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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157199
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】コンプレッサ収納用ケース
(51)【国際特許分類】
   F04B 41/00 20060101AFI20241030BHJP
   F04B 27/02 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
F04B41/00 D
F04B27/02 B
F04B27/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071399
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】514283825
【氏名又は名称】株式会社エアーサーフ
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】鷲尾 悟
【テーマコード(参考)】
3H076
【Fターム(参考)】
3H076AA03
3H076AA34
3H076BB38
3H076CC46
3H076CC99
(57)【要約】
【課題】
コンプレッサをコンパクトに収納することができるようにすることで、環境負荷を低減するとともに、持ち運び及び取り扱いを容易にするためのケースを提供することことを目的とする。
【解決手段】
上記課題を解決する本願発明は、コンプレッサを格納するケース本体と、前記ケース本体の底面に設けられ、前記ケース本体を移動可能とする移動部と、使用者が把持可能な把持部とを備えるケースである。ケースは、プラスチックで形成されていることが好ましく、内部のコンプレッサは4つのシリンダが協働して動作する水冷式の物であることが好ましい。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサを格納するケース本体と、前記ケース本体の底面に設けられ、前記ケース本体を移動可能とする移動部と、使用者が把持可能な把持部とを備えるケース。
【請求項2】
前記移動部は、回転することで水平方向に移動可能な車輪部材であり、
前記移動部には、前記車輪部材の回転を阻止可能な阻止部材が設けられている請求項1に記載のケース。
【請求項3】
前記ケース本体の底面には、地面を押圧した状態で前記ケース本体を保持可能であり、
前記底面からの距離を調整可能な保持台が設けられている請求項1に記載のケース。
【請求項4】
前記ケース本体は、コンプレッサを格納する箱型部を有し、
前記把持部は、伸縮自在に設けられ、前記箱型部の側面に取り付けられている請求項1に記載のケース。
【請求項5】
前記ケース本体は、箱型の箱型部と、前記箱型部の上部に設けられ、上方向に凸の曲面を有する被せ部を有し、
前記コンプレッサは、エアーコンプレッサと、前記エアーコンプレッサに動力を送る動力源と、前記エアーコンプレッサで圧縮される空気が格納される蓄圧タンクと、を有し、
前記エアーコンプレッサ及び動力源は、前記箱型部の底面に載置される請求項1に記載のケース。
【請求項6】
前記ケース本体は、プラスチックによって形成されている請求項1に記載のケース。
【請求項7】
前記コンプレッサは、
入力軸の軸線と出力軸の軸線とが偏心して設けられたエキセントリックシャフトが、前記入力軸において回転可能に支持されて内装されたクランクケースと、前記入力軸の軸線と直交し、かつ、前記入力軸の周りに90度の間隔で放射状にシリンダを形成し、さらに、前記入力軸を挟んだ両側のシリンダが同軸状となるように前記クランクケースに装着された4個のシリンダブロックと、これらの各シリンダブロック内に摺動可能に内装されたピストンと、これらのシリンダブロックのそれぞれに装着されて、前記ピストンと共働して圧縮室を形成するシリンダヘッドと、前記ピストンのそれぞれと前記出力軸とを連結するコネクティングロッドと、前記エキセントリックシャフトを回転駆動する駆動系とを備え、
前記クランクケースと前記シリンダヘッドの少なくとも一方にはウォータジャケットが形成され、このウォータジャケットには、冷却水を送り込む給水管と冷却水を排出する排水管とからなる冷却水循環系が連設され、この冷却水循環系の途中に、冷却水を循環させるウォータポンプと、冷却水と外気との熱交換を行なうラジエターが設けられている請求項1~6の何れかに記載のケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンプレッサを収納するために用いられるケースに関する。
【背景技術】
【0002】
コンプレッサは、外部から取り組んだ空気を圧縮して放出する装置であるところ、エアダスターや、エアーガンなど圧縮エアーを用いた種々の工作機械に用いられる。
ところで、本発明の発明者が過去に出願したシリンダ装置(特許文献1)は、コンプレッサとして用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-55649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した用途でエアーコンプレッサを用いる場合には、持ち運びできるような容器に格納できることが好ましい。
一方、特許文献1に記載の発明のようなエアーコンプレッサは、強力なパワーを維持しつつ小型化が容易であるものの、回転駆動を行う精密部品が含まれるため、持ち運びが難しく、ここに改良の余地があった。
また、従来のコンプレッサ用のケースは、金属製で大型となる場合が多いため環境負荷が大きかった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、コンプレッサをコンパクトに収納できるようにすることで、環境負荷を低減するとともに、持ち運び及び取り扱いを容易にするためのケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本願発明は、コンプレッサを格納するケース本体と、前記ケース本体の底面に設けられ、前記ケース本体を移動可能とする移動部と、使用者が把持可能な把持部とを備えるケースである。
このような構成によって、コンプレッサを中に入れながらも持ち運び及び取り扱い性能に優れたケースを提供することができる。
【0007】
本発明の好ましい形態では、前記移動部は、回転することで水平方向に移動可能な車輪部材であり、前記車輪部材は、前記車輪の回転を阻止可能な阻止部材が設けられている。
このような構成によって、使用しないときにケースが移動しないため、使用時の安定性ないし利便性を高めることができる。
【0008】
本発明の好ましい形態では、前記ケース本体の底面には、地面を押圧した状態で前記ケース本体を保持可能であり、前記底面からの距離を調整可能な保持台が設けられている。
これにより、使用時のケースの移動をより確実に防止することができる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記ケース本体は、コンプレッサを格納する箱型部を有し、前記把持手部は、伸縮自在に設けられ、前記箱型部の側面に取り付けられている。
このような構成によって、把持手の取り扱いを容易にし、より持ち運びの利便性を高められる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記ケース本体は、前記箱型部の上部に設けられ、上方向に凸の曲面を有する被せ部を有し、前記コンプレッサは、コンプレッサ本体と、前記コンプレッサ本体で圧縮される空気が格納される蓄圧タンクと、を有し、前記蓄圧タンクは、前記被せ部に覆われるように設けられている。
このような構成によって、被せ部による意匠性を確保したまま、構造上球形又は円筒形となる蓄圧タンクを無駄なく格納できる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記ケース本体は、プラスチックによって形成されている。これにより、強度を保ったまま軽量化がなされて取り扱いを容易にすることができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記コンプレッサは、入力軸の軸線と出力軸の軸線とが偏心して設けられたエキセントリックシャフトが、前記入力軸において回転可能に支持されて内装されたクランクケースと、前記入力軸の軸線と直交し、かつ、前記入力軸周りに90度の間隔で放射状にシリンダを形成し、さらに、前記入力軸を挟んだ両側のシリンダが同軸状となるように前記クランクケースに装着された4個のシリンダブロックと、これらの各シリンダブロック内に摺動可能に内装されたピストンと、これらのシリンダブロックのそれぞれに装着されて、前記ピストンと共働して圧縮室を形成するシリンダヘッドと、前記各ピストンと前記出力軸とを連結するコネクティングロッドと、前記エキセントリックシャフトを回転駆動する駆動系とを備え、前記クランクケースと前記シリンダヘッドの少なくとも一方にはウォータジャケットが形成され、このウォータジャケットには、冷却水を送り込む給水管と冷却水を排出する排水管とからなる冷却水循環系が連設され、この冷却水循環系の途中に、冷却水を循環させるウォータポンプと、冷却水と外気との熱交換を行なうラジエターが設けられている。
このように、冷却水によって冷却される小型化可能なコンプレッサを中に入れることによって、利便性を高めることができる。
【発明の効果】
【0013】
上記課題を解決する本発明は、コンプレッサの持ち運び及び取り扱いを容易にするためのケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一の実施形態に係る、ケースの斜視図である。
図2】本発明の第一の実施形態に係る、ケースを様々な方向から見た図である。
図3】本発明に係るコンプレッサの、一実施形態を示す縦断面図である。
図4】本発明に係るコンプレッサの、シリンダブロック及びシリンダヘッドを切断した状態を示す、図3の左側面図である。
図5】本発明に係るコンプレッサの、内部機構の分解斜視図である。
図6】本発明に係るコンプレッサの、作用を説明するための縦断面図である。
図7】本発明の第一の実施形態に係る、ケースの分解斜視図である。
図8】本発明の第二の実施形態に係る、ケースの斜視図である。
図9】本発明の第二の実施形態に係る、ケースを様々な方向から見た図である。
図10】本発明の第二の実施形態に係る、ケースの使用時の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1図6を用いて、本発明の各実施形態に係る支持装置について説明する。説明は、実施形態の構成、実施の方法、他の実施形態の順に詳述する。
なお、以下に示す各実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の各実施形態に限定するものではない。
【0016】
≪第一の実施形態≫
本発明に係るケースは、図1に示すように、動力源S(図示せず)及びコンプレッサCを格納するケース本体1と、ケース本体1の底面に設けられ、ケース本体1を移動可能とする移動部2と、ケース本体1の底面よりも上側に設けられ、使用者がケース本体1を把持して持ち運び可能とする把持部3とを備えている。
【0017】
ケース本体1は、図2に示すように箱型で内部に動力源S及びコンプレッサCを格納可能な箱型部11と、箱型部11に被せて箱型部11の上面を覆う被せ部12と、箱型部11の内部に格納された動力源S及びコンプレッサCの操作を行うための操作部13と、を有する。なお、図2は、図2(b)を正面図、図2(a)を左側面図、図2(c)を背面図、図2(d)を右側面図、図2(e)を平面図、図2(f)を底面図とする6面図である。
【0018】
ケース本体1は、ABS樹脂や、ポリカーボネートなどのプラスチックで設けられており、これによって全体としてスーツケースのような形状の意匠となっている。特に、ポリカーボネートで形成されていることによれば、軽量で強度も高く、重量も小さく済むため好ましい。また、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)で形成されていてもよい。
【0019】
箱型部11は、内部を空洞とする直方体形状の箱体であり、上面が露出するように設けられている。そして、露出した上面から動力源S及びコンプレッサCを格納できるようにしている。
【0020】
被せ部12は、箱型部11の上面を覆うように設けられる部材であって、実施形態においては、上面の角が面取りされ、上方向に凸の曲面を有する直方体形状となるように設けられている。被せ部12の厚みは、箱型部11と略同一であって、被せ部12の端面形状は箱型部11の端面形状と略一致するように設けられていることで、図2に示すように、箱型部11と被せ部12の間に切れ目や段を形成することなく、内部に空間を保持した状態とすることができる。
【0021】
また、被せ部12の内側の空間には、対応したコンプレッサが排出する圧縮空気を誘導するためのホース(管)や、該ホースに取り付けるエアスプレーのノズルを収納する収納部が設けられていてもよい。
【0022】
箱型部11及び被せ部12の端面は、それぞれ断面視L字状として、スナップフィット係合ができるようにしてもよい。また、それぞれの端面に面ファスナーを設け、接合自在にできるようにしていてもよい。また、パッキンが設けられていることによって水密あるいは気密となるように密閉できるようにしてもよい。
【0023】
操作部13は、内部の動力源SやコンプレッサCを、ケース本体1の外側から操作できるようにし、また外部環境との資源のやり取りを行うために、ケース本体1の外側に設けられている部分である。実施形態においては、把持部3が設けられている面に隣接する面に設けられている、ケース本体1の内部と外部を挿通する部分である。
【0024】
実施形態において、操作部13は、動力源Sの作動を制御する動作スイッチ131を有する。また、圧縮した空気を排出するための排出孔132と、外部環境からエネルギーを供給するための動力供給孔133と、を有する。
【0025】
また、ケース本体1において、操作部13と相対する面には、熱や空気(動力源Sを熱機関とする場合、排気ガスを含む)のやり取りを行う気孔14が設けられている。気孔14は、不純物の流入を防ぐために、側面に向けて突出する傘のような部材であって、底面に開口部が設けられていることが好ましい。
これにより操作中に使用者が熱や排気ガスを直接浴びることを防ぎ、利便性を高められる。気孔14は、複数の面に設けられていることが好ましく、これにより空気の流通の方向を一に定められる。
【0026】
また、ケース本体1の底面には、溝が設けられており、強度を向上させるとともに表面積を増やして熱伝導性能を向上させている。
【0027】
移動部2は、箱型部11の底面に取付られている部材であって、ケース本体1の水平方向の移動を可能とする。移動部2には、回転する車輪部材21と、車輪部材21の回転を阻止可能に設けられている阻止部材22と、が設けられている。
【0028】
車輪部材21は、いわゆるキャスターであって、実施形態では4つのキャスターが設けられている。詳述すると、箱型部11の長方形の底面において、底面視で角の近傍にそれぞれ配置されている。
車輪部材21は、箱型部11の底面から突出する軸を中心に回転するように設けられており、さらに車輪の中心軸においても回転可能に設けられていることによって、様々な方向に向いても移動可能となるように設けられている。
【0029】
阻止部材22は、車輪部材21において車輪の回転を阻止するために設けられている部材である(図示せず)。阻止部材22は、車輪と当接する阻止状態と、車輪から離れる離間状態を切替可能に設けられており、阻止状態において、車輪を摩擦又は係止することによって回転しないように固定する。
【0030】
把持部3は、使用者がケース本体1の上部を持って移動させることができるようにするための部材であって、ケース本体1の側面あるいは上面に設けられている。把持部3は、使用時に使用者が把持する把持手本体31と、把持手本体31と接続してケース本体1に対する相対位置が変化する第一伸縮部32と、ケース本体1と接続してケース本体に対する相対位置が変化する第二伸縮部33と、を備えている。
【0031】
実施形態において把持部3は、ケース本体1の側面あるいは箱型部11の上端面から突出して、伸縮自在に設けられている部材であって、少なくとも2つの車輪部材21と略同一平面上に設けられていることによって、ケース本体1を傾けた状態で車輪部材21を可動させることを容易にすることができる。
【0032】
把持手本体31は、弓形の形状であり、その内側の幅は少なくとも使用者の掌の幅よりも大きくなるように設けられている。また、内側には使用者の指に対応する凹凸が設けられており、使用者が把持しやすくしていてもよい。
【0033】
第一伸縮部32は、一端が把持手本体31に接続され、他端が第二伸縮部33に内挿されている断面が直方体形状の筒状の部材である。第一伸縮部32の外径は、第二伸縮部33と略同一の形状で、その内径よりも小さくなるように設けられていることによって、第二伸縮部33に第一伸縮部32が篏合した状態で摺動できるように設けられている。
また、第一伸縮部32の少なくとも他端部には、第二伸縮部33との脱落を防止する係止部材が設けられていることが好ましい。
【0034】
第二伸縮部33には、一端に第一伸縮部32が内挿され、他端が箱型部11の上端面と接続されている筒状の部材である。第二伸縮部33を最大限伸長させたときの上端は、取り付けられた状態にある被せ部12の上端の高さと略同一になるように設けられており、これによって強度が維持されている。
実施形態においては、箱型部11の内部に設けられている穴に第二伸縮部33を摺動可能に取り付けているが、伸長された状態で被せ部12に固定されていてもよい。
なお、第一伸縮部32と、第二伸縮部33との間に、第一伸縮部32及び第二伸縮部33のそれぞれと篏合して摺動する別の筒状の部材を使用してもよい。
【0035】
動力源Sは、動力供給孔133から供給されるエネルギーを回転運動に変換し、エアーコンプレッサC1の入力軸C2a(後述)に供給する機構である。動力源の操作は、動作スイッチ131を介して操作可能になるように設けられており、動作スイッチ131は出力の調整ができるように設けられていることが好ましい。
供給されるエネルギーが電力の場合には入力軸C2aと接続される電動モータが想定され、熱エネルギーの場合は熱機関であることが想定される。
【0036】
実施形態においては、動力源Sは電動モータであり、コンデンサやバッテリーなどを含む動力調整部S1を介して動力供給孔133と接続されている。また、動力源Sの出力軸は、動力伝達部S2を介してエアーコンプレッサC1と接続している。
【0037】
以下、図3図6を用いて、エアーコンプレッサC1について説明を行う。
本実施形態に係るエアーコンプレッサC1は、図7の通り動力源S(図示せず)から供給される回転運動を往復運動に変更して圧縮空気を供給するための装置である。
【0038】
このエアーコンプレッサC1は、入力軸C2aの軸線と出力軸C2bの軸線とが偏心して設けられたエキセントリックシャフトC2が、前記入力軸C2aにおいて回転可能に支持されて内装されたクランクケースC3と、前記入力軸C2aの軸線と直交し、かつ、前記入力軸C2a周りに90度の間隔で放射状にシリンダC4を形成し、さらに、前記入力軸を挟んだ両側のシリンダC4が同軸状となるように前記クランクケースC3に装着された4個のシリンダブロックC4aと、これらの各シリンダブロックC4a内に摺動可能に内装されたピストンC5と、これらのシリンダブロックC4aのそれぞれに装着されて、前記ピストンC5と共働して圧縮室CAを形成するシリンダヘッドC6と、前記各ピストンC5と前記出力軸C2bとを連結するコネクティングロッドC7と、前記エキセントリックシャフトC2を回転駆動する駆動系(図示略)を備え、前記クランクケースC3と前記シリンダヘッドC6の少なくとも一方にはウォータジャケットCWが形成され、このウォータジャケットCWには、冷却水を送り込む給水管C8aと冷却水を排出する排水管C8bとからなる冷却水循環系C8が連設され、この冷却水循環系C8の途中に、冷却水を循環させるウォータポンプC9と、冷却水と外気との熱交換を行なうラジエターC10が設けられている構成となっている。
【0039】
前記シリンダヘッドC6には、吸気ポートC11と排気ポートC12が設けられている。
【0040】
前記吸気ポートC11には給気管C13が連設され、この給気管C13の上流側の端部はエアークリーナCCを介して気孔14の付近に配置されておる。
【0041】
前記給気管C13には、エアークリーナCCから圧縮室CAへ向かう空気の流れを許容し、その逆の流れを阻止する逆止弁C15が設けられている。
【0042】
前記排気ポートC12には排気管C14が連設され、この排気管C14の上流側に圧縮空気を貯留する蓄圧タンクC16が接続されている。
【0043】
また、排気管C14には、圧縮室CAから蓄圧タンクC16へ向かう空気の流れを許容し、その逆の流れを阻止する逆止弁C17が設けられている。
【0044】
前記エキセントリックシャフトC2、ピストンC5、及び、コネクティングロッドC7は、次のように構成されている。
前記出力軸C2bは長さ方向に2分割されて、入力軸C2aの両端部に相対回動が拘束された状態で連結され、これによってエキセントリックシャフトC2が構成されている。
【0045】
すなわち、図1及び図2に示すように、偏心した状態にある入力軸C2aと出力軸C2bのそれぞれの端部側面に切り欠き状の平面部が形成されており、これらの平面部CX・CY同士を密着した状態でバランスウェイトC18に形成されている係止孔C18a内に嵌合させることによって、入力軸C2aと出力軸C2bが、相対回動が拘束された状態で連結されている。
【0046】
前記入力軸C2aの長さ方向の中間部には偏心カムC19が回動自在に嵌合させられている。
【0047】
図3に示すように、偏心カムC19は、出力軸C2bが回動自在に挿入される嵌合孔C19aが形成されているとともに、入力軸C2aの軸線方向に間隔をおき、かつ、嵌合孔C19aの半径方向に所定距離ずれた状態で円柱状のカムC19b・C19cが設けられる構成となっている。
【0048】
前記偏心カムC19のそれぞれのカムC19b・C19cは、両端部にピストンC5を備えたコネクティングロッドC7の中間部に回動自在に嵌合させられている。
【0049】
詳述すれば、コネクティングロッドC7の中間部にはベアリングC20が装着される貫通孔C7aが形成されており、この貫通孔C7a内に装着されたベアリングC20に前記カムC19b・C19cが嵌合させられことにより、偏心カムC19が入力軸C2aに装着されている。
【0050】
そして、前記両コネクティングロッドC7は出力軸C2bと直交し、かつ、相互に直交するように配置されている。
【0051】
このように構成された本実施形態に係わるコンプレッサCは、入力軸C2aが駆動系によって回転駆動させられると出力軸C2bが同時に回転させられる。
【0052】
そして出力軸C2bは第一回転軸線CL1を中心として自転しつつ、エキセントリックシャフトC2の作用により、第一回転軸線CL1が入力軸C2aの第二回転軸線CL2と所定距離を置いて公転するように移動させられる。
【0053】
このような出力軸C2bの回転と移動により、4個のピストンC5が2個一組として相互に直交する方向に往復移動させられる。
【0054】
ピストンC5の前述した往復移動により、各圧縮室CAにおいて膨張と圧縮が繰り返し行なわれ、膨張時にエアークリーナCCを経て空気を吸い込み、圧縮時において、吸い込まれた空気を圧縮して蓄圧タンクC16へ送り込む。蓄圧タンクC16は、バルブが設けられている管を通じて排出孔132と接続されている。
【0055】
蓄圧タンクC16は、図2又は図6に示すように、箱型部11の上側に載置、固定されて設けられており、収納された状態においては被せ部12に外周が覆われるように設けられている。
【0056】
一方、ウォータジャケットCW、冷却水循環系C8、及び、この冷却水循環系の経路に配置されたウォータポンプC9、及び、ラジエターC10内には冷却水が密封されている。
【0057】
この冷却水は、ウォータポンプC9によって、図1及び図4に示すように、ウォータジャケットCWとラジエターC10との間で循環させられ、ラジエターC10を通過する間に外気との熱交換によって冷却された後にウォータジャケットCWへ供給される。
一方、循環路から分岐して、冷却水の給水、排水を行うための給水孔134が設けられていてもよい。
【0058】
これによって、シリンダブロックC4a及びシリンダヘッドC6が冷却されるが、シリンダブロックC4aとシリンダヘッドC6の内面が圧縮室CAの壁面を構成していることから、シリンダブロックC4a及びシリンダヘッドC6を介して圧縮室CA内の空気の冷却が行なわれる。
したがって、空気の圧縮時に発生する熱が除去される。
【0059】
一方、シリンダブロックC4aはクランクケースC3に装着され、このクランクケースC3にはエキセントリックシャフトC2が支持され、さらに、このエキセントリックシャフトC2には駆動系が連設されていることから、この駆動系において発生する熱が、エキセントリックシャフトC2からクランクケースC3を介して、シリンダブロックC4a、及び、シリンダヘッドC6へ伝わり冷却水によって冷却される。
【0060】
この結果、駆動系の温度上昇、及び、空気を圧縮することによる温度上昇の両方がエアーコンプレッサ全体の温度上昇に与える影響を抑制することができ、温度上昇に伴う圧縮効率の低下を抑制することができる。
【0061】
なお、前記実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0062】
冷却水は、ウォータジャケット、冷却水循環系、及び、この冷却水循環系の経路に配置されたウォータポンプ、及び、ラジエター内に密封されている。
【0063】
そして、冷却水は、ウォータポンプによって、ウォータジャケットとラジエターとの間で循環させられ、ラジエターを通過する間に外気との熱交換によって冷却された後にウォータジャケットへ供給され、シリンダブロックあるいはシリンダヘッド、もしくは、その両方を冷却する。
【0064】
ここで、シリンダブロックとシリンダヘッドはその内面が圧縮室の壁面を構成していることから、圧縮室内の空気との熱交換が行なわれ、圧縮空気の冷却が行なわれる。
【0065】
一方、シリンダブロックはクランクケースに装着され、このクランクケースにはエキセントリックシャフトが支持され、さらに、このエキセントリックシャフトには駆動系が連設されていることから、この駆動系において発生する熱が、エキセントリックシャフト、クランクケース、及び、シリンダブロックへ伝わり、このシリンダブロックにおいて冷却水との熱交換が行なわれる。
この結果、駆動系における温度上昇が抑制される。
【0066】
実施形態において、コンプレッサCは、箱型部11の中に図7のようにして配置されている。
箱型部11の最も底面側にはエアーコンプレッサC1及び動力源Sが隣接して載置され、その直上において2部材を架け渡すように動力伝達部S2が設けられている。これにより、重心を下げて移動しやすくできる。動力源Sの回転運動は、巻き掛け式ベルトである動力伝達部S2を介して入力軸C2aに伝達される。
【0067】
動力伝達部S2の上部には、蓄圧タンクC16を載置する取付部が設けられており、載置された蓄圧タンクC16は、排出口が排出孔132に貫入するように配置されている。
【0068】
動力源Sのうち、エアーコンプレッサC1に隣接しない方向には、動力供給孔133からの電力供給の度合を調整する動力調整部S1が隣接している。動力調整部S1は、底面から蓄圧タンクC16までの高さまであり、その重量は蓄圧タンクC16と、エアーコンプレッサC1と、動力源Sと、の合計重量と略同一になることが好ましい。エアーコンプレッサC1に隣接する箱型部11の面には、別途気孔が設けられてもよい。
【0069】
気孔14と、エアーコンプレッサC1、蓄圧タンクC16、動力調整部S1との間には、ラジエターC10が設けられており、これによって熱交換を効率的に行う。ラジエターC10に隣接して、気孔14に空気を移送させるファンが設けられていてもよい。
【0070】
以下、図面を用いて、本発明の実施の方法について詳述する。本発明は、コンプレッサを移動させ、使用する使用者によって実施される。また、以下に示す実施の方法は一例であり、実施の方法はこれに限られず、順番は前後してもよい。
【0071】
まず、使用者は、把持手本体31を持ち、第一伸縮部32を伸長させる。その状態で、使用者はケース本体1を傾けて、4つの車輪部材21のうち2つが地面と当接させた状態で回転させてケース本体1を移動させる。使用者が移動方向を変更するときは、車輪部材21とケース本体1の底面とを接続する軸が回転することで任意の方向に容易に移動可能とする。
【0072】
次に使用者が、内部のコンプレッサCを使用する際は、以下の操作を行う。使用者は、コンプレッサCを使用することができる位置にケースXを移動させ、4点全ての車輪部材21を地面に接するように載置した後、阻止部材22を動作させ車輪部材21が回転しないようにする。
【0073】
次に、排出孔132に所定の管を取り付け、さらに該管の先に使用目的に応じた用具を取り付ける。例えば、エアスプレーとして利用する場合にはそれに適したノズルを取り付ける。
なお、そのような管やノズルとして、被せ部12に収納されているものを用いることによって、ケース本体1の利便性を高めることができるようにしている。
【0074】
使用者は、動作スイッチ131を動作させることによって、内部の動力源Sを作動させる。内部の動力源Sが動作することによって、気孔14から供給された空気がコンプレッサCによって圧縮され、これが排出孔132から排出される。
これにより使用者は、排出された圧縮空気を使用することができる。
【0075】
《第二の実施形態》
以下に、図4図6を用いて、ケースXの第二の実施形態についての説明を行う。実施形態の構成の一部は前述の実施形態の構成と組み合わせて使用されていてもよい。ここにおいて、第一の実施形態と同一の構成については同一の符号を用いて説明を省略する。
ケースXは、動力源Sと、コンプレッサCを格納するケース本体1と、移動部2と、把持部3と、を備えている。
【0076】
ケース本体1は、箱型の箱型部11と、被せ部12と、を備えている。実施形態において、被せ部12の形状は、上面及び下面が閉鎖されている半円筒状の部材であって、端面の外周の形状及び大きさは、箱型部11の上端の形状と略同一であり、これによって箱型部11と被せ部12が略隙間なく接続できるようにしている。該端面のうち、一辺はヒンジ等(図示せず)によって相対的に回転可能に接続されており、回転することによって開閉できるようにしている。開口した状態において被せ部12は、端面が上部を向く位置で保持され、内部の収納空間を露出することで収納したものを容易に出し入れすることができるようにしている。
【0077】
移動部2は、車輪部材21と、阻止部材22に加えて、保持台23を備えている。
保持台23は、使用時に移動部2を地面から離間させ、ケース本体1を地面に対して固定するための部材であって、阻止部材22の代用として、又は併用して用いられる。
【0078】
保持台23は、地面を押圧した状態で保持する押圧部231と、押圧部231を相対的に上下させ、地面とケース本体1の底面との距離を調整するための上下軸232を有している。押圧部231が最も下部に位置した際に、車輪部材21の最下点よりも下方に押圧部231が保持されている。
【0079】
保持台23は、隣接する2つの車輪部材21を結ぶ線の間に設けられていることが好ましく、好ましくはほぼ中間位置に設けられている。これによって、利便性や安定性を向上させることができる。
【0080】
押圧部231は、地面を押圧するための部材であって、上下軸232の先端部分に設けられている。押圧部231は円盤型の部材であって、その中心が上下軸232に固定されている。押圧部231の底面部の外周縁には、下方に向けて突出する突出部が設けられていてもよい。これにより、がたつきの発生を抑えることができるようになる。
【0081】
上下軸232は、棒ネジである。箱型部11の底面に設けられている穴部と接続されており、該穴部には上下軸232に対応したねじ溝が設けられており、上下軸232を上下運動可能に支持する。該穴部の深さは、上下軸232の長さと略同一か、貫通していることが望ましい。
【0082】
一方、押圧部231は底面に向かって広がるテーパ状であって、その中心軸上に設けられている孔部の内周面にネジ溝が設けられ、上下軸232をねじ込んだ状態で支持する構成であってもよい。
この場合、上下軸232の突出は、車輪部材21の突出よりも短くなるように固定されており、押圧部231が回転することによって、押圧部231が上下軸232に対して上下運動を行い、下部に位置させたときに地面を押圧する。
【0083】
使用者が保持台23を使用する場合、以下の操作を行う。まず、使用者はケース本体1を好ましい位置に移動させる。その後、使用者は、保持台23を、上下軸232を軸として回転させることによって、押圧部231の上下軸に対する相対位置を下方に移動させる。
使用者は、押圧部231が、地面に押圧し、移動部2が中空に位置するようになったタイミングで回転を終了する。これにより、移動部2による使用時の安定性をより高めることができる。
【符号の説明】
【0084】
1 ケース本体
11 箱型部
12 被せ部
13 動作部
131 動作スイッチ
132 排出孔
133 動力供給孔
14 気孔
2 移動部
21 車輪部材
22 阻止部材
23 保持台
3 把持部
31 把持手本体
32 第一伸縮部
33 第二伸縮部
S 動力源
S1 動力調整部
S2 動力伝達部
C コンプレッサ
C1 エアーコンプレッサ
C2 エキセントリックシャフト
C2a 入力軸
C2b 出力軸
C3 クランクケース
C4 シリンダ
C4a シリンダブロック
C5 ピストン
C6 シリンダヘッド
C7 コネクティングロッド
C7a 貫通孔
C8 冷却水循環系
C8a 給水管
C8b 排水管
C9 ウォータポンプ
C10 ラジエター
C11 吸気ポート
C12 排気ポート
C13 給気管
C14 排気管
C15 逆止弁
C16 蓄圧タンク
C17 逆止弁
C18 バランスウェイト
C19 偏心カム
C19b カム
C19c カム
C20 ベアリング
CA 圧縮室
CC エアークリーナ
CW ウォータジャケット
CX 平面部
CY 平面部
図1
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図3
図4
図5
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図8
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図10