IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三安ジャパンテクノロジー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-弾性波デバイス 図1
  • 特開-弾性波デバイス 図2
  • 特開-弾性波デバイス 図3
  • 特開-弾性波デバイス 図4
  • 特開-弾性波デバイス 図5
  • 特開-弾性波デバイス 図6
  • 特開-弾性波デバイス 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157184
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】弾性波デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/25 20060101AFI20241030BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
H03H9/25 A
H01L23/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071363
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】518453730
【氏名又は名称】三安ジャパンテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098202
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信彦
(72)【発明者】
【氏名】金子 裕臣
【テーマコード(参考)】
5J097
【Fターム(参考)】
5J097AA29
5J097BB11
5J097CC05
5J097HA04
5J097JJ06
5J097KK09
5J097KK10
(57)【要約】
【課題】弾性波デバイスに、低背化及び寄生インダクタンスの低減に資する構造と、有用な特性を持たせ易くなる構造とを、同時に付与できるようにする。
【解決手段】一面2a側にこの一面2aに対向する他面3b側に向けて凹んだ凹部2dを備えると共に、この凹部2dの底面2eにIDT電極5bを含んだ機能素子5を形成させてなるデバイスチップ2と、前記凹部2dの前記底面2eとの間に内部空間4を形成させるようにして前記デバイスチップ2の前記一面2a上に設けられる絶縁材料よりなるルーフ層3とを備えてなる。前記凹部2dの前記底面2eを、前記凹部2dの開口縁2gとの間の距離dを異ならせる複数の領域2ea、2ebより構成させてなる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面側にこの一面に対向する他面側に向けて凹んだ凹部を備えると共に、この凹部の底面にIDT電極を含んだ機能素子を形成させてなるデバイスチップと、
前記凹部の前記底面との間に内部空間を形成させるようにして前記デバイスチップの前記一面上に設けられる絶縁材料よりなるルーフ層とを備えてなる、弾性波デバイスであって、
前記凹部の前記底面を、前記凹部の開口縁との間の距離を異ならせる複数の領域より構成させてなる、弾性波デバイス。
【請求項2】
前記凹部の前記底面に、前記機能素子となる第一金属層と、配線及び外部への接続のための内部電極となる第二金属層とを備えると共に、
前記第二金属層における前記底面に直交する向きの厚さを、前記第一金属層の前記の向きでの厚さより大きくさせてなる、請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項3】
前記ルーフ層に、前記内部電極に一端を一体化させて前記ルーフ層の外面から突き出す接続端子体の通過穴を形成させてなる、請求項2に記載の弾性波デバイス。
【請求項4】
前記第二金属層の前記厚さを、前記凹部の前記底面と前記ルーフ層の内面との間の距離と同一又はこれよりやや大きくさせてなる、請求項2に記載の弾性波デバイス。
【請求項5】
前記ルーフ層を、熱伝導率の高い材料より構成させてなる、請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項6】
前記ルーフ層を、前記内部空間側に位置される内層とこの内層上に形成される熱伝導率の高い材料よりなる外層との積層体としてなる、請求項1に記載の弾性波デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、モバイル通信機器などにおいて周波数フィルタなどとして使用するのに適した弾性波デバイスの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
WLP(Wafer Level Package)構造を有する弾性波(Surface Acoustic Wave/SAW)デバイスは、特許文献1に示される構造を持つ。
この特許文献1のものは、デバイスチップの一面上にカバーを設けると共に、このカバーにより形成された内部空間内に前記一面に形成させたIDT電極が位置されるようになっている。
この特許文献1のものでは、前記デバイスチップの一面は、前記カバーを覆う厚さの樹脂層で覆われ、デバイスチップの一面上に形成された回路と外部とは、デバイスチップの一面に形成された入出力電極と、この入出力電極上に形成されたパッド電極と、このパッド電極上において前記樹脂層を貫通する貫通穴内に形成される突起電極とを介して、接続されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-217673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の弾性波デバイスにあっては、その低背化が強く求められるところ、前記の特許文献1の構造では、前記カバーが弾性波デバイスの厚さを小さくすることへの妨げとなる。
また、前記の特許文献1の構造は、前記樹脂層の厚さ分の高さを持った突起電極が寄生インダクタンスを少なからず生じさせる。
この発明が解決しようとする主たる問題点は、この種の弾性波デバイスに、低背化及び寄生インダクタンスの低減に資する構造と、弾性波デバイスに有用な特性を持たせ易くなる構造とを、同時に付与できるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、弾性波デバイスを、一面側にこの一面に対向する他面側に向けて凹んだ凹部を備えると共に、この凹部の底面にIDT電極を含んだ機能素子を形成させてなるデバイスチップと、
前記凹部の前記底面との間に内部空間を形成させるようにして前記デバイスチップの前記一面上に設けられる絶縁材料よりなるルーフ層とを備えてなる、弾性波デバイスであって、
前記凹部の前記底面を、前記凹部の開口縁との間の距離を異ならせる複数の領域より構成させてなる、ものとした。
【0006】
前記凹部の前記底面に、前記機能素子となる第一金属層と、配線及び外部への接続のための内部電極となる第二金属層とを備えさせると共に、
前記第二金属層における前記底面に直交する向きの厚さを、前記第一金属層の前記の向きでの厚さより大きくさせるようにすることが、この発明の態様の一つとされる。
【0007】
また、前記ルーフ層に、前記内部電極に一端を一体化させて前記ルーフ層の外面から突き出す接続端子体の通過穴を形成させることが、この発明の態様の一つとされる。
【0008】
また、前記第二金属層の前記厚さを、前記凹部の前記底面と前記ルーフ層の内面との間の距離と同一又はこれよりやや大きくさせることが、この発明の態様の一つとされる。
【0009】
また、前記ルーフ層を、熱伝導率の高い材料より構成させることが、この発明の態様の一つとされる。
【0010】
また、前記ルーフ層を、前記内部空間側に位置される内層とこの内層上に形成される熱伝導率の高い材料よりなる外層との積層体とすることが、この発明の態様の一つとされる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、機能素子上の前記内部空間をデバイスチップの一面上にルーフ層を単純に設けることで形成させることから、弾性波デバイスの厚さを可及的に小さくさせることができる(低背化)。
また、この発明にあっては、前記凹部の前記底面を、前記凹部の開口縁との間の距離(凹部の深さ)を異ならせる複数の領域より構成させている。凹部の深さが変わると、機能素子直下の圧電体の厚さも変わる。この厚さは、機能素子によってもたらされる特性に影響を与えることから、このように凹部の底面を複数の領域により構成することで、弾性波デバイスに有用な特性を持たせ易くなる。
また、機能素子を外部に接続するための経路はルーフ層を貫通する経路(前記通過穴)で済むことから、この経路の全長は最小化される。これにより、寄生インダクタンスが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、この発明の一実施の形態にかかる弾性波デバイス(第一例)の斜視構成図である。
図2図2は、前記第一例の断面構成図であり、図3におけるA-A線の位置で第一例を断面にして示している。
図3図3は、図2におけるB-B線位置での断面構成図である。
図4図4は、前記第一例のデバイスチップに形成される共振器の一例を示した構成図である。
図5図5は、前記第一例のデバイスチップに形成される回路の一例を示した構成図である。
図6図6は、前記第一例の構成の一部を変更した第二例の断面構成図である。
図7図7は、前記第一例の構成の一部を変更した第三例の断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1図7に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかる弾性波デバイス1は、モバイル通信機器などにおいて周波数フィルタなどとして使用するのに適したものである。
【0014】
かかる弾性波デバイス1は、デバイスチップ2と、ルーフ層3とから構成されている。
デバイスチップ2は、一面2a側にこの一面2aに対向する他面2b側に向けて凹んだ凹部2dを備えると共にこの凹部2dの底面2eにIDT電極5bを含んだ機能素子5を形成させてなる。
ルーフ層3は、前記凹部2dの前記底面2eとの間に内部空間4(キャビティ、中空構造部)を形成させるようにして前記デバイスチップ2の前記一面2a上に設けられている。ルーフ層3は絶縁材料よりなる。
かかる弾性波デバイス1は、機能素子5上の前記内部空間4をデバイスチップ2の一面2a上にルーフ層3を単純に設けることで形成させてなることから、弾性波デバイス1の厚さを可及的に小さくさせる(低背化)。
【0015】
典型的には、前記デバイスチップ2は、一辺を0.5ないし1mmとし、厚さを0.15ないし0.2mmとする四角形(図示の例では長方形)の板状をなすように構成される。
また、典型的には、ルーフ層3は、前記デバイスチップ2の一面2aに直交する向きの厚さ厚さを15ないし35μmとするように構成される。
これらから構成される弾性波デバイス1は、典型的には、厚さを0.25ないし0.35mm程度とする。
【0016】
図1に示されるように、かかる弾性波デバイス1は、前記デバイスチップ2の前記一面2aに直交する向きから見た状態において正方形又は長方形の四角形状の輪郭を持つようなっている。
すなわち、かかる弾性波デバイス1は、前記四角形状の二つの面1a、1bと、この二つの面1a、1b間に亘る四つの側面1cとを備えた扁平の六面体状を呈している。
なお、各図においては、弾性波デバイス1の構成を理解しやすいように、その構成要素の厚さは誇張して表している。
【0017】
弾性波デバイス1の断面構造を図2および図3に示す。図中符号3はルーフ層、符号4は内部空間、符号5は機能素子、符号6は機能素子5を配線8(図5参照)と内部電極9とを介して外部に接続するための柱状をなす接続端子体である。
【0018】
デバイスチップ2の一面2a上には複数の機能素子5が形成されている。機能素子は凹部2dの底面2eに形成されている。
すなわち、デバイスチップ2は、仮想の一つの平面P1(図2参照)上に位置される前記一面2aと、この一面2aに平行な他面2bと、前記一面2aと他面2bとの間に亘る側面2cと、前記一面2aと他面2bとの間にあって両者に共に平行をなす前記凹部2dの底面2eとを備えている。前記凹部2dは前記一面2aによって囲繞されており、凹部2dの側壁2fと前記一面2aとの間に凹部2dの開口縁2gが形成されている。開口縁2gは周回状をなす。
ルーフ層3は、デバイスチップの前記一面2aを全体に亘って覆うように形成されている。ルーフ層3の内面3aは前記仮想の一つの平面P1に平行をなし、前記凹部2d外にあるデバイスチップの前記一面2aに固着され、凹部2dはルーフ層3によって蓋がされた状態になっている。これにより弾性波デバイス1の前記内部空間4が形成されている。
【0019】
デバイスチップ2は、弾性波を伝搬させる機能を持つ。デバイスチップ2には、典型的には、圧電体としてタンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムが用いられる。デバイスチップ2は、サファイア、シリコン、アルミナ、スピネル、水晶またはガラスなどからなる支持体上に前記圧電体を積層させて構成される場合もある。
【0020】
図4に機能素子5の一例としての共振器5aを示す。共振器5aはIDT電極5bと、IDT電極5bを挟むようにして形成される反射器5eとを有する。IDT電極5bは、電極対からなり、各電極対は弾性波の伝搬方向xに長さ方向を交叉させるように平行配列された複数の電極指5c同士をこれらの一端側においてバスバー5dで接続させてなる。反射器5eは、弾性波の伝搬方向xに長さ方向を交叉させるように平行配列された複数の電極指5fの端部間をバスバー5gで接続させてなる。
かかる機能素子5は、典型的には、フォトリソグラフィ技術により形成された導電性金属膜(後述の第一金属層11)によって構成される。
【0021】
図5に一つのデバイスチップ2上に備えられる回路の一例の概念を示す。符号5aaは入出力ポート間に直列に接続された共振器5a、符号5abは入出力ポート間に並列に接続された共振器5a、符号7はグランド、符号8は配線を示す。機能素子5の数や配置は必要に応じて変更される。すなわち、図5の回路によってラダー型フィルタが構成されるようになっている。
かかる配線8、及び、前記内部電極9も、典型的には、フォトリソグラフィ技術により形成された導電性金属膜(後述の第二金属層12)によって、前記デバイスチップ2の一面2a上に形成される。
【0022】
また、この実施の形態にあっては、前記凹部2dの前記底面2eを、前記凹部2dの開口縁2gとの間の距離d(凹部2dの深さ)を異ならせる複数の領域2ea、2ebより構成させている。
凹部2dの深さが変わると、機能素子5直下の圧電体の厚さも変わる。この厚さは、凹部2dの底面2eに形成される機能素子によってもたらされる特性に影響を与えることから、このように凹部2dの底面2eを複数の領域2ea、2ebにより構成することで、弾性波デバイスに有用な特性を持たせ易くなる。
【0023】
図示の例では、凹部2dは前記距離dを異ならせる2つの領域2ea、2ebを備えている。
図示の例では、図2及び図3に符号2eaで示される領域における前記距離d1が、符号2eb出示される領域における前記距離d2よりも大きくなっている。
【0024】
図示の例では、2つの領域2ea、2ebの間には、突き出し端2jを前記一面2aとする壁部2iが形成されている。
また、2つの領域2ea、2ebの間には、壁部2iのない中間領域2k(分断部/図3参照)が形成されており、この中間領域2kを介して2つの領域2ea、2ebの一方の底面2eに形成された機能素子5と2つの領域2ea、2ebの他方の底面2eに形成された機能素子5とを後述の第二金属層12からなる配線8によって接続できるようになっている。
より具体的には、図示の例では、凹部2dはデバイスチップ2の一面2aに直交する向きから見た状態において、凹部2dの開口縁2gをデバイスチップ2の長さ方向L及び幅方向W(図3参照)のいずれかの方向に沿わせるようにして形成されている。図示の例では、前記壁部2iはデバイスチップ2の幅方向Wに沿う向きに続くように形成されている。図示の例では、壁部2iはデバイスチップ2の長さ方向Lに沿った一方の辺側から始まり、デバイスチップ2の長さ方向Lに沿った他方の辺よりもデバイスチップ2の中央側に近い位置に終端2iaを持つように形成され、この終端2iaと前記他方の辺との間に前記中間領域2kを形成させるようになっている。図示の例では、前記壁部2iは、凹部2dをデバイスチップ2の長さ方向Lの中程の位置で図3における左右に二分するように形成されている。中間領域2kは、デバイスチップ2の長さ方向Lの中程となる位置に形成されている。図示の例では、中間領域2kの底面2eは領域2eaの底面2eに面一であり、中間領域2kの底面2eと領域2ebの底面2eとの間には段差2mが形成されている。
かかる凹部2dは、典型的にはエッチングにより、デバイスチップ2に形成される。
【0025】
前記凹部2dの前記底面2eに、前記機能素子5となる第一金属層11と、配線8及び外部への接続のための内部電極9となる第二金属層12が形成されている。
前記第二金属層12における前記底面2eに直交する向きyの厚さは、前記第一金属層11の前記の向きyでの厚さより大きくなっている。
また、前記第二金属層12の前記厚さは、前記凹部2dの前記底面2eと前記ルーフ層3の内面3aとの間の距離、すなわち、凹部2dの底面2eと凹部2dの開口縁2gとの間の距離dと同一又はこれよりやや大きくなっている。
【0026】
図1ないし図3に示す第一例、および、図7に示す第三例では、第二金属層12は、凹部2dの底面2eに固着された第一面12aと、デバイスチップ2の一面2aが位置される前記仮想の一つの平面P1上に位置される第二面12bとを備える厚さに構成されている。この第一例及び第三例では、ルーフ層3の内面3aが第二金属層12の第二面12bに固着されて前記内部空間4を形成させるようになっている。
【0027】
一方、図6に示す第二例では、第二金属層12は、凹部2dの底面2eに固着された第一面12aと、デバイスチップ2の一面2aが位置される前記仮想の一つの平面P1よりも僅かに外方で且つルーフ層3の外面3dよりも内方に位置される第二面12bとを備える厚さに構成されている。この第二例では、ルーフ層3の内面3aに第二金属層12の第二面12b側がやや食い込んだ状態で固着されて前記内部空間4を形成させるようになっている。
【0028】
前記ルーフ層3は、典型的には、合成樹脂から構成される。
この場合は、(1)先ずウエハ(図示は省略する。)における各デバイスチップ2となる領域に前記凹部2dを形成させ、(2)次に前記凹部2dの底面2eに第一金属層11を形成させ、(3)次に前記凹部2dの底面2eに第二金属層12を形成させ、(4)次に前記ウエハに合成樹脂製の面状体ないし膜状体(フィルム)を重ね合わせ、加熱処理をすることでウエハ上にルーフ層3となる合成樹脂層を形成させる。
このように処理されたウエハからダイシングにより複数の弾性波デバイス1が生成される。
【0029】
ルーフ層3を、熱伝導率の高い材料より構成させることが、好ましい態様の一つとされる。
弾性波デバイス1への信号の入力によりデバイスチップ2には熱が生じるが、デバイスチップ2を構成する圧電体は熱伝導率が低く放熱性が悪い。
前記ルーフ層3を前記圧電体よりも熱伝導率の高い材料から構成すれば、前記第二金属層12とルーフ層3とを通じてデバイスチップ2の熱を外部に放出することができ、デバイスチップ2の放熱性を向上させることができる。
こうした熱伝導率の高い樹脂としては、熱伝導率の高い物質からなるフィラーを、基材となる樹脂に対して70wt%ないし90wt%の範囲で含ませるようにしたものが用いられる。かかるフィラーは典型的には直径10μm前後の粒状体として構成される。
【0030】
また、図7に示す第三例にあっては、前記ルーフ層3は、前記内部空間4側に位置される内層3bとこの内層3b上に形成される熱伝導率の高い材料よりなる外層3cとの積層体となっている。
この第三例のようにした場合、前記のように凹部2d、第一金属層11及び第二金属層12が形成された前記ウエハ上に前記内層3bとなる合成樹脂層を形成させた後、エアロゾルデポジション法 (Aerosol Deposition method)によりアルミナイトライドなどよりなる前記外層3cを支障なく形成させることができる。
【0031】
前記のように形成されるルーフ層3には、前記内部電極9に一端を一体化させて前記ルーフ層3の外面3dから突き出す接続端子体6の通過穴10が形成される。かかる通過穴10はフォトリソグラフィ技術により、内部電極9の直上に位置されるルーフ層3の一部を除去することで形成可能である。
このように形成される通過穴10内に、典型的には印刷機によりクリーム半田が塗布・充填され、その後のリフロー処理によりルーフ層3の外面3dから突き出す高さの柱状の接続端子体6、図示の例では金属製のバンプが形成される。
【0032】
接続端子体6はルーフ層3の通過穴10を通じて内部電極9に接続され、その全長は最小化される。これにより、寄生インダクタンスが低減される。
また、第三例にあっては、内部電極9と接続端子体6とルーフ層3の外層3cとからなるデバイスチップ2の放熱経路を形成させることができる。
【0033】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。
【符号の説明】
【0034】
1 弾性波デバイス
1a、1b 面
1c 側面
2 デバイスチップ
2a 一面
2b 他面
2c 側面
2d 凹部
2e 底面
2ea、2eb 領域
2f 側壁
2g 開口縁
2i 壁部
2j 突き出し端
2k 中間領域
2m 段差
3 ルーフ層
3a 内面
3b 内層
3c 外層
3d 外面
4 内部空間
5 機能素子
5a、5aa、5ab 共振器
5b IDT電極
5c 電極指
5d バスバー
5e 反射器
5f 電極指
5g バスバー
6 接続端子体
7 グランド
8 配線
9 内部電極
10 通過穴
11 第一金属層
12 第二金属層
12a 第一面
12b 第二面
x 伝搬方向
y 直交する向き
P1 仮想の一つの平面
d、d1、d2 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7