(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157169
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E05D 15/06 20060101AFI20241030BHJP
E06B 1/18 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
E05D15/06 110Z
E06B1/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071336
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 沙理
【テーマコード(参考)】
2E034
【Fターム(参考)】
2E034BE05
(57)【要約】
【課題】製造コストが大きく増大する事態を防止しつつ用途に応じた構成の建具を提供する。
【解決手段】枠体に戸車を介して障子がスライド可能に配設された建具であって、枠体10を構成する下枠13には、框用戸車25が転動可能な本体レール部15が一部分断する状態で設けられているとともに、本体レール部15の分断した部分には装着部16が設けられ、下枠13の装着部16には、障子をスライド可能に支持する枠用戸車14、もしくは本体レール部15を連続させる連絡レール部17bが着脱可能に装着されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体に戸車を介して障子がスライド可能に配設された建具であって、
前記枠体を構成する下枠には、戸車が転動可能な本体レール部が一部分断する状態で設けられているとともに、前記本体レール部の分断した部分には装着部が設けられ、
前記下枠の装着部には、前記障子をスライド可能に支持する戸車、もしくは前記本体レール部を連続させる連絡レール部が着脱可能に装着されていることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記下枠は、ベースとなる下枠本体と、前記下枠本体から上方に突出するように設けられた台状部とを備え、前記台状部の上面に前記本体レール部が設けられ、
前記下枠本体と前記台状部との間には、戸車の一部を収容することのできる収容空間が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記台状部は、前記下枠本体に対して着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記装着部には、前記戸車が装着されていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項5】
前記装着部には、前記連絡レール部が装着されていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項6】
枠体に戸車を介して障子がスライド可能に配設された建具であって、
前記枠体を構成する下枠は、ベースとなる下枠本体を有し、
前記下枠本体には、装着部が設けられ、
前記下枠本体の装着部には、戸車が転動可能な本体レール部を有したレールアタッチメント、もしくは前記障子をスライド可能に支持する戸車を有した戸車アタッチメントが着脱可能に装着されていることを特徴とする建具。
【請求項7】
前記装着部には、前記レールアタッチメントが装着されていることを特徴とする請求項6に記載の建具。
【請求項8】
前記装着部には、前記戸車アタッチメントが装着されていることを特徴とする請求項6に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体に戸車を介して障子がスライド可能に配設された建具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の建具としては、戸車を障子の下框に設ける一方、戸車が転動するレールが枠体の下枠に設けられているものがある(例えば、特許文献1参照)。また、枠体の下枠に戸車を設け、戸車を介して障子をスライド可能に支持するようにした建具も提供されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2012-519246号公報
【特許文献2】中国特許第102203371号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、戸車を下框に設けた建具では、下框の見付け寸法が大きくなる懸念がある。このため、例えばガラス等の透過性を有したパネルの開口面積を大きく確保したい用途には必ずしも好ましいとはいえない。一方、戸車を下枠に設けた建具では、下框の見付け寸法を小さく構成することができるため、上述の用途にも適用することが可能である。しかしながら、下枠の上面に戸車及び戸車を露出させるための切欠が開口する。このため、塵埃や砂等の異物が多い環境下へ設置した場合には、これらの異物が下枠の内部に進入する懸念がある。
【0005】
ここで、上述の課題は、2種類の下枠を有した建具をラインアップすれば解決することが可能である。すなわち、同じ製品シリーズの下枠として、障子に設けられた戸車をガイドするガイドレールを有したものと、戸車が設けられたものとを個別に用意すれば、それぞれの用途に応じた構成の建具を提供することが可能となる。しかしながら、2種類の下枠を用意した場合には、部品点数が増大するばかりでなく、異なる押し出し成形設備が必要となり、製造コストが大幅に増大するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、製造コストが大きく増大する事態を防止しつつ用途に応じた構成の建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具は、枠体に戸車を介して障子がスライド可能に配設された建具であって、前記枠体を構成する下枠には、戸車が転動可能な本体レール部が一部分断する状態で設けられているとともに、前記本体レール部の分断した部分には装着部が設けられ、前記下枠の装着部には、前記障子をスライド可能に支持する戸車、もしくは前記本体レール部を連続させる連絡レール部が着脱可能に装着されていることを特徴とする。
【0008】
また本発明に係る建具は、枠体に戸車を介して障子がスライド可能に配設された建具であって、前記枠体を構成する下枠は、ベースとなる下枠本体を有し、前記下枠本体には、装着部が設けられ、前記下枠本体の装着部には、戸車が転動可能な本体レール部を有したレールアタッチメント、もしくは前記障子をスライド可能に支持する戸車を有した戸車アタッチメントが着脱可能に装着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、装着部に対して戸車を装着することにより、下框の見付け寸法を小さくすることができ、一方、装着部に対して連絡レール部を装着することにより、下枠の内部に異物が進入する問題を防止することができ、用途に応じた構成の建具の提供が可能となる。しかも、装着部を有した下枠を共通化することができ、製造コストが増大する事態を防止することができる。
【0010】
また本発明によれば、装着部に対して戸車アタッチメントを装着することにより、下框の見付け寸法を小さくすることができ、一方、装着部に対してレールアタッチメントを装着することにより、下枠の内部に異物が進入する問題を防止することができ、用途に応じた構成の建具の提供が可能となる。しかも、下枠本体を共通化することができ、製造コストが増大する事態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態1である建具を室内側から見た姿図である。
【
図2】
図1に示した建具の要部を示す縦断面図である。
【
図3】
図2に示した建具の下枠を示す縦断面図である。
【
図4】
図2に示した建具に適用する下枠を上方側から見た斜視図である。
【
図5】
図2に示した建具に適用する下枠を上方側から見たもので、(a)は装着部に戸車を装着した斜視図、(b)は連絡レール部を装着した斜視図である。
【
図6】
図2に示した建具に適用する下枠を示すもので、装着部の一部に連絡レール部を装着した平面図である。
【
図7】
図2に示した建具の下枠に装着する連絡レール部を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は上方側から見た斜視図、(d)は端面図である。
【
図8】
図2に示した建具の下框に戸車を装着して構成した建具の要部を示す縦断面図である。
【
図10】本発明の実施の形態2である建具の要部を示す縦断面図である。
【
図12】
図10に示した建具の下框に戸車アタッチメントを装着して構成した建具の要部を示す縦断面図である。
【
図13】本発明の実施の形態3である建具の要部を示す縦断面図である。
【
図15】
図13に示した建具の下框に戸車を装着して構成した建具の要部を示す縦断面図である。
【
図16】本発明の実施の形態4である建具の要部を示す縦断面図である。
【
図18】
図16に示した建具の下框に戸車アタッチメントを装着して構成した建具の要部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる場合がある。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。見付け方向とは、下枠等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0013】
(実施の形態1)
図1及び
図2は、本発明の実施の形態1である建具の要部を示したものである。ここで例示する建具は、枠体10と、枠体10の室外側となる部分に配設した外障子20Aと、枠体10の室内側となる部分に配設した内障子20Bとを備えた引き違い窓と称されるものである。枠体10は、左右の縦枠11、上枠12、下枠13を四周組することによって四角形状に構成したものである。外障子20Aは、四角形状を成す複層ガラス等のパネル21と、パネル21の四周に配設した左右の縦框22、上框23、下框24とを備えて構成したものである。同様に、内障子20Bは、四角形状を成すパネル21と、パネル21の四周に配設した左右の縦框22、上框23、下框24とを備えて構成したものである。本実施の形態1では、外障子20A及び内障子20Bがそれぞれ枠体10に設けた枠用戸車14を介して上枠12及び下枠13の長手に沿って移動可能に配設してある。以下、枠用戸車14及び下枠13の構成について詳述し、併せて本発明の特徴部分について説明する。なお、障子20A,20Bをスライドさせるための「戸車」は、一般的に障子20A,20Bに取り付けるものを示すが、以下においては便宜上、枠体10に取り付けるものについても「戸車」と称して説明を行うこととする。
【0014】
枠用戸車14は、車軸を介してハウジング14bに車輪14cを回転可能に支持させたものである。車輪14cは、外周面が比較的幅広で、かつ平坦に構成されたものである。ハウジング14bは、外形が長方形状の取付基板部14dと、取付基板部14dの両側縁部から互いに平行となるように延在した2つの軸支持板部14eとを有したものである。取付基板部14dの両端部には、それぞれネジ挿通孔14fが設けてある。上述の車輪14cは、車軸の両端部をそれぞれ軸支持板部14eに支持させることにより、軸支持板部14eの間に回転可能に支持してある。
【0015】
下枠13は、アルミニウム合金や樹脂によって成形した押し出し形材であり、長手に沿った全長にわたる部分がほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。本実施の形態1では、
図3に示すように、下枠基板部13a、内方見付け壁部13b、外方見付け壁部13c、仕切壁部13d、2つの台状部13eを一体に成形した下枠13を例示している。下枠基板部13aは、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在した平板状を成すものである。内方見付け壁部13bは、下枠基板部13aの室内側に位置する縁部から上方に向けて見付け方向に延在したものであり、外方見付け壁部13cは、下枠基板部13aの室外側に位置する縁部から上方に向けて見付け方向に延在したものである。仕切壁部13dは、下枠基板部13aの上面において内方見付け壁部13b及び外方見付け壁部13cの間となる部分から上方に向けて見付け方向に延在したもので、内方見付け壁部13b及び外方見付け壁部13cの間をほぼ二等分している。内方見付け壁部13b、外方見付け壁部13c、仕切壁部13dの下枠基板部13aからの突出寸法は互いにほぼ等しい。台状部13eは、下枠基板部13aの上面において内方見付け壁部13bと仕切壁部13dとの間となる部分及び外方見付け壁部13cと仕切壁部13dとの間となる部分にそれぞれ設けたものである。図示の例では、室外側から上方に突出した外壁部13f、室内側から上方に突出した内壁部13g、これら外壁部13f及び内壁部13gの間に設けた見込み方向に沿う上壁部13hを有した台状部13eが構成してある。下枠基板部13aからの台状部13eの突出寸法は、内方見付け壁部13bよりも小さく設定してある。台状部13eと下枠基板部13aとの間には、収容空間13iが確保してある。台状部13eと外方見付け壁部13cとの間、台状部13eと仕切壁部13dとの間、台状部13eと内方見付け壁部13bとの間にはそれぞれ隙間が確保してある。
【0016】
台状部13eの上壁部13hには、本体レール部15が設けてある。本体レール部15は、下枠13の長手に沿って延在した幅の細い突出部であり、上壁部13hの上面において見込み方向のほぼ中央となる部分から上方に向けて突出している。本体レール部15の上縁部は、周面が半円柱面状を成すもので、後述する框用戸車25の外周面に設けられた凹溝25cの内部に挿入することが可能となる寸法に形成してある。図からも明らかなように、本体レール部15は、適宜箇所が分断した分割構成となっている。台状部13eにおいて本体レール部15が分断した部分には、それぞれ装着部16が設けてある。装着部16は、上壁部13hの上面に設けた平面視長方形の平坦部分であり、相互間隔が下框24の長手に沿った寸法よりも短いピッチとなるように配置してある。個々の装着部16には、ほぼ中央となる部分に切欠16aが設けてあるとともに、切欠16aの両側となる部分にそれぞれネジ孔16bが設けてある。切欠16aは、枠用戸車14の2つの軸支持板部14e及び車輪14cを挿通させることのできる大きさの長方形状を成すものである。ネジ孔16bは、枠用戸車14のネジ挿通孔14fに対応して設けてある。
【0017】
上述の構成を有する建具では、
図5(a)に示すように、下枠13の台状部13eに設けた装着部16にそれぞれ枠用戸車14が取り付けてあるとともに、障子20A,20Bの下框24として下面が平坦となるものを適用し、障子20A,20Bの下框24をそれぞれ枠用戸車14の車輪14cに当接させるようにしている。すなわち、枠体10の下枠13には、装着部16の切欠16aに枠用戸車14の車輪14cを2つの軸支持板部14eとともに挿入した後、取付基板部14dのネジ挿通孔14fを介して下枠13のネジ孔16bに取付ネジを螺合することによって枠用戸車14が取り付けてある。下枠13に取り付けた状態の枠用戸車14は、車輪14cの外周面が本体レール部15の上縁よりも上方に位置した状態となっている。従って、この下枠13を有する枠体10に対して障子20A,20Bを建て込めば、下框24の下面が常に車輪14cの外周面に当接された状態となり、内方見付け壁部13bと仕切壁部13dとの間及び外方見付け壁部13cと仕切壁部13dとの間において、それぞれ外障子20A及び内障子20Bがスライド可能となる引き違い窓を構成することができる。
【0018】
この建具によれば、下框24に框用戸車25を設けるためのスペースを確保する必要がないため、見付け方向に沿った寸法を小さくすることができる。これにより、例えばガラス等の透過性を有したパネル21の開口面積を大きく確保したい用途に最適な建具を構成することができる。
【0019】
ここで、上述した建具では、下枠13の台状部13eに本体レール部15が設けてある。従って、装着部16の枠用戸車14を取り外す一方、それぞれの装着部16に連絡レール部17bを有したレール連続部品17を装着すれば、分断している本体レール部15が連絡レール部17bによって連続された状態とすることができる。より具体的に説明すると、レール連続部品17は、
図5(b)、
図6及び
図7に示すように、支持脚部17aと連絡レール部17bとを有したもので、例えば下枠13と同じアルミニウム合金等の金属や樹脂によって成形した押し出し形材である。支持脚部17aは、平板状を成す上面部17cと、上面部17cの両側から同一方向に向けて延在した2つの側面部17dとを有したものである。支持脚部17aの寸法は、切欠16aを介して台状部13eの内部に挿入可能となる大きさに設定してある。支持脚部17aを台状部13eの内部に挿入した場合には、上面部17cの上面が台状部13eの上壁部13hとほぼ同一となる。連絡レール部17bは、上面部17cの上面から上方に突出するように設けたもので、下枠13に設けた本体レール部15と同じ断面形状を有するように構成してある。連絡レール部17bの長手に沿った寸法は、両端部が上面部17cを超えて延在し、分断された本体レール部15の間を連続させることができるように設定してある。
【0020】
上記のように構成したレール連続部品17を装着部16に装着した場合には、本体レール部15が連絡レール部17bによって下枠13の長手に沿って連続した一連のものとなる。従って、この下枠13を有する枠体10には、
図8に示すように、下框24の戸車収容空間24aに框用戸車25を備えた障子20A,20Bを建て込むことにより、枠体10に対して外障子20A及び内障子20Bがスライド可能となる引き違い窓を構成することができる。この建具によれば、下枠13の内部に異物が進入する問題を招来する懸念がなく、塵埃や砂等の異物が多い環境下にも設置することが可能となる。下框24に設ける框用戸車25は、車軸を介してハウジング25aに車輪25bを回転可能に支持させたもので、車輪25bの下部周面が下框24の下面から下方に突出する状態でハウジング25aを介して下框24に取り付けてある。車輪25bは、外周面が比較的狭幅で、かつ全周に凹溝25cが設けられたものである。
【0021】
このように、上述した建具によれば、下枠13に枠用戸車14を設けた引き違い窓と、下框24に框用戸車25を設けた引き違い窓との間において下枠13を共通化することができるため、製造コストが増大する事態を防止しつつ、用途に応じた2種類の下枠13を有する製品ラインアップを提供することが可能となる。
【0022】
なお、上述した実施の形態1では、下枠13に枠用戸車14を設けた引き違い窓と、下框24に框用戸車25を設けた引き違い窓とで、共通の障子20A,20Bを適用しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図9の変形例に示すように、上框23と同じ断面形状を有した形材を下框24として適用した建具を構成することも可能である。
図9中の変形例において実施の形態1と同様の構成については同一の符号が付してある。
【0023】
また、上述した実施の形態1では、本体レール部15を有した台状部13eと下枠基板部13aとを一体に成形しているが、本発明はこれに限定されず、例えば、以下に示す実施の形態2のように、本体レール部を有した部分と、下枠基板部とを別体に構成することも可能である。
【0024】
(実施の形態2)
図10及び
図11は、本発明の実施の形態2である建具の要部を示したものである。ここで例示する建具は、実施の形態1と同様、枠体10の室外側となる部分に外障子20Aを配設するとともに、枠体10の室内側となる部分に内障子20Bを配設した引き違い窓と称されるもので、実施の形態1とは下枠の構成のみが異なっている。以下、実施の形態1と異なる構成について詳述し、実施の形態1と共通となる構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0025】
実施の形態2の下枠30は、互いに別個に成形した下枠本体31と2つのレールアタッチメント32とを備えて構成してある。下枠本体31及びレールアタッチメント32は、それぞれアルミニウム合金や樹脂によって成形した押し出し形材であり、長手に沿った全長にわたる部分がほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。
【0026】
下枠本体31は、下枠基板部31a、内方見付け壁部31b、外方見付け壁部31c、仕切壁部31dを一体に成形したものである。下枠基板部31aは、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在した平板状を成すものである。内方見付け壁部31bは、下枠基板部31aの室内側に位置する縁部から上方に向けて見付け方向に延在したものであり、外方見付け壁部31cは、下枠基板部31aの室外側に位置する縁部から上方に向けて見付け方向に延在したものである。仕切壁部31dは、下枠基板部31aの上面において内方見付け壁部31b及び外方見付け壁部31cの間となる部分から上方に向けて見付け方向に延在したもので、内方見付け壁部31b及び外方見付け壁部31cの間をほぼ二等分している。内方見付け壁部31b、外方見付け壁部31c、仕切壁部31dの下枠基板部31aからの突出寸法は互いにほぼ等しい。内方見付け壁部31bには上方突条31eが設けてあり、外方見付け壁部31cには下方突条31fが設けてあり、仕切壁部31dには上方突条31e及び下方突条31fが設けてある。上方突条31eは、内方見付け壁部31b及び仕切壁部31dにおいて室外に臨む見付け面から室外に向けて突出するもので、内方見付け壁部31bの中間となる部分及び仕切壁部31dの中間となる部分に設けてある。下方突条31fは、外方見付け壁部31c及び仕切壁部31dにおいて室内に臨む見付け面から室内に向けて突出するもので、外方見付け壁部31cの下方部分及び仕切壁部31dの下方部分に設けてある。
【0027】
2つのレールアタッチメント32は、外壁部32a、内壁部32b、下壁部32c、上壁部32d、本体レール部33を一体に成形したものである。レールアタッチメント32の長手に沿った寸法は、下枠本体31の長手に沿った寸法とほぼ等しい。外壁部32a及び内壁部32bは、互いにほぼ平行となるように見付け方向に沿って延在したもので、外壁部32aが室外側に位置している。下壁部32cは、外壁部32aの下縁から室外に向けてほぼ水平に延在したものである。この下壁部32cは、外壁部32a及び内壁部32bを介してレールアタッチメント32を下枠基板部31aの上面に配置した場合に、下方突条31fと下枠基板部31aとの間に配置することが可能である。上壁部32dは、外壁部32aの上縁部から室内に向けてほぼ水平に延在したもので、内壁部32bの上縁部に連結した後、さらに室内に向けて延在している。上壁部32dの内壁部32bからの突出寸法は、外壁部32aからの下壁部32cの突出寸法とほぼ等しい。上壁部32dには、室内側に位置する縁部に係合受部32fが設けてある。係合受部32fは、外壁部32a及び内壁部32bを介してレールアタッチメント32を下枠基板部31aの上面に配置した場合に、上方突条31eに係合するものである。外壁部32a、内壁部32b、上壁部32dは、下枠基板部31aとの間に収容空間32gを構成している。外壁部32a、内壁部32bの下枠基板部31aからの突出寸法は、内方見付け壁部31bの下枠基板部31aからの突出寸法よりも小さく設定してある。本体レール部33は、レールアタッチメント32の長手に沿って延在した幅の細い突出部であり、上壁部32dの上面において見込み方向のほぼ中央となる部分から上方に向けて突出している。本体レール部33の上縁部は、周面が半円柱面状を成すもので、框用戸車25の外周面に設けられた凹溝25cの内部に挿入することが可能となる寸法に形成してある。
【0028】
本実施の形態2では、本体レール部33がレールアタッチメント32の長手に沿った全長にわたって一連のままとなるレールアタッチメント32と、本体レール部33の適宜箇所を分断するとともに、分断した部分に枠用戸車14を取り付けた戸車アタッチメント32′との2種類が用意してある。すなわち、戸車アタッチメント32′では、本体レール部33の分断した部分にそれぞれ装着部34が設けてあり、装着部34を介して枠用戸車14が取り付けてある。枠用戸車14は、実施の形態1と同様、車軸を介してハウジング14bに車輪14cを回転可能に支持させたものである。装着部34は、上壁部32dの上面に設けた平面視長方形の平坦部分であり、相互間隔が下框24の長手に沿った寸法よりも短いピッチとなるように配置してある。個々の装着部34には、実施の形態1と同様、ほぼ中央となる部分に切欠16aが設けてあるとともに、切欠16aの両側となる部分にそれぞれネジ孔が設けてある。戸車アタッチメント32′は、レールアタッチメント32を構成した後に追加工を施すことによって装着部34を設け、さらに装着部34に枠用戸車14を取り付けることによって構成することが可能である。
【0029】
上述の構成を有する建具では、
図10に示すように、下枠本体31に対して戸車アタッチメント32′を装着すれば、下枠30の長手に沿って複数の枠用戸車14が並設された状態となる。従って、この下枠30を有する枠体10に対しては、下框24の下面が平坦となる障子20A,20Bを建て込めば、下框24の下面が常に車輪14cの外周面に当接された状態となり、枠体10に対して外障子20A及び内障子20Bがスライド可能となる引き違い窓を構成することができる。この建具によれば、下框24に框用戸車25を設ける必要がないため、見付け方向に沿った寸法を小さくすることができる。これにより、例えばガラス等の透過性を有したパネル21の開口面積を大きく確保したい用途に最適な建具を構成することができる。
【0030】
一方、
図12に示すように、下枠本体31に対してレールアタッチメント32を装着すれば、下枠30の長手に沿って一連となる2つの本体レール部33が構成されることになる。従って、この下枠30を有する枠体10には、下框24に框用戸車25を備えた障子20A,20Bを建て込むことにより、枠体10に対して外障子20A及び内障子20Bがスライド可能となる引き違い窓を構成することができる。この建具によれば、下枠30の内部に異物が進入する問題を招来する懸念がなく、塵埃や砂等の異物が多い環境下にも設置することが可能となる。
【0031】
このように、上述した建具によれば、下枠30に枠用戸車14を設けた引き違い窓と、下框24に框用戸車25を設けた引き違い窓との間において下枠本体31及びレールアタッチメント32を共通化することができるため、製造コストが増大する事態を防止しつつ、用途に応じた2種類の下枠30を有する製品ラインアップを提供することが可能となる。
【0032】
(実施の形態3)
図13及び
図14は、本発明の実施の形態3である建具の要部を示したものである。ここで例示する建具は、実施の形態1と同様、枠体10の室外側となる部分に外障子20Aを配設するとともに、枠体10の室内側となる部分に内障子20Bを配設した引き違い窓と称されるもので、実施の形態1とは障子の下框及び下枠の構成が異なっている。以下、実施の形態1と異なる構成について詳述し、実施の形態1と共通となる構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
実施の形態3の建具では、下框124として室外側の外方框部124A及び室内側の内方框部124Bの間を框ブリッジ部124Cによって連結したものを適用している。外方框部124A及び内方框部124Bは、それぞれがアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、框ブリッジ部124Cは、樹脂によって成形したものである。図示の例では、外方框部124Aとして板状を成すものを適用し、一方、内方框部124Bとして中空の戸車収容空間124aを有したものを適用している。内方框部124Bの下面は、平坦状に構成してある。外方框部124A及び内方框部124Bの間に内周側の框ブリッジ部124C及び外周側の框ブリッジ部124Cが介在している。なお、図には示していないが、障子20A,20Bの縦框及び上框についても下框124と同様、枠ブリッジ部を有した構成となっている。
【0034】
一方、下枠40は、中央の中間枠部41と、中間枠部41に対して室外側の外方枠部42と、室内側の内方枠部43とを有し、中間枠部41と外方枠部42との間及び中間枠部41と内方枠部43との間がそれぞれ枠ブリッジ部44によって連結してある。中間枠部41、外方枠部42、内方枠部43は、それぞれアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、枠ブリッジ部44は、樹脂によって成形したものである。図示の例では、中間枠部41と外方枠部42との間及び中間枠部41と内方枠部43の間がそれぞれ内周側の枠ブリッジ部44及び外周側の枠ブリッジ部44によって連結してある。
【0035】
中間枠部41は、中枠基部41a、仕切壁部41b、台状部45を一体に成形したものである。中枠基部41aは、断面が四角状の中空状を成すものである。仕切壁部41bは、中枠基部41aの上面において室内側となる部分から上方に向けて見付け方向に延在したものである。台状部45は、中枠基部41aの上面において室外側となる部分に設けたものである。図示の例では、室外側から上方に突出した外壁部45a、室内側から上方に突出した内壁部45b、これら外壁部45a及び内壁部45bの間に設けた見込み方向に沿う上壁部45cを有した台状部45が構成してある。台状部45と中枠基部41aとの間には収容空間41cが確保してある。台状部45の上壁部45cには、本体レール部46が設けてある。本体レール部46は、中枠基部41aの長手に沿って延在した幅の細い突出部であり、上壁部45cの上面において見込み方向のほぼ中央となる部分から上方に向けて突出している。本体レール部46の上縁部は、周面が半円柱面状を成すもので、框用戸車25の外周面に設けられた凹溝25cの内部に挿入することが可能となる寸法に形成してある。
【0036】
外方枠部42は、外枠基部42a、外方見付け壁部42bを一体に成形したものである。外枠基部42aは、断面が四角状の中空状を成すものである。外方見付け壁部42bは、外枠基部42aの室外側となる縁部から上方に向けて見付け方向に延在したものである。
【0037】
内方枠部43は、内枠基部43a、内方見付け壁部43b、台状部45を一体に成形したものである。内枠基部43aは、断面が四角状の中空状を成すものである。内方見付け壁部43bは、内枠基部43aの室内側となる縁部から上方に向けて見付け方向に延在したものである。台状部45は、中間枠部41に設けたものと同一のもので、外壁部45a、内壁部45b、上壁部45c、本体レール部46を有して構成してある。
【0038】
図には明示していないが、中間枠部41の本体レール部46及び内方枠部43の本体レール部46は、適宜箇所が分断した分割構成となっており、分断した部分にそれぞれ装着部47を有している。装着部47は、実施の形態1と同様、上壁部45cの上面に設けた平面視長方形の平坦部分であり、相互間隔が下框124の長手に沿った寸法よりも短いピッチとなるように配置してある。個々の装着部47には、ほぼ中央となる部分に切欠16aが設けてあるとともに、切欠16aの両側となる部分にそれぞれネジ孔が設けてある。
【0039】
上述の構成を有する建具では、下枠40の台状部45に設けた装着部47にそれぞれ枠用戸車14が取り付けてあるとともに、障子20A,20Bの下框124として下面が平坦となるものを適用し、障子20A,20Bの下框124をそれぞれ枠用戸車14の車輪14cに当接させるようにしている。従って、この下枠40を有する枠体10に対して障子20A,20Bを建て込めば、下框124の下面が常に車輪14cの外周面に当接された状態となり、枠体10に対して外障子20A及び内障子20Bがスライド可能となる引き違い窓を構成することができる。この建具によれば、下框124に框用戸車25を設ける必要がないため、見付け方向に沿った寸法を小さくすることができる。これにより、例えばガラス等の透過性を有したパネル21の開口面積を大きく確保したい用途に最適な建具を構成することができる。
【0040】
一方、
図15に示すように、装着部47の枠用戸車14を取り外す一方、それぞれの装着部47に連絡レール部17bを有したレール連続部品17を装着すれば、分断している本体レール部46が連絡レール部17bによって連続された状態とすることができる。レール連続部品17は、実施の形態1と同様、支持脚部17aと連絡レール部17bとを有したもので、例えば下枠40と同じアルミニウム合金等の金属や樹脂によって成形した押し出し形材である。
【0041】
上記のレール連続部品17を装着部47に装着した場合には、本体レール部46が連絡レール部17bによって下枠40の長手に沿って連続した一連のものとなる。従って、この下枠40を有する枠体10には、下框124の戸車収容空間124aに框用戸車25を備えた障子20A,20Bを建て込むことにより、枠体10に対して外障子20A及び内障子20Bがスライド可能となる引き違い窓を構成することができる。この建具によれば、下枠40の内部に異物が進入する問題を招来する懸念がなく、塵埃や砂等の異物が多い環境下にも設置することが可能となる。
【0042】
このように、上述した建具によれば、下枠40に枠用戸車14を設けた引き違い窓と、下框124に框用戸車25を設けた引き違い窓との間において下枠40を共通化することができるため、製造コストが増大する事態を防止しつつ、用途に応じた2種類の下枠40を有する製品ラインアップを提供することが可能となる。
【0043】
なお、上述した実施の形態3では、本体レール部46を有した台状部45と下枠基板部31aとを一体に成形しているが、本発明はこれに限定されず、例えば、以下に示す実施の形態4のように、本体レール部を有した部分と、下枠基板部とを別体に構成することも可能である。
【0044】
(実施の形態4)
図16及び
図17は、本発明の実施の形態4である建具の要部を示したものである。ここで例示する建具は、実施の形態3と同様、枠体10の室外側となる部分に外障子20Aを配設するとともに、枠体10の室内側となる部分に内障子20Bを配設した引き違い窓と称されるもので、実施の形態3とは下枠の構成のみが異なっている。以下、実施の形態3と異なる構成について詳述し、実施の形態3と共通となる構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
実施の形態4の下枠50は、互いに別個に成形した下枠本体51と2つのレールアタッチメント52とを備えて構成してある。下枠本体51は、中央の中間枠部53と、中間枠部53に対して室外側の外方枠部54と、室内側の内方枠部55とを有し、中間枠部53と外方枠部54との間及び中間枠部53と内方枠部55との間をそれぞれ枠ブリッジ部56によって連結したものである。中間枠部53、外方枠部54、内方枠部55は、それぞれアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、枠ブリッジ部56は、樹脂によって成形したものである。図示の例では、中間枠部53と外方枠部54との間及び中間枠部53と内方枠部55の間がそれぞれ内周側の枠ブリッジ部56及び外周側の枠ブリッジ部56によって連結してある。
【0046】
中間枠部53は、中枠基部53a、仕切壁部53bを一体に成形したものである。中枠基部53aは、断面が四角状の中空状を成すものである。仕切壁部53bは、中枠基部53aの上面において室内側となる部分から上方に向けて見付け方向に延在したものである。中枠基部53aの上面において仕切壁部53bの両側となる部分には、それぞれ中間係合突起53cが設けてある。外方枠部54は、外枠基部54a、外方見付け壁部54bを一体に成形したものである。外枠基部54aは、断面が四角状の中空状を成すものである。外方見付け壁部54bは、外枠基部54aの室外側となる縁部から上方に向けて見付け方向に延在したものである。外枠基部54aの上面において室内側となる部分には、外方係合突起54cが設けてある。内方枠部55は、内枠基部55a、内方見付け壁部55bを一体に成形したものである。内枠基部55aは、断面が四角状の中空状を成すものである。内方見付け壁部55bは、内枠基部55aの室内側となる縁部から上方に向けて見付け方向に延在したものである。内方見付け壁部55bの室外に臨む見付け面には、室外に向けて内方係合突起55cが設けてある。
【0047】
2つのレールアタッチメント52は、それぞれ外アタッチメント部52aと台状部52bとを有し、外アタッチメント部52a及び台状部52bとの間をそれぞれブリッジ部52cによって連結したものである。外アタッチメント部52a及び台状部52bは、それぞれアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、ブリッジ部52cは、樹脂によって成形したものである。図示の例では、外アタッチメント部52aと台状部52bと間が内周側のブリッジ部52c及び外周側のブリッジ部52cによって連結してある。外アタッチメント部52aは、見付け方向に沿って延在したものである。室外側のレールアタッチメント52の外アタッチメント部52aは、外枠基部54aの外方係合突起54cに係合する位置から上方に向けて延在し、室内側のレールアタッチメント52の外アタッチメント部52aは、中枠基部53aの中間係合突起53cに係合する位置から上方に向けて延在している。台状部52bは、それぞれ外壁部52d、内壁部52e、上壁部52f、本体レール部57を一体に成形したものである。レールアタッチメント52の長手に沿った寸法は、下枠本体51の長手に沿った寸法とほぼ等しい。外壁部52d及び内壁部52eは、互いにほぼ平行となるように見付け方向に沿って延在したもので、外壁部52dが室外側に位置している。室外側のレールアタッチメント52では、内壁部52eが中枠基部53aの中間係合突起53cに係合する位置から上方に向けて延在し、室内側のレールアタッチメント52では、内壁部52eが内枠基部55aの内方係合突起55cに係合する位置において上方に向けて延在している。上壁部52fは、外壁部52dの上縁部と内壁部52eの上縁部との間を連結している。本体レール部57は、レールアタッチメント52の長手に沿って延在した幅の細い突出部であり、上壁部52fの上面において見込み方向のほぼ中央となる部分から上方に向けて突出している。本体レール部57の上縁部は、周面が半円柱面状を成すもので、框用戸車25の外周面に設けられた凹溝25cの内部に挿入することが可能となる寸法に形成してある。
【0048】
本実施の形態4では、本体レール部57がレールアタッチメント52の長手に沿った全長にわたって一連のままとなるレールアタッチメント52と、本体レール部57の適宜箇所を分断するとともに、分断した部分に枠用戸車14を取り付けた戸車アタッチメント52′との2種類が用意してある。すなわち、戸車アタッチメント52′では、本体レール部57の分断した部分にそれぞれ装着部58が設けてあり、装着部58を介して枠用戸車14が取り付けてある。枠用戸車14は、実施の形態1と同様、車軸を介してハウジング14bに車輪14cを回転可能に支持させたものである。装着部58は、上壁部52fの上面に設けた平面視長方形の平坦部分であり、相互間隔が下框124の長手に沿った寸法よりも短いピッチとなるように配置してある。個々の装着部58には、ほぼ中央となる部分に切欠16aが設けてあるとともに、切欠16aの両側となる部分にそれぞれネジ孔が設けてある。戸車アタッチメント52′は、レールアタッチメント52を構成した後に追加工を施すことによって装着部58を設け、さらに装着部58に枠用戸車14を取り付けることによって構成することが可能である。
【0049】
上述の構成を有する建具では、下枠本体51に対してレールアタッチメント52を装着すれば、下枠50の長手に沿って一連となる2つの本体レール部57が構成されることになる。従って、この下枠50を有する枠体10には、下框124に框用戸車25を備えた障子20A,20Bを建て込むことにより、枠体10に対して外障子20A及び内障子20Bがスライド可能となる引き違い窓を構成することができる。この建具によれば、下枠50の内部に異物が進入する問題を招来する懸念がなく、塵埃や砂等の異物が多い環境下にも設置することが可能となる。
【0050】
一方、下枠本体51に対して戸車アタッチメント52′を装着すれば、下枠50の長手に沿って複数の枠用戸車14が並設された状態となる。従って、この下枠50を有する枠体10に対しては、下框124の下面が平坦となる障子20A,20Bを建て込めば、下框124の下面が常に車輪14cの外周面に当接された状態となり、枠体10に対して外障子20A及び内障子20Bがスライド可能となる引き違い窓を構成することができる。この建具によれば、下框124に框用戸車25を設ける必要がないため、見付け方向に沿った寸法を小さくすることができる。これにより、例えばガラス等の透過性を有したパネル21の開口面積を大きく確保したい用途に最適な建具を構成することができる。
【0051】
このように、上述した建具によれば、下枠50に枠用戸車14を設けた引き違い窓と、下框124に框用戸車25を設けた引き違い窓との間において下枠本体51及びレールアタッチメント52を共通化することができるため、製造コストが増大する事態を防止しつつ、用途に応じた2種類の下枠50を有する製品ラインアップを提供することが可能となる。
【0052】
なお、上述した実施の形態では、いずれも引き違い窓を例示しているが、枠体に対して1つの障子がスライド可能に配設された建具でも良いし、3以上の障子が配設されたものであっても構わない。また、枠用戸車14及び框用戸車25として具体的な形状を例示しているが、これらの具体的な構成はあくまでも例示のために記載したものであり、戸車の形状が実施の形態のものに限定されることを意味するものではない。例えば、周面が凸状を成す車輪を備えた戸車を適用しても構わない。この場合、本体レール部としては、凹状を成すものを適用することになるのはいうまでもない。さらに、下枠や下框の具体的な構成についても同様であり、これら下枠や下框としては実施の形態に例示した以外の形状を有するものを適用しても構わない。
【0053】
以上のように、本発明に係る建具は、枠体に戸車を介して障子がスライド可能に配設された建具であって、前記枠体を構成する下枠には、戸車が転動可能な本体レール部が一部分断する状態で設けられているとともに、前記本体レール部の分断した部分には装着部が設けられ、前記下枠の装着部には、前記障子をスライド可能に支持する戸車、もしくは前記本体レール部を連続させる連絡レール部が着脱可能に装着されていることを特徴としている。
この発明によれば、装着部に対して戸車を装着することにより、下框の見付け寸法を小さくすることができ、一方、装着部に対して連絡レール部を装着することにより、下枠の内部に異物が進入する問題を防止することができ、用途に応じた構成の建具の提供が可能となる。しかも、装着部を有した下枠を共通化することができ、製造コストが増大する事態を防止することができる。
【0054】
また本発明は、上述した建具において、前記下枠は、ベースとなる下枠本体と、前記下枠本体から上方に突出するように設けられた台状部とを備え、前記台状部の上面に前記本体レール部が設けられ、前記下枠本体と前記台状部との間には、戸車の一部を収容することのできる収容空間が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、戸車を下枠の内部に収容することができる。
【0055】
また本発明は、上述した建具において、前記台状部は、前記下枠本体に対して着脱可能に設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、予め戸車もしくは連絡レール部を装着した台状部を下枠本体に設けることができる。
【0056】
また本発明は、上述した建具において、前記装着部には、前記戸車が装着されていることを特徴としている。
この発明によれば、下枠に戸車及び戸車を外部に露出させる切欠が開口しないため、塵埃や砂等の異物が多い環境下に設置することのできる建具を提供することができる。
【0057】
また本発明は、上述した建具において、前記装着部には、前記連絡レール部が装着されていることを特徴としている。
この発明によれば、ガラス等の透過性を有したパネルの開口面積を大きく確保した建具を提供することができる。
【0058】
また本発明に係る建具は、枠体に戸車を介して障子がスライド可能に配設された建具であって、前記枠体を構成する下枠は、ベースとなる下枠本体を有し、前記下枠本体には、装着部が設けられ、前記下枠本体の装着部には、戸車が転動可能な本体レール部を有したレールアタッチメント、もしくは前記障子をスライド可能に支持する戸車を有した戸車アタッチメントが着脱可能に装着されていることを特徴としている。
この発明によれば、装着部に対して戸車アタッチメントを装着することにより、下框の見付け寸法を小さくすることができ、一方、装着部に対してレールアタッチメントを装着することにより、下枠の内部に異物が進入する問題を防止することができ、用途に応じた構成の建具の提供が可能となる。しかも、下枠本体を共通化することができ、製造コストが増大する事態を防止することができる。
【0059】
また本発明は、上述した建具において、前記装着部には、前記レールアタッチメントが装着されていることを特徴としている。
この発明によれば、下枠に戸車及び戸車を外部に露出させる切欠が開口しないため、塵埃や砂等の異物が多い環境下に設置することのできる建具を提供することができる。
【0060】
また本発明は、上述した建具において、前記装着部には、前記戸車アタッチメントが装着されていることを特徴としている。
この発明によれば、ガラス等の透過性を有したパネルの開口面積を大きく確保した建具を提供することができる。
【符号の説明】
【0061】
10 枠体、13 下枠、13e,45,52b 台状部、13i,32g,41c 収容空間、14 枠用戸車、15 本体レール部、16 装着部、17 レール連続部品、17b 連絡レール部、20A,20B 障子、24,124 下框、24a,124a 戸車収容空間、25 框用戸車、30,40,50 下枠、31,51 下枠本体、32,52 レールアタッチメント、32′,52′ 戸車アタッチメント、33,46,57 本体レール部、34,47,58 装着部