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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157217
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】動力伝達軸、圧力容器、及び緩衝器
(51)【国際特許分類】
   F16C 3/02 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
F16C3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071444
(22)【出願日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】上野 凌太
(72)【発明者】
【氏名】高橋 史也
【テーマコード(参考)】
3J033
【Fターム(参考)】
3J033AA01
3J033AB02
3J033BA03
3J033BA13
(57)【要約】
【課題】ねじり強度を確保しながら、振動減衰性能を更に向上した動力伝達軸を提供する。
【解決手段】厚み方向で内側の第1円筒部と厚み方向で外側の第2円筒部とからなる動力伝達軸であって、どちらか一方の円筒部は、第1振動減衰繊維と熱硬化性樹脂からなる第1繊維層が積層された積層体であり、他方の円筒部は、第1減衰繊維より機械振動の減衰性能が優れた第2振動減衰繊維と熱硬化性樹脂からなる第2繊維層が積層された積層体であることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、軸線方向に延び厚み方向で内側の第1円筒部と厚み方向で外側の第2円筒部とからなる動力伝達軸であって、
どちらか一方の円筒部は、第1繊維と熱硬化性樹脂からなる第1繊維層が積層された第1積層体であり、
他方の円筒部は、前記第1繊維より機械的な振動の減衰性能が優れた第2繊維と前記熱硬化性樹脂からなる第2繊維層が積層された第2積層体である
ことを特徴とする動力伝達軸。
【請求項2】
請求項1に記載の動力伝達軸であって、
前記第1繊維は炭素繊維であり、前記第2繊維はポリアリレート繊維である
ことを特徴とする動力伝達軸。
【請求項3】
請求項2に記載の動力伝達軸であって、
前記第1円筒部は前記第1積層体からなり、前記第2円筒部は前記第2積層体からなるか、或いは
前記第1円筒部は前記第2積層体からなり、前記第2円筒部は前記第1積層体からなる
ことを特徴とする動力伝達軸。
【請求項4】
請求項3に記載の動力伝達軸であって、前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂であることを特徴とする動力伝達軸。
【請求項5】
請求項4に記載の動力伝達軸であって、
前記第2繊維層を形成する前記VFRPの配合量は、前記VFRPと前記CFRPの合計量に対する前記VFRPの割合が10%以上である
ことを特徴とする動力伝達軸。
【請求項6】
請求項2に記載の動力伝達軸であって、
前記ポリアリレート繊維の太さは、前記炭素繊維に比べて大きく形成されている
ことを特徴とする動力伝達軸。
【請求項7】
請求項4に記載の動力伝達軸であって、
前記第1繊維層は、前記炭素繊維を一方向に引き揃えて前記エポキシ樹脂を含浸してシート状に形成した炭素繊維プリプレグであり、前記炭素繊維プリプレグが積層されて前記第1円筒部が形成され、
前記第2繊維層は、前記ポリアリレート繊維を一方向に引き揃えて前記エポキシ樹脂を含浸してシート状に形成したポリアリレート繊維プリプレグであり、前記ポリアリレート繊維プリプレグが積層されて前記第2円筒部が形成されている
ことを特徴とする動力伝達軸。
【請求項8】
請求項7に記載の動力伝達軸であって、
前記ポリアリレート繊維プリプレグにおける前記VFRPの配合量は、前記VFRPと前記CFRPの合計量に対する前記VFRPの割合が10%以上である
ことを特徴とする動力伝達軸。
【請求項9】
請求項8に記載の動力伝達軸であって、
前記第2円筒部の最外周層には、前記ポリアリレート繊維プリプレグによる繊維層が形成されている
ことを特徴とする動力伝達軸。
【請求項10】
請求項9に記載の動力伝達軸であって、
前記ポリアリレート繊維プリプレグの前記ポリアリレート繊維の前記軸線方向に対する配向角度は、前記軸線方向に平行な配向角度(0°)~前記軸線方向に直交する配向角度(90°)の範囲に設定されている
ことを特徴とする動力伝達軸。
【請求項11】
請求項10に記載の動力伝達軸であって、
前記ポリアリレート繊維プリプレグの前記ポリアリレート繊維の前記軸線方向に対する配向角度は、前記軸線方向に平行な配向角度(0°)か、或いは前記軸線方向に直交する配向角度(90°)に設定されている
ことを特徴とする動力伝達軸。
【請求項12】
請求項11に記載の動力伝達軸であって、
前記炭素繊維プリプレグの前記炭素繊維の前記軸線方向に対する配向角度は、前記軸線方向に平行な配向角度(0°)か、或いは前記軸線方向に対して配向角度45°に設定されている
ことを特徴とする動力伝達軸。
【請求項13】
少なくとも、気体や液体等の流体を収納するタンク本体を備える圧力容器であって、
前記タンク本体は、前記流体を収納する樹脂ライナと、前記樹脂ライナの外周面の厚み方向で内側に形成された内側繊維樹脂層と厚み方向で外側の外側繊維樹脂層とからなり、
前記内側繊維樹脂層と前記外側繊維樹脂層のどちらか一方の繊維樹脂層は、第1繊維と熱硬化性樹脂からなる第1繊維樹脂層であり、
他方の前記繊維樹脂層は、前記第1繊維より機械的な振動の減衰性能が優れた第2繊維と前記熱硬化性樹脂からなる第2繊維樹脂層である
ことを特徴とする圧力容器。
【請求項14】
請求項13に記載の圧力容器であって、
前記樹脂ライナは、水素ガスのバリア機能を備えた樹脂から作られており、
前記第1繊維は炭素繊維であり、前記第2繊維はポリアリレート繊維である
ことを特徴する圧力容器。
【請求項15】
少なくとも、第1筒部材と、前記第1筒部材内に摺動自在に挿入された第2筒部材と、前記第1筒部材と前記第2筒部材との間に設けられた緩衝機構を備える緩衝器であって、
前記第1筒部材、或いは前記第2筒部材の少なくとも一方の筒部材に、前記筒部材の中央付近にポリアリレート繊維と熱硬化性樹脂からなる振動減衰部を設けた
ことを特徴とする緩衝器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動力伝達軸、圧力容器、及び緩衝器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば自動車においては、二酸化炭素排出量の削減のために燃費を向上することが求められている。燃費を向上するには、例えばドライブシャフトやプロペラシャフト等の動力伝達軸を、FRP(Fiber Reinforced Plastics)製の円筒体で構成して、車両全体を軽量化することが有効である。また、ドライブシャフトやプロペラシャフト等の動力伝達軸をFRP製の円筒体で構成することで、車両の低振動化や静粛性の向上といった新たな機能も期待できる。
【0003】
FRP製の円筒体を製造する工程として、強化繊維(例えば、炭素繊維)に熱硬化性樹脂を含浸させて形成されたプリプレグを筒状に巻回し、熱硬化させて複数のFRP層とするシートワインディング(プリプレグ)法が知られている。
【0004】
シートワインディング法によるFRP製の円筒体は、必要最小限の樹脂量でも強化繊維の体積含有率を高くできるという特徴があり、軽量化と高強度化を同時に図る上で有利である。また、形状精度の良い小型品が製造可能であり、積層構成の自由度が高い。
【0005】
このような、FRP製の円筒体を動力伝達軸に使用した例が、例えば特開平10-310650号公報(特許文献1)に記載されている。特許文献1には、円筒状のシャフト本体、及びその両端部に突設されたヨーク部が、繊維強化複合材料で一体に形成されたプロペラシャフトが示されている。そして、強化繊維として、炭素繊維が使用され、マトリックス樹脂としてはエポキシ樹脂が使用されていることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10-10650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、この種のFRP製の円筒体においては、機械的な振動の減衰性能を向上することは重要な評価項目となっている。例えば、特許文献1にあるように、炭素繊維強化プラスチックのみを採用した場合、FRP製の円筒体に必要な捩り強度は十分得られるが、振動減衰性能は満足いくものとなっていない。特に、動力伝達軸等に使用する場合は、更なる振動減衰性能が求められている。また、同様に自動車や自動二輪車の緩衝器、及び燃料電池車や水素エンジンに使用される水素を貯留する圧力容器においても、振動減衰機能が求められている。
【0008】
本発明はこのような問題に対処するものであり、振動減衰性能を更に向上した動力伝達軸、圧力容器、及び緩衝器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の主たる特徴は、少なくとも、軸線方向に延び厚み方向で内側の第1円筒部と厚み方向で外側の第2円筒部とからなる動力伝達軸であって、どちらか一方の円筒部は、第1繊維と熱硬化性樹脂からなる第1繊維層が積層された第1積層体であり、他方の円筒部は、第1繊維より機械的な振動の減衰性能が優れた第2繊維と熱硬化性樹脂からなる第2繊維層が積層された第2積層体であることを特徴とする動力伝達軸にある。
【0010】
ここで、動力伝達軸の実施形態では、第1繊維として、アクリルやピッチから作られた炭素繊維が使用され、第2繊維として、ポリエステル系液晶ポリマーから作られたポリアリレート繊維が使用され、これらの組み合わせが特に有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の主たる特徴によれば、一方の円筒部が、第1繊維層が積層された積層体で形成されると共に、他方の円筒部が、第2繊維層が積層された積層体で形成されている。このため、第1繊維層が積層された積層体のみの円筒体と比べて、第2繊維層が積層された積層体とを組み合わせることによって、機械振動の減衰性能を大きく向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態になる動力伝達軸の構成を示す構成図(一部断面)である。
図2図1のP部を拡大した断面を示す拡大断面図である。
図3図2の変形例を示す拡大断面図である。
図4】ポリアリレート繊維の配合量と振動減衰効果の関係を示す説明図である。
図5】強化繊維の配向角度を説明する説明図である。
図6】動力伝達軸の最外層におけるポリアリレート繊維と炭素繊維の振動減衰効果の関係を示す説明図である。
図7】動力伝達軸の最外層におけるポリアリレート繊維と炭素繊維の配向角度とねじり強度の関係を示す説明図である
図8】動力伝達軸のCFRP部とVFRP部の積層状態と振動減衰効果の関係を示す説明図である
図9】本発明の第2の実施形態になる圧力容器の構成を示す構成図(一部断面)である。
図10図9のQ部を拡大した断面を示す拡大断面図である。
図11図10の変形例を示す拡大断面図である。
図12】本発明の第3の実施形態になる緩衝器の構成を示す構成図である。
図13】鋼管にポリアリレート繊維を巻回した実施形態と鋼管だけの振動減衰効果の関係を示す説明図である
図14図12に示す実施形態の自動二輪車への適用例を説明する説明図である。
図15図12に示す実施形態の自動車への適用例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。実施形態は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略、及び簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。
【実施例0014】
本発明の第1の実施形態は、少なくとも、軸線方向に延び厚み方向で内側の第1円筒部と厚み方向で外側の第2円筒部とからなる動力伝達軸を対象としている。そして、どちらか一方の円筒部は、第1繊維と熱硬化性樹脂からなる第1繊維層が積層された第1積層体であり、他方の円筒部は、第1繊維より機械的な振動の減衰性能が優れた第2繊維と熱硬化性樹脂からなる第2繊維層が積層された第2積層体であることを特徴としている。
【0015】
図1は、本発明の主たる特徴である動力伝達軸の実施形態を示している。図1に示しているように、動力伝達軸10は、円筒状のシャフト本体(円筒部)11と、その両端部に設けられたヨーク12とから構成されている。シャフト本体11は繊維強化プラスチック(以下、FRPと表記する)で形成されている。ヨーク12は金属製で、その基端がシャフト本体11の端部に挿入されると共に、例えば、接着剤等(図示せず)を介して固着されている。尚、シャフト本体11とヨーク12とをFRPで一体的に作ることもできる。
【0016】
シャフト本体11は少なくとも、軸方向に沿って内側に存在する内側円筒部(請求項でいう第1円筒部)と、外側に位置する外側円筒部(請求項でいう第2円筒部)から構成されている(これらの円筒部については、図2図3で説明する)。本実施形態では、夫々の円筒部を構成する強化繊維としては、例えば、アクリルやピッチから作られた炭素繊維と、ポリエステル系液晶ポリマーから作られたポリアリレート繊維が使用されている。本実施形態では、ポリアリレート繊維を使用することが要旨である。尚、ポリアリレート繊維として、(株)クラレのベクトラン(登録商標)を使用した。
【0017】
ポリアリレート繊維は、炭素繊維に比べて優れた振動減衰特性を有している。ポリアリレート繊維による振動減衰の作用機序は、振動エネルギが分子運動に変換され、熱エネルギとして放出されるもので、炭素繊維に比べると時間経過に対する振動の減衰が大きい特性を備えている。尚、本開示の作用機序は推定を含んでおり、この作用機序の正否により特許請求の範囲が限定されるべきではない。
【0018】
また、炭素繊維やポリアリレート繊維に含侵されるマトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂が使用されている。そして、炭素繊維やポリアリレート繊維とエポキシ樹脂が組み合わされてシート状に形成されている。ここで、炭素繊維に比べて、ポリアリレート繊維の方の太さ(テックス基準/SI単位系)を大きくしている。
【0019】
尚、夫々のシートの繊維は、所定の一方向に引き揃えて整列して並べて配置されている。本実施形態では、積層されるシート毎に引き揃え方向(繊維が延びる方向)をずらして使用することもできる。
【0020】
以下では、一方向に引き揃えて並べた強化繊維に、エポキシ樹脂を含浸させたシートを、「一方向プレプリグ」として説明する。また、炭素繊維とエポキシ樹脂を組み合わせたFRPを「CFRP」とし、ポリアリレート繊維とエポキシ樹脂を組み合わせたFRPを「VFRP」として説明を進める。
【0021】
図2は、図1のP部を拡大して断面を示したものである。図2に示すように、シャフト本体2は、厚み方向(径方向)で内側(すなわち、円筒内径面側)のCFRP部13と、厚み方向(径方向)で外側(すなわち、円筒外径面側)のVFRP部14とからなっている。VFRP部14はCFRP部13の上に形成されており、VFRP部14の内径面は、CFRP部13の外径面に接触している。
【0022】
ただ、CFRP部13とVFRP部14の境界は、双方のエポキシ樹脂が結合された状態となっている。尚、図2におけるCFRP部13が請求項でいう「第1円筒部」に相当し、VFRP部14が請求項でいう「第2円筒部」に相当する。
【0023】
また、図3図1のP部を拡大して断面を示したもので、CFRP部とVFRP部を逆配置したものである。図3に示すように、シャフト本体2は、厚み方向(径方向)で内側(すなわち、円筒内径面側)のVFRP部15と、厚み方向(径方向)で外側(すなわち、円筒外径面側)のCFRP部16とすることもできる。CFRP部16はVFRP部15の上に形成されており、CFRP部16の内径面は、VFRP部15の外径面に接触している。
【0024】
この場合も、VFRP部15とCFRP部16の境界は、双方のエポキシ樹脂が結合された状態となっている。尚、図2とは異なり、図3におけるVFRP部15が請求項でいう「第1円筒部」に相当し、CFRP部16が請求項でいう「第2円筒部」に相当する。
【0025】
図2に示すCFRP部13とVFRP部14は、炭素繊維とエポキシ樹脂からなる炭素繊維プリプレグ、及び炭素繊維プリプレグの上側に配置されたポリアリレート繊維とエポキシ樹脂からなるポリアリレート繊維プリプレグを、それぞれ円筒状に巻回して、熱硬化されて形成されている。
【0026】
また、同様に図3に示すVFRP部15とCFRP部16は、ポリアリレート繊維とエポキシ樹脂からなるポリアリレート繊維プリプレグ、及びポリアリレート繊維プリプレグの上側に配置された炭素繊維とエポキシ樹脂からなる炭素繊維プリプレグを、それぞれ円筒状に巻回して、熱硬化されて形成されている。
【0027】
炭素繊維プリプレグは、巻回されることで複数の層を形成することから、CFRP部13、16は、複数のCFRP層が積層された積層体となっている。同様に、ポリアリレート繊維プリプレグは、巻回されることで複数の層を形成することから、VFRP部14、15は、複数のVFRP層が積層された積層体となっている。
【0028】
上述したシャフト本体11は、マンドレルを一方向に回転させ、プリプレグをマンドレルに巻き付けることで製造される。
【0029】
本実施形態の図2の構成では、炭素繊維プリプレグをマンドレルに巻き付けた後、その上からポリアリレート繊維プリプレグを巻き付けて、その後に一度の熱処理によって、炭素繊維プリプレグ中のエポキシ樹脂、及びポリアリレート繊維プリプレグ中のエポキシ樹脂を熱硬化させて一体化している。これによって、シャフト本体11が製造される。
【0030】
また本実施形態の図3の構成では、ポリアリレート繊維プリプレグをマンドレルに巻き付けた後、その上から炭素繊維プリプレグを巻き付けて、その後に一度の熱処理によって、ポリアリレート繊維プリプレグ中のエポキシ樹脂、及び炭素繊維プリプレグ中のエポキシ樹脂を熱硬化させて一体化している。これによって、シャフト本体11が製造される。
【0031】
ここで、熱硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂を例示したが、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。更に、プリプレグ毎に、異なる熱硬化性樹脂を用いてもよく、また同じ熱硬化性樹脂を用いてもよい。ただ、本実施形態のように、熱硬化性樹脂の中でも、耐熱性、耐水性、接着性に優れたエポキシ樹脂を、両方のプリプレグの熱硬化性樹脂として用いることが好ましい。
【0032】
上述したように、ポリアリレート繊維は、振動エネルギが分子運動に変換され、熱エネルギとして放出されるもので、炭素繊維に比べて優れた振動減衰特性を有している。したがって、このポリアリレート繊維からなるVFRPを組み合わせて使用することで、動力伝達軸の振動減衰性能を大きく向上することができる。もちろん、炭素繊維からなるCFRPを使用することで、動力伝達軸のねじり強度も十分に確保することができる。
【0033】
このように、本実施形態においては、ねじり強度が大きいCFRP部13、16に、振動減衰性能が優れたVFRP14、15を追加的に組み合せた(VFRPとCFRPの積層体)ことによって、ねじり強度と振動減衰性能に優れた動力伝達軸を提供することが可能となる。
【0034】
次に、VFRPとCFRPの積層体におけるVFRPの配合量と減衰特性について説明する。減衰特性を把握するために、ハンマリング試験を行った。具体的には、シャフト本体11をインパルスハンマで加振し、この加振の結果で生じる振動を加速度センサーで検出し、FFTアナライザで振動の変化を計測した。
【0035】
図4に示すグラフは、横軸にVFRPとCFRPの積層体に対するVFRPの配合量を示し、縦軸に減衰比を示している。減衰比は、値が大きいほど振動減衰効果が大きく、値が小さいほど振動減衰効果が小さいことを示している。
【0036】
図4のグラフから判るように、VFRPの配合量の増加に応じて、減衰比は大きくなっている。特に、VFRPの配合量が10%を超える状態で、顕著に減衰比が増加方向に変化している。したがって、実際にVFRPとCFRPの積層体を使用する場合は、VFRPの配合量が10%を超えるVFRPとCFRPの積層体を用いれば、十分な振動減衰効果を得ることができる。
【0037】
ただ、VFRPの配合量を増やしていくと、CFRPの量が減少していくので、振動減衰性能を考えれば、VFRPの配合量は10%以上であれば良いが、ねじり強度の確保も考慮すると10%~85%の範囲に収めるのが良いと考えられる。ただ、85%以上でも問題がない場合は、これに拘束されることはない。
【0038】
次に、シャフト本体11の最外層に設けた、ポリアリレート繊維プリプレグと炭素繊維プリプレグにおける、それぞれの繊維の配向角度と減衰比率について説明する。減衰比率の測定は、上述のハンマリング試験によって行っている。
【0039】
ここで、繊維の配向角度は、シャフト本体11の中心軸が延びる方向に対する繊維の引き揃え方向(繊維が延びる方向)の角度を表している。図5においては、シャフト本体11の中心軸線(C)に平行な方向の繊維の引き揃え方向を配向角度「0°」とし、シャフト本体11の中心軸線(C)に直交する方向の繊維の引き揃え方向を配向角度「90°」とし、この配向角度0°~90°の範囲で配向角度を設定することができる。
【0040】
図6は、夫々の繊維の含有率を同じ含有率にし、且つ厚みを同じ厚さに設定した、CFRP層が2層の場合と、CFRP層とVFRP層の2層の場合で、最外層をCFRP層とVFRP層に設定した時のポリアリレート繊維プリプレグと炭素繊維プリプレグにおける、繊維の配向角度と減衰比率について示している。
【0041】
図6は、配向角度「0°」、「15°」、「30°」、「45°」、及び「90°」における減衰比率を示している。ここで、減衰比率は、「減衰時間/最大振動幅」で表している。尚、減衰比率が小さいほど振動減衰効果が大きいことを示している。
【0042】
図6で判るように、ポリアリレート繊維プリプレグ(斜線四角枠で示す)を使用した方が、炭素繊維プリプレグ(白線四角枠で示す)に比べて、全ての配向角度で減衰比率が小さくなって、振動減衰効果が優れていることが判る。また、ポリアリレート繊維プリプレグでは、配向角度にそれほど影響を受けることなく減衰比率が推移している。ただ、配向角度「0°」と「90°」で減衰比率が小さくなるので、これらの配向角度を用いればより高い振動減衰効果を得ることができる。
【0043】
尚、この例では、ポリアリレート繊維プリプレグが最外層に設けられているものであるが、最内層、中間層にポリアリレート繊維プリプレグを用いても、振動減衰効果が得られることは想定できるものである。
【0044】
また、炭素繊維プリプレグでは、配向角度が大きくなるにつれて、減衰比率が大きくなり、振動減衰効果が低下している。したがって、振動減衰効果を高める場合は、配向角度「0°」の炭素繊維プリプレグを用いると、振動減衰効果を高めることができる。
【0045】
一方、炭素繊維プリプレグの場合は、配向角度が大きい方がねじり強度が大きいことが知られており、その例を図7に示している。図7は、配向角度「0°」、「15°」、「30°」、及び「45°」における静ねじり強度を示している。
【0046】
図7で判るように、ポリアリレート繊維プリプレグにおいては、静ねじり強度は配向角度にそれほど依存していない。一方、炭素繊維プリプレグでは、配向角度が小さいほど静ねじり強度が小さく、配向角度45°で静ねじり強度が最大となる。したがって、ねじり強度を高める場合は、配向角度「45°」で静ねじり強度が最大となるなるので、この配向角度を用いればより高い静ねじり強度を得ることができる。
【0047】
これらの事実から、振動減衰性能を重視する場合は、配向角度が小さい(最小で0°)炭素繊維プリプレグを選択し、ねじり強度を重視する場合は、配向角度が大きい(最大で45°)炭素繊維プリプレグを選択すれば良いことが判る。
【0048】
次に、CFRP層とVFRP層の積層順序と減衰比率について説明する。減衰比率の測定は、これもハンマリング試験によって行っている。
【0049】
試験に使用したサンプルでは積層数は5層とし、VFRP層とCFRP層を、積層位置を変えて相対的に増減した。また、VFRP層とCFRP層の厚みは同じ厚さとし、繊維の配向角度も同じ配向角度とした。
【0050】
図8は、VFRP層とCFRP層を相対的に増減した時の振動の減衰比率を示しており、横軸にVFRP層とCFRP層の積層構成(5層)を示し、縦軸に減衰比率を示している。
【0051】
ここで、積層構成の「白色四角枠」は炭素繊維プリプレグを示し、「斜線四角枠」はポリアリレート繊維プリプレグを示している。また、配合比は積層された炭素繊維プリプレグとポリアリレート繊維プリプレグの割合を示している。つまり、一つの層の四角枠を20%とし、全体(5層)で100%としている。尚、下側から第1層、第2層…第5層として説明する。
【0052】
図8において、積層構成は以下の通りとされている。
(1)「100/0」は、全ての層がCFRPで構成されている。
(2)「80/20」は、第3層のみがVFRPで構成されている。
(3)「60/40」は、第2層、第4層、或いは第1層、第5層がVFRPで構成されている。
(4)「40/60」は、第2層、第3層、第4層、或いは第1層、第3層、第5層がVFRPで構成されている。
(5)「20/80」は、第3層のみがCFRPで構成されている。
(6)「0/100」は、全ての層がVFRPで構成されている。
【0053】
そして図8において、(1)のCFRPだけの層の場合に比べて、(2)~(6)のVFRPを含んだ層の方が、大きく振動抑制効果が向上していることが判る。
【0054】
更に、積層構成の(3)の「60/40」と、(4)の「40/60」では、最外層をVFRPとした方が、「Δd」だけ振動抑制効果が大きいことが判る。したがって、同じ層数のVFRPを使用した場合は、最外層にVFRPを配置した方が、良いことが判る。
【0055】
以上の知見を総括すると、(1)振動抑制効果を得るためには、ポリアリレート繊維を含んだVFRPを少なくとも1層以上設けること、(2)更に振動抑制効果を得るためには、最外層のプリプレグをVFRPとすること、(3)ねじり強度を高めるCFRPを組み合せる場合、振動抑制効果を重視する場合は、配向角度が「0°」を含む「0°」に近いCFRPを選択し、ねじり強度を重視する場合は、配向角度が「45°」を含む「45°」に近いCFRPを選択することである。
【0056】
以上述べた通り、本実施形態は、厚み方向で内側の第1円筒部と厚み方向で外側の第2円筒部とからなる動力伝達軸であって、どちらか一方の円筒部は、第1繊維と熱硬化性樹脂からなる第1繊維層が積層された積層体であり、他方の円筒部は、第1繊維より機械振動の減衰性能が優れた第2繊維と熱硬化性樹脂からなる第2繊維層が積層された積層体である動力伝達軸を特徴としている。
【0057】
これによれば、一方の円筒部が、第1繊維層が積層された積層体で形成されると共に、他方の円筒部が、第2繊維層が積層された積層体で形成されている。このため、第1繊維層が積層された積層体のみの円筒体と比べて、第2繊維層が積層された積層体とを組み合わせることによって、機械振動の減衰性能を大きく向上することができる。尚、円筒体は鉄系でもアルミニウム系でもよい。また円筒体に使用される樹脂は熱可塑性樹脂のポリアミドまたはポリプロピレンでもよい。
【実施例0058】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態は、FRPからなる円筒体を使用した動力伝達軸であったが、第2の実施形態は、FRPからなる圧力容器としたものである。圧力容器は、気体、或いは液体、或いはこれらの混合された流体を収納するものである。例えば、この圧力容器は、水素エンジン車や燃料電池車の水素タンクとして用いることができる。
【0059】
本発明の第2の実施形態は、少なくとも、気体や液体等の流体を収納するタンク本体を備える圧力容器を対象にしている。そして、タンク本体は、流体を収納する樹脂ライナと、樹脂ライナの外周面の厚み方向で内側に形成された内側繊維樹脂層と厚み方向で外側の外側繊維樹脂層とからなり、内側繊維樹脂層と外側繊維樹脂層のどちらか一方の繊維樹脂層は、第1繊維と熱硬化性樹脂からなる第1繊維樹脂層であり、他方の繊維樹脂層は、第1繊維より機械的な振動の減衰性能が優れた第2繊維と熱硬化性樹脂からなる第2繊維樹脂層であることを特徴としている。
【0060】
図9は、水素タンク17を示しており、FRPによって形成されたタンク本体18によって構成されている。
【0061】
図10は、図9のQ部を拡大して断面を示したものである。図10に示すように、タンク本体18は、厚み方向で最内側の樹脂ライナ19と、厚み方向で中間側のCFRP部20と、厚み方向で最外側のVFRP部21とからなっている。
【0062】
樹脂ライナ19は、水素ガスのバリア機能を備えているもので、ポリアミド系の樹脂(例えばPA6等)から作られている。また、CFRP部20は、樹脂ライナ19の上に形成されており、CFRP部20の内側面は、樹脂ライナ19の外側面に接触している。更にVFRP部21は、CFRP部20の上に形成されており、VFRP部21の内側面は、CFRP部20の外側面に接触している。ただ、CFRP部20とVFRP部21の境界は、双方のエポキシ樹脂が結合された状態となっている。
【0063】
また、図11図9のQ部を拡大して断面を示したもので、CFRP部とVFRP部を逆配置したものである。図11に示すように、タンク本体18は、厚み方向で中間側のVFRP部23と、厚み方向で最外側のCFRP部24とすることもできる。CFRP部24はVFRP部23の上に形成されており、CFRP部24の内側面は、VFRP部23の外側面に接触している。この場合も、VFRP部23とCFRP部24の境界は、双方のエポキシ樹脂が結合された状態となっている。
【0064】
図10に示すCFRP部20とVFRP部21は、炭素繊維とエポキシ樹脂からなる炭素繊維プリプレグ、及び炭素繊維プリプレグの上側に配置されたポリアリレート繊維とエポキシ樹脂からなるポリアリレート繊維プリプレグを、それぞれ樹脂ライナ19に巻回して、熱硬化されて形成されている。
【0065】
また、同様に図11に示すVFRP部23とCFRP部24は、ポリアリレート繊維とエポキシ樹脂からなるポリアリレート繊維プリプレグ、及びポリアリレート繊維プリプレグの上側に配置された炭素繊維とエポキシ樹脂からなる炭素繊維プリプレグを、それぞれ樹脂ライナ22に巻回して、熱硬化されて形成されている。
【0066】
炭素繊維プリプレグは、巻回されることで複数の層を形成することから、CFRP部13、16は、複数のCFRP層が積層された積層体(樹脂層)となっている。同様に、ポリアリレート繊維プリプレグは、巻回されることで複数の層を形成することから、VFRP部14、15は、複数のVFRP層が積層された積層体(樹脂層)となっている。
【0067】
上述したように、ポリアリレート繊維は、振動エネルギが分子運動に変換され、熱エネルギとして放出されるもので、炭素繊維に比べて優れた振動減衰特性を有している。したがって、このポリアリレート繊維からなるVFRPを組み合わせて使用することで、圧力タンクの振動減衰性能を大きく向上することができる。もちろん、炭素繊維からなるCFRPを使用することで、圧力タンクの強度も十分に確保することができる。尚、エポキシ樹脂の部分は熱可塑性樹脂のポリアミドまたはポリプロピレンでもよい。
【実施例0068】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第1の実施形態は、FRPからなる円筒体を使用した動力伝達軸であったが、第3の実施形態は、金属製の円筒体にポリアリレート繊維を巻回した緩衝器としたものである。緩衝器は、一般的に、第1の円筒体と第2の円筒体が相互に差し込まれ、内部に緩衝機構を配置して一方の円筒体の振動が、他方の円筒体に伝わるのを抑制するための装置である。
【0069】
本発明の第3の実施形態は、少なくとも、第1筒部材と、前記第1筒部材内に摺動自在に挿入された第2筒部材と、前記第1筒部材と前記第2筒部材との間に設けられた緩衝機構を備える緩衝器を対象としている。そして、第1筒部材、或いは第2筒部の少なくとも一方の筒部材に、筒部材の中央付近にポリアリレート繊維と熱硬化性樹脂からなる振動減衰部を設けたことを特徴としている。
【0070】
図12は、緩衝器に使用される金属製の円筒体30を示しており、円筒体30の最外周の中央付近に、ポリアリレート繊維プリプレグからなるVFRP部31が形成されている。尚、円筒体30は、所定径の鋼管32から作られている。尚、鋼管以外の円筒体を使用することも可能である。
【0071】
ポリアリレート繊維プリプレグは、巻回されることで複数の層を形成することから、VFRP部231は、複数のVFRP層が積層された積層体となっている。そして、円筒体30を形成する鋼管32を一方向に回転させ、ポリアリレート繊維プリプレグを鋼管32に巻き付けることで製造される。
【0072】
本実施形態の図12の構成では、ポリアリレート繊維プリプレグを巻き付けて、その後に熱処理によって、ポリアリレート繊維プリプレグ中のエポキシ樹脂を熱硬化させて鋼管32と一体化している。これによって、緩衝器の円筒体30が製造される。
【0073】
第3の実施形態では、VFRP部31が、鋼管32の最外周の中央付近に設けられていることを特徴としている。図13に、従来の鋼管を使用した円筒体と、本実施形態の円筒体30を用いて、ハンマリング試験を行った結果を示している。
【0074】
図13から判るように、鋼管で作成した円筒体に対して、VFRP部31を中央付近に配置した円筒体30の方が、減衰比率が小さくなっていることが判る。
【0075】
ここで、ポリアリレート繊維プリプレグの配向角度は「0°」のものを使用している。また、VFRP部31は、鋼管32の中点(Mp)を境にして、軸方向に所定長さ(L)だけ存在している。尚、所定長さ(L)は、振動減衰効果が最も高い長さに決めればよいものである。
【0076】
次に、図12に示した緩衝器の適用例を簡単に説明する。緩衝器は例えば乗り物に採用され、一例として、乗員が跨がって乗車する鞍乗り型車両の一種である自動二輪車40のフォークに用いられる。
【0077】
図14において、自動二輪車40は、車体41と、車体41の中央下部に支持されたエンジン42と、車体41の前部に設けられた左右のフロントフォーク43(一方のみを示す)と、これらのフロントフォーク43に支持された前輪44と、フロントフォーク43に連結された操舵ハンドル45と、車体41の上部中央に設けられた乗員用シート46と、車体41の後部から後方へ向かって延びて上下方向にスイング可能なリンク機構やスイングアーム等に代表される車輪支持機構47と、この車輪支持機構47に支持された後輪48と、車体41と車輪支持機構47との間に架け渡された油圧緩衝49とを有している。
【0078】
そして、フロントフォーク43の緩衝器を構成する一方の筒体50の中央付近には、VFRP部51が設けられている。このため、筒体50に伝わる振動が、VFRP部51によって早い時間で減衰されるため、運転者の両腕に伝わる振動を少なくすることができる。
【0079】
他の適用例として、図15は、自動車の車輪の緩衝器に適用した例を示している。自動車の緩衝器60は、第1筒体61と第2筒体62、及びピストンロッド63を備えており、第1筒体61と第2筒体62には緩衝機構が内蔵されている。そして、第1筒体61と第2筒体62の中央付近には、VFRP部64が設けられている。このため、それぞれの筒体61、62に伝わる振動が、VFRP部64によって早い時間で減衰される。尚、円筒体は鉄系でもアルミニウム系でもよい。また円筒体に使用される樹脂は熱可塑性樹脂のポリアミドまたはポリプロピレンでもよい。
【0080】
このように、第1の実施形態~第3の実施形態にある通り、ポリアリレート繊維を組み合せることで、機械的な振動を効率よく抑制することが可能となる。
【0081】
尚、本発明は上記したいくつかの実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。各実施例の構成について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0082】
10…動力伝達軸、11…シャフト本体、12…ヨーク、13…CFRP部、14…VFRP部、15…VFRP部、16…CFRP部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
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図15