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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157190
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】ミラーディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20241030BHJP
   A47G 1/02 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
G09F9/00 313
A47G1/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071369
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】舩木 速人
【テーマコード(参考)】
3B111
5G435
【Fターム(参考)】
3B111AA04
3B111AB01
3B111AD01
5G435BB12
5G435GG09
5G435GG12
(57)【要約】
【課題】ミラー機能及び表示機能を有するミラーディスプレイに対して意匠性を付与する。
【解決手段】ミラーディスプレイ1は、ハーフミラー2、ディスプレイ装置3及び印刷シート4を備える。印刷シート4は、第1色パターン層及び第2色パターン層を備える。第1色パターン層の各第1色ドットは、互いに異なる複数の第1干渉光を生成する複数色の第1干渉顔料を含む。第2色パターン層の各第2色ドットは、複数色の第1干渉顔料が示す混色とは異なる単一の第2干渉光を生成する第2干渉顔料を含む。複数色の第1干渉顔料及び第2干渉顔料の少なくとも一方は、5μm~25μmの粒径範囲を含む小粒子径グレードの干渉顔料と、25μm~40μmの粒径範囲を含む大粒子径グレードの干渉顔料とを含んでおり、小粒子径グレードの干渉顔料が大粒子径グレードの干渉顔料同士の隙間を埋めるように配置される。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハーフミラーと、
前記ハーフミラーの背面に表示面を向けるように配置され、発光を伴って映像を表示するように構成されたディスプレイ装置と、
前記ハーフミラーの表面に配置され、絵柄が印刷された印刷シートと、を備え、
前記印刷シートは、透光性基材と絵柄印刷層とを有し、
前記絵柄印刷層は、
前記透光性基材の一方の面上に設けられ、複数の第1色ドットにより構成された第1色パターン層と、
前記第1色パターン層の上に設けられ、複数の第2色ドットにより構成された第2色パターン層と、を有し、
前記複数の第1色ドットのそれぞれが、第1色用バインダーと前記第1色用バインダーの内部に分散された複数の第1色顔料チップとを含み、
前記複数の第2色ドットのそれぞれが、第2色用バインダーと前記第2色用バインダーの内部に分散された複数の第2色顔料チップとを含み、
前記複数の第1色顔料チップと前記複数の第2色顔料チップとのうちのいずれか一方は、互いに異なる複数の第1干渉光を生成する複数色の第1干渉顔料であり、
前記複数の第1色顔料チップと前記複数の第2色顔料チップとのうちの他方は、前記複数色の第1干渉顔料が示す混色とは異なる単一の第2干渉光を生成する第2干渉顔料であり、
前記複数色の第1干渉顔料と前記第2干渉顔料とのうち少なくとも一方は、5μm~25μmの粒径範囲を含む小粒子径グレードの干渉顔料と、25μm~40μmの粒径範囲を含む大粒子径グレードの干渉顔料とを含んでおり、
前記小粒子径グレードの干渉顔料が前記大粒子径グレードの干渉顔料同士の隙間を埋めるように配置され、
前記複数の第1干渉光と前記単一の第2干渉光とを加法混色する、ミラーディスプレイ。
【請求項2】
前記大粒子径グレードの干渉顔料は、25μm~60μmの粒径範囲を含む、
請求項1に記載のミラーディスプレイ。
【請求項3】
前記印刷シートは、
前記絵柄印刷層の上に設けられ、複数のシルバードットにより構成された白色パターン層を更に有し、
前記複数のシルバードットのそれぞれが、シルバー用バインダーと前記シルバー用バインダーの内部に分散された複数のシルバー顔料チップとを含む、
請求項1に記載のミラーディスプレイ。
【請求項4】
前記印刷シートは、
前記絵柄印刷層に対して前記透光性基材とは反対側の最表面上に設けられた透過性スモーク印刷層を更に有する、
請求項1又は2に記載のミラーディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラーディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
ミラー部と、当該ミラー部の背面側に配置され、当該ミラー部の少なくとも一部の領域に画像を表示する表示部と、を備えるディスプレイモニタ機能付ミラー(ミラーディスプレイ)が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-151020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているようなミラーディスプレイにおいては、表示部は、ミラー部の少なくとも一部の所定領域において、取得した情報を表示するように構成される。また、表示部が起動していない場合は、ミラー部は鏡として機能する。かかる構成により、このミラーディスプレイは、ミラー機能及び表示機能を有する。このような機能を有するミラーディスプレイに対して、意匠性を付与することが望まれている。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためのものであり、ミラー機能及び表示機能を有するミラーディスプレイに対して意匠性を付与することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、一側面として、ハーフミラーと、ハーフミラーの背面に表示面を向けるように配置され、発光を伴って映像を表示するように構成されたディスプレイ装置と、ハーフミラーの表面に配置され、絵柄が印刷された印刷シートと、を備えるミラーディスプレイに関する。このミラーディスプレイでは、印刷シートは、透光性基材と絵柄印刷層とを有する。絵柄印刷層は、透光性基材の一方の面上に設けられ、複数の第1色ドットにより構成された第1色パターン層と、第1色パターン層の上に設けられ、複数の第2色ドットにより構成された第2色パターン層と、を有する。複数の第1色ドットのそれぞれが、第1色用バインダーと第1色用バインダーの内部に分散された複数の第1色顔料チップとを含み、複数の第2色ドットのそれぞれが、第2色用バインダーと第2色用バインダーの内部に分散された複数の第2色顔料チップとを含む。複数の第1色顔料チップと複数の第2色顔料チップとのうちのいずれか一方は、互いに異なる複数の第1干渉光を生成する複数色の第1干渉顔料である。複数の第1色顔料チップと複数の第2色顔料チップとのうちの他方は、複数色の第1干渉顔料が示す混色とは異なる単一の第2干渉光を生成する第2干渉顔料である。複数色の第1干渉顔料と第2干渉顔料とのうち少なくとも一方は、5μm~25μmの粒径範囲を含む小粒子径グレードの干渉顔料と、25μm~40μmの粒径範囲を含む大粒子径グレードの干渉顔料とを含んでいる。小粒子径グレードの干渉顔料が大粒子径グレードの干渉顔料同士の隙間を埋めるように配置される。このミラーディスプレイでは、複数の第1干渉光と単一の第2干渉光とを加法混色する。
【0007】
このミラーディスプレイでは、ディスプレイ装置がハーフミラーの背面に表示面を向けるように配置されている。このため、このミラーディスプレイは、ミラー機能及び表示機能を有する。加えて、このミラーディスプレイでは、絵柄印刷層を有する印刷シートがハーフミラーの表面に配置されている。このため、このミラーディスプレイには意匠性が付与される。したがって、このミラーディスプレイによれば、ミラー機能及び表示機能を有するミラーディスプレイに対して意匠性を付与することができる。
【0008】
また、本発明者らの検討によれば、絵柄印刷層に含まれる干渉顔料の粒径が小さい場合、発色性は弱いものの、その印刷物を黒い画面の前方に置いたとしても絵柄が暗く見えることを抑制できることが判明した。一方、絵柄印刷層に含まれる干渉顔料の粒径が大きい場合、その印刷物の透明度が上がってしまうものの、絵柄の発色性を優れたものにできることが判明した。そこで、本発明者らは、小粒子径グレードの干渉顔料と大粒子径グレードの干渉顔料とを含むように干渉顔料を構成し、小粒子径グレードの干渉顔料を大粒子径グレードの干渉顔料同士の隙間を埋めるように配置することで、絵柄が暗く見えてしまうことが抑制されると共に絵柄の発色性が優れた印刷シートを想到するに到った。よって、上記構成の印刷シートを備えたミラーディスプレイによれば、視認性と発色性とが優れた絵柄を提供することができる。さらに、このミラーディスプレイでは、大粒子径グレードの干渉顔料を含むことにより、絵柄印刷層の透過性の低下が抑制される。したがって、このミラーディスプレイによれば、電源がオンの際に、ディスプレイ装置の画像の視認性の低下が良好に抑制される。
【0009】
(2)上記(1)のミラーディスプレイでは、大粒子径グレードの干渉顔料は、25μm~60μmの粒径範囲を含んでいてもよい。この場合、絵柄の発色性をより優れたものにすることができる。また、絵柄印刷層の透過性の必要以上の低下を抑制して、ディスプレイ装置の画像の視認性を向上させることができる。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)のミラーディスプレイでは、印刷シートは、絵柄印刷層の上に設けられ、複数のシルバードットにより構成された白色パターン層を更に有してもよい。複数のシルバードットのそれぞれは、シルバー用バインダーとシルバー用バインダーの内部に分散された複数のシルバー顔料チップとを含んでもよい。この場合、絵柄印刷層の発色性が優れる。さらに、絵柄印刷層が白っぽい印象を与える絵柄を有することができる。
【0011】
(4)上記(1)~(3)のミラーディスプレイでは、印刷シートは、絵柄印刷層に対して透光性基材とは反対側の最表面上に設けられた透過性スモーク印刷層を更に有してもよい。この場合、絵柄印刷層の発色性が優れる。さらに、透過性スモーク印刷層が透過性を有するため、ディスプレイ装置の映像の視認性の低下が良好に抑制される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ミラー機能及び表示機能を有するミラーディスプレイに対して意匠性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態に係るミラーディスプレイを模式的に示す断面図である。
図2図2は、図1に示すミラーディスプレイの正面図である。
図3図3は、図1に示すミラーディスプレイが備える印刷シートを模式的に示す断面図である。
図4図4は、図3に示す印刷シートが有する絵柄印刷層を模式的に示す断面図である。
図5図5は、図3に示す印刷シートが有する白色パターン層を模式的に示す断面図である。
図6図6は、実験例1~3に係る印刷シートの構成を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係るミラーディスプレイの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、一実施形態に係るミラーディスプレイを模式的に示す断面図である。図2は、図1に示すミラーディスプレイの正面図である。図1及び図2に示されるように、ミラーディスプレイ1は、ハーフミラー2、ディスプレイ装置3、印刷シート4、制御部5、通信機器6、枠体7、梁部材8、人体検知センサ9、体温測定器10a,10b、紫外線殺菌ランプ11、照度センサ12、電源スイッチ13、平面スピーカ14、及び表示部15を備える。
【0016】
ハーフミラー2は、表面2aと、表面2aの反対側に設けられた背面2bとを有する。ハーフミラー2は、ハーフミラー2へ入射する光を反射すると共に、ハーフミラー2へ入射する光を透過する。ハーフミラー2の可視光反射率は、例えば60%~70%であり、ハーフミラー2の可視光透過率は、例えば20%~40%である。ハーフミラー2は、ガラスやプラスチックなどの透明な基材に、銀やアルミニウムなどの金属薄膜を蒸着させることによって作製される。
【0017】
ディスプレイ装置3は、発光を伴って映像を表示するように構成される。ディスプレイ装置3は、映像を表示する表示面3aを有する。ディスプレイ装置3は、表示面3aをハーフミラー2の背面2bに向けるように配置される。表示面3aが、ハーフミラー2の70%以上と重なっていることが好ましい。ディスプレイ装置3は、電源ケーブル3bを有する。
【0018】
ミラーディスプレイ1は、ハーフミラー2によるミラー機能を有する。ミラーディスプレイ1では、ハーフミラー2越しにディスプレイ装置3の映像を視認することができる。すなわち、ミラーディスプレイ1は、ミラー機能及び表示機能を有する。
【0019】
印刷シート4は、絵柄を表現するためのシートである。印刷シート4の全光線透過率は、例えば、30%~70%である。ここでいう全光線透過率は分光光度計(例えば、(株)島津製作所製、分光光度計UV-2100)を使用して全光線透過率を測定した値を意味する。印刷シート4は、透明な接着剤や粘着剤等を用いてハーフミラー2の表面2a上に配置される。この場合、ハーフミラー2と印刷シート4との間に空気層が生成されることを抑制できる。印刷シート4は、不図示の支持機構によって、ハーフミラー2の表面2a上に配置されてもよい。この場合、印刷シート4を容易に配置する、又は取り換えることができる。印刷シート4の詳細については、後述する。
【0020】
制御部5は、ディスプレイ装置3の制御を行う。制御部5は、後述する人体検知センサ9が人を検出したと判定した場合、ディスプレイ装置3を駆動状態とし、ディスプレイ装置3の画面表示を行う。制御部5は、人体検知センサ9が人を検出しないと判定した場合、ディスプレイ装置3を非駆動状態(待機状態)とする。
【0021】
通信機器6は、無線通信等によって外部装置20a,20bから情報を取得する。通信機器6は、インターネット21を介して外部装置20aから情報を取得する。通信機器6は、直接、外部装置20bから情報を取得してもよい。外部装置20a,20bは、例えば床Fに設けられた体組成計22であってもよい。通信機器6は、電源ケーブル6aを有する。
【0022】
制御部5は、ディスプレイ装置3が駆動状態のときに、後述する体温測定器10a,10b、及び外部装置20a,20bなどから表示情報を取得すると、当該情報を表示面3aに表示させる。制御部5は、体温測定器10a,10bからの信号に基づき、体温情報を表示面3aに表示させる。制御部5は、体組成計22からの信号に基づき、体組成情報を表示面3aに表示させる。常時表示される情報や表示されることが多い情報は、ハーフミラー2の表面2aの上部及び下部に表示されることが好ましい。
【0023】
枠体7は、ディスプレイ装置3を保持するように、ディスプレイ装置3の外周に設けられる。枠体7は、例えば洗面化粧台の躯体80に取り付けられる。躯体80は、壁Wに取り付けられる立上り部81、及び立上り部81の下端に設けられる水平部82を有する。水平部82は、床Fに設けられた土台部83によって支持される。枠体7は、立上り部81に取り付けられる。
【0024】
梁部材8は、ハーフミラー2の下端に配置される。梁部材8は、ハーフミラー2の幅方向に沿って延在する。
【0025】
人体検知センサ9は、ハーフミラー2の前方(例えば2mの範囲)に存在する人の有無を検知するセンサである。本実施形態では、人体検知センサ9は、検出部を前方に向けた状態で梁部材8の前面に配置される。人体検知センサ9が検出した信号は、制御部5へ送信される。人体検知センサ9は、例えば赤外線センサである。人体検知センサ9は、検知範囲A1を含む。
【0026】
体温測定器10a,10bは、非接触で体温を測定する。体温測定器10aは、ハーフミラー2の下方に配置される。体温測定器10aは、検出部が下方を向くように、梁部材8の下面に配置される。具体的には、体温測定器10aの検出部は、水平部82に向いている。体温測定器10aは、測定範囲A2を含む。体温測定器10aは、体温測定器10aの下方に差し入れられた人体の一部(例えば手など)の温度を測定可能である。体温測定器10bは、梁部材8の前面に配置される。
【0027】
紫外線殺菌ランプ11は、殺菌用の光を照射する。紫外線殺菌ランプ11は、ハーフミラー2の下方に配置される。紫外線殺菌ランプ11は、照射部が下方を向くように、梁部材8の下面に配置される。具体的には、紫外線殺菌ランプ11の照射部は、水平部82に向いている。紫外線殺菌ランプ11は、照射範囲A3を含む。照射範囲A3は、体温測定器10aの測定範囲A2と重なっている。紫外線殺菌ランプ11は、紫外線殺菌ランプ11の下方に差し入れられた人体の一部(例えば手など)に向けて紫外線を照射する。
【0028】
照度センサ12は、ハーフミラー2の周りの明るさを検出する。照度センサ12は、梁部材8の前面に設けられる。電源スイッチ13は、ディスプレイ装置3の電源スイッチである。電源スイッチ13は、梁部材8の側面に設けられる。平面スピーカ14は、ハーフミラー2の背面2bに設けられる。表示部15は、体温情報等を表示する液晶モニターである。表示部15は、梁部材8の前面に設けられる。
【0029】
次に図3図5を参照しつつ、ミラーディスプレイ1に意匠性を付与する印刷シート4の構成について説明する。図3は、図1に示すミラーディスプレイ1が備える印刷シート4を模式的に示す断面図である。図4は、図3に示す印刷シート4が有する絵柄印刷層を模式的に示す断面図である。図5は、図3に示す印刷シート4が有する白色パターン層を模式的に示す断面図である。印刷シート4は、透光性基材41と、絵柄印刷層42と、白色パターン層43と、透過性スモーク印刷層44と、を有する。印刷シート4は、透過性スモーク印刷層44をハーフミラー2の表面2aに向けるようにして、表面2a上に配置される。印刷シート4は、表面2aの全体を覆っている。印刷シート4は、ハーフミラー2のうちディスプレイ装置3の表示面3aと重なっている部分の全体と重なっている。
【0030】
透光性基材41は、可視光透過性を有する基材である。透光性基材41は、例えば、透明性を有する樹脂製である。透明性を有する樹脂としてPET、PMMA、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられる。この場合、透光性基材41の厚さは、例えば、25μm~250μmである。透光性基材41は、ガラス基材であってもよい。この場合、透光性基材41の厚さは例えば、2mm~10mm程度である。なお、必要に応じて、透光性基材41の表面側(絵柄印刷層42とは反対側)に表面保護層を設けていてもよい。
【0031】
絵柄印刷層42は、印刷シート4の絵柄を表現する層である。絵柄印刷層42は、透光性基材41の一方の面41a上に設けられた第1色パターン層50と、第1色パターン層50の上に設けられた第2色パターン層60と、を備える。
【0032】
第1色パターン層50は、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、オフセット印刷によって、面41a上に設けることができる。第1色パターン層50は、図4に示すように、複数の第1色ドット51により構成されている。ここで、「ドット」とは、印刷画像を構成する要素となる点の意味であり、その形状は円形に限定されるものではなく、矩形や多角形やその他の形状でもかまわない。複数の第1色ドット51のそれぞれが、第1色用バインダー52と第1色用バインダー52の内部に分散された複数の第1色顔料チップ53とを含んでいる。複数の第1色顔料チップ53の含有率は、第1色用バインダー52を100重量部とした場合、例えば、0.5重量部以上20重量部以下の範囲内である。
【0033】
第1色用バインダー52としては、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。第1色パターン層50の厚さは、例えば、1μm~10μmである。なお、第1色パターン層50には硬化剤を含有させてもよい。この場合、第1色パターン層50の耐熱性、及び、第1色パターン層50の透光性基材41への密着性を向上させることができる。
【0034】
複数の第1色顔料チップ53は、互いに異なる複数の干渉光L1,L2を生成する複数色の第1干渉顔料54a,54bである。第1干渉顔料54a,54bのそれぞれは、可視光透過性を有する薄片(不図示)と、当該薄片を被覆する金属酸化膜(不図示)とから構成される。透光性基材41側から第1色パターン層50への入射光のうち金属酸化膜の表面において反射される光と、金属酸化膜内を通過し、薄片の表面において反射される光とが干渉し、干渉光が生成される。金属酸化膜の膜厚と金属酸化膜の屈折率とを調整することにより、所望の波長を有する干渉光を生成できる。
【0035】
第1干渉顔料54a,54bのそれぞれは、例えば、二酸化チタン被覆雲母である。第1干渉顔料54a,54bを構成する薄片は、雲母以外であってもよく、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、ポリケイ酸塩であってもよい。第1干渉顔料54a,54bを構成する金属酸化膜は、二酸化チタン以外であってもよく、例えば、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化スズであってもよい。
【0036】
第1干渉顔料54aは、5μm~25μmの粒径範囲を含む小粒子径グレードの複数の第1の二酸化チタン被覆雲母55aと、25μm~40μmの粒径範囲を含む大粒子径グレードの第2の二酸化チタン被覆雲母55bとを含んでいる。第1干渉顔料54bは、5μm~25μmの粒径範囲を含む小粒子径グレードの複数の第1の二酸化チタン被覆雲母56aと、25μm~40μmの粒径範囲を含む大粒子径グレードの複数の第2の二酸化チタン被覆雲母56bとを含んでいる。第1の二酸化チタン被覆雲母55a,56aの平均粒径(D50)は、例えば、約15μmであり、第2の二酸化チタン被覆雲母55b,56bの平均粒径(D50)は、例えば、約25μmである。これにより、第1の二酸化チタン被覆雲母55a,56aの平均粒径は、第2の二酸化チタン被覆雲母55b,56bの平均粒径よりも小さくなっている。第2の二酸化チタン被覆雲母55b,56bは、25μm~60μmの粒径範囲を含んでいてもよい。この場合、第2の二酸化チタン被覆雲母55b,56bの平均粒径(D50)は、例えば、約35μmである。複数の第1の二酸化チタン被覆雲母55a,56aのそれぞれは、図4に示すように、複数の第2の二酸化チタン被覆雲母55b,56b同士の隙間を埋めるように配置されている。ここで、「粒径」とは、粒子断面の最長径を意味する。
【0037】
第1干渉顔料54a,54bのそれぞれからは、第1色パターン層50へ入射光Lが入射することにより、互いに異なる複数の第1干渉光L1,L2のそれぞれが生成される。第1干渉光L1,L2の各波長特性は、互いに異なっている。つまり、第1色パターン層50から生成される干渉光の波長特性は、2種類の波長特性から構成されている。第1干渉顔料54a,54bは、混色を示す。第1干渉顔料54a,54bのそれぞれは、例えば、赤色干渉顔料(赤色パール顔料)、及び、金色干渉顔料(金色パール顔料)のそれぞれであってもよい。この場合、第1干渉光L1,L2のそれぞれは、赤色、及び、金色のそれぞれを示す。第1干渉顔料54a,54bのそれぞれは、他の色の干渉顔料であってもよい。第1干渉顔料54a,54bの各配合量は、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0038】
第2色パターン層60は、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、オフセット印刷によって、第1色パターン層50上に設けることができる。第2色パターン層60は、図4に示すように、複数の第2色ドット61により構成されている。ここで、「ドット」とは、印刷画像を構成する要素となる点の意味であり、その形状は円形に限定されるものではなく、矩形や多角形やその他の形状でもかまわない。複数の第2色ドット61のそれぞれが、第2色用バインダー62と第2色用バインダー62の内部に分散された複数の第2色顔料チップ63とを含んでいる。複数の第2色顔料チップ63の含有率は、第2色用バインダー62を100重量部とした場合、例えば、0.5重量部以上20重量部以下の範囲内である。
【0039】
第2色用バインダー62としては、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。第2色パターン層60の厚さは、例えば、1μm~10μmである。なお、第2色パターン層60には硬化剤を含有させてもよい。この場合、第2色パターン層60の耐熱性、及び、第2色パターン層60の第1色パターン層50への密着性を向上させることができる。
【0040】
複数の第2色顔料チップ63は、第1干渉顔料54a,54bが示す混色とは異なる単一の干渉光L3を生成する第2干渉顔料64である。第2干渉顔料64は、可視光透過性を有する薄片(不図示)と、当該薄片を被覆する金属酸化膜(不図示)とから構成される。透光性基材41側から第2色パターン層60への入射光のうち金属酸化膜の表面において反射される光と、金属酸化膜内を通過し、薄片の表面において反射される光とが干渉し、干渉光が生成される。金属酸化膜の膜厚と金属酸化膜の屈折率とを調整することにより、所望の波長を有する干渉光を生成できる。
【0041】
第2干渉顔料64は、例えば、二酸化チタン被覆雲母である。第2干渉顔料64を構成する薄片は、雲母以外であってもよく、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、ポリケイ酸塩であってもよい。第2干渉顔料64を構成する金属酸化膜は、二酸化チタン以外であってもよく、例えば、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化スズであってもよい。
【0042】
第2干渉顔料64は、5μm~25μmの粒径範囲を含む小粒子径グレードの複数の第1の二酸化チタン被覆雲母65aと、25μm~40μmの粒径範囲を含む大粒子径グレードの第2の二酸化チタン被覆雲母65bとを含んでいる。第1の二酸化チタン被覆雲母65aの平均粒径(D50)は、例えば、約15μmであり、第2の二酸化チタン被覆雲母65bの平均粒径(D50)は、例えば、約25μmである。これにより、第1の二酸化チタン被覆雲母65aの平均粒径は、第2の二酸化チタン被覆雲母65bの平均粒径よりも小さくなっている。第2の二酸化チタン被覆雲母65bは、25μm~60μmの粒径範囲を含んでいてもよい。この場合、第2の二酸化チタン被覆雲母65bの平均粒径(D50)は、例えば、約35μmである。複数の第1の二酸化チタン被覆雲母65aのそれぞれは、複数の第2の二酸化チタン被覆雲母65b同士の隙間を埋めるように配置されている。ここで、「粒径」とは、粒子断面の最長径を意味する。
【0043】
第2干渉顔料64からは、第2色パターン層60へ入射光Lが入射することにより、単一の第2干渉光L3が生成される。複数の第2干渉顔料64のそれぞれから生成される第2干渉光L3は、互いに同一の波長特性を有している。つまり、第2色パターン層60から生成される干渉光の波長特性は、1種類の波長特性から構成されている。第2干渉顔料64は、第1干渉顔料54a,54bが示す混色とは異なる単一の第2干渉光L3を生成する干渉顔料であればよく、例えば、緑色干渉顔料(緑色パール顔料)であってもよい。この場合、第2干渉光L3は、緑色を示す。なお、第2干渉顔料64は、緑以外の他の色の干渉顔料であってもよい。
【0044】
白色パターン層43は、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、オフセット印刷によって、第2色パターン層60上に設けることができる。白色パターン層43は、図5に示すように、複数のシルバードット43aにより構成されている。ここで、「ドット」とは、印刷画像を構成する要素となる点の意味であり、その形状は円形に限定されるものではなく、矩形や多角形やその他の形状でもかまわない。複数のシルバードット43aのそれぞれが、シルバー用バインダー43bとシルバー用バインダー43bの内部に分散された複数のシルバー顔料チップ43cとを含んでいる。複数のシルバー顔料チップ43cの含有率は、シルバー用バインダー43bを100重量部とした場合、例えば、0.5重量部以上20重量部以下の範囲内である。
【0045】
シルバー用バインダー43bとしては、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。白色パターン層43の厚さは、例えば、1μm~10μmである。なお、白色パターン層43には硬化剤を含有させてもよい。この場合、白色パターン層43の耐熱性、及び、白色パターン層43の第2色パターン層60への密着性を向上させることができる。
【0046】
透過性スモーク印刷層44は、印刷シート4を透過する視点手前側からの光を減衰させる機能を有している。透過性スモーク印刷層44は、絵柄印刷層42に対して透光性基材41とは反対側の最表面上に設けられる。透過性スモーク印刷層44は、図3に示すように、白色パターン層43上に設けられる。透過性スモーク印刷層44は、ビニル系、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリカーボネート系等の樹脂バインダーにカーボンブラックを少量分散させたインキを用いて、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、オフセット印刷によって、白色パターン層43上に設けることができる。透過性スモーク印刷層44の厚さは、例えば、1μm~10μmである。なお、透過性スモーク印刷層44には硬化剤を含有させてもよい。この場合、透過性スモーク印刷層44の耐熱性、及び、透過性スモーク印刷層44の白色パターン層43への密着性を向上させることができる。
【0047】
印刷シート4では、図4に示すように、第1干渉顔料54a,54bが生成する第1干渉光L1,L2と、第2干渉顔料64が生成する第2干渉光L3とを加法混色することにより、絵柄が表現されている。
【0048】
印刷シート4の全光線透過率は、例えば、30%~70%である。ここでいう全光線透過率は分光光度計(例えば、(株)島津製作所製、分光光度計UV-2100)を使用して全光線透過率を測定した値を意味する。
【0049】
以上に説明したミラーディスプレイ1では、ディスプレイ装置3がハーフミラー2の背面2bに表示面3aを向けるように配置されている。このため、ミラーディスプレイ1は、ミラー機能及び表示機能を有する。加えて、ミラーディスプレイ1では、絵柄印刷層42を有する印刷シート4がハーフミラー2の表面2aに配置されている。このため、ミラーディスプレイ1には意匠性が付与される。したがって、ミラーディスプレイ1によれば、ミラー機能及び表示機能を有するミラーディスプレイ1に対して意匠性を付与することができる。
【0050】
また、本実施形態に係るミラーディスプレイ1では、第1色パターン層50において、5μm~25μmの粒径範囲を含む小粒子径グレードの複数の第1の二酸化チタン被覆雲母55a,56aのそれぞれが、25μm~40μmの粒径範囲を含む大粒子径グレードの複数の第2の二酸化チタン被覆雲母55b,56b同士の隙間を埋めるように配置されている。また、第2色パターン層60において、5μm~25μmの粒径範囲を含む小粒子径グレードの複数の第1の二酸化チタン被覆雲母65aのそれぞれが、25μm~40μmの粒径範囲を含む大粒子径グレードの複数の第2の二酸化チタン被覆雲母65b同士の隙間を埋めるように配置されている。このため、ミラーディスプレイ1によれば、視認性と発色性とが優れた絵柄を提供することができる。さらに、ミラーディスプレイ1では、第1色パターン層50において、大粒子径グレードの第2の二酸化チタン被覆雲母55b,56bを含み、第2色パターン層60において、大粒子径グレードの第2の二酸化チタン被覆雲母65bを含むことにより、絵柄印刷層42の透過性の低下が抑制される。したがって、ミラーディスプレイ1によれば、電源がオンの際に、ディスプレイ装置3の画像の視認性の低下が良好に抑制される。
【0051】
ミラーディスプレイ1では、印刷シート4において大粒子径グレードの第2の二酸化チタン被覆雲母55b,56b,65bは、25μm~60μmの粒径範囲を含む構成であってもよい。この場合、絵柄印刷層42における絵柄の発色性がより優れる。また、絵柄印刷層42の透過性の必要以上の低下を抑制して、ディスプレイ装置3の画像の視認性を向上させることができる。
【0052】
ミラーディスプレイ1では、第1干渉顔料54a,54b、及び、第2干渉顔料64は、二酸化チタン被覆雲母を含む干渉顔料である。このため、二酸化チタン膜の膜厚を調整することにより、干渉光の波長を調整することができる。また、雲母表面の平滑性を高めることによって、輝度感を向上させることができる。
【0053】
ミラーディスプレイ1では、印刷シート4は、絵柄印刷層42の上に設けられ、複数のシルバードット43aにより構成された白色パターン層43を有し、複数のシルバードット43aのそれぞれが、シルバー用バインダー43bとシルバー用バインダー43bの内部に分散された複数のシルバー顔料チップ43cとを含む。これにより、絵柄印刷層42の発色性が優れる。さらに、絵柄印刷層42が白っぽい印象を与える絵柄を有することができる。
【0054】
ミラーディスプレイ1では、印刷シート4は、絵柄印刷層42に対して透光性基材41とは反対側の最表面上に設けられた透過性スモーク印刷層44を有する。これにより、絵柄印刷層42の発色性が優れる。さらに、透過性スモーク印刷層44が透過性を有するため、ディスプレイ装置3の映像の視認性の低下が良好に抑制される。
【0055】
本発明によるミラーディスプレイは、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では、印刷シートは、ハーフミラーの表面の全体を覆っているが、印刷シートは、ハーフミラーのうちディスプレイ装置の表示面と重なっている部分の全体と重なっていれば、ハーフミラーの表面の全体を覆っていなくてもよい。また、上記実施形態では、ミラーディスプレイの印刷シートは、白色パターン層及び透過性スモーク層の両方を備えた構成であったが、印刷シートは、何れか一方の層を有する形態であってもよく、若しくは、白色パターン層及び透過性スモーク層の両方を有しない形態であってもよい。
【0056】
また、上述した実施形態では、第1色パターン層が、互いに異なる複数の第1干渉光L1,L2を生成する複数色の第1干渉顔料を含み、第2色パターン層が、第1色パターン層の複数色の第1干渉顔料が示す混色とは異なる単一の第2干渉光L3を生成する第2干渉顔料を含んでいたが、これに限定されない。即ち、第2色パターン層が、互いに異なる複数の第1干渉光L1,L2を生成する複数色の第1干渉顔料を含み、第1色パターン層が、第2色パターン層の複数色の第1干渉顔料が示す混色とは異なる単一の第2干渉光L3を生成する第2干渉顔料を含んでいてもよい。
【0057】
また、上述した実施形態では、第1干渉顔料と第2干渉顔料とのそれぞれが、複数の第1の二酸化チタン被覆雲母と複数の第2の二酸化チタン被覆雲母とを含んでいたが、第1干渉顔料と第2干渉顔料とのうち少なくとも一方が、複数の第1の二酸化チタン被覆雲母と複数の第2の二酸化チタン被覆雲母とを含んでいればよい。また、上記各実施形態では、第1色顔料チップが2色の第1干渉顔料であったが、第1色顔料チップは、3色以上の第1干渉顔料であってもよい。また、複数色の第1干渉顔料は混ざり合っていてもよい。
【0058】
[実験例]
ここで、印刷シートの絵柄印刷層に含まれる二酸化チタン被覆雲母の粒径による、ミラーディスプレイの表示情報と絵柄との見え方の傾向について、実験例を用いて説明する。図6及び後述する実験例1~3に示すように、二酸化チタン被覆雲母の粒径を調整した印刷シートを作製した。図6は、実験例1~3に係る印刷シートの構成を示す図表である。実験例1~3に係る印刷シートの裏面側(透過性スモーク印刷層側)にミラーディスプレイを設置した。印刷シートは、透明な接着剤を介してハーフミラーの表面に貼り合わされた。ハーフミラーとしては、ミラーの可視光反射率が60%~70%であり、ミラーの可視光透過率が30%~40%のものを使用した。ディスプレイ装置には、液晶モニターを使用した。液晶モニターの電源がオンの状態とオフの状態の視認性(後述する項目1~4)を評価した。項目1~4に対して、4人により官能評価を実施し、評点の平均点を算出した。
【0059】
<実験例1>
透明PETである透明基材上に、第1色パターン層、第2色パターン層、白色パターン層、及び、透過性スモーク印刷層を順に設けることにより印刷シートを作製した。実験例1では、第1色用バインダー(ウレタン系樹脂)と第1色用バインダーの内部に分散された赤色干渉顔料及び金色干渉顔料とを含むインキを用いて、スクリーン印刷技術により第1色パターン層を形成した。赤色干渉顔料及び金色干渉顔料の含有率として、第1色用バインダーを100重量部とした場合、10~40μmの粒径を有する赤色干渉顔料を8重量部、5~25μmの粒径を有する赤色干渉顔料を2重量部、10~60μmの粒径を有する金色干渉顔料を5重量部、及び、5~25μmの粒径を有する金色干渉顔料を2重量部とした。
【0060】
実験例1では、第2色用バインダー(ウレタン系樹脂)と第2色用バインダーの内部に分散された緑色干渉顔料とを含むインキを用いて、スクリーン印刷技術により第2色パターン層を形成した。緑色干渉顔料の含有率として、第2色用バインダーを100重量部とした場合、10~40μmの粒径を有する緑色干渉顔料を4重量部、及び、5~25μmの粒径を有する緑色干渉顔料を1重量部とした。赤色干渉顔料、金色干渉顔料、及び、緑色干渉顔料はいずれも二酸化チタン被覆雲母である。
【0061】
実験例1では、シルバー用バインダー(ウレタン系樹脂)とシルバー用バインダーの内部に分散されたシルバー顔料チップとを含むインキを用いて、スクリーン印刷技術により白色パターン層を形成した。シルバー顔料チップの含有率として、シルバー用バインダーを100重量部とした場合、5~25μmの粒径を有するシルバー顔料チップを1重量部とした。さらに、メジウムインキと黒インキとを40:1の割合で配合したインキを用いて、スクリーン印刷技術により透過性スモーク印刷層を形成した。
【0062】
<実験例2>
透明PETである透明基材上に、第1色パターン層、第2色パターン層、白色パターン層、及び、透過性スモーク印刷層を順に設けることにより印刷シートを作製した。実験例2では、第1色用バインダー(ウレタン系樹脂)と第1色用バインダーの内部に分散された赤色干渉顔料及び金色干渉顔料とを含むインキを用いて、スクリーン印刷技術により第1色パターン層を形成した。赤色干渉顔料及び金色干渉顔料の含有率として、第1色用バインダーを100重量部とした場合、10~40μmの粒径を有する赤色干渉顔料を8重量部、5~25μmの粒径を有する赤色干渉顔料を2重量部、及び、10~60μmの粒径を有する金色干渉顔料を5重量部、及び、5~25μmの粒径を有する金色干渉顔料を2重量部とした。
【0063】
実験例2では、第2色用バインダー(ウレタン系樹脂)と第2色用バインダーの内部に分散された緑色干渉顔料とを含むインキを用いて、スクリーン印刷技術により第2色パターン層を形成した。緑色干渉顔料の含有率として、第2色用バインダーを100重量部とした場合、10~40μmの粒径を有する緑色干渉顔料を4重量部とした。赤色干渉顔料、金色干渉顔料、及び、緑色干渉顔料はいずれも二酸化チタン被覆雲母である。
【0064】
実験例2では、シルバー用バインダー(ウレタン系樹脂)とシルバー用バインダーの内部に分散されたシルバー顔料チップとを含むインキを用いて、スクリーン印刷技術により白色パターン層を形成した。シルバー顔料チップの含有率として、シルバー用バインダーを100重量部とした場合、5~25μmの粒径を有するシルバー顔料チップを1重量部とした。さらに、メジウムインキと黒インキとを40:1の割合で配合したインキを用いて、スクリーン印刷技術により透過性スモーク印刷層を形成した。
【0065】
<実験例3>
透明PETである透明基材上に、第1色パターン層、第2色パターン層、及び、透過性スモーク印刷層を順に設けることにより印刷シートを作製した。実験例3では、第1色用バインダー(ウレタン系樹脂)と第1色用バインダーの内部に分散された緑色干渉顔料とを含むインキを用いて、スクリーン印刷技術により第1色パターン層を形成した。緑色干渉顔料の含有率として、第1色用バインダーを100重量部とした場合、10~40μmの粒径を有する緑色干渉顔料を4重量部、及び、5~25μmの粒径を有する緑色干渉顔料を1重量部とした。
【0066】
実験例3では、第2色用バインダー(ウレタン系樹脂)と第2色用バインダーの内部に分散された赤色干渉顔料及び金色干渉顔料とを含むインキを用いて、スクリーン印刷技術により第2色パターン層を形成した。赤色干渉顔料及び金色干渉顔料の含有率として、第2色用バインダーを100重量部とした場合、10~40μmの粒径を有する赤色干渉顔料を8重量部、及び、10~60μmの粒径を有する金色干渉顔料を5重量部とした。
【0067】
実験例3では、メジウムインキと黒インキとを40:1の割合で配合したインキを用いて、スクリーン印刷技術により透過性スモーク印刷層を形成した。
【0068】
<項目1:表示内容の鮮明度について>
液晶モニターの電源をオンとした際における、液晶モニターに表示されている情報(体温・体組成情報等)の鮮明度について評価した。
<評点>
5点:液晶モニターに表示されている情報に対して絵柄の存在感が弱く、情報が鮮明に見える。
3点:液晶モニターに表示されている情報に対して絵柄の存在感がやや強く、情報に絵柄がやや被って見える。
1点:液晶モニターに表示されている情報に対して絵柄の存在感が強く、情報に絵柄が被って見える。
【0069】
<項目2:表示内容の輝度について>
液晶モニターの電源をオンとした際における、液晶モニターに表示されている情報(体温・体組成情報等)の輝度について評価した。
<評点>
5点:液晶モニターに表示されている情報が明るく見える。
3点:液晶モニターに表示されている情報がやや暗く見える。
1点:液晶モニターに表示されている情報がかなり暗く見える。
【0070】
<項目3:絵柄の視認性について>
液晶モニターの電源をオフとした際における、絵柄の視認性について評価した。
<評点>
5点:絵柄が十分に視認できる。
3点:絵柄の視認性がやや悪い(絵柄透明性やや高)。
1点:絵柄の視認性がかなり悪い(絵柄透明性高)。
【0071】
<項目4:絵柄の発色について>
液晶モニターの電源をオフとした際における、絵柄の発色について評価した。
<評点>
5点:絵柄の発色が良好である。
3点:絵柄の発色がやや弱く、絵柄の色が薄く/白っぽく見える。
1点:絵柄の発色が弱く、絵柄の色がかなり薄く/白く見える。
【0072】
実験例1~3に対する項目1~4の官能評価の結果を下記表1に示す。なお、何れも3点以上の評価となっているものを実用上問題ないレベルと判断した。実験例1から、絵柄の視認性が十分高いレベルで表現される傾向にあることが分かった。また、絵柄の発色や表示情報の鮮明度・輝度についても高い評価結果が得られた。一方、実験例2,3から、絵柄の視認性を確保しつつ、絵柄の発色や表示情報の鮮明度・輝度についても全般的に良好な仕上がりとなる傾向にあることが分かった。
【0073】
【表1】
【符号の説明】
【0074】
1…ミラーディスプレイ、2…ハーフミラー、2a…表面、2b…背面、3…ディスプレイ装置、3a…表示面、4…印刷シート、41…透光性基材、42…絵柄印刷層、43…白色パターン層、43a…シルバードット、43b…シルバー用バインダー、43c…シルバー顔料チップ、44…透過性スモーク印刷層、50…第1色パターン層、51…第1色ドット、52…第1色用バインダー、53…第1色顔料チップ、54a,54b…第1干渉顔料、55a,55b,56a,56b…二酸化チタン被覆雲母、60…第2色パターン層、61…第2色ドット、62…第2色用バインダー、63…第2色顔料チップ、64…第2干渉顔料、65a,65b…二酸化チタン被覆雲母。
図1
図2
図3
図4
図5
図6