(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157202
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉とバージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の混合体、リサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体、焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉のリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
B29B 17/00 20060101AFI20241030BHJP
B29C 43/34 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
B29B17/00 ZAB
B29C43/34
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071406
(22)【出願日】2023-04-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】598142830
【氏名又は名称】NiKKiFron株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】川村 渉
(72)【発明者】
【氏名】小池 秀和
(72)【発明者】
【氏名】春日 孝之
【テーマコード(参考)】
4F204
4F401
【Fターム(参考)】
4F204AA17
4F204AA50
4F204AC04
4F204FA01
4F204FB01
4F204FF01
4F204FN11
4F204FN15
4F204FN18
4F401AA14
4F401AC12
4F401BB10
4F401CA58
4F401CB01
4F401DC02
4F401DC08
(57)【要約】
【課題】リサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体における焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の重量比率を高めても、良好な外観と必要にして十分な機械的強度を有するリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体を製造可能にする混合体、リサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体、焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉のリサイクル方法を提供すること。
【解決手段】焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉としてのリサイクル粉10と、バージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂としてのバージン粉20と、を含み、バージン粉20の平均粒径寸法は、リサイクル粉10の平均粒径寸法以上であって、リサイクル粉10の外表面にバージン粉20が付着していることを特徴とするリサイクル粉10とバージン粉20の混合体30と、この混合体30を焼成してなるリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉と、バージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉と、を含み、
前記バージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の平均粒径寸法は、前記焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の平均粒径寸法以上であって、
前記焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の外表面に前記バージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉が付着していることを特徴とする焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉とバージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の混合体。
【請求項2】
請求項1記載の焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉とバージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の混合体により成形されたプレス成形品を焼成してなることを特徴とするリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体。
【請求項3】
第1所定平均粒径寸法に調製された焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉と、前記第1所定平均粒径寸法以上の平均粒径寸法である第2所定平均粒径寸法に調製されたバージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉と、を用いて前記焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の外表面に前記バージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉を付着させた混合体を生成する混合体生成工程と、
前記混合体生成工程により生成された前記混合体を成形金型に投入する混合体投入工程と、
前記成形金型を所要型締力で型締めしてプレス成形品を形成するプレス工程と、
前記プレス工程により形成された前記プレス成形品を焼成する焼成工程と、をそれぞれ実行することを特徴とする焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉のリサイクル方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉とバージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の混合体、リサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体、焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉のリサイクル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
焼成後フッ素樹脂を成形加工する際に生じる加工屑や、使用済みの焼成後フッ素樹脂を粉砕した焼成後フッ素樹脂の粉砕粉は、溶融時における融着性が悪く、熱溶融を用いた再使用が困難であることから、他製品の材料の一部として用いられることが多く、フッ素樹脂として再利用される量は十分ではなかった。近年においては、焼成後フッ素樹脂粉をバージン材フッ素樹脂と所要重量比率で混合させた後に加圧成形するフッ素樹脂のリサイクル方法が特許文献1(特開2015-108126号公報)等によって提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているフッ素樹脂のリサイクル方法は、いわゆる使用済み材料である焼成後フッ素樹脂粉の重量比率が30%以下である。これは、特許文献1におけるリサイクル技術では、リサイクル成形品材料における焼成後フッ素樹脂粉(使用済み材料)の使用比率を高めると、リサイクル成形品の外観や引張強度に代表される機械的強度の低減が顕著になるためである。近年においては、フッ素樹脂材料となる鉱物資源の保護や、フッ素樹脂製品の廃棄量を減らし、他製品の材料の一部としてではなく、フッ素樹脂製品として再利用(水平リサイクル)される量を増やすため、必要にして十分な機械強度が確保されるリサイクル成形品におけるフッ素樹脂粉の重量比率の更なる向上が期待されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは以下のとおりである。すなわち、焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂のリサイクル成形品における焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の重量比率を高めても、良好な外観と必要にして十分な機械的強度(引張強度)を有するリサイクル成形品が実用性のある成形方法で製造可能な焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉とバージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の混合体を提供することが第1の目的である。また、良好な外観と必要にして十分な機械的強度(引張強度)を有するリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体を提供することを第2の目的としている。さらに、焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の有効利用を可能にする焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉のリサイクル方法を提供することを第3の目的としている。
【0006】
上記課題を解決するために発明者が鋭意研究した結果、以下の構成に想到した。すなわち本発明は、焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉と、バージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉と、を含み、前記バージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の平均粒径寸法は、前記焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の平均粒径寸法よりも大きく形成されており、前記焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の外表面に前記バージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉が付着していることを特徴とする焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉とバージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の混合体である。
【0007】
これにより、焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂を用いたリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体における焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の重量比率を高めても、良好な外観と必要にして十分な機械的強度(引張強度)を有するリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体が製造可能な焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉とバージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の混合体を提供することができる。
【0008】
また、上記記載の焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉とバージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の混合体により成形されたプレス成形品を焼成してなることを特徴とするリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体としての発明もある。
【0009】
これにより、良好な外観と必要にして十分な機械的強度(引張強度)を有するリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体を提供することが可能になる。
【0010】
また、第1所定平均粒径寸法に調製された焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉と、前記第1所定平均粒径寸法以上の平均粒径寸法である第2所定平均粒径寸法に調製されたバージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉と、を用いて前記焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の外表面に前記バージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉を付着させた混合体を生成する混合体生成工程と、前記混合体生成工程により生成された前記混合体を成形金型に投入する混合体投入工程と、前記成形金型を所要型締力で型締めしてプレス成形品を形成するプレス工程と、前記プレス工程により形成された前記プレス成形品を焼成する焼成工程と、をそれぞれ実行することを特徴とする焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉のリサイクル方法の発明もある。
【0011】
これにより、焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の有効利用を可能にする焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉のリサイクル方法を提供することが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明における焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉とバージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の混合体、リサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体および焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉のリサイクル方法の構成を採用することにより、リサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体における焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の重量比率を高めても、良好な外観と必要にして十分な機械的強度(引張強度)を有するリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体が製造可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態におけるリサイクル粉(焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉)の顕微鏡写真である。
【
図2】第1実施形態におけるバージン粉(バージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉)の顕微鏡写真である。
【
図3】第1実施形態における混合体(焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉とバージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の混合体)の顕微鏡写真である。
【
図4】第1実施形態におけるリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体の表面状態の顕微鏡写真である。
【
図5】バージン粉のみからなる新品懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体における表面状態の顕微鏡写真である。
【
図6】第2実施形態における混合体の顕微鏡写真である。
【
図7】第2実施形態におけるリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体の表面状態の顕微鏡写真である。
【
図8】第1実施形態~第4実施形態におけるリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体の平均引張強度の一覧表である。
【
図9】第5実施形態における混合体の顕微鏡写真である。
【
図10】第5実施形態におけるリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体の顕微鏡写真である。
【
図11】第5実施形態~第8実施形態におけるリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体の平均引張強度の一覧表である。
【
図12】第6実施形態における混合体の顕微鏡写真である。
【
図13】第6実施形態におけるリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本実施形態における焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉とは、焼成後における懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂を切削加工等した際に生じる加工屑や、焼成後における懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂を冷却粉砕した粉砕粉に代表されるような焼成後の懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂を細かくしたもの全般を含む概念である。
【0015】
(第1実施形態)
本実施形態においては、第1所定平均粒径寸法が40μmに調製された焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉と、第1所定平均粒径寸法よりも大きい第2所定平均粒径寸法が50μmに調製されたバージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉を用いた焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉のリサイクル方法を説明する。以下、本明細書においては、焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉のことを『リサイクル粉』と称し、バージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉のことを『バージン粉』と称する。なお、本実施形態におけるリサイクル粉10およびバージン粉20の原材料は、いずれもポリフロン PTFE M―18(ダイキン工業株式会社製)であるが、本発明における焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉およびバージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の原材料は、ポリフロン PTFE M―18に限定されるものではない。
【0016】
図1は、本実施形態におけるリサイクル粉の顕微鏡写真である。
図1Aは拡大率100倍の顕微鏡写真であり、
図1Bは拡大率500倍の顕微鏡写真である。
図1から明らかなように、リサイクル粉10の粒の大きさのばらつきは少なく、表面は平滑面が占める割合が高い。
図2は、本実施形態におけるバージン粉の顕微鏡写真である。
図2Aは拡大率100倍の顕微鏡写真であり、
図2Bは、拡大率500倍の顕微鏡写真である。
図2から明らかなように、バージン粉20の粒の大きさは、リサイクル粉10の粒の大きさのばらつきに比較してばらつきが多く、表面は毛羽立ち部分が占める割合が高い。
【0017】
図1に示すリサイクル粉10と
図2に示すバージン粉20を図示しない撹拌装置により機械混合することで、リサイクル粉10とバージン粉20の混合体30(焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉とバージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の混合体)が得られる(混合体生成工程)。本実施形態においては、リサイクル粉:バージン粉の質量比が10:90とした状態で機械混合させることで混合体30を得た。
図3は本実施形態における混合体の顕微鏡写真である。
図3Aは拡大率100倍の顕微鏡写真であり、
図3Bは拡大率500倍の顕微鏡写真である。
【0018】
本実施形態における混合体30は、リサイクル粉10の外表面を覆うようにバージン粉20が付着した状態になっている。リサイクル粉10はバージン粉20を焼成したものを微細化したものである。したがって、リサイクル粉10はバージン粉20よりも硬く、リサイクル粉10とバージン粉20を撹拌装置で混合させることにより焼成前の軟らかいバージン粉20にリサイクル粉10が突き刺さることになる。バージン粉20に突き刺さったリサイクル粉10は、バージン粉20の粘着性によって両者の付着状態が維持されているものと推測される。本実施形態の混合体30においては、バージン粉20の割合が高いこともあり、混合体30の外表面のほとんどは、バージン粉20が露出した状態になっている。
【0019】
図3に示すような、リサイクル粉10の外表面がバージン粉20によって覆われた状態の混合体30を図示しない成形金型に投入する(混合体投入工程)。次に、成形金型をバージン粉のみを成形するときと同レベルの型締め力(30MPa)で型締めして図示しないプレス成形品を生成する(プレス工程)。なお、本実施形態におけるプレス成形品は、直径100mm×高さ100mmの円柱体である。このプレス成形品をバージン粉20の溶融温度以上(ここでは、摂氏370度)で焼成する(焼成工程)ことで、リサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40が得られた。
図4は本実施形態におけるリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の表面状態の顕微鏡写真である。
図4Aは拡大率100倍の顕微鏡写真であり、
図4Bは拡大率500倍の顕微鏡写真である。なお、
図5はバージン粉20のみからなる新品懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体42における表面状態の顕微鏡写真である。なお、新品懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体42の製造方法は、リサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の製造方法と同じである。
図5Aは拡大率100倍の顕微鏡写真であり、
図5Bは拡大率500倍の顕微鏡写真である。
【0020】
図4と
図5を比較すると、
図4に示されているリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の表面状態よりも、
図5に示されている新品懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体42の表面状態の方が均質である。また、リサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40は、新品懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体42に比較して若干暗い色になっている。さらに、リサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の表面状態は、新品懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体42の表面状態に比較して凹凸が多くみられる。なお、両者の表面の触感を官能検査により確認したところ、両者の間にはほとんど触感の差が感じられなかった。以上のような外観の差が生じる原因として次のようなことが考えられる。すなわち、リサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の焼成前の混合体30には、リサイクル粉10の外表面を覆うようにしてバージン粉20が付着し、リサイクル粉10が内部に閉じ込められた状態で互いに隣り合うバージン粉20が溶融して一体化したものと考えられる。
【0021】
本実施形態で得られたリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40から図示しないテストピースを3体切り出し、引張試験(試験方法:JIS K 7137-2)を行ったところ、3つのテストピースにおける平均引張強度は36.4MPaであった。これは同条件で製作した新品懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体42の平均引張強度である40MPaの91.0%に相当する引張強度であり、実用上十分な引張強度(機械的強度)を有していることが確認できた。
【0022】
(第2実施形態)
本実施形態においては、第1実施形態で使用したリサイクル粉10とバージン粉20の混合比率を40:60にして、第1実施形態と同じ方法でリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40を得ている。本実施形態においては、リサイクル粉:バージン粉の質量比を40:60とした状態で撹拌装置により機械的に混合させることで混合体30を得た。
図6は、本実施形態における混合体30の顕微鏡写真である。
図6Aは拡大率100倍の顕微鏡写真であり、
図6Bは拡大率500倍の顕微鏡写真である。本実施形態における混合体30は、第1実施形態における混合体30に比較すると、1粒あたりのリサイクル粉10に対するバージン粉20の付着量は減少しているものの、リサイクル粉10の外表面には複数のバージン粉20が付着した状態になっている。
【0023】
図7は、
図6に示す本実施形態における混合体を第1実施形態と同一手順および同一条件で焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉のリサイクル方法を実施して得られたリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体の表面状態の顕微鏡写真である。
図7Aは拡大率100倍の顕微鏡写真であり、
図7Bは拡大率500倍の顕微鏡写真である。
図7と
図4を比較すると、本実施形態におけるリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の表面状態は第1実施形態におけるリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の表面状態と同程度であるといえる。
【0024】
第2実施形態で得られたリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40についても第1実施形態と同様に3つのテストピースを切り出し、第1実施形態と同一条件で引張試験を行ったところ、3つのテストピースの平均引張強度は27.8MPaであった(
図8参照)。これは第1実施形態のテストピースの平均引張強度の76.4%であり、同条件で製作した新品懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体42における平均引張強度の69.5%であった。
【0025】
(第3実施形態)
本実施形態においては、リサイクル粉:バージン粉の質量割合を20:80にして、第1実施形態および第2実施形態と同一手順および同一条件で得られた混合体30を用いている。本実施形態における混合体30を焼成してリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40を得た。本実施形態で得られたリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40を用いて第1実施形態および第2実施形態と同一条件で引張試験を行った結果、平均引張強度は34.3MPaであった(
図8参照)。これは第1実施形態のテストピースの平均引張強度の94.2%であり、同条件で製作した新品懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体42における平均引張強度の85.8%であった。
【0026】
(第4実施形態)
本実施形態においては、リサイクル粉:バージン粉の質量割合を30:70にして、第1実施形態ないし第3実施形態と同一手順および同一条件で得られた混合体30を用いている。本実施形態における混合体30を焼成してリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40を得た。本実施形態で得られたリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40を用いて第1実施形態ないし第3実施形態と同一条件で引張試験を行った結果、平均引張強度は31.5MPaであった(
図8参照)。これは第1実施形態のテストピースの平均引張強度の86.5%であり、同条件で製作した新品懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体42における平均引張強度の78.8%であった。
【0027】
出願人が確認したところ、第1実施形態ないし第4実施形態で得られたリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40においては、表面状態や色合いに大きな差はみられなかった。しかしながら、
図8に示すように、リサイクル粉10の混合比率が高まるにつれて、リサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の平均引張強度の低下率は徐々に増大している。とはいえ、リサイクル粉10の混合比率が40%のリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の平均引張強度は、新品懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体42の引張強度の半分を大幅に上回る(69.5%)の強度を有しており、フッ素樹脂焼成体の実用領域において十分な強度を有しているといえる。このように、リサイクル粉10と、リサイクル粉10の平均粒径よりも大きい平均粒径に調製されたバージン粉20とを混合してリサイクル粉10の外表面にバージン粉20を付着させた混合体30は、リサイクル粉10を有効に利用することができることが分かった。そして、第1実施形態ないし第4実施形態における混合体30を用いて成形したリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40は、リサイクル粉10の有効利用に貢献することができる。
【0028】
(第5実施形態)
本実施形態は、第1実施形態におけるリサイクル粉10の平均粒径寸法を25μmにしたものであり、リサイクル粉10の平均粒径寸法以外の条件は、第1実施形態と共通である。本実施形態における混合体30の顕微鏡写真を
図9に示す。
図9Aは拡大率100倍の顕微鏡写真であり、
図9Bは拡大率500倍の顕微鏡写真である。
図9から明らかなように、リサイクル粉10の外表面はバージン粉20によって覆われた状態になっている。バージン粉20の比率が高いため、バージン粉20どうしが隣接した状態になっている。本実施形態における混合体30を用い、第1実施形態と同一の手順および条件で生成したリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の顕微鏡写真を
図10に示す。
図10Aは拡大率100倍の顕微鏡写真であり、
図10Bは拡大率500倍の顕微鏡写真である。
【0029】
図10から明らかなように、本実施形態におけるリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40は、第1実施形態におけるリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40に対し、表面状態および色合いが良好であり、バージン粉20のみで製造した新品懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体42の表面状態および色合いに近いといえる。本実施形態におけるリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40から第1実施形態と同様に3つのテストピースを切り出し、第1実施形態と同様に引張試験を行った。この結果、本実施形態のリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の平均引張強度は、32.2MPaであり(
図11参照)、新品懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体42の引張強度の80.5%であった。この結果より、実施形態におけるリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40は、実用上十分な引張強度を有しており、強度と外観の両方に対する要求度が高い場所への使用に適しているといえる。
【0030】
(第6実施形態)
本実施形態は、第2実施形態におけるリサイクル粉10の平均粒径寸法を25μmにしたものであり、リサイクル粉10の平均粒径寸法以外の条件は、第2実施形態と共通である。本実施形態における混合体30の顕微鏡写真を
図12に示す。
図12Aは拡大率100倍の顕微鏡写真であり、
図12Bは拡大率500倍の顕微鏡写真である。本実施形態における混合体30は、第5実施形態における混合体30に比較すると、1粒あたりのリサイクル粉10に対するバージン粉20の付着量は減少しているものの、リサイクル粉10の外表面には複数のバージン粉20が付着した状態になっている。
【0031】
本実施形態における混合体30を用い、第5実施形態と同一の手順および条件で生成したリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の顕微鏡写真を
図13に示す。
図13Aは拡大率100倍の顕微鏡写真であり、
図13Bは拡大率500倍の顕微鏡写真である。本実施形態におけるリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の表面状態は、第2実施形態におけるリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の表面状態よりも肌理が揃っており均質であるといえる。本実施形態におけるリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40から3つのテストピースを切り出し、第5実施形態と同一条件で引張試験を行った。その結果、平均引張強度は23.0MPaとなり(
図11参照)、これは第5実施形態におけるリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の引張強度の71.4%であって、新品懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体42の引張強度の57.5%であった。
【0032】
(第7実施形態)
本実施形態は、第3実施形態におけるリサイクル粉10の平均粒径寸法を25μmにしたものであり、リサイクル粉10の平均粒径寸法以外の条件は、第3実施形態と共通である。本実施形態における混合体30を用いて第3実施形態と同一手順および同一条件でリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40を製造した。本実施形態におけるリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40から3つのテストピースを切り出し、第5実施形態および第6実施形態と同一条件で引張試験を行った。その結果、平均引張強度は29.3MPaとなり(
図11参照)、これは第5実施形態におけるリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の引張強度の91.0%であって、新品懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体42の引張強度の73.3%になった。
【0033】
(第8実施形態)
本実施形態は、第4実施形態におけるリサイクル粉10の平均粒径寸法を25μmにしたものであり、リサイクル粉10の平均粒径寸法以外の条件は、第4実施形態と共通である。本実施形態における混合体30を用いて第4実施形態と同一手順および同一条件でリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40を製造した。本実施形態におけるリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40から3つのテストピースを切り出し、第5実施形態ないし第7実施形態と同一条件で引張試験を行った。その結果、平均引張強度は26.3MPaとなり(
図11参照)、これは第5実施形態におけるリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の引張強度の81.7%であって、新品懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体42の引張強度の65.8%になった。
【0034】
出願人が確認したところ、第5実施形態ないし第8実施形態で得られたリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の間においては、表面状態および色合いには大きな差はみられないが、いずれも第1実施形態ないし第4実施形態で得られたリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40よりは表面状態および色合いが良好(バージン粉20のみで焼成した新品懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体42の状態に近い)である。また、
図11に示すように、リサイクル粉10の混合比率が高まるにつれて、リサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の平均引張強度の低下率は徐々に増大していることがいえる。
【0035】
以上の第1実施形態ないし第8実施形態で得られたリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の引張強度は、リサイクル粉10の混合比率が同じ場合、平均粒径寸法の大きいリサイクル粉10を用いたリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の方が高くなっている。これは、リサイクル粉10がバージン粉20のフィラー(骨材)として作用する際においては、フィラー(骨材)としてのリサイクル粉10の粒の大きさは、バージン粉20の平均粒径寸法に対してある程度の大きさを有することが好ましいものと推測される。また、以上の第1実施形態ないし第8実施形態で得られたリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の外観状態は、リサイクル粉10の混合比率が同じ場合、バージン粉20の平均粒径寸法に対しリサイクル粉10の平均粒径寸法が小さい方がより良い外観状態を呈している。これは、リサイクル粉10が細かい方がバージン粉20によって確実に覆われた状態で焼成することができるためと推測される。これらのことから、引張強度(機械的強度)が重要視される使用箇所においては、リサイクル粉10の平均粒径を大きくすることが好ましく、外観状態が重要視される使用箇所においては、リサイクル粉10の平均粒径を小さくすることが好ましいことが分かった。
【0036】
以上に本発明にかかる焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉(リサイクル粉10)とバージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉(バージン粉20)の混合体30、これを用いたリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40、焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉のリサイクル方法を採用することにより、従来はリサイクルが困難であった焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の再利用が可能になり、焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の廃棄量を大幅に削減し、鉱物資源の保護および廃棄費用の低減が可能になった。また、混合体30およびリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40におけるリサイクル粉10の重量比率を40%に高めることができ、リサイクル粉10の使用率(リサイクル率)を高めることができた。
【0037】
以上の実施形態においては、バージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉(バージン粉20)の平均粒径寸法(第2所定平均粒径寸法)は、焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉(リサイクル粉10)の平均粒径寸法(第1所定平均粒径寸法)よりも大きい実施形態を例示しているが、この形態に限定されるものではない。出願人による簡易実験を行った結果、バージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の平均粒径寸法(第2所定平均粒径寸法)が焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の平均粒径寸法(第1所定平均粒径寸法)と同一であった場合でも、上記第1実施形態ないし第4実施形態および第5実施形態ないし第8実施形態と同様の傾向があることが確認されている。
【0038】
また、以上に説明した実施形態における各種変形例どうしを適宜組み合わせた構成を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0039】
10:リサイクル粉(焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉)
20:バージン粉(バージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉)
30:混合体(焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉とバージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の混合体)
40:リサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体
42:新品懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体
【手続補正書】
【提出日】2023-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉と、バージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉と、を含み、
前記バージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の平均粒径寸法は、前記焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の平均粒径寸法以上であって、
前記焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉が前記バージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉に突き刺さっていることを特徴とする焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉とバージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の混合体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決するために発明者が鋭意研究した結果、以下の構成に想到した。すなわち本発明は、焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉と、バージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉と、を含み、前記バージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の平均粒径寸法は、前記焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の平均粒径寸法よりも大きく形成されており、前記焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉が前記バージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉に突き刺さっていることを特徴とする焼成後懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉とバージン材懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂粉の混合体である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
出願人が確認したところ、第1実施形態ないし第4実施形態で得られたリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40においては、表面状態や色合いに大きな差はみられなかった。しかしながら、
図8に示すように、リサイクル粉10の混合比率が高まるにつれて、リサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の平均引張強度の低下率は徐々に増大している。とはいえ、リサイクル粉10の混合比率が40%のリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40の平均引張強度は、新品懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体42の引張強度の半分を大幅に上回る(69.5%
)強度を有しており、フッ素樹脂焼成体の実用領域において十分な強度を有しているといえる。このように、リサイクル粉10と、リサイクル粉10の平均粒径よりも大きい平均粒径に調製されたバージン粉20とを混合してリサイクル粉10の外表面にバージン粉20を付着させた混合体30は、リサイクル粉10を有効に利用することができることが分かった。そして、第1実施形態ないし第4実施形態における混合体30を用いて成形したリサイクル懸濁重合法由来四フッ化エチレン樹脂焼成体40は、リサイクル粉10の有効利用に貢献することができる。