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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157152
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/22 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
H02K9/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071318
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 信太郎
(72)【発明者】
【氏名】白石 昌寛
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609BB03
5H609BB18
5H609PP06
5H609PP09
5H609QQ02
5H609QQ23
5H609RR63
(57)【要約】      (修正有)
【課題】放熱性能を向上することができるモータを提供する。
【解決手段】モータ100の放熱部材4は、磁性体のステータコア21に配置されるコイル部22よりも軸方向一方に配置される。放熱部材は、ブラケット3とは別体であって、ブラケットのステータホルダ31に保持される。放熱部材の環状部41は、ステータホルダを囲む環状であって、ステータホルダの径方向外側面に配置される。延伸部42は、環状部から径方向外方に延びる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸回りに回転可能なロータと、
磁性体のステータコアにコイル部が配置されるステータと、
軸方向に延びて前記中心軸を囲む筒状であって前記ステータコアを保持するステータホルダを有するブラケットと、
前記コイル部よりも軸方向一方に配置され、前記ブラケットとは別体であって前記ステータホルダに保持される放熱部材と、
を備え、
前記放熱部材は、
前記ステータホルダを囲む環状であって、前記ステータホルダの径方向外側面に配置される環状部と、
前記環状部から径方向外方に延びる延伸部と、
を有する、モータ。
【請求項2】
前記延伸部は、複数であって、周方向に並ぶ、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記ブラケットは、前記モータを外部の所定部材に取り付けるための取付部をさらに有し、
前記延伸部は、前記取付部よりも軸方向他方に、且つ、軸方向から見て周方向に隣り合う前記取付部間に配置される、請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記取付部は、軸方向に延びる貫通孔を含み、
前記延伸部の周方向位置は、前記貫通孔の周方向位置とは異なる、請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
前記延伸部は、軸方向から見て周方向に隣り合う前記コイル部間にあり、
前記コイル部の軸方向一方端部の少なくとも一部は、前記モータの外部に露出する、請求項2に記載のモータ。
【請求項6】
前記放熱部材の少なくとも前記環状部の材料は、Al又はAl合金である、請求項1に記載のモータ。
【請求項7】
前記延伸部は、
前記延伸部の径方向外端部において径方向と垂直な方向に広がる先端部と、
径方向に延びて前記先端部と前記環状部とを繋ぐ接続部と、
を有する、請求項1に記載のモータ。
【請求項8】
前記放熱部材は、該放熱部材の軸方向他方端部において軸方向一方に凹む凹部をさらに有し、
前記凹部は、前記コイル部の軸方向一方端部を収容可能である、請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
前記延伸部の最小の軸方向幅は、軸方向及び径方向と垂直な方向における前記延伸部の幅よりも大きい、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項10】
軸方向において前記コイル部及び前記延伸部間に配置されて前記コイル部及び前記延伸部に接する熱伝導部材をさらに備える、請求項1に記載のモータ。
【請求項11】
前記熱伝導部材は、シート状である、請求項10に記載のモータ。
【請求項12】
前記熱伝導部材の材料は、熱伝導性フィラーを含む複合樹脂である、請求項10に記載のモータ。
【請求項13】
前記延伸部の数は、前記コイル部の数以上であって、
各々のコイル部の軸方向一方端部は、前記熱伝導部材を介して、少なくとも1つの前記延伸部と接続される、請求項10に記載のモータ。
【請求項14】
前記ロータは、前記ステータと径方向に対向するマグネットを有し、
前記ステータは、前記マグネットよりも径方向内方に配置される、請求項1に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータの放熱性がますます重要視されている。そのため、ステータコイルで発生する熱を放散するための工夫が様々に提案されている。たとえば、有底筒状のモータブラケットの内側に突起が設けられる。この突起は、ステータコイルの隣合うコイルエンド間に生じる隙間に入り込む。モータブラケットとコイルエンド間を近接させることで、コイルエンドから熱を突起を介してモータブラケットに伝熱させる。これにより、モータの放熱性を高める(特開2000-228843号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-228843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特開2000-228843号公報は、伝達された熱をモータブラケットからモータの外部に放散する手段には言及していない。従って、ステータコイルから発生する熱が多くなると、モータブラケットには放熱できても、モータブラケットからモータの外部に十分な放熱ができない虞がある。
【0005】
本発明は、モータの放熱性能を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なモータは、ロータと、ステータと、ブラケットと、放熱部材と、を備える。前記ロータは、軸方向に延びる中心軸回りに回転可能である。前記ステータは、磁性体のステータコアにコイル部が配置される。前記ブラケットは、軸方向に延びて前記中心軸を囲む筒状であって前記ステータコアを保持するステータホルダを有する。前記放熱部材は、前記コイル部よりも軸方向一方に配置され、前記ブラケットとは別体であって前記ステータホルダに保持される。前記放熱部材は、環状部と、延伸部と、を有する。前記環状部は、前記ステータホルダを囲む環状であって、前記ステータホルダの径方向外側面に配置される。前記延伸部は、前記環状部から径方向外方に延びる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の例示的なモータによれば、モータの放熱性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、モータの構成例を示す断面図である。
図2図2は、モータの外観図である。
図3図3は、モータの分解斜視図である。
図4図4は、軸方向一方側から軸方向他方を向いて見たモータの平面図である。
図5図5は、放熱部材の変形例を示す斜視図である。
図6A図6Aは、変形例における熱伝導部材の配置例を拡大して示す断面図である。
図6B図6Bは、変形例における熱伝導部材の他の配置例を拡大して示す断面図である。
図7図7は、モータを搭載する飛行体の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して例示的な実施形態を説明する。
【0010】
なお、本明細書では、モータ100において、中心軸CAと平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。軸方向のうち、後述するロータハブ11から放熱部材4への向きを「軸方向一方Da」と呼び、放熱部材4からロータハブ11への向きを「軸方向他方Db」と呼ぶ。また、中心軸CAに直交する方向を「径方向」と呼び、中心軸CAを中心とする回転方向を「周方向」と呼ぶ。径方向のうち、中心軸CAへと近づく向きを「径方向内方」と呼び、中心軸CAから離れる向きを「径方向外方」と呼ぶ。
【0011】
また、本明細書において、「環状」は、中心軸CAを中心とする周方向の全域に渡って切れ目の無く連続的に一繋がりとなる形状のほか、中心軸CAを中心とする全域の一部に1以上の切れ目を有する形状を含む。また、中心軸CAを中心として、中心軸CAと交差する曲面において閉曲線を描く形状も含む。
【0012】
また、方位、線、及び面のうちのいずれかと他のいずれかとの位置関係において、「平行」は、両者がどこまで延長しても全く交わらない状態のみならず、実質的に平行である状態を含む。また、「垂直」及び「直交」はそれぞれ、両者が互いに90度で交わる状態のみならず、実質的に垂直である状態及び実質的に直交する状態を含む。つまり、「平行」、「垂直」及び「直交」はそれぞれ、両者の位置関係に本発明の主旨を逸脱しない程度の角度ずれがある状態を含む。
【0013】
なお、これらは単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係、方向、及び名称などを限定する意図はない。
【0014】
<1.実施形態>
図1は、モータ100の構成例を示す断面図である。図2は、モータ100の外観図である。図3は、モータ100の分解斜視図である。図4は、軸方向一方Da側から軸方向他方Dbを向いて見たモータ100の平面図である。なお、図1は、図2の二点鎖線I-I及び中心軸CAを含む仮想の平面で切断した場合のモータ100の断面構造を示す。
【0015】
<1-1.モータ100>
図1に示すように、モータ100は、シャフト101と、ロータ1と、ステータ2と、ブラケット3と、放熱部材4と、を有する。
【0016】
<1-1-1.シャフト101>
シャフト101は、中心軸CAを囲んで軸方向に延びる筒状であり、本実施形態では中心軸CAを中心としてロータ1とともに回転可能である。つまり、シャフト101は、モータ100の回転軸である。但し、本実施形態の例示に限定されず、シャフト101は、中実(solid)な棒状であってもよい。また、シャフト101は、固定軸であって、中心軸CAを中心として回転不能であってもよい。この場合、シャフト101とロータ1との間に、シャフト101がロータ1を回転可能に支持するためのベアリングが配置される。
【0017】
<1-1-2.ロータ1>
ロータ1は、軸方向に延びる中心軸CAを中心として回転可能である。前述の如く、モータ100は、ロータ1を備える。図1に示すように、ロータ1は、ロータハブ11と、ロータ筒部12と、マグネット13と、を有する。
【0018】
ロータハブ11は、ステータ2よりも軸方向他方Dbに配置され、シャフト101から径方向外方に広がる。図1から図3に示すように、ロータハブ11は、天板部111と、外壁部112と、を有する。天板部111は、シャフト101の軸方向他方Db側においてシャフト101の径方向外側面から径方向外方に広がる。外壁部112は、天板部111の径方向外端部から軸方向一方Daに突出する。本実施形態では、複数の外壁部112が、周方向に並ぶ。但し、この例示に限定されず、外壁部112は、中心軸CAを囲む環状であってもよい。
【0019】
ロータハブ11の天板部111には、開口部1111が配置される。すなわち、ロータハブ11は、開口部1111を有する。開口部1111は、天板部111の軸方向一方Da側と軸方向他方Db側とを繋ぐ。つまり、開口部1111は、ロータ1の外部とロータ1の内部とを繋ぐ。こうすれば、ロータ1が回転する際、開口部1111を介してロータ1の内外で通気できる。なお、本実施形態出では、5個の開口部1111が周方向に並ぶ。但し、この例示に限定されず、開口部1111は、単数であってもよいし、5以外の複数であってもよい。
【0020】
ロータ筒部12は、軸方向に延びる筒状であり、ステータ2を囲む。ロータ筒部21は、たとえばSUSなどの金属で構成された、いわゆるバックアイアンである。ロータ筒部12の軸方向他方端部の内側には、外壁部112が嵌る。言い換えると、外壁部112は、ロータ筒部12の軸方向他方端部よりも径方向内方に配置される。外壁部112の径方向外側面は、ロータ筒部12の径方向内側面の軸方向他方Db側と接する。
【0021】
マグネット13は、ロータ筒部12の径方向内側面に配置され、軸方向に延びて周方向に広がる。前述の如く、ロータ1は、マグネット13を有する。マグネット13は、ステータ2と径方向に対向する。マグネット13では、異なる磁極(つまり、S極、N極)が周方向において交互に配置される。マグネット13は、軸方向に延びる筒状の部材であってもよいし、軸方向に延びる磁石片が周方向に複数並ぶ構成であってもよい。
【0022】
<1―1-3.ステータ2>
ステータ2は、ブラケット3のステータホルダ31に支持され、ロータ1を回転駆動する。ステータ2は、ロータ1のマグネット13よりも径方向内方に配置される。これにより、モータ100は、アウターロータ型とされる。
【0023】
ステータ2では、磁性体のステータコア21にコイル部22が配置される。前述の如く、モータ100は、ステータ2を備える。詳細には、ステータ2は、ステータコア21と、複数のコイル部22と、を有する。
【0024】
ステータコア21は、環状の磁性体であって、ブラケット3のステータホルダ31の径方向外側面に配置される。ステータコア21は、本実施形態では電磁鋼板の積層体であり、マグネット13と径方向に対向する。また、ステータコア21は、スロット211を有する。スロット211は、ステータコア21を軸方向に貫通して、周方向に複数並ぶ。
【0025】
複数のコイル部22は、ステータコア21のスロット211にそれぞれ配置され、周方向に並ぶ。各々のコイル部22では、コイル状の導線221が、インシュレータ(図示省略)を介してステータコア21に配置される。なお、インシュレータは、電気絶縁性を有し、ステータコア21の表面を覆う。また、導線221は、たとえばエナメル被覆銅線,電気絶縁部材で被覆された金属線などであり、ステータコア21のティース(図示省略)に巻き回されることでコイル部22を形成する。各々のコイル部22に駆動電流が供給されると、ステータ2は励磁されてロータ1を駆動する。
【0026】
<1-1-4.ブラケット3>
ブラケット3は、ステータホルダ31と、腕部32と、取付部33と、を有する。
【0027】
ステータホルダ31は、軸方向に延びて中心軸CAを囲む筒状であって、ステータコア21を保持する。前述の如く、モータ100はブラケット3を備え、ブラケット3はステータホルダ31を有する。ステータホルダ31は、Alなどの非磁性の金属製である。但し、この例示は、ステータホルダ31が金属製でない構成を排除しない。たとえば、ステータホルダ31の材料は、樹脂であってもよいが、好ましくは高熱伝導性の材料とされる。また、ステータホルダ31の内周面(径方向内側面)には、ベアリング311が配置され、シャフト101が挿通される。ステータホルダ31は、ベアリング311を介してシャフト101を回転可能に支持する。
【0028】
腕部32は、ステータホルダ31の軸方向一方端部から径方向外方に延びる。本実施形態では、4個の腕部32が、周方向に並ぶ。各々の腕部32は、ステータホルダ31の軸方向一方端部から放熱部材4の周方向に隣り合う延伸部42間に向かって、放射状に延びる。なお、上述の例示に限定されず、腕部32の数は、単数であってもよいし、4以外の複数であってもよい。
【0029】
取付部33は、モータを外部の所定部材に取り付けるための構成要素である。前述の如く、ブラケット3は、取付部33を有する。取付部33は、腕部32の径方向外方側に配置される。本実施形態では、取付部33は、軸方向に延びる貫通孔331を含む。貫通孔331は、螺子止め用の孔である。但し、取付部33は、この例示に限定されない。
【0030】
<1-1-5.放熱部材4>
放熱部材4は、コイル部22よりも軸方向一方Daに配置され、ステータホルダ31に保持される。前述の如く、モータ100は、放熱部材4を備える。放熱部材4は、ブラケット3とは別体である。ステータホルダ31を有するブラケット3とは別体で放熱部材4を配置することにより、両者が一体である場合と比べて、ブラケット3及び放熱部材4をそれぞれ容易に形成できる。たとえば、これらを成型する際、複雑な金型を新たに用意しなくてもよい。従って、モータ100の製造工程の一部を簡易にできる。
【0031】
放熱部材4は、環状部41と、延伸部42と、を有する。図3に示すように、環状部41は、ステータホルダ31を囲む環状であって、ステータホルダ31の径方向外側面に配置される。延伸部42は、環状部41から径方向外方に延びる。また、環状部41は、ステータホルダ31の径方向外側面と接し、ステータホルダ31から十分な熱を伝達可能である。
【0032】
環状部41から延伸部42を延ばすことにより、放熱部材4の表面積を増大できる。従って、コイル部22からステータコア21及びステータホルダ31を経由して放熱部材4に伝達された熱を効率良く、放熱部材4から放散できる。よって、モータ100の放熱性能を向上できる。
【0033】
好ましくは、放熱部材4の少なくとも環状部41の材料は、Al又はAl合金である。たとえば本実施形態では、環状部41は、延伸部42と一体である。放熱部材4の材料は、Al又はAl合金である。Al又はAl合金は、軽金属であって、非磁性と良好な熱伝導率とを有する。従って、放熱部材4の配置によるモータ100の重量の増加を抑制できる。また、コイル部22が形成する磁束に影響されることなく、ステータホルダ31から放熱部材4の少なくとも環状部41に効率良く、熱を伝達できる。但し、この例示は、放熱部材4の少なくとも環状部41の材料がAl又はAl合金でない構成を排除しない。該材料は、十分な熱伝導率を有していればよく、好ましくはさらに低密度であればよい。たとえば、該材料は、Al及びAl合金以外の金属であってもよいし、セラミック、熱伝導性樹脂などであってもよい。
【0034】
また、延伸部42は、複数であって、周方向に並ぶ。たとえば、本実施形態では、9個の延伸部42が、環状部41から径方向外方に向かって放射状に延びる。こうすれば、延伸部42の数に応じて、放熱部材4の表面積を増大できる。さらに、延伸部42の数が増えても、放熱部材4の軸方向サイズは、ほぼ変化しない、従って、放熱部材4をコンパクトな形状にできるので、モータ100の大型化(特に軸方向サイズの増大)を抑制又は防止できる。但し、上述の例示は、延伸部42の数が単数又は9以外の複数である構成を排除しない。
【0035】
また、延伸部42の数は、本実施形態では図3に示すようにコイル部22の数未満である。但し、この例示に限定されず、延伸部42の数は、コイル部22の数以上であってもよい。
【0036】
図1に示すように、延伸部42は、取付部33よりも軸方向他方Dbに配置される。好ましくは、図4に示すように、延伸部42は、軸方向から見て、周方向に隣り合う取付部33間に配置される。こうすれば、延伸部42が取付部33と軸方向に重ならないようにできる。そのため、軸方向において延伸部42をモータ100の外部に露出させ易い。従って、軸方向において、延伸部42に接する空気が入れ替わり易くなる。よって、放熱部材4の放熱性を向上できる。但し、この例示は、少なくとも1つの取付部33が延伸部42と軸方向に重なる構成を排除しない。
【0037】
さらに好ましくは、延伸部42の周方向位置は、取付部33の貫通孔331の周方向位置とは異なる。つまり、軸方向から見て、延伸部42は、貫通孔331と重ならない。こうすれば、貫通孔331に通される螺子の締結によりモータ100を外部の所定部材に取り付ける際、延伸部42が邪魔になり難い。従って、螺子の締結作業がし易くなる。
【0038】
また、好ましくは、延伸部42は、軸方向から見て周方向に隣り合うコイル部22間にある。コイル部22の軸方向一方端部(たとえば軸方向一方Da側のコイルヘッド)の少なくとも一部は、モータ100の外部に露出する。ここで、軸方向一方Da側のコイルヘッドは、コイル部22のうち、ステータコア21の軸方向一方端部よりも軸方向一方Daにある部分である。なお、軸方向他方Db側のコイルヘッドは、コイル部22のうち、ステータコア21の軸方向他方端部よりも軸方向他方Dbにある部分である。
【0039】
つまり、好ましくは、軸方向から見て、延伸部42は、コイル部22と重ならない。こうすれば、軸方向において、コイル部22(特に、コイルヘッド)に接する空気が入れ替わり易くなる。よって、直接にコイル部22を空冷し易くなる。但し、この例示は、軸方向から見て少なくとも1つの延伸部42がコイル部22と重なる構成を排除しない。
【0040】
また、好ましくは、延伸部42の最小の軸方向幅Wa(たとえば後述する接続部422の軸方向幅)は、軸方向及び径方向と垂直な方向における延伸部42の幅Wbよりも大きい(図3参照)。こうすれば、周方向に隣り合う延伸部42間の周方向間隔Wcをより大きくできる。従って、延伸部42に接する空気がさらに入れ替わり易くなる。よって、放熱部材4の放熱性を向上できる。また、軸方向において、ステータ2の軸方向一方端部(特に、コイルヘッド)をモータ100の外部に露出させ易い。従って、ステータ2(特にコイルヘッド)に接する空気がさらに入れ替わり易くなる。よって、直接にステータ2を空冷し易くできる。但し、この例示は、Wa≦Wbである構成を排除しない。
【0041】
次に、延伸部42は、先端部421と、接続部422と、を有する。先端部421は、延伸部42の径方向外端部において径方向と垂直な方向に広がる。接続部422は、径方向に延びて、環状部41と先端部421とを繋ぐ。延伸部42の先端に幅広の先端部421を配置することにより。放熱部材4の表面積をさらに大きくできる。従って、放熱部材4の放熱性をさらに向上できる。
【0042】
たとえば、本実施形態では、接続部422は、環状部41の径方向外端部から径方向外方に延びる。先端部421は、接続部422の径方向外端部から軸方向他方Dbに広がる。但し、本実施形態述の例示は、先端部421が軸方向一方Da又は軸方向両側に広がる構成、先端部421が周方向に広がる構成などを排除しない。
【0043】
また、本実施形態では、図3に示すように、放熱部材4は、第1凹部43をさらに有する。第1凹部43は、放熱部材4の軸方向他方端部において軸方向一方Daに凹み、コイル部22の軸方向一方端部を収容可能である。詳細には、第1凹部423は、環状部41の軸方向一方端面と、各々の延伸部42の先端部421の径方向内側面及び接続部422の軸方向一方端面と、で構成される。
【0044】
コイル部22の軸方向一方端部を第1凹部43に収容することにより、軸方向において、コイル部22に対して放熱部材4をより近付けて配置できる。つまり、放熱部材4(特に、環状部41及び接続部422)をより軸方向他方Dbに配置できる。従って、モータ100の軸方向サイズをより小さくできる。よって、モータ100の小型化に寄与できる。
【0045】
また、本実施形態では、軸方向及び径方向の両方と垂直な方向において、先端部421の幅(厚さ)は、接続部422の幅(厚さ)と同じである。こうすれば、軸方向及び径方向の両方と垂直な方向における延伸部42の幅を均一にできる。また、延伸部42が形成し易くなる。たとえば、環状部41から径方向に延びて軸方向に広がる板状の部材を押し出し成型によって形成する。その後、該板状の部材の軸方向他方端部において、その径方向外端部よりも径方向内方の部分を切削加工する。これにより、先端部421及び接続部422を形成できる。従って、低コストで、放熱部材4を製造できる。
【0046】
但し、この例示に限定されず、軸方向及び径方向の両方と垂直な方向において、先端部421の幅(厚さ)は、接続部422の幅(厚さ)よりも大きくてもよい。こうすれば、両者の差に応じて延伸部42の表面積を大きくできる。つまり、放熱部材4の放熱面積を増やすことができる。
【0047】
或いは、この例示に限定されず、軸方向及び径方向の両方と垂直な方向において、先端部421の幅(厚さ)は、接続部422の幅(厚さ)よりも小さくてもよい。こうすれば、両者の差に応じて延伸部42の体積を小さくできる。すなわち、放熱部材4を軽量化できる。また、放熱部材4の形成に用いる材料を節約できる。
【0048】
また、図5は、放熱部材4の変形例を示す斜視図である。図5に示すように、延伸部42は、第2凹部423をさらに有してもよい。第2凹部423は、延伸部42の軸方向他方端部において軸方向一方Daに凹み、コイル部22の軸方向一方端部を収容可能である。詳細には、第2凹部423は、先端部421よりも径方向内方に配置され、接続部422の軸方向他方端部から軸方向一方Daに凹む。なお、第2凹部423の径方向内端部は、図5では環状部41から径方向外方に離れている。但し、この例示に限定されず、少なくとも1つの延伸部42において、第2凹部423の径方向内端部は、環状部41(の径方向外側面)と接していてもよい。また、第2凹部423の径方向外端部は、図5では先端部421から径方向内方に離れている。但し、この例示に限定されず、少なくとも1つの延伸部42において、第2凹部423の径方向外端部は、先端部421(の径方向内端部)と接していてもよい。
【0049】
コイル部22の軸方向一方端部を第2凹部423に収容することにより、軸方向において、コイル部22に対して放熱部材4をより近付けて配置できる。つまり、放熱部材4(特に、環状部41及び接続部422)をより軸方向他方Dbに配置できる。従って、モータ100の軸方向サイズをより小さくできる。よって、モータ100の小型化に寄与できる。
【0050】
但し、図5の例示は、少なくとも1つの延伸部42が第2凹部423を有さない構成を排除しないし、少なくとも1つの延伸部42においてコイル部22の軸方向一方端部が第2凹部423に収容されない構成を排除しない。
【0051】
<1-2.実施形態の変形例>
次に、実施形態の変形例を説明する。変形例では、延伸部42は、熱伝導部材5を介してコイル部22と熱的に接続される。これ以外は、実施形態と同様である。なお、変形例では、上述の実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
【0052】
図6Aは、変形例における熱伝導部材5の配置例を拡大して示す断面図である。図6Bは、変形例における熱伝導部材5の他の配置例を拡大して示す断面図である。図6A及び図6Bは、図1の破線で囲まれた部分VIに対応する。
【0053】
図6A及び図6Bに示すように、モータ100は、熱伝導部材5をさらに備える。熱伝導部材5は、軸方向においてコイル部22及び延伸部42間に配置されて、コイル部22及び延伸部42に接する。熱伝導部材5には、熱伝導の高い材料が採用され、より好ましくはさらに電気絶縁性を有する材料が採用される。こうすれば、ステータコア21、ステータホルダ31、及び環状部41を介した熱伝達経路のほか、熱伝導部材5を介した熱伝導経路でもコイル部22から放熱部材4に熱を伝達できる。従って、放熱部材4により多くの熱を伝達できる。また、後者(熱伝導部材5を介した熱伝導経路)の経路長は、前者(ステータコア21、ステータホルダ31、及び環状部41を介した熱伝達経路)の経路長よりも短い。従って、コイル部22から放熱部材4への熱伝達性を大幅に向上できる。よって、モータ100の放熱性能をさらに向上できる。
【0054】
たとえば、図6Aでは、熱伝導部材5は、シート状であり、コイル部22と延伸部42との間に挟まれて配置される。熱伝導部材5には、グラファイトシートなどを採用でき、好ましくは、電気絶縁性を有する熱伝導シートを採用できる。こうすれば、熱伝導部材5がシート状でない場合と比べて、コイル部22及び延伸部42間に配置される放熱部材4をより薄くできる。従って、両者間の熱伝達経路をより短くできる。また、シート状の熱伝導部材5の配置によって、両者間の間隔をより狭くできる。従って、延伸部42(特に接続部422)をコイル部22に近付けて配置できる。よって、放熱性能を向上させつつ、モータの大型化を抑制又は防止できる。
【0055】
或いは、図6Bに示すように、熱伝導部材5は、コイル部22及び延伸部42間に充填されてコイルヘッドを覆う樹脂であってもよい。好ましくは、熱伝導部材5の材料は、熱伝導性フィラーを含む複合樹脂である。熱伝導性フィラーには、良好な熱伝導性を有する金属紛、セラミック紛などが採用される。複合樹脂を用いることで、容易に熱伝導部材5をコイル部22及び延伸部42間に配置できる。
【0056】
好ましくは、各々のコイル部22の軸方向一方端部(つまりコイルヘッド)は、熱伝導部材5を介して、少なくとも1つの延伸部42と接続される。こうすれば、各々のコイル部22は、コイルヘッドから熱伝導部材5を介して放熱部材4の延伸部42に短い経路で熱伝達できる。従って、コイル部22から放熱部材4により多くの熱を伝達でき、モータ100の放熱性能をさらに向上できる。但し、上述の例示は、少なくとも1つのコイル部22の軸方向一方端部(つまりコイルヘッド)が熱伝導部材5を介して延伸部42と接続されない構成を排除しない。
【0057】
<1-3.モータ100の用途例>
次に、図7を参照して、モータ100の用途例を説明する。図7は、モータ100を搭載する飛行体200の一例を示す図である。図7に示すように、モータ100は、ドローンなどの飛行体200の駆動源である。飛行体200は、モータ100を備える。また、飛行体200は、バッテリー201と、プロペラ202と、をさらに備える。たとえば、モータ100は、バッテリー201から電力の供給を受け、プロペラ202を回転駆動する。但し、この例示は、モータ100が飛行体200以外の装置に搭載される構成を排除しない。
【0058】
また、上述した実施形態に係るアウターロータ型のモータ100は、たとえば、ステータ2の外径を15mm以上且つ50mm以下、ステータ2の高さを10mm以上且つ80mm以下、ロータ1の外径を20mm以上且つ100mm以下とすることができる。これらのサイズのステータ2及びロータ1に対して、コイル部22を構成するコイルの外径、ティースの幅及び長さなどを適宜、選択することにより、用途に合わせたモータ100を構成することが可能となる。
【0059】
<2.その他>
以上、本発明の実施形態を説明した。なお、本発明の範囲は上述の実施形態に限定されない。本発明は、発明の主旨を逸脱しない範囲で上述の実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態で説明した事項は、矛盾が生じない範囲で適宜任意に組み合わせることができる。
【0060】
<3.総括>
以下では、これまでに説明した実施形態について総括的に述べる。
【0061】
たとえば、本明細書に開示されているモータは、
軸方向に延びる中心軸回りに回転可能なロータと、
磁性体のステータコアにコイル部が配置されるステータと、
軸方向に延びて前記中心軸を囲む筒状であって前記ステータコアを保持するステータホルダを有するブラケットと、
前記コイル部よりも軸方向一方に配置され、前記ブラケットとは別体であって前記ステータホルダに保持される放熱部材と、
を備え、
前記放熱部材は、
前記ステータホルダを囲む環状であって、前記ステータホルダの径方向外側面に配置される環状部と、
前記環状部から径方向外方に延びる延伸部と、
を有する構成(第1の構成)とされる。
【0062】
なお、第1の構成のモータは、
前記延伸部は、複数であって、周方向に並ぶ構成(第2の構成)にしてもよい。
【0063】
また、第2の構成のモータは、
前記ブラケットは、前記モータを外部の所定部材に取り付けるための取付部をさらに有し、
前記延伸部は、前記取付部よりも軸方向他方に、且つ、軸方向から見て周方向に隣り合う前記取付部間に配置される構成(第3の構成)にしてもよい。
【0064】
また、第3の構成のモータは、
前記取付部は、軸方向に延びる貫通孔を含み、
前記延伸部の周方向位置は、前記貫通孔の周方向位置とは異なる構成(第4の構成)にしてもよい。
【0065】
また、第2から第4のいずれかの構成のモータは、
前記延伸部は、軸方向から見て周方向に隣り合う前記コイル部間にあり、
前記コイル部の軸方向一方端部の少なくとも一部は、前記モータの外部に露出する構成(第5の構成)にしてもよい。
【0066】
また、第1から第5のいずれかの構成のモータは、
前記放熱部材の少なくとも前記環状部の材料は、Al又はAl合金である構成(第6の構成)にしてもよい。
【0067】
また、第1から第6のいずれかの構成のモータは、
前記延伸部は、
前記延伸部の径方向外端部において径方向と垂直な方向に広がる先端部と、
径方向に延びて前記先端部と前記環状部とを繋ぐ接続部と、
を有する構成(第7の構成)にしてもよい。
【0068】
また、第1から第7のいずれかの構成のモータは、
前記放熱部材は、該放熱部材の軸方向他方端部において軸方向一方に凹む凹部をさらに有し、
前記凹部は、前記コイル部の軸方向一方端部を収容可能である構成(第8の構成)にしてもよい。
【0069】
また、第1から第8のいずれかの構成のモータは、
前記延伸部の最小の軸方向幅は、軸方向及び径方向と垂直な方向における前記延伸部の幅よりも大きい構成(第9の構成)にしてもよい。
【0070】
また、第1から第9のいずれかの構成のモータは、
軸方向において前記コイル部及び前記延伸部間に配置されて前記コイル部及び前記延伸部に接する熱伝導部材をさらに備える構成(第10の構成)にしてもよい。
【0071】
また、第10の構成のモータは、
前記熱伝導部材は、シート状である構成(第11の構成)にしてもよい。
【0072】
また、第10又は第11の構成のモータは、
前記熱伝導部材の材料は、熱伝導性フィラーを含む複合樹脂である構成(第12の構成)にしてもよい。
【0073】
また、第10から第12のいずれかの構成のモータは、
前記延伸部の数は、前記コイル部の数以上であって、
各々のコイル部の軸方向一方端部は、前記熱伝導部材を介して、少なくとも1つの前記延伸部と接続される構成(第13の構成)にしてもよい。
【0074】
また、第1から第13のいずれかの構成のモータは、
前記ロータは、前記ステータと径方向に対向するマグネットを有し、
前記ステータは、前記マグネットよりも径方向内方に配置される構成(第14の構成)にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、ステータで発生した熱を放散する部材を有するモータ装置に有用である。
【符号の説明】
【0076】
100・・・モータ、101・・・シャフト、1・・・ロータ、11・・・ロータハブ、111・・・天板部、11111・・・開口部、112・・・外壁部、12・・・ロータ筒部、13・・・マグネット、2・・・ステータ、21・・・ステータコア、211・・・スロット、22・・・コイル部、221・・・導線、3・・・ブラケット、31・・・ステータホルダ、311・・・ベアリング、32・・・腕部、33・・・取付部、331・・・貫通孔、4・・・放熱部材、41・・・環状部、42・・・延伸部、421・・・先端部、422・・・接続部、423・・・第2凹部、43・・・第1凹部、5・・・熱伝導部材、51・・・放熱シート、52・・・熱伝導樹脂、200・・・飛行体、201・・・バッテリー、202・・・プロペラ、CA・・・中心軸、Da・・・軸方向一方、Db・・・軸方向他方
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7