が形成されたピストン51が配設されているケーシング50と、第1流体通路11と連通する第1ポート流体通路21が形成された第1ポート20と、第2流体通路12と連通する第2ポート流体通路31が形成された第2ポート30と、ケーシング50と螺合し、操作エア導入口61を備える上蓋60とを有している。第1ポート20及び第2ポート30は、バルブボディ10と、それぞれ溶接部16、溶接部17とで密着させられている。
【0016】
ピストン51の下面からはダイヤフラム40を上下動させる弁棒54が下方に突出している。弁棒54の下端部には雄ねじ部57が形成されている。雄ねじ部57とダイヤフラム40の雌ねじ部45との螺合によりダイヤフラム40は弁棒54と固定されている。ダイヤフラム40は、円筒状部41を備え、上部にフランジ部44が形成され、その下方に屈曲領域42が形成されている。円筒状部41の下端部には底壁部43が形成されており、底壁部43の下面が第2流体通路12の弁室13側に開口している第2開口15の周縁のバルブボディ10と当接・離間することによって弁の閉鎖及び開放が行われる。
【0017】
フランジ部44の上面には、はめわ56が取り付けられ、はめわ56上面は皿ばね55で下方に押圧され、皿ばね55はケーシング50で下方に押圧されてバルブボディ10と一体化させられているので、ダイヤフラム40は、バルブボディ10に固定されている。
操作エア導入口61からの操作エアは、操作エア導入室53に出入りして弁棒54を上下動させ、屈曲領域42を変形させて底壁部43の下面を第2開口15に当接離間させて、ダイヤフラム弁1の開閉の調整を行う。
【0018】
第1開口14は、第1流体通路11の弁室13への縦断面の開口面であるが、屈曲領域43の頂点Pがこの第1開口14に対向する位置にある。図1では、頂点Pはダイヤフラム弁1の全閉時の頂点Pcとなっている。ダイヤフラム40の表面全体を洗浄、滅菌するためにはダイヤフラム弁1の開状態での頂点Pが第1開口14に対向していることが必要である。詳しくは図2において説明する。
【0019】
図2(1)は、ダイヤフラム弁1が閉の状態であるときのダイヤフラム40の周辺を示している。図1と同じ状態を示している。
図2(2)では、弁棒54が上方に上げられ、屈曲領域42が大きく屈曲した状態を示している。符号Poは、ダイヤフラム弁1が全開した状態の屈曲領域42の頂点位置である。この位置においても、全開時頂点位置Poが第1開口14の範囲内に開口しているので、第1流体通路11から流れ込む洗浄用の精製水や滅菌用の水蒸気は、頂点Pの上側と下側にまんべんなく当たるので、ダイヤフラム40の全体をくまなく洗浄、滅菌することが出来る。
【0020】
洗浄水が頂点Pの上側のみに当たると屈曲領域42の下側部分の洗い残しの可能性があり、洗浄水が頂点Pの下側のみに当たると屈曲領域42の上側にたまった気泡等を除去できずに、屈曲領域42の上側部分の洗い残しの可能性がある。
【0021】
本発明では、第1開口14が一つであるが、第1流体通路11を2つ設けて、上側の開口からの洗浄水等を頂点Pの上側に当て、下側の開口からの洗浄水等を頂点Pの下側に当てるような構造としてもダイヤフラム40の表面や弁室13の内部をくまなく洗浄、滅菌することができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
以上説明したように、本発明のダイヤフラム弁は、製薬関係等の製造に用いるダイヤフラムにおいて、定置状態で洗浄する性能の高いダイヤフラム弁として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0023】
1;ダイヤフラム弁
10;バルブボディ
11;第1流体通路
12;第2流体通路
13;弁室
14;第1開口
15;第2開口
16;溶接部
17;溶接部
20;第1ポート
21;第1ポート流体通路
30;第2ポート
31;第2ポート流体通路
40;ダイヤフラム
41;円筒状部
42;屈曲領域
43;底壁部
44;フランジ部
45;雌ねじ部
50;ケーシング
51;ピストン
52;操作エア導入通路
53;操作エア導入室
54;弁棒
55;皿ばね
56;はめわ
57;雄ねじ部
60;上蓋
61;操作エア導入口
P ;頂点
Pc;全閉時頂点
Po;全開時頂点
図1
図2
図3