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特開2024-157205データ変換装置、及びデータ変換方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157205
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】データ変換装置、及びデータ変換方法
(51)【国際特許分類】
   B61L 27/00 20220101AFI20241030BHJP
【FI】
B61L27/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071415
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】木下 祐紀子
(72)【発明者】
【氏名】手島 久典
(72)【発明者】
【氏名】王 偉
【テーマコード(参考)】
5H161
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161JJ12
5H161JJ36
(57)【要約】
【課題】移動体の運行計画データを変換する。
【解決手段】変換元システム運行計画データから移動体、駅、及び着発時刻の情報からなる移動体三要素情報を抽出し、移動体が移動する駅と着発時刻を表す駅ノードテーブル、及び駅間要素テーブルからなる駅/着発時刻構造グラフを生成する駅/着発時刻構造グラフ生成部と、統合・複製ルールに従って前記駅/着発時刻構造グラフを構成する前記駅間要素テーブルにおける各項目の情報を統合・複製する駅間要素統合・複製部と、前記移動体を切り替える駅を特定し、前記駅/着発時刻構造グラフを構成する前記駅間要素テーブルを前記移動体の単位に結合・分割する移動体結合・分割部と、前記変換元システム運行計画データ、前記駅/着発時刻構造グラフ、及び変換先システムデータ構造情報に基づいて変換先システム運行計画データを生成する変換先システム運行計画データ作成部とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変換元システム運行計画データを変換先システム運行計画データに変換するデータ変換装置であって、
1以上の演算装置と、1以上のメモリリソースと、1以上の記憶装置と、を備え、
前記変換元システム運行計画データは、定められた経路上を走行する移動体の運行計画データであって、変換元システムに適したデータ構造を有し、
前記変換先システム運行計画データは、定められた経路上を走行する移動体の運行計画データであって、変換先システムに適したデータ構造を有し、
前記演算装置が、変換元システム移動体三要素対応表、及び変換元システムデータ構造情報に基づいて、前記変換元システム運行計画データから移動体、駅、及び着発時刻の情報からなる移動体三要素情報を抽出し、前記移動体三要素情報に基づいて、移動体が移動する駅と着発時刻を表す駅ノードテーブル、及び駅間要素テーブルからなる駅/着発時刻構造グラフを生成する駅/着発時刻構造グラフ生成部と、
前記演算装置が、統合・複製ルールに従って前記駅/着発時刻構造グラフを構成する前記駅間要素テーブルにおける各項目の情報を統合・複製する駅間要素統合・複製部と、
前記演算装置が、変換元システム前後運用情報と前記変換元システム運行計画データに基づいて、前記移動体を切り替える駅を特定し、前記駅/着発時刻構造グラフを構成する前記駅間要素テーブルを前記移動体の単位に結合・分割する移動体結合・分割部と、
前記演算装置が、前記変換元システム運行計画データ、前記駅/着発時刻構造グラフ、及び変換先システムデータ構造情報に基づいて前記変換先システム運行計画データを生成する変換先システム運行計画データ作成部と、を有することを特徴とするデータ変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ変換装置であって、
前記駅間要素統合・複製部は、前記駅/着発時刻構造グラフを構成する前記駅間要素テーブルにおいて同一の駅における着発時刻が等しい駅間要素グループを設定し、前記駅間要素グループ毎に、前記駅間要素テーブルにおける各項目の情報を統合・複製することを特徴とするデータ変換装置。
【請求項3】
請求項1に記載のデータ変換装置であって、
前記演算装置が、前記変換元システム及び前記変換先システムそれぞれについて、サンプル前後運用情報から、物理的につながる移動体に対する識別番号の切り替えが生じる運用タイプと、前記識別番号の切替方法とを移動体切替情報として抽出する移動体切替情報抽出部を有し、
前記移動体結合・分割部は、前記変換元システムと前記変換先システムとの前記移動体切替情報の差異に基づいて、前記駅/着発時刻構造グラフを構成する前記駅間要素テーブルを前記移動体の単位に結合・分割することを特徴とするデータ変換装置。
【請求項4】
請求項3に記載のデータ変換装置であって、
前記駅間要素統合・複製部は、前記駅/着発時刻構造グラフを構成する前記駅間要素テーブルにおいて同一の駅における着発時刻が等しい駅間要素グループを設定し、
前記移動体結合・分割部は、前記駅間要素テーブルにおける隣り合う前記駅間要素グループのうち、移動体に関する属性値が同一であるものに対して共通の仮移動体番号を付与した後、前記変換元システムと前記変換先システムとの前記移動体切替情報の差異に基づいて前記仮移動体番号を変更することを特徴とするデータ変換装置。
【請求項5】
請求項1に記載のデータ変換装置であって、
前記演算装置が、前記変換元システム及び前記変換先システムそれぞれについて、サンプル運行計画データ、前記サンプル運行計画データに基づくサンプル駅/着発時刻構造グラフ、及び前記サンプル駅/着発時刻構造グラフに基づく移動体三要素対応表から、前記移動体にバリエーションが生じる条件を表すバリエーション情報を抽出するバリエーション情報抽出部を有し、
前記駅間要素統合・複製部は、前記バリエーション情報の前記変換元システムと前記変換先システムとの差異に基づいて、前記統合・複製ルールが定める複数の統合・複製処理の中から実行する統合・複製処理を決定することを特徴とするデータ変換装置。
【請求項6】
請求項5に記載のデータ変換装置であって、
前記バリエーション情報抽出部は、前記移動体の車両組成、及び運行日の少なくとも一方をバリエーション属性に設定し、前記バリエーション属性の属性値の記述方式をバリエーションタイプに分類して前記バリエーション情報を生成することを特徴とするデータ変換装置。
【請求項7】
請求項6に記載のデータ変換装置であって、
前記駅間要素統合・複製部は、前記バリエーション属性毎に、前記変換元システムと前記変換先システムとの前記バリエーションタイプの組み合わせに基づいて、前記統合・複製ルールが定める複数の統合・複製処理の中から実行する統合・複製処理を決定することを特徴とするデータ変換装置。
【請求項8】
請求項6に記載のデータ変換装置であって、
前記駅間要素統合・複製部は、前記変換先システムの前記バリエーションタイプに基づいて前記統合・複製ルールに設定されている優先度に従い、前記統合・複製処理の実行順序を決定することを特徴とするデータ変換装置。
【請求項9】
請求項1に記載のデータ変換装置であって、
前記駅/着発時刻構造グラフ生成部は、前記変換元システム運行計画データに不足があった場合、前記変換元システム運行計画データにおける同一の駅ノードまたは駅間要素の情報を用いて前記不足を補間することを特徴とするデータ変換装置。
【請求項10】
計算機が、変換元システム運行計画データを変換先システム運行計画データに変換するデータ変換装置によるデータ変換方法であって、
前記変換元システム運行計画データは、定められた経路上を走行する移動体の運行計画データであって、変換元システムに適したデータ構造を有し、
前記変換先システム運行計画データは、定められた経路上を走行する移動体の運行計画データであって、変換先システムに適したデータ構造を有し、
前記計算機は、1以上の演算装置と、1以上のメモリリソースと、1以上の記憶装置と、を有し、
前記演算装置が、変換元システム移動体三要素対応表、及び変換元システムデータ構造情報に基づいて、前記変換元システム運行計画データから移動体、駅、及び着発時刻の情報からなる移動体三要素情報を抽出し、前記移動体三要素情報に基づいて、移動体が移動する駅と着発時刻を表す駅ノードテーブル、及び駅間要素テーブルからなる駅/着発時刻構造グラフを生成する駅/着発時刻構造グラフ生成ステップと、
前記演算装置が、統合・複製ルールに従って前記駅/着発時刻構造グラフを構成する前記駅間要素テーブルにおける各項目の情報を統合・複製する駅間要素統合・複製ステップと、
前記演算装置が、変換元システム前後運用情報と前記変換元システム運行計画データに基づいて、前記移動体を切り替える駅を特定し、前記駅/着発時刻構造グラフを構成する前記駅間要素テーブルを前記移動体の単位に結合・分割する移動体結合・分割ステップと、
前記演算装置が、前記変換元システム運行計画データ、前記駅/着発時刻構造グラフ、及び変換先システムデータ構造情報に基づいて前記変換先システム運行計画データを生成する変換先システム運行計画データ作成ステップと、を含むことを特徴とするデータ変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ変換装置、及びデータ変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、鉄道や路線バス等のように定められた経路上を走行する移動体の運行計画データは、鉄道会社等の運営会社が採用した運行管理システムによって管理されている。そして、例えば、運営会社が採用する運行管理システムを他の運行管理システムに変換するような場合、変換元の運行管理システムに適していた運行計画データを、変換先の運行管理システムに適していた運行計画データに変換する必要がある。
【0003】
従来、運行計画データを変換するには、その都度、変換元と変換先の運行管理システムを解析してデータ変換装置を設計、開発する必要があった。
【0004】
データの変換に関し、例えば特許文献1には「1又は複数の現場においてそれぞれ収集された1又は複数の現場データを利用してサービスを提供するサービス装置に現場データを提供するデータ提供装置において、予め登録された、前記現場データの仕様を含む各前記現場データの説明情報と、前記サービスが要求する前記現場データ及び当該現場データの仕様を含む前記サービスの説明情報と、前記現場データの仕様を当該現場データを利用する前記サービスが要求する仕様に変換するための変換ルールとを記憶する記憶部と、前記サービス装置からの前記現場データの転送要求に応じて、前記現場データの説明情報、前記サービスの説明情報及び前記変換ルールを参照して、当該サービス装置が提供する前記サービスが利用するすべての前記現場データを、それぞれ前記サービスが要求する仕様のデータに変換して前記サービス装置に送信する現場データ変換実行部とを備えることを特徴とするデータ提供装置。」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-072958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のデータ提供装置によれば、変換元のデータと変換先のデータとの粒度の違いを吸収できる。しかしながら、移動体の運行計画データを変換するに際しては、粒度の吸収だけでは不十分であり、変換元先の様々な運行管理システムに対応しつつ、移動体の運行計画データを変換できるデータ変換装置は現状において存在しない。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、変換元先の様々な運行管理システムに対応できる汎用性を有し、移動体の運行計画データを変換できるデータ変換装置、データ変換方法、及びデータ変換システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下の通りである。
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係るデータ変換装置は、変換元システム運行計画データを変換先システム運行計画データに変換するデータ変換装置であって、1以上の演算装置と、1以上のメモリリソースと、1以上の記憶装置と、を備え、前記変換元システム運行計画データは、定められた経路上を走行する移動体の運行計画データであって、変換元システムに適したデータ構造を有し、前記変換先システム運行計画データは、定められた経路上を走行する移動体の運行計画データであって、変換先システムに適したデータ構造を有し、前記演算装置が、変換元システム移動体三要素対応表、及び変換元システムデータ構造情報に基づいて、前記変換元システム運行計画データから移動体、駅、及び着発時刻の情報からなる移動体三要素情報を抽出し、前記移動体三要素情報に基づいて、移動体が移動する駅と着発時刻を表す駅ノードテーブル、及び駅間要素テーブルからなる駅/着発時刻構造グラフを生成する駅/着発時刻構造グラフ生成部と、前記演算装置が、統合・複製ルールに従って前記駅/着発時刻構造グラフを構成する前記駅間要素テーブルにおける各項目の情報を統合・複製する駅間要素統合・複製部と、前記演算装置が、変換元システム前後運用情報と前記変換元システム運行計画データに基づいて、前記移動体を切り替える駅を特定し、前記駅/着発時刻構造グラフを構成する前記駅間要素テーブルを前記移動体の単位に結合・分割する移動体結合・分割部と、前記演算装置が、前記変換元システム運行計画データ、前記駅/着発時刻構造グラフ、及び変換先システムデータ構造情報に基づいて前記変換先システム運行計画データを生成する変換先システム運行計画データ作成部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、変換元先の様々な運行管理システムに対応できる汎用性を有し、移動体の運行計画データを変換することが可能となる。
【0011】
上記した以外の課題、構成、及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の概要を示す図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係るデータ変換システムの構成例を示す図である。
図3図3は、データ変換装置を実現するコンピュータの構成例を示す図である。
図4図4は、各システムサンプル運行計画データの一例を示す図である。
図5図5は、各システムサンプル前後運用情報のデータ構造の一例を示す図である。
図6図6は、各システム移動体三要素対応表のデータ構造の一例を示す図である。
図7図7は、各システムデータ構造情報のデータ構造の一例を示す図である。
図8図8は、データ変換処理の一例を示すフローチャートである。
図9A図9Aは、移動体切替情報抽出処理の一例を示すフローチャートである。
図9B図9Bは、移動体切替情報の一例を示す図である。
図10A図10Aは、駅/着発時刻構造グラフ生成処理の一例を示すフローチャートである。
図10B図10Bは、移動体三要素情報の一例を示す図である。
図11図11は、駅ノードテーブルの一例を示す図である。
図12図12は、駅間要素テーブルの一例を示す図である。
図13図13は、駅/着発時刻構造グラフのイメージを示す図である。
図14図14は、バリエーション情報抽出処理の一例を示すフローチャートである。
図15図15は、ステップS302,S303の処理を示す図である。
図16図16は、ステップS304~S310の処理を示す図である。
図17図17は、データ変換設定情報一覧画面の表示例を示す図である。
図18図18は、駅間要素統合・複製処理の一例を示すフローチャートである。
図19図19は、ステップS503の処理を示す図である。
図20図20は、ステップS504,S505の処理を示す図である。
図21図21は、移動体結合・分割処理の一例を示すフローチャートである。
図22図22は、ステップS602,S603の処理を示す図である。
図23図23は、ステップS606~S608の処理を示す図である。
図24図24は、変換先システム運行計画データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合、及び原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須ではない。また、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除しない。同様に、以下の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0014】
<本発明の概要>
図1は、本発明の概要を示す図である。
【0015】
本発明は、例えば、運営会社が採用する運行管理システムを他の運行管理システムに変換するような場合において、変換元の運行管理システムに適していた運行計画データ(変更元システム運行計画データ)を、変換先の運行管理システムに適していた運行計画データ(変更先システム運行計画データ)に変換する場合に用いるものである。
【0016】
なお、本発明は、上述した例の他、例えば、ある鉄道会社の列車を他鉄道会社の路線に乗り入れたり、日本で採用している運行管理システムを外国に輸出したり、運行管理システムが管理する運行計画データを他のサービスシステム(旅客案内システム等)において共用したりするような場合にも適用できる。
【0017】
具体的には、変換元システム運行計画データを、移動体が発着する駅をノード、駅と駅との経路をエッジと見做して、移動体三要素(移動体、駅、着発時刻)と他属性に分離し、移動体三要素から駅/着発時刻構造グラフを生成する。また、変換元システム運行計画データと変換先システム運行計画データとのそれぞれから移動体切替情報、及びバリエーション情報を生成する。そして、駅/着発時刻構造グラフ、移動体切替情報、及びバリエーション情報に基づいて、変換元システム運行計画データを変換先システム運行計画データに変換するものである。
【0018】
移動体切替情報は、駅における移動体切換条件、具体的には、駅において物理的につながる移動体を表す番号(列車番号)が変更される場合の運行タイプ(折返、分割、併合、行先変更、継走(番線変更、行き先変更等)等)に対応付けて切替方法(番号の変更規則)が記録された情報である。
【0019】
バリエーション情報とは、移動体の運行日や車両組成の記述方式を表す情報である。
【0020】
以下に説明する実施形態においては、移動体として鉄道の列車を例に挙げて説明する。列車とは、1両または2両以上の車両が連結された車両組成を指すものとする。ただし、移動体とは、鉄道の列車に限らず、定められた経路を走行するバス、トラム、モノレール等を含むものとする。
【0021】
<本発明の一実施形態に係るデータ変換システム10の構成例>
図2は、本発明の一実施形態に係るデータ変換システム10の構成例を示している。
【0022】
データ変換システム10は、データ変換装置20、データ変換装置20とネットワーク11を介して接続された変換元交通サービスシステム50、及び変換先交通サービスシステム60を備える。
【0023】
ネットワーク11は、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)、インターネット等の双方向通信網である。
【0024】
変換元交通サービスシステム50は、例えば、鉄道の運行計画を立案する計画立案システムである。変換先交通サービスシステム60は、例えば、鉄道の運行を管理する運行管理システムや、鉄道を利用した旅行案内サービスを管理する旅客案内システム等である。変換元交通サービスシステム50,及び変換先交通サービスシステム60には、1または複数のシステムを設けることができる。
【0025】
変換先交通サービスシステム60に複数のシステムを設けた場合、変換元交通サービスシステム50と変換先交通サービスシステム60とでデータを同期できることに加えて、変換先交通サービスシステム60に設けた複数のシステム間でもデータを同期させることができる。
【0026】
なお、変換元交通サービスシステム50、及び変換先交通サービスシステム60は、計画立案システム、運行管理システム、旅行案内システムの他、例えば、ダイヤ評価システム、遅延予測システム、交通人流シミュレーション等であってもよい。
【0027】
以下の説明において、各システムとは、変換元交通サービスシステム50、及び変換先交通サービスシステム60を指すものとする。また、変換元交通サービスシステム50を変換元システム、変換先交通サービスシステム60を変換先システムと称することもある。
【0028】
データ変換装置20は、サーバコンピュータやパーソナルコンピュータ等の一般的なコンピュータ100(図3)によって実現される。
【0029】
図3は、データ変換装置20を実現する一般的なコンピュータ100の構成例を示している。コンピュータ100は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ101、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等のメモリ102、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等のストレージ103、キーボードやマウス、メディアドライブ等の入力デバイス104、ディスプレイ等の出力デバイス105、及びEthernet(登録商標)カードやWi-Fi(商標)アダプタ等の通信モジュール106を備える。
【0030】
データ変換装置20(コンピュータ100)は、プロセッサ101がメモリ102に格納されたプログラム107を実行することにより、データ取得部21、駅/着発時刻構造グラフ生成部22、設定情報生成部23、及びデータ変換部24の各機能ブロックを実現する。
【0031】
なお、プロセッサ101が実行するプログラム107は、予めメモリ102に格納しておいてもよいし、リムーバブルメディア(CD-ROM、フラッシュメモリ等)又はネットワーク11を介して所定のサーバ等からダウンロードし、非一時的記憶媒体であるストレージ103に格納しておき、必要な時に、ストレージ103から読み出すようにしてもよい。このため、データ変換装置20(コンピュータ100)は、リムーバブルメディアからデータを読み込むインターフェースを有するとよい。
【0032】
また、データ変換装置20は、物理的に一つの計算機上で、又は、論理的又は物理的に構成された複数の計算機上で構成される計算機システムであり、複数の物理的計算機資源上に構築された仮想計算機上で動作してもよい。例えば、データ変換装置20の機能を実現する複数のプログラムは、各々が別個の物理的又は論理的計算機上で動作するものでも、複数が組み合わされて一つの物理的又は論理的計算機上で動作するものでもよい。
【0033】
また、データ変換装置20(コンピュータ100)は、ストレージ103に、統合・複製ルール30、入力DB(データベース)31、及び、出力DB41を保持する。
【0034】
統合・複製ルール30には、変換元交通サービスシステム50と変換先交通サービスシステム60のバリエーションタイプとの組み合わせに対応付けて、実行すべき統合・複製処理とその優先度(その値が小さい程、優先度が高い)が記録されている(図19参照)。なお、優先度は、変換先交通サービスシステム60のバリエーションタイプに応じて設定されており、基本的にはバリエーションタイプが「値型」の場合の優先度が最も高く、「なし」の場合の優先度が最も低くなるように設定されている。
【0035】
入力DB31には、各システムサンプル運行計画データ32、各システムサンプル前後運用情報33、各システム移動体三要素対応表34、各システムデータ構造情報35、変換元システム運行計画データ36、変換元システム前後運用情報37、及び変換先システムデータ構造情報38が格納される。
【0036】
出力DB41は、各システムサンプル駅/着発時刻構造グラフ42、各システム移動体切替情報43、各システムバリエーション情報44、変換先システム運行計画データ45、及び駅/着発時刻構造グラフ46が格納される。
【0037】
データ取得部21は、各システムからサンプルの運行計画データ、前後運用情報、移動体三要素対応表、及びデータ構造情報を取得し、各システムサンプル運行計画データ32、各システムサンプル前後運用情報33、各システム移動体三要素対応表34、及び各システムデータ構造情報35として入力DB31に格納する。また、データ取得部21は、変換元交通サービスシステム50から変換元の運行計画データ、前後運用情報、及びデータ構造情報を取得し、変換元システム運行計画データ36、変換元システム前後運用情報37、及び変換先システムデータ構造情報38として入力DB31に格納する。
【0038】
駅/着発時刻構造グラフ生成部22は、後述するサンプル駅/着発時刻構造グラフ生成処理(図8のステップS2)、及び駅/着発時刻構造グラフ生成処理(図8のステップS4)を実行する。
【0039】
設定情報生成部23は、移動体切替情報抽出部231、及びバリエーション情報抽出部232に細分化されている。移動体切替情報抽出部231は、後述する移動体切替情報抽出処理(図8のステップS1)を実行する。バリエーション情報抽出部232は、後述するバリエーション情報抽出処理(図8のステップS3)を実行する。
【0040】
データ変換部24は、駅間要素統合・複製部241、移動体結合・分割部242、及び変換先システム運行計画データ生成部243に細分化されている。駅間要素統合・複製部241は、後述する駅間要素統合・複製処理(図8のステップS5)を実行する。移動体結合・分割部242は、後述する移動体結合・分割処理(図8のステップS6)を実行する。変換先システム運行計画データ生成部243は、後述する変換先システム運行計画データ生成処理(図8のステップS7)を実行する。
【0041】
次に、図4は、各システムサンプル運行計画データ32の一例である変換元システム運行計画データ36のデータ構造の一例を示している。なお、同図は運行計画データの一例に過ぎず、各システムによってそのデータ構造は異なる。
【0042】
変換元システム運行計画データ36は、列車テーブル、駅テーブル、及び着発時刻テーブルからなる。列車テーブルには、一つの列車を特定するための列車番号に対応付けて、当該列車が停車する一つ以上の駅の駅ID、運行日等の各項目の情報が記録されている。駅テーブルには、列車テーブルに記録された各駅IDに対応付けて、駅コード、時刻ID、走行順(列車の停車順)、番線等の各項目の情報が記録されている。着発時刻テーブルには、駅テーブルに記録された各時刻IDに対応付けて、着時刻、発時刻等の各項目の情報が記録されている。
【0043】
同図の場合、例えば、列車番号が「Tr-A」の列車は、駅IDが「St-A-A」、「St-A-B」の駅に順に止まり、運行日が月曜日であることを表している。そして、駅IDが「St-A-A」の駅は、駅コードが「St-A」であり、時刻IDが「Tm-A-A」であって、走行順(当該列車の停車順)が1番目であって、停車する番線(プラットホーム)は「Pf-3」であることを表している。さらに、着発時刻テーブルの時刻IDが「Tm-A-A」は、着時刻が「08:00:10」、発時刻が「08:02:20」であることを表している。
【0044】
次に、図5は、各システムサンプル前後運用情報33のデータ構造の一例を示している。
【0045】
前後運用情報は、折返、分割、併合、行先変更、継走等が行われる各駅に到着した列車の到着時の列車番号と、列車の出発時の列車番号との関係を表すものであり、折返、分割、併合、行先変更、継走等が行われる駅の駅コードに対応付けて、前列車番号(到着時の列車番号)、後列車番号(出発時の列車番号)、及び運用タイプ(折返、分割、併合、行先変更、継走等)の各項目の情報が記録されている。
【0046】
同図の場合、例えば、駅コード「St-D」の駅で列車の折返が行われる場合、その列車の列車番号が「Tr-A」から「Tr-C」に変更されることを表している。また、駅コード「St-C」の駅で列車の分割が行われる場合、その列車の列車番号は「Tr-A」から変更されずに引き継がれることを表している。
【0047】
次に、図6は、各システム移動体三要素対応表34の一例として、変換元システム運行計画データ36(図4)に対応する移動体三要素対応表を示している。
【0048】
移動体三要素対応表は、三要素(移動体、駅、着発時刻)にそれぞれに対応付けて、名称、及び属性名称の各項目の情報が記録される。なお、各システムは、移動体三要素は共通であるが、システムによって名称、及び属性名称は異なる場合がある。
【0049】
同図の場合、三要素の一つである「移動体」の名称が「列車」、属性名称が「列車番号」であり、三要素の一つである「駅」の名称が「駅」、属性名称が「駅コード」であり、三要素の一つである「着発時刻」の名称が「着発時刻」、属性名称が「着時刻」と「発時刻」であることを表している。
【0050】
次に、図7は、各システムデータ構造情報35の一例として、変換元システム運行計画データ36(図4)に対応するデータ構造情報を示している。
【0051】
データ構造情報は、運行計画データの各テーブル(列車、駅、着発時刻)に対応付けて、そのテーブルが有する属性の項目の情報が記録されている。
【0052】
同図の場合、「列車」テーブルは、属性として列車番号、駅ID等を有し、「駅」テーブルは、属性として駅コード、時刻ID、走行順、番線等を有し、「時刻」テーブルは、属性として時刻ID、着時刻、発時刻等を有することを表している。
【0053】
<データ変換装置20によるデータ変換処理について>
次に、図8は、データ変換装置20によるデータ変換処理の一例を示すフローチャートである。
【0054】
データ変換処理の前提として、データ変換装置20の入力DB31には、各システムサンプル運行計画データ32、各システムサンプル前後運用情報33、各システム移動体三要素対応表34、各システムデータ構造情報35、変換元システム運行計画データ36、変換元システム前後運用情報37、及び変換先システムデータ構造情報38が格納されているものとする。
【0055】
データ変換処理は、変換元システム、及び変換先システムに対して実行されるステップS1~S3の処理と、変換元システムと変換先システムとの組み合わせに対して実行されるステップS4~S7の処理とからなる。
【0056】
データ変換処理は、例えば、ユーザからの所定の操作に応じて開始される。始めに、各システムが順次、処理対象に指定されて、移動体切替情報抽出部231が、各システムサンプル前後運用情報33を参照して、移動体切替情報抽出処理を実行することにより、各システム移動体切替情報43を生成して出力DB41に格納する(ステップS1)。
【0057】
<移動体切替情報抽出処理(図8のステップS1)の詳細について>
図9Aは、移動体切替情報抽出部231による移動体切替情報抽出処理の一例を示すフローチャートである。
【0058】
始めに、移動体切替情報抽出部231が、各システムサンプル前後運用情報33から、処理対象のシステムに対応する前後運用情報を取得する(ステップS101)。次に、移動体切替情報抽出部231が、ステップS101で取得した前後運用情報を、運用タイプ(折返、分割、併合、行先変更、継走等)に分類する(ステップS102)。
【0059】
次に、移動体切替情報抽出部231が、各運用タイプに対してステップS103~S105の処理を実行する。まず、移動体切替情報抽出部231が、着目する運用タイプを決定し、着目した運用タイプの運用が行われる駅において、前列車と後列車とで列車番号が変更されるか否かを判定する(ステップS103)。ここで、前列車と後列車とで列車番号が変更されると判定した場合(ステップS103でYES)、移動体切替情報抽出部231が処理をステップS104に進める。
【0060】
次に、移動体切替情報抽出部231が、前列車と後列車の列車番号の切替方法(変更規則)を確認する(ステップS104)。前列車と後列車の列車番号の切替方法としては、例えば、前列車の列車番号を後列車に継承させたり、前列車の列車番号を繰り上げて(番号を1だけ増加して)後列車の列車番号に付与したり、前列車の列車番号と規則性がない列車番号を後列車に付与したりする方法が挙げられる。
【0061】
次に、移動体切替情報抽出部231が、着目している運行タイプに対応付けて、列車番号の切替方法を記録した移動体切替情報(図9B)を生成して出力DB41の各システム移動体切替情報43に登録する(ステップS105)。
【0062】
図9Bは、ステップS105で生成された移動体切替情報の一例を示している。同図の場合、例えば、運用タイプ「折返」には切替方法「規則性なし」が、運用タイプ「分割」には切替方法「継承」が、運用タイプ「併合」には切替方法「繰り上げ」が対応付けされていることを表している。
【0063】
なお、ステップS103において、移動体切替情報抽出部231が、前列車と後列車とで列車番号が変更されないと判定した場合(ステップS103でNO)、ステップS104,S105はスキップされる。そして、全ての運行タイプに対するステップS103~S105の処理が終了した段階で、当該移動体切替情報抽出処理は終了される。
【0064】
図8に戻る。次に、駅/着発時刻構造グラフ生成部22が、各システムサンプル運行計画データ32、各システム移動体三要素対応表34、及び各システムデータ構造情報35を参照して、サンプル駅/着発時刻構造グラフ生成処理を実行することにより、各システムサンプル駅/着発時刻構造グラフ42を生成して出力DB41に格納する(ステップS2)。
【0065】
<サンプル駅/着発時刻構造グラフ生成処理(図8のステップS2)の詳細について>
次に、図10Aは、駅/着発時刻構造グラフ生成部22によるサンプル駅/着発時刻構造グラフ生成処理の一例を示すフローチャートである。
【0066】
始めに、駅/着発時刻構造グラフ生成部22が、各システムサンプル運行計画データ32、各システム移動体三要素対応表34、及び各システムデータ構造情報35を参照し、処理対象のシステムに対応する運行計画データから移動体三要素情報(図10B)を抽出する。さらに、駅/着発時刻構造グラフ生成部22が、各移動体の着発時刻に基づいて、各駅に停車する順序を表す走行順を追加する(ステップS201)。
【0067】
図10Bは、ステップS201で抽出された移動体三要素情報の一例を示している。移動体三要素情報には、移動体三要素の移動体、駅、及び着発時刻、並びに走行順それぞれの情報が記録されている。同図の場合、例えば、移動体「Tr-A」は、駅「St-A」を「08:2:20」に出発し、その後、駅「St-B」、「St-C」を経て、「08:38:25」に駅「St-D」に到着することを表している。
【0068】
次に、駅/着発時刻構造グラフ生成部22が、抽出した移動体三要素情報に含まれる駅と着発時刻との組み合わせに基づいて、駅ノードテーブル(図11)を生成する(ステップS202)。
【0069】
図11は、駅ノードテーブルの一例を示している。駅ノードテーブルには、駅ノードに対応付けて、駅コード、着時刻、及び発時刻が記録される。同図の場合、例えば、駅ノード「B-1」には、駅コード「St-B」、着時刻「08:06:45」、発時刻「08:07:10」が対応付けられている。なお、同じ駅であって同じ着発時刻であっても移動体が異なる場合には、異なる駅ノードが付与される。
【0070】
次に、駅/着発時刻構造グラフ生成部22が、ステップS201で抽出した移動体三要素情報に基づいて、駅間要素テーブル(図12)を生成する(ステップS203)。
【0071】
図12は、駅間要素テーブルの一例を示している。駅間要素テーブルは、移動体の発着駅とその発着時刻を表す情報であり、駅間要素コードに対応付けて、移動体(列車番号)、発駅ノード、着駅ノード、発駅コード、着駅コード、発時刻、及び着時刻が記録される。駅間要素グループについては後述する。
【0072】
同図の場合、例えば、駅間要素コード「AB-1」には、移動体(列車番号)[Tr-A]、発駅ノード「A-1」、着駅ノード「B-1」、発駅コード「St-A」、着駅コード「St-B」、発時刻「08:02:00」、着時刻「08:46:45」が対応付けられている。
【0073】
次に、駅/着発時刻構造グラフ生成部22が、ステップS203で生成した駅間要素テーブルの各駅間要素のうち、発駅コード、着駅コード、発時刻、及び着時刻が共通である複数の駅間要素を同一の駅間要素グループに分類し、共通ではないものについては、1つの駅間要素をそれぞれ異なる駅間要素グループに分類する(ステップS204)。例えば、図12の場合、駅間要素コード「AB-1」と、駅間要素コード「AB-2」とは、発駅コード、着駅コード、発時刻、及び着時刻が共通であるので、同じ駅間要素グループ「a」に分類される。
【0074】
次に、駅/着発時刻構造グラフ生成部22が、ステップS202で生成した駅ノードテーブルと、ステップS204で駅間要素グループに分類した駅間要素テーブルとを、処理対象のシステムに対応する駅/着発時刻構造グラフとして、出力DB41の各システムサンプル駅/着発時刻構造グラフ42に格納する(ステップS205)。以上で、サンプル駅/着発時刻構造グラフ生成処理は終了される。
【0075】
図13は、図11に示された駅ノードテーブル、及び図12に示された駅間要素テーブルからなる駅/着発時刻構造グラフのイメージを示している。駅/着発時刻構造グラフは、移動体(列車番号)、当該列車が停車する駅の駅ノード、及び駅コード、当該駅における着時刻、及び発時刻、次に停車する駅までの駅間要素コードを表すものとなる。
【0076】
なお、駅/着発時刻構造グラフ生成部22は、変換元交通サービスシステム50に対応する駅/着発時刻構造グラフを生成する際、変換元システム運行計画データに不足があった場合には、同一の駅ノードや駅間要素を有する変換元システム運行計画データの情報を用いて不足を補間して駅/着発時刻構造グラフを作成する。
【0077】
図8に戻る。次に、バリエーション情報抽出部232が、各システムサンプル運行計画データ32、各システム移動体三要素対応表34、及び各システムサンプル駅/着発時刻構造グラフ42を参照して、バリエーション情報抽出処理を実行することにより、各システムバリエーション情報44を生成して出力DB41に格納する(ステップS3)。
【0078】
<バリエーション情報抽出処理(図8のステップS3)の詳細について>
図14は、バリエーション情報抽出部232によるバリエーション情報抽出処理の一例を示すフローチャートである。
【0079】
始めに、バリエーション情報抽出部232が、各システムサンプル駅/着発時刻構造グラフ42から、処理対象のシステムに対応するサンプル駅/着発時刻構造グラフを取得する(ステップS301)。
【0080】
次に、バリエーション情報抽出部232が、ステップS301で取得したサンプル駅/着発時刻構造グラフに含まれる駅間要素テーブルの各駅間要素グループに対し、各システム移動体三要素対応表34を参照し、処理対象のシステムにおける移動体の属性名称が列車番号であることを特定する。そして、各システムサンプル運行計画データ32から、対象の駅間要素グループに属する駅間要素と、移動体(列車番号)と、移動体情報(列車番号)に対応する車両組成、運行日、種別等を取得する(ステップS302)。
【0081】
図15は、ステップS302で取得した、同じ駅間要素グループaに属する駅間要素と、移動体(列車番号)と、移動体(列車番号)に対応する車両組成、運行日、種別等情報の一例を示している。
【0082】
次に、バリエーション情報抽出部232が、ステップS302で取得した情報を参照し、駅間要素によって値が異なる属性をバリエーション属性の候補として検出する(ステップS303)。例えば、図15の場合、駅間要素によって値が異なる属性として、車両組成、及び運行日を検出する。
【0083】
次に、バリエーション情報抽出部232が、駅間要素によって値が異なる各属性に対して順に、ステップS304~S310の処理を実行する。
【0084】
まず、バリエーション情報抽出部232が、駅間要素によって値が異なる各属性のうち、対象ではない属性を同一値で分類する(ステップS304)。
【0085】
図16は、図15に示された一例の分類結果を示している。例えば、運行日を対象属性にしている場合、対象属性ではない車両組成を同一値で分類すると、車両組成「1,2,3」と「4,5,6」と「1,2,3,4,5,6」との3種類に分類される。また、例えば、車両組成を対象属性にしている場合、対象属性ではない運行日を同一値で分類すると、運行日「月」「火」等の曜日ごとに分類される。
【0086】
次に、バリエーション情報抽出部232が、ステップS304の分類結果を参照し、全駅間要素グループ内の対象属性の属性値が単数であるか否かを判定する(ステップS305)。ここで、当該属性値が単数であると判定した場合(ステップS305でYES)、次に、バリエーション情報抽出部232が、全駅間要素グループ内の対象属性の属性値が異なるか否かを判定する(ステップS306)。ここで、全駅間要素グループ内の対象属性の属性値が異なると判定された場合(ステップS306でYES)、次に、バリエーション情報抽出部232が、対象属性をバリエーション属性に指定し、そのタイプを「値型」に決定して、各システムバリエーション情報44に記録する(ステップS307)。
【0087】
ステップS306にて、全駅間要素グループ内の対象属性の属性値が異ならない(同一である)と判定された場合(ステップS306でNO)、対象属性はバリエーション属性に指定されず、ステップS307はスキップされる。
【0088】
ステップS305にて、全駅間要素グループ内の対象属性の属性値が単数ではない(複数である)と判定した場合(ステップS305でNO)、次に、バリエーション情報抽出部232が、対象属性の属性値に包含関係があるか否かを判定する(ステップS308)。ここで、対象属性の属性値に包含関係があると判定した場合(ステップS308でYES)、次に、バリエーション情報抽出部232が、対象属性をバリエーション属性に指定し、そのタイプを「部分集合型」に決定して、各システムバリエーション情報44に記録する(ステップS309)。
【0089】
ステップS308にて、対象属性の属性値に包含関係がないと判定した場合(ステップS308でNO)、次に、バリエーション情報抽出部232が、対象属性をバリエーション属性に指定し、そのタイプを「分類型」に決定して、各システムバリエーション情報44に記録する(ステップS310)。以上で、バリエーション情報抽出処理は終了される。
【0090】
図16の場合、例えば、対象属性「運行日」の属性値「月」、「火」等は単数であり、その値が異なるので、バリエーションタイプは「値型」に決定される。また、例えば、対象属性「車両編成」の属性値「1,2,3」、「4,5,6」、「1,2,3,4,5,6」等は単数ではなく(複数であり)、「1,2,3,4,5,6」は「1,2,3」、「4,5,6」を包含するので、バリエーションタイプは「部分集合型」に決定される。また、図示は省略されているが、例えば、対象属性「運行日」の属性値が「月、火、水、木、金」、「土、日、祝」等の場合、これらは単数ではなく(複数であり)、包含関係がないので、バリエーションタイプは「分類型」に決定される。
【0091】
以上説明したように、各システムを処理対象としてステップS1~S3が実行された後、次に、例えば、ユーザによる変換元システムと変換先システムとの組み合わせを指定する操作に応じ、変換元システムと変換先システムとの組み合わせを処理の対象としてステップS4~S7が実行される。
【0092】
図17は、例えば、変換元システムと変換先システムとの組み合わせを指定した際にユーザに提示されるUI画面としてのデータ変換設定情報一覧画面1000の表示例を示している。
【0093】
データ変換設定情報一覧画面1000には、変換元システムと変換先システムとにそれぞれ対応する移動体三要素対応表、バリエーション情報、及び移動体切替情報が表示される。
【0094】
データ変換設定情報一覧画面1000により、ユーザは、変換元先の移動体三要素対応表、バリエーション情報、及び移動体切替情報を確認できる。また、変換元先の移動体三要素対応表、バリエーション情報、及び移動体切替情報に間違いや未記録があった場合、ユーザは間違いを修正したり、未記録の情報を追記したりできる。
【0095】
図8に戻る。次に、例えば、ユーザが指定した変換元システムと変換先システムとの組み合わせが処理対象に設定されて、駅/着発時刻構造グラフ生成部22が、各システム移動体三要素対応表34、各システムデータ構造情報35、及び変換元システム運行計画データ36を参照して、変換元駅/着発時刻構造グラフ生成処理を実行することにより、駅/着発時刻構造グラフ46を生成して出力DB41に格納する(ステップS4)。なお、変換元駅/着発時刻構造グラフ生成処理は、サンプル駅/着発時刻構造グラフ生成処理(ステップS2)と同様であるので、その説明は省略する。
【0096】
次に、駅間要素統合・複製部241が、統合・複製ルール30、変換元システム運行計画データ36、各システムバリエーション情報44、及び駅/着発時刻構造グラフ46を参照して、駅間要素統合・複製処理を実行することにより、駅/着発時刻構造グラフ46を更新する(ステップS5)。
【0097】
<駅間要素統合・複製処理(図8のステップS5)の詳細について>
図18は、駅間要素統合・複製部241による駅間要素統合・複製処理の一例を示すフローチャートである。
【0098】
始めに、駅間要素統合・複製部241が、出力DB41から変換元システム運行計画データ36に基づく駅/着発時刻構造グラフ46(ステップS4で生成されたもの)を取得する(ステップS501)。次に、駅間要素統合・複製部241が、各システムバリエーション情報44から変換元システムと変換先システムとにそれぞれ対応するバリエーション情報を取得する(ステップS502)。次に、駅間要素統合・複製部241が、統合・複製ルール30を参照し、実行する統合・複製処理と、それらの実行順序を決定する(ステップS503)。
【0099】
図19は、ステップS503の処理を示す図である。例えば、同図に示すように、変換元システムのバリエーション情報がバリエーション属性「車両組成」のタイプが「部分集合型」、バリエーション属性「運行日」のタイプが「値型」であり、変換先システムのバリエーション情報がバリエーション属性「運行日」のタイプが「分類型」であると仮定する。この場合、バリエーション属性「車両組成」は、変換元システムでのバリエーションタイプが「部分集合型」、変換先システムでのバリエーションタイプが「なし」であるので、9行目の処理「値の和集合の要素をリスト化し統合、優先度3」の実行が決定される。また、バリエーション属性「運行日」は、変換元システムでのバリエーションタイプが「値型」、変換先システムのバリエーションタイプが「分類型」であるので、1行目の処理「値を定義されたグループにリスト化し統合、優先度2」が決定される。そして、バリエーション属性「運行日」に対する処理は、バリエーション属性「車両組成」に対する処理よりも優先度が高いので、バリエーション属性「運行日」に対する処理の順序が1番目、バリエーション属性「車両組成」に対する処理の順序が2番目に決定される。なお、優先度が等しい場合には、任意の方法で処理の順序を決定すればよい。
【0100】
次に、駅間要素統合・複製部241が、駅/着発時刻構造グラフ46を構成する駅間要素テーブルを参照し、各駅間要素グループを処理対象に指定して、ステップS504,S505の処理を実行する。まず、駅間要素統合・複製部241が、変換元システム運行計画データ36を参照し、バリエーション情報が有する属性値を、処理対象の駅間要素グループが有する駅間要素に付与する(ステップS504)。次に、駅間要素統合・複製部241が、ステップ503で決定した統合・複製処理をその実行順序に従って実行する(ステップS505)。
【0101】
図20は、ステップS504,S505の処理を示す図である。例えば、処理対象が駅間要素グループaである場合、例えば、駅間要素グループaに属する駅間要素「AB-1」に対して、バリエーション属性「車両組成」の属性値「1,2,3」と、バリエーション属性「運行日」の属性値「月」とを付与する。他の駅間要素に対しても同様にする(ステップS504)。次に、「「運行日」の値を定義されたグループにリスト化し統合」する処理を行う。この結果、バリエーション属性「運行日」の属性値が「月、火、水、木、金」にリスト化される。次に、「「車両組成」の値の和集合の要素をリスト化し統合」する処理を行う。この結果、バリエーション属性「車両組成」の属性値が「1,2,3,4,5,6」にリスト化される。なお、統合・複製処理においては、駅間要素、移動体、発駅ノード、着駅ノード等(図20では図示省略)もリスト化される。
【0102】
そして、全ての駅間要素グループに対してステップS504,S505の処理を実行した後、次に、駅間要素統合・複製部241が、駅/着発時刻構造グラフ46を構成する駅間要素テーブルを統合・複製処理後のものに更新する(ステップS506)。以上で、駅間要素統合・複製処理は終了される。
【0103】
図8に戻る。次に、移動体結合・分割部242が、変換元システム運行計画データ36、変換元システム前後運用情報37、各システム移動体切替情報43、及び各システムバリエーション情報44を参照して、移動体結合・分割処理を実行することにより、駅/着発時刻構造グラフ46を更新する(ステップS6)。
【0104】
<移動体結合・分割処理(図8のステップS6)の詳細について>
図21は、移動体結合・分割部242による移動体結合・分割処理の一例を示すフローチャートである。
【0105】
始めに、移動体結合・分割部242が、出力DB41から変換元システム運行計画データ36に基づく駅/着発時刻構造グラフ46(ステップS3を経て更新されたもの)を取得する(ステップS601)。
【0106】
次に、移動体結合・分割部242が、駅/着発時刻構造グラフ46を構成する駅間要素テーブルを参照し、同一駅ノードリストを跨いだ隣り合う駅間要素グループの組合せを処理対象として、ステップS602,S603の処理を実行する。同一駅ノードリストを跨いだ隣り合う駅間要素グループの組合せとは、着駅ノードと、発駅ノードとが一致する駅間要素グループの組合せを指す。
【0107】
まず、移動体結合・分割部242が、当該駅間要素グループの組み合わせにおいて、属性「車両組成」、「運行日」それぞれが同じ属性値を有するか否かを判定する(ステップS602)。ここで、同じ属性値を有すると判定した場合(ステップS602でYES)、次に、移動体結合・分割部242が、当該駅間要素グループの組み合わせに対して同一の移動体番号を付与する(ステップS603)。なお、当該駅間要素グループの組み合わせにおいて、属性「車両組成」及び「運行日」それぞれが同じ属性値を有しないと判定された場合(ステップS602でNO)、ステップS603の処理はスキップされる。
【0108】
図22は、ステップS602,S603の処理を示す図である。同図の場合、例えば、1行目の駅間要素グループaの着駅ノードと、3行目の駅間要素グループbの発駅ノードとが一致するので、当該駅間要素グループa,bが、同一駅ノードリストを跨いだ隣り合う駅間要素グループの組合せとなる。そして、当該駅間要素グループの組み合わせは、属性「車両組成」及び「運行日」それぞれの属性値が同じ値「1,2,3,4,5,6」、「月、火、水、木、金」を有するので、当該駅間要素グループa,bに同一の移動体番号「Tr-XXX」が付与される。
【0109】
次に、移動体結合・分割部242が、各システム移動体切替情報43を参照し、変換元交通サービスシステム50、及び変換先交通サービスシステム60それぞれの移動体切替情報を取得する(ステップS604)。次に、移動体結合・分割部242が、変換元システム前後運用情報37を取得する(ステップS605)。
【0110】
次に、移動体結合・分割部242が、変換元交通サービスシステム50の移動体切替情報と変換先交通サービスシステム60の移動体切替情報を比較して、変換元交通サービスシステム50の移動体切替情報に存在せず、変換先交通サービスシステム60の移動体切替情報に存在する運用タイプを特定する。さらに、移動体結合・分割部242が、変換元システム前後運用情報37に基づいて、特定した運用タイプの前後運用が生じる駅(列車番号の変更が生じる駅)を特定する(ステップS606)。
【0111】
次に、移動体結合・分割部242が、ステップS606で特定した駅を順に着目し、ステップS607,S608の処理を実行する。まず、移動体結合・分割部242が、駅/着発時刻構造グラフ46の駅間要素テーブルを参照し、着目した駅の前後の駅間要素(着目した駅を着駅ノードとする駅間要素、及び着目した駅を発駅ノードとする駅間要素)のうち、同一の移動体番号が付与されているものを取得する(ステップS607)。
【0112】
次に、移動体結合・分割部242が、ステップS607で取得した着目した駅の前後の駅間要素に付与されている同一の移動体番号を、着目した駅で生じる運用タイプに応じた切り替え方法に従って変更する(ステップS608)。
【0113】
図23は、ステップS606~608の処理を示す図である。例えば同図に示すように、変更元の移動体切替情報には運用タイプとして「折返」のみが記録されており、変更先の移動体切替情報には運用タイプとして「折返」、「継走」、「併合」、「分割」が記録されている場合、ステップS606では、運用タイプ「継走」、「併合」、「分割」が生じる駅が特定される。そして、例えば、駅Dにおいて「継走」が生じることが特定された場合、ステップS607では、駅Dに前後する駅間要素d,eのうち、同一の移動体番号「Tr-ZZZ」が付与されているものが取得される。そして、駅間要素dの移動体番号は「Tr-ZZZ1」に変更され、駅間要素eの移動体番号は「Tr-ZZZ2」に変更される。以上で、移動体結合・分割処理は終了される。
【0114】
図8に戻る。次に、変換先システム運行計画データ生成部243が、変換元システム運行計画データ36、変換先システムデータ構造情報38、及び駅/着発時刻構造グラフ46を参照して、変換先システム運行計画データ生成処理を実行し、その結果得られた変換先システム運行計画データ45を出力DB41に格納する(ステップS7)。
【0115】
図24は、変換先システム運行計画データ45の一例を示している。当該変換先システム運行計画データ45は、TrainCodeに対応付けてStatinCode、Arr、Dep、OperatinDay、VehicleComposution、及びTrainClassの各情報が記録されている。
【0116】
当該変換先システム運行計画データ45と変換元システム運行計画データ36(図4)とを比較して明らかなように、当該変換先システム運行計画データ45と変換元システム運行計画データ36(図4)は実質的な情報の内容は同じものだが各項目の名称、並び順等のデータ構造が異なる。すなわち、データ変換装置20によれば、変換元システム運行計画データ36(図4)を、データ構造が異なる変換先システム運行計画データ45に変換できる。
【0117】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えたり、追加したりすることが可能である。
【0118】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0119】
10・・・データ変換システム
11・・・ネットワーク
20・・・データ変換装置
21・・・データ取得部
22・・・着発時刻構造グラフ生成部
23・・・設定情報生成部
231・・・移動体切替情報抽出部
232・・・バリエーション情報抽出部
24・・・データ変換部
241・・・駅間要素統合・複製部
242・・・移動体結合・分割部
243・・・変換先システム運行計画データ生成部
30・・・統合・複製ルール
31・・・入力DB
32・・・システムサンプル運行計画データ
33・・・システムサンプル前後運用情報
34・・・システム移動体三要素対応表
35・・・システムデータ構造情報
36・・・変換元システム運行計画データ
37・・・変換元システム前後運用情報
38・・・変換先システムデータ構造情報
41・・・出力DB
42・・・着発時刻構造グラフ
43・・・システム移動体切替情報
44・・・システムバリエーション情報
45・・・変換先システム運行計画データ
46・・・着発時刻構造グラフ
50・・・変換元交通サービスシステム
60・・・変換先交通サービスシステム
100・・・コンピュータ
101・・・プロセッサ
102・・・メモリ
103・・・ストレージ
104・・・入力デバイス
105・・・出力デバイス
106・・・通信モジュール
107・・・プログラム
1000・・・データ変換設定情報一覧画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24