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  • 特開-非酸化蒸留装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001572
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】非酸化蒸留装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 11/02 20060101AFI20231227BHJP
   B01D 3/38 20060101ALI20231227BHJP
   A23L 27/10 20160101ALN20231227BHJP
【FI】
B01D11/02 101
B01D3/38
A23L27/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100309
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】507152202
【氏名又は名称】吉村 清己
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100222324
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 千明
(72)【発明者】
【氏名】吉村 清己
【テーマコード(参考)】
4B047
4D056
4D076
【Fターム(参考)】
4B047LB03
4B047LG37
4B047LP01
4D056AB14
4D056AC22
4D056AC24
4D056BA11
4D056CA02
4D056CA03
4D056CA06
4D056CA17
4D056CA20
4D056CA22
4D076AA07
4D076AA16
4D076AA22
4D076BB11
4D076BC03
4D076CA06
4D076CB06
4D076DA10
4D076DA14
4D076DA25
4D076FA03
4D076FA16
4D076FA34
4D076HA11
4D076JA03
(57)【要約】
【課題】水蒸気蒸留法により得られる抽出液や精油の酸化を抑えることができ、抽出後の残った植物等の原材料の乾燥度が高い蒸留装置の提供を目的とする。
【解決手段】水蒸気蒸留炉と、前記水蒸気蒸留炉からの留出液を回収する留出液回収タンクと、過熱蒸気供給部とを備え、前記水蒸気蒸留炉は底部側に加温水の貯留部と、前記貯留部の上方に配置した原材料の投入部と、前記原材料の投入部の上に留出蒸気層部とを有し、前記過熱蒸気供給部は前記水蒸気蒸留炉内と前記留出液回収タンク内に連結され、過熱蒸気を供給するものであることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水蒸気蒸留炉と、前記水蒸気蒸留炉からの留出液を回収する留出液回収タンクと、過熱蒸気供給部とを備え、
前記水蒸気蒸留炉は底部側に加温水の貯留部と、前記貯留部の上方に配置した原材料の投入部と、前記原材料の投入部の上に留出蒸気層部とを有し、前記過熱蒸気供給部は前記水蒸気蒸留炉内と前記留出液回収タンク内に連結され、過熱蒸気を供給するものであることを特徴とする非酸化蒸留装置。
【請求項2】
前記加温水の貯留部と前記過熱蒸気供給部とは連結されていて、前記加温水を過熱蒸気供給部の原水して用いることを特徴とする請求項1記載の非酸化蒸留装置。
【請求項3】
前記留出蒸気層部は結露防止用ヒーターを有していることを特徴とする請求項1記載の非酸化蒸留装置。
【請求項4】
前記留出液回収タンクは油層の回収手段と、抽出水の回収手段とを有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の非酸化蒸留装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水蒸気蒸留装置に関し、特に留出液の酸化を抑えた蒸留装置に係る。
【背景技術】
【0002】
各種植物等から精油や抽出液(芳香水,フローラルウォーター)を得るのに水蒸気蒸留法が用いられている。
これらの成分は、空気中の酸素にて酸化されやすく、香りが変化したり、精油の精製度に劣る技術的課題があった。
【0003】
例えば特許文献1には、茶類エキスの製造方法において、窒素ガスを混合した水蒸気にて水蒸気蒸留を行うことが記載されているが、水蒸気に不活性ガスを混合するための特殊な装置が必要で、工程が複雑になるとともに、抽出物の風味変化や酸化を充分に抑えることが難しいものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-72665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、水蒸気蒸留法により得られる抽出液や精油の酸化を抑えることができ、抽出後の残った植物等の原材料の乾燥度が高い蒸留装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る非酸化蒸留装置は、水蒸気蒸留炉と、前記水蒸気蒸留炉からの留出液を回収する留出液回収タンクと、過熱蒸気供給部とを備え、前記水蒸気蒸留炉は底部側に加温水の貯留部と、前記貯留部の上方に配置した原材料の投入部と、前記原材料の投入部の上に留出蒸気層部とを有し、前記過熱蒸気供給部は前記水蒸気蒸留炉内と前記留出液回収タンク内に連結され、過熱蒸気を供給するものであることを特徴とする。
【0007】
過熱蒸気は、水蒸気を100℃を超える温度に過熱したものであり、本発明においては170~400℃の過熱蒸気を水蒸気蒸留炉内及び留出液回収タンク内に供給することで、酸素濃度が16%以下の低酸素で還元雰囲気状態になる。
水蒸気蒸留炉には、上部の留出蒸気層部(留出蒸気空間)から過熱蒸気を供給するのが好ましく、これにより蒸留炉内で留出蒸気が酸化されるのを防ぎ、冷却回収した留出液回収タンク内での留出液の酸化を防ぐことができる。
さらには、蒸留処理後には原材料の植物等が乾燥した状態で残る作用もある。
【0008】
本発明において、加温水の貯留部と前記過熱蒸気供給部とは連結されていて、前記加温水を過熱蒸気供給部の原水して用いてもよく、このようにすると原材料中の成分を外に逃がすことなく、循環抽出できる。
【0009】
本発明において、留出蒸気層部は結露防止用ヒーターを有しているのが好ましい。
このようにすると、留出蒸気空間での結露を防止でき、内部の過熱蒸気との組み合せにより蒸留スピードが速くなる。
【0010】
本発明において、留出液回収タンクは油層の回収手段と、抽出水の回収手段とを有しているのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る非酸化蒸留装置は、過熱蒸気が供給された低酸素,還元状態で水蒸気蒸留が行われ、留出液として回収されるので、フローラルウォーター(芳香水)や精油の酸化による変質が抑えられる。
また、その後の酸化も遅くなり、高品質となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る非酸化蒸留装置の構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る非酸化蒸留装置の構成例を以下図1に基づいて説明する。
水蒸気蒸留炉10と、それから発生した蒸留蒸気を冷却器40にて冷却し、留出液を回収する留出液回収タンク20とから構成され、水蒸気蒸留炉(以下単に蒸留炉)10に過熱蒸気を供給するための過熱蒸気発生器30を有している。
また、炉壁は断熱材で形成されている。
【0014】
蒸留炉10は、底部側に加温水の貯留部11を有し、底部から過熱する過熱ヒーター11aを有する。
加温水の貯留部11には、水がバルブ(SV)を介して供給され、水位レベル計3にて水位が制御されている。
なお、本実施例では、水の供給配管の途中に水素水発生装置を取り付けて、水素を水に溶解した原水となっている。
加温水は、80~100℃に加温されているが、沸騰している必要はない。
【0015】
加温水の貯留部11の上方には、メッシュ材等を介して抽出対象となる植物等の原材料の投入部(収容部)12が設けられ、その上方が留出蒸気層部(留出蒸気空間)13となる。
留出蒸気空間の周囲の炉壁には、結露防止ヒーター14が配設されていて、炉内の温度が100℃を超えるようになっている。
好ましくは、170~200℃位である。
過熱蒸気発生器30は、縦長の容器体31の底部側に水蒸気を発生させる目的で原水を過熱する蒸気発生ヒーター32が配設され、ここに蒸留炉10の底部側に貯留されている加温水が連結配管により接続供給される。
発生した水蒸気は、上部の過熱ヒーター33にて100℃を超える過熱水蒸気を発生させる。
発生した過熱蒸気は、第1供給部34から蒸留炉内に供給され、第2供給部35から留出液回収タンク20内に供給される。
【0016】
冷却器40は、冷却筒41に冷却水のIN43とOUT44が設けられている。
冷却筒41内に配設されたコイル状等の冷却管42内部を通過する蒸気がこれにより液化し、留出液回収タンク20内に回収される。
この留出液回収タンク20の内部も過熱蒸気により低酸素還元雰囲気となっている。
留出液回収タンク20には、抽出水層21と精油等の油層22が形成されるので、それらを回収する抽出水の回収部21aと精油の回収部22a、回収容器23が備えられている。
【符号の説明】
【0017】
10 水蒸気蒸留炉
20 留出液回収タンク
30 過熱蒸気発生器
40 冷却器
図1