(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024157219
(43)【公開日】2024-11-07
(54)【発明の名称】卵パックのリサイクルシステム
(51)【国際特許分類】
B29B 17/04 20060101AFI20241030BHJP
C08J 11/06 20060101ALI20241030BHJP
B29K 67/00 20060101ALN20241030BHJP
【FI】
B29B17/04 ZAB
C08J11/06
B29K67:00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071446
(22)【出願日】2023-04-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】521082008
【氏名又は名称】株式会社日本選別化工
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾野 彰則
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA22
4F401AC20
4F401BA13
4F401CA02
4F401CA03
4F401CA13
4F401CA14
4F401CA43
4F401CA58
4F401CB33
4F401DC08
(57)【要約】
【課題】卵パックの完全リサイクルを可能とする。
【解決手段】PET樹脂からなる卵パックに卵を充填する生産者と、卵パックを消費者に販売する販売店と、卵パックの粉砕物からリサイクルの卵パックを製造するリサイクル工場と、を備え、前記販売店は空の卵パックを消費者から回収するための回収箱を備え、前記生産者は、卵パックを販売店に運送すると共に販売店への運送後に前記回収箱から空の卵パックを収集して前記リサイクル工場に運送する運送車を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PET樹脂からなる卵パックに卵を充填する生産者と、卵パックを消費者に販売する販売店と、卵パックの粉砕物からリサイクルの卵パックを製造するリサイクル工場と、を備え、
前記販売店は空の卵パックを消費者から回収するための回収箱を備え、
前記生産者は、卵パックを販売店に運送すると共に販売店への運送後に前記回収箱から空の卵パックを収集して前記リサイクル工場に運送する運送車を有し、
前記リサイクル工場は、
展開状態の卵パックを位置決めする位置決め凸部を有して卵パックを搬送するコンベアと、
コンベア上の卵パックに対し、付着物の有無及び付着位置を検出する光学検出器と、
コンベア上の卵パックに対し、前記付着物の付着領域をカッティングにより除去するカッティング機と、
前記付着領域のカッティング後の卵パックをフレークに粗砕する破砕機と、
前記フレークを洗浄する洗浄機と、
洗浄後のフレークを乾燥する乾燥機と、
乾燥後のフレークを溶融する溶融機と、
溶融後に卵パックに再成形する成形機と、
を備えていることを特徴とする卵パックのリサイクルシステム。
【請求項2】
前記展開状態の卵パックは、複数が面合わせ状態で重ね合わされた積層体となっており、前記コンベアには前記積層体から1つずつ取り出されて位置決めされることを特徴する請求項1に記載の卵パックのリサイクルシステム。
【請求項3】
前記卵パックは蓋部と本体部とを分離して半体とされ、前記回収箱は前記半体を面合わせ状態で重ねられた形態で卵パックを回収することを特徴とする請求項1に記載の卵パックのリサイクルシステム。
【請求項4】
前記コンベアはワイヤコンベアからなり、前記位置決め凸部が、搬送方向と直交する方向と、搬送方向と平行する方向に、前記ワイヤコンベアの内側から回転されることを特徴とする請求項3に記載の卵パックのリサイクルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みとなった空の卵パックをリサイクルするためのリサイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーやコンビニ等の販売店では、複数の卵をPETプラスチックからなる卵パックに収容した卵商品を販売している。消費者は卵商品を購入した後、使用済みの空の卵パックを廃棄することが多く、プラスチック資源の無駄となっている。
【0003】
特許文献1には、卵のサイズ等の識別表示、生産者名等が印刷されたラベルを卵パックに出し入れ可能にセットするように設計された卵パックが開示されている。この卵パックは、ラベルの大きさに合わせた形状及び大きさとなるよう蓋体部を形成することにより、ラベルを蓋体部の内部に位置決めしてセットする構造となっている。使用済みの卵パックを開けてラベルを取り出すことにより空の卵パックをリサイクルに供するものである。ラベルが卵パックの表面に貼らずに内部に挿入されるので、糊による貼り付けがなく、リサイクル時のラベル除去も軽減できる。
【0004】
しかしながら、一般には、卵パックの表面にバーコードの表示ラベルを貼り付けた形態も多く流通しており、このリサイクルが急務である。
【0005】
特許文献2には、樹脂のリサイクルシステムが開示されている。回収した樹脂成形品は、粉砕され、樹脂の種類に応じて分別され、洗浄され、脱水され、再利用可能な樹脂材料とされる。樹脂成形品を具体的に卵パックに適用した場合、その材質はPET(ポリエチレンテレフタレート)なので、卵パックを再び成形するマテリアルリサイクルが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-210018号公報
【特許文献2】特開2002-144338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
卵パックを始めとしたプラスチック資源は完全リサイクルすることが社会的に必要である。このためには民間だけでなく、官民一体となって取り組む必要がある。従ってプラスチックの完全リサイクルは、政府が民間を指導した体制で全世界が取り組むべき事業である。プラスチック資源としての使用済みの卵パックにおいては、ごみとして市町村が回収しているが、これに限られるものではなく、生産者と消費者と販売店が一体となって取り組む必要がある。
【0008】
本発明は、このようなプラスチック資源の一翼を担う卵パックの完全リサイクルを可能とするための卵パックのリサイクルシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の卵パックのリサイクルシステムは、PET樹脂からなる卵パックに卵を充填する生産者と、卵パックを消費者に販売する販売店と、卵パックの粉砕物からリサイクルの卵パックを製造するリサイクル工場と、を備え、前記販売店は空の卵パックを消費者から回収するための回収箱を備え、前記生産者は、卵パックを販売店に運送すると共に販売店への運送後に前記回収箱から空の卵パックを収集して前記リサイクル工場に運送する運送車を有し、前記リサイクル工場は、展開状態の卵パックを位置決めする位置決め凸部を有して卵パックを搬送するコンベアと、コンベア上の卵パックに対し、付着物の有無及び付着位置を検出する光学検出器と、コンベア上の卵パックに対し、前記付着物の付着領域をカッティングにより除去するカッティング機と、前記付着領域のカッティング後の卵パックをフレークに粗砕する破砕機と、前記フレークを洗浄する洗浄機と、洗浄後のフレークを乾燥する乾燥機と、乾燥後のフレークを溶融する溶融機と、溶融後に卵パックに再成形する成形機と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
本発明では、前記展開状態の卵パックは、複数が面合わせ状態で重ね合わされた積層体となっており、前記コンベアには前記積層体から1つずつ取り出されて位置決めされることを特徴する。
【0011】
本発明での前記卵パックは、蓋部と本体部とを分離して半体とされ、前記回収箱は前記半体を面合わせ状態で重ねられた形態で卵パックを回収することを特徴とする。
【0012】
本発明での前記コンベアはワイヤコンベアからなり、前記位置決め凸部が、搬送方向と直交する方向と、搬送方向と平行する方向に、前記ワイヤコンベアの内側から回転されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、販売店の回収箱から空の卵パックをリサイクル工場に運送し、リサイクル工場でカッティングにより付着物を除去し、フレークに粉砕し、溶融して卵パックに再成形することから、卵パックの完全リサイクルが可能となる。リサイクル工場では、コンベアに位置決め凸部を設け、位置決め凸部に卵パックを載置し、カッティングにより付着物の付着領域を除去したので、より純粋な材質の卵パックを再生できる。
【0014】
展開状態の卵パックは、複数が面合わせ状態で重ね合わされた積層体としたので、かさばることがなく、大量の卵パックをトラックに積載して回収できる。また、リサイクル工場では、回収した積層体の卵パックを底部から1つずつ取り出してコンベアに載置するようにしたので、人手による分離・投入作業がない。
【0015】
卵パックは、蓋部と本体部とを分離して半体とし、半体を面合わせ状態で重ねられた形態で回収箱に回収するので、大きなスペースをとらず、よりコンパクトな形態で卵パックを回収できる。
【0016】
位置決め凸部が、搬送方向と直交する方向と、搬送方向と平行する方向に、ワイヤコンベアの内側から回転されるようにしたので、卵パックの長手方向のフランジ部の切断と、卵パックの長手方向の端部を短手方向に切断できる。位置決め凸部を異なる配置とした2つのコンベアを設けなくても、1つのコンベア上で切断できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態のリサイクルシステムを示すブロック図である。
【
図2】卵パックに卵を充填した卵商品の一例の斜視図である。
【
図3】
図2に示す卵パックのA-A線断面図である。
【
図4】
図2に示す卵パックのB-B線断面図である。
【
図6】リサイクル工場の機器を示すブロック図である。
【
図7】リサイクル工場でのリサイクル処理を示すフローチャートである。
【
図8】卵パックの半体を積層した状態の斜視図である。
【
図9】位置決め凸部を設けたコンベアとコンベアの周囲に配置した機器を示す斜視図である。
【
図10】別例の位置決め凸部を設けたコンベアとコンベアの周囲に配置した機器を示す斜視図である。
【
図11】位置決め凸部を回転させる機構を示す斜視図である。
【
図12】別形状に成形された卵パックの長手方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態のリサイクルシステム1を示す。この形態では、卵の生産者2と、販売店3と、リサイクル工場4と、消費者5とが有機的に結合されている。卵の生産者2は、例えば養鶏業者であり、多数の卵を日毎に生産する。生産者2は生産された卵を卵パックに充填し、卵が充填された卵商品を販売店3に卸す。販売店3は、例えばスーパーやコンビニであり、卵だけでなく、消費者5の生活に必要な商品を販売する。消費者5は販売店3に出向いて卵商品を始めとした商品を購入する。リサイクル工場4は使用済みとなった空の卵パックをリサイクルする施設である。
【0019】
販売店3には、使用済みとなった空の卵パックを収集するための回収箱7が設置される。なお、卵パックの材料としては、PETプラスチックが使用されるものである。回収箱7は販売店3の協力により販売店3の店頭等に設置される。消費者5は使用済みとなった空の卵パックを販売店3に持ち込んで回収箱7に投入する。これにより空の卵パックが回収箱7に回収される。卵パックの回収箱7への投入は消費者5の協力によってなされるものである。
【0020】
以上の生産者2、販売店3及びリサイクル工場4は運送車6(6a、6b、6c)により有機的に結合されるものである。運送車6はトラック等であり、生産者2が所有している車両である。このシステムでは、生産者2が生産した卵商品8(卵入り卵パック)を運送車6aが積んで販売店3に運送する(運送経路I)。一方、販売店3に来た消費者5は空の卵パックを販売店3の店頭等に設置された回収箱7に投入する。このことにより空の卵パックが回収箱7に回収される。
【0021】
運送車6bは空の卵パック9を回収するものであり、生産者2が所有している運送車6aと同一の運送車である。この運送車6bは、販売店3に卵商品を納入した後の引き上げの際に、回収箱7から空の卵パック9を荷台に積んでリサイクル工場に運送する(運送経路II)。運送車6bへの空の卵パックの積み込みは、運転者などの運送車の関係者だけなく、販売店の従業員の協力によってなされる。
【0022】
運送車6cも生産者2が所有している運送車6aと同一の運送車である。運送車6cは、リサイクル工場4で成形された新卵パック10を生産者2に運送する(運送経路III)。この運送車6cは回収箱7の空の卵パック9をリサイクル工場4に運送した引き上げの際に、リサイクル工場で製造された新卵パック10を積んで生産者2に運送する。生産者2は運送された新卵パック10に卵を充填することにより卵商品8を生産する。
【0023】
以上の卵パックのリサイクルシステム1では、卵の生産者2、販売店3、リサイクル工場4が有機的に結合されており、卵パックに使用されたPETプラスチックの完全リサイクルが可能となる。また、これらの間を生産者2の運送車6が循環して運送するから、他の運送業者が不要となり、経済的で効率的な運送が可能となるばかりでなく、運送車6の循環により生産者2、販売店3、リサイクル工場4の有機的な結合を強力にすることができる。
【0024】
図2はこのリサイクルシステムに用いる卵パック21を用いた卵商品22、
図3~
図5は卵パック21の
図2におけるA-A線断面図、B-B線断面図、及び斜視図である。
【0025】
卵パック21は全体がPETプラスチックを材料として成形され全体が透明となっている。卵パック21は、商品流通過程で流れる一般的な形状であり、本体部23と、本体部23に被せられる蓋部24と、これらを連設するヒンジ部25とによって形成されている。この形態の卵パック21は本体部23及び蓋部24に卵26を収容するための凹部23a、24aが2列5行で複数個(10個)形成されている。本体部23及び蓋部24は略同形状となっており、ヒンジ部25を除くこれらの外周部分には、フランジ部23b、24bが形成されている。このフランジ部23b、24bを重ね合わせることにより卵パック21が封鎖状態となる。
【0026】
図2に示すように、卵商品22では、卵パック21に卵を収容した後、重ね合ったフランジ部23b、24bの長手方向に封止テープ27が貼り付けられることにより封止されるのが一般的である。封止テープ27は卵の規格で規定しているカラーテープが使用される。例えば、卵26がLLサイズの場合は赤色テープ、Lサイズの場合は橙色テープ、Mサイズの場合は緑色テープなどとされる。また、生産者、賞味期限等の情報が表示されたバーコードラベル等の表示ラベル28が本体部23の短手方向に貼り付けられる。卵パック21をリサイクルするのに際しては、封止テープ27の糊部分や表示ラベル28は除去する必要があり、リサイクル工場4では、そのための処理を行う。
【0027】
図5に示すように、使用済の卵パック21は、封止テープ27が取り外され、ヒンジ部25の戻り力により蓋部24が開口した展開状態にある。ヒンジ部25には蓋部24と本体部23を分離しやすいようにミシン目29が設けられても良い。フランジ部23bには封止テープ27の糊が付着している場合がある。本体部23の凹部23aは、蓋部24の凹部24aと比較した場合、径は略同じであるが、本体部23の凹部23aの方が深さはやや深いのが一般的である。
【0028】
図6は、卵パック21のリサイクル処理を行うリサイクル工場4の機器の構成を示す。リサイクル工場4は、展開状態の卵パック21を位置決めする位置決め凸部を有して卵パックを搬送するコンベア30と、コンベア30上の卵パックに対し、付着物の有無及び付着位置を検出する光学検出器31と、コンベア30上の卵パックに対し、付着物の付着領域をカッティングにより除去するカッティング機32と、付着物の付着領域のカッティング後の卵パック21をフレークに粗砕する破砕機33と、フレークを洗浄する洗浄機34と、洗浄後のフレークを乾燥する乾燥機35と、乾燥後のフレークを溶融してシート状にする溶融機36と、シートを所定の長さに切断し、加熱して軟らかくし、プレス機で押圧して卵パックに再成形する成形機37と、を備える。
【0029】
図7は、リサイクル工場4における処理工程を示す。工程S1では、卵パック21を1つずつコンベア30に載置する。このとき展開状態の卵パックを後述する位置決め凸部38及び/または39(
図9及び
図10参照)によってコンベア30上に位置決めして載置し、搬送する。卵パック21は販売店3の回収箱7から回収されてリサイクル工場に運送される。この運送の際には、複数の卵パック21を面合わせ状態で重ねた積層体とすることにより嵩を小さくすることができる点で良好である。かかる面合わせ状態の重ね合わせは、卵パック21の凹部23a、24aを相手方の卵パック21の凹部23a、24aに嵌めることにより簡単になし得る。この面合わせ状態の重ね合わせは、消費者5または販売店3の協力によってなされる。リサイクル工場4では、面合わせ状態で重ね合わされた卵パック21の積層体から1つずつ卵パックを取り出し、位置決めしながらコンベア30に載置する。位置決めについては後述する。
【0030】
工程S2の検査では、卵パックをコンベア30で搬送しながら光学検出器31によって検査する。この場合、光学検出器31はラインセンサのカメラによって付着物の有無、及び付着物の付着領域を検出する。ここで付着物は、封止テープ27を除去した後の糊部分や、バーコードの表示ラベル28であり、これらの付着物の有無を色や形状によって判定する。同時に付着物の付着位置を検出する。
【0031】
工程S3のカッティングでは、糊部分や表示ラベルの付着位置をカッティング機32により除去する。このカッティングでは卵パック21をコンベア30で搬送しながら、付着物が付着している卵パックの1部分をカッター40(
図9及び
図10参照)で除去する。なお、カッター40は、本実施例では円板型カッターとしたので、卵パック21の切断する部位には制限がある。光学検出器31がカッター40では除去できないような付着物を検出した場合、例えば透明ではなくピンク色の卵パック21や、全体が商品ラベルで覆われた卵パック21などは、別ルートに分離される。
【0032】
工程S4の破砕では、破砕機33によって付着物除去後の卵パックを粗砕して小片状のフレークとする。
【0033】
工程S5の洗浄では、洗浄機34によってフレークを洗浄する。洗浄はオゾン水を用いることが良好である。洗剤を用いる場合は、洗剤の付着残留が懸念されることから好ましくない。この洗浄により、例えば、付着した卵の中身である有機物などをフレークの全面から除去することができ、清浄な新たな卵パックの成形用にフレークを供することができる。
【0034】
工程S6の乾燥では、洗浄後のフレークを乾燥機35によって乾燥して水分を除去する。
【0035】
工程S7の溶融では、洗浄後のフレークを溶融機36に投入して溶融する。このときの加熱温度は、卵パック21の材料であるPETプラスチックが溶融可能な温度に調整される。
【0036】
工程S8のシート化では、フレークの溶融物を冷却しながら圧延することによりシート状に加工する。シート状とすることにより後工程のプレス加工が容易となる。シートはロールに巻き取られて工程S9に移動する。
【0037】
工程S9では、工程S8からのシートを所定の長さに切断し、加熱してプレス機によって押圧して新たな卵パックを成形する。成形された新たな卵パックは運送車6cにより生産者2に運送されて卵の充填が行われる。
【0038】
この発明では、卵パック21は単に展開したままの状態または展開し面合わせ状態でリサイクル工場4に運送し、リサイクル工場で再生しても良いが、本体部23と蓋部24とに分離した半体の状態としてから再生しても良い。以下、この半体とした場合の態様について
図8~
図10により説明する。
【0039】
図8は、卵パック21をヒンジ部25(
図5参照)から切断して本体部23と蓋部24に分離して半体43とした場合を示す。卵パック21を半体43に分離し、本体部23の半体を重ね合わせると共に蓋部24の半体をそれぞれ重ね合わせる。これらの重ね合わせは、それぞれの凹部23a、24aを嵌まり込ませることにより、半体43を整然とした面合わせ状態とすることができる。半体43に簡単に分離するため、
図5に示すように卵パック21のヒンジ部25にミシン目29を予め形成しておくことが良好である。これに限らず、ヒンジ部25の両端に切り欠きを設け、蓋部24を長手方向に容易に引き離すことができるようにスジを付けても良い。
【0040】
このような半体43の作成及び面合わせの重ね合わせは、販売店3の従業員または消費者5の協力によってなされることが良好である。面合わせ状態で重ねられた半体43は販売店3の回収箱7に投入され、運送車6bによりリサイクル工場4に運送され、リサイクル工場で新たな卵パックの再生に供される。半体43にすることで、蓋部24と本体部23を別々に重ね合わせできるので、縦横高さ寸法が小さくなり、小型のトラックでも大量の卵パック21を積載できる。半体43の重ね合わせは、重ね合わせた卵パックの底部から吸引器で1つずつ吸引して分離することができる。フランジ部23b、24bは、分離が容易となるように離れて重ね合わせにする。一般に、凹部23a、24aの内周面には、縦スジ状の凹凸が設けられており、重ね合わせた時、深く勘合しないので都合が良い。
【0041】
図9及び
図10は、卵パック21を半体43とした場合に対応したリサイクル工場4のコンベア30部分を示す。コンベア30は、円板型のカッター40が交差して配置可能なワイヤコンベアを用いた。卵パック21をコンベア30から浮かして設置するなら、カッター40がコンベア30に接触しないので、コンベア30をメッシュコンベアとしても良い。コンベア30の上流側には、光学検出器31のカラー画像が得られるラインセンサ31a及び光源31bがコンベア30の搬送方向を横断するように配置され、光学検出器31の下流側には、付着物をカッティングするためのカッター40が搬送方向と平行に配置されている。光源31bはLED光源で白色光とした。光源31bには、卵パック21の表面のテカリを防止するため拡散板を設けている。また、背景色は白にして、卵パック21の色が判定できるようにしている。
【0042】
コンベア30には、半体43を位置決めするための位置決め凸部38、39が設けられる。位置決め凸部38、39は、半体43の凹部23a、24aの並び方向に合わせて設けられ、凹部23a、24aが嵌まることにより半体43の位置決めが行われる。
図9は、半体43の長手側の側部が搬送方向に沿っている場合の第1位置決め凸部38となっており、
図10は、半体43の短手側の側部が搬送方向に沿っている場合の第2位置決め凸部39となっている。半体43を第1位置決め凸部38によって位置決めすることにより、半体43に付着している封止テープの糊の付着部分45をカッティング除去できる。半体43を第2位置決め凸部39によって位置決めすることにより半体43に付着している表示ラベル付着部分46をカッティング除去できる。位置決め凸部38、39の数は、卵パック21の凹部23a、24aの数に合わせて10個としたが、例えば、
図10で表示ラベル付着部分46を厚く切断する場合は、切断面に近い側の2個を省略して8個としても良い。
【0043】
図11は、位置決め凸部38を回転させる機構を示す斜視図である。位置決め凸部38は、コンベア30を貫通するように、コンベア30の内側に回転ロッド47が設けられ、ロッド47に設けられたハンドルに駆動部(図示せず)が係合して、90°回動できる。これにより、卵パック21の長手方向のフランジ部の切断と、卵パック21の短手方向の端部の切断の両方がコンベア渡りをせずにできる。このような駆動部は、
図9のカッター40と
図10の光学検出器31の間に配置される。
【0044】
本発明では、卵パック21を半体43とすることなく、
図5に既述したように展開状態のままでコンベア30にセットしても良い。この場合は、
図9の第1位置決め凸部38であっても、
図10の第2位置決め凸部39であっても卵パックを位置決めすることができる。
図10で、展開状態の卵パック21の表示ラベル付着部分46を切断する場合、蓋部24の一端部分も一緒に除去される。
【0045】
図12及び
図13は、卵パック21の別の形状を示し、本体部23は凹部23aが形成されているのに対し、蓋部24は凹部が形成されることがなくフラットである。この卵パック21も一般に流通された形状である。この卵パック21も半体にでき、また、コンベア30に対しては、位置決め凸部38で、本体部23または蓋部24を係止できる。そして、糊の付着部分45や表示ラベル付着部分46を切断して、除くことができる。。
【符号の説明】
【0046】
1 リサイクルシステム
2 生産者
3 販売店
4 リサイクル工場
5 消費者
6 運送車
7 回収箱
8 卵商品
9 空の卵パック
10 新卵パック
21 卵パック
22 卵商品
23 本体部
23a 凹部
23b フランジ部
24 蓋部
24a 凹部
24b フランジ部
25 ヒンジ部
26 卵
27 封止テープ
28 表示ラベル
29 ミシン目
30 コンベア
31 光学検出器
32 カッティング機
33 破砕機
34 洗浄機
35 乾燥機
36 溶融機
37 成形機
38 位置決め凸部(第1位置決め凸部)
39 位置決め凸部(第2位置決め凸部)
40 カッター
43 半体
45 糊の付着部分
46 表示ラベル付着部分
47 回転用ロッド