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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157148
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/52 20060101AFI20241030BHJP
   H02K 3/50 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
H02K3/52 E
H02K3/50 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071313
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹本 満厚
(72)【発明者】
【氏名】廣川 剛士
(72)【発明者】
【氏名】山田 真弘
(72)【発明者】
【氏名】深見 健司
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA08
5H604BB01
5H604BB10
5H604BB15
5H604BB16
5H604BB17
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC16
5H604QB04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コイル部の引出線と他の構成要素との接触を防止するモータを提供する。
【解決手段】モータ100のステータ2では、周方向に並ぶ複数のコイル部22が環状のステータコア21に配置される。回路基板3は、コイル部よりも軸方向一方に配置される。コイル部と回路基板との間には、引出線ガイド部材4が配置される。ステータは、軸方向に延びてステータコアを保持するホルダ部23を有する。引出線ガイド部材は、ガイド本体部41を有する。ガイド本体部は、ホルダ部の径方向外側面に配置されて、径方向に広がるとともに、周方向に延びる。ガイド本体部には、軸方向に延びる貫通孔411が配置される。コイル部から引き出される引出線221は、貫通孔を通じて回路基板に接続される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸を中心にして回転可能なロータと、
周方向に並ぶ複数のコイル部が環状のステータコアに配置されるステータと、
前記コイル部よりも軸方向一方に配置される回路基板と、
前記コイル部と前記回路基板との間に配置される引出線ガイド部材と、
を備え、
前記ステータは、軸方向に延びて前記ステータコアを保持するホルダ部を有し、
前記引出線ガイド部材は、前記ホルダ部の径方向外側面に配置されて径方向に広がるとともに周方向に延びるガイド本体部を有し、
前記ガイド本体部には、軸方向に延びる貫通孔が配置され、
前記コイル部から引き出される引出線は、前記貫通孔を通じて前記回路基板に接続される、モータ。
【請求項2】
前記ガイド本体部は、前記ステータホルダを囲む円環形状である、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記引出線ガイド部材は、前記ガイド本体部の径方向における前記ホルダ部とは反対側の端部から軸方向一方及び他方の少なくともどちらかに延びるガイド筒部をさらに有する、請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
前記貫通孔は、周方向に延びる、請求項1に記載のモータ。
【請求項5】
前記貫通孔は、3以上の複数であって、周方向に並ぶ、請求項1に記載のモータ。
【請求項6】
前記貫通孔は、周方向における一部分に寄せ集めて配置される、請求項5に記載のモータ。
【請求項7】
前記回路基板は、センサを搭載し、
軸方向から見た前記貫通孔及び前記センサ間の小さい方の周方向間隔は、90°以上である、請求項1に記載のモータ。
【請求項8】
前記引出線ガイド部材は、前記ホルダ部に保持され、
前記ステータは、周方向において前記引出線ガイド部材と係合する第1係合部をさらに有し、
前記引出線ガイド部材は、周方向において前記第1係合部と係合する第2係合部をさらに有する、請求項1に記載のモータ。
【請求項9】
前記第1係合部と前記第2係合部とのうちの一方は、凸部を有し、
前記第1係合部と前記第2係合部とのうちの他方は、前記凸部を収容する凹部を有する
、請求項8に記載のモータ。
【請求項10】
前記引出線は、前記回路基板の軸方向一方端面に接続される、請求項1に記載のモータ。
【請求項11】
前記ステータは、前記ホルダ部の軸方向一方端部から径方向外方に延びて前記回路基板を支持する脚部をさらに有し、
前記引出線及び前記回路基板の接続部分の周方向位置は、前記脚部の周方向位置とは異なる、請求項10に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のモータでは、ステータのコイル部から引き出した引出線は、そのまま基板に半田付けなどにより接続される(たとえば特開2017-135965号公報参照)。或いは、引出線は、モータの外部にそのまま引き出される。
【0003】
基板との接続、或いは、外部への引出の際、引出線に掛かる張力が強すぎると、断線などの問題が発生する虞がある。そのため、引出線には、張力が掛かり過ぎない様に配慮する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-135965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、張力が弱すぎると、引出線が撓みやすい。そのため、撓んだ引出線がロータなどに接触する虞がある。
【0006】
本発明は、コイル部の引出線と他の構成要素との接触を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的なモータは、ロータと、ステータと、回路基板と、引出線ガイド部材と、を備える。前記ロータは、軸方向に延びる中心軸を中心にして回転可能である。前記ステータでは、周方向に並ぶ複数のコイル部が環状のステータコアに配置される。前記回路基板は、前記コイル部よりも軸方向一方に配置される。前記引出線ガイド部材は、前記コイル部と前記回路基板との間に配置される。前記ステータは、軸方向に延びて前記ステータコアを保持するホルダ部を有する。前記引出線ガイド部材は、前記ホルダ部の径方向外側面に配置されて径方向に広がるとともに周方向に延びるガイド本体部を有する。前記ガイド本体部には、軸方向に延びる貫通孔が配置される。前記コイル部から引き出される引出線は、前記貫通孔を通じて前記回路基板に接続される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の例示的なモータによれば、コイル部の引出線と他の構成要素との接触を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、モータの構成例を示す断面図である。
図2図2は、モータの外観図である。
図3図3は、ステータの構成例を示す斜視図である。
図4図4は、軸方向他方側から軸方向一方を向いて見た回路基板及び引出線ガイド部材の平面図である。
図5図5は、引出線ガイド部材の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して例示的な実施形態を説明する。
【0011】
なお、本明細書では、モータ100において、中心軸CAと平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。軸方向のうち、後述するコイル部22から回路基板3への向きを「軸方向一方Da」と呼び、回路基板3からコイル部22への向きを「軸方向他方Db」と呼ぶ。また、中心軸CAに直交する方向を「径方向」と呼び、中心軸CAを中心とする回転方向を「周方向」と呼ぶ。径方向のうち、中心軸CAへと近づく向きを「径方向内方」と呼び、中心軸CAから離れる向きを「径方向外方」と呼ぶ。
【0012】
また、本明細書において、「環状」は、中心軸CAを中心とする周方向の全域に渡って切れ目の無く連続的に一繋がりとなる形状のほか、中心軸CAを中心とする全域の一部に1以上の切れ目を有する形状を含む。また、中心軸CAを中心として、中心軸CAと交差する曲面において閉曲線を描く形状も含む。
【0013】
また、方位、線、及び面のうちのいずれかと他のいずれかとの位置関係において、「平行」は、両者がどこまで延長しても全く交わらない状態のみならず、実質的に平行である状態を含む。また、「垂直」及び「直交」はそれぞれ、両者が互いに90度で交わる状態のみならず、実質的に垂直である状態及び実質的に直交する状態を含む。つまり、「平行」、「垂直」及び「直交」はそれぞれ、両者の位置関係に本発明の主旨を逸脱しない程度の角度ずれがある状態を含む。
【0014】
なお、これらは単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係、方向、及び名称などを限定する意図はない。
【0015】
<1.実施形態>
図1は、モータ100の構成例を示す断面図である。図2は、モータ100の外観図である。なお、図1は、中心軸CAを含む仮想の平面で切断した場合のモータ100の断面構造を示す。
【0016】
<1-1.モータ100>
モータ100は、U相,V相,W相から成る三相の交流電流を駆動電流とするブラシレスモータである。図1に示すように、モータ100は、シャフト101と、ロータ1と、ステータ2と、回路基板3と、引出線ガイド部材4と、を有する。
【0017】
<1-1-1.シャフト101>
シャフト101は、中心軸CAを囲んで軸方向に延び、本実施形態では中心軸CAを中心としてロータ1とともに回転可能である。つまり、シャフト101は、モータ100の回転軸である。但し、本実施形態の例示に限定されず、シャフト101は、固定軸であって、中心軸CAを中心として回転不能であってもよい。この場合、シャフト101とロータ1との間に、シャフト101がロータ1を回転可能に支持するためのベアリングが配置される。
【0018】
<1-1-2.ロータ1>
ロータ1は、軸方向に延びる中心軸CAを中心として回転可能である。前述の如く、モータ100は、ロータ1を備える。図1に示すように、ロータ1は、ロータハブ11と、ロータ筒部12と、ヨーク13と、マグネット14と、センサマグネット15と、マグネットカバー16と、を有する。
【0019】
ロータハブ11は、ステータ2よりも軸方向他方Dbに配置され、シャフト101から径方向外方に広がる。
【0020】
ロータ筒部12は、ロータハブ11の径方向外端部から軸方向一方Daに延びる筒状であり、本実施形態ではステータ2のステータコア21及びコイル部22を囲む。
【0021】
ヨーク13は、ロータ筒部12の径方向内側面に配置される磁性体であり、軸方向に延びて周方向に広がる。ヨーク13は、本実施形態では軸方向に延びる筒状の部材であるが、この例示に限定されず、軸方向に延びるヨーク片が周方向に複数並ぶ構成であってもよい。
【0022】
マグネット14は、ヨーク13の径方向内側面に配置され、軸方向に延びて周方向に広がる。マグネット14では、異なる磁極(つまり、S極、N極)が周方向において交互に内側を向くように配置される。マグネット14は、軸方向に延びる筒状の部材であってもよいし、軸方向に延びる磁石片が周方向に複数並ぶ構成であってもよい。
【0023】
センサマグネット15は、中心軸CAを囲む環状であって、ロータ筒部12の径方向内側面においてヨーク13及びマグネット14よりも軸方向一方Daに配置される。センサマグネット15では、異なる磁極(つまり、S極、N極)が周方向において交互に配置される。
【0024】
マグネットカバー16は、センサマグネット15の軸方向他方端部及び径方向内端部を覆い、センサマグネット15がマグネット14及びステータ2のコイル部22などに及ぼす磁気的な影響を防止する。なお、センサマグネット15の軸方向一方端部は、マグネットカバー16で覆われない。
【0025】
<1―1-3.ステータ2>
次に、図1から図3を参照して、ステータ2を説明する。図3は、ステータ2の構成例を示す斜視図である。
【0026】
ステータ2は、ロータ1のマグネット14よりも径方向内方に配置され、ロータ1を回転駆動する。これにより、モータ100は、アウターロータ型とされる。
【0027】
ステータ2では、周方向に並ぶ複数のコイル部22が環状のステータコア21に配置される。前述の如く、モータ100は、ステータ2を備える。詳細には、図1に示すように、ステータ2は、ステータコア21と、インシュレータ(図示省略)と、複数のコイル部22と、ホルダ部23と、フランジ部24と、脚部25と、絶縁シート26と、を有する。
【0028】
ステータコア21は、環状の磁性体であって、マグネット14と径方向に対向する。本実施形態では、ステータコア21は、電磁鋼板の積層体であり、マグネット14よりも径方向内方においてホルダ部23の径方向外側面に配置される。また、ステータコア21は、スロット211を有する。スロット211は、ステータコア21を軸方向に貫通して、周方向に複数並ぶ。
【0029】
コイル部22は、ステータコア21のスロット211に配置され、周方向に複数並ぶ。各々のコイル部22では、コイル状の導線が、インシュレータ(図示省略)を介してステータコア21に配置される。なお、インシュレータは、電気絶縁性を有し、ステータコア21の表面を覆う。また、導線は、たとえばエナメル被覆銅線,電気絶縁部材で被覆された金属線などであり、ステータコア21のティース(図示省略)に巻き回されることでコイル部22を形成する。各々のコイル部22に駆動電流が供給されると、ステータ2は励磁されてロータ1を駆動する。
【0030】
なお、本実施形態では図3に示すように、コイル部22は、U相コイル部22Uと、V相コイル部22Vと、W相コイル部22Wと、を有する。U相コイル部22Uには、U相の交流電流が供給される。V相コイル部22Vには、V相の交流電流が供給される。W相コイル部22Wには、W相の交流電流が供給される。図3では、U相コイル部22U、V相コイル部22V、及び、W相コイル部22Wは、この順番で周方向に並ぶ。また、これらから成る組が周方向に3つ並ぶ。なお、コイル部22、及び、各相のコイル部22U,22V,22Wの数は、図3の例示に限定されない。
【0031】
ホルダ部23は、中心軸CAを囲む筒状である。ホルダ部23は、軸方向に延びて、ステータコア21を保持する。前述の如く、ステータ2は、ホルダ部23を有する。ホルダ部23は、Alなどの非磁性の金属製、或いは樹脂製である。また、ホルダ部23の内周面(径方向内側面)には、ベアリング(符号省略)が配置され、シャフト101が挿通される。ホルダ部23は、ベアリングを介してシャフト101を回転可能に支持する。
【0032】
フランジ部24は、ステータコア21及びコイル部22よりも軸方向一方Daに配置され、ホルダ部23の径方向外側面から径方向外方に突出して周方向に延びる。フランジ部24は、ホルダ部23を囲む環状である。本実施形態では、フランジ部24は、凹部241を有する。凹部241は、フランジ部24の径方向外端部における切り欠きであり、径方向内方に凹み、軸方向一方Da及び他方Dbに開口する。
【0033】
脚部25は、ホルダ部23の軸方向一方端部から径方向外方に延びて、回路基板3を支持する。前述の如く、ステータ2は、脚部25を有する。本実施形態では、3個の脚部25が、周方向に並ぶ。各々の脚部25は、ホルダ部23の軸方向一方端部から放射状に延びる。なお、上述の例示に限定されず、脚部25の数は、単数であってもよいし、3以外の複数であってもよい。
【0034】
絶縁シート26は、電気絶縁性を有するシート状の部材であり、脚部25及び回路基板間に配置される。
【0035】
<1-1-4.回路基板3>
次に、図1から図4を参照して、回路基板3を説明する。図4は、軸方向他方Db側から軸方向一方Daを向いて見た回路基板3及び引出線ガイド部材4の平面図である。
【0036】
回路基板3は、径方向に広がる板状であって、コイル部22よりも軸方向一方Daに配置される。前述の如く、モータ100は、回路基板3を備える。回路基板3には、ホルダ部23が挿通される開口(符号省略)が配置される。また、回路基板3は、絶縁シート26を介して、脚部25の軸方向他方端面に配置される。
【0037】
回路基板3には、コイル部22の引出線221及び外部接続線(図示省略)が接続される。なお、引出線221は、コイル部22を構成する導線の端部であり、回路基板3の配線パターン(図示省略)と電気的に接続される。外部接続線は、回路基板3からモータ100の外部に引き出される接続線であり、外部の装置などに接続される。
【0038】
本実施形態では、引出線221は、回路基板3の軸方向一方端面に接続される(たとえば図1及び図4の接続部分32参照)。詳細には、本実施形態では図4に示すように、回路基板3の径方向内端部(つまり、上述の開口に沿う回路基板3の縁部)に、3つの凹部31が周方向に寄せ集めて並べられて配置される。これらの凹部31は、回路基板3の径方向内端部から径方向外方に凹み、軸方向一方Da及び他方Dbに開口する。各相のコイル部22U,22V,22Wの引出線221はそれぞれ、別々の凹部31を通じて、回路基板3の軸方向一方端面(の配線パターン)に半田付けされる。こうすれば、回路基板3の軸方向におけるコイル部22とは反対側の端面に、引出線221を接続できる。従って、容易に、モータ100の外部から引出線221を回路基板3に接続できる。よって、その作業性を向上できる。
【0039】
なお、上述のように引出線221が回路基板3の軸方向一方端面に接続される場合、好ましくは、引出線221及び回路基板3の接続部分32の周方向位置は、脚部25の周方向位置とは異なる。こうすれば、軸方向から見て、上述の接続部分32が脚部25と重ならない。従って、引出線221における回路基板3との半田付けされた部分と脚部25とが干渉することなく、容易に、引出線221を回路基板3に接続できる。
【0040】
但し、上述の例示は、引出線221は、回路基板3の軸方向他方端面(回路基板3の軸方向におけるコイル部22側の端面)に接続される構成を排除しない。つまり、引出線221と回路基板3(の配線パターン)との接続部分32は、回路基板3の軸方向他方端面に配置されてもよい。
【0041】
回路基板3は、その軸方向端面に様々な配線パターン、ステータ2の駆動回路(図示省略)などを搭載する。特に、回路基板3は、センサ33を搭載する。センサ33は、回路基板3の軸方向一方端面に配置され、センサマグネット15と軸方向に対向する。センサ33は、たとえば、センサマグネット15の磁束及び極性の変化など検出する磁気センサである。磁気センサは、センサマグネット15とともにロータ1の回転数の検出に用いられる。但し、この例示に限定されず、センサ33は、磁気センサ以外のセンサを含んでいてもよい。
【0042】
<1-1-5.引出線ガイド部材4>
次に、図1及び図3から図5を参照して、引出線ガイド部材4を説明する。図5は、引出線ガイド部材4の構成例を示す斜視図である。
【0043】
引出線ガイド部材4は、コイル部22と回路基板3との間に配置される。前述の如く、モータ100は、引出線ガイド部材4を備える。引出線ガイド部材4は、ホルダ部23に保持され、コイル部22(詳細には、各相のコイル部22U,22V,22W)から引き出された引出線221を回路基板3に向けてガイドする。
【0044】
引出線ガイド部材4は、ガイド本体部41と、ガイド筒部42と、を有する。
【0045】
ガイド本体部41は、ホルダ部23を囲む。前述の如く、引出線ガイド部材4は、ガイド本体部41を有する。ガイド本体部41は、ホルダ部23の径方向外側面に配置される。ガイド本体部41は、径方向に広がり、周方向に延びる。なお、ガイド本体部41は、本実施形態ではホルダ部23を囲む円環状であるが、この例示に限定されず、円弧形状などの環状以外の形状であってもよい。また、ガイド本体部41の形状は、軸方向に薄い板状に限定されず、例えば周方向よりも軸方向の方が長い形状であってもよい。
【0046】
ガイド本体部41には、軸方向に延びる貫通孔411が配置される。すなわち、引出線ガイド部材4は、貫通孔411を有する。貫通孔411は、コイル部22と軸方向に対向し、ガイド本体部41を軸方向に貫通する。コイル部22から引き出される引出線221は、貫通孔411を通じて回路基板3に接続される。回路基板3に接続する引出線221をガイド本体部41の貫通孔411に通すことにより、引出線221を回路基板3に向けてガイドできる。従って、引出線221を引き出す際の作業性を向上できる。さらに、コイル部22の引出線221とロータ1などの他の構成要素との接触を防止できる。
【0047】
ガイド筒部42は、本実施形態では図1及び図4などに示すように、ガイド本体部41の径方向外端部(つまり、径方向におけるホルダ部23とは反対側の端部)から軸方向一方Daに延びる。但し、この例示に限定されず、ガイド筒部42は、ガイド本体部41の径方向外端部から軸方向他方Dbに延びてもよいし、ガイド本体部41の径方向外端部から軸方向一方Da及び他方Dbの両方に延びてもよい。すなわち、ガイド筒部42は、ガイド本体部41の径方向におけるホルダ部23とは反対側の端部から軸方向一方Da及び他方Dbの少なくともどちらかに延びればよい。前述の如く、引出線ガイド部材4は、ガイド筒部42を有する。こうすれば、引出線221は、ガイド筒部42とホルダ部23との間を通る。そのため、引出線221が引出線ガイド部材4以外の他の構成要素と接触することをより確実に防止できる。
【0048】
<1-1-5-1.貫通孔411>
好ましくは、貫通孔411は、周方向に延びる。こうすれば、引出線221をガイド本体部41の貫通孔411に通す作業性を向上できる。また、周方向において、貫通孔411に沿うガイド本体部41の縁部に引出線221が接触し難くなる。従って、両者の接触に起因する引出線221の断線を抑制又は防止できる。但し、この例示は、貫通孔411が周方向に延びない構成を排除しない。たとえば、軸方向から見て、貫通孔411の径方向幅はその周方向幅以上であってもよい。また、軸方向から見た貫通孔411の形状も図4などに限定されず、たとえば、円形状、多角形状などであってもよい。
【0049】
また、好ましくは、貫通孔411は、3以上の複数であって、周方向に並ぶ。この際、好ましくは、1個の貫通孔411には、同相の交流電流が供給される1以上の引出線221が通される。より好ましくは、1個の貫通孔411には、1本の引出線221が通される。こうすれば、コイル部22に三相交流の駆動電流が供給されても、各相の駆動電流が流れる引出線221を別々の貫通孔411に通すことができる。また、各々の貫通孔411の周方向位置を確認することで、それぞれの貫通孔411を通る引出線221に流れる駆動電流の相を容易に識別できる。従って、各々の引出線221を回路基板3の適切な電極に接続できる。但し、この例示は、貫通孔411が単数或いは3以外の複数である構成を排除しない。たとえば、駆動電流が単相交流であった場合、貫通孔411は、単数であってもよい。
【0050】
さらに好ましくは図4に示すように、貫通孔411は、周方向における一部分に寄せ集めて配置される。こうすれば、引出線221が複数であっても、引出線ガイド部材4の一部分に引出線221を集約できる。そのため、引出線221が近傍にあると影響を受けやすい構成要素(たとえばセンサ33)があっても、該構成要素から引出線221を容易に離して配置できる。
【0051】
たとえば、軸方向から見た貫通孔411及び回路基板3上のセンサ33間の小さい方の周方向間隔は、90°以上である。こうすれば、センサ33を引出線221から遠ざけて配置できるので、引出線221に起因するセンサ33の検出結果にノイズが発生することを抑制又は防止できる。なお、上述の周方向幅が90°未満である場合、センサ33は引出線221の影響を受け易くなる。そのため、センサ33の検出結果にノイズが発生し易くなる。但し、上述の例示は、上述の周方向幅が90°未満である構成を排除しない。たとえば、センサ33に生じるノイズは、EMSシールドなどの他の手段を用いて防止されてもよい。
【0052】
<1-1-5-2.引出線ガイド部材4の係合構造>
引出線ガイド部材4は、周方向において、ステータ2と係合する。たとえば、ステータ2は、周方向において引出線ガイド部材4と係合する第1係合部27をさらに有する。引出線ガイド部材4は、周方向において上述の第1係合部27と係合する第2係合部43をさらに有する。第1係合部27が第2係合部43と係合することで、ステータ2(特にホルダ部23)に対する第2係合部43の周方向位置を容易に決定できる。従って、周方向において、引出線ガイド部材4を適切に配置でき、特に貫通孔411を適切な周方向位置に配置できる。
【0053】
本実施形態では、第1係合部27は、フランジ部24の凹部241である。第2係合部43は、引出線ガイド部材4の凸部431である。凸部431は、ガイド本体部41の軸方向他方端面に配置され、軸方向他方Dbに突出する(図4参照)。引出線ガイド部材4は、凸部431を有する。凸部431の径方向内端部は、凹部241に収容され、好ましくは凹部241に嵌る。この構造により、両者は係合する。
【0054】
なお、本実施形態の例示に限定されず、第1係合部27はホルダ部23又はフランジ部24に配置される凸部であって、第2係合部43は引出線ガイド部材4に配置される凹部であってもよい。この場合、たとえば、凸部は、ホルダ部23の径方向外側面に配置されて径方向外方に突出してもよい。この際、引出線ガイド部材4の凹部は、ガイド本体部41の径方向内端部から径方向外方に凹んでもよい。或いは、凸部は、フランジ部24の軸方向端面に配置され、軸方向に突出してもよい。この際、引出線ガイド部材4の凹部は、ガイド本体部41の軸方向における上述の凸部側の端面から軸方向における上述の凸部とは反対側に凹んでもよい。
【0055】
つまり、第1係合部27と第2係合部43とのうちの一方は、凸部を有していればよい。また、第1係合部27と第2係合部43とのうちの他方は、上述の凸部を収容する凹部を有していればよい。なお、この構造において、好ましくは、上述の凸部は、上述の凹部に嵌る。こうすれば、凸部及び凹部の収容構造(好ましくは嵌合構造)により、周方向において、引出線ガイド部材4を適切に配置でき、特に貫通孔411を適切な周方向位置に配置できる。
【0056】
<2.その他>
以上、本発明の実施形態を説明した。なお、本発明の範囲は上述の実施形態に限定されない。本発明は、発明の主旨を逸脱しない範囲で上述の実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態で説明した事項は、矛盾が生じない範囲で適宜任意に組み合わせることができる。
【0057】
たとえば、本実施形態では、モータは、三相交流電流を駆動電流としている。但し、この例示に限定されず、モータの駆動電流は、単相の交流電流であってもよい。
【0058】
<3.総括>
以下では、これまでに説明した実施形態について総括的に述べる。
【0059】
たとえば、本明細書に開示されているモータは、
軸方向に延びる中心軸を中心にして回転可能なロータと、
周方向に並ぶ複数のコイル部が環状のステータコアに配置されるステータと、
前記コイル部よりも軸方向一方に配置される回路基板と、
前記コイル部と前記回路基板との間に配置される引出線ガイド部材と、
を備え、
前記ステータは、軸方向に延びて前記ステータコアを保持するホルダ部を有し、
前記引出線ガイド部材は、前記ホルダ部の径方向外側面に配置されて径方向に広がるとともに周方向に延びるガイド本体部を有し、
前記ガイド本体部には、軸方向に延びる貫通孔が配置され、
前記コイル部から引き出される引出線は、前記貫通孔を通じて前記回路基板に接続される構成(第1の構成)とされる。
【0060】
なお、第1の構成のモータは、
前記ガイド本体部は、前記ステータホルダを囲む円環形状である構成(第2の構成)にしてもよい。
【0061】
なお、第1又は第2の構成のモータは、
前記引出線ガイド部材は、前記ガイド本体部の径方向における前記ホルダ部とは反対側の端部から軸方向一方及び他方の少なくともどちらかに延びるガイド筒部をさらに有する構成(第3の構成)にしてもよい。
【0062】
また、第1から第3のいずれかの構成のモータは、
前記貫通孔は、周方向に延びる構成(第4の構成)にしてもよい。
【0063】
また、第1から第4のいずれかの構成のモータは、
前記貫通孔は、3以上の複数であって、周方向に並ぶ構成(第5の構成)にしてもよい。
【0064】
また、第5の構成のモータは、
前記貫通孔は、周方向における一部分に寄せ集めて配置される構成(第6の構成)にしてもよい。
【0065】
また、第1から第6のいずれかの構成のモータは、
前記回路基板は、センサを搭載し、
軸方向から見た前記貫通孔及び前記センサ間の小さい方の周方向間隔は、90°以上である構成(第7の構成)にしてもよい。
【0066】
また、第1から第7のいずれかの構成のモータは、
前記引出線ガイド部材は、前記ホルダ部に保持され、
前記ステータは、周方向において前記引出線ガイド部材と係合する第1係合部をさらに有し、
前記引出線ガイド部材は、周方向において前記第1係合部と係合する第2係合部をさらに有する構成(第8の構成)にしてもよい。
【0067】
また、第8の構成のモータは、
前記第1係合部と前記第2係合部とのうちの一方は、凸部を有し、
前記第1係合部と前記第2係合部とのうちの他方は、前記凸部を収容する凹部を有する構成(第9の構成)にしてもよい。
【0068】
また、第1から第9のいずれかの構成のモータは、
前記引出線は、前記回路基板の軸方向一方端面に接続される構成(第10の構成)にしてもよい。
【0069】
また、第10の構成のモータは、
前記ステータは、前記ホルダ部の軸方向一方端部から径方向外方に延びて前記回路基板を支持する脚部をさらに有し、
前記脚部の周方向位置は、前記引出線及び前記回路基板の接続部分の周方向位置とは異なる構成(第11の構成)にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、コイル部の引出線を回路基板に接続するモータに有用である。
【符号の説明】
【0071】
100・・・モータ、101・・・シャフト、1・・・ロータ、11・・・ロータハブ、12・・・ロータ筒部、13・・・ヨーク、14・・・マグネット、15…センサマグネット、16・・・マグネットカバー、2・・・ステータ、21・・・ステータコア、211・・・スロット、22・・・コイル部、221・・・引出線、22U・・・U相コイル部、22V・・・V相コイル部、22W・・・W相コイル部、23・・・ホルダ部、24・・・・フランジ部、241・・・凹部、25・・・脚部、26・・・絶縁シート、27・・・第1係合部、3・・・回路基板、31・・・凹部、32・・・接続部分、33・・・センサ、4・・・引出線ガイド部材、41・・・ガイド本体部、411・・・貫通孔、42・・・ガイド筒部、43・・・第2係合部、431・・・凸部、CA・・・中心軸、Da・・・軸方向一方、Db・・・軸方向他方
図1
図2
図3
図4
図5