(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157172
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】接合材、接合材の製造方法、及び接合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 37/02 20060101AFI20241030BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20241030BHJP
B22F 1/052 20220101ALI20241030BHJP
B22F 1/107 20220101ALI20241030BHJP
B22F 7/08 20060101ALI20241030BHJP
B22F 9/00 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
C04B37/02 B
B22F1/00 K
B22F1/052
B22F1/107
B22F7/08 C
B22F9/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071346
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】森 昭仁
(72)【発明者】
【氏名】関口 卓也
(72)【発明者】
【氏名】森井 雅人
【テーマコード(参考)】
4G026
4K017
4K018
【Fターム(参考)】
4G026BA13
4G026BB22
4G026BF16
4G026BF44
4G026BG06
4K017AA02
4K017AA08
4K017BA02
4K017CA07
4K017CA08
4K017DA07
4K018BA01
4K018BB04
4K018BD04
4K018JA36
4K018KA33
(57)【要約】
【課題】導電性の部品同士を接合する接合部を形成するための接合材とその製造方法であって、接合材を乾燥させてから焼成することで、接合部を形成するときに、接合材が実質的に樹脂を含有していなくても、乾燥済み接合材の割れが抑制され、接合部での接合不良が抑制される接合材とその製造方法の提供。
【解決手段】銀粒子(A)と銀粒子(B)を配合する配合工程を有し、銀粒子(A)のD50が0.2~0.5μmであり、TG/DTAで観測した銀粒子(A)の発熱ピークの温度が210~225℃であり、銀粒子(B)のD50が0.2~0.7μmであり、TG/DTAで観測した銀粒子(B)の発熱ピークの温度が168~180℃であり、前記配合工程における配合量と同量の銀粒子(A)及び銀粒子(B)の混合物の発熱ピークを、TG/DTAで観測したとき、前記発熱ピークの温度が183~224℃である、接合材の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の部品同士を接合するための接合材の製造方法であって、
前記製造方法は、銀粒子(A)と銀粒子(B)を配合する配合工程を有し、
レーザー回折/散乱式粒子径分布測定によって測定された、前記銀粒子(A)の体積基準での50%累積時の粒子径が、0.2~0.5μmであり、
示差熱熱重量同時測定で前記銀粒子(A)の発熱ピークを観測したとき、前記発熱ピークが1つのみ観測された場合には、前記発熱ピークの温度が210~225℃であり、前記発熱ピークが2つ以上観測された場合には、前記発熱ピークの最高温度が210~225℃であり、
レーザー回折/散乱式粒子径分布測定によって測定された、前記銀粒子(B)の体積基準での50%累積時の粒子径が、0.2~0.7μmであり、
示差熱熱重量同時測定で前記銀粒子(B)の発熱ピークを観測したとき、前記発熱ピークが1つのみ観測された場合には、前記発熱ピークの温度が168~180℃であり、前記発熱ピークが2つ以上観測された場合には、前記発熱ピークの最高温度が168~180℃であり、
前記配合工程における配合量と同量の、前記銀粒子(A)及び銀粒子(B)の混合物の発熱ピークを、示差熱熱重量同時測定で観測したとき、前記発熱ピークが1つのみ観測された場合には、前記発熱ピークの温度が183~224℃であり、前記発熱ピークが2つ以上観測された場合には、前記発熱ピークの最高温度が183~224℃である、接合材の製造方法。
【請求項2】
前記銀粒子(A)と、前記銀粒子(B)と、の合計配合量に対する、前記銀粒子(B)の配合量の割合が、20~50質量%である、請求項1に記載の接合材の製造方法。
【請求項3】
導電性の部品同士を接合するための接合材であって、
前記接合材は、銀粒子(X)と、溶媒と、を含有し、
レーザー回折/散乱式粒子径分布測定によって測定された、前記銀粒子(X)の体積基準での50%累積時の粒子径が、0.2~0.7μmであり、
示差熱熱重量同時測定で前記銀粒子(X)の発熱ピークを観測したとき、前記発熱ピークが1つのみ観測された場合には、前記発熱ピークの温度が183~224℃であり、前記発熱ピークが2つ以上観測された場合には、前記発熱ピークの最高温度が183~224℃であり、
前記溶媒が、エチレングリコールモノ(2-エチルヘキシル)エーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル及びテキサノールからなる群より選択される1種又は2種以上である、接合材。
【請求項4】
接合体の製造方法であって、
前記接合体は、導電性の第1部品と、導電性の第2部品とが、導電性の接合部を介して接合されて構成され、
前記製造方法は、前記第1部品と、前記第2部品と、のいずれか一方の表面に、請求項1又は2に記載の製造方法で製造された接合材を付着させる工程と、
付着させた前記接合材を乾燥させることにより、乾燥済み接合材を形成する工程と、
前記乾燥済み接合材を介して、前記第1部品と、前記第2部品と、を積層し、積層体を作製する工程と、
前記接合材を乾燥させた温度よりも高い温度で、前記積層体中の前記乾燥済み接合材を焼成することにより、前記乾燥済み接合材から前記接合部を形成する工程と、を有する、接合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合材、接合材の製造方法、及び接合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銀は、高熱伝導性、高融点であることから、導電性の部品同士を接合するときの、ハンダに替わる接合材の原料として有望視されている。このような接合材を用いる場合には、銀を含有する接合材を介して、接合対象の導電性の部品同士を積層し、接合材を焼成することで、これら導電性の部品同士を接合する。接合材は焼成によって、銀焼結体を主成分とする接合部を形成する。
【0003】
このような接合材としては、例えば、銀粒子と樹脂を含有するものが知られている。しかし、樹脂はバインダーとして機能するものであり、焼成時には消失するため、本来は不使用にしたい成分である。それであるにも関わらず樹脂を使用するのは、接合部での接合強度を高くするためである。
【0004】
これに対して、樹脂を含有せずに構成できる接合材としては、平均粒子径が200~600nmの銀ナノ粒子であって、示差熱熱重量同時測定(TG/DTA)で観測した発熱ピークの温度が175℃未満である銀ナノ粒子を含有する接合材が開示されている(特許文献1参照)。また、平均粒径が0.1~10μmであり、示差熱熱重量同時測定で観測した発熱ピークの温度が175℃~235℃である焼結性銀粒子を含有する接合材が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第7120314号公報
【特許文献2】特許第6713182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の接合材を用いた場合には、銀ナノ粒子の発熱ピークの温度が低めであることで、銀ナノ粒子の焼結が急激に進行し易く、生成した接合部(換言すると、銀焼結体)に、接合対象物からの剥がれ等の接合不良が生じることがあった。
一方、特許文献2に記載の接合材を用いた場合には、銀ナノ粒子の発熱ピークの温度が高めであることで、接合材が樹脂を含有していないことの影響を受け易く、乾燥させた接合材(乾燥済み接合材)に割れが生じることがあった。
【0007】
本発明は、導電性の部品同士を接合する接合部を形成するための接合材とその製造方法であって、接合材を乾燥させてから焼成することで、接合部を形成するときに、接合材が実質的に樹脂を含有していなくても、乾燥済み接合材の割れが抑制され、接合部での接合不良が抑制される接合材とその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
[1] 導電性の部品同士を接合するための接合材の製造方法であって、
前記製造方法は、銀粒子(A)と銀粒子(B)を配合する配合工程を有し、
レーザー回折/散乱式粒子径分布測定によって測定された、前記銀粒子(A)の体積基準での50%累積時の粒子径が、0.2~0.5μmであり、
示差熱熱重量同時測定で前記銀粒子(A)の発熱ピークを観測したとき、前記発熱ピークが1つのみ観測された場合には、前記発熱ピークの温度が210~225℃であり、前記発熱ピークが2つ以上観測された場合には、前記発熱ピークの最高温度が210~225℃であり、
レーザー回折/散乱式粒子径分布測定によって測定された、前記銀粒子(B)の体積基準での50%累積時の粒子径が、0.2~0.7μmであり、
示差熱熱重量同時測定で前記銀粒子(B)の発熱ピークを観測したとき、前記発熱ピークが1つのみ観測された場合には、前記発熱ピークの温度が168~180℃であり、前記発熱ピークが2つ以上観測された場合には、前記発熱ピークの最高温度が168~180℃であり、
前記配合工程における配合量と同量の、前記銀粒子(A)及び銀粒子(B)の混合物の発熱ピークを、示差熱熱重量同時測定で観測したとき、前記発熱ピークが1つのみ観測された場合には、前記発熱ピークの温度が183~224℃であり、前記発熱ピークが2つ以上観測された場合には、前記発熱ピークの最高温度が183~224℃である、接合材の製造方法。
【0009】
[2] 前記銀粒子(A)と、前記銀粒子(B)と、の合計配合量に対する、前記銀粒子(B)の配合量の割合が、20~50質量%である、[1]に記載の接合材の製造方法。
[3] 導電性の部品同士を接合するための接合材であって、前記接合材は、銀粒子と、溶媒と、を含有し、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定によって測定された、前記銀粒子の体積基準での50%累積時の粒子径が、0.2~0.7μmであり、示差熱熱重量同時測定で前記銀粒子の発熱ピークを観測したとき、前記発熱ピークが1つのみ観測された場合には、前記発熱ピークの温度が183~224℃であり、前記発熱ピークが2つ以上観測された場合には、前記発熱ピークの最高温度が183~224℃であり、前記溶媒が、エチレングリコールモノ(2-エチルヘキシル)エーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル及びテキサノールからなる群より選択される1種又は2種以上である、接合材。
【0010】
[4] 接合体の製造方法であって、
前記接合体は、導電性の第1部品と、導電性の第2部品とが、導電性の接合部を介して接合されて構成され、
前記製造方法は、前記第1部品と、前記第2部品と、のいずれか一方の表面に、[1]又は[2]に記載の製造方法で製造された接合材を付着させる工程と、
付着させた前記接合材を乾燥させることにより、乾燥済み接合材を形成する工程と、
前記乾燥済み接合材を介して、前記第1部品と、前記第2部品と、を積層し、積層体を作製する工程と、
前記接合材を乾燥させた温度よりも高い温度で、前記積層体中の前記乾燥済み接合材を焼成することにより、前記乾燥済み接合材から前記接合部を形成する工程と、を有する、接合体の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、導電性の部品同士を接合する接合部を形成するための接合材とその製造方法であって、接合材を乾燥させてから焼成することで、接合部を形成するときに、接合材が実質的に樹脂を含有していなくても、乾燥済み接合材の割れが抑制され、接合部での接合不良が抑制される接合材とその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る製造方法の適用対象である接合体の一例を模式的に示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る接合体の製造方法の一例を模式的に説明するための断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る接合体の製造方法の他の例を模式的に説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
◇接合材の製造方法
本発明の一実施形態に係る接合材の製造方法は、導電性の部品同士を接合するための接合材の製造方法であって、前記製造方法は、銀粒子(A)と銀粒子(B)を配合する配合工程を有し、
レーザー回折/散乱式粒子径分布測定によって測定された、前記銀粒子(A)の体積基準での50%累積時の粒子径(本明細書においては、「D50」と称することがある)が、0.2~0.5μmであり、
示差熱熱重量同時測定(本明細書においては、「TG/DTA」と称することがある)で前記銀粒子(A)の発熱ピークを観測したとき、前記発熱ピークが1つのみ観測された場合には、前記発熱ピークの温度が210~225℃であり、前記発熱ピークが2つ以上観測された場合には、前記発熱ピークの最高温度が210~225℃であり、
レーザー回折/散乱式粒子径分布測定によって測定された、前記銀粒子(B)の体積基準での50%累積時の粒子径(D50)が、0.2~0.7μmであり、
示差熱熱重量同時測定(TG/DTA)で前記銀粒子(B)の発熱ピークを観測したとき、前記発熱ピークが1つのみ観測された場合には、前記発熱ピークの温度が168~180℃であり、前記発熱ピークが2つ以上観測された場合には、前記発熱ピークの最高温度が168~180℃であり、
前記配合工程における配合量と同量の、前記銀粒子(A)及び銀粒子(B)の混合物(本明細書においては、「銀粒子混合物」と称することがある)の発熱ピークを、示差熱熱重量同時測定(TG/DTA)で観測したとき、前記発熱ピークが1つのみ観測された場合には、前記発熱ピークの温度が183~224℃であり、前記発熱ピークが2つ以上観測された場合には、前記発熱ピークの最高温度が183~224℃である。
【0014】
本実施形態の製造方法によれば、D50と発熱ピーク温度がともに特定範囲である銀粒子(A)及び銀粒子(B)を配合することで、接合材として、これを乾燥させてから焼成することで、接合部を形成するときに、接合材が実質的に樹脂を含有していなくても、乾燥済み接合材の割れが抑制され、接合部での接合不良が抑制される接合材が得られる。
【0015】
本明細書において、接合材が実質的に樹脂を含有していない、とは、接合材が樹脂を全く含有していないか、又は、樹脂を含有しているものの、その含有量が微量であり、樹脂を含有していることによる影響が、接合材において認められない程度であることを意味する。
【0016】
本実施形態の製造方法の前記配合工程において、配合成分の総質量に対する、1種又は2種以上の後述する配合成分の合計配合量の割合は、100質量%を超えない。
【0017】
◎配合工程
<<銀粒子(A)>>
銀粒子(A)のD50は、0.2~0.5μmであり、例えば、0.2~0.4μm、0.4~0.5μm、及び0.35~0.45μmのいずれかであってもよい。銀粒子(A)のD50がこのような範囲であることで、乾燥済み接合材の割れがより抑制され、接合部での接合不良がより抑制される接合材が得られる。
【0018】
レーザー回折/散乱式粒子径分布測定によって測定された、銀粒子(A)の体積基準での90%累積時の粒子径(本明細書においては、「D90」と称することがある)は、特に限定されないが、1μm以下であることが好ましく、例えば、0.95μm以下、0.85μm以下、0.75μm以下、及び0.65μm以下のいずれかであってもよい。銀粒子(A)のD90がこのような範囲であることで、乾燥済み接合材の割れがより抑制される。
一方、銀粒子(A)のD90は、0.45μm以上であることが好ましく、例えば、0.7μm以上であってもよい。このような銀粒子(A)は、より容易に調製又は入手できる。
一実施形態において、銀粒子(A)のD90は、例えば、0.45~1μm、0.45~0.95μm、0.45~0.85μm、0.45~0.75μm、及び0.45~0.65μmのいずれかであってもよいし、0.7~1μm、0.7~0.95μm、及び0.7~0.85μmのいずれかであってもよい。ただし、これらは銀粒子(A)のD90の一例である。
【0019】
レーザー回折/散乱式粒子径分布測定によって測定された、銀粒子(A)の体積基準での10%累積時の粒子径(本明細書においては、「D10」と称することがある)は、特に限定されないが、0.08μm以上であることが好ましく、例えば、0.2μm以上、及び0.25μm以上のいずれかであってもよい。銀粒子(A)のD10がこのような範囲であることで、乾燥済み接合材の割れがより抑制される。
一方、銀粒子(A)のD10は、0.3μm以下であることが好ましく、例えば、0.27μm以下であってもよい。このような銀粒子(A)は、より容易に調製又は入手できる。
一実施形態において、銀粒子(A)のD10は、例えば、0.08~0.3μm、0.2~0.3μm、及び0.25~0.3μmのいずれかであってもよいし、0.08~0.27μm、及び0.2~0.27μmのいずれかであってもよい。ただし、これらは銀粒子(A)のD10の一例である。
【0020】
示差熱熱重量同時測定(TG/DTA)で銀粒子(A)の発熱ピークを観測したとき、前記発熱ピークは、1つのみ観測される場合と、2つ以上観測される場合と、がある。本実施形態においては、銀粒子(A)の発熱ピークが1つのみ観測された場合には、その発熱ピークを示す温度(発熱ピーク温度)が210~225℃である銀粒子(A)を用い、銀粒子(A)の発熱ピークが2つ以上観測された場合には、これら発熱ピークを示す温度(発熱ピーク温度)の中でも、最高温度が210~225℃である銀粒子(A)を用いる。
このような銀粒子(A)を、後述する銀粒子(B)と併用することで、接合材が、後述する発熱ピーク温度が183~224℃である銀粒子を含有するものと、同等となる。
【0021】
銀粒子(A)の前記発熱ピーク温度は、例えば、217~225℃、及び210~218℃のいずれかであってもよい。
【0022】
銀粒子(A)の前記発熱ピーク温度は、例えば、後述する銀粒子(A)の表面処理剤の種類及び量、並びに銀粒子(A)の比表面積等を調節することで、調節できる。
【0023】
銀粒子(A)の比表面積は、特に限定されないが、1.15~3.6m2/gであることが好ましく、例えば、1.15~3.2m2/g、及び1.15~2m2/gのいずれかであってもよいし、1.2~3.6m2/g、及び2~3.6m2/gのいずれかであってもよいし、1.2~3.2m2/gであってもよい。銀粒子(A)の比表面積がこのような範囲であることで、乾燥済み接合材の割れがより抑制され、接合部での接合不良がより抑制される接合材が得られる。
【0024】
銀粒子(A)の場合に限らず、粒子の比表面積は、例えば、透過法、窒素等の気体分子を利用する気体吸着法等の、公知の方法で測定できる。
【0025】
銀粒子(A)の形状は、略球状であることが好ましい。
略球状である銀粒子(A)としては、上記のD50と発熱ピーク温度の条件を満たすものであれば、市販品で形状が球状又は略球状とされているもの全般を用いることができる。
【0026】
本明細書において、略球状とは、銀粒子(A)の場合に限らず、球状又は球状とみなし得る形状を意味し、より具体的には、[粒子の長径]/[粒子の短径]で求められるアスペクト比が、2以下である粒子の形状を意味する。前記アスペクト比は、1.6以下であることが好ましく、1.3以下であることがより好ましい。略球状である粒子の表面は、曲面のみで構成されていてもよいし、平面を有して構成されていてもよく、2つの平面が互いに所定の角度を為して連結して形成されている角部を有して構成されていてもよい。略球状である粒子の表面は、平滑であってもよいし、凹凸部を有していてもよい。
【0027】
銀粒子(A)は、ここまでに説明した上記の条件の1又は2以上を満たすことが好ましく、すべてを満たすことがより好ましい。
より好ましい銀粒子(A)の一例としては、D50が0.4~0.5μmであり、D90が0.7~1μmであり、D10が0.2~0.27μmであり、銀粒子(A)の発熱ピークが1つのみ観測された場合には、その発熱ピークを示す温度(発熱ピーク温度)が210~225℃であり、銀粒子(A)の発熱ピークが2つ以上観測された場合には、これら発熱ピークを示す温度(発熱ピーク温度)の中でも、最高温度が210~225℃であり、比表面積が1.15~3.2m2/gであり、形状が略球状であるものが挙げられる。
【0028】
銀粒子(A)としては、例えば、還元法で得られた銀粒子と、アトマイズ法で得られた銀粒子が挙げられる。
銀粒子(A)は、その表面が化学処理された(化学物質で処理された)表面処理品であってもよいし、その表面が化学処理されていない表面未処理品であってもよい。
通常、還元法で得られた銀粒子(A)は表面処理品であり、アトマイズ法で得られた銀粒子(A)は表面未処理品である。
【0029】
銀粒子(A)の表面処理剤(前記化学物質)としては、例えば、2-エチルヘキシルアミン等の滑剤;飽和脂肪酸、飽和脂肪酸塩等の表面保護剤等が挙げられる。前記飽和脂肪酸は、例えば、低分子飽和脂肪酸であってもよい。
【0030】
前記配合工程において、溶媒以外の成分の合計配合量に対する、銀粒子(A)の配合量の割合([配合工程における、銀粒子(A)の配合量(質量部)]/[配合工程における、溶媒以外の成分の合計配合量(質量部)]×100)は、45~85質量%であることが好ましく、例えば、55~85質量%、及び65~85質量%のいずれかであってもよいし、45~75質量%、及び45~65質量%のいずれかであってもよいし、55~75質量%であってもよい。前記割合がこのような範囲であることで、乾燥済み接合材の割れがより抑制され、接合部での接合不良がより抑制される接合材が得られる。
【0031】
<<銀粒子(B)>>
銀粒子(B)のD50は、0.2~0.7μmであり、0.2~0.68μmであることが好ましく、例えば、0.2~0.55μm、0.45~0.68μm、及び0.4~0.6μmのいずれかであってもよい。銀粒子(B)のD50がこのような範囲であることで、乾燥済み接合材の割れがより抑制され、接合部での接合不良がより抑制される接合材が得られる。
【0032】
銀粒子(B)のD90は、特に限定されないが、1.05μm以下であることが好ましく、例えば、0.85μm以下、及び0.65μm以下のいずれかであってもよい。銀粒子(B)のD90がこのような範囲であることで、乾燥済み接合材の割れがより抑制される。
一方、銀粒子(B)のD90は、0.4μm以上であることが好ましく、例えば、0.7μm以上であってもよい。このような銀粒子(B)は、より容易に調製又は入手できる。
一実施形態において、銀粒子(B)のD90は、例えば、0.4~1.05μm、0.4~0.85μm、及び0.4~0.65μmのいずれかであってもよいし、0.7~1.05μm、及び0.7~0.85μmのいずれかであってもよい。ただし、これらは銀粒子(B)のD90の一例である。
【0033】
銀粒子(B)のD10は、特に限定されないが、0.1μm以上であることが好ましく、例えば、0.2μm以上、及び0.3μm以上のいずれかであってもよい。銀粒子(B)のD10がこのような範囲であることで、乾燥済み接合材の割れがより抑制される。
一方、銀粒子(B)のD10は、0.45μm以下であることが好ましく、例えば、0.35μm以下であってもよい。このような銀粒子(B)は、より容易に調製又は入手できる。
一実施形態において、銀粒子(B)のD10は、例えば、0.1~0.45μm、0.2~0.45μm、及び0.3~0.45μmのいずれかであってもよいし、0.1~0.35μm、及び0.2~0.35μmのいずれかであってもよい。ただし、これらは銀粒子(B)のD10の一例である。
【0034】
示差熱熱重量同時測定(TG/DTA)で銀粒子(B)の発熱ピークを観測したとき、前記発熱ピークは、1つのみ観測される場合と、2つ以上観測される場合と、がある。本実施形態においては、銀粒子(B)の発熱ピークが1つのみ観測された場合には、その発熱ピークを示す温度(発熱ピーク温度)が168~180℃である銀粒子(B)を用い、銀粒子(B)の発熱ピークが2つ以上観測された場合には、これら発熱ピークを示す温度(発熱ピーク温度)の中でも、最高温度が168~180℃である銀粒子(B)を用いる。
このような銀粒子(B)を、銀粒子(A)と併用することで、接合材が、後述する発熱ピーク温度が183~224℃である銀粒子を含有するものと、同等となる。
【0035】
銀粒子(B)の前記発熱ピーク温度は、例えば、168~174℃、及び173~180℃のいずれかであってもよい。
【0036】
銀粒子(B)の前記発熱ピーク温度は、例えば、後述する銀粒子(B)の表面処理剤の種類及び量、並びに銀粒子(B)の比表面積等を調節することで、調節できる。
【0037】
銀粒子(B)の比表面積は、特に限定されないが、1.1~3m2/gであることが好ましく、例えば、1.1~2.5m2/g、及び1.1~1.9m2/gのいずれかであってもよいし、1.5~3m2/g、及び2.2~3m2/gのいずれかであってもよい。銀粒子(B)の比表面積がこのような範囲であることで、乾燥済み接合材の割れがより抑制され、接合部での接合不良がより抑制される接合材が得られる。
【0038】
銀粒子(B)の形状は、略球状であることが好ましい。すなわち、銀粒子(B)の形状は、球状であるか又は球状とみなし得る形状であることが好ましい。
略球状である銀粒子(B)としては、上記のD50と発熱ピーク温度の条件を満たすものであれば、市販品で形状が球状又は略球状とされているもの全般を用いることができる。
【0039】
銀粒子(B)は、ここまでに説明した上記の条件の1又は2以上を満たすことが好ましく、すべてを満たすことがより好ましい。
より好ましい銀粒子(B)の一例としては、D50が0.2~0.68μmであり、D90が0.4~1.05μmであり、D10が0.1~0.45μmであり、銀粒子(B)の発熱ピークが1つのみ観測された場合には、その発熱ピークを示す温度(発熱ピーク温度)が168~180℃であり、銀粒子(B)の発熱ピークが2つ以上観測された場合には、これら発熱ピークを示す温度(発熱ピーク温度)の中でも、最高温度が168~180℃であり、比表面積が1.1~3m2/gであり、形状が略球状であるものが挙げられる。
【0040】
銀粒子(B)としては、銀粒子(A)の場合と同様に、例えば、還元法で得られた銀粒子と、アトマイズ法で得られた銀粒子が挙げられる。
銀粒子(B)は、銀粒子(A)の場合と同様に、表面処理品であってもよいし、表面未処理品であってもよい。
通常、還元法で得られた銀粒子(B)は表面処理品であり、アトマイズ法で得られた銀粒子(B)は表面未処理品である。
【0041】
銀粒子(B)の表面処理剤(前記化学物質)としては、例えば、多岐脂肪酸(換言すると、分岐鎖状脂肪酸)等の表面保護剤等が挙げられる。
【0042】
前記配合工程において、銀粒子(A)と、銀粒子(B)と、の合計配合量に対する、銀粒子(B)の配合量の割合([配合工程における銀粒子(B)の配合量(質量部)]/([配合工程における銀粒子(A)の配合量(質量部)]+[配合工程における銀粒子(B)の配合量(質量部)])×100)は、20~50質量%であることが好ましく、例えば、20~45質量%、20~37質量%、及び20~32質量%のいずれかであってもよいし、25~50質量%、33~50質量%、及び38~50質量%、のいずれかであってもよいし、25~45質量%、及び33~37質量%のいずれかであってもよい。前記割合がこのような範囲であることで、前記銀粒子混合物の発熱ピーク温度を、183~224℃に調節することが、より容易となる。例えば、前記割合が前記下限値以上であることで、前記銀粒子混合物の発熱ピーク温度がより低下することで、銀粒子(銀粒子(A)及び銀粒子(B))がより焼結し易くなる。
【0043】
<<銀粒子混合物>>
前記配合工程における配合量と同量の前記銀粒子(A)と、前記配合工程における配合量と同量の銀粒子(B)と、の混合物(すなわち、前記銀粒子混合物)の発熱ピークを、示差熱熱重量同時測定(TG/DTA)で観測したとき、前記発熱ピークは、1つのみ観測される場合と、2つ以上観測される場合と、がある。本実施形態においては、前記銀粒子混合物の発熱ピークが1つのみ観測された場合には、その発熱ピークを示す温度(発熱ピーク温度)が183~224℃であり、前記銀粒子混合物の発熱ピークが2つ以上観測された場合には、これら発熱ピークを示す温度(発熱ピーク温度)の中でも、最高温度が183~224℃である。
銀粒子混合物の前記発熱ピーク温度がこのような範囲であることで、乾燥済み接合材の割れが抑制され、接合部での接合不良が抑制される接合材が得られる。
【0044】
銀粒子混合物の前記発熱ピーク温度は、例えば、183~198℃、196~211℃、及び209~224℃のいずれかであってもよい。
銀粒子混合物の前記発熱ピーク温度が低いほど、銀粒子(銀粒子(A)及び銀粒子(B))がより焼結し易くなる。
【0045】
銀粒子混合物の発熱ピークのパターンは、必ずしも、銀粒子(A)の発熱ピークのパターンと、銀粒子(B)の発熱ピークのパターンと、を足し合わせたものとはならず、銀粒子(A)と銀粒子(B)のそれぞれの混合量に依存する。
前記配合工程においては、銀粒子混合物の前記発熱ピーク温度が183~224℃となるように、銀粒子(A)及び銀粒子(B)の配合量を調節できる。
【0046】
銀粒子混合物中の銀粒子のD50は、0.2~0.7μmであることが好ましく、例えば、0.2~0.4μm、0.35~0.55μm、及び0.5~0.7μmのいずれかであってもよい。銀粒子混合物中の銀粒子のD50がこのような範囲であることで、乾燥済み接合材の割れがより抑制され、接合部での接合不良がより抑制される。
【0047】
銀粒子混合物中の銀粒子のD90は、特に限定されないが、1.05μm以下であることが好ましく、例えば、0.85μm以下、及び0.65μm以下のいずれかであってもよい。銀粒子混合物中の銀粒子のD90がこのような範囲であることで、乾燥済み接合材の割れがより抑制される。
一方、銀粒子混合物中の銀粒子のD90は、0.4μm以上であることが好ましく、例えば、0.7μm以上であってもよい。このような銀粒子混合物は、より容易に調製又は入手できる。
一実施形態において、銀粒子混合物中の銀粒子のD90は、例えば、0.4~1.05μm、0.4~0.85μm、及び0.4~0.65μmのいずれかであってもよいし、0.7~1.05μm、及び0.7~0.85μmのいずれかであってもよい。ただし、これらは銀粒子混合物中の銀粒子のD90の一例である。
【0048】
銀粒子混合物中の銀粒子のD10は、特に限定されないが、0.08μm以上であることが好ましく、例えば、0.2μm以上、及び0.3μm以上のいずれかであってもよい。銀粒子混合物中の銀粒子のD10がこのような範囲であることで、乾燥済み接合材の割れがより抑制される。
一方、銀粒子混合物中の銀粒子のD10は、0.45μm以下であることが好ましく、例えば、0.35μm以下であってもよい。このような銀粒子混合物は、より容易に調製又は入手できる。
一実施形態において、銀粒子混合物中の銀粒子のD10は、例えば、0.08~0.45μm、及び0.08~0.35μmのいずれかであってもよいし、0.2~0.45μm、及び0.2~0.35μmのいずれかであってもよい。ただし、これらは銀粒子混合物中の銀粒子のD10の一例である。
【0049】
銀粒子混合物中の銀粒子の比表面積は、特に限定されないが、1.1~3.6m2/gであることが好ましく、例えば、1.1~3.2m2/g、及び1.1~2m2/gのいずれかであってもよいし、1.2~3.6m2/g、及び2~3.6m2/gのいずれかであってもよいし、1.2~3.2m2/gであってもよい。銀粒子混合物中の銀粒子の比表面積がこのような範囲であることで、乾燥済み接合材の割れがより抑制され、接合部での接合不良がより抑制される接合材が得られる。
【0050】
<<溶媒(S)>>
前記配合工程においては、さらに、溶媒(S)を配合することが好ましい。溶媒(S)を配合して得られた接合材は、溶媒(S)を含有していることで、流動性を有し、その取り扱い性が良好である。
前記接合材は、典型的にはペースト状又は液状である。
【0051】
本明細書において、「溶媒」とは、溶媒(S)の場合に限らず、特に断りのない限り、溶質を溶解させるための、常温で液状の成分と、分散質を分散させるための分散媒として機能する、常温で液状の成分と、の両方を包含する概念である。
本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15~25℃の温度等が挙げられる。
【0052】
溶媒(S)は、加熱条件下で除去(気化)可能なものであれば、特に限定されないが、沸点が200~265℃であるものが好ましい。沸点が200℃以上の溶媒(S)は、その常温下での取り扱い時には、気化し難いため、このような溶媒(S)を含有する接合材の組成が安定化する。一方で、沸点が265℃以下の溶媒(S)は、加熱条件下で比較的容易に除去できるため、このような溶媒(S)を含有する接合材を用いることで、乾燥済み接合材をより容易に形成できる。
【0053】
好ましい溶媒(S)としては、例えば、沸点が200~265℃のアルコールエーテル(すなわち、1分子中に水酸基(-OH)とエーテル結合(-O-)をともに有する化合物);沸点が200~265℃のアルコールエステル(すなわち、1分子中に水酸基(-OH)とエステル結合をともに有する化合物)等が挙げられる。
前記アルコールエステルは、アルコールカルボン酸エステル(すなわち、1分子中に水酸基(-OH)とカルボン酸エステル結合(-C(=O)-O-)をともに有する化合物)であることが好ましい。
好ましい前記アルコールエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノ(2-エチルヘキシル)エーテル(沸点228.6℃程度)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(208.3℃程度)が挙げられる。
好ましい前記アルコールエステルとしては、例えば、テキサノール(沸点255~260℃程度)が挙げられる。
【0054】
配合工程において配合する溶媒(S)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
【0055】
配合工程において配合する溶媒(S)は、エチレングリコールモノ(2-エチルヘキシル)エーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル及びテキサノールからなる群より選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
【0056】
前記配合工程において、溶媒(S)を配合する場合の、銀粒子(A)と銀粒子(B)の合計配合量に対する、溶媒(S)の配合量の割合([配合工程における溶媒(S)の配合量(質量部)]/([配合工程における銀粒子(A)の配合量(質量部)]+[配合工程における銀粒子(B)の配合量(質量部)])×100)は、10~17質量%であることが好ましく、例えば、10~14.5質量%、10~13.5質量%、及び10~12.5質量%のいずれかであってもよいし、12.5~17質量%、13.5~17質量%、及び14.5~17質量%のいずれかであってもよいし、12.5~14.5質量%であってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、溶媒(S)を用いたことにより得られる効果がより高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、溶媒(S)の過剰使用が抑制される。
【0057】
<<他の成分>>
配合工程においては、本発明の効果を損なわない範囲で、銀粒子(A)と、銀粒子(B)と、溶媒(S)と、のいずれにも該当しない他の成分を配合してもよいし、配合しなくてもよい。
前記他の成分は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
【0058】
配合工程において配合する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
【0059】
配合工程において配合する前記他の成分としては、例えば、銀粒子(A)と、銀粒子(B)と、のいずれにも該当しない、銀粒子(C)、添加剤(Z)が挙げられる。
【0060】
<銀粒子(C)>
前記銀粒子(C)は、銀粒子(A)と、銀粒子(B)と、のいずれにも該当しない銀粒子であれば、特に限定されない。
銀粒子(C)としては、例えば、
少なくとも、D50が0.2~0.7μmの範囲外(0.2μm未満、又は0.7μm超)である銀粒子;
少なくとも、示差熱熱重量同時測定(TG/DTA)で発熱ピークを観測したとき、前記発熱ピークが1つのみ観測された場合には、前記発熱ピークの温度が168~180℃及び210~225℃の範囲外(168℃未満、180℃超210℃未満、又は225℃超)であり、前記発熱ピークが2つ以上観測された場合には、前記発熱ピークの最高温度が168~180℃及び210~225℃の範囲外(168℃未満、180℃超210℃未満、又は225℃超)である銀粒子;
等が挙げられる。
【0061】
前記配合工程において、銀粒子(A)と銀粒子(B)の合計配合量に対する、銀粒子(C)の配合量の割合([配合工程における銀粒子(C)の配合量(質量部)]/([配合工程における銀粒子(A)の配合量(質量部)]+[配合工程における銀粒子(B)の配合量(質量部)])×100)は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。前記割合が前記上限値以下であることで、乾燥済み接合材の割れがより抑制され、接合部での接合不良がより抑制される接合材が得られる。
一方、前記割合は、0質量%以上である。
【0062】
<添加剤(Z)>
前記添加剤(Z)としては、例えば、分岐鎖状のカルボン酸(すなわち、分岐鎖状の炭化水素基を有するカルボン酸)、アセチレンアルコール(すなわち、1分子中に水酸基(-OH)と炭素原子間の三重結合(-C≡C-)をともに有する化合物。ただし、三重結合を形成している炭素原子に水酸基は結合していない。)等が挙げられる。
【0063】
前記分岐鎖状のカルボン酸は、1価のカルボン酸と、2価以上の多価カルボン酸と、のいずれであってもよいが、1価のカルボン酸であることが好ましい。
前記分岐鎖状のカルボン酸の炭素数は、7~9であることが好ましい。
前記分岐鎖状のカルボン酸は、3,5,5-トリメチルヘキサン酸であることが好ましい。
【0064】
前記アセチレンアルコールは、1価のアルコール(水酸基を1個有するアルコール)と、2価以上の多価アルコール(水酸基を2個有するアルコール)と、のいずれであってもよいが、1価のアルコールであることが好ましい。
前記アセチレンアルコールの炭素数は、8~10であることが好ましい。
前記アセチレンアルコールは、4-エチル-1-オクチン-3-オール又は3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オールであることが好ましい。
【0065】
配合工程において配合する添加剤(Z)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
【0066】
前記配合工程において、添加剤(Z)を配合する場合の、銀粒子(A)と銀粒子(B)の合計配合量に対する、添加剤(Z)の配合量の割合([配合工程における添加剤(Z)の配合量(質量部)]/([配合工程における銀粒子(A)の配合量(質量部)]+[配合工程における銀粒子(B)の配合量(質量部)])×100)は、0.5~8質量%であることが好ましく、例えば、0.5~4質量%、及び0.5~2質量%のいずれかであってもよいし、2~8質量%であってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、添加剤(Z)を用いたことにより得られる効果がより高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、添加剤(Z)の過剰使用が抑制される。
【0067】
<銀粒子(C)と、添加剤(Z)と、のいずれにも該当しない他の成分(Y)>
配合工程において、銀粒子(C)と、添加剤(Z)と、のいずれにも該当しない他の成分(Y)を配合する場合、配合する前記他の成分(Y)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記配合工程において、銀粒子(A)と銀粒子(B)の合計配合量に対する、他の成分(Y)の配合量の割合([配合工程における他の成分(Y)の配合量(質量部)]/([配合工程における銀粒子(A)の配合量(質量部)]+[配合工程における銀粒子(B)の配合量(質量部)])×100)は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。前記割合が前記上限値以下であることで、乾燥済み接合材の割れがより抑制され、接合部での接合不良がより抑制される接合材が得られる。
一方、前記割合は、0質量%以上である。
【0068】
前記配合工程においては、配合成分の総質量に対する、銀粒子(A)と、銀粒子(B)と、溶媒(S)と、添加剤(Z)と、の合計配合量の割合(([配合工程における銀粒子(A)の配合量(質量部)]+[配合工程における銀粒子(B)の配合量(質量部)]+[配合工程における溶媒(S)の配合量(質量部)]+[配合工程における添加剤(Z)の配合量(質量部)])/[配合工程における配合成分の総質量(質量部)]×100)は、95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましい。前記割合が高いほど、乾燥済み接合材の割れがより抑制され、接合部での接合不良がより抑制される接合材が得られる。
一方、前記割合は100質量%以下である。
【0069】
前記配合工程において、溶媒(S)以外の配合成分の総質量に対する、銀粒子(A)と銀粒子(B)の合計配合量の割合(([配合工程における銀粒子(A)の配合量(質量部)]+[配合工程における銀粒子(B)の配合量(質量部)])/[配合工程における、溶媒(S)以外の配合成分の総質量(質量部)]×100)は、90~100質量%であることが好ましく、例えば、93~100質量%、96~100質量%、及び98~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合がこのような範囲であることで、乾燥済み接合材の割れがより抑制され、接合部での接合不良がより抑制される接合材が得られる。
【0070】
<<配合工程の他の条件>>
前記配合工程において、銀粒子(A)と、銀粒子(B)と、必要に応じて前記他の成分と、を配合する順序は、特に限定されない。
例えば、銀粒子(A)と銀粒子(B)を配合するときには、これらを別々に配合してもよいし、混合して得られた混合物を配合してもよい。
【0071】
配合物の混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
【0072】
各成分の配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、0~40℃であることが好ましい。
各成分の配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、10分~12時間であることが好ましい。
【0073】
◎他の工程
本実施形態の製造方法は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記配合工程以外に、他の工程を有していてもよい。
前記他の工程は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせは、任意に選択できる。
前記他の工程を行うタイミングは、前記他の工程の種類に応じて、任意に選択できる。
【0074】
本実施形態の製造方法で得られた接合材を乾燥させ、これにより得られた乾燥済み接合材を、導電性の部品同士がそれぞれ別々に接触した状態で焼成することで、導電性の接合部を形成でき、この接合部によって、導電性の部品同士を接合できる。このとき、接合材が実質的に樹脂を含有していなくても、乾燥済み接合材の割れが抑制され、接合部での接合不良が抑制される。
【0075】
◇接合材
本発明の一実施形態に係る接合材は、導電性の部品同士を接合するための接合材であって、前記接合材は、銀粒子(X)と、溶媒と、を含有し、
レーザー回折/散乱式粒子径分布測定によって測定された、前記銀粒子(X)の体積基準での50%累積時の粒子径(D50)が、0.2~0.7μmであり、
示差熱熱重量同時測定(TG/DTA)で前記銀粒子(X)の発熱ピークを観測したとき、前記発熱ピークが1つのみ観測された場合には、前記発熱ピークの温度が183~224℃であり、前記発熱ピークが2つ以上観測された場合には、前記発熱ピークの最高温度が183~224℃であり、
前記溶媒が、エチレングリコールモノ(2-エチルヘキシル)エーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル及びテキサノールからなる群より選択される1種又は2種以上である。
【0076】
本実施形態の接合材を用い、これを乾燥させてから焼成することで、接合部を形成するときに、接合材が実質的に樹脂を含有していなくても、乾燥済み接合材の割れが抑制され、接合部での接合不良が抑制される。
【0077】
<<銀粒子(X)>>
本実施形態の接合材が含有する前記銀粒子(X)は、そのD50と発熱ピーク温度が上記の条件を満たせば、特に限定されない。
例えば、銀粒子(X)は、単品であってもよいし、2種以上の銀粒子の混合物であってもよい。2種以上の銀粒子の混合物は、上記の本発明の一実施形態に係る接合材の製造方法で用いる銀粒子(A)と、銀粒子(B)と、の混合物(すなわち、前記銀粒子混合物)であってもよい。
【0078】
本実施形態の接合材には、上述の本発明の一実施形態に係る製造方法で得られた接合材が包含され得る。
【0079】
接合材において、接合材の総質量に対する、接合材の1種又は2種以上の後述する含有成分の合計含有量の割合は、100質量%を超えない。
【0080】
銀粒子(X)のD50は、0.2~0.7μmであり、例えば、0.2~0.4μm、0.35~0.55μm、及び0.5~0.7μmのいずれかであってもよい。銀粒子(X)のD50がこのような範囲であることで、乾燥済み接合材の割れがより抑制され、接合部での接合不良がより抑制される。
【0081】
銀粒子(X)のD90は、特に限定されないが、1.05μm以下であることが好ましく、例えば、0.85μm以下、及び0.65μm以下のいずれかであってもよい。銀粒子(X)のD90がこのような範囲であることで、乾燥済み接合材の割れがより抑制される。
一方、銀粒子(X)のD90は、0.4μm以上であることが好ましく、例えば、0.7μm以上であってもよい。このような銀粒子(X)は、より容易に調製又は入手できる。
一実施形態において、銀粒子(X)のD90は、例えば、0.4~1.05μm、0.4~0.85μm、及び0.4~0.65μmのいずれかであってもよいし、0.7~1.05μm、及び0.7~0.85μmのいずれかであってもよい。ただし、これらは銀粒子(X)のD90の一例である。
【0082】
銀粒子(X)のD10は、特に限定されないが、0.08μm以上であることが好ましく、例えば、0.2μm以上、及び0.3μm以上のいずれかであってもよい。銀粒子(X)のD10がこのような範囲であることで、乾燥済み接合材の割れがより抑制される。
一方、銀粒子(X)のD10は、0.45μm以下であることが好ましく、例えば、0.35μm以下であってもよい。このような銀粒子(X)は、より容易に調製又は入手できる。
一実施形態において、銀粒子(X)のD10は、例えば、0.08~0.45μm、及び0.08~0.35μmのいずれかであってもよいし、0.2~0.45μm、及び0.2~0.35μmのいずれかであってもよい。ただし、これらは銀粒子(X)のD10の一例である。
【0083】
銀粒子(X)の発熱ピークを、示差熱熱重量同時測定(TG/DTA)で観測したとき、前記発熱ピークは、1つのみ観測される場合と、2つ以上観測される場合と、がある。本実施形態においては、銀粒子(X)の発熱ピークが1つのみ観測された場合には、その発熱ピークを示す温度(発熱ピーク温度)が183~224℃であり、銀粒子(X)の発熱ピークが2つ以上観測された場合には、これら発熱ピークを示す温度(発熱ピーク温度)の中でも、最高温度が183~224℃である。
銀粒子(X)の前記発熱ピーク温度がこのような範囲であることで、乾燥済み接合材の割れが抑制され、接合部での接合不良が抑制される。
【0084】
銀粒子(X)の前記発熱ピーク温度は、例えば、183~198℃、196~211℃、及び209~224℃のいずれかであってもよい。
銀粒子(X)の前記発熱ピーク温度が低いほど、銀粒子(X)がより焼結し易くなる。
【0085】
銀粒子(X)の前記発熱ピーク温度は、例えば、後述する銀粒子(X)の表面処理剤の種類及び量、並びに銀粒子(X)の比表面積等を調節することで、調節できる。
【0086】
銀粒子(X)の比表面積は、特に限定されないが、1.1~3.6m2/gであることが好ましく、例えば、1.1~3.2m2/g、及び1.1~2m2/gのいずれかであってもよいし、1.2~3.6m2/g、及び2~3.6m2/gのいずれかであってもよいし、1.2~3.2m2/gであってもよい。銀粒子(X)の比表面積がこのような範囲であることで、乾燥済み接合材の割れがより抑制され、接合部での接合不良がより抑制される接合材が得られる。
【0087】
銀粒子(X)の形状は、銀粒子(A)又は銀粒子(B)の形状と同様であってよい。
銀粒子(X)としては、銀粒子(A)又は銀粒子(B)の場合と同様に、例えば、還元法で得られた銀粒子と、アトマイズ法で得られた銀粒子が挙げられる。
銀粒子(X)は、銀粒子(A)又は銀粒子(B)の場合と同様に、表面処理品であってもよいし、表面未処理品であってもよい。
銀粒子(X)の表面処理剤としては、例えば、銀粒子(A)の表面処理剤又は銀粒子(B)の表面処理剤と、同様のものが挙げられる。
【0088】
<<溶媒>>
本実施形態の接合材が含有する前記溶媒は、エチレングリコールモノ(2-エチルヘキシル)エーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル及びテキサノールからなる群より選択される1種又は2種以上である。このような溶媒を含有する前記接合材を用いることで、乾燥済み接合材の割れが抑制され、接合部での接合不良が抑制される。
【0089】
本明細書において、単なる「溶媒」との記載は、特に断りのない限り、前記溶媒(S)ではなく、エチレングリコールモノ(2-エチルヘキシル)エーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル及びテキサノールからなる群より選択される1種又は2種以上を意味する。
【0090】
前記接合材において、銀粒子(X)の含有量に対する、前記溶媒の含有量の割合([接合材の溶媒の含有量(質量部)]/[接合材の銀粒子(X)の含有量(質量部)]×100)は、10~17質量%であることが好ましく、例えば、10~14.5質量%、10~13.5質量%、及び10~12.5質量%のいずれかであってもよいし、12.5~17質量%、13.5~17質量%、及び14.5~17質量%のいずれかであってもよいし、12.5~14.5質量%であってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、溶媒を用いたことにより得られる効果がより高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、溶媒の過剰使用が抑制される。
【0091】
<<他の成分>>
前記接合材は、本発明の効果を損なわない範囲で、銀粒子(X)と、前記溶媒と、のいずれにも該当しない他の成分を含有してもよいし、含有しなくてもよい。
前記他の成分は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
【0092】
前記接合材が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
【0093】
前記接合材が含有する前記他の成分としては、前記製造方法の前記配合工程において配合する前記他の成分と同じもの、例えば、銀粒子(C)、添加剤(Z)等が挙げられる
【0094】
前記接合材において、銀粒子(X)の含有量に対する、銀粒子(C)の含有量の割合([接合材の銀粒子(C)の含有量(質量部)]/[接合材の銀粒子(X)の含有量(質量部)]×100)は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。前記割合が前記上限値以下であることで、乾燥済み接合材の割れがより抑制され、接合部での接合不良がより抑制される接合材が得られる。
一方、前記割合は、0質量%以上である。
【0095】
前記接合材が含有する添加剤(Z)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
【0096】
前記接合材が添加剤(Z)を含有する場合、前記接合材において、前記銀粒子(X)の含有量に対する、添加剤(Z)の含有量の割合([接合材の添加剤(Z)の含有量(質量部)]/[接合材の銀粒子(X)の含有量(質量部)]×100)は、0.5~8質量%であることが好ましく、例えば、0.5~4質量%、及び0.5~2質量%のいずれかであってもよいし、2~8質量%であってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、添加剤(Z)を用いたことにより得られる効果がより高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、添加剤(Z)の過剰使用が抑制される。
【0097】
前記接合材が、銀粒子(C)と、添加剤(Z)と、のいずれにも該当しない他の成分(Y)を含有する場合、含有する前記他の成分(Y)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記接合材において、前記銀粒子の含有量に対する、他の成分(Y)の含有量の割合([接合材の他の成分(Y)の含有量(質量部)]/[接合材の銀粒子の含有量(質量部)]×100)は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。前記割合が前記上限値以下であることで、乾燥済み接合材の割れがより抑制され、接合部での接合不良がより抑制される接合材が得られる。
一方、前記割合は、0質量%以上である。
【0098】
前記接合材において、前記接合材の総質量に対する、銀粒子(X)と、溶媒と、添加剤(Z)と、の合計含有量の割合(([接合材の銀粒子(X)の含有量(質量部)]+[接合材の溶媒の含有量(質量部)]+[接合材の添加剤(Z)の含有量(質量部)])/[接合材の総質量(質量部)]×100)は、95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましい。前記割合が高いほど、乾燥済み接合材の割れがより抑制され、接合部での接合不良がより抑制される接合材が得られる。
一方、前記割合は100質量%以下である。
【0099】
前記接合材において、前記接合材の総質量に対する、銀粒子(X)の含有量の割合([接合材の銀粒子(X)の含有量(質量部)]/[接合材の総質量(質量部)]×100)は、90~100質量%であることが好ましく、例えば、93~100質量%、96~100質量%、及び98~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合がこのような範囲であることで、乾燥済み接合材の割れがより抑制され、接合部での接合不良がより抑制される接合材が得られる。
【0100】
<<接合材の製造方法>>
前記接合材は、銀粒子(X)と、前記溶媒と、必要に応じて前記他の成分と、を配合することで製造できる。
各成分を配合する順序は、特に限定されない。
配合物の混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
【0101】
各成分の配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、0~40℃であることが好ましい。
各成分の配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、10分~12時間であることが好ましい。
【0102】
銀粒子(X)を含有する前記接合材の製造方法は、上述の本発明の一実施形態に係る接合材の製造方法のうち、銀粒子(A)と銀粒子(B)を混合して得られた混合物を配合する場合の製造方法に包含され得る。
【0103】
◇接合体の製造方法
本発明の一実施形態に係る接合体の製造方法は、導電性の第1部品(本明細書においては、単に「第1部品」と称することがある)と、導電性の第2部品(本明細書においては、単に「第2部品」と称することがある)とが、導電性の接合部(本明細書においては、単に「接合部」と称することがある)を介して接合されて構成された接合体の製造方法であって、
前記製造方法は、前記第1部品と、前記第2部品と、のいずれか一方の表面に、上述の本発明の一実施形態に係る製造方法で製造された接合材、又は上述の本発明の一実施形態に係る接合材を付着させる工程(本明細書においては、「付着工程」と称することがある)と、
付着させた前記接合材を乾燥させることにより、乾燥済み接合材を形成する工程(本明細書においては、「乾燥工程」と称することがある)と、
前記乾燥済み接合材を介して、前記第1部品と、前記第2部品と、を積層し、積層体を作製する工程(本明細書においては、「積層工程」と称することがある)と、
前記接合材を乾燥させた温度よりも高い温度で、前記積層体中の前記乾燥済み接合材を焼成することにより、前記乾燥済み接合材から前記接合部を形成する工程(本明細書においては、「焼成工程」と称することがある)と、を有する。
【0104】
第1部品及び第2部品等の前記導電性の部品は、導電性であれば、特に限定されない。前記導電性の部品としては、例えば、金属製部品(金属製部材)等が挙げられる。前記金属製部品は、例えば、シリコンチップ等の半導体チップ又は半導体素子の表面に、スパッタリング法又はメッキ法等によって設けられた金属層であってもよいし、樹脂製基板又はセラミック製基板に設けられた電極等の金属層であってもよい。
【0105】
前記接合部は、上述の本発明の一実施形態に係る製造方法で製造された接合材、又は上述の本発明の一実施形態に係る接合材を用いて形成されており、銀焼結体である。
前記接合部は、導電性及び熱伝導性を有し、ハンダの代わりとして有用である。
【0106】
前記製造方法においては、いずれの工程も、大気下で行うことができる。
接合対象である第1部品及び第2部品のいずれか一方又は両方の構成材料が、酸化され易い金属(例えば、銅等)である場合には、前記製造方法においては、いずれの工程も、不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。前記不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス等が挙げられる。
【0107】
以下、図面を参照しながら、本実施形態の接合体の製造方法について説明する。
なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
まず、本実施形態の製造方法の適用対象である接合体について説明する。
【0108】
<<接合体>>
図1は、前記接合体の一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す接合体1は、導電性の第1部品11と、導電性の第2部品12とが、導電性の接合部13を介して接合されて構成されている。
第1部品11は、その一方の面11aにおいて、接合部13と接触している。
第2部品12は、その一方の面12aにおいて、接合部13と接触している。
接合体1は、第1部品11と、接合部13と、第2部品12と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成されている。
【0109】
第1部品11の一方の面11aの面積は、第2部品12の一方の面12aの面積に対して、同等以上である。
【0110】
第1部品11は、シート状、プレート状又はブロック状である。
【0111】
第1部品11は、金属を含有して構成されていることが好ましく、金属製であることがより好ましい。
第1部品11を構成する金属としては、例えば、銀、銅、アルミニウム、金、ニッケル等が挙げられる。
【0112】
第1部品11は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。第1部品11が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
なお、本明細書においては、第1部品の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよいし、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
【0113】
第1部品11が複数層からなる場合には、例えば、第1部品11における、接合部13側の1層又は2層以上が、接合部13との密着性を向上させる層であってもよい。
【0114】
第1部品11の厚さは、接合体1の目的に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
第1部品11の厚さは、例えば、10~10000μmであってもよい。
【0115】
第1部品11が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の第1部品11の厚さであることが好ましい。
【0116】
ここでは、第1部品11として、シート状、プレート状又はブロック状であるものを示しているが、第1部品11は、これら以外の他の形状であってもよく、第1部品11の形状は、目的に応じて任意に選択できる。
【0117】
第2部品12は、シート状、プレート状又はブロック状である。
【0118】
第2部品12は、金属を含有して構成されていることが好ましく、金属製であることがより好ましく、第2部品12を構成する金属としては、上記の第1部品11を構成する金属と同じものが挙げられる。
【0119】
第2部品12は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。第2部品12が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
【0120】
第2部品12が複数層からなる場合には、例えば、第2部品12における、接合部13側の1層又は2層以上が、接合部13との密着性を向上させる層であってもよい。
【0121】
第2部品12の厚さは、接合体1の目的に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
第2部品12の厚さは、0.05~10000μmであることが好ましく、例えば、0.05~500μmであってもよいし、500μm超10000μm以下であってもよい。
第2部品12が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の第2部品12の厚さであることが好ましい。
【0122】
第1部品11の一方の面11aの面積は、第2部品12の一方の面12aの面積に対して、同等以上であることが好ましい。
【0123】
ここでは、第2部品12として、シート状、プレート状又はブロック状であるものを示しているが、第2部品12は、これら以外の他の形状であってもよく、第2部品12の形状は、目的に応じて任意に選択できる。
【0124】
接合部13は、シート状、プレート状又はブロック状である。
接合部13は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。接合部13が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
【0125】
接合部13の、第1部品11側の面の全面は、第1部品11の一方の面11aに接触していることが好ましい。
【0126】
接合部13の厚さは、例えば、10μm以上100μm未満、45μm以上100μm未満、及び80μm以上100μm未満のいずれかであってもよいが、100μm以上であることが好ましく、例えば、120μm以上、及び140μm以上のいずれかであってもよい。接合部13の厚さが100μm以上のように厚い場合には、前記乾燥済み接合材の厚さも100μm以上にする必要があるが、このように乾燥済み接合材の厚さを厚くしたときに、本実施形態の接合材を用いることで、乾燥済み接合材の割れを抑制できるという、本発明の効果がより顕著に得られる。
一方、接合部13の厚さは、接合部13の形成がより容易である点では、170μm以下であることが好ましい。
【0127】
ここでは、接合部13として、シート状、プレート状又はブロック状であるものを示しているが、接合部13は、これら以外の他の形状であってもよく、接合部13の形状は、目的に応じて任意に選択できる。
【0128】
接合部13の面のうち、第1部品11(より具体的には、その一方の面11a)との接触領域の面積と、第2部品12(より具体的には、その一方の面12a)との接触領域の面積は、互いに同一であっても異なっていてもよく、9~2500mm2であることが好ましく、9~1225mm2であることがより好ましく、例えば、9~576mm2、及び9~144mm2のいずれかであってもよいし、225~1225mm2、及び625~1225mm2のいずれかであってもよいし、225~576mm2であってもよい。ただし、これらは前記接触領域の面積の一例である。
【0129】
第2部品12の一方の面12aの面積は、接合部13の第2部品12側の面の面積に対して、50~150%であることが好ましい。
第2部品12の一方の面12aのうち、接合部13との接触領域の面積は、前記一方の面12a全面の面積に対して、50~100%であることが好ましい。
接合部13においては、その第1部品11側の面の全面が、第1部品11と接触していることが好ましい。
【0130】
接合体1においては、1つの第1部品11と、1つの第2部品12とが、1つの接合部13によって接合されているが、接合形態は、これに限定されない。
前記接合体においては、例えば、1つの第1部品と、2つ以上の第2部品とが、1つの接合部によって接合されていてもよい。その場合、2つ以上の第2部品は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよいし、一部のみ異なっていてもよい。
また、前記接合体においては、例えば、1つの第1部品と、2つ以上の第2部品とが、2つ以上の接合部によって接合されていてもよい。その場合、第2部品の数と、接合部の数とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、2つ以上の第2部品は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよいし、一部のみ異なっていてもよい。
ここで例示した、第1部品の数と、第2部品の数とは、逆であってもよい。
【0131】
本実施形態の製造方法の適用対象である接合体は、
図1に示すものに限定されず、例えば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、
図1に示す接合体1において、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
次に、本実施形態の製造方法について、
図1に示す接合体を製造する場合を例に挙げて、説明する。
【0132】
◎製造方法(1)
図2は、本実施形態の接合体の製造方法の一例(本明細書においては、「製造方法(1)」と称することがある)を模式的に説明するための断面図である。
なお、
図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0133】
<<付着工程>>
前記製造方法(1)の前記付着工程においては、
図2(a)に示すように、第1部品11の一方の面11aに、前記接合材130を付着させる。
接合材130を第1部品11に付着させる方法としては、例えば、印刷法、塗布法等の公知の方法が挙げられる。
【0134】
前記印刷法としては、例えば、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、ディップ式印刷法、インクジェット式印刷法、ディスペンサー式印刷法、ジェットディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等が挙げられる。
【0135】
前記塗布法としては、例えば、スピンコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター等の各種コーターを用いる方法;ワイヤーバーを用いる方法;スロットダイ等のコーティング装置を用いる方法等が挙げられる。
【0136】
接合材130を第1部品11に付着させるときには、メタルマスク版等のマスクを用いて、目的とする箇所のみに、接合材130を付着させてもよい。
【0137】
<<乾燥工程>>
製造方法(1)の前記付着工程の後、前記乾燥工程においては、
図2(b)に示すように、付着させた接合材130を乾燥させることにより、乾燥済み接合材130’を形成する。
乾燥工程により、接合材130中の溶媒が揮発するため、乾燥済み接合材130’においては、溶媒が存在しないか、又は接合材130の場合よりも、溶媒の含有量が大幅に低減されている。
【0138】
乾燥済み接合材130’は、銀焼結体ではなく、典型的には、金属特有の光沢を有しておらず、このような外見上の特徴からも、目的とする銀焼結体との区別が可能である。
【0139】
接合材130の乾燥は、公知の方法で行うことができ、常圧下での加熱により行うことが好ましい。
【0140】
乾燥工程における接合材130の加熱温度(乾燥温度)は、溶媒の種類に応じて適宜調節できるが、90℃以上であることが好ましく、例えば、120℃以上、及び130℃以上のいずれかであってもよい。加熱温度が前記下限値以上であることで、接合材130の乾燥がより速やかに進行する。
一方、前記加熱温度は、160℃以下であることが好ましい。加熱温度が前記上限値以下であることで、乾燥済み接合材130’の変質と、乾燥済み接合材130’の中の銀粒子(例えば、銀粒子(A)及び銀粒子(B))の焼結が抑制される。
【0141】
乾燥工程における接合材130の加熱時間(乾燥時間)は、上記の加熱温度に応じて適宜調節できるが、1~40分であることが好ましく、例えば、3~30分、及び5~20分のいずれかであってもよい。加熱時間がこのような範囲であることで、目的とする乾燥済み接合材130’をより効率的に形成できる。
【0142】
乾燥済み接合材130’の厚さは、例えば、10μm以上100μm未満、45μm以上100μm未満、及び80μm以上100μm未満のいずれかであってもよいが、100μm以上であることが好ましく、例えば、120μm以上、及び140μm以上のいずれかであってもよい。通常の接合材の乾燥物は、特にその厚さが厚い場合には、割れが生じ易い。これに対して、乾燥済み接合材130’は、接合材130を用いていることにより、その厚さが薄い場合だけでなく、100μm以上のように厚い場合であっても、その割れが抑制される。
一方、乾燥済み接合材130’の厚さは、乾燥済み接合材130’の形成がより容易である点では、170μm以下であることが好ましい。
【0143】
<<積層工程>>
製造方法(1)の前記乾燥工程の後、前記積層工程においては、
図2(c)に示すように、乾燥済み接合材130’を介して、第1部品11と、第2部品12と、を積層し、積層体101を作製する。すなわち、積層体101は、第1部品11と、乾燥済み接合材130’と、第2部品12と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成されており、乾燥済み接合材130’は第1部品11と密着している。
第1部品11は、その一方の面11aにおいて、乾燥済み接合材130’と接触している。
第2部品12は、その一方の面12aにおいて、乾燥済み接合材130’と接触している。
【0144】
<<焼成工程>>
製造方法(1)の前記積層工程の後、前記焼成工程においては、
図2(d)に示すように、接合材130を乾燥させた温度よりも高い温度(本明細書においては、「焼成温度」と称することがある)で、積層体101中の乾燥済み接合材130’を焼成する。
接合材130の乾燥を加熱により行った場合には、乾燥済み接合材130’の焼成温度(前記焼成温度)は、接合材130の加熱温度(乾燥温度)よりも高くする。
【0145】
乾燥済み接合材130’を焼成するときの、乾燥済み接合材130’の加熱時の昇温速度は、特に限定されないが、30~70℃/minであることが好ましく、例えば、40~60℃/minであってもよい。前記昇温速度がこのような範囲であることで、目的とする特性の銀焼結体(接合部13)をより効率的に製造できる。
【0146】
乾燥済み接合材130’の焼成温度(例えば、銀粒子(A)及び銀粒子(B)を焼結させる温度)は、180℃以上であることが好ましく、例えば、200℃以上、220℃以上、及び240℃以上のいずれかであってもよい。前記焼成温度が前記下限値以上であることで、より高純度の銀焼結体(接合部13)が得られる。
一方、乾燥済み接合材130’の焼成温度は、過剰な加熱が抑制され、良好な特性の銀焼結体(接合部13)が得られる点では、320℃以下であることが好ましく、例えば、300℃以下、及び280℃以下のいずれかであってもよい。
【0147】
乾燥済み接合材130’の焼成時間(例えば、銀粒子(A)及び銀粒子(B)を焼結させる時間)は、3~120分であることが好ましく、例えば、3~60分、50~90分、及び80~120分のいずれかであってもよい。前記焼成時間(焼結時間)がこのような範囲であることで、目的とする特性の銀焼結体をより効率的に製造できる。
前記焼成工程においては、焼成温度を上述の数値範囲とし、かつ、焼成時間をここに示す数値範囲として、乾燥済み接合材130’の焼成することが好ましい。
【0148】
焼成工程においては、積層体101を、その厚さ方向(換言すると、第1部品11と、乾燥済み接合材130’と、第2部品12と、の積層方向)において加圧しながら、乾燥済み接合材130’を焼成(本明細書においては、「加圧焼成」と称することがある)することが好ましい。このように乾燥済み接合材130’を加圧焼成することにより、空孔が少ない接合部を形成できる。
【0149】
積層体101を、その厚さ方向(換言すると、第1部品11と、乾燥済み接合材130’と、第2部品12と、の積層方向)において加圧する場合に、積層体101に対して加える圧力は、
図2(d)に示すように、第1部品11側から加える圧力P
1と、第2部品12側から加える圧力P
2と、のいずれか一方又は両方とすることができる。
本明細書において、「加圧」とは、対象物に対して能動的に力を加える操作によって、対象物に加わる圧力を増大させることを意味し、例えば、対象物を支えているだけ(垂直抗力を及ぼしているだけ)で、能動的に力を加える操作を行っていない場合は、加圧とはしない。加圧の場合には、例えば、加圧手段の位置が、加速度を有して自ら変化する。
【0150】
加圧焼成時には、乾燥済み接合材130’(積層体101)の焼成のための加熱と、乾燥済み接合材130’(積層体101)の加圧と、は同時に開始してもよいし、乾燥済み接合材130’の焼成のための加熱を開始してから、乾燥済み接合材130’の加圧を開始してもよいし、乾燥済み接合材130’の加圧を開始してから、乾燥済み接合材130’の焼成のための加熱を開始してもよい。
【0151】
加圧焼成するときの、乾燥済み接合材130’を加圧する圧力は、20MPa以下であることが好ましく、例えば、16MPa以下であってもよい。前記圧力が前記上限値以下であることで、第1部品11又は第2部品12の割れ等の破損、及び変形が、より抑制される。
一方、加圧焼成時の前記圧力は、例えば、加圧の効果が有効に得られる点では、3MPa以上であることが好ましい。
ここで、乾燥済み接合材130’を加圧する圧力(加圧焼成時の前記圧力)とは、積層体101に対する加圧時の荷重を、乾燥済み接合材130’の、この荷重を受けている領域の面積で除したものである。
【0152】
焼成工程を行うことにより、
図2(e)に示すように、乾燥済み接合材130’から接合部13を形成し、目的とする接合体1が得られる。接合部13は、接合材130から乾燥済み接合材130’を経て形成された銀焼結体である。
【0153】
接合材130を用いていることにより、接合体1においては、接合部13での接合不良が抑制される。例えば、接合部13の、第1部品11側の面と、第1部品11の一方の面11aと、の間の剥がれが抑制され、接合部13の、第2部品12側の面と、第2部品12の一方の面12aと、の間の剥がれが抑制される。このような接合部13での接合不良の抑制は、接合体1の製造直後だけでなく、接合体1に対して加熱及び冷却を繰り返すことで、熱衝撃を加えた場合にも認められる。
【0154】
ここまでは、第1部品の一方の面に、前記接合材を付着させ、この接合材から接合部を形成する場合の接合体の製造方法(製造方法(1))について説明したが、本実施形態の製造方法は、第2部品の一方の面に、前記接合材を付着させ、この接合材から接合部を形成する接合体の製造方法(本明細書においては、「製造方法(2)」と称することがある)であってもよい。
【0155】
◎製造方法(2)
図3は、本実施形態の接合体の製造方法の他の例、すなわち、前記製造方法(2)を模式的に説明するための断面図である。
【0156】
<<付着工程>>
前記製造方法(2)の前記付着工程においては、
図3(a)に示すように、第2部品12の一方の面12aに、前記接合材130を付着させる。
製造方法(2)における前記付着工程は、接合材130を付着させる対象が、第1部品11の一方の面11aではなく、第2部品12の一方の面12aである点を除けば、製造方法(1)における前記付着工程の場合と同じ方法で行うことができる。
【0157】
<<乾燥工程>>
製造方法(2)の前記付着工程の後、前記乾燥工程においては、
図3(b)に示すように、付着させた接合材130を乾燥させることにより、乾燥済み接合材130’を形成する。
製造方法(2)における前記乾燥工程は、接合材130が付着している第1部品11に代えて、接合材130が付着している第2部品12を用いる点を除けば、製造方法(1)における前記乾燥工程の場合と同じ方法で行うことができる。
製造方法(2)で形成される乾燥済み接合材130’は、第1部品11ではなく第2部品12に密着している点を除けば、製造方法(1)で形成される乾燥済み接合材130’と同じである。
製造方法(2)においても、乾燥済み接合材130’は、接合材130を用いていることにより、その厚さが薄い場合だけでなく、100μm以上のように厚い場合であっても、その割れが抑制される。
【0158】
<<積層工程>>
製造方法(2)の前記乾燥工程の後、前記積層工程においては、
図3(c)に示すように、乾燥済み接合材130’を介して、第1部品11と、第2部品12と、を積層し、積層体102を作製する。すなわち、積層体102は、第1部品11と、乾燥済み接合材130’と、第2部品12と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成されており、乾燥済み接合材130’は第2部品12と密着している。
積層体102は、乾燥済み接合材130’が密着しているのが、第1部品11ではなく第2部品12である点を除けば、積層体101と同じである。
製造方法(2)における前記積層工程は、乾燥済み接合材130’を備えた第1部品11に代えて、乾燥済み接合材130’を備えた第2部品12を用いる点と、乾燥済み接合材130’を備えていない第2部品12に代えて、乾燥済み接合材130’を備えていない第1部品11を用いる点、を除けば、製造方法(1)における前記積層工程の場合と同じ方法で行うことができる。
【0159】
<<焼成工程>>
製造方法(2)の前記積層工程の後、前記焼成工程においては、
図3(d)に示すように、接合材130を乾燥させた温度よりも高い温度で、積層体102中の乾燥済み接合材130’を焼成する。
製造方法(2)における前記焼成工程は、製造方法(1)における前記焼成工程の場合と同じ方法で行うことができる。製造方法(2)における前記焼成工程においても、乾燥済み接合材130’を加圧焼成することが好ましい。
【0160】
製造方法(2)の焼成工程を行うことにより、
図3(e)に示すように、乾燥済み接合材130’から接合部13を形成し、目的とする接合体1が得られる。接合部13は、接合材130から乾燥済み接合材130’を経て形成された銀焼結体である。製造方法(2)で得られた接合体1は、製造方法(1)で得られた接合体1と同じである。
【0161】
製造方法(2)の場合も、接合材130を用いていることにより、製造方法(1)の場合と同様に、接合体1においては、接合部13での接合不良が抑制される。例えば、接合部13の、第1部品11側の面と、第1部品11の一方の面11aと、の間の剥がれが抑制され、接合部13の、第2部品12側の面と、第2部品12の一方の面12aと、の間の剥がれが抑制される。このような接合部13での接合不良の抑制は、接合体1の製造直後だけでなく、接合体1に対して加熱及び冷却を繰り返すことで、熱衝撃を加えた場合にも認められる。
【実施例0162】
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されない。
【0163】
以下の各実施例又は比較例で用いた銀粒子(A)、銀粒子(B)及び銀粒子(C)を、表1に示す。
これら銀粒子はすべて、乾燥した粉体である。
これら銀粒子のD50、D10及びD90は、実測値である。
TG/DTAで、これら銀粒子の発熱ピーク温度を測定した。
これら銀粒子のタップ密度及び比表面積は、実測値である。
【0164】
【0165】
以下の各実施例又は比較例で用いた溶媒(S)を表2に示す。
【0166】
【0167】
以下の各実施例又は比較例で用いた添加剤(Z)を表3に示す。
【0168】
【0169】
[実施例1]
<<接合材の製造>>
銀粒子(A)-1(80質量部)と、銀粒子(B)-1(20質量部)と、添加剤(Z)-1(1質量部)と、溶媒(S)-1(13.9質量部)と、を常温下で15分混練した。
次いで、得られた混練物を、三本ロールに3回通すことで、目的とするペースト状の接合材を得た。
【0170】
<<全銀粒子(銀粒子混合物)の発熱ピーク温度の測定>>
銀粒子(A)-1(80質量部)と、銀粒子(B)-1(20質量部)と、を常温下で混合することで、銀粒子混合物を調製した。
TG/DTAで、この銀粒子混合物の発熱ピーク温度を測定した。結果を表4に示す。
なお、以降に記載の実施例及び比較例においては、銀粒子を1種のみ配合している場合があるため、表4以降の表においては、前記発熱ピーク温度を示す欄に「全銀粒子の発熱ピーク温度(℃)」との名称を付与している。
【0171】
<<接合体の製造>>
<乾燥済み接合材の形成、及びその割れの抑制効果の評価>
銅板として、大きさが20mm×20mmであり、厚さが2mmであって、表面に厚さ5μmの銀メッキ層を有する銀メッキ銅板を用意した。
前記銀メッキ銅板の一方の面(銀メッキ層の表面)に、厚さが300μmのメタルマスク版を配置し、前記接合材を用いて、大きさが7mm×7mmの四角形の形状を印刷することで、銀メッキ銅板の表面に、接合材をこの形状で付着させた(付着工程)。
次いで、この接合材を付着させた銀メッキ銅板を、熱風オーブンを用いて125℃で15分加熱し、接合材中の溶媒(S)-1を揮発させることで乾燥させ、平面形状が四角形状で膜状の乾燥済み接合材を形成した(乾燥工程)。
次いで、この乾燥済み接合材を目視で観察し、下記基準に従って、乾燥済み接合材の割れの抑制効果を評価した。結果を表1に示す。
[評価基準]
A:乾燥済み接合材に割れが全く発生していないか、又はわずかに割れが発生しているだけであり、割れの抑制効果が高い。
B:乾燥済み接合材に、わずかとは言えない割れが発生しており、割れの抑制効果が劣る。
C:乾燥済み接合材に、多数の割れがはっきりと発生しており、割れの抑制効果が認められないか又は低い。
【0172】
<接合体の製造>
大きさが4.7mm×4.7mmであり、厚さが0.3mmであって、一方の面(換言すると裏面)に、厚さが50nmのチタン膜と、厚さが100nmの銀膜と、がこの順に、スパッタ処理によって積層された裏面成膜炭化ケイ素(SiC)チップを用意した。
上記で形成した乾燥済み接合材の、銀メッキ銅板側とは反対側の面(すなわち露出面)に、前記裏面成膜炭化ケイ素チップ中の前記銀膜の露出面全面を重ね合わせることで、銀メッキ銅板と、乾燥済み接合材と、裏面成膜炭化ケイ素チップと、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層体を作製した(積層工程)。
さらに、前記積層体のうち、裏面成膜炭化ケイ素チップ中の炭化ケイ素チップの表面に、緩衝材としてカーボンシート(東洋炭素社製「PERMA-FOIL(登録商標)」)を配置した。
【0173】
次いで、サーボプレス機を用いて、上記で得られたカーボンシート付き積層体を、その厚さ方向(換言すると、乾燥済み接合材等の積層方向)において加圧することで、乾燥済み接合材に対する加圧を15MPaの圧力で開始すると同時に、昇温速度約50℃/minで加熱を開始した。このとき、サーボプレス機中の一対のプレス板の間に、カーボンシート付き積層体を配置し、カーボンシート付き積層体中の裏面成膜炭化ケイ素チップ側の一方のプレス板を固定した。そして、カーボンシート付き積層体中の銀メッキ銅板側の他方のプレス板を、前記一方のプレス板側に移動させることで、前記一方のプレス板によってカーボンシート付き積層体を支えつつ、カーボンシート付き積層体に対して、その銀メッキ銅板側から圧力を加えた。すなわち、このときのカーボンシート付き積層体に対する加圧は、銀メッキ銅板側から行った。そして、加熱温度(換言すると、積層体の温度)が250℃に到達してから、この温度を5分間維持し(すなわち、温度250℃、圧力15MPaで5分間、加熱加圧し)、乾燥済み接合材を加圧焼成することにより、乾燥済み接合材から接合部を形成した(焼成工程)。
次いで、サーボプレス機の内部に冷却水を流すことにより、冷却を開始し、積層体の温度が60℃に到達した時点で、加圧を解除した。
以上により、目的とする接合体を得た。接合体中の接合部の厚さは、128μmであった。
【0174】
<<接合体の評価>>
<初期接合率の評価>
超音波探傷装置(SAT)を用いて、上記で得られた接合体中の、炭化ケイ素チップにチタン膜を介して設けられている銀膜と、接合部(銀焼結体)と、の界面を観察した。前記界面を、炭化ケイ素チップ側の上方から見下ろして平面視したとき、炭化ケイ素チップよりも銀焼結体側の領域で、黒く見える領域が、炭化ケイ素チップ上の銀膜に密着している銀焼結体であると判断できた。そこで、銀焼結体の炭化ケイ素チップ側の面の面積に対する、上述の黒く見える領域の面積の割合([炭化ケイ素チップより銀焼結体側の領域で黒く見える領域の面積]/[銀焼結体の炭化ケイ素チップ側の面の面積]×100)を算出し、これを接合体のチップ側(裏面成膜炭化ケイ素チップ側)の初期接合率として採用した。結果を表4に示す。
【0175】
さらに同様に、接合体中の、銀メッキ銅板中の銀メッキ層と、接合部(銀焼結体)と、の界面を観察した。すなわち、前記界面を、銀メッキ銅板側の上方から見下ろして平面視したとき、銀メッキ銅板よりも銀焼結体側の領域で、黒く見える領域が、銀メッキ銅板中の銀メッキ層に密着している銀焼結体であると判断できた。そこで、銀焼結体の銀メッキ銅板側の面の面積に対する、上述の黒く見える領域の面積の割合([銀メッキ銅板より銀焼結体側の領域で黒く見える領域の面積]/[銀焼結体の銀メッキ銅板側の面の面積]×100)を算出し、これを接合体の基板側(銀メッキ銅板側)の初期接合率として採用した。結果を表4に示す。
【0176】
本実施例、並びに以降の他の実施例及び比較例においては、接合体の初期接合率が基板側及びチップ側の両側でともに90%以上である場合に、接合体の初期接合性を合格と判定し、それ以外の場合には不合格と判定した。
【0177】
<熱衝撃後(300サイクル後)接合率の評価>
上記の初期接合率を算出した接合体を、熱衝撃試験機に入れて、150℃の加熱条件下で30分静置し、その2分後から、-40℃の冷却条件下で30分静置し、これを1サイクルとして、さらにその2分後から、同様の加熱条件下での静置と、冷却条件下での静置と、の熱冷サイクルを299回繰り返し、この熱冷サイクルを合計で300回行うことによって、熱衝撃試験を行った。次いで、接合体を熱衝撃試験機から取り出した。そして、上述の初期接合率(%)の場合と同様に、この熱衝撃試験後の接合体について、その基板側(銀メッキ銅板側)の接合率(300サイクル後接合率)と、チップ側(裏面成膜炭化ケイ素チップ側)の接合率(300サイクル後接合率)を算出した。結果を表4に示す。
【0178】
本実施例、並びに以降の他の実施例及び比較例においては、接合体の300サイクル後接合率が、基板側及びチップ側の両方でともに90%以上である場合を、接合率が高いA判定とした。また、接合体の300サイクル後接合率が、基板側及びチップ側のいずれか一方又は両方で80%以上90%未満であり、かつ基板側及びチップ側の両方でともに80%未満ではない場合を、接合率が中程度のB判定とした。また、接合体の300サイクル後接合率が、基板側及びチップ側のいずれか一方又は両方で80%未満である場合を、接合率が低いC判定とした。
【0179】
<接合体の総合判定>
上記の「初期接合率の評価」の結果が合格判定であり、かつ、上記の「熱衝撃後(300サイクル後)接合率の評価」の結果がA判定又はB判定である場合には、接合体の接合品質が合格であると総合判定を行った。これに対して、少なくとも、「初期接合率の評価」の結果が不合格判定であるか、又は、「熱衝撃後(300サイクル後)接合率の評価」の結果がC判定である場合には、接合体の接合品質が不合格であると総合判定を行った。結果を表4に示す。なお、少なくとも、「熱衝撃後(300サイクル後)接合率の評価」を行わなかった場合には、この総合判定を行うことができなかったため、その場合には、表4中の該当する欄に「-」と記載した。
【0180】
<<接合材の製造、全銀粒子の発熱ピーク温度の測定、接合体の製造及び評価>>
[実施例2~22、比較例1~21]
接合材の含有成分の種類及び含有量が表4~表8に示すとおりとなるように、配合成分の種類及び配合量のいずれか一方又は両方を変更した点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、接合材を製造し、必要に応じて全銀粒子の発熱ピーク温度を測定し、接合体を製造及び評価した。
ただし、実施例2、4~6、9、10、12、13、15、17~22、及び比較例2、9、12、19においては、さらに、接合材の乾燥温度を、125℃に代えて115とした。
比較例3~8、10、11、14~18においては、さらに、接合材の乾燥温度を、125℃に代えて145とした。
比較例3~5、16~19においては、さらに、混練物を三本ロールに通すことなく、目的とする接合材を得た。
結果を表4~表8に示す。
【0181】
[実施例23~31、比較例22~24]
前記銀メッキ銅板に代えて、大きさが20mm×20mmであり、厚さが1mmであって、表面に厚さ5μmの銀メッキ層を有する銀メッキアルミニウム板を用いた点と、前記裏面成膜炭化ケイ素チップに代えて、大きさが5mm×5mmであり、厚さが2mmであって、表面に厚さ5μmの銀メッキ層を有する銀メッキ銅(Cu)チップを用いた点と、必要に応じて、接合材の含有成分の種類及び含有量が表8~表9に示すとおりとなるように、配合成分の種類及び配合量のいずれか一方又は両方を変更した点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、接合材を製造し、必要に応じて全銀粒子の発熱ピーク温度を測定し、接合体を製造及び評価した。
ただし、実施例29~31においては、さらに、接合材の乾燥温度を、125℃に代えて145とした。
結果を表8~表9に示す。
【0182】
[実施例32~34]
接合材の含有成分の種類及び含有量が表9に示すとおりとなるように、配合成分の種類及び配合量のいずれか一方又は両方を変更した点と、前記混練物を三本ロールに通さなかった点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、接合材を製造し、接合体を製造及び評価した。
ただし、実施例32においては、さらに、接合材の乾燥温度を、125℃に代えて115とした。
実施例34においては、さらに、接合材の乾燥温度を、125℃に代えて145とした。
結果を表9に示す。
【0183】
【0184】
【0185】
【0186】
【0187】
【0188】
【0189】
上記結果から明らかなように、実施例1~34においては、接合材が樹脂を含有していなくても、乾燥済み接合材の割れが抑制され、接合部での接合不良が抑制されていた。
【0190】
実施例1~34の接合材においては、全銀粒子(銀粒子混合物)の発熱ピーク温度が183~223℃であり、接合材が含有する銀粒子のD50が、0.25~0.66μmであった。
これら実施例のうち、銀粒子(A)と銀粒子(B)を配合する配合工程を経て接合材が製造された実施例1~28においては、銀粒子(A)のD50が0.25~0.46μm、発熱ピーク温度が210~225℃であり、銀粒子(B)のD50が0.25~0.66μm、発熱ピーク温度が168~179℃であった。
これら実施例のうち、銀粒子(A)と銀粒子(B)を併用せずに接合材が製造された実施例29~34においては、銀粒子(銀粒子(A)-1、銀粒子(A)-3及び銀粒子(A)-4)のD50が0.42~0.46μm程度、発熱ピーク温度が210~223℃であり、接合材は溶媒(S)として、エチレングリコールモノ(2-エチルヘキシル)エーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル又はテキサノールを含有していた。
【0191】
これに対して、比較例1~24においては、少なくとも、乾燥済み接合材の割れが抑制されていないか、又は接合部での接合不良が抑制されていなかった。
【0192】
より具体的には、比較例1~17においては、乾燥済み接合材の割れが抑制されていなかった。これらの中でも、比較例1、4、9~13、16においては、さらに、接合体の初期接合率が低く、比較例16~17においては、さらに、接合体の300サイクル後接合率が低く、それぞれ、接合部での接合不良が抑制されていなかった。比較例5~8、14~15においては、乾燥済み接合材の割れの程度が大きかったため、初期接合率の評価を行わず、熱衝撃試験と300サイクル後接合率の評価も行わなかった。比較例4、9~13においては、初期接合率の評価のみ行った。
比較例1~15においては、全銀粒子の発熱ピーク温度が182℃以下(168~182℃)であり、低めであった。
比較例16~17においては、接合材の製造時に、銀粒子として、銀粒子(C)-1又は(C)-2のみを用いており、焼成温度が全銀粒子の発熱ピーク温度よりも高かったが、その差が小さかった。
比較例1~10の結果から、全銀粒子の発熱ピーク温度が低めである場合には、乾燥済み接合材が割れ易い傾向にあることを確認できた。
【0193】
比較例18~19、22~24においては、接合体の300サイクル後接合率が低く、接合部での接合不良が抑制されていなかった。
比較例18~19においては、接合材の製造時に、銀粒子として、銀粒子(A)-2のみを用いており、焼成温度が全銀粒子の発熱ピーク温度よりも高かったが、その差が小さかった。
比較例22~24においては、焼成温度が、他の比較例の場合よりも低く、かつ全銀粒子の発熱ピーク温度と同等程度であった。
【0194】
比較例20~21においては、接合材の印刷適性が悪かったため、付着工程を行うことができず、接合体の製造自体を断念した。特に、比較例20においては、接合材の流動性が低かった。
比較例20~21においては、接合材の製造時に、銀粒子として、銀粒子(C)-3又は(C)-4のみを用いていた。